囚われし魂よ、人類の砦に集え
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「今月もまた、『狩りの日』がやって来る……」
闇夜に浮かぶ月を見上げながら、ひとりの魂人がぽつりと呟く。
その表情は深い恐怖に染まり、瞳は虚ろで、まるで死人のような生気のなさだ。
彼だけではない。この村で暮らす魂人はみな似たような有様である。
月に一度、領主の戯れによって行われる『狩りの日』。その期日があと数日後にまで迫っていた。
月に一度だけならば、むしろここは他所の魂人よりも恵まれていると考える者もいるかもしれない。
だが、必ず月に一度、決まった日にやって来る殺戮と蹂躙は、被害者達により強い恐怖と絶望を植え付ける。
刻一刻と迫る破滅の時が分かっているのに、彼らはただ怯えながら待つことしかできないのだ。
「今月をどうにか生き延びても、来月はどうなることか……」
「私、もうダメ……耐えられない……!」
希望の見えない日々に疲れ、抵抗を諦める者。
生存のために永劫回帰を繰り返し、心を病んだ者。
この村は、そんな絶望した魂人で溢れかえっている。
だが。彼らの救済は、彼らの思いもよらぬ場所から訪れようとしていた――。
●
「闇の救済者戦争、お疲れ様でした。早速で申し訳ありませんが事件発生です」
ダークセイヴァーの生命存亡をかけた戦いが幕を下ろしてから間もなくの事。グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「皆様は、戦争中に『歓喜のデスギガス』が起こした|無限災群《インフィニット・ホード》に巻き込まれ、人類のレジスタンス組織『|闇の救済者《ダークセイヴァー》』の城塞の幾つかが、上層に流れ着いてしまったのはご存知でしょうか」
下層でオブリビオンへの抵抗活動を行い、着実に力を付けてきた闇の救済者だが、上層の過酷な環境下で暮らすには生身の人間はあまりにも脆弱で、とはいえ第四層への長い帰還行に耐えられるような精神もない。つまり彼らはこれからも、ここで生きていくしか選択肢は無いのだ。
「ですが、闇の救済者の作り上げた強固な砦は、彼らの最低限の生存を守る役割を果たしています。ですのでリムは、上層で今も苦しめられている魂人達を、この砦まで導くことを提案します」
闇の救済者の『人類砦』に、魂人という戦力が加われば、いずれ安寧な暮らしが送れるようになるかもしれない。これは戦後も苦境に立たされている双方にとって明るい未来の可能性だ。つまり猟兵達への今回の依頼は、闇の種族から魂人を救い、闇の救済者達の砦に保護することになる。
「リムのグリモアが予知したところ、ある『人類砦』が漂着した地点からそう遠くない場所に、魂人の村がひとつあります。そこでは月に一度、決められた日時に闇の種族の配下が現れ、住民を虐殺するそうです」
闇の種族にとって魂人とは「永劫回帰で磨り潰すまで利用できる愛玩道具」に過ぎない。より深い絶望を与え、その様子を鑑賞して楽しむために、この地の領主はあえて「月に一度」の虐殺のルールを設けたようだ。そうすればいずれ訪れる死の期日が迫るにつれ、魂人達はより怯え、苦しむことになる。
「住民が『狩りの日』と呼ぶ、今月の期日は間もなくに迫っています。まずは襲撃が起こる前に村の魂人と接触し、彼らを説得しなければなりません」
村から逃げようとする者は即座に殺されるか連れ戻されるため、魂人達は絶望しながらもここで暮らすしか無い。『狩りの日』が来る度に【永劫回帰】でなんとか生き延びてきたが、その反動で精神的にも摩耗しつつある。近い将来における破滅は目に見えているのが現状だ。
「説得の方法はお任せしますが、いずれにせよ良く話し合う必要があるでしょう。力尽くで『人類砦』まで連れて行くことも不可能ではないでしょうが、それでは今後の戦力になってくれるかは分かりません」
彼らの心を今一度奮い立たせるような希望を伝えられなければ、移住計画は失敗に終わる。だが説得に成功さえすれば後の話は簡単だ。『狩り』のためにやって来るオブリビオンどもを蹴散らし、村という名の牢獄を脱出するのだ。
「敵は闇の種族の飼い犬の『腐肉をあさる獣』が百体ほど。知能が低く、肉を喰らうことしか能のない魔獣ですが、共食いも厭わず無差別に集団で襲い掛かってきます」
例によってこの階層のオブリビオンは下級であれ「紋章」による強化が施されているのが常だが、闇の救済者戦争に勝利した今の猟兵達が恐れるほどの相手ではない。さらに説得に成功していれば、絶望から立ち直った魂人達も戦いに参加してくれるだろう。
「今回の説得と作戦の成否によって、第三層に取り残された闇の救済者と、魂人達の未来も変わるでしょう」
そう言って説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、ダークセイヴァー上層への道を開く。
闇の救済者の『人類砦』を、新天地における救済の拠点にする。戦争が終わっても、猟兵の戦いは終わらない。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオはダークセイヴァー上層にて、闇の種族に虐げられる魂人を救出し、闇の救済者の『人類砦』まで導く依頼です。
1章は魂人の村にて、住民との交流や説得を行います。
この村では月に一度行われる『狩りの日』によって住民が蹂躙され、その精神は限界に達しつつあります。
彼らに闇の救済者と『人類砦』について伝え、もう一度立ち上がるように希望を持たせるのがこの章の目的になります。
2章は闇の種族の配下である『腐肉をあさる獣』との集団戦です。
村を支配する闇の種族本人は、このシナリオでは姿を現しません。獣の群れを撃破すれば、魂人達を闇の救済者のいる砦まで連れて行くことができます。
今の猟兵の実力に加えて説得に成功した魂人の加勢があれば、負けることはまず無いでしょう。
余談ですが、この依頼を含む戦後シナリオと並行して、闇の救済者戦争の⑱『ケルベロス・フェノメノン』で入手した|小剣《グラディウス》の研究が進められています。
この研究の進行度は、ダークセイヴァー戦後シナリオの成功本数に比例します。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『魂人と語り明かそう』
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POW : 将来、未来について熱く語り合う
SPD : 現状について、今についてを話し合う
WIZ : 過去の話に耳を傾け、重荷を少しずつ下ろしていこう
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エリン・エーテリオン
虹炎の神
『…どう説得するマスター?』『ウーンムズカシイナ…ミンナメガシンデヤガル』
エキドゥーマとブラッドムーンは村の雰囲気に戸惑っていた
どうしたものか…
私は悩んでいたがそこに現れた存在で村人達の目に光が少し戻った
『大丈夫よ…皆』『皆…助けに来たぜ』
あっアルコとミリアじゃないか!
ちなみに
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=45238
に出た虹炎伝説はこの村では御伽噺として伝わっている
私達も虹炎の神の門下生何だ!今回此処に来たのはこの村を救いに来たんだ!
と村人に話す私
『遅れて済まない!』『もう大丈夫よ…』
二人は虹炎で村人達の身体を温める(自由を操る力で精神力を回復させる)
『オー!コレナラトリデニツイテキテモラエルカモナ!』『じゃあ私達も村人達と話してみようか!』
エキドゥーマとブラッドムーンも村人達に話しかけ始めた
よし!私はベビーカステラを作るか!
私は久しぶりにベビーカステラを作る事にした
『師匠…俺はちゃんとやれているかな?』
アルコは小さい声で呟いた
リュカシオン・カーネーション
虹炎の神
『私は虹炎の神レーヴ・アルカンシエル!虹炎の神…の見習いなのだわ!』
シエルがアルコイリス達と共に名乗り上げている
てめぇは!
《…あっ?!》
アロナちゃんが奴を見つけた
<目を覆う事しか出来ない絶望的な状況で…現れたのは自由の神…>×∞
前にUC無限の意味不明なツチノコで召喚されていたツチノコ達が周りの村人達に話しかけていた
(村人達は縋るように聞いている)
<その神の戦闘はまるで絵物語…汎ゆる流体や万物に性質を付与し自由に戦う姿はまさに…ぐわあぁぁぁ!>
てめぇぇぇぇ!あの時てめぇの話のせいで酷い目にあったんだぞォォ!ソラウにも誤解される所だったわ!
ウチはアズリエルから斬撃波を放ちツチノコを攻撃した
ソラウ・エクステリア
虹炎の神
『あっ…アルコイリス様とミリアスリラ様が村人達の精神力を回復させている…!』
エスパスさんが呟いた
へぇ〜虹炎って何でも出来るんだね!エリン達がいつも使っている力だよね!凄いや!
僕は虹炎の力に対して関心する
ん?あれは…
変なツチノコが村人達に話しかけていた
…あの時シオンが言ってたツチノコ?!https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=45238
君…大丈夫?
地面で悶絶しているツチノコ達に話しかける
<ぐっ…私はただスターレイル様の伝説を伝えているだけなのに…がくっ>
消えちゃった…
『スターレイルですって?!』
エスパスさんが動揺していた
誰?
『星虹神スターレイル…長い間ダークセイヴァーで五卿六眼と戦っていた神の1人よ!』
エスパスさんが早口で話す
でもスターレイルなんて聞いた事も無いけど?
