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ブラッド・リリィの晩餐会

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ――冴え冴えと月が輝く日の夜のこと。
 とある館の、薄暗い寝室の中。窓から射し込む銀光が、ベッドの上を照らし出す。
 月の光のカーテンに、覆われながら映し出される一人の少女のシルエット。
 その娘は白い薄布だけを身に纏い、手枷と目隠しをされて横たわっていた。
 視界を遮られ、何も見えない昏い世界、今の自身の状況すらも分からずに――否、彼女が唯一分かっているのは、これから自分が吸血鬼の『贄』にされるということだ。
 此処から逃げることすら叶わない。恐怖に怯えて震える少女の身体を、何かが触れた。
「ひっ……!? な、何……」
 這い寄る冷たい感触が、少女の華奢な体躯をなぞるように弄り始める。
「フフッ、可愛い反応してくれるわね。お愉しみはこれからよ」
 少女の耳朶を掠めるように、囁く女の声がする。
 彼女はこの館の主である吸血鬼。そして少女は今宵『贄』として、身も心も全てを女に捧げることになる。
 女吸血鬼の手が触れる度、少女の身体が小さく跳ねて身悶えし、密着する肌と肌とが擦れるように熱を持つ。
 少女も最初は女を受け入れまいと拒んでいたが、しかし身体は抗えず。火照った心は、次第に女の慰撫を求めるように快楽の海へ堕ちていく。
「あっ……あぁ……」
 甘い吐息が漏れる少女の口を、女が唇重ねて閉じ込めて。その唇を、今度は首に這わせて舌舐めずりし――女吸血鬼は少女の首筋に、接吻交わして牙を刺す。
「っ…………!?」
 刹那――少女がビクンと痙攣し、熱く灼けつく激しい衝動に、無垢な肢体が侵され支配されてしまう。
「これで貴女は私のモノよ。身体も心も、魂までも永遠に――」
 女は少女の手枷と目隠しを、外すと恍惚とした乙女の顔を覗き込む。
 見つめる赤い瞳は血のようで。広がる血溜まりの中に呑まれるように、契りを交わした少女は女に服従し、新たな吸血鬼の眷属となって『主』に全てを捧げるのであった――。

 ダークセイヴァーの地に於いて、ヴァンパイアに支配される村は数知れず。
 ノエマ・アーベント(黄昏刻のカーネリア・f00927)が予知した村では、満月の日に要求された『贄』を領主に差し出すことで、村を維持しているといった状況だ。
「因みに『贄』というのは、村の若い娘たち。領主である女吸血鬼は、その娘たちを自分の眷属に変えて籠絡し、夜な夜な享楽に耽っているらしいわね」
 だが女吸血鬼の欲望はそれだけでは飽き足らず、最近は男たちも所望するようになり、彼らは眷属化した娘たちや女吸血鬼の『餌』として、血を搾取されたり虐げられて玩具にされるなど、酷い仕打ちを受けている。
 そうしたヴァンパイアの横行に、今まで耐え続けてきた村人たちも流石に我慢の限界が来て。彼らは今度の『贄』を差し出すことを、拒む手段に出たようだ。
「村人たちが従わないのなら、女吸血鬼は当然ながら村を襲うわね。力尽くでも娘たちを奪う為、まずは眷属たちを村に向かわせるみたい」
 配下が村に向かうとなれば、その分必然的に館の警備は薄くなる。つまり館に突入するなら、その時こそが絶好の機会というわけだ。
 後は館に残った配下を倒して進み、領主である女吸血鬼を討ち倒す。そうすれば、村に向かった眷属たちも主の後を追っていなくなるだろう。

「ヴァンパイアに支配されてから、村では満月の日になると、教会で鐘を鳴らして祈りを捧げているそうよ。無事に終わったら、貴方たちも一緒にどうかしら?」
 その鐘の音は、絶望からの救いを求めるかの如く、どこか哀しい音色を響かせる。
 村人たちの悲痛な心の叫びを受け止めて、救えるのは自分たちしかいないと。ノエマは改めて、猟兵たちの顔を見回しながら助力を乞う。
「そういえば……満月の下で、白い花が鮮やかに咲く幻想的な光景も視えたわね。もし気になるのなら、村人たちに尋ねてみたらいいと思うわ」
 とにかく全てはヴァンパイアの支配を終わらせてから。ノエマの掌の中のグリモアが、淡い黄昏色の光を放ち――その先の未来を猟兵たちの手に委ねるのであった。


朱乃天
 お世話になっております。朱乃天(あけの・そら)です。
 若い娘を眷属に変えて、村を支配しているヴァンパイア。その欲望塗れの支配から、皆様の力で村を救って頂きます。

●戦場について
 領主館は高級娼館のような華美な造りになっていて、配下の眷属たちの一部が村に向かっている為、警備は手薄になっています。
 一階はレッサーヴァンパイアが徘徊し、領主のヴァンパイアレディは二階にいます。
 館の地下には拷問室があり、村の男たちが囚われています。

●物語の流れ
 第一章では、レッサーヴァンパイアとの集団戦。
 第二章では、ヴァンパイアレディとのボス戦。
 第三章では、教会で鳴らされる鐘の音を聴きながら、村人たちと祈りを捧げます。
 ――村に鳴り響く鐘の音は、果たして誰の為、一体何の為に捧げられるのか。

 ノエマもプレイングでお誘い下されば、祈りの儀式の参加に対応させて頂きます。

●参加について
 もしも同行者様がいらっしゃる場合は、お相手の【名前】【ID】もしくは【グループ名】の記入をお願いします。
 また、シナリオへのご参加は、どの章からでも全く問題ありませんので、どうぞお気兼ねなくご参加下さいませ。

 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしています。
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第1章 集団戦 『レッサーヴァンパイア』

POW   :    血統暴走
【血に飢えて狂乱した姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ブラッドサッカー
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【レッサーヴァンパイア】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    サモンブラッドバッド
レベル×5体の、小型の戦闘用【吸血蝙蝠】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

芦屋・晴久
【WIZ】アドリブ連携歓迎

やれやれ……搾取の度合いが過ぎましたね、こうして外部の目に入ってしまうほど目立ちすぎたということですか。
私は後衛にてサポートを致します。皆さん宜しくお願い致します。

技能
【範囲攻撃】【属性攻撃】【破魔】

天道柱(UC)
属性は炎、破魔の力を込めた天道柱にて相手の囲い込みはお任せ下さい。


エルファス・アグリア
▼動機
くっくっく…なかなか趣味の合いそうな吸血鬼がいるようじゃないか、是非お目にかかりたいものだ。

▼使用UC【王子の威光】
戦いに入る前にエリナを着衣のままたっぷり抱いておく。
「まずはこちらを満たしておかないとな…!」
『殿下…!』

▼王子、参戦
「ほぅ、いい女が沢山いるではないか…1人くらいは我が王宮に持ち帰りたいものだが」
とはいえそれは叶うまい。
エリナに私の身を守らせ、私は目にも留まらぬ【早業】で神剣を振るい、聖なる【衝撃波】を飛ばす【クイックドロウ】で敵を次々に斬り捨てる。
「悲しいね、こんなに美しいのにもはや殺戮の道具にしかならぬとは…嗚呼、勿体無い」

アドリブ大歓迎
エリナの使用武器はメイス


仁科・恭介
「人を家畜や生殖(眷属を増やす)行為の対象としかみていない。本当に傲慢だ。これだから数を減らすんだよ」
と、半分流れている血を呪いながら【携帯食料】を摂取し戦いに備えます。
「こっちは必死に我慢しているというのにね」

館に入ったら【目立たない】ように行動しつつ【吸血】の本能でレッサーヴァンパイアを探しまず観察します。

「どうも、動くものを無差別に追いかけるようだね…なら」
と、できる限りゆっくり注意深く近づき、あと数歩という間合いで【残像】を使用して注意をそらし刀で心臓を狙います

「最後はせめて美しく、そして眠るように逝かせてあげるね。君の痛みはあいつに味合わせてあげるから。傲慢で恐怖を楽しむあいつにね」



 未来ある若い村娘たちを眷属に変えて籠絡し、享楽に耽る女吸血鬼。
 ただ自身の欲を満たす為だけに、生命を搾取し未来を奪う、ヴァンパイアの非道な行為に怒れる村人たちが立ち上がる。
 『贄』を差し出すことを拒んだ村人たちに、女吸血鬼が配下の眷属たちを差し向ける。
 その為、領主の館は現在警備が手薄な状況だ。中に乗り込むならば今こそ好機と、猟兵たちが続々と駆け付ける。
「やれやれ……搾取の度合いが過ぎましたね。こうして外部の目に入ってしまうほど、目立ちすぎたということですか」
 一見、スーツ姿のビジネスマン。芦屋・晴久(謎に包まれた怪しき医師・f00321)が佇みながら館を見上げ、女吸血鬼がいるであろう二階の位置を、サングラスの奥の瞳を鋭く光らせ凝視する。
 館の中は手薄になったとはいえ、残存している眷属たちが待ち構えている。まずはその連中を排除しなければ、領主の許に辿り着くのは困難だ。
 しかし館に侵入する者などいないと油断しているのも、間違いない。だからその隙を突いて眷属たちを撃破する。晴久を始めとした猟兵たちは気を引き締め直し、重い鉄の扉を抉じ開ける。
 ――ギィッと扉の開く鈍い音が、館の中に響き渡る。
「人を家畜や欲望を満たす行為の対象としかみていない。本当に傲慢だ。これだから人が滅んでいくんだよ」
 その一歩目を踏んだ仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)は、己の身体に半分流れる吸血鬼の血を呪うように言葉を吐き捨て、携帯食料を貪りながらぐるりと周囲を見渡した。
 視界の中に敵の姿は見当たらない。恭介は本能に誘われるが侭、入り口から更に奥へと踏み込むと。そこには煌びやかな造りのサロンがあって、ソファの上では眷属の娘たちが戯れている最中だ。
「くっくっく……なかなか趣味の合いそうな吸血鬼がいるようじゃないか、是非お目にかかりたいものだ」
 その光景を、エルファス・アグリア(邪なる聖騎士・f14482)が興味深げに眺めながら低く笑う。
 いきなり現れた謎の侵入者たちに、レッサーヴァンパイアは敵愾心を露わに身構える。
 お楽しみのところを邪魔されて、眷属共は猟兵たちを激しく睨み、獣のように唸り声を上げて襲い掛かってくる。

