Plamotion Steel Actor
●君が思い描き、君が作って、君が戦う
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
それはプラスチックホビーを作り上げ、自身の動きをトレースさせ、時に内部に再現されたコンソールを操作して競うホビースポーツである。
思い描いた理想の形を作り上げるというのならば、たしかに『プラクト』は心・技・体を兼ね備えたスポーツ。
プラスチックホビーを作り上げ、フィールドに投入し自分自身で動かす。
想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体。
そのいずれもが欠けてはならない。どれか一つでも欠けたのならば、きっと勝利は得られない。
『プラクト』のフィールドは主に模型店や大型量販店に設置され、巨大なスクリーンにおいてフィールド内の戦いを観戦することができる。
縦横無尽に駆け抜ける人型ロボット、美少女プラモデルにカーモデル、クリーチャー、艦船や飛行機。
ありとあらゆるプラスチックホビーが『プラクト』の間口として存在しているのだ。
『プラクト』アスリートたちは、己の造り上げたプラスチックホビーに内蔵された『ユーベルコード発生装置』によって、自在にプラスチックホビーを動かし、時に笑い、時に涙し、時に額に汗を流し、時に友情を育む。
●復活の巨神
完全に青い人型兵器『熾盛』と呼ばれた機体はショートしていた。
動きを止めていた。
『八咫神国』へと暴走超特急の列車車両を突っ込ませるという力技でもって『アイン・ブリュンヒルド』は『熾盛』に勝利した。
貨物を満載した列車は謂わば質量兵器。
本来ならば当たりようのない攻撃である。しかし、『アイン・ブリュンヒルド』は知っている。
あの『熾盛』のパイロットはむざむざ列車を突っ込ませないだろうと。
褒められたことではない。
敵に選択を強いたのだ。
己の生命か、それとも他者の生命か。
確かに彼女は勝利した。一度の敗北もない絶対たるエース『フュンフ・エイル』に勝利した。あの青い機体の破壊はならずとも、確かに目の前に勝利がある。
ゆっくりと己の機体と共に近づく。
銃口を向ける。
「うっ……!」
だが、彼女は引き金を引けなかった。
己の白い機体『ブリュンヒルド』の前に人々が立ちふさがっている。彼女が暴走させた列車の乗客たちであろう。
手を広げ、青い機体『熾盛』を庇うように立っているのだ。
「やめろ! こんなことしてなんになる!」
「そうだ。どうしてもというのならば、私達が……!」
「てめえら、わけのわからないことを。壁のつもりか! そんなもんは無意味だろうが! ビームの熱量を知らねぇのか! 無駄死にだぞ!」
『アイン・ブリュンヒルド』の言葉に人々は体をすくめる。
だが、それでも彼等はどかなかった。
「そうかよ! なら!」
彼女は引き金を引こうと力を込めた。瞬間、『熾盛』の機体が立ち上がり、『ブリュンヒルド』を押しのけながら強引に列車から引き離す。
「なんだ!? なんだコイツは! さっき確実に腕部も脚部もぶっ壊れたはずだろう! なのに……!」
五体の砕けた機体。
だが、目の前の『熾盛』のアイセンサーは炎のように揺らめき、砕けた四肢は蠢くように再生し『ブリュンヒルド』を押さえつけながら大地へと叩きつける。
「なんだよ、てめぇは……! なんなんだよ――!」
●五月雨模型店
「な! やっぱこれだよこれ!」
『アイン』と呼ばれる少女は『五月雨模型店』の作業スペースに備えられたモニターに放映されている『憂国学徒兵』シリーズの第一期のハイライトシーンを見て『ゼクス』と呼ばれる少年の肩をバシバシ叩いていた。
「わ、わかるけど……その」
『ゼクス』と呼ばれた少年は巨大企業『株式会社サスナーEG』の社長と副社長を良心に持つ、お坊ちゃんである。
彼は以前、ダークリーガーに八百長を持ちかけたが、逆に諭され、こうして『五月雨模型店』と和解したのだ。
仲良く今日も『プラクト』の練習に来ていたのだが『アイン』に捕まったというわけである。
「なんだよ、ノリわりーな! いいよなぁ、このシーン、ジオラマで再現したいよなぁ!」
「あ、うん。そうだけど、そうじゃなくって。今日は紹介したい人がいて」
「んだよ、それ早く言えよ!」
そんな風にしている二人の元に金属音を打ち鳴らす音と共に一人の少女が現われる。
いや、違う。
少女ではない。
「ご紹介に預かる。我が名は『蒼銀の女騎士』。『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』競技において強者の名を恣にしている『五月雨模型店』に試合の申し込みをさせていただきたく参上した次第」
ものすごく礼儀正しい。
『アイン』はちょっと居住まいを正した。
さっきまでの自分が恥ずかしい。
礼儀には礼儀。
それくらいのことは彼女にだってわかっている。けれど、パクパクと口を明けたり閉じたりしている。
こういう時にちゃんとした応対してくれるのは『ツヴァイ』の役目だったが、彼女たちは今日居ない。自分だけなのだ。
「あー、えー、とー……」
「いや、わかっているとも。そちらが忙しいことは。故に、二週間後。その日に我等がチームと勝負をしていただきたい。我等はドイツ代表。『ワールド・ビルディング・カップ』開催に先駆けて、日本代表に最も近しいと言われる諸兄らと練磨したい――!」
●幸せな夢を見る
ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)はウキウキしていた。
アスリートアースにおける公式競技ではない『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』の世界大会である『ワールド・ビルディング・カップ』の予選が行われようとしていたのだ。
各国はゾクゾクと代表チームが決まっている。
国ごとに2組のチームが代表として選出されるのだが、未だ日本代表は決まっていない。
その代表を決する試合が一ヶ月後に控えているのだ。
「ふんふんーふんふーん……ハッ!?」
だが、それは今回関係ない。
そう、今回は日本代表に最も近しいと言われるチーム『五月雨模型店』にドイツ代表のダークリーガーチームが練習試合を申し込んできているのだ。
練習試合とは言え、勝負に敗ければダーク化されてしまう。
今回、『五月雨模型店』のいつもの主要メンバーの多くが、世界大会用の機体を組み上げるために参加できない。
『アイン』と呼ばれる少女だけの準備ができている状態で、他のチームメンバーがいないのだ。
そんな時に練習試合を受けてしまったから大変というわけなのである。
「……そ、そういうわけです。言外で全て説明されてしまったので、これ以上いうことはないのですが……」
手に持ってるの何?
「あ、これですか! むふふ。聞いてください。これはですねぇ……」
あ、もう行かないと。
そう、ドイツ代表ダークリーガーチームとの練習試合までもう時間はないのである。
「そ、そんな! も、もう少しお話してからでも……!」
時間無いでーす。転移よろでーす。
そんな風にして猟兵たちは語りたいナイアルテを急かして、次々とアスリートアースへと転移するのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はアスリートアースにある未だ公式競技化されていないスポーツ『プラクト』のチーム『五月雨模型店』を救うシナリオになります。
※『プラクト』は正式には『プラモーション・アクト』と呼ばれるホビースポーツです。
フィールド内に自作したプラスチックホビーを投入し、アスリートの動きをトレースする『モーション』タイプと、操縦席を作り込んで操作する『マニューバ』タイプが存在しています。
主に『モーション』タイプはロボットや美少女プラモデル。『マニューバ』タイプは、カーモデルやミリタリーモデルとなっております。
●第一章
冒険です。
来る一ヶ月後の『ワールド・ビルディング・カップ』――即ち世界大会への代表を決める試合が迫っている『五月雨模型店』。そのため『アイン』を除くメンバーたちは大海用の機体を組み上げるために離れています。
そのタイミングでドイツ代表のダークリーガーチームが練習試合を申し込んできました。
そもそもメンバーが足りないので、このままでは大変なことになるのはまるわかりでしょう。
まずはルールを学び、自身のプラスチックホビーを作って連取しなければなりません。
作成し、習熟するプラスチックホビーは基本何でも構いません。プラスチックホビーであり、『ユーベルコード発生装置』を組み込んでいれば、二つの操作系統『モーション』と『マニューバ』のどちらかでプラスチックホビーが実際に動きます。
この章でトレーニングに成功した皆さんは、第二章、第三章と自動的にプレイングボーナスを得られることとなっております。
●第二章
集団戦です。
ドイツ代表『無敵艦隊オーデュボン』の副団長である『蒼銀の女騎士』率いる『ジェントルレーサー』の手繰る『プラッグシップ』が一斉に迫ってきます。
無敵艦隊の名の通り『プラッグシップ』とは艦船模型のホビーです。艦船にできること全部できます。
●第三章
ボス戦です。
ドイツの人型ロボットプラホビー『シュタール・リッター』を操る『蒼銀の女騎士』との戦いになります。
ドイツ代表ということで尋常じゃない強さを持っています。
超強敵です。
『鋼鉄騎士』の名の示す通り、凄まじい硬度の装甲を誇ります。
それでは、新たなるスポーツ競技『プラクト』を巡るダークリーガーと戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『その他スポーツを練習しよう』
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POW : 体当たりで果敢にチャレンジする
SPD : 器用にコツを掴みながら練習する
WIZ : ルールや戦術の理解を深める
イラスト:十姉妹
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『アイン』と呼ばれる少女は『五月雨模型店』で頭を抱えていた。
安請け合いをしてしまった。
というか、なんで忘れていたのだろう。ドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』。音に聞く超強豪チームである。
そんな有名チームの副団長と相対してしまって舞い上がってしまったと言えば許してもらえるだろうか。いや、そんなわけない。ここで彼女たちに敗北すれば、『五月雨模型店』自体が消滅してしまう。
練習試合であってもなんでも、そういう取り決めなのだからしかたない。
「あー! うー!」
唸ることしか『アイン』にはできなかった。
他のメンバーたちは皆、世界大会である『ワールド・ビルディング・カップ』の機体を作成するためにこもりっきりなのだ。
連絡もつかない。
「既読もつかないとか滅茶苦茶集中してんじゃん! いや、いいんだけど! よくないんだけど!!」
こういう時に彼等の集中力の凄まじさを呪うのだ。
どうしよう。
本当にどうしよう。
このままでは自分ひとりで『無敵艦隊オーデュボン』と戦わなければならない。負ける気なんてないけど、流石に一人では無理だ。
涙が出そうになる。
どうしよう。
「うう……うー! でも、仕方ない! もうヤケクソだよ! やってやらー!『フュンフ・エイル』だってたった一人で最初は戦ってたんだ! なら、私だってやってやんよ!」
彼女はもう憧れることをやめたのだ。そして、諦めることも。
どんなに苦しくても。
それでも彼女は戦うって決めたのだ。いつ決めたかなんて知らない。覚えてない。けれど、そうあるべきと思ったのだ。
いつかの誰かが自分に言ったように。
『アイン。『1』はナンバーワンってことだ。オンリーワンでもあるし、先駆けの言葉でもある。そういう意味では、お前にぴったりで俺はいいと思う』
涙を引っ込め、『アイン』は自分にできることをやろうと自身の機体『ブリュンヒルド』を手に練習あるのみ、と気持ちを切り替える。
そんな時、『五月雨模型店』の扉が開くのだ。
「あ、あんたたちは……!」
そう、諦めない者にこそ、いつだって勝利への道が開かれているのだ――!
神代・凶津
ふっ、お困りのようだな。アインの嬢ちゃん。ドイツ代表が相手とは腕が鳴るじゃねえかッ!
「…調子に乗って足下すくわれないでくださいよ?」
無敵艦隊って言うくらいの奴らの相手に相応しいプラモ…そう、怪獣プラモだッ!
以前作った『メカ怪獣王』に負けず劣らずのを作るぜッ!
店を物色して…おっ、『ハリウッド版怪獣王』があるじゃねえかッ!店長、コイツ買うぜッ!
早速製作だ、店長やアインの嬢ちゃんも手伝ってくれよなッ!
完成したぜ。ハリウッド版らしいこのマッシブさ、他のプラモもより一回りデカイ存在感、隅々までの再現性は最早芸術よ。
…使わずに飾りたくなってくるな。
「…それじゃ意味ないでしょう。」
【アドリブ歓迎】
『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』競技チームである『五月雨模型店』の『エース』である少女『アイン』は頭を抱えていた。
まあ、大体が自業自得というか。
安請け合いしてしまったがための八方塞がり状態なので、あまり逼迫した感じはないのである。だがしかし、相手がダークリーガーであるというのならば話は別である。
ドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』。
その副代表である『蒼銀の女騎士』がダークリーガーなのだ。
「うー! どうしよう!」
唸っていても仕方ないと少女『アイン』は練習をしようとブースに向かおうとして『五月雨模型店』の扉が開く音を聞く。
『ふっ、お困りのようだな。アインの嬢ちゃん』
「あ、あんたは……!」
「こんにちは、『アイン』さん」
彼女の目の前に居たのは、巫女服姿の女性と赤い鬼面、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)であった。
彼等はこれまでも幾度となくダークリーガーの襲来にさらされた『五月雨模型店』の窮地を救ってくれたヒーローである。
ヒーローマスクである凶津と共にいる巫女の桜もまた『アイン』にとってはかけがえのない仲間である。
「も、もしかして……」
『ああ、話は聞かせてもらったぜッ! ドイツ代表が相手とは腕が鳴るじゃねえかッ!』
「そうなんだよ! あのドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』なんだよ! 団長は不在みたいだけど、でもでも、すんごいチームなんだ!」
『へっ、任せておけよ! 俺達が来たからにはなッ!』
「……調子に乗って足元すくわれないでくださいよ?」
桜の言葉に凶津の鬼面の眼窩の奥が煌めく。
『誰にもの言ってんだ相棒ッ! とまあ、そのまえに今回使うホビーを決めなくっちゃあなッ!』
凶津がふわふわと鬼面を浮かせ、店内を物色する。
その間に桜は『アイン』や店長にお土産を渡したりしている。抜かり無い。というか、桜の方が妹という立場を取っているのだが、こうしてみると桜のほうがお姉さんぽいな、と『アイン』は思ったりもした。
『むっ! これは……ッ!』
「お、決まった?」
『ああっ! 無敵艦隊っていうくらいだから艦船のホビーを扱うんだろッ! なら、奴等の相手にふさわしいプラモ……そう、怪獣プラモだッ!』
またー? と『アイン』は思ったが贅沢言っては居られない。助けてくれるだけでもありがたいことなのだ。
『ふっ、またーって思っただろう、嬢ちゃん。だがよっ、男子、三日会わざれば刮目してみよっ! ってな! 前回よりさらに成長してみせるのが、男の子ってこった!』
た、たしかにー!
そんな凶津が示していたのは『ハリウッド版怪獣王』である。
『店長! コイツを買うぜッ!』
「早速製作開始だー!」
『応ッ!!』
二人が早速制作スペースに飛び込んで行くのを桜は見送る。
だが、桜はどうにも腑に落ちない表情で店長を見やる。
「……あの、違いがわからなかったのですが……」
あ、やっぱり? と店長は思ったが、仕方のないことである。
こういうのって、興味のない人には見分けつかないものである。だから、店長は訥々と桜にお茶を入れながら違いを説明していくのだった。
そして、世を徹しての作業はついに凶津の機体を完成させうr。
『完成したぜッ! 見よ、このハリウッド版らしいマッシヴさ! 他のプラモよりも一回りデカイ存在感、隅々までの再現性は最早芸術よッ!』
眠っていた桜を叩き起こす凶津。
桜は重たい瞼をゆっくり開いて凶津の生み出した『ハリウッド版怪獣王』ならぬハイブリッド怪獣王を見やる。
『なッ、最高だろう相棒ッ!!』
「……んんっ、はい、そうっ、ですね……」
『いやー、ほんっと! 芸術よな! ……使わずに飾りたくなってくるなっ!』
「……それじゃ、意味ないでしょう」
桜は冷静にツッコミ、完成をみた怪獣王の勇姿が朝日に照らされるのを寝ぼけ眼で見やるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
イリスフィーナ・シェフィールド
お困りのようなので参上ですわっ。
艦船と騎士がお相手ですのね。
それでは今回はモーションタイプのロボットを作ってみましょうか。
ええとこういうのが(真の姿のイラスト参照)作りたいのですけど……。
実物が必要でしたらお見せいたしますけどどうしましょう?
(合体用アイテムを呼んでコードを使うので街中でするもんじゃないですが)
さて今回はアイン様だけしかいらっしゃらないのでしたか。
それでは特訓のお相手お願い致しますね。
(にっこり笑顔で肩ポン、他意はない、容赦もない)
アスリートアースのとある商店街に存在する模型店、『五月雨模型店』。
其処に集う猟兵たちのお陰で世界大会予選のために『アイン』と呼ばれる少女以外の全てのメンバーが機体となるプラスチックホビーの作成のために出払っているタイミングでダークリーガーである『蒼銀の女騎士』より練習試合を挑まれてしまう。
彼女たちは『無敵艦隊オーデュボン』と呼ばれるドイツ代表チームの一つである。
そのチームは有名であり、そんな者たちから練習試合とはいえ、勝負を挑まれたことで『アイン』は完全に舞い上がってしまっていた。
「あーもー! だからどうして私は、あんなことを……!」
「お困りのようですわね」
そんな『アイン』の元に現われるのは、イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)であった。
彼女はかつて『プラクト』競技に参加してくれた猟兵の一人だ。
「あ、あんたは!」
「お久しぶりですわ。どうやら安請け合いをしてしまったようですね。メンバーが『アイン』様だけしかいらっしゃらないと」
「そうなんだよ! よ、よかったらさぁ……」
助けてくれないかなぁって上目遣いになる少女『アイン』。
その瞳にイリスフィーナはもとよりそのつもりであったと微笑むのだ。明るくなる彼女の表情にイリスフィーナはしかし困ったと首を傾げる。
「相手は艦船と騎士のプラスチックホビーなのですわよね?」
「ああ、『プラッグシップ』っていう艦船模型のホビーを多く使うのが『無敵艦隊オーデュボン』って言うチームの特色なんだよ。そんでもって、副代表の人のが『シュタール・リッター』っていう騎士型のホビーなんだ」
その言葉にイリスフィーナは頷く。
どちらも手強い相手であることに違いはない。ならば、とイリスフィーナは自らが作成すべきホビーを選択する。
「今回はモーションタイプのロボットを作りたいのですが……ええと、こういうものなのですが」
そう言って『アイン』に見せるのは彼女の真の姿である。
青と白の装甲を持つ女性特有の丸みを帯びた装甲の騎士のようなロボットだ。
「すげー! なにこれかっこいい! え、これを作りたいってこと?」
「ええ、できますでしょうか?」
「うん、できないことはないと思う。けど、そっか、似たようなパーツをジャンクから漁ってきて……パーツ同士のかみ合わせとかも吟味しないとだから……今から忙しくなるぞ!」
「それは望むところですわ。あ、実物が必要でしたらお見せいたしますけど、どうしましょう?」
それはどういう? と『アイン』の疑問にイリスフィーナは融合合体(ファイナル・メガ・フュージョン)しようとして、思いとどまる。
街中でするものではない。
何せ、自身の身長の二倍もあるロボットの姿に変身するのだから。
「ええと、やはりやめておきましょう。お店が壊れてしまいますから」
「えぇ……?」
そんなやり取りを二人は終え、せっせと制作ブースでイリスフィーナの真の姿を模した機体を作り上げていく。
パーツをジャンクボックスから選別。
組み合わせ、己の思う形に組み上げていく。
「パズルじみておりますわね」
「でも、かっちり合うと気持ちいいでしょ」
「それはそうですわね。ん、ちゃんと形になっております?」
ばっちり、と二人で作成し続け、ようやく完成したイリスフィーナの機体。己の姿をもしたホビーは壮麗にして美麗であったことだろう。
「さて、今回は『アイン』様しかいらっしゃらないのでしたか。それでは特訓のお相手、お願い致しまわね?」
「え、今完成したところで、その……眠いんだけど……」
二人は徹夜で機体を仕上げていたのだ。
ちょっとくらい眠らせて……という『アイン』をイリスフィーナは掴み、笑顔でにっこりと他意なき特訓と容赦のない実戦経験を積み上げていく。
どこか遠くで『アイン』の悲鳴が聞こえた気がしたが、きっと気の所為である――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
聞きつけた陰海月に、引っ張られてきましたー。
ちょっと欲しいのが高いところにあるので、私が取りつつ。
組み立ての主体は陰海月、私はパーツを取っていく係りです。
※
陰海月「ぷきゅ!」一礼はかかさない。
ぼくも仲間だもん!
今回作るのは、モーションタイプの宇宙武将騎兵!(合体済)
何かね、そんなアニメがあったんだって!
霹靂「クエ!」
今回はどんなのができるのか、ワクワク。
友は器用なのだ。
プラスチックホビーの扱いにも手慣れたものであるな、と馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱、『疾き者』は巨大クラゲである『陰海月』が触腕でパーツを組み合わせている光景を眺めていた。
ここはアスリートアースのとある商店街。
そこに看板を掲げる『五月雨模型店』の制作ブースである。彼等が何をしているかなど最早語るべくもないだろう。
公式化されてはいないが、ホビースポーツとして世界大会の開催まで目前と迫っている『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』の試合に参加するために新しいプラスチックホビーを作成しているのだ。
「ぷきゅ!」
『陰海月』が『疾き者』に触腕で指差す。
戸棚の高い位置にあるプラモデルの箱を取って欲しいと言っているのだ。
「はいはい。これですね」
「ぷきゅ!」
一礼している『陰海月』に『疾き者』は箱を手渡し、財布を手渡す。
会計を済ませ、店長に挨拶も欠かさない。
急いで『プラクト』で使う機体を作成しなければならないのだが、こういう時に礼儀を欠くようではスポーツマンシップに悖るというものである。
礼儀もしっかりと教える。
それが青少年の健全なる育成には必要なのだ。
「それで、これを?」
「ぷきゅきゅ!」
手にしていたのは新たなプラスチックホビーに必要なパーツである。
どうやらモーションタイプのプラスチックホビーを今回は使用するつもりのようだ。
「ぷきゅう、ぷきゅぷきゅ!」
どうやら、そのような題材のアニメ作品があるようだった。
『陰海月』はそれに触発されたのだろう。
イマジネーションというものが刺激されてたまらない様子だった。それに自分たちが『プラクト』にて使用する武将系のホビーと組み合わせて一つの作品として確立しようとしているのだ。
その創意工夫に『疾き者』は深く頷く。
「クエ!」
どんなのができるのかな、と机の周りで『霹靂』がウロウロしている。
ヒポグリフである彼にとっては、こういう細かい作業はできない。だから見守るしかないのだが、ソワソワワクワクしている様は『陰海月』となんら変わらぬ精神性を持っているように思える。
「ではパーツの切り取りは任せてもらいましょうかね」
『疾き者』はランナーからパーツをニッパーで切り取っていく。
二度切り必須! と『陰海月』がテンション高めに指示を飛ばす。
二度切りとはランナーとパーツを繋いでいる基部を少し遺して切り取り、更にもう一度刃を入れて綺麗に切り取る用法である。
そうすることによって切り取り口の白化を防ぐことができる。
それに表面の処理を行う時にとても楽になるのだ。
「一つの用法をとっても奥深いものですね」
「だーろー! ちょっと面倒くさいなって思うときもあるけどさ、完成したときの嬉しさったらないよな!」
「ぷきゅー!」
『五月雨模型店』の『エース』である少女『アイン』が作業スペースにやってくる。
どうやら他の猟兵達の特訓から休憩してきているようである。
彼女の言葉に『陰海月』が頷く。
完成までの道程は遠く険しいものであるだろう。けれど、それを乗り越えた後、踏破した後にこそ見える光景があると知るからこそ、『陰海月』は楽しげにパーツを組み合わて、己が描く機体を作り上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーシア・ロクス
また来ました五月雨模型店!