『…スターレイルには弟子が居たんだけど弟子を庇ってオブリビオンになってしまったのよそれに奴らにとってはスターレイルの存在は都合が悪い…』
だからあの時シオンを消そうとしてたのか…
『……どう説得するマスター?』
『ウーンムズカシイナ……ミンナメガシンデヤガル』
エリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)が訪れた魂人の村は、村全体が深い絶望に沈み込んでいた。彼女の仲間である二体の邪神龍、エキドゥーマとブラッドムーンもこの雰囲気に戸惑っている様子だ。
「どうしたものか……」
今回の依頼内容はここにいる魂人達を闇の救済者の砦まで連れて行く事だが、単なる言葉で呼びかけただけでついて来てくれる者がどれだけ居ることやら。どうすれば彼らを説得できるだろうかと、エリンが頭を悩ませていると――。
『大丈夫よ……皆』『皆……助けに来たぜ』
「あっアルコとミリアじゃないか!」
そこに現れたのは【虹炎の神・エストレジャ・アルコイリス“俺の彼女”】で召喚された虹炎の神、アルコイリスとミリアスリラ。邪神龍と同様エリンの仲間である彼らは、この世界とも浅からぬ縁を持つらしい。迷える人々を導くのは神の務めだろう。
『俺は虹炎の神エストレジャ・アルコイリス!』『同じく、虹炎の神エストレジャ・ミリアスリラ』
『私は虹炎の神レーヴ・アルカンシエル! 虹炎の神……の見習いなのだわ!』
二柱に混ざってひょっこり名乗りを上げる者がもう一人。こちらはリュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)に呼び出された虹炎の神見習い、アルカンシエルである。まだ未熟とはいえその力は神に連なるもの、身に宿した虹色の炎が煌々と輝いていた。
「私達も虹炎の神の門下生なんだ! 今回此処に来たのはこの村を救いに来たんだ!」
「虹炎の神……」「それって、あの伝説の……?」
オブリビオンを倒し人々を救う神の伝説は、この村にもお伽噺として伝わっていたようだ。四層からの転生者である彼がが知るそれは古くからの言い伝えではなく、エリン達のダークセイヴァーでの活躍が武勇伝として形を変えたものだろう。その本人からの呼びかけを受けて、何人かの村人が振り返った。
『遅れて済まない!』『もう大丈夫よ……』『えい!』
アルコイリスとミリアスリラ、それにアルカンシエルの三人は、虹色の炎で村人達の身体を温め、自由を操る力で精神力を回復させていく。身を焦がすような熱さではなく包み込むようなぬくもりは、この階層に来てから魂人達が初めて感じるもの――暗く虚ろだった皆の目に、少しだけ光が戻った。
『あっ……アルコイリス様とミリアスリラ様が村人達の精神力を回復させている……!』
「へぇ~虹炎って何でも出来るんだね! エリン達がいつも使っている力だよね! 凄いや!」
その様子を見ていたのは【時空剣士・ウール・エスパス】とソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)。弱体化したとはいえ神であるエスパスは先輩達に憧れの眼差しを向け、ソラウはまさに万能とも言える虹炎の力に感心する。
「ん? あれは……」
この調子で村人の説得も上手くいけば良かったのだが、ソラウは神々や猟兵だけでなく変な生き物が村に紛れ込んでいるのに気付いた。それは胴体が妙に膨らんだ、黄金色の神々しい輝きを放つヘビ――異世界ではツチノコと呼ばれる伝説の生物だ。一応オブリビオンではなさそうだが、何をしているのだろう。
<目を覆う事しか出来ない絶望的な状況で……現れたのは自由の神……>
「おぉ……」「なんと……!」
どこからともなく群れをなして現れたツチノコは、流暢な人間の言葉で周りの村人達に話しかける。それは絶望から人々を救う神々の伝説。実際に虹炎神の力を体感した今なら、単なるお伽噺ではないと分かるだろう。村人はみな縋るように話を聞いている。
「てめぇは!」
『……あっ?!』
それを見つけたリュカシオンと精霊王アロナフィナが、素っ頓狂な驚きの声を上げる。あのツチノコはユーベルコード【無限の意味不明なツチノコ】により異世界から召喚されたもの。一応召喚者のはずのリュカシオンの意に沿わず、勝手に行動する困りものだ。
「……あの時シオンが言ってたツチノコ?!」
ソラウもその反応でリュカシオンから聞いた話を思い出す。なんでも別の魂人の村でもあのツチノコ達は似たような話を広め、一部の村人によるカルト宗教じみた状況を作り出していた。この時実質的な教祖として祭り上げられる羽目になったリュカシオンは、誤解が解けるまでまあまあ苦労したとか。
<その神の戦闘はまるで絵物語……汎ゆる流体や万物に性質を付与し自由に戦う姿はまさに……ぐわあぁぁぁ!>
「てめぇぇぇぇ! あの時てめぇの話のせいで酷い目にあったんだぞォォ! ソラウにも誤解される所だったわ!」
もちろん当事者であるリュカシオンはその恨みを忘れておらず、怒号と共に「天災邪神鎌龍アズリエル」から斬撃波を放つ。説法中のツチノコ達はまるで無警戒だったこともあり、バラバラに切り刻まれて吹っ飛ばされていった――。
「君……大丈夫?」
<ぐっ……私はただスターレイル様の伝説を伝えているだけなのに……がくっ>
地面で悶絶しているツチノコ達にソラウが話しかけると、彼らは無念そうに消えていった。どうせこれで完全に消滅した訳ではなく、また思い出したように湧いてくるのだろうが。それよりも気になるのは彼らが最期に残した言葉だ。
『スターレイルですって?!』
「誰?」
『星虹神スターレイル……長い間ダークセイヴァーで五卿六眼と戦っていた神の1人よ!』
ソラウはその名前にピンとこなかったものの、エスパスには心当たりがあるようだ。動揺しながら早口でまくし立てる様子から、ただならぬ相手だという事は分かる。ただ、それほどまでに強大な神が実在するというなら、逆に不自然な点もあった。
「でもスターレイルなんて聞いた事も無いけど?」
もしそんな神がいるのなら、先日の闇の救済者戦争に関わってきていてもおかしくないはずだ。交戦した五卿六眼の口からもスターレイルという神の名前は出てこなかったし、ツチノコの話を聞いていた魂人も心当たりはなさそうだ。その理由をエスパスはこう語る。
『……スターレイルには弟子が居たんだけど弟子を庇ってオブリビオンになってしまったのよ。それに奴らにとってはスターレイルの存在は都合が悪い……』
「だからあの時シオンを消そうとしてたのか……」
エスパスの語る内容がどこまで真実かは定かではないが、少なくとも彼女は意図的にウソを吐けるタイプではない。
であれば、いつの日かオブリビオンと化した神と遭遇する時が来るのかもしれない。戦争に勝利したとはいえ、この世界にはまだまだ人類の脅威が残っているのだ。
『オー! コレナラトリデニツイテキテモラエルカモナ!』
『じゃあ私達も村人達と話してみようか!』
それはそれとして今はこの村の件が先決である。ツチノコ騒動の間もエキドゥーマとブラッドムーンは積極的に村人に話しかけ、自分達の事やここに来た理由を説明する。虹炎の自由の力で少しだけ精神的な余裕が生まれた魂人達は、二人の話を興味深そうに聞いていた。
「この村の外に、砦が……?」「そこに行けば、私達も安全に暮らせるんですか?」
『オウ!』『そうよ!』
第四層から漂着した闇の救済者達の「人類砦」は、まだ戦力的には心許ないが拠点としての防衛設備は整っている。
少なくとも「狩りの日」に怯えて生きなければならないこんな村よりは、ずっと安心できるのは確かだ。邪神龍達の積極的なアピールが、村人の心を動かしていく。
「よし! 私はベビーカステラを作るか!」
自分からももう一押しをと考えたエリンは、手持ちの道具と材料で自分の好物を振る舞うことにした。作り方は簡単で甘くて美味しいベビーカステラは、日頃貧しい食生活を送り、甘味など滅多に味わう機会のない魂人にとっては最高のごちそうだろう。
「なにこれ!」「あまーい!」
特に村にいる子供や若者に対して、彼女の作ったベビーカステラは好評だったようだ。これで少しでも猟兵への信用が上がれば、移住の説得に耳を傾ける者も増えるだろう。徐々にではあるが、絶望に支配されていた村の雰囲気に変化が生まれつつあった。
『師匠……俺はちゃんとやれているかな?』
そんな村と人々の様子を見守りながら、アルコイリスが小さな声で呟く。普段の彼とは異なる哀愁の漂う表情で。
か弱きヒトを守り、オブリビオンから救う神としての使命。それを教えてくれた、ここには居ない"誰か"の面影を、彼はずっと見つめているようだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線
この眼…あの時の妾と同じじゃ…
村を訪れて村人達の目を見て泣きそうになる妾
どれ程の絶望を味わったのじゃ…?おのれ…奴ら許せん!
妾は憤慨していたがしばらくして深呼吸してから村人の1人に話しかける
ど…どうしたのじゃ?お主、浮かない顔じゃなよければ話を聞くぞ?
あわあわしながらも村人に話しかけた
村人は似ていた昔の自分にハージェスに裏切られ全てを失った時の自分に
…今まで良く頑張ったのう、もう大丈夫じゃ妾が…妾達がいる!
強い眼で村人を見る妾
妾も信じていた仲間に裏切られて全てを失った…絶望していた所に救いの手を差し伸べてくれた仲間がいたから今の妾がいる…今度は妾がお主らを助ける!妾を信じてくれないか?
黎明・天牙
夢幻戦線
『ペロペロペロ』『ペロペロ』『ペロロペロペロ』『ペロペロペロ』『ペロペロペロペロ』『ペロペロペロペロ』
UC狂気の連雀レンジャーズで出てきた雀達と村人達がアイスクリームを舐めていた
そして…
『旨いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!』×∞
村人と雀達は地面に寝転がりながらヘッドスピンをし始めていた
『…天牙の仕業だ!』『あいつ!何やってんのよ!』
村人を説得していたティニはぽかんとしていたがヴォルガとリズはすぐに俺の仕業と決めつけて来た(天牙のせい)
ヴォルガとリズとティニがくる前に雀達(ダンスを踊っている)を乗せてキャンピングカーに乗って登場
皆さ〜ん、気分が沈んでいるならアイスクリーム食べますか〜?
『プリーズゥゥゥ!』
村人達は困惑しているが雀がアイスクリームを要求してくる
ほら、やるよ
紫のアイスを渡して食べて貰うと…
旨いぃぃぃ!とブレイクダンスをし始めた
そして村人達もアイスクリームを舐めまくって冒頭に戻る
『材料は?』『怪しい物入ってない?』
プラシーボ効果だ
『本当だから質が悪いわ…』
邪神君も呟いた
「この眼……あの時の妾と同じじゃ……」
深い絶望に染まった魂人達の目を見ると、レティシア・ハルモニアス(奪われた全てを取り返す為に〜吸血鬼戦線〜・f40255)の胸は張り裂けそうになる。かつては吸血鬼の王として異世界に君臨しながら、裏切りと敗北により一時は奴隷にまで貶められた彼女には、ここにいる者達の気持ちが痛いほど分かる。
「どれ程の絶望を味わったのじゃ……? おのれ……奴ら許せん!」
彼らをここまで苦しめた闇の種族の邪悪さに憤慨するが、今は報復よりも彼らをこの村から救い出すほうが先決だ。
しばらくして冷静さを取り戻したレティシアは、気を静めるように大きく深呼吸してから村人の1人に話しかけた。
「ど……どうしたのじゃ? お主、浮かない顔じゃなよければ話を聞くぞ?」
「どうしたもこうしたもないさ……」
あわあわしながらも話を聞こうとするレティシアに、村人は重いため息を吐きながら、自分達の窮状について語る。
どんなに働いても楽にはならない暮らし、飢えや病、夜の寒さに耐えながら、刻一刻と迫る「狩りの日」に怯えながら生きる日々。いっそ死んだほうが楽なのではないかと思う【永劫回帰】の苦しみが、彼らの心身を蝕んでいた。
