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花焔一片、姫の随に

#封神武侠界 #戦後 #グリモアエフェクト

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●桃源郷を忌む存在とは
 仙界――その響きだけでも幻想を抱く者は多かろう。仮にそれが世界に於いて空想の産物に過ぎない扱いを受けていても、住まう者達はそこに理想郷を夢見て止まない。あらゆるしがらみから解き放たれた仙人達の住む里。絵画や物語といった創作物の原点となることもしばしば見られる。
 さて、封神武侠界に於いては、仙界は紛れもなく現実の一部として認識されている。人界と洞穴にて繋がる桃源郷の世界。案外、それは他の世界で描かれる空想と大差ないのかもしれないが、現実である限り栄枯盛衰は付き纏うもの。
 いにしえよりなお続く桃源郷もあれば、既に滅びを迎えた桃源郷もあるということだ。住まう者無く、時が風化させていくだけの里。通じる洞穴も通る者が絶えて久しければ、内部の有り様を知る者も在らず。
 その滅びが自然消滅的なものであれば、それは世界の摂理に則っただけに過ぎず他者の介入の余地はないのだが。滅びが意図的、即ち何者かの意思により滅ぼされたと言うならば――。
「……あぁ、ここは、こんなにも澄んでいたのね……」
 その意思の一つが今、滅びた桃源郷に姿を現しており――彼女は紛れもなくオブリビオンだった。

●封神武侠界・3rdラウンド
 謎が謎を呼ぶ、なんて言葉もあるようだが、解く側からすれば次から次へと呼ばれてはキリがない。ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)はそんな謎に頭を悩ませつつ事件の一報をグリモアベースに持ち込んでいた。
「皆さんお疲れ様です。今日は封神武侠界の、桃源郷の滅びの謎に関する事件をお伝えしたいと思います。私が『悪夢』に見た桃源郷――そこは住む者を失い、荒廃の一途を辿るだけの滅びの里でした」
 滅びの形に差異はあるかもしれないが、滅んだ先の、時の流れに委ねるしかない遣る瀬無さは何であれ変わらないらしい。
「この滅んだ里の何が事件かと言いますと、そこは『花焔の姫・孫氏』という者に滅ぼされた里であり、その者がオブリビオンとして里に現れることが分かりまして。滅んでしまった里と言えど、オブリビオンの手に堕ちていいものではありませんので、皆さんには人界から洞穴を通ってその里に赴き、孫氏を倒して頂きたいんです」
 要はオブリビオン退治であり、猟兵達からすればありふれた事件のようにも聞こえるが、事件の奥には一つの謎が残されている。
「孫氏を倒した暁には、桃源郷は解放されるわけですが……滅んだいにしえの桃源郷、それも、滅ぼされた桃源郷です。滅ぼした者は分かっても『何故滅ぼされたのか』という部分は謎のまま。理由無く、無差別的に滅ぼしたなどということは、多分無いはずなのですが……この点は、もしかしたら事件を解決していくことで解明される、ということもあるかもしれません」
 今は可能性の一つでしかない。だが、手を伸ばす価値が無いかと問われれば、そうではないようにロザリアは思う。
「お力を貸していただければ幸いです! どうかよろしくお願いします! あと、孫氏について大事なことですが、彼女は韓信の配下であり、神器『紫煙龍』を所持しています。ユーベルコードを捕食するという特異な性質を持っていますので戦う際は注意してください」
 いずれ必ずや、決戦を迎えるであろう侵略者の名を口にして、ロザリアは猟兵達に念を押すのだった。


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 一日中ぼーっと過ごすだけでいい桃源郷が欲しいです。

●フラグメント詳細
 第1章:『百花兵・戦』
 滅んだ桃源郷へ向かうために洞穴を通るのですが、オブリビオンの巣窟となってしまっています。
 植物だと思うよ……? 多分。

 第2章:『🌗花焔の姫・孫氏』
 韓信配下案件です。【紫煙龍】とは『煙でできた「紫煙龍」1体を引き連れる。これは敵の放つユーベルコードを捕食する性質を持つ』ということですので、戦闘の際は注意しておきましょう。
 彼女の口から『何故その桃源郷を滅ぼしたのか』を聞き出すことはできませんので、まあ普通にぶち倒し確定でよろしくお願いします。

