#ダークセイヴァー
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むせ返るような血の匂い。そしてその中に力なく横たわる少女たちのいびつに曲がった四肢。それはピクリとも動かない。
窓もない石造りの室内。どこかの地下室だろうか。
その異常な光景の中で立ち尽くす一人の少女。理性が事態を飲み込もうとするのを拒否する。
「あ……あ……うぁ……」
喉からはかすれたうめき声が溢れ出す。
その眼前にはヴァンパイアの少女。手には真新しい血で彩られた槍。
少女たちは、近隣の村々に圧政を敷くヴァンパイアへの『供物』として、この領主館へと連れて来られた。
当初はすぐに殺されるものと思っていたが、少女たちに与えられたのは三食の温かい食事と柔らかい寝具。冷たい石造りの地下室から出ることはなかったが、ささやかな自由があった。
一月、二月もすると緊張感は薄れ、少女たちは小さいながらもコミュニティが形成され、もしかしたら殺されないかもという、希望すら胸のうちに生まれていた。
だが、希望は一切の猶予もなく、無慈悲に潰えた。
突然現れた領主であるヴァンパイアの少女は、血のように赤い槍を振り回し、少女たちの命を蹂躙し始めたのだ。
「あはは! その顔、良いわ……もしかしてー、助かるとでも思ってた? 希望から絶望へと変わる瞬間を刈り取るのが一番楽しいのよね! 何度やっても飽きないわ」
少女の顔を覗き込みながら楽しそうに語るヴァンパイア。
「なんで……なんで……」
「あなたを最後まで残して正解だわ。怒りと絶望が入り混じった表情……あはは! 最高!」
無邪気にそう言いながら、少女へと血に染まった槍を突き刺した。
「皆さん、よく集まってくださいました。ダークセイヴァーにて惨劇を予知しました」
白河・真那(終わりなき旅路を歩む者・f14561)は短く、そして静かに告げる。
見れば眉間に若干、シワが寄っている。
「場所は領主リーシャ・ヴァーミリオンの館。村々から集められた少女たちに希望を与え、その後に殺害するという悪趣味極まりない行いが定期的に行われています」
彼女の眉間のシワはその領主に対する怒りのようだ。
「本来ならば、警備が厳しく攻め入るのは難しいのですが、この悪趣味な行いの最中、警備は近隣の村々を回って、新しい少女たちを集めて回っているようです。……ともあれ、これはチャンスです。領主を撃退し、一人残されている少女を救出してください」
そう言い終わると真那は、少し迷った素振りを見せながら指を手に当てる。
「救出する少女以外の女の子たちは……すでに領主によって殺害されています。せめて彼女だけでも」
サイボーグ化した腕がぎしりと音を立てる。更に眉間のシワが深くなる。
「そして、すべてが解決したならば、弄ばれて殺された少女たちの弔いを。おそらくは屍肉を狙う獣も出ることでしょう。そちらの対処も同時にお願いします」
ペコリと深く、そして願いを込めて集まった猟兵たちに頭を下げた。
「皆さんだけが、頼りです。どうか、どうかこの惨劇を終わらせてください。そして、少女たちの魂に安息を」
そう言うと真那は猟兵たちを戦場へといざない始めた。
荒井真
どうも! はじめましての方は初めまして。そうでない方はお久しぶりになります。
マスターの荒井真(あらい・まこと)です。
初シナリオとなる『希望、その行方。』ですが、第一章は領主館に残っている護衛との集団戦。それなりに数は多いですが、戦闘力はさほど高くありません。第二章は領主リーシャ・ヴァーミリオン戦。第三章はボス撃退後、といった内容になっております。
なお、第三章では真那もその場にいるので、頼みたいことがあるようでしたら言ってくださいませ。
それでは皆様のプレイング、お待ちしております。
第1章 集団戦
『篝火を持つ亡者』
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POW : 篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ミルフィ・リンドブラッド
・心情
生きるためにではなく自分が満たされるために無駄に命を奪うヴァンパイア。こんなヤツがいるから猟兵が必要になりやがるです。今まで自分勝手に行動してきた報い、必ず受けさせてやるです
…当然生き残りの女の子も救ってやるです。フィーは猟兵なのですから。
・戦闘
POW
まず【身体強化・吸血鬼】を使って『火炎耐性』技能と合わせて防御力をあげる。
敵に囲まれるのを警戒して「血の弾丸」を射出して敵の足を狙い転倒させる。
転倒した敵の頭めがけて「天竜砕き」を振り下ろして数を減らしていきます。
敵がユーベルコード使用時
