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もぐうさ連合軍、進撃開始

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●もぐもぐとうさうさの密談
「おいしいめぇ(もぐもぐ)」
「へへ、おいしいですかい(うさうさ)」
「キミたちが持ってきてくれるおてがみはおいしいめぇ(もぐもぐ)」
「それはそれはなにより(うさうさ)」
「トラップのアレコレで回収してもらって感謝だよ(もぐもぐ)」
「おほめいただきありがとうございます(うさうさ)」
「しかしこのおてがみ、地上に出ればいっぱい食べられるんだろうなあ(もぐもぐ)」
「お、いっちゃいます?やっちゃいます?(うさうさ)」
「そうだねー、よーし地上のお手紙いっぱい食べるぞー!(もぐもぐ!)」
「でしたら私、私達がお供します!侵攻成功の暁には!(うさうさ!)」
「勿論キミは幹部だ。お手紙回収はんちょーだね(もぐもぐ)」
「わーい!ぴょんぴょんしちゃいます!罠だらけワールド!(うさうさ!)」
 この瞬間、黒いやぎさんと白いうさぎさんたちによる連合が結成された。

●ふわふわグリモアベース
「もふもふでふわふわだけどオブビリオンなのじゃー!倒すのじゃー!」
 ふかふかの床にふわふわのソファーに埋もれかけながら氷長・霰は猟兵達を見回し手描きの絵を見せる。うさぎの群れとその中心にいる大きなくろやぎ。
「これから汝らに行ってもらうのはアルダワ魔法学園なのじゃ」
 究極の地下迷宮『アルダワ』の上に建てられたアルダワ魔法学園。
 無数の地下迷宮には向こうの世界では災魔と呼ばれるオブビリオンが居座っている。
「しかし今回は迷宮の奥でオブビリオンが居座っているのではなく、地上に向けて迷宮のボスを名乗る『上司のくろやぎ』と手下になった『ダンジョン罠うさぎ』達が地上に向けて侵攻を開始してきたのじゃ。その理由が『てがみもっとたべたい!わなつくりたい!』とかでのう。しかし災魔が凶暴化し学生達の手に負えなくなっている状況で、彼らが地上に溢れたらとんでもない事態になるのぉ」
 猟兵達にはその前にそれぞれの撃破を頼みたい、と霰はお辞儀した。

●大切なこと
「おおそうじゃ、肝心なことを忘れていたのじゃ!」
 霰は花模様が可愛く書かれている招待状を見せる。
「アルダワ魔法学園の転校生として猟兵の皆はアルダワ魔法学園の支援を受けて迷宮に入っていくわけじゃが、手紙を食べられた生徒一同がお茶会をセッティングしてくれるようじゃ」
「アルダワ魔法学園内の温室。そこでは様々な花が栽培されておる。観賞は大歓迎だそうじゃ。併設されたカフェでは花を使ったスイーツが楽しめるともきいておるぞ」
「カフェを貸し切って慰労を兼ねてのお茶会になりそうじゃの。お菓子はお持ち帰りも可能だというし、わらわも参加するぞ!」


硅孔雀
 ここまで目を通していただきましてありがとうございます。硅孔雀です。
 今回はフロアボスとして迷宮の奥にいたはずのオブビリオンとその手下たちが逆に地上 に向かっているので反撃しましょう。
 メインは3章の日常です。
 第1章【集団戦:ダンジョン罠うさぎ】
 第2章【ボス戦:上司のくろやぎ】
 第3章【日常:花やかなお茶会】
●とくしゅるーる
 今回の当シナリオでは【できるだけマイルドに、ファンシー】に描写を行います。
 文体は~です~ますで統一。
 武器で切り刻んでやる!もぽかぽかなぐる位までファンシーにします。

 例:霰様最強のチェーンソーで【2回攻撃】した後ユーベルコード【スーパー電撃】で ミンチの上に兎肉ハンバーグを作ってやるぜヒャッハー!
変換:霰はチェーンソーで兎さんたちをえいえいっときりつけました。そして、呪文を唱 えるとユーベルコード:スーパー電撃で雷がドカーンと落ちてきます。いたいよーびりびりするよーと泣きながら兎さんたちは気絶しました。(判定:成功)
  といった感じです。
  システム上では撃破になりますがふんわりもふもふ戦闘をしてみよう!
  という実験的シナリオになります。ファンシー絵本ですよ!
 
●連絡事項
 連携希望など:MSページに簡略化の項目がございます。一読して頂けると幸いです。
 その他:第三章で【霰召喚】と記載があったプレイングでは氷長・霰(角型宝石人形、なわけないのじゃ角娘じゃ・f13150)が登場します。その場に合わせて行動するので何 か指定をしてもかまいません。のじゃ。
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第1章 集団戦 『ダンジョン罠うさぎ』

POW   :    ニンジンもぐもぐ
戦闘中に食べた【人参】の量と質に応じて【可愛さをアピールし】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    ヴォーパルスラッシュ
【多くの者の首を斬り落としてきた一撃】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    えげつない多段トラップ
【動きを拘束する罠】が命中した対象に対し、高威力高命中の【性格の悪さがにじみ出ているような罠】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

小烏・安芸
絵面だけ見たら平和なんやけどなぁ……ま、これもお仕事や。悪戯っ子にはちょいと痛い目見て貰おうかね。

鉈の切れ味は本物っぽいし、こっちもバラックスクラップを大剣型にして正面から斬り合い……と見せかけて、隙を見て咎力封じ狙いや。向こうは多分、こっちを罠のある方に誘導するように立ち回るやろうし、無暗に動き回らず迎え撃つ感じで立ち回ろか。
ニンジンを食べる口と物騒な得物を持つ手はきゅっと縛ってしまっとこ。
後はそうやな。上手いこと動きを封じれたり隙があるようなら、罠がありそうなとこに蹴り込んだろ。

そんなに罠が好きなら、たまには自分で確かめてみたらどうや?



【うさうさ罠作戦!】
「うっさうさー、うさ隊員、そこのスイッチを押すうさ!」
「らじゃー!」
 ぴょんぴょんとジャンプをしながら、宝箱の近くにあったトラップのスイッチを押して白いうさぎさんが逃げます。
 ドカーン!と音がして、宝箱と壁が吹っ飛びます。辺り一面瓦礫の山です。
「罠隊員の罠の腕は見事うさ、さあこれで進撃続行うさ!」
 人間型に変化した1匹と7匹のダンジョン罠うさぎの一団がダンジョンを破壊します。

「絵面だけ見たら平和なんやけどなぁ……ま、これもお仕事や。悪戯っ子にはちょいと痛い目見て貰おうかね」
 困ったような顔をして、漆黒の瞳でその光景を眺めていたのは小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)さんでした。
「あの罠、どうみても殺傷力高そうやし困ったもんやな」
 しかし猟兵として力を振るうため、安芸さんはダンジョン罠うさぎの前に立ちはだかります。
「人間だうさ!」
「何しに来たうさ!」
 ダンジョン罠うさぎさん達は次々と人型になりヴォーパルソードといいますか、巨大な鋸のような鉈のような物騒な武器を手にしぴょんぴょん跳ね回ります。
「人間は倒す!お手紙があったら奪って!」
「罠でめった打ちうさ!」
 安芸さんは大きくてやっぱり物騒なうさぎやなあとため息をつき、バラックスクラップを大きな剣の形に変えます。
「どっちも勘弁やそんなもん。ほら、キミ達かかってきてもええんやで?」
 挑発するようにバラックスクラップを振るうと、うさぎたちは一斉に襲い掛かります。
 ガキンガキン!激しいつばぜり合い続きます。しかし安芸さんは自分から群れには踏み込まず、防戦一方です。
(やっぱりそうや、さっきみたいな罠の方に向かってウチを誘っている)
 ダンジョン罠うさぎさん達はその名の通り、罠を作るのが大好きです。自信があるのでしょう。
 えいっと安芸さんが掃除をするかのように薙ぎ払うと、物騒な得物も吹き飛ばされたダンジョン罠兎さん達はきゅーと鳴きながら得物を拾おうとします。
 その時でした。手枷や猿轡、それに拘束ロープが空間に現れたと思うとダンジョン罠兎さんに生きているかのように襲い掛かります。
「う、うさー!動けないうさ!」
「むぐむぐむぐ!(うさうさうさ)!」
「おお当たった当った。どうや、これも罠やで」
 ダンジョン罠兎さんのニンジンを食べる口と物騒な得物を持つ手をぎゅっと縛り上げながら安芸さんはにっこりと笑います。
 安芸さんのユーベルコード:咎力封じが全て命中!もうダンジョン罠兎さんは物騒な得物を持つことが出来ません。
「に、人間よ、うさぎ舐めるなうさ!撤退!」
 そう一匹が叫ぶと、全員が白い兎になります。逃走する姿を見て安芸さんはしゃあないなぁと再びため息。
 拘束ロープの片方をわっかにし、投げ込み、ぎゅっと縛り上げると8匹の白兎さんは捕まってしまいました。
「そんなに罠が好きなら、たまには自分で確かめてみたらどうや?」
 そのままげしっといかにも怪しげな壁にけりを入れました。
 ドッカーン!!謎の大爆発です。
 やっぱりダンジョン罠兎は、自分をここまで誘おうとしていたんやなぁと空中を舞う白うさぎさんを見て安芸さんは思いました。
 むきゅうと鳴き、8匹のダンジョン罠兎さんはぱたりと倒れました。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティル・ライハ
おー。迷宮! 今度こそ、まさしくダンジョンだな、ダンジョン!
って、攻略じゃなくて防衛戦っぽい感じか?? ウサギとヤギなぁ、盗賊の俺より上手にゃいかねーだろ。

っつーことで、サクッとこらしめてやりますか! なぁんか敵情報が“ファンシー”とはかけ離れててこえぇのは気のせい…だよな?
雑魚戦なら俺はいつも通り、“投擲”ナイフを2本“2回攻撃”で…こう…サクサクッといってみよっか、うん。
俺も罠作成出来るけどさ、今回は張り合わずにフツーに戦うぜ。
ま、奴等の攻撃くらい見切れねぇと、だけど…

「SPD ナイフによる投擲攻撃」
「敵の攻撃は、対抗意識もちながらもUC等で回避」



【うさうさ罠作戦!2!】
「おー。迷宮! 今度こそ、まさしくダンジョンだな、ダンジョン!」
 転校生としてやってきたティル・ライハ(好奇心の末・f04613)くん。
 色々事情はありましたがその生まれや育ちの結果、罠や潜入といった自体には慣れています。
「やっぱりあの床、微妙に色が違うな」
 そう言うとティルくんはその場にあった大きめの石をを一つその床に投げます。
 床に石が当たったと同時にひゅんと空気を切る音がして、壁から壁に向かって鉄の針が突き刺さりました。
「ファンシーじゃなさそうな名前からして罠は張ってると思ったけど、この程度しか作れないのかよ」
 盗賊の俺より上手にゃいかねーだろーという事はこれではっきりとわかりました。 ティルくんは気合を入れます。
「っつーことで、サクッとこらしめてやりますか!」
 