2P「わたしのアルミィ先生のでば」
3P「いいえ今回はわたし(3P)の出番…そう、“アイゼンケーファー立体化計画”です!」
3P「基本構造はコアと、組み換え可能な頭部・右腕・左腕・両肩・脚部というか下半身の大体6パーツで構成ですね。似たような組み換えコンセプトのプラモホビーはあるでしょうし、それをベースに他のロボものプラモも併せて、当然パテも使用して……(メガネ光る)」
2P「これめっちゃパーツ剥ぎ取られたプラモが出るやつ…」
ま、まあ全部ちゃんと買うみたいですし……
3P「ほらそこ!UCも使ったんです!分担した作業始めてください!終わったら起動試験と操作訓練ですよ!」
「また来ました『五月雨模型店』!」
ユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)は三度目となるアスリートアースの商店街に存在する『五月雨模型店』の前で仁王立ちする。
こういう機会でもなければ、立ち寄る機会がないというのは寂しいものであるが、ユーシアは猟兵である。
オブリビオンであるダークリーガーの影ある所に現われるのが常なのである。
「わたしのアルミィ先生のでば」
「いええ今回はわたしの出番……そう、『アイゼンケーファー』立体化計画です!」
他の人格である2P、3Pが騒ぐ。
以前は美少女プラモデルでゲームのキャラクターを再現したし、彼女の言うところの『アイゼンケーファー』というキャバリアの実物を縮小実体化させて使用していたのだ。
ここらで一つ本当のプラスチックホビーを作成してみようと意気込んでいるのだ。
「でも、本物が縮小実体化できるなら、作る必要なんてないんじゃ……」
「いいえ、それとこれとは、別です! 自らの手で立体化すれば、機体への理解が更に深まるというもの。戦いに際して、ブンドドすれば動きのイメージトレーニングにもなるでしょう!」
3Pの並々ならぬ熱意を前にユーシアたちは押し切られる形になる。
とはいえ、自分の機体である『アイゼンケーファー』の立体化。
どうやってやるのだろうとユーシアは疑問に思う。まさか、同じような機体がプラモデルとして販売されているわけではあるまい。
それに加えて、これは『プラモーション・アクト』、『プラクト』競技に使わなければならない。
モーションタイプであろうと、マニューバタイプであろうと操縦しなければならないという点においては可動域と耐久性が物を言うのである。
「おまかせください! 基本構造はコアと君変え可能な頭部、右腕、左腕、両肩、脚部というか下半身の大体6パーツで攻勢ですね」
「でもさ、似たようなパーツってどうやって……」
「組み換えはどのメーカーもコンセプトとして持っているでしょう? それをベースにして他のロボットもののプラモデルを合わせれば」
完成できると、青写真を3Pは広げる。
だが、『アイゼンケーファー』は量産型キャバリアとはいえ、ユーシアたちが扱うようにカスタマイズされている一点ものである。
そうそう似たようなパーツがあるとは思えない。
「なら、エポキシパテの出番だな!」
ばーん、と話に割り込んできたのは『五月雨模型店』の『エース』である少女『アイン』である。
彼女の手にしているのは二剤を混ぜ込んで使うタイプのパテであった。
「これなら粘土みたいにこねて使えるし、硬化したら削って形を出すことだってできるぞ!」
「ふ……当然、パテの使用も視野にいれておりましたよ」
3Pのメガネがキラリと光る。
『アイン』と互いにやるな、という謎の雰囲気を醸し出しているのをユーシアたちはなんだか一歩引いた所でみていた。
相通ずるものがあるというのだろうか、『アイン』と3Pはすぐに仲良くなっていた。
とはいえ時間は多くはない。
コンセプトが決まっているのならば、すぐさま作業に取り掛からなければならない。
「ねー、これめっちゃパーツ剥ぎ取られたプラモが山積みにやるやつ……」
「ま、まあ全部ちゃんと買うみたいだし……」
次々と重なっていく箱。
もう山みたいになっている。それを見上げユーシアたちはおののく。お財布の中身的な意味で。
「ほらそこ! ユーベルコードも使うんです! 分担した作業始めてください! スケジュールは分刻みですよ!」
3Pの熱意に押されるようにしてユーシアたちはプラクト版アイゼンケーファー完成の時まで一睡もできないのだった。
完成を見て、これで眠れると思ったが甘かった。
「さあ、次は起動試験と操作訓練ですよ!」
3Pのメガネが煌めき、ユーシアたちは悲鳴を上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
【POW】
また出たですか「オーデュボン」……「無敵艦隊」?「屍人帝国」じゃなくてです?
……
……まあいい、です。これも依頼です
とりあえずその模型を作って?それで戦わせる、です?
んー……じゃあこれとこれと……(真っ先に何故かシロナガスクジラ模型を取り、空母プラモなどを取る)
知らないです?空クジラはすごい強い、です(※故郷の話です)
そこに飛空艇の力が加われば無敵、です(※個人の感想です)
(作り方を教わりながら、しかし発想は完全にコンセプトも何もなくとりあえず強そうなものとか気に入ったもの山盛りにしました感。クジラに空母甲板とか翼とか追加し、結果「羽のあるクジラらしき何か」に)
※アドリブ類は歓迎、です
『五月雨模型店』と呼ばれる『プラクト』チームに練習試合を申し込んできたドイツ代表のチーム『無敵艦隊オーデュボン』。
其の名にヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は聞き覚えがあった。
『オーデュボン』。
それは大空の世界である自らの故郷の帝国の名であった。
しかし、彼女の知るそれとは異なるようであった。
「……『無敵艦隊』?『屍人帝国』じゃなくてです?」
「『屍人帝国』? なにそれ、えらく物騒な名前だよな!」
『五月雨模型店』の『エース』である『アイン』と呼ばれる少女はヴィクトリアの言葉に首を傾げている。
どういうことだ、とヴィクトリアは思った。
けれど、此れも猟兵としての仕事である。ならば、それは置いておくとする。今自分がしなければならないことはオブリビオンであるダークリーガーから、このチームを救うことである。
「では、何をすればいい、です?」
「お、初めてか! なら、自分の好きなプラスチックホビーを選んでくれよ! なんだっていいぞ! 人型じゃなくたって操作タイプをマニューバタイプにして操縦すればいいだからな」
『アイン』がヴィクトリアを『五月雨模型店』の中へと招き入れる。
店内の戸棚に並べられたプラスチックホビーの箱の数々。奥には制作スペースも完備している。
店の中央には『プラクト』を実際に行うためのフィールドも用意されている。
なるほど、とヴィクトリアは頷く。
「模型を作って? それで戦わせる、です?」
「そうそう。簡単だろ。でも、簡単だからこそ奥深いんだよなぁ」
「んー……じゃあこれとこれと……」
ヴィクトリアはすぐさま一つの箱を手に取る。それはシロナガスクジラの生物模型だった。『アイン』はそれに目を丸くする。
さらにヴィクトリアは『アイン』の驚きを他所に艦船模型の箱を手に取る。
「か、形は似てるけど……それ」
「これとこれを組み合わせる、です」
ふんす、とヴィクトリアは自信満々だった。『アイン』にとっては、その自信が何処からやってくるのかさっぱりわからなかった。
「知らないです? 空クジラはすごい強い、です」
空クジラってなんだ? と『アイン』が思うのも無理なからぬことである。それはブルーアルカディアに存在する巨獣であるからだ。
さらにとヴィクトリアは艦船模型、空母の模型の箱を示す。
「そこに飛空艇の力が加われば無敵、です」
「艦船な。ていうか、空母な」
「無敵、です」
ふんす。
ヴィクトリアの様子に『アイン』は気圧される。ここまで自信たっぷりなのならば、ヴィクトリアの想像力に賭けてみようと彼女は思ったのだろう。
早速購入して工作スペースへと向かう。
「まずはパーツを切り取るんだよ。それで組み合わせを……あ、艦船模型は貼り合わせが多いんだけど、バリ……えっとパーツの余分な部分が多かったり、歪んでいたりするから、それを計算に入れて紙やすりなんかで削って形を整えていくんだ」
「こっちの空クジラはどうする、です?」
「これに艦船パーツを組合わせていくんだよな? なら、パーツを取付けられるように凹んだ部分を作ったりしてさ……」
そんなふうにしてヴィクトリアの自由な発想を元に彼女の、彼女だけのプラスチックホビーが組み上がっていく。
凄まじい山盛り感。
巨大なシロナガスクジラに空母のパーツを組み合わせた姿は、まさに空征く戦艦そのものであったことだろう。
空母甲板が追加された上に、翼のようなパーツも組み合わさり、ヴィクトリアの言葉ではないが、すごく強い、無敵、と思うには十分な出で立ちであった。
「完成した……」
「すごい強い、無敵、です」
むふーとご満悦なヴィクトリア。これはこれで楽しいな、と思ったかも知れない。最後にユーベルコード発生装置を組み込んで、本当の完成である。
「なあ、こいつの名前何にする?」
そう問いかける『アイン』にヴィクトリアは、なんと答えただろうか――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
ナイアルテさん、帰ってきたらじっくり語りあかそうね!
一晩でも二晩でもおつきあいしちゃうよー♪ むしろうぇるかむ!
と、約束された萌えの語りを確保しつつ、
現地の萌えもしっかり保護……って、『フィーア』さんいなーい!?
次回大会の準備中ならしかたないね。
……ここで『五月雨模型店』を守れば、フィーアさんの心はわたしに……
いけない欲望駄々漏れた。
さて、今回は相手が艦船らしいし、空からがいいよね。
『憂国学徒兵』対艦もーど!
飛行用のウイングをつけて上から狙っていくことにしよう。
サージェさんもいっしょに空から行こうよ!
……コンチュウ?(ハイライト家出)
ほら、凧! 忍者で空といったらこれだよね!
サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸……あれっ?なんか軽くスルーされてません?私??
アインさんの「あ、いつものか」的な視線は納得いかないんですが!
理緒さんも何かアッハイオジャマシマシタ
ダダ漏れっていつものことですよね??
仕方ないので
わたわたしているナイアルテさん
略してわたアルテの隠し撮りでも堪能しますかね!
プラクトとはナイアルテさんの萌え化イベントですし!
しかし|約束された萌えの語り《にゃいあるてのよる》を迎えるには勝たなければ
トラメちゃんのメンテは完璧ですが
え?空から?
んーそれならトラメちゃんに昆虫の羽根アッハイスミマセンデシタ!
トラメちゃんが凧乗れるように特訓しますね!
時間がなかったので猟兵たちはグリモアベースからすぐさまアスリートアースに転移した。グリモア猟兵はなんだか語りたそうにしていたが、そんな暇はなかったのである。
具体的に何に対して語ろうとしていたのかは謎であるが、まあ事件より重要なことではないのは確かである。
多分アイスクリームとか甘味とか、そんな具合の取るに足らないことであろう。日記帳にでも書いておけばいいのである。
とはいえ、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はちょっと違った。
「帰ったらじっくり語り明かそう! 一晩でも二晩でもおつきあいしちゃおうー♪ むしろ、うぇるかむ!」
約束された萌えの語りを確保できたことに理緒はご満悦であった。
そんでもって現地である『五月雨模型店』にも彼女の萌えがある。
そう、常に噛みまくっている少女『フィーア』である。彼女のことを理緒は酷くお気に入りであった。
だが。
「えー!?『フィーア』さんいなーい!?」
「え、あ、うん。世界大会予選のためにみんな自分の機体を作るのに専念してんだよ。『ツヴァイ』とかもそうだけど、追加パーツを作るんだって……」
『アイン』と呼ばれる少女がなんとも罰が悪そうである。
彼女たちが不在の間にダークリーガーの率いるドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』との試合を安請け合いしてしまったことに罪悪感を感じているのだろう。
「ふっ、お困りの様子。お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸……」
「だからさー、助けてほしいんだ」
「いいよー! 世界大会予選の準備ならしかたないもんね!」
それに、と理緒は考える。
ここで『五月雨模型店』を守れば、『フィーア』の心は自分の。
「わたしに……うふふ」
「漏れてる。めっちゃ心の声漏れてる」
『アイン』が理緒の口元にハンカチを持って拭う。よだれ出てそうだったから。
しかし、今なんかするっとスルーしたがなんかいたよね?
「なんか軽くスルーされたんですけど!?」
「いや、いつものかって思って」
「『アイン』さん酷くないですか!? その視線、納得いかないんですが!」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)がぴょんぴょん跳ねている。全く忍べてないと噂のクノイチである。それはそう、と読者諸兄はわかってくれると思う。自己主張し過ぎなのである。何がとは言わない。
「サージェさん、お店で騒がないの」
「さっきまでタダ漏れだったくせに」
「何が?」
にこ。
「アッハイオジャマシマシタ」
力関係というのははっきりしているものである。理緒>サージェである。この図式をしっかり覚えておきましょう。これ、シナリオでやったところだ! となるやつです。
いいもん、とサージェは隅っこでいじける。
彼女にはあるのだ。隠し撮りが。グリモア猟兵がわたわたしてる映像が。盗撮やぞ。
「しかし、|約束された萌えの語り《にゃいあるてのよる》を迎えるには勝たなければなりません!」
「隅っこから宣言されてもなぁ……」
「いいですか、私の『トラメ』ちゃんのメンテは完璧のぱーぺきのパーフェクトです!」
「でも今回は相手が艦船らしいし空からがいいよね」
「あ、『プラッグシップ』は空飛ぶよ」
『アイン』の言葉に理緒が、え!? と目を見開く。それはそうだ。だって艦船っていったら海上を征く覇者というイメージが強い。
そこに空を飛ぶという情報が加わればそれは困惑して当然であろう。
「どういうこと?」
「いや、だからさ、『プラッグシップ』って昆虫の羽根みたいなのが船についてんの。そういうやつなの」
ほら、これ、と店内にあった『プラッグシップ』シリーズの箱を示して見せる。そこには確かに艦船に昆虫の羽根がついているのである。
「……コンチュウ?」
「……ハッ! 理緒さんのハイライトが家出している!?」
サージェはいち早く気がつく。
こっちが『トラメ』に昆虫のはねをアッセンブル! って思っていたら、なんと相手チームのプラスチックホビーがまさしくそう云うホビーだったとは思いもしなかったのだ。
「……あの、あのー……『トラメ』ちゃんはー……その、クノイチっぽく凧に乗れるように特訓しますよね!」
「そうだね。ニンジャだものね。サージェさんはニンジャじゃなくてクノイチ……でもないたゆんだけど」
ハイライトが死んでいるせいかサージェへの言葉が切れ味鋭い。
「忍びですけど!? クノイチですけど!? 忍んでますけど!?」
「いいから。もうそれはむりだから」
「無理じゃないですから!」
そんな風にして理緒とサージェは自らのプラスチックホビーを如何にして空戦に対応できるか特訓と試行錯誤を繰り返すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
ステラさん、じおらま、ってなんで……って!
いきなりくねくねしないでください!いろんな意味で怖いですよ!?
ほら、店長さんも逃げちゃったじゃないですか。
で、じおらま、ってなんですか?(たんこぶ)
箱庭みたいなもの、でいいんでしょうか?
ちょっとよくわからないですね。
でも、想いとイメージが大事なのはとっても同意です!
わたしの演奏だって、音楽への熱き想いと、
周りの人を癒やしたいという気持ちが満載、過積載なんですからね!
(バイオリン構えて)
……人を指さしてはいけないって教わりませんでした?
そんな指はこうです(ぱっくん)
ステラさん、最近わたしに対する想いが足りなくないですか?(たんこぶ×2)
ステラ・タタリクス
【ステルク】
なるほど、ジオラマでの再現
いつやりますか?
私もお手伝いしましょう
ええ、メイドイン・ステラ参りました
それはそれとして
|エイル様《主人様》の!香りがしまぁぁぁすっ❤
店長さんはどちらに?
この超弩級有能可憐美少女メイドがご挨拶に参りました、と
アッハイ不在ですね
ではジオラマ作りに励みましょう
え?特訓?
いいですか?アイン様、ゼクス様
確かに反応速度や習熟度は大事な要素です
ですが最後にものを言うのはイメージ
そして想い
それを極めるためにはこのジオラマ作成は避けて通れないのです
間違ってもああはならないように(ルクス様指差し)
人はともかく勇者なので例外かと思ってました
えーこんなに大事にしてますのに?
「強いだけの力に意味はない。優しさだけが、その力に意味を齎してくれるんだ。そうだろう。そうでなければ、生きる資格さえ得られない」
『五月雨模型店』のモニターに映るアニメーション映像に『アイン』と呼ばれる少女は見入っていた。
猟兵たちが集ってきてくれたお陰でドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』との対戦はどうにかなりそうだった。
彼等が作成したプラスチックホビーとの特訓に付き合っていて、今は休憩時間である。
モニターに流れるアニメを見上げ、『アイン』はぽつりとこぼす。
「いいよなぁ。このシーン再現したいなぁ」
「なるほど、ジオラマでの再現」
「ん!?」
『アイン』が振り返った先にいたのは、いつの間にか貴方の背後にいるメイドことステラ・タタリクス(紫苑・f33899)であった。
「いつやりますか? 私もお手伝いしましょう」
「あ、あんたは……!」
「ええ、メイドイン・ステラ参りました」
「それだとなんかどっかの深淵に挑みそうな感じがするんですが、ステラさん、じらおまってなんで……」
そんなメイドであるステラの隣にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は居た。
ジオラマってなんだろうと単純に疑問に思っていたのだ。
だが、それより速くメイドが身をくねらせる。いや、胸いっぱいに『五月雨模型店』の空気を吸い込んだ。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁすっ!!」
ヤベーメイドの降臨であった。
『アイン』はビクッと肩を震わせる。突然である。唐突である。あんまりにもあんまりな叫びであった。
「店長さんはどちらに?」
「え、なんて?」
まだ耳がキーンとしているのか『アイン』は聞き返す。
「なんでいきなりくねくねしているんですか! 色んな意味で怖いですよ!? もっと言うなら社会的な意味で怖いですよ!?}
「この超弩級有能可憐美少女メイドがご挨拶に参りました、とお取次ぎできますか?」
「店長? いるけど……」
ほら、あっち、と指差すが、そこにはもう店長いなかった。あれ? と『アイン』は首をかしげている。
ステラたちが来るとすぐにどっか行ってしまうのはなんでなんだろう。
「ほら、店長さんも逃げちゃったじゃないですか。超弩級変質者って思われ……っ!?」
ごすん、とものすごい音が響いた。
「で、じおらまってなんですか?」
ルクスは頭にたんこぶをひとつできたが、気を取り直してステラに尋ねる。すでにステラはスチレンボードやらペーストの情景素材などを手に取っている。
いや、説明して欲しいと思うのは当然であろう。
「いわゆる情景模型というやつだよな。さっきのほら、アニメのシーンを実際に模型にしちゃうんだよ」
『アイン』が代わりに答えてくれる。
なるほど、とルクスは頷く。
そう言われると納得できるものがある。
「箱庭みたいなもの、でいいんでしょうか? でも……」
ステラの張り切りようを見ると、自分の思っているものとは違うような気がしてきてしまう。なんだろう、あの気合いの入り方。
「あのさ、ジオラマもいいんだけど、特訓は……」
「いいですか?『アイン』様」
ステラがとつとつと語る。
「確かに反応速度や習熟度は大事な要素です。ですが、最後に物を言うのはイメージ。そして想い」
なんかいい具合に語り始めているステラにルクスはうんうんと頷く。
「想いとイメージが大事なのはとっても同意できます! 私の演奏だって、音楽への熱き想いと、周りの人を癒やしたいという気持ちが満載、過積載なんですからね!」
其の言葉に『アイン』は頷けるところがあったのだろう。
それはそうかも、と思い直しているようだった。だが、その前にバイオリンを構えようとしたルクスにステラのげんこつが本日二度目の鉄槌を下す。
「想いとイメージ。それを極めるためにはこのジオラマ制作は避けては通れないのです。間違ってもああはならないように」
そういってステラはルクスを指差す。
だが、その指をルクスが咥えている。
「……ふがふがふが」
人を指してはいけないって教わりませんでした? と言わんばかりである。ふがふがしか聞こえないが。
さらにもう一度げんこつが落ちる。
いわゆるトリプルたんこぶってやつを頭に載せながらルクスは涙目になる。
「ステラさん、最近わたしに対する想いが足りなく無いですか?」
「えーこんなに大事にしてますのに?」
二人のやり取りを宮りながら『アイン』は思った。
「特訓は?」
残念時間切れである――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
……いや…どうなってやがる…こっちでもフュンフとかアインとか…
「あれだよ☆並行世界って奴だね☆いろんな世界で同じような存在があるってのはままあることだぞ☆ご主人サマも覚えがあるんじゃない?」
…エンドブレイカー世界のラッドシティか…なんか僕の顔見て変な反応しいてたしな…
…プラモ作ればいいんだな…取り合えず…ダ◎ルバルデ…くそ!売切れてやがる!
「ご主人サマ☆此処にプラモあるぞ☆」
おお!でかした!ツー訳で作るぞ!
アインつったか!僕はプラモはあまり慣れてねー!アドバイス宜しく!
色々アドバイス貰いながら組み立て…メルクリウス完成!
「っておめーじゃねぇか!?ナンデ!?」
「メルシーの一部で作ったぞ☆」
アスリートアースの商店街。
そのモニターに映るのはアニメ『憂国学徒兵』シリーズの原点たる一作目の映像であった。
そこに映っていた映像を見上げ、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は怪訝な表情を浮かべる。
「……いや……どうなっていやがる……」
カシムは混乱する。
映像の中にてキャバリアのような人型戦術兵器を操る少年。
其の名を『フュンフ・エイル』と。そして、相対している者の名を『アイン』と言っているのだ。
自らが知る名。
『フュンフ・エイル』はクロムキャバリアにおける『グリプ5』の国父たる伝説的な『エース』の名だ。
そして、『アイン』とは今のクロムキャバリアにおいて一線を退いた『エース』の名。
「いや本当にどうなっていやがる……」
『あれだよ☆並行世界ってやつじゃない☆」
「そういうものか? いや、本当にそうなのか?」
だって、と擬人化した『メルシー』が言う。
世界は一つではない。
骸の海に浮かぶ36の世界。
それを猟兵となったカシムは知っているだろう。
『いろんな世界があるんだよ。同じような存在があるってのはままあることだぞ☆ ご主人サマも覚えがあるんじゃない?』
その言葉にカシムは頭を振る。
己が経験したようなこととは、また異なるような気がするのだ。
だが、今はそれどころではない。
アスリートアースにおいてオブリビオンであるダークリーガーの台頭は阻止しなければならない。そのために自分たちは今やってきたのだから。
「……で、なんでしたっけ?」
『ご主人サマが作って、ご主人サマが戦うんだぞ☆』
「なんかどっかで聞いたようなフレーズだな……とりあえず……」
カシムは『五月雨模型店』に入り、自分が使うであろうプラスチックホビーを物色する。赤いロボットがほしいと思ったのだが、どうにも見当たらない。
「なにを探してんだ?」
『アイン』と呼ばれる少女が入店したはいいものの、目当てのものがないカシムに声をかける。別に彼女はこの店の主人というわけではない。
この『五月雨模型店』という『プラクト』チームの『エース』であるということだけだ。それだけで彼女は入店した客に世話を焼くのが当然と言わんばかりにカシムによってきたのだ。
「いや、赤い……」
「ああ、あのシリーズな! 今人気あるからなー……あ、でも!」
『ご主人サマ、こっちにもあるぞ☆』
メルシーが見つけてきた人型ロボットのプラスチックホビーをカシムは手に取る。
「おお! でかした! つーわけで作るか! なあ、ここって制作スペースは……」
「購入してもらったんなら無料で使えるぜ!」
ほら、あっち、と『アイン』が示す先には制作スペースがある。その先には作ったホビーを動かすフィールドも完備されている。
「アドバイスなんかも欲しかったりするんだが……」
「なんだよーもー、それならそういえよなー! 初心者用の道具の貸し出しもやってんだよ、こっちこっち!」
カシムは早速アドバイスを受けながら機体を作り上げていく。
だが、カシムは完成して気がつく。
あれ、自分はこんな機体を作っていただろうかと。
「っていうか、これおめーじゃねぇか!? ナンデ!?」
さっきまで赤いロボットを作っていたはずだ。
だが、完成した目の前にあるのは『メルクリウス』そっくりな機体であった。なんなら色さえも違う!