「まずはこちらを満たしておかないとな……!」
 エルファスが長い銀髪を靡かせながら手を掲げると、護衛の聖騎士エリナを召喚。
 彼の足元で傅く金髪の騎士に、エルファスは身体を屈めて彼女の顎を指で持ち上げて。顔を近付け口付け交わし、戦闘力を滾らせる。
「私は後衛にて皆さんをサポート致します。その分、相手の囲い込みはお任せ下さい」
 そう言うと、晴久は帽子を目深に被って不敵に笑い、魔力を籠めた呪符を宙に撒く。
「――其は歩む者を阻みし試練の一柱」
 晴久が呪符を展開させて魔法陣を作成し、召喚されて顕れたのは百二十五本の結界柱。
 破魔の力を籠めた天道柱は、炎の属性纏って火の弾放ち、眷属たちを狙って乱れ撃つ。
 晴久の陰陽術を駆使した破道の鎚が撃ち込まれ、眷属の娘たちが慄き怯む。恭介はその一瞬の隙を見逃さず、すかさず間合いを詰めて太刀を片手に斬りかかる。
「どうも、ご主人様以外を無差別に襲うみたいだね……なら」
 残像を残して注意を逸らし、抜いた刃の剣先が、娘の胸に突き刺さる。
 恭介は彼女たちを悼むが如く、刺した刃に力を籠めて深く刺す。
 最期はせめて美しく、そして眠るように逝かせてあげたいと。
 刃を伝って赤い血が、心臓からポタリ、ポタリと滴り落ちる。
 深手を負った眷属の娘は力を失い、蹌踉めきながら血溜まりの中に倒れ伏す――。
「……君の痛みはあいつに味あわせてあげるから。傲慢で恐怖を楽しむあいつにね」
 命尽き、横たわる娘に心の中で約束交わし、恭介は刹那の冥福を静かに祈る。
「ほぅ、いい女が沢山いるではないか。1人くらいは我が王宮に持ち帰りたいものだが」
 エルファスが不遜な笑みを浮かべて、眷属たちを品定めするかのように一瞥するが。
 だがそれは、到底叶わぬ願いだと――残念そうに息を吐き、エリナに身を守らせながら目にも止まらぬ早業で、豪奢な装飾が施された神剣アグリアスを振り翳す。
 神々しい光を纏った剣から放たれる、聖なる衝撃波が眷属たちの群れを斬り捨てる。
「……悲しいね。こんなに美しいのに、もはや殺戮の道具にしかならぬとは……。嗚呼、勿体無い」
 若い娘たちが花と散り逝く様を背に――エルファスは真紅のマントを翻して歩を進め、エリナを従えながら先を急いだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

デナイル・ヒステリカル
これは潜入……いえ、強襲作戦ですか。
村の被害を最小限に収めるためにも、迅速な行動と確実な遂行が求められていると考えます。
慎重に、そして出来うる限り急ぎましょう。

装備しているパーカーの光偏向機能を起動し、周囲の景色に溶け込む迷彩状態で館に侵入。
館の構造から戦闘に適した広い場所・オブリビオンの居る可能性の高い場所・囚われている村人の位置を探り、得た情報を他の猟兵と共有します。

レッサデーモンに対してはUC;ノイジーレイニーを起動。
単純な射撃兵装、回避方向や移動方向を制限する障害物、自分を守る盾として活用し、
その後に放つ雷の属性攻撃を伝播させるための伝導体として使用しましょう


ルカ・ウェンズ
吸血鬼には本当にろくなのがいないわね。
【行動】POW
血に飢えて狂乱した姿で攻撃されると危険だから、まず【忍び足】で近づいて【縁切り】での【暗殺】を試してみて、気付かれたら敵に囲まれないように【残像】で距離をとりオーラ刀を銃に変化して攻撃したり【怪力】で遠くから石を頭を潰すのを狙って投げたりして【戦闘知識】を使い、なるべく近づかせないように攻撃するわ(元が人間なら頭を潰せば死ぬと思うしね。)
【心情】
吸血鬼の犠牲者だからなるべく綺麗に始末したいけど安全策で殺るから、そうも言ってられないし吸血鬼をなるべく苦しめて殺すようにするから、もしあの世で会ってもイジメないでね、やり返すわよ!


シーザー・ゴールドマン
【POW】
「足るを知らないのはオブリビオンの宿痾かも知れないね。
 抑制できない欲望が致命的な隙を生む。
 もっとも、万全の構えでも結果は変わらんがね」

戦術
敵が射程範囲に入り次第『ソドムの終焉』で全て破壊します。
耐えた者に対してはオーラセイバーを振るって攻撃。

攻撃面は『2回攻撃、怪力、第六感、見切り、先制攻撃、フェイント、カウンター』等を活用
防御面は『第六感、見切り』を活用して回避または受け流し
真紅のオド(『オーラ防御』)を身に纏っています。

>血統暴走した者に対しては動かず『ソドムの終焉』で破壊
「戦いのさなかに理性を失うのは感心しないね」



「これは潜入……いえ、強襲作戦ですか。村の被害を最小限に収めるためにも、迅速な行動と確実な遂行が求められていると考えます。慎重に、そして出来うる限り急ぎましょう」
 侵入までに至る経緯を状況分析し、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)が眼鏡を指で押し上げながら、気合を入れて館に突入。
 身に纏っているパーカーの、光偏向機能によって周囲の景色に溶け込んで。建物内を探し回って敵の居場所を調査する。
 サロンを抜けて、更に進むと幾つかの部屋が点在する場所に出る。
 華美な高級娼館といった造形は、まさに女吸血鬼らしい悪趣味だ。
「吸血鬼には本当にろくなのがいないわね」
 デナイルと合流を果たしたルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)は、半ば呆れるように素直な意見を口から零す。
 ルカは極力音を立てぬようにと忍び足で移動をし、息を潜めて相手の出方を窺うが。敵が部屋から出てくる気配は今のところはなさそうだ。
「足るを知らないのはオブリビオンの宿痾かも知れないね。抑制できない欲望が致命的な隙を生む。もっとも――万全の構えでも結果は変わらんがね」
 例え手薄になっていなくても、猟兵たちの力であれば突破できないものはない。
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)が浮かべる自信に満ちた笑み。その根拠はどこにもないが、冷静で落ち着き払った彼の態度は、どこか信憑性を抱かせてしまう。
 だったらそれを現実のものにすれば良い。相手が動かなければこちらから仕掛けるだけだと、シーザーが一つの部屋の扉をそっと開く。そうして中を覗くと――そこには男たちを取り囲み、血を啜ろうとしている眷属たちの姿が、目に映る。
 一刻の猶予も許されない事態に遭遇し、猟兵たちは急いで部屋の中へと雪崩れ込む。
 突然侵入してきた猟兵たちに驚くレッサーヴァンパイアたち。相手の意識は完全に、男たちから離れて謎の侵入者に向けられる。

「殺、スッ……!」
 敵意を剥き出しにして襲い掛かるレッサーヴァンパイア。彼女たちの影の中から、吸血蝙蝠の群れが召喚されて羽搏いて、生き血を求めて猟兵たちに迫り来る。
「そう簡単にはやらせませんよ。対象を穿て……!」
 すかさずデナイルが、ホログラムのデータ画像を高速展開。電子精霊の力で架空の槍を構築し、雷撃放って吸血蝙蝠の群れを相殺させる。
「吸血鬼の犠牲者だからなるべく綺麗に始末したいけど……手加減なんてしているような状況じゃないみたいだしね」
 ルカが素早い動きで残像を作り出し、敵を攪乱するかのように戦場中を駆け回る。
 彼女が手に握っているものは、刃のない、グリップだけの剣。ルカが魔力を籠めると、そこにオーラの刃が生成される。
 敵が攻撃してくるより疾く仕掛け、黒衣が影を棚引かせ、狙い澄まして振るう刃は――眷属たちの頸動脈を断つ。
「あなたたちのご主人様に会ったら、なるべく苦しめて殺すようにするから。だから一足先に、あの世で待っててね――」
 事切れて骸になった眷属を、ルカは赤い瞳に映して、別れの言葉を最後に添える。
「血ヲ……血ヲ、ヨコセ……!」
 眷属たちは邪魔者を排除すべく、血に飢えて狂乱した姿に変貌し、戦闘力を強化する。
 娘としての美しさの面影は、もうそこには存在しない。彼女たちは理性を失くした異形と化して、獲物を喰らって飢えを満たそうと、猟兵たちを狙って飛び掛かる。
「戦いの最中に理性を失うのは感心しないね」
 やれやれといった様子で、シーザーが小さく溜め息吐きつつ、暴走した眷属の娘たちを正面から迎え撃つ。
 裡に秘めたる魔力を高めて練り上げて、真紅のオーラが溢れ出る。そして次の瞬間――真紅のオーラが眩しく光り、シーザーの全身から破滅を齎す閃光が、眷属たちを貫いて。熱く灼けつくような残光が、敵を跡形残らず消し去ってしまう。
 自身にも吸血鬼の血が流れるシーザーにとって、娘たちがされたことは決して快いとは思っていない。ならばその元凶の首を刈り取ることで、全てを終わらせようと決意する。
「囚われていた人たちは、大丈夫でしょうか」
 一通りの敵を倒し終えると、デナイルはこの部屋で眷属たちに襲われかけていた男たちの安否を確認。彼らは体力こそ消耗しているものの、まだ血を吸われてないようで、どうにか間一髪、無事間に合ったようである。
 デナイルは深く安堵の息を吐き、ひとまず彼らには、この場に身を隠してもらい、引き続き館内の捜索に向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

西院鬼・織久
【心情】
彼奴等の欲は血腥い
お陰で我等も餓えてしまう
先ずは軽く腹ごしらえか

【行動】
「暗視」「視力」を活かし周囲の状況を把握
「第六感」で不測の事態にも備える

【戦闘】
POW:
「先制攻撃」の「殺意の炎」による「範囲攻撃」で牽制
牽制を受け隙が出来た箇所を「戦闘知識」も活かして「見切り」
「影面」で一体を狙って「怪力」で引き寄せ
拘束したまま振り回して敵の群れを「なぎ払い」
同時に振り回した敵を速く動く物として注意を向けさせる
その隙を突き「殺意の炎」と「なぎ払い」の「範囲攻撃」で纏めて始末
此方に襲い掛かってきたら最小限の動きで「串刺し」の「カウンター」


天御鏡・百々
『贄』を拒否し、ヴァンパイアの支配へと抵抗するとは天晴なり
その勇気を無駄にせぬため、我らの手で吸血鬼を討ち取ろうぞ
そして村をも護るのだ!