「うさ!罠にかかった音がしたうさ!」
「やっちまえうさ!」
 人型ダンジョン罠兎さんが7匹、物騒な得物を担いで現れてきました。
「あんなちっぽけな罠で俺を仕留められるとでも思ったか?」
 ティル君の腕には何本ものナイフが握られています。ティル君も罠を作成し、そこに相手をおびき寄せる術を持っています。ですので先程簡単にダンジョン罠兎さんの作った罠を見破ることが出来ました。
 しかし、自分より遥かに技術も稚拙、劣っている相手に対し罠で勝負はしませんでした。
「かかれー!ざくざく一撃!」
 一斉にヴォーパルスラッシュが放たれます。ガチャン!ガチャン!と音を立て、次々と地面に刃が突き刺さります。
「やったうさ!」
「ミンチうさ!」
 もくもくと土煙が上がる中、歓喜の声を上げるダンジョン罠兎さん達。
「あのさ、雑魚さん、そんな攻撃を俺に当てる気?」
 ダンジョン罠兎さん達がはっと振り返ると、目の前にはナイフが何本も。ぷすぷす音を立て、ダンジョン罠兎さん達は悲鳴を上げます。
 ティル君のユーベルコード:スピード・サバイバルでダンジョン罠兎さん達の行動は全て読まれていました。
 目つぶし用にでも作ったかもしれない、土煙を上げ続ける罠のスイッチにナイフをもう一本当て、ティルの姿は再び見えなくなりました。
「このくらいの罠、逆に利用してやるっての!」
「うさー!どこにいるうさー!」
「ぎゃー!ナイフがいっぱい!」
 器用にダンジョン罠兎さん達の間を駆けまわりながら、持っているナイフをティルくんは投擲します。彼らが地面に突き立ててしまった刃に反射したナイフは何度も何度も反射しながら、的確にダンジョン罠兎さん達をぷすぷすさせます。
 最後に、これもまた簡単に見破れることが出来た水が噴出する罠をティル君が稼働させました。
 ざぁざぁと水が流れ土煙が消えていきます。
 きゅうと気絶したダンジョン罠兎さん達が7匹。
 罠で壊れたダンジョンの一部を軽く組み合わせ、簡単な檻の中に閉じ込めてティル君の戦闘は終わりました。
「ざっとこんなもんか。全く、単純とはいええげつない奴らだったな」
 
 目を覚ましたダンジョン罠兎さん達。当然檻の外から出ようと白いうさぎ姿で辺りを見回します。
「う、うさ……」
「こ、この檻の外から出たら」
「うさぎの罠でぷすぷすどころじゃないうさー!!!」
 そうです、自分達が作ってきた罠がそのままそっくり檻の周りをぐるっと一周していました。

「罠には罠をじゃなくやっつけた後はまあ、罠には罠でもいいだろ」
 戦闘中あっさりと見つけた数々の罠。
 簡単に取り外し、きちんと置いてきたティル君はナイフをくるくる回し、懐にしまいました。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜


へえ、カワイイ奴らじゃないのさ。
ちょっと物騒なのもアクセントだよな!
かといって地上へ出てこようとするのはいただけないねぇ。
ちょいとげんこつで「おしおき」してやらないとな!

【超感覚探知】でウサギたちの思考を読み、
罠への誘導や攻撃の起こりを見切って回避する。
「カウンター」なんてできないからね、
「ダッシュ」「戦闘知識」「グラップル」で
格闘戦を仕掛ける。
手癖の悪いウサギどもをボッコボコにしてやるよ!



【うさうさ罠作戦!3!】
 学園迷宮の中程、ダンジョン罠兎さん達の集合地点として仮に作られたと思われるキャンプ地。
「へえ、カワイイ奴らじゃないのさ」
 その手にヴォーパルソードを握ってぶんぶん振り回している人型のダンジョン罠兎さん、各罠の動作状況を報告する白うさぎさん。
 その様子を数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)は陰からこっそり見ていました。
 ぶんぶん振り回しているその大きな武器、爆破や串刺しといった言葉に多喜さんはにやりと笑います。
「ま、ちょっと物騒なのもアクセントだよな。でもまあ」
 彼らの進軍を止めないと、地上はたちまちダンジョン罠兎さん達による凶悪で世にも恐ろしい罠世界になってしまいます。
 地上へ出てこようとするのはいただけないねぇ。そう言って多喜さんは肩を回します。準備体操です。
「ちょいとげんこつで『おしおき』してやらないとな!」
 大きな多喜さんの声に、8匹のダンジョン罠兎さん達が現れます。
「人間うさ!」
「武器も持たずにここまで来るとは間抜けうさ!」
 多喜さんはもう一度、ニヤリと笑いました。
「ふん、おいたをしている奴にはこの拳1つで大丈夫なんでね。でっかいだけの得物なんざ一撃だよ」
 ダンジョン罠兎さん達は顔を見合わせ、顔を真っ赤にさせます。
「こいつ生意気ウサ!」
「やっちまえー!」
 ヴォーパルソードをぶんぶんと振り回すダンジョン罠兎さん達に対し、多喜さんはユーベルコード:超感覚探知(テレパシーリンク)を発動させていました。彼らがどう自分を狙っているか、どこに追い詰めようとしているのかは予測済みです。
「ほらほらうさぎさん達!今度はそっちが追っかけてくる番だよ!」
 軽やかに刃を掻い潜りながら、走り出す多喜さん。闇雲にヴォーパルソードを振り回す彼らの戦闘力の弱さを走りながら考えます。
「捕まえたウサ!」
 カキーン!という音が響き、カランと音を立て、5匹の持っていたヴォーパルソードが地面に転がりました。
「全く、だから言っただろ。拳一つで十分だってね!」
 多喜さんのユーベルコードによる回避、そして力強いゲンコツでのおしおき。ボコボコ、ドカドカ、空をひゅーんと舞うダンジョン罠兎さん達。ポッコポッコ、向かっては拳で吹き飛ばされます。
「痛いうさ!動物虐待うさ!」
 最後まで立っていたダンジョン罠兎さんは涙を浮かべながら多喜さんに、それでもヴォーパルソードを向け駆けだしていきます。
「はあ、懲りない奴、いや奴らだなねぇ」
「うさああああ!」
 その頭にゲンコツをごつん。痛みで最後の一匹が倒れ、戦闘が終わりました。

「カウンターできなかった分、奴らが単純でよかったよ」
 しかし全く、狂暴な武器や凶悪な罠を仕掛けてきたダンジョン罠兎さん達。
「おしおき完了ってね!」
 多喜さんはうーんと背伸びをし、床に伸びていた白兎を纏めて縛っておきました。

成功 🔵​🔵​🔴​

向坂・要
いやはや
なんとも賑やかじゃねぇですか

とはいえ、おいたをするこには、お灸を据えてやらねぇと

などと楽しげ

仕掛けられた罠は分体も使い解除出来そうなら解除
逆に使えそうであれば相手を罠に嵌めてやる、てのも楽しそうですねぃ
とはいえ、そのまんまじゃ芸がない
と一工夫足してみたり

切り掛かってこられりゃ見切り、第六感などで回避しつつやられたふりで罠へ誘導
地形を生かて毒やマヒも、追加して
風のルーン、ラドや炎のルーン、ケンなどを宿した分体(錬成カミヤドリ)と武器による属性攻撃もおまけしておきますぜ



【うさうさ罠作戦!4!】
  転校生の皆が戦闘を繰り広げ、白いうさぎが宙を舞い、気絶していく様子を片方の紫の瞳で向坂・要(黄昏刻・f08973)さんは眺めていました。
「いやはやこれはこれは、なんとも賑やかじゃねえですかねぇ」
 銀の髪の毛と同じ色の耳を動かし、尻尾を揺らし、要さんは学園迷宮を慎重に歩いていきます。
「っと、やっぱりあったってわけですかぃ」
 どこか楽し気に要さんはダンジョンの壁の端から端に透明な線のようなものが僅かな光の中、輝いているのを見つけました。
 恐らくは足元やどこかに引っかかったら罠が作動して何かが起こるはずです。要さんは精神を集中させると、ユーベルコード:錬成カミヤドリを発動させました。ふよふよと空中に漂う分体達。そのうち一つをそのまま真っすぐ線の向こうに念力で動かします。
 がちゃん!と音を立て棘がびっしりついた槍が何本も床から飛び出してきました。
「これは全く。悪戯を超えてますねぇ」
 それぞれの罠を慎重に試し、解体できる罠は無効化しました。再利用できそうなものは簡単につけ外しします。
「さてと、おいたをするこには、お灸を据えてやらねぇと」
 わざらしく迷宮の壁の隅に置かれた宝箱。煮えた油がジワリとしみているそれに要さんは炎のルーンを宿した分体を当てました。
 ごぉごぉと燃え広がり、周りの壁や木でできた物が崩れていきます。その火の粉を浴びないように、わざとらしい格好で要さんは倒れ込みました。
 ぴょんぴょん。ぴょんぴょん。10匹の白い兎さんたちが炎の傍に近づき、次々と人の形に変わっていきます。
「やったうさー!罠で1匹ゲット!」
「これはなにうさ?狼?狐?」
「どっちにしても漸くの大勝利うさ!皮をべり……きゅーーーー!!!」
 喜んでいたダンジョン罠兎さんが1匹。強い風を受け、吹き飛ばされたかと思うと自分達が仕掛けた極小の糸に絡み取られます。
「残念ながら狼でも狐でもないんでさぁ」
 いつの間にか立ち上がった要さんは風のルーンラドを宿した分体を手に持ち、ニヤリと笑います。
「み、みんな攻撃うさ!」
「突撃うさー!」
 一斉に掲げられるヴォーパルソード。分体を飛ばし、彼らの攻撃を避けながら要さんは逃げるようにダンジョン内を動きます。
「うさうさ、あの壁辺りまでいったら一斉に爆発させてやるうさ。うさすいっち」
 ドカーン!音をして空中を舞ったのは、ダンジョン罠兎さん達のほうでした。
「それくらいの罠、解除しておきましたぜぇ」
 楽し気に要は答えます。そして、煉瓦でできた壁、不自然に出っ張った煉瓦を一気に引っ張りぬきました。
 ジャキーンと音がして、今度は追いかけてきたダンジョン罠兎さん達が下から生えてきたとげとげに行く手を遮られます。
「痛いウサー!」
「な、なんかびりびりするウサよー!」
 ぱたんと倒れ、目をぐるぐると渦巻きにさせ元の白い兎さんに戻っていくダンジョン罠兎さん達。
「お、お前何をしたんだうさ!」
「俺ですかい?そちらさんが作ってくれた罠をまあ、自分流にちょっとアレンジしたもんでさぁ」
「アレンジにしてはひど過ぎるうさ!」
 そもそも罠を作ったのはどっちなのか、苦笑しながら煮えたぎる油が詰まった宝箱を空中に投げ、炎のルーンを宿した分体達がそこにぶつかります。
 ドッカーーーーン!!!!
 轟音にダンジョン罠兎さん達の耳はびりびり。そのままぱたりと倒れました。

「俺の場合は皮を剥ぐというよりかは、削るの方が正しいんですけどねぇ」
 とはいいつつ、勿論そんなことはさせないよう。気絶したダンジョン罠兎さん達を要さんはまとめて瓦礫でできた檻に入れました。

成功 🔵​🔵​🔴​

パトリシア・パープル
下らない罠で遊んでる兎さんには、お仕置きが必要ね

罠に関しては【野生の勘】を頼りに【スチーム・ヨーヨー】を投げて、罠に引っかからないか確認して回避
敵が現れたら、敢えて動かずに接近戦を誘う
「ほら、どうしたの? わたしから罠に嵌りに行かないと、攻撃できないとか?

敵に囲まれたところで必殺の【最臭地獄・第六天領域】を発動
スカンクガスの無差別攻撃で一網打尽にする
「残念、甘いわね! トラップなんて仕掛けなくても、わたし自身が罠なのよ!!

