エース/IVI/ドクター
●4・5・6
「博士! 博士! 博士!」
その合成音声のけたたましい声に亜麻色の髪をした女性が振り返る。
彼女の所属する組織、特務機関DIVIDEの基地であるこの湾岸地域は今まさに宇宙からの侵略者『デウスエクス』の攻撃を受けていた。
爆発と衝撃が基地内を揺らし、轟音が轟く。
「聞こえているとも、サポートAI『第9号』くん。しかしね、君。ちょっと慌てすぎやしないか。君は私が作り上げたサポートAIだよ? その君がこんなに慌てふためいて私を呼ぶことしかできないっていうのは、なんていうかお間抜けな話しじゃあないかな?」
亜麻色の髪をした女性、博士と呼ばれた彼女は彼女の傍らにホログラムでもって浮かぶサポートAI『第9号』に指を突きつける。
確かにサポートAIだというのならば、慌てふためくようなエモーショナルエンジンというのは無駄に限るものであったことだろう。
だが、博士と呼ばれた彼女はそれを無駄とは思わなかった。いや、間抜けな話だとは思っているようでは在るが。
「そんなことより博士!『デウスエクス』の来襲ですよ! こんなところでのんびりしていては!」
「まあ、落ち着き給えよ。というかAIである君だけだよ、そんなに慌てているのは。『デウスエクス』の来襲? そんなのいつも突然なことに変わりはない。長官である『アダム・カドモン』君は、未だ飛翔体|『小剣』《グラディウス》の索敵に躍起になっているようだが……私に言わせれば、そんなことより自動迎撃ロボットシステムの完成のほうが速いと思うんだよ」
「それは否定しておきます博士。飛翔体である|『小剣』《グラディウス》の予測ができたのならば……」
「あーもーいいよ。彼だって言っていただろう。あの超小型の魔術物体を補足するには、科学と魔術。両方からの側面で課題が山積しているのさ。確かに補足出来るに越したことはない。けれど、『デウスエクス』は待ってはくれないんだよ。だから」
彼女はそこまでいうと、自身の目の前からせり上がってきた柱に手を触れる。
タッチパネルなのだろう。
彼女の指紋認証と網膜認証、そして体内の魔力やら魂やらの認証を得て、これまでの最センタ技術の粋を集めたかのような機構を台無しにするかのようなアナログのスイッチが開かれる。
「はい、ポチッとな」
「博士! 今何したんですか!?」
「君もサポートAIならわかるだろうに。いいかね。人に尋ねる前に調べてるってことをしたらどうだい」
「いえ、僕、この施設からスタンドアローンにされてるんですけど」
「ああ、そうだった。ふっ、見給え!」
亜麻色の髪をした女性はモニターに映し出されるものを示す。それは、|『決戦配備』《ポジション》によって決戦都市から飛び立つ赤と青のカラーリングを持つ人型戦闘ロボットであった。
歪なデザインであった。
左右非対称。色の配色は中心から分かたれるようにして赤と青であった。
「これこそが、私の生み出した対『デウスエクス』|決戦配備《ポジション》型|戦闘ロボット《クラッシャー》『セラフィム』!」
飛び立つ人型戦闘ロボットが湾岸に接する決戦都市に都立感とする『デウスエクス』、『タロス兵』へと立ち向かう。
鋼鉄のゴーレムめいた『デウスエクス』の鉄拳が市街地を破壊し、爆炎を上げる最中に戦闘ロボット『セラフィム』が突撃する。
「いける、いけるぞ! これは!」
だが、博士と呼ばれた亜麻色の髪をした女性の確信は、『タロス兵』のドリル状に変形させた腕の一撃に寄って風穴を開けられ、次の瞬間には爆散してしまう。
「ああああ――ッ!!」
「だから、いつもいつも彼等に『ケルベロス』に任せておきましょうって言ってるのに……」
「くぅ……ッ! 予算たくさん注ぎ込んだっていうのに……! まるで歯が立たないじゃあないか!」
「あ、見てください『ケルベロス』ですよ!」
サポートAIの声に女性は涙目になりながらモニターを見上げる。
あー、ほんとだ、あんまり興味なさそうに、ずびっと鼻を啜り上げる。
「いや、ほんと興味もってないですよね、『エイル』博士――」
●ケルベロスディバイド
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。新たな世界、ケルベロスディバイドが発見されたことは記憶に新しいかと思います。今回予知したのは、正しくそのケルベロスディバイドの世界にある湾岸都市に襲来する『デウスエクス』が人々を殺して『グラビティ・チェイン』を収奪しようとしているのです」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは首を傾げる者もいただろう。
『グラビティ・チェイン』とは、この世界における生存エネルギーである。
この『グラビティ・チェイン』を求める地球外生命体連合軍『デウスエクス』の蹴撃に永きに渡って晒されているのだという。
「『デウスエクス』はまるで永遠不滅の神の如き存在……ええ、そうです。オブリビオンではないのです」
つまり、猟兵達には滅ぼせず、現地で戦うユーベルコードを有する者達ですら、撃退するので精一杯なのだという。
なんとも恐るべき敵である。
どれだけ消滅させても、時を経て再び来襲してくるのだという。
「この世界でユーベルコードを扱う者を『ケルベロス』と予備、彼等は地球に住まう人々からの支持を受けて特務機関DIVIDEに所属し、日夜『デウスエクス』の来襲に立ち向かっているというのです」
ならば自分たちは、と思うだろう。
だが、『ケルベロス』たちに予知能力はない。
つまり、『デウスエクス』の来襲に完全に後手になっているのだという。
「『デウスエクス』が『グラビティ・チェイン』を得る方法は一つ。地球の人々を殺して奪うことのみ。このような行いを赦してはおけません。ですので……」
続く言葉を猟兵は待たなかっただろう。
今まさに生命の危機に瀕している者たちがいるのだ。
ならば、敵がオブリビオンであろうが『デウスエクス』であろうと関係ない。
「……そうでしたね。では、お願い致します。どうか『ケルベロスディバイド』の世界の人々を守ってください」
そう言ってナイアルテは猟兵たちを新たなる世界へと送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の事件は新たな世界『ケルベロスディバイド』。この世界における湾岸都市の一つに『デウスエクス』が来襲し、人々を殺して生存エネルギーである『グラビティ・チェイン』を収奪しようとしています。
この予知を受けて皆さんは、現地の『ケルベロス』や決戦都市に|『決戦配備』《ポジション》された決戦兵器の多くを活用して、オブリビオンではない『デウスエクス』を撃退するシナリオとなっております。
※|『決戦配備』《ポジション》とは。
(https://tw6.jp/html/world/441_world25.htm)
に記されたものです。プレイングの冒頭に各々の単語を書き込むことで上記のプレイングボーナスを得ることができます。
●第一章
集団戦です。
湾岸の決戦都市では既に人型戦闘ロボットが飛び出して、迫りくるデウスエクスである『タロス兵』を迎撃せんとしていますが、まるで歯が立ちません。
人々は逃げ惑い、混乱しています。
このままでは『タロス兵』たちに人々は捉えられ、殺害されることで『グラビティ・チェイン』を収奪されてしまうことでしょう。
この『タロス兵』を蹴散らしましょう。
●第二章
ボス戦です。
一章で『タロス兵』を率いていた強力なデウスエクス『英雄神ペルセウス』が姿を現します。
彼はオブリビオンではなく『デウスエクス』ですので、撃破することはできますが、消滅するだけで滅ぼすことができません。
今回の撃破はその場しのぎとなりますが、猟兵である皆さんの中には宿敵めいた縁を持つ方もいらっしゃるでしょう。
そうした宿縁を持つ方だけが、その敵を滅ぼすことができるのです。
とはいえ、消滅させて撃退することで、街や人々を守ることができます。
●第三章
日常です。
皆さんの活躍に寄って湾岸都市からデウスエクスを撃退できました。
時間もあることなので、この湾岸の決戦としを見学するのもいいでしょう。
この都市にいる『ケルベロス』や、防衛機能についてアドバイスや研究、また戦いの余波で傷ついた人々を治療して回ることも善いでしょう。
それでは新たなる世界『ケルベロスディバイド』、来襲する滅ぼせぬ敵デウスエクスと戦うため、そして人々を守るために戦う皆さんの物語を彩る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『タロス兵』
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POW : ドリル鉄甲
【巨大ドリル状に変形させた腕】を【一時的に増幅させたグラビティ・チェイン】で加速し攻撃する。装甲で防がれた場合、装甲を破壊し本体に命中するまで攻撃を継続する。
SPD : フルメタル武装
【剣や槍などの近接武器の形状に変形させた腕】でダメージを与えた対象を【鉄杭】で貫いてから【鋼の鎖】で捕縛し、レベル秒間、締め付けによる継続ダメージを与える。
WIZ : ギガント鉄拳
【鉱物を纏わせて巨大化した拳】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
イラスト:良之助
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
湾岸都市が燃える。
この『ケルベロスディバイド』の世界にあって、多くの都市は1998年より続くデウスエクスの侵攻に晒されて以来、砲塔や魔術増幅装置、戦闘ロボットや障壁展開、バリケード、バイオガス散布、戦闘ヘリ配備、魔術支援、遠距離支援、はたまた救急部隊などの多くの戦うための『決戦配備』が施された決戦都市へと姿を変えていた。
この湾岸都市も例外ではない。
だが。
「脆い。此処まで脆いか。我が『タロス兵』共に残存する『グラビティ・チェイン』の消耗を警戒していたが、やはり我らに仇為すは『ケルベロス』のみ」
巨大な鋼鉄のゴーレム『タロス兵』たちを指揮するのは『英雄神ペルセウス』。
彼は爆炎上がる決戦都市を見やり、笑む。
この都市に眠ると言われている宝。
それを簒奪しようとしているのだ。
「このようなまがい物など出してきたところで」
彼の足元に転がる赤と青の戦闘ロボットの残骸が蹴り飛ばされる。
「さあ、『タロス兵』よ。ケルベロスが来る前にかの決戦都市の中枢を強襲し、宝を奪ってくるのだ」
「――ッ!!!」
その言葉に呼応するようにして『タロス兵』たちは湾岸都市の市街地へと駆け出していく。
逃げ惑う人々を捕まえ、まるで生命を搾るように力を込め、その生命、『グラビティ・チェイン』を収奪せんとする。
「助けて――……!」
助けを乞うように痛みにあえぐ人々。
その声に応えるように、この世界に転移する者たちがいた。
ユーベルコードの煌めき。
それを彼等は知っている。
「『ケルベロス』!」
だが、それだけではない。同じくユーベルコードを手繰る者。
その名は第六の猟兵――!
イリスフィーナ・シェフィールド
新世界を新衣装で参戦ですわ。
メディックを要請で「民間人の避難・救護支援」をお願いします。
わたくしは前に出て敵を引き付けつつ殲滅します。
出し惜しみは無しですわ、ファイナル・メガ・フュージョンっ。
できるだけ戦いやすくかつもし爆発しても問題ない市街地や
開けた場所や大きい道路に誘導して戦いたいところですが。
避難誘導の状況にもよりますので結局臨機応変にとなりますわね。
ドリル鉄甲は受けるわけにはいかないのでブレイズ・スラッシャーで受け流しますわ。
見るからに固そうですので狙うなら一番柔そうな腰辺りでしょうか。
受け流しからのカウンターで一刀両断をば。
その瞬間だけリミッター解除と限界突破で切断を補助します。
ケベロスディバイド。
新たなる世界にオブリビオンの影はない。
されど、戦う理由ならばある。無為に奪われる生命。それが生存エネルギー『グラビティ・チェイン』を巡る戦いであったとしても。
奪われぬようにと戦うのならば、その声に答えなければならない。
人々は叫ぶ。
助けて、と。助けを求める声にこそ応える者がいる。
「ケルベロス――!」
「いいえ、わたくしは猟兵。あなた方の求める救世主ではないにせよ。けれど、救いましょう。わたくしが!」
斬撃の一閃がデウスエクス『タロス兵』の腕を切り裂く。
つかみ上げていた人々はいつのまにか、その腕の中から奪い去られていた。
「――!?」
『タロス兵』は戸惑うように切り裂かれた己の腕を見やる。
何が起こったのか理解できなかったことだろう。
「出し惜しみは無しですわ。ですから、最初から全力全開っ! 融合合体(ファイナル・メガ・フュージョン)で行かせていただきますわっ!!」
その声はイリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)。彼女は長大なる巨大な剣を手にし、専用マシンと合体することで3m級のロボットに変身し、『タロス兵』によって捕らわれていた人々を救出したのだ。
「ケルベロス……じゃない? でも、それは、その輝きは……!」
呆然と見上げる人々を前にイリスフィーナは笑む。
「猟兵、と申します。ですが、あなた方が言うケルベロスと同じに考えて頂いても構いませんわっ。ともあれ、すでに決戦配備たる機構、聞き及んでおりますともっ。さ、ここはわたくしにお任せに」
そう言ってイリスフィーナは人々を逃がすために『タロス兵』と向き合う。
かの敵、デウスエクスはオブリビオンではない。
猟兵のユーベルコードはオブリビオンを滅ぼすためにこそある。だからこそ、イリスフィーナは、かのデウスエクスが滅ぼせないことを理解しながらも人々を逃すためにメディックポジションでもって彼等の生存を第一に考えたのだ。
救急ロボットであろう機械が次々とイリスフィーナによって救出された人々を逃すように戦場を駆け抜けている。
「後顧の憂いは最早なく。思う存分戦えるというものですわっ!」
「――っ!!」
『タロス兵』は新たに現れたイリスフィーナに怒るように、その腕部をドリル形状へと変貌させる。
その一撃はあらゆる装甲を打ち貫くだろう。
「その一撃は受けませんっ!」
手にした両手剣でもって、螺旋描く一撃を受け流す。インパクトの瞬間に回転と合わせるようにして彼女の腕が円を描く。
螺旋の一撃は確かに装甲を意味のないものとするだろう。
けれど、イリスフィーナは、頑強さを誇るのではなく、己の技術でもって、その一撃を受け流す。
すれ違うようにして交錯する『タロス兵』とイリスフィーナ。
「言ったはずです。これがわたくしの全力全開。出し惜しみをするつもりはないと」
カウンターの一閃。
それによって彼女の両手剣は『タロス兵』の胴を横薙ぎに切り払っていたのだ。
崩れ落ちる躯体。大地に落ちた瞬間、彼女の背後で『タロス兵』が爆散する。
その一撃を見やる『タロス兵』たちがたじろぐのをイリスフィーナは見ただろう。
ならばこそ、彼女は長大な剣の切っ先を突きつけ、告げるのだ。
「必ずやあなた方はわたくしがお守りいたしますわっ。だから、今は安心してお逃げになってください」
その言葉は高らかに。
そして、人々は新たなる救世主に沸き立つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
キカ●ダーがやられちゃった!?
この世界の敵はとても強いのですね💦
しかし人々の殺戮など、私が絶対許しません!
ヒーローとしてキカ●ダーの遺志は引き継ぎます!
《神性解放》発動。
高速飛行でタロス兵達に接近。
UC効果&光の属性攻撃・神罰を籠めた煌月による2回攻撃・鎧無視攻撃でスパスパっと斬っていきますよ!
ドリルは危険ですね💦
第六感・心眼で攻撃を予測し、結界術・高速詠唱で編み出した防御結界で防いでる間(装甲では無いので破壊されにくいかな?)に攻撃範囲から離脱したり、空中戦・見切りで回避したり、衝撃波・念動力で吹き飛ばしたりで、対応しますよ。
ドリルは危険ですが「当たらなければどうということはない」です!
「ああっ、あの赤と青の半分このロボットがやられちゃった!?」
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は新たなる世界ケルベロスディバイドの世界に降り立ち、デウスエクスの襲撃を受ける湾岸都市から飛び立った戦闘ロボットが『タロス兵』の一撃に寄って爆散する姿を間近に見た。
歪な左右非対称な戦闘ロボット。
飛び出した勢いだけは、『タロス兵』にも通用するのではないかと思われたが、しかし現実は非常であった。
「この世界の敵、デウスエクスはとても強いのですね」
詩乃は思わず呻く。
いや、焦り、と言えばいいだろうか。
すでに聞き及んだ所によるとデウスエクスはオブリビオンではない。
つまり、猟兵が如何に強くとも滅ぼすことができないのだ。撃破して消滅したとしても、時間が経てばまた復活し、地球に来襲するのだという。
正直に言えば、ジリジリと追い込まれているようにさえ思えることだろう。
「しかし、人々の殺戮など、私が絶対に赦しません! |救世主《ヒーロー》として、あの赤と青のはんぶんこロボットの遺志は引き継ぎます!」
「いや、勝手に殺さないでくれるかな! あれは自立型ロボットだ! ケルベロスの数は限られている。彼等の消耗を避けるために私は――!」
そんな声が詩乃に届く。
この湾岸都市は決戦都市である。
この世界の多くの都市はこの様にデウスエクスの来襲に備えて改造されているのだ。
その一つであるこの湾岸都市の建物、その外部スピーカーから女性の声が聞こえてくるのだ。
「あなたは……?」
「ふっ、私は『エイル』。ドクター『エイル』さ。新たなケルベロス、君はまだ戦えるかね?」
「ええ、無論」
詩乃の瞳がユーベルコードに煌めく。
神性解放(シンセイカイホウ)。
彼女の神性たる所以を開放するユーベルコードの煌めきが戦場に放たれる。若草色のオーラ。あらゆる危害あるものを浄化消滅させる力。
「人々を世界を護る為、全力でお相手致します!」
詩乃の言葉に呼応するように『タロス兵』たちが一斉に腕部装甲を螺旋状の衝角へと変貌させ、その一撃を振るい上げる。
「防御は無駄だぞ! 奴等の一撃は……!」
「ええ、おっしゃられる通りでしょう。ですから!」
張り巡らせた結界は『タロス兵』のドリルアームの一撃で砕ける。
だが、その砕ける一瞬に詩乃は『タロス兵』の懐に踏み込む。
「激突する瞬間を見極めるのです!」
「なるほどな、『当たらなければどうということはない』というやつか!」
「あっ、私が言いたかったんですけど……」
「すまない。だが、よそ見をしている暇はないぞ!」
その言葉に詩乃は薙刀を手にし、踏み込む。
己の心の中には人々は世界を護りたいという想いがある。
それは己が住まう世界だけではない。他の世界もそうなのだ。そこに虐げられる人々がいるのならば、余さず救いたいと思う。
詩乃が神性だからそう思うのではない。
「私は猟兵。だから、戦うのです。徒に侵略を行う者たちを止めるために!」
振るわれる斬撃の一撃が『タロス兵』の躯体を切り裂き、爆散させる。
「――!?」
「生きる意味。確かに生存エネルギーを求め続けなければならない理由もありましょう。ですが」
それでも奪うために殺す、というのなら、詩乃は若草色のオーラを発露させながら立ちふさがるように、その神威を解き放つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴァルターン・ギャンビット
【決戦配備 ディフェンダー】
(宇宙艦『スペースダイナソー号』に乗り、大気圏外から飛来する宇宙人。外部スピーカーで会話)
フォッフォッフォッ、ここがケルベロスディバイドって世界か。
ってオイッ!俺様は確かに宇宙人だがデウスエクスとやらじゃねえッ!?いい宇宙人…いや宇宙海賊はいい宇宙人じゃねえな。
ともかく決戦配備とやらを要請だ。これで被害を気にせず暴れられるってもんよ。タロス兵に火炎ビーム砲台で攻撃だ。
更にご唱和ください、バトルモードゼエエエェェッッット!