「天竜砕き」で『武器受け、怪力』技能を生かして受け止め敵を弾き飛ばす
「オブリビン、そこをどきやがれです」
ミルフィ・リンドブラッド(ちいさな壁・f07740)が館の扉を突き破り、館内へと滑り込む。
彼女の眼前にはボロボロのローブをまとった亡者たち。
ミルフィの乱入に驚いた様子もなく、腐臭とぐちゃりと粘着質な音を立てながら、侵入者を排除しようと緩慢に動き出す。
(生きるためにではなく自分が満たされるために無駄に命を奪うヴァンパイア。こんなヤツがいるから猟兵が必要になりやがるです。今まで自分勝手に行動してきた報い、必ず受けさせてやるです。そして)
「……当然生き残りの女の子も救ってやるです。フィーは猟兵なのですから」
言い放つと同時に『身体強化・吸血鬼』が発動する。
敵の戦闘能力は低いが、数は多い。囲まれないようにミルフィは銀髪をたなびかせ疾走し、時には敵の攻撃を武器で弾きながら、血の弾丸を射出する。弾丸は狙い違わず一体の亡者の足首を粉砕した。
ぐしゃり、とおぞましい音を立て、うつ伏せに倒れ込む亡者。
それと同時にミルフィは跳躍し『天竜砕き』を叩きつけた。轟音とともに館の床を亡者の頭部ごと叩き潰す。
「オブリビン、そこをどきやがれです」
彼女は未だうごめく亡者にそう告げると、効率よく、そして確実に亡者の数を減らしていく。
大成功
🔵🔵🔵
セシリア・サヴェージ
【POW】
まだ救える命は私たちが必ず助け出します。
そして、命を弄ぶ外道には闇の制裁を与えるとしましょう。
亡者から放たれる炎を暗黒の【オーラ防御】で防ぎ、逆に【念動力】を使って炎を亡者たちに送り返す【カウンター】を行います。
その後は迅速に亡者たちを葬るとしましょう。
UC【ブラッドウェポン】を発動し、暗黒剣を強化。【二回攻撃】【なぎ払い】で素早く集団を斬り捨てます。
お前たちに構っている暇はない。大人しくここで闇に沈むがいい。
アドリブ・連携歓迎
セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)が亡者から放たれた炎を防ぐ。
炎がセシリアの身体を飲み込むが、それだけ。
多少の傷みはあるが、戦闘に支障はない。
「ふっ!」
肺にためていた空気を短く吐きだし、お返しとばかりカウンターを放つ。手にした巨大な両手剣が炎を絡め取り、そのまま打ち返す。炎はセシリアへと攻撃した亡者に当たり、燃え上がるが自身で消せるのだろう、すぐさま消える。
そのスキにセシリアに殺到する亡者。だが、彼女は動じない。
両手剣を地面に突き刺し、静かに目を閉じる。
「まだ救える命は私たちが必ず助け出します。そして、命を弄ぶ外道には闇の制裁を与えるとしましょう」
その言葉と同時に、セシリアのユーベルコードが発動する。自らの血液を代償に武器の封印が解かれ、手にした両手剣に暗黒のオーラが這っていく。
そのまま、剣を引き抜くと亡者たちへと袈裟懸け切り、次にその勢いを利用して横薙ぎに薙ぎ払った。
暗黒のオーラをまとった斬撃は、亡者数体を巻き込み、上半身と下半身を断ち切る。どす黒い体液が館の床を染めていく。
「お前たちに構っている暇はない。大人しくここで闇に沈むがいい」
武器を大上段に構えると、油断なくセシリアは言い放った。
成功
🔵🔵🔴
アルファ・フェノメネーク
・他の方との絡み / アドリブ歓迎
そこらの子供を飼い慣らした後に掌返して殺す、ねえ。
…俺はアンタみたいなクズに追い込みかけて殺るのは大好きだよ。
「面倒臭え、いくら頭数揃えても全部撃ち倒すだけだってのに!」
初手【先制攻撃】より、得物のライフルからユーベルコード【無力化射撃】で亡者の四肢を狙い打ち、
亡者からのユーベルコード発動を抑える事を前提に銃撃により攻勢をかける。
特に、【WIZ●新たなる亡者】の発動防止を前提として攻撃。
「さっさと終わっちまえ!」
近接戦時は小銃の銃床で激しく殴りつける。
若しくは右足首のホルスターから抜いたダガーで斬りかかる。
「前座はもう片付いたぞ、早く出て来いよ領主様!」
リアナ・トラヴェリア
…ここでも吸血鬼が動いているんだね。
ダークセイヴァーはそういう話ばかり。でも一つ一つ潰していかないと。
まずは配下から片付けないと。
数が多いみたいだから目覚めゆく白翼の閃光を黒剣を変形させてから放って蹴散らすよ。
数を減らすために攻撃回数を増やしてばらまくね。ただ一撃で倒せないなら攻撃力重視に切り替えるよ。
距離を詰める必要があったら、なぎ払いながら一気にまとめて撃つね。
もし一緒に行動する人が遠距離で戦うタイプならそうするかな。
相手の炎はアミュレットが防いでくれるかも。
力を貸してね、この世界を守るために。
なんにしてもここはまだ最初だから、立ち止まってはいられないんだ。
頑張ろう!