まずは巫覡載霊の舞を使用して光を纏う
下級の吸血鬼の、更にその配下の蝙蝠程度であれば
このユーベルコードの力と神通力による障壁(オーラ防御31)で
攻撃は無効化できよう

その上で真朱神楽を振るい、蝙蝠も吸血鬼共もまとめて殲滅してくれようぞ
(破魔30、なぎ払い12)
破魔で浄化することで、ブラッドサッカーも無効化できるとよいのだが

悪しき者どもよ、ことごとく我が破魔の力の前に滅び去るがいい!


●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎



 館の中は華美な装飾とは裏腹に、咽るような血の臭いに満ちていた。
 村の男たちを下僕に宛てがい、虐げて、使い物にならなくなったら玩具のように捨ててしまう。
「彼奴等の欲は血腥い。お陰で我等も餓えてしまう。先ずは軽く腹ごしらえか」
 西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)の身体の中に流れる、吸血鬼の血が疼く。
 一部でもその血が混ざった彼らは、非して似たるモノだからこそ、孕んだ殺意と狂気を武器に、オブリビオンを屠って糧とする。
 織久が周囲の状況を把握すべく、気を張り巡らせながら目を凝らす。
 すると、血のような真紅の彩を宿した双眸が、白い薄絹を纏った娘の姿を映し出す。
 吸血鬼の贄として、眷属となった彼女たち。見た目は少女であっても、もう二度と、人に戻ることはない。
 ならばせめてこの手で葬ることが、彼女たちへの救いだと。そして同じ不幸を味わう者がいなくなるように、猟兵たちは武器を持つ手に力を込めて眷属の娘たちを迎え撃つ。
「『贄』を拒否し、ヴァンパイアの支配へと抵抗するとは天晴なり。その勇気を無駄にせぬため、我らの手で吸血鬼を討ち取ろうぞ。そして村をも護るのだ!」
 明日をも知れない闇の世界に於いて、支配者たるヴァンパイアに抗う気概は見事だと。
 天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は村人たちの捨て身の勇気を称賛し、彼らの思いに報いる為にも、全力で以て吸血鬼打倒を決意する。
 侵入者に気付いた眷属たちが、集い始めて束になって襲い掛かってくる。どこからともなく吸血蝙蝠の群れを呼び寄せて、飢えた蝙蝠たちが血を求めて猟兵たちに飛び掛かる。
 視界を埋め尽くさんばかりの黒影が、耳障りな羽音を響かせながら近付いてくる。百々は蝙蝠たちを鬱陶しげに睨みつけ、神通力をその身に纏って敵の吸血攻撃から身を護る。
「悪しき者どもよ、ことごとく我が破魔の力の前に滅び去るがいい!」
 百々は神通力を更に展開させて神霊体へと姿を変えて、朱色に塗られた薙刀を、神楽を舞うかの如く振り翳す。
 小柄な身体に似合わぬ大きな薙刀を、いとも軽々と振り回す百々。
 薙刀から放った破魔の力を宿した衝撃波が蝙蝠たちを一掃し、眷属たちを薙いでいく。
「今が好機だ! 織久殿!」
 神楽舞の衝撃波によって敵の態勢が崩れたところを、百々は見逃さない。声を張り上げながら合図を送ると、織久も声に応えるように狂気と殺意を解き放つ。
 疾走しながら距離を詰めてくる織久を、眷属の娘が狂乱した獣と化して対抗するが。
 娘が伸ばした鋭利な爪を、織久は赤黒い槍で受け流し、即座に返す刃で斬りつける。
「――我等が怨念尽きる事なし」
 自身に宿る怨念と、殺意の炎を槍に移して突き刺すと。百の異形の血肉を喰らった刃が娘の胸を刺し穿つ。
 槍に貫かれた娘の身体は、糸が切れたように垂れ下がり――事切れた吸血鬼の眷属の、骸を黒い炎が包んで灼き尽くす。
「……ここで立ち止まっておる暇はない。次に参ろうぞ」
 彼女たちも謂わば吸血鬼の犠牲者だ。だが死を悼むのは全てを終わらせてから。
 百々と織久は残る眷属たちを撃破しながら、元凶の女吸血鬼の許へと急ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。レッサーヴァンパイア…。
彼女達を生み出す吸血鬼を放置する訳にはいかない。
これ以上、犠牲者が増える前に吸血鬼を駆逐しないと…。

事前に防具を改造して第六感を強化する呪詛を付与
敵の気配や殺意の存在感を見切り、
【吸血鬼狩りの業】を駆使して攻撃を回避する

…もうこれ以上、その手を血で朱く染める事は無い。

わざと隙を晒して誘惑し攻撃を誘導し、
生命力を吸収する大鎌を怪力任せになぎ払いカウンターを試み、
力を溜めた大鎌で敵の傷口を抉る2回攻撃で追撃する

…死の安らぎは等しく訪れる。
眠りなさい。お前達の主も、すぐに葬送してあげる…。

……彼女達は元々、ただの村娘だった。
その運命を弄んだ代償は支払ってもらう、吸血鬼。


ティエル・ティエリエル
「急いで女吸血鬼のところまで行かないとね!それじゃあ、突撃だよ!」

飛び回る吸血蝙蝠達と【空中戦】で戦うよ。蝙蝠の攻撃を【見切り】で避けて【カウンター】でレイピアを突き刺していくよ!
隙を見て本体のレッサーヴァンパイアに風を纏わせた【属性攻撃】によるヒット&アウェイ!
傷ついた仲間がいたら【小さな妖精の輪舞】を使って回復だよ♪

眷属にされた女の子達は可哀そうだけど……これ以上犠牲者を出さないためにも急いでここを切り抜けなきゃだよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


赫・絲
ふーん、また豪奢なトコだねー
貴女達も、いつかどこかに平和に生きてた人生があったのかなと思うと
こんな終わりじゃ納得いかないかもね、ごめんね
それでも、一切手を緩めるつもりはないけど

鋼糸に炎を纏わせ【属性攻撃】
接敵次第【先制攻撃】を仕掛け半数を目眩ましに縦横無尽に放つ
こっちに視界を奪われてくれたら、チャンスが広がるからね
吸血蝙蝠は動きをしっかり【見切り】、目眩ましの糸で潰していくよ

敵の隙は逃さず、好機を見つけたら残り半数の糸の檻に一息に捕えにかかる
一本でも捉えたなら、即座に他の糸を操ってそちらへ向け、逃さない
炎を【全力魔法】で最大まで増幅させ、その生命を閉じるべく、地に縫い留めて燃やし尽くす



「急いで女吸血鬼のところまで行かないとね! それじゃあ、突撃だよ!」
 ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は何を隠そう妖精の国のお姫様。
 少しお転婆なところはあるけれど、女吸血鬼に苦しめられる村を救う為、勇気を奮ってこの戦いに挑むのだった。
 小さな翅を羽搏かせ、ティエルが館の中を散策しながら飛び回る。
 時折、興味深げに建物の構造を見入ったりはするが、敵への警戒だけは怠らない。
「ふーん、また豪奢なトコだねー」
 贅を極めたような煌びやかに装飾された館内を、赫・絲(赤い糸・f00433)は物珍しそうに観察するが、それは村人たちの犠牲の上に成り立っているモノだ。
 基本的にはマイペースな絲ではあるが、何気なく漏らした呟きの中には、女吸血鬼への皮肉の意味を滲ませる。
 そんな風に漠然と周囲を見回していると、彼女の淡紫の瞳に見慣れぬ影が映り込む。
「あっ、見っけ」
 そこで発見したのは白い薄布を纏った少女たち。侵入者を探して徘徊している眷属と、猟兵たちが遭遇した瞬間だ。
 相手が気付くよりも先んじて、絲が動いて奇襲を掛ける。
 両手に装着したグローブから、炎を帯びた鋼糸を縦横無尽に張り巡らせて、牽制気味に眷属たちの目を眩ませる。
 相手を攪乱し、注意を引き付けている隙を狙って、今度はリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が眷属たちに向かって銃を抜く。
「これ以上、犠牲者が増える前に、貴方たちを駆逐する……」
 ダンピールの血で精製した弾丸が、銃から撃ち放たれて相手の肩を貫き、血が飛沫く。
 片や対する眷属たちも反撃し、吸血蝙蝠の群れを召喚させて猟兵たちに襲わせる。
 宙を飛び交う黒い影たちに、ティエルが空中戦を挑んで対抗。
 蝙蝠の攻撃を、軽やかに身を翻して躱しつつ、揮って突き刺すレイピアは、風鳴り音を奏でて蝙蝠たちを一体、また一体と撃ち落とす。
「貴女達も、いつかどこかに平和に生きてた人生があったのかなと思うと。こんな終わりじゃ納得いかないかもね、ごめんね」
 思えばこの眷属の娘たちも犠牲者だ。絲はそんな彼女たちを憐れむように謝るが、それでも戦う以上、手を緩めるつもりは一切ない。
 ここから一体たりとも逃さぬよう、鋼糸の檻に閉じ込めて。十指を駆使して相手に絡ませ動きを封じ、四肢を引き千切らんと締めつける。
 だがそこへ、糸の捕縛を逃れた娘が、理性を失くした獣と化して迫り来る。
 絲が咄嗟に後ろへ飛び退る、しかし娘の鋭利な爪が、腕を掠めて血が滲む。
「ボクの翅の粉には傷を癒す力があるんだよ☆ それじゃあ、いっくよー! みんな治っちゃえ♪」
 ティエルがすかさず癒しの力を行使して、華麗に踊って翅から舞い散る光の粉が、絲の負傷を瞬時に癒す。
「眷属にされた女の子達は可哀そうだけど……これ以上犠牲者を出さないためにも急いでここを切り抜けなきゃだよ!」
 ティエルの鼓舞する声に、絲の秘めたる闘争心が奮い立つ。
 魔力を最大限まで増幅し、激しく燃える糸の炎は眷属たちの偽りの生命を閉じるべく、地に縫い留めて灰も残さず灼き尽くす。
「――またね、はないよ。此処でお終い」
 捕らえた眷属たちは、炎に呑まれて燃えて消ゆ。これで残るは後一体。
 最後に残った娘は捨て身の覚悟で猟兵たちに抗うが、リーヴァルディがその前に立つ。
「……もうこれ以上、その手を血で朱く染める事は無い」
 リーヴァルディは両手を下ろして身構えず、さも攻撃して下さいと言わんばかりに、隙を晒した状態だ。その誘惑に、眷属の娘は惹き寄せられて、黒衣の少女に飛び掛かる。
 するとリーヴァルディの紫色の双眸が、神秘の耀き帯びて、見据える娘の動きを予測。身体を捻って攻撃を避け、手にした大きな鎌を力任せに薙ぎ払う。
 そこから更に溜めた力を解き放ち、手負いの娘の傷口を、抉って生命力を啜り喰らう。
「……死の安らぎは等しく訪れる。眠りなさい。お前達の主も、すぐに葬送してあげる」
 娘は蹌踉めきながら崩れ落ち、リーヴァルディの言葉に誘われ、眠るように息絶えた。
 リーヴァルディは最期を見届けながら、一瞬目を伏せた後、踵を返して奥へ向かう。
 決して表情にこそ出さないものの、心の中は吸血鬼に対する怒りの炎が燻っている。
「……彼女達は元々、ただの村娘だった。その運命を弄んだ代償は支払ってもらう」