 ただ、OPでちらっと触れていますが、多くのいにしえの桃源郷をオブリビオンから解放する、つまりこの手の依頼を多く解決すれば、滅ぼされた謎に迫ることができるかもしれない……らしいです。
 まあちょっとした夢を見る気分でぼちぼちやるかなーって感じですかねえ。そんなわけですので、ご縁がありましたら宜しくお願いします。
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第1章 集団戦 『百花兵・戦』

POW   :    散らせ、殺意集う軍勢の花よ
【共通の敵対者を殺害する為に戦う仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[共通の敵対者を殺害する為に戦う仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    散らせ、戦槍振う闘争の花よ
【奇怪な動き】で敵の間合いに踏み込み、【花びら】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    散らせ、敵軍呪う大輪の花よ
【敵への殺意】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。

イラスト:8mix

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ローズ・ベルシュタイン
アドリブ歓迎

高飛車なお嬢様風の性格の少女、赤い色と薔薇が大好き
口調は「~ですわ、~ですの」等のお嬢様口調。
戦闘スタイルは『夕の憩い』での近接攻撃や『プリンセス・ローズ』での遠距離攻撃を
組み合わせたもの。

戦闘では、『二夕を導く遥かな薔薇』によって武器の能力を増幅させて戦う。
敵の攻撃は【見切り】で避けたり【オーラ防御】で身を守る様にする。

戦闘以外は、人々と仲良く、楽しく過ごす事を優先し
【礼儀作法】で相手に失礼の無い様に心掛ける。
また、【楽器演奏】でヴァイオリンを披露して楽しませたりもする。

いずれの場合も、公序良俗に反する事や他人に迷惑が掛かる事はしません。
あとはお任せ、宜しくお願いします。



●赤き邂逅
 |花《はな》に|焔《ほむら》で|花焔《かえん》の姫。首魁の名は初めて聞くものだったが、何を以って花焔の姫を名乗るかと――ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)は興味に惹かれて滅びた桃源郷へ続く洞穴に足を踏み入れていた。
 洞穴内は苔むした空気が立ち込める。完全に封鎖されていたわけではなかったのだが、通る者が失われた後、時と共に淀んで今がある。入った刹那に感じた劣悪な雰囲気、蠢く者達の気配は邪悪な養分を蓄えて開く仇花、百花兵。
「赤い花――に惑わされるわけありませんわよ!」
 その者達は、赤き花弁を頭部とした植物の兵士と思しきもの。赤い色が好き、とは自他共に認めるところだが、それは例えるなら気高き薔薇の赤であり、決して地底の如き環境で醜悪に色づいた赤ではない。
 図らずも出会った両者が交戦に至るまで数秒とかからなかった。叫んだローズが素早く「プリンセス・ローズ」を抜き構えて魔弾を連射、手裏剣の投擲動作に入っていた百花兵達の手元を撃ち抜く。それは片手で扱える程に小型の銃だが、百花兵達の筋肉質の緑腕を高々と弾くだけの破壊力を持っていた。
 銃に仄赤く宿る光が力を与える。|二夕を導く遥かな薔薇《ヤイバヨジュウヨトドケ》――破壊力、射程を三倍にしての制圧力は百花兵達が際限なく湧き出る大軍だろうと退くことはない。間合いの利はローズにあり、しかし百花兵達も犠牲を払いながら異星人を思わせるような奇怪な動きで詰めてきた。倒れる者達を乗り越えて十字の鉾を振るい、右腕に備わる白き花弁を舞わせながら刺突を放つ。魔弾のみでは物量で勝られ払いきれなかった猛威、しかし奇しくも、ローズが所持する武器は遠距離の銃ともう一つ。
 百花兵達と剣戟を演じるための「夕の憩い」、これもまた仄赤い。刺突の出所を見切り躱しつつ捌ききれぬものは刃を以って打ち返す。赤橙の火花を散らしてくるり、くるりと鮮やかに踊る。百花兵達が放っていたのは死へと誘う四連撃だが、その初撃すら触れさせない。徐々に大軍の中へ侵入してくるローズを百花兵達は包囲するように攻め立てるものの、ローズの纏う薔薇の聖域は鋼より固くローズを守る。振り抜けど当たらず、而して赤き剣閃、赤き魔弾が飛んで爆ぜると、ローズの射程を把握し切れていない百花兵達の頭部が無残に破裂し倒れ行く。
「光栄に思いなさい――この私の前で散ることを!」
 散り際こそ最も輝ける時。しかしなお強く輝くローズの前では、泡に等しく消え失せるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛里・かすみ
アドリブはご自由に