猟兵たちにより、亡者は着実に数を減らしていく、それでも主の命令を忠実に守っている亡者たちの攻勢に陰りは見られない。
「面倒臭え、いくら頭数揃えても全部撃ち倒すだけだってのに!」
アルファ・フェノメネーク(クラック・セパラ・f02989)はユーベルコードを発動させ、手にしたライフルから閃光と硝煙と共に弾丸を放つ。
放たれた弾丸は全弾命中と行かないまでも、確実に亡者たちの動きを鈍らせていく。
撃ち漏らした何体かの亡者がアルファににじり寄るが、動じることはない。
「さっさと終わっちまえ!」
背後に迫った敵に振り返ることもなく、ライフルの銃床を突き出し、思い切り亡者の顔面を打ち据えた。
続けざまに、右足首のホルスターからダガーを抜き、側面から迫ってくる亡者に斬りかかるが、ぬるりとした生理的嫌悪を感じさせる動きで、ダガーの斬撃を避ける。
「ちっ!」
アルファが舌打ちをする。見れば篝火が造る影が彼に触れていたのだ。
亡者の篝火が明るくなっていく。だが、それよりも早く混じりけのない白銀の光条が敵の胸部を刺し貫いた。
「ふぅ、なんとか間に合ったね」
そこには愛用の黒剣を正面に構えたリアナ・トラヴェリア(ドラゴニアンの黒騎士・f04463)の姿。
「助かったぜ……」
「私が前に出るね。後ろはお願い!」
「任せとけ!」
リアナが残り少なくなった亡者たちをなぎ払いながら、突撃する。
「光よ、目覚めて!」
彼女の力ある言葉に呼応するかのように黒剣に封じ込められている光条が亡者たちへ殺到し、白銀の光が敵の頭部を吹き飛ばす。
「ここはまだ最初だから、立ち止まってはいられないんだ。頑張ろう!」
そうリアナは自分自身を鼓舞し、言葉通り立ち止まらない。
彼女の攻撃に合わせるかのように、打ち漏らした亡者をアルファが屠る。数の多い亡者に対する最も効率の良い戦い方だった。
亡者から放たれた数発の炎がリアナに着弾するが、彼女の肌を炙るだけ。ピリピリとした痛みがあるが、体の動きに支障はない。
アミュレットを取り出し、優しくギュッと握る。
「力を貸してね、この世界を守るために」
慈しむかのように小さくつぶやくと、再び数体へと数を減らした亡者へと白銀の光を放つ。
そして、ついに最後の一体となった亡者の四肢にアルファの弾丸が着弾する。膝から崩れ落ちる亡者。砕けた四肢を必死に動かそうとするが、そこへリアナの放った光条がその腹部を刺し貫いた。
館の中はシン、と静まり返る。
「前座はもう片付いたぞ、早く出て来いよ領主様!」
アルファの挑発が館に響いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『リーシャ・ヴァーミリオン』
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POW : 魔槍剛撃
単純で重い【鮮血槍】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : ブラッディ・カーニバル
自身に【忌まわしき血液】をまとい、高速移動と【血の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 魔槍連撃
【鮮血槍による連続突き】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠天御鏡・百々」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「全く……騒々しいわね。これからメインディッシュだって言うのに」
軽やかな、だがほんの僅かな怒気をはらませた声とともに、館の一角にある重々しい両開きのドアがゆっくりと開く。
そこから現れたのはまだ幼い姿の少女。だが、雪のように肌、銀髪には返り血を浴びたのだろう毒々しい赤がまだらに散っている。そして、手には自分の身長ほどもある槍が血を滴らせていた。この少女こそが領主リーシャ・ヴァーミリオンのようだ。
扉の奥から流れ出る濃密な死の匂い。何人かが顔を背ける。
「んー、ちょっとムカついたけど、あなた達が負けた様子をあの子に見せるのも面白いわね……うん、良いわね! あはは!!」
高らかに笑みを浮かべると、猟兵たちへ一歩踏み出す。ぴちゃり、と血にまみれた靴が粘着質な音を立てた。
リアナ・トラヴェリア
悪趣味な人だね。
この世界にはそんな敵ばかりだけど、だからといって慣れてる訳じゃないよ。
止めるよ、あなたを。
動きの速さに自信があるみたいだけど、動きを止めれば見切りやすくなるね。残像を囮にして攻撃をさせてからドラゴニアン・チェインで捕まえて他の猟兵の攻撃を当たりやすくするように立ち振る舞うよ。
捕まえて余裕があるなら、黒剣で串刺しにして剣に返しを付けて簡単に引き抜かれないようにして相手の重量も増やすよ。そのまま剣が取られてしまったら、エレメンタルエッジに装備を切り替えるね。
串刺した状態で余裕があったら混ざりゆく覇王の腕でそのまま上方向へ切り裂いちゃう。羽にダメージを与えられればもう速く動けないよ!
アルファ・フェノメネーク
さてさて、主賓のお出ましだ。
銃弾も再装填しないとねえ。
「下々の者から銃弾のプレゼントだ、心ゆくまで味わってくれよ?」
初手は【先制攻撃】と【2回攻撃】で、銃撃によって味方の援護を含めた攻勢をかける。
近接された際は【見切り】による回避と、【逃げ足】で距離を取って銃撃を続行。
「上等だ、ここで終いにしてやるよ!」
距離を取れないと判断したら、第1章と同じく銃床とダガーで逆に近接戦に持ち込む。
この際は【POW●魔槍剛撃】に対して【見切り】を用いて最大限、警戒する。
隙を見て小銃を手放し、【シーブズ・ギャンビット】で頸部を狙う。
「自分は絶対に安全、他人の命まで好き勝手に出来る。それが反転した気分はどうだい?」
セシリア・サヴェージ
【POW】
お前が領主か…少女たちの命を弄んだ罪をその血で贖ってもらおう。
敵は強大な力を持つ吸血鬼…こちらも真の姿を見せねばなりませんね。
UC【闇の解放】は寿命だけでなく肉体にも強い負担がかかり、維持できるのは数分間…発動のタイミングは敵のユーベルコードに合わせて行わなければ。