艦を変形させ、敵にパンチ。
敵のギガント鉄拳を見切り、テレポートで回避で更にパンチッ!
更にッ!超火球で跡形もなく消し飛びなッ!
【アドリブ歓迎】
デウスエクス――それは地球へと『グラビティ・チェイン』を求めて飛来する侵略者である。
極小の|『小剣』《グラディウス》と呼ばれる飛翔体は科学的にも魔術的にも事前に到来を察知することが難しいとされている。
故にこの世界でデウスエクスと戦う『ケルベロス』たちは常に後手に回らざるを得なかった。その戦いは苛烈極まりないものであった。
だからこそ、このケルベロスディバイドの世界のおける魔術、兵器に関する技術というものは飛躍的向上しているのだ。
奪われぬために。
侵略されぬために。
そのために『ケルベロス』と呼ばれる超人たちはユーベルコードをたぐり、滅ぼすのことのできぬデウスエクスとの戦いに身を投じているのだ。
「フォッフォッフォッ、ここがケルベロスディバイドって世界か」
そんなケルベロスディバイドの世界に飛来するのは宇宙船『スペースダイナソー号』であった。
正しく侵略者。
これが侵略者でないというのならば、一体侵略者とはどんな……と概念が崩れそうなほどの外見であったが、しかし、ヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は鋏状になった腕を打ち鳴らして笑う。
独特な笑い方であるのは、正真正銘彼が宇宙人であるからだ。
そう、シノビン星人。
それが彼の正体である。辺境惑星で宇宙忍者の技を磨きながら暮らす星人である。しかし、そんな代わり映えのない生活を蹴り捨てて彼は今、猟兵としてケルベロスディバイドの世界へと降り立ったのだ。
「あーあー、てすてす。聞こえるかね、そのなんというかとてつもなく怪しい……いや、宇宙船っていうしかない乗り物に乗っている生命……生命体でいいのかな? それとも新手新種のデウスエクスかな?」
ヴァルターンの乗る宇宙船に彼が降り立った湾岸都市から女性の声が響く。
「ってオイッ! 俺様は確かに宇宙人だが、デウスエクスとやらじゃねえッ!?」
「え、ならばなんなんだい? どう考えてもフォッフォッフォッって悪い怪人みたいな笑い声を上げていたように思えるんだが」
女性の言うことも尤もであった。
「いや、いるだろう。いい宇宙人……いや、宇宙海賊はいい宇宙人じゃねえな」
「宇宙海賊? ますますもってわからないのだが」
ヴァルターンは困った。
説明にとかく面倒なことがつきまといそうだった。
だからこそ、ヴァルターンは言う。
「ええい、どっちだっていいわ! 街を壊さないで、あのデウスエクスってのをぶっ飛ばすんだろ! なら、早いとこ、都市部に隔壁を立ち上げてくれ! 被害を気にせず戦いたいてえんだ!」
「決戦配備のことを知っているのか? というか、ん? 何、何をするつもりだい君は?」
「こーすんだよ!」
隔壁が建物を包み込むと同時にヴァルターンは『スペースダイナソー号』から火焔ビーム砲をデウスエクスである『タロス兵』へと放つ。
爆発が巻き起こり、衝撃波が荒ぶ。
「更にご唱和ください」
「は? え、何?」
「ご唱和ください、バトルモードゼエエエェェッッット!!!」
その叫びと共にヴァルターンの瞳がユーベルコードにきらめき、『スペースダイナソー号』が変形していく。
戦闘形態とも言うべきロボットモードと言えばいいか。
「ええええ――!? なにそれ!? なにそれ!? どういう技術? 船が人型に!?」
声の女性が目を丸くするような様子がヴァルターンには伝わってくるようだった。
「怪しいスペース商人から買ったが、しかし、案外やれるな! というわけで!」
瞬時にスペースダイナソー号・戦闘形態Z(スペースダイナソーゴウ・バトルモードゼット)へと至った『スペースダイナソー号』は、その巨大な腕部を振るい、『タロス兵』を叩き潰す。
反撃すらさせない。
いや、違う。テレポートで反撃が来る前に飛び、その一撃を容易く躱しているのだ。
「更にッ!」
腕部が展開し、砲口へと変形する。
最早なんでも有りであった。凄まじいまでの熱量を放つ火球が解き放たれる。
「跡形もなく消し飛びなッ!」
放たれた一撃が『タロス兵』たちを飲み込み、蒸発させていく。
正しく文明の違いを見せつけるかのようなヴァルターンの一撃と共に彼は高らかに笑う。
「何その笑い方!?」
「笑い方は気にすんな! フォッフォッフォッ――!!」
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
……色々とアレだけど、うちのママも似たようなものだったな……
うん、切り替えよう。……前衛と誘導はこっちで務めます、決戦配備「クラッシャー」の支援を要請します!
多用途(今はまだ普通の機銃だけだけど)セントリーガン『ドヴェルグ』をいくつか配置した後
魔導戦闘車両『白銀』で急行、こっちに注意を向けさせながら|白銀《いまのおうち》を壊されないよう逃げて配備砲塔の火力をうまく集中できる地点まで誘導、
攻撃支援の砲塔に仕掛けてもらいながらこっちもUC起動、機械妖精型の自爆ドローンを『白銀』後部から爆弾搭載量多めで発進させ突撃、おまけでスマホから周囲に設置した全『ドヴェルグ』を遠隔起動で集中砲火を浴びせます!
家族の思い出がある。
ノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者。・f40853)は独り立ちのために家を、楽園を追い出された者。
こういうとなんだかカッコいい感じがするのだから不思議である。
しかしながら、ノエルに待ち受けていたのはお家の外という魔境であった。妄想と現実の区別がついていないのかと疑いたくなる母親の言葉にしたがってというか、強制的に外に放り出されてしまった彼女は、しかし、猟兵として、ケルベロスとして今まさにデウスエクスの襲来に備えていた。
「……うん、切り替えよう。お外はとっても危険だけれど、それでも地球というお家を失うわけにはいかないのだから」
だから、と彼女は湾岸都市の決戦配備を要請する。
「……前衛と誘導はこっちで務めます」
「おお、助かるよ! もう少し待ってい給え!」
湾岸都市から声が響く。
女性の声だ。この湾岸都市にて決戦配備のクラッシャー……即ち、迎撃ロボの開発に立っず触っている女性博士だ。
確か名は『エイル』と名乗っていたはずである。
「――!!」
ノエルは魔導戦闘車両と共に戦場へと急行する。
すでに湾岸都市の市街地の多くは炎に包まれ、爆発が起こっている。
他の猟兵たちがデウスエクス『タロス兵』を打倒しているが、未だ炎の向こう側からは居並ぶようにして侵攻を撃退するには至っていない。
「敵の数が多い……なら、こっちです!」
魔導戦闘車両と共にノエルは『タロス兵』の注意を己に惹きつける。
『タロス兵』の腕部が剣へと形状を変更する。その動きにノエルはすぐさま走り出す。
「|『白銀』《いまのおうち》は壊させないです……!」
ノエルは己を追って迫る『タロス兵』たちを見やる。ただ逃げ回っているだけではない。
「おまたせしたね! 諸君らケルベロスからすればまだ頼りないが!」
戦闘ロボットが飛来し、ノエルの駆る魔導戦闘車両を守る。剣の一撃を受ければ鉄杭が容易く戦闘ロボットを撃ち抜いて爆散させていく。
「もう少し……」
「なにやら手があるようだね。ならば、こちらの損害は気にしないでくれ給え!」
「砲撃支援は!?」
「すまないが、こちらが出来るのは戦闘ロボットをけしかけることだけなのでね! アハハハ!」
「笑い事じゃないんですけど!?」
ノエルは、しかし準備を怠っていなかった。
火線を集中させるように配置したセントリーガンを起動する。
固定機銃。
戦場のあちこちにすでにノエルは設置していたのだ。彼女の支持と共に弾丸が『タロス兵』たちに打ち込まれる。
だが、それで止まるわけではない。
弾丸を集約させることができてもデウスエクスである『タロス兵』を留めるには十分ではなかった。
「だから、機械妖精型自爆ドローン展開(フェアリーダイナマイト)!」
ノエルの瞳がユーベルコードに輝く。
魔導戦闘車両の後部兵器格納ハッチから無数の妖精型魔導ドローンが飛び立つ。
それは爆薬を搭載されたドローン。
「自爆兵器というわけか!」
「……そういうことです。これなら!」
ドローンが『タロス兵』に突撃し、爆発する。その爆風は凄まじいものだったが、一撃で仕留められるものではなかった。
わかっていたことだ。
だからこそ、ノエルは数を用意したのだ。
一撃で打倒できないのならば、数で圧する。自分にできることを。
セントリーガンの弾丸が爆発に煽られた『タロス兵』の脚部を打ち抜き、頓挫させる。さらにそこにドローンが飛び込み爆発する。
飽和攻撃に寄ってノエルは、『タロス兵』たちを押し留め、いまのおうちを守るように魔導戦闘車両を後退させるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ハーウェン・ルース
決戦配備:クラッシャー
―ム。あの戦闘ロボ…セラフィムというのか…。
いいな。やはり正義のロボは良い。悪は…ダメだタロス兵!!
【行動】
―ム。
またデウスエクス…か。
奴らの襲撃を前もって察知できれば被害を抑えることができただろうに…歯痒いな。
出し惜しみなしだ。
全力で逝くぞ!!
アームドフォートを回避強化形態に変形させ、敵の攻撃を回避しつつ持てる武装の『一斉射撃』を繰り出しつつ、『クイックドロウ』で瞬時に再装填して再射撃を繰り返す。
―オレは…貴様らが全滅するまで…射撃を…止めない!!
決戦都市の空を飛翔する人型をハーウェン・ルース(ドラゴニアンの鎧装騎兵・f40911)は見上げる。
湾岸都市の市街地。
ここは既に戦場となっていた。
無数のデウスエクス『タロス兵』の残骸と、それ以上に山積する戦闘ロボットの残骸。赤と青の装甲が散らばる最中にありながら彼は、この湾岸都市の守りがそう固くないことを知る。
「――ム」
このままでは押し切られる、と彼は理解しただろう。
ユーベルコードを操るケルベロスだけではない、別の存在をハーウェンは知るだろう。それは他世界から現れる猟兵と言う存在だった。
彼等のユーベルコードのきらめきは次々と『タロス兵』を打倒していく。
「あの戦闘ロボット……『セラフィム』というのか……いいな。やはり正義のロボは善い」
「わかるかい! そうだろうとも! 私が作りました!」
湾岸都市から通信が入る。
この湾岸都市の決戦配備を開発している女性の博士の声がハーウェンに届く。
「だが、悲しいかな。接近戦では『タロス兵』に分があるようだ。そういうわけだから、『セラフィム』は砲撃に務めるよ!」
「ああ、任せておけ。悪のロボ……『タロス兵』はダメだ!」
ハーウェンは通信を受けて戦場に飛び出す。
その瞳にはユーベルコードがきらめいていた。
己が装備するアームドフォート。
その形が変わっていく。敵の攻撃を受け流すように流線型へと変形させる。タクティカル・トランスフォーム。
確かにアームドフォートは要塞の如き火力と防壁を有する。
けれど、戦いとは真っ向からぶつかるだけではない。
「――!」
『タロス兵』の一撃が螺旋の形を取ってハーウェンへと打ち下ろされる。
しかし、その一撃をハーウェンは流線型に変形させたアームドフォートでもって受け止めるのではなく、受け流す。
どれだけ強大な一撃であっても、攻撃を受けないことに特化させたハーウェンには届かない。
「デウスエクス……その襲撃を前もって察知できれば被害も此処まで拡大せずに済むだろうが……!」
だが、ケルベロスたちに予知能力はない。
そしてデウスエクスの襲来は常に予測不能なものだった。『小剣』と呼ばれる極小の飛翔体より来襲してくる存在を感知するのはあまりにも難しいのだ。
「だが、彼等は一体何者だ? ユーベルコードを使い、こちらに味方をしてくれる……」
「新手のケルベロスではないのかな? こちらに登録していないようだけど!」
「なんにせよ、出し惜しみは無しだ。被害はこれ以上広げさせない!」
装填されたアームドフォートの砲塔が『タロス兵』へと向けられる。
砲火が迸り、砲弾が『タロス兵』の体を打ち据える。爆風を受け流しながらハーウェンは戦場を走り抜ける。
あの日も。
そう、忘れがたきあの日もこんな日だった。
デウスエクスの襲来。
失われた青春も、日々も、友も。
多くがデウスエクスに奪われた。故にハーウェンはアームドフォートをたぐり、その力を解き放つ。
「オレは……貴様らが全滅するまで……射撃を……止めない!!」
咆哮と共に放たれる砲撃。
それは己の怒りか。それとも復讐の炎か。
いずれにしてもハーウェンは『タロス兵』へと決戦配備の戦闘ロボット『セラフィム』と共に砲撃を叩き込み続け、己のが胸に吹き荒れる感情を御するように砲弾に込めて放つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:灰遠雷
さて、デウスエクスという別種のモノに脅かされる世界であるの。
まあ、人々に害をなす、というのならば…『わしら』は赴き戦うだけである。
陰海月に乗って視界を確保。
UCによる広域攻撃を。何ぞ見た目がロボット?であるから、雷を伴うものにしたのだが…はて?
※何もしてないのに、無意識ジャミングで機械壊す人格
※
陰海月、ふよふよと浮きつつ足場になってる。
近接攻撃は見切って避けるし、結界はってる!
陰海月「ぷき」
あつあつおじーちゃん、この世界でも壊すんだ…ってなってる。
この世界にオブリビオンはいない。
猟兵にとって、それは驚くべきことであったのかもしれない。戦う理由はいつだって過去が今を脅かすからである。
過去の化身、オブリビオンはその存在自体が世界を滅ぼす。
けれど、この世界――ケルベロスディバイドは違う。
侵略を受けている。
無為に奪われようとしている生命がある。
多くの生命が生きるために他の生命を脅かすように。それが自然の摂理であるというのならば、仕方のないことであるのかも知れない。
理と人は呼ぶのかも知れない。
けれど、滅びを待つだけなどできようはずもない。
「さて、デウスエクス、と」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は顎を撫でる。
地球。
ここはこの世界の地球である。それが今まさに侵略の憂き目にあっているという。オブリビオンが介在しない世界。
けれど、と彼は頷く。
「捨て置くなどできようはずもない。人々に害をなす、というのならば……『わしら』は赴き戦うだけである」
戦場に飛び出すと、巨大クラゲである『陰海月』へと降り立つ。
「ふむ。あれなる鋼鉄の兵は……ろぼっと、であるか? いや、どうだろうか」
「ぷきゅ」
多分、そうじゃない? と『陰海月』が鳴く。
見た所鋼鉄製である。
ならば、その駆動系というものは精密機械のようなものであろう。ならばこそ、触っただけで機械を壊す達人たる『侵す者』は一つ頷く。
「ともあれ、やるべきことは変わるまいよ」
「あーあー、そこの御仁。ちょっといいかな?」
「……? なんぞ、これは」
「諸君らは未登録のケルベロスかな? こちらの味方ということでいいのかな? あの『タロス兵』は確かに機械兵だ。支援はいるかい?」
女性の声に『侵す者』はまた首をひねる。
如何なる技術でこちらに通信を伝えているのかわからない。
けれど、言葉に敵意はないと知ると『侵す者』はまた一つ頷く。
「不要であるよ。ともあれ、けるべろす、というのではなく、猟兵というのだが……」
「猟兵? イェーガー? ……これはいいな。助けてくれる人ってことかい。なら、頼むよ。こちらも手一杯でね」
「委細承知した。ならば」
煌めく『侵す者』の瞳。
ユーベルコードの輝きと共に引き絞った長弓が黒く染まる。放った矢は空中で分裂する。
呪詛を纏った矢は戦場に在りし『タロス兵』たちの頭上より彼等を一瞬で貫く。
その躯体は一射では致命傷にはなり得ないだろう。
だが、その動きが鈍るのだ。
「なるほどな。ジャミング機能を持った矢というわけか。面白い。後で、それがどうなっているのかを解析させてほしいものだ!」
「……いや」
いや、と『侵す者』は訝しむ。
呪詛を込めた。射抜くつもりではなって、射抜いた。けれど、あのジャミングは己の意図するところではなかった。
「……何もしていないのだが?」
「ぷき」
ああ、と『陰海月』は思う。
『侵す者』は、この世界でも機械を壊すんだな、と――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
あ、あれ?
ステラさん魂の咆吼が、いつもとちょっと違……!?
え?
ありなんですか? そこは性別気にすることにしませんか?
(そこはかとない寒気に自分を抱きしめつつ)
エイルさまが『概念』って、それステラさんだけじゃないでしょうか?(ぼそっ
あ、は、はい!
決戦配備はキャスター要請ですね。了解です!
そして、その振り! するなするなは、やれの裏返し。
さすがステラさん、ツンデレモードも健在ですね!
おまかせください。
ステラさんのために全力全開で演奏させてもらいますよ!
キャスターのみなさま、ステージをお願いします!
ここは【協奏曲第1番】でいきますよ。
攻撃だけでなく、みなさまの痛みも癒やしちゃいます!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁすっ!!
しかしこれはエイル様を残しながらの新しい香り……!
なるほどね?
私はエイル様の性別など気にしませんし
むしろ、壁ドンがエイル×ステラからステラ×エイルになるだけの話……全然アリでは?
と言いつつ
『エイル様』がいるということは誰かがどこかで平和を求めているということ
もはや概念ですね
ノイン様に、4・5・6……さて此度はどう配置されますか?