元気で横柄な性格の女性、色んな物事に興味を持ちつつも飽き易い性格。
冒険では、真面目に取り組み、常に周囲に気を配りながら敵からの奇襲に備える。
人と話すときも礼儀を忘れずに挨拶や自己紹介をし
人々の好感を得られる様に努力する。
口調は、ステータス画面の口調と同じ感じ。

戦闘では、『大地の王者』を使用して戦います。
戦闘で瀕死になったら、UCを発動させてゴーレムを召喚。
私はゴーレムの肩に乗りつつ、戦闘指示を出していきます。

また、どの様な状況でも公序良俗に反する事や
他のメンバーの邪魔となる行動はしません。

後はお任せします。宜しくお願いします。



●奥の手は必然の逆転劇
 猟兵の一騎当千とも言うべき活躍があって、百花兵達の中にも危機感が芽生えたようである。花弁の頭部には辛うじて目と思しき箇所が分かるくらいで表情の類は無いに等しく、しかし集団を密にする動きが彼らの意思を物語る。
(何を仕掛けようとしているの……?)
 雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)が到着した頃、戦場の雰囲気は物々しいものに変わっていた。それまで個の雑多な集団でしかなかった大軍が意思を疎通させ、統率された動きで鉾を構え一斉に突っ込んでくる。
 迎え撃つかすみの手には薙刀、旋風刃。互いの得物の射程はほぼ互角と言ってよく、その先は技術と数が物を言った。百花兵達の軍勢に一陣の旋風、突き出される鉾を躱し縫うような薙ぎ払いで斬って捨てる。
 それが風穴だが大軍の前には小さく、削り合いはじりじりと続く。薙刀を振り回し胴を捌いて百花兵の山を築いていったかすみ、その間に一突き、二突き、百花兵達が死に物狂いで仕掛けた攻撃がかすみの腕を裂き、足を裂く。かすみが戦果を挙げていたのは確かだが、その代償も決して安いものではない。
 かすみの前に立ちはだかるのは常に万全な百花兵達だ。一撃で斬られ倒れても、また別の個体が現れる。そうなれば如何に強者であろうと崩れ落ちる時が来る。
「……っつ……」
 体力の消耗、積み重なる負傷でかすみの呼吸が荒い。目の前にいるのはもう何体目の百花兵なのかも分からないが、このままでは数に潰されると、今度はかすみが危機感を覚える番だった。
「偉大なる、精霊の魔力よ――」
 ただ、かすみにとって幸運だったのは地脈が生きていたということだ。戦いの中で感じ取っていたかすみは魔力を作用させて大地の化身を呼び起こす。かすみの足元から盛り上がって生じたのはゴーレム――|大地の王者《ソイル・ガーディアン》。
 その肩の上がかすみの定位置だった。百花兵達の遥か頭上に腰掛けて一息。圧倒する体格差の中で見下ろすと、百花兵の大軍などまるで赤子のようである。
「私の守護者となり……進むのよ! 邪魔な相手は全部弾き飛ばしちゃって!」
 かすみの声に応じ、ゴーレムの上げた足が、ずん、と地を衝く。それで五、六体は簡単に潰れて、殺到してきた百花兵達もまるで空き缶を蹴とばすかのように払い除ける。
 洞穴の壁に百花兵達が強か叩きつけられて、また堆く。ゴーレムが道を切り拓く様は力強く、そして爽快だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
属性:炎

何だかんだで、武侠界は久々だのう…。桃源郷に通じる洞穴もだが。

さて、まあ巣窟になっとるよな。狭い。
だが…やりようはある。植物であれば、わしだ。
黒燭炎を突き主体にしての攻撃よな。UCも使って…生命力吸収。枯れて燃えるが良い。む、煙い。

身体が大きくなろうと、それは的が大きくなるだけであるし、洞穴という限られた場であれば、大きさは利点にならぬからな!

いろいろと放っておけぬからな!だからこそ、『わしら』はここにおる!