『メルシーの一部で作ったぞ☆』
「なんでそんなことすんだよ!?」
『ご主人サマが乗るんでしょ☆ なら、浮気は赦さないんだゾ☆』
だゾ、じゃない! とカシムは『五月雨模型店』の制作スペースで叫ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
出来らあ!?
…ええ!1人で練習試合に参加だって!?
という状況な訳だ
というか、先方に謝ってリスケすれば良いのでは…?
まあ良いんだけど…
さて、何作ろっかな
そういや美プラって作って無かったから美プラ作るか…
最近は手に入り易くなったし
流石にアイリペまではやる時間は無いから普通に!作ります!
普通に!
そう、カッコいい系美少女プラモ!
カッコいいにも2種類あって、女の子のカッコいいと男の子のカッコいいは違う
間違えたらいけない、そう…服とかでカッコいい系コーデをするのが正解
…なんかパンチ足りないな
やっぱり武装作るか武装
選んでよかったちょっとお高い武装盛り盛りキット
ゴツイ装備!ゴツイ武器!
美プラはこうでなきゃ!
「出来らあ!?」
何を!?
「……ええ! 一人で練習試合に参加だって!?」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は急に理性を取り戻したかのように、スン……とした顔をしていた。
『アイン』と呼ばれる少女が、シュンとしている。
玲の言う通りだった。いや、概ね間違っていないが、なんかページを間違えたまま製本してしまったコミックみたいな感じな寸劇を玲が勝手に入れたが、まあそういうことであった。
そうなのである。
彼女は今メンバー一人状態なのである。
別に解散したとかそんなのではない。来る世界大会の日本代表を決める予選大会に出場するために『五月雨模型店』のメンバーたちが自分の家にこもってホビーを作成している真っ最中なのだ。
その全く持ってタイミングが悪い時に限ってダークリーガー『蒼銀の女騎士』率いるドイツ代表のチーム『無敵艦隊オーデュボン』との練習試合を安請け合いしてしまったのだ。
「というかさー、先方に謝ってリスケすれば良いのでは……?」
「そ、それはそうなんだけど。世界大会の予選は一ヶ月後……でもって、練習試合は二週間後なんだよ? ずらしてもらいたいけど……」
「スケジュールぱんぱんってことか。まあ、良いんだけど」
とはいえ、玲は今回どんなホビーを作ろうかと頭を悩ましていた。
これまでいろんなのを作ってきた。
サブカルマニアであることを自負する彼女にとって、プラモ製作なんて嗜みみたいなものである。彼女の超絶テクニックは多くの『五月雨模型店』のメンバーたちを魅了してきた。
すでにショーケースは彼女のコーナーがあるくらいである。
「そういや美プラって作ってなかったな……」
美プラ。
即ち美少女プラモデル。猟兵と企業がコラボしたモデルも存在するくらい、近年プラモデル業界では一翼を担うほどのジャンルとして確立されてた新興ジャンルである。
そのシリーズの売れ行きは正直すんごい。
たくさんたくさん売れた。
売れたということは需要があるってことである。需要があるってことはたくさん作られるってことである。
「最初は手に入りにくかったけど、最近はようやくって感じだしね。じゃあ、今回はこれにしよっと」
玲が手に取ったのは『憂国学徒兵』シリーズに登場するキャラクターとコラボレーションした製品だった。
よくあるやつである。
その一つである製品を素体にして彼女は何かアレンジを加えるのだろうと『アイン』はワクワクしていたが、予想に反して普通に作っていた。
「えっ!」
「なんでそんな以外そうな顔? だって時間ないしさ。アイリペまでやってたらほんとに……時間が、溶けちゃうでしょ……!」
本当である。
なので普通に。そう、普通にカッコいい系プラモを作り上げたのだ。
「カッコいいにも二種類あるよね。女の子のカッコいいと男の子のカッコいいが違うのと一緒だよ」
メカを纏うのか、それともメカそのものになるのか。
業の深いジャンルである。
興味本位で近づいてはならない。楽しそうなジャンルだなぁって自分から近づいたら、怖いジャンルだったってことはよくある。ままある。たくさんある。
「今回は間違えたらいけない……ネットで馬鹿みたいにボコスカ叩かれるから……」
「き、気にしすぎじゃ……」
「いや、ほんとにそうだから。なので、今回は服とかをコーデするのが正解。でもなんか……」
わかる。
パンチ足りてない感じ!
なので、玲は思い立ったが吉日とばかりに武装を作り始める。
「ゴツい武器! ゴツい武器!」
「ねえ、さっきまで言ってたことと違う気がするんだけど!」
「あるでしょ。線の細い女の子がデカくていかつい武器を振り回す良さ……」
わかる。とてもわかる。
なので、と玲は構わずごっつい武器を作り出していく。手首の保持力とか大丈夫かな? ってなること請け合いの武器であったが、そこは玲のテクニックの見せ所である。
もうそれは鈍器って呼んでも差し支えのない程の圧倒的な塊であった。
「うん、この武装だ!」
句読点の打ち込むところを間違えたら悲惨なことになるセリフ。
「やっぱ美プラはこうでなきゃ!」
玲は早速出来上がった美プラに愛着が湧いたようである。名前なんかつけるといいんじゃないかなって『アイン』は思いながら、普通にって言いながら結局手の込んだの作るんだよなぁって玲を尊敬の眼差しで見るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
チェスカー・アーマライト
まったく、保険の押売りに負ける主婦かお前は
次からはどんだけ急かされようが「持ち帰って検討します」だ、覚えときな
流石に毎回大破させるのもアレだからな(今回はしないとは言わない)
もう車体骨格から|ポリマーフレーム《強化合成樹脂》で作っちまうか
更に、バッテリー部分に自分の銃に使ってる天使核の破片を追加
異世界由来のモンだろーが使えるモンは使う主義でね
サイズは小指の爪程度だが出力は十分
専用の配線でこいつと主砲を直結、エネルギー弾を撃てる仕様にするぜ
勿論サブ動力にもなるし
腕部に配線通して手持ち火器に繋げばビーム銃だ
当然装甲は限界まで盛る
虎柄の塗装を塗り直して完成だ
改めてよろしくな、ミニタイガー
おおよその事情というのはすでに『五月雨模型店』の『エース』である少女『アイン』から聞き及んでいた。
ドイツ代表のチーム『無敵艦隊オーデュボン』との練習試合。
それを安請け合いしてしまったこと。
メンバーが『アイン』を除いて全て自宅に籠もって予選大会用の機体を作るのにかかり気になっていること。
それらを踏まえた上でチェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)はいつもの引きつったような、ともすれば子供に泣かれそうな表情で『アイン』の頭をこねるようにして撫で回す。
「まったく、保険の押し売りに負ける主婦かお前は」
「んーあー……だってさぁー」
「次からはどんだけ急かされようが、『持ち帰って健闘します』だ、これが魔法の言葉だ。覚えときな」
チェスカーは『アイン』にそう言って、額を指で弾く。
いたーって『アイン』は大げさに言う。
こいつ、わかってるのかとチェスカーは不安になる。将来、この子が結婚したら、絶対に専業主婦なんてやらせたらダメだなとチェスカーは瞬時に理解した。
「まあ、いいだろ。何事も経験だ。失敗は人生につきものだ。挫折もな。避けようがないってもんだ。けど、転んでも立ち上がる方法さえ知ってれば、なんとかなるのもまた人生ってもんだ」
「毎回機体壊しちゃうのと一緒か?」
その言葉にチェスカーは思う。
毎回毎回、当然のように機体に無茶をさせてきた。勝利と引き換えにいつも己の使うホビーは大破を重ねてきた。
ちょっと少年少女の教育上よくないな、とチェスカーも反省したのだ。反省はしたが、今回は壊さないとは保証できない当たり、その、ってなるところである。
「うるせぇな。いいだろ別に。とはいえ、今回は車体骨格から|ボリマーフレーム《強化合成樹脂》で作っちまうか」
それは反則じゃないかと思わないでもない。
だが、考えて見て欲しい。
このアスリートアースのプラスチックホビーにおいては鉄球ぶっ放してくるホビーだってあるのだ。今更である。
「こっちの制作スペースでやろーぜ!」
「『アイン』お前ほんと好きだな、人が作ってる所見るの」
「だってたのしーじゃん! どんなアイデアあるんだろーって気になるじゃん!」
「まあ、いいけどよ……とはいえ、今度はバッテリーが問題だよな。ユーベルコード発生装置を組み込んで動かしてるってのは良いとしても、どうしたってデカくなっちまう」
出力が足りない、とチェスカーは感じていた。
モーターを組み込んだりしたりもしたが、結局、ダークリーガーやアスリートたちの力技で押し切られることが多かった。
ならば、と彼女が手にしていたのは天使核の破片であった。
「なにそれ?」
「おまじないみたいなもんだ。気にすんな」
その破片は爪先程度のものであったが、ユーベルコード発生装置に組み込むことで出力を底上げしていく。
これならが強化合成樹脂でもってかさんだ重量分は軽くペイできるだろう。
「……とはいえ、出力を余らせていんのもな……」
よし、とチェスカーはユーベルコード発生装置と機体に備えられた主砲を直結させる。
「お、もしかして過剰の出力を砲弾にして打ち出しちゃったりすんのか!」
「そういうこった。無論、サブ動力としても切り替えられるようにしていおけば……」
「緊急時にも使えるってわけだな!」
チェスカーは次々とアイデアを形にしていく。更に配線を腕部に通し、手持ち火器につなげていく。
だが、それでも出力はまだ余っているように思えた。
なら、装甲は限界まで盛る。それがチェスカー流ってものである。
「ドカ盛りって感じ」
『アイン』はチェスカーの機体に盛り込まれた過剰な装甲板を見て、そう表現する。まさにそれでさる。
「よしっ、塗装も終わった。改めてよろしくな、『ミニタイガー』」
生まれ変わった己の機体。
そのサイズにチェスカーはご満悦だった。口寂しいと思ったのだろうシガーケースから飴玉を取り出して口に運ぼうとして手が止まる。
目の前には『アイン』が口を開けて待っている。
「ったく」
ほら、と口に放りこんでから、チェスカーは新たな包装紙を開くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
「……個人的な事情も入ってしまうが、改めてプラクトを学びたい。オレも参加させて貰うぞ」
とある事情で壊れてしまったプラクト機体『ナタク』(モーション機体)を修理・カスタマイズして練習に参加させていただきます。
アインや他の猟兵に組手・練習試合を申し込みます。今回は、回避や防御を練習したいので、意識しながら戦います。
アドリブ・連携は歓迎です。
『プラモーション・アクト』は今だ公式化されていないスポーツ競技である。
広義で言えばホビー・スポーツと呼べれるものであったことだろう。
迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)もまた同じく『トイロボバトル』のアスリートである。
近似したスポーツである『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』への参加は当然慣れたものであろう。
とはいえ、彼の手にあるトイロボ『ナタク』は深く傷ついているように思えた。
「おいおい、どうしたんだよ。そいつ!」
『アイン』と呼ばれる少女が『五月雨模型店』を訪れたナクタを出迎える。
今回彼が此処を訪れたのは、もちろん『五月雨模型店』を狙うダークリーガーたちを打倒するためである。
だが、同時にとある事情で壊れてしまった己のトイロボ機体である『ナタク』を修理したいと思っていたからだ。
此処にくればマテリアルや道具なども揃っている。
「悪いな。個人的な事情込なんだが……」
改めて『プラクト』を学びたい、と彼は頭を下げる。
それを見て『アイン』は慌ててしまう。そんな頭を下げられるとは思っていなかったのだ。だって、これはどちらかというと『アイン』の個人的な問題という側面が強い。
メンバー不在の時に練習試合を安請け合いしてしまった手前、『アイン』はどうしても手伝ってくれる猟兵達に対して何か言うことはなかった。
というか、むしろ、こっちからお願いしたいくらいだったのだ。
「そんなこと言うなよ。私達もう一緒に戦った仲じゃねーか。一緒にそいつ、治してやろーぜ!」
そういってナクタは『アイン』に連れられた制作スペースへと足を踏み入れる。
「プランとかってあるのか?」」
「オレの腕が未熟だったばかりに『ナタク』が傷ついてしまった。やはり攻撃よりも回避や防御といった方に重きを置いて戦えるようになりたい」
ナクタにとって、『ナタク』はただのプラスチックホビーではないのだろう。
その思い入れに『アイン』も頷く。
「じゃあさ、色々考えてこーぜ。修理は大まかに済ませて、強化していくプランをねろう!」
その言葉にナクタは頷く。
「とはいえ、どうしたものか」
「うーん、例えばさ、もう本体の方は修理終えてるから動きながら足りてない部分を見つめ直すのもいいんじゃねーかな」
二人は『プラクト』フィールドに自身の機体を降り立たせ対峙する。
強化、と一言に言っても多くのプランがあるだろう。
ナクタの言葉を考えるのならば、防御と回避。
それを伸ばした機体にしたいと考えるのならば、装甲を追加するとか、機体の挙動の俊敏性を上げるといったプランもあるだろう。
「ま、とりあえず練習でやってみようぜ!」
「ああ、やってみよう」
ナクタと『アイン』は『プラクト』のフィールドで己のホビーを動かしていく。
確かに動きは悪くない。
『アイン』の動きを見ているとナクタはよくそれがわかるようであった。
機体を己自身とするのが『モーションタイプ』の操縦方法だ。つまり、機体が人体に近ければ近いほどに挙動が自然となり、シームレスに反応することができる。
「うーん、やっぱりモーションタイプだと外部装甲は心強いけど、邪魔って感じる時もねーかな?」
「確かに。いざというときを考えれば安心感はあるが……」
難しいところだとナクタは悩む。
けれど、その悩みこそが少年たちを育てるのだ。挫折無き道に成長はなく。敗北無き道に勝利への渇望はない。
だからこそ、ナクタは悩みながらも考えることはやめない。
止めないのだ。
それはきっと己の『ナタク』も同様だろう。そう信じるように相棒たる『ナタク』と共にナクタは『アイン』と共に多くのことを学び続け、それを己の身とするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
そのときボクは重要な問題に直面していた
それはあらゆる存在と切っても切り離せない的なあれである
宿疫といってよい運命的な災害である
それによりバラバラXくんは改造せんとした最中のままバラバラなままなのである
寝過ごした―!
間に合うかなーこれー
もう諦めて二度寝しちゃおっかなー
いやあきらめちゃだめだよボク!
まだボクのターンは終わっちゃいない!
あと…〇〇〇…
小人さん…あとおねが…むにゃあ…
そのとき不思議なことが起こった!
意志に反応するメタル的なもので出来たバラバラXくんが神の見る夢に反応していい感じに形態変化したのだ
というかXくんが呆れて自分で自分を完成させた
偉い!!
遅刻って重大なことである。
コミカルに言えば、なんていうか波乱の幕開け的な意味合いとして起こるイベンドであるのだが、しかし、今のロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)にとっては、そうでなかったのだ。
「寝過ごした――!」
そう、ロニは『プラモーション・アクト』、略して『プラクト』の練習試合に遅刻している真っ最中だったのだ。
『五月雨模型店』とダークリーガー率いるドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』との練習試合の日なのである。
それまで彼は夜なべして機体を作っていた。
『バラバラX』。
それはなんかこうもう色々規格外なマテリアルやらなんやらを盛り込んだ性能を持つホビーの枠組みを超えたホビーであった。
流石にやりすぎじゃないかなって思わないこともなかったが、こういうことに遠慮というのは不要である。
やりすぎだって突き抜ければ、それはブレイクスルーとなる時だってあるのだから。きっとそう。絶対そう。
とはいえ、ロニは思ったのだ。
この性能に満足していて良いのかなって。
もっと性能を高めることにチャレンジしてもいいのじゃないかと。そう思ったので『バラバラX』をさらにバラバラにしたのだ。
改造しようとしたのだ。
「わーん、それが裏目になるなんてー! もう諦めて二度寝しちゃいたいんだけどなー!」
けれど、それはできない。
ちゃんと約束したのだ。
練習試合に行くよって。なら護らないといけないだろう。神様的に。
「いやあきらめちゃだめだボク! まだボクのターンは終わっちゃいない!」
一体全体何をどうすれば、そういうことになるのであろうか。
というか、バラバラにした機体は大丈夫なのだるか。
それは安心して欲しい。仕上がっている。
何故なら、小人さんが……いや、違う。意志に反応するなんかこう特殊な素材で出来た『バラバラX』である。
そう、神性たるロニが見る夢に呼応してなんかいい感じに勝手に形態変化してくれたのだ!
もう何も言えない。
というか、諸々がぶっ飛び過ぎていて、どう言っていいかわからない。
「いや、本当に偉いよ! 自分で自分を完成させてくれるなんて! ホント偉い! マジで偉い!」
でも仕様とか練習とかすっ飛ばしているのである。
ぶっつけ本番。
ダメだったらどうしようとかいう憂慮はロニにはない。
「なんでもかんでもどうにかなれー! くらいの方が良いのさ! 万事塞翁が馬っていうでしょ! あと人事を尽くして天命を待つって!」
言ってしまえば、本当になんとかなるっしょ! の気持ちである。
これまでもまあ、なんとかなったのでなんとかなる! ロニは、機体のことがどうとかより、まず遅刻しないことだけを目指してただ只管に『五月雨模型店』目指して爆走するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ジェントルレーサー』
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POW : ラディカルクラッシュ
【自身の肉体または自身のマシンによる華麗な】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【チームメイト】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : ローゼスドライブ
自身が触れた物体ひとつに【薔薇のオーラ】を憑依させ、物体の近接範囲に入った敵を【オーラの薔薇棘】で攻撃させる。
WIZ : 鉄壁の集団走行
【チームメイト】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[チームメイト]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『五月雨模型店』の前にずらりと居並ぶは『ジェントルレーサー』たちと『蒼銀の女騎士』であった。
整然と整列した彼等の姿はどこか美しさすら感じさせるものであったことだろう。
「本日は練習試合を受けてくださり、感謝の極み。代表は来られなかった非礼を詫びさせて頂く。とはいえ、我らもスターティングメンバーばかり。全身全霊を持って良き試合をさせて頂きたい」
そう言って前に踏み出す『蒼銀の女騎士』。
本当にオブリビオンか、この人達と猟兵たちは思うだろう。
何かどう考えても、そう感じないのである。
というか、あれだ。
すごくスポーツマンシップに則っているし、騎士道精神にも満ち溢れている。ダークリーガーはこういう所たまにある!
真剣勝負の末にアスリートを打倒してこそダーク化出来るっていうルールが彼等の立ち振舞を素晴らしいものにしていたのならば、本当に良いことなのだが、なんか釈然としない。
「こ、こちらこそなんだぜ! す、すっげー人達と練習試合できるってうれしー、あ、えっと喜ばしーんだ、ぜ! よ、よろしくおにゃしゃす!!」
噛んだ。
ものすごく噛んだ。
だが、試合は無常にも始まる。
フィールドの空に浮かぶは『ジェントルレーサー』たぐる『プラッグシップ』。
艦船に昆虫の羽根羽ばたく変幻自在なる空中機動と圧倒的な火力。そして艦隊行動による一斉攻撃など、『無敵艦隊オーデュボン』の代名詞と呼んでも差し支えない強力なホビー。
その完成度は整然と並んだ艦影を見ればわかるだろう。
言うまでもなく世界レベルの強敵たち。
「では、征こうか」
「頼むぜ、みんな!」
『レッツ・アクト』――!!
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
…八百長話のときといい、やりにくいったら。
まあ…やることはいつものことなんですが。
私が武将の方のモーション担当ですねー。
ええとたしか…陰海月が仕込んでいたのがこれですね、プラクト用漆黒風。なんでも、ランナーの切れ端削ったんだとか。
それを構えてからの…射出ですよー。
なるべく近づきすぎないように、霹靂が間合いを保ってくれてますしー。
しかし…相手の薔薇オーラとの共演、意外と絵になりますねー?
※
陰海月「ぷっきゅ!」
ポンポン持って応援!
霹靂「クエー!」
騎馬のモーション担当!
宇宙騎兵の騎馬は、スペース機械馬!友の新作にワクワクしつつ飛ぶ。
ダークリーガー『蒼銀の女騎士』が率いるドイツ代表の『プラクト』チーム、『無敵艦隊オーデュボン』。そのチームを構成するのは艦船型ホビー『プラッグシップ』を操る『ジェントルレーサー』たちであった。
彼等の物腰はとても穏やかであり、同時に優雅でもあった。
ただ立っているだけ。
それだけでも品があるように思えたし、またそれはフィールドに投入された『プラッグシップ』の造形にも反映されているように思えたことだろう。
壮麗。
その言葉がしっくり来るほどに洗練された戦艦。そして、その戦艦を飛行能力を支えているのが昆虫の羽根である。
「それでは正々堂々と……『レッツ・アクト』!」
ものすごく礼儀が正しかった。
「あっ、ウッス!」
こちらの『エース』、『アイン』はどうにも慣れていないというか、相手チームの律儀さというか真面目さに引っ張られてしまっていて、ギクシャクした動きをしていた。
「……八百長はなしの時といい、やりにくいったら」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』はどうにも困ってしまっていた。
以前、『プラクト』の試合において八百長を提案され、そして八百長を仕掛けた社長子息の性根を叩き直そうとしたダークリーガーがいたのだ。
『疾き者』はそれを思い出していた。
あまりに真面目。
あまりにも邪悪から程遠いスポーツマンシップの塊。
オブリビオンなのに、なんていうか、やりづらくて仕方なかったのだ。『無敵艦隊オーデュボン』のダークリーガーも同様だった。
空飛ぶ艦隊が此方のメンバーが出揃うまで隊列を組んで待っているのだ。
「まあ……やることはいつものことなんですが」
「ぷっきゅ!」
操縦パーティションの外では『陰海月』がポンポンを持って応援している。
それに答えるように『霹靂』が『疾き者』を騎乗させた上で『モーションタイプ』の操縦方法で彼を模した騎馬を動かしている。
そう、今の『疾き者』は機動宇宙騎兵と一体になっているのだ。
「それでは参りましょうか。正々堂々というのであれば……」
「ええ、善き試合に致しましょう。構え!」
その言葉とともに『ジェントルレーサー』たちが操る『プラッグシップ』が動き出す。艦船というのはどうにも緩慢な動きであるように思えてなからなかっただろう。
けれど、実際には違う。
あのサイズになった時、積み込まれた推力というのは馬鹿にならない。
直線での速度、そしてあの昆虫の羽根によって機動力がアップしている。ただの空飛ぶ艦船と見くびっていてはこちらがやられると『疾き者』は即座にりかいしただろう。
「なるほど。真の艦隊戦というわけですか」
「これぞ我らが『無敵艦隊オーデュボン』の名の由来。二次元ではなく、三次元による艦隊戦法。これによって我らが火力は薔薇の如き華麗さでもって敵を仕留めるのです」
全部言ってくれた。
要は艦隊包囲網を敷き詰め、一斉に敵を撃滅すると言っているのである。
というか、敵にそんなこと言って良いのだろうか。
攻略の鍵とかになったりするのではないだろうか。こんな時にスポーツマンシップに満ち溢れたことをされると、なんとも言い難い気持ちになってしまう。
「とはいえ、『陰海月』が折角作ってくれたのです。全力を尽くさねば、互いに非礼というものでしょうからねー」
ならば、と煌めく機動宇宙騎兵のアイセンサー。
それはユーベルコード。
静かに構えたのは、ランナーを削り出した棒手裏剣。
「モーションタイプであるのは、こういうときのためでしょう」
それはめにも止まらぬ速度。
放たれたプラランナー製の棒手裏剣は一斉に『プラッグシップ』へと放たれ、その強靭なる装甲を貫く。
「なんの! 我らの薔薇のオーラを貫いたとて!」
艦隊から放たれる薔薇棘の一斉攻撃。
その雨のごとく降り注ぐフィールドを『疾き者』は『霹靂』操る騎兵の機動力を活かして走り抜けていく。
敵ながら見事なものである。
「ですが、どうにもやりづらい。わかりやすく悪役のほうがもっと……!」
下手にスポーツマンシップに則っているから余計に、と思うだ。
けれど、『陰海月』も『霹靂』も『プラクト』を楽しんでいるように思える。ならば、己がこう思うことも無粋であろうと『疾き者』は思い直し、迫りくる薔薇棘の一斉射の中を走り抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
さあ、目覚めの時だ『ハリウッド怪獣王』ッ!