では、ルクス様
戦いますよ
ルクス様の場合、決戦配備はキャスターを要請するといいのでは?
演奏だけは強化しないで、死人出る
私は『ジャマー』を要請
一瞬で構いません、足止めをお願いします!
後は接近戦で仕留めますので!
新たな世界。
ケルベロスディバイド。宇宙よりの侵略者デウスエクスに抗う特務機関DIVIDEとユーベルコード手繰るケルベロスたちが戦う世界である。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁすっ!!」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はいつもどおりに叫んだ。
ものすごく叫んだ。いつも通りすぎて、恒例行事みたいな雰囲気になっていたので、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は流していた。
はいはいいつものいつもの。
そんな雰囲気であったのだが、しかし彼女たちのもとに通信が入る。
「呼んだかね。この私を」
「あ、あれ!?」
ルクスはびっくりした。
いつもはステラの叫びに応えるものはいない。というか、ステラ自身も応じる者がいるとは思っていなかったのかも知れない。
突如入った通信は、デウスエクスの襲撃を受けている決戦都市、湾岸都市たるこの戦場にて決戦配備を行っている女性である『エイル』博士のものであった。
「なんだい。困りごとでもあったのかい。だが、申し訳ないね。こちらも決戦配備やらなんやらでとても忙しい。要件は端的にして明瞭によろしくどうぞ」
「これは……なるほどね?」
「え、何が」
ステラは訳知り顔に急になっていた。
「これは新しい香り……! ええ、私は『エイル』様の性別などきにしませんし。むしろ、壁ドンが『エイル』?ステラからステラ?『エイル』になるだけの話……全然アリでは?」
「この子は何を言っているんだい?」
「えっと、あの、えーと……」
ルクスはなんて説明していいか分からなかった。ステラの魂の咆哮がいつもと若干違う。だが、それを初対面の人にどう説明すればいいのだろうか。
「ありなんですか? そこは性別気にすることにしませんか?」
「君のバイタル、今なんかすごいストレスを感じているようだが、だいじょぶかね?」
ルクスは思わず自分の体を抱きしめる。
「ふっ……此処に『エイル』様が居るということは誰かが何処かで平和を求めているということ。もはや概念ですね」
だが、ステラはマイペースだった。
気にしていなかった。
通信の『エイル』博士は、何なんだろう、この人らと思っていた。ケルベロスではないがユーベルコードを使っている。だが、デウスエクスでもない。
先程通信した者が言っていた『猟兵』というヤツなのだろうかと彼女は訝しむ。
「では、ルクス様」
「あっ、は、はい!」
そんな周囲の困惑などなんのその、ステラは勝手に納得して勝手に仕切り直していた。眼の前に迫るデウスエクス『タロス兵』の群れ。
「お、話はまとまったかい?」
「ええ、決戦配備要請を。私はジャマーを。一瞬で構いません。敵の足止めを願います。ルクス様のはキャスターを」
「あ、はい。私はキャスターで……え、ステージを用意してくださるんですか!?」
「ああ、魔術的に力を増幅させるステージ型装置だね。私が作りました!」
ドッヤァ。
通信からそんな雰囲気が伝わってくる。
ならば、とルクスはやる気満々だった。オンステージ! ここからはルクスの独壇場である。
「演奏は強化しないでください」
「え、なんで」
「死人が出ます」
「だが、彼女の力は演奏に寄って発揮されるのだろう? なら、演奏強化したほうが……」
「いえ、絶対ダメです。音量は最小限に。しかし効果は強化で!」
そんな器用なことできるわけないじゃないですかーとルクスは思った。
「おまかせください。ステラさんのために全力全開で演奏させてもらいますよ!」
「それがダメだと言っているでしょう!」
「できるよ。音を小さくして効果を最大限に。ふむふむ、むふむふ。なるほど。君のユーベルコードは演奏する、というのを起点にしているのかい。ならば!」
「え、やだー! ちゃんと演奏聞いてくださいよー!」
協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)はユーフォニアムでもって奏でられる。
だが、キャスターステージに立つルクスのユーベルコードは強化されつつも、しかし、音は……。
「無理だ。これなんだい。どう足掻いても音が響いていく」
「ほらやっぱりー!」
ステラは耳栓しつつ戦場を駆け抜けていく。
「ふふふ。これが私の演奏です。むいむいむむぅのむう!」
演奏かな、それは、と『エイル』博士』は訝しんだ。まあ、演奏だって本人が言うのなら演奏なのだろう。
『タロス兵』たちの動きが鈍る。
彼等はルクスの演奏の酷さにアルゴリズムを狂わされてしまっているのだ。その動き鈍る彼等へとステラが双銃手にして飛び込む。
「撃つだけが銃の使い方では無い、そのことを教えてあげましょう……というか、早く終わらせて演奏止めてもらわないと二次被害が酷いことになります!」
ステラは踏み込む。
双銃を使った近接銃撃戦。
その華麗なる輪舞曲の如き動きは、ルクスの壊滅的な演奏にはあまりにも場違いに『タロス兵』たちを打ちのめしていく。
「いやほんとこの演奏どうなってるんだい?」
打ち消すこともできないんだけど、と言う言葉にステラは返す言葉を持ち得なかった。
あえて言うなら。
「これが勇者の力です!」
いや、絶対そうじゃないなと、戦場にいた誰しもが思う――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
ここが、「依頼報酬がすごい!」と噂の新世界、です?
……ん。既に誰か負けてるです。今は急いだほうがよさそうです
『エル・セプス』で飛びながら『ケルベロスファング』を腕に打ち込んで……む、拳で迎撃するとは面倒な相手、です
だったらこうするです……【ダミーフリート】召喚、
ん……?決戦配備?じゃあそれっぽいからディフェンダーを要請するです
これで回りは気にしなくていいです、そのまま全機弾幕をはりつつ突っ込ませ、遠慮なしに全機爆破、です……これで、ふっとぶです
しぶといようならダメ押しの収束『A.F.C.』で撃ち抜いてやる、です!
ケルベロスディバイド――それは宇宙より地球に来襲する侵略者デウスエクスと戦うケルベロスたちの存在する世界である。
侵略に対抗するためにはユーベルコードを手繰らねばならず。
そして、ユーベルコードに覚醒する者は限られている。
故に特務機関DIVIDEは彼等の戦績に応じて月額380万円以上の給与を約束している。戦いは何時起こるとも知れない。
何時終わるとも知れない。
そんな中にあって、そうした給与というのはケルベロスたちの協力を仰ぐ以上必要なことだったのだろう。
「ここが『依頼報酬がすごい!』と噂の新世界、です?」
ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は金欠だった。
いや、わからないでもない。
彼女の居た世界、ブルーアルカディアにおいて戦いとは兎角消耗するものであったからだ。己が操る飛空艇の整備や強化。そうしたことを為すために必要なのはお金だった。
世の中の人々はお金が全てではないと言うが、ヴィクトリアにとっては己に必要なもの全てがお金で解決でいてしまうのだから、お金を求めるのは自然なことだった。
「……ん。既に誰か負けてるです」
「いや! 負けてないよ! 負けてないよー! 今日は調子悪かっただけっていうか!」
急に耳に響く女性の声にヴィクトリアは眉根をひそめる。
なんだこれは、と思ったかも知れない。
「やあ、諸君らはケルベロス、ではなく『猟兵』というのだそうだね。私はこの決戦都市の決戦配備を開発している『エイル』博士だ。猟兵、諸君らの助力感謝しているよ!」
「はぁ……でも、今は急いだほうがよくないです?」
「それもそうだ! だが、後で君が使っている、空飛それ! ちょっと見せて欲しいな! めっちゃ気になる! 動力どうなってんの!?」
そんな通信にヴィクトリアは耳がキーンとする想いであった。
だが、そんなやり取りを長々と赦してくれないのがデウスエクス『タロス兵』である。彼等のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
巨大化していく拳。
「……む、連中、自身の拳を周囲の鉱石を集めて強化している!」
「見ればわかるです。なら……」
飛空艇『エル・セプス』でヴィクトリアは戦場を飛翔する。
放つフックショットの一撃を巨大化した『タロス兵』の拳が受け止め、防御される。
叩き落され、絡みつく前に地面に鎖が伸びる。面倒なことになった、とヴィクトリアは思う。
ここは市街地だ。
いつも彼女が主戦場としている空とは違う。市街地への被害にも気を配らなければならない。
「どうやら戦いづらいようだね! 任せておきたまえ。ここは隔壁を展開して、バトルフィールドを作り出せば!」
通信の『エイル』博士の言葉と共に『タロス兵』たちを取り囲む障壁。
「これで周囲への被害は気にせずともいいだろう!」
「なるほど、です……これならば、周りは気にしなくていい、です」
ヴィクトリアは隔壁に取り囲まれた『タロス兵』たちを見やる。隔壁に阻まれて己の弾幕が市街地に飛び火することはない。
ならば、と彼女の飛空艇から放たれるは小型の飛空艇もどき。
この世界風に言うのならばドローンというものであろうか。そのダミーフリートでもってヴィクトリアは一斉に魔力弾幕を展開する。
放たれる魔力団は次々と『タロス兵』たちの装甲を貫いていく。
圧倒的な数だった。
「……これだけの数を一体どうやって制御しているんだ……!?」
「ユーベルコード、です。そして……」
ダミーフリートによって生み出された飛空艇もどきが『タロス兵』たちへと突貫していく。確かに飛空艇もどきは耐久性に乏しい。
一撃を受ければ消滅してしまう。
けれど、消滅する際に爆発を引き起こすのだ。それに寄って『タロス兵』たちは翻弄されていく。
視界を奪われ、爆風に煽られる。
それゆうに600を超えているのだ。どうあっても対応できない飽和攻撃である。そこにダメ押しのように魔導砲撃が『エル・セプス』より放たれるのだ。
ひとたまりもない。
「これで御仕舞、です。それと……小耳に挟んだのですが、この戦績ならば、報酬はもらえる、です?」
それが一番大事だと言うようにヴィクトリアは尋ねる。
「申し分ないよ!」
その言葉にヴィクトリアは胸をなでおろす。これで、彼女の抱える多くの負債は解消されるかもしれない――!
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
決戦配置:ジャマー
やっぱスイッチ押すときにぽちっとなは基本だよね…
…それはさておき…人々を捕まえて生命を吸い取ろうとするのは見過ごせないな…
あれがデウスエクスか…尖兵は近接攻撃が主体と…
…エイルに頼んで一時的にでもタロス兵の知覚を誤魔化してもらうとしようか…『こんなこともあろうかと』赤青ロボットに何か仕込んでるでしょ…ジャマー付き煙幕とかそういうやつ……
……うまく妨害支援が通ればその隙に【天地に響く崩塵の歌】を発動……
タロス兵たちの周囲に音響型ガジェットを召喚…気づかれて退避される前に振動ダメージで始末してしまうとするよ…
ガジェット研究者であるメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は思う。
如何にデジタル化して多くの要素を配してシンプルさが求められる世になろうとも、やはり人は人の手に何か感触が帰ってくるアナログを愛するものであると。
最新鋭の中にしれっと混ざる懐古主義のようなアナログスイッチ。
「……やっぱスイッチ押す時に、ぽちっとなは基本だよね」
「なんだい、とても気の合いそうなつぶやきが聞こえたんだけども!」
メンカルに通信が入る。
この決戦都市たる湾岸都市の決戦配備の開発を一手に担う女性の『エイル』博士の声であった。
メンカルの言葉を耳ざとく聞きつけたのだろう。
どうやら気が合いそうだろうと意気揚々と通信を入れてきた気配がある。
「それはそうと、諸君らは猟兵というのだそうだね。ケルベロスではないがユーベルコードを手繰ることができる。歓迎しよう!」
「……それは後にしておこう……連中……」
「ああ、デウスエクス。宇宙よりの侵略者だ。人々を殺し、『グラビティ・チェイン』と呼ばれる生存エネルギーを収奪することを目的としている!」
「……なるほど。見過ごしてはおけない。見た所近接主体のようだけど……」
「『タロス兵』、金属機械兵士、とでも言えばいいだろうか」
「……じゃあ、連中の近くをごまかすことは?」
「飲み込みが速いな、猟兵。僅かな時だが、できないことはない。決戦配備、ジャマーだな」
その言葉にメンカルは頷く。
「「こんなこともあろうかと』って何かアレに仕込んでるでしょ」
そう示す先にあるのは赤と青の戦闘ロボットの残骸だった。
『エイル』博士がただ単純に戦闘ロボットを破壊されて終わりだとはメンカルには思えなかったのだ。
だからこそ、彼女は告げる。
「わかっているじゃあないか! 良いね、話が早い! ならば、見るがいい! 私の作った『セラフィム』の機能のうちの一つ! ジャミング煙幕!」
「……ネーミングどうにかならない?」
メンカルが壊滅的なネーミングセンスに半眼になる。しかし、その効果は絶大だった。ジャミング電波と煙幕。煙幕は煙に見せた微細な金属粒子だった。
「――!?」
それによって『タロス兵』たちの動きが鈍る。
いや、動きが止まる。
「この隙に……絡繰の鳥よ、歌え、奏でよ。汝は天響、汝は挽歌。魔女が望むは崩れ滅びる鎮魂歌」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
召喚された音響型ガジェットのスピーカーが震える。
それは天地に響く崩塵の歌(レゾナンス・レクイエム)。
振動を伝えることによって、固有振動数を把握する。反響した音は、さらに増幅されて、『タロス兵』たちを構成している金属を破壊させていく。
「……音は響く。そして、そのお前たちは金属……無機物であるというのならば」
メンカルは大気を震わせるユーベルコードの音によって『タロス兵』たちが瓦解していくさまを見やる。
そう、彼女のユーベルコードは振動によってダメージを与える。
そして、それが無機物であったのならば、その効果は十倍にまで跳ね上がるのだ。即ち、『タロス兵』たちにとっては、絶大なる効果をもたらす。
音は即座に戦場を包み込んでいく。
さらにその音を決戦都市の外部スピーカーが放つのだ。
「すさまじいな、猟兵。これなら……!」
「……敵の殲滅は任せておいて。これで……」
片を付ける、とメンカルは頷き、決戦都市に迫っていた『タロス兵』たちを次々と破壊していくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『英雄神ペルセウス』
|
POW : 太陽の杖
【輝ける星の魔力を秘めし杖】に【公転の力】を籠めて近接攻撃し、ダメージを与えた対象をレベル×1回転させる。
SPD : 老婆の眼球
【巨大な眼球】を召喚する。300km/hで飛翔し、【呪いの凝視】による攻撃や、召喚者との【視覚】共有が可能。
WIZ : 鏡の盾
【召喚した「鏡の盾」】に【遠隔攻撃反射】のルーンを宿して攻撃する。対象が何らかの強化を得ていた場合、それも解除する。
イラスト:片吟ペン太
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ほう、先兵とは言え『タロス兵』を駆逐するか」
デウスエクス『英雄神ペルセウス』は手にした太陽の杖を握り、伏せた瞳のまま戦場を見回す。
ふせられた瞳には何も写してはいないはずだが、しかし彼は笑む。
「ケルベロス……とは異なるユーベルコード使い……となれば、そうか。お前たちが猟兵か。面白い。この都市に眠る宝を簒奪するつもりであったが、なかなかに興が乗る出来事が起こっているようだ」
その言葉に猟兵たちは訝しむだろう。
己たちを侮っているとしか思えない。だが、同時に、そうであるとも思える。
何故なら、彼の力は強大であると感じられるからだ。
自らの力に対する自負。
それが一欠片とて偽りがないことが知れるだろう。
「よかろう。『セラフィム』の核たる『ヴァルキリー』はお前たち打倒した後でも、なんとでもなろう。ならば、余は今この瞬間を楽しむとする。せいぜい踊るがいい、ケルべロス、猟兵。余を楽しませよ。全て徒労に終わると知りながら、その懸命さでもって、余の今を満たしてくれ――」
メンカル・プルモーサ
決戦配備:スナイパー
あれが本格的なデウスエクスかな…なるほど強大だ…
さてあれが自信なのか慢心なのか…試してみるとしようか…
【夜空を別つ月閃の翼】を発動…高速でペルセウスへと飛んでいくよ…
老婆の眼球による呪いの凝視は復元浄化術式【ハラエド】を月翼に付与することで防御……
翼による斬撃で目玉を切り裂いて先に破壊してしまおう
…ペルセウスの攻撃を幻影によるデコイやフェイントを織り交ぜた高速移動で回避…
…光の羽根による牽制射撃から月翼での斬撃を加えて攻撃するよ……
…そしてこのタイミングで決戦都市からの援護射撃をもらって追撃…UCの効果が切れる前に離脱しようか…
デウスエクス。
言うまでもなく猟兵たちにとって、それは未知なる敵であったことだろう。
これまで猟兵の敵というのは過去の化身、オブリビオンのことを示していた。だが、このケルベロスディバイドの世界では違う。
明確に滅ぼすことができない存在。
この事実により、この世界に生きるケルベロスであったとしても宿縁をもたぬ限り滅ぼせないのだ。
「あれが本格的なデウスエクスかな……なるほど強大だ……」
「余のことを推し量るか。その不遜、実に善い。ただ余の力を前に惑う者とは格というものが違う」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の言葉にデウスエクス『英雄神ペルセウス』は笑む。
伏せたままの瞳であれど、如何にしてかメンカルの姿を捉えているのだ。
「……それが自身なのか慢心なのか……」
「ふっ、ならば試してみるが善い。代価は貴様の生命、『グラビティ・チェイン』となろうがな!」
瞬間、『英雄神ペルセウス』の背後に浮かぶは巨大なる眼球。
同時にメンカルは知るだろう。
それが呪いの凝視であると。
あの眼球の視界に納められているものは、すべからく呪詛に寄って冒される。故に『英雄神ペルセウス』は動かず、その眼球によって視界を得ているのだ。
「まずいぞ、猟兵君、あれは『英雄神ペルセウス』!『老婆の眼球』だ! あれの視界に納められては……!」
『エイル』博士の声が響く。
それにメンカルは頷き、術式を持って己の身に降り注ぐ呪いの凝視を復元し浄化する。
「満ち欠ける光よ、放て、羽ばたけ。汝は月晄、汝は照翼。魔女が望むは闇夜に輝く月灯り」
夜空を別つ月閃の翼(アルテミス・ウイング)。
それはメンカルの全身から翼状に形成された高密度の月の魔力によって、彼女の能力を倍増させる。
「ほう、余の呪いに耐えるか……いや、違うな。これは浄化し、損なった部分を復元したか」
「だが、これではジリ貧ってやつじゃあないのかい!?」
「大丈夫。そこは……」
その言葉と同時にメンカルの全身に形成された光翼が羽ばたき飛翔する。
呪いの凝視は強化された復元術式によって対処できる。だが、それは攻め手に欠けると言わざるを得ないだろう。
「守ってばかりでは余には届かぬぞ!」
迫る呪詛。
メンカルは幻影を生み出し、お取りにして高速で光の翼を羽撃かせ飛ぶ。
飛び散る羽根が弾丸のように宙を走り、『英雄神ペルセウス』へと迸る。その一撃を彼は杖で払い、笑う。
「善いぞ。だが、これではな!」
余裕綽々と言った声色。
だが、その声色が一瞬別の色を持つ。
「……何?」
「……あんまりこっちにばかりかまけているからそうなる……」
「上手くいった……! 最初は要請が来た時はどうかと思ったが、これなら!」
その言葉と共に『英雄神ペルセウス』は見る。
己の浮かべた老婆の眼球へと放たれるは、決戦都市に決戦配備された『セラフィム』による長距離狙撃。
そのエネルギーの光条を『英雄神ペルセウス』は知覚できなかった。
いや、本来ならば出来るのだ。だが、それができなかったのは……!