それでも生き残る者がいたら、毒ガストラップ第二弾!
【最臭奥義・一斉放射】で応戦する
「しばらく気を失って反省してなさい。ま、半年もすれば、鼻の奥に染み付いた臭いも取れるでしょ♪



【うさうさ罠作戦!5!】
 紫の髪の毛と同じく紫と白のツートンカラーの尻尾を揺らしながらパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)ちゃんは迷宮の奥へと歩んでいきます。
「下らない罠で遊んでる兎さんには、お仕置きが必要ね」
 大きなしっぽが示す通り、パトリシアちゃんにはスカンクとしての力、そして野性に生きる者の力を持っていました。いかにも怪しそうな場所。逃げ惑う動物をどこで捕獲するのかを野性の勘で逆に探し出します。
「よし、あの壁辺り、ちょうど一息つけそうな所ね」
 パトリシアちゃんは手に取った『スチーム・ヨーヨー』を上手く壁に当てます。
 ガチャン!大きなトラバサミが壁ごと現れ、スチーム・ヨーヨーを食べようとしました。やっぱりダンジョン罠兎さん達のかける罠は卑劣です。
「全く、本当にくだらないわね」
 上手く手元に戻したスチーム・ヨーヨーを懐にしまいながらパトリシアちゃんはダンジョン罠兎さん達が現れるのを待ちます。
「原始的な罠こそベストうさ!」
「ゲットゲット!……あれ?」
 9匹のダンジョン罠兎さん達がヴォーパルソードを担ぎながら笑顔でやってきますが、トラバサミの中には何もありません。
「間違って動いちゃったうさ?」
「そんなわけないでしょ。ダンジョン罠兎なんていうの、本当なのね」
 物陰に隠れていたパトリシアちゃんが堂々と現れます。な、なにものウサ!と物騒なヴォーパルソードを構えダンジョン罠兎さん達は威嚇をしますが、パトリシアちゃんは逃げるそぶりも見せません。
 腰に手を当て、挑発するように笑います。
「罠ならもう解除したわよ。どうしたのよ、攻撃しないの?」
 真っ赤な目と同じくらい顔を真っ赤にさせながらダンジョン罠兎達はヴォーパルソードを振りあげます。
「ほら、どうしたの? わたしから罠に嵌りに行かないと、攻撃できないとか?」
 パトリシアちゃんの追撃となる挑発に、一匹がざくざくしちゃえー!と叫びます。
(単純ね。わたしはあえて接近戦を狙っていたのよ。さあ、禁忌の術、いや、罠には罠よ!)
 パトリシアちゃんの尻尾がぴんと上に立ったその時、彼女を中心に突風のようなものが吹き荒れました。
「ぎゃー!!!」
「目が痛いウサー!!」
「お、おえおえおえおえおえ」
 パトリシアちゃんのユーベルコード:最臭地獄・第六天領域(ヘルズ・ヘクサゴン)。スカンクの特性でもあるBMB(ブチルメルカブタン)ガスが一斉に噴き出したのです。
 これは余談ですが、スカンクのガスというと人がご飯を食べそのあと腸の動きから出るガスを想像してしまいますが、実際は敵を攻撃する分泌液を発達させた腺から噴出し、攻撃するとのことです。これも生存競争を生き抜くために彼らが選んだ道なのです。あしからず。
 あっという間に5匹のダンジョン罠兎さん達が白うさぎに戻り、倒れます。
「残念、甘いわね! トラップなんて仕掛けなくても、わたし自身が罠なのよ!!」
 人工の罠と、生存競争を勝ち抜いてきた生き物の罠。その差は歴然でした。
「う、うさ……ゆ、許さない」
「い、今のを耐えたなら大丈夫だろう……!」
 ダンジョン罠兎さん達は気が付くと、パトリシアちゃんの周りにスカンクの群れが集まっていることに気が付きました。
「往生際が悪い!ふふ、これも見越していたんだよ」
「皆いくよ!これがわたし達の、ファイナル・スメル・アタック!」
 むきゅー!と絶叫をあげ、ダンジョン罠兎さん達は全滅しました。

「しばらく気を失って反省してなさい。ま、半年もすれば、鼻の奥に染み付いた臭いも取れるでしょ♪」
 パトリシアちゃんは自分の尻尾の毛並みを整えながらにっこりと笑いました。

成功 🔵​🔵​🔴​

マユラ・エリアル

オブリビオン…これはオブリビオン…
可愛い物撲滅検定3級(嘘)の私にはこれくらい…なんとでもなるさ
まあ一応物騒な物も持ってるしな!
ここでお仕置きしてやらねばなるまい
お仕事だ…お仕事!

●戦闘
【氷塊召喚】で地形に対して氷の塊を当てて自身の戦闘力アップに繋げる
その後は右手の鉤爪で攻撃
『2回攻撃』『なぎ払い』『力溜め』を活用して複数の敵を相手取ろう
『フェイント』を活用しながらトラップも回避!
敵が直接的な攻撃を仕掛けてくれば、『武器受け』でガードしつつ『カウンター』で反撃だ

さあ、凍てつく世界でお仕置きしてやろう


ベルカ・スノードロップ
見た目は、日がな一日(オトナ方面のオシオキで)可愛がってあげたいほど、美味しそ……もとい、可愛い娘なのですけど
絵本的には無理ですね

敵の皆さん相手に、UCで、白毛玉さんを召喚しましょうか
サモン・モーラ……
っと、これはいけません。世界結界的に

とまぁ、つぶらな瞳に、ぐるぐるほっぺの、白い毛玉鼠さんを、召喚
『もきゅー』と鳴きながら出て来ましたね

もすっ、という効果音と共に体当たりして貰いますね
あとは、パチパチ火花で、攻撃して貰います
画面的には、和やかになりますね。たぶん


敵さんの攻撃は【見切り】で避けさせて貰いますが
通常攻撃的に【属性攻撃】で、かみなり を落としておきますね

さて、どうなるでしょうか、ね?



【うさうさ罠作戦!ファイナル!】
【うさうさ罠軍、最後の突撃】 
 自分達の作った罠。悉く突破され、逆に利用されて空を舞う同胞たち。
「お前たち……この戦い、最早勝ち目はないうさ」
「しかし!我等ダンジョン罠兎達!最後までもふもふぴょんぴょんの精神を!」
「うさー!」
 ヴォーパルソードを掲げ、今ここに最後の戦いが始ました。死地に向かうダンジョン罠兎さん達。その数30匹。

 粉々になってしまった壁。もくもくと煙をあげる床。めらめらと燃えている宝箱らしき残骸。
 その中を二人の猟兵、マユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)さんとベルカ・スノードロップ(享楽を求め続ける"ようかん"司祭・f10622)さんは歩いていました。
 道に転がり、気絶している白うさぎさんをマユラさんは無表情に見つめます。むきゅーむきゅー。うるうると涙をこぼす白うさぎさん達。
(オブリビオン…これはオブリビオン…)
(思い出さないと。可愛い物撲滅検定3級試験にでたはず。『可愛い物の傍10m以内に物騒な得物があった場合の対処法』、答えは『速やかに戦闘態勢をとる』だったな)
「そうだ、あそこに転がっているのはヴォーパルソード。物騒な物も持ってるし、ここでお仕置きしてやらねばなるまい!」
 道に転がり、気絶している白うさぎさんをベルカさんはニコニコと見つめます。むきゅーむきゅー。うるうると涙をこぼす白うさぎさん達。
(美味しそ……もとい、可愛い娘だなあ)
(ほんと可愛いです。見た目は、日がな一日※※※な※※※※で可愛がってあげたいほどです)
「見た目に反して狂暴な性質と判断した。こちらは準備は出来ている」
 自分の武器である右手の鉤爪の確認をし、マユラは冷静な声でベルカに声をかけました。
「はい、大丈夫です。可愛い物には可愛い物。それで殲滅して一日中※※※で▲▲▲してあげようと思います(後半部分はマユラさんには聞こえませんでした)」
 笑顔を崩さず、明るい声でベルカは答えました。
(お仕事だ……これはお仕事!)
(うーんまずは■■からスタートして……)
 お互いの内心は分からないまま、共闘の準備が出来ました。

「貴様ら!我等ダンジョン罠兎!死してもここは通さないうさ!」
「うさ!うさうさうさうさうさうさ!」
 30匹のダンジョン罠うさぎ達が一斉に人の形に変化し、ヴォーパルソードを構え2人につきつけます。
「や、やっぱり可愛い……じゃない、先ずはこちらに有利な地形を作る」
「はい、ではその間に私も準備をしますね」
 マユラさんは精神を集中させ、ヴォーパルソードを持ち突進してくるダンジョン罠兎さん達の前でユーベルコード:氷塊召喚(コール・アイスブロック)を発動させました。
 辺り一面の空気が冷え込み、空中からはいくつもの氷の塊が落下していきます。
「冷たいうさー!」
「総員、ヴォーパルソードで弾くうさ!」
 ここまで残ってきたダンジョン罠兎さん達は少し賢いうさぎさんだったようです。カキンカキンと地面に氷の塊を落とします。
 しかし、氷の塊はまるで意志を持っているかのように大小さまざまなそれが集まりつるつるとした氷の地形が出来上がります。銀盤の様でした。
「うわあ!転ぶうさー!」
 棘の生えた床、空から降ってくるえげつない形をした空を舞うフックを華麗によけながらマユラさんは銀盤の上に立ちます。
 氷から伝わる冷気が銀色の髪の毛を靡かせます。氷の上に立ち、そこから沸き立つエネルギーで強化された右手の鉤爪でヴォーパルソードをつぎつぎと撃ち落とし、薙ぎ払います。
 天井からトラップが振ってきたとしても華麗にそれを除け、マユラさんは銀盤の上で舞います。
「な、なんだこの恐ろしさはうさ……!」
 凍り、氷の支配する地の上では圧倒的にマユラの方が強い。そう悟ったダンジョン罠達の残りは少し離れたベルカの方へと一斉に襲い掛かります。
 その動きを軽く見切りながら、ベルカさんはユーベルコード:白き毛玉鼠召喚(サモン・ケダマネズミ)を発動させました。
「さあ、でておいで、モーr(学園結界ネットワークの介入により流石にストップさせていただきます)じゃなくてケダマネズミ!」
『もきゅー!』
『もきゅー!』
 つぶらな瞳に、ぐるぐると描かれたほっぺの模様。白い毛玉みたいな妖獸は実体を持たず、まるで使役されるために召喚されたアレみたいな感じです。
 どこかで見たことある人がいるかもしれませんし、そうじゃない人がいるかもしれません。
「か、可愛い……あれも試験に出ていたか?」
 鉤爪で華麗にダンジョン罠兎達を相手にしながらマユラさんは思わず呟いてしまいます。
「な、そんな毛玉ごときがうさぎにかなうわけが……ぐあー!」
 もすっと音がしたと同時に、ダンジョン罠兎さん達達が次々にマユラの立つ銀盤へと追いやる様に白い毛玉鼠さん達が体当たりをします。
「よし、画面的にはもう一つおまけをしておいた方がいいかな。皆、もきゅもきゅパチパチをお願いするよ!」
『もきゅー!』
 白い毛玉鼠さん達の体からパチパチと火花が発せられ、ダンジョン罠兎さん達を攻撃します。ピカピカの銀盤の上で煌めく火花。
 ついでにベルラさんはえいっと傍らに置いていた200cmを超える程大きな十字架の形をした鈍器からかみなりをドカーン!と落としました。
 ピシピシッ!と音を立て、即席の銀盤が砕け散ります。銀色に煌めく氷が雨のように降り注ぐ中、白い兎さん達がぐったりと倒れていきます。

「う、うさうさがもきゅもきゅにまけるなんて……」
「これでお前達の野望も終わりだな」
 内心どっちも可愛かったと思っていたそぶりも見せず、マユラさんは武器を下ろし彼らの持っていたヴォーパルソードを回収します。
 ベルカさんにどれにしようかなと選ばれていることに気が付かない白い兎さんは、倒れながらも不敵に笑います。
「うっさうっさうっさ、しかし、これで時間は稼げたうさ」
「うさうさうさ、お前たちもあのお方の前にはコテンパンうさ……」
 
 ぬっと黒い影が二人を覆います。段々と、その影は大きく、そしてどしどしと響く足音も大きくなっていきます。
 こうして、物語は次の章へ続いていくのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『上司のくろやぎ』

POW   :    でりしゃすれたー
【『あまい』告白の手紙】【『しょっぱい』別れの手紙】【『からい』怒りのお手紙】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ようしゃしないめぇ!
【『するどいきれあじ』の催促状のお手紙】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    そくたつぽっぽさんめぇ!
レベル分の1秒で【頭上にいる速達担当の相棒ぽっぽさん】を発射できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メーアルーナ・レトラントです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【くろやぎさんたらおてがみと一緒になにたべた?】
 むしゃむしゃと肩にかけた鞄からあふれ出す手紙を食べながら、くろやぎさんがぬっと姿を現しました。
「あれー?このまま迷宮の外に出られるんじゃなかったっけー?(もぐもぐ)」
 くろやぎさんは足元で気を失っている白いうさぎさんに話しかけますが、当然返事は帰ってきません。
 もしゃもしゃもしゃ。ごくん。これは酸味がきいていたなぁと手紙の味を評価しくろやぎさんは周りを見渡します。
「あらら、やられちゃったの。でもまーなんとかなるか」
「えーと、とりあえず。お手紙を持ってる子、味見させてほしいんだよなー」
 再び手紙を口にしながらくろやぎさんはのんびりと猟兵さん達に向かって呼びかけました。
 ぽっぽー!とくろやぎさんの頭の上にいるとりさんがなきました。
数宮・多喜


いやー、アタシお手紙持ってないんだよねー。
だからおとなしく迷宮の奥に戻って、って
のんびりしてるっぽいのにすばしっこいなぁこいつ!