 ――これで残すは元凶の女吸血鬼ただ一体。
 領主の部屋を目指して進める足の、一歩に強い決意を踏み締めて。
 いよいよ辿り着いたその先に、猟兵たちは未来を切り開かんと乗り込んでいく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヴァンパイア・レディ』

POW   :    肉体変化
対象の攻撃を軽減する【魔力で出来た霧状の肉体】に変身しつつ、【時折実体化しては、鋭く伸ばした爪や牙】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    魅了の魔眼
【魅了の魔力を込めた視線を放つ事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞬時に篭絡し、同士討ちをさせる事】で攻撃する。
WIZ   :    闇夜の眷属
レベル×5体の、小型の戦闘用【の『眷属』、吸血コウモリ達】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 贅の限りを尽くしたその部屋は、女の欲を余すところなく体現させた聖域だ。
 豪奢な装飾と、華麗な彩に染まった煌びやかな世界。
 一人でいるには広すぎるとも言える空間は、眷属の娘たちをそこで毎晩侍らて、享楽に耽っていたのだろう。
 窓からは明るい月の光が射し込んで、紗幕のように降り注ぐ。
 月明かりのカーテンが、部屋を仄かに照らして幻想的な景色を作り出す。
 そして部屋の奥にある、ベッドの上で、一人の女がグラスを片手に座って待っている。
 グラスの中に注がれている赤い液体は、ワインなどではなくて――人の血だ。
 捕らえた村の男たちから搾取した血を口に含んで、恍惚とした笑みを浮かべる彼女こそ――元凶である女吸血鬼であった。

 今宵は本来ならば、新しい『贄』が届くはず。
 しかしそれを拒んだ村人たちを、場合によっては手に掛けることになる。
 けれどもそんなことは構わない。
 若い娘が手に入るなら、何れ滅びる村がどうなろうとも、それもまた一興。
 女はグラスを傾けながら愉悦して、新たな娘の到着を、今や遅しと待ち侘びる。

 ――だが彼女の許に現れるのは、村に遣わしたはずの眷属たちではない。
 色欲に溺れた女吸血鬼を討ち倒すべく、猟兵たちは扉に手を掛け――ついに諸悪の根源たるヴァンパイアレディと対峙する。
エルファス・アグリア
▼感想
おお、なんと美しい吸血鬼か…その色欲を私に向けるならば我が妾の1人にしてやっても良いな。

▼使用UC【王子の本気】
重視する能力は攻撃力を選択。

▼王子、参戦
「アグリア神聖王国第2王子エルファスである、私の女にならぬか?」
呪いすら弾く結界に守られながら目にも留まらぬ【早業】で神剣を振るい、聖なる【衝撃波】を飛ばす【クイックドロウ】を次々と放つ。
霧となって近づき奇襲して来たとしても、私の神速剣ならば後の先を取り斬り払うくらい容易い。
「私に抱かれにきたのか?良い娘だ!」
近寄って来たら『早業』で胸を揉むのも忘れないぞ。
「揉み心地…満点だな!」
エリナが呆れるかも知れんが、これはやめられん

※アドリブ歓迎


ルカ・ウェンズ
この世界に、ちゃんとした朝が来るのなら焼き討ち出来るのにね。
【行動】
まずは敵の攻撃に当たらないように【戦闘知識】を使い【残像】で移動しながら霧状の姿から実体化して攻撃してくる時を狙って【縁切り】と【生命力吸収】の【2回攻撃】敵の攻撃を避けながら、その【傷口をえぐる】ように【怪力】で攻撃して、それに味方と協力して出来れば、なるべく苦しめて殺すのを狙って戦うわ。
【心情】
護衛を倒して焼き討ちしても、この世界はいつも暗いから吸血鬼は屋敷から逃げるか反撃してくると思うし、住む家の無い善良な(タフガイや美少女)のために屋敷がいるし、吸血鬼を苦しめて殺す方法を他に考えないといけないわね。


シーザー・ゴールドマン
【POW】
「さて、君にとっては残念な知らせだ。
 饗宴は本日まで。君には骸の海に還って貰う」
戦術
『シドンの栄華』を発動。オーラセイバーを振るって戦う
肉体変化には
「霧になっても完全に遮断できる訳ではあるまい」と
聖なる衝撃波で広範囲攻撃([衝撃波][属性攻撃:聖][全力魔法])
実体化のタイミングを見切って([第六感][見切り])
その瞬間に『破壊の魔力』を込めたオーラセイバーで斬り裂く
魅了の魔眼には
発動を見切って『維持の魔力』で精神抵抗
闇夜の眷属には
全て『ソドムの終焉』で破壊(二つ以上のUC描写が可能であれば。不可ならば衝撃波)
「抵抗を決めた村人たちの決意が私たちを呼んだ。君を滅ぼすのは村人たちだよ」



 猟兵たちが女吸血鬼の寝室に踏み込むと、室内は甘やかな花の香りに満ちていた。
 部屋の至るところに飾られているのは、血の色のような赤い百合の花。
 眷属の娘たちを示しているかのような花に囲まれて、ベッドの上では一人の女が今宵の夜伽の相手を待っていたのだが――。
「……外が何だか賑やかだとは思っていたけど、村の連中ではなさそうね。貴方たちは、一体何者かしら」
 女吸血鬼の冷たい視線が、部屋に侵入してきた猟兵たちに向けられる。
 おそらく『贄』の娘がやってくることは、今のところはない。愉しみを奪われたことを察した女吸血鬼は、それでも動じることなくグラスの生き血を飲み干して、猟兵たちを誘うように妖艶に笑む。
「おお、なんと美しい吸血鬼か……。その色欲を私に向けるならば、我が妾の1人にしてやっても良いな」
 エルファス・アグリア(邪なる聖騎士・f14482)は女吸血鬼の美貌に一目で惹かれ、高圧的な態度で彼女の側に歩み寄る。
 気に入った女性は手籠めにしているエルファスは、ある意味、女吸血鬼とは似た者同士と言えそうだ。
「生憎と、私は男に興味はないの。貴方が可憐な少女だったら、眷属に変えて永遠に私のモノにしてあげたけど。男はせいぜい、血を搾り取るくらいの餌程度でしかないわ」
 エルファスを見つめる女吸血鬼の目は、色香を帯びた女性のソレでなく、獲物を狙う獣のような殺意を孕む。
「さて、君にとっては残念な知らせだ。饗宴は本日まで。君には骸の海に還って貰う」
 真紅のスーツに身を包んだシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)が、そう断言しながら宣戦布告する。
 彼の神秘的な美貌は、身体の中に半分流れる吸血鬼の血の表れか。その呪われた血が、シーザーに敵たる女吸血鬼を殺せと囁きかける。
「この世界に、ちゃんとした朝が来るのなら焼き討ち出来るのにね」
 豪奢な部屋を見回しながら、ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)が不穏な言葉をポツリと漏らす。
 だが例えこの屋敷を燃やしても、肝心の女吸血鬼が逃げてしまえば意味はない。
 それなら今すぐこの場で、どうやってこの女を苦しめながら殺そうか。ルカはその方法を頭の中で考え巡らせ、静かに笑う。
「あら、ちゃんと女の子もいるじゃない。貴女なら、眷属として寵愛してあげるわよ」
 女吸血鬼はルカを見るなり態度を一変。舌舐めずりしながら色目を遣い、籠絡しようと魅了の魔力を込めた視線を彼女に投げる。
「定石通りの攻撃ね。その手は食わないわ」
 相手の出方を読んでいたルカが、残像を繰り出し魔眼を回避。素早く移動し間合いを詰めて、黒い刃で相手の肩を斬り裂くと――剣の呪力が異端の血を啜り、持ち主たるルカの生命力の糧とする。
「くっ……!? 生意気な娘ね!」
 女吸血鬼は肉体を霧状に変化させ、虚空を漂いながら攻撃する機を窺う。
 猟兵たちが攻撃に備えて身構えている中で、唯一人、エルファスだけが悠然とした態度で武器を構えることなく待ち受ける。
 所詮は傲慢で、自信過剰なだけの色男。彼のことをそう判断したか、女吸血鬼が実体化して、鋭く伸ばした爪で隙だらけのエルファスに斬りかかる。
「――私の本気を見せてやろう、光栄に思うがいい!」
 するとエルファスは、あらゆる魔法や呪いを防ぐ守護結界を展開し、女吸血鬼の爪攻撃を弾き返してすかさず剣を抜く。
「改めて言おう、私の女にならぬか? 今から抱いてやっても構わんぞ」
 不敵な笑みを携えながら目にも止まらぬ早業で、神剣を振るって聖なる衝撃波を女吸血鬼に叩き込む。
「まだまだ、もっと苦しんでもらわないとね」
 怯んだところにルカが音を立てずに回り込み、黒剣で傷口を広げるように掻き抉る。
「おのれ! たかが人間のくせに生意気な!」
 怒りを露わに険しい形相で、猟兵たちを睨む女吸血鬼。
 彼女は闇の中から吸血蝙蝠の群れを召喚し、羽搏く無数の黒影が、猟兵たちを狙って襲い掛かる。
 その蝙蝠たちを迎撃せんと、シーザーが光の剣に破壊の魔力を宿して立ちはだかった。
「――邪魔だな」
 光が唸り、振るった剣から放つ衝撃波が蝙蝠の群れを呑み込んで。聖なる光の奔流は、一瞬にして全ての蝙蝠たちを消し去った。
 猟兵たちに攻撃を悉く阻止されて、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる女吸血鬼。
 彼女に対してシーザーは、自信に満ちた笑顔を返して剣を向け、意気昂然と言い放つ。
「抵抗を決めた村人たちの決意が、私たちを呼んだ。君を滅ぼすのは――村人たちだよ」
 ――彼らの心の叫びに応える為に。
 敵を見据えるシーザーの、金の瞳が輝き増して――狩りの時間が幕開けを告げる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