ちなみに操縦はマニューバだ。
他のプラモに比べ一回り、いや二回りはデカいこの存在感。大迫力ッ!目立つ事この上ないッ!カッコいいッ!
艦隊に進軍だ。そして巨体や豪腕、尻尾をぶん回して大暴れだぜ。
はっはっはっ、まさに映画だなッ!
一斉攻撃されようが効かねえ効かねえ。大怪獣はびくともしねえッ!
種明かしするとプラモの中の空洞部分に『結界霊符』を貼り、プラモ表面部分に薄い結界が展開してんのさ。
通常サイズじゃ無理な巨大プラモだからこその芸当よ。
デカさはデメリットばかりじゃねえって事よ。
さあ、くらえ【大火炎大息吹】ッ!
マグロ食ってる奴とは違うんだぜッ!
【アドリブ歓迎】
「な、なんだあのプラスチックホビーは!」
ダーク化アスリートである『ジェントルレーサー』たちは目をむく。
彼等が操る『プラッグシップ』は艦船に昆虫の羽根を要する空飛ぶ船である。空中での三次元的な挙動に加え、彼等の折り目正しくも整然とした所作によって見事な艦隊行動を取ることができる。
そして、それが『無敵艦隊オーデュボン』の由来でもあった。
一糸乱れぬ艦隊挙動。
それによって放たれる砲撃の苛烈さというのは、何者も逃さぬほどだった。
けれど、彼は今目の当たりにしている。
薔薇のオーラを纏う艦隊から放たれる薔薇棘の一斉射。
何者も耐えられない筈だった。なのに、爆煙上がるフィールドの中に一つの巨大なる影が揺れる。
そう、其処に在ったのは。
『さあ、目覚めの時だ『ハリウッド怪獣王』ッ!」
咆哮が轟き巨大な怪獣をもしたホビーが爆煙を吹き飛ばして現われる。
巨獣。
そう呼ぶにはあまりにも巨大過ぎるホビーを操るのは、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)であった。
迫りくる薔薇棘などものともしないように前進を進める。
一歩進むたびにフィールドには地鳴りが響き渡る。無論、それは錯覚ではない。事実、圧倒的な質量で持って『ハリウッド怪獣王』はフィールドに地鳴りを引き起こしているのだ。
「な、なんて巨大さだ……! 我らの一斉者が、まるで効いていない、だと……!?」
『そりゃそうよ! 怪獣王をなめんじゃあねぇぜッ! 見ろよ、この存在感! この大迫力! フィールドで目立つことこの上ないッ! くーッ、カッコいいっ!!』
凶津は赤い鬼面をカタカタ揺らしてご機嫌だった。
操縦パーティションの中で揺れ動く彼は、マニューバタイプの操縦方法を選択している。それもそうである。
この『ハリウッド怪獣王』は人型ではない。
例え、特撮映画の主役をもしているのだとしても、ハリウッド版はどう考えても人が入っている余地など無い。よしんば入っていたとしても、とんでもなく窮屈な思いをしなければならない。
だからこそ、マニューバタイプなのだ。
これにより凶津は人の動きではない怪獣そのものの動きをフィールド内で再現して見せているのだ。
尻尾を振り回し、空を飛ぶ『プラッグシップ』を叩き落とす。
さらに剛腕でもって掴みかかり、その場で艦体を割り箸のようにへし折ってしまうのだ。爆発が怪獣王の体を舐めるようにして溢れる。
けれど、それでも凶津の操る『ハリウッド怪獣王』は止まらない。
『無駄無駄ぁッ! この程度で止まるものかよッ!』
凶津は笑いがとまらない。
この光景はまさに映画で見たままだ。
艦砲射撃の一斉射をまともに受けようとも、びくともしない怪獣王。
あまりの強靭さに『ジェントルレーサー』たちは明らかにおかしいと思っただろう。
「どういうことだ!? これだけの攻撃を受けて何故、傷ひとつ……!」
『種明かしを一つしてやろうかッ! これはな、プラモの空洞部分に結界霊符を張り巡らせて、プラモ表面部に薄い結界を展開してんのさ!』
「……!? だが、それだけではこの強靭さは説明できない……!」
『ところができるのさ! たしかに一枚一枚では結界は強くはないだろうさッ! だがな! この巨体だ! 貼れる結界霊符の数は通常の倍以上だぜッ!?』
そういうことか、と『ジェントルレーサー』たちは理解する。
巨体であるがゆえに張り巡らせる結界霊符の数は多くなっっていく。
そう、通常サイズではできない、巨体であるからこそ出来る芸当なのだ。
「なんという……! 巨大であるがゆえに的になるというデメリットをこんな方法で……!」
『そういうこった! デカさはデメリットばかりじゃねえってことよ! さあ、喰らえよッ!』
凶津の鬼面がユーベルコードに煌めく。
同時に『ハリウッド怪獣王』の瞳も煌めく。
口腔が開き、その奥より放たれるは、大火炎大息吹(ダイカエンオオイブキ)。強烈なる炎の嵐は一瞬にして『プラッグシップ』の艦隊を飲み込み、次々と叩き落していく。
『マグロ食ってる奴とは違うんだぜッ! 見たか相棒ッ! これがハリウッド怪獣王だッ!』
その言葉にパーティションの外にいる桜は曖昧な顔をする。
よくわからない、というのが本当のところだろう。
けれど、下手なことを言うと確実にシリーズ第一作から鑑賞する上映会が始まることを知っているからこそ、彼女は凶津に手を降ってお茶を濁すのだった――!
大成功
🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
「…フッ、そうだな。これは戦争じゃない。礼儀は大切だな。よろしくお願いします」
プラクト機体『ナタク』ですが、装甲を若干軽くします。
(昔から『当たらなければどうということはない』と言うが……実践で見せてやろう!)
UC【Attack from evasion】を使用
まずは回避に集中。弾幕が濃くなる前にトライアンドエラー
回避しつつ敵船隊に近づき攻撃を仕掛けます
アドリブ・連携は歓迎です
第一章では分かりにくいプレイングを送ってしまい申し訳ありません。
諸事情でナクタはトイロボ機体『OM-NATAKU』とは別にプラクト機体『ナタク』を所持しております。別のシナリオにて、一時的に『ナタク』を前に出したところ、何も出来ずに破壊されてしまいました。様々な理由があると思いますが、ナタクは自身の実力不足・プラクトや『ナタク』への理解不足が原因と考えています。姿を模させてもらった『NATAKU』にも、何もさせられなかった『ナタク』にも申し訳ないと考え、改めてプラクトを学び、双方の相棒の期待に応えたいと思ってます。
ドイツ代表の『プラクト』チームは確かにダークリーガーによってダーク化されたアスリート『ジェントルレーサー』達によって構成されている。
勝敗を決するのは相手チームを全て撃破する時である。
それは謂わば殲滅戦というものであったことだろう。けれど、と迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は思い直すのだ。
「……フッ、そうだな。これは戦争じゃない。礼儀は大切だな」
「ええ、その通り。これはスポーツ。如何なる戦いにおいても、このスポーツマンシップといものは尊重されるべきものでありましょう。これがあるからこそ、人は獣ではなく、知性ある人間として戦うことが出来るのです」
『ジェントルレーサー』たちは一斉に操る『プラッグシップ』を空中にて展開する。
整然とした一糸乱れぬ艦隊行動だった。
凄まじい練度であると言わざるを得ないだろう。
そして、その礼儀正しさというものもまたナクタは己が得るべきものであると理解する。
「よろしくおねがいします」
「ええ、こちらこそ! それでは参りましょう! 我らが鉄壁!『無敵艦隊』と呼ばれた威容を!」
一斉に『ジェントルレーサー』たちの操る『プラッグシップ』が昆虫の羽根を模したパーツを羽撃かせ、三次元的な挙動を見せる。
その動きは、連携は見事の一言だったことだろう。
放たれる艦砲射撃。
隙を見せぬ回避挙動。
いずれもがシステマチックであり、また同時に凄まじい精度でコントロールされたものであるとナクタは識るだろう。
けれど、自分だって負けるつもりでフィールドに出てきたわけではない。
「昔から『当たらなければどうということはない』と云うが……今こそ実践で見せてやろう!」
「そうだ、その意気だぜ、ナクタ!」
『アイン』の機体と共にナクタは己のホビーである『ナタク』を操る。
彼女との特訓で得た閃きがあった。
確かに盾は自分の身を守るのに適したものである。けれど、それは恐れを払拭するものではない。傷つくことを恐れていては何一つ得ることはできないと識る。
迫る艦砲射撃の雨。
その砲撃の雨の中を『ナクタ』は『ナタク』と共に駆け抜ける。
己と機体は一心同体。
己が迷えば、機体も迷う。
迷いは挙動に乱れを生み出す。乱れは隙となって機体に決定的なダメージを与えることになる。
脳裏に浮かぶのは。
「もうあんなことは二度とごめんなんだ!」
破壊された自分の機体。
『プラクト』において、機体の撃破とは即ち、プラスチックホビーの破壊と同義である。
故にナクタは悔いたのだ。
己の実力不足、経験不足に寄って己が作り上げた機体が破壊されるくやしさを。いや、それ以上に。
「もっと『ナタク』はやれたはずなんだ。なのに、オレの実力が足りないばかりに一方的に破壊されてしまった……!」
「悔しいよな、わかるよ。だからっ!」
「ああ、だから、この悔しさもまた経験の一つだ。オレは!」
ナクタの瞳がユーベルコードに煌めく。
同時に『ナタク』のアイセンサーが煌めく。
迸るユーベルコードの輝き。
迫る砲撃。
その弾速は凄まじいものだった。『ジェントルレーサー』たちも仲間たちと連携することに寄って能力を向上させている。
並のアスリートではない。
だからこそ、その一射は避けようのないものであった。
またやられる。
その自覚がナクタの背筋を泡立たせる。フラッシュバックする光景。破壊された『ナタク』。自身が作り上げた時のこと。どのように作るべきかと心を踊らせたこと。
それらが一瞬にしてナクタの中を駆け巡っていく。
「そうだ、オレは!」
迫る砲撃を『ナタク』は躱す。
一度の奇跡だったことだろう。
けれど、今のナクタは違う。そう、一度の奇跡を連続して手繰り寄せる。彼のユーベルコードはそういうものであった。
「……ッ! 躱したッ!? この砲撃の雨を……ッ!」
「いよっし!」
「……ッ、出来た……! 避けたぞ!」
ナクタが咆哮する。
それに呼応するように『ナタク』のユーベルコードに煌めく機体がフィールドを駆け抜けていく。
何度失敗してもいいのだと気がついた。
何度打ちのめされても良いのだと知った。
肝心なのは。
「どう負けないかじゃない。どう立ち上がるかだっ!」
ナクタは己の機体を信じる。『ナタク』を信じる。『ナタク』が己を信じて機体を託してくれるように。自分も信じるのだ。
故に、自信という。
喪ったものは取り戻せば良い。
「今度はこっちの番だ! コール! Attack from evasion(アタック・フロム・イヴェイジョン)!!」
ナクタはもう迷わないだろう。
機体に応えたい。己の技量を信じる機体のためにも。
己が最も彼等を操り、戦うことができるのだと自分自身で信じるために、雨のように降り注ぐ艦砲射撃の全てを、小如くをナクタは躱し『プラッグシップ』の艦橋へと飛び込む。
「見事……ッ!」
放つ一撃が『プラッグシップ』を打ち抜き、その艦体を空より大地へとしずめる。
最早、ナクタを捉える砲撃はない。
彼の機体と共に飛ぶ様は、自身を失うより前よりも、強く輝き、そのアスリートとしての輝きをフィールドに示し、場外を含めたこの試合を観戦していた全ての人々から拍手喝采を受けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うわ濃い!
なんかもうモブから濃い
薔薇投げんなし!!
そうゴツイ武器と言えば多段変形!
そして多段変形といえば見立て変形で何か変な乗り物に!
そしてまずはそれにゲットライド!
カゲキに!楽しい!
という訳で操縦方法は…非常に遺憾ながら…普通にモーションで動かします…
武装の塊サーフボードに乗って、こっちも空を飛ぶ!
飛びそうにない?『念動力』で無理矢理飛ばすんじゃい!!
そして【剣技・嵐狼剣】を起動
白狼の力をボードに乗せて、これで見立てユーベルコード!!
戦闘力強化!
そのまま質量で突撃して、プラッグシップを轢いていこう
そう!バランスを取るのがモーションじゃないと難しい!
もうちょっと関節カッチリしとくんだった!
ダーク化アスリート『ジェントルレーサー』。
彼等の居住まいは整然としていたが、しかし月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思った。
「濃い……」
何が。
「何がでしょうか?」
無駄にキラキラしている『ジェントルレーサー』たちの容姿。
一律に揃いも揃って、みんな濃い顔をしている。劇画調っていうのはこういうことを言うのだろうかと思うほどであったが偶然である。
なんでかはわからないが、どうしてかいつもこんな漢字で皆同じ顔に見えてしまうのだという。
確かによくよく顔を見たら、ちょいちょい違うところがあるように思えるのだが。
「いや、もうそんなことどうでもいいくらいキャラ濃い! ていうか薔薇投げんなし!!」
「そうはおっしゃられても、これが我ら『無敵艦隊オーデュボン』の戦法故! 致し方なしとしていただきましょうか!」
フィールドに飛ぶ『プラッグシップ』。
艦船模型に昆虫の羽根をはやしたような造形のプラスチックホビーは、見事な艦体行動でもって猟兵達『五月雨模型店』を追い詰めていた。
彼等の戦法はあまりにも整然と統制された艦隊行動にある。
一糸乱れぬ包囲網。
それによってまとった薔薇のオーラより離れる薔薇棘の一斉者はフィールドを駆け抜ける玲の美少女プラモデルを追い詰めていく。
「ええい、なんていうかキャラも濃ければ見分けもつかない上に薔薇が舞うとかどんな絵面なの」
もうわけわかんないことになってる、と玲は叫ぶ。
「|お嬢さん《フロイライン》、これは我らが戦法。散るとしても薔薇の花弁と共に美しく散って頂きたいという我らのせめてもの情けと思っていただきたく」
「ええい、ルビでけったいなことを言うな!」
玲の美少女プラモデルがふるう巨大な武器。
その武器を振るい上げ玲は叫ぶ。
「ゲットライド! カゲキに! 楽しい!」
振るう巨大武器はなんか見立て変形するようにガッシャンゴッションやって魔女の箒のような形へと変わる。
戦端の突起がブースターのようにエネルギーを噴射させ、薔薇棘の猛追を躱すのだ。
「だが、それでも我らが薔薇の花弁は追いつくでしょう!」
吹き荒れる一斉射。
確かに直線的な動きでは逃げ切れないかもしれない。
「非常に遺憾だけれどしかたない! オープンチェンジ!」
箒のような形になっていた武装が分解し、平たく形を変えていく。
それは即ち、サーフボード。
ユーベルコードの光の粒子を波に見立てるようにして玲の美少女プラモデルは空を縦横無尽に駆け抜け、薔薇棘を次々と地面へと失墜させていく。
「どう考えても飛べている雰囲気がないのですが!?」
「こちとら念動力で無理矢理飛ばしてんじゃい! そんでもって、一斉射の隙にダイレクトアターック! 剣技・嵐狼剣(プログラム・ストームウルフ)! 白狼の力を宿したボードで見立てユーベルコード!」
「それは無理矢理がすぎるのでは!」
「言ったもん勝ち! 見えるでしょ。じわじわとサーフボードが白狼に見えてきたでしょ! 蒼き風を纏う白狼に見えてきたでしょ!」
あまりにも強引な物言い。
されど『ジェントルレーサー』たちは付き合いがよかった。
対戦相手がそうだというのならば、そうなのかもって思う程度には付き合いの良いダーク化アスリートたちであったのだ。
「ならば、その白狼を蹴散らして!」
「このままぶちかます!」
『プラッグシップ』へと飛び込む玲の操る美少女プラモデルと白狼ったら白狼に見えるんだ、というサーフボード。
蒼き風は嵐を呼び起こすように『プラッグシップ』に体当たりをぶちかまし、その船体を吹き飛ばす。
「むちゃくちゃじゃないですか!?」
「おっと、バランスとるのが難しい……けど、私の体幹ならさぁ!」
弾かれるようにしてサーフボードごと機体が宙を舞う。
サーフボードを掴み、玲の美少女プラモデルは空中で一回転しながら蒼き風に乗って、さらに急降下しながら変形した武装の一撃を叩き込み、船体をへし折るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
UC発生装置を組み込んだウイングを輝かせ、
サージェさんと2人派手に登場。
サージェさん、今こそいつもの口上をぶちかますとき!
思いっきりいっちゃてー!
と、言わせておいて、口上の途中で【テスカポリトカ】かまします。
卑怯?虫にそんなものはない。
全ての虫は疾く死すべし。
サージェサンイマダヨ。キザンデキザンデ。
ワタシニムシヲミセタジブンヲノロエ。
(じつはこっそりハイライト家出継続中)
サージェさんの攻撃の合間にも、
【テスカポリトカ】の第二射とか、【M.P.M.S】の斉射とかで攻撃。
サージェさん?
きっとだいじょぶ。だってクノイチだもん。
最後にソフトボールで挟んであげれば、きっと全て許される。
サージェ・ライト
【理緒さんと】
どう見ても陸戦用のプラクトであるトラメちゃんの
史上最大のピンチではないでしょうか!!
というか凧どこいきました!?
えっ
口上は登場時とラスボス戦と決まってアッハイヤリマス
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、この口上必要でした!?!?(理緒さんのアンブッシュを見て
理緒さんが荒ぶっておられる
というか誰ですが地雷を空から撒こうとしてる人
責任取ってハイライト連れ戻してください!!
理緒さんの煽りが凄い勢いになってきたので
トラメちゃんいきますよ!
一回地面に着地しつつ、ハイジャンプ&猫パンチ爪ひっかき
ふっ、侮るなかれ猫科の跳躍力と耐久力!
あとソフトボールは本当に意味が解らないです
ないですよね?
ダーク化アスリート『ジェントルレーサー』たちの操る艦船模型『プラッグシップ』は昆虫の羽根を有する戦艦めいたホビーであった。
船でありながら空を飛ぶ。
その特異性を持ちながら、彼等の本国であるドイツでは人気の高いホビーとなっている。
バックボーンストーリーを明かすのならば、『プラッグシップ』は宇宙を二分する勢力が艦隊戦を繰り広げる一大銀河叙情詩なのである。
その重厚なストーリー。
そして魅力あふれる登場人物たち。
『ジェントルレーサー』のキャラが濃いなぁって思っていた猟兵たちは理解するだろう。あれってもしかして、その作品のキャラクターのコスプレなんじゃないかと。
だが、そんな事情などハイライトの家出している菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)には関係のない話であった。
ユーベルコード発生装置を組み込んだウィングを輝かせながら、彼女の機体がフィールドに降り立つ。
やっぱりハイライトは家出しっぱなしであった。
「あ、あの! どう見ても陸戦用の獣型プラクトである『トラメ』ちゃんの史上最大のピンチではないでしょうか!!」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はちゃっかり一人だけ空戦用の装備をこさえていた理緒に地上から呼びかける。
ていうか、凧でどうにかという話が出ていたはずであるが、それはどうなったのか。
「あの、凧って用意してもらえてるんじゃ」
「サージェさん」
「あはい」
サージェは思った。
これはやな予感しかしない。
どう考えても厄介なことをさせられる流れるであると理解しただろう。
「今こそいつもの口上をぶちかますとき! 思いっきりいっちゃってー!」
ハイライトのない瞳で笑顔を作られると怖い。
「えっ。前口上っていうのは、登場時とラスボス戦と決まって」
「じゃあいまでしょはやくやってやくめでしょ」
「アッハイヤリマス」
サージェは諦めた。
「お呼びとあらばさんじましょう!」
「あちらも大変そうですね。艦隊停止! 前口上を邪魔立てしてはならん!」
『ジェントルレーサー』たちの付き合いの良さ。
「私はクノイチ――」
「テスカトリポカの鏡(テスカトリポカノカガミ)!」
突如ぶっぱされるユーベルコードの大火力に寄る光条の一撃。
それはサージェの前口上を聞こうと艦隊行動を停止していた『ジェントルレーサー』の操る『プラッグシップ』を丸々と飲み込む強烈なる一撃であった。
びっくりするくらい見事なアンブッシュ。不意打ち。というか、あまりにも卑劣。卑怯。鬼。悪魔!
そんな声が聞こえてきそうであるが、理緒は構わなかった。
彼女の瞳に宿っているはずのハイライトはまだない。
「卑怯? 虫にそんなものはない。全ての虫は疾く死すべし」
「この口上必要でした!?!?」
「サージェサンイマダヨキザンデキザンデ。ワタサイニムシヲミセタジブンヲノロエ」
カタコト怖い。
どうしてそこまで虫を毛嫌いするのか。
サージェには分からなかったが、唯一彼女が荒ぶっていることだけはわかる。『無敵艦隊オーデュボン』のみなさんが紳士であるからこそ、理緒の狂気が際立つ。あ、いま狂気って言っちゃった。
「ていうか、今なんかばら撒きませんでした!?」
サージェの操る『トラメ』の頭上からばらまかれるのは、理緒のホビーから落とされる地雷。
マジで殺る気である。
殺意が高すぎるとサージェは煽り抜きで恐ろしいと思った。
「なんという……! 前口上と合体シークエンスは手を出してはならぬという約定を逆手に取るとは!」
「そんな約束はないよ」
「いえ、流石に『ジェントルレーサー』さんたちの言い分もわか」
「サージェさん」
「あはい」
「きっとだいじょうぶ。だってサージェさんはクノイチだもんね。できるよね?」
さらにぶっぱされる光条の一撃。
流石に『ジェントルレーサー』たちもたまらず応戦するが、初撃を譲った以上、彼等の艦隊行動はぐずぐずになってしまっている。
いや、グダグダといってもいい。
それほどまでに理緒の不意打ちの一撃は、彼等の連携を瓦解させていたのだ。
「わたしやる意味ありましたかね?」
サージェの操る『トラメ』はハイジャンプと前肢による猫パンチと爪ひっかきを駆使して、電光石火(イカズチノゴトキスルドイザンゲキ)のように『ジェントルレーサー』たちの『プラッグシップ』に傷を負わせていく。
「侮ることなかれ、猫科の跳躍力と耐久力!」
「はい、ソフトーボール」
「いやなんで!? なんでソフトーボールなんです? 猫科? 猫科だからボールでご機嫌取りすればいいやってことなんです!?」
サージェの言葉に理緒はハイライト家出した瞳のまま、空より『トラメ』を見下ろしてニッコリする。
意味の分からない意味深な笑みにサージェはおののきながら、早いところ『ジェントルレーサー』たちが逃げてくれることを切に願うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
わたしのせいですか?
それに咥えただけですから!ちょっと舐めましたけど!
って、わたし『で』!?
減らすというか、そんなのなくて……わわわわ!?
押さないでくださいー!?
わたしは勇者ですし、【ソナーレ】もゴーレムですから、盾はおっけーですけど、
でも演奏しないとこの子動かないですよ?
まぁ、わたしの圧倒的表現力の演奏に相手がひれ伏しちゃいますと、練習試合にならない、
というステラさんの気持ちもわかりますが!(どやぁ)
それはともかく。
相手は飛び回りますし、【魔弾の射手】で行動制限させていただきますよ!