「『狩りの日』が来るたびに、みんなだんだんおかしくなってくるんだ。俺ももう、いつまで正気でいられるか分からない。あと数日もすれば、奴らがやって来る……」
逃げられない恐怖、定められた破滅。この村にいる者達はみな自分の境遇に打ちひしがれ、抵抗する気力さえ失っている。抗っても無駄だという事を「狩り」のたびに思い知らされてきたのだろう。彼らがより深く、より長く絶望することが闇の種族の望みであり、最高の娯楽なのだ。
「そうか……辛かったのう」
ここの村人達は昔の自分に似ている――側近ハージェスに裏切られ、全てを失った時の自分に。かつての辛い記憶をまざまざと思い起こし、レティシアはぐっと奥歯を噛みしめる。そして、だからこそこの者達を救ってやりたいという気持ちが心の底から湧き上がってきた。
「……今まで良く頑張ったのう、もう大丈夫じゃ妾が……妾達がいる!」
強い眼で村人を見つめるレティシア。その表情に奴隷時代の弱々しさはなく、絶望に立ち向かう勇敢な猟兵の顔だ。
その熱い真っ直ぐな眼差しは冷え切った心にも届いたようで、村人は驚いたように目を丸くしている。闇の種族の恐ろしさは彼女も知っているだろうに、どうしてそんな顔ができるのかと。
「妾も信じていた仲間に裏切られて全てを失った……絶望していた所に救いの手を差し伸べてくれた仲間がいたから今の妾がいる……」
ならば次は自分が手を差し伸べる番だと、その時が今なのだと、レティシアは絶望に疲れ果てた村人に手を伸ばす。
彼らにまだ、一欠片でも未来への希望が残っているのなら、この窮状を変えたいと望むのなら、変えられるはずだ。
「今度は妾がお主らを助ける! 妾を信じてくれないか?」
「……わかった。もう一度だけ、信じてみよう」
村人は最初戸惑っていたが、レティシアの真摯な訴えかけについに心動かされ、差し出された手をおずおずと握る。
相手の手から伝わる微かなぬくもりは、まだ彼がここで生きている証。それをしっかりと握りしめながら、吸血鬼の少女は優しい微笑みを浮かべた。
『ペロペロペロ』『ペロペロ』『ペロロペロペロ』『ペロペロペロ』『ペロペロペロペロ』『ペロペロペロペロ』
――と、レティシアが真面目な説得を行っている裏で。村の一角では奇妙なスズメの群れが数名の魂人を巻き込んでアイスクリーム(どこから持ち込んだのだろう)を舐めていた。常夜の地下世界ダークセイヴァーでは四季の変化は分かりづらいが、暦の上ではそろそろ夏。冷たい甘味が欲しくなる季節だが、にしてもシュールな光景である。
『旨いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!』
さらにはスズメと村人達は寝転がりながらヘッドスピンまで始め、もはやシュールでは済まない奇行の集団と化す。
幾ら何でもあまりに空気感の違いすぎる光景を前にして、無関係の村人やレティシアはぽかんとするしかなかった。
「なんじゃアレは……?」
「……天牙の仕業だ!」「あいつ! 何やってんのよ!」
状況が掴めないレティシアとは対照的に、この異常が誰のせいなのかすぐに見抜いたのは二人の獣人。レティシアと同じ「夢幻戦線」のメンバーであるヴォルガとリズだ。彼らが言っているのは戦線のリーダーにして最大の問題児こと黎明・天牙(夢幻戦線のリーダー『パラダイス・ブレイカー』・f40257)の事である。
『ペロペロ……旨いぃぃぃぃ!』
あのアイスクリームを舐めて踊り狂っているスズメは、彼がユーベルコードで召喚した【狂気の連雀レンジャーズ】だ。どうやらレティシア達が到着するよりも少し早く、天牙はこの村に来ていたようだ。目的自体は同じだろうが、彼が普通の説得などやらない事は戦線のメンバーなら全員分かっている。
「皆さ~ん、気分が沈んでいるならアイスクリーム食べますか~?」
事の経緯はこうだ。キャンピングカーに乗って村を訪れた天牙は、にこやかな笑顔でアイスクリームを取り出した。
村人達は困惑していたが、どこからともなく現れたスズメレンジャーズが『プリーズゥゥゥ!』とそれを要求する。
「ほら、やるよ」
『旨いぃぃぃ!』
やけに鮮やかな紫色のアイスを渡して食わせると、スズメ達は狂喜乱舞してブレイクダンスを始める。あまりの超展開に村人は理解が追いつかないが、キャンピングカーから漂ってくる甘い香りについつい食欲を刺激される。この世界で甘味、ましてや氷菓子など滅多に手に入らないものだからだ。
「そ、そんなに美味しいの……?」「私も一口……」
という訳で、好奇心に負けた一部の村人がアイスクリームを食した結果が、レティシア達の見た光景に繋がる訳だ。
確かに彼らはもう絶望してはいないが、違う意味でヤバい精神状態になっている気がする。初めてアイスを食べたにしてもリアクションが独特すぎやしないか。
「材料は?」「怪しい物入ってない?」
「プラシーボ効果だ」
ヴォルガとリズが問い詰めても天牙はそう答えるのみ。傍らを飛んでいる虫型の邪神【顕現夢幻蝉・8月の破滅】も『本当だから質が悪いわ……』と呟く。流石に一服盛って魂人の不安を吹き飛ばすほど彼も外道ではなかったらしい。
結果だけを見れば、説得の効果は上々と言えるだろう。このまま絶望の淵に沈んでいくよりは、空元気でも前向きになってくれたほうが、希望の持ちようもあるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
狩りの日……なるほど、闇の種族らしい悪趣味だ
だが、今回からはその意味が逆転する!
【大声】と共に現れ、魂人たちの前に姿を見せる
疲れ切った彼らにとって、生命力に満ちた堂々たる姿(威厳・存在感)はまさに異物
視線を集めるのに苦労はしない筈(おびき寄せ)
この世界を支配していた五卿六眼、その一角たる祈りの双子
彼奴らは此度の戦にて、我ら猟兵が討ち滅ぼした!
無論、すべての脅威が消え去ったわけではない……
だが、しかし! 倒せるのだ! 克服し、凌駕できる!
もはや我々は、ただ怯えるだけの供物ではない!
奴らに叛逆の牙を突き立てるのだ!
【戦神の咆哮】の光が、身体だけでなく、心の傷まで回復させ魂人に【勇気】を持たせる
「狩りの日……なるほど、闇の種族らしい悪趣味だ」
時間をかけて人々の心に恐怖と絶望を刻みつけ、玩具を弄ぶように蹂躙する。もはや見慣れた闇の種族の悪辣さに、怒りを燃やすのはオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。陰鬱な空気に包まれた村の雰囲気を目にすれば、どれだけ凄惨な所業がここで行われてきたのかは想像がつく。
「だが、今回からはその意味が逆転する!」
「え、えっ……?」「あ、貴女は……?」
大声と共に姿を現し、魂人達の前に姿を見せると、周囲の注目は彼女に集まる。疲れ切った村人にとって、生命力に満ちた堂々たる姿はまさに異物。俯かず、曇らず、凛とした威厳と存在感を示せば、誰もが眩しそうに視線を向けた。
「この世界を支配していた五卿六眼、その一角たる祈りの双子。彼奴らは此度の戦にて、我ら猟兵が討ち滅ぼした!」
つい先日あったばかりの闇の救済者戦争にて、自分達が掴み取った戦果。それをオリヴィアは村人の前で公言する。
眼の前の現実で精一杯の人々には、世界の命運を賭けた戦いなど雲の上の出来事だったろう。だが、闇の種族よりもさらに上位の存在が斃されたという話は、驚きをもって受け止められた。
「ほ、本当に?」「一体どうやって……」
オブリビオンの邪悪さと強大さを身をもって知る彼らだからこそ、にわかには信じがたい事実。しかしオリヴィアの振る舞いに虚言を弄している素振りは一切なかった。証拠がなくとも伝わるものだ、魂から発せられた真実の言葉は。
「無論、すべての脅威が消え去ったわけではない……だが、しかし! 倒せるのだ! 克服し、凌駕できる!」
此度の戦争で滅ぼされた五卿六眼は二体。今だ半数以上が健在であり、この世界は依然として闇に支配されている。
それでも彼奴らの支配が絶対的なものでは無いことを猟兵達は証明した。百年に渡って変化のなかったダークセイヴァーに、変革の時代が訪れようとしているのだ。
「本当に、倒せるのか……」
魂を込めたオリヴィアの訴えは、黄金の輝きとなって村を照らす。その光を受けた魂人達は、いつしか忘れ去っていた感情が胸の奥から湧き上がるのを感じた。苦痛に屈さず、困難を乗り越え、絶望に抗う、"勇気"という名の感情が。
「もはや我々は、ただ怯えるだけの供物ではない! 奴らに叛逆の牙を突き立てるのだ!」
高らかにオリヴィアが放った【戦神の咆哮】の光は、身体だけでなく心の傷まで回復させ、魂人達に勇気を与えた。
黄金に輝く聖槍を突き上げれば、それに呼応して何人もの村人が拳を掲げる。彼らの目はつい先程までの死んだ魚のような目ではない。
「やれるのか……俺たちにも!」「いや、やってやる! ここで殺されるくらいなら!」
狩られるだけの奴隷から、新たな闇の救済者の一員として。勇気と希望を取り戻した魂人達の熱気は、他の村人にも伝播していく。骸となるにはまだ早い、今こそ立ち上がる時だと、彼らは猟兵と共に絶望に立ち向かうと決めた――。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加
必死に生き延びてきた事も
失ってきた人達の事も
此処までの全ての日々がどれだけ辛かった事か
でも相棒の言う通りだ
すぐに全てが解決なんて難しい
「あぁ、まず一歩だ」
相棒の作るお菓子は何よりも元気になれる
皆に配るのを手伝いながら、俺は人々の観察に回ろう
観察した上で、元々感じていた点が確信を持てると思う
「今までの辛さも分かる。それでも、生きていたいんじゃないか?」
「辛い日々の繰り返しじゃない…皆、進む事を選んでいたんだよ」
戦えとも命をかけろとも言うつもりはない
今まで散って来た仲間達の為にも
そして進んできた彼ら自身の為にも
「俺達も一緒に戦う。だから…これからも生きてみないか?」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
直ぐに平和にはならない
問題を一つずつ片づけ敵を潰し
いつか皆が笑顔で暮らせるように
今のこれはその為の第一歩
相棒と二人で赴こう
「こういう時お役立ちなんだよねこれ」
材料はうんと持ってきた
勿論何もかも良くならないのは知ってるけど
「少しでも元気を、癒しを!」
心からそう望んでお菓子をどうぞ詠唱
出来た沢山のお菓子を配りながら
相棒と二人で魂人たちを精一杯励ます
「絶対に見捨てない」
「明るい明日を迎えられるよう頑張るよ」
明日を命を生きていけるように
その為には此処を出る勇気一つだけで良いと
「道は俺達が作る」
一人一人真っ直ぐ目をみてはっきりと
絶対に護り抜いて見せるから一緒に行こうと告げよう
「直ぐに平和にはならない。問題を一つずつ片づけ敵を潰し、いつか皆が笑顔で暮らせるように」
戦争が終わり、フォーミュラが斃れても、ダークセイヴァーは今もまだオブリビオンの支配下にある。葛城・時人(光望護花・f35294)はその事実を受け止めた上で、自分に為せる務めを果たそうとしていた。どんなに闇夜が長くとも、夜明けの時は必ず訪れる。前進する事を諦めない限り。
「今のこれはその為の第一歩」
闇の種族の支配から魂人の村を救い、闇の救済者の砦に送り届ける。そのために彼は必要な物を揃え、相棒と二人で現地へと赴く。彼の隣には学生時代からの縁である無二の友人、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)がいた。
「あぁ、まず一歩だ」
時人の言葉に頷きながら、村に足を踏み入れる陸井。現地の様子はまさに陰鬱の一言で、墓場のほうがまだここより活気があるかもしれない。毎月やって来る「狩りの日」によって精神を擦り減らし、希望も気力もなくした幽霊のように生きる魂人達の姿が、そこにはあった。
(必死に生き延びてきた事も、失ってきた人達の事も、此処までの全ての日々がどれだけ辛かった事か)