とにかく大人しくしてもらわないとね。
周囲にサイキックの電撃をばら撒いて、行動を阻害。
とにかく動きをよく見て攻撃をかわしながら聖句を唱えて、
サイキックの網を張る。
網の中心にくろやぎさんが近づくのを待つよ。

狙った場所にくろやぎさんが来たなら、
そこで【黄泉送る檻】を発動!
つーかまえた!とばかりに
痺れさせるよ!

ほんとうに大人しくなるまではビリビリをおさめられないね!


マユラ・エリアル

これまたなんともやり辛い…
もふっとしてるしな…もふっとしてるしな!
だが残念ながらお前にくれてやる手紙は無いさ
迷宮の外に出す気も無い、此処で行き止まりだよ

●戦闘
距離を取り遠距離からの魔法発動で戦う
『全力魔法』『属性攻撃』でブーストして【氷刃展開】を使用
氷の刃を出現させ、敵を方位するように展開させ
全ての刃を一度に放出し一気に切り刻む!
すまぬもふもふ、これで切り刻ませてもらうぞ

さあ、氷刃の檻に囚われて貰おうか

敵のぽっぽさんは『オーラ防御』と『カウンター』で対処
右手の鉤爪てガードや切り払いながら受け流す



【くろやぎさんはおてがみが欲しい】
「そこのお姉さん、お手紙本当にもってないのかー?」
「いやー、アタシお手紙持ってないんだよねー」
 数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)さんは自分の方へどしんどしんと音を立てながら近づいてくる上司のくろやぎさんの問いかけに首を振りました。
「だから、その、おとなしく迷宮の奥に戻って欲しいなぁと」
 多喜さんは平和的解決案を提示しました。
 しかし、くろやぎさんは頭の上のぽっぽさんとお話をして、むっとした表情をむけました。
「お手紙は昨今少なくなってるんだなー」
「ぽっぽ!」
「くろやぎさん、ぽっぽさんとお話したけどめえるとかめっせえじというのもお手紙に入っていると思うんだな」
「だから、お手紙をきっと持っているはずなんだな!えい!」
 多喜さんのこげ茶色の髪の毛が揺れました。くろやぎさんが何かを投げつけたのです。
 慌てて多喜さんが距離を取り、迷宮の壁に突き刺さったそれを確認しました。『さいとくじょー』とかかれたお手紙です。よくよく見てみると、突き刺さった場所には大きなひびが入っています。
「あ、あぶないなぁ!とにかくお手紙持ってないよあたしは!」
「ほんとか?ほんとなのかぁ?」
 どしんどしんと音を微々貸せながらもくろやぎさんはお手紙を持ってるに違いないと多喜さんに向かって素早く近づきます。
 さいとくじょーをびゅんびゅん投げていきます。
(ちょっとちょっと、のんびりしてるっぽいのにすばしっこいなぁこいつ!)
 さいとくじょーをかわしながら、多喜さんはサイキックの力でびりびりとする雷撃をばら撒きます。
「い、痛いんだな!でもびりびりさんならきっとでんしれたー持ってるんだな!」
「だからもってないってば!」
 このままくろやぎさんの行動を妨害をし、かわすだけでは追いかけっこは終わらないでしょう。

「ぽっぽー……ぽぽっ!?」
「ど、どうしたぽっぽさん!?」
 突然ぽっぽさんがぽかっとなにかにぶたれたかと思うと宙を舞います。あわててくろやぎさんはぽっぽさんの元へと向かい、頭に乗せ直します。
「ここに手紙はない」
 大きな鉤爪でぽっぽさんを狙ったマユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)さんが涼しげな顔で言いました。
「残念ながらお前にくれてやる手紙は無いさ」
「お、お手紙ないのか?お外にはあるのかー?」
「たとえ外にあったとしても迷宮の外に出す気も無い、此処で行き止まりだよ」
 マユラは多喜さんの元に近づきました。
「助かった、ありがとね」
「大丈夫だ。どうやら随分素早いようだな、もふっとしてるのに」
「え?あ、ああ。足止め用の檻でも作れればと思ったけどこりゃあ大変そうだ」
「檻か?成程、時間がかかるというならこちらが囮になろう。その間に事を進めてくれ」
「いいのかい?」
「こちらも使うのはある意味檻だ、誘導させてたところにもう一つの檻で閉じ込めたら少しは懲りるだろう」
 こうして即席ではありましたがお互いの作戦を伝えて多喜さんとマユラさんの攻撃が始まりました。

「お手紙ないなんてウソつきさんはきらいなんだなー!ぽっぽさんはっしゃー!」
 なんともふもふのぽっぽさん、目にもとまらぬ速さでいっぱいのぽっぽさんとなってマユラさんの方へ発射されていきます。
(もふっとしてる……もふっとしてる……もふもふだらけ……)
 マユラさんはその内心とは裏腹に、冷静な様子で右手の鉤爪てガードや切り払い、くろやぎさんとぽっぽさんの目を引きます。
 その間に多喜さんはぽっぽさんやさいとくじょーの攻撃に巻き込まれないようサイキックの力で電撃を更に撒きました。
 マユラさんは自分の体の向きを変えたり、時には近づいて牽制しながら先程多喜さんと打ち合わせた場所にくろやぎさんがくるよう誘導しました。
「よし……それでは、まずはこちらの氷刃の檻に囚われて貰おうか」
 マユラさんの周りには冷気を帯びたオーラが漂います。空気中の水分がキラキラと煌めくようにマユラさんの周りに集まり、そしてそれぞれが一つの形を作ります。
「氷刃の名は伊達じゃないという事だ。覚悟しろ、もふもふ!」
 マユラさんのユーベルコード:氷刃展開(コール・アイスエッジ)がその言葉と共に発動しました。100本を超える氷の刃が現れます。
 氷刃と自分を称するほど、マユラさんにとって氷の属性を操作することはごく自然な動作でした。氷の刃はまるで意志を持ったかのようにあっという間にくろやぎさんとぽっぽさんを包囲します。
「な、なんだな!つめたいのは怖いんだな!」
「すまぬもふもふ、これにて切り刻まれて貰うぞ」
 マユラさんの言葉と同時に一斉に氷の刃がくろやぎさんとぽっぽさんを襲います。さくさく、ぱらぱら。鞄もくろやぎさんもずたぼろです。
「いたいんだなー!こおっちゃうんだなー!」
「ぽっぽー!」
 マユラさんが作り出した無数の氷刃。その檻からなんとか逃げ出そうとくろやぎさんはさくさくされながら逃げます。
 当然、くろやぎさんは多喜さんがその間に唱えていた聖句など聞いている余裕はありませんでした。
「……ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 多喜さんのユーベルコード:黄泉送る檻(サイキネティック・プリズン)が発動しました。ばら撒かれていた電撃達が一斉に光の帯となって一つの形を作ります。
「お、檻に閉じ込めるのはやめるんだな!……ぎゃー!」
 くろやぎさんが誘導されていた場所を囲うようにサイキックブラストで出来た檻が出来ました。それに触ろうとしたくろやぎさん、とうぜんびりびりとします。
「いたいんだなー!びりびりなんだなー!」
「はあ、ようやくこれでつーかまえた!って所かい」
 多喜さんは檻の中で暴れているくろやぎさんが、ビリビリに耐えきれずぱたりと倒れるまでユーベルコードを展開し続けます。
「これで懲りたかい?ビリビリはずーっと続けるよ!」
 くろやぎさんはそれでもあきらめません。
「ぽ、ぽっぽさん、あっちを狙い……つめたいたーい!」
「ぽっぽー!」
 檻の隙間を縫うようにマユラさんの氷刃がさくっと二匹に刺さりました。
 ぱたり。
 こうしてビリビリでさむさむの中、くろやぎさんはきゅうと気絶しました。

「上手く行ったみたいだね、協力感謝するよ!」
 多喜さんはマユラさんの元へ駆けつけます。
「もふもふ……やり辛い相手だったが、これも可愛い物撲滅検定3級所持者に定められた事」
 マユラさんの独り言が聞こえたか聞こえないかはわかりませんが、くろやぎさんはまだびりびりと痺れていました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パトリシア・パープル
「そんなに手紙が欲しいなら、わたしが食べさせてあげるわよ

くろやぎの前に手紙をばら撒いて注意を引き付ける
もっとも、その手紙は全て罠ですが…

剃刀入りレター、自分のスカンクガスの匂いを染み込ませた便箋など、封筒の中身はえげつないものばかり
ちなみに、便箋に書かれている内容は全て『不幸の手紙』

相手が手紙に気を取られた隙をついて【秘儀・臭気波動法】を発動
姿を消して死角からヨーヨーで攻撃し頭の鳥を叩き落す
「鳥って嗅覚弱いから相性悪いのよね

本体には濃縮BMBガスを掌に溜め波動拳のような構えから発射
「あらら……本当に手紙の通りになっちゃったわね。もらった不幸の手紙、誰かに出さないで食べたりするからこうなるのよ♪


ベルカ・スノードロップ
5歳の女の子から預かった手紙を渡します。
「くろやぎさん宛のお手紙ですので、ご賞味ください」
私は内容を知りません(未開封)

さて、今回も毛玉鼠さんを召喚です
はい、ウサギさんの時にも登場してくれたあの子たちです
やっぱり、もすっといった感じの体当たりをしてもらいます

□お手紙
正真正銘、5歳の女の子が一生懸命書いたものです
ひらがなだけなのも、そのためです
もちろん手書きです
くろやぎさんなら、子供の純粋な気持ちを汲めるでしょう

・内容
やぎさんへ
やぎじると、やぎさしという、おいしいりょうりがあります
とてもおいしいりょうりです
あなたは、おいしいやぎさんですか?
おいしいやぎさんなら、おいしいおにくになってください