さ、ステラさん、これで余裕を持って……って、
なんでこっちのビットまでよろよろしてるんですか!?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
まったく
ルクス様のせいで特訓ができなかったじゃないですか
人の指を食べてはいけませんと習いませんでしたか?
ですが対決の時が来た以上
ルクス様で遊んでいる時間は減らしませんと
それでは、いきましょうかクリムゾン・リッパー
レッツ・アクト、です(微笑&ポーズ決めながら
それにしても清々しいほどに気持ちが良い方々ですね
ならばこちらも真正面から押すとしましょう
ルクス様、演奏禁止
理由?正々堂々にならないからですね……
【クリムゾンビット召喚】
速度は負けているかもしれませんが
機動力と射撃でプラッグシップを落としていきましょう
しかしここはいつから風の谷になったのか
気にせずルクス様の機体を盾にしますね
「まったく、ルクス様のせいで特訓ができなかったじゃないですか」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はとても憤慨していた。本来ならニ週間の特訓の期間があったのだが、彼女たちはジオラマ作成に時間を取られ、またルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)に指を加えられたりしていたら、特訓に割く時間があっさりなくなってしまっていたのだ。
自業自得ってうか、イチャイチャしていただけなんじゃないかなって『アイン』は思ったのだが、妙なことを言うとこじれるってわかっていたので彼女は口を噤んでいた。
こういう時、ちゃんと黙っていたほうが後々得だって学べたのは彼女にとって大いなる経験であったことだろう。
そういう意味ではステラとルクスは良い教師だった。反面だけど。
「人の指を食べてはいけませんと習いませんでしたか?」
「わたしのせいですか? 咥えただけですから! ちょっと舐めましたけど!」
いや、そういう問題じゃないだろって『アイン』は思った。
特訓の時間が足りなくなったのはジオラマ作成していたからである。どう考えてもそっちの方が割合多い気がする。
『とはいえ、対決の時です。これ以上、ルクス様で遊んでいる時間は減らしませんと」
「わたし『で』!?」
「それではいきましょうか『クリムゾン・リッパー』。レッツ・アクト、です」
「あの、話聞いてくださいよー!」
そんなルクスをよそにステラの『クリムゾン・リッパー』がフィールドに投入される。
微笑みと共に決めポーズを取っているところからして慣れている。
ついでに『無敵艦隊オーデュボン』のダーク化アスリート『ジェントルレーサー』たちは決めポーズが終わるまでしっかり待ってくれていた。
「ふっ、やはりあなた方ならば待機していてくださると思っておりました」
「無論。|お嬢さん《フロイライン》。それがお約束、というものでありましょうから。ですが、試合が始まった以上、女性とはいえ加減できませんよ!」
薔薇のオーラを纏う艦隊。
彼等の連携は見事だった。羽根の生えた艦船ホビー『プラッグシップ』。その巨体での行動は見事な統制でもって隙のない挙動を見せ、薔薇のオーラ寄り放たれる薔薇棘の一斉射は地上にあるステラの『クリムゾン・リッパー』へと遅しかかる。
「清々しいほどに気持ちの良い方々……ならば、こちらも真正面から押すとしましょう」
「来ましたね! なら、わたしが!」
ルクスの操る『ソナーレ』が迫る薔薇棘を前に飛び出す。
ステラの機体が鉾であったのならば、己は盾。
そう思って飛び出したのだが、ステラがちょっと待って、と『ソナーレ』の肩を掴む。
「んえ?」
「ルクス様、演奏禁止です」
「えっ、なんでです? 演奏しないとこの子動かないですよ?」
「確かに。ですが、正々堂々たる勝負なのです。これは。彼等の清々しい程の騎士道精神wの前に、ルクス様の演奏はあまりにも反則技なのです」
「え、えー……そうですかぁ? わたしの圧倒的表現力の演奏に相手がひれ伏しちゃいますかぁ。確かに。確かに練習試合にならない。わかります。わかりますよ。そういうステラさんのおっしゃられる気持ち。わかりますがぁ!」
どっやぁ……!
めちゃくちゃ、どやぁるルクス。
だが、そんなルクスをステラは無視していた。
あっさりと『クリムゾン・リッパー』のアイセンサーがユーベルコードに煌めき、真紅のクリスタルビットがフィールドへと飛翔する。
「薔薇棘の斉射をそんな水晶体で!」
「ええ、相殺してみせますとも」
確かに薔薇棘とクリスタルビットでは速度が違う。あちらは一直線に迷うことなくこちらへと打ち込まれてくる。
だが、クリスタルビットは飛翔し、これを迎撃するための武装である。
放たれるレーザー射撃が薔薇棘を撃ち落とし、さらにその爆風の中から薔薇棘が迫る。
「『魔弾の射手』序曲(マダンノシャシュ・ジョキョク)!」
ルクスの演奏が始まる。
完璧に無視されていたが、しかし、ルクスのユーベルコード、クラリネットの音色と共に放たれる音符の爆弾が薔薇棘と激突して爆発する。
「この演奏は……」
「なんと素晴らしい音色だ! 破壊的であり、破滅的! ハーモニーすらぶち壊さんとする斬新で前衛的な音色!」
「なんか褒められてるんだが貶されてるんだか、わからないんですがー!?」
「ルクス様、あの、せめてもうちょっとボリュームも下げられませんか。クリスタルビットが制御が」
「ええー!? なんでこっちのビットがよろよろしてるんですか!?」
言うまでもないことだとステラは青ざめた顔でこめかみを押さえる。今言ってもきっとルクスは納得しないだろう。
だから、当たり前のように迫る薔薇棘を前にルクスの『ソナーレ』を盾にして、普通に攻撃を防ぐのだ。
「盾はおっけーって言いましたけど、せめて申し訳無さそうにしてくれませんか!?」
「いえ、いつからか此処は風の谷になったのかと思いまして」
あ、ルクス様、次来ます、とステラはルクスの演奏にフラフラになりながら敵の猛攻を凌ぐのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユーシア・ロクス
さあ、操縦用の『戦禍撃ち抜く鋼鉄のカギ』も準備OKです!
2P「……ミサイルギミック他の再現だけじゃなくて操作系もわざわざマニューバータイプにしたんすか」
3P「拘りもありますけど、そっちの方がわたしも慣れてますから」
集団な上に意思統一してくる……確かに手ごわいですけど、だったらこうします!
UCを使用、さあ、「リズムゲーム」の始まりです!
集団で意思を合わせてリズムに乗ろうとするとどうしても纏まって動くから、そこにクラスターミサイルをぶつけ纏めて爆破します!そういう決まった動きの対応は得意ですよ!
逆に分散したらリズムに乗りながらジャンプからの牽制射撃からパイルバンカーで各個撃破を狙いますよ!
「鋼鉄の意志が脅威を砕く! 機神操るは鍵は今此処に!」
ユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)の言葉と共に『プラクト』フィールドに舞い降りるは鋼鉄の機神『アイゼンケーファー』。
彼女の生み出した機体は、彼女が操る人型戦術兵器『アイゼンケーファー』そのものをリサイズしたかのようなプラスチックホビーであった。
だが、その重量感は本物だった。
如何にフィールドが疑似的なものであったのだとしても、それでもユーシアたちが作り上げた『アイゼンケーファー』は本物だったのだ。
「……ミサイルギミック他の再現だけじゃなくて操作系もわざわざマニューバタイプにしたんすか」
2Pは3Pのこだわりに若干引いているようだった。
折角『プラクト』はモーションタイプの操縦方法を選べば、自分の体と同じ様に機体を動かすことができる。それが醍醐味であるように思えたからだ。
では、マニューバタイプに意味はないのかと言うと、そういうことではない。
プラスチックホビーは多種多様だ。
人型プラスチックホビーだけじゃあない。
車や怪物、そもそも人型ではないホビーの方が多いのだ。そうしたホビーを操るのがマニューバタイプなのだ。
けれど、3Pは『アイゼンケーファー』が人型であれど、拘り以上に。
「こっちのほうがわたしも慣れてますから」
肉体をトレースさせるやり方でも戦えるだろう。けれど、元々『アイゼンケーファー』はキャバリアだ。操縦するには、それそうおうの習熟が必要なのだ。
となれば、むしろこちらの方が戦いやすいとさえ思えたのだ。
「その拘り、誇らしく思います。ですが、|お嬢さん《フロイライン》! 手加減は!」
「ええ、無用です!」
空に浮かぶ『プラッグシップ』が見事な艦隊行動を見せる。
ダーク化アスリート『ジェントルレーサー』たちが一斉に『プラッグシップ』の砲撃を『アイゼンケーファー』へと叩き込まんと砲火を放つ。
その雨のように降り注ぐ砲撃の最中をユーシアたちは、その瞳にユーベルコードを宿して見つめる。
そう、ユーシアのプレイ日記~リズムゲーム~(ミンナノリズムワールド)。
それは『アイゼンケーファー』から放たれる音符とメロディ。
砲火の代わりに降り注ぐユーシアのユーベルコードは、戦場を歌やダンスに合わせアクションするゲームへと変化させるのだ。
「これは……!」
「さあ、リズムゲームの始まりです!」
「なるほど! わかってきました! フィールドのテクスチャーそのものを塗り替えるユーベルコード! 鳴り響く音楽に乗って!」
『ジェントルレーサー』たちの付き合いはよかった。
ものすごくよかった。
音楽が鳴り響き、戦場がリズムゲームへと変わっても、順応するかのように『プラッグシップ』を自在に空中で舞わせるように動くのだ。
「なんかものすごいノリノリっすね……」
「ええ、ちょっと意外というか……」
2P、3Pは『ジェントルレーサー』がリズムゲームにノリノリで『プラッグシップ』を踊らせるように飛ばせているのに驚く。
付き合いがいいにも程がある。
むしろ、こっちが敵の統制の取れた集団的な行動に優れている点を逆手にとって、敵をまとめてしまおうという魂胆が野暮なような気さえしてくるではないか!
「でも、決まった動きをしてくれるんなら!」
「え、でもそれって……」
「卑怯じゃないです。だってこれは真剣勝負! なら妨害もゲームのギミックの一つなら!」
ユーシアの言葉は確かに頷けるものであったことだろう。
放たれるクラスターミサイルが『プラッグシップ』の装甲を穿ち、リズムを突き崩す。
「くっ、妨害ありきとか! ですが、私達は踊り切ってみせましょう!」
「いや、なんかルール変わってませんか!?」
「ここのリズムが、難しい……!」
「な、なんか楽しまれてる……! けど! これはあくまで『プラクト』だから!」
ユーシアは『アイゼンケーファー』と共に空中に飛び上がり、流れる音楽のリズムに乗りながら牽制射撃とパイルバンカーの一撃を叩き込みつつ、次々と『プラッグシップ』の船体を蹴って舞うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
(オーデュボンのメンツを見て)むぅ……やっぱりなんだか調子が狂う、です
それにいつものように動かすのは難しいし、向こうの方が運用にも慣れてるはず、です
ここは早めに決めたい、けど…油断はしないです
でも、空中戦、そして艦隊戦だっていうなら、やってやるです
さあ行くです、「くじら6号」!!(ふんす!)
……確かUCは使えるです?なら、遠慮なく使っていくです
元々これは複数の飛空艇とかを相手取るためのUC、しかも都合よく向こうも集団で突進を狙ってくるなら……
【ハウンド・ライトニング】、範囲内に入ったのが運の尽き、まとめて撃ち抜くです……!
それでも寄ってくるなら思いっきり尻尾でたたく、です……!
猟兵とダークリーガー『蒼銀の女騎士』率いるドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』との戦いはノリの良いダーク化アスリート『ジェントルレーサー』のおかげで、終始礼儀正しく、また同時に楽しいものであった。
いや、本来ならば、こうあるべきなのである。
何も悪いことなんて無い。
唯一、ダークリーガーがオブリビオンであるという点だけが猟兵と相容れないだけ。
ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)はノリ良く、しかも折り目正しい紳士の如き『ジェントルレーサー』たちの戦いぶりを見て、なんとも言い難い気持ちになっていた。
「むぅ……やっぱり調子が狂う、です」
フィールドを駆け抜ける数多のプラスチックホビー。
自分が作り上げたプラスチックホビーもフィールドに浮かんでいるが、どうにもいつおと勝手が違う。
飛空艇を操る、という点においてヴィクトリアは手慣れていると言えるだろう。
何せ、飛空艇に乗ることができなければ、生きていくことすら難しい世界であったからだ。だからこそ、自分が作り上げたプラスチックホビーを操るのは、特訓舌とはいえ、『ジェントルレーサー』たちのように熟練とまでは行かなかったのだろう。
「ここは早めに決めたい、けど……」
「ふむ。未だ操作になれていな様子。ですが、あなたのホビーはどうやら我らの『プラッグシップ』と似たような構造のようだ。ならば、感じてください! 空飛ぶ船は、自ら漕ぎ出すのではなく、風に乗るものだと!」
『ジェントルレーサー』たちのアドバイスが次々とヴィクトリアに告げられる。
いや、本当に調子狂う。
なんで味方でもないのにアドアバイスをくれるのか。
舐められているのだろうか。
「どういうこと、です? もしかして、油断を誘おうとしてる、です?」
「とんでもない! 我らと似たホビーの愛好家は多くはありませんから! この戦いは全世界へと配信されております。なれば、これを機会に多くの人々に『プラッグシップ』とそれに類似するホビーを知ってもらいたいと思うのが常でありましょう!」
何処まで行ってもやりづらい!
けれど、ヴィクトリアは頷く。
わかる気がする。ただ戦うだけではない。共に互いの長所を伸ばしていく。そういう戦いだってあっていいのだと理解する。だから!
「やってやるです! いくです、『くじら6号』!!」
ふんす。
いや、6号ってどういうことなのだろうか。
後で聞いてみようって『アイン』は思った。
「来るぞ!」
「任せる、です! ユーベルコードも使えるの、ですから! 遠慮なく、です!」
ヴィクトリアの瞳がユーベルコードに輝く。
シロナガスクジラ型のホビーが空中で身を捩りながら口腔を広げる。
瞬間、放たれるのは全周に響く索敵魔法。
海洋生物が海中で物体から跳ね返ってくる音の波でもって所在をしるように、『くじら6号』もまたヴィクトリアの放った索敵魔法でもって空中に存在する『ジェントルレーサー』たちが操る『プラッグシップ』の所在を知るのだ。
「見つけた……逃さない、です」
「これは、音……音波! こちらの位置を知ったとて!」
迫る『プラッグシップ』達。
見事な連携だ。一糸乱れぬ、と言っても良い。その艦隊行動に『くじら6号』は取り囲まれる。
けれど、ヴィクトリアは笑む。
「これがただの索敵魔法だと思うな、です!」
瞬間、放たれるは13本の雷。
一瞬で『プラッグシップ』へと落ちる雷撃は、狙い過つことはない。何故ならば。
「先の音波はこのための布石!」
「そう、です! そして!」
ヴィクトリアと共に『くじら6号』が空中を舞うようにして飛ぶ。
一気に距離を詰め、その巨体に配された尾の一撃で持って『プラッグシップ』の船体を叩き伏せ、へし折りながら大地へと叩きつけるのだ。
「これが『くじら6号』の力、です――!」
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
「ここをこうしてー☆」
って何で美少女フィギュアになってるんだ!?これどうなってんの!?
ゲッ○ーロボかよ!?
「いいじゃーん☆あ、今はモーションだぞ☆」
うっがー!?
【情報収集・視力・戦闘知識】
相手の陣形と動き
何より連携の中心や司令塔
崩しやすいポイントを把握
【属性攻撃・迷彩】
光水属性をフィギュアに付与
光学迷彩で姿を消して水で熱源隠蔽
そしてUC発動
幻影竜鎧騎士に変身
【念動力・弾幕・スナイパー】
不意に現れ驚かせると共に念動光弾で司令塔を中心に乱射して壊滅に追い込む!
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
接近して襲いかかり鎌剣で切り刻みパーツも容赦なく強奪して無力化する!
…これ後で戻せる…よな?
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は思った。
なんで? と首を傾げていた。
もうホビー・スポーツ『プラクト』の試合は始まっている。猟兵と『五月雨模型店』の『アイン』に寄る合同チームとドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』との試合である。
艦船模型である『プラッグシップ』の見事な艦隊行動は猟兵たちと戦っても遜色ないレベルの力強さを見せている。
猟兵のユーベルコードが輝くたびに一進一退の試合運びが続く。
だというのに。
『ここをこうしてー☆』
「僕は確かに『メルクリウス』のホビーを作ってましたよね!? なんで美少女フィギュアになってるんだ!? これどうなってんの!? 宇宙線ロボかよ!?」
カシムの叫びも尤もであった。
彼が作ってフィールドに投入したのは確かに『メルクリウス』であった。
だが、今フィールドにいるのは『メルシー』そのものな銀髪の美少女。どう考えてもおかしい。何度目を凝らしてみても、そこにいたのは『メルシー』そっくりな美少女フギュアであった。
しかもモーションタイプで動かしているから、カシムの動きに連動している。
男性と女性の骨格の違いもあるが、どうしても美少女がいかつく固い動きをしてしまうのが目に毒だった。
「元に戻せ!」
『いいじゃーん☆ ご主人サマ、集中して。いつものメルシーの動きを思い出すんだぞ☆』
「うっがー!?」
やってられないとばかりにカシムはどうにかして光学迷彩でもって己の機体というか『メルシー』そっくりの美少女フュギュアの姿を隠す。
こんなの見られようもんなら何を言われるかわからなかった。
ていうか、まともに戦えるのか、これ。
「いや、むしろ姿を隠せてよかったのか。ていうか、武装は?」
『かわいいメルシーちゃんにいかつい武器なんてにあわなーい☆』
「今、戦ってるんだぞ!? ええい! 帝竜眼よ…竜王の紋章よ…わが身に宿り竜としての力を示せ…!」
カシムの瞳がユーベルコードに輝く。
こうなっては手段を選んでいる暇などない。
彼のユーベルコードによって、『メルシー』の姿をしていた美少女フィギュアが黒鱗黒竜尻尾付き黒竜鎧騎士へと変貌する。
『えーかわいくなーい』
えい、とメルシーがまた機体をちょいちょい弄って、鎧をビキニアーマーみたくしてしまう。
「せっかく隠したのに何してんだ!」
『こっちのがかわいいよねー?』
「……紳士としてはコメントを控えさせて頂きたく」
ダーク化アスリートである『ジェントルレーサー』はどこまでいっても紳士だった! 見つけられても、わちゃわちゃしている二人の様子を見かねて攻撃してこなかったのである。
「うっがー! もうグダグダじゃねーか! 見つかっているし!」
カシムの判断は速かった。
メルシーによってカスタマイズされた肌色多めの美少女フィギュアに目元を覆っている『ジェントルレーサー』たち。
はっきり言って隙だらけだった。
そんな彼等に情け容赦なく、カシムは手にした鎌剣の斬撃で持って『プラッグシップ』の船体を切り刻み、武装を剥ぎ取るようにして無力化して地面に着地する。
「なあ、これ後で戻せる……よな?」
『それはご主人サマ次第かな☆』
そんな彼女の言葉にカシムはまた、苦悶の声を上げる。それに連動するように美少女フィギュアが動き、それはもうなんともいえない空気が動画配信サイトに流れるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
おっと、にぃなちゃんとした事がスロウリィ……出遅れちゃった!
バイクもフルスロットルで来たんだけどね、皆も制限速度は守らないと余計に時間かかっちゃうよ(一敗)
飛び入りってイケる?
前に作ったリトルテンプテーションににぃなちゃんモデルのプラモを乗せて【武器改造】して、本物のバイクをコンソール代わりにすれば即出場可能だよ!
モーションなのかマニューバなのかは判断が分かれるね☆
さて、あの薔薇の棘がオーラなら当たっても【オーラ防御】で軽減出来るよね。
直撃だけは避けながら、バイクを変形させて突撃だ!
スピード全開なら飛んでる戦艦に届くくらい【ジャンプ】できるはず。
バイクのタイヤで蹴るみたいにしてやっつけちゃえ!
エンジンが立てる轟音が『プラクト』フィールドに響き渡る。
そのエギゾーストパイプ寄り放たれる音に『五月雨模型店』の『エース』である少女『アイン』は振り返る。
「この音は……!」
そこに在ったのはフィールドの端から土煙を上げて疾駆する自動二輪を模したホビー『リトルテンプテーション』にまたがるニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)を此れまた模した『プラクト』仕様の美少女プラモデルであった。
見事なプロポーションを再現された美少女プラモデルの売上は、それはもう大変に好調であった。
入荷すればしただけ履けていく化け物商品。
それがニィナコラボモデル。
その先駆けとなった彼女の自作ホビーが自動二輪の『リトルテンプテーション』にまたがり、遅れを取り戻すようにやってきていたのだ。
「にぃなちゃんとした事がすロウリィ……出遅れちゃった!」
「ニィナちゃん! ありがてぇ! 来てくれたのか!」
「来たよー☆ フルスロットルで来たんだけどね、皆も制限速度は守らないと余計に時間掛かっちゃうよ☆」
カメラ目線でニィナがウィンクしてみせる。
法令速度の遵守大切。
彼女の言葉から、きっと急いで駆けつけようとしたばかりに咎められたのだろう。
『これは良い啓蒙動画』
とかなんとかコメント欄に流れている。そういう意味ではニィナの一敗は無駄ではなかったのだろう。
「飛び入りってイケる?」
ドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』のメンバーにニィナは一応確認を取ってみる。大丈夫じゃなかったらどうしようという気持ちもあるが、こういう時、しっかりと確認することはとても大切なのである。
「無論! 飛び入りを拒む理由などなしでありましょう。美しい|お嬢さん《フロイライン》。これは戦いであれど、スポーツでありますから。共に競い合うことの出来る喜び、望外でありましょうとも!」
何処まで行ってもノリのよい紳士である。
『ジェントルレーサー』の名は伊達ではない。
しかし、彼等も世界大会に出場する代表チーム。飛び入りは認めても、加減はしないのである。ニィナに迫る薔薇のオーラより放たれる薔薇棘の一斉射。
そのすさまじい砲火を前にニィナは笑む。
「あっりがとー☆ なら、ここからはフルスロットルだよね☆」
ニィナの瞳がユーベルコードに輝く。
ゴッドスピードライド。
それは『リトルテンプテーション』を変形させ、空中を自在に走り回る形態へと移行させる。迫る薔薇棘を躱し、いなし、さらにそれ自体を足場にするようにタイヤで踏みつけて跳躍して『プラッグシップ』の船体へと迫るのだ。
「踏み台にした!?」
「ていうか、すげーな!? どうやってんのそれ!?」
『アイン』も目を丸くしている。
放たれた薔薇棘事態を足場にしてしまう超絶テクニック。
「にぃなちゃんを止められると思うなよ☆『ドライ』君とSDの動かし方を練習した時に気がついたんだよね☆ 空中で足場がないなら、敵の攻撃を足場にしちゃえばって☆」
「そうはならんだろ!?」
なってる、と言わんばかりにニィナは『リトルテンプテーション』を手足のように扱い、己のモデルとなったコラボモデルと共に大空の戦場を駆け抜け、『プラッグシップ』の船体に取り付き、ドリフトするように後輪を振り回して艦橋を叩き潰す。
爆発する船体から飛び降りるようにしてニィナは『リトルテンプテーション』と共に降り立ち、土煙を上げながら華麗なるポーズを決めてみせるのだ。
「みーんな、コラボモデル買ってくれたかなー☆ 好評発売中だぞ☆」
そんなふうにしてスポンサーの宣伝もしつつ、ニィナは遅れてやってきたメンバーとしての面目躍如を果たすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
待たせたね!
助っ人は遅れて到着するものさ!
具体的には前回ラストではさらにもうちょっと遅く来てなかったっけ?
いやいや元からこれくらいのタイミングだったって!って感じで!
●それはセント・エルモ?