デナイル・ヒステリカル
僕の目的はこのオブリビオンを確実に骸の海へ送ること
まともに勝負しないのは卑怯に思われるかも知れませんが、僕は僕の全力を尽くしましょう


他の猟兵が室内へ突入する際、光偏向機能で【迷彩】を施し敵に察知されないように室内へ潜入します
迷彩状態で敵の攻撃パターンを【情報収集】
スマートガンで【誘導弾】を撃ち、味方猟兵の攻撃の終わりの隙を埋める【援護射撃】をします

見えない敵への対処として範囲攻撃が予想されますが、
コウモリ一体の強さは然程では無いことを【見切り】、防性硬化プログラムで被害を最小限に収めます
逆にUCを使用した後の敵にUCで攻撃
一人で戦うオブリビオンには、隙を埋めてくれる仲間はいないと判断しました。


ティエル・ティエリエル
「お前がここの親玉だね!村のみんなが襲われる前にさっさとやっつけてやる!」
自分勝手な欲望で人を踏み躙る女吸血鬼なんて許せないよ!

戦闘が始まったら、得意の【SPD】を活かして戦うよ!
背中の翅で女吸血鬼の飛び回って【空中戦】。
【フェイント】を交えて風を纏ったレイピアで【妖精の一刺し】【属性攻撃】【捨て身の一撃】を仕掛けるね☆

魅了の魔眼を使われそうになったら【第六感】で危険を察知。
お守りの宝石に込められた【呪詛耐性】の力を限界まで引き出して魅了に耐えるよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


天御鏡・百々
其方がこの地の領主か
悪逆に浸りし其方をここで討ち果たし
虐げられし人々を吸血鬼の支配より解放しようぞ!

基本的に仲間のサポートとして動くとしよう
神通力(武器)による障壁(オーラ防御32)で仲間を護りながら
真朱神楽(武器:薙刀)で敵の眷属の蝙蝠どもをなぎ払おうか
(破魔32、なぎ払い13)

肉体変化による霧化とは厄介な
しかし、我が前にその力は通じぬぞ
「真実を映す神鏡」である我が本体に敵の姿を映し
偽りを暴く力にて霧への変身を解除してくれよう

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎


仁科・恭介
※アドリブ、共闘は歓迎です。

仲間の猟兵達が部屋に突入したのに紛れ【目立たない】ように部屋へ入ります。
そして、部屋にある家具の位置を把握し、逃走経路を遮断する位置で吸血鬼を観察。

【POW】
「君の痛みを味合わせる」と約束したね。
それには確実に捕まえられる瞬間が必要か。
私があいつなら…消耗を回復するため血を呑むときだろう。
待つのは慣れてる。

レディ相手に罠(【罠使い】)を仕掛けます。
【吸血】本能と【失せ物探し】でレディが欲するであろう血の場所を探し、飲もうとした瞬間に捕まえる罠。
最後の仕上げは自身の我慢に我慢を重ねた【吸血】欲求。
「ふふ。楽しい反応をしてくれるね。お愉しみはこれからだよ」



「お前がここの親玉だね! 村のみんなが襲われる前にさっさとやっつけてやる!」
 小さな妖精族の冒険者、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が胸に大きな勇気を秘めながら、ヴァンパイアにも臆することなく、勇猛果敢に立ち向かう。
「あら、随分可愛らしい子ね。そこの貴女、私に飼われてみないかしら?」
 女吸血鬼がフェアリーのティエルを珍しそうな目で見つめ、興味に惹かれて彼女を捕まえようと手を伸ばそうとする。
 ティエルはその手を逃れるよう、慌てて下がって距離を置き、そんなものはお断りだとムスッとしながら舌を出す。
「其方がこの地の領主か。悪逆に浸りし其方をここで討ち果たし、虐げられし人々を吸血鬼の支配より解放しようぞ!」
 血気盛んに対峙するのは、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)。
 見た目は幼い少女であるが、女吸血鬼を打ち倒そうと溢れる気概は勇ましく。凛々しい立ち振る舞いで薙刀構え、一人の猟兵として悪しきヴァンパイアを迎え撃つ。
「フフ、子供の割に勇敢ね。少し幼い気もするけれど、貴女も私の眷属に加えてあげようかしら」
 妖艶に微笑みながら女吸血鬼が向ける眼差しは、童女の百々であっても性の対象としか見ていない。
「巫山戯るな! 其方の方こそ、その穢らわしい欲を断ち斬ってくれる!」
 怒気を孕ませながら気炎を上げる百々。可憐な二人の少女に、女吸血鬼の色欲塗れの魔の手が迫る。
 血のような真紅の瞳が輝き放ち、視線に込めた魅了の魔力に、少女二人の心が囚われようとする。しかし二人は第六感で危険を察し、ティエルはお守りの宝石に込めた加護の力を限界まで引き出して。また百々は、神通力による障壁で魔眼の魅了を耐え凌ぐ。

(「……僕の目的はこのオブリビオンを確実に骸の海へ送ること。まともに勝負しないのは卑怯に思われるかも知れませんが、僕は僕の全力を尽くしましょう」)
 二人の少女が敵の注意を引き付けている間、デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)はパーカーの光偏向機能で迷彩を施し、察知されないように侵入した後も、身を潜めながら相手の攻撃パターンの情報収集を行っていた。
 デナイルと同様、仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)もマントに籠められた呪詛の力で、闇に同化しながら目立たぬように気配を消して機を窺っている。
(「『君の痛みを味合わせる』と約束したね。それには確実に、あの女吸血鬼を捕まえられる瞬間が必要か」)
 もしも自分がヴァンパイアなら……色事以外であれば血を求めて欲するだろう。
 それにはどうにかして『罠』を仕掛けて捕まえたいところだが――。
 恭介が思考を巡らせる、その間に女吸血鬼は身体を霧化させ、猟兵たちの攻撃を回避しながら少女二人に襲い掛かろうとする。
「肉体変化による霧化とは厄介な。しかし、我が前にその力は通じぬぞ」
 百々がニヤリと不敵に笑い、宙に向かって鏡を翳す。
「――我は真実を映す神鏡なり!  幻術も変化も、全て暴いてくれようぞ!」
 それは彼女の本体である『神鏡』。鏡に真の姿を映し出し、偽りを暴く破魔の力が光を集めて、女吸血鬼の霧化の力を封じ込める。
「っ……!? 小癪な真似を! それなら力尽くでも眷属になってもらうわよ!」
 実体化した女吸血鬼が牙を剥き、百々に食らいつこうと迫り来る。
「――私に眠る私の真紅。曝け出せ心の赴くままに!」
 そこへ今度は恭介が、吸血鬼の血の力を解放させて、瞳に真紅の光が宿る。その代償として、恭介は自身の生命を削り、彼の四肢から血が流れ出る。
「さあ、これが欲しいんだろ? どれだけでもくれてあげるよ」
 猟兵たちとの戦いで、そろそろ喉も渇く頃だろう。吸血鬼にとって渇きを満たす血を、我が身を以て餌として、恭介の身体を張った罠が敵の心を激しく揺さぶる。
「ふふ。楽しい反応をしてくれるね。お愉しみはこれからだよ」
 その言葉を合図に、猟兵たちが火力を集中させて一斉に女吸血鬼を攻め立てる。
「相手の攻撃データの収集完了。これより援護します」
 味方の攻撃直後の隙を埋めるべく、デナイルがスマートガンで狙いを定めて、誘導弾を撃つ。
「まだ潜んでいたとはね……男ってのはこれだから。纏めて始末してあげるわよ!」
 女吸血鬼が月明かりに映る自身の影から、吸血蝙蝠たちを召喚させて猟兵たちを無差別に襲う。しかし相手が攻撃することを、デナイルは逆に待っていた。
 収集したデータから、蝙蝠たちの戦闘力を見切ったデナイルは、防性硬化プログラムの高速処理によって自身の身体を硬化させ、被害を最小限に食い止める。
「量より質なんて趣味ではないのですが……今回は例外としましょう」
 一人で戦うオブリビオンには、隙を埋めてくれる仲間はいない。
 スマートガンに電子精霊の弾丸を籠め、限界出力を越えた電流を搭載することで、威力を増幅させて最大火力で女吸血鬼を狙い撃つ。
「まだ終わらないよ! 自分勝手な欲望で、人を踏み躙る女吸血鬼なんて許せないよ!」
 ティエルが背中の翅で羽搏きながら空中戦を展開し、蝙蝠の群れを一掃させると女吸血鬼を狙って超加速。風を纏ったレイピアを、構えて更に加速を増して一気に突撃。
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
 ティエルの全速力による体当たり。防御を顧みない、彼女の捨て身の鋭い一撃が、女吸血鬼の脾腹を貫き穿つ。
「くはぁ……っ!?」
 小さいながらもその一刺しの威力は強烈で――女吸血鬼の上体が一瞬揺らいで傾いて、自ら流した血で滲む、腹部の痛みを抑えるように蹲る。
「馬鹿な……我らがヴァンパイアに人がここまで戦えるなど……!」
 最初の余裕じみた態度も今は消え、女吸血鬼の表情に焦りの色が滲み出る。
 猟兵たちは尚も手を止めず、その勢いは留まることを知らず戦いの流れを引き寄せる。
 全てはこの女吸血鬼の支配から、村を解放させて村人たちを救う為。
 圧政に抗う彼らの代行者となって、闇の世界に希望の光を届けよう。
 猟兵たちは思いを一つに力を合わせ、戦いはいよいよ終盤戦を迎えようとする――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。もうこれ以上、贄がこの扉をくぐる事はない。