【くろやぎさんはおてがみがそれでもほしい】
「うう、お手紙欲しいのにどうしてみんな怖いことするのかわからないんだな……」
「ぽっぽー……」
 びりびり、さくさくと攻撃を受けてくろやぎさんとぽっぽさんはぐすんと泣きました。くろやぎさんはお手紙が欲しい、お腹の中にいれただけだったのにとくすんくすんと鼻をすすります。
「だ、誰かお手紙を……」
 その声に反応したかのように、緑の髪の少年がにっこりとした様子でくろやぎさんの前に立ちます。
「こんにちはくろやぎさん。私は中身を知りませんが、5歳の女の子がくろやぎさん宛にお手紙を書いたので届けに来ました」
ベルカ・スノードロップ(享楽を求め続ける"ようかん"司祭・f10622)さんの手にはかわいらしい字で『やぎさんへ』とかかれた封筒が握られていました。
「お、お手紙なんだな!」
「はい、お手紙です。くろやぎさん宛のお手紙ですので、ご賞味ください」
 くろやぎさんは目をキラキラとさせ、その封筒を眺めます。ひらがなで、一生懸命かかれた字。正真正銘女の子の書いたお手紙に違いありません。
「きっとこのお手紙、くろやぎさん宛に純粋な気持ちが込められているんじゃないでしょうか?」
 ベルカさんはにっこりと笑います。くろやぎさんもにっこりと笑います。
 女の子の可愛いお手紙。純粋な夢や希望がつまったそれは甘い甘い飴玉のようで、魔法にかかったようにくろやぎさん力を与えてくれます。
「わーい!ありがとうなんだな!いっただきまーす!!」
 くろやぎさんたら中身を確認せず、一気に食べてしまいました。
「むむ、ひらがなのさくさくっとした食感と、中身の……え、え、え、え」
 むしゃむしゃと至福の時間を過ごすくろやぎさん。でりしゃすなおなじのれたーで元気が回復します。
 回復するはずでした。しかし、その顔色が段々と悪くなっていきます。
「くろやぎさん、どうしました?お手紙は本物ですよ?」
「こ、これは、これ本当に女の子が……お、おろろろろ」
「うわちょっと大丈夫ですか。本物の本物ですよくろやぎさん。『子供の純粋な気持ち』がつまっているんじゃないですか?」
 ではここで女の子の手紙の内容を公開してみましょう。
 『やぎさんへ』
 『やぎじると、やぎさしという、おいしいりょうりがあります
  とてもおいしいりょうりです
  あなたは、おいしいやぎさんですか?
  おいしいやぎさんなら、おいしいおにくになってください』
 くろやぎさんの口からお手紙の束がどさーとあふれ出しました。やぎじるとやぎさし、おりょうり、おにく。
 今まで食べてきたお手紙の中から単語を拾い、全てを知ってしまったくろやぎさんはふらふらと倒れ込みます。
「く、くろやぎさんは……美味しくなんて……こ、こわいよぽっぽさん!」
「ぽ、ぽっぽー!」
 ぽっぽさんは意地悪な手紙を出したとベルカさんを睨みつけ、ぽー!と叫びにベルカさんを狙います。
「嘘偽りのない純粋なお手紙だったのに、気持ちを汲み取ったら急に怒るとは」
 まあいいか、と思いベルカさんはユーベルコード:白き毛玉鼠召喚(サモン・ケダマネズミ)を発動させます。
『もきゅー!』
 召喚された毛玉鼠さんはまずもすっとぽっぽさんに体当たりをし、ぴゅーんとぽっぽさんを吹き飛ばします。そして、ぐったりとしているくろやぎさんに体当たりをもすっとしました。
「ぐぁー!い、いたいんだなー!」
 頭の中には恐ろしい光景、そして体当たりをされふらっと倒れるくろやぎさん。



「で、でも……まだお手紙はきっとあるはずなんだな!」
 体も心もぼろぼろでしたが、意地でも立ち上がりくろやぎさんは先ほどから自分の傍で揺れている紫と白のふわふわの尻尾の持ち主の少女に目をつけました。 
「お、おじょうさんはお手紙を……」
 パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)ちゃんは満身創痍なくろやぎさんの姿をじっとみて、それから笑いました。
「ええ勿論。この日のためにいっぱい持ってきましたよ!」
 そう言うとえいっと来ていた服の中からいろんな形の手紙をばら撒きました。
「いっぱい作ってきたから、どうぞ召し上がれ♪」
「お、おてがみいっぱいなんだな!」
(ふふ、食いついたわね。そんなに手紙が欲しいなら、わたしが食べさせてあげるわよ)
 パトリシアちゃんが一生懸命書いてきたお手紙の内容についてはくろやぎさんのリアクションを見ながら順に追っていきましょう。
「む、これはちょっと重いんだな」
「ええ、その分愛が詰まっています」
「わーい……か、からーい!というか、い、いったーい!」
 中身をよく見て食べずにくちにしたくろやぎさん。その重さは中に仕込まれていた剃刀のそれでした。
「わ、罠なのか、罠なのかー?」
 パトリシアちゃんは首をぶんぶんと横に振ります。
「いいえそんなことはございません。世の中にはこういう愛の形があるのですよ」
 勿論そんなことはありません。パトリシアちゃんの罠レターです。
「あ、あの……頭の中に『誰かに同じ文章を書け』って響いてくるんだけどこれも」
「はい、これも愛です♪それじゃあこの手紙なんてどうでしょうか?」
 パトリシアちゃんは拾い上げた手紙をぐいっと渡します。今度こそと思いぱくっとたべます。
「む、これはコクがあって……匂いも……匂いが-!こ、これ辛いし痛い!」
 次にくろやぎさんが食べたのは、パトリシアちゃんのスカングガスがたっぷりとしみ込んだ便箋でした。
「ぎゃー!わ、悪いお手紙を渡してくろやぎさん騙すなんてひどいんだな!」
「ぽっぽー!」
 くろやぎさんとぽっぽさんはパトリシアちゃんを捕まえようと辺りを見回しますが、どこにも姿がありません。
 パトリシアちゃんはくろやぎさんがもんどりを打っている間にユーベルコード:秘儀・臭気波動法(ステルス・スメル・バースト)を発動させていました。
(自家中毒を起こす前に……まずは嗅覚の弱いぽっぽさんから狙っていかないとね)
 身に纏うと視認されなくなる特殊なガスを自らの体に纏いくろやぎさんとぽっぽさんの死角を探していたパトリシアちゃん、服の中に忍ばせていた『スチーム・ヨーヨー』をすっと取り出します。
(さあ、おしおきの時間よ!)
 蒸気の噴出効果で加速し、一気にぽっぽさんを絡み取るヨーヨー。
「ぽぽぽっ!?」
 パトリシアちゃんのヨーヨーがぁ!ポッポさんを捕まえてぇ!迷宮の壁端!叩きつけたぁぁぁぁ!
「ぽぽーーーーーーーー!!!!!!!」
「ぽっぽちゃーん!」
「よし、じゃあ次は本命よ、喰らえ、濃縮BMBガス!」
 くろやぎさんがぽっぽちゃんの方へ気を取られている間、素早くユーベルコードを解除したパトリシアちゃん。
 掌にBMBガスをため⇓⇘⇒+Pという基礎中の基礎の構えから放たれる飛びBMBガスを真正面からくらい、ぼすぼすぼすっとくろやぎさんは吹き飛びました。
「うう……愛というのは同じ内容の手紙を送るのか……」
 ぱたり、くろやぎさんは動かなくなりました。
「あらら……本当に手紙の通りになっちゃったわね。もらった不幸の手紙、誰かに出さないで食べたりするからこうなるのよ♪」
 パトリシアちゃんが最初に作っていたのは不幸の手紙。もらった手紙を食べるだけのくろやぎさんには見事に不幸が返ってきました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

向坂・要
こいつぁちょうどいいとこに。
このうさぎさんたちの返送先を探してましてね。

罠やらなんやらでやられてぱたんきゅーなうさぎ達が入った煉瓦の檻を暗に示し

そんな督促状なんて振り回さねぇでもちゃんとお前さんも迷宮の奥深くまで送り届けてやりますぜ
などと嘯きつつ
クイックドロウによりFarbeから放つイチイの毒と炎のルーンによる属性攻撃、毒使い

見切り、第六感を活かし攻撃の回避を試みますぜ
まぁ、近寄らなきゃその督促状も届かねぇみたいですが、ね。

絡み
アドリブ歓迎



【くろやぎさんのやぼーのしゅうえん】
 体にはビリビリやひえひえ、頭の中には恐ろしい光景、迷宮の壁端にめり込んでしまった相棒のぽっぽさん。
「うう、もしかして……侵攻作戦は失敗だったかもしれないんだな……」
 とっておきのでりしゃすなれたーをもぐもぐむしゃむしゃしながら呟く上司のくろやぎさん。
 なんとか立ち上がることはできましたが、破れたかばんからあふれるお手紙を拾う力も残っていません。
 くろやぎさんがため息をついたその時です。
「おお、お前さんが今回の悪さを企んでたわけですかい。こいつぁちょうどいいとこに出くわしたもんだ」
 くろやぎさんが声のする方向へ体を向けるとそこには向坂・要(黄昏刻・f08973)さんの姿がありました。
「お、お前もくろやぎさんをやっつけにきたんだな!お手紙を食べたいだけなのにみんな酷いんだな!」
 むうと怒るくろやぎさんに要さんはやれやれとため息をつきます。
「大事な人の想いが宿った手紙、それはお前さんの食事じゃあないですぜ。大人しくお手紙は置いてくれませんませんかねぇ」
「や、やだ!お手紙は渡さないんだな!うさぎさんと一緒に……あ!」
 その時くろやぎさんは思い出しました。気絶していた白うさぎさん達。彼らは一体どうなったのでしょうか?
「おお、思い出しましたかぁ。あのうさぎさんたちの返送先を探してましてね」
「いやーぱたんきゅーでしたよ。俺は優しいので煉瓦の檻のなかに閉じ込めましたがこのまま侵攻を続けていたら……」
「や、やめるんだな!」
 そもそも自分達が悪いことをするために迷宮から出てこようとしたのにと要さんは内心少し呆れましたが、一応上司のくろやぎさんには責任感はあったようです。
「け、決闘で決着するんだな!」
「それは結構。俺が勝ったらそのまま全員、お帰り願いますぜ」

 くろやぎさんと要さんは睨み合います。最後の力を振り絞るかのように、くろやぎさんの手には催促状のお手紙が握られています。
「こうなったらようやしないめぇ!」
 びゅん!と音を立て、要さんの立っていた方に向かってお手紙を振り下ろします。
 要さんはその太刀筋を見切り、素早く避けました。がしゃん!と大きな音を立てて迷宮の壁が崩れていくのをじっと観察していました。
「そんな督促状なんて振り回さねぇでもちゃんとお前さんも迷宮の奥深くまで送り届けてやりますぜ」
 接近戦になれば催促状のお手紙を躱しつつの攻撃になってしまうでしょう。
 嘯きながらも瓦礫の山、土煙の中で冷静に要さんはリボルバー式銃『Farbe』を構えます。
(さてと、どのルーンを込めて打ち込めばいいですかねぇ……ま、手紙が好きなら、これがいいか)
 びゅんびゅん、どかんどかん、がしゃんがちゃん。
 くろやぎさんが要さんを探すように催促状のお手紙を振り回し辺りが滅茶苦茶になっていくフロア。早めに勝負は決めたほうがいいと要さんはユーベルコード:クイックドロウを発動させます。
 ひゅんという音も出ず、光の筋がくろやぎさんに次々と命中していきます。
「あ、あいたたた!……え、お、お手紙がー!」
 くろやぎさんの抱えていた鞄から漏れだしていたお手紙がめらめらと燃えていきます。
「炎のルーン。さあそのままだと大事な大事なお手紙が燃えてしまいますぜ?」
 要さんは土煙の中から呼びかけます。何より大切なお手紙、それをかき集め火を消そうとしていたくろやぎさんの顔色が悪くなります。
「め、めがぐるぐるするんだな……」
「そうそう、イチイの木の毒。それも混ぜておきましたよっと。どうします?降参ですかい?」
「……」 
 返事は帰ってきませんでした。
 要さんがFarbeを構えながら近寄ると、そこには鞄を大切に抱えきゅうと気絶していたくろやぎさんの姿がありました。
「全く、最後までお手紙にご熱心だったと」
 呆れながら要さんは、くろやぎさんが集めた手紙入りの鞄を抱えます。
「う、うさー!くろやぎさまー!」
 目を覚ましたダンジョン罠兎さん達が、白いうさぎの姿のまま上司のくろやぎさんの周りに集まります。
「これ以上やるなら、今度はきっちり仕留めますが、どうしますかい?」
「て……撤退うさ!降参うさ!」
 Farbeを一団に向けながら要さんは尋ねます。顔を真っ青にした白いうさぎさん達はくろやぎさんを持ち上げるとダンジョンの奥へと姿を消していきました。
「白うさぎだけに白旗。お話としてはこれでいいんですかね、っと」
 