●捨て置けぬと誰かが感ずれば
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)が封神武侠界を懐かしむのも、ある種、猟兵の性と言えた。大戦に勝利し小康状態となると事件も必然、数を減らす。そうしてさらには新世界に出会うことになって、特別な思い入れでもなければ振り返る機会は減ってしまうもの。
 しかし月日が経つと新しい発見があったり、Qと呼ばれる特殊な儀式やグリモアエフェクトといった形で進展が生まれたりする。それで再び訪れることになった封神武侠界だが、滅びた桃源郷に続く洞穴は進めば進むほど狭かった。
「まだいるか……」
 百花兵の巣窟、最早途切れるという希望は捨てなければならなさそうで、義透は黒燭炎を手にする。桃源郷までびっしりと百花兵達が蠢いているなら相応の手段を取らねばならぬと温和な表情に少しばかりの険しさを滲ませて、
『逃がさぬ。悪霊が逃がさぬと言ったからには……絶えよ』
 迸る雷炎、悉くを滅ぼさんとする呪詛の矢を撃ち放ちながら己もまた大軍の中に突っ込んでいく。矢は大地諸共、百花兵の大軍を焼き払う勢いで広がっており巻き込まれた百花兵達は悶え苦しみながら大抵は尽きるのだが、個体差があってか鉾を振るう程度には生き残る者がおり義透の進路を阻もうとしていた。
 塗れる炎はさも憤怒を示すかのように――義透へ殺意の感情を爆発させて巨大化を果たす百花兵達。
「体を大きくしたとて、それ即ち的が大きくなるということ……洞穴という限られた場であれば、大きさは利点にならぬからな!」
 巨大化を果たしたところで洞穴をぴたりと塞げるわけでもなく、疎かになった百花兵達の足元をすり抜け義透は背後を取る。鉾もまた巨大化していたが動作はどうしても緩慢になり、義透を追い切れず足場を穿って崩すばかり。そして反転もままならなければ、巨躯を駆け上がる義透の前に、
「いろいろと放っておけぬからな! だからこそ、『わしら』はここにおる!」
 信念、情熱、あるいは気概とも言えようか。義透には貫くべき意志があり、貫くべき敵がいる。黒燭炎を心臓の高さに突き立てられて、円状に燃え広がっていく炎は消すべくもなく。百花兵達は巨体だった跡を虚しく残して洞穴から燃え去っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メル・メドレイサ(サポート)
時計ウサギのマジックナイト×パーラーメイド、15歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、演技時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

戦闘スタイルは多種の属性を扱う魔法使い
武器に魔法をかけ戦うこともできます

依頼にちなんだ品を給仕することを好み、味方には有効なもの、敵には嫌がらせ用のものを渡します

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●めるめるにしてあげる❤
「あら、お上手ですね」
 百花兵達が時折見せる奇怪な動き。体の芯がまるで抜けたかのようにぐにゃぐにゃと動いて花びらを放ち鉾を突く。それがさも踊っているように見えてメル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)は豊満な体を揺らしながら、自身もまた片刃剣「アンブレイカブルグラス」を交えて踊る。右、左、後方と絶え間なく襲い来る鉾の先端を打ち払い、受け流し、肌に触れるや否やの距離で躱して詰め寄り薙ぐ。胴を半身、断たれただけで百花兵はぐだりと崩れ落ちるが、他の猟兵達も手を焼いた数の多さがメルの前にも立ちはだかる。
「もっともっと……楽しみましょう? ご覧くださいめるめるダンス❤」
 それまで淡い輝きを放っていただけの刃が、イルミネーションのように鮮やかに光り始めた。自身にかけた補助魔法が手を通じて刃まで流れ込みメルの妖艶なダンスを彩っていく。美の競演――否、それはメルの独壇場だ。揺らす肉体はどこか隙があるようにも見えて百花兵達はここぞとばかりにメルへ迫るのだが、加速したメルには紙一重、触れること、も叶わない。そしてメルのダンスの引き立て役となり、炎の輝きが百花兵達を一閃裂き散らし、氷の輝きが死という永遠の美を与える。
「ふふ……お気に召しましたでしょうか?」
 メルの問いかけに答えるものは最早何も無い。百花兵の巣窟はようやく果てて、猟兵達に道を与えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『🌗花焔の姫・孫氏』

POW   :    私だって戦えるし強いんだからね!
【槍の部分による攻撃と杖の部分からの光線】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    夜でも花吹雪って綺麗よね!じっくり見てって!
レベルm半径内に【淡く光る桃の花吹雪】を放ち、命中した敵から【気力と僅かな生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
WIZ   :    伯言達、ありがとう!私の声に答えてくれて!
【オブリビオン含め色んな世界や創作上の陸遜】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。