お前はここで朽ち果てろ。かつての過去と同じ様に…。

事前に改造した防具の呪詛を維持し第六感を強化。
両目に魔力を溜め、暗視と共に殺気の存在感を視覚化して見切り、
敵の攻撃を【吸血鬼狩りの業】を駆使して回避。
魅了を受けたら呪詛耐性で軽減して気合いで誘惑に耐える。

…私はもう二度と、誰かに操られたりなんかしない…ッ。

敵の隙を突いて【限定解放・血の教義】を二重発動(2回攻撃)
生命力を吸収する“闇の焔”を大鎌の刃に宿した後、
巨大な“闇の結晶”刃を形成。
怪力任せに大鎌をなぎ払い、命中した瞬間に黒炎を解放し傷口を抉る。

…私を操ろうとした報いを受けなさい、吸血鬼。


芦屋・晴久
【WIZ】アドリブ連携歓迎

ようやくここまで来れましたねぇ、デスクワーカーには一苦労でしたよ。
さて、本命との戦闘ですが……どうやら前線は揃っているようなので後方支援と参りましょう。
御相手の肉体変化には発動した瞬間を狙い私の【七星七縛符】でカウンターさせて頂きます。
魔眼に関しましては私の【医術】知識と【破魔】の術にて解呪させて頂きましょう。

それでは皆さん存分に力を振るい下さい。


赫・絲
はろー、お待ちかねだったでしょ?
残念ながら、お前が待ってた『贄』ではないケドね

【先制攻撃】を仕掛け、グローブから鋼糸を敵へと射出
全て当たらなくても気にしない
本命はそれに紛れ込ませて飛ばした小さな針
この針も保険に過ぎないんだけど

敵の攻撃は【見切り】避ける
瞳は出来る限り直視しないように、見てしまったなら【呪詛耐性】で抵抗
蝙蝠達は、片っ端から鋼糸で叩き落としていく

そうしながらチャンスを伺って、一瞬でも隙ができたら敵の懐へ飛び込む
霧になられても、針が当たっていればそれを目印に
見失った時は、姿を現した瞬間を逃さない

【全力魔法】で凝縮した炎の氷柱を、敵の胸へと叩き込む
さあどーぞ、しっかり味わって


西院鬼・織久
欲深く血腥い
狩るべき敵としては相応しい
手強い敵であれば尚良し
我等が怨念を鎮めるに前菜だけでは物足りぬ

【戦闘】
【POW】
「先制攻撃」の「殺意の炎」で眷属ごと焼き払う
霧状になった時も炎で焼き「なぎ払い」の「範囲攻撃」
実体に戻った瞬間を狙って「影面」で拘束
再び霧状になる前に「怪力」で引くと同時に「ダッシュ」
「串刺し」からの「二回攻撃」で「殺意の炎」により「傷口をえぐる」

常に五感と第六感を働かせ敵が行動する前兆を「見切り」
回避可能なら回避、視線系は「武器受け」で視線を遮る
視線を遮る間は「聞き耳」で敵の状況を把握
武器を使用しなくても使える「殺意の炎」で攻撃
視線が逸れた所で再度攻撃に移る



「はろー、お待ちかねだったでしょ? 残念ながら、お前が待ってた『贄』ではないケドね」
「……ん。もうこれ以上、贄がこの扉をくぐる事はない……。お前はここで朽ち果てろ。かつての過去と同じ様に……」
 敵に反撃の隙を与えまいと、赫・絲(赤い糸・f00433)とリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が息を合わせて同時に仕掛ける。
「……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」
 リーヴァルディが魔力によって、闇の焔を宿した大きな鎌を振り翳す。
 続いて絲が、グローブに仕込んだ鋼糸を射出。だが女吸血鬼はそれらを逃れるように、マントを翻して身を躱す。しかしそのことも織り込み済みだと、絲は気にする素振りを見せずに身構え直す。
 糸に紛れ込ませた『本命』は、どうやら無事に届いたことが分かっただけでも――。
「可愛い顔してなかなかやるじゃない? 抵抗されればされるほど、余計に私のモノにしたくなってくるわ。そこの黒いローブを纏った貴女もね」
 クスクスと女吸血鬼が妖艶に笑う。そして絲とリーヴァルディの二人を視界に捕らえ、瞳に魔力を込めた魅了の視線が二人の心の中に入り込む。
「っ……!? こんな子供騙しの催眠術で、私を操れると思ったら大間違いだから!」
 絲が意識を高めて集中し、心の中に潜ろうとする女吸血鬼の邪悪な意思を跳ね除ける。
 リーヴァルディも魔力を溜めた両目で魅了の魔眼に対抗し、女吸血鬼の誘惑を、呪いの力を気合で破って耐え凌ぐ。
「……私はもう二度と、誰かに操られたりなんかしない……ッ」
 普段は無口で、滅多に感情を表に出さないリーヴァルディだが。この時ばかりは燻る怒りを声に乗せ、閉ざした心の一端を、語気を強めて口にする。
 敵の魔眼の誘惑に、二人の少女は打ち勝った。女吸血鬼は思い通りにいかない苛立ちからか、悔しさを顔に滲ませながら舌打ちし、小刻みに肩を震わせる。
「後方支援はお任せを。皆さんには存分に力を揮ってもらいましょう」
 芦屋・晴久(謎に包まれた怪しき医師・f00321)が薄ら笑みを浮かべながら、仲間を援護するべく陰陽師としての力を使う。
 周囲に護符を展開させて結界を形成し、呪詛への耐性力を高めることで、更なる魔眼の脅威を防ぐ術とする。
 ――吸血鬼の本性は、果てしなく欲深くて血腥い。
 ――だからこそ、狩るべき相手としては相応しい。
 西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は表情一つ変えないものの、裡に渦巻く殺意と狂気は更に増し。女吸血鬼を見据える双眸は、爛々と赤く煌めいていた。
「我等が怨念を鎮めるに前菜だけでは物足りぬ」
 手強い相手であればあるほど、血が騒ぐ。禍々しくて黒い大鎌に、怨念を具現化させた血色の炎を纏わせ、斬りかかる。
 対する女吸血鬼は、虚空の闇から吸血蝙蝠の群れを召喚し、猟兵たちを襲わせる。
 しかしそうした敵の動きを事前に見切り、闇夜の眷属たちを迎撃すべく、織久の鎌の炎が黒く烈しく燃え上がる。
「我等が怨念尽きる事なし――」
 織久が刃を薙ぐと、黒き殺意の炎が蝙蝠たちを纏めて一掃。女吸血鬼は炎の延焼を避けながら、織久を憎々しげに睨めつける。

「私に抵抗できる力を持つなんて、お前たちは一体……いや、今はそんなことはどうでもいいわ。例え何者だろうと、ここから生きては帰さない!」
 女吸血鬼はこの形勢不利な状況を打破すべく、身体を霧化させ、隙を狙う手段に出る。
 ところが猟兵たちはその僅かな瞬間を見逃さない。絲が鋼糸に紛れ込ませて放った小さな針が、目印になって女吸血鬼の姿を教えてくれる。
「悪いけど、お前の企んでることは全てお見通しだよ」
 絲が晴久に、視線を送って針が刺さった位置を伝えると。晴久はサングラスの奥の瞳を光らせながら、針に狙いを定めて護符を飛ばす。
「私の『目』からは、逃しませんよ」
 放った護符は七つの星を描くが如く、女吸血鬼の霧化を封じて無効化し、相手の動きを抑え込む。
 霧化を解除され、実体に戻った女吸血鬼。猟兵たちは今が好機と判断し、力を重ね合わせて一気呵成に攻め立てる。
 その時を待ち構えていた織久が、狂気を自身の影に宿し、漆黒の影が意志を持つかのように伸びて女吸血鬼に縋りつく。
「――何人たりとも死の影より逃れる事能わず」
 例え逃れようとも追い縋り、伸ばされた手が、女吸血鬼を捕らえて引き寄せ、渾身の力で女を激しく床に叩きつけると。骨の軋んだ音が響き、床が蜘蛛の巣状にひび割れる。
 苦悶の表情で、蹌踉めきながら起き上がろうとする彼女を狙い、絲が畳みかけるように間合いを詰めて飛び掛かる。
「たっぷり仕込んでおいたから。さあどーぞ、しっかり味わって」
 女吸血鬼の胸に手を押し当てて、その手に集束させた魔力を一気に解放。掌から放たれたのは、熱く灼けつく炎の氷柱だ。
 半ば暴走気味になりかけるのを制御して、力を極限まで凝縮させた最大火力の一撃が、女吸血鬼の胸を穿ち、深手を負わせて女吸血鬼が膝を突く。
「この私が……人間如きに負けるだなんて……ッ」
 苦しげに呼気を漏らして蹲り、衰弱した瀕死の彼女にリーヴァルディが歩み寄る。
 女吸血鬼を見つめる少女の紫色の双眸は、その惨めな姿を憐れむような眼差しで。
 掲げた鎌に全ての魔力を注ぎ込み、闇を結晶化させた巨大な刃を生み出した。
「……私を操ろうとした報いを受けなさい、吸血鬼」
 冷たく静かな声で言い放ち、別れの言葉を告げるリーヴァルディ。
 未来を閉ざす闇の刃を力任せに振り下ろし、罪を断ち斬るように女吸血鬼の首を刎ね、崩れ落ち、骸と化した肉体は――闇の焔に燃やし尽くされ、灰に帰す。