 猟兵の皆さんの活躍により無事、うさぎさんとくろやぎさんの野望を打ち砕きお手紙の回収まですることが出来ました。
 猟兵の皆さんの冒険譚はこれでおしまいであります。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『花やかなお茶会』

POW   :    カフェでまったり過ごす

SPD   :    お菓子を購入する

WIZ   :    温室の花を観賞する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【アルダワ魔法学園、温室にて】
 猟兵の皆さん、いや、転校生の皆さんが災魔の地上への侵攻を阻止したという話はあっという間に学園内に広まりました。
 自分達が書いた手紙を食べられた生徒一同は、温室とそこに併設しているカフェの貸し切り許可を学園に早速申し込みました。

【ようこそ転校生の皆さん】 
 春がアルダワ魔法学園にも近づいてきています。
 温室内には7色に光ったり、話しかけてくる花。
 『絶叫するので耳当てをつけてから抜いてください』と看板付きでおかれた草。
 色とりどりに輝く果物を実らせた木々。
 魔法学園というだけあって温室には様々な植物達が並べられ、それぞれが色とりどりに輝いています。
 特に今年は育てていた花がとても綺麗に咲いたので、魔法植物が好きな生徒の間から花の観賞のためにボランティアが集まりました。
 併設されたカフェにはクッキーやパウンドケーキといった軽食から『禁断の果実の生絞り』という妖し気に光る飲み物まで用意されています。
「よし、これでカフェの準備は完了ね。お茶の淹れ方は任せて!ふふ、今日の魔法紅茶ブレンドは何がいいかしら」
「調理同好会の皆に頼んでた持ち帰り用のお菓子、届いたぜ」
「温室の案内役、もう少し増やした方がいいかなぁ。あ、ゆっくり回りたい人もいるかもしれないし、案内図を魔法でいっぱい複製してくるねぇ」
 アルダワ魔法学園の生徒は忙しく、しかしとても楽し気に準備をしています。
 こうして「転校生さん達に感謝する会」は始まろうとしていました。

※温室内にある花や食べ物や飲み物は上記以外にも沢山あります。
 プレイングで自由に設定してもオッケーです。アイデア募集中です。
※【霰召喚】と記載があったプレイングでは氷長・霰が登場します。
 UDCアースで習ったという『茶道』を生徒に勝手に広めていますが、指定があれば沿った行動をします。
※誰か特定の人達と過ごしたい、という場合には【GA:お好きな単語や記号】を統一してプレイングに記載してください。
 らぶらぶいちゃいちゃまったりのんびり大歓迎です。
ベルカ・スノードロップ
そういえば……ここ、アルダワ魔法学園ですよね
以前、サキュバスマスクという災魔に取りつかれた女生徒がいましたね……
元から好色の気があったらしいですが、あれからいったいどうなったのか……
たっぷりと(懇願される程に)可愛がってあげましたが……
まさか、いませんよね? 彼女……

いなければ、まったりとお茶会を愉しみます
いたらいたで、宥めながらまったりしますが……できますよね?
(どこから聞きつけてきたんですか……)

まぁ、何はともあれカフェで愉しませてもらう事にしましょう
ゆったりと、のんびりとした時間……はい、過ごさせてください
お願いですから



【フラグは的中します】
「この紅茶、口の中でぱちぱちってしますね、面白いなぁ」
 ベルカ・スノードロップ(享楽を求め続ける"ようかん"司祭・f10622)さんはカフェの窓際、桜に似たピンクの花が綺麗に咲いているのを眺めながら再びカップに手を取りました。
 透明なティーポットの中、琥珀色のお茶の周りを、黄色い羽の生えた小さな妖精さんが飛び回っています。
「『妖精さんのブレンドティー・気まぐれ仕立て』とはこういうものでしたか。ちいさすぎえうのが残念でが、可愛いですねぇ」
 可愛いですねぇと再度にっこりとベルカさんは妖精さんに笑いかけます。
 笑みに含まれた真意は定かではありませんでしたが、他のテーブルでいきなり花が咲いたり、合唱が聞こえてきたりとアルダワ魔法学園の日常ともいうべき光景をベルカさんは美味しい紅茶と共に楽しんでいました。
(そういえば……彼女、来ていたりしていませんよね)
 アルダワ魔法学園にある数多くの迷宮、その中で一度ベルカさんはうっふんな気持ちにさせてしまうオブビリオンに取りつかれてしまった女生徒の救済活動を無事にせいこうさせました。
 それは※▲□の体勢から熱い剣を振り回し、時には突き刺す火花飛び散る大変な戦闘でした。
 オブビリオンのせいだったのか、そもそも彼女が肉弾戦を好む娘だったのか。どちらかはわかりませんが……なんだかいやな予感がします。
「あ、あの!」
「はい、なんで……えっ!」
 てっきり店員さんかと思いベルカさんが顔をあげると、そこには顔を赤らめ、なんだかもじもじしている女生徒さんが一人。
「あの時はありがとうございました!!そ、その!お礼を用意したのでちょっと来てください!」
「こ、声大きいですよ……」
 嫌な予感というのは大抵当るのがお約束です。顔を恥ずかしさとは別の感情を含ませた赤で染めた彼女を宥めるべく、女生徒の手を取って(とられて)慌ててベルカさんはどこかに行きました。連れていかれました。

「い、いたたた、青空の下とはいえ地面をぐるぐるは流石にきついですね」
数刻後、カフェ戻ってきたベルカさんの体は草と少しの土に汚れていました。腰をさすりながら元にいた席を探します。
「今回も救済できたのでそれは良かったのですが」
 ゆったり、のんびりとした時間がたちまち桃色時間になってしまったハプニング。
 元の席につくとすっかり冷めてしまったであろうお茶を変えてもらおうとベルカさんは店員さんを呼ぼうとしました。
「……あれ?」
 ティーカップの中の紅茶からは淹れたての香りと湯気が立っています。カップとポットの周りには何匹もの小さな妖精さんがくるくると踊っていました。
「成程、保温してくれていたんですか。やっぱり小さすぎるのが残念ですが、ありがとうございます」
 彼女達を撫で、にっこりと微笑んだ後、のんびりまったりな時間を無事にベルカさんは過ごしました。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜

【霰召喚】
【POW】

えーっと、ここってアルダワだよなー……?
まさか茶道が広がりつつあるとはねぇ。
ここはひとつUDCアースの出身として頑張らないとねぇ。
簡素な和服に『変装』を活かして着替えて参加するよ。

……うん。みんな上手だわ。
ていうかアタシが一番下手じゃね……?
何回茶碗を回せばいいかとか、
音を立てずに飲まなきゃいけないとか、
えっ、返し方まで決まりが……?
お茶菓子だけ食えばいいと思ってたら
別世界だ、ここはなんかアルダワともUDCとも違う別世界だ……!

……あ。(立ち上がろうとして足が痺れてバランスを崩し)
あ。(手を突こうとした先にお茶碗が)
あ(ぱきん)
あああああああ!?ごめんなさいぃぃぃぃ!!


パトリシア・パープル
折角のお茶会だし、ご馳走にならないのは失礼よね

パウンドケーキ食べながら温室を散策
マンドラゴラ見つけて、引っこ抜いてみたり

そういえば、アックス&ウィザーズにも似たようなのいたけど、あっちは女の子の形してたわね
変種?亜種?なんかそんな感じ?

禁断の果実の生搾り?
だったら、私からはこれをプレゼントするわ
名付けて、『禁断の香りの香水』よ!
ちなみに、自分で付けるんじゃなくて、防犯グッズだからね
(開封厳禁。何の匂いかはお察し下さい)

【霰召喚】
あ、茶道やってる?
確かあれって、お茶を淹れてる時に襲われても反撃できる、護身術も兼ねていたとか?(無駄知識
そういわれると、柄杓と扇が途端に強力な武器に見えてきたわね……



【アルダワティック茶道】
 パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)ちゃんはカフェで買ってきたパウンドケーキを食べながら温室を散策していました。ちょっとパウンドケーキの屑がこぼれても、たちまちそれを蔦を伸ばしぱくんと食べてしまう草にまず驚きました。
「わ!やっぱりアルダワ魔法学園ね。魔法植物にも色々あるのかしら」
 アルダワ魔法学園の生徒の有志一同が作ったパンフレットには『お掃除草:魔法でお願いすれば人は食べません』と書かれています。
「人”は”食べないって……なんだかおもしろそうね」
 パトリシアちゃんは折角なので『絶叫草:耳当て必須です!』と書かれた場所まで行ってみることにしました。耳当てを何個か用意し、鉢植えの前に立っている生徒がいます。
「あのー、もしかしてこれマンドラゴラって奴?」
「え、お名前知っているんですか?ここにあるのは野生種を品種改良した物です。ちょうど収穫時期です」
 女生徒はもしよければ耳当てをして、声を聴かないようにして抜いてくださいとパトリシアちゃんに耳当てを渡します。
「やっぱり、絶叫を聞いたら気絶しちゃう感じ?」
「そうなんです。そこはやっぱりいくら試しても無効化できないので、別の面から品種改良しました。ささ、どうぞ!」
 一体何が出てくるのかはわかりませんが、耳当てをあてえいっと鉢植えの中の草をパトリシアちゃんは引っこ抜きました。その瞬間、びりびりと耳当てごしに何かが伝わってきます。
「あれ、これ……うさぎ?」
 マンドラゴラと言えば怖い外見でお馴染みでしたが、パトリシアちゃんが引き抜いたのはうさぎの形をして、しかも手足を動かしています。
「変種?亜種?なんかそんな感じ?」
「はい、元々は醜いのをなんとかしてみようと思いまして……あ!」
 解説する生徒とそれに耳を傾けていたパトリシアちゃん。その間にうさぎマンドラゴラはぴょーんと腕から飛び出します。
「ていっ!ついでに味見もしちゃおっかな!」
 パトリシアちゃんは素早く反応。草の部分を捕まえて、ちょっと尻尾の部分をかじってみました。
「に、肉の味だこれ!」
 その様子を見ていた生徒さんの顔がぱっと明るくなります。
「流石は転校生さん!素早い反応、そしてその通りです!味にこだわってみたのですが、動きまで再現するのは改良の余地ありですね……」
 新種マンドラゴラのモニターになってしまったパトリシアちゃんは、生徒からお礼にカフェで使えるというスペシャル券を渡されて温室を後にしました。