それでも相棒の言う通り、すぐに全てが解決なんて難しい。近道せずに一歩ずつ、目前の問題に取り組んでいくしかないのだ。悠長に感じる時もあるかもしれないが――彼らはそうやって自分達の世界も救ってみせた。あの青春時代と同じ事を、もう一度続けるだけだ。
「こういう時お役立ちなんだよねこれ」
村の中央にある広場にて、まず時人は食材を並べる。詠唱するのは【お菓子をどうぞ】、短時間で大量の料理を作るユーベルコードだ。本職のパティシエも顔負けの手際とスピードで調理器具を振るえば、甘い香りが村に漂い始める。
「少しでも元気を、癒しを!」
勿論何もかも良くならないのは知っているが、心からそう望んでお菓子に気持ちを込める。ただでさえ貧しい暮らしを送っている魂人の村では、甘味を食べる機会なんて皆無だろう。これならきっと彼らも興味を持ってくれるはずだ。
「いい匂い……」「これ、食べていいの?」
「もちろん。どうぞ」
最初にやって来たのは好奇心旺盛な子供達だった。じぃっと物欲しげな眼差しに時人は笑顔で答えると、できたてのチョコチップ入りパンプキンケーキを食べやすい大きさに切り分ける。他にもクッキーやカステラなど、村人全員に行き渡る数のお菓子がそこにはあった。
「わぁっ……あまーい!」「おいしい!」
「相棒の作るお菓子は何よりも元気になれるからな」
喜びの表情を見せる子供らを微笑ましく見つめつつ、陸井もお菓子を配るのを手伝う。甘い匂いに誘われてか、気付けば大人達も集まってきていた。どんなに絶望している時でも腹は空くというが、それだけ時人のお菓子が魅力的だということだろう。
「こんなの食べたの、初めてだ……」
お菓子を受け取った村人の中には、頬張りながらぽろぽろと涙を流す者までいた。絶望の中でささやかな安堵と喜びを得て、溜まっていた感情が決壊したのだろう。その様子を観察するように見ていた陸井は、やがてぽつりと呟いた。
「今までの辛さも分かる。それでも、生きていたいんじゃないか?」
「え……?」
元々感じていた点だが、彼らの涙で確信が持てた。すっかり抵抗を諦めているように見えても、彼らは心の奥底では生きたいと望んでいる。泣けるのはまだ精神が死んでいない証だ。それは人としては当たり前の、けれど大切なこと。
「辛い日々の繰り返しじゃない……皆、進む事を選んでいたんだよ」
「そう……なのかな?」
人々は戸惑っている様子で陸井の言葉に耳を傾ける。当の本人達ですら、自分の中にそんな気持ちがまだ残っていたなんて気付いていなかっただろう。希望と呼ぶにはあまりにもちっぽけな感情だが、それがあれば現状を変える可能性は残っている。
「俺達と一緒に進もう」
時人も相棒と一緒になって、村人達を精一杯励ます。この村を出た先には闇の救済者の砦があり、そこまで辿り着けばここより安全な暮らしができること。自分達はそのためにここに来たことを伝え、皆でここを脱出しようと伝える。
「絶対に見捨てない」
明日を命を生きていけるように、その為には此処を出る勇気一つだけで良いと、時人は真摯な表情で魂人達に語る。
幾度も絶望を刻みつけられた「狩りの日」のオブリビオンに逆らうのは恐ろしいだろう。だが、自分達猟兵がともに戦えば、決して勝てない相手ではない。
「明るい明日を迎えられるよう頑張るよ」
「……あなた達は、なぜ」
どうして彼らはそこまでしてくれるのかと、魂人達は不思議に思う。けれど、彼らにとってそれは当然の事だった。
力なき者の盾となり、生命を護るために邪悪と戦う。学生だった頃から変わらぬ誓いを、今も彼らは背負っている。
「道は俺達が作る」
「戦えとも命をかけろとも言うつもりはない」
今まで散って来た仲間達の為にも、そして進んできた彼ら自身の為にも、必ずや未来を拓いてみせると二人は誓う。
一人一人の目を真っ直ぐ見て、はっきりと意志を伝え。差し伸べる手に迷いはなく、優しさと力強さに満ちている。
「俺達も一緒に戦う。だから……これからも生きてみないか?」
「絶対に護り抜いて見せるから、一緒に行こう」
魂人達は彼らのことをまだ良く知らない。けれど告げられた言葉に嘘偽りはないと、それだけははっきりと分かる。
この人達となら本当に、終わらない絶望を終わらせられるかもしれない――もう一度、希望を持ってみることにした人々は、彼らの手をそっと握りしめた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フラーウム・ティラメイト
オベイはとっても可愛いですね…
『ケー?』
前をふわふわと浮いているオベイに話しかける私
『フラーウム、今回は村人の説得が先ですよ』
私は久しぶりにマーアリアと村に来ました
あっ村人発見ですね、こんにちは
私は疲れ切っている村人に話しかける
『こんにちは突然申し訳ありません…』
マーアリアはお辞儀をしながら因果を捻じ曲げてモラカーに積んでいた料理を出していた
『よう…フラーウム』『…疲れたのう、はよ村人達に料理を配れ』
ソドムとソニアが疲れ切っていた朝から料理を作っていた
『皆さん、まずは腹ごしらえが重要ですよ…』
マーアリアが村人達を集めて因果を捻じ曲げて料理を配った
村人達が美味しそうに料理を食べる
これなら説得出来るかも知れないですね!
私は食事を食べている村人達を説得してみた
村人達は徐々に目に光が戻っていく…
『二人共…ありがとうございます。後は任せて因果国に戻ってゆっくり休んで下さいね』『おう…頑張れよフラーウム』『温泉でも入るかのう…』
ソドムとソニアは因果国に帰って行った
二人の分まで頑張りますよ!
『ええ…』
「オベイはとっても可愛いですね……」
『ケー?』
自分の前をふわふわ浮いている鳥型の封印石「ディストーション・オベイ」に話しかけるフラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)。村の状況に比べて随分と呑気そうな様子を、彼女の保護者役にあたる【因果獣皇・因果の支配者】ことマーアリアがたしなめる。
「フラーウム、今回は村人の説得が先ですよ」
「はい、わかっています」
次の「狩りの日」が来る前に、この村に住んでいる魂人達を説き伏せないといけない。このまま絶望の底に沈んでいく魂を救い上げ、闇の救済者達の砦まで送り届けるのが今回の依頼だ。もちろん、フラーウムも忘れたわけではない。
「あっ村人発見ですね、こんにちは」
村に入って最初に見つけた村人に話しかけるフラーウムだが、返事は「……ああ」と生気のないもの。瞳は死んだ魚のように濁り、表情からは"哀"以外の感情が抜け落ちている。他の村人も大なり小なりそんな具合で、この村が受けてきた仕打ちの悲惨さを物語っていた。
『こんにちは突然申し訳ありません……』
マーアリアもフラーウムに続いて丁寧にお辞儀をしながら、まずは少しでも彼らに生きる気力を取り戻してもらわないといけないと考え、因果を捻じ曲げて「モラ・キャンピングカー」を呼び寄せる。その車内にはこの為に用意された料理が大量に積み込まれていた。
『よう……フラーウム』『……疲れたのう、はよ村人達に料理を配れ』
キャンピングカーの中にいたのは因果獣のソドムとソニア。朝からずっと台所で料理を作っていて、ヘトヘトに疲れ切っている。しかし頑張った甲斐はあったのか、車内から漂ってくる美味しそうな匂いに、村人も「なんだ……?」と反応している。
『皆さん、まずは腹ごしらえが重要ですよ……』
「お、おお……」「おいしそう……」
マーアリアは村人達を車の周りに集めて、用意した料理を配り始める。どれもこの世界では滅多に食べられないものばかりで、中には見たこともないような品もある。どんなに心が絶望していても身体のほうは正直で、皆のお腹からぐうと虫の音が鳴った。
「いただきます……う、うまっ」「美味しい!」
一口するなり村人達は料理の美味しさに目を丸くして、食べることに夢中になる。よほど腹をすかせていたのだろうし、ソドムとソニアの料理の腕が良かったのもあるだろう。さっきまでの暗さと比べれば随分とイキイキした様子だ。
「これなら説得出来るかも知れないですね!」
雰囲気が変わるのを感じ取ったフラーウムは、今がチャンスと村人の説得に取り掛かる。自分達がここに来た理由、近隣に転移してきた人類砦などについて語ると、人々の目には徐々に光が戻っていく――それは、魂人に転生してから久方ぶりに感じた"希望"だった。
「本当に、そこに行けば助かるのか?」「私達を、助けてくれるの?」
「はい!」
不安と期待が入り混じった人々の眼差しに、フラーウムははっきりと答えた。もう理不尽な「狩り」に怯えなくてもいいと、自信を持って力説する。これだけの料理を村人に振る舞えることもまた、彼女達の力を証明する一端だろう。
「……わかった。信じるよ」「まずは、おかわり貰ってもいいか?」
繰り返される蹂躙に疲弊しきっていた村人達は、もう一度だけ絶望に抗ってみることにしたようだ。ぎこちなくも笑顔を浮かべ、空っぽになった器を差し出す。それは、これからも「生きていく」という、彼らなりの意思表明だった。
『二人共……ありがとうございます。後は任せて因果国に戻ってゆっくり休んで下さいね』
『おう……頑張れよフラーウム』『温泉でも入るかのう……』
影の功労者として仕事を果たしたソドムとソニアは、マーアリアに労われながら自分達の国に帰っていく。この後はフラーウム達の仕事だ。口にした言葉をウソにしないために、無事に魂人達をこの地獄から救い出さないといけない。
「二人の分まで頑張りますよ!」
『ええ……』
フラーウムもマーアリアも気合いは十分。村人達と一緒になって腹ごしらえをしつつ、脱出に向けて準備を始める。
忌まわしき『狩りの日』の到来はもう間もなく。しかし、それを恐れる者の数はもはや少なくなりつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
強大な敵が倒れ、争いにも一区切りがついたが…
未だに、闇に怯える人々がいるのも事実か
ならば手を尽くして助けなければ、あの戦いに勝利したとは言えまい
私達が奴らを狩る猟兵であり、彼らを助けられるだけの力がある…
と言うだけなら簡単だが、それでは彼らもすぐに納得はするまい
まずは力を見せなければな
まぁ話は後だ
とりあえずは腹を満たそうか
UCを発動
ボリードポーチから新鮮な食材を取り出して料理を行う
作るのはオードブル…と言っても前菜ではなく、大皿に大量に盛られた料理達だ
唐揚げやコロッケや春巻きと言ったフライに、枝豆やオリーブにサラダ等の野菜
ハンバーグやローストビーフと言った肉類に海老のエスカベッシュやスモークサーモンと言った魚介類
ありとあらゆる料理を乗せた大皿を10秒で大量に作り出せば彼らも驚くだろう
まずは腹を満たせば、私の説得にも耳を傾けてくれるはずだ
私達の力はこれだけではない
君達を狩ると言う者達から守れるだけの力も持っている
だから、どうか私達を信じて付いてきて欲しい
悪いようにはしないさ
「強大な敵が倒れ、争いにも一区切りがついたが……未だに、闇に怯える人々がいるのも事実か」
ダークセイヴァーの情勢を変える分水嶺であった『闇の救済者戦争』の勝利。その影響は確実に出始めている一方で既存のオブリビオンによる支配体制は根強い。戦争に直接関わることのなかった闇の種族などは、変わらず魂人を虐げ続けているのだろう。
「ならば手を尽くして助けなければ、あの戦いに勝利したとは言えまい」
まだ世界が猟兵の力を必要としているのなら、迷う理由はないとキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は意気込む。戦争の時ほど激的な戦いではなくても、こうした積み重ねがきっと世界の救済に繋がっているのだから。
(私達が奴らを狩る猟兵であり、彼らを助けられるだけの力がある……と言うだけなら簡単だが、それでは彼らもすぐに納得はするまい)