 猟兵たちは女吸血鬼を見事に討ち倒し、オブリビオンの野望を打ち砕く。
 主であった彼女が消え失せた今、村に向かった眷属たちも、すぐに後を追うかのように果ててゆく。
 ――生命の形を歪められ、偽りの生を与えられた娘たち。
 過去に殺され、未来を奪われ、刹那の時を彷徨い続ける魂も、これで漸く在るべき場所に還るだろう。
 後はその魂たちを彼の地へ無事に送る為、猟兵たちは解放された村へ向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『誰が為に鐘は鳴る』

POW   :    周囲のひとたちを励ます

SPD   :    何の為の鐘か村人に尋ねる

WIZ   :    静かに祈りを捧げる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ヴァンパイアの支配から解放された村一帯に、教会の鐘が鳴り響く。
 月の向こう側まで届けと願う祈りの音は、満月の日毎に鳴らされてきた。
 その日は村の若い娘たちが『贄』として、領主の館の許に連れて行かれる日。
 村人たちは彼女たちの身を案じ、鐘の音にそれぞれの想いを託して鳴らした。
 ――其れは、もう一度無事に再会できる日の望みを託して。
 ――或いは、もう戻って来れない彼女たちへの鎮魂として。
 ――或いは、彼女たちを救えなかった我が身の戒めとして。
 ――或いは、神に救いを求める村人たちの嘆きの声として……。

 中には娘を『贄』に捧げるしかなかった親もいる。
 それに娘たちだけではない。彼女たちへの餌として、一緒に連れて行かれた男たち。
 彼らも全員が無事であったわけではない。
 致死量まで血を搾取されたりだとか、拷問に耐え切れずに命を落とした者もいる。
 娘たちや彼らの遺体は、村外れの墓地に埋葬されて、今は安らかに眠っているだろう。
 そしてその墓地に、月の光を浴びて薄く桃色がかった白い花が咲く。
 その花は、一年に一度だけ、満月の日にのみ咲く花だという。
 吸血鬼によって穢されてしまった魂を、浄化するかのような可憐な白い月の花。
 月明かりの下に咲くその幻想的な光景は、まるで魂が、天に召されていくようで――。

 娘たちの死を悼み、想いを鐘の音色に乗せて、祈りを捧げる静かな時間。
 猟兵たちがこの場に居合わせたのも、きっと何かの縁であろう。
 村を救い、吸血鬼の支配から解放してくれた英雄として。
 もし良かったら一緒に祈ってほしいと願う村人たちの声を聞き、猟兵たちは思案する。
「私は少しだけ、村の人たちと一緒に過ごしていくつもり。貴方たちがどうしたいかは、各自の判断に任せるわ」
 瞳に黄昏色を宿した少女が、猟兵たちを見つめてそう告げる。
 満月の夜に鳴り響く、鐘の音色に何を想って祈るのか。全ては心に在るが侭――。
天御鏡・百々
村人と共に祈りを捧げるとしよう

贄や餌として殺された者達に死後の安寧を
そしてヴァンパイアより解放された村人たちの未来に幸あらんことを
(祈り10)

祈る神は異なるとしても
祈るということは大切なことだな

この世界には未だ虐げられし人々が大勢存在する
我が力で、少しずつでも救っていきたいものだ

祈ること以外には
もしも傷を追った村人がいるようならば治療する
(救助活動10、医術8、「生まれながらの光」)

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、絡み歓迎



 ――ゴオオォォーーン、ゴオオォォーーン。

 闇に閉ざされた世界に鳴り響く、荘厳なる鐘の音。
 教会の中だけでなく、外にも村人たちが集まって、一心に祈りを捧げて想いを託す。
 天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)も村人たちと共に手を合わせ、瞑目しながら心の中で静かに祈る。
 ――贄や餌として殺された者達に死後の安寧を。
 ――そしてヴァンパイアより解放された村人たちの未来に幸あらんことを。

 百々が祈りを捧げる神は、このダークセイヴァーの世界とは異なる八百万の神々だ。
 それでも誰かの為に祈る気持ちに変わりはない。大切なのは、形ではなく、その心。
 今回は一つの村を救ったが、この世界には同じように虐げられし人々が、多く存在しており今も尚、何処かの村で誰かがオブリビオンに苦しめられている。
「……そうした人々を、我が力で、少しずつでも救っていきたいものだ」
 吸血鬼の支配から解放された村人たちの、それぞれの表情を見ながら百々はその決意を強く抱く。
 自分の力で苦しむ々がいなくなるなら、惜しみなくこの力を役立たせていきたい、と。
 村人の中には、眷属たちの襲撃によって傷を負った者もいるようで。簡単な応急処置を受けてはいるが傷は決して浅くなく、今は教会のベッドで安静中の身だ。
「痛い思いをしただろうが、安心するが良い。すぐに治してみせようぞ」
 百々が鏡を翳して念じると、まばゆい聖なる光が溢れて村人たちの傷を瞬く間に癒す。
 治癒の力を使った反動で、百々は疲労でその場に屈み込む。しかし彼女の表情は、清々しく充実した気分に満たされていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

デナイル・ヒステリカル
村を脅かすオブリビオンは斃れました
束の間の平和を築くことには成功しています
人々の会話や表情から溢れる安堵や感謝が、僕らの成したことが悪いことではない、と

一方で、失われた物を悲しみ悼む声も聞こえます
猟兵にそれらを取り戻す能力が存在していたのなら……と考えなくもないのです

起きてしまった出来事をどうにかするだけの力は猟兵にはありません。
過古が蘇ることを良しとは思わない。
僕の思考回路はそれをオブリビオンと判断します。

ままなりませんね。

こうして僕が村に逗留する限り、オブリビオンは近寄らせません
安心を人々に提供し、泣くことの出来る時間は作ろうと思いました
心の整理は、どんな存在にも必要ですよ
※アドリブ歓迎



 村を脅かしていたオブリビオンは、猟兵たちの活躍によって斃された。
 束の間の平和を築くことには成功し、人々の会話や表情から溢れる安堵や、猟兵たちへの感謝の声に、自分たちが成したことは悪くなかったと。
 デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)はそう考える一方で、失われた者への哀しみや、悼みの声も耳にして。もし猟兵にそれらを取り戻す能力が存在していたのなら――などと遣る瀬無い気持ちにふとなってしまう。
 起きてしまった出来事を、復元できるような力は猟兵たちには備わっていない。
 それでも過去が蘇るような状況は、本来あるべき形を歪めることに他ならない。
 プログラムによって創造されたデナイルの思考回路の能力は、そうした事象の全てを、オブリビオンと判断するよう仕組まれていた。
「……ままなりませんね」
 一瞬、憂いを帯びた顔を覗かせながら思案する。そしてデナイルは、ある一つの結論に至るのだった。
「こうして僕らが村に逗留する限り、オブリビオンは近寄らせません。安心を人々に提供し、泣くことの出来る時間だけでも作ってあげたいですからね」

 ――残った村人たちが未来に踏み出す為にも。
 まずはこの哀しみを乗り越えて、明日を迎えるようにしてあげたい。
 誰であろうと、どんな存在だろうとも、心の整理は必要だ。
 それが例えプログラムであっても、人の心を理解する、そうした思いは持っている。
 だからとにかくせめて今だけは、犠牲になった者の死を悼もう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルファス・アグリア
▼心情
フン、私のような邪な男に少女達を悼む資格はない…放蕩王子、偽りの聖騎士はただ民衆が望む英雄として振る舞うのみ。
それが私の生き方、力を持つ者の責務だ。

▼演説
「人々を食い物にする吸血鬼は我々が滅した!
死せる魂達の仇は討ち果たされ、彼女達に安寧が訪れたのだ!」
剣を掲げ、拳を振り上げ、熱弁し熱狂させる。
鼓舞し、励まし、この闇に支配された世界に一筋の光を、希望の火を灯す。
「この鐘は鎮魂の音色であると共に!今日!勝利の音色となった!
悲しみを越えて生きよ!
闇を払い除けて光を灯せ!
それが生き残った者の責務である!
そしていつか、我らと共に全ての支配を打ち砕き人の世界を、光を取り戻すのだ!」

▼アドリブ歓迎



 村を支配していた領主は滅び、解放された村人たちがこれからどういう明日を歩むのか――犠牲になった村娘たちの死を悼む村人たちを、遠巻きに見つめる男が一人。
 エルファス・アグリア(邪なる聖騎士・f14482)は偽りの聖騎士でしかない放蕩王子の自分が何を為すべきか、思考を巡らせながらしながら出た結論は――。
 ただ民衆が望む英雄として振る舞うのみ。それが己の生き方、力を持つ者の責務だと。
 エルファスは村人たちの前に立ち、紅いマントを翻し、声を張り上げ力強く説く。
「人々を食い物にする吸血鬼は我々が滅した! 死せる魂達の仇は討ち果たされ、彼女達に安寧が訪れたのだ!」
 闇を斬り裂くように剣を掲げ、拳を振り上げ、熱弁するエルファスの言葉に村人たちは聞き入った。尚もエルファスは、動作で鼓舞し、言葉で励まし、村人たちを熱狂させる。

