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【サポート優先】キョンシー祭り開幕

作者：椿油

　これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです（通常参加者を採用する場合もあります）。

●あれを見てみろ
「お客さん、お目が高いねぇ～これは不老不死の薬！　どんな病にも倒れず永遠に生きながらえるのさ」
　そう言って怪しい行商人が、とある小国で薬を売っていた。貧困にあえぐ小国の民は格安な値段だった事からか、次々と怪しい行商人へと殺到する。

「俺にその薬をくれ！」
「わしにもくれんか！」
「あたしにも頂戴よぉっ！」

「はいはい、まいどあり！」
　怪しい行商人は口元がニヤリと笑っていた。

　後日、その村に村人は居なくなっていた。全員、あの薬の正体――始皇帝の水銀の力で、「兵馬俑オブリビオン」と化していたのである。
『きょんしーばんざいあるー』
『きょんしーのちからでせかいせいふくするねー』
『はお！　はお！