まずは力を見せなければな、とキリカが即座に判断するほど、訪れた村の雰囲気は陰鬱だった。毎月の「狩りの日」で心身を蹂躙され、恐怖と絶望を刻みつけられた魂人達は、明日に希望を抱くこともできずに死んだような日々を送っている。このままではどんな良き知らせも芯には届くまい。
「まぁ話は後だ。とりあえずは腹を満たそうか」
そこで彼女は腰につけた赤いボリードポーチから食材を取り出して【ア・ラ・カルト】を発動。プロのシェフも驚く程の手際の良さで料理を始めた。作るのはオードブル――と言っても前菜ではなく、大皿に大量に盛られた料理達だ。
「ん……この、においは……?」「えっ、うわあ……おいしそう!」
唐揚げやコロッケや春巻きと言ったフライに、枝豆やオリーブにサラダ等の野菜。ハンバーグやローストビーフと言った肉類に海老のエスカベッシュやスモークサーモンと言った魚介類まで、ありとあらゆる料理を乗せた大皿が、ほんの10秒で完成する。これには陰鬱に沈みきっていた村人達も、驚きを隠すことはできなかった。
「|Bon appétit《さぁ、召し上がれ》!」
出来上がった大量の料理を、キリカは集まってきた人々に笑顔で振る舞う。生きる気力を取り戻すために、一番単純で欠かせないのが食事である。心が死にかけている時でさえ、身体は自然と食欲に導かれる。まずは彼らの腹を満たせば、こちらの説得にも耳を傾けてくれるはずだ。
「食べていいの?」「じゃあ、いただきます……」
最初の内は恐る恐るといった様子で料理に手をつける村人達だったが、その表情はすぐに一変する。転生前を通じて一度も食べたことがないような豪華なオードブルは、他の事が頭から一瞬吹き飛んでしまうくらい衝撃的だったのだ。
「おかわりが欲しければ言ってくれ」
食事に夢中になる魂人達に合わせて、キリカは追加の料理を作りだす。必要な食材は亜空間の収納庫となったボリードポーチに十分保管されており、この村の人数なら尽きる心配はない。魔法のように生み出されていく料理の数々に、皆はただただ驚嘆するばかりだ。
「私達の力はこれだけではない。君達を狩ると言う者達から守れるだけの力も持っている」
十分に人々の腹が満ちるのを待ってから、キリカは改めて自分達がここに来た理由を語る。近々訪れる「狩りの日」から皆を救い出し、安住の地となりうる場所まで送り届けるために来たのだと。さっきまでは都合が良すぎて信じられないような話でも、その力の一端を知った今ならば一考するに値しよう。
「だから、どうか私達を信じて付いてきて欲しい。悪いようにはしないさ」
「そこまで仰るのでしたら……」「わかりました。あなた達を信じます」
優しい笑顔で熱心に説得を続ければ、心動かされた村人達はついに首を縦に振る。このまま絶望して魂を磨り減らすよりも、もう一度希望をもってオブリビオンに立ち向かう道を選んだのだ。オードブルの皿が空になる頃には、彼らの決意も固まっていた。その瞳はもはや虚ろではなく、生きたいという意志が宿っている――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『腐肉をあさる獣』
|
POW : 忍び寄る
自身と武装を【竜巻】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[竜巻]を飛ばして遠距離攻撃も可能。
SPD : 食らいかかる
【自身や味方の肉】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【捕食形態】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ : 咆える
【遠くまで響く咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:ナフソール
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ウオォォォォォーーーーーン……」
猟兵達が魂人の説得を成功させてからさほどの時を置かず、村の外から獣の遠吠えが聞こえてくる。
それは「狩りの日」の始まりを告げる号令。闇に包まれた地平の彼方から、百体近くもの獣の群れが姿を現す。
「き、来た……!」
「ヤツらだ……!」
村人達が恐れと忌避をもって呟く、彼奴らの名は『腐肉をあさる獣』。
その姿は大型犬に似た異形であり、触手状の尾を揺らめかせ、口からは舌とよ涎を垂らす様は飢えた野獣そのもの。
知能は低く、ただ目についた肉を喰らう事しか考えられない、闇の種族が遣わした猟犬である。
「グルルルルルッ……!」
彼奴らは「狩りの日」が来るたびに村に現れ、住民を蹂躙し貪り食らった。
その犠牲になった魂人は数知れず、【永劫回帰】で生き延びた者の心にも深い傷が残されている。
しかし、今宵の村人達はもう、これまでのようにただ狩られるだけの獲物でいる気はなかった。
「ま、負けるもんか……!」
「俺達はここを出ていくんだ!」
声は震え、表情は引きつっていたが、希望と抵抗の意志を取り戻した彼らに迷いはない。
その想いを無駄にしないために、猟兵達も戦闘態勢を取る。
あの獣どもを蹴散らして「狩りの日」を終わらせ、この村を脱出する。
絶望の輪廻を断ち切り、希望の明日を手に入れるための戦いが幕を開けた。
ソラウ・エクステリア
🦃と♪
あっフラーウムさん!
フラーウムさんと合流出来たので敵と戦闘する
『行くわよ!』
エスパスさんが敵に斬りかかる
甘いわ…!
敵は捕食形態になってエスパスさんに襲い掛かるが時空魔法で瞬間移動して敵の後ろに回り込み斬撃波を放つ
(神の力を失ったエスパスさんが虹炎の神アルコイリスの所での修行の成果である)
行くよ!
僕は敵の攻撃に対して結界術で防ぎながら念動力を纏った衝撃波を敵に放つ
『来て、ラーミア!』
エスパスさんが叫ぶ
『ラーミアなのだ!』バァーン
『エスパスに呼ばれたのだ!』バァーン
『魂人をイジメる奴を消すのだ!』バァーン
『因果滅殺転生波を撃つ準備は出来ているのだ!』バァーン
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=47974でエスパスさんと仲良くなったラーミアをUC狂気の生命体ラーミア“因果滅殺転生波”により召喚
『ワハーン』×∞バァーン
ラーミア達は因果滅殺転生波を敵に放った
行くよ、エスパスさん!
『ええ!』
僕は敵にエスパスさんと超連撃を放ち敵を攻撃する
フラーウム・ティラメイト
🦃と♪
あっソラウさん
私はソラウさんに頭を下げた
『どうもソラウさん』
マーアリアも頭を下げた
『開戦です…!』
マーアリアは凍結攻撃の矢弾の雨を周りの敵に放った
おや…?危ないですね
敵が捕食形態になり襲い掛かるが敵の目の前で結界術で防ぎ弾き飛ばした後指定UC発動してモザイクの嵐を敵に放ち敵を消滅させた
『では…私も』
敵がマーアリアに襲い掛かって来たのでマーアリアは私のUCの効果でUC因果獣皇・因果の支配者を発動
『仲間同士で殺し合いなさい』
マーアリアは因果を操り敵の位置を入れ替えてお互い牙が身体に噛みつき同士討ちになった
終わりです…
私は生命力吸収と魔力吸収の呪殺弾を放った
道を切り拓きましょう!
『ええ…!』
「あっフラーウムさん!」
「あっソラウさん」『どうもソラウさん』
戦いが始まる直前、ソラウとフラーウムは村で合流を果たしていた。朗らかな笑顔でソラウが声をかけると、フラーウムとマーアリアが頭を下げる。敵が襲来するまさにこのタイミングで、知己の相手と共闘体制を取れるのは大きい。
「ウォォーーーーンッ!!」
出現と同時に『腐肉をあさる獣』達が発する咆哮は、忌まわしき「狩りの日」の到来を告げるもの。無慈悲に、かつ残酷に獲物を貪り喰らうそれらは、村人達にとって恐怖と絶望の象徴だっただろう。だが、今ここには猟兵達がいる。
『開戦です……!』
戦いの火蓋を切ったのはマーアリア。因果獣の魔力をもって氷の矢を作り出し、獣の群れへと雨のように降らせる。
触れれば凍りつく矢の雨が敵の出鼻を挫いた隙に、斬り込んでいくのはエスパスだ。時空神としての力は衰えども、彼女には剣技の才がある。
『行くわよ!』
「グ、グルルッ!」
気迫と共に放たれた斬撃が腐肉をあさる獣を切り裂き、穢れた血潮が大地を濡らす。向こうにとっては予想外の抵抗だろうが、それで無様に狼狽するほど雑魚ではなく、まずは貴様らからだと言わんばかりに捕食形態に変身を遂げた。
『甘いわ……!』
「ギャンッ?!」
獣どもが【食らいかかる】寸前、エスパスは時空魔法による瞬間移動で敵の前から姿を消し、その後ろに回り込む。
一度は神の力を失った彼女が、虹炎の神アルコイリスの元で修行を詰んだ成果だ。間髪入れずに放たれた時空剣士の斬撃が、獣どもの背を薙ぎ払う。
「行くよ!」
同時に敵の標的になっていたソラウは、結界術で攻撃を防ぎながら念動力を纏った衝撃波で反撃。不可視の力場が獣の爪牙を弾き返し、吹き飛ばす。いくら「紋章」で強化されていようとも、このレベルのオブリビオンとならもう幾度も戦ってきた。今更彼女達が遅れを取るほどの相手ではない。
「おや……? 危ないですね」
一方のフラーウムも目の前に結界を張って敵の侵攻を弾き飛ばしつつ、【因果獣狂龍皇・フラーウム・ディストラクション】を発動。内なるモザイクの力を解き放ち、触れた者の時間質量を消滅させる極彩色の嵐を戦場に巻き起こす。
『では……私も』
同時にマーアリアも【因果獣皇・因果の支配者】を発動し、真の力を解放。自分に襲い掛かってくる獣どもに狙いをつけ、因果操作で位置を入れ替える。邪魔な獲物を噛みちぎるはずだった鋭い牙は、味方のはずの同族に向けられた。
『仲間同士で殺し合いなさい』
「グギャンッ?!」「ギャオオッ!」
同士討ちを誘発させられた獣どもは悲鳴を上げ、互いの牙で互いを傷つけあう。その無様をあざ笑うかのように吹き荒れるモザイクの嵐は、オブリビオンの根源とも言える「過去」という時間質量を奪い、跡形もなく消滅させていく。
『来て、ラーミア!』
二人が敵を圧倒している間に、エスパスは【狂気の生命体ラーミア"因果滅殺転生波"】を発動。以前別の依頼で仲良くなった謎の梟型生命体「ラーミア」の群れを召喚する。彼らは親しく接する者には友好的だが、ひとたび敵対すれば容赦をしない危険な生命体である。
『ラーミアなのだ!』『エスパスに呼ばれたのだ!』『魂人をイジメる奴を消すのだ!』『因果滅殺転生波を撃つ準備は出来ているのだ!』
バァーンと姿を現したラーミアの群れは『ワハーン』と奇妙な鳴き声(?)と共に不可避の因果滅殺転生波を放つ。
因果律レベルで敵対者を完全に排除する、その恐るべき力ゆえにエスパス達は彼らを次元三大災害の1つに数える。愚かにも彼らの敵意を買った腐肉をあさる獣は、まるで最初からそこに居なかったかのように消え去った。
「行くよ、エスパスさん!」『ええ!』
「グ、グギャアァァァッ!!!?」
この機を逃さずソラウとエスパスは合体技の構えを取り、【時空武神・ウール・エスパスとの超連撃】を発動する。
修行のすえ武神と称される域に達したエスパスと、時空騎士たるソラウによる連撃は、獣風情に耐えられるものではなかった。
「終わりです……」
追い討ちをかけるようにフラーウムはモザイクを指先に凝縮させ、生命力と魔力を吸収する呪殺弾にして撃ち出す。
眉間や胴体に風穴を開けられた獣は二度を起き上がる事なく、自らが腐肉と化して地に還っていく。狩りを遂行する側の者が、駆られる側に回るというこの皮肉。
「道を切り拓きましょう!」
『ええ……!』
このまま魂人達を村の外へ。フラーウムとマーアリア、そしてソラウとエスパスは戦いながら誘導を行う。目指すは闇の救済者の「人類砦」――彼らを無事に第四層からの漂流者達と合流させることが、一同の最終的な目標であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リュカシオン・カーネーション
虹炎の神
やるぞ!アロナちゃん!シエル!