イラスト:tora

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は推葉・リアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●桃源郷の空は見る
 この手で滅ぼした、それは確かだ。ただし、孫氏にも一つだけ手が出せなかったものがある。
 空は変わらぬ姿をしていた。地上がいくら朽ち果てようとも、空の澄み渡る様は変えようがない。だからそこが彼の桃源郷であると――孫氏は空を見上げて思う。
 桃源郷、夢の都。しかし今やここは夢の跡だった。
藤堂・こずゑ(サポート)
あまり見た目妖狐っぽくないけど、妖狐なの

右目を何とか見せない、見ない様に生きてるわ
妖狐な部分は出したくないから…

依頼に拘りは無いわ
誰とでも連携し、どんなのでも遂行してみせるわよ
日常パートはアンニュイな感じでクールに過ごすわ
一応喜怒哀楽はあるつもり

戦闘パートは古流剣術で挑むけど…
流派は忘れちゃった
マイナーだから廃れちゃったみたい

振るう刀は宵桜(ヨイザクラ)ね
可愛いでしょ

大気の流れを読んで攻撃したり避けたり、後の先を得意とするわ

UCはどれでも使用し、攻撃するUCばかりだけど…
他の猟兵との連携などで避けて敵を引き付ける必要がある時は『流水の動き』を使ってね

後はマスター様にお任せするわ
宜しくね



●縁遠く見えて染みつく邪心
 何故、孫氏はこんなにも晴れやかであるのだろうと藤堂・こずゑ(一閃・f23510)は物憂げに思う。花を舞わせ、紫煙龍を纏い凛と立つ様。滅んだとは言え、幻想を思い起こさせる雰囲気に不思議と馴染んでいる。
「あら……」
 孫氏は旅人を出迎えるかのような柔和な表情を見せていたが、二言目は語らない。こずゑという存在が何であるかを本能的に悟って槍と一体化した杖を構える。こずゑもまた宵桜を顔の高さに捻り構え、重心を落として攻め入る姿勢。
 紫煙龍が吼える。それを合図としたつもりはないがほぼ同時にこずゑは飛び出していた。断つ為の一振り。孫氏は武芸を嗜んでいる風でありながら、こずゑに突きつけたのは紅の宝玉だ。
 桃源郷の地に相応しき桃色の閃光が走る。距離感も何も無くこずゑの顔を突き抜けるまで一瞬だったはずだ。その姿が掻き消えこずゑの実体が半身横に現れて、孫氏は虚を突かれたように目を見開く。
 紫煙龍は激流の如くこずゑの刃を喰らいにいっていた。ユーベルコードを捕食するという異能はこずゑの刃に宿る力を嗅ぎ取り、我欲のままに牙を剥く。自らの体を飛び込ませるのだ、少々のずれは力尽くで噛み砕きに来るだろうことは予見できた。
 断つべき物は他にある。故に溜めた一振りは――尚、溜める。呼び込んで引き付ける。牙が動き出した瞬間は予見より予感、瞬時の緩急で紫煙龍の目測を僅かに狂わせた後に斜へ飛び込み長き胴の脇をすり抜ける。紫煙が揺らぐ、而して牙を掻い潜ったこずゑは孫氏の正面に躍り出て薙ぐ。
 長柄の得物、盾として受けるに十分適していただろうが、たった一つの誤算があった。こずゑが断つのは物ではなく邪心。刃は手品のように孫氏の受けを無効化し、纏う衣も裂くことなく孫氏の根底を断っていた。
「――!?」
 身を引き千切られる痛みは錯覚のよう。しかし脱力する孫氏の体は、斬られ削がれた邪心の分だけ力を失っていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

諏訪野・みすず(サポート)
とにかく突撃して、ボスをぶっ飛ばします。「みすずちゃんにはパパ以外は、勝てないよー!」「このままじゃマズいよね」アドリブ、共闘歓迎です。


鬼灯原・孤檻(サポート)
「この一刀は神罰。その首をもって贖うがいい」
罪を刀で斬る神。その特性上、無数の刀を生み出すことが出来ます。生み出した刀は基本消えません。
立ち回りは刀で斬ること。補助では黒い鎖と、フワフワと浮く謎の黒い布状の影のアイテムを使用します。
多少の状態異常は、毒を払う小刀を刺した鉄製の仮面と、肩に羽織った災厄を寄せ付けない着物で防ぎます。
本能的に罪を斬ろうと動くため、敵への心情の描写は薄くて構いません。
一人称は「俺」、クールというよりは朴訥で不器用です。
戦闘シナリオに出して頂けると嬉しいです。エログロは苦手です。
書いていない部分は全ておまかせします。
ご縁がありましたらよろしくお願いします。


赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ



●何事も限度があろう
 ユーベルコードを捕食する――それが何だと言うのだ。捕食してくるなら捕食してくる前にぶち当てればいい、とは諏訪野・みすず(不思議系ダンサー・f00636)の猪突猛進的な思考から生み出されるのである。
「桃源郷を滅ぼした……理由は言わないのだろうな。だがこの一刀は神罰、犯した罪の理由は問わず、ただ贖う為に首を取る」
 どこか影を残すような出で立ち、鬼灯原・孤檻(刀振るう神・f18243)が携える霊刀・凍檻は今もまさに滅び続けている桃源郷の時を止めるかのように冷気を湛える。花焔、とは一種の言葉遊びであろうが、性質、振舞い、全てにおいて孤檻と孫氏は対極と言えた。
「あの紫の龍、ユーベルコードを食べてくるんだって? 大変だねー。でも、そんなに食べ続けていられるのかな?」
 良く言えば快活、悪く言えば能天気と掴みどころのない、赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)。しかし、冗談に見えて緋色の発想は思いの外的を射ている。
「だったら、ひたすらユーベルコードを撃ち続けていれば!」
「孫氏の存在も忘れてはいけないな。二手に分かれる……だが俺は、手数は乏しい」
「しょうがないね、私がやろう」
 いつでもどこでもフリーダムかつアグレッシブ、緋色のやりたいことと突破の糸口が繋がった時、それは思わぬ力を発揮する。
「よーし私のお出ましだー! いけいけー!」
 決まったら一目散、目指すは紫煙龍だ。緋色が標的を紫煙龍とした理由、紫煙龍は知らぬところだがユーベルコードを存分に使ってきそうな緋色の存在はカモとネギに等しかった。
『ひっさーつ!』
 確実に紫煙龍の口へ属性弾を叩き込むため命中重視の姿勢でガトリングを構え、銃身に走る振動を最小限に抑えながら連射、連射、連射の雨。それは紫煙龍の大口に吸い込まれていったのだが、突如紫煙龍はぶるりと震えてカラフルに明滅しだす。属性弾の捕食のし過ぎで胴の中に収まりきらず、体表に現れて今にも爆発しそうな雰囲気。
 紫煙龍はひらりと上空へ逃げて、消化力に賭けようとしていた。だが三人は去る者追わず――孫氏さえ倒してしまえばいいのだから。
 孤檻とみすずが紫煙龍の異常に気付いて、孫氏本人に迫っていた。孤檻の刀がすらりと伸びて孫氏に叩き込まれんとするが、孫氏もただ黙って立っているわけではない。槍部分を突き出すようにして弾く。――だが、突撃一直線だったみすずは孤檻が仕掛けた硬直の罠を最大限生かす形で孫氏へ肉薄。
 手にしていた得物は名状しがたいバールのようなもの。一見工具だが、そこに蒸気エンジンを搭載すると一転、ジェット機なロケットの如き凶器となって、ゴン、と凡そ肉体から発せられないような音でみすずの攻撃が炸裂した。
「たはっ……ぅ、ぐ……」
 体力の何割を持っていかれたかは正確には不明だが、体の状態からして三割はダメージを受けていただろう。
 そして孤檻の追撃。小細工も何も無く、斬ることに特化して孫氏の逆側の脇腹を狙った。
 紫煙龍は未だ再起不能で、身構えて受けるにはまだダメージが完全に回復できておらず動きも鈍い。
 そのチャンス、逃すわけにはいかなかった。立て直してくる前の一瞬、そこを剣刃一閃で斬り捨てる。刀身が透き通るように輝くのは破邪の証だ。打撃を受けたのと反対側を斬りつけられ孫氏の体が膝から崩れる。
「……かはっ…………これ、が……猟兵……なの、ね……」
 あらゆる大戦を乗り切ってきた猛者中の猛者。神器「紫煙龍」封じ込め、三人は最大限の戦果を得たのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

ふむ、なるほど…見事に滅びとる。であれば…明確に敵よな。
しかしあの紫煙龍…たしかUCを食むのであったな。
ならば、このUCよな!