あちらの攻撃を【武器受け】【怪力】で受け止め、反撃の機を伺います。
そしてその時機が来たならば【力溜め】による渾身の一撃を見舞ってやりましょう。
裁きの時だ。暗黒に呑まれ滅するがいい。
「さてさて、主賓のお出ましだ」
アルファ・フェノメネーク(クラック・セパラ・f02989)が両手を上げ、少しおどけながら領主に向き合う。手にした愛用の自動小銃には弾丸を手早く装填させてある。
「あら、最初の獲物は貴方かしら?」
「まずは領主様……下々の者から銃弾のプレゼントだ。心ゆくまで味わってくれよ?」
同時にアルファの小銃が乾いた音を立て、弾丸を撃ち出す。完璧なタイミングでの先制攻撃、だが領主リーシャは笑みを浮かべながら身を翻し弾丸を避ける。
「あぶない、あぶ……あぐっ?!」
余裕の笑みを浮かべた領主だったが、その笑みは長く続かない。直後、肩にはしった衝撃で後ろによろめく。視線の先にはアルファがストックを肩に当て、油断なく照準をリーシャに向けている。
先制攻撃を避けられてもアルファは冷静だった。回避されたと同時に、更に銃弾を撃ち込んだのだ。
「痛いじゃないの……」
肩口に穿たれた弾痕を忌々しげに見ながら、ぎしり、と凶悪に伸びた犬歯が音を立てる。
「じゃあ、これはどうかしら。さあ、もっと早くなるわよ! あはは!!」
ドロドロとした血がリーシャの身体にまとわりついていく。錆びた鉄のような匂い、血の臭気が辺りに立ち込める。
「さあ、いくわよ!」
そう宣言すると、猛スピードで跳躍する。そのまま、空中で一回転し、手にした槍を叩きつける、事はできなかった。
セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)が、その一撃を手にした両手剣で受け止めたのだ。
「ぐっ……!」
「な、う、受け止め」
衝撃がセシリアの武器から腕、そして足先まで走り回る。足元の床は砕け、周囲に無数のヒビを入れる。だが、彼女は倒れない。この時を待っていたのだ。
「全てを護ると誓ったのだ……そのためならどんな力でも受け入れよう!」
セシリアの誓いの言葉と同時に、闇の解放が発動。暗黒の意思が覚醒、彼女の真なる姿『闇の化身』へと変貌させた。
「はぁぁぁ!」
「な?!」
爆発的に増幅した膂力で、領主の槍を弾き返す。ギィン、と金属が擦れ合う甲高い音が火花と共に発せられる。
何かが流れ出ていく感覚がセシリアの身体を蝕んでいくが、それと反比例するかのように彼女の力は溢れ出さんばかりに身を満たしている。
「少女たちの命を弄んだ罪をその血で贖ってもらおう」
そう言いながら両手剣を大上段に構え、じっくりとリーシャの隙をうかがう。いつでも一撃を浴びせれるように。
「いい加減にしなさいよ……! この私に対してそんな狼藉、許されるわけ無いわ!」
思い通りに戦いの流れがつかめない領主の表情にはっきりとした怒りが見て取れる。犬歯が再びギシギシときしんだ音を立てた。
「悪趣味な人だね」
背後から聞こえてくる女性の声。
「うるさい!」
徐々に怒りに囚われ始めたリーシャは振り向きざまに、超高速で怒りを込め、滅多突きする。槍についた血が、スピードのあまり、周囲に飛び散った。
最初の一撃が人影を捉え、その喉元を切り裂く、だが手応えはまるで無い。まるで空気。
「これ……まさか!」
瞬時に残像と見破ったは良いが、連続突きの勢いは止められない。
「この世界にはあなたみたいな敵ばかりだけど、だからといって慣れてる訳じゃないよ」
残像で敵の攻撃を誘ったリアナ・トラヴェリア(ドラゴニアンの黒騎士・f04463)が静かに手を突き出す。
「止めるよ、あなたを」
リアナから放たれたドラゴンオーラがリーシャの身体を包み込む。そして、あふれる力場が殺到し大爆発を起こした。爆風と爆炎が館を揺らし、爆心にいる領主の身体を痛めつけ、その身を焦がす。
「もう、なんなのよ……!」
飛び去り、距離を取ろうとするリーシャだが、何かが手を掴んでいるのか距離が取れない。見ればそこには鉄の鎖ではなく、リアナのドラゴンオーラで編まれた鎖があった。
鎖でつながったまま、リアナが疾走する。手には愛用の黒剣。
「いくよ……!」
「その程度の動きで!」
リーシャが高速で身を翻す。逆袈裟懸けで斬りつけた、リアナの黒剣は領主の身体に命中することはなかった。だが、彼女の狙いは身体へのダメージではない。
がくり、と明らかにリーシャの動きが鈍る。
「な……」
見れば、リアナの黒剣は領主の背中に生えている羽を串刺しにしていた。
「まさか! 最初から狙いは羽?!」
明らかに動揺した声。いくら高速移動できると言っても、それは身体の四肢がバランスを取っているから。もちろん、羽も体の一部。それが少しでも崩れてしまえば、思うように動けなくなるのである。
「……っ!」
トドメに串刺しにした剣に返しをつけ、容易に抜けなくする。これで更にリーシャは思うように動けなくなるだろう。
「こ、この……この……!!」
真紅の瞳に怒りの炎を宿らせ、リアナに槍を叩きつけようとするが、猟兵たちの援護を行っていたアルファの一発の銃弾がリーシャの肩に再び着弾、そして勢いの弱まった槍の一撃をセシリアが受け止める。
「さっきの借りは返したぜ」
「リアナ、大丈夫か」
「ふたりともありがとう! 羽にダメージを与えたからもう速く動けないよ!」
「まだ……まだよ!」
領主は跳躍しアルファへと突進するが、羽のダメージのせいか、動きは戦闘直後より明らかに鈍っていた。とは言え、動きが鈍くなっても槍の一撃はひどく重い。
「ちっ!」
槍の叩きつけを警戒していたアルファは、ギリギリに避けきる。自動小銃には不向きな距離。だが、あっさりと彼は愛銃を手放す。
「上等だ、ここで終いにしてやるよ!」
右足首のホルスターからダガーをすばやく取り出し、シーブズ・ギャンビットを放った。鈍い色を放ちながらの一閃は、リーシャの首の付け根を綺麗に切り裂く。
「あ……ぐっ!」
ドロリと切り裂かれた傷口から血が溢れ出す。その傷口を見る領主の表情は。
「自分は絶対に安全、他人の命まで好き勝手に出来る。それが反転した気分はどうだい?」
ヨロヨロと猟兵たちを見回しながら後ずさる領主リーシャ。
「セシリアちゃん、いけ!」
「ああ! 任せろ……!