《行きましょう、シオンさん!》
❛やってやるのだわ〜!❜
アロナちゃんとシエルも戦闘態勢を取る
姿を消そうとしているな?
敵が竜巻に包まれ始めたと同時にウチもUC発動
超次元能力とUC無効消滅攻撃の矢弾の雨を放ち敵に攻撃して竜巻で覆われるのを阻止する
《一部は覆われてしまいました…》
アロナちゃんが姿が消えた敵を探している
❛なら、ソナーを使うのだわ!❜
シエルが周りに衝撃波を放ち衝撃波の波が不自然に揺れた所を見つける
❛アロナ!❜《こっちに居るんですね!》
アロナちゃんは炎と風と水の竜巻を敵に放ち吹き飛ばす
よっしゃあ…オラァ!
ウチはアズリエルから斬撃波と矢雨を放ち敵に攻撃した
エリン・エーテリオン
虹炎の神
『やるぞ…エリン!』
おう!任せろ!
鳴り響け…魂の音!
トゥントゥン…
私は虹炎の神に変身した
吹き飛びやがれ!
私は天候操作で嵐を呼び寄せて敵のUCの竜巻を無限の概念操作で吹き飛ばした
『姿が見えた!』『グッバイフールドッグ!』
エキドゥーマは電撃の弾幕を周りに放ちブラッドムーンが周りに斬撃波を放った
『虹炎の光雨!』
ミリアスリラは光属性攻撃の矢弾の雨を敵に放った
『…成る程行くぜ!オラ!』
アルコイリスが虹炎覇気から出てきて
爆撃と電撃の拳で殴り飛ばした
回想
昔、俺とミリアがオブリビオンに襲われた時を思い出す
当時は名無しの神だった俺達は見回りをしていた時にオブリビオンに襲われた(今は虹炎の神だが当時は二人共弱かった)
オブリビオンの不意打ちで俺は気絶していた
『…君達、大丈夫?』
助けてくれた師匠が手を伸ばす
『え…誰だ?』
目を覚ました俺は師匠に問い掛ける
『え〜と、私の名前は…』
腕を組んで考えていた師匠は…
回想終了
『……今日は貴女の事を良く思い出すなレイル師匠』
アルコイリスは小さく呟いた後、敵を殴り飛ばした
「やるぞ! アロナちゃん! シエル!」
『行きましょう、シオンさん!』『やってやるのだわ~!』
いよいよ到来した「狩りの日」の遂行者、『腐肉をあさる獣』の群れを前にして、号令をかけるのはリュカシオン。
精霊王アロナフィナと虹炎神アルカンシエルが気合十分の返事で答え、各々の戦闘態勢を取る。事前にこの時が来るとわかって待機していたのだ、慌てる理由は何もない。
『やるぞ……エリン!』
「おう! 任せろ! 鳴り響け……魂の音!」
エリンも最初から全力で飛ばしていくつもりの様子で、虹炎神アルコイリスの呼びかけに応えて【虹炎の神・estrella・arcoiris】に変身。虹色に染まった髪と全身で燃え盛る「虹神炎覇気」のオーラは、神と称えるにふさわしい存在感を発する。トゥントゥンと高鳴る心臓の鼓動は、支配からの解放を訴える自由のビートだった。
「グルルルルッ……」
今まで狩りの獲物にしてきた魂人とは、明らかに違う存在感を本能で感じ取った獣どもは、警戒してユーベルコードを発動。自分達の身体を小さな竜巻で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にしたうえで【忍び寄る】奇襲戦法を企んだ。
「姿を消そうとしているな?」
それに気付いたリュカシオンは【虹炎の神フォービドゥン・フェルレイニアス】を発動。虹色の炎がもたらす超次元能力を矢弾に込めて雨あられと放ち、敵のユーベルコードを無効化しようとする。単純な力比べでなら負けない自信はあっても、潜伏されてしまうと面倒だ。
「吹き飛びやがれ!」
同時にエリンは虹炎の力を概念操作能力として発現し、戦場に嵐を呼び寄せて敵が纏う竜巻を吹き飛ばそうとする。
二人の迅速な妨害によって腐肉をあさる獣のほとんどは消える間もなくユーベルコードを不発にされる。だが――。
『一部は覆われてしまいました……』
頭数で勝る敵の全てを捕捉するのは流石に不可能だった。アロナフィナはきょろきょろ辺りを見回して敵を探すが、一度消えられてしまった獣達を五感で発見することはできない。足音や唸り声、体臭さえも完璧に消されているのだ。
『なら、ソナーを使うのだわ!』
そこでアルカンシエルが周りに衝撃波を放つ。見えなくても実体がそこにあるなら、反響で位置を特定できるはず。
自分を中心にして戦場全域に広がっていく衝撃波。その波が不自然に揺れた所を見つけると、彼女はそこを指さして仲間に呼びかけた。
『アロナ!』
『こっちに居るんですね!』
即座にアロナフィナが炎と風と水の竜巻を指定されたポイントに放つ。精霊王の所以たる大自然の力が、獣どもから竜巻のヴェールを剥ぎ取り、その姿を月下の元に晒した。突風や水流や熱波に吹き飛ばされた敵の「ギャインッ?!」という甲高い悲鳴が、はっきりと聞こえる。
『姿が見えた!』
『グッバイフールドッグ!』
すかさずエキドゥーマが電撃の弾幕で、ブラッドムーンが斬撃波で追撃を仕掛ける。姿さえ見えていればこちらのものと言わんばかりの猛攻――事実その判断は間違ってはいない。闇の救済者戦争を戦い抜いた彼女達が、紋章持ちとはいえ下級オブリビオン相手に今更遅れは取るまい。
『虹炎の光雨!』
「ギャウンッ!?」
さらにミリアスリラも光の矢の雨を戦場に降らせ、腐肉をあさる獣どもを射抜く。再び姿を消す猶予など与えない。
ひとたび狩る側から狩られる側になった敵は脆く、狼狽しているのがありありと分かる。これまで無抵抗な魂人ばかりを貪り食ってきたツケが回ってきたとも言えるだろう。
「よっしゃあ……オラァ!」
仲間達に負けてはいられないと、リュカシオンも「天災邪神鎌龍アズリエル」を振るって攻撃に参加。龍翼を模した刃から放たれる斬撃波と炎矢の雨は、これまでの攻撃に辛くも耐えていた獣をバラバラに切り刻んだ。追っ手を絶つという意味も含めて、一匹たりとも見逃すつもりはない。
『……成る程行くぜ! オラ!』
さらにエリンの虹炎覇気からアルコイリスも出てきて、爆炎と電撃を纏った拳で腐肉をあさる獣どもを殴り飛ばす。
圧倒的な火力と電圧で消し炭になる敵を前に、彼の心はふと過去に巻き戻る。それは遠い昔、まだ名無しの神だったアルコイリスとミリアスリラが、見回り中にオブリビオンに襲われた時のことだ。
『……君達、大丈夫?』
闇から呼びかける優しい声。オブリビオンの不意打ちで気絶していた自分を、助けてくれたのはこの声の主らしい。
名もなき神が目を覚ますと、そこには見知らぬ人物がこちらを助け起こそうとするように手を伸ばしていた。隣にはまだ気絶したままの仲間がいる。
『え……誰だ?』
『え~と、私の名前は……』
その人が腕を組んで考えたのち、思いついたように口にした名前。それを彼は恩人にして師匠の名として心に刻む。
か弱き無名の神から虹炎の神アルコイリスとして成長を遂げ、あの時は歯が立たなかったオブリビオンと渡り合えるようになった今でも、決して忘れることはなく。
『……今日は貴女の事を良く思い出すなレイル師匠』
アルコイリスは小さく呟いた後、目の前にいる敵を片っ端から殴り飛ばし、叩きのめし、骸の海に送り返していく。
今の自分は少しでもあの人に近付けただろうか。あの人が誇れる弟子になれているだろうか。そんな事を考えながら戦う彼の瞳は、哀愁の念に満ちていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線
おのれ…許さんぞ
妾は外道共に怒りを持っていた
大丈夫じゃ!奴らは妾達が倒す!
妾は魂人達を語り皆を安心させる
甘いわ!…むっ?!結界展開!
敵の動きを視力で確認しながら敵に電撃の音響弾を放ちながら攻撃を回避して妾に攻撃しようとする敵に対しては結界術で防ぐ
敵はUCを発動してきたが推力移動で敵の攻撃範囲から回避しながら素早く凍結攻撃のエネルギー弾を放つ
混沌の闇の波動!
妾はUCを発動して敵を概念破壊して消滅させる
天牙も今回は流石にふざけていないじゃろう…
天牙の方を見るが
あっ…うん何て言うか、まあいいかのう?
取りあえず見なかった事にして目の前の敵に集中する
『…』
誰かの視線を感じていたのは天牙だけだった
黎明・天牙
夢幻戦線
『旨いぃぃぃぃぃぃ!』『旨すぎるぅぅぅぅぅぅ!』『エクスタシぃぃぃぃぃぃ!』『パーリィィィィィィ!』『イヤッフゥゥゥゥゥゥゥ!』『アアアアアアアアアアアア!』
UC狂気の連雀レンジャーズで前の章のアイスクリームを舐めながらヘッドスピンをしながら敵に突撃して吹き飛ばしていた
『アイス食べておかしくなってる…』『魂人達は恐怖に耐えられなかったのか…』
リズとヴォルガがヘッドスピンをしている魂人達を見て悲しそうな眼をしていた
(前の章でアイスを食べなかった魂人も食べてヘッドスピンをしていた)
腕に振動の力を与えてUC発動
神蛇雀男…
遅いぜ…
神眼で敵の動きを見て神速の振動の力を捕食形態になった敵が攻撃する前に攻撃する(敵が攻撃する前に天牙が攻撃する)
無駄だ…この振動は伸びて加速する…!