うむ、内部からの支援(『疾き者』)で強風結界しとるし。
わしはわしで、炎の究極…太陽顔出ししとるし。

ま、見切って…多少は当たる覚悟ではあるがこの生命力、今なら呪詛強いぞ?
で、槍の間合いになれば、わしは黒燭炎を下から上に薙ぎ、さらに石突で突いてから、思いっきり横に振る。
そちらも槍であるからな。最初に弾かねば、刺し違えも起こりえる。
それを防ぐための、最初に縦の動作やな。

…実を言うとな。どこかの桃源郷が、『疾き者』の母の故郷だそうで。
怒っとるのよ…。



●寄り添う怒り
 住人がいたという痕跡はとうの昔に風化しているようだった。広々と開ける世界、戦うには打ってつけなのかもしれないが。
「ふむ、なるほど……見事に滅びとる。であれば……明確に敵よな」
 猟兵でなければ孫氏という存在はただ一つでしかない。オブリビオン――桃源郷を滅ぼした者。纏う紫煙龍、韓信の手の者だ。その彼女は複数の猟兵達の手によって追い詰められており、反撃の手段を探っていた。
「だったら……舞って! 桃の……花、吹雪!」
 風が鳴き、孫氏の周囲に花びらの渦が巻き起こる。台風の如く膨れ上がった花びらの渦は戦場一帯を攻撃しながら、命中した者の気力と生命力を奪う代物。攻防に働く必殺の一撃に加え紫煙龍が襲い来るのを、待ち受ける義透は備えありという顔で。
「花吹雪、紫煙龍……ならばこれよな!」
 内に秘めたる者達を含め、四悪霊。名に相応しく四種の技能の性能を引き上げる効果を持つユーベルコードは放たれると同時、まずは戦場を烈火の如く照らしていく。
 空に灼熱、沈まぬ太陽。天候操作で強制的に翳りの無い世界を作る。花吹雪は暗闇でこそ活きるものであり、義透が作り出した戦場では孫氏の力量を超える力は出ない。
 そして結界、風には風だ。暴風域に突き進んでくる義透を刻まんとする花びらは強化結界に阻まれて空に抜ける。暴風もまた押し流す力だが反発して耐える。韓信に目を掛けられた孫氏の力を凌駕する力、決して「義透」一人のものではないが、何時にも増して迫力があった。
 だが、もう一つの難敵、紫煙龍はどうか。食らうという性質、噛みついた結界を弱化させて牙を立てに来たのを義透は黒燭炎を持たぬ腕で受けた。
「……今なら呪詛強いぞ?」
 打ち消すとは違う。紫煙龍が全てを飲み下すには相応の時間を要したが、その間に呪詛が毒として紫煙龍の体に回る。呪詛もまた威力の跳ね上がった猛毒だ。力が消える前に紫煙龍の牙が剥がれ、暴風に呑み込まれていく。
 立ち止まる暇は無い。結界の支えは内に託して義透は突っ切っていく。花びらが二、三、義透を斬り裂いていったがこれもまた呪詛を返すが故の受け。気力、生命力を呪詛が上塗りして孫氏の顔が苦悶に歪む。
「槍に槍……どちらが|上手《うわて》か!」
 花びらの渦をついに抜け切った義透。少々の傷は構うことなく黒燭炎を向ける。湛えるのは怒りだ。それはただ世界を乱されたというだけの平易な怒りではない。
「私だって……戦える……!」
 孫氏も間合いは把握している。槍の穂を引き、踏み込んでの刺突。どちらの槍が先に届くかの勝負、相打ちも辞さない覚悟だった。
 だが老獪。義透は刺し違えの可能性を見越しての縦の動き。下方より払われた黒燭炎が孫氏の槍を打ち上げ逸らす。上ずった体に攻撃の流れを汲んでの石突による突き、見えてはいたが孫氏は躱すことができない。
 ずん、と鳩尾に響く一突き。先の戦いで負っていた傷もあって孫氏は堪らず後退るが、三連撃と決めた渾身の薙ぎは逃さぬ意志が籠っていた。描かれた偃月の中、孫氏の姿が上下にずれていく。
「あ……ぁ…………」
 滅び行く虚しさ。義透の力の一端が残された者の抱く怒りと悟ったかどうか――だが何もかもが遅すぎて、孫氏は花と散ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年06月22日


挿絵イラスト