強化されたバラバラXくんは…出力をあげると光る!
分離飛行形態のバラバラXくんに【第六感】で回避と攻撃の指示を出していくよ!
目立てば撃たれやすくなる
でも出力があがるので避けやすくなる
そのギリギリを攻めて仕上げるのが難しかった…うん難しかった!
いっけーっ!バラバラオールレンジフルバーストなんちゃらかんちゃらー!!
ていうかプラクトの世界大会とか……それは正気の話?
えーうっそお?ほんとお?
さらにもう一名、試合に遅刻してきた猟兵がいる。
いけない遅刻ちっこくーって感じでフィールドに飛び込んできたのは、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の操る『バラバラX』であった。
強化されている所を目ざとく見つけた『アイン』が目をむく。
「なんか変わってるー!?」
「ごめんごめん。またせたね! 助っ人は遅れて登場するものさ!」
なんとなくちょうどよいタイミングすぎる気もするが、もしかして狙ってた? と『アイン』は訝しむ。
そんな視線を受けてロニは頭を振る。
「そんなことないよ。かーなーり、急いできたんだから!」
「ホントかよ! でもありがとな! 助けに来てくれて!」
そんな二人のやり取りを見守っていたダーク化アスリート『ジェントルレーサー』たちはうんうんと頷いていた。
「友の救援。これに勝るテンションの上がり方はないでありましょう」
「ええ、善きものが見れました」
尊い。
なんか勝手に好意的に解釈してくれる上に、待ってくれている。なんて律儀で紳士的なのだろうか。めちゃくちゃやりづらい。
「でもそんなのボクには関係ない! ぶっ飛ばすから、そこに一列に並んでもらおうかな!」
「ふっ、ですが、我らの『プラッグシップ』の猛攻を!『無敵艦隊』と呼ばれた連携を敗れますかな!」
「うそ、全部やってくれる……! なら、こっちも出し惜しみしないよ!『バラバラX』くん!」
瞬間、ロニの操るホビーである『バラバラX』が煌めく。
出力が上がった明かしであろう輝き。
それは黄金だったり虹色だったり。それはもうビカビカにきらめいて、戦場を照らすミラーボールの如き様相を見せていた。
「何と言う輝き! ですが、目立ちすぎでありましょう!」
『プラッグシップ』から次々に放たれる砲火。
されど、ロニは笑む。
「そうだね! 狙いやすくなる! けどね! 出力が上がっているんだよ!」
バラバラに分離した『バラバラX』のパーツが次々に『プラッグシップ』からの砲撃を躱す。
このばらばら具合のギリギリを攻めるのが難しかったんだよね、と彼は言うが、やったのは『バラバラX』本体である。
ロニは寝坊しただけである。敢えて言わせてもらうが。
「いっけーっ! バラバラオールレンジフルバーストなんちゃらかんちゃらー!!」
「ごっこ遊びしている時に生まれる形容詞繋げまくってもうなんかよくわからなくなる技名じゃねーか!!」
『アイン』のツッコミもなんのその、ロニはバラバラになった『バラバラX』によるオールレンジによる神撃(ゴッドブロー)を『プラッグシップ』に叩き込んでいく。
ばらばらになった機体の全てが拳であると言うかのような無体な一撃。
それを認めてしまったら、もうバランスがおかしいってことになるのであるが、そんなこと知ったこっちゃないのである。
「ていうか『プラクト』の世界大会とか……それは正気の話?」
爆散していく船体を見上げながらロニは『アイン』に問いかける。
「それはそうでしょ」
「えーうっそお? ほんとお?」
「ほんとだって、だって今試合してるのドイツ代表だぞ!?」
あ、そうなんだ、とロニは今更に気がついて、はえーって顔をしながら、マジかぁって呟くのだった。マジである――。
大成功
🔵🔵🔵
チェスカー・アーマライト
……前回ん時も思ったが
真面目なタイプが相手だと相対的にあたしが悪役っぽくなるんだよな
(主に兇悪顔のせい)
ま、今更治せるモンでもねーし、このまま突き抜ける方が面白ぇや
囲まれねーように距離を保って撃ち合う
統制された艦砲射撃はちと面倒だが
それが決定打になる程ミニタイガーはヤワじゃねーぜ
さあ、大技を打ってきな
上空から突進する艦船の下をダッシュですり抜けながら、船底を集中砲火だ
舵や推進機構を狙い撃ちして機動力を削ぐ
まずは確実に数を減らす、基本中の基本だぜ
対空戦を意識して上面の装甲は特に厚く調整してる
重力の影響が少ないエネルギー弾なら下から撃つ時も不利にはならねー
できる限りの対策は打った
後は根性だ!
ダークリーガー『蒼銀の女騎士』が率いるドイツ代表チーム『無敵艦隊オーデュボン』のダーク化アスリート『ジェントルレーサー』たちは、その名に恥じぬ紳士然としたスポーツマン達であった。
以前、八百長試合を仕掛けられた時もそうであったが、相手が真面目なタイプとかだとどうしても、チェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)の画面映えといのうは悪役みたいになってしまうのはどうしてだろう。
「えー、そう?」
『アイン』はそう感じていないようだった。
「どう考えても色眼鏡で見てるだろ」
「え、サングラスかけてないけど」
そういうんじゃねーんだけど、とチェスカーは己の機体である『ミニタイガー』の出力を上げながらフィールドを疾駆する。
まあ、悪役っぽう見える原因は己の兇悪な顔であるというのに心当たりはある。だが、これはおいそれ直せるものではないのだ。
むしろ、とこのまま突き抜ける方がよほど面白いと彼女は開き直っているようだった。
「敵の動きは綺麗だな。理想的な艦隊行動って奴だ」
チェスカーは『ジェントルレーサー』たちが操る空飛ぶ戦艦『プラッグシップ』の動きを見つめる。
あれに囲まれてしまっては逃れる術はないだろう。
猟兵達によって数は減らされているが、圧倒的な火力でもって押しつぶされては敵わない。
「お褒めに預かり光栄です。ですが、我らの火力は!」
『ジェントルレーサー』たちの言葉と共に放たれる砲撃。その一撃を『ミニタイガー』が装甲で受け止める
「ハッ、それが決定打になるほど……」
「『ミニタイガー』はヤワじゃねーぜ!」
『アイン』がセリフを取ってしまう。なんとも妙なのに懐かれたな、とチェスカーは肩をすくめる。
だが、いい具合だとさえ思えただろう。
「さあ、撃ってきなァ。今のは挨拶の一発だろうが。大技、もってんだろ?」
チェスカーの『ミニタイガー』の砲身がくいくいと挑発するように『プラッグシップ』を示す。
その行動に『ジェントルレーサー』は深々と一礼する。
「これは失礼を。ならば、受けて頂く!」
煌めくユーベルコードの輝き。
それともに放たれる苛烈なる砲火。鮮烈なる艦隊行動。連携の取れた動きによって『ミニタイガー』に迫るは集中砲火。
そして、迫るは船体事態を弾丸にしたかのような突貫。
「来たかよ! なら!」
チェスカーの瞳がユーベルコードに輝く。
『ミニタイガー』の炉心が焼き付くような出力を生み出し、傭兵野郎の底力(サビテツインディストラクティブル)を見せるかのような超絶なる送受テクニックでもって放火の中を飛ぶようにして『ミニタイガー』が疾駆し、躱していく。
「質量そのものをぶつけてくるってんならよ! その艦底にぶっぱなしてやんよ!」
脚部のアンカーが地面に穿たれ砲撃姿勢を取る。
大地を砕きながら放たれる『ミニタイガー』の砲撃。
それは砲弾ではなく、天使核の破片を組み込んだ出力に寄って生み出されるエネルギー弾の一撃だった。
一撃では終わらない。
次々と叩き込まれていくエネルギー弾。どれだけ『プラッグシップ』の装甲が厚かろうが、撃ち抜くと決めたのならば。
「後は根性だ!」
怯むことは許されない。
臆することなどもってのほか。
決めるのは覚悟。故に、チェスカーは咥えていた飴を噛み砕き、兇悪な笑みを浮かべながら、『ミニタイガー』の眼前で爆散する『プラッグシップ』を見上げながら後退するのではなく、敵陣めがけて突き進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
イリスフィーナ・シェフィールド
さて、アイン様と二人で完成させた機体のお披露目ですわ。
更にアイン様のご協力(尊い犠牲ともいう)で習熟もバッチリですの。
期待にはお応えいたしますわ。
先ずは礼をば、ブレイズ・スラッシャーを模した剣を片手に一礼します。
さて羽を生やして三次元軌道できる艦艇ですか。
ですが三次元攻撃できるという事はされるということでもありますのよ。
ゴルディオン・オーラを発動、飛行して弾幕を掻い潜って船底部分に突き刺します。
他の船がフォローしようと攻撃してくるでしょうが突き刺した艦艇を盾に使って接近してそのまま叩きつけましょう。
全滅させるまで繰り返しですわ。
戦場に出て卑怯とは言わないでしょう、そもそも人数差ありますしね。
『プラクト』フィールドに降り立つ白と青の装甲を持つ機体。
それは、イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)と『五月雨模型店』の『エース』である少女『アイン』と共に組み上げ、完成した機体であった。
「さて、お披露目ですわ」
微笑むイリスフィーナの『プラクト』習熟度は『アイン』との特訓によってバッチリである。まあ、連日に渡るものすごい量の練習によって培われたものであるのは言うまでもなく。
それは時に尊い犠牲とも言えるのだが。
「いや、なんかすっげー……すっごかったぜ」
体力おばけ、と『アイン』はイリスフィーナのことを評する。それほどまでに底なし体力での特訓は熾烈を極めた。
しかし、おかげでイリスフィーナの機体は仕上がり、彼女自身もまた己の機体を我が体以上に操ることがでいるようになっていたのだ。
「ならば、踊っていただこうか!」
『無敵艦隊オーデュボン』のダーク化アスリートである『ジェントルレーサー』たちが『プラッグシップ』の見事な艦隊行動による連携で持ってイリスフィーナの機体を取り囲む。
砲火が荒び、凄まじい勢いで砲弾が飛び交うフィールドの中にあって、彼女の構える両手剣の刀身が煌めく。
「溢れる勇気っ、ゴルディオン・オーラですわっ」
ユーベルコードの輝き。
黄金のオーラに包まれる機体。
アイセンサーが輝き、手にした両手剣を構え、己の意志の力を宿したオーラと共にイリスフィーナは迫る『プラッグシップ』へと果敢に飛びかかる。
確かに昆虫の羽が生えた艦船という三次元機動を可能とする艦隊行動は連携をもって恐るべき攻勢へと変貌を遂げていただろう。
けれど、それでもイリスフィーナは構わなかった。
三次元的な動きを敵がするというのならば、裏を返せば、己もその土俵に立てるということである。
「我らが味方の艦船を盾にして!?」
「見事な連携ですわ。ですが、その連携が仇となりましたわね! 敵が来ればフォローに動こうとする。その動きが!」
艦隊行動を乱すのだというようにイリスフィーナは己の機体と共に『プラッグシップ』の艦底へと回り込み、手にした両手剣を突き立てる。
「くっ……ですが、この船体の強靭さは……!」
「ええ、そうでしょうとも。ですから!」
こうするのだと言うようにイリスフィーナは艦底に突き立てた剣ごと『プラッグシップ』を振り回すのだ。
異常な光景であったことだろう。
人型のロボットじみた機体とはいえ、その膂力は限界がある。関節部だって持たないはずだ。
しかし、イリスフィーナのユーベルコードはそれを可能にする。
ゴルディオン・オーラは黄金のオーラで全身を覆い、関節部すら強化してみせるのだ。故に、船体を振り回したとて、関節が壊れる心配など無い。
船体と船体が激突し、砕け爆散する。
その最中にイリスフィーナは飛び立ち、さらなる敵を目指す。
「なんという剛力……!」
イリスフィーナへの賞賛。
何処まで行っても『ジェントルレーサー』は紳士だった。
ダーク化しても拭えぬ紳士たる態度。これがスポーツマンシップであると彼女は知り、ならばこそ加減は不要と、次々と『プラッグシップ』を叩き壊し続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『蒼銀の女騎士』
|
POW : 我が名誉に誓って
【ドイツ流剣術に則った構え】の継続時間に比例して、自身の移動力・攻撃力・身体硬度・勝負勘が上昇する。
SPD : 騎士は得物を選ばず
【片手剣と盾による斬撃】【短剣での急所刺突】【組み打ちからのレスリング】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : 鉄と革、木と鋲を以て
戦場内を【草原の広がる戦場】世界に交換する。この世界は「【近代以降の技術を使った兵装禁止】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
イラスト:Shionty
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ユエイン・リュンコイス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
多くの『プラッグシップ』がフィールドに落ちていく。
猟兵達の戦い。そのユーベルコードが煌めく度に『無敵艦隊オーデュボン』を構成する艦船ホビーは潰えていく。
だが、艦隊を指揮するであろう旗艦から飛び出す影があった。
大地に土煙を立てながら降り立ったのは人型のプラスチックホビー。
『シュタール・リッター』。
プラスチックホビーでありながら、素体を覆う鎧パーツは全てが金属パーツで攻勢されている。
確かに金属パーツは頑強である。
しかし、重量を得てしまうがゆえに鈍重だった。けれど、ダークリーガー『蒼銀の女騎士』が操る『シュタール・リッター』は違う。
「私の『シュタール・リッター』は一味違うとだけ言わせて頂きましょう。鎧故に鈍重と侮っては、痛い目を見ますよ」
「どういうことだ……どういうことです、か!?」
『アイン』もつられて言葉遣いが丁寧になってしまっている。
彼女の機体と打ち合う『シュタール・リッター』。
だが、それを難なく両手剣で打ち払う『蒼銀の女騎士』。
「悪くない踏み込みです。ですが、私の『シュタール・リッター』には規格外の出力を組み込んであります。それにより、従来の『シュタール・リッター』の約三倍もの速度を生み出すことを可能としているのです!」
赤熱していく金属パーツ。
それは、彼女が世界レベルであることを示す証左。
今此処に世界の壁が立ちふさがる――。
馬県・義透
引き継ぎ『疾き者』にて
やりにくい…。色々な意味でやりにくい相手ですねー…。
でもまあ、それで力が出せない…となるのは違いますね。相手に失礼です。
さてまあ…近代兵器ってよく知らないんですよねー。なので、そのまま漆黒風(と削り出しプラクト漆黒風)を投擲して、相手の機体に少しでも傷をつけるように。
金属というのは、熱をおびれば柔らかくなりやすく…変形しやすいですからねー。気をつけなければねー。
※
陰海月「ぷぷ!ぷぅーぷ!」
赤いと3倍なんだよね!動画で見た!
霹靂「クエ?」
モーションで騎馬操りつつ。そうなの?
全部言ったなぁ、と馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』はダークリーガー『蒼銀の女騎士』が己のプラスチックホビーの特性を語ったことに目を細める。
ともすれば、それは自信の現れであったのかもしれない。
特性を知られてもなお、それを打ち破ろうとする者たちを食い破ることができると。
彼女の操る『シュタール・リッター』の金属鎧が赤熱していく。
それは機体の備えられたユーベルコード発生装置以外に備えられた炉が膨大な出力を放っているからだろう。
熱になって金属鎧を赤く染める。
それほどまでの出力を出せるものがあるとは思いもしなかった。
「では、参りましょう!」
正々堂々。
その佇まいに『疾き者』はなんともやりにくいと思った。
本当に前回もそうであったが、やりづらいったらない。
「でもまあ、それで力が出せない……となるのは違いますね。相手に失礼です」
「わかっていただけましたか。私が求めるのは真剣勝負。世界大会を前に、多くのことを学び、そして勝利を得たいのです。故に!」
『シュタール・リッター』が構える。
その構えは西洋剣術を思わせることだろう。
そして、戦場が塗り替えられていく。
「なんだ……!? 草原!?」
『アイン』が驚愕する。フィールドが書き換えられただけではない。彼女の機体に装備されているライフルやプラズマブレイドといった武装が一切機能しなくなっているのだ。
これが彼女のユーベルコード。
「我が領域に在りて、近代の武装は何一つ機能いたしません。飛び道具も然り!」
踏み込み『アイン』の機体を吹き飛ばす『蒼銀の女騎士』の操る『シュタール・リッター』。その一撃に『アイン』は目を回す。
「ま、まじかよ……!」
「ええ、ですが、近代兵器……私達の操る機動宇宙騎兵には問題のないことですね」
出し抜けに放たれる棒手裏剣。
それは近代兵器の区分には入らないだろう。
しかし、プラのランナーから削り出した棒手裏剣は金属鎧の前に弾かれるばかりだ。
「無駄と知りながら飛び道具を!」
「ええ、確かに。ですが、どんな金属であれ、僅かにも傷は帯びるというもの。そして、熱を帯びた金属というのは柔らかくなりやすい……ええ、変形しましたね?」
『疾き者』の瞳がユーベルコードに輝く。
同時に『シュタール・リッター』の鎧の留め具が弾ける。それは連鎖するようにして次々と鎧のジョイントを弱めていく。
「……!?」
「ええ、連鎖する呪いは不慮の事故を呼び込みます。例えば、今ジョイントが一つ弾けましたね? 私が打ち込んだ一撃は癒えない傷跡。ええ、お気をつけくださいね」
「これは貴方が……!」
ええ、と『疾き者』は笑む。
何も己が『蒼銀の女騎士』に勝利する必要はない。これはチーム戦なのだ。『霹靂』あやつる騎馬が駆け抜け、目を回した『アイン』の機体へと駆けつけ、『疾き者』は掴んで引き上げる。
「うっ、すまねぇ!」
「いえ、良いのですよ。助け合いもまたチーム戦でしょうから」
「クエ!」
『霹靂』の嘶きと共に騎馬は『蒼銀の女騎士』操る『シュタール・リッター』から距離を取る。
此処まで来れば彼女も追えないだろう。
「とは言え、やはり世界レベル……ここまで強力だとは……」
『疾き者』は窮地を脱したが、しかし、『プラクト』のドイツ代表の強靭さを知るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
今更だけど、プラクトって金属使うのもオッケーなんだね!
今度使って見よーっと☆
それはともかく相手のエースが出て来たね。
世界レベルのお手並み拝見と行こう!
なるほどー、赤くなって普通の三倍とは大きく出たね☆
そしたらにぃなちゃんはテンプテーション・ギガンティックで勝負!
こっちは5倍だぞ、5倍☆
バイクのまま【ダッシュ】で接近したら変形して、攻撃力を5倍!
ここまで近付いたら移動力は半分で十分、【グラップル】を仕掛けて【体勢を崩す】事で剣術の構えを取れないようにしちゃおう。
後はもう真正面から殴り合いするだけだ!
さーて、金属が赤くなるほどの熱にどこまで耐えられるか……ここが見せ場だね☆
『シュタール・リッター』。
それはドイツ本国で親しまれたホビーの一つであるという。
ダークリーガー『蒼銀の女騎士』が操る『シュタール・リッター』は、しかしその本来のホビー性能を凌駕している。
「今更だけど『プラクト』って金属使うのもオッケーなんだね!」
「ええ、鎧装を金属で。素体たるフレームと本体はプラスチック製です」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)の問いかけに律儀に答えるところからして礼儀正しい。
「ですが、金属パーツのデメリットも存在しています。軟質プラであれば稼働の妨げも無茶で押し通ることができますが、金属である以上頑強。可動域を妨げる部分には多く使えません」
そう言って『蒼銀の女騎士』の『シュタール・リッター』が剣を構える。
猟兵との戦いを前に片時も集中を切らしていない。
今まさにニィナと金属パーツにおける講釈をしてなお、目の前に現れたニィナとの戦いに集中しているのだ。
「そして、単純に機体が重くなることで消耗する体力も増大します。そうなってはまともに動けなくなる選手だっているでしょう」
「なるほどねー頑強さと引き換えにスタミナを持ってかれるし、可動域に干渉すると困るっていうデメリットね。だから、金属パーツ使うホビーを『プラクト』にってアスリートがあんまりいないんだ☆」
でも、興味があるから今度使ってみようっと、ニィナは笑む。
「ともあれ、世界レベルのお手並み拝見と行こう!」
赤熱する金属鎧。
それと共に踏み込む『蒼銀の女騎士』の機体、『シュタール・リッター』は、その彼女自身が語ったデメリットをまるで感じさせない速度でニィナのモデルとなったプラモデルに肉薄する。
早い、と思った瞬間には、その手にした剣の斬撃がニィナへと襲いかかっていた。。
振るわれる一撃を紙一重で躱す。
「ひゃっ、あっぶなーい☆」
「いえ、紙一重とはいえ、捉えていますよ」
ばつん、と音がする。
え、とニィナが思った瞬間プラモデルのニィナモデルのライダースーツの一部が切り裂かれている。
なんということだろう。
まさかの展開である。
だが、ニィナはやったなーとあくまで明るい。
「なるほどー、赤くなって普通の三倍とは大きく出たって思ってたけど、見掛け倒しじゃないってことだね! そしたら!」
ニィナの瞳がユーベルコードに輝く。
「派手にやっちゃおう☆テンプテーション、モード・ギガンティック!」
瞬間、モデルニィナがまたがっていた自動二輪が変形する。
ニィナの身長の三倍はあろうかという二足歩行ロボットへと姿を変え、ニィナをその装甲の内側に取り込むのだ。
「これでまずは三倍はならんだよ☆ そしてそしてー!」
車輪が脚部に配され、その回転と共に機体が『シュタール・リッター』へと飛び込む。
距離を詰めるのは『蒼銀の女騎士』もまた望むところであったことだろう。
振るう剣の一撃と『リトル・テンプテーション』の拳が激突し、火花を散らす。互いの一撃は必殺の一撃。
しかし、それが相殺されている。
「攻撃力を高めましたか!」
「まだまだ! これからだぞ☆ なんせ、こっちは五倍だぞ、五倍☆」
唸るようにして変形した『リトル・テンプテーション』の拳の一撃が『シュタール・リッター』の躯体を押しつぶさんばかりに吹き飛ばす。
その一撃を受けながら未だ五体が無事なのは金属鎧のパーツのお陰だろう。
「後はもう殴り合いするだけだ!」
「望む所です!」
振るう剣と拳。
その激突がさらに鎧の赤熱たる色を帯びさせていく。
凄まじいまでの連打。
その応酬は凄まじく、また動画配信サイトにてこの試合を観戦している者たちは大いに沸くだろう。
「どこまで耐えられるか見せ場だね!」
互いに互いの全力を引き出す戦い。
それは互いの魅力を最大限に引き出すスポーツマンシップに則った戦いであったことだろう。その激突はさらに観客たちを湧かせ、ニィナは世界レベルのアスリートと互角に渡り合うことをさらにスポンサーに示すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
いくぜ『ハリウッド怪獣王』ッ!ヤツのご自慢の両手剣ごと叩き潰してやれッ!
って速ぇッ!?通常の三倍の速度だとッ!?まるで彗星みてえだぜッ!?
いくら『結界霊符』の力で怪獣王が頑丈でもこれじゃ千日手だ。
しかもありゃあ、ドイツ流剣術に則った構えでパワーアップしてやがるな。
ならこっちも奥の手だぜ。怪獣王【炎神霊装】起動ッ!
炎纏う姿、正に『ハリウッド版バーニング怪獣王』だぜッ!
見た目が変わっただけじゃないぜ?
爆発的な超高速移動と超高威力の攻撃でテメエの行動を妨害しながら攻撃だ。
この巨体から繰り出されるパワー&スピードで叩き潰してやるぜッ!
刮目して見よ世界、これが怪獣王だッ!