UC OVERBOOST・蛇雀振動撃で周りの敵に攻撃した
『天牙、アイスクリーム以外は真剣だったな…』『ええ…あのラスティーノを倒した形態だからね』
ヴォルガは銃から呪殺弾を放ちリズは弓から矢弾の雨で敵を狙撃しながら言った
「おのれ……許さんぞ」
生命を弄ぶ闇の種族の尖兵、外道なる『腐肉をあさる獣』どもに、レティシアは怒りを持っていた。虐げられた魂人の境遇が自分と重なることもあって、この戦いに対する彼女のモチベーションは高い。連中の好きにさせてなるものかという気迫がありありと感じられる。
「大丈夫じゃ! 奴らは妾達が倒す!」
「は……はいっ」
まだ不安そうにしている魂人達に語りかけると、皆も少しは安心したようだ。だが言葉だけで絶望を払拭することはできない。村を取り囲んだ異形の獣どもは口から涎と舌をたらし、飢えた眼差しを向けてレティシアに襲い掛かった。
「甘いわ! ……むっ?! 結界展開!」
レティシアは敵の動きをよく見て回避するか、結界術で防ぎつつ闇刃銃『エレクトニアス・ヴァラージュ』を抜く。
特殊な技術を用いて制作された小型の詠唱拳銃より放たれるのは、電撃をまとった音響弾。落雷の如き轟音と共に、稲妻が獣を撃ち抜く。
「グルルッ……ウオオオオオーーーンッ!!!」
反撃を食らった獣どもは、大口を開けて高らかに【咆える】。遠くまで響く彼らの咆哮は物理的な攻撃力を持ち、主に与えられた紋章でその威力はさらに高まっている。付け焼き刃の結界で防ぎ切ることは難しいとみたレティシアは、持てる全ての魔力を移動に注いだ。
「危ないのう!」
推力全開で敵の攻撃範囲から離脱しながら、巧みな早撃ちで冷気のエネルギー弾を放つレティシア。弾丸が命中した獣の顎はたちまち凍りつき、それ以上咆哮を出せなくなる。「ウォンッ?!」と戸惑った声を上げるのがせいぜいだ。
「喰らうのじゃ! 混沌の闇の波動!」
すかさずレティシアは【混沌の闇の波動】を発動。猟兵として経験を重ね、女王だった頃の力を少しだけ取り戻した彼女のユーベルコードは、概念レベルから敵を破壊・消滅させる。混沌の波動に呑み込まれた獣どもは、遺体も残さず骸の海に還っていった。
「天牙も今回は流石にふざけていないじゃろう……」
今の自分にできる全力を尽くして獣どもと戦いながら、レティシアは同じ戦場にいるはずの天牙の姿を探す。普段はふざけた調子で何を考えているのかよく分からない男でも、やるべき時はちゃんとやる男だと信じていたのだが――。
『旨いぃぃぃぃぃぃ!』『旨すぎるぅぅぅぅぅぅ!』『エクスタシぃぃぃぃぃぃ!』『パーリィィィィィィ!』『イヤッフゥゥゥゥゥゥゥ!』『アアアアアアアアアアアア!』
彼は今【狂気の連雀レンジャーズ】と共にアイスクリームを舐めながら、ヘッドスピンで敵に突撃を仕掛けていた。
先刻に引き続き奇行と呼ぶのもおこがましいレベルの狂気。本来は肉を喰らう以外の行動原理を保たないはずの獣ですら、明らかにドン引きしているのが分かる。
『アイス食べておかしくなってる……』『魂人達は恐怖に耐えられなかったのか……』
謎のヘッドスピン集団の中に魂人も何人か混ざっているのを見て、リズとヴォルガは悲しそうな目をしていた。一度はアイスを食べなかったものの、結局は食欲と恐怖に屈してしまったらしい――オブリビオンに食われるよりはマシとはいえ、なんと無体な仕打ちだろう。
「ギャウンッ?!」「グギャッ!?」
とにかく絵面ではヒドいものだが、ただふざけているだけでもないのが尚更たちが悪い。迂闊にも近寄った獣どもはヘッドスピンの加速に吹っ飛ばされ、痛い目を見ていた。なんだかんだ戦闘中に無意味な事はしないのが天牙らしい。
「あっ……うん何て言うか、まあいいかのう?」
そんな天牙の戦い方を見てしまったレティシアは、とりあえず見なかったことにして目の前の敵に集中する。一応、敵を倒せてはいるようだし、下手にツッコんで巻き込まれるほうが嫌だし――と、不審者に会った時のような合理的な対応である。
『……』
だが、この戦いを見つめる誰かの視線に、彼女は気付いていなかった。それを感じていたのはただ1人、天牙のみ。
彼がふざけていたのもそれが理由かどうかは分からない。ただ、ある段階からふいに彼はヘッドスピンを止め、普通に戦い始めた。
「神蛇雀男……」
腕に振動の力を込め【『パラダイス・ブレイカー』神蛇雀男】を発動する天牙。スズメの獣人であるはずの彼の瞳孔がヘビのように裂け、大蛇の如き振動エネルギーが身体に絡みつく。その異様な気配を感じ取ったか、腐肉をあさる獣どもは慌てて捕食形態に変身して【食らいかかる】が。
「遅いぜ……」
「ギャオッ?!」
天牙は蛇の神眼によって敵の動きを見切り、攻撃が来る前に殴り飛ばす。神速の振動エネルギーを帯びた打撃は獣の頭蓋を一撃で粉砕し、絶命させるのに十分な威力があった。これを見た残りの獣どもは敵わぬとみて逃げ出すが――。
「無駄だ……この振動は伸びて加速する……!」
「「ギャオオオオオオンッ?!!!!」」
|神蛇雀男《ナーガマン》モードから放つ振動の大砲、【OVERBOOST・蛇雀振動撃】。どこまでも伸びて自在に軌道を変える蛇のような衝撃波が、周囲にいた獣どもを一匹残らずなぎ倒した。ユーベルコードふたつ分の力を合わせた大技なだけあって、その威力は絶大だ。
『天牙、アイスクリーム以外は真剣だったな……』『ええ……あのラスティーノを倒した形態だからね』
一方のヴォルガとリズは天牙の戦いぶりを見てそう語る。逆にどうして最初から真剣にやらなかったのかという疑問はあるものの、戦局を見ればこちらの優勢は揺るぎないものとなっており、敵の数はもはや初期の半分にも満たない。
天牙とレティシアが討ち漏らした獣どもには、ヴォルガが銃から呪殺弾を放ち、リズが弓から矢弾の雨で狙撃する。連携という点では疑問符が付くものの、異世界で鍛えられた夢幻戦線メンバーの実力はみな確かであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
総員、抜刀! 矢を番えろ! 呪文を紡げ! ――行くぞッ!!
簡易召喚した黄金の獅子に跨り(騎乗)、獣の群れへ【騎乗突撃】
獅子の爪牙で斬り裂き噛み砕き(狩猟)、聖槍を縦横無尽に【なぎ払って】打ちのめす
最前線で雄々しく、そして豪胆に戦う姿を見せれば、魂人たちも【勇気】を以って私に続き、獣どもを打ち倒す
獣の咆哮の衝撃波を【戦神の咆哮】で相殺し、傷を癒して畳みかける
怯むな! 我々は敗走するのではない! 勝って凱旋するのだ!!
【大声】で【鼓舞】する様は獣の目を惹き、攻撃が集中することになるが、その分魂人の負担が減る
吶喊して【ランスチャージ】で敵陣を【こじ開ける】
うぉおおおッ!!
「総員、抜刀! 矢を番えろ! 呪文を紡げ!」
村に迫る『腐肉をあさる獣』の群れを迎え撃つべく、オリヴィアは魂人達に号令する。その勇ましく、力強い大声は聞く者の心を奮い立たせるもの。さらに自身は簡易召喚した守護霊獣「黄金の獅子」に跨がり、戦いの最前線に立つ。
「――行くぞッ!!」
「「おおぉッ!!」」
携えしは黄金に煌めく破邪の聖槍。人騎一体となり地を馳せれば、その身はたちまち一陣の風となる。彼女の気魄に触発された魂人達も、後に続いて駆け出した。ここに居るのは狩りの獲物ではなく、立ち向かうことを選んだ戦士だ。
「獣よ、ここに貴様らの餌はない!」
「ギャウンッ!?」「グガァッ!」
刀剣のように鋭い獅子の爪牙が、腐肉をあさる獣どもを斬り裂き、噛み砕く。その背に跨るオリヴィアは聖槍を縦横無尽に振るい、間合いに入った相手をことごとく打ちのめしていく。闇の救済者戦争でも数々の戦果を挙げた彼女が、たかが猟犬如きに負けるものか。
「私も!」「俺も!」
最前線で雄々しく、そして豪胆に戦うオリヴィアの姿を見れば、魂人達も勇気をもって戦いに加わる。絶望に屈していた頃は無抵抗だったが、彼らはもともと戦う術は持っている。個ではなく集団の力を合わせれば、獣どもを討ち倒すことも可能だった。
「グルルッ……ウォォォォーーーンッ!!」
これまでとは違う反抗を見せる"餌"に苛立ったのか、腐肉をあさる獣どもは一斉に【吼える】。戦場の彼方まで響く彼らの咆哮は、無差別かつ高威力の範囲攻撃だ。もろに受ければ魂人でも重傷、もしくは【永劫回帰】を免れない。
「っ、やば……」
「怯むな!」
後ずさりかけた魂人達の背中を押したのは、オリヴィアの【戦神の咆哮】だった。魂を込めた叫びが咆哮の衝撃波を相殺し、ダメージを軽減する。先刻では村人に勇気を持たせるために使われたユーベルコードだが、その真価はやはり戦場でこそ発揮されるものだった。
「我々は敗走するのではない! 勝って凱旋するのだ!!」
「……! そうだ!」「絶対に勝つんだ!」
黄金に輝く領域に包まれた魂人の負傷が、あっという間に回復していく。今一度勇気の火を燃え上がらせた彼らは、再び獣どもに剣を突き立てる。その中心でもっとも勇敢に、もっとも猛烈に戦うオリヴィアを範として、人々は新たな『|闇の救済者《ダークセイヴァー》』として目覚めつつあった。
「グ、グルルルルッ……!」
高らかに大声で皆を鼓舞しながら戦う様は獣を目を引き、攻撃が集中することになるが、その分魂人の負担が減ると思えばオリヴィアには好都合だった。何匹がかりで来ようが全て討ち果たしてくれようと、彼女は雄々しく吶喊する。
「うぉおおおッ!!」
咆哮する戦乙女を乗せて駆ける獅子。オリヴィアのランスチャージは獣の群れを一直線に貫き、敵陣をこじ開けた。
ひとたび綻びが生じれば、後に続く魂人達がそれを押し広げるように追撃を行う。もはや獣どもは捕食者ではなく、勝負の明暗ははっきりと分かれつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加
彼らと共に、そして彼らの為に命をかけると決めた
だからこそ当たり前に迷わずに体が動く
「護」の羽織をはためかせながら前に出て
彼らが自分の背中のこの文字と
相棒の背中を見て少しでも安心できるように
「合わせていくぞ、相棒」
「絶対に、全員を護る」
相棒と笑みを交し【護の誓い】を使用
能力者の瞬間移動とも言える速度で
数十メートルの距離を駆けて接敵
「猟兵として、能力者として、だからな」
背中は相棒に任せ、一撃で敵を刈り取っていく
「蹂躙するつもりだったんだろうが、残念だな」
一撃が難しいと判断しても触手や舌を切り飛ばして
魂人達が戦い抗える様に
「彼らはもう、狩られるだけの存在でもない!」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
約束したよ
此処を出る勇気一つだけでいいと
咄嗟に身を護る動きだけはお願いだよと
永劫回帰を考えるかもだけど
「それをさせないために俺たちがいる」
出来る限り安心して貰えるよう陸井と微笑み
落ち着いた面持ちで
「護の誓い」詠唱
相棒の背の『護』の字を頼もしく見つつ
俺も負うと強く誓う
十全な大人、全盛時の能力者の姿で
あの頃と変わらず相棒と戦域を駆けよう
真の姿なら能力者としても行動できるから