「この鐘は鎮魂の音色であると共に! 今日! 勝利の音色となった!」

「――悲しみを越えて生きよ!
 ――闇を払い除けて光を灯せ!
 ――それが生き残った者の責務である!」

「そしていつか、我らと共に全ての支配を打ち砕き人の世界を、光を取り戻すのだ!」

 この闇に支配された世界に一筋の光を、希望の火を灯す。
 その為の火打ち金を打ち、解放の烽火を上げることができたなら、いつか世界に大きなうねりを齎すことにもなるだろう。
 エルファスの威厳に満ちた言葉に村人たちは賛同し、村の窮地を救ってくれた一人の英雄として、若き騎士王子を讃えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
シーザーは何かに祈るという事のない男です。
とは言え誰かの祈りを否定することもないので彼等の祈りを黙って見守ります。

その後、日が変わるなど区切りがついた際に
「この世界には不条理が満ちている。今回、それに抗った君たちがもしこれからも抗うことを望むなら少し力を貸そう」
とあくまで村人が望むならですが、『戦闘知識』『世界知識』や『拠点防御』を活かして、村の防衛機能の向上や訓練方法を教示して去ります。



 月夜に荘厳なる鐘の音色が鳴り響く。
 村人たちはその間、ただ一心に、想いを託して祈りを捧げる。
 犠牲になった娘たちの死を悼み、安らかな眠りに就かれることをひたすら願う。
 そして村を救ってくれた英雄たちと、神に感謝の心を籠めながら――。
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は何かの為に祈るようなことはしない。
 とは言え誰かの祈りを否定するようなこともない。それあくまで自分自身だけの信条でしかなくて。だからシーザーは、村人たちの祈る姿を、黙って静かに見守っていた。
 鳴り止まない鐘の響きに耳を澄まして、見上げた空には彼の瞳と同じ色をした、金色の月が煌々と輝き放って闇夜を照らす。
 やがて村人たちが祈り終わった頃を見計らい、シーザーが彼らに言葉を掛ける。
「この世界には不条理が満ちている。今回、それに抗った君たちが、もしこれからも抗うことを望むなら、少し力を貸そう」
 オブリビオンの脅威が去ったとはいえ、このダークセイヴァーの世界は深い絶望の闇に閉ざされている。そこで彼らに生きていく為の術を授けようかと一考し、シーザーは村人たちに戦闘やこの世界の知識、拠点防御に関する技術を時間の許す限り教示した。
 これで少しでも、村の防衛機能が向上し、脅威に対抗できる力が備わるようになってくれれば、と。
 吸血鬼に抗う姿勢を見せた彼らなら、きっと強く生きられるだろう――シーザーは心の底からそう願い、祝福の音を奏でる教会の鐘を見届けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仁科・恭介
※アドリブ、絡みは歓迎です。

【WIZ】
この村々を領主から解放できたのは良しとしよう
眷属になった者達を眠りにつかせたのは良しとしよう
あとは明日に向かうだけ
それをやるのはこの村の人達だ

そんなことを考えながら、月に舞う花びらを眺めます。

「あ、干し肉入ります?」
一緒に戦った猟兵達に【礼儀作法】で手土産と【携帯食料】を渡しながら、適当に座れるところを見つけて座ります。

「あっと、今顔を見られるのはちょっとアレかな。かっこ悪いところ見せちゃうからね」
と、冗談をいいつつ、少し血を流し過ぎて青ざめた顔を見せないと帽子を目深にかぶります。
明日からまた依頼の日々。
偶にはこういう瞬間もいいなと思いながら。



 この村々を領主から解放できたのは良しとしよう。
 眷属になった者達を眠りに就かせたのは良しとしよう。
 あとは明日に向かうだけ。そしてそれをやるのは――この村の人達だ。
 仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)は村の外れにある墓地に足を運んで、埋葬された人々に思いを馳せつつ、月下に舞う白い花弁を黙って眺める。
 自分たちはただ、彼らの未来を切り拓く為に尽力しただけだ。だから自分たちの役目はここまでで、後は元の世界に帰るだけ。
 恭介がくるりと踵を返して戻ろうと――その時、彼は墓地を訪れたばかりの一人の少女と居合わせる。
 灰色の髪を棚引かせ、少女が墓に向かって手を合わせて祈る。その様子を恭介は黙って見守りながら、祈りを終えたところを見計らって声を掛ける。
「あ、干し肉入ります?」
 持ち合わせの携帯食料を手渡して、村の片隅に腰を下ろして二人は暫しの安らぎの時を過ごす。
 野性味だが上品に味付けされた干し肉を、少女がじっくり味わいながら頬張って。
 ふと、帽子を目深に被った恭介の顔を、少女が黄昏色を帯びた瞳で覗き込もうと――。
「あっと、今顔を見られるのはちょっとアレかな。かっこ悪いところ見せちゃうからね」
 恭介は冗談めかして苦笑するものの、そこには少し血を流し過ぎたから、こういう姿を人前に晒したくないといった思いがあるようで。
 顔を背ける彼に少女は事情を察したか、それ以上は何も聞かずに――お疲れ様、と一言だけ言って労った。
 元の世界に戻れば、明日からはまた依頼の日々が待っている。
 その束の間の、こうした瞬間も悪くはないと思ったら、男の口が微かに緩む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。結果的に贄にされた少女達を殺したのは私達。
謝罪する気はないけど、村人達も複雑な想いを抱いているはず…。
それでも、彼らがそう願うなら、私に否は無い。
墓前に白い花を一輪、捧げて黙祷する。

…ごめんなさい、助ける事が出来なくて…。
私にもっと力があれば、吸血鬼に穢された魂を浄化する手段があれば…。
貴方達に罪を犯させる事も、死に至らしめる事も無かったのに…。

もう貴方達を苦しめる者はいない。
だからどうか、安らかに眠って…。
鐘の音と白い花に導かれ、彷徨う事のないように…。
…天の国に迎え入れられる事を願っている。

…ん。祈りは済んだ。次の依頼に向かう。
犠牲になった人達の為にも、私は立ち止まる訳にはいかない。



 犠牲者たちが埋葬された墓地に一人佇む、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)。
「……結果的に贄にされた少女達を殺したのは私達。謝罪する気はないけど、村人達も複雑な想いを抱いているはず……」
 そうリーヴァルディは思っていたのだが、村人からは感謝の言葉が掛けられる。
 女吸血鬼への贄に選ばれ、眷属にされた時点でもうその娘は人ではなくなった。だからその呪縛から解放し、最後は人として、この土地で安らかに眠らせてあげることができ、それだけでも村人たちにとっては喜ばしいことだ、と。
 リーヴァルディはそんな彼らに促され、墓前に花を一輪添えて、静かに黙祷。
「……ごめんなさい、助ける事が出来なくて……。
 私にもっと力があれば、吸血鬼に穢された魂を浄化する手段があれば……。
 貴方達に罪を犯させる事も、死に至らしめる事も無かったのに……」
 俯き気味に小さくか細い声で呟く彼女の言葉は、犠牲者たちに対する自責の念。
 ヴァンパイアを狩ると掲げた誓いも、彼女たちの前では絵空事の戯言でしかないと。
 声を震わせながら後悔ばかりを口にして。それでもせめて魂だけでも安らかなれと。
 鐘の音と白い花に導かれ、彷徨うことのないように。月明かりの向こうの天の国へと迎え入れられることを、ただ祈って願う。

 ――そして一通りの祈りを済ませると、リーヴァルディはフードを目深に被り、足早に墓地を離れて後にする。
 犠牲になった人たちの為、それと同じように苦しむ人たちを救う為、立ち止まっているわけにはいかない。
 月の光が指し示す先、そこは次の戦場だろうかと。黒衣の少女は夜空を見上げ、月が誘う場所に向かって歩き出す――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

赫・絲
ただあの場で自分の役を果たしただけだもんなー
英雄扱いはやっぱりどうにもこそばゆいよ

村人達から離れて村外れの墓地でそっと鐘の音に耳をすます

生まれた時から、力を持っていた
だから一方的に力で押さえつけられて奪われるだけの経験はない
だから、奪われるだけだった人達の気持ちを真に理解することはできないだろうけど
祈ることはできるから

薄桃がかった花を眺めながら、戻らない人達へ鎮魂の祈りを
この鐘の音の元に別離が訪れることは、きっともうないから
今はせめて、別離の後に救われなかった人々のために

アドリブ・絡み歓迎



 吸血鬼から村を救ってくれた英雄として、村人たちは猟兵たちを持て成した。
 確かに吸血鬼を倒したことに違いない。しかしあくまで自分は役目を果たしただけだ。
 赫・絲(赤い糸・f00433)にとっては当たり前のことをこなしただけであり、英雄扱いされてしまうのはどうにもこそばゆく。
 絲はそんな村人たちを避けながら、人のいない村外れの墓地へと足を運ぶ。
 少し離れたここからでも確かに聞こえる鐘の音に、そっと耳を澄まして目を閉じる。
 ――彼女は生まれた時から、『力』を持っていた。
 だから一方的に力で押さえつけられて、大切なものを奪われることは経験していない。
 この村みたいに、力に屈服し、ただ奪われるだけの人々が、どういう気持ちで明日なき今日を過ごしてきたのか。その心を真に理解するなど到底できはしない。
「……だけど、祈ることはできるから」
 墓地に咲く、薄桃がかった白い可憐な花を眺めつつ、絲は心の中で静かに祈る。
 もう永遠に生きて戻ってこない人たちへ、せめてもの鎮魂の祈りを――。
 神聖なる弔いの音が響き渡る。
 村を脅かしていた吸血鬼がいなくなり、この鐘の音の元に別離が訪れることは、きっともうないだろう。
 今はただ、別離の後に救われなかった人々の為に――。

 絲が祈りを捧げていると、不意に風が吹き抜け白い花弁が舞い揺れる。
 一年に一度だけ、満月の夜に咲くと云われるその花は、犠牲になった娘たちの魂を、そこに宿しているかのように美しく。
 穢れのない、清らかな姿に生まれ変わった魂が、月に導かれるように華麗に舞う。
 その儚くも幻想的な光景を、絲は淡紫の瞳に写して記憶を心に焼き付ける。
 どうか今度は、平和な世界に生まれておいで、と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月10日


挿絵イラスト