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集結、悪の組織連合! 世界征服編!

#キマイラフューチャー #戦後 #キング・ブレイン

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●予知:キング・ブレイン四天王として悪の首領たち、推参!
「ブレブレブレ、頭を垂れよ下郎共!
 秘密結社ブレインの大首領、キング・ブレイン見参であるぞ!
 皆様、ご機嫌いかがですか?」
「「「げんきでーす!」」」
「よろしい!」

 キマイラフューチャーはシステムフラワーズの中枢領域。
 そこに気づかれた壮大な築いたキングブレインキャッスルにて、高らかに笑うオブリビオンがいる。
 彼こそ、猟書家幹部、オウガ・フォーミュラの一角。
 悪の組織『秘密結社ブレイン』の大首領、キング・ブレインである!

 キング・ブレインの演説に呼応して無数のスーパー怪人たちが声を上げる中、彼の元に馳せ参じたのは超強力な『(日直式)キング・ブレイン四天王』たちである。
 人気すぎて日替わりで四天王を担当している彼ら彼女らを、順番に紹介していこう。

「ドン・フリーダムのCGさんに何故かお譲り戴いたこのシステム・フラワーズ!
 そこに築いたキングブレインキャッスルも、どうにか猟兵達に気付かれる事無く『最終段階』を迎える事ができた!」
「システム・フラワーズへの侵入成功、おめでとうございます大首領様。
 悪の組織連合による世界征服、達成まで目前といえるでしょう。すごく敬服します」

 キング・ブレインの腹心として仕え、大首領を支えるべく日夜頑張っている(一見)クールで冷静な女性。
 悪の組織『機械軍プレステル』の首領、プレステル・ピスティ!

「ありがとうございます!
 このシステムの中枢に、わがブレインバイシクル1号……の残骸……を設置する事で!
 見よ、キマイラフューチャー以外のあらゆる世界にも、この施設のパワーを送り込む事ができるようになったぞ!」
「オーッホホホホ! 素晴らしいですわ、大首領様!
 この星の住民のみならず、世界中の幼稚園バスをジャックして片っ端から下僕怪人に改造してあげますわ!」

 自身の美貌と能力に絶対の自信を持ち、キマイラも怪人も皆ひれ伏させるべく活動する鞭使いの女性。
 悪の組織『ワルドーラ』の首領、ドーラ・ワルダー!

「えっ、いや、全ての世界にコンコンコンを送り、全ての飢えと貧困を消し去って……。
 ハッ! いかんいかん、吾輩は悪の大首領であるぞ!
 無論、そんな事はしない! 幼稚園バスを100個誘拐したりするなどのスーパー悪い作戦を完遂できる筈である!」
「フフフ……ええ、これが私たちの大いなる野望の礎となるのよ、大首領様」

 呪術教団と呪術怪人たちを率い、惑星全体を呪うべく築いた秘密祭壇で悪しき呪いを捧げてきた冷徹な女幹部。
 悪の組織『ヴァルハイト呪術教団』の首領、マレーネ・ヴァルハイト!

「僭越ながら、吾輩による地獄の特訓を乗り越えたスーパー怪人軍団の諸君!
 吾輩のふるさとデビルキングワールドの住民の皆さんよりずっと強くなった君達を、他の世界に送り込むのである!
 そして、ここに集いし猟書家のみなさまにも。お望みの世界に旅立って、存分にワルワルなことを行ってもらおう!」
「ゼニャハハ! 話がわかるガネ、大首領様! 金こそが世界で一番強いんだガネ!
 金がいっぱいある世界、デビルキングワールドとかでイカサマメダルゲームを流行らせてやるガネ!」

 キマイラたちに貨幣概念を与え、貨幣の復活を目論む古き竜。金で暴かれる人の醜さを嗤うのが趣味の恐るべきお金好き。
 悪の組織『エンドバンク』の首領、集円竜エンドラゴン!

「あー。あの世界でゲームセンターを設立したらヒットしそうですなぁ……ええ、構いませんとも!
 皆さんの思うがままに、元気に仲良く楽しんで侵略してください!」
「素晴らしい! 流石は大首領様だ! その感情、実に素敵だね!
 話に聞いた活気のあるアスリートアースに、儚げなオブリビオンが大勢いるというサクラミラージュ、それに、ああ! サイバーザナドゥという世界のエンターテイメントからも、良いプラスの感情エネルギーを奪い去れそうだ!」

 生物の抱くプラスの感情を力に変える能力を持ち、感動やトキメキをもたらす存在や、その際に生じた感情などを奪っては書物に保管するコレクター。
 悪の組織『イビルアーカイブ』の首領、リブロ・テイカー!

 以上五名こそ、本日の『キング・ブレイン四天王』である!
 ……四天王だから問題は無いはずです。

「ブレブレブレ、皆さんのご協力に吾輩、感無量です!
 さあ、決起集会はこれくらいにしておきまして、猟兵に見つかる前に」

 >メンテナンスルートが開放されます。メンテナンスルートが開放されます<

「おや、大首領様。なんだかキングブレインキャッスルの周りが開放的になりました」
「あの、キマイラフューチャーが真っ二つに割れておりませんこと……?」
「あらあら……これも大首領様の計画かしら? くすくすっ」
「ゼニャハハ! なんかメンテナンスルート? とか聞こえるガネ!」
「僕の記録によると……バトルオブフラワーズで発生した、システムへと続く直通路だね」

「……なんですそれ???」

 今ここに、キマイラフューチャーの決戦のバトル会場がオープンになった。

●招集:いざ、決戦の戦闘フィールドへ!
「という訳で、キマイラフューチャー総力戦であります!」

 バルタン・ノーヴェが用意したプロジェクターで投影されているのは、真っ二つになったキマイラフューチャーだ。
 四年前、2019年の5月に発生した驚異の大戦争『バトルオブフラワーズ』。
 その時に類似する光景に、見知った猟兵たちは頭を抱え、見知らぬ猟兵たちは度肝を抜かれたことだろう。
 どうやらドン・フリーダムのCGはキング・ブレインに協力はしたものの、大事なことは伝え忘れたようである。

「今回のミッションは、猟書家『キング・ブレイン』の撃破!
 ただし19回復活するので、何度でも乗り込んで倒す必要がありマース!
 ワタシが案内する戦いは、そのうちの一回でありますが……この戦場は、非常に危険であります!」

 バルタンの緊迫した言い草に、猟兵たちは耳を傾ける。
 投影されるのは、キング・ブレインだけではない。
 その周囲を固める五人の四天王、幹部猟書家の面々だ。

「キング・ブレインのカリスマ性(優しさ)に心底心酔した彼ら、日直式キング・ブレイン四天王!
 彼のためなら命もかける四天王とも同時に戦って、勝たなければなりマセーン!
 言うまでもなく、極めて厳しい戦いとなりマース!」

 先制攻撃をすることはないとはいえ、多人数の幹部たちを同時に相手にしなければならないのだ。
 この戦いは、絵面以上に激しいものになることは間違いない。

「戦いに勝利すれば、キングブレインキャッスルは自爆するとのこと!
 とはいえ幾許かの猶予があるので、脱出前にキング・ブレインや幹部たちと語らう時間はありマスナ!」

 覚悟を決めた猟兵たちを見て、バルタンは笑顔でグリモアを起動する。
 その先は、大量のスーパー怪人『アキクサさま』の軍団で溢れかえるキングブレインキャッスルだ。

 アキクサさまは単独でも強い上に、うっかりすると一度に100体ぐらいから同時に攻撃されて猟兵は負ける。致命傷を負う前にグリモア転移で回収するので死ぬことはありません安心してください。
 そのため、絶対に何らかの対応策を用意しなければならない。本当にマジで。振りではないです。

「それではエブリワン! いざ決戦の戦場へ! よろしくお願いいたしマース!」


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
 今回の舞台はキマイラフューチャー、中空に浮かぶキングブレインキャッスルに乗り込んでの決戦です。
 オウガ・フォーミュラ、『キング・ブレイン』の撃破が目的です。
 この決戦シナリオを合計「20回」成功すれば、完全に『キング・ブレイン』を滅ぼすことができます。

 第一章:大量のスーパー怪人軍団『アキクサさま』との戦闘です。
  アキクサさまたちは非常に強く、全員一人残らず、追加のユーベルコードを持っています。その詳細については断章にて公開します。
  スーパー怪人軍団を乗り越えて場内に突入する必要がありますが、キング・ブレインによる地獄の特訓によってパワーアップした彼らは想定以上の超強敵であり、場合によっては百体くらいの集団から同時攻撃されるため、<絶対に>何らかの対応策を用意してください。
  でなければ判定は『失敗』となります。
  プレイングボーナスは、『大量のスーパー怪人軍団の一斉同時攻撃に対処すること』です。

 第二章:秘密結社ブレインの大首領、猟書家『キング・ブレイン』との戦闘です。
  キング・ブレイン自身も強敵ですが、彼の傍にはキング・ブレインの腹心として仕える『日直式キング・ブレイン四天王』として悪の組織の首領たちが随伴しています。
  五人いますが四天王です。
  コメント欄の文字数が溢れたため、詳細は断章にて説明させていただきます。
  なお、このシナリオでキング・ブレイン以外の幹部猟書家たちは撃破されません。
  プレイングボーナスは、断章にて公開します。

 第三章:崩壊を迎えようとしているキングブレインキャッスルからの脱出です。
  コメント欄の文字数が溢れたため、詳細は断章にて説明させていただきます。
  なお、最期に城塞は爆発して秘密結社ブレインの野望は灰燼と帰しますが……ドン・フリーダムのCGが、19回までキングブレインキャッスルごと、キング・ブレインを再生します。
  プレイングボーナスはとくにありません。

 登場人物:悪の組織連合の皆様。
  ある意味、各自の作戦大成功した幹部の方々。
  ここぞとばかりにキング・ブレインの元に馳せ参じたようです。

 オープニング公開後、断章を公開します。
 プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
 皆様、よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『アキクサさま』

POW   :    ぽかぽかの風
【召喚したヒーターの熱風】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    どっちが本物?
【もう一羽のアキクサさま】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    究極の平和主義
全身を【スーパーもふもふモード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

イラスト:橡こりす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:スーパー怪人大集合!

「キング・ブレインさま、ばんざーい!」「ばんざーい!」
「わがはいたちこそがキングブレインキャッスルのしゅごしゃである」
「りょうへいたちなど、ぽかぽかにしてやすらかなねむり(およそ八時間睡眠)にたたきこんでくれるわー」

 諸手ならぬ諸羽根をあげて士気を高めているのは、 暖かい場所が大好きなもふもふ桃色のアキクサインコ型オブリビオンたち。
 『アキクサさま』だ。
 普段は温和な性格をしているのだが、悪の組織『秘密結社ブレイン』のスーパー怪人として鍛えられたアキクサさまたちはやる気いっぱい意気軒昂。
 偉大なる大首領様のために、頑張って猟兵たちを撃退するために集合しているのだ。
 そして、そんなスーパー怪人たちには個性的なものがいっぱいいる。

「はぁ、はぁ、ふぅ。それがし、こうふんしてきましたぞ」
「がんばったらワルドーラさまからごほうびをもらえるのですぞ」

 想像に頬を染めているのは、従わされることに喜びを感じるワルドーラの下僕怪人アキクサさま。

「ふっ。こころなきマシンかいじんであるわれらにおまかせあれ」
「だいしゅりょうさまにクールなたたかいをおみせしましょう」

 機械を埋め込んで怪電波を放出できるようになった、機械軍プレステルのマシン怪人アキクサさま。

「いあ、いあ、ふんぐるい、まれーね、ウァ、ウ……、ヴ、ヴァ。ヴァルハイトさま」
「しゅりょうさまにたましいをささげるー。すべてはおんみのためにー」

 古今東西の様々な呪術を行使することができる、ヴァルハイト呪術教団の呪術怪人アキクサさま。

「ガチャアアア! あっ、ガチャ、ガチャ! ガチャまわすのぉぉぉ!!」
「うほぉぉぉ! のうじるっ、あふれるっ! もっとメダルをぉぉぉ!!」

 狂気的な眼をぐるぐると回して熱中したゲームへの執着心に荒ぶる、エンドバンクのメダルゲーム怪人アキクサさま。

「やれやれ、よそのかいじんたちにはちてきさがたりてませんな」
「そのてん、ぼくたちはかんじょうエネルギーのあつかいにたけてますからね」
「「レッツ、ロックンロール!」」

 身体の一部と化した本を開き、溢れる感情エネルギーで自爆するイビルアーカイブのアーカイブ怪人アキクサさま。

 そう。
 悪の組織連合に属するアキクサさまたちもまた、キング・ブレインのもとで地獄の特訓(短期集中プラン。一日四時間週休三日制)を重ねたことによりスーパー怪人の仲間入りを果たしているのだ。
 わちゃわちゃと場内を闊歩しているが、一体一体がとんでもなく強いのである。

 さらに。ここでキング・ブレイン・クオリティ。
 このアキクサさまたちはなんということでしょう。
 追加ユーベルコード《絶対防衛戦線》を持っているのだ。

 【拠点を死守すべく共に戦う仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[拠点を死守すべく共に戦う仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
 つまり、数が集まれば集まるほどめちゃくちゃ強くなるのだ。

 二匹以上を相手にするだけでも激戦となり、十匹を超えると手にあまり、百匹揃えば無敵だろうと最強だろうとなんだろうとボコボコにされてしまうだろう。
 ……どうやって対処すればいいんだよ! でも突破しなければ先に進めないのである。
 アキクサさまの群れの放つ一斉同時攻撃に対処して、猟兵たちは城内の奥でスタンバイしているキング・ブレインと四天王のもとへ向かわなければならないのだ。

「さあ、こいりょうへいたち! このヒーターであたたかくしてやろう!」
「あれ、いつのまにかなかまがふえてます?」「どっちがほんものです?」
「スーパーもふもふモードでみっしゅうすれば、あっとうてきむてきなのです」

 待ち構える、大量のもふもふ。尋常ではない強さを有する、スーパーもふもふ。
 覚悟を決めた猟兵たちが、スーパー怪人たちとの戦いに臨むのであった。
アルテミシア・アガメムノン
『秘密結社ブレイン』! 秘密結社って浪漫を感じますわよねえ。
オブリビオンとは言え飢えと貧困を消し去る事業に従事しているのであれば、倒すのを後回しにしましたが……
悪魔より強靭な怪人を全世界に撒き散らすというのであれば容赦はできません。
大首領のキング・ブレインさんは魔界出身でもありますしね。

まずはスーパー怪人軍団さんですか。真っ向勝負はきついですわね。
それでは……
『認識不能の神威』により不可視の存在に。
その上で魔力をぶわっと広範囲に広げて(『魔王の肉体』による無限の魔力×範囲攻撃)、アキクサさま達の秘密結社の一員という記憶、UCの知識を奪ってしまいます。あとは呆然としている彼等を魔力波で一掃です。



●一番手、認識不能の神威!

「『秘密結社ブレイン』! 秘密結社って浪漫を感じますわよねえ」

 デビルキングワールドの|デビルキング《7thKING》が一柱。
 魔王国の女帝である魔界制覇を標榜する|熾天使《セラフ》の魔王、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は眼の前にそびえ立つキングブレインキャッスルを見下ろして華麗な笑みを見せた。
 そこにひしめくもふもふのアキクサインコ型オブリビオン『アキクサさま』に、そしてその奥に待ち受けるだろう大首領『キング・ブレイン』に意識を向ける。

「オブリビオンとは言え飢えと貧困を消し去る事業に従事しているのであれば、倒すのを後回しにしましたが……悪魔より強靭な怪人を全世界に撒き散らすというのであれば容赦はできません」

 アルテミシアはデビルキングワールドの魔王である。
 魔界で日夜悪事を行う数多くの悪魔たちを束ねる王として、悪魔よりも強くなったと標榜する怪人たちが他の世界に散らばっていくということへの危機感は一際抱いている。
 自国民と同じくらい強い怪人たちを、世界中に放流する訳にはいかない。

「それに、大首領のキング・ブレインさんは魔界出身でもありますしね」

 7th KINGである猟兵たちにとって、4th KINGであるキング・ブレインは看過できるものではない。
 人柄、振舞い、その功績。オブリビオンとしても、決して侮れない存在だ。
 是非とも決着を付けなければならない、縁の深い相手である。
 アルテミシアは油断も慢心もすることなく、冷静に状況を判断し、手を打った。

「まずはスーパー怪人軍団さんですか。真っ向勝負はきついですわね。それでは……」

 キングブレインキャッスルに侵入したアルテミシアに、アキクサさまたちが殺到する……ことはなかった。
 アキクサさまたちは猟兵たちの到来を今か今かと待ちわびている様子で、近づくアルテミシアに気づくことなく《ぽかぽかの風》を放つヒーターを召喚して外を見続けている。
 誰一匹、優雅にバルコニーへと降り立ったアルテミシアを認識していない。
 それは、ユーベルコード《認識不能の神威(ヘルメース)》の効果であった。

「まだかなー? まだかなー?」
「スタンバーイ、スタンバーイ……」
「ほほほ、わたくしを認識することはできません」

 アルテミシア自身と武装を彼女の魔力で覆うことで、他の者からの視聴嗅覚での感知を不可能にするユーベルコード。
 接触や魔力探知のような特殊な知覚方法では気づかれるが、アキクサさまたちには特殊機能はついておらず、触れないように気を付けていれば問題はない。
 そして、この《認識不能の神威》には魔力に触れた敵から任意の記憶と知識を奪う効果もある。
 無限の魔力を宿した『|魔王の肉体《Satanel》』による悪のカリスマというべき魔力の波動が、ぶわっと広範囲に広げられてアキクサさまたちを包み込み、次々にその影響下に落として行く。
 ワクワクして士気の高かったアキクサさまたちが、徐々に困惑の表情を浮かべていく。

「……あれ? ぼくはなぜこんなところに?」
「このポカポカするの、なんだっけ? ふしぎー」
「……なんということだ、もうなにもおもいだせないぞ!」
「はぁはぁはぁ……そんな、せっしゃのごしゅじんさま、だれでござるかー!?」

 秘密結社や悪の組織の怪人だったという記憶を、そしてユーベルコードや戦闘に関する知識を奪われ、呆然としているアキクサさまたち。
 その傍を歩くアルテミシアは、触ったら気づかれるため道を塞ぐもふもふを一掃するべく魔力を籠める。

「おほほほ。さて、それでは道を開けてもらいましょう」

 アルテミシアは溜めた魔力の波動を、アキクサさまたちに叩き込む。
 膨大な魔力波により吹き飛ばされ、あるいは切り裂かれ、次々に倒されていくアキクサさまたちだが、彼らは何故自分がやられているのかすらわからない。

「あーれー?」「そーれー!」「なんだっけー!?」
「さあ、行きますわよ! キング・ブレインさんの待つ、決戦のバトルフィールドへ!」

 障害を取り除いたアルテミシアは、新たなもふもふが立ち塞がる前にとキングブレインキャッスルの奥へと悠々と踏み込んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・怜悧
人格:ロキ
数の暴力、しかも1体ずつが確実に強いとは、厄介な相手ですね

UDCの液体金属を剣のようにして持ちます
なるべく一斉に攻撃を受けたいので、もし様子見等するようであればこちらから攻撃を仕掛け、剣を取り落としたフリをして攻撃を誘いましょう
何もせずとも殺到するようであればそのまま、UCを発動します

表出している人格である私が意識の内に戻り、他の人格が表出しなければ、身体は自然と脱力状態になります
敵の攻撃を液体金属化した身体で受け止め解析し、別の敵と同士討ちするよう排出しましょう

例え受け止めきれずとも、液体金属の身体は再集合すれば回復できます
危機的な場合は一度距離を取り、回復に専念しましょう



●二番手、脱力からの解析カウンター!