「機動範囲が広くてありがたい!」
陸井と分担して動けば
阿吽の呼吸で打ち漏らす心配はない
「そっちの地獄犬任せた!」
陸井の攻撃をかい潜るのが居たら錫杖で一突き
「魂人達を顎に掛けさせはしない!骸の海に去れ!」
「約束したよ。此処を出る勇気一つだけでいいと」
まだ不安を拭いきれない魂人達に向けて、時人は改めて約束する。必ずみんなをオブリビオンの手から守り、安住の地まで送り届けると。繰り返し訪れる「狩りの日」も、逃れられない災いに絶望する日々も、今日で終わりにしよう。
「咄嗟に身を護る動きだけはお願いだよ」
「は、はい。いざとなったら【永劫回帰】で……」
「それをさせないために俺たちがいる」
これ以上彼らのトラウマを増やさせるつもりもない。心身とも無事にこの場を切り抜けてみせようと、青年はすっと前に出た。彼の隣にはいつもと変わらぬ相棒が、「護」の羽織を纏った陸井がいる。千人の兵にも勝る頼もしい友だ。
(彼らと共に、そして彼らの為に命をかけると決めた)
だからこそ当たり前に迷わずに体が動く。羽織をはためかせながら陸井が前に出ると、その背に染め抜かれた信念の一文字が魂人達の目に入る。書道使いの記した字には霊力が宿るのだ。たとえ文字が読めない者でも、安心感を覚えるだろう。
「合わせていくぞ、相棒」
「ああ、行こう」
その言霊を負うと誓ったのは時人も同じ。彼らは落ち着いた面持ちで微笑みを交わすとユーベルコードの詠唱を始める。その所作もできる限り不安を取り除くためのもの。何も心配はいらないと、戦いに際しても気負いすぎるところを見せず。迫り来る『腐肉をあさる獣』を見ても余裕の態度を崩さず。
「「絶対に、全員を護る」」
陸井と時人が発動したのは、共に同様の【護の誓い】。誓約によって真の姿を一時的に解放するユーベルコードだ。
何があっても、誰が相手であっても、必ず護り抜くという誓いを楔に、能力者としての全盛時の姿と力を取り戻す。
「この字にかけて!」
「団是にかけて!」
一振りの刀となり、己を高め、護るべきものを護れ。誇りを持って、前へ進め。死と隣り合わせの青春を、共に駆け抜けた仲間達と誓った言葉だ。今も尚色褪せぬ思い出と信念を胸に秘め、彼らはあの頃と変わらず戦域を駆けだした。
「グ、グルルッ?!」「ギャウンッ!!」
瞬間移動とも見紛う二人の速度に、驚いたのは腐肉をあさる獣どもだ。連中が【忍び寄る】間もなく数十メートルの距離を走破した時人と陸井は、溢れんばかりの霊威を込めて錫杖と扇を振るう。闇夜をつんざく悲鳴とともに、真っ赤な血飛沫が辺りに散った。
「機動範囲が広くてありがたい!」
「猟兵として、能力者として、だからな」
この世界には能力者の力を制限する世界結界も存在しない。過去と現在を通じて培ってきた全ての力を振るうことのできる今の二人は、敵を完全に圧倒していた。いくら紋章を与えられているとはいえ、所詮は下級のオブリビオンだ。
「そっちの地獄犬任せた!」
「任された。あちらは頼むぞ」
背中を相棒に任せ、一撃で敵を刈り取っていく陸井。その攻撃をかい潜ったものを錫杖で一突きにする時人。学生時代からの連携で磨かれた阿吽の呼吸は、喰らうことしか頭にない獣に付け入る隙を与えなかった。分担して動くことで打ち漏らしを残さぬよう、少ない言葉だけで完璧に互いをフォローしあっている。
「蹂躙するつもりだったんだろうが、残念だな」
「ギャインッ?!」
また一撃では仕留め損なう場合でも、陸井は獣どもの触手や舌を切り飛ばす。魂人達が戦い抗えるように、戦闘力を削いでおくのが狙いだ。能力者達の奮戦に勇気をもらった人々は、それ以上なにも言わずとも自らの意志で剣を取る。
「彼らはもう、狩られるだけの存在でもない!」
「そうだっ!」「僕達だって、戦える!」
無気力な絶望から立ち上がった魂人達の攻撃が、傷ついた獣どもにトドメを刺す。それは彼らが無力ではない証明となり、今後の人生における心の支えになるだろう。ただ慈しみ庇護するだけが『護』ではないと、陸井は知っている。
「グルルッ、ウォォッ!」
仲間を殺された獣どもは怒り狂って魂人に襲い掛かるが――「させるか!」とその間に飛び込んできたのは時人。
錫杖の柄で爪牙を受け止めると、鮮やかな杖さばきで払い除け。そのまま杖先に光の霊気を宿すと、渾身の力を込めて突く。
「魂人達を顎に掛けさせはしない! 骸の海に去れ!」
「グ、ゲェ……ッ!!」
喉笛を一突きにされた腐肉をあさる獣は、びくりと痙攣しながら塵のように崩れ去った。ふと相棒のほうを見れば、そちらも寄ってきた獣の首を刎ねたところ。怪我をした魂人は1人もおらず、対する敵集団は崩壊寸前に陥っている。狩るはずの猟犬が狩られるはずの獲物に追い立てられていては、もはや「狩りの日」も型なしである。
「もう一息だな」
「気を抜かずにいこう」
そう言って二人は気を引き締め直すと、魂人の護衛と残敵の掃討にあたる。雄々しく翻る『護』の一文字に違わない戦いぶりは、この光景を見ていた全ての者の心に刻まれただろう。そしていずれ、彼らの誓いに感化された者が、この世界の未来を護る『|闇の救済者《ダークセイヴァー》』になるかもしれない――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン…知性も理性もない獣か
我々が負ける未来が想像できんな
シガールQ1210を装備し、デゼス・ポアを宙に浮かせる
敵の集団に向かって銃弾を乱れ撃ち
更にデゼス・ポアの刃によるなぎ払いで敵を倒していく
敵を攻撃しつつも、共闘する魂人達にも常に注意を向けて彼らが壊滅しないように手助けしながら立ち回る
ハッ!躾の出来てない犬だな…
おすわりだ!
UCを発動
襲ってくる獣たちに操り糸を打ち込む
本能のままに生きる獣であれば、痛みに抗ってまで歯向かう事も出来まい
そのまま複数の獣を操り、敵集団のど真ん中で竜巻を発生させ壊滅させていく
あらかた操作したら敵同士を巻き込むように自爆させ、次の獣達に操り糸を打ち込んでいこう
奴らに教えてやろう
最早、無抵抗で打ち倒される獲物ではないという事を
そのまま魂人達の戦線にも参加
仲間を助けたり背中を守ってもらったりして共闘する
こちらはUCで操った獣や、縦横無尽に動き回るデゼス・ポアの刃で敵の集団を崩壊させていこう
君達を縛り付ける鎖は、全て打ち倒した
さぁ、鬨の声を上げよう
「フン……知性も理性もない獣か。我々が負ける未来が想像できんな」
村に押し寄せる『腐肉をあさる獣』の群れを見ても、キリカの表情は余裕に満ちていた。決して慢心などではなく、これまでの経験と知識に己の実力を照らし合わせて、そう判断したまでのこと。この世界の真の支配者にさえ勝利を収めた自分達が、今更こんな連中に遅れを取るものか。
「行くぞ、デゼス・ポア」
「ヒヒヒヒヒャハハ」
彼女が声をかけると、呪いの人形が不気味なしわがれ声で笑いながら宙に浮かぶ。喰らうしか能のない猟犬どもは、涎と舌を垂らしてまっすぐこちらに向かってくる。その立場がすでに逆転している事を、まずは銃弾で教えてやろう。
「待て、だ」
「ギャウンッ?!」「グオォッ!」
キリカが強化型魔導機関拳銃"シガールQ1210"のトリガーを引くと、秘術で強化された弾丸が獣どもに降り注ぐ。
一発一発がドラゴンの皮膚すら貫通する弾幕は、無鉄砲なターゲットを蜂の巣にするのに十分。さらにデゼス・ポアも「キャハハハハ」と楽しげに笑いながら戦場を飛び回り、躯体から生えた錆びついた刃で敵を薙ぎ払っていく。
「怪我はないか?」
「は、はい! 助かりました!」
同時にキリカは共闘する魂人達にも注意を向ける事を忘れない。窮地に陥る者がいれば援護射撃を行うなど、彼らが壊滅しないよう手助けしながら立ち回っている。この視野の広さと的確な状況判断力もまた、彼女に余裕がある証だ。
「グルルルルル……ッ!」
傭兵と人形の連携により数匹の獣がまたたく間に倒れたが、敵はまだまだ狩りを諦めようとはしない。散った仲間の血肉も彼らには餌に過ぎないのか、がつがつと貪り喰らいながら次の獲物を探す。その姿は実に浅ましく、悍ましい。
「ハッ! 躾の出来てない犬だな……おすわりだ!」
「グルル……ッ?!」
皮肉げに口元を吊り上げ、キリカは【La marionnette】を発動。襲ってくる獣どもに不可視の操り糸を打ち込む。
その瞬間、獣どもは一斉にぺたりと地面に座り込んだ。この糸を介して伝えられる命令は、反すると耐え難い苦痛を与える。本能のままに生きる獣であれば、痛みに抗ってまで歯向かおうとは考えられないだろう。
「その身体が軋み潰れるまで、踊り狂え」
「ギャウッ!!」「ウオッ!?」
キリカがくいと指先で糸を引くと、操られた獣どもは自陣のど真ん中でユーベルコードを発動、竜巻を発生させて味方を攻撃し始めた。操られていない者からすれば、この裏切りはまったくの予想外だろう。わけも分からず襲われた事に怒り、反撃し、同士討ちが起きる。
「フン、やはりこの程度か」
あらかた操作すれば最後は敵同士を巻き込むように自爆命令を下して、また次の獣どもに操り糸を打ち込んでいく。
旋風と爆風が吹き荒れる戦場で、バラバラになった敵の屍が散らばり、断末魔の悲鳴が上がる。もし、猟兵がここに来なければ、この光景を彩るのはオブリビオンではなく魂人だったのだろう。
「奴らに教えてやろう。最早、無抵抗で打ち倒される獲物ではないという事を」
「はいっ……!」
そのままキリカは魂人達の戦線にも参加し、共闘体制を取る。戦闘力では猟兵に及ぶものではないが、抵抗の意志を取り戻した彼らは粘り強い戦いぶりを見せ、強さでは格上となる「紋章」持ちのオブリビオンにもよく対抗していた。
「背中は任せるぞ」
「が、頑張ります!」
キリカは彼らと助け合いながら、ユーベルコードで操った獣や、縦横無尽に動き回るデゼス・ポアの刃で、敵集団を崩壊させていく。当初は百体近くもいた敵の数は今やまばらとなり、まともな連携も取れず各個撃破されていく――。
「ギャオォォォ………」
そして遂に、最後の一匹となった腐肉をあさる獣が断末魔を上げ、骸の海に還っていく。村の周辺には静寂が戻り、後には猟兵と魂人だけが残された。「やったのか……?」と、まだ勝利を信じられない人々に向かって、キリカが微笑みとともに言葉をかける。
「君達を縛り付ける鎖は、全て打ち倒した。さぁ、鬨の声を上げよう」
「「お……おおおおおおおーーーっ!!!!」」
その直後、歓喜に満ちた雄叫びが大地を震わせる。それは、長き抑圧と絶望の中にあった人々の感情の爆発だった。
終わりのない「狩りの日」の輪廻を乗り越えて、ついに彼らは自由と希望を――明日への第一歩を踏み出したのだ。
こうして、猟兵の尽力により救い出された魂人達は、闇の救済者の『人類砦』まで無事に送り届けられる事となる。
合流を果たした上層と下層の人類は、今後この地で自分達の生存圏を確立させるために働くだろう。その道程は決して容易いものではないだろうが、どんな困難にもめげない強い意志を、彼らはもう手に入れていた。
大成功
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