【アドリブ歓迎】
構える姿は凛としたものであった。
同時にそれが才能だけではなく練磨されての結果であることを神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は知る。
ダークリーガー『蒼銀の女騎士』の操る『シュタール・リッター』が見せる気迫めいたもの。侮ることはない。
だが、今の己は何だ。
そう、己が今操るのは。己が成っているのは。
『いくぜ、ハリウッド怪獣王ッ!』
巨体揺らし、己が作り出した最高にして最強の怪獣王を咆哮させる。
対するは巨竜を打倒さんとするかのように静謐の構え示す『シュタール・リッター』。
はたから見れば確かに邪竜に立ち向かうおとぎ話の騎士のように思えたことだろう。このようなことが実際に映像として生み出されている。
それが『プラクト』というホビースポーツの醍醐味の一つでもあったことだろう。
『ご自慢の両手剣ごと叩き潰してやるッ!』
咆哮と共に『ハリウッド怪獣王』が歩を進めた瞬間、赤熱した金属鎧と共に『シュタール・リッター』が踏み込む。
『って、速ぇッ!?』
「見くびっては困ります。この『シュタール・リッター』は確かに金属パーツをまとうがゆえに鈍重に思われるかも知れませんが!」
赤熱するは機体のフレームに組み込まれたユーベルコード発生装置とは異なる出力炉より供給される過剰な力。
それによって金属鎧が赤熱しているのだ。
同時に踏み込みのタイミングまで絶妙だった。
勝負勘とでもいうのか。
『まるで彗星みてえだぜッ!?』
「それ以上は言っちゃあぶねーやつだ!」
『アイン』の言葉が響く。
同時に『ハリウッド怪獣王』の外皮を『シュタール・リッター』の斬撃が走る。
さらに巨体の表面を駆け上がるようにして斬撃が『ハリウッド怪獣王』の頭部まで走り、『シュタール・リッター』が宙に舞う。
『このハリウッド怪獣王が見上げるッ!? んなことあってたまるかよッ!』
凶津の眼窩がユーベルコードの輝きを放つ。
『相棒ッ!』
操縦パーティションの外に居た桜を呼ぶ。
このユーベルコードは相棒である桜と共に発露する力。
故に凶津は桜を呼ぶのだが姿がみえない。
『あれッ!? 相棒!?』
「……なんです?」
呼ばれて桜がパーティションに顔を出す。
『何処行ってたんだよ! 今いいところなんだぜッ! って、ともかく奥の手なんだ、行くぜ、相棒ッ!』
「……良いでしょう。転身ッ!!」
その言葉と共に『ハリウッド怪獣王』の全身に炎が噴出する。
それは口腔より放たれた炎であり、同時にその巨体に超高速移動と超高威力の攻撃を可能とする。
『謂わば、怪獣王・炎神霊装・二ノ型(ブレイズフォーム・ツー)ッ! 見た目が変わっただけじゃあないぜッ!』
「炎……! 良いでしょう、真っ向勝負とッ!」
宙に待った『シュタール・リッター』と焔纏う『怪獣王』が激突する。
叩き込まれる焔纏う拳。
激突する両手剣。
火花とユーベルコードの明滅が戦場を埋め尽くしていく。
「素晴らしい……! この力、やはり世界を狙えるに値する……!」
『刮目して見やがれ世界、これが!』
凶津が咆哮する。
同時に『怪獣王』もまた呼応するように叫ぶのだ。
『これが、怪獣王だッ――!!」
大成功
🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
「チッ、素早い。……これで硬さもあるなんてな。スゴイ機体だ。……このままじゃあ勝てないな。仕方ない、一撃喰らってやるよ!」
『ナタク』が、所持する武器は双剣・UC【サークルストリームシールド】を使用。
『シュタール・リッター』の攻撃タイミングを予測しながら、その攻撃を相殺する攻撃を仕掛けます。右手の剣で相殺し、その回転のまま、左手の剣で一撃。狙うのは関節部分の継ぎ目!
アドリブ・連携は歓迎です。
焔とユーベルコードの明滅がフィールドを埋め尽くす。
赤熱するように金属鎧を纏う『シュタール・リッター』、ダークリーガー『蒼銀の女騎士』が操るホビーが戦場を疾駆する。
鈍重になりがちな金属鎧をパーツとして使っているというのに、その速度は尋常ならざるものであった。
「チッ、素早い」
迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は己の機体である『ナタク』と共に『シュタール・リッター』を追う。
だが、追いつけないのだ。
直線的な動きでは『シュタール・リッター』に分がある。
しかも、速度だけではない。
ナクタは追いすがり、双剣の一撃を叩き込むが、その一撃すら容易く金属鎧に弾かれてしまうのだ。
「……これで硬さもあるなんてな。スゴイ機体だ」
「そちらも私に一撃与えるとは。並ではないと言っておきましょう。ですが!」
反転した『シュタール・リッター』が『ナタク』へと迫る。
両手剣の一撃が叩き込まれるも、かろうじて『ナタク』は双剣を交差させ、受け止める。だが、その衝撃は凄まじい。
機体が吹き飛ばされるも、即座に体勢を整える。
目を回している時間はない。
「……このままじゃあ勝てないな」
「諦めるのですか」
その言葉と共にフィールドが草原へと変わっていく。
ナクタは『ナタク』の武装の遠距離射撃武器が使用不可になったことを理解する。あれはフィールドを塗り替える力。
近代兵器のことごとくを封じる力だと知る。
「冗談。それだけはしないともう決めた!」
踏み込む。
赤熱する金属鎧と共に『シュタール・リッター』が『ナタク』に肉薄する。
放つ両手剣の一撃が振り下ろされる。
片方の剣で受け止める。
「私の剣は、片手で受け止められるほど甘いものではッ!」
「だろうな! わかっているよ。一撃受けているからなッ! だが!」
ナクタは集中する。
まともにぶつかってはならない。ならばどうするべきか。躱せない。わからない。けれど、思考を止めてはならない。
考え続けること。
頭を回転させ続けること。みっともなくてもいい。ただ只管に手を伸ばすことは諦めぬことだ。ナクタは諦めない。
ならばこそ、光明が指す。
回転。
「回る……回れ……感覚を研ぎ澄ませ!」
ナクタの瞳に輝くユーベルコード。
振るわれた斬撃をに押し切られるようにして『シュタール・リッター』の一撃が『ナタク』へと迫る。
だが、それを前に『ナタク』の機体が回転する。
受け流す。
回転は衝撃を回す。
「これだ……! これが!」
機体が回転する。ナクタの三半規管がそれを捉える。そして見るのだ。回転は衝撃を受け流すだけではない。
その威力を得て、加速する。
「サークルストリームシールド! プラス!」
もう片方の剣が『シュタール・リッター』の衝撃の威力を上乗せされ、鋭い回転の一撃と成って、その赤熱する金属鎧に深々と傷を刻む。
「なんと……! 見事……ッ!」
「これが、オレと『ナタク』の力だ――!」
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
えっと。おーでゅ……?
も、もちろん覚えてますよ! あの空島の悪い人たちですよね!
って、ステラさんなにするんですか!?
ちゃんと覚えてましたから! 覚えてましたから投げないでください!?
え? しりーず……?
え、えっと、えっと、じーえっく……えええええ!?
やです。もうしゅぎょうはやです。
観るだけならまだしも、ステラさんの『エイルさま』語りまらそんは……(はいらいと消え気味)
……!!!
ステラさんもついにわたしに演奏の良さに目覚めたんですね!
わかりました! 望まれたなら答えるのが勇者というもの。
ここは全身全霊一曲入魂の演奏をステラさんに捧げちゃいますね!
【協奏曲1番】いっきまーすっ!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
オーデュボン……また懐かしい名を聞くことになるとは
貴女もその名を戴いたからには覚悟は決まっているのでしょう
『己の闇を恐れよ。されど恐れるな、その力』
ならばこそ手加減は無しです
いきます!セラフィムッ!!
というところでルクス様を投げつけるターンに繋がります
え?繋がらない?おかしいですね?
ところでルクス様
オーデュボンが出てくる憂国学徒兵シリーズは?
いち、ぜろ。はいタイムアップ
BA編ですよ、これはまた一気見ですね
では真面目に
クリムゾンウイング展開っ!
赤い熾火であろうとも乗り手が望むならば未来を切り開く
【クリムゾンウイング突撃】です!!
ルクス様は支援をお願いします
仕方ないので演奏オッケーです
『無敵艦隊オーデュボン』。
それはドイツ代表チームの名であると同時に『ジェントルレーサー』たちの操る『プラッグシップ』から名付けられたあだ名である。
整然と並ぶ艦船。
そこから飛び出した鋼鉄の騎士『シュタール・リッター』。
その威容は確かに無敵、と呼ばれるにふさわしいものであったことだろう。
だが、その名に別の意味を見出すことのできる者たちがいた。それは猟兵たちである。
「オーデュボン……また懐かしい名を聞くことになるとは」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はダークリーガー『蒼銀の女騎士』へと言葉を投げかける。
そんなふうにしてステラが『蒼銀の女騎士』と相まみえている頃、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は頭の中で『オーデュボン』という言葉を探し回っていた。
えっ、おーでゅ? え、なんでしたっけ、というのが顔に出ていたのだろう。
「まさかとは思いますが」
「えっ」
ルクスは唐突なステラの言葉にぎくっとした。
「……貴女もその名を戴いたからには覚悟は決まっているのでしょう。『己の闇を恐れよ』」
「『されど恐れるな、その力』」
『蒼銀の女騎士』とステラは互いに不敵に笑む。
言葉が重なる。
言わんとしたことが互いに通じ合っていた。いや、傍目に見れば、ただのオタク同時が相通じていたときのあれであるが。
「ならばこそ手加減は無しです。いきます! セラフィムッ!!」
「ええ、来なさい。真紅の機体を持つ人。私が!」
『クリムゾン・リッパー』から噴出する光の翼。
凄まじい速度で踏み込む。
それを『シュタール・リッター』は赤熱する金属鎧のままに駆け抜け、打ち合う。
二つの赤い光が激突し、螺旋を描き、空中で幾度となく激突する。
その姿をルクスは、わーって顔で見ていた。
なんか別のアニメみたいになっているなーって思った。ああ、そういえば、なんかこういうシーン見たような気がする。
確か……。
「ところでルクス様。『オーデュボン』が出てくる『憂国学徒兵』シリーズは?」
「簡単ですよね」
ステラと『蒼銀の女騎士』による詰め。
それにルクスは戸惑う。なんかそっちのほうが息ぴったりになってません? とか思ったが、それを口にする前に二人のガン詰めのほうが速かった。
「え?シリーズ? え、っと、えっと……じーえっく……」
「いち、ぜろ。はい、タイムアップ」
ステラの無慈悲なタイムアップ。そして、何故かルクスの『ソナーレ』を掴む『クリムゾン・リッパー』。がっしり羽交い締めされている。
「え、ええええ!?」
「BA編ですよ。これはまた一気見ですね。良いですね?」
「嘆かわしいことです。新作KB編が始まろうとしているというのに。これは試合が終わったらおさらい上映会をしないといけませんよ」
「お二人なんかすぐに仲良くなってません!?」
ルクスは喚く。
上映会だけならまだしも、ステラは確実に一話見終わるたびに『エイルさま語り』が入ってくるのだ。
そんなの嫌だ。
ハイライトが消える。もうお家芸なのかなってなるほどに家出するハイライト。
だが、そんなハイライトを呼び戻す悪魔の囁き。
「ルクス様、支援をお願いしたいのです。演奏オッケーですよ」
ぽそぽそ。
その言葉にハイライトが速攻で帰宅する。ちょろい。
「……!!!! ほんとうですか! ステラさんもついにわたしの演奏の良さにめざめたんですね! わかりました! 望まれたのなら答えるのが勇者というもの! ここは全身全霊の魂の! 一曲入魂の演奏を!!」
そこまで言って羽交い締めにしていた『ソナーレ』をぶん投げる『クリムゾン・リッパー』。
「味方を投げた……!?」
「ええ、今のルクス様は……いえ、『ソナーレ』は謂わば音響爆弾!」
「やり方が雑すぎませんか!?」
「わーい、いっきまーす! 協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)!」
奏でられるユーフォニア。
むいむいむぅむぅむむむ。
なにこれ。
『蒼銀の女騎士』は戸惑ったことだろう。どう考えても演奏って感じがしない。というか、演奏と呼んで良いのだろうか。
「私の知っている協奏曲とは違う気がするのですが!?」
「赤い熾火であろうとも乗り手が望むなら未来を切り開く……セラフィム!」
「スルーしないでくださいませんか!」
「一度言ってみたかったんです。ええ、ルクス様の演奏は理屈じゃあないのです」
「むうむいむみむー!」
不協和音は周囲を巻き込んで、精神をひっかくような強烈な不快感と共に『蒼銀の女騎士』のメンタルを削る。
そこに『クリムゾン・リッパー』が光の翼と共に掴みかかる。
近代兵装は使えない。
ならば。
「このまま叩きつけるのみ!」
放つ一撃は『シュタール・リッター』を上空から大地に叩きつけ、凄まじい衝撃を走らせる。
「これが! セラフィムの力! ああ、言ってみたかっただけです――!』
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
あのテンションで艦隊戦挑んでくるなら、
金銀妖瞳の元帥さんくらい連れてきてもらわないとね。
しかも虫戦艦なんてもってのほか!
と、そこはまぁ殲滅したからいいとして。
虫の次は金属?プラモっていったい……。
しかも『規格外の出力』って、ルール違反公言してる感じなのかな?
ま、それならこっちも遠慮はいらないね。
パワーで重さをカバーしてるなら、【フィリングウェーブ】で相手のパワーを吸収。
さらにそのパワーをサージェさんとわたしにらいどおーん!
さ、トラメちゃん、真っ赤に燃えるのは今だよ!
え? プラだから溶けそう?
だいじょぶ。溶ける前に倒せばいいんだよ。
ブレイクダウントールハンマー、いっきまーす!
サージェ・ライト
【理緒さんと】
うーむ、今日の理緒さんは一味違う
具体的には『バーサーカー理緒』
これは……放置が正解ですねえ(操縦席で正座してお茶ずずー
トラメちゃんもいまの内に毛づくろいしておきましょーねー(ごろごろさせる
さて
あの戦艦どうやって落とし……はいーっ?!
トラメちゃぁぁぁぁぁんっ?!あっつ!?
これは、このままでは私のトラメちゃんが!!
え?マジピンチ?
トラメちゃん速攻を決めますよ!
【電光石火】でしゅばっと猫ジャンプ&猫スラッシュ!!
金属だろうとトラメちゃんの爪なら問題なくバターのように引っ搔き傷を作れますからね!
その後は消火消火消火ーーっ!?(地面をじたばたするトラメ
理緒さん鬼ですか!?
「ダメダメ絶対ダーメ! そんなテンションでもごまかされないんだから! そのテンションで艦隊戦をイド君で来るなら、金銀妖瞳の元帥さんくらい連れてきてもらわないと!」
でも、それとこれとは話は別だと言わんばかりに菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は叫んでいた。
彼女は昆虫が苦手である。
どうしてそこまで苦手なのかわからないが、人には人の事情ってもんがあるのである。容易に触れて良いものではないのだ。
「しかも虫戦艦なんてもってのほか!」
「ですが、元祖王道ファンタジーでも昆虫メカのロボットもいますし……」
ダークリーガー『蒼銀の女騎士』が操る『シュタール・リッター』は叩きつけられた大地から立ち上がり、プレゼンする。
昆虫の羽根を持つ戦艦、『プラッグシップ』はそれはとても人気のあるホビーなのだ。
艦船という渋いチョイス。
そこに昆虫の羽根という生命の神秘を加えた造形。良くない?
「だめ! そんなのダメ! 根絶絶滅殲滅!!」
だが、理緒はまったく譲らなかった。嫌なもんは嫌なのである。
「うーむ、今日の理緒さんは一味違う。具体的には『バーサーカー理緒』」
これは触らぬが吉ってやつである。操縦パーティションで呑気にサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は湯呑を持ってお茶をずびっていた。
小休止ってやつである。
『トラメ』も理緒と『蒼銀の女騎士』との舌戦の間に毛づくろいをしとこうと動いている。本当に猫だな、このホビー。
「大体、規格外の出力ってなに! ルール違反を公言しているよねー!?」
「言葉の綾というやつです。言い得て妙といいますか! 言い回しですよ! 本当にレギュレーション違反していたら、フィールドが反応してくれません。はい論破!」
ふーむ、この不毛さ。
互いに互いの好きをぶつけた結果であるけれど。
「もう遠慮はいらないよね! 雌雄を決するのなら!」
「ええ、結果が全てです! ならば受けていただきましょうか!」
互いのユーベルコードが瞳に輝く。
「先制マイクロウェーブ照射ッ!!」
理緒の機体から放たれるマイクロウェーブ。
その一撃は『蒼銀の女騎士』の機体である『シュタール・リッター』の装甲に当たるも、しかし損害を与えない。
「……見掛け倒しを……!?」
だが、ガクン、と『シュタール・リッター』の動きが鈍る。
何故、と彼女は目を見張る。
「その機体の重さは、その『規格外の出力』の炉から引き出しているんでしょ。なら、このフィーリングウェーブならッ!」
そう、理緒のユーベルコードは照射されたマイクロウェーブによって敵のエネルギーを奪ったり、与えたりすることができるのだ。
それによって『シュタール・リッター』の欠点である鈍重さをカバーする速度を生み出す出力を奪い取ったのだ。
「そして、さらにその奪ったエネルギーを! サージェさんとわたしにらいどおーん!」
すごいずっこい!
だが、これは戦いである。ホビー・スポーツであるが勝負。真剣勝負なのだ。
「なんという反則スレスレの……!」
「って、あああああ!? あっつ!? なんか『トラメ』ちゃんあっつ!?」
唐突に与えられたエネルギーにサージェの駆る『トラメ』の装甲が赤熱している。そう、理緒が奪ったエネルギーの大部分は『トラメ』に注がれているのだ。
「そうだよ!『トラメ』ちゃん、今こそ真っ赤に燃える時! 流派!」
「クノイチ不敗はッ! じゃないですよ! え、これどう考えても許容量越えてますよね!? マジピンチじゃないですか!?」
「そうかも。プラだから溶けそうだよね。でも大丈夫」
にこり、と理緒が微笑む。
え、とサージェは嫌な予感がした。これはあれである。どう考えても無茶振りをされるときのあれである。
「溶ける前に倒せばいいんだよ」
んね、と理緒が微笑む。
違う、そうじゃない、とサージェが叫ぶがもう遅い。『シュタール・リッター』が迫っている。
「あーもー! これは速攻! 決めますよ! 電光石火(イカズチノゴトキスルドイザンゲキ)! 金属だろうとなんだろうと! この『トラメ』ちゃんの爪が真っ赤に燃える! 金属鎧をバターのようにひっかき引き裂けと轟いて……あっつ、ホントあっつい!?」
『トラメ』は火の着いた猫みたいな勢いでフィールドを駆け抜けていく。
ユーベルコードの輝きを宿したアイセンサーが残光のようにフィールドに刻まれ、その赤熱する爪の一撃『シュタール・リッター』へと叩き込む。
彼女の言葉通り、バターのように金属鎧が溶断され、吹き飛ばされる。
「さらに。ぶれいくだうんとーるはんまー、いっきまーす!」
「鬼ですか! それよりさきに消火消火消火――ッ!?」
地面をバタバタする『トラメ』を見て、理緒はしょうがないなぁと消火剤を撒いてようやく沈静化する。
とてつもない戦い。
というか、三者三様のぐだぐだっぷり――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
「うえーん♥」
(頭にたんこぶつけて泣いてるの。でもドMなので嬉しそうだった…!
全く…くぅ…ダリ◎バル◎使いたかった…!
「えー…でもあれ主役機じゃないよ?」
馬鹿野郎!グ◎ル先輩の話良かっただろうがっ!
アインとそこの騎士のお姉さんもそう思うよな!?
取り合えず今度こそキャバリアなあれでいくぞ!
【情報収集・視力・戦闘知識】
機体の構造観察
金属製だろうと脆い部分はあるので捕捉
当然警戒はしてるだろうから動きの癖を分析
【属性攻撃・迷彩】
先程同様の光学迷彩で隠れ
UC発動
【弾幕・念動力・空中戦】
超絶速度で飛び回り念動光弾を叩き込み
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣での連続斬撃から武装を強奪し攻撃力を削る!
『メルシー』の頭にはとてもでっかいたんこぶが出来ていた。
それはもう見事なたんこぶ。
『うえーん』
可哀想に泣いているじゃないですか。だが、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は取り合わなかった。別に嘘泣きだと思っているわけではない。
『メルシー』の癖的な意味で、それもまたご褒美の類であったから放置していただけである。
なんか嬉しそうな泣き笑いなのがそういうところだぞってなる部分である。
「全く……本当なら赤いロボット使いたかった」
『えーでもあれって主役機じゃないよね?』
「馬鹿野郎! ストーリー展開で惚れるってこともあるだろうが! プラモの販促にはストーリーの盛り上がりと立ち位置と活躍が密接に影響しあってんだよっ!」
わかるだろうが! とカシムが『メルシー』に説教しているのを、傷だらけになった『シュタール・リッター』を駆るダークリーガー『蒼銀の女騎士』は、然りとばかりに力強く、そんでもって深く頷いていた。
「『アイン』も、そこの騎士のお姉さんも思うよな!?」
「うんまあ、それはそう。でもデザインカッコいいのが良い」
「物語によってデザインに意味が生まれる。それによって心に訴えかけるものがある……それが私達のインスピレーションに刺激を与えてくれる、それに同意いたしましょう」
今一応、試合中なんだけどな、と『メルシー』は思った。
でもそれ言うの野暮だと思ったので、フィールドの中で棒立ちになってファンミーティングみたいなことをしている三人の成り行きを見守ることにしたのだ。
「というわけで、とっとと機体戻せ!」
『えー、絶対こっちのがいいのにー』
そう言いながら美少女フィギュア形態からキャバリア形態に戻る『メルクリウス』。どう考えても変形っていうギミックどころではないあれであったが、ともかく戻ったのである。
「用意はよろしいか」
あっ、今まで待ってくれてたんだ、と『蒼銀の女騎士』の真面目さに『メルシー』はびっくりする。
「ああ、待っておいてもらって悪いが、勝ちは貰うぜ」
「ふっ、それとこれとは話が別でしょう。加減は無用!」
互いの機体が激突する。
カシムの『メルクリウス』は光学迷彩に寄って隠れるが、それを『シュタール・リッター』は待ち構える。
不意打ちをしようとしても、それらの全てが金属鎧に寄って弾かれてしまう。
念動光弾もそうだ。
これだけの攻勢を仕掛けてなお、『シュタール・リッター』を操る『蒼銀の女騎士』の集中を途切れさせることはなかった。
シールドを構え、片手剣に持ち替えたのは、此方が切り込んだ瞬間に組み付くためだろう。
「なら、その警戒は!」
食い破るのだと『メルクリウス』の速度でもってカシムは鎌剣を振るう。片手剣と激突し火花散る最中、盾の殴打が『メルクリウス』を捉え……ることはなかった。
それより速く鎌剣が迸る。
「通常の三倍つったか……だがな、神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)……起動。こっちだって三倍に引き上げられるんだよ!」
ユーベルコードに煌めくアイセンサー。
その残光を残す圧倒的な速度で持って『メルクリウス』は鎌剣の斬撃を『シュタール・リッター』に刻まれた傷跡に沿うようにしながら放ち、その傷口をおしひろげるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
ダメだって!
赤くなるのも3倍化するのも何かダメな気がする!
何かこう…お約束的なアレがアレしそうな気がする!
とりあえず武装分解!
通常装備モード!
出力任せ、近距離戦闘!
質量任せの『なぎ払い』で牽制!
どれだけ頑丈な金属パーツを使おうとも、ダメージを与えて歪ませてしまえばただの重し!
『斬撃波』も混ぜて、足回りを中心に狙い撃ち
【雷鳴・解放】起動
こっちも出力任せの高速移動!
連続攻撃を『武器受け』して『カウンター』!
稲妻の斬撃を飛ばして攻撃
金属パーツには電撃が通りやすいっしょ
避けても余波で感電させて、『部位破壊』
足下を狙って行けばその厄介な高速移動も鈍ってくるでしょ?