「貴様か……!」
「……そうだよ。自信ではなく、やはり慢心だったね」
メンカルは己を囮にして『セラフィム』による長距離射撃を導いたのだ。そして、その射撃に寄って老婆の眼球が一瞬でも砕けたのならば、『英雄神ペルセウス』はその視界を失う。
そう、その刹那にこそ、メンカルの放つ光の羽根が、その慢心満ちる体を貫くの在った――。
大成功
🔵🔵🔵
イリスフィーナ・シェフィールド
なんとも上から目線の方ですわね。
まぁ分かりあえない敵同士ならよろしいでしょうか。
遠慮なく吹っ飛ばせますものねっ。
杖で厄介な攻撃を仕掛けてくるようなのでまずはそれを排除しましょう。
相手の攻撃に合わせてブレイク・スマッシャーの
重い一発で杖を叩き落としまして
続く連撃で本人を地面に打ち付けてやりますわ。
そのお綺麗なお顔を地面に叩きつけて差し上げますわっ。
お帰りになったら2度とお越しにならないでくださいまし。
「よもや、余の玉体に傷をつけられるとはな。どうやらこれまでのケルベロスとは様子が違うらしい。だが、余を慢心と謗ったこと、それは許せぬ」
デウスエクス『英雄神ペルセウス』のふせられた瞳は開眼することはなかった。
されど、彼の手にした太陽の杖がユーベルコードのきらめきを放つ。
公転の力。
それは即ち、黄道の力。黄金の輝き解き放つ杖と共に彼は踏み込む。
「なんとも上から目線の方ですわね」
その杖の一撃を受け止めたイリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は己の体が独りでに回転し、視界がぐらりと揺らぐのを感じたことだろう。
これが『英雄神ペルセウス』のユーベルコード。
膂力だけではない。
この一撃は己の平衡感覚を奪うものであった。
しかし、イリスフィーナとて歴戦の猟兵である。
彼女は自身に付与された公転の力を己の強烈な意志でもって打ち消しながら、その場に踏みとどまり迫る追撃の一撃を躱す。
「余の杖、その一撃を受けてなお立っているとはな。称賛に値する」
「お褒めに預かり光栄とでも言えばよろしくて? ですが、どの道わかり会えぬ敵同士。気に食わないのもまた逆に善いことであると思うことにいたしましょう」
「大丈夫かい、猟兵君。『英雄神ペルセウス』はあの杖で打撃を与えた者を回転させる。回転によって人間の三半規管を狂わせる!」
通信によって入る『エイル』博士の言葉にイリスフィーナは頷く。
「身をもって体感いたしましたわ。なんとも厄介な攻撃を仕掛けてくる敵のようですわね。ですが、それを排除するのがわたくしの役目!」
漲る意志。
その輝きがイリスフィーナの瞳に宿る。
「ほう、ただの見目麗しい女人だとは思っていなかったが……!」
踏み込む『英雄神ペルセウス』。
その言葉に偽りはないのであろうが、しかし、振り下ろされる黄金の杖の一打は強烈そのものであった。
眼の前に迫る一撃にイリスフィーナは理解する。
あのデウスエクスの尊大なる態度は、慢心あれど、しかして事実であると。あの黄金の一撃、その一打目は敵の体を高速で回転させる。
そして、三半規管を狂わされたところで必殺の一撃を叩き込むつもりなのだろう。
ならばこそ、イリスフィーナはその一撃を見据える。
「力に頼った単調な動きですこと!」
イリスフィーナはこれまで多くのオブリビオンとの戦いを制してきた。
如何にデウスエクスが滅ぼせぬ敵であろうとも彼女にとっては、目の前の脅威の一つでしかない。
眼の前に脅威があるのならば如何にするか。
答えはすでに出ている。
「ならば、それを砕いて進むまで! これこそが! 剛腕爆砕っ!」
煌めくユーベルコードは彼女の拳に宿る。
強靭なる意志。
敵を討つという意志。
それに支えられた輝き満たす拳。
振り下ろされた黄金の杖を既のところで躱しながらイリスフィーナは踏み込む。身をかがめるようにして膝を折る。
それは地球の言葉でいうのならば、アッパーとでも言うべき一撃。
『英雄神ペルセウス』の顎を砕かんばかりの勢いで突き上げた拳は、彼の体を宙に打ち上げるだろう。
「ガッ、っ!?」
だが、イリスフィーナの本命は、もう一撃目。
それは単純で重い一撃。振りかぶった拳は鉄槌のように振り下ろされる。
「ブレイク・スマッシャーッ!! お帰りになったら二度とお越しにならないでくださいましね!」
煌めく拳は『英雄神ペルセウス』の顔面を捉え、大地を砕きながら、その体を叩き伏せるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
決戦配備:キャスター
…そういえば。さっき聞こえた女性の声からすると、わしを認識しておるな?
すまんがなぁ、わしが『馬県義透』であるという『認識』を広げてくれんか?
さて、その上でのUC(攻撃力)。まあ目が回るであろうが、関係ないのよ。
全ての攻撃は、強化にしかならぬ!
さっきのでより強固な認識にしたしの。
で、その上で四天霊障を叩きつける!これはあの敵に向いておるからな!
ああ、そうさな。成り立ちは違うが。この世界で一番近いのは、ビハインド?というやつよ、『わしら』は。
※ビハインドはオブリビオンなので、複雑心境。まあ暴走してないなら…と抑えてはいる。
※
陰海月「ぷきゅ」
ぼくも一応、馬県認識はしてるからね!
デウスエクス『英雄神ペルセウス』は猟兵の拳の一撃を受けて大地を砕きながら沈む。だが、天に掲げた黄金の杖が煌めくと、その体は宙に浮かび、発せられる力は強大になっていく。
公転の力。
黄道を示す黄金の輝き。
太陽煌めくかのようなユーベルコードの発露は、『英雄神ペルセウス』の力を示すには十分すぎるものであったことだろう。
「余の玉体を傷つけることは万死に値する。だが、しかし見事であるな。斯様な戦士が斯くも存在しているとは」
彼の言葉に馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は構える。
「……なるほど。デウスエクス。一筋縄ではいかぬか」
『侵す者』は知るだろう。
目の前の存在が正しく『英雄神ペルセウス』と名乗るのにふさわしい存在であると。
「あの黄金の杖には気をつけたまえ」
通信の『エイル』博士の声が響く。
「……わしのことを認識しておるな」
「ん? ああ、この決戦都市の各所にはケルベロスをすぐに支援できるように多くのカメラが仕掛けられていてね。中継してリアルタイムで此処と繋がっているわけさ。そうすることで要請にすぐに応えられるようにしている。これでも私はね……」
長く続きそうになった言葉に『侵す者』は短く切り上げる。
「すまんが」
「ん?」
「わしが『馬県義透』であるという『認識』を広げてくれんか?」
その言葉に『エイル』博士は頷く気配があった。
「つまり、キャスター要請というわけだね。魔術的な術式の補助でもって君という存在を多く認識して欲しいということだろう、ならば、任せ給えよ。なんのためにカメラを設置していると思う!」
その言葉と共に『侵す者』と『英雄神ペルセウス』が相対する姿が全世界に中継される。
あちこちの街で掲げられたモニター。人々が手にする情報端末。
多くの画面という画面に彼の姿が映し出される。
「小細工を。だが、許す。余と相まみえるのだ、その程度のことは許そう」
「やはり、己の力に絶対たる自信を持つようだ。だが……」
踏み込む『英雄神ペルセウス』の杖の一撃が『侵す者』を薙ぎ払う。
体が回転する。
目が回る。三半規管がかき乱されるような感覚。これに多くのケルベロスたちは己の天地を失ったのだろう。
他ならぬ『侵す者』とてそうだ。
天地が入れ替わるかのような視界。
打ち込まれる黄金の杖。その度に己の体がねじれるかのように回転していく。だが、『英雄神ペルセウス』は訝しんだ。
「何故、『グラビティ・チェイン』が奪えぬ。余の一撃を……いや、数度にわたり受けているというのに、何故耐えられる!」
「簡単なことよ!」
その瞳にはユーベルコードが輝いている。
それは四悪霊・『戒』(シアクリョウ・イマシメ)。
己が攻撃を受ける度に己たちという総意と己を認識している者たちという補助によって体を再構築しているからだ。
オブリビオンに対する呪詛。
それが溢れ続けている。対するはデウスエクスであるが、しかし、その溜め込まれた呪詛は尽きることはない。
「呪詛の塊というわけか。あまりにも邪道……!」
「であろうな。だが、四悪霊は滅びず! 此処に在りて、討ち滅ぼす!」
振るう一撃が霊障を纏って『英雄神ペルセウス』を打ち払う。
黄金の杖が揺れ、かのデウスエクスの体をきしませる。
「なるほどねぇ。君らの成り立ちは謂わばビハインド、というわけか」
『エイル』博士の言葉に『侵す者』は首肯する。
「正確には、違うが。まあ、複雑なのよ、我らは。さあ、追い込んだぞ―!」
大成功
🔵🔵🔵
ハーウェン・ルース
決戦配備:スナイパーをオーダー。
接近戦で決着をつけてやる!!
【行動】
―ム。
英雄神ペルセウス…今回の指揮官は貴様かッ。
大物のお出ましだが、どの程度で怯むほど安いものではないぞケルベロスはッ!!
決戦配備の援護射撃とオレの全武装の射撃を合わせた『一斉射撃』だ。
だが、この射撃は囮…。
射撃に注意を引き付けて、一気に接近する。
≪勇者の連撃≫をぶち込むための…な。
おぉぉぉぉ落ちろ堕ちろ墜ちろッ!!
―ム。
しかし、グラビティチェインではなく『セラフィム』が目的だと…『ヴァルキリー』…一体何なんだ…
きしむ骨の音を聞いた。
少なくともデウスエクス『英雄神ペルセウス』の体から、それは響いた。
しかし、彼は笑む。
獰猛に笑む。伏せた瞳は開かれることはなく。
されど、手にした黄金の杖は力を発露する。黄金の輝き。黄道、太陽のきらめき。その力を持って、如何に彼が強大なデウスエクスであるかを示すものであった。
「――ム」
その姿を認めたハーウェン・ルース(ドラゴニアンの鎧装騎兵・f40911)は戦場を走る。
確かに『英雄神ペルセウス』は強大なデウスエクスだ。
「今回の指揮官は貴様かッ」
大物であることは言うに及ばず。
だが、圧倒的な力を前にしてもハーウェンは怯むことはなかった。いや、彼等ケルベロスの誰もが力を理由に怯むことはない。
彼等の戦いは生存競争だ。
生存エネルギーである『グラビティ・チェイン』。
この力を奪われるということは即ち種族全体の死を意味する。だからこそ、地球は一丸となって、侵略に抗うのだ。
「ああ、余の名を知るか。殊勝な心がけだな、ケルベロス。だが、余を前にして怯まぬことを誇るのならば!」
踏み込んでくる。
その黄金の杖の殴打を受ければ、致命的であることをハーウェンは知る。
そして彼が求めるもの。
『セラフィム』と言った。『ヴァルキリー』とも言った。
それが何であるかをハーウェンは知らない。けれど、それを『英雄神ペルセウス』が求めているというのならば、ためらう理由などない。
「決戦配備、スナイパー! オーダーッ!!」
「はいよってね!」
『エイル』博士の通信と共に『セラフィム』が長距離射撃を敢行する。
空を染める光条。
それと同時にハーウェンは己のアームドフォートより放たれる武装の射撃を『英雄神ペルセウス』へと注ぐ。
その爆発は『英雄神ペルセウス』を飲み込む。
だが、爆風は回転する。いや、公転する。
振るった黄金の杖によって爆風すら彼の周りを周り、届かないのだ。
「この程度で余を止められるとでも思ったか!」
「ああ、思ってはいない。だが、侮るなよ『英雄神ペルセウス』ッ! ケルベロスは!」
ハーウェンの瞳がユーベルコードに輝く。
長距離射撃も己のアームドフォートの砲撃も囮でしかなかった。
爆風を受ければ必ず『英雄神ペルセウス』は、それを防ごうとするだろう。だからこそ、敵の注意を射撃に惹きつけたのだ。
パージされたアームドフォートが地面に落ちる瞬間に、ハーウェンは『英雄神ペルセウス』へと肉薄していた。
振るわれう黄金の杖。
だが、遅い。
一手。僅かに一手、射撃に気を取られたが故に『英雄神ペルセウス』はハーウェンの硬化した竜爪の一撃を受けてしまう。
「おぉぉぉぉ落ちろ!」
振るう太い竜の尻尾が打ち据える。
「堕ちろ!」
吹き飛ぶ体。さらにハーウェンは息を吸い込む。肺を満たす空気。牙が打ち鳴らされた瞬間、吐き出されるは炎の息。
「墜ちろッ!!」
その炎は『英雄神ペルセウス』を飲み込んでいく。
ケルベロスは勇気を持って進む者。如何に強大な敵が存在するのだとしても、己たちが住まう地球を侵略するものを許さぬからこそ、それは勇者の連撃として『英雄神ペルセウス』を打ちのめすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
ステラさん、あのNo1ホストみたいなイケメン風、どうしたら……。
あれ? ステラさんなにしてるんですか!?
ステラさんの目が本気です!
ということはわたし捨てられ……?
あ、いえ、そんなことよりも!
エイル博士とお話ししているステラさんの後ろから、
ステラさんには見えないように、
『危険物』とか『なんでもできるけどダメな大人』とかカンペを出して、
エイル博士に危険を伝えましょう。
って、いきなり振り向かないでください!?
ルール違反ですよ!
……みられてないですよね。
あ、ちゃんと戦います? 了解です!
それではここは、イケメンにあわせて優美な演奏で送ってあげちゃいましょう!
【Canon】いっきまー痛ぁ!?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
あれっ?エイル様と普通に会話できる??
いえ、これまでにも熾天大聖様とかとはお話ししましたけれども
エイル様とお話しできるのは|エイル様《主人様》(BAのショタ限定)以来では?
つまりメイドの出番では?
エイル様、いえエイル博士
ここにご命令頂けるなら何でもこなせるスーパーメイドがいるのですが
雇いませんか!?
人としてダメな大人にする自信があります!
そろそろルクス様が待ちに飽きて演奏しそうなので戦線復帰を
ってまた不穏な言葉が
セラフィムのコア?ヴァルキリー?
まさかこの世界にも熾盛のような機体が?
とかシリアスしてる横で演奏始めない!
ええい、その広域破壊困惑音波魔法は危険と何度言えば!!
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は震えていた。
何に、と問われたのならば……なんだろう。なんで震えているんだろう。
「『エイル』様と普通に会話が出来る……!」
なんかそれだけのことで彼女はとても震えていた。
うちから溢れる喜びという感情に震えていた。
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はまーた、始まったと思っていた。
というか、ルクスはそれどころではなかった。
あのデウスエクス『英雄神ペルセウス』のちからは強大そのものであったからだ。
対峙するだけで身に重圧がのしかかる。
それほどの敵であるのだが、隣に居るステラがそれどころじゃない感じの雰囲気になっているので、そちらに引っ張られている。
「ステラさん、あの。あのNo1ホストみたいなイケメン風の人、どうしたらいいんでしょう。見た所、あの杖で叩かれると回転しちゃうみたいですし、浮かんでる眼球は呪いを……」
ねえ、戻ってきて、とばかりにルクスはステラの肩を揺する。
けれど、そんなルクスを前にステラの瞳はマジであった。
これまでに彼女が求めてきた『主人様』から受けた塩対応は、しかし、ステラが追い求めることをやめる理由にはならなかった。
塩対応っていうか、ただすれ違っていただけであるとも言えるのだが。
「つまりメイドの出番では?」
「なんて?」
通信の『エイル』博士が首をかしげる。ルクスも首を傾げている。
というか、今戦いの真っ最中である。
「『エイル』様、いえ『エイル』博士。ここにご命令頂けるならなんでもこなせるスーパーメイドがいるのですが、雇いませんか!?」
「ステラさんの目が本気です!」
ルクスはあまりにも唐突に始まった売り込み戦慄する。
というか、これ自分が捨てられるあれなのではないかと思った。しかし、今はそれどころじゃない。
ルクスは通信で見えているであろうステラの背後で『危険物』とか『何でも出来るけどダメな大人』という真っ当な評価のカンペを掲げている。
指差すそれを見た『エイル』博士は、ふんむーと少し考えているようだった。
「ええ、だいじょうぶです。人としてダメな大人にする自信があります!」
なんだその自信と思わないでもない。というか、それよりもですね。
「いやまあ、雇用するかしないかは、後で考えよう。デウスエクス『英雄神ペルセウス』を排除することが最優先ではないかね、なんでもできるスーパーメイド君。なら、あのデウスエクスも排除できるだろう?」
その言葉にステラの背筋に電流走る。
妄想ではない命令。
いや、命令を妄想するってどういうことなのかと思わないでもないのだが、しかしてステラは震える。
本物。
本物の『エイル』からの命令。それにステラは俄然やる気が出るのである。
「やりましょう、ルクス様!」
「あっ、いきなり振り返らないでください!? ルール違反ですよ!」
カンペを隠すわたわたした姿をルクスは見られたセーフである。それよりステラの瞳に映るのはご命令に寄って排除しなければならない『英雄神ペルセウス』だけであった。
「ほう、余を捨て置いて、よくそのようなことがほざけるな」
「ええ、主人様のご用命です。その傲岸不遜たる立ち振舞い、ここで打倒させて頂きましょう」
ステラは『英雄神ペルセウス』の背後に浮かぶ呪詛放つ巨大な眼球を見る。
あれはユーベルコード。
ふせられた瞳は、あの眼球を通して死角を得ているのだろう。視る、と呪詛を放つということを両立させる恐るべき力。
「『セラフィム』のコアたる『ヴァルキリー』を守るか。だが……無駄だよ、猟兵。君らは全てが徒労に終わることを知るべきだ」
「……不穏な言葉ですね。まさかこの世界にも『熾盛』のような機体が?」
「あのそろそろいいですよね! イケメン具合に合わせて、優美な演奏をしましょう! ていうわけで、いっきまーす!」
Canon(カノン)! とルクスの不協和音が戦場に響き渡る。
あまりにもあんまりな演奏。
演奏と呼ぶのならば、本職の方々すっ飛んできて怒りそうな具合の不協和音。気持ち悪い。とても、不快だというように『英雄神ペルセウス』は顔をしかめる。
冗談みたいなユーベルコードであるが、しかしその不協和音は本物である。その精神を引っ掻き回すような音は『英雄神ペルセウス』の体を傾がせる。
「な、なんだこの不快な音は……! これまで聞いたことのない音……! この不快さは!!」
「これが私のユーベルコードでっす! このまま綺麗なイケメン顔のまま送ってあげちゃいま――」
「ええい、その広域破壊困惑魔法は危険と何度言えば!!」
ごすん! とステラの手にした銃のグリップがルクスの天頂部を叩く。
「いったぁ!?」
「しきりなおしを!」
だが、惜しいかな。
ステラの活躍は割愛である――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
あれが指揮官…!単独で出てくるって事はまずボス格のはず……
(状況確認……ドヴェルグ配置状況……よし、白銀……問題なし、戦闘は続行できる、けど正直私はママと違うんだから真正面からやりあうのは無茶だよもう……!)