スキを伺っていたセシリアが突進する。
「裁きの時だ。暗黒に呑まれ滅するがいい」
冷たく言い放つと勢いを利用し一回転、間合いに飛び込むと同時に大剣を横薙ぎに一閃した。溜めに溜めたその一撃は、リーシャの脇腹を深々とえぐる。
「イヤよ……まだ、まだ終わらないわ!!」
その表情は怒り、恐怖、絶望、すべてがごちゃまぜになっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
出水宮・カガリ
※アドリブ歓迎
カガリは、とても悲しい
そんな姿になってまで、お前を駆り立てるものはなんだ
満身創痍のリーシャに、無防備を装って語りかける(おびき寄せ)
…ああ、説得ではないぞ
カガリはひとの脅威を駆逐する城門だ
目の前のこれ(リーシャ)も、それでしかない
これも、最期の瞬間まで貪るものとして在るのだろう
槍の動作が見えたなら、即座に【鉄門扉の盾】を念動力で引き寄せる
見た目は隙だらけに見えようが、【不落の傷跡】【拒絶の隔壁】で強化した盾だ
盾受けの体勢で鮮血槍を【駕砲城壁】で受け止め、反射する
…反撃せよ、砲を撃て。我が外の脅威を駆逐せよ。
脅威を討ったとて、既に殺されたものは戻らんのだが
…村まで、送るくらいは
ミルフィ・リンドブラッド
吸血鬼に悪趣味なヤツが多いのは伝統です?自分よりも弱いものを虐げるその根性。フィーがぶっ殺して更生させてやるです。女の子達の無念その身に
味わうといいです。
POW
「天竜砕き」を構え、フィーの姿を巨大な大槌に隠すように突進して攻撃。この攻撃を何度も繰り返すです。そうすれば敵はフィーが何の考えもなく単調な技しかださないと油断するはずです。
油断した敵を倒すのは簡単です。
もう一度フィーの身を「天竜砕き」を盾にして突進し、相手に攻撃を受け止めさせたと同時に武器から手を放し、素早く背中側に回り込んで【天穿つ神殺しの拳】を叩き込んでやるです
「…油断をした瞬間、お前の負けは決まっていたです」
リアナ・トラヴェリア
…その傷はきっと痛いよね。
でも、それはあなたがこれまで多くの人達に行ってきたのと同じ。
同情はしないよ!
多分相手は焦って攻撃してくるから見切りながら相手の攻撃を冷静に武器で受け続けるよ。
表情はなるべく余裕があるように落ち着いた感じで。相手を疲れさせて判断力や勢いを削いじゃおう。
できるなら仲間と目配せして、隙や交代タイミングを示せたらいいね。
いよいよ相手の動きが鈍くなった時は混ざりゆく覇王の腕を発動して攻撃を仕掛けるよ。
とはいっても私の方に注意を向けてるなら囮として大振りに、他の人に意識がいってたら逆袈裟で視界外から斬りつけるよ。
うまく行けば、連携攻撃出来るかも。
あなたはもう終わった存在なんだよ。
アルファ・フェノメネーク
「まだ?まだ終わらない?いいや、お前はもう終わってる。」
「手負いだろうが女だろうがガキだろうが関係無い、アンタだってそうだろう!?」
後ずさる姿を眺めながら足元の小銃を再び拾い、構え直す。
手負いで足掻いているからこそ、更なる攻撃を、
捨て身で襲い掛かってくる事を想定して最大限の警戒を払う。
他の方に襲い掛かる事態があれば、【先制攻撃】にてその動作を封じる。
好機を見定め、【逃げ足】で距離を取り、【単点集中射撃】で
リーシャの頭部に照準を定めて、小銃で2-3発ほど銃撃を実行。
「そのまま悔い改めろ。今のお前はハナっから価値なんて無い。」
領主リーシャ・ヴァーミリオンが槍を構え直す。そこには戦闘直後に見せていた尊大で余裕ぶっていた様子はもうかけらもない。
「カガリは、とても悲しい……そんな姿になってまで、お前を駆り立てるものはなんだ?」
出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)が両手を広げ、領主リーシャに問いかけた。
その様子は一見、無防備そのもので、救いの手を差し出しているように見えるが、これは彼の作戦。既に彼の中では答えは出ている。
カガリの予想通りにリーシャは眉を震わせている。
(カガリはひとの脅威を駆逐する城門だ。目の前の領主もそういった存在でしかない。これも、最期の瞬間まで貪るものとして在るのだろう)
誰しも己の奥底に存在する本来のあり方を変えることは出来ない。それはオブリビオンたるヴァンパイアも例外ではないのだ。
「あんた……あんた達なんかに!!」
カガリの言葉にヴァンパイアとしての、そして領主として気位の高いリーシャが激昂する。それはオブリビオンとしてのあり方か、それともプライドなのか。あるいは両方か。
惨劇の犠牲になった少女たちの血と自分自身の血が混ざり合いながら、領主リーシャが猟兵たちへと突進する。
「……その傷はきっと痛いよね。でも、それはあなたがこれまで多くの人達に行ってきたのと同じ。同情はしないよ!」
リアナ・トラヴェリア(ドラゴニアンの黒騎士・f04463)が黒剣を水平に構えながら、リーシャに相対する。
「私はリーシャ・ヴァーミリオン! あんたたちなんかに! そんな事を言われる筋合いはないわ!!」
リアナの言葉に再び激高する。リーシャの速さは衰えたものの、手にした槍の破壊力は変わらない。
大上段から振り下ろされる鮮血槍。その大振りな一撃をリアナは冷静に、そして堂々と黒剣で受け止める。
「……!」
単純な攻撃故に重い。左足を半歩後ろに下げ、その一撃を耐える。一瞬、膝が沈み込む。