「数の暴力、しかも1体ずつが確実に強いとは、厄介な相手ですね」

 柔らかい物腰で泰然とキングブレインキャッスルに現れたのは、一見すると普通の青年に見える遺伝子デザインされた生体兵器。
 多重人格者の殺人鬼、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)。その人格のうちの一人、緑目のロキである。

「なるほど、ならばこう……ですね」

 ロキは意思に従い形を変えるUDC『黒く玉虫色に光る液体金属』を剣のように変えてぶらりとその手に持ち、悠々と『アキクサさま』たちの前に身を晒している。
 周囲を取り囲むアキクサインコ型オブリビオンの怪人たちは、あまりに無防備なロキの姿に戸惑いを見せている。

「これは……まいごでは?」
「たたかういしのないかたをたたくのは、しんしてきではありませんぞ」
「でもりょうへいさんだし、おいださねば」「きょうのわたしはしんしてきです」
「……ふむ。それでは、私から仕掛けましょう」

 こそこそとアキクサさまたちが相談し合っている間に、ユーベルコード《どっちが本物?》により首をかしげるもう一羽のアキクサさまたちも現れて、ロキの周囲はどんどん増えるもふもふに満ち溢れている。
 様子をうかがうアキクサさまたちからの攻撃を誘発するため、ロキは思案して……攻撃を仕掛けるふりをする。

「行きますよ、必殺の攻撃を行いますよ」
「あっ! あのひと、ぶきをふりかぶっていますよ」
「させるものかーっ!」「ガチャァァァ! メダルゥゥゥ!」

 緩々と剣を振りかぶり攻撃の意志があるとアピールするロキ。
 その動きを見たアキクサさまたちが、我先にとロキに殺到して一斉攻撃を開始する。
 《絶対防衛戦線》により拠点を死守すべく共に戦うという意思に統一されたアキクサさまたちは、尋常ではないほどに強化されている。
 数百体のもふもふの群れに集られるという微笑ましい光景ではあるが、そのくちばしは、そのつばさは、並のオブリビオンでは一撃で木端微塵になるほどの威力を有しているのだ。
 それほどの攻撃を、ロキは防御も迎撃もせずに受け入れてもふもふに包まれる。

「やりましたー!」「やりすぎました?」
「このたたかい、われわれのしょうりです」
「……」

 だが、それはすべてロキの計算通りであった。
 ロキが行使したのは、《万象解析(バンショウカイセキ)》。
 完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して解析し、そして再現して液体金属UDC化した身体から排出するカウンター型のユーベルコードである。
 失敗すると被害は二倍になるハイリスクなものだが、ロキは狙い通りにアキクサさまたちの攻撃が直撃する前に表出しているロキの人格を『|意識の内《内面世界》』へと戻して、そして他の人格たちが表出しないことで身体は自然と脱力状態になっていた。

「(……予測通りですね。真っ先に私に触れたのは召喚されたアキクサさまたちのようです)」

 《万象解析》の発動が成功し、《どっちが本物?》によるダメージを無効化したことを内面世界から確認したロキの人格が再び表出する。
 もしユーベルコードに依らないアキクサさま自身のパワーで襲われていたら、ロキは衝撃を受け止め切れずに木端微塵となり、液体金属の身体は再集合の手間をかけさせられていただろう。
 幸いにも、もふもふに覆われている液体金属の身体が無事であることを確認して、ロキは反撃としてアキクサさまたちのユーベルコードを排出していく。

「うん、損傷なし。うまく行ったようですね。では、次は私の番ですよ」
「えっ?」「なんですと?」「なんということでしょう」

 ロキを覆うアキクサさまたちの中から、次々に大量のアキクサさまたちが出現する。
 それは、《万象解析》によって再現したもう一羽ずつのアキクサさまたち。
 ロキのために協力してくれる、スーパー怪人のアキクサさまたちだ。
 アキクサさまと、召喚されたアキクサさまと、再現されたアキクサさまによる、もふもふ同士討ちが加速する。
 アキクサさまたちは混乱に包まれた。

「ロキさまのためにー」「これがゆうじょうパワー」「こころがあたたかいなり」
「われわれがふえたー」「どっちがてきです?」「それがしはみかたですぞ」
「すごいことになりましたね。さてと、通してもらいますね」

 消耗のないロキは液体金属の剣を使って周りにいたアキクサさまを跳ね除けて、わちゃわちゃとぶつかり合うアキクサさまたちに見つからないよう道を進んでいく。
 手強いアキクサさまたちの相手をアキクサさまたちに任せて、ロキは自身は戦うことなく城内へと足を踏み入れていくのだった。

「ここは任せましたよ」「おまかせあれー」

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
外見に似合わぬ危険さ、ですねぇ。

『FAS』を使用し飛行、『FLS』の空間歪曲障壁と『FES』の対熱結界で『熱風』に備えまして。
【鴻鉀】を発動、『祭礼の女神紋』により全『祭器』共々『天鎧』を纏い強化しますねぇ。
更に『FMS』と、その能力を再現した『FVS』で多重のバリアを展開し、鳥さん達同士が連携出来ない様『対峙する少数』を他の集団から隔離、『天鎧』による『即時修復』が付与されている以上『一時的な破壊』は出来ても『突破』は相当に困難ですぅ。
後は『FGS』で動きを抑え『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FBS』の斬撃で対処、後バリアを調整しまた少数と対峙、以降繰返しますねぇ。



●三番手、隔離よバリアー!

「外見に似合わぬ危険さ、ですねぇ」
「カモーン」「いつでもどうぞ」「あたためてさしあげますぞー」

 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、『アキクサさま』たちのもふもふした姿を見ておっとりと感想を述べていた。
 小柄でありながら発育の良い身体をしているるこるは、高速飛行可能な三対のオーラの翼『フローティング・エアロフォイル・システム』を使用して空中に陣取り、アキクサさまから距離を取っている。

 眼下のキングブレインキャッスルでは、数十羽のアキクサインコ型オブリビオンが召喚したヒーターを構えて、るこるが射程に収まるのを待ち受けている。
 城へ入ろうとして迂闊に接近すれば、瞬く間に《ぽかぽかの風》でこんがり焼かれてしまうだろう。
 強敵であるスーパー怪人たちに備えるために、るこるは『使徒』として大いなる女神への祈りを捧げ、ユーベルコードを起動する。

「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『天鎧の加護』をお与え下さいませ」

 見上げるアキクサさまたちの目の前で、るこるの姿が大きな鎧をまとった姿に変身する。
 《豊乳女神の加護・鴻鉀(チチガミサマノカゴ・ボウバクナルグソク)》。
 全身を、即時修復と様々な環境耐性を持つ『天鎧』の装甲で覆い、身長・武器サイズ・攻撃力・防御力が3倍となる巨人の姿に変身するユーベルコードだ。
 腕や脚の増加も可能だが、その能力の最大の特徴は『反動』を適用することで前述の効果を更に増幅させることが可能なのだ。
 るこるが受ける『反動』とは、すなわち飽食の現れ……更なる肥満化である。
 ……戦いの後のるこるさんを想い、敬意を表する。

「おっ、おっきぃですぞぉ……!」「もちもちしてそう」「ふくよかー」
「うぅ……それではぁ、参りますぅ」

 アキクサさまたちの視線に恥じらいながらも、るこるは女神様からの賜りものである『祭器』をふんだんに展開する。
 自身の骨に刻まれた神印『祭礼の女神紋』の影響により、他の『祭器』すべてを体の一部として扱うことができるるこるは、数々の『祭器』も『天鎧』の対象とすることができるのだ。

 浮遊する12枚の円盤『フローティング・ミラーコート・システム』と、浮遊する涙滴型の水晶『フローティング・プローブ・システム』に刻まれた情報からその能力を再現する浮遊する32枚の絵馬『フローティング・ヴェアリィ・システム』を駆使して、るこるは多重のバリアを展開する。
 アキクサさま同士が連携出来ないように、無数のバリアを生み出してアキクサさまたちを隔離していく。
 るこると対峙する際には少数になるよう、集団を分断しているのだ。
 そうして区分けした一画へと降り立ち、るこるは『祭器』を広げて戦闘態勢を整える。

「なんと、みえないかべが」「あいぼうー!」「そんな、かずのちからがー」
「数が多くなければ、《絶対防衛戦線》の効果も弱まってくれるはずですぅ」
「むむむ……しかし、われらはスーパーかいじん。おくしはしないー!」
「ヒャッハー! レッツパーティ!」

 もちろん、少数に分断されようともスーパー怪人であるアキクサさま油断ならない強敵だ。
 るこるは、浮遊する16枚の札『フローティング・リンケージ・システム』による空間歪曲障壁と、20枚の浮遊する布『フローティング・エレメンタル・システム』による対熱結界を構築して、アキクサさまたちの放つ《ぽかぽかの風》から身を守る。
 『天鎧』の環境耐性も合わさり、短時間であればヒーターの熱風にも耐えられるようになった。
 だが、何羽かのアキクサさまが風を送る一方で、数羽のアキクサさまが素早く接近して物理攻撃をるこるに浴びせかけていく。

「アキクサさまのこうげき! アキクサさまのこうげき!」
「えい、えい」
「うぅ、『天鎧』がこんなにダメージを受けるなんて。『即時修復』が付与されてなければ危ないところですぅ」
「きいていないです?」「もっとちからをあわせなければくだけない」

 『天鎧』が陥没し、亀裂が入る……だが、その傷は一瞬で修復されていく。
 《豊乳女神の加護・鴻鉀》で生み出した『天鎧』の装甲は、強固なだけではなく高い修復機能も有しているためだ。
 百匹を超えるアキクサさまから一斉攻撃を浴びていれば修復しきれず突破されていたかもしれないが、多重のバリアで隔離したことが功を奏している。
 一撃で粉砕されなければ、『天鎧の加護』を突破してるこるに傷をつけることは適わない。

「こちらも反撃させてもらいますぅ」
「ぎゃふん!?」「お、おもいー」「じゅうりょうきゅうー」

 そして、るこるも黙って殴られてばかりではいない。
 カウンターとして、飛び掛かるアキクサさまを重力の操作を行う浮遊する16本の錫『フローティンググラビトンシステム』で動きを抑えつける。
 身動きが鈍ったアキクサさまに狙いを定めて、浮遊する20台の球体『フローティング・レイ・システム』と中心に砲門が有りるこるの周囲を浮遊する12枚の小型ビームシールド『フローティング・シールド・システム』による砲撃で、そしてビームの刃を持つ浮遊する12枚の戦輪『フローティング・ブレイド・システム』の斬撃で、次々に一匹ずつ各個撃破していく。

「やられました」「だいしゅりょうさま、ばんざーい」「おしおきしてください」
「ふぅ、やっぱりお強いですねぇ」
「バリアー、ブレイクー!」「いまこそさいしゅうごうのときー」
「あらまあ。ではおかわりですぅ」
「ああん」「いけずー」

 そうしている間に、隔離したアキクサさまたちの猛攻により『フローティング・ミラーコート・システム』と『フローティング・ヴェアリィ・システム』で展開していたバリアが次々に砕かれていく。
 再集合を試みるアキクサさまたちが動く前にるこるが新しいバリアを展開することで合流は阻止できたが、気を抜く余裕はなさそうだ。

「そうですねぇ、強度は限界ですから、バリアの枚数や角度を調整して。
 お城の奥まで入れるまで、延々と繰り返しましょうかぁ」
「ここがぼくらのてんのうざんー」「あきらめたりはしない、きりっ」

 穏やかな笑みを湛えたまま、るこるは油断することなく『祭器』を制御し、もふもふの身体をバリアに押し付けて集まろうとするアキクサさまたちを各個撃破し、強引に押し通っていく。
 ほどなくしてるこるはキング・ブレインの待つ城内へと踏み入ることに成功するのだが……その身に降りかかる『反動』が如何ほどになるのかは、それはまだ明らかにはならない。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
ぶっちゃけ妾のチャンネルに登場すると、妾という主演を差し置いて好評なので悔し…くはないぞ!
まあそれはそれ! 癒し系として名高いアキクサさまも超パワーアップか、おめでとう!
だが容赦なくボコる!

右手を上げ、指を鳴らし、緑よ、さあ生い茂るがよい!
はーっはっはっは! キマフュには存在しない天然の大密林へようこそ!
今から始まるのは邪神による狩りだ!

樹上に上がり地に伏せ草間に隠れ、視界最悪の状況の中で孤立してしまった者からボコっていく!
それでも固まっている者たちは、ブン投げたりして強引にでも引き離すことにしよう
無理矢理各個撃破作戦だ!
はっはっは、妾はもふもふに忖度せんぞ、スベスベ鱗の方が好きだからな!



●四番手、楽園解放スズナパーク!

「ぶっちゃけ妾のチャンネルに登場すると、妾という主演を差し置いて好評なので悔し……くはないぞ!」

 巷で評判のキング・ブレインのハウスへと突撃してきたのは、キマイラフューチャー出身の超売れっ子動画配信者。
 真の蛇神にして邪神たる国民的スタア、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)だ。

 コラボする度に主演である菘を差し置いて好評を博すキング・ブレインとの決着をつけるべく、キングブレインキャッスルへと乗り込んでアキクサインコ型オブリビオン『アキクサさま』の前に颯爽と躍り出たのだ。
 そして、すでにもふもふに囲まれているのだ!

「まあそれはそれ!
 癒し系として名高いアキクサさまも超パワーアップか、おめでとう!
 だが容赦なくボコる!」
「ありがとうー」「ではえんりょなくバトルです」「クールにあたためてあげます」

 菘からの祝辞に感謝の意を捧げ、挨拶も済んだところで襲い掛かるアキクサさまたち。
 召喚したヒーターの熱風で攻撃するユーベルコード《ぽかぽかの風》。
 攻撃力を重視した超高温、命中率を重視した超風速、攻撃回数を重視した超出力。
 アキクサさまたちの手による様々な熱風が菘に向けられる。
 そのまま直撃を受けてしまえば、流石の菘といえどひとたまりもないだろう。
 それ故に、菘はゆっくりと右手を上げ、指を鳴らし、ユーベルコードを展開する。

「緑よ、さあ生い茂るがよい! 花に埋もれ、緑に沈むがよい!」

 そして現れるのは大樹海! 《千紫万紅・全盛繁茂(グリーンワールド)》!
 菘から半径140m以内を爆発的に繁殖する旺盛で強靭な巨大植物群で覆い、植物に触れた敵から視界と索敵能力や移動能力を吸収するユーベルコードである!
 菘や味方には害がないのがポイントだ!

 恐るべき熱風は生えた植物に遮られ、アキクサさまたちの前から菘の姿が掻き消える!
 戦闘能力は格別なスーパー怪人アキクサさまたちだが、その感覚機能を奪われてはたまらない!
 足を取られ、視界を損ない、アキクサさまたちはたちどころに混乱の渦中に叩き込まれた!

「うわー、なんだこれはー!?」「みうごきが、とれないー!」
「なにもみえない、だと……」「せきがいせんセンサーもきのうしませんね」
「はーっはっはっは! キマフュには存在しない天然の大密林へようこそ!
 今から始まるのは邪神による狩りだ!」

 生い茂る木々、咲き誇る花々。
 繁殖する巨大植物の楽園が、アキクサさまたちを容易く翻弄する。
 その中を一人、菘は縦横無尽に駆け巡る。
 樹上に上がり見下ろして、見つけた獲物を地に伏せ這って近づいて、草間から強襲していく。

「まるでジャングルにきたみたいだ、とてもこわい」
「はーっはっはっは! そうだろう、そうだろう! せいっ!」
「うわー、やられたー!」「どこー? どこなのー?」「こっちかな……うわー」
「はーっはっはっは! 妾から逃れることはできぬぞ!」

 前が見えずにふらふら歩くアキクサさまを殴り倒し!
 索敵ができず辺りをうろつくアキクサさまを投げ飛ばし!
 怯んで身を寄せ合い固まっているアキクサさまたちには手ごろな巨木を引き抜いて投げつけて、強引に分断していく!
 これが菘のスーパー怪人対策、無理矢理各個撃破作戦だ!
 こうなってしまっては、《絶対防衛戦線》もまともに機能しない!

「み、みんなやられた……? はやく、だっしゅつしなければ……」
「ほほう、何処へ行こうというのだ?」

 視界最悪の状況の中で孤立したアキクサさまたちは、その戦闘力を発揮することなく次々に倒されていく。
 植物の楽園を闊歩する菘は、《千紫万紅・全盛繁茂》の内に取り込んだ最後のアキクサさまのもとへ悠々と近づいていく。
 召喚したヒーターを抱えてもぞもぞと動いていたアキクサさまは、背後に忍び寄る菘の圧倒的な気配に気づいて身を強張らせる。

「……も……もふもふ、しますか?」
「はっはっは、妾はもふもふに忖度せんぞ、スベスベ鱗の方が好きだからな!」
「そんなー」

 心地の良い打撃音と共にまた一羽のアキクサさまがボコられていった。
 立ちはだかるアキクサさまたちを蹴散らした菘は、高らかに勝鬨の笑い声を上げてキング・ブレインの待つ城内へと堂々と入っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

巨海・蔵人
アドリブ絡み歓迎

◼️心情
やってきました、
ジモティでも滅多に来れないレアスポット、システムフラワーズ!
…ところで、途中にあるステージ誰もいなかったけど、留守にして良かったのかな?
四天王的に

◼️対策、デスゲーム

CGさんから解析した模倣フラワーズだけど、
ここだから折角だし、本物の力も使って(ついでに既に繋がってる?バイシクル)
ひらけ、デビルキングワールドへの扉(双方向VR通信対戦)
数の暴力には数の暴力!
スーパーモフモフさん達に立ち向かうは、
キングブレイン学園付属幼稚園のわるいこのみんなだよ!

生き残るのは片方だけのルール無用のVRデスゲーム開始だよ
(参加費にエナジードレインな空間展開(デビル決済対応)



●五番手、ようこそようこそ電子の海へ。

「やってきました、ジモティでも滅多に来れないレアスポット、システムフラワーズ!」

 パチパチと拍手とともに現れるのは、男性型ソーシャルディーヴァ(フードファイト動画の配信者)である愉快なバイオモンスター。
 巨海・蔵人(おおきなおおきなうたうたい・f25425)はテレビウム型の多目的ドローンを伴ってキングブレインキャッスルに参上した。
 メンテナンスルートが開いているため、キング・ブレインの本拠地であるここまで一直線に訪れた。

「……ところで、途中にあるステージ誰もいなかったけど、留守にして良かったのかな?
 四天王的に」

 直通のメンテナンスルートが開いたので仕方がないのです。
 途中のステージで立ちはだかってもすっぽかされてしまうため、四天王たちはキング・ブレインのもとに集合しているのです。
 いろいろと出し物を考えていただろうキング・ブレインの悔しがる様子が目に浮かびます。

「ブレブレブレ、メンテナンスルートさえ開かなかったら……!」

 |閑話休題《それはさておき》。

「ここはとおさないぞー」「ぜったいぼうえいせんせんです」「ししゅすべくともにあつまるのである」

 度重なる猟兵たちの猛攻に警戒心を強めたのか、《究極の平和主義》として全身をスーパーもふもふモードに変えるスーパー怪人として進化したアキクサインコ型オブリビオン『アキクサさま』たち。
 行く手を阻む壁となるべく群れを成して固まり、あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるアキクサさまたちに対処すべく、蔵人は笑顔でユーベルコードを設置する。

「それじゃあ始めようか。この前お会いしたドン・フリーダムのCGさんから解析した模倣フラワーズだけど、ここだから折角だし本物の力も使って、と……あ、ついでにバイシクルも利用しよう」

 それは、世界侵食サーバー『スクワッドネスト』で集めたシステム・フラワーズの断片データを、再構築した『プレジデント』と共に再現した自由と夢の国の具現。
 本家本元であるシステム・フラワーズと、キング・ブレインによってシステム・フラワーズの中枢に設置されたブレインバイシクル1号(の残骸)も利用して、ついにその力は……蔵人の欲望に応じて、電脳空間として展開される。

「ひらけ、デビルキングワールドへの扉! 数の暴力には数の暴力!
 スーパーモフモフさん達に立ち向かうは、キングブレイン学園付属幼稚園のわるいこのみんなだよ!」
「「「わぁぁぁい!」」」
「なんですとー!?」「わーお、デビルなチルドレンがいっぱいです」

 現れたのは、デビルキングワールドのキングブレイン学園付属幼稚園に通う、元気な悪魔の子どもたち! ……との、バーチャルリアリティー通信!
 《プレジデント:SYSTEM:フラワーズecho(ジユウトユメノクニハパケットセイ)》!
 半径126mを一片とするフラクタル構造が広がり電脳空間とするユーベルコードにより、範囲内にいる敵味方全ては意識した欲望が具象化される状態と化した!
 すなわち、蔵人の欲望によってキングブレインキャッスルとキングブレイン学園付属幼稚園が双方向VR通信対戦を可能としたのだ!
 清く正しい世界間の交流試合の幕開けである。

「ようこそようこそ電子の海へ、ここは誰もの夢のそこ、誰もが誰もに贈ります、貴方の誰かの手折れた夢を、花降る貴方の、夢のような、国を。
 生き残るのは片方だけのルール無用のVRデスゲーム開始だよ」

 悪魔の所業かな?

「もふもふだー!」「がんばるぞー!」「えいっ、えいっ!」
「うわあかずのぼうりょく」「やめなされ、そこはやめなされ」

 スーパーもふもふモードであるがゆえに全く動けないアキクサさまたちを、寄ってたかって襲撃する子どもたち。
 並のデビルキングワールドの住民より強くなったアキクサさまではあるが、元気な子どもたちの圧力にはタジタジなようだ。
 叩いたり突いたり引っ張ったり抱きしめたりと、容赦のない子どもたちの振る舞いを引率の先生は微笑ましく眺めております。
 デスゲームなんですけどね。

「さあ盛り上がってまいりましたね。このままじっくり眺めるのもいいのですが、まだまだ戦いは続きそうです。
 なので程よい頃合いを見てリソースに変えますね」

 《プレジデント:SYSTEM:フラワーズecho》によって具象化され、与えられるたびに欲望は強化され、一定割合を越え次第リソース化し、一時的に存在が弱体化されるという。
 存在の力が弱まったアキクサさまたちが、少しずつわるいこな幼稚園児たちに押され始めていく。
 奪われた力は蔵人が有効的にご活用されます。
 悪魔か?