ジャマーの「決戦配備」を要請します!というかあってもきついのに無いと無理!
周囲に設置済みのドヴェルグを全機起動、弾幕を展開、こっちもUCでの機械妖精全機射出……爆薬搭載量は豊と貧で半々、豊の何機かを囮に、視認性の低い貧機体を奇襲に回し、奇襲が成功したら残り全機突っ込ませて……
白銀は常に動き回って凝視の影響を抑え……って被弾!?ちょ、今私この中で寝泊まりしてるんですけど!?
魔導車両『白銀』の中でノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者。・f40853)は黄金の杖を持つデウスエクス『英雄神ペルセウス』の姿を認める。
「あれが指揮官……!」
単騎で現れた、その重圧は魔導車両の中にいるノエルの肌すら焼くようであった。
ボス格、と呼ぶにふさわしい。
けれど、ユーベルコードの輝きが明滅している。
共に戦う猟兵やケルベロスたちの力が『英雄神ペルセウス』を追い詰めているのだ。あれだけ強大に思えても、しかし消耗させることができている。
デウスエクスは滅ぼせない。
消滅させることはできるが、再び舞い戻るようにして出現するのだ。
それは地球側にとっては悪夢のようであったことだろう。
倒しても、倒しても、襲撃してくるのだから。終わりのない防衛戦を強いられているのと同じだった。
けれど、ノエルの瞳に映るのは諦観ではなかった。
「状況確認……」
戦場の状況を冷静に判別する。
設置したセントリーガンは未だ健在。己が乗る魔導車両の状況も悪くはない。戦闘の続行に支障はない。
「でも……正直私はママとは違う」
己の母親ならばためらうことなく突貫しただろう。だが、ノエルと母親は違う。違うと理解している。
「真正面からやりあうのは無茶だよもう……! だから! 決戦配備、ジャマーの要請を!」
「はーいはい! おまかせってね!」
魔導車両に響く通信。
『エイル』博士はノエルの要請に即座に対応する。『セラフィム』と呼ばれる戦闘ロボットがすぐさま飛び立ち、妨害煙幕をばらまく。
「……この程度で余の眼から逃れられると思ったか!」
宙に浮かぶは『英雄神ペルセウス』のユーベルコード。
老婆の眼球は、すぐさま妨害煙幕を見通す。
だが、その眼に飛び込むのは、放たれる弾幕であった。
「『ドヴェルグ』は、弾幕を! そして、機械妖精型自爆ドローン展開(フェアリーダイナマイト)!」
後部兵器格納ハッチが展開し、一気に魔導ドローンが飛び立つ。
爆薬の量を変え、ノエルは『英雄神ペルセウス』へと攻勢を仕掛ける。確かにあの眼球の呪いは厄介だ。
なにせ、視るだけでいいのだ。
それだけで効果を発揮する力。
「……っ、被弾!? 動きが……!」
ノエルの駆る魔導車両の駆動部が老婆の眼球が放つ呪詛の視線を受けて砕ける。
「ちょっ、今私この中で寝泊まりしてるんですけど!?」
「知ったことではない。余は、斯様な奇策、術策などはな! 踏み越えると決めているのだ!」
『英雄神ペルセウス』の声が響く。
だが、ノエルの瞳は彼の姿を捉えている。爆薬の量を異なる配分にして放った魔導ドローン。
呪詛の視線を受けた魔導ドローンは盛大に爆発を引き起こし、『英雄神ペルセウス』の眼前を爆風と閃光で塗りつぶすだろう。
それこそが狙いだった。
爆薬の量を変え、視認性を極限まで落とした魔導ドローンが『英雄神ペルセウス』の背後に迫る。
「目眩ましばっかりだと思っていたでしょう! でも! 残存機は全部突っ込んで!」
ノエルの言葉に視認性を極限まで落とした魔導ドローンが『英雄神ペルセウス』の背後を完璧に捉え、突撃の爆発を巻き起こし、その体を傾がせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
爆発が巻き起こり、デウスエクス『英雄神ペルセウス』の体が傾ぐ。
手にした黄金の杖がきらめき、公転の力を持って爆発を逸してなお、彼の体には癒えぬ傷跡が刻まれている。
それほどまでに猟兵とケルベロスたちの攻勢は苛烈そのものであった。
「徒労と知りながら、しかして諦めぬか」
「まあ、そういうこった。諦めて戦うしかねぇってこったな。だがよぉ、英雄神のダンナ」
「馴れ馴れしいな、余をそう呼ぶか」
宇宙船から、ヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は『英雄神ペルセウス』へと呼びかける。
気さくな言葉だった。
大凡、敵対する者にかける言葉ではなかっただろう。
だが、それでもヴァルターンはフォッフォッフォッと笑う。
「同じ外星人のよしみでウチの艦で茶でも一服してから退散する気はねえか?」
「ふっ、それも一興。しかし、余にとって茶は問題ではあるまいよ。故に……」
「……大仰に言ってやがるが。ねぇってことでいいんだよな。じゃあ仕方ねぇ!」
ヴァルターンは宇宙船の甲板から飛び出す。
大空に飛ぶは彼の体。何を、と誰もが思っただろう。そして、彼は『エイル』博士へと通信をつなぐ。
「オイッ! 都市部に隔壁をもう一度立ち上げなッ! 巻き込まれても知らねえぜッ!」
「一体何を……」
「いーからやりなって! 俺様は今、地球側の味方なんでな!」
困惑しながらも決戦都市に隔壁が立ち並ぶ。
それはまるでリングのように展開するものであり、ヴァルターンはその中心に飛び降りていた。
彼の瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、ヴァルターンの体が巨大化していく。
光り輝くはユーベルコード。
超巨大化したヴァルターンの姿が、決戦都市の隔壁に覆われた中心に地響きを立てながら降り立つ。
「フォッフォッフォッフォッフォッ!!」
「超巨大化変身(チョウキョダイカヘンシン)……だと!? だが!」
『英雄神ペルセウス』の振るう黄金の杖がヴァルターンの巨大な体躯へと打ち付けられる。
「へんっ、そんな爪楊枝みたいな杖の攻撃など痛くも……」
だが、次の瞬間ヴァルターンの体が高速回転する。凄まじい回転。公転の力を付与した黄金の杖の一撃は叩き込まれた存在を回転させる。
凄まじい回転にヴァルターンの巨体が宙で周り、彼の三半規管をボロボロにするのだ。
地面に叩きつけられる超巨体。
だが、ヴァルターンはぐらぐらする頭を振るって立ち上がる。
「チィッ。この頑強なボディじゃなきゃヤバかったぜッ! その爪楊枝……じゃねえ! 杖は厄介だ。ならよぉ!!」
ヴァルターンの巨体が空へと飛び上がる。
両手のハサミ状の腕部から放たれるは破壊光線。
それは巨大化することによって膨大なエネルギーを解き放ち、雨あられのように『英雄神ペルセウス』へと放たれる。
「余の黄金の杖の力を見誤るか!」
振るった杖が光線を公転によって回転させる。そらされた破壊光線が隔壁に囲われた都市を破壊していく。
だが、それ以上に破壊の力を蓄えた一撃がヴァルターンの巨体から叩き込まれる。
「こっちが本命だぜッ!」
「――ッ!? 消えた!?」
そう、彼のユーベルコードは超巨大化した姿になるだけではない。透明化すら成し得るユーベルコード。
あの巨体で透明化されては、何処から攻撃が来るのかなど考える暇すらない。
「怪力ハサミハンマーを食らってぶっ潰れなッ!!」
遥か上空から打ち下ろされるヴァルターンの腕部の一撃。
それが『英雄神ペルセウス』へと叩き込まれ、決戦都市に凄まじい衝撃波を迸らせながら、破壊の渦を巻き起こすのであった――。
ヴァルターン・ギャンビット
【決戦配備 ディフェンダー】
よう、そこの英雄神のダンナ。
同じ外星人のよしみでウチの艦で茶でも一服してから退散する気はねえか?
…ねえか、じゃあ仕方ねぇ。
俺様は今、地球側の味方なんでな。ぶっ潰させてもらうぜッ!
オイッ!都市部に隔壁をもう一度立ち上げなッ!巻き込まれても知らねえぜッ!
(スペースダイナソー号の甲板から飛び降りつつ、【超巨大化変身】をする)
フォッフォッフォッ、そんな爪楊枝みたいな杖の攻撃なぞ痛くも…ぎゃあああ回るうううッ!?
頑強なボディじゃなきゃヤバかったぜ。
なら空に飛び上がって破壊光線の雨あられよッ!
更に透明化して接近、怪力ハサミハンマーを食らってぶっ潰れなッ!
【アドリブ歓迎】
爆発が巻き起こり、デウスエクス『英雄神ペルセウス』の体が傾ぐ。
手にした黄金の杖がきらめき、公転の力を持って爆発を逸してなお、彼の体には癒えぬ傷跡が刻まれている。
それほどまでに猟兵とケルベロスたちの攻勢は苛烈そのものであった。
「徒労と知りながら、しかして諦めぬか」
「まあ、そういうこった。諦めて戦うしかねぇってこったな。だがよぉ、英雄神のダンナ」
「馴れ馴れしいな、余をそう呼ぶか」
宇宙船から、ヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は『英雄神ペルセウス』へと呼びかける。
気さくな言葉だった。
大凡、敵対する者にかける言葉ではなかっただろう。
だが、それでもヴァルターンはフォッフォッフォッと笑う。
「同じ外星人のよしみでウチの艦で茶でも一服してから退散する気はねえか?」
「ふっ、それも一興。しかし、余にとって茶は問題ではあるまいよ。故に……」
「……大仰に言ってやがるが。ねぇってことでいいんだよな。じゃあ仕方ねぇ!」
ヴァルターンは宇宙船の甲板から飛び出す。
大空に飛ぶは彼の体。何を、と誰もが思っただろう。そして、彼は『エイル』博士へと通信をつなぐ。
「オイッ! 都市部に隔壁をもう一度立ち上げなッ! 巻き込まれても知らねえぜッ!」
「一体何を……」
「いーからやりなって! 俺様は今、地球側の味方なんでな!」
困惑しながらも決戦都市に隔壁が立ち並ぶ。
それはまるでリングのように展開するものであり、ヴァルターンはその中心に飛び降りていた。
彼の瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、ヴァルターンの体が巨大化していく。
光り輝くはユーベルコード。
超巨大化したヴァルターンの姿が、決戦都市の隔壁に覆われた中心に地響きを立てながら降り立つ。
「フォッフォッフォッフォッフォッ!!」
「超巨大化変身(チョウキョダイカヘンシン)……だと!? だが!」
『英雄神ペルセウス』の振るう黄金の杖がヴァルターンの巨大な体躯へと打ち付けられる。
「へんっ、そんな爪楊枝みたいな杖の攻撃など痛くも……」
だが、次の瞬間ヴァルターンの体が高速回転する。凄まじい回転。公転の力を付与した黄金の杖の一撃は叩き込まれた存在を回転させる。
凄まじい回転にヴァルターンの巨体が宙で周り、彼の三半規管をボロボロにするのだ。
地面に叩きつけられる超巨体。
だが、ヴァルターンはぐらぐらする頭を振るって立ち上がる。
「チィッ。この頑強なボディじゃなきゃヤバかったぜッ! その爪楊枝……じゃねえ! 杖は厄介だ。ならよぉ!!」
ヴァルターンの巨体が空へと飛び上がる。
両手のハサミ状の腕部から放たれるは破壊光線。
それは巨大化することによって膨大なエネルギーを解き放ち、雨あられのように『英雄神ペルセウス』へと放たれる。
「余の黄金の杖の力を見誤るか!」
振るった杖が光線を公転によって回転させる。そらされた破壊光線が隔壁に囲われた都市を破壊していく。
だが、それ以上に破壊の力を蓄えた一撃がヴァルターンの巨体から叩き込まれる。
「こっちが本命だぜッ!」
「――ッ!? 消えた!?」
そう、彼のユーベルコードは超巨大化した姿になるだけではない。透明化すら成し得るユーベルコード。
あの巨体で透明化されては、何処から攻撃が来るのかなど考える暇すらない。
「怪力ハサミハンマーを食らってぶっ潰れなッ!!」
遥か上空から打ち下ろされるヴァルターンの腕部の一撃。
それが『英雄神ペルセウス』へと叩き込まれ、決戦都市に凄まじい衝撃波を迸らせながら、破壊の渦を巻き起こすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
遠隔攻撃反射に強化解除とか苦手な手を使いますね。
そうなると【真・黄金玉砕蹴】でアレをグシャッと…は私が色々と(社会的立場とか)失いそうなので自重しましょう💦
エイル博士にキャスターによる捕縛魔法陣展開で援護をお願いします。
少しでも動きが遅くなれば、それだけ攻撃の機を捉えやすくなります!
相手の攻撃は第六感・心眼で予測し、見切り・功夫・ダンスによる円を描くような足さばきで、杖に触れないように躱しますよ。
危ない時は念動力・捕縛で相手の動きを一瞬止めたり、衝撃波で吹き飛ばします。
機を掴んで化勁(功夫)で相手の手を取り、バランスを崩した所に《改心の一撃》を放ちます。
この都市の方々に代わってお仕置きです!
デウスエクス『英雄神ペルセウス』。
その強大なる力は言うまでもなく、しかし、最も脅威と言えるのは三種のユーベルコードを宿した黄金の杖と老婆の眼球、鏡の盾であった。
遠隔攻撃を寄せ付けぬ盾に強化を解除するという力。
それは大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)の力を尽く無力化するものであったし、事実詩乃にとっては大変に苦手な存在であった。
「となると……アレをグシャっとするしかもうないじゃあないですか」
「今なんだか物騒なことを君、考えてはいやしないかい」
通信の『エイル』博士の言葉に詩乃は微笑む。
その微笑みはなんだかいろんなものをごまかす笑みであったこだろう。それ以上の追求を切り捨てるような、と表現できたかもしれない。
そう、アレをグシャっとすると詩乃の社会的な立場とか神性としての色々が地に墜ちる。自重しなければ、と詩乃自身が己を戒めることができたのは神性ならではであろう。
「いえ、こちらの話です。ですが、博士、決戦配備を引き続きお願いできますか。術式を強化するような……」
「まあ深くは聞くまいよ。キャスターだね。任せておきたまえ。君の座標を計測。では、オンステージ!」
瞬間、詩乃の立つ地面が魔法陣を描く。
展開された強化術式。それによって詩乃の体に力が湧き上がってくる。
これがこの世界、ケルベロスディバイドの科学と魔術を戦うために集約し発展した力。決戦配備による強化を受けて詩乃は『英雄神ペルセウス』へと迫る。
猟兵やケルベロスのユーベルコードを受けて彼は消耗している。
この機を逃してはならないと彼女は無手にて飛び込む。
「無手だと……余を見縊るか!」
「いえ、そうではありません。貴方の振るう杖、それを警戒すればこそ。徒に長物を使えば、それだけで貴方の公転の力は私に伝播するでしょう。故に!」
円を描くような動き。
それはともすれば演舞のような足運びであったことだろう。
詩乃は見極めている。
敵の動き。
全ての力の起点が黄金の杖を介在するというのならば、その手元にこそ注視すべきだったのだ。そして、触れてなはならないという条件。
それを持って詩乃は無手で『英雄神ペルセウス』へと踏み込む。
「如何に生存エネルギーのためにとは言え、毎度この様にお騒がせするとは!」
詩乃は怒っていた。
それはもうとても怒っていた。同じ神性であるから、というのもあるだろうが、詩乃は『英雄神ペルセウス』が神を名乗りながらこのような暴挙に出たことに怒りを覚えている。
「真人間になりなさい!」
神性に対して、そのような物言いが通用するのかはわからない。
けれど、その言葉は同じ神性だからこそ通じるものがあったのだろう。
「何を……!」
「ご迷惑をお掛けしたこの都市の方々に代わって!」
詩乃の瞳がユーベルコードに煌めく。
振るい上げるは平手。
そして、念動力が『英雄神ペルセウス』の体を掴み上げる。
「動けない、だと……余が! 縛られている!?」
「お仕置きです!」
振るわれるは、改心の一撃(トテモイタイアイノムチ)。それはもう盛大な平手打ちの音が響き渡る。
平手打ちというにはあまりにも盛大な響き。
めちゃくちゃに痛そうな音に決戦都市の人々は思わず肩をすくめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
ポジション:おくすま!ボクはクラッシャー!
これ何の呪文?
●虚偽
ふ、終わってみればなんことはなかった…!
鎧袖一触とはこのことだね!
とタロス兵の残骸の上に立ちボクの仕事ぶりアピールしておこう!
●くるくる回るロボット
え~じゃあ博士ロボットのみんなを〇×体くらい突っ込ませて!
そしてその間にボクがガッ!って行ってドーーンッ!ってやるから!