激突する金属と金属が火花を散らし、リアナの顔を明るく照らす。その表情は何事もなかったかのように、落ち着いた表情。
「この……!」
リアナの落ち着いた表情が、リーシャの怒りに油を注ぐ。今度は横薙ぎに槍をリアナに叩きつける。そして彼女も再び黒剣を盾にその一撃を防ぐ。
衝撃に手に痺れるような感覚があるが、まだ平静を保てている。
ちらり、とほんの僅かであるがリアナは、仲間たちに視線を巡らす。その意図に気がついたのか、カガリ、ミルフィ・リンドブラッド(ちいさな壁・f07740)、アルファ・フェノメネーク(クラック・セパラ・f02989)がそれぞれうなずき返す。
「まだ? まだ終わらない? いいや、お前はもう終わってる」
アルファがリーシャをミルフィと挟み込む形で走り出す。
「手負いだろうが女だろうがガキだろうが関係無い。アンタだってそうだろう!?」
非情の世界を生きる者の言葉。それをリーシャに言い放つ。
先程、床に落としたライフルをスライディングしながら、拐う様に拾い上げた。そしてそのまま、膝で武器を固定しながら発砲。
放たれた弾丸が、リーシャの足、腹部に着弾し小さな穴を穿つ。
「う、ぐっ、う、うるさい! うるさいわよ!!」
アルファの言葉を否定しながら、連続突きを放つ。だが、その槍の圧は低く、勢いもない。放たれた刺突はアルファの服をかすめただけで、彼はバックステップでゆうゆうと距離を取る。
リーシャの高速移動したユーベルコードは身体への負担が大きい。加えて脇腹への一撃。そして怒りに任せた攻撃は確実に領主の動きを鈍らせていた。
「吸血鬼に悪趣味なヤツが多いのは伝統です? 自分よりも弱いものを虐げるその根性。フィーがぶっ殺して更生させてやるです」
ミルフィが巨大ハンマー『天竜砕き』を盾に、背中を向けているリーシャへ突進する。その突進を運良く、すんでのところで武器を使い防ぐ領主。
ガリガリと音を立てながら、力と力が拮抗する。
「……女の子達の無念その身に味わうといいです」
ふっ、とミルフィが武器にかけていた力を一瞬抜く。力の行き場がなくなり、バランスを崩し、よろめくリーシャ。そこへ更に『天竜砕き』を盾にした突進。これも鮮血槍で防がれる。だが、ミルフィは距離を取ると再び先程と同じ単純な突進を繰り出す。
「こ、この! 本当に、しつこい、わね……!」
業を煮やしたリーシャが残り少ない力を振り絞り、跳躍する。そして、手にした槍をミルフィへと振り下ろすが、その一撃が効力を発揮することはなかった。
カガリが平然とその槍を『鉄門扉の盾』で受け止めてたのだ。彼の強固な意思を体現したかのような盾は傷一つ付いていない。
そして、収束する光。
「し、しまっ」
「……反撃せよ、砲を撃て。我が外の脅威を駆逐せよ」
カガリの力ある言葉に、収束していた光が光弾となり、リーシャの身体を飲み込む。爆発的な力が領主を吹き飛ばし、館の壁に叩きつけた。
ヨロヨロと槍を杖に、立ち上がる。だがその足元はおぼつかない。
そこへ再び、ミルフィの突進。
「そんな単調な動きで、この私が!」
ほぼ感情だけで放たれる槍の叩きつけ。そして、弾き落とされる巨大な大槌。だがそこにミルフィの姿はない。
「確かに単調な攻撃だったです。……でも、そんな攻撃に油断をした瞬間、お前の負けは決まっていたです」
聞こえる声はリーシャの背後。『天竜砕き』を弾き落とされた瞬間、ミルフィは滑り込むように敵の背後へと回り込んでいたのだ。繰り出されていた突進はこのための布石。
そして、リーシャが振り向くより早く、ミルフィは渾身の力を溜め込んだ拳を、矢が放たれる直前の弓矢の如く引き絞る。
「神をも殺すこの一撃。耐えられるなら耐えてみろ、です」
そう言い終わると同時に、必殺の拳を放つ。その一撃はリーシャの背中、心臓付近にめり込む。一瞬の間。そしてその拳を起点に暴力的な衝撃波が広範囲に駆け抜ける。衝撃で砕かれた床が宙に舞う。
「かはっ……!」
リーシャの口から大量の血が溢れ出し、ぼたぼたと音を立てながら館の床を濡らしていく。
それでも弱々しく、緩慢な動きでミルフィへと振り返り、掴みかかろうとする。だが、その手が届くより早く、その背後から。
「180秒で、全てを終わらせてみせる!」
リアナが力ある言葉とともに、混ざりゆく覇王の腕を発動させ、滑り込んでくる。彼女の言葉に反応し、黒剣の封印が解かれる。名前通り、右腕は武器との融合を果たす。
身体から力が抜けていく感覚。だが、リアナは止まらない。そのまま、滑り込みながらの勢いを利用し、リーシャの背面、左脇腹から右肩までをすくい上げるように、逆袈裟で切り裂いた。
傷口から血液がどろり、と流れ、リーシャはついに膝をつく。
「そのまま悔い改めろ。今のお前はハナっから価値なんて無い。……捉えたぞ。これで終わりだ」
右膝を付き、膝撃ちの体勢となっているアルファが、単点集中射撃を発動させた。
そして、ブレの消えた小銃のトリガーをリズミカルに指切りする。
パンパンパン、と乾いた音を立て、弾丸はリーシャの額に三発とも寸分違わず、同じ位置へ着弾した。
「い、いや……私……ま、だ、きえ」
必死に空をつかもうとする領主リーシャ・ヴァーミリオン。その表情は恐怖と絶望。その体は床に崩れ落ちるより早く、砂が中を舞うかのように消滅した。
「あなたはもう終わった存在なんだよ」
その様子を見ながら小さくつぶやくリアナ。