 一方そのころ、併設されたカフェには緑色の草を編んだようなものが敷き詰められた空間が出来ていました。
 何重にも重ねられたそのスペースの上には釜や器、そして見慣れない道具が沢山並べられており、アルダワ魔法学園の生徒達が物珍しそうにそれを眺めていました。
「なんだいあれ……ん?」
 数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)さんはUDCアース出身、並べられたそれと座っている着物姿の少女に目が付きます。
「茶道かい?」
 多喜さんが思わずつぶやくと、着物姿の氷長・霰が手をぶんぶんと振ります。
「転校生様じゃなー!わらわと一緒に茶道を広めるのじゃー!」
 霰の笑顔と、茶道という言葉を知っているのではという周囲の視線。多喜さんはここってアルダワだよなぁと思いながらも答えました。
「アタシもそれじゃあ参加するよ!折角だしちょっと待ってな!」
 近くに服を着替える場所はないか、多喜さんは近くの生徒に尋ね更衣室まで案内されました。
「おおー和服じゃ!わらわよりもずっとかっこいいのじゃ!」
「い、いやあ褒められるのはなんか照れるよ」
 折角という事なので簡素な和服に着替えた多喜さん。霰が先生役らしく何人かの生徒と共に一緒に正座をしてお茶会が始まりました。
「集まってくれてありがたいのじゃ、ここにいる転校生様のように異世界では茶を飲むことを通じて立ち振る舞いを学んだり、美を観賞したりという『茶道』とう文化があるのじゃ!」
「というわけでしっかり解説いれてゴーゴーじゃ!」
「え?」
 多喜さんは思わず聞き返します。
「あ、あの、お茶菓子だけ食べてのんびりっていうのは……」
「折角だし一通りのことはするから楽しみに待たれよー」
 (た、確か本格的な茶道ってマナーっつーか色々とやることがあったはず……こ、これはまずい!)
 霰はそう言い残すと、生徒に頼んで釜に入った湯を温めて欲しいと頼みに行きました。さて、これからどうなるのでしょうか?
「……というわけで、まずは先に飲むことを相手に伝えて、わらわに礼をして」
「そうそう、数回まわしてから飲むのじゃ。茶碗の絵柄もまた重要でな」
 他の生徒が魔法で言われた通りにくるくると回す中、多喜さんの頭の中もくるくるしていました。
 意外にしっかりとした霰の教える茶道。
 魔法の力を使って周りがうまく茶碗を回し、音を立てないで飲んでいる中、多喜さんは奮闘していました。
 (別世界だ、ここはなんかアルダワともUDCとも違う別世界だ……!)
 そう思いながら茶碗を手に取り、中に入っている抹茶飲みます。どうも今まで自分が抹茶としって口にした風味とは違います。
「あ、抹茶に使えそうなんでここの温室から茶葉を借りたのじゃ。これで皆茶道ができるな!」
「それ、いいのかい?」
「……多分?」
 (これはもっと別次元の茶道が生まれる!)
 多喜さんは出された可愛らしいアルダワのお菓子を食べながら、かなり不安な気持ちでもう一度抹茶?を飲みました。
「さて、茶を味わった所で今回は終了じゃ」
「漸く終わった……っ!」
 他の生徒同様、正座をしていたので多喜さんの足は当然痺れていました。動きが制限される和服を着ていたのもフラグだったかもしれません。
 立ち上がった多喜さん。足のしびれで自由が利かなくなったままふらりと体勢を崩し、なんとか手をつこうとします。
 フラグは連鎖します。手をつこうと思った先にあったお茶碗。
 重力に導かれるまま。
 ぱきん。茶碗は真っ二つです。
「あああああああ!?ごめんなさいぃぃぃぃ!!」
 多喜さんの声に慌てて生徒や霰が近寄ります。
「だ、大丈夫か?怪我はしてないか?」
「や、それよりちゃわ……ん?」
 なんと目の前で壊れた茶碗がぴたりと時間を逆さまにしたように戻っていきます。 他の生徒が動揺している姿から、魔法が使われたということではないようです。
「今回の茶道で皆が楽しめたのでお茶碗や道具も大喜びだったということじゃ。茶道とはわらわと皆がこうして楽しい時を過ごせるのは一度だけという精神の元に行われる」
「お互いに楽しめたので、こうやって奇跡がおきたのじゃー!茶道とは凄いのじゃー!」
 多喜さんは周りが霰の言葉に拍手する生徒達の中、お茶碗を割ってしまった手をみると、擦り傷らしき跡がこれもまた消えていきます。
「な、なんだいこれは!?」

「今日は一緒にお茶会できて楽しかったのじゃー!」
「その、さっきの件は」
「あ、茶道やってたの?」
 片づけを始めていた二人を見かけ、その手に7色に光る『禁断の果実の生搾り・スペシャルミックス』をもちながらパトリシアちゃんが顔を覗かせます。
「そうなのじゃー。ふふー今回はこれを持ってきて正解だったのじゃ」
「持ってきた?」
 多喜さんは尋ねます。
「たしか『おもてなし茶道』とかいって保管されてたものでの、茶会で皆が楽しめればいつでも新品同様に戻るという一式なのじゃ。傷まで治せるとは実験記録に追加しなくてはのう」
「え」
 目の前にある茶道用道具一式の正体を知って思わず多喜さんはもう一度怪我をしたはずの手をみます。
「茶道……お茶を淹れてる時に襲われても反撃できる、護身術も兼ねていたとかと聞くわね」
 パトリシアちゃんはそう言います。その言葉にけろっとした顔で霰は答えます。
「襲うなんて茶会の空気ぶち壊しじゃからの。その時は道具自身が襲撃役の人間を終了させた記録もあるし正解じゃ」
「え」
「え」
 パトリシアちゃんと多喜さんは、霰の周りにあった柄杓と扇を見てしまいます。
 万が一の時はこれが強力な武器に、というよりこれ自体が……
 と最後は不穏な感じ終わりましたがアルダワにこうして無事茶道が伝わりました。

「そういえばそちらの転校生様は何を持ってるのかのう?」
 ドリンクを飲んでいたパトリシアちゃんは握っていた瓶に向けられた視線に反応します。
「折角色々感謝とかおもてなしされたし、プレゼント。名付けて、『禁断の香りの香水』よ!」
「禁断の香水?なんかフェロモンが出たりするのかい?」
 多喜さんが瓶に手を伸ばそうとすると慌てて引っ込めます。
「いや、これは自分で付けるんじゃなくて、防犯グッズとして使って欲しいのよ」
 開封厳禁でね、とパトリシアちゃんは付け足します。揺れるパトリシアちゃんの紫と白のツートンカラーの尻尾、防犯用。
「ああー……そういうことかい、いい贈り物になりそうだね」
「転校生様達が楽しんでくれた上に贈り物まで!大感謝なのじゃー!」
 カフェの店員兼生徒達が転校生の二人に話を聞こうと集まりはじめました。
 わいわい、がやがや、気を利かせた誰かがお茶を持ってきて茶道の次はお茶会が始まりました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

向坂・要
友人の硲さん(f01013)とのんびりお茶会、と洒落込みますか
急に呼び出しちまってすいません
ご一緒してくれて感謝してますぜ
へぇいろんなもんがありますねぇ。流石というかなんというか…光るフレーバーティー、ねぇ。また斬新な
まぁ、怪しげなもんもちらほらしてますがご愛嬌、てとこですかね
などと楽しみ

ん?生クリームですかぃ?普通、ですかねぇ
そういうお前さんは甘いものがお好きなようで

へぇ音楽にローラースケート
元気なもんだ
音楽はどんなもんを聞くんで?
オレですかぃ?
休みの日ねぇ…
のんびりしてますかねぇ


硲・葎
【P】要さん(f08973)と。
「わあ、不思議な雰囲気。さすがアルダワだねえ。お花や木の実が光ってる!ファンシー!」
コミュ力、礼儀作法を使ってゆっくりおしゃべり。
あ、お茶とパウンドケーキ、まずは注文しなくちゃね?
お茶は、せっかくだし、紅茶に光る果実をいくつか入れてもらって、光るフルーツフレーバーティーなんてどうかな?
あと、パウンドケーキにはたっぷり生クリームを添えて。
「要さん、生クリームは好き?パウンドケーキに添えようと思うんだけど、どうかなあ?」
要さんと趣味のお話とか普段、何してるとか聞けたら嬉しいな!
私?音楽聞いたりローラーブレードで遊んでるの!
連れてきてもらったお礼もしっかりしよう。



【カフェでのんびりと】
「のんびりとお茶会、と思ったんですが随分と騒がしいですねぇ」
 目の前にいる緑の髪を揺らし、辺りを楽しそうに茶色の瞳を輝かせている硲・葎(流星の旋律・f01013)は、急に自分を呼び出したことに頭を掻く向坂・要(黄昏刻・f08973)に笑顔で答えます。
「全然そんなことないよ!誘ってくれてありがとう」
 カフェの天井に飾ってあった植物の中にあった蕾が一斉にポン!とそれぞれ異なった花を咲かせます。
「わあ、不思議な雰囲気。さすがアルダワだねえ。お花や木の実が光ってる!ファンシー!」
「こりゃあ凄い。怪しげなもんもちらほらしてますがご愛嬌、てとこですかね」
 二人は忙しく注文された品を運ぶ生徒さんの後についていく小さな妖精や、ドカン!というおとと共にテーブル一杯に広がった綿飴のような物体に驚く客を眺めアルダワ魔法学園の不思議な空気を楽しみます。
「とりあえず、カフェにきたらなんか頼まないとね」
「そうですねぇ。といってもメニューか何かは……ないと」
 その時店員をしている生徒さんが二人のテーブルに水やナイフやフォークといった一式を持って現れました。
「お二人様でよろしいでしょうか。転校生の皆さんには今回の災魔討伐への感謝の気持ちを込めて、ご注文されたお料理やお飲み物を手作り致します」
 何でも大丈夫、と笑う生徒さんに葎さんは少し考えました。
「お茶とパウンドケーキ、2人分用意できますか?」
「はい、勿論です」
「あ、お茶なんだけど……」
 葎さんは要さんの方をちらりと見た後、生徒さんを手招きし、耳打ちをします。
「……成程、それでしたらご用意可能です」
「本当!?ありがとう!あと要さん、生クリームは好き?パウンドケーキに添えようと思うんだけど、どうかなあ?」
 要さんは生クリームと聞いて少し考えますが、大丈夫と答えます。
「ご確認します。『星紅茶』二つ、パウンドケーキ、魔法クリーム添えが二つ。それではお待ちください」
 そういって生徒さんはメモ用紙替わりなのか、肩に腰かけていた妖精さんと共にカフェコーナーまで消えていきました。
「星紅茶っていうのはお前さんの特注品ってことでいいんですかねぇ?」
「それは内緒。なんだか素敵な名前だよねってことで」
 ニコニコと笑う葎さんを前に、お茶の話をこれ以上するのは無粋だと思い要さんも笑い返します。
「そうですかぃ。それじゃあ注文が来るまでは水で」
「そうだね……ってこの水、飲む度に甘かったり味が変わるよ!」
 二人はテーブルの周りでクルクルと舞う半透明の妖精さんと目が合いました。
『良きお茶会には良き甘さを!』
 そう言い残し姿をふっと消しました。目をぱちくりさせる葎さんは、その言葉で思い出したかのように要さんに向かいます。
「良きお茶会、ということならいっぱいお喋りしないとね!」
「はは、そうですねぇ。話題は」
「私、要さんと趣味のお話とか普段、何してるとか聞けたら嬉しいな!」
 コップの水を一口飲み、要さんは考えます。
「うーん、そう来ますかぁ。まずはお前さんから聞けたら答えてみましょうか」
 冗談半分で要さんは聞き返します。
「え?、私はファッションが好きかな。普段は音楽聞いたりローラーブレードで遊んでるの!」
「音楽。そういえばそのヘッドホン、随分お気に入りみたいだったのはそういうわけだったと」
「はは、ばれてた?」
 葎が愛用しているヘッドホン『Catch the Moment』に触れます。
「いやあ、言われなければ気が付きませんでいたよっと。どんな音楽がお好みで?」
「ジャンルかあ。そういわれてみると……こう、思わず体が動かしたくなる明るい系がいいかな」
「なるほど、音楽にローラースケート。元気なもんだ」
 要さんは楽しそうに自分の事を喋っている葎さんの様子に笑みがこぼれます。
 それに釣られるように、葎さんもまた笑います。
「さっきから私の話ばっかりだから、今度こそ要さんの番だね!」
「オレですかぃ」
「そうそう、先ずは休日の過ごし方は?」
 要さんはうーんと考えこみ、思い出したように答えます。
「休みの日ねぇ…のんびりしてますかねぇ」
「インドア派?それとも外でのんびり?」
「気の向くままに歩いてみたり、そのまま寝るのも良いかもしれませんねぇ」
「なんかはぐらかされてるみたいだけど、何となく要さんの事分かってきたかも。もうすぐ春だし、お花見とか好きそう!」
「はは、のんびり過ごせそうだ。油揚げでもつまみながらごろりと桜を眺められる」
「当ってた?」
 二人が談笑していると、トレイを持って生徒さんがニコニコと近づきます。
「お待たせしました。星紅茶、パウンドケーキ魔法クリーム添えになります」
 2人の前に並べられたのは様々な色のフルーツが練り込まれたパウンドケーキ、そして
「ほほう、これが星紅茶と。こりゃ斬新」
 紅茶の中には光る果実、赤や青といった色や大きさも違うそれが入っていてまるで星空のように煌めいています。
「光るフルーツフレーバーティーなんてどうかな?と思ったんだけど、どうかな?」
「いやぁ、これはなかなか。味も……うん、これは美味しい」
 新鮮なフルーツの香りと紅茶の渋みが絶妙な星紅茶、これはパウンドケーキに合いそうです。
「よーし、じゃあさっそく生クリームをつけてっと……!」
 葎さんはぱくりと切り分けたパウンドケーキを食べました。これもまた積み立ての果実の味や風味がそのまま伝わってきます。
 魔法クリームは、甘さもしつこくなくふんわりと口の中に風味が広がります。
「要さん!このクリーム凄いよ!出来立てのケーキにあった感じの食感!」
「ほほう……」
 ぱくり、要さんは葎さんと同じようにパウンドケーキを食べ、感心したように味わいます。
「甘さも控えめ、これもまた魔法ってやすですかぃ」
「いくらでも食べられそう」
 食事と星紅茶を楽しみながら葎さんは思い出します。
「要さんの趣味をまだ聞いてなかったよ!……放浪?」
 首を傾げて考える葎さんにそうかもしれませんねぇと応える要さん。
「凄い!今日だけで色々な事が分かったよ!誘ってくれてありがとう」
 残っていた星紅茶、お代わりを要さんが頼み、しばらくの間穏やかな時間が過ぎていきました。