大丈夫大丈夫それだけあれば(多分)足りるってボクの【第六感】が算出した数を伝えよう
何を言ってるんだい!これはボクだけの力じゃない!
そうこの世界みんなの……納めた税金の力だよ!!一機いくらかな~?
という訳で隙有りいっけーっ!ドッカーーーンッ!!
「おくすま! ボクはクラッシャー!」
それは呪文めいた言葉であった。文言と言えばいいのだろうか。
しかし、通信による決戦要請である。
それを受け取ったこの湾岸都市、決戦都市にて決戦配備を一手に担う『エイル』博士は理解したようである。
「了解ってね!」
「これ何の呪文?」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は自分で言っておきながらよく理解していないようであった。
しかも、彼は鎧袖一触とばかりにデウスエクス『タロス兵』の残骸の上にたち、ひと仕事追えたような雰囲気を醸し出していた。
少なくとも遅れてきた、という雰囲気を一蹴するには十分な雰囲気であったことだろう。
誰もツッコまないところを見るに、ツッコむ余裕すらないことが見受けられる。
「うーん、余裕ない世界! でも終わってみれば、なんてことなかったってことだよね! というか、博士は、ロボット支援よろしくね!」
「わかっていたつもりだったが、改めてそう言われるとなんだか私の理解力を試されているような気がするのだが!」
「気の所為だって。とにかくあのロボット、みんなたくさん突っ込ませて!」
「囮にするって言えば良くないかな!?」
「そんでもってその間にボクがガッ! って行って、ド――ンッ! ってやるから!」
擬音の多い要求である。
しかし、『エイル』博士もそれなりの頭脳を持った才媛である。
擬音だらけの決戦配備要求にも応えるのが彼女の仕事なのである。そんな仕事だったっけと冷静になってはならない。
「こういう時はノリと勢いで突っ走るのが正解ってことさ!」
「そゆこと!」
その言葉と共に飛び立つ『セラフィム』たち。
戦闘ロボットである『セラフィム』たちは次々に『英雄神ペルセウス』へと飛び込んでいくが、その尽くが黄金の杖によって回転し、ねじ切られるようにして破壊されていく。
「このような模造品などはな! 余の求めるものではない。よもや、この程度で余を打倒できると思うまいな!」
『英雄神ペルセウス』は猟兵とケルベロスによって消耗させられている。
だからこそ、『セラフィム』による物量によって押し止める事ができている。
「勢いがすごいな、本当にこれで保つのか!」
「大丈夫大丈夫! それだけあれば足りるってボクが算出した頭脳を信じて! 多分大丈夫だって!」
ロニはユーベルコードに瞳輝かせながら戦場を突っ切っていく。
あまりにも直線的であった。
迫るロニに『英雄神ペルセウス』は冷静に黄金の杖を振るう。その一撃がロニの体を打ち据え、体が回転する。
「遅いな。ならば、このまま回転の彼方へと墜ちるがいい」
「何を言ってるんだい! これはね!」
ロニの体は回転している。
けれど、彼は笑う。この回転こそ己が求めた力であると。
「これはボクだけの力じゃない! そうこの世界のみんなの……納めた税金の力だよ!! あれって一騎いくらかな~?」
「平均的なケルベロスの月収くらいだ」
「現実的ぃ!」
「何を言っている……!?」
「こういうことさ! 公転は黄金の回転! なら、この回転はボクの拳を――!」
回転に寄って得られた拳の一撃。
それはユーベルコードの輝きを解き放ち、神撃(ゴッドブロー)を『英雄神ペルセウス』に叩き込む。
「ド――ンッ!」
強烈なる衝撃が戦場に迸り、瓦解した都市部をさらに更地にしながらロニは拳の一撃に公転の回転を加えて叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
んー…確かに手ごわそうな相手です。けど、
屍人帝国のトップ連中とかみたいに“強くて厄介で面倒な相手”って程じゃないです
決戦配備:ジャマー、頼むです
このジャマーの隙にエル・セプスとレミエールⅢを【Dダイバー】で空間の歪みに隠して凝視から逃れ分散、レミエールⅢが空から本人へ機銃と爆撃を仕掛けて、こっちも外装形態のエル・セプスでケルベロスファングをその目玉に撃ち込み食い込ませ、そのままぶん回して壁とかに何度も叩きつけてやるです。その飛翔速度で逃げられると思うな、です
目玉を排除したら立ち直る前に出力ブーストで急加速して接近、思いっきり『フレイムガントレット』で殴って、『ミスリルセイバー』で追撃、です!
猟兵とケルベロスたちのユーベルコードの輝きがデウスエクス『英雄神ペルセウス』の体を打ち据える。
その凄まじき衝撃が迸る戦場にありて、デウスエクスが如何に強大な敵であるかを知るには十分な光景であったことだろう。
だが、ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は頭を振る。
確かに手強い敵ではあると思う。
黄金の杖は触れたものを回転させる。
浮かぶ老婆の眼球は呪詛を飛ばし、視界に納めた者全てを呪う。
鏡の盾はあらゆる攻撃を跳ね返す。
「でも、屍人帝国のトップ連中とかみたいに“強くて厄介で面倒な相手”ってほどじゃないです」
「余を見縊るか」
その言葉に『英雄神ペルセウス』は瓦礫の中から立ち上がる。
これまで猟兵とケルベロスの攻勢は彼を打ちのめしてきた。
だが、まだ立ち上がることができるという点での脅威は言うまでもない。それに今回の戦いで消滅させたとしても、滅ぼせたわけではないという点においては、厄介な敵であることに変わりはない。
「私は、それ以上の相手と渡り合ってきた、です。だから……決戦配備、ジャマー、頼むです!」
「任されたよ! さあ、思う存分戦ってくれたまえ!」
『エイル』博士』の声が響き渡ると同時に戦場に残された戦闘ロボット『セラフィム』から煙幕が迸る。
敵の知覚をジャミングする粒子がばらまかれ、『英雄神ペルセウス』の視界を覆っていく。
「同じ手が何度も通じると思うたか!」
宙に浮かぶ老婆の眼球が煌めく。それは呪詛の視線を持つものであり、同時に『英雄神ペルセウス』の視界にもなり得るものであった。
だが、これまで数度に渡ってジャミングは行われていたが、老婆の眼球はそれを透過してきた。
稼げても数瞬。
「それでいい、です! 十分、です!」
ヴィクトリアの瞳がユーベルコードに煌めく。
彼女は己の飛空艇と追加補助装備を魔力により生み出した空間の歪みへと飛び込ませる。
敵の知覚が尋常ならざるものであったとしても、空間の歪みそのものへと飛び込んだヴィクトリアを『英雄神ペルセウス』は捉えることはできなかっただろう。
「……ッ!? 余の視界から消えた……完全に消えた、だと!? 存在そのものが!?」
彼は動揺するだろう。
それまで如何に決戦配備によって視界を阻害されたとしても敵の姿を見失うことなどなかったのだ。それは彼の持つ老婆の眼球に対する絶対たる自信。
だが、今ヴィクトリアはその自信を真っ向から打ち砕く。
そう、これこそがDダイバー(ディストーションダイバー)。
彼女のユーベルコードは視聴嗅覚での感知を不可能とする。そして――!
「その自信が命取り、です!」
上空より放たれる爆撃に『英雄神ペルセウス』と老婆の眼球が晒される。爆撃の一撃に砕ける眼球。
そして、『英雄神ペルセウス』もまた爆撃の最中に巻き込まれていく。
「この、ッ!!」
振るう黄金の杖が爆風を吹き飛ばす。それでは一手遅い。振り払った爆風の向こう側から『エル・セプス』を鎧装形態へと変形させ纏ったヴィクトリアがフックショットの一撃を叩き込む。
老婆の眼球が砕けながらも『英雄神ペルセウス』を守り、その一撃を受け止める。
「それで防いだつもりなら!」
甘いにも程がある。
ヴィクトリアはフックショットで掴んだ眼球の欠片を振り回し、『英雄神ペルセウス』へと叩きつける。
砕ける破片。
完全に破壊された視界。
それで条件は揃ったのだ。
「出力ブースト! 行く、です!」
ヴィクトリアは急加速で持って『英雄神ペルセウス』へと踏み込む。腕に纏うは『エル・セプス』の鎧装格闘腕部。
エレメンタルガントレットの一撃が『英雄神ペルセウス』の体を打ち上げ、その体をしたたかに打ち据える。
「これで! 終わり、です! 受けるがいい、です! このミスリルセイバーの一撃を!」
4つに分裂したミスリルセイバーが飛翔し、空中に打ち上げられた『英雄神ペルセウス』の体を一気に貫く。
「……余を、撃滅する、か……だが、余は……!」
滅ぼせないと、言う。
だが、ヴィクトリアは構わなかった。
「だからなんだというの、です。今、此処にあなたは滅びる。例え、不滅として舞い戻るのだとしても、敗北したことは変わらず。人類が勝利したことは不変、です」
その言葉と共に『英雄神ペルセウス』は爆散し、猟兵とケルベロスたちは勝利を得るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『徹底追究!決戦都市!』
|
POW : 攻撃や防御を担う技術をテストしたり、隊員たちとトレーニングしたりする
SPD : 防衛機能の構造について研究したり、改良できるよう技術提供をしたりする
WIZ : 医療や設営など裏方の働きに関する知識を深めたり、より効率化を目指したりする
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵とケルベロス達の活躍によってデウスエクスの襲来は勝利で終わる。
だが、決戦都市のダメージは甚大なものだった。
「うーむ、またこれはしこたまやられてしまったね」
『エイル』博士は、また認証システムを呼び出し、ポチッとな、とスイッチを押す。
すると決戦都市のあちこちで自動修復システムが起動し、隔壁を納めたり、破壊された建造物を修繕し始めるのだ。
戦闘ロボット『セラフィム』もそれに加わり、徐々に決戦都市はデウスエクスの襲来前の形を取り戻しつつあった。
「まだまだ完全修復には遠いが、しかし……」
彼女は亜麻色の髪を揺らして、此度の戦いに現れた猟兵たちをモニターで見やる。
彼等もまたユーベルコードを使っていた。
そして、デウスエクスと戦ってくれた。
となれば、こちらの戦力として数えて良いのか。ああ、いやそれよりも戦闘ロボットのデータを検証しなければならないかと多くの思考を平行に処理し始める。
「博士! 折角ですから、戦ってくれたケルベロスや、あの人達を迎えましょうよ!」
サポートAI『第9号』の声に『エイル』博士は思考を止めずに頷く。
「じゃあ、『第9号』君、よろ」
「え――!?」
馬県・義透
引き続き『侵す者』にて
さて、撃退はできたか…なんぞ陰海月がそわそわしておるが。
ロボット、を間近で見て興奮しとるのか?
む、ここでUCを使っての治療…とな?
ほうほう、わかった!ならば、わしは包帯とか巻いていればよいかな。
陰海月の邪魔をしないように気をつけねばな!
※
陰海月「ぷきゅ」
ロボットはかっこよかったけど!
あつあつおじーちゃんを無闇に歩き回させるわけにはいかない!(壊すから)
なら、ぼくはここで光って踊って治療に協力するんだ!
大丈夫だよー、ぼくが力添えするからねー。
猟兵とケルベロスたちによってデウスエクス『英雄神ペルセウス』の撃退は相成った。
しかし、決戦都市での戦いの爪痕は甚大なものであった。
例え、建物が修復できるのだとしても、戦いの余波に巻き込まれた人々はそう簡単には行かない。
「ふむ。撃退はできたか……これでデウスエクスは滅ぼしきらぬというのは、厄介なことであるが……」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、己の隣で巨大クラゲ『陰海月』がどうしてソワソワしているような雰囲気を醸し出しているのに首を傾げる。
『侵す者』としての気質が表層に現れているからか、どうにも落ち着かない様子。
「どうしたことだ『陰海月』。そんなに……」
「ぷきゅ!」
その鳴き声に『侵す者』は頷く。
「ああ、なるほど。怪我をしたものたちの治療とな。ふむ。それは善いことだ。わしはてっきりまたあのロボット、というものを見て興奮しているのかと思ったのだが……」
その言葉が終わるのを前にして『陰海月』が1680万色に優しく光る。
光は空間を生み出し、穏やかな海中を思わせる。
「これは空間内にいるものを治療し、それに関わる事象を強化する力なのですね。ご助力感謝いたします」
「む、またぞろ声が……」
『侵す者』は自分たちの元にまた通信が入ったことを理解する。
あの『エイル』と名乗った博士ではない声。
落ち着いた中性的な声だった。
「失礼いたしました。猟兵の方。私はサポートAI『第9号』。この決戦都市の管理をサポートしております。どうかお見知り置きを。それとご助力、改めて感謝いたします」
「おお、これは……」
目の前に浮かぶホログラムに『侵す者』が指で触れようとするのを『陰海月』の触腕が抑える。
「ぷ!」
「何を……」
「ぷきゅ!」
おじーちゃんはあっち! というように『陰海月』が触腕を示す。
「わかった、わかった! わしはわしにできることをしよう。邪魔はせんよ」
ユーベルコードの範囲外にある人々を連れてきて欲しいのだろう。それに『侵す者』は頷く。
「何故、あの方を遠ざけようと」
「ぷきゅ! ぷきゅ! きゅ!」
「翻訳ソフトを噛ませますね……ええと、あの方をむやみに歩き回らせるわけにはいかない、と。何故なら、触れただけで機械を壊すから……と。そんなことあります?」
ある! と『陰海月』が自信たっぷりに言うものだから、サポートAI『第9号』は釈然としない。だが、壊されてからでは責任は持てないし、また壊されてしまってからでは遅いのだと『陰海月』が熱弁するものだからそ、それに押される形になってしまう。
「ぷきゅ!」
「それに自分が助けるから大丈夫、と。はい。それは助かります」
『陰海月』はその言葉を受けて更にユーベルコードの輝きを増していく。
サポートAI『第9号』は新たに現れたユーベルコードを手繰る存在、ケルベロスではないが、しかし猟兵と呼ばれる者たちをデータベースに管理していく。
未知の存在であったが、しかし、それは彼等を遠ざける理由にはならない。
彼等が自分たちを助けてくれたことは事実。
今もこうして人々に治療を施している。信頼していいのだろうと『第9号』は理解する。
「では、引き続きよろしくお願いいたします。後ほど、口座番号をお伝えください。今回の戦いにおける戦績、それに対する賞与を振り込ませていただきますので」
その言葉を『陰海月』は聞き、おじーちゃんに後で伝えときます、と折り目正しく会釈するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
イリスフィーナ・シェフィールド
おお、全自動で修復が始まるとか凄いですわね。
復旧とか人手がいるならお手伝いしようかと思いましたが不要でしょうか。
その手の技術が発展しているという事は
それだけ戦っているということなのでしょうか。
(9号に挨拶されたら)
これはご丁寧にイリスフィーナですわ、よろしくお願いいたします。
わたくしの故郷にも統括コンピューターがいるので馴染み深いですわ。
……私たちが何者かとか説明要りますでしょうか?
できる範囲の説明とかお手伝いできることあれば手伝いますけど。
(顔見せだしこんな所。訓練手伝いなりスキル見せてっていうならそれでも
基本のゴルディオン・オーラにしようか思ったけど使ったファイナル・メガ・フュージョンで)
「おお、これは……すごいですわね」
目の前で始まった決戦都市の修復作業。
それを全自動で行う機能にイリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は感嘆の声を上げると共に素直に感心する。
復旧に人手が必要ならば、と彼女は助力を考えていたのだが、これでは必要ないのではないかと思ったのだ。
だが、その考えは即座に入った通信に否定される。
女性の声。
戦いの間、決戦配備を手配してくれていた女性の声だと知れる。
「いいや、手伝ってくれるのならば大歓迎さ。いやまあ、デウスエクスとの戦いの上にさらに手伝ってくれというのは大変な労力を強いるというのは承知の上なのだけれどもね!」
「いえ、お手伝いが必要というのであれば、喜んでお手伝いさせていただきますわ」
イリスフィーナは、その言葉に微笑む。
見上げる決戦都市の有様は、凄まじいものであった。
次々と資材が運び込まれてくる。それをロボットアームが次々と建物を補強したり、破壊された瓦礫をどけたりと大忙しなのである。
「まあ、後の作業のことはサポートAIの『第9号』君に聞いてくれたまえ。ご助力感謝するよ!」
「あ、はい。なんだか忙しない方でしたわね……」
「では、引き継ぎは私が行わせて頂きます。はじめまして、サポートAIの『第9号』と申します。以後お見知りおきを」
ホログラムがイリスフィーナの目の前に立ち上がる。
グラフィックは簡素なものであったが、声色から中性的な存在であると知れる。そして、声に感情が乗っている。
恐らく硬度なエモーショナルエンジンが搭載されているのだろう。
「これはご丁寧に。イリスフィーナですわ。よろしくお願いいたします」
イリスフィーナは驚くことはなかった。
彼女の故郷にも統括コンピューターが存在しているので馴染みがない、というわけでないのだ。
「……わたくしたちが何者かご説明する必要はありまして?」
「いえ、ユーベルコードを操り、デウスエクスと戦ってくれた、というだけで十分です。それで私達は貴方達を信じるに値すると実感しておりますから」
その言葉にイリスフィーナは頷く。
「では、わたくしたちに何が出来るのか、実際にお見せしたほうが早いですね」
「それは助かります。決戦都市の修繕は、オートメイションされておりますが、やはり絶対的なマンパワー不足でありますので」
「ええ、では、単純に参りましょう!」
イリスフィーナの瞳がユーベルコードに輝くと同時に専用マシンが飛び出す。
融合合体(ファイナル・メガ・フュージョン)によって巨大化したロボとなったイリスフィーナは資材を軽々と持ち上げる。
「これがわたくしの力ですわ。これで資材を運び込みましょう」
「それは先程の戦いでも見せていただいたユーベルコードですね。頼もしいことです。ありがとうございます。そちらの資材はあちらの方へ」
「ええ、やらせて頂きますわ」
イリスフィーナは資材を運び込み、多くの建築物を見た。
この地球の文明は侵略に対抗するためにとはいえ、戦うことに特化している。多くの迎撃兵器や隔壁を展開するための機構などが配されている。
これで決戦配備をすぐさまにケルベロス達に届けていたのだろう。
「またデウスエクスの襲来があるのならば、その時はまたわたくしたちをお呼びくださいましね。必ずや駆けつけ、お助けいたしますわ」
そう告げ、イリスフィーナは物資の搬出を多く手伝う。
だが、後日自身の口座を見て目を丸くすることになる。今回の戦いと物資搬入の手伝いによる賞与が振り込まれているのだが……。
「が、額がすごいことになっておりますわ……――!?」
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
【POW】……【POW】?