そうして、領主館は静寂へと包まれていった。
大成功
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第3章 日常
『慈悲なき世界に安らぎを』
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POW : 死者を運び、埋葬する。屍肉を狙う獣を追い払う。
SPD : 棺や墓石の製作。埋葬中の警戒。屍肉を狙う獣を追い払う。
WIZ : 司祭として死者に祈りを捧げる。屍肉を狙う。獣を追い払う
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
誰ともなしに、領主が現れたであろう両開きのドアをゆっくりと開けた。
特に引っかかるわけでも、重たい訳でもなく扉は、すっと猟兵たちを招き入れる。
濃密な死の香り。重苦しい鉄臭い、血の匂い。
その死の坩堝の中にいる一人の少女。彼女は身じろぎもせず、ほうけたように床に座り込み、宙を見ている。
特に怪我などはないようだ。彼女に肩を貸し、地下室から館の中へ、そして領主館の外へとゆっくりといたわるように連れ出した。
アルファ・フェノメネーク
この子達を荒らされるのは忍びない、丁重に葬むろうか
近隣の集落からスコップ、そして煉瓦と石灰を用意。
「次に生まれる時は、もっと価値有る世界だと良いねえ…」
埋葬する地に黙々とスコップを突き立てていく。
掘り出した穴の底に亡骸を横たえる。
その上に石灰を撒き、土を被せ、煉瓦を敷き詰めた後に土で埋め戻していく。
「あとは墓の一つ、祈りの1つでもお願いねえ」
同行者の皆に後ろ向きで手を振り、その場から後にする。
…帰りの道中、道より外れた場に穴を掘り、
領主の血が滴った衣服の切れ端を埋める。
傍らに有った岩をそこに置き、煙草に火を着ける。
「…柄にでもないけどねえ」
まだ火の着いた煙草を石の上に置き、そのまま立ち去った
アルファ・フェノメネーク(クラック・セパラ・f02989)が用意したスコップを黙々と地面に打ち続けている。
ややあって、ひと一人分の穴を掘り切った。
「次に生まれる時は、もっと価値有る世界だと良いねえ……」
理不尽と言う暴力に、運命を弄ばれた少女たちの亡骸に向かい、願うように小さくつぶやく。
(この子達を荒らされるのは忍びない、丁重に葬むろうか)
亡骸を優しく、静かに抱きかかえ、掘った穴に横たえる。
用意した石灰を静かに降らす。それはさながら雪のよう。その上に、土をかぶせ、煉瓦を敷き詰めていく。一個一個丁寧に。
最後に土を再びかぶせ、ふぅ、と息を吐きだした。
これならば、煉瓦で屍肉を狙う獣が少女たちの亡骸を掘り返すことはない。そして、その傍らに穴を掘り、他の亡骸にも同様の処置。それを数度繰り返す。途中、何度か現れた獣も、仲間たちがうまくあしらっていることだろう。
アルファは辺りの仲間たちを見回す。概ね埋葬は完了しつつあるようだ。
「さて、と……あとは墓の一つ、祈りの1つでもお願いねえ」
そう仲間たちに、背中を向けながら手を振り、歩き出す。
少し歩いた所で、空を見上げる。そこにはダークセイヴァー特有の曇天。だが、このとき珍しくわずかながら、陽の光が雲の隙間から、カーテンのように差し込んでいた。
その光景を見ながらアルファの脳裏に領主リーシャ・ヴァーミリオンの姿が思い起こされる。
彼女が身につけていたものは何も残ってないが、傍らの土を集め、その上に少し大きめの石を立て、自嘲気味に笑みを浮かべた。
「……柄にでもないけどねえ」
そう言うと帽子のつばを指で摘み、少しだけ深くかぶり直す。
そして、振り返ることなく、その場を後にした。
成功
🔵🔵🔴
出水宮・カガリ
※アドリブ絡みOK
…思えば
誰かを弔う、ということを、したことが無かった
ひとの死を悼み、悲しみ、送り出すのは、ひとがすべきことで
そこまで含めたひとの営みを、門であるカガリは、少し遠くから見ているだけ
ヤドリガミとなっても、それは変わらなかったと思う
弔うならば力仕事が必要になるであろうし、それを中心に手伝わせてもらうな
獣に掘り返されぬよう、墓穴は深めがいいだろう
夜は寝ずの番で、墓に付ききりでいる
日中でも獣が来れば【命の篝火】を抜き、火力を増して追い払う
この娘達の生前を、カガリは知らないが
…ああ、確かに
野晒しで獣に食われるまま、よりは
こうした方が、死んだものをずっと、思ってやれるのかもな
出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は手にしたスコップで、黙々と大地を穿つ。
ザクザクと小気味よく周囲に音を響かせている。穴は獣に掘り返されぬように深めに掘っていく。
時折、遺体を狙った野犬が数匹やってきたが、手にした『命の篝火』の炎で追い払う。野犬たちはしばらく、周囲をぐるぐる回っていたが、炎が怖いのか、しばらくすると姿を消していた。
(思えば)
ざくり、とスコップが土をえぐる。
(誰かを弔う、ということを、したことが無かった。ひとの死を悼み、悲しみ、送り出すのは、ひとがすべきことで、そこまで含めたひとの営みを、門であるカガリは、少し遠くから見ているだけ。ヤドリガミとなっても、それは変わらなかったと思う)
誰にでもなく、自分自身への独白。確かに、今までは死を悼み、送り出すことは無縁だったかもしれない。だが。