早さと頑丈さの両立は簡単に崩れる!
猟兵達の攻勢に寄って徐々に追い込まれていく『無敵艦隊オーデュボン』の副代表たるダークリーガー『蒼銀の女騎士』が操る『シュタール・リッター』。
炉の出力が上がっているのだろう。
徐々に金属鎧が赤熱していく。
そして、その出力に寄って生み出される速度はフィールドを駆け抜けるまるで、赤いすい……。
「ダメだって! 赤くなるのも三倍化するのも何かダメな気がする!」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思わず叫んでいた。
何がダメかと具体的なことは言えないが、しかし、それ以上はダメだと叫んだのだ。戻れなくなる!
「いいえ、俄然行きますとも!」
だがむしろ、そう言われると限界を超えたくなるのがアスリートの性であろう。
『蒼銀の女騎士』は『シュタール・リッター』の出力を上げ、さらに速度を上げるようにしてフィールドを駆け抜けていく。
「だから、ほんとにやばいって! 怒られるって! 何かこう……お約束的なアレがアレしてアレしそうだからさ!」
玲の操る美少女プラモがサーフモードから分離し、その手に通常武装モードへと宿る。
くっ、関節部分のテンションがやばい!
これ以上重たい武器を振り回させたら、関節ジョイントが白化してある日突然ボッキリいってしまいそう!
いや、それ以上にこれまでぶん回したりしていたのだ。
軸が削れてユルユルになってしまう。
「そんなときにはパーマネントバーニッシュ!」
「今はそういうの良いから! とりま、出力任せの近接戦闘で!」
互いに激突する武装。
『シュタール・リッター』は両手剣から片手剣と盾に持ち変えられている。玲の放つゴツ武器を受け止め、受け流しているのだ。
「なんと重たい……!」
「どれだけ頑丈な金属パーツを使おうとも、ダメージを与えて歪ませてしまえばただの重し。駆動域を邪魔して!」
そう、これまで猟兵達の攻勢を受けて『シュタール・リッター』の金属鎧はきずだらけであったし、歪み始めている。
玲はそこを突くのだ。
頑丈であればあるほどに敵は動きが悪くなっていくのだ。
さらに玲は斬撃を足回りに集中させていた。足場が悪くなれば、あの鈍重さだ。直にスタミナを奪われていく。
「狙いはこちらのスタミナ切れ……!」
「『プラクト』がスポーツで自分で動かす以上、それはそうでしょう! その金属鎧の重さは尋常じゃない。そして、出力は動けば動くほど落ちていくでしょ!」
そこに、と玲の瞳がユーベルコードに輝く。
「雷の疑似UDC解放。我が身よ、稲妻となれ! ダメ押しと行こうじゃない!」
雷鳴・解放(ライトニング・リリース)。
開放されるは疑似UDCの力。
その身に纏うは雷撃。
走る斬撃は稲妻を纏い、『シュタール・リッター』の足回りを削り取っていく。足場が悪くなれば、それだけ動きが煩雑になる。
「それに金属パーツは電撃が通りやすいでしょ!『プラクト』という以上、その素体はプラ素材、熱を帯びた金属の内側でフレームも歪む!」
「……ッ! そこまで!」
「速さと頑丈さの両立は簡単に崩れる!」
鈍った動きにつけ込むようにして玲の美少女プラモが合体した複合武器を振るい上げる。雷撃をまとった鉄槌の如き一撃がついに『シュタール・リッター』の頭部を叩き潰し、そのすさまじい衝撃波をフィールドに解き放つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーシア・ロクス
2P「敵艦より機影1、速い!」
3P「……あの敵指揮官機を撃墜してください。大丈夫、あなたなら出来ます」
……急にロボアクションのオペレーターごっこ始めてどうしたんですか?
硬いし速い、いかにもなボスキャラですね!ですが、こっちだって!
UC!これで心置きなく突撃して防御を打ち貫けますよ!
3P「こっちも元ネタ的には重武装をバカ推力で無理やり動かすコンセプトです……まあ前進だけですけど」
2P「メタルなビートルなのかアルトなアイゼンなのか……」
ミサイル一斉発射!そのままマシンガンを撃ちながら突っ込みます!
相手の攻撃は我慢、多少の無茶は承知の上!狙うは右腕のリボルビングパイル、この一撃で極めますよ!
猟兵のはなった一撃で『シュタール・リッター』の頭部は押し潰れた。
首無しの騎士の如き姿。
だが、それでもダークリーガー『蒼銀の女騎士』は諦めていなかった。
「たかが頭部を潰された程度で私が止まるとでも!」
赤熱する金属鎧。
フィールドを駆け抜けるは彗星のよう。
それを認め、ユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)の2Pは急に表情を険しいものとする。
「機影1、速い!」
「……敵の指揮官機。赤く、三倍の速度で迫ってきています」
「とてつもない性能っす、けど!」
「ええ、あの指揮官機を撃墜してください。大丈夫、あなたなら出来ます」
え、何この寸劇、とユーシアは思った。
急に2Pと3Pがロボアクションゲームのオペレーターごっこを始めたので困惑したのだ。
いきなりが過ぎる。いや、わからないでもない。
この状況。そういうゲームの一場面でありそうな気がする。
「ラストミッション、というわけです」
『蒼銀の女騎士』もちょっとノリノリだ。いいのかな、そっちが悪役みたいな雰囲気になっているんだけれど、とユーシアは思ったし、顔に思いっきり出ていたのだろう。
「いいのです。むしろ、そういうシチュエーション! たまらないものがあります!」
「ええ……」
「いいっすよ! これぞ王道っす!」
「貴方に武運を……」
2Pも3Pもノリノリだなぁってユーシアは思った。
この寸劇はさておき、しかし敵は強力な機体を持っている。
猟兵達の攻勢によって傷ついて入るが、未だ健在。『蒼銀の女騎士』は未だ士気を衰えさせていない。まだ戦うつもりであるし、己の勝利を信じている。
「ならば、わたしだって負けるつもりはないよ! しっかりつかまっててくださいね、わたし! さあ……」
煌めく瞳にユーベルコード。
それは、ユーシアのプレイ日記~レースゲーム~(ダレモヤツヲトメラレナイ)。
彼女のユーベルコードは己の機体を操縦している間、己の機体を保護する力を纏う。激突してもダメージを追うことはなく、同時に敵のあらゆる防御を無視する。
即ち。
「その金属鎧がどれだけ頑強であろうとも!」
ぶち抜く! とユーシアの駆る『アイゼンケーファー』がフィールドを飛ぶ。
「真っ向から私の『シュタール・リッター』とぶつかろうとは!」
迫る機体。
二つの閃光がフィールドの中心で激突する。
装甲と装甲が激突し、火花を散る。
だが、『アイゼンケーファー』は『シュタール・リッター』を吹き飛ばす。出力だけならばあちらが上であったことだろう。
けれど、今のユーシアの『アイゼンケーファー』にはユーベルコードのバフが乗っかっているのだ。
「こっちも元ネタ的には重武装を馬鹿推力で無理矢理動かすコンセプトです……まあ前進だけですけど」
「メタルなビートルなのか、アルトなアイゼンなのか……」
「ともあれ、打ち負ける道理なんてないです! さあ、行きますよ! ミサイル発射!」
コンテナから発射される無数のミサイル。
その爆発が『シュタール・リッター』を飲み込み、爆炎が巻き起こる。その最中に『アイゼンケーファー』は飛び込み、マシンガンを打ち込みながら突っ込む。
「この一撃!」
受けろ、と放つ腕部のパイルバンカーの衝撃が爆炎すら吹き飛ばす。
薬莢が飛び出すのと同時に轟音が鳴り響き、『シュタール・リッター』の金属鎧を打ち抜き、内部フレームニダメージを与えながら『アイゼンケーファー』は勝利を確信したかのように拳を天に掲げるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
……やっぱりなんかやりづらい、です
というかここまで違うとなんで名前だけがって感があるです……
本当に上に「あいつ」が居たりしないです?
確かに重さを推力でごまかしても、重いだけ加減速が難しくなって小回りはどうしても厳しくなる。でもあっちはそんな機体に「慣れてる」です。くじら6号も大きくて小回りは利きづらいのは同じ、でもその「慣れ」の差は大きい、です
こうなったらその重さ、利用させてもらう、です……!
数少ない(付属の小物が少ないから)空母の艦載機を飛ばして相手を邪魔して、そのまま【セラフィック・ブレイカー】を狙うです……!
覚悟するです、空クジラの突撃は浮遊島すら沈めるです……!(※眉唾物の噂です)
空中に打ち上げられる鋼鉄の騎士。
すでに頭部はひしゃげ、金属鎧には亀裂の如き傷跡が刻まれている。
だが、『シュタール・リッター』を操るダークリーガー『蒼銀の女騎士』は何一つ諦めてはいなかった。
「まだです。どれだけ機体が傷つこうとも! 私の五体がまだ動く限り、勝利に手を伸ばすことを諦めてはならないのです!」
その叫びを聞き、ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)はなんとも言い難い気持ちになっていた。
『ジェントリレーサー』たちもそうであったが、アスリートアースのオブリビオンことダークリーガーたちは、みんなこうなのかと思った。
普通に極悪なことをするダークリーガーもいるだろうが、ことヴィクトリアが相対したアスリートたちは皆、スポーツマンシップに溢れているのだ。
「……やっぱりなんかやりづらい、です」
とういうか、とヴィクトリアは思う。
『無敵艦隊オーデュボン』。
その名にどうしてもとっかかりというか、ひっかかりを感じているのだ。
『蒼銀の女騎士』はチームの副代表だという。となれば、代表がいるということになる。
「本当に上に『あいつ』がいたりしないです?」
「なんのことです。今は私との試合に集中してもらいましょうか!」
赤熱する金属鎧と共に『シュタール・リッター』が空中で軌道を変え、ヴィクトリアの操る『くじら6号』に迫るのだ。
「その巨体が仇となることを知りなさい!」
『シュタール・リッター』の振るう剣の一撃が『くじら6号』の甲板を切り裂く。
重たい一撃だった。
「確か……!」
重たいということは推力で誤魔化しきれるものではない。
加速の加減や、減速するタイミング。あらゆる所にシビアなタイミングを要求されるものである。どうしたって小回りが効かなくなるものだ。
けれど、それでも『シュタール・リッター』は『蒼銀の女騎士』の力量に寄って完璧なkントロールを見せている。
機体が消耗してなお、あの動きなのだ。
だが、対する此方の『くじら6号』は大きくて小回りが効きづらい。『蒼銀の女騎士』の機体を操る習熟度とは雲泥の差がある。
それは埋めようのない差であるように思えただろう。
けれど、ヴィクトリアは諦めない。
「その重さを利用させてもらう、です……!」
傷ついた甲板の上から小型の艦載機が飛び立ち、距離を詰めようとする『シュタール・リッター』を牽制する。
「エンジェリックドライブ……じゃない、ユーベルコード発生装置、出力全開、です……!」
「なにを……ハッ、まさか!」
「ええ、そうです。こちらの『くじら6号』の重さもなかなかのもの、それを!」
海中を征くように『くじら6号』の巨体が空を舞う。艦載機を持って『シュタール・リッター』の足を止めたのはこのためだ。
上昇する時間を稼ぐため。
そして、巨体であるがゆえに上空からの落下は突撃となり、さらに出力の臨界まで到達したエネルギーは『くじら6号』の質量と共に『シュタール・リッター』へと鉄槌のように振り落とされる。
「これが天翔ける天使の騎馬の一撃……セラフィック・ブレイカー、です!」
覚悟するがいい、とヴィクトリアは眉唾ものの噂を嘯く。
そう、空クジラの突撃は浮島すら沈める一撃。
いや、この一撃は浮島が落ちるかのような強烈な一撃となって『シュタール・リッター』へと降り注ぎ、その強固なる金属鎧に包まれたフレームをきしませるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
イリスフィーナ・シェフィールド
規格外出力ですか……引き伸ばせば機体にダメージ出そうですが。
消極的に構えていては押し切られそうですし何より無粋というものですわっ。
いざ尋常に勝負っ。
そちらが赤くて3倍ならこちらは金色で8倍ですわ、アルティメットモードッ!
(ゴルディオン・オーラと違って纏うというより金ピカそのものに)
迎え撃って良いことなどありませんから出力全開で打ち込みに行きます。
主導権を渡すわけにはまいりませんので、ご自慢の装甲打ち砕かせていただきますわっ。
巨山たる鉄槌。
己の機体の質量を利用した一撃を受けて内部フレームにダメージを負った金属鎧を纏うホビー『シュタール・リッター』。
それを操るダークリーガー『蒼銀の女騎士』は呻く。
「此処までとは……! やはり日本はホビーの本場……! 此処まで苛烈な実力者が揃い踏みとは。やはり此処に来て正解だった!」
機体の状況はよくはない。
けれど、それでも彼女の瞳にあるのは勝利への渇望。
それに呼応するようにフレームの内部に備えられた炉が赤熱するかのような出力を迸らせる。
「……規格外の出力、ですか……」
イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)はこれほどまでに長く戦いながらも、その頑強なる『シュタール・リッター』の性能に舌を巻く。
だが、長引く戦いは確実に敵の機体にダメージを負わせていたのだ。
「ともすれば、このまま自滅を誘えそうですが……」
だが、イリスフィーナは頭を振る。
そんなことでは勝利は得られない。
あの貪欲なまでに勝利を求めるダークリーガーの瞳を見ればわかる。そう考えること自体が野暮であり、無粋。
ならばこそ、イリスフィーナは立ち向かう。
「……それでこそでしょう。やはり、見込み違いではなかった!」
「ええ、そのとおりです。どれだけ貴方が勝利を求めているのかを言葉ではなく、理屈でもなく、肌と魂で感じましたわっ!」
だから、と構える。
互いの機体がフィールドの中央に立つ。
「いざ尋常に」
「――勝負っ」
互いの機体が踏み込む。
赤熱する金属鎧。その出力の凄まじさから、通常の三倍とも言われる速度。振るう両手剣の一閃は恐ろしく速い。
踏み込みと同時に斬撃がイリスフィーナの機体へと振り下ろされている。
だが、イリスフィーナは恐れない。
前に踏み出すことは恐ろしいことだ。傷つくかもしれない。痛みにあえぐかもしれない。けれど、それでも。
「全力全開っ、これが!」
機体が黄金に輝く。それはイリスフィーナの意志の光であった。
互いの剣と剣が打ち合う。
「アルティメットモード、ですわっ! そちらが三倍なら、こちらは金色で八倍ですわ!」
黄金。
煌めく輝き。赤熱する輝きと黄金の輝き。それが激突する。イリスフィーナの機体はすdねい防御力が0になっている。
ただの一撃でも致命傷になるだろう。
けれど、それでもイリスフィーナは恐れない。
ここで己が一歩でも退けば。ためらえば、それだけで敵に主導権を渡すことになる。ならばこそ、踏み込む。
傷つくことをためらわず、傷を練磨と思えるのならば。
「この一撃でご自慢の装甲、打ち砕かせていただきますわっ!」
振り抜いた一撃が『シュタール・リッター』の金属鎧を砕く。手甲から胴にかけて振り抜かれた一撃。
それが見事に強靭在る『シュタールリッター』を吹き飛ばすのだ。
「何と言う輝き……!」
「これがわたくしの意志の光ですわ――!」
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
赤くなって三倍になった!
これが世界レベル…!
きっと世界レベルになると時間を停めたり精神波攻撃で相手プレイヤーを廃人にしてきたりするんだね!
おのれ!よくもアインを!さよならアイン…お休みアイン
●もっと輝く
ニュー・バラバラXくんはそのコアの出力を上げれば上げるほどゲーミング(約1680万色)に発光する!
これは団体戦であればデメリットもあるけど今この場では最大限のパーフォーマンスを発揮する!
そう!超目立てる!
【第六感】で攻撃を避ける指示を飛ばしつつのバラバラアタック!ダイレクトアタックバージョンいっけーーーっ!!
そう最大出力で強化されたメタル装甲こそが一番の武器となるのさ!
砕ける金属鎧。
それは本来在りえぬことであっただろう。ダークリーガー『蒼銀の女騎士』は目を剥く。けれど、同時に胸に喜びが溢れるようであった。
ありえぬことを為す存在がいる。
己の想像を超える敵がいる。
その喜びに彼女の胸はふるえていたのだ。
「勝って当然の戦いなど何処にもない! ええ、そうでしょうとも! 故に超えたいと思うのです!」
金属鎧砕けながらも、内部フレームが赤熱していく。
彼女の意志に答えるように『シュタール・リッター』は炉を唸らせ、咆哮するように、その瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。
「赤くなって三倍になった! これが世界レベル……!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は『蒼銀の女騎士』の気迫に目を丸くした。
世界大会とかマジで正気じゃないって思っていたけれど、これほどの気迫を見せるアスリートがいるのならば、それもまた当然だろうと思った。
「もしかして、時間を止めたり精神攻撃で相手プレイヤーを廃人にしてきたりもするんだね!」
わかる! とロニは喜んだが、それは多分別のスポーツだと思う。
主にカードゲームとかそんなん。
「おのれよくも! よくも『アイン』を! さよなら『アイン』……おやすみ『アイン』」
「勝手に殺さねーでくれるかな!?」
『アイン』を勝手に退場させようとしていたロニに『アイン』は抗議する。
ていうか、普通にまだ戦えるし! と憤慨しきりであった。
「アハハ! まあ、いいじゃない。これもノリってやつだよ! というわけでもっとかがやけー!」
何が、と『アイン』は思ったことだろう。いや本当に何が?
「決まっているいじゃないか、『ニュー・バラバラX』くんだよ! 見給えよ、このゲーミング色! 具体的には約1680万色! うお、まぶしってなる発光具合! 目がチカチカしちゃうよね!」
「どう考えても、集団戦だとデメリットじゃねーか!」
「そうかも! だけど考えてごらんよ1 今なら?」
「は……?」
ロニの言葉に『アイン』は理解できていなかったようだ。めちゃくちゃ目立つってことしかわからない。ていうか、それもデメリットじゃねーのと『アイン』は首を傾げる。
そんな彼女を前にロニはチッチッ、と指をふる。
「そう! 超目立てる!」
「一緒だろーが!」
「何をわちゃわちゃと! 私との戦いに集中していただきたい!」
迫る『シュタール・リッター』を取り囲むのはいつの間にかばらばらになっていた『ニュー・バラバラX』であった。
ゲーミングカラーに発光していて分かりづらかったが、いつのまに『シュタール・リッター』はオールレンジ攻撃の最中に飛び込んでいたのだ。
「なっ……!?」
「そうさ! これが最大出力の輝きに隠された最大の一撃! バラバラアタックのダイレクトバージョン! いっけ――ッ!」
そのまばゆい輝きと共に放たれる神撃(ゴッドブロー)。
それは無数にバラバラになった機体そのものを拳とする規格外の一撃。
どれだけ頑強なる装甲だろうと破壊しうる攻撃が一声に『シュタール・リッター』を襲い、眩すぎるがゆえに配信サイトには『眩しすぎて何が起こってるかさっぱりわからん』とコメントが流れるのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
チェスカー・アーマライト
重量級の機体をデカい出力で無理やり動かしてるって点では
今のミニタイガーも似た様なモンだ
だからこそ相手の力量がモロに分かる
こりゃあヤベーかもな(めっちゃ笑顔)
機動戦は不利とみて四脚を|固定《グリップ》
どっしり構えて気を窺うが、装甲は徐々に削られる
主砲は短く斬り詰められ
砲塔内部のUC発生装置と天使核が見えてる
曝け出された弱点
……当然、狙ってくるよな?
タイミング良く機体の軸をずらし
装甲の隙間と腕で剣を掴むぜ
同時に短くなった砲身を突きつける
チャージは既に済んでる
剣を捨てるか否か
アンタの逡巡よりも
あたしがチャージボタンを放す方が速いだろーな
規格外には規格外をぶつけんだ!
ありがたく食らいやがれ!
金属鎧の多くが失われていた。
内部フレーム自体はプラスチック製である。規格外の出力を生み出す炉を搭載していたのならば、その熱量にフレームが負けてしまうことだろう。
けれど、外部の装甲である金属鎧に熱を逃すことによって内部フレームの素体を維持していたのだ。
その工夫を見やり、チェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)は己が機体である『ミニタイガー』に施したものと同じ思想であることを理解する。
「そーいうことかよ」
機体に組み込む創意工夫も。
アイデアも。それを実行に移すタフネスさも。あらゆる点を加味してなお、チェスカーは敵が、ダークリーガー『蒼銀の女騎士』が本気であることを知る。
そして、その力強さというものが、猟兵達の攻勢を持ってしてもなお、未だ倒しきれぬということに繋がっているのだ。
頭部はひしゃげ、金属鎧は傷つき果てた。
けれど、それでも未だ『シュタール・リッター』が立っているのは偏に勝利を求めているからであろう。
「こりゃあヤベーかもな」
「弱きになってんなよ、チェスカーねーちゃん!」
『アイン』の言葉にチェスカーは顔を向ける。
操縦パーティションから除く彼女の顔は、兇悪そのものだった。いや、笑顔ではあるのだ。だが、その形相が、少しばかり……いや、かなり怖い。
その顔を見て、『アイン』は理解する。
あの笑顔は、きっと今が楽しいのだろうと。
「誰に言ってんだ『アイン』。あたしはな、今!」
生き死にが関係しない『プラクト』というフィールドにあって、生きていると実感しているのだ。
故に、と彼女の『ミニタイガー』は四脚を地面に固定する。バンカーが打ち込まれる。
「不退転の覚悟というわけですか」
『蒼銀の女騎士』が構える。
手にするは両手剣。
その構えを取るということは『蒼銀の女騎士』も理解したのだ。勝負というのは一瞬で終わる。どっしりと構えた姿。
それを前にして『シュタール・リッター』は踏み込む。
如何に強靭な装甲であろうと関係ない。
振るう両手剣の一撃は容易く『ミニタイガー』の装甲を削り取るだろう。
「だが、まだだッ!」
「削り切る! そちらが何かを狙っていることはわかっているのです。ならば!」
見せてみなさい、と『蒼銀の女騎士』は叫ぶ。
死力を尽くした真剣勝負。どれだけこれが人死のでないスポーツであるのだとしても。それでも、そこに本気を見るのならば応えなければならないのがスポーツマンシップというものである。
「ダメだ、チェスカーねーちゃん! やられるっ!」
『アイン』の機体が『蒼銀の女騎士』の放つ斬撃を受け止める。だが、それでも砲身は切り詰められ、機体の装甲は削られていく。
曝け出されたユーベルコード発生装置と天使核のかけらの煌めき。
「やはり、この出力、私の機体と同じ……!」
「弱点ってなれば……当然狙ってくるよな?」
一瞬の閃き。
曝け出された部位。ユーベルコード発生装置を叩けば、それで勝負は決する。だからこそ、チェスカーは賭けた。
次の一撃は必ず『そこ』に来ると。
ならば、躱すことはできるのだ。
「ジェネレーター出力限界解除、エネルギー接続ライン砲身直結。Bチャンバー加圧開始……」
直結される天使核の欠片とユーベルコード発生装置。
機体の電装が弾けるようにして出力に耐えきれず寸断されていく。
だが、構わなかった。
己の機体が解き放つユーベルコードは既に発動している。
「盾……! いや、一撃を……!」
「アンタ、迷った時点で終いだってこった……!」
「まさか、ここに来て博打……!」
「人生ってのはそういもんだ。常に全ベットってな! あたしのマジの奥の手だ、ありがたく喰らいな!」
引き金を引いた瞬間に放たれるオーヴァードスパークキャノンの一撃。
それは規格外を下すための規格外。
出力の桁が違う光条の一閃はフィールドを切り裂き、『シュタール・リッター』の鋼鉄を溶断し、吹き飛ばす。
此処に『無敵艦隊オーデュボン』は沈む。
猟兵たちは『五月雨模型店』の窮地を救い、そして、自らの実力が世界大会に通じることを証明してみせたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