(ふんす)
何度でも来るのなら、何度でも撃退してお金にしてやるだけ、です
んー、さっきのはヒト型だし、どのみち爆散しちゃったから仕方ないとして
それじゃ、あまり上手じゃないけど早速……
(エル・セプスの拳とミスリルセイバー、ケルベロスファングでタロス兵を解体しようとする。なお下手)
……?何って、倒したら解体して色々と素材を採るです
それを色々な事に利用したり、何より売ってお金にするです?
……
……え、もしかして、違う、です?
デウスエクスを倒してお金をもらうっていうからてっきりそうだと
んー…………じゃあどうすればいいのか教えてほしい、です
そろそろおなかすいてきた、です……
デウスエクス『英雄神ペルセウス』を撃退し、最後の一撃を叩き込んだヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は、消滅して欠片と消えた先へと、息を吐き出す。
「何度でも来るのなら、何度でも撃退してお金にしてやるだけ、です」
ふんす、と彼女は意気揚々としていた。
外装形態へと変形させた飛空艇『エル・セプス』の格闘腕部と随行するミスリルセイバーと共に撃破したデウスエクス『タロス兵』の残骸へと降り立つ。
これだけ巨大なのだ。
鋼鉄の残骸は善い資材になるだろうと彼女は、その装甲を引きはがすようにして切り裂き、格闘腕部でもって強引に折り曲げる。
「えっ、えっ、何してるんだい、君は!?」
そこに通信が入る。
先程までの戦いで決戦配備の手配をしてくれていた女性……『エイル』博士が慌ててヴィクトリアを止めに入る。
「んー? いえ、さっきのはヒト型でしたし、爆散しちゃったので仕方なく。残っているこっちを解体しようとしていた、です」
「か、解体!? え、まさか、それを……?」
「ええ、だって倒したら解体して色々と素材を採る、です。そういうものではない、です? だって、これだけ潤沢に素材がある、です。利用できるものは利用したらいい、です。何より」
とヴィクトリアはまた胸を張る。
「お金になる、です!」
それは大空の世界ブルーアルカディア準拠の考え方であっただろう。
何も間違っては居ないが、しかし『エイル』博士にとっては青天の霹靂であったようだった。
「な、なるほど……確かに。その通りだな。敵が強大であるのならば、その躯体を解析するのは当然ながら、それを我が血肉に還るか。巡る技術は、科学の血潮! そうだな! そうだね、わかるよ!」
そんな彼女の言葉にヴィクトリアは、あ、と思う。
もしかして、この世界ではそういうことをしないのではないかと一抹の不安が湧き上がってくる。
だが、『エイル』博士はもう聞いていないようだった。
どうしよう、と思っているとそこにホログラムが浮かび上がる。
「デウスエクス討伐のご助力感謝いたします、猟兵の方。私はサポートAI『第9号』と申します。何かお困りですか?」
中性的な言葉。
サポートAIと名乗るホログラムにヴィクトリアは深く頷く。
「どうやら私は間違えたみたい、です。どうやら、この世界では倒した敵を解体する、ないですね?」
「一般的には。ですが、都市を修復するためには敵の残骸の排除は当然かと」
「でも、お金ってどうやってもらう、です? デウスエクスを倒してお金をもらうのがケルベロス、だと」
聞き及んでいる、とヴィクトリアは言う。
その言葉に肯定するように『第9号』が返事をする。
「はい。では、貴方様の口座番号と情報をご登録頂けますか」
「こ、こうざ? なんです、っそれは?」
「口座の登録をご所望ですか?」
「え、あ、う……それは、どうすればいい、です?」
ヴィクトリアは初めて聞く言葉に困惑する。お金が必要なのは急務であったが、あまりに聞き慣れない言葉である。
故にどうしていいかわからない。
「では、手続きを開始させていただきます。お名前の入力を……」
そこからは長々とした説明が続く。
ヴィクトリアはそれに目を回しながら、ぐぅとなるお腹の音に天を仰ぐいで呟くのだ。
「……おなか、すいてきた、です」
「進捗50%です。完了まで必要事項をご入力ください」
その言葉にヴィクトリアの腹の虫が代わりに返事をするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
【SPD】
……ふぅ……何とか勝てた……
って呆けてる場合じゃない、まずは現地の責任者への支援へのお礼、DIVIDEへのデウスエクス撃退報告、それにドヴェルグの回収と破損数の確認に……あぁー!そうだ、白銀の破損個所を早く見ないと……!(白銀から飛び出す)治せるといいなぁ……
(数刻後)
とりあえず白銀の修理の目処はついたし、後は……やっぱり防衛配置や支援機構の研究よね、ドヴェルグの配置の参考にもなるし
……それにしても「セラフィム」だっけ?
「ヴァルキリー」って、|私達《ヴァルキュリア》とは違うよね?
それよりも、どうしてDIVIDEのロボットの如何にも重要そうな情報をデウスエクスが知っているんだろう……
デウスエクス『英雄神ペルセウス』は掛け値なしの強敵であった。
猟兵とケルベロスによる猛攻によってなんとか勝利を収めることができたのだが、魔導車両『白銀』の中でノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者。・f40853)は息を吐き出す。
それは緊張から出る息であったことだろう。
己の母親のようにやれただろうか。
いや、やれてはいないかもしれない。強敵とは言え、多くのことが手探りだった。
入念んに準備を重ねてはいたが、多くの不確定要素が戦場にははびこっている。また混沌の如き乱数がノエルの計算を崩してくるのだ。
これが戦い。
「……ふぅ……何とか勝てた……」
だが、ノエルは車両の内部のシートから身を起こす。
まだやるべきことがあったのだ。
「ほうけてる場合じゃない。まずは現地の責任者への支援のお礼、DIVIDEへのデウスエクス撃破報告、それに『ドヴェルグ』の回収と破損数の確認に……」
「いや、それには及ぶまいよ。少なくとも私へのお礼は不要だよ、ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ君。あと、DIVIDEへの報告はサポートAIの『第9号』くんがすでに行ってくれている。君のやることは、設置したセントリーガンの回収だね」
その声にノエルは目を見開く。
それは先程まで決戦配備の手配をしてくrていた、この決戦都市の責任者『エイル』博士の通信であったからだ。
「あ、ありがとう、ございますっ!」
「いやなに、お礼を言うのはこちらの方だよ。戦ってくれてありがとう。そして、勝利し、守ってくれたありがとう。どれだけの言葉でも足りぬけれどね。さあ、君は君のやるべきことをやりたまえ」
「……」
その言葉にノエルは漸く気がつく。。
「あぁー! そうだ、『白銀』の破損箇所を早く見ないと……!」
「そちらの破損箇所のレポートはそちらの端末に回しております」
その言葉とともにノエルの目の前にホログラムが立ち上がる。それはサポートAI『第9号』であった。
中性的な声と共に魔導車両である『白銀』が戦闘によって受けた破損箇所とダメージレベルを示したものが纏められたデータが送られてくる。
「な、治せるかなぁ……」
「不足した資材の手配を行いますか? 見積もりはこちらになります」
「も、もうちょっと罷らない? これって……」
「見積もりを割り引くことはできかねますが、今回の戦績による賞与の割増は可能であると判断いたします」
「ほ、ほんとう!? なら、目処は着いたって言えるのかな。あ、後は……」
「はい。防衛配置のはこちらの情報リンクからご確認を。ケルベロスとして戦い頂けるのならば、決戦都市の概要情報のアップグレードを自動更新いたします」
「うん、お願い。支援機構、決戦配備の研究は必要って思っていたの。『ドヴェルグ』の配置の参考にもなるし」
ノエルはサポートAI『第9号』と意見を交換し合う。
その作業によって、多くのデータがアップグレードされていくことだろう。
作業の合間にノエルは、そうだと、『第9号』に尋ねる。
「……それにしても『セラフィム』だっけ?」
「はい、この決戦都市に配備されている決戦配備の中核を担う戦闘ロボットの総称です。主にクラッシャータイプ、スナイパータイプ、ジャマータイプなどの決戦配備の要として運用されております」
「じゃあ、『ヴァルキリー』って何? |私達《ヴァルキュリア》とは違うよね?」
「該当件数はございません。申し訳有りません」
「そうなの? でもあのデウスエクスは……」
どうして、『セラフィム』を知っていたのか。そして、それに関連するであろう重要であろう情報を知り得ていたのか。
「該当件数はございません。申し訳有りません」
サポートAIから告げられる言葉は、不明、の一言に尽きる。
ノエルはまだ己の知らぬ世界があることを知る。
そして、それが何を意味するのかもわからぬ、ということを知る。
だが、これは無知であることではない。未知を知ったということである。故に、また一つ知る機会を得た、と言えるだろう。
「まだわからないことは多いけれど、でも問題点は見えてきた。今後ともよろしくね!」
そう告げ、ノエルは己の、己だけの|楽園《おうち》を求める旅路の一歩を力強く踏み出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
修復し始める都市を見て、スゴイ技術ですね~!
と感嘆します。
ウチの神社にも欲しいなあ~。
そういえば赤と青の半分このロボットさんは修理されるのでしょうか?
知っているヒーローに似ているので気になります。
破壊された場所に行ってみましょう。
中核部品はペルセウスが狙っていましたし、敵に盗まれないようにしないと。
エイルさんと会って、ロボットの強化を悩んでいるようでしたら、
「やっぱり”良心回路”が無いとヒーローにはなれないかもしれません」
と、思いっきりハズレの方向のアドバイスをしてみたり。
怪我した人達には《春光の癒し》で傷を治しますよ~。
精緻な技術はさっぱりなので、せめてできる範囲で人々のお役に立ちましょう。
大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は目の前で破壊された決戦都市の建造物がロボットアームによって次々と修繕されていく光景に目を丸くしていた。
戦闘ロボットの残存した機体が資材を運び込み、また猟兵もこれを手伝っている。
それを差し置いても、このオートメイション化は詩乃にとって革命的というか、脅威の技術力に映ったことだろう。
「ウチの神社にも欲しいなあ~」
壊れることあるのだろうかと思わないでもないが、詩乃の言わんとしているところはわからないでもない。
これだけオートメイション化されているということは、お掃除なんかも勝手にやってくれるのではないだろうかと期待するのも無理なからぬことだった。
そのうち、神社の境内を掃除するロボットが出てくるかもしれない。
動力は神力。
完全にインチキである。
「あ、そういえば、赤と青のはんぶんこのロボットさんは……」
詩乃は修復されていく建造物へと資材を運び込んでいる赤と青の左右非対称のロボットを見上げる。
あれだけ盛大に破壊されていたのだ。
修理されるのだろうか。
残っていた機体がこうして建造物の修繕に協力をしているところを見るに、どうやら複数存在しているようである。
「……でも、このロボットさん、どこかで見たような……知っているヒーローさんに似ているような気がするんですが」
「ほう、それは興味深い。この『セラフィム』に似た機体があると?」
詩乃の言葉に通信が入る。
一体どこから聞いているのか『エイル』博士が通信で詩乃に問いかけるのだ。
「あっ、いえ。このロボットさんに由来しているのかはわからないのですが……似ているような? と思いまして」
「そうか。似ている機体があるのならばデータをもらえたらと思ったのだが残念だ。君がはんぶんこ、といったようにこの機体は未だ未完成でね」
「でも、あの敵……デウスエクス、『英雄神ペルセウス』が、この機体の何かを狙っていましたよね?」
確か『ヴァルキリー』と言っていた。
「ああ、恐らくそれは『炉』のことだろう。だが、今回戦いに出撃した機体には載せていないよ。恐らく君は、それが彼に奪われることを心配してくれたのだろう」
だから、案ずることはないと彼女は言う。
詩乃はユーベルコードでもって市街地にて傷ついた人々を治療する。
彼女に都市の建造物を修復するということはできそうもなかった。というか、精緻な技術、科学技術に関して彼女は疎い。
だから、せめて今回の来襲でもって怪我をした人々の治療だけは、とそちらに力を注ぐのだ。
その合間に『エイル』博士との会話は続く。
「ならよかったのですが……やっぱりですね、私思うんです」
「何をだい?」
「あのロボットさんに足りないものです!」
「足りない……聞かせてもらっても?」
「はい! ずばり、『良心回路』が無いとヒーローとはいえないのかも知れません! 悪性と善性との間に揺れるもの。良心がない力に誰かを救うという役目は果たせないと思うのです!」
その言葉に『エイル』博士は暫し無言になる。
詩乃のアドバイスらしきものは思っきり的はずれな方向に放たれたように思えた。だが、『エイル』博士にはそうではないようだった。
「……そうか。確かにそうかもしれないな。不完全だから完璧、そういうことか。悪性と善性とに揺れる心……確かに。揺れる心は力の振れ幅ということか」
「ご納得頂けましたか?」
詩乃は『エイル』博士が何かを掴んだように思えただろう。
だから、よかったぁといつもの詩乃の気性のままにほんわかと癒やしの力を暖かな光に変えながら、傷ついた人々を癒やしつづけるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ハーウェン・ルース
判定:POW
【行動】
―ム。
何とかなったか…。
しかし、あれが猟兵。なんとも頼もしい味方だ。これはこの戦い…大きく動くぞ!!
ならばそれに見合った防衛施設と支援設備の完成は急務だな。手伝おう。
ケルベロスとして共に戦った戦士として、先の戦いの感想を研究者に伝えつつ、攻撃テストのアグレッサー役を担当しよう。
<タクティカル・トランスフォーム>防御形態。この鉄壁の守りを抜けるか!!
あばらっぱーーー(ちゅどーん)
しかし、あのロボット『セラフィム』か…
格好良かった。デウスエクスが狙うのもふに落ちるカッコよさだった。
だが、それだけか?何かほかに理由があるかもしれん。ちょっと聞き取り調査もしておくか…。
デウスエクスとの戦いは常にギリギリである。
未だ地球が彼等の侵略に対して抗うことができているのは、世界が一丸となってこれに抵抗しているからだ。
決戦都市もまたその一つである。
破壊された建造物が次々とオートメイション化されたロボットアームや残存している戦闘ロボットによって資材を運び込まれ修復されていく。
これを手伝う猟兵もいるようであるが、ハーウェン・ルース(ドラゴニアンの鎧装騎兵・f40911)は戦いの気配が薄れたことにより、漸く息を吐き出すことができた。
戦いとは常にギリギリである。
此度も戦い抜くことができた。勝利することができた。
「――ム。なんとかなったか……しかし、あれが猟兵」
ハーウェンは今回の戦いに突如として現れたユーベルコードを手繰る存在を見りゃる。
彼等はデウスエクスと戦ってくれた。
まさか敵の敵は味方、というわけではあるまい。彼等は確実に善意でもって共に戦ってくれたのだ。
「ならば、なんとも頼もしい味方だ。これならば……」
デウスエクスとの膠着した戦いも大きく動くかも知れない。
となれば、やはり決戦都市の修繕は急務だった。自分も何か手伝うことがないかとハーウェン仕事がないかとキョロキョロしだす。
そこに通信が入る。
「まあまあ、少しは休んでおきなよ。君らケルベロスは戦ってくれたんだ」
『エイル』博士だった。
この決戦都市の責任者にして、決戦配備の手配を一手に引き受けていた女性だ。
その言葉にハーウェンは謝意を告げる。
決戦配備はケルベロスにとってなくてはならないものである。それを開発してくれている彼女に対して、礼を欠かすことはなかっただろう。
「いや、できることはできるうちにやっておくのがオレの主義だ。先の戦い、決戦配備助かった。とはいえ、あの戦闘ロボットは……」
「ああ、『セラフィム』はまだ未完成なんだ。未発展と言うべきか。まあ、だが今回のデータでより強化することができるだろう」
「参考になった、と」
「ああ、君のアームドフォートを変形させるやり方、あれは面白いな。固定装備を変形させて役割を変える」
「攻守ともに優れているのがアームドフォートの善いところだ。火力は勿論のこと、堅牢なる守りもまた」
ハーウェンは必要であれば、今回の戦いのデータを送ると告げ、『エイル』博士はこれを受け取る。
「しかし、あのロボット『セラフィム』か……格好よかった。デウスエクスが狙うのも腑に落ちると言える。だが」
ハーウェンは思う。
あのデウスエクス『英雄神ペルセウス』は、たしかに何かを狙ってこの決戦都市にやってきていた。
「彼は『英雄神ペルセウス』。宝物庫の番人とも言われている存在だ。大方、この決戦都市の『炉』である『ヴァルキリー』を狙ってきていたのだろう。規格外の出力をあれははじき出しているからね」
その言葉にハーウェンは目を細める。
「それを宝物だと思っている、と?」
「だろうね。得てして宝物庫の番人というのは、宝が己のモノであると錯覚しがちだ。守っているつもりで、宝物に魅入られていることに気が付かない」
守護する竜がいつしか邪竜へと変貌するように。
「とはいえ、やつの力は厄介そのものだった」
「本当だよね。今回は君らの活躍で撃退できた。けれど、それが何度も可能かと言われると」
「不安があると」
けれど、とハーウェンは決戦都市にて戦いの跡にて共に修繕に走る猟兵たちを見やる。彼がそう思ったように、彼等の到来がこの戦いを大きく動かすかもしれない。
その未来は決して遠くないことを確信するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴァルターン・ギャンビット
よーし、それじゃ決戦都市部に乗り込むとするか。さっきの戦闘で会話してた『エイル』とかいう博士にもいっちょ挨拶しねえとな。面舵いっぱーいッ!