「さてと、そろそろ帰り時、ですかぃ」
 要さんは忘れ物はないか確認し、葎さんに声をかけます。
 生徒さんがタイミングよく現れ、そして今度は彼女の方から葎さんに声をかけ、ひそひそと何かを話ます。
「本日は楽しんでいただけましたでしょうか?」
 二人は勿論はいと答えました。
「あ、要さん!」
 葎さんは帰り道へと足を向ける要さんを呼び止めました。
「何が御用で?」
 その時、要さんの右手に温かい物が触れました。葎さんの両手と、何かちいさな瓶のようなものです。
「んん?」
 ぱっと葎さんが手を離すと、小さな瓶の中に何色もの金平糖のような物がはいっていました。
「連れて来て貰ったお礼をしなきゃって思ったら、さっきの生徒さんに『星紅茶の存在を知っていた方限定品』なんて言われて貰っちゃったの」
「なんでもその飴、自分が食べたいものを想像しながら食べるとその味がするんだって」
 貰い物をお礼の品にするのはどうかな、と葎さんは生徒さんに話しかけられた時に思いましたが、『アルダワ魔法学園を楽しんでいただけた感謝の気持ちです。ご自由にしてください』という生徒さんの笑顔を思い出し思い切って渡してみました。
「そりゃあ味わってみないと葎さんにも生徒さんにも悪いって話ですねぇ」
 要さんは瓶の蓋を開け、黄色い飴を口に含みます。
「おお、確かにこりゃあ油揚げだ」
 そして、今度は要さんが葎さんに一粒飴を渡しました。
「これで全員楽しめたってことになりますよ」
 その言葉に笑顔で葎さんは飴を口に入れました。
 何の味がしたのか、それはまた別の物語で。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

小烏・安芸
悪戯うさぎと黒やぎはお帰りになったし、手紙も戻ってきて一件落着と。
特別大したことしたわけやないけど、事後報告とか挨拶も兼ねて顔出しとこ。

しかしまぁ、綺麗なのから物騒なのまで色々あるなぁここ。この温室が特別っちゅーわけでもなさそうやし、流石は魔法学園ってとこか。
折角の機会やし花を眺めて回りつつ、学園の話とか日常の事とか生徒さんらに聞いてみよっか。元々そういう平和な日常とは縁遠い方やから、そういう話には興味あるんよ。

ところでそこの木、なんかふわもこなのがくっついとるよね。ヤギ……やない、ヒツジかなあれ。バロメッツ? ヒツジが実る木? なるほど、そういう植物もあるんやな。



【温室でめぇめぇと】
「悪戯うさぎと黒やぎはお帰りになったし、手紙も戻ってきて一件落着、と」
 しかし随分長話になったなあと思いながら小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)さんは温室へと向かっていきます。
 猟兵達がした行動はオブビリオンの討伐、しかしアルダワ魔法学園側からすると災魔のために育てた学生達をも上回るそれらの侵攻を一時期的にとはいえ抑え込んだ、これはとても重要なお話でした。
 特段大したことはしていないと事後報告や挨拶を兼ねて安芸さんは学園を訪れましたが、いつの間にか日も暮れる頃になっていました。
「あちゃー、コレあいてるやろかなぁ」
 カフェの方では既に生徒が片付けを始めています。もしかしたら温室の方も、と安芸さんは思いました。
 とりあえず温室入り口とプレートが飾られている扉に近づくと、扉の方から開きました。
「うわっ!」
「わわっ!」
 思わずお互いに叫んでしまいますが、よく見るとアルダワ魔法学園の生徒がドアを開けたようです。
「あ、あのーもうこの温」
「温室ですか!温室見学しますか!」
 生徒の少女は食いつき気味で安芸さんに向けてキラキラとした笑顔を見せます。羨望と、そして期待の込められた瞳の輝きにおもわずはい、と頷きました。
「せっかく学園にきたんやし、見学したいんやけど時間とか」
「あ、あ、そのすいません!時間は大丈夫です!」
 少女は勢いよく喋ります。必死に何かを売り込んでいるみたいやなぁと安芸は苦笑します。
「ちょっと落ち着きや、それなら入ってもええんやな」
「はい勿論です!実はですね、ここの温室昼もいいのですが夜もまた綺麗なんです。学校がなかなか許してくれないのですが転校生様のためにいつでも見られるように漸く許可が下りて……」
「なんかキミ、温室にこだわっているなあ」
「ええっ!?あ、ええ、魔法植物の授業ってあんまり人気ないので有志一同で勝手にお世話している程度です、けど……」
「キミ、名前は?」
「ヴィルマと申します。あ、あの……ご迷惑ですか?」
 安芸さんは苦笑し、首を振りました。
「いいや、折角だし温室を案内してもらいたいんやけど大丈夫やろか」
 こうして安芸さんはヴィルマと一緒に温室へと入っていきました。
 
 温室の中には何人かの少年少女が集まっていました。ヴィルマが慌ててその集まりに話しかけると、全員が安芸さんの方へキラキラした目を向け集まります。
「転校生様だ……!」
「凄いわね、温室に来てくださったとは」
 どんな花が見たいか、何か食べられるものがあればとってこようか。少年少女に囲まれてひっきりなしに質問が飛んできます。
「と、とりあえず、中に入って順番に回ってみたいんやけど」
 ヴィルマがそれではみんなで行きましょう、と声をかけると全員がはーい!と手を上げました。
 二重になっている扉を開けた先、安芸さんの目に飛び込んできたのは白い花畑でした。
「まずこれが凄いんです。リリア、あの窓をふさいで頂戴!」
 ヴィルマの指示で少年少女達が花畑に差し込む光を窓を閉め温室を完全な暗闇にします。すると不思議なことに、白い花畑の場所がぼんやりと光っていきます。
「おお、これは綺麗やな」
 一本一本違う色に淡く花びらが変わっていく光景。日中に光を受けた分、夜になるとその分発光する。
「なので日灯草と言われています。まだ魔法がうまく間外に遊びに行くときは一本持っていきなさい、と母から教わりました」
 ヴィルマの説明に頷いていると安芸さんはランタンを渡されました。
 ランタンを何気なく見てみると、その光源は花でした。小さな鉢植えの中に入っている真っ赤な蕾から火が出ているのです。
「なんやこれ」
「火花草です。何故か蕾の間、燃えているかのように見えるんです。しかも、実際に他の人や物が触れると火として燃え移るんですよ」
 火事の元になるので生えたら周りの草をまず刈り取れ、油は近づけるな。
「そして酒などもってのほか!」
 くすくすとランタンを持った子達が笑います。
「キミ達魔法植物好きなんやなぁ。学園では色々な授業があるん?」
 安芸さんはランタンを手に温室の花々をゆっくりと見て回っていきます。
「はい、魔法や剣技もいいのですがここが一番落ち着けます!」
「マンドラゴラの品種改良、鋏木の葉を使った薄型ナイフの制作、日灯草と同じように蛍光する胞子を持つ茸の捜索……」
「どれも上手くはいきそうなのですが、こうして温室で栽培したり観賞のために手入れをするよりか、温室で放置されている草花や木が多いのが悩みです」
「薬草学さえ学べればいい、ついでに緊急用の食用草の選別も、程度に考えている生徒が多いのが不人気の原因かなぁ……」
 少年少女達のそれぞれの話、日常や温室に関わる話を安芸さんは静かに聞いていました。
 自分が猟兵として目覚めた前のお話、そして目覚めてからの彼女にとって平和な日常とは縁が遠い物でした。
 転校生である自分に武勇伝を聞くのではなく、日常を語る子供達。思わず口元が緩みそう、そんな時でした。
「あっ!羽喰草が来てる!皆ランタンを隠して!」
 ヴィルマが叫ぶと、一斉に皆が身を寄せ合い、かたまります。慌てて安芸さんも子供達を守る様に伏せると、グエーともギャーとも聞こえる声とばさばさという羽音がします。
 段々とその音が遠ざかっていくと、もう大丈夫と皆が立ち上がります。
「先程来たのは鳥の形をした草なんです。動物の繁殖期と同じように何故か時期が来るとああして鳥そのものになってしまうんです」
 つがいとなる草が見つかるまで狂暴化してしまうので、温室で保管されているのですが何分生徒の修理程度では簡単に破られるんです、とヴィルマの顔が暗くなりました。
「ですが!こうして転校生様が来てくださった!これは先生に報告できます!」
「な、なんかこっちでも偉い使命を背負ってしまったんかな……?」
 安芸さんは少し口元を緩めました。

 もうすぐ出口ですと子供達が魔法樹の区画を通っていく最中、それはありました。
 木にふわもことした何かが生えています。
「木綿にしては大きいって……ん?」
 ふわもこ、よくみると何か動物の形をしています。ランタンをかかげ近づいていくと山羊のような羊のような姿をしていました。
「な、羊?」
 近くまで寄ってみると、木に幾つもの羊が丸まって眠っていました。
「これもしかして実としてとれたりするん?」
 ヴェルマはうーんと考えます。
「バロメッツの羊の部分が花なのか、実なのかについては実は未だに魔法植物学会でも議論されています。種子ではないと何十年か前に漸く論文が発表されました」
「そこまで奥深いんか」
「しかし、この羊さん、ちゃんと木の世話をするとコロンとした毛玉を落としてくれるんです」
 生まれ故郷では、木綿という服の材料の採れる木を羊毛を生む木として勘違いして生まれた空想の木。
 しかし、ここはアルダワ魔法学園。魔法が存在しているなら、その可能性は無限に広がっているのです。
「バロメッツの毛で作ったお守りは、どんなに過酷な状況でも傍に置いていれば安眠に導いて、夢の中で偉大なる羊が現状打破の答えを出してくれるとも伝えられています」
「転校生様、展示のあとは是非温室で捕れたばかりのバロメッツの毛玉でお守りづくりを!」
「え、ええ……?」
 ヴェルマを筆頭にアルダワ魔法学園の温室を愛する少年少女達の目がキラキラと輝いています。
「ま、綺麗なのから物騒なのまで見せてくれたし、ええか」
 やったー!と子供達が安芸さんを先導、もといまとわりつく中、バロメッツの羊さんはくうくうと寝ていました。

 こうして花やかなるお茶会、温室やカフェは静かになりました。
「……このように、学園の温室に沢山の転校生様がいらっしゃいました」
「ですので是非、今回の案を通してください!」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月17日


挿絵イラスト