(この娘達の生前を、カガリは知らないが……)
ふと、視線を這わすと生き残った少女が、胸に手を当て空を見上げていた。領主の手によって、理不尽にもその生命を散らされてしまった少女たちを偲んでいるのだろうか。
カガリも空を見上げる。
(ああ、確かに野晒しで獣に食われるよりは、こうした方が、死んだものをずっと、思ってやれるのかもな)
視線の先、見上げた曇天の空に一条の光が差し込んでいた。
大成功
🔵🔵🔵
ミルフィ・リンドブラッド
…ヴァンパイアは討伐されたです。生き残った女の子は1人…。既に女の子達は死んでしまっていたとはいえなんだかやるせねぇです。…オブリビオン。過去のせいで女の子達の未来が奪われたことフィーは絶対忘れねぇ、です。
POW
女の子達を運んで埋葬するです。
道中で獣が出てくるようであれば【守護の決意】を使ってでも女の子達は死守します。
埋葬する場所は女の子達と縁深い人に彼女たちが生前好きであった場所を聞き、そこに埋葬するです。女の子達は十分苦しんだです。最後は自分の好きな場所で安らかに眠らせてあげたいです。
お供え物に花を添えて
「これから先はもう辛いことはありません。ゆっくり、休むといいです」
ミルフィ・リンドブラッド(ちいさな壁・f07740)は、少女たちの亡骸を優しく、丁寧に埋葬していく。
少し離れたところには、唯一の生き残りである少女が、空を仰ぎ、手を胸に当てている。彼女の目尻に涙が浮かんでいるように見えるのは、気の所為ではない。
(……ヴァンパイアは討伐されたです。生き残った女の子は1人……。既に女の子達は死んでしまっていたとはいえ、なんだかやるせねぇです)
ミルフィの胸にやるせない想いが、渦巻いている。
埋葬する場所は、生き残りの少女の要望だ。
「女の子達は十分苦しんだです。最後は自分の好きな場所で安らかに眠らせてあげたいです」
「……それでしたら」
ミルフィの言葉に言葉少なめに返す少女。
そうしてこの小高い丘へと猟兵たちはやってきた。
捕らえられた少女たちから、この辺りで眺めのいい場所を聞いていたのかもしれない。その小高い丘から見える景色には、いくつか集落が見て取れる。少女たちの故郷だろうか。
ここに来る道中、何回か野犬の群れに遭遇はしたが、『守護の決意』を発動した彼女に立ち向かう度胸は野生生物にはない。蜘蛛の子を散らすかのように、散り散りに去っていった。
埋葬も時折、野犬が姿を見せるが猟兵たちが追い払い、滞りなく進んでいく。
亡骸に土をかぶせ、最後にミルフィが、小さな花を添える。
「……オブリビオン。過去のせいで女の子達の未来が奪われたこと、フィーは絶対忘れねぇ、です」
彼女の、そして猟兵たちの戦いはまだ終わらない。きっとまだこの少女たちのように命を、運命を弄ばれている人達がいる事だろう。この惨劇を、そして少女たちの事を胸に留め、彼女は決意とともに歩みだす。
成功
🔵🔵🔴
リアナ・トラヴェリア
(獣を追い払いながら)
…この暗い世界で咲く花って、吸血鬼達のものを除けばそんなにないんだよね。
厚い雲の空は植物も弱めてるから、人と同じように。
それでも日差しは雲の薄いところを突き抜けて降りてくる。
いつもじゃないけれど、いつかは。
その恵みを逃さないように花実を付ける草木もあるんだろう。
それを摘むのは心苦しいから、周りの土ごとお墓の元へと持っていきたいかな、花が咲いているのならだけれど。
近くに花を植えたら、旅人の簡単なお祈りを。
昔、誰とも分からない人を弔った時に教えてもらったお祈り。
命はもうないけれど、出会ったのは縁だからちゃんと送り出せるようにって。
…『良き旅立ちを、そして良き出会いを』
リアナ・トラヴェリア(ドラゴニアンの黒騎士・f04463)の手にした黒剣が、風切り音を立てながら、水平に凪ぐ。
少女たちの遺体を狙いに現れた野犬にはそれで十分だった。
次第に距離を取り、何度もリアナたちを恨めしそうに見ていたが、やがて自分たちでは敵わない、という本能が勝ったのだろう。振り返ることもなく、小さくわななきながら去っていった。
小さく肺に溜まった空気を吐き出すリアナ。その近くには小さな花々が色を付けている。だが、ダークセイヴァー特有の気候のため、花弁は小さく、色も心なしかくすんでいるようにも見える。
その花の一つをリアナは、優しく指でなぞった。
(……この暗い世界で咲く花って、吸血鬼達のものを除けばそんなにないんだよね。
厚い雲の空は植物も弱めてるから、人と同じように)
この暗雲の世界は植物だけではなく、人の心や生き方を蝕み続けている。それは永遠に続いていく定めなのだろうか。
「それでも」
ポツリとつぶやき、空を見上げる。分厚い雲の隙間から、一条の光。それは次第に数を増やしていき、さながら光のカーテンのようだ。
「日差しは雲の薄いところを突き抜けて降りてくる。いつもじゃないけれど、いつかは」
この世界で、今を必死に生きるものたちにも平穏は、いつかやってくる、そう彼女は信じる。その一時の厳かな光景を見ながらリアナは思わずにはいられなかった。
少女たちの埋葬はほぼ終わっており、墓の周辺に先程の花々を土ごと植えていく。
そして、かつて教えてもらった旅人の祈りを捧げる。
「……良き旅立ちを、そして良き出会いを」
ふわりとした風が吹く。
いま、弔いの風が眠る少女たちの、そして猟兵たちの間を駆け抜けていった。
大成功
🔵🔵🔵