(基地の降りられそうな場所に宇宙艦『スペースダイナソー号』を着陸させて、ぞろぞろと降りてくるヴァルターンと【宇宙忍者軍団】)
さて、落ち着いてこの世界に降り立ったが何処もかしこもボロボロだな。戦闘直後なら当たり前か、フォッフォッフォッ。
んじゃ、友好的宇宙人と認知されるように異星文化交流と洒落込むか。
あ、これ。お土産の『最高級宇宙寿司パック』と『超銀河コーラ』だ。艦に積んでいっぱい盛ってきたから他の人達と分けといてくれ。
宇宙での大人気商品よ。
【アドリブ歓迎】
敵対する外星人……ならぬデウスエクスの撃退は相成った。
ヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は共に戦った猟兵とケルベロスたちを見やりながら巨大化を解くと宇宙船と共に決戦都市に着陸する。
戦いの余波は凄まじいものであったが、しかしすぐさまオートメイション化されたロボットアームや残存しているロボットが建造物の修繕を行い始めている。
スペースオペラワールドの住人であったヴァルターンの知る文明水準からすれば、少し時代遅れに思えたであろう。
彼の住まうスペースオペラワールドは、文明が一周回って中世のような文明になっているのだ。ああいう物質修繕だったのならば、不思議な光線で一発である。
とはいえ、このケルベロスディバイドの世界において、地球が一丸となって侵略者であるデウスエクスに抗うことにより、此処まで文明水準が上がっていることを称賛すべきであっただろう。
「よーし、それじゃ『エイル』とかいう博士にもいっちょ挨拶でもしとくかッ!」
「私に何か用かい?」
通信が入ってくる。
どうやら彼女は作業中らしく、通信で彼に会話を試みようとしているらしい。
「おっと、取り込み中か?」
「ああ、少々君たちの戦いで気づきを得たものでね」
「そりゃあ悪かったな。まあ、どこもかしこもボロボロだしな。当然といえば当然か、フォッフォッフォッ」
「大したもてなしができなくてすまないね」
「いや、いいぜ。どうせなら友好的宇宙人として俺様が認知されるように異星文化交流と洒落込もうじゃあねぇか!」
ヴァルターンの言葉にホログラムが浮かび上がる。
「私はサポートAI『第9号』です。はじめまして、ヴァルターン・ギャンビット様」
「これはご丁寧に……これお土産の『最高級宇宙寿司パック』と『超銀河コーラ』だ。戦いで食糧も損失してんだろ。俺様の艦にいっぱい積んできたから他の人にもワケといてくれよ!」
「お心遣い痛みいります。では、早速、居住区の皆様に配給としてお配りいたしますね」
「おう! 宇宙で大人気商品よ」
「しかし、寿司。コーラ。やはり宇宙でも地球の文化が伝播しているのでしょうか」
その言葉にヴァルターンは首を横に振る。
「いいや、違うぜ! これは宇宙デリバリーランキング上位のシノビン星郷土料理ってやつよ! そんでもって『超銀河コーラ』は銀河の果てまではじける旨さってわけ!」
ヴァルターンは寿司はシノビン星郷土料理だと言うのだ。
それを聞いて『第9号』は僅かにたじろいだようだった。AIなのに硬度なエモーショナルエンジンを搭載しているせいだろう。
「まあ、そういうわけだ。遠慮なく食べてくれよな!」
さらにヴァルターンの宇宙船からぞろぞろと宇宙忍者軍団(ウチュウニンジャグンダン)が現れる。
えっ! と『第9号』はさらに動揺したようである。
全てがヴァルターンにそっくりだったからだ。
人間にはヴァルターンとシノビン星人の見分けがつかないのだろう。微妙な違いはあるが、それは恐らくマニアにしかわからない差異である。
「おうっ! 出番だぜお前らッ!」
「御意!」
シュバババっと飛ぶようにして走り出すシノビン星人たち。
彼等はこの決戦都市の戦いの後における支援を行うようだった。
これも異星文化交流の一貫である。人にやさしく! そういう意味では彼等の姿は最初恐ろしく人々に映っただろう。
けれど、こうして復興に携わってくれていることを知れば、嘗てデウスエクスとして地球に来襲した者たちが地球のために戦ってくれたようにヴァルターンたちシノビン星人たちも受入れられていくのだ。
「やっぱり寿司はサイコーだよな!」
ヴァルターンは人々と共に宇宙的にも最高峰の味わい見せる新鮮な寿司をつまんで、決戦都市の住人たちと共に、独特な笑い声を上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
この方が『第9号』さん……。
ステラさん、ステラさん、この方だいじょぶですよね?
なんか難しい問いかけしておいて、自爆逃げとかしないですよね?
ってステラさん!?
わたしのボケも聞いてください!渾身でしたのに!
ほ、ほらほら、なんかいろいろ駄々漏れてますから!
『エイル』博士も困惑してますよ?
ああもう、聞いてくださいってば!
そのテンションと圧は、初対面の人には致死量なんですって!
そのピンクと黒が混ざり合った瘴気、収めてくださいよぅ!
むー……どうしても聞いてくれない感じですね?
そういうことなら、演奏しますよ! 今! ここで!
やっと聞いてくれました……。
でも、そんなにわたしの演奏いやですか?(涙目
ステラ・タタリクス
【ステルク】
改めて
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁすっ!!(ICの表情で
えへ、えへへ……
さぁエイル様、じゃなかったエイル博士先ほどの雇用についてのご返答がまだっていうかちゃんと倒してきたのでご褒美くださいっ!!
え?ルクス様、何か言いました?
第9号様……いえ、その……後妻9号ですか??
え、正妻は私に決まっておりますとも
ええい、さっきからルクス様がちょこちょことちょっかいを
今、エイル博士と大事な話の最中ですので遊ぶのは後……アッハイ待って本当に待って
エイル博士が死んじゃう……第9号様もたぶん死ぬやめてよして
ええ、まぁ、その……ルクス様ふぁいとっ
で、エイル博士、メイド要りませんか?
改めて、と息を吸い込む音が決戦都市に響く。
何が、と誰もが思っただろう。
だが、次の瞬間に何が起こったのかを理解するだろう。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁすっ!!」
はちゃめちゃに叫んだ。
それはもう決戦都市の隅から隅に。果てから果てに。
盛大に響いたし、『エイル』博士は、うっわ、と思った。
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は良い笑顔だった。これほどまでに叫ぶことで清々しい気持ちに慣れたのは久方ぶりである。
「えへ、えへへ……」
だが、表情が完全にやべーメイドである。道ですれ違おうもんなら、関わらんとこってなる笑顔であった。
耳がキーンとなりながら、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はまあ、いつものことだし、という顔をしていた。
耳キンも慣れたもんである。
とはいえ、この決戦都市、オートメイション化が凄まじい。
戦いの余波によって破壊された建造物は展開されたロボットアームが次々と戦闘ロボットによって運び込まれた資材を加工して修繕していくのだ。
度重なるデウスエクスの襲来。
防衛設備などの修繕は急務であろう。だからこそ、オートメイション化は必須であったのかもしれない。
そんな感じなのかなぁってルクスは思っていた。
けれど、そのハイソな思考はステラのダメな感じの言葉にかき消される。
「通信繋がってますよね。まだつながってますよね! さぁ『エイル』様、じゃなかった『エイル』博士、先程の雇用についての返答がまだっていうかちゃんとデウスエクス倒してきたのでご褒美くださいっ! くださいますよねっ! ねっ! ねっ!!」
ものすごい勢いであった。
ご褒美って、とルクスは思ったが目の前にホログラムが表示され、中性的な声が響く。
「はじめまして、私はサポートAI『第9号』。何かお困りのことがございますか?」
「この方が『第9号』さん……」
「はい、『第9号』とナンバリングされております」
そのホログラムを見てルクスは訝しむ。もしかして、これって……。
「ステラさん、ステラさん、この方だいじょうぶですよね? なんか難しい問いかけしておいて、自爆逃げとかしないですよね?」
「いたしません。私の存在意義は皆様の補助。なんなりとお申し付けください」
「『エイル』博士ー、聞いておりますか? 聞いてますよね? お返事、お返事くださーい」
「ステラさん! わたしのボケも聞いてください! 渾身のボケでしたのに!」
ルクスはステラの体を揺さぶる。
ステラはもうなんていうか、色々ダメだった。手遅れじゃないかっていうくらいトリップしていたが、ルクスに揺さぶられて漸く正気を取り戻していた。
「え? ルクス様、何か言いましたか?」
「色々駄々洩れしてますから! お返事ないのは、その勢いに困惑しているからですってば!」
そこでステラはホログラムに気がつく。
「正気に戻られたようで何よりです。私はサポートAI『第9号』。今後の協力を期待しています」
「……『第9号』様……いえ、その……」
ステラは少しためらった。いや、ためらったというか、少し気の毒そうな顔をして『第9号』を見やる。
「後妻9号ですか?? 私が正妻なので。ええ、そう決まっておりますとも。だから、あなたは後妻です」
「情報に誤りがあります。私はサポートAI……」
「いいえ、私が本妻! 正妻! メイド!『エイル』様をサポートするのは私ですー! はい勝ったー!」
「いえ、私はサポート……」
ステラは聞いちゃいなかった。
どれだけ『第9号』が訂正しようとしても、遮って自分が正妻と喚くのだ。ルクスはなんていうか、共感性羞恥やらなんやらで心が酷いことになっていた。
「ああもう聞いてくださいってば!」
ステラと『第9号』の間に彼女は割って入る。引き離さないと、またステラが暴走してしまう。いや、もうしてるけど。
「そのテンションと圧は、初対面の人にはキッツイんですって! いい加減そのピンクと黒が混ざりあった瘴気、やめてくださいよぅ!」
「ルクス様、どいてください。私が正妻だとわからせられないっ!」
「むー……どうしても聞いてくれない感じですね? そういうことなら!」
ルクスがヴァイオリンを取り出して見せる。
それでステラは一瞬で理解する。演奏するのだと。背筋に緊張が走る。
「アッハイ……でも」
「今! ここで! 演奏しますよ!」
その脅し文句はどうなんだろうと『第9号』は思った。
「待って本当に待ってください。『エイル』博士死んじゃう……『第9号』様も多分死ぬのでやめてよして。此処が私の桃源郷にしてヴァルハラで、楽園なんですぅ」
「もうっ、本当にいつもいつも。こうしないと聞いてくれないって……」
いや、ちょっと待って欲しい。ルクスは思う。
自分の演奏がそんなに嫌なのかと。そう想うと涙がうるふるっと溢れてきそうになる。
「そんなに……わたしの演奏いやですか?」
ああ、ほら泣きそうになってる。
「なーかした、なーかした!」
通信で『エイル』博士が此処ぞとばかりに囃し立てる。完全に子供である。
「え、ええと、そんな、ことは……?」
「演奏しても?」
「そ、それは……」
「いやぁ、それはだめでしょ。いいかい、ルクス君。ステラ君が君の演奏をしっかり聞いてくれるそうだよ。よくよく聞かせてあげるといい。君の演奏は素晴らしい。あの破壊的では滅的で完璧で究極な演奏! 明日の希望を取り戻すにふさわしい!」
「やだ煽らないでください、『エイル』博士!」
「え、えへへ、そうですか? そうです? わかってしまいます? わたしの演奏ってそんなに……」
『エイル』博士が頷く気配がある。
本当にそう思っている雰囲気さえあることにステラは背筋が凍りそうだった。
だが、しかし、彼女の運命は此処からである。
そう!
致死量のピンクと黒の瘴気には、破壊音波魔法をぶつけんだよ――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
うんうん!ほめてほめて!
そし崇めて!もっと崇めて!
●そうボクは神
神だから!神だからこどもにお菓子だって配っちゃう
神だからこの街の面白そうなところや秘密スポットを色々案内させたり潜り込んだりしちゃう
神だからこの街の【拠点防衛】にだって助言できちゃう(UC『神知』使用)
そうこの街に脚を生やしたり飛ばしたりすればいいんだよ!
走って飛ぶ街!それこそが次のムーブメントだよ!
え今少し予算と時間が無いとだめ?
そっかー
●もしかして
みんなボクが神だって信じてなくない?
えーどこからどう見てもかわいくてサイコーで一番の神さまじゃん!
もっと褒めて!崇めて!
そしてなでなでして!えへへへ
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はごきげんだった。
「うんうん! ほめてほめて! そして崇めて! もっと崇めて!」
その言葉に決戦都市の住人たちはちょっと困惑していたが、ユーベルコードを操るケルベロスでなければデウスエクスの撃退は難しい。
故にユーベルコードを操る彼等を頼りにしなければならない。
無論、戦力としては申し分もない。
そして、そのことに感謝もしている。けれど、ロニの様子はちょっと過剰に思えた。
「す、すごいけど……でも、本当に?」
幼子たちは避難していた区画から破壊された決戦都市の市街地を戻ってきていたが、ロニは戦いの激しさを語るので、あまりのことに信じられない様子で困惑していた。
「ほんとうだってば! なんたってボクは神! 神だから! 神だからーお菓子をあげちゃうぞ!」
「えー! 本当に!?」
さっきまでの困惑は何処に行ったのか。現金なものである。
幼子たちはロニの配るお菓子に群がっている。
そこにホログラムが立ち上がり、サポートAI『第9号』の声が響く。
「ケルベロス……ではなく、猟兵の方とお見受けします。私はサポートAI『第9号』……ってあれ!?」
『第9号』の声が届くより早くロニは幼子たちとともに決戦都市の面白そうな所めぐりへと駆け出して行ってしまっていた。
「こっちこっちー!」
「どこどこ? えっ、そっち? 秘密の通路?」
「まって、まってください。ちょっと、あー!?」
『第9号』が止めようとしても、するすると幼子たちと共にロニは決戦都市の資材搬入通路やらに入り込んでいってしまう。
「ふむー。防衛拠点としての決戦都市の在り方っていうのはわかるんだけどさー。やっぱり場所が特定されているってことがネックだと思うんだよね!」
ロニの言葉確かに的確だった。
けれど、それ以上に彼の助言というのはぶっ飛んでいた。
「ならさ、街に脚をはやしたり飛ばしたりすればいいんだよ! 走って飛ぶ街! それこそが次のムーブメントだよ!」
「確かに。頷けるところはあるのだが、移動の際の進路やらクリアすべき点が多すぎる、とういうのが難点だろうか」
通信を聞いていたであろう『エイル』博士の言葉にロニはぶーたれる。
「えーなんで!」
「あと予算もない」
「時間もないってこと? ないないづくしってこと?」
「そういうことだ。それにデウスエクスの来襲だって予測不可能であるからね」
「そっかー」
でもさ、とロニは自分の周りでキャッキャしている幼子たちを見やる。
「もしかしてだけど、みんなボクが神だって信じてなくない?」
「なくなくないないなーい?」
どっち?
「どっからどう見てもかわいくてサイコーで一番の神様じゃん! もっと褒めて! 崇めて! そしてなでなでして!」
はーいと幼子たちがロニの頭を撫でる。
「えへへ」
それで嬉しそうにしているから、なんかちょろいなと『エイル』博士は思ったが、しかし、まあ、猟兵とはよくわからない存在の集合体だな、と彼女は思い、そしてまたレポートを纏めていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…事後の修復まで含めてシステム化されている……これが決選都市か…
…デウスエクスに対抗するためにはここまで物を作り上げないといけなかったと…
…あの『エイル』って人はどこかな……ああ、いたいた…
…手短に猟兵の事情を伝えるとするよ…
…その上で我々が戦っている「オブリビオン」のデータをエイルに渡すとしよう…
…この世界の主な敵がデウスエクスだとは判っているけど…積極的に他世界に介入してくるオブリビオンは確認できている…
…デウスエクスと手を組む、または漁夫の利を狙う個体が出てくる可能性は充分にありうるからね…
…代わりに決選都市やデウスエクスについての詳しい話を聞きたいところだね…
目の前で広がる破壊された都市の修復と修繕。
ロボットアームによって資材を加工し、すぐさま建造物の補強や新たに建築する工程。そのどれもがオートメイション化されている。
残存する戦闘ロボットたちが資材を運び込み、ユーベルコードも駆使されていることがわかる。
「……事後の修復まで含めてシステう化されている……これが決戦都市か」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はこれがデウスエクスという宇宙からの侵略者に対抗するために練り上げられた人類の技術の粋であることを知る。
これほどまでに戦いに特化して科学技術や魔術というものを発展させなければ、デウスエクスの来襲には耐えられないということであろう。
破壊されてしまうことが前提。
撃退できなければ、その時点で無用の長物へと代わってしまうからこそ、人類の死にものぐるいの成長がメンカルには見て取れた。
科学と魔術のハイブリッド。
この光景はメンカルにとっては興味深いものであった。
そんな彼女が探していたのは決戦配備を手配していた責任者であろう『エイル』博士の姿であった。
「……あの『エイル』って人はどこかな……」
「サポートAI『第9号』です。はじめまして猟兵の方。何かお困りですか」
目の前にホログラムが立ち上がる。
そこから響く中性的な声にメンカルは臆することなく頷く。
「この決戦都市の責任者『エイル』博士と面会したいんだけど」
「要請、承諾いたしました。この道を直進、突き当りを左へ、そのまま100m進んだ所に『エイル』博士の所在反応がございます」
その言葉にしたがってメンカルは歩む。
それは『英雄神ペルセウス』と猟兵、ケルベロスが戦った中心地だった。
「おや、君は」
「あなたが『エイル』? 私たちのことは……」
「ああ、聞いている。猟兵、と名乗っていたね。まずは助力感謝するよ。君たちがいてくれたから『英雄神ペルセウス』を撃退することができた。感謝の言葉だけでは足りないかな」
「……手短でいい。こちらの事情は」
「おおよそはね。デウスエクスと似たような敵と戦っている、という認識で?」
「……このデータを見てもらったほうが早い」
そう言ってメンカルは己達猟兵が戦うオブリビオンのデータを手渡す。
「過去の化身。なるほど。同一存在に見えて、その在り方は個々として存在している、と。なるほど。過去という時間の堆積によって存在自体が歪む、と。存在するだけで世界を滅ぼす……ふんふん。デウスエクスと違うのは、それ自体は滅ぼせる、ということなんだね」
「……そういうこと。この世界の敵がデウスエクスである、ということはこちらでも判明している。けれど……他世界に介入してくるオブリビオンもまた存在している」
「ならば、それらが手を組む可能性がある、と?」
そうだ、とメンカルは頷く。
それはすなわち、漁夫の利をデウスエクスもオブリビオンも狙う可能性を示唆していた。
この決戦都市に『英雄神ペルセウス』が何かを求めて襲来したこととも繋がるだろう。
「ふんふん。そうか……君たちの感覚、というものか。そういうものは信じられるとわかるよ」
そう言って彼女が手にしていたのは、宝珠のような輝きを放つものだった。
だが、それは何かとメンカルが問う前に砂のように崩れ落ちていく。
「多くの事柄がオブリビオンとデウスエクスとでは違うようだね。この決戦都市のことを知りたいのだろう、メンカル・プルモーサ君」
「……そう。これからまた共に戦うこともある。ならば、情報と技術というのは撚り合わされることで発展していくから」
だから、とメンカルは『エイル』博士から差し伸べられた手を見やる。
それは共に未知の地平を求める同士の共感めいたものであったのかもしれない。
交わる線と線。
世界が互いを分かち隔てるのだとしても、交わるものがある。
その交わるものが如何なる運命を編み上げるのか。
今はまだ知れぬ『IVI』の光景をメンカルと『エイル』博士は手を結ぶことで見通そうと互いの知見を交わすのだった――。
大成功
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