「あ、もちろん参加費はエナジードレイン。|D《デビル》払いの空間決済対応だよ」

 悪魔であった。
 徹底的にアキクサさまたちから搾り取る心算の蔵人は、疲弊して崩れたアキクサさまの密集陣形の隙間を突いて城内へと進んでいくのだった。
 ……幼稚園児たちは満足したら勝手に帰宅なさることでしょう。双方向性なので。

大成功 🔵​🔵​🔵​

結城・有栖
わぁ…もふもふの鳥さんがいっぱいですね。

「何だか、台詞がカオスダケドネ。
…って、和んでる場合じゃないヨー」

そうですね。では、まずは惑わせましょうか。

まずはUCで戦場に怪物の森を展開して敵を分断し、絶対防衛戦線の弱体化を狙いましょう。

更に、森の幻影に【催眠術】を仕込み、敵の一斉攻撃の攻撃位置を狂わせ、明後日の方に飛ぶように誘導です。
可能なら、敵の同士討ちも狙いましょう。

敵が混乱してる隙に、影の狼を呼んで【集団戦術】を駆使して攻撃しつつ更に撹乱。
私も森に身を隠して【目立たない】ように移動しつつ、想像暗器(クナイグレネード)に氷の【属性攻撃】を付与して【念動力】で飛ばし、冷気の爆風で攻撃です。



●六番手、怪物の森、影狼の群れ。

「これいじょうはたちいりきんしです」「われわれのこけんがかかわりますので」「メダルゥゥゥ! もっとメダルまわすのぉぉぉ!!」
「わぁ……もふもふの鳥さんがいっぱいですね」
「何だか、台詞がカオスダケドネ。……って、和んでる場合じゃないヨー」
「そうですね。では、まずは惑わせましょうか」

 親切なウサギさんや愉快な仲間たちと不思議の国で旅をしているうちに、いつの間にか猟兵になっていた女の子。
 結城・有栖(狼の旅人・f34711)は、溢れるもふもふの前に立っていた。
 有栖の身に宿る相方のオウガ『オオカミさん』と語らっている間にも、アキクサインコ型オブリビオン『アキクサさま』たちが有栖を取り囲んで一斉攻撃を仕掛けようと飛び掛かる。

「いざー」「とりにいかせてもらいます」「レッツ、ロックンロール!」
「では、悪夢をお見せしましょう」

 可愛らしい見た目とは裏腹の脅威的な戦闘能力を持つオブリビオンの群れに襲われる前に、有栖はユーベルコードを展開する。
 瞬間、有栖とアキクサさまたちの姿は脈絡なく出現した森の中に覆い隠された。
 突然の草木に驚いたアキクサさまたちはたたらを踏み、動揺して周囲を見渡している。

「わわわっ」「きぎがおいしげるー!」「なんということでしょう」「げきてきー」

 これこそ、《想像具現・怪物の森(ソウゾウグゲン・カイブツノモリ)》。
 戦場全体に、想像力で作り出した敵だけを惑わす幻影の森を発生させる有栖のユーベルコードだ。
 突然キングブレインキャッスルに出現した森に惑わされ、アキクサさまたちは分断されていく。

「わがともはいずこー?」「ふふ……まいごになってしまったわ」

 そうして《絶対防衛戦線》が弱体化したところを、有栖は狙う。
 まずは森の幻影にさらに催眠術を施して、何匹かのアキクサさまの姿を有栖と見間違えるように仕掛けた。
 その結果、有栖を見つけたと思い込んだアキクサさまが、アキクサさまに攻撃を加える。

「あ。りょうへいさんはっけん」「どこ? どこ?」「ここです!」「えええ!?」「なにをこうげきしたのでしょう?」「わたしはどこ、ここはだれ?」「ガチャアアアア!!」「いっせいこうげきのチャンスですぞ!」「まってぼくアキクサさまー!」

 まんまと同士討ちを始めるアキクサさまたち。
 超強力にスペックアップしたスーパー怪人の攻撃は、同じスーパー怪人にも通じるのだ。
 《どっちが本物?》で現れたもう一羽のアキクサさまも森に惑わされ、一斉攻撃をするたびにアキクサさまが減っていく。
 更には一斉攻撃の攻撃位置を狂わせることで明後日の方に飛ぶように誘導して、仲間同士でぶつかり合う様子も見受けられる。

「それでは仕上げにはいりましょう」

 そうしてアキクサさまたちが混乱してる隙に、有栖は《怪物の森》の真価を発揮させる。
 あちらこちらから多数の影の狼を呼び出して、集団戦を開始する。
 《怪物の森》は発生してから134分の間、敵は最大で670体まで増える影の狼による攻撃を与え、そして味方には癒やしの加護の回復を受け続けることができるのだ。

「うわー」「てきしゅうです」「ぼくのけいさんによれば、これはもうだめですね」

 一頭ずつ対峙してはアキクサさまに倒される影の狼も、一匹に対して数体から十数体の群れによる連携で襲い掛かり、攪乱することを重視することで翻弄していく。
 幻惑の森で戸惑い続けているアキクサさまたちは冷静な判断ができず、バラバラに散らばって各個撃破されていく。
 アキクサさまたちの悲鳴が響く森の中、有栖がトドメを叩き込んでいく。

 有栖は森に身を隠して目立たないように移動しつつ、『想像暗器(クナイグレネード)』に氷属性を付与して念動力で飛ばし、冷気の爆風でアキクサさまたちを吹き飛ばした。
 有栖は《怪物の森》の効力が切れる時間を待つことなく、立ち塞がったアキクサさまたちを一方的に全滅させた。

「これで無事に終わりましたね」「そうダネー。それじゃ行こうカ」「……はい」

 倒れるもふもふに少し視線を向けてから、有栖は城内の奥へ通じる通路へと踏み込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
|Akuzone《アクゾーン》でーす。
キング・ブレイン様達からのプレゼント、ワルワルな出張サービス!その名もフェイクメイクだよ!みんなをとってもワルくしてあげる。
え、罠?やだなー、ボク一人でなんとかできると思う?ほらほらみんな集まっておかしなことしたらフクロにすれば?
じゃ、メイクを受ける代表者さんはいらっしゃいー。
【ネームド・スティール】4回「角無し・牙無し・爪無し・鎖無し」を素早く盗って、アキクサさまに「角・牙・爪・鎖」が生えたワルカッコイイ偽アキクサさまに変えて…死を。
どっちが本物?え、みんな偽物だよねー?伝播する偽物の風評被害!領域内のアキクサさまも道連れに偽物化し消しちゃえ



●七番手、四使仕で名無死。

「|Akuzone《アクゾーン》でーす」
「おや。はいたつです?」「おつかれさまでーす」「どーもどーも」

 明るくキングブレインキャッスルを訪れたのは、贋作の悪魔のシーフにして魔界盗賊。
 ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)だ。
 Akuzoneなる郵便配達を騙りアキクサインコ型オブリビオン『アキクサさま』に近づくその手には『七つ道具』を携えており、悪魔らしいワルな作戦を立ててきた様子だ。

「キング・ブレイン様達からのプレゼント、ワルワルな出張サービス!
 その名もフェイクメイクだよ! みんなをとってもワルくしてあげる」
「なんと、だいしゅりょうさまからの」「われわれもわるわるになれるのですな!」

 ユニのもとへとわらわら群がるスーパー怪人アキクサさま。
 キング・ブレイン直々の贈り物であると聞き、そして大首領が望むワルな姿になれると聞いて嬉しそうに集まって来た。
 だが、中には知恵の回るアキクサさまもいるようだ。
 身体の一部を本にしたアーカイブ怪人のアキクサさまが、眼鏡をくいっと上げるポーズを取ってユニに異議を唱える。(※眼鏡は着用していません)

「いぎあり! キング・ブレインさまからのプレゼントなら、しろのなかからくるはずでは? わなのかのうせいをけいかいすべきです!」
「罠? やだなー、注文を受けたからお外からお届けにきたんだよ!」
「なるほどー。なっとくです」「わーい、プレゼントだー」

 論破された。

「それにボク一人でなんとかできると思う? ほらほらみんな集まって、おかしなことしたらフクロにすれば?」
「それがしはフクロウではありませんな」「しかしもふもふしてるならなかまでは?」「ならばよし」
「じゃ、メイクを受ける代表者さんはいらっしゃいー」
「はーい」

 立候補した一羽のスーパー怪人がユニの前に腰を下ろし、その身を晒す。
 例え不意打ちでこの一羽を倒せたとしても、周囲にいる何十羽のアキクサさまが殺到すれば如何なる猟兵であろうとひとたまりもない。
 だがユニはアキクサさまたちに囲まれても気負うことなく、メイクを施すという体裁で笑ってユーベルコードを行使する。

「――心囀る|一度《ひとたび》の違和感。|二度《ふたたび》の疑心。|三度《みたび》の確信。|四度《よたび》の烙印。その名に偽りあり」
「お、お、おお? おー、これはかっこい」

 ユニは素早く『角無し・牙無し・爪無し・鎖無し』という概念をアキクサさまから盗み取り、『角・牙・爪・鎖』が生えたワルカッコイイ偽アキクサさまに変身させる。
 そこはかとなく世紀末的なヒャッハーな雰囲気に転じてご満悦のアキクサさまが、―――倒れた。

「どっちが本物? え、みんな偽物だよねー?」

 微笑むユニの周囲にいたアキクサさまたちは、応えることなく倒れていく。
 誰一匹声を上げず、その瞳には光は無く、身動ぎ一つする気配はない。
 ユニが行使したユーベルコードは、《ネームド・スティール》。
 135㎥領域内で敵の間合いに踏み込み、あらゆる概念を盗むユーベルコード。
 盗賊魔術を放ちながら4回攻撃するこの技が全て命中すれば、敵は死ぬ。

 >敵は死ぬ<

 更には同名の対象も道連れにする仕様であり、『アキクサさま』という集団にはとても効果的であった。
 その結果、ユニの領域内には死んだアキクサさまだけが残された。

「伝播する偽物の風評被害! 領域内のアキクサさまも道連れに偽物化し消しちゃえ」

 その名を構成するものを失い、偽物の烙印を押されて。本物はどこにもいなくなる。
 ユニの周りにいたアキクサさまたちは、その概念を盗まれてまとめて死に至ったのだ。
 本物を偽物として抹消する、まさに悪魔の所業……ユニ、恐ろしい子……!

「さーて、それじゃあ進もうかな!」

 華麗にアキクサさまたちから命を盗み取ったユニは、上機嫌に城の奥へと進んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サーシャ・エーレンベルク
これって世界の危機よね? デビルキングワールドとキマイラフューチャーのノリが合わさって違う方向で危険な状況になってない?

まあ、世界の危機を見逃すわけにはいかないわね。
群がる敵はサーベルで叩き斬……え、かわ……(小声)
と、とにかく行動ね。

【極光結晶】を転移直後にただちに使用、周辺にいるオブリビオンたちを凍結させて行動不能にさせてみましょう。包囲、突撃までの時間が稼げれば、ヒーターもショットガンやスナイパーライフルで破壊、回避できそうになければ纏う結晶嵐で防御。
凍結している敵たちを所持武器で各個撃破していきましょう。

敵だものね、仕方ないわ。
……同じようなぬいぐるみ、どこかで売ってないかしら。


リア・アストロロジー
アキクサさま、そこまでです!
この、ちょうおやくだちな謎のフラスコチャイルド、リア・アストロロジーが相手になります!

でもちょっと待ってください。
学習漢字1026字を使いこなすわたしに、勝てると思っているのですか?
でも今なら、わたしに降参すれば(割れた)世界の半分をあげましょう!
それに、今だけこの大首領キングブレインさまアクリルスタンドも付けちゃいますよ?

それでも渋るなら、仕方ありません。
お歌(指定UC)をうたって、思い知らせてあげましょう。
さぁ、思い出して。あの厳しくも輝いていた特訓の日々を!

キング・ブレインさま、ばんざーい!

誤魔化されない攻撃は、もふもふのアキクサさまに埋もれてやり過ごします。



●八番手、氷は温められると、溶ける。

「これって世界の危機よね? デビルキングワールドとキマイラフューチャーのノリが合わさって違う方向で危険な状況になってない?」

 物心ついた時から戦場で生きてきた白狼の獣人。
 『戦場の白き剣』ことサーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)は眼前に立ちはだかるアキクサインコ型オブリビオン『アキクサさま』の軍勢を見て、少々懸念を抱いている。
 これが世界の危機でよいのだろうか、と。はい、大丈夫です。

「まあ、世界の危機を見逃すわけにはいかないわね。
 群がる敵はサーベルで叩き斬……(小声)え、かわ……」
「きましたね、りょうへいさん!」「ここはわれらがとおさないー」

 アキクサさまたちはもふもふした身体にヒーターを装備して、戦闘準備は万端のようだ。

「と、とにかく行動ね」
「いざじんじょうに」
「冰りなさい、何もかも」

 アキクサさまが行動するよりも早く、サーシャは先手必勝と開戦直後にユーベルコードを使用する。
 選択したのは、《極光結晶(ポーラル・リヒト)》。
 全身に白銀の結晶嵐を帯び、戦場内全ての敵の行動を冷気と凍結で妨害可能になるユーベルコードだ。
 妨害に成功するとダメージ与えて移動を阻止する効果があり、サーシャは一斉攻撃を仕掛けようと殺到するアキクサさまたちを凍結させて行動不能にさせようとした、のだが……。

「さむいー」「ひえひえー」「それではぽかぽかするのです」
「はい? ……あっ。うわっ、これって……まずい?」

 アキクサさまたちが次々に召喚するヒーターの熱風、《ぽかぽかの風》により冷気が温められ、凍り付いたアキクサさまが解凍されていく。
 普段であれば、氷結魔術の使い手であるサーシャの冷気は生半可な熱では溶かすことは適わない。
 だがスーパー怪人としてパワーアップを果たして、その上《絶対防衛戦線》の意思統一の元にいるアキクサさまたちの放つ温かさは、並ではなかった。
 足止めして時間を稼ぎショットガンや狙撃銃で攻撃をしようとしていたサーシャに、アキクサさまたちが一斉にヒーターをサーシャに向けて超熱風を放とうとする。
 サーシャが防御姿勢を取り、その身に纏う結晶嵐で身を守ろうとしたその時。

「アキクサさま、そこまでです!」

 颯爽と仲間の猟兵が割って入って来た。


●九番手、言葉を弄して歌って誤魔化せ!

「ご安心ください、サーシャさん!
 この、ちょうおやくだちな謎のフラスコチャイルド、リア・アストロロジーが相手になります!」
「リアさん!? えっ……? ……なるほど。ええ、任せるわ」
「あらたなきょうてきのよかん」「ようじんしましょう」「スーパーもふもふモードー」

 サーシャとアキクサさまたちの間へ堂々と参上したのは、リア・アストロロジー(M2-Astrology・f35069)。
 脳という繊細な器官に強化手術を施し、精神感応に特化したフラスコチャイルドの猟兵だ。

 新手の登場に警戒したアキクサさまたちが密集し、ヒーターを構えたまま《究極の平和主義》たるスーパーもふもふモードに変化する。
 身動きが取れなくても《ぽかぽかの風》で攻撃できるので、実際鉄壁の構えだ。

 リアの登場に驚いたのはサーシャもであるが、サーシャの脳内に直接リアから情報が伝達されてくる。
 |精神感応《テレパシー》により「わたしが気を引いているうちに攻撃を!」という主旨のメッセージを受け取り、了解したと肯いて静かに死神の名を持つ狙撃銃『グリムリーパー』を構える。
 二人の猟兵がそれぞれの役割を分担し、アキクサさまたちに対処する。

「でもちょっと待ってください。
 学習漢字1026字を使いこなすわたしに、勝てると思っているのですか?」
「なんと、1026!」「すごそうですが、それでもみちはゆずれませんな」「ところでがくしゅうかんじとはなんですか?」

 リアがアキクサさまたちの注意を引いている隙に、サーシャはアキクサさまが召喚したヒーターを的確に狙撃していく。
 熱源であるヒーターが破壊されたことで《ぽかぽかの風》が損なわれ、サーシャの放つ《極光結晶》の冷気が戦場を覆っていく。
 凍てつく対象は敵であるアキクサさまたちだけで、リアには少しの寒さも与えてはいない。

「でも今なら、わたしに降参すれば(割れた)世界の半分をあげましょう!
 それに、今だけこの大首領キングブレインさまアクリルスタンドも付けちゃいますよ?」
「なんと、キング・ブレインさまのアクリルスタンドを!」「おー、われらぜんいんに★4.5をくれるとは、ふとっぱらですな」「それでもこうさんはできませんね。りょうへいさんをたおすのがぼくたちのやくめなのです」「おや、いつのまにかヒーターがこわれてます?」「さいしょうかんしなければ」

 リアの呼び掛けに応えない頑ななアキクサさまたちだが、その周囲はサーシャが帯びた白銀の結晶嵐に覆われていく。
 密集した無敵のスーパーもふもふモードであるがゆえにダメージを受けてはいないが、そのままでは攻撃に移行することもできはしない。
 ヒーターが破壊されたことを察知した何体かのアキクサさまが再び《ぽかぽかの風》を行使する前に、リアがアキクサさまたちを陽動する。

「それでも渋るなら、仕方ありません。お歌をうたって、思い知らせてあげましょう!」

 そんなアキクサさまたちに向けて、リアは絶唱を開始する。
 伴うユーベルコードは、《Ci Vuole un Fiore(ハナガヒツヨウ)》。
 世界には美しいモノが必要との主張を込めて歌う事で、半径132mの敵全てに何かほのぼのした感じの状態異常を与えるものだ。

「良く見て、良く耳を傾けてみれば♪ 世界はたくさんのことをわたしたちに語ってくれているわ♪
 世界には美しいモノが必要と♪ 花が必要と♪」
「ほう、みごとなうたごえ」「ここちよいですぞ」「ふんふんふん♪」

 気持ちのいいリズムに、アキクサさまたちは戦いを忘れて身を揺らし、歌に合わせて拍手を送る。
 スーパー怪人として強化されているものの、アキクサさまたちは元々温和な性格をしている。
 戦うより楽しむ方に意識を持っていかれても、仕方のない事であった。

「さぁ、思い出して。あの厳しくも輝いていた特訓の日々を!
 秘密結社ブレイン! キング・ブレインさま、ばんざーい!」
「ばんざーい!」「イエーイ!」「はくしょん!」「さむ」

 リアの歌を聴いたアキクサさまたちが、スーパーもふもふモードを解除してほのぼのと踊り出していく。
 当然、動いたことであらゆる攻撃に対しほぼ無敵という《究極の平和主義》の効果は失われ、たちまち冷気と凍結の妨害を受けてしまう。
 《絶対防衛戦線》の拠点を死守するという想いも揺らいで、強化されていた能力も解除され……サーシャの尋常ならざる冷気に覆われたアキクサさまは、次々にカチンコチンに凍結していった。

「よし。凍らせたわ」
「ふう、やりましたね!」

 リアたちの合唱が終わる頃には、辺りにいたアキクサさまたちは楽しそうに氷漬けになっていた。
 動けなくなったアキクサさまを各個撃破しつつ、サーシャとリアはキング・ブレインと日替わり四天王たちが待ち受けるキングブレインキャッスルの奥へと歩みを進めていく。

「誤魔化しきれなかったらもふもふのアキクサさまに埋もれてやり過ごすしかないと思ってましたが、うまく行ってよかったです。トドメを刺して行くのは気が引けるのですが……」
「敵だものね、仕方ないわ。……同じようなぬいぐるみ、どこかで売ってないかしら」
「……そうですね! あとでスタッフの方に聞いてみましょう!」

 お土産物エリアに行けば販売しているかもしれません。

 こうして、猟兵たちは立ちはだかるスーパー怪人たちを突破し、ついにオウガ・フォーミュラとの決戦のバトルフィールドへと到達するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『猟書家『キング・ブレイン』』

POW   :    侵略蔵書「スーパー怪人大全集(全687巻)」
【スーパー怪人大全集の好きな巻】を使用する事で、【そこに載ってる怪人誰かの特徴ひとつ】を生やした、自身の身長の3倍の【スーパーキング・ブレイン】に変身する。
SPD   :    本棚をバーン!
【突然、背中のでかい本棚を投げつけること】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【リアクションをよく見て身体特徴】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    脳ビーム
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【脳(かしこさを暴走させる)】属性の【ビーム】を、レベル×5mの直線上に放つ。

イラスト:屮方

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:最終決戦、キング・ブレイン!

 ここはシステムフラワーズの中枢領域、キングブレインキャッスルの奥深く。
 玉座があったり大量の金貨が山積みにされていたりレッドカーペットが敷かれていたり大理石の大きな柱(破壊可能オブジェクト)があったりと、とても威厳たっぷりな謁見の広間だ。
 城内に掲示されていた道案内に従い進んできた猟兵たちの前に待ち受けるのは、六体のオブリビオン。
 キング・ブレインとその配下である日直式キング・ブレイン四天王たちだ。

「ブレブレブレ、頭を垂れよ下郎共!
 ようこそいらっしゃいませ、猟兵の皆さん!
 我輩がキング・ブレインであーる! こんにちは!」

 玉座の前に立ち猟兵を迎えるのは、キマイラフューチャー担当のオウガ・フォーミュラにして、かつてのデビルキングワールドの4th KING。そして 悪の組織『秘密結社ブレイン』の大首領。
 アリスラビリンス以来数々の戦いを繰り広げてきた猟書家『キング・ブレイン』だ。
 背中に背負った『スーパー怪人大全集(全687巻)』の収まるでかい本棚が邪魔になって椅子に座れなかったようです。

「実は猟兵に見つかる前に他の世界へ旅立たせる予定だったのですが……うまく行かないものですね。
 しかし、こうなっては仕方がありません!
 貴様たちを撃退してから急いで出立させるといたしましょう!」

 猟兵たちが倒れれば、あるいは時間を稼がれてしまえば、スーパー怪人たちの出荷が果たされてしまう。
 そんなことを許すわけにはいかないのだ。
 猟兵たちと対峙するキング・ブレインの周りには、彼のもとに馳せ参じた四天王たちも勢ぞろいしている。

「オーッホホホホ! どいつもこいつも下僕顔。嗜虐心をそそる、いいツラガマエ!
 このわたくし、ドーラ・ワルダーの手で大首領様の下僕猟兵として改造してあげましょう!」
「キング・ブレインのご命令です。機械軍プレステル、出陣。
 熱い血流れぬマシンの強さで、すべての世界を我らの手で掌握させてもらいます」
「アハッ……いいわね、とてもいいわ。貴方たちの|腸《はらわた》、とても温かそう。
 私のスライムで苦しめたら……どんな声をあげてくれるのかしら?」
「ゼニャハハ! お前たち猟兵の醜さを金で暴くのは楽しみガネ!
 この世で最も強い力、貨幣の持つ《人の業》で薙ぎ払ってやるガネ!」
「ああ、猟兵諸君……。君たちの持つ感情はとても素敵だよ!
 キング・ブレインのためだけじゃなく、僕のコレクションのために収集させてもらおうか」

 美貌の女幹部、クールな腹心、ミステリアスな女幹部、古き竜に、四天王の中で一人だけ本を持っている男幹部。
 一人一人が独自に悪の組織を率いる首領たち、大事件を引き起こす猟書家の幹部たち。
 キング・ブレインに心底心酔し、命もかける四天王と同時に戦い、勝たなければならない。
 間違いなく、極めて厳しい激戦となるだろう。

「さあ、決着をつけましょう! 我輩たちが勝つか、皆さんが勝つか!
 どちらが勝っても恨みっこなしですよ!」

 正々堂々とユーベルコードを行使し始めるキング・ブレインと四天王たち。
 今ここに、決戦が始まる!


 ※キングブレインキャッスル内部、大きめの広間にて『キング・ブレイン』および『日直式キング・ブレイン四天王』たちとの戦闘です。
  集円竜エンドラゴンが動けるスペースを確保しているため、キャバリアなどの乗り物の運用に支障はありません
  先制攻撃はありませんが、キング・ブレインのユーベルコードだけでなく五人の四天王が各々のユーベルコードを利用して猟兵たちに襲い掛かります。
  猟兵が使用するユーベルコードの属性に関わらず、四天王が行う攻撃は下記の通りです。

『ドーラ・ワルダー』:鞭による攻撃と、それに併せた踏みつけ攻撃。
 《わたくしにひれ伏しなさい!》【鞭】が命中した対象に対し、高威力高命中の【踏みつけ攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。

『プレステル・ピスティ』:パペットからのビーム攻撃。
 《「キングの覇道を阻む奴ぶっ殺す!!」》【パペット】を向けた対象に、【破壊光線もしくは罵詈雑言】でダメージを与える。命中率が高い。

『マレーネ・ヴァルハイト』:視認不可能になったスライムによる攻撃と、対象の体内に棘を生やす攻撃。
《私は貴方の言葉が聞きたいの。精々囀るがいい》【視認不可能になったスライム】が命中した対象の【体内】から棘を生やし、対象がこれまで話した【自身に向けた負の感情・仲間を守る意思】に応じた追加ダメージを与える。

『集円竜エンドラゴン』:強力なエンシェントブレスによる攻撃。ただし事前に貨幣を摂食する必要がある。
 《ゼニャハハ!これが喰らって来た《人の業》だガネ!》戦闘中に食べた【貨幣】の量と質に応じて【体内で燃えているエンシェントブレスを放ち】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

『リブロ・テイカー』:大量に複製したプラス感情を奪う羽ペンを遠隔操作して攻撃。
 《君のものも記録しよう。それじゃあ貰うね?》自身が装備する【プラス感情を奪う羽ペン】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。

  キング・ブレインのユーベルコードだけではなく、これら五人の四天王の攻撃にも対応できなければ、その攻撃が直撃することになります。
  ただし、猟兵同士の連携や絡みでお互いを補うことができれば、その限りではありません。
  なお、このシナリオでキング・ブレイン以外の幹部猟書家たちは撃破されません。ご了承ください。
  プレイングボーナスは、『キング・ブレインたちの連携攻撃に対処すること』です。
  皆様、よろしくお願いいたします。
 
サーシャ・エーレンベルク
アドリブ連携○

やっとそれらしくなってきたわね。
……可愛いものばかりで油断していたから、本気で行く。

それにしても助かるわ。
だって、あなた達のユーベルコードのほとんどは、命中を前提としたものだから――!

【凍冰戦域】を発動、周囲にオーラを肥大化させて拡散。
書架の王、と言ったかしら。あなた達のトップの名。
なら識っているはず。時間が冰り停滞することが、どれほど恐ろしいことかを。

貨幣を氷の力を宿したショットガンの連撃で撃ち抜きまるごと凍結、鞭やパペット、スライムやブレス、羽ペン、変身による攻撃は、拡散したオーラによる超減速で味方に当たらないようにフォローするわ。

隙があれば、駆け抜けてサーベルで叩っ斬る!


結城・有栖
えっと…四天王なのに5人です?

「まあ、よく有ることダヨ。強敵複数が相手だケド、大丈夫?」

…大変そうですが、頑張りましょう。

トラウムに乗り、シュトゥルムで飛翔して出撃。
蒼星の書も周辺に展開です。

まずはUCで戦場に吹雪を発生させます。
更にシュトゥルムで風を操り、吹雪の勢いを強化です。

強風と凍結で敵の行動と連携を阻害し、攻撃を【野生の勘で見切り】、【残像】を囮に使うなどして回避。
羽ペンは氷の花弁で切り裂き、敵のスライムも凍らせて使えなくしてあげます。

蒼星の書は個別に動かし、幹部を攻撃して注意を引いてもらいます。
その間に、ガイスト・クリンゲの魔力弾による【全力魔法】をキングブレインに放って攻撃です。


リア・アストロロジー
●テンションひっく
さすがデビルキング法を定めた大首領ブレインさん。
配下の四天王もとってもワルそうです。

なのできっともうダメです……(諦)
じゃなかった、脈絡なくネガティブになっては駄目よリア。
見てる人がびっくりするわ。
そう、わたしは、ちょうおやくだちなフラスコチャイルド。
わたしは……

●おめめぐるぐる
アキクサさまもがんばってたし、わたしもがんばらないと!
指定UCを発動。

空中に無駄にゴージャスな召喚魔法陣を展開(演出)して
スーパーロボット『ちゅんちゅんさん』等を召喚して戦わせます。
バリアーを張れて、目からビームが出せるちゅんちゅんさんです。

ほんものより、つよいです!

それにこの丸っこさとかわいらしさ……
は、どうせあんまり通じないのでしょうけど!

ちょっと自棄になりながら
おかわりで裏切りのアキクサさまを追加して、増えたりモフモフしたりぽかぽかにしたりされたり。

「楽しかった夢も終わり、もうおやすみの時間ですよ」

基本的には幻覚の召喚存在を盾や身代わりにしながら、四天王さんの各個撃破を狙っていく感じです。



●可愛い物好き少女たちの出陣。

 キングブレインキャッスルの玉座の間。
 キング・ブレインを筆頭に猟兵を待ち構えているキマイラフューチャーの猟書家たち。
 シリアスな雰囲気の強者オーラを前にして、サーシャ・エーレンベルクは不敵な笑みを浮かべて近接戦闘に長けた速射式呪術ショットガン『クルーエル・ロアー』を構えている。

「やっとそれらしくなってきたわね。……可愛いものばかりで油断していたから、本気で行く」
「さすがデビルキング法を定めた大首領ブレインさん。
 配下の四天王もとってもワルそうです。なのできっともうダメです……」

 一方でサーシャの傍では、リア・アストロロジーがテンションを低めに、諦観に染まった瞳で俯いている。
 ドーラ・ワルダー、プレステル・ピスティ、マレーネ・ヴァルハイト、集円竜エンドラゴン、リブロ・テイカー。
 悪名高いオブリビオンたち四天王のワルそうなオーラに、精神的にダメージを負ってしまったようだ。

「えっと……四天王なのに5人です?」
「まあ、よく有ることダヨ。強敵複数が相手だケド、大丈夫?」
「……大変そうですが、私たちも複数ですから」

 結城・有栖と『オオカミさん』は冷静な状況判断の上で、魔女のような姿をしたキャバリア『トラウム』に搭乗して戦闘準備を整えている。
 『トラウム』の中から有栖が、そして傍らでサーシャが、リアへと声をかける。

「ですから。頑張りましょうリアさん」
「安心して、リアさん。あなたは一人じゃないわ」
「有栖さん……サーシャさん……そうです」

 リアは、胸に届いた二人の声を抱いて、毅然と顔を上げる。
 その瞳は……ぐるぐると回っていた。

「ダメじゃなかった、脈絡なくネガティブになっては駄目よリア。見てる人がびっくりするわ。
 そう、わたしは、ちょうおやくだちなフラスコチャイルド。
 わたしは……ちょうおやくだちなフラスコチャイルド!」

 仲間の励ましを受けて開き直るようにポジティブシンキングになったリア。
 三人の猟兵は、今。キマイラフューチャーの命運を決する戦いを開始する。


●三人娘の連携攻撃。

 最初の動いたのは、『トラウム』を駆る有栖であった。
 有栖は複数の蒼い流星のホーミングレーザーを放つ二台の魔導書型浮遊砲『蒼星の書』を周囲に随伴させつつ、『トラウム』に鋼をも切り裂く烈風の力を与える風のオーラ『シュトゥルムシステム』を纏わせて、広間を高速飛翔する。
 戦場の誰よりも高所を制して、有栖は頭上からユーベルコードを戦場に放つ。

「凍える世界をお見せしましょう」

 《想像具現・氷華領域(ソウゾウグゲン・ヒョウカリョウイキ)》!
 それは、有栖自身の想像力から、戦場全体に敵味方を識別する吹雪を発生させ、敵だけを切り裂く氷の花弁を放つユーベルコード!
 氷属性のダメージと凍結・裂傷の状態異常を与える吹雪と氷の花弁が、悪の首領たちだけを襲う!
 堪らないとばかりに寒そうな恰好のドーラ・ワルダーが身体を抱きしめ震え、エンドラゴンが貨幣を貪るために戦列を離れる。

「さ、寒っ……!」「ゼニャハハ、これは暖を取らねぇとマズイガネ!」
「ブレブレブレ、《本棚をバーン!》」

 そして突然、背中のでかい本棚を投げつけるキング・ブレイン。
 命中すればその時のリアクションをよく見て身体特徴を覚え、再び攻撃する際の命中力と威力を増強するユーベルコード……《本棚をバーン!》が『トラウム』に迫る!
 だが、『シュトゥルムシステム』による風のオーラが本棚の軌道を逸らし、吹雪の中で残像を駆使して『トラウム』は本棚を回避する。
 どれほど強力なユーベルコードであろうとも、当たらなければ何の効果もない。

「あらあら、私のスライムが……凍結しちゃったわね」
「僕の羽ペンも吹雪で重くなり……そして氷の花弁で落とされるか。美しいね!」
「言ってる場合ですか。エンドラゴンのエンシェントブレスを放つまで持ちこたえるのです」

 強風で吹き荒れる吹雪の中、ユーベルコードを封じられたマレーネ・ヴァルハイトとリブロ・テイカーの前に出たプレステル・ピスティは、パペットを有栖の『トラウム』へ向けて狙いを定める。
 その時、空中にやたらゴージャスな召喚魔法陣が出現した。

「な、何事ですか?」
「アキクサさまもがんばってたし、有栖さんもサーシャさんも頑張ってる……わたしもがんばらないと!」

 それは、リアの展開したユーベルコードによるものだ。
 煌びやに発光し、無駄に壮大なBGMと共に、ゆっくりと何かが召喚されてくる。
 固唾を呑んで見守るキング・ブレインと四天王たちの目の前でサーシャがこっそりとエンドラゴンに接近する中、……スーパーロボット『ちゅんちゅんさん』が召喚される!

「ちゅーん!」
「なんと、これはキャバリアですか。しかし、今から搭乗させる猶予は与えませんよ」
「だいじょうぶ! このちゅんちゅんさんは! ほんものより、つよいです!」

 『ちゅんちゅんさん』の目からビームがプレステル・ピスティを襲う。
 爆発し、吹き飛ばされ、プレステル・ピスティが転がっていった。

「ぐわー」
「プレステル・ピスティー!? よくも吾輩の腹心を! 《脳ビーム》チャージ開始!」

 『ちゅんちゅんさん』は不思議なバリアーを張り、キング・ブレインとビームを撃ち合う。
 白熱した対決を見せているが、この『ちゅんちゅんさん』はリアが言う通り本物ではない。
 目をぐるぐると回しているリアが展開したユーベルコード……《誘い(イザナイ)》による幻覚である。

「あれは……想像力とはまた違う能力のようですね」
「生み出しているんじゃなくって、見せかけているだけみたいダネ」

 精神感応に特化した改造を施されたリアの『強化脳』から、物質を透過し敵に世界への認識をリアと共有する幻覚の状態異常を与える精神感応を放つユーベルコード。
 現実を改変するのではなく、相手にそう錯覚させる能力だ。
 プレステル・ピスティはビームを受けたと思い込んだため勝手に吹き飛んだだけであり、キング・ブレインもそこに『ちゅんちゅんさま』がいると錯覚してビームを放ち続けているに過ぎない。
 それ故、ダメージも少なく復帰したプレステル・ピスティが《「キングの覇道を阻む奴ぶっ殺す!!」》による破壊光線で加勢に加わる。

「キング・ブレイン、加勢します」
「なら本物のレーザーも混ぜましょう」
「いい具合に攪乱されるといいネ」

 だが、そこへ有栖の『蒼星の書』が加わり、複数のホーミングレーザーを放っていく。
 敵味方の光線は相殺され、互いに決定打に至らず膠着状態に陥っている。

 もちろん、この《誘い》にもリスクはある。
 それはあまりにも超強力な自己暗示でもあるため、幻覚の中で負傷すればダメージはリア自身にも返ってくるということだ。
 流れ弾や範囲攻撃を受けて、リアがダメージを受けたと認識すれば……そのダメージは実際の被害に関わらず、リアのイメージ通りにその身に刻まれるのだ。
 だが、ちょっぴり自棄になっているリアは躊躇わずに幻覚のおかわりを出現させる。

「それにこの丸っこさとかわいらしさ……は、どうせあんまり通じないのでしょうけど!
 陽動にはなります! 来てください、アキクサさまー!」
「「「はーい」」」

 新たに現れた幻覚、それは猟兵側に裏切ったスーパー怪人『アキクサさま』の群れだ。
 数を増やして密集し、ヒーターを召喚して吹雪の中でぽかぽかしている。
 暖かい空間を作り出し……四天王を煽る。

「こちらはあたたかいですぞ」「しゅりょうのみなさまもこうふくすれば?」
「ちょっとそれNTRではありませんのぉ!? わたくしの下僕共を返しなさい!!」

 怒りのあまり寒さを忘れたドーラ・ワルダーが釣られて、幻のアキクサさまに向けて鞭を振う。
 スーパーもふもふモードで無敵になっているアキクサさまたちが耐えている間に、穴だらけになった四天王の陣形を潜り抜けてサーシャが攻撃の位置に着いた。

「(可愛い……! あとでもらえたりしないかしら……)」
「(いまです、サーシャさん!)」
「(ええ、わかったわ!)」

 キング・ブレインとプレステル・ピスティは空中を飛ぶ『トラウム』と『ちゅんちゅんさん』を相手にレーザーやビームの応酬を繰り広げており、ドーラ・ワルダーはアキクサさまたちに気を取られている。
 リブロ・テイカーの羽ペンとマレーネ・ヴァルハイトのスライムは猛吹雪で凍結しており、温まるまでまともに機能しない。
 形勢をひっくり返すことができるのは、残る四天王である集円竜エンドラゴン。
 凍える吹雪の中、頑張って貨幣を摂食して体内のエンシェントブレスを燃え滾らせているエンドラゴンがブレスを吐けば、凍えた猟書家たちは戦闘力を取り戻すことになる。

「ゼニャハハ……! これくらい食べれば、一気に焼き尽くしてやれるガネ! じゃあ」
「それにしても助かるわ。
 だって、あなた達のユーベルコードのほとんどは、命中を前提としたものだから―――!」
「ガネ!?」

 エンドラゴンが気づいた時には、その口にサーシャの放った散弾が降り注いでいた。
 氷の力を宿した呪殺弾の連撃がこれでもかと叩き込まれ、エンドラゴンを文字通り身体の芯から凍らせていく。
 そして、サーシャが纏う白銀のオーラがエンドラゴンの動きを超減速させているため、反撃も逃亡も許さない。

「ゼ、ニ、ャ、ァ……」
「飛び交う銃弾、迫る砲撃。けれど命中しなければ全て些事。
 ……書架の王、と言ったかしら。あなた達のトップの名。
 なら識っているはず。時間が冰り停滞することが、どれほど恐ろしいことかを」

 サーシャが周囲に肥大化させて拡散する白銀のオーラ。
 その正体は、ユーベルコード《凍冰戦域(フリーレン)》!
 書架の王に迫る時間凍結。敵の攻撃はサーシャに届くまで、極限にまで停滞するのだ!
 敵からの攻撃を超減速させる白銀のオーラを纏ったサーシャの攻撃力は、通常時の8倍に至っている!
 代償としてサーシャの防御力は0となり、全ての攻撃が致命傷になるが……当たらなければ問題はない!

 圧倒的な威力を有する冷気の弾丸がたっぷりと叩き込み、エンドラゴンを内側からカチンコチンに凍らせる!

「あらあら……これはまいったわね」「お前たち、ヒーターをわたくしにも……」
「むむっ! エンドラゴンがやられたですと! これはまずいですね!」
「き、キング・ブレイン……申し訳……」「凍てつく感情もまた……」

 それはすなわち、キング・ブレインたちにこの吹雪に対処する手段が失われたことを意味する。
 有栖の氷の花弁が、サーシャの『クルーエル・ロアー』が、凍てついた羽ペンを切り裂き、凍り付いたスライムを粉砕し、パペットを貫き、鞭を破壊する。
 攻撃手段を失った四天王は無力化され、吹雪の中で凍結していく。

「間一髪、吾輩だけは凍結への対応が間に合いましたが。
 やはり猟兵の皆さんは手ごわいですね! こうなっては最後の一撃でお三方を同時に倒すしかありません!」

 残るのは、《侵略蔵書「スーパー怪人大全集(全687巻)」》を使用して、燃え盛るバーニング怪人の特徴である炎を全身に生やしたスーパーキング・ブレインだけとなった。
 吹雪や氷の花弁に対抗策を得たうえで普段の三倍の身長に大きくなったスーパーキング・ブレインは、背中のでかい本棚を構えつつ脳ビームの詠唱を重ねている。
 そのキング・ブレインの前へと、『トラウム』がゆったりと降りて来る。

「わかりました、それでは全力の一撃です」
「ブレブレブレ、いいでしょう! 抜き打ち勝負です!」

 有栖は『トラウム』の手に握る魔力弾を放つキャバリア用の魔法の杖『ガイスト・クリンゲ』を構え、全力を籠めた魔法の弾で迎撃するべく対峙する。
 相対する有栖とキング・ブレイン、互いにチャージした渾身の攻撃が放たれる……その直前に、『トラウム』の姿が霞のように掻き消える。

「なんですとっ!?」
「楽しかった夢も終わり、もうおやすみの時間ですよ」

 そう。キング・ブレインの前に降り立った『トラウム』は、リアの《誘い》による幻覚だったのだ。
 リアは幻覚を身代わりとして本物のように見せかけることで、キングブレインの隙を作り出したのだ。
 意表をつかれたキング・ブレインの左右では、サーシャと有栖が切り込んでいた。

「隙あり!」
「こちらが本当の全力です」

 愛用の竜騎兵サーベル『ヴァイス・シュヴェルト』を抜き放ち、叩っ斬るサーシャ。
 『ガイスト・クリンゲ』の先端から魔力の刃を展開し、大鎌の状態で振り抜く『トラウム』。
 二つの刃が交わり、キング・ブレインを十字に切り裂いた。

「ブッ、ブレーッ! やられましたぞーっ!!」

 三人の猟兵による連携攻撃を受けて、キング・ブレインは爆発した。
 あとに残されたのは、倒れ伏した猟書家の幹部たちの姿だ。
 戦いに勝利した三人は、互いの顔を見合わせて頷き合うのだった。

 そして、次の猟兵との戦いのために、キング・ブレインと四天王たちは小休憩に入った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ええ、参りますねぇ。

『FAS』により飛行し全『祭器』を展開、【斷瑗】を発動すると共に『FIS』の転移で玉座の傍らに移動しますねぇ。
纏った『環』は『UCや装備の干渉』を[切断]するもの、『集円竜』以外の攻撃は『FPS』による探査で動きを把握、『環』の一部で[カウンター]すれば遮断出来ますし、キングに接敵してしまえば『集円竜』のブレスはキングを巻込む可能性が有る以上、迂闊に使えなくなりますぅ。
キングの『変身』がどうあれ『巨大化』を伴う以上、『FGS』の重力波の影響は多分に受けるでしょう。
後は、防御用以外の『環』と、残る全『祭器』の攻撃をキングに集中、可能な限り叩きますねぇ。


御形・菘
はっはっは、こんにちは! 首領から四天王までお疲れさまだ!
さあ素晴らしいバトルを繰り広げようではないか、なんせこれがファイナルなのだからな!

五人分の攻撃を捌くのは難しい、遠距離攻撃はこの際耐えて凌ぐ方針で割り切って、
その代わりに接近戦での最強無敵っぷりを見せつけてやるとしよう
お主らを幾度もボコった邪神の左腕で、ことごとくブッ飛ばす!

とまあそれだけなら大体普段通りだが、此度の妾は尾まで全力活用だ
妾の尾が届く範囲に入った者には、攻撃などさせずに全て先手を取って叩きのめす!
それと基本的にはキンブレに張り付くぞ
妾が落ちる前にどれだけお主らをボコれるか、今この瞬間こそがキマフュでのバトル最高の魅せ場だ!



●レディース・ザ・パワフルバトル!

 二人の猟兵がオウガ・フォーミュラである『キング・ブレイン』の前に立ち、戦意を顕わにしていた。
 片方は『左腕』を握り込み気力に満ち溢れており、片方は大量の『祭器』と呼ばれる兵装を展開していた。

「はっはっは、こんにちは! 首領から四天王までお疲れさまだ!」
「ブレブレブレ、こんにちは! こちらこそご丁寧にありがとう!」

 御形・菘は元気に挨拶を交わし、キング・ブレインと戦闘前の握手を交わした。
 握手を済ませた後は距離を取り、助走をつけて殴り掛かる用意をしている。

「さあ素晴らしいバトルを繰り広げようではないか、なんせこれがファイナルなのだからな!」
「いえいえ、そうは参りませんよ。吾輩たちの戦いはこれからも続くのです!
 そう! 全ての世界にコンコンコンを送……ではなくて怪人を送り出すという戦いが!」

 ちょっと本音が垣間見えるキング・ブレインだが、彼に忠誠を誓う四天王は気にすることなく猟兵たちに対峙している。
 キング・ブレインに勝利を捧げるために、全力を尽くす所存であるようだ。
 日直式キング・ブレイン四天王の士気を気にすることなく、普段通りに微笑んでいるのは夢ヶ枝・るこるだ。
 アキクサさまたちとの戦いで行使した《豊乳女神の加護・鴻鉀》の『反動』でやや『増量』されているが、きっと戦いが終わる頃には戻っているはずだ。たぶん。

「それでは……はじめますかな?」
「ええ、参りますねぇ」

 菘とるこる。
 キマイラフューチャーの猟書家たちと対峙する二人の女傑が、ユーベルコードを起動する。


●数の力と質の力。

「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『天環の加護』をお与え下さいませ」

 るこるは再び『フローティング・エアロフォイル・システム』を起動する。
 三対のオーラの翼で高速飛行するるこるは、全『祭器』を展開したままユーベルコードを発動すると、16本の浮遊する水晶柱『フローティング・インタディクト・システム』の転移能力で玉座の傍らに移動する。

「やや! 瞬間移動とは!」
「キングの覇道を阻む奴ぶっ殺す!!」

 すかさず、接近してきたるこるに反応したプレステル・ピスティがパペットを向けて破壊光線を放つ。
 だが、そのビームはるこるのユーベルコード―――周囲を旋廻する『環』に阻まれる。
 《豊乳女神の加護・斷瑗(チチガミサマノカゴ・センテンセシリンカン)》!
 ユーベルコードや装備への干渉を断ち、敵対者を切る『空』を宿した1410個の『環』を射出するユーベルコードだ!
 るこるを核として衛星の様に回り、パペットビームからるこるを守っている!
 千を超す『環』は、るこるとキング・ブレインを覆い、四天王から隔離していた。

「ひとまずはこれで何とかなりますねぇ」
「あらあら……厄介なものを使うのね」
「けれども、わたくしたち全員でかかれば何とかなりますわ!」

 るこるに襲い掛かるのは、プレステル・ピスティだけではない。
 ドーラ・ワルダーの鞭による攻撃、リブロ・テイカーのプラス感情を奪う羽ペン。
 強い一撃や脅威的な効果を持つユーベルコードの攻撃だが、加速・減速・軌道を思うが儘に変化させる『環』によって防がれる。
 そしてマレーネ・ヴァルハイトの繰り出す視認不可能なスライムも『フローティング・プローブ・システム』による情報収集探知機能で動きを把握し、先回りした『環』によってるこるへの攻撃を防いでいる。

「チィ、結構頑丈ですわね……!」
「なるほど、随分と優秀な武器を扱うようだ」
「ゼニャハハ! 今のうちに金貨を食らってブレスの準備をするガネ!」

 『環』を突破できるだろう威力を有するエンドラゴンはエンシェントブレスを放つために貨幣を食べている最中だが、そのブレスはキング・ブレインを巻き込む可能性がある。
 備えができたとしても、迂闊に放つことはできないだろう。

「だからキング・ブレイン様からそいつを引きはがしておくガネ!」
「無茶を言いますね」
「うふふ……でも、やらなきゃいけないことよね」
「ブレブレブレ、お気になさらず。吾輩の手で内側から出ればよいのです」

 るこるに近づけず焦燥を見せる四天王とは裏腹に、『環』の内側……るこるの目の前に立つキング・ブレインは悠々と笑っている。
 その手に一冊のスーパー怪人大全集を握っている。
 《侵略蔵書「スーパー怪人大全集(全687巻)」》により、スーパーキング・ブレインに変身する構えだ。

「それにしても、この吾輩に接近戦を挑もうとは! 勇敢なお嬢さんだ!
 ですが吾輩もオウガ・フォーミュラです。そう簡単にはやられませんよ?」
「ええ。ですので菘さん、よろしくお願いしますねぇ」
「はーっはっはっは! 任された!!」

 るこるの言葉に応じて、広間を突進するのは菘だ。
 キマイラフューチャーの住民である菘は、この世界に現れた猟書家たちとは幾度となく戦い、ボコってきた。
 当然、立ちはだかる四天王の五人、全員と交戦してきた過去がある。
 その邪神の左腕を掲げながら、真正面からキング・ブレイン目掛けて突っ込んでいく。

「近づかせると思うな。合わせろ、プレステル・ピスティ」
「命令するなリブロ・テイカー、ですが合わせましょう」

 迫り来る菘に向けて、大量に複製したプラス感情を奪う羽ペンが殺到し、その隙間を縫うようにパペットからのビーム攻撃が放たれる。
 ビームを避ければ羽ペンが刺さり、羽ペンを防ごうとすればビームが当たる。
 そして菘の足元へと、マレーネ・ヴァルハイトがひそかに送り出した視認不可能になったスライムが這いずり狙いを定めている。
 四天王の連携した一斉攻撃に対して、菘は……。

「はああああ!!」

 何ということか! 真正面から耐えて凌いで突っ切っていく!
 羽ペンが刺さりプラスの感情を奪われても、覇気を籠めた意思の力で乗り越えて!
 破壊光線は避けることなく、絶望を粉砕し希望を掴み取るその『左腕』で受け止めて!
 行きずりにスライムをも踏み潰し、体内から生えた棘の痛みも気合で耐える!
 威風堂々、凄まじく頑丈! これがキマイラフューチャーの邪神様だ!

「ええい! これ以上進ませないわよっ!」
「邪魔だっ!」
「ぎゃああああ!?」

 立ち塞がるドーラ・ワルダーをその鞭ごと殴り飛ばし、四天王たちを殴り飛ばしてるこるのもとへ駆け込む菘。
 瞬間的に開けた『環』の隙間から入り込み、キング・ブレインと対峙する。

「はっはっは、さあ、待たせたのう!
 妾が落ちる前にどれだけお主をボコれるか、今この瞬間こそがキマフュでのバトル最高の魅せ場だ!」
「ブレブレブレ、よろしいでしょう! それでは吾輩の真の姿をお見せします!
 侵略蔵書・スーパー怪人大全集からラーテル怪人の皮膚をお借りしましょう!
 変身、スーパーキング・ブレイン!」

 見る見るうちに、キング・ブレインが巨大化し、5mを超える巨体へと変身する。
 その身体は硬く柔軟なラーテルの皮膚が装甲となっており、防御性能を重視したようだ。
 それは菘と戦うためだけではなく……五人目の四天王の攻撃のために選んだ姿であった。

「これならば吾輩を巻き添えにしても大丈夫ですよ、エンドラゴンさん!」
「ゼニャハハ! 流石は大首領様だガネ!
 わかったガネ! これが喰らって来た《人の業》だガネ!」

 キング・ブレインの意を汲んだエンドラゴンが、たっぷりと食らった貨幣の量と質に応じた戦闘力のエンシェントブレスを放つ。
 るこるのユーベルコード《斷瑗》による『空』で断絶されてはいるが、そのまま座していれば突破されるのも時間の問題だろう。
 だが、るこるは慌てず菘にエールを送る。

「菘さん」
「問題ない! 声援をよろしく!」
「はい、後ろは気にせずに頑張ってください」
「おう!」

 るこるの応援を受けた菘が、キング・ブレインと殴り合いを開始する。
 互いに回避を考慮しない、接近戦でのインファイトだ!
 キング・ブレインの素早いジャブが繰り出され、菘の重いストレートがボディを叩く!

「ブレブレブレブレ!」
「はーっはっはっは!」

 だが、キング・ブレインのパンチが菘に当たらない。
 正確には、殴りかかろうとした瞬間に菘の尾に叩かれ、先手を取られてしまうのだ。
 手を出せば出すほど、その度に尾に叩かれ、そして菘の拳を受けていく。
 キング・ブレインだけが、次々に打撃を受けていく!

「ブレ、ブレ……! これは、もしや……!」
「殴り合うだけなら大体普段通りだが……此度の妾は尾まで全力活用だ!
 ―――塩対応を許してくれよ?」

 これぞ、《お触り禁止スピンテイル(タッチエヌジー)》!
 菘の尾の横薙ぎで、近接範囲内の全員を攻撃するユーベルコード!
 そしてその真価は、近接攻撃を仕掛けてきた敵に対する先制攻撃の効果……すなわち、カウンター!
 菘の左腕が、右手が、そして尾が!
 次々に巨大なスーパーキング・ブレインのボディを痛めつけていく!

「ブッ、ブレッ、ブレェ……!」
「エンドラゴン、まだあの『環』を突破できないのですか?
 早くしないとキング・ブレインが、……って何突っ伏しているんですか」
「何をしているのですが、エンドラゴン! 叩かれたいのですの!?」
「ゼ、ゼニ……それが、頭が……重くなって、ガネ……!」

 一方で、『環』の外でも動きはあった。
 集まった四天王たちが見守る中、エンドラゴンのブレスが徐々に下向きになっていた。
 まるで、頭が重くて仕方がないというように、首を垂らして俯いているのだ。

「……なるほどね? あなたの仕業ね?」
「ええ。一騎打ちの横入りはさせませんとも」

 そう。
 るこるが『フローティング・グラビトン・システム』による重力攻撃で、エンドラゴンの大きな頭を重くして無理矢理下げさせていたのだ。
 るこるは延々と《斷瑗》の『環』で受け続けるのではなく、『祭器』による攻勢を以て四天王の加勢を防いでいる。
 ユーベルコードだけではない、数多の『祭器』を使いこなすことが、るこるの本領である。

「という訳で、はい」
「「「「「ぐわあああ!」」」」」

 ビームやレーザーによる、砲撃、斬撃、範囲攻撃。
 ありったけの『祭器』を駆使して、るこるは『環』の外にいる四天王を攻撃していく。
 そうして時間を稼げば……菘がキング・ブレインに決着をつけてくれるのだ。

「これが妾の、渾身の一撃だっ!!!」
「ブレェェェッ! ブッ、レッ……ぐふっ」

 キング・ブレインの顎に、菘の尾のフルスイングが叩き込まれる!
 とびっきりのフック、最大質量の一撃がキング・ブレインの顎を砕いた!
 脳を揺らされたキング・ブレインがよろめき、その場に崩れ落ちて、横たわる!
 勝ち誇り左腕を掲げる菘は、キング・ブレインとの戦いに勝利したのだった!

 そして、次の猟兵との戦いのために、キング・ブレインと四天王たちは小休憩に入った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

巨海・蔵人
アド絡み歓迎

◼️心情
キングブレインさん。
前回とは違って僕もデビルキングだし、
ここは一つ、僕もガチデビルから解析した力で挑むよ、
なんでタピオカなのかは謎だけど

◼️対策、タピオカ(直径30センチ)

百二十七門タピオカ間欠泉(攻撃力はありません)の出番だね。

出来立てほかほかの固まりきってないクッション性抜群の熱々を、
ブレインさんにふぁいやぁ
(本棚ごと大全集や足元とか口とか乱れ打ち)

ワルダーさんにもタピオカ間欠泉で面の制圧射撃、
踏まれたタピオカは闇オークション送るね、

スライムと羽ペンもタピって着色して弾くね、
お金よりタピる方が美味しいからご馳走するし、
ピスティさんにはブレインさんの顔拓と足形で交渉しよう


水鏡・怜悧
人格:ロキ
「ご無沙汰しております、キングブレインさん。今回は皆さん揃い踏みなのですね」
相手の立ち位置や振る舞いを観察します
幹部達は共に戦う機会は少ないでしょう
連携の隙を狙いたいですね

挨拶を済ませたら亜空間から『ケルベロス』を召喚し搭乗します
機体の一部を球体に変えて周囲へ浮かべ、ユーベルコードとして攻撃を放ちます

鞭は重力属性で重くして振るえないようにし、光線は光属性で反射
罵詈雑言は風属性で真空の膜を作れば聞こえません
スライムは機体(液体金属製)の穴をふさげば侵入できないでしょう
貨幣は重力属性で引き寄せてから撃ち出し、羽ペンを打ち落とします

脳ビームは幹部の方を盾にしつつ、雷属性で攻撃しましょう



●礼儀正しく折り目良く。

 猟書家『キング・ブレイン』と、その四天王として侍るキマイラフューチャーの猟書家幹部たち。
 六体のオブリビオンの前に、平素のままで現れ、挨拶をする猟兵たちがいた。

「ご無沙汰しております、キングブレインさん。今回は皆さん揃い踏みなのですね」
「ブレブレブレ、いらっしゃいませ。
 ええ! みんな頼りになる吾輩の四天王ですとも!」

 水鏡・怜悧はロキとしての人格のまま佇み、挨拶を交えながら相手の立ち位置や振る舞いを油断なく観察している。
 キング・ブレインに称えられ、日直式キング・ブレイン四天王たちは嬉しそうにほころんでいるようだ。
 個性豊かだが、その忠誠心は揺るぎないと見える。

「どうも、キングブレインさん。
 前回とは違って僕たちもデビルキングだし、ここは一つ、僕もガチデビルから解析した力で挑むよ」
「あー、そういえば新しいデビルキングに猟兵の皆さんが選ばれたという話でしたね!
 おめでとうございます! どんとこいルーキー!」

 先輩デビルキングとしての威厳を見せるつもりなのか、脳をチカチカと点滅させるキング・ブレイン。
 詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する《脳ビーム》のチャージを始めているのだろう。
 そんなキング・ブレインに臆することなく、巨海・蔵人は直径30センチのタピオカを携えている。
 ……なぜタピオカ?

「ここはタピオカ間欠泉の出番だね。なんでタピオカなのかは謎だけど」

 本人にもわからないらしい。
 斯くして、第三戦目のキマイラフューチャーの雌雄を決する戦いが始まった。


●大量の黒くて丸いものたち。

 敵勢の様子を観察したロキは、挨拶を済ませると同時に亜空間から自身の所有するキャバリアを召喚する。
 UDCの液体金属で構成されているキャバリア、暴食の王『ケルベロス』だ。
 機械軍を率いるプレステル・ピスティが物欲しそうに眺めている。かっこいいもの。

「幹部達は共に戦う機会は少ないでしょう。連携の隙を狙いたいですね」

 そしてロキは『ケルベロス』に乗り込むと、まず機体の一部を球体に変えて周囲へ浮かべ、ユーベルコードを展開する。
 選んだものは、《破壊黒球(ハカイコクキュウ)》!
 自身が装備するUDC液体金属で形成した球体から、半径125m以内の敵全員に対して複数属性の攻撃を放ち、それぞれの属性に応じたダメージとマヒなどの状態異常を与える、対多数戦に向いているユーベルコードである!

「広範囲に行きますよ、蔵人さん」
「オッケー。それじゃあ僕もばら撒くよ」

 ロキが戦闘準備を整えると同時に、蔵人もユーベルコードを起動する。
 そして、蔵人はタピオカを噴出させる。
 Why?

「渡るトレンド浮世舞台。たとえブームの下火にも、静にうねる電子の波は、弾けるバブルとバズりある」
「ちょっ、何よこの黒いの!?」
「あら……これは、|澱粉《でんぷん》ね?」
「うんうん、タピオカだよ」

 シュポポポポッと、次々と大量のタピオカが射出され、四天王たちに降り注いでいく。
 《トレンド・スプラッシュ・ファウンテン(ノチホドスタッフガオイシクイタダキマシタ)》!
 127門の、可食部回収機能付きの『タピオカ(食用。攻撃力はありません)間欠泉』を召喚するユーベルコードの力である!
 戦闘力は無いが極めて柔らかく、飛翔・クッション・ジャンプ台に使用できるタピオカたちが、あれよあれよと戦場に射出されていく!

『ワイちゃん特製タピオカ、熟練すれば味も形も合わせるドリンクも思うままや!』
「あれ? 誰今の?」

 誰だ今の。

 |閑話休題《それはさておき》。

「あっっっつっっっ!!」

 出来立てほかほかの固まりきってないクッション性抜群の熱々タピオカがキング・ブレインと四天王に降り注ぎ、次々に被害を拡大していく。
 蔵人が絶え間なく補充するタピオカによって、キング・ブレインの本棚や侵略蔵書「スーパー怪人大全集」もタピオカまみれになっていく。
 そんなタピオカに合わせて、ロキは球体と化した『ケルベロス』の一部から様々な属性の攻撃を放って攻撃していく。

「キング・ブレイン! 貴様、よくもキング・ブレインにあつあつを!
 この■■■■! 『放送禁止用語』! 『ピーッ』、『NGワード』!」
「え? なに? ごめん聞こえない」

 口に熱々タピオカが入り込んで苦しむキング・ブレインを見て、怒りを見せるプレステル・ピスティ。
 怒り狂ってパペットから罵詈雑言を撒き散らすが、タピオカを耳栓にした蔵人には通じない。

「野郎! キングの覇道を阻む奴ぶっ殺す!!」
「させませんよ。このまま幹部の皆さんは無力化させてもらいます」

 激怒して破壊光線に切り替えるも、ロキの《破壊黒球》が光属性を帯びて反射して、プレステル・ピスティを吹き飛ばした。

「ぐわー」「プレステル・ピスティッ!」
「ええい! こんなタピオカ、この! この!」

 ドーラ・ワルダーが降り注ぐタピオカを叩き落すべく鞭を振うが、その鞭にも重力属性を与えられて重くされており、振りにくくなっている。
 全身をタピオカまみれにしながらも頑張って当たったタピオカを破壊するべく、ドーラ・ワルダーは渾身の高威力高命中の踏みつけ攻撃を叩き込む。

「よし、当たっ―――アッ」「ドーラ・ワルダーッ!」

 が、その勢いが凄まじい反発力となってドーラ・ワルダーが跳ね上がった。
 勢いよく広間の天井に突き刺さり、タピオカに包まれたドーラ・ワルダーがぶら下がっている。
 ※ドーラ・ワルダーに踏まれたタピオカは後ほど蔵人が闇オークションに出品されるそうです。

「うふふ……困ったわ。私のスライムがタピられてる……」

 そしてマレーネ・ヴァルハイトもまた、タピオカに蹂躙されていく。
 視認不可能になったスライムを蔵人へと忍ばせていたが、道中でタピオカに包まれてしまい、タピオカと同化してしまった。
 どこにあるのかわかるようになったために、スライムは『ケルベロス』に捕まり液体金属製の中にボッシュートされた。
 |食べ《タピ》られてしまったのだ。
 仕方がないので、マレーネ・ヴァルハイトは適当な隅っこでタピオカを抱えて横になった。戦えよ。

「私はここまでね……後は頑張って、大首領様」「マレーネ・ヴァルハイトッ!」
「ガネェェェ!? こんな、ごぼっ、金を食わせ、がぼぼぼぼ!」

 《破壊黒球》の重力属性で貨幣を引き寄せられ、追いかけていたエンドラゴンの口には狙いを定めて射出されたタピオカがありったけ叩き込まれていく。
 これでは体内のエンシェントブレスが鎮火してしまい、放出することができない。
 更に無理矢理タピオカを食べさせられたことで、おなかいっぱいになったエンドラゴンが目を回して仰向けに倒れる。
 フードファイターであったならば、まだ戦えたかもしれないが……それでも、タピオカは肉ではないので厳しかったかもしれない。

「もう……むり、ガネ……げぷっ」「エンドラゴンッ!」
「僕の羽ペンがタピオカに……! タピオカのプラス感情が流れ込んで来て、もちもちする……!」

 そして、ロキは集めた貨幣を有効に活用する。
 タピオカが付着して動きが鈍ったリブロ・テイカーの複製羽ペンを撃ち落とすために、次々に貨幣を撃ち出していく。
 重力属性で素早く射出される貨幣に穿たれ宙を舞う羽ペンは地に落ちて、リブロ・テイカーの頭にもクリーンヒット。
 脳震盪を起こしたリブロ・テイカーは、床に転がるタピオカの上に倒れた。

「がはっ」
「リブロ・テイカーッ! くぅ……! 吾輩の四天王を倒すとは、見事です!
 ですが、その快進撃もここまで! 吾輩の《脳ビーム》で貫いてあげましょう!」

 頼りになる四天王が悉く倒され、残るはあつあつのタピオカを食べ終えたキング・ブレインただ一人。
 だが、たっぷりと詠唱時間を稼いだその《脳ビーム》の威力は計り知れないほど高まっている。
 タピオカでは防ぎきれず、直撃を受ければ『ケルベロス』であろうとただでは済まない。
 そそくさと蔵人とロキが直線状に並ぶ位置に移動して、キング・ブレインが溜め込んだユーベルコードを放つ。

「行きますよ! かしこさを暴走させる脳属性の必殺技! 《脳ビーム》!」
「では幹部の方でガードしましょう」
「はい!!!?」

 なんということでしょう。
 ロキは、《破壊黒球》で集めた幹部……図体の大きいエンドラゴンがちょうどいいですね。
 横たわっていたエンドラゴンを起こし、盾にしたではありませんか。
 何という悪魔的所業! エンドラゴンが《脳ビーム》の餌食となった!

「ガネェェェ!?」
「エ、エンドラゴォォォン!」
「フレンドリーファイアだね」

 大事な部下を攻撃してしまったことで動揺しているキング・ブレインに向けて、ロキは容赦なく攻撃を加える。
 《破壊黒球》から放つ雷属性がキング・ブレインに直撃し、その身体にマヒの状態異常を与える。

「ブレレレレレ……!?」
「あとはこのまま……削らせてもらいます」

 ほどなくして。
 黒焦げになり、タピオカに覆われたキング・ブレインが広間に倒れ伏した。
 蔵人とロキの連携により、悪の組織の大首領を倒すことができたのであった。
 戦いを終えて、ロキは『ケルベロス』から降りて一息つき、蔵人は食べられるタピオカを回収していくのだった。

 そして、次の猟兵との戦いのために、キング・ブレインと四天王たちは小休憩に入った。

「あ。ピスティさん。ブレインさんの顔拓と足形、欲しい?」
「ください(くっ、四天王である我が屈するとでも?)」
「あらあら……プレステル・ピスティにだけなのかしら?」
「わたくしにも一セット(買収など応じませんわ!)」
「ゼニャハハ! レアアイテム獲得のチャンスだガネ!」
「ふっ。それもまた僕のコレクションに相応しい代物と言えよう。……ください」

 なお。舞台裏にて四天王が落ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
【フェイクアップ!】&【ドロップレート・アップ!】を同時に発動!
大量の偽物砂金「詐銀」で模るのは金銀砂贋の「絢爛装飾」、煌びやかなアクセサリー。
悪魔的視力で動きを盗み先読み回避しつつ、「絢爛装飾」の売り込みをかけるよ!。
実はね。瞳に付与された魔術の力で無意識のドロップセキュリティを攻撃してて、うっかり落とし物率を跳ね上げてるんだー。
あ、お買い上げありがとー!(お金を落としたら即盗って収納の魔術カードの中へと詰め込み回収。お金以外を落としても盗って物々交換ってことだね!)
落とせ落とせ、鞭もパペットも羽ペンも、貨幣だって。懐軽く、装備を落とせ、前提を落とせ!本棚も投げる瞬間にうっかり落として、ガシャンと事故っちゃえ!
……視線をすり抜けた|キミだって《スライム》「絢爛装飾」からは|目を逸らせないよ《注目効果》
まだだめ、悪魔の取引、もっと身包み剥いで。最後には「絢爛装飾」の|大連鎖爆破《武器改造》だー!だってニセモノに爆発はつきものだもの。


サハリエ・ステーロ
フーハッハッハッ。
あのデビルキング法を制定した、4thKING:キング・ブレイン陛下が居るならば魔王としては一度お目にかかりたいものさ。

UC【兎魔王流:流星魔法『エレクトメテオ』】及びその能力で追加UC【兎の魔王軍】使用
陛下のスーパー怪人も素晴らしいが、僕の配下も負けてないぞ。
猟兵ではないが個性的で自慢の精鋭悪魔達に、僕の支援魔術付きだ!

さぁ我が軍の四天王達よ、陛下の四天王を撃破せよ!

ブッコミ堕亞苦炎慈獲琉君はエンドラゴンさんに突っ込み、貨幣を強奪してくれ

マシンタートルは、その巨体を活かしてドーラさんを上からおさえつけるように頼む

ミロ君は氷を展開、吹雪でマレーネさんの不可視のスライムとリブロ・テイカーさんのペンを氷漬けにしてくれ

ダークファイアはピスティさんと戦ってくれ。君が破壊光線で倒れる程やわな悪魔じゃないと僕は知っているよ

さて、僕は技能【全力魔法】で非UC版の『メテオ』
キングブレインキャッスルを穴ボコだらけにしながらキング・ブレイン陛下を攻撃しよう。


アルテミシア・アガメムノン
ごきげんよう、キング・ブレインさんに四天王の皆さん。
悪の秘密結社の最後、わたくしに見せて下さいな。

🔴で十二黒翼の真の姿になると共に『黄金女帝の威』を発動。
敵地という事で自身の半径LVm全てを滅ぼす攻性結界に。
(『魔王の肉体』の無限の魔力×全力魔法×結界術で威力マシマシ状態)
キング・ブレインさんや日直四天王のUC攻撃はこの範囲内に入った瞬間に滅ぼす事で対処しましょう。
(ピスティさんの罵詈雑言のみ無言で優雅に微笑んで見せてカウンター)

悪の大首領を倒すのが悪の大魔王。
悪対悪の戦いって魅力的だと思いません?

滅びの結界を維持したままキング・ブレインに接近。
『黄金の神剣』を振るって斬り裂きましょう。



●悪魔たちの大共演。

「ブレブレブレ、流石は猟兵の皆さん、めちゃくちゃ手強い!
 しかし、吾輩たちもすごく強いのです! まだまだ世界征服は諦めませんよ!」

 キマイラフューチャーを脅かす悪の組織『秘密結社ブレイン』。
 キングブレインキャッスルの奥の広間にて、大首領『キング・ブレイン』とその部下である悪の組織連合の首領たちが一同に並び立ち、猟兵たちと対峙している。
 彼女たちは、キング・ブレインのふるさとであるデビルキングワールドからやってきた三人の淑女たち。
 ユニ・バンディッド、サハリエ・ステーロ(時計ウサギの魔王・f37256)、アルテミシア・アガメムノンだ。

「そうなんだ、キング・ブレインさん世界が欲しいんだー。
 それじゃボクも精一杯盗りに行かせてもらうね」

 魔界のシーフであるユニは静かにユーベルコードを練り上げつつ、キング・ブレインと四天王からありったけの身包みを剥ぎ取ろうと盗み取る準備をしている。
 存在感を発揮する二人の影から活躍するべく、その身を翻して柱の陰へと姿を隠した。

「フーハッハッハッ。
 あのデビルキング法を制定した、4thKING:キング・ブレイン陛下が居るならば魔王としては一度お目にかかりたいものさ」

 高らかに笑うのは、由緒正しきラスボス魔王の一族に産まれた次世代の兎魔王、サハリエだ。
 サハリエはメンテナンスルートから玉座の間までスーパー怪人と戦うことなく一直線に駆け付けたため、まったく消耗していない状態だ。
 気力も体力も十分、万全の態勢で『魔王笏』を手にして笑っている。

「ごきげんよう、キング・ブレインさんに四天王の皆さん。
 悪の秘密結社の最後、わたくしに見せて下さいな」

 そして、アルテミシア・アガメムノンは真の姿である十二黒翼を広げ、不敵に微笑み魔力を放出する。
 その立ち居振る舞いは、悪のカリスマに相応しい自信に溢れた黄金の魔帝だ。

「ブレブレブレ、ここが勝敗を決するタイミングであるな!
 来い、猟兵たちよ! キマイラフューチャーの命運をかけて勝負です!」

 キング・ブレインと日直式キング・ブレイン四天王たち。
 そして猟兵たちの最後の戦いが始まる。


●これが絆の力!

「行きますわよ。味方には慈悲を。敵には破滅を」

 キング・ブレインが突然背中のでかい《本棚をバーン!》と投げつける前に、アルテミシアはユーベルコードを発動する。
 それは《黄金女帝の威(アスタルテ)》!
 アルテミシアが起きている間、半径137m以内に黄金のオーラが発せられ、それに触れた者には彼女の意思により滅びの波動によるダメージか癒しの波動による治癒が与えられるのである!

 戦場がキングブレインキャッスルの内ということもあり、射程内に収まっているキング・ブレインと四天王を滅ぼすための攻性結界にとして発揮されている。
 『|魔王の肉体《Satanel》』から提供される無限の魔力が結界の維持に全力で注がれ、六人のオブリビオンへと継続したダメージを与え続けている。

「ブレブレブレ、これは、……なるほど! 長期戦になると削り倒されてしまう!
 なので突然《本棚をバーn》……あれ? 吾輩の本棚はどこに?」
「えへへ。うっかり落としちゃったね」

 短期決戦を急ごうとしたキング・ブレインが本棚を投げようとした時、うっかり床に落としてしまった。
 それは、ユニのユーベルコードの仕業であった。

「―――絢爛たれ、金銀砂贋の装飾。金にして銀?
 ―――橙金色の瞳は爛々と希う。落とせ落とせ、レア物落とせ。
 どっちでもないよ、だってニセモノだもの。違う違う、コレじゃない。
 偽物砂金の悪魔、サギンちゃんはサギりたい。
 鋭敏なる物欲センサーもなんのその、見逃さないよ」

 《フェイクアップ!》と《ドロップレート・アップ!》、二つのユーベルコードを同時に発動するという離れ技を披露する、ユニ。
 それがどれほどの埒外なのか、どれほど脅威的なのか。
 他のユーベルコードと同時に使用できる《フェイクアップ!》の恐ろしさが、ユニの盗賊魔術と併せて発揮される!

「実はね。無意識のドロップセキュリティを攻撃してて、うっかり落とし物率を跳ね上げてるんだー」
「むむっ! あなたの仕業ですか! ……おや、その手にあるのはもしかして?」

 《ドロップレート・アップ!》の効果は、あらゆる物質を透過して対象のドロップセキュリティにのみダメージを与える能力だ。
 狙ったものが落ちるとは限らないが、落とし物を誘発する盗賊魔術によって四天王の持ち物を落とす算段だ
 ユニは落とし物やドロップ率を跳ね上げる魔術を付与した『瞳』を光らせて、悪魔的視力で四天王の動きを盗み先読み回避して、キング・ブレインの傍へと潜り込んでいた。

 そしてユニは、煌びやかな装飾品を手に、売り込みをかける。
 大量の偽物砂金『詐銀』が放つ《フェイクアップ!》が模るのは、|金銀砂贋《キンギンサガン》の『|絢爛装飾《アクセサリー》』。
 そう……『キング・ブレイン』印のキャラクターグッズだ!

「本日限定販売だよ! 今を逃すともう二度と手に入らないかも?」
「買うわ!」「買います」「あら、買いましょう」「買うガネ!」「買わない手はありませんね」
「わあ、お買い上げありがとー!」

 戦闘中にもかからわず、一瞬で五人の四天王がユニに集中した。
 金銀砂贋の造形装飾『絢爛装飾』の注目効果によってその成功率を高める。
 |サギン《手品師》ちゃんの『絢爛装飾』にタネも仕掛けもあるのかないのか?
 それは、誰にも分らない。ユニ以外には、わからない。
 確かなことは、四天王の注目がユニに集まっているという事実だ。

「落とせ落とせ、鞭もパペットも羽ペンも、貨幣だって。懐軽く、装備を落とせ、前提を落とせ!
 本棚も投げる瞬間にうっかり落として、ガシャンと事故っちゃえ!」
「はっ! わたくしの鞭が!」「え、あ、パペット、我のパペット……!」
「ほう、僕も羽ペンを落としてしまいましたか。……って、装備から外れたら複製できないではないですか!」

 四天王たちがお金を落とせば即盗って、ユニの持つ収納の魔術『カード』の中へと詰め込み回収していく。
 更には、お金以外の物も落とさせて、盗って物々交換ということで回収していくしたたかさだ。
 ドーラ・ワルダーの鞭、プレステル・ピスティのパペット、リブロ・テイカーの本物の羽ペン。
 そのことごとくがうっかり落とされ、ユニの『カード』へと収納されていった。

「あらあら……私のスライムも盗まれたわ。見えなかったはずなのに、ね?」
「……視線をすり抜けた|キミ《スライム》だって、『絢爛装飾』からは|目を逸らせないよ《注目効果》」

 視認不可能になったマレーネ・ヴァルハイトのスライムもまた、『絢爛装飾』に心を奪われた一匹であった。
 『絢爛装飾』を手に入れようとその身を伸ばしたが故、その身を差し押さえられたのだ。

「ガネェェェ!? たっぷり用意してた貨幣が!? 無くなっているガネェェェ!?」
「むむむ! 吾輩のグッズを無許可で製造・販売とは!? 何という悪行!
 素晴らしい! これはデビルキングワールドの未来も輝かしいですね!」
「ええ、わたくしの自慢の部下でしてよ」

 そして、エンドラゴンの用意した貨幣は床に置きっぱなしにしていたせいで、じゃらじゃらと速やかに回収されていった。ユニさん大儲け。
 四天王の攻撃手段がまるっとユニの手に収まる様子を眺め、恐れおののくキング・ブレインはデビルキングワールドの若きワルの芽に嬉しそうに頷く。
 だが、今はまだ戦闘中。こうしている間にも《黄金女帝の威》のダメージによってキング・ブレインたちは着実に死に近づいている。

 もちろん、キング・ブレインたちが消耗するのを座して待つほど|猟兵たち《7th KING》は甘くはない。
 油断することなく、攻め立てる。

「フーハッハッハッ、さぁ、僕の元に集え! 我が自慢の配下達よ!
 星の導きに従い進軍せよ!」

 持ち物を失ったキング・ブレイン四天王たちに向けてサハリエが展開するのは、《兎魔王流:流星魔法『エレクトメテオ』(エレクトメテオ)》!
 電磁波を発生させる隕石を放つユーベルコードと他のユーベルコードを同時に使用でき、電磁波の持つサハリエと配下を強化する効果によってその攻撃の成功率を高めることができるのだ。
 《エレクトメテオ》と合わせて使用するのは、《兎の魔王軍(ウサギマオウノハイカタチ)》!
 すなわち、サハリエ自身の配下たちを召喚するのである!

「陛下のスーパー怪人も素晴らしいが、僕の配下も負けてないぞ。
 猟兵ではないが個性的で自慢の精鋭悪魔達に、僕の支援魔術付きだ!」

 百名を超える軍勢と共に現れるのは、サハリエが信頼する悪魔たち。
 特攻服を着てバイクに乗る堕天使、『ブッコミ堕亞苦炎慈獲琉』!
 イカした巨漢の機械亀、移動要塞『マシンタートル』!
 幼馴染の夢想の氷騎士、ブギーモンスター『ミロ・ナーウィス』!
 そして黒炎使いの同級生、『ダークファイア・ヴァンパイア』(吸血鬼ではありません)!
 以上四名、サハリエに従う四天王である!

「さぁ、我が軍の四天王たちよ! 陛下の四天王を撃破せよ!」
「ブレブレブレ、キング・ブレイン四天王の皆さん、迎撃を!」

 快く応じ、ぶつかり合う双方の四天王たち。だが、その戦いの趨勢は明白となっていた。
 ブッコミ堕亞苦炎慈獲琉はエンドラゴンに突っ込み、その巨体を締め上げている。
 貨幣を盗まれたせいで強力なエンシェントブレスを吐くことができず、エンドラゴンは首を絞められタップしている。

 マシンタートルはドーラ・ワルダーへと飛び掛かり、その巨体を活かして押さえつけようとする。
 鞭があれば反撃できたかもしれないが、それでも重量差が大きすぎるので、どちらにせよ逃げ惑うことに変わりはないだろう。
 壁に追い詰められたドーラ・ワルダーは、マシンタートルに押しつぶされてしまった。

 ミロ・ナーウィスはアリスナイトの力で強化した氷属性の能力を展開し、瞬間最大風速がとても激しい吹雪をマレーネ・ヴァルハイトとリブロ・テイカーにぶつけて氷漬けにしている。
 新しいスライムや羽ペンを用意する暇を与えられず、二人の猟書家はカチンコチンに凍結した。

 ダークファイア・ヴァンパイアはプレステル・ピスティと戦いを繰り広げている。
 パペットを失い無言で発狂状態になったプレステル・ピスティと拳でぶつかっている。
 破壊光線や罵詈雑言は放たれないものの、互角の殴り合いが行われている。

 もちろん、サハリエの配下にはアルテミシアの《黄金女帝の威》による癒しの力が施されている。
 そのため、猟書家たちの攻撃を受けてもそのダメージは回復していき……逆にキング・ブレイン四天王はじわじわと消耗し続けて、そして力尽きて倒れ伏す。

「ゼニャハァ……」「おっしっ! オレの勝ちだな!」「流石だね、ブッコミ堕亞苦炎慈獲琉君!」
「ぐえぇぇ……」「……サハリエ様。任務達成した」「ありがとう、マシンタートル!」
「あらあら……」「ふっ……君たちのその感情、僕のコレクションに加えたかった……」「サハリエ君。うまくやれたかな?」「もちろんだとも、ミロ君!」
「ハァ、ハァ、ハァ……キング、ブレイン……ごめ……」「ふぅ……。何とか勝てたよ、サーちゃ……サハリエ様」「うん、よくやってくれた、ダークファイア!」

 |猟兵《仲間》と|配下《仲間》の力を合わせ、キング・ブレイン四天王を討ち果たしたサハリエ。
 残るは首魁、キング・ブレインただ一人。
 アルテミシアとユニも共に並び立ち、三人揃ってキング・ブレインに向かい合う。

「ブレブレブレ、よくぞ吾輩の四天王を打ち倒しました……。
 あなた方の稼いだ時間、決して無駄には致しません……!」

 キング・ブレインは部下たちが懸命に戦っている間に詠唱を重ね、《脳ビーム》の威力をいっぱい上昇させていた。
 詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する脳属性(かしこさを暴走させる)のビームは、今か今かとはちきれんばかりに輝いている。

「たとえ敗色濃厚であると、いえ! ならばこそ! 悪の組織連合の大首領として!
 吾輩に従いついてきてくださった怪人の皆様のためにも! 吾輩が皆さんを倒します!」

 カッと目を見開くキング・ブレインに、アルテミシアが神剣型神器『|黄金の神剣《ケラウノス》』を抜いて、その剣先を向ける。
 その構図は、まるで勇者と魔王が対峙するかのようで……だが実態は、悪と悪のぶつかり合いである。

「悪の大首領を倒すのが悪の大魔王。悪対悪の戦いって魅力的だと思いません?」
「うんうん、すごくいいと思うよアルテミシア様!」
「うむ。それでは古きデビルキングに敬意を表して、僕がカッコよく嚆矢を放とう!
 行きますよ、キング・ブレイン陛下!」

 サハリエが、溜めに溜めた《流星魔法『エレクトメテオ』》を全力で放つ!
 キングブレインキャッスルの屋根や壁を穴だらけにしながら、電磁波を発生させる隕石がキング・ブレインを襲う!

「おおおおっ! 《脳ビーム》!」

 広間に現れた隕石に目掛けて、キング・ブレインが《脳ビーム》を放つ!
 拮抗する二つのユーベルコードがしのぎを削る中……ユニがキング・ブレインの足元に『絢爛装飾』を転がした。

「おおおおっ! おや?」
「まだだめ、悪魔の取引、もっと身包み剥いで。
 だってニセモノに爆発はつきものだもの」
「なんとぉ!?」

 にこやかに笑いながら、ユニは『絢爛装飾』に武器改造を施して、大連鎖爆破を引き起こす!
 さっき四天王に売った『絢爛装飾』はこのための布石だったのだ! 追い打ち!
 多重の爆発に巻き込まれたキング・ブレインの《脳ビーム》が途切れたことで、『エレクトメテオ』が着弾する!

「やったかな?」

 大いに破壊された広間の中で、キング・ブレインは……まだ頑張っていた!
 立ち上がろうと片膝を立て、毅然と前を向いている!

「ぐふっ、これは致命傷ですね……ですが……! まだだっ!」
「いいえ。ここまでですわ!」

 『絢爛装飾』の爆発と隕石の衝突で粉塵が舞い上がる戦場を、アルテミシアは素早く飛翔して駆け抜けて、キング・ブレインに肉薄した!
 そして立ち上がるのがやっとのキング・ブレインへと、手加減のない斬撃を叩きつける!
 振り下ろされた『黄金の神剣』が、キング・ブレインを斬り裂いた!

「がはっ……! そうか、ここまで……ですか……ぐふっ」
「長い間お疲れ様でした、キング・ブレインさん」

 激しい戦いの末、悪の秘密結社の大首領は倒れ伏した。
 キング・ブレインを筆頭とする『秘密結社ブレイン』は敗れ、今ここにキマイラフューチャーの猟書家との戦いに決着がついたのである!
 天候操作で煙を払いのけたアルテミシアは、ユニとサハリエ、そして《兎の魔王軍》の面々と、先立って戦った後隅っこで観戦していた他の猟兵たちと共に、勝鬨を上げる。
 この激戦を制し、勝利を得たのは猟兵たちであった!

 そして、次の猟兵……はもういないので、キング・ブレインと四天王たちはその場で倒れたまま猟兵たちに拍手を送っていた。
 第三章までには動けるようになっていることでしょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『キングブレインキャッスルの最期』

POW   :    相手の強さを讃えて行く

SPD   :    少しでも長く話せるよう工夫する

WIZ   :    デビルキングワールドの話を土産に聞かせる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:悪の組織連合よ、永遠なれ!(なるな)

 激闘の末、『キング・ブレイン』を打倒した猟兵たち。
 勝利に喜ぶ彼ら彼女らの前で、キング・ブレインが立ち上がる。
 だが、小鹿のように震えるその身体にはもはや戦う力は残っていない。
 悪の組織の大首領として……そして、悪の組織連合の首魁として、ちゃんと締めくくらなければならないという誇りを杖にして立ち上がったのだ。
 キング・ブレインは、同じようにボロボロの身体に鞭を打って整列する四天王たちと……そして、戦いが終わったことで出てきたスーパー怪人『アキクサさま』たちの生き残りを前に、最期の言葉を投げかけていく。

「ブレブレブレ、吾輩はここまでのようです。
 ……こんな、余所からきた魔王についてきてくださり、ありがとうございました。
 スーパー怪人軍団の諸君。ここで得たノウハウを活かして、次なる職場で励んでください」
「キング・ブレインさまー……!」「じごくのとっくんのひび、わすれません……!」

 思い思いの感情を胸に、アキクサさまたちは事後処理のために動き出す。
 『秘密結社ブレイン』の怪人として、最後まで務めを果たすために。

「ドーラ・ワルダー。この世界には、まだまだキマイラが大勢おられます。貴女の手腕でもっと多くの方々をひれ伏させてあげてください」
「オーッホホホホ! そんなこと、当然……とう、ぜ、……うっ……うわああああん!
 キング・ブレインさまぁぁぁ!」

 美貌の顔を歪めて泣きじゃくるドーラ・ワルダーを宥めるように、キング・ブレインは笑いかける。

「プレステル・ピスティ。貴女にはとても良く支えられました。心より感謝しておりますぞ」
「キング……。ブレイン……。わたし、光栄、です……」
「でもメンテナンスゲートの存在を知ってたのなら教えて欲しかったですぞ」

 クールな表情をのまま、こらえきれぬ涙を滂沱するプレステル・ピスティ。
 彼女はテレビウムがメンテナンスゲートの鍵だと知って狙っていたのに、なぜキング・ブレインはメンテナンスルートを知らなかったのだろうか。
 謎である。

「マレーネ・ヴァルハイト。惑星全体を呪うという壮大な作戦はまだ続行できるはずです。あなたの大いなる野望が成し遂げられる時を心待ちにしておりますよ」
「ええ、そうね。……貴方がいなくなっても、私達の野望は潰えないわ。安心して逝きなさい」

 普段と変わらぬミステリアスな微笑みを浮かべ、しかし普段と違い瞳を潤ませ眦に涙を湛えているマレーネ・ヴァルハイトは、キング・ブレインに笑い返していた。

「集円竜エンドラゴン。もっといっぱいお金のある世界に送りだせればよかったのですが、申し訳ございません。でもメダルゲームはとても楽しませてもらいましたよ」
「ゼニャハハ! 気にすることはないガネ、大首領様! この世界のキマイラたちに貨幣概念を教え込むのも楽しいガネ!
 ゼニャハハハハ……! ゼニャ、ババアアアァ……!」

 景気よく笑って見送ろうとして、我慢できずに号泣するエンドラゴン。きっと、メダルゲームに熱中するキング・ブレインとの日々を思い出しているのだろう。

「リブロ・テイカー。貴方には、心配はいりますまい。連合が無くなっても、この世界の皆様の感情をドンドンコレクションに加えていって差し上げなさい」
「ははは……もちろんだとも、大首領様に言われるまでもないさ。
 それが僕の望みで、僕の生きがいで……それだけが、僕の……くっ……!
 こんなマイナス感情、コレクションに加えることはできないな……!」

 片手で顔を覆い、泣き顔を隠すリブロ・テイカー。多くのキマイラたちの感動やトキメキを奪い取って来たこの男も、自分自身から湧き上がる感情には堪え難いようだ。

「吾輩はここで倒れます……しかし! 皆様はまだ健在です!
 悪の組織としての活動は縮小することになるでしょう、望む悪事を働くことは難しくなるでしょう……!
 それでも! 悪の誇りを胸に抱き続ける限り! 皆様の野望は、夢は!
 決して、朽ちることはありません!」

 四天王たちが流す涙に充てられたか、涙腺が決壊したキング・ブレインはそれでも笑顔を絶やすことなく、堂々と声を張り上げる。

「本日をもって! 悪の組織連合を解散します! お疲れ様でした!」
「「「「「お疲れ様でした!」」」」」

 そして、解散式を終えたところで、四天王たちは涙をぬぐいつつ各組織の怪人たちと共に撤収の支度を始める。
 これから爆発するキングブレインキャッスルから脱出し、キマイラフューチャーのあちこちへと潜伏するのだろう。
 きっとまた、どこかで悪だくみを始めるのだろうが……ここでとどめを刺すことはできない。

「お待たせしました、猟兵の皆さん。
 今回の戦いはあなたたちの勝利です。おめでとうございます!
 ですが、これよりキングブレインキャッスルは自爆します。
 それに乗じて吾輩の四天王たちはキマイラフューチャーの各地へと逃れますが、吾輩は城と命運を共にするので何卒お許しいただきたい」

 だが、キングブレインキャッスルが崩壊するまで幾ばくかの猶予はある。
 逃げ遅れる配下が出ないように余裕を持って自爆する、キング・ブレインの心遣いによるものだ。
 言葉を交わす時間、最後の交流を育む時間は、あるだろう。

「そうですね。(吾輩の)冥途の土産として、いくつか秘密も語りましょう。
 といっても公開情報になっていることしか話すことはできませんが! ブレブレブレ!」

 笑うキング・ブレインが力尽きたのか、玉座に腰を掛ける。
 彼が消滅するまで……城砦が爆発四散するまでの時間。
 猟兵たちが何をするかは、自由裁量にゆだねられた。

「あ、それとアキクサさまのぬいぐるみをお求めの方がおられましたな?
 お土産に用意しておくので、ご入用であれば各自500WPで|ご購入《アイテム作成》してください」


 ※目的は崩壊を迎えようとしているキングブレインキャッスルからの脱出ですが、それまでの間にキング・ブレインや四天王、スーパー怪人たちと語らうことができる日常です。
  猟兵たちが知っている以上の情報はほとんど知らない(か、話さない)キング・ブレインですが、デビルキングワールドの事など教えてあげると喜ぶでしょう。
  なお、最期に城塞は爆発して秘密結社ブレインの野望は灰燼と帰しますが……ドン・フリーダムのCGが、19回までキングブレインキャッスルごと、キング・ブレインを再生します。命運を共にするので仕方ありませんね。
  プレイングボーナスはとくにありません。
  皆様、よろしくお願いいたします。
ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
お話。お話かあ…そうそう「KING宝珠」って知ってる?。
魔王ガチデビルさんが決戦で使ってたやつ。えっとね?。
様々な料理を作って回復する、2ndKING『魔王ビストログルメ』!
ねずみ算式に増える植物怪獣軍団を召喚し続ける、3rdKING『堕天使エンケロニエル』!
新たな知識を脳内に流し続けることで、時間に比例して強くする、4thKING『キング・ブレイン』!
新世代のニューウェーブ!、新●親分『バ●リト●ンディ』!
盾のオーラを放出しながら飛び回り護る、5thKING『勇者リリリリ』!
高精度&高威力のビームを撃てる様にする、6thKING『ビームスプリッター』!
そして、真偽不明!不確定だからこそ真贋揺れるニセモノ!
不確定な未来の道を手繰り寄せる、666thKING『怪盗トキトルー』!
ふふ、でも先のことはいつだってどうなるか分からないよね?今度は仲間になって共闘する時が来るかもしれないよ。もしもはもしも。嘘つきと呼ばれても|想像《創造》するのは自由
だから、またね!キング・ブレインさん!


アルテミシア・アガメムノン
ほほほ、もうお別れの挨拶は良いのかしら?
(ここにはキング・ブレイン討伐に来た為に四天王やアキクサさまの去就には興味がないようだ)
それでしたらキング・ブレインさんに最期に言い残すことがあれば……はもう聞きましたわね。いえ、ひょっとしたら新しいことを仰るかも?
という事で言い残すことがあれば聞きましょう。デビルキングワールドの知人への伝言とかでも良いですわよ?

―――

確かに承りました。あら、まだ時間がある?
意外と耐久力が高いですわね……それでしたら何か面白い話をして下さいな。良いでしょう?
わたくしが伝言をするお駄賃の様なものですわ。

ほほほ、さて、いよいよですわね。それではさようなら。


御形・菘
右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 生配信自体は作戦開始時から行っておったが、
観衆の方からの声は通していなかったからな

これで最後の最期だ、利敵行為にもならんだろう
キマフュの皆も、お主らにそう悪感情は持っていないだろうし、罵声NGに設定した!
なんだかんだでお主を愛し、励ます、彼らの生の声を聞いて逝くがよい、キンブレよ!
あ、ただし四天王どもは調子に乗るなよ? 見掛け次第容赦なく今後もボコるからな?

…お主は何を知り、何を考えて猟書家となったのであろうなあ
知りたくはあったが、黙して語らず散るのもまた悪の美学か!
さらばだ、偉大なる魔王よ!


巨海・蔵人
アドリブ絡み歓迎

◼️心情
後n回爆発が待ってはいるけど、
取り敢えず〆だね~

◼️準備
おもてなし精神でアキクサさん達と四天王さん方におみあげのタピオカを渡してお見送り、
その際、
今回のタピオカから取得した造形データを利用したキングブレインさんフィギュア(サイズ各種)の予約注文も受け付け、
住所とアドレスを引き換え番号と交換するね、
四天王も百人いるわけでもないしそこまでお待たせしないでお届け(カチコミ?)出来るかも

◼️その頃の
キングブレインさんとは、キングブレイン付属幼稚園の今の様子を一緒に見てみよー
アキクサさん達のおもてなし付きで、
の、裏では侵略猟書を手書きで書き写して貰おう、写本は某メイドさんに丸投げ


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
本当に、素晴らしい主ですねぇ。

ご出身の世界でしたら、以前の戦のお話も出来ますが。
彼方出身の「スーパーカオスドラゴン」さんが「他の世界」に召喚されてしまい、帰れなくなっていることと、その経緯をお話しますねぇ。
済みませんが、【豊艶界】で運びますので、「ブレインバイシクル1号」をお借り出来ませんかぁ?
上手く行けば、彼を故郷に帰せるのではないかとぉ。

後は、キング・ブレインさんから「DKWの誰か」に伝えたいことは御座いますでしょうかぁ?
伝言でもお手紙でも、ご希望が有れば承りますぅ。

それでは、改めまして。
偉大なる王、キング・ブレイン陛下。
お疲れ様でした、ごゆっくりお休み下さいませ。


結城・有栖
やっぱり、秘密基地の自爆はお約束ですね。

「うん、様式美ダヨネー。で、何か話すことは有るカナ?」

そうですね…そう言えば、キングブレインさんは4thKINGだったそうですね。
なら、7thKING WARのお話でもしましょうか。

「ガチデビルが復活したりで7thKING WARは中々大変だったヨネ」

7thKING候補の魔王さん達もガチデビルに負けないくらい強かったですけどね。
キングブレインさんが亡くなった後も、皆さん悪を目指して頑張ってるのです。
…後、シバベロスさんも可愛かったです。

「そうダネー。戦争中はもふっと暴れてた気がするヨ」

一通り話したら、爆破に巻き込まれないようにUCで脱出も忘れずにです。


水鏡・怜悧
人格:ロキ
キング・ブレインさんとのんびりお茶でもしましょうか
敵とはいえ部下に慕われる彼は、私よりよほど『ヒト』なのでしょうから
敬意をもって当たります

怪人自慢を伺いたいですね
本当は怪人大全集を譲っていただきたいところですが、大切なもののようですので
我慢しましょう

もしプレステルさんがご希望なら、時間の許す限りケルベロスをお見せします
液体金属のUDCですから、見て面白いものかどうかはわかりませんが
私の意志で変形も出来ます

叶うなら、最期まで同席していましょう
私自身を液体金属化できますので、爆発にも耐えることが可能です
最後は孤独に、が彼の矜持かもしれませんが
たまには看取るものがいても良いでしょう?


サハリエ・ステーロ
キング・ブレイン陛下
今回のスーパー怪人達、わたくしは直接戦ってはいませんが、横から見ているだけでも戦闘力・忠誠心どれも素晴らしいと感じました。
どうか、配下の育成のコツや実際の特訓メニュー等を教えて頂けないでしょうか。
本に纏めてデビルキングワールドで出版させて頂きたく。
コレで数多の魔王とその配下達が救われると思います。
やはり、価格は悪魔らしく強気に設定するべきでしょうか。
きちんと印税の方は陛下に……。
なるほど、陛下の死後は全ての世界の飢えと貧困の為に寄付を。
分かりました。この兎魔王サハリエ、陛下の約束は必ず守りましょう。


リア・アストロロジー
●洗脳、冤罪、
アキクサさまのぬいぐるみをいただき。
もふ。
お土産、ありがとうございます。(ぺこり

アキクサさまたち、本当は一人も寝返ってくれませんでした。
きっと、わたしが思っていた以上に慕われていたのでしょうね。

でも、やっぱり幼稚園バスを誘拐するのは――
あれ? でも、キング・ブレインさんやアキクサさまに誘拐されるなら……もしかしてちょっと楽しそう?(混乱

……わたしは、黒い嵐に呑まれて、戻って来た人たちも知っているけれど。
声高に叫んだ正義が、大義が、投げ捨てられてひっくり返ってしまっても
その人たちを責めることも出来ないし、しないけれど。
それでも、キング・ブレインさんみたいなひとの方が、やっぱり好きです。
もふ……。
もし、いつかわたしがオブリビオンになってしまって
ご一緒する機会があったら、その時は良かったらよろしくお願いしますね。
一緒に、悩みながらワルいことを……って、

不良猟兵みたいなことを言っている気がしますが。
まさかアキクサさまのぬいぐるみに何か仕掛けが!?(

キング・ブレインさま、ばんざーい!



●そして迎える大団円。

 キングブレインキャッスルに設置されていた自爆装置が、自動的に作動する。
 キング・ブレインが死ぬまで、そして城砦が崩落するまで時間的猶予はある。
 配下のスーパー怪人たちや、部下である悪の組織連合の首領たちとの挨拶を済ませたキング・ブレインに、この戦いに集まった猟兵たちがそれぞれの思惑を抱いて近づいていく。

「ほほほ、もうお別れの挨拶は良いのかしら?」

 アルテミシア・アガメムノンは、玉座に座っているキング・ブレインに声をかける。
 アルテミシアは逃げ出す四天王やアキクサさまの去就には興味がないようで、立ち上がる力も残されていないキング・ブレインを勝者らしく威風堂々と見つめている。

「ブレブレブレ、お待ちいただきありがとうございます! ええ、伝えたいことは伝え終えましたとも!」
「それでしたらキング・ブレインさんに最期に言い残すことがあれば……はもう聞きましたわね。……いえ、ひょっとしたら新しいことを仰るかも?」
「そうですねぇ。本当に、素晴らしい主ですねぇ。
 キング・ブレインさん、デビルキングワールドの誰かに伝えたいことは御座いますでしょうかぁ?」

 夢ヶ枝・るこるはキング・ブレインに頼みたいことがある様子で、アルテミシアと共にキング・ブレインへと提案と投げかける。
 伝言を届けることの対価として、要望を告げるのだろう。

「そうですわね。という事で言い残すことがあれば聞きましょう。デビルキングワールドの知人への伝言とかでも良いですわよ?」
「伝言でもお手紙でも、ご希望が有れば承りますぅ」
「ブレブレブレ、それはありがたい。では……ジャッジメントガールさんに一言。
 お疲れ様です、これからも応援しております、と」

 キング・ブレインは、オブリビオンになってもなお記憶に残っているデビルキングワールドの知人への伝言を二人に託す。
 未だ元気に活躍していると耳にした、魔界裁判長への労い、励ますメッセージを……。
 職務怠慢して何十年か眠っていたことは口にせず、アルテミシアとるこるは頷いた。

「確かに承りました。……あら、まだ時間がある?」
「ご出身の世界でしたら、以前の戦のお話も出来ますが……そのことで一つ、お頼みしたいことがありまして」

 まだまだ消滅する気配のないキング・ブレイン。
 キングブレインキャッスルの崩壊までまだ時間的猶予はある。

 そこでるこるは、デビルキングワールド出身のスーパーカオスドラゴンが『|他の世界《ブルーアルカディア》』に召喚されてしまい、いまだに帰れなくなっていることと。そして、その地で行われた激しい戦争にて猟兵たちと力を合わせて3rdKING『堕天使エンケロニエル』と戦ったことを語る。

「ほうほう、なるほど! アルカディア争奪戦……!
 彼も頑張っているのですな。面識があるかどうか、覚えてはないのですが!」
「そういう訳でして、済みませんが、私の【豊艶界】で運びますので、『ブレインバイシクル1号』をお借り出来ませんかぁ?
 上手く行けば、彼を故郷に帰せるのではないかとぉ」
「む、むむむ……!」

 るこるのユーベルコード、《豊乳女神の加護・豊艶界(チチガミサマノカゴ・ホウエンナルセカイ)》。
 それは、小さな豊乳女神の聖印乃至、過剰に豊満なるこるの胸に触れた抵抗しない対象を吸い込む空間生成系のユーベルコードだ。
 胸の中はユーベルコード製の【無限倉庫】と【高級ホテル風の生活用施設】が存在しており、いつでも外に出られる便利な収納機構である。
 他の世界へと移動できる『ブレインバイシクル1号』があれば、スーパーカオスドラゴンをデビルキングワールドに帰すことができる。
 そのために『ブレインバイシクル1号』の拝借を願い出るるこるだったが、それに対してキング・ブレインは脂汗を流す。

「いやはや、心情的にお力になりたい気持ちと、敗北した悪役であるなら勝者のためにできるだけのことをしたいと思いはあるのですが……。
 ……ごめんなさい! 吾輩の『ブレインバイシクル1号』、もう壊れてしまってるのです!」

 何ということでしょう。
 『ブレインバイシクル1号』は猟兵たちとの激しい戦いの最中、破損していたのだ。
 そういえばバイクレースとかありましたね。

「残骸をシステム・フラワーズの中枢に設置することで他世界へと移動できるようにしているので……安全に取り外す時間もないので、システム・フラワーズを持って行ってもらうしか……!」
「それはそれは、さすがにシステム・フラワーズを持って帰るのは難しいでしょう。
 わかりました、ありがとうございますぅ」

 残念ながら、『ブレインバイシクル1号』(の残骸)を得ることは叶わなかった。
 その代わりにとでもいうのか、アルテミシアはキング・ブレインに催促する。

「それでしたら何か面白い話をして下さいな。良いでしょう?
 わたくしたちが伝言をするお駄賃の様なものですわ」
「うーむ、そうですなぁ……面白い話……」

 キング・ブレインが脳を回転させて思案している中、結城・有栖と『オオカミさん』が声をかける。
 二人は、キングブレインキャッスルが自爆しそうになって震え始めている状況を、心なしか楽しんでいるようだ。

「やっぱり、秘密基地の自爆はお約束ですね」
「うん、様式美ダヨネー。で、何か話すことは有るカナ?」
「猟書家関連の話はまだ仲間たちが暗躍したりする可能性があるので公言できませんし、キマイラフューチャーで行われたいろいろな悪事のことなら……猟兵さんたちに予知されてるから話すまでもありませんな」

 面白い話題に苦慮するキング・ブレインに、有栖と『オオカミさん』がお題を差し向ける。

「そうですね…そう言えば、キングブレインさんは4thKINGだったそうですね。
 なら、7thKING WARのお話でもしましょうか」
「おお、皆さんがデビルキングに選ばれる切っ掛けとなった大戦ですな」
「ガチデビルが復活したりで7thKING WARは中々大変だったヨネ」
「えっ。ガチデビルさんが復活したんですか?」

 何を隠そう、1stKINGである魔王ガチデビルを倒すため、まだオブリビオンになる前だったキング・ブレインは頑張ったのだ。
 それが復活したこと、そして猟兵たちが倒したと知ってびっくりしている。

「邪悪だったガチデビルさんデビルキングワールドのみんなが次々に騙されて、めちゃくちゃな契約を強いられて絶滅寸前に陥ってましたからな。
 デビルキング法の制定が間に合ったおかげで何とかなりましたが……2ndKINGに就任されたビストログルメさんには苦労をかけましたな」
「なるほど、興味深い話ですわね」

 ガチデビル現役時代の話、デビルキング法制定の秘話など、デビルキングワールドにとって大事な昔話に耳を傾ける猟兵たち。
 そして、時代が進みキング・ブレインとの会話は7thKING WARに戻っていく。

「7thKING候補の魔王さん達もガチデビルに負けないくらい強かったですけどね。
 キングブレインさんが亡くなった後も、皆さん悪を目指して頑張ってるのです」
「……そうですか。いやはや……面映ゆいものです……」

 キング・ブレインは、自分が死んだ後もデビルキング法が守られ、悪魔たちが日夜頑張って悪事に励んでいたことに感慨深い想いを抱く。
 悪魔の道徳をまとめた甲斐があったというものだろう。

「……後、シバベロスさんも可愛かったです」
「そうダネー。戦争中はもふっと暴れてた気がするヨ」
「うむうむ。カワイイは強いものですからな!」

 カワイイは最強である。
 そして、7thKING WARの話題に喰いつくのはユニ・バンディッドだ。

「お話。お話かあ……そうそう『KING宝珠』って知ってる?」
「『KING宝珠』ですか?」
「そうそう。魔王ガチデビルさんが決戦で使ってたやつ。えっとね?」

 知らないのか忘れているのかわからないが、怪訝そうに首をかしげるキング・ブレインに、ユニは記憶を頼りに『KING宝珠』の一覧を暗唱してみせる。

「様々な料理を作って回復する、2ndKING『魔王ビストログルメ』!
 ねずみ算式に増える植物怪獣軍団を召喚し続ける、3rdKING『堕天使エンケロニエル』!
 新たな知識を脳内に流し続けることで、時間に比例して強くする、4thKING『キング・ブレイン』!
 新世代のニューウェーブ!、新●親分『バ●リト●ンディ』!
 盾のオーラを放出しながら飛び回り護る、5thKING『勇者リリリリ』!
 高精度&高威力のビームを撃てる様にする、6thKING『ビームスプリッター』!」
「おお、懐かしい名前が……お待ちください、間に何か異物が混入しておりませんか?」

 親分宝珠という不純物を見逃さないキング・ブレイン。
 しかし重要ではないのでツッコミをスルーするユニ。

「そして、真偽不明! 不確定だからこそ真贋揺れるニセモノ!
 不確定な未来の道を手繰り寄せる、666thKING『怪盗トキトルー』!」
「な、なんと! 666thKINGですと!?」

 驚愕の数字に目を瞠るキング・ブレイン。
 当代でようやく7代目というのに、ユニの構想では666代目に至るまでデビルキングが続くというのだ。
 ただ、その真偽は定かではない。
 ユニは、贋作の悪魔である。『怪盗トキトルー』の存在が、真実となるか偽りなのか、それはまだ断定できない不確定事項なのだ。

「ふふ、でも先のことはいつだってどうなるか分からないよね?
 今度は仲間になって共闘する時が来るかもしれないよ。もしもはもしも。
 だから、嘘つきと呼ばれても|想像《創造》するのは自由だよ!」
「……吾輩が、皆さんと共闘ですか。……ですが、吾輩は悪の大首領ですので……」
「はーっはっはっは! そんな小さなことで悩むでない! スクリーン! カモン!」

 口篭もるキング・ブレインの空気を吹き飛ばすように、雄々しく右手を高く上げ、指を鳴らして空中に無数のスクリーンを展開するのは、御形・菘だ。
 活気に満ちたマイクパフォーマンスで披露するのは、ユーベルコード《喝采よ、妾に降り注げ(エール・スクリーンズ)》!
 戦闘力のない、生配信視聴者が映る無数の空中ディスプレイを召喚する菘のユーベルコードである!
 キング・ブレインと猟兵たちの視線の先には、キマイラフューチャーのあちこちの広場やスタジアムが映し出されている。
 そこにいるのは、キマイラフューチャーの住民たちだ。

「おお、これは……!」
「生配信自体は作戦開始時から行っておったが、観衆の方からの声は通していなかったからな。
 これで最後の最期だ、利敵行為にもならんだろう」

 そう。
 菘は邪神様だが、国民的スタアであり、ライブストリーマー。大人気動画配信者なのだ。
 菘はキングブレインキャッスルに突入する直前からしっかりと配信して視聴率をたっぷりと稼いでいたのだ。

「お主にも見えるであろう、聞こえるであろう?
 キマフュの皆も、お主らにそう悪感情は持っていないだろうし、罵声NGに設定した!
 なんだかんだでお主を愛し、励ます、彼らの生の声を聞いて逝くがよい、キンブレよ!」
「おお……おお……!」

 双方向通信モードになったディスプレイから、キマイラたちの称賛の声が伝わって来る。
 白熱した戦いに、立派な立ち居振る舞いに、アキクサさまの可愛さに、キマイラたちは盛り上がっていたのだ。
 相手が怪人であろうとも、ヒーローである猟兵たちと正々堂々と戦ったキング・ブレインを悪し様に言う者は映ってはいない。
 先程たっぷり涙を流したキング・ブレインは、再び眦を潤ませている。

「あ、ただし四天王どもは調子に乗るなよ? 見掛け次第容赦なく今後もボコるからな?」
「「「「「ギクッ」」」」」

 菘に釘を刺され、ビクリと肩を震わせる四天王たち。
 彼ら彼女らは今後ともキマイラたちに悪事を働くのだろうから、仕方がない。
 そんな悪の組織の首領たちは、巨海・蔵人と取引をしている真っ最中であった。

「ははは。まあまあ。今のうちに活動資金とか減らしておくから、ね?」

 蔵人はおもてなし精神でスーパー怪人であるアキクサさまたちや四天王たちにおみあげのタピオカを渡していた。
 一種のウェルカム|ドリンク《タピオカ》で客引きを行い、お見送りの挨拶の際に取引を行っているのだ。
 その内容は、今回の戦いで使用したタピオカから取得した造形データを利用した、『キング・ブレイン・フィギュア(サイズ各種)』の予約注文の受付だ。
 前金を振り込んでもらい、後日完成したフィギュアを指定された住所やアドレスに送るというビジネスだ。
 引き換え番号を整理券替わりに配布しているため、転売は認めない抜け目のなさ。
 更には、猟書家たちの潜伏先の居所や連絡先を入手するという二段構えであった。

「なるほどぉ。あとでグリモア猟兵の方々に配ったら、ピンポイントで叩けるということですねぇ」
「四天王も百人いるわけでもないし、そこまでお待たせしないで|お届け《カチコミ》出来るかもね」

 こそこそと小声で密談するワルい猟兵たち。
 そしてある程度捌けたところで、蔵人もまたふと思い出したように『テレビウム・ドローン』から映像を投影する。

「そうだ、キング・ブレインさん。ぼくからも見せたい映像があるんだー」
「なんでしょう?」

 それは、キングブレイン学園付属幼稚園とのライブ中継だ。
 アキクサさまたちとの戦いで招いたデビルキングワールドのわるいこたちである。
 子どもたちは、憧れの大首領キング・ブレインを見て、とても喜んでいる。

「おお……なんと、キングブレイン付属幼稚園……!
 デビルキングワールドに吾輩の名を冠した施設があるとは……!」
「おはようございます」
「おや? アキクサさま、吾輩に何か……いや、どなたですかな?」

 そしてキング・ブレインに近づいてくる、アキクサさま……いや、微妙に違う。
 これは、蔵人がアキクサさまからデータを採取して創り出した《おっけーアキクサさん(アキクササンデンゲンヲイレテ)》!
 【心配り】に必要な技能を合わせた【やさしさ】を使った支援をしてくれる、128体の実体化したアキクサインコ型アシスタント『アキクサさん』だ!

「アキクサさん達はあなたのお手伝いをします。では、ご用件をどうぞ」
「ありがと、アキクサさん。キング・ブレインさん、ちょっとだけでいいから、侵略蔵書を書き写させてもらってもいいかな? ちょっとだけだから」
「ブレブレブレ、吾輩がコツコツ集めた『スーパー怪人大全集』を写させて欲しいですと!」
「!」

 これが蔵人の真の目的であった。
 そして、それを聞いて反応したのはキング・ブレインの近くに座り、のんびりとお茶を飲んでいる水鏡・怜悧の人格の一人である、ロキである。
 ロキもまた、キング・ブレインの侵略蔵書『スーパー怪人大全集(全687巻)』に興味を抱いている猟兵の一人であった。

「(本当は怪人大全集を譲っていただきたいところですが、大切なもののようですので……)」

 と、我慢していたのだが、書き写すのならば……と、期待するように様子を窺うロキ。
 キング・ブレインは顎に手を当てて少し考え、笑って快諾していた。

「構いませんとも! 吾輩が死ぬまでのわずかな時間ですが、少しだけですぞ?
 吾輩が死ぬと原本も一緒に消えるのですが、こうして思い出に残していただけるというのであれば、吝かではありません」
「ありがとう。写しの製本は某メイドさんに丸投げしよう」

 写本では侵略蔵書としての権能はない、ただスーパー怪人の特徴が載ってるだけの辞典になる訳だが……それでも、コレクターにはたまらないだろう。
 筆を取り、蔵人の用意した用紙に大全集の中身を書き写していくキング・ブレイン。
 そこへ、ロキも介入する。

「あの、キング・ブレインさん。私にも少しだけ写させていただけますか?」
「ブレブレブレ、構いませんとも!」
「ありがとうございます」

 二人がおねだりした写本は後日、製本されてからご希望の方のもとに配布されることになるでしょう。
 |閑話休題《それはさておき》。

 思わぬお土産を頂けることになったロキは、せっかくなのでキング・ブレインから部下たちの自慢話を伺う。
 ドーラ・ワルダー、プレステル・ピスティ、マレーネ・ヴァルハイト、集円竜エンドラゴン、リブロ・テイカー。
 いずれも、それぞれの悪の組織を率いる名高い首領たち。
 今後も猟兵たちと戦うことになるだろう、オブリビオンたちを我がことのように誇らしく語るキング・ブレインに、ロキは敬意を抱いていた。

「敵とはいえ部下に慕われるあなたは、私よりよほど『ヒト』なのでしょう。
 あなたに敬意を表します、キング・ブレインさん」
「ブレブレブレ、お褒めの言葉、恐縮です」

「―――キング・ブレイン陛下」
「あなたは……たしか、サハリエさんでしたか」

 ロキとキング・ブレインの語らいに一区切りがついたところで、サハリエ・ステーロが別れの挨拶と願いを告げに来た。

「今回のスーパー怪人達、わたくしは直接戦ってはいませんが、横から見ているだけでも戦闘力・忠誠心どれも素晴らしいと感じました。
 どうか、配下の育成のコツや実際の特訓メニュー等を教えて頂けないでしょうか。
 本に纏めてデビルキングワールドで出版させて頂きたく」
「ブレブレブレ、吾輩のノウハウを体得したいですと!
 もちろんよろしいですとも! 微力ながら喜んでお伝えいたしましょう!」
「意外と耐久力が高いですわね……」

 元気にキング・ブレインが再度筆を動かす姿に、アルテミシアもどんな顔をすればいいのか困惑している様子だ。
 キングブレインキャッスルもまだ自爆しない。結構猶予があるのね。

「ありがとうございます。コレで数多の魔王とその配下達が救われると思います。
 ……やはり、価格は悪魔らしく強気に設定するべきでしょうか。きちんと印税の方は陛下に……」
「ブレブレブレ、それはとてもワルワルですが……せっかくなら、吾輩への振り込みを踏み倒して、無関係な方々へばら撒くというのはどうですかな?」

 キング・ブレインがとてもワルそうな笑顔をサハリエに向ける。
 心優しい本性を隠すような、悪の大首領の面目躍如と言える提案にサハリエも口の端を歪めて笑う。

「なるほど、陛下の死後は全ての世界の飢えと貧困の為に寄付を、と。
 分かりました。この兎魔王サハリエ、陛下の約束は必ず守りましょう」
「しーっ! しーっ! 吾輩は悪の大首領、そんなことは指示しておりませんからお忘れなく!」
「フフッ。ええ、もちろんですとも」

 そうしてサハリエがキング・ブレインと対談している間に、ふととあることを思い至ったロキが、胸を張って脱出しようとしているプレステル・ピスティを見つけ出して声をかけた。

「プレステルさん」
「……ぐすっ。なんですか、イェーガー……」

 プレステル・ピスティに向けて、ロキはユーベルコード《侵蝕し融合する狂気(ワガミハスデニヒトデナク)》を使用する。
 肉体の一部もしくは全部を『UDC-黒く玉虫色に光る液体金属』に変異させ、その特性を駆使するユーベルコードだ。
 不意打ちに攻撃を仕掛けるという訳ではない。
 ロキの意志で変形できる液体金属が、三つ首の犬の姿を形取る。

「液体金属のUDCですから、見て面白いものかどうかはわかりませんが。
 もしご希望なら、時間の許す限りケルベロスをお見せしますよ」
「……え、ええ……ありがとう、ございます?(なぜ……?)」

 パペットの犬と、伴っている骨の犬たちを合わせれば、ケルベロスを従えているようにも見えるプレステル・ピスティ。
 ロキの配慮に困惑しつつ、真面目にケルベロスを拝見していた。

 そして、リア・アストロロジーは用意されていたアキクサさまのぬいぐるみを抱きしめ、存分にもふもふしている。

「お土産、ありがとうございます」
「ブレブレブレ、どういたしまして」

 ぺこりとお辞儀をして感謝の意を伝えるリア。
 キング・ブレインと四天王を相手に戦った時には、おめめをぐるぐると回して不思議なテンションになっていたが、戦いが終わっていつもの調子を取り戻したようだ。

「キング・ブレインさん。アキクサさまたち、本当は一人も寝返ってくれませんでした。
 きっと、わたしが思っていた以上に慕われていたのでしょうね」
「ああ……あれはやはり、幻だったのですね」

 戦いの最中で現れたアキクサさまたちは、リアが生み出した幻覚だった。
 キング・ブレインの後ろでは、撤収作業のスーパー怪人アキクサさまたちがうごうごしている。
 ここに集った彼らは、誰一匹裏切ることはなかったのだ。

「でも、やっぱり幼稚園バスを誘拐するのは――
 あれ? でも、キング・ブレインさんやアキクサさまに誘拐されるなら……もしかしてちょっと楽しそう?」
「リアさん、大丈夫ですか?」「まだ混乱してるみたいダネー?」

 いつもの調子を取り戻した訳ではなかった。リアはまだ混乱しているようだ。
 |閑話休題《少し落ち着いて》。
 キング・ブレインの前に立つリアは、キリッと顔を上げてアキクサさまのぬいぐるみをモフりながら言葉を紡ぐ。

「……わたしは、黒い嵐に呑まれて、戻って来た人たちも知っているけれど。
 声高に叫んだ正義が、大義が、投げ捨てられてひっくり返ってしまっても、その人たちを責めることも出来ないし、しないけれど。
 それでも、キング・ブレインさんみたいなひとの方が、やっぱり好きです」
「うん、そうですね、わかるとも」「はっはっは、悪役にも魅力は大事だからな!」

 同意する仲間たちの声を背に受けて、もふっとぬいぐるみに顔をうずめ、リアは言葉を続ける。

「もし、いつかわたしがオブリビオンになってしまって、ご一緒する機会があったら」
「……うん?」「リアさん? もしもし?」

 何か風向きが変わった。

「その時は良かったらよろしくお願いしますね。一緒に、悩みながらワルいことを」
「えっとぉ、お気を確かにぃ?」「うーん、これは重傷だね」「正気が怪しいですね」

 大変です。リアさんがキング・ブレインに洗脳されているぞ!(冤罪です)
 おめめぐるぐるのリアさんを、猟兵たちが精神分析して正気を取り戻させていく。

「……って、不良猟兵みたいなことを言っている気がしますが。
 まさかアキクサさまのぬいぐるみに何か仕掛けが!?」
「なんと! まさかそのような仕掛けが……いえいえ、ありませんが!?」

 冤罪です。
 そんなこんなで、オウガ・フォーミュラとしては珍しく和気あいあいとした雰囲気の中、宴もたけなわですが猟兵とオブリビオンの対談は終わりを迎えようとしていた。
 ……自爆するまでめっちゃ長いのであった。


●さよなら、キング・ブレイン。

 一通り頼まれた書き物を済ませたキング・ブレインは、筆を置いて猟兵たちに向き直る。
 もうじき……ようやく、キングブレインキャッスルの最後の時が訪れようとしているのだ。
 四天王もスーパー怪人も、一足先に脱出した。
 後に残るのは、キング・ブレインと猟兵たちだけとなった。

「名残惜しいですが、そろそろ吾輩も限界なのでお別れです。
 何れ再会する時があれば、その時はその時で臨機応変に会いましょう。
 機会が無ければ皆さんのご健康をお祈りしておきますね!」

 座したままのキング・ブレインに、猟兵たちは順番に挨拶を交わして立ち去っていく。

「またね! キング・ブレインさん!」
「ほほほ、さて、いよいよですわね。それではさようなら」

 ユニとアルテミシアはキングブレインキャッスルの内装を見慣れた動きで道に迷うことなく帰っていく。

「……お主は何を知り、何を考えて猟書家となったのであろうなあ。
 知りたくはあったが、黙して語らず散るのもまた悪の美学か!
 さらばだ、偉大なる魔王よ!」
「後n回爆発が待ってはいるけど、取り敢えず〆だね~。
 バイバイ、キング・ブレインさん」

 中継していたカメラを止めて、配信者である菘と蔵人も撤収していく。
 キング・ブレインの最後を収めた映像は、きっと多くの方々に好評を得るだろう。

「それでは、改めまして。偉大なる王、キング・ブレイン陛下。
 お疲れ様でした、ごゆっくりお休み下さいませ」
「オオカミさんとの同調を完了……さあ、帰りましょうか」
「ジャアネー」

 爆発に巻き込まれないように、『祭器』を展開して瞬間移動してキングブレインキャッスルを跡にするるこる。
 有栖は風のオーラを纏った《嵐の王(アラシノオウ)》形態になり、時速600kmを超える飛翔能力で脱出した。

「さようなら、キング・ブレイン陛下。貴方様の教え、必ずや活かして参ります」
「キング・ブレインさま、ばんざーい! さようならー!」

 そしてサハリエとリアは、いただいたお土産を抱きかかえて徒歩で帰路に着く。
 城の外に出たあたりで、グリモア猟兵によって無事に回収された。

「それでは皆さん、さようなら! さようならー!
 ……。……ふぅ。負けてしまいましたか。……悔しいですなぁ……!」

 猟兵たちの姿が見えなくなるまで手を振っていたキング・ブレイン。
 静かになった広間で玉座に背を預けて独り言を呟けば、それに応える声がある。

「お疲れ様でした」
「……え? ロキさん? 何か忘れ事でも? 急がないと巻き添えを食らいますぞ?」
「叶うなら、最期まで同席させていただこうと思いまして」

 そう言って笑うのは、ロキだ。
 怪人大全集の一部の写しを大切に液体金属のUDCで保護しつつ、キング・ブレインの傍に佇んでいた。
 ビックリしたキング・ブレインが目を瞬かせるが、ロキは静かに微笑みを返す。

「私自身を液体金属化できますので、爆発にも耐えることが可能です。
 最後は孤独に、がキング・ブレインさんの矜持かもしれませんが……たまには看取るものがいても良いでしょう?」
「―――ブレブレブレ、まったく……猟兵には、かないませんなぁ!」

 笑い合う二人が視線を交わした数秒後、キングブレインキャッスルは華々しく大爆発を起こし、キング・ブレインは消滅した。
 ロキも無事に帰還し、キング・ブレインが城砦と命運を共にしたことを伝えてくれた。
 悪の組織『秘密結社ブレイン』のスーパー怪人を他の世界に送り込むという野望は灰燼と帰し、猟兵たちによってキマイラフューチャーの、そして他の数多の他世界の平和は守られたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●ドン・フリーダムのCGが一晩でやってくれました。

 その後、少ししてキングブレインキャッスルは再生した。

「ブレブレブレ、頭を垂れよ下郎共!
 秘密結社ブレインの大首領、キング・ブレイン見参であるぞ!
 ……ふむ、何度目ですかな? 何はともあれ、今度は負けませんよ!」

 キングブレインキャッスルと命運を共にしているキング・ブレインもまた、再生したのだった。
 キング・ブレインと猟兵たちの戦いは、もう少しだけ続くのである!

 完!

最終結果:成功

完成日:2023年06月26日


挿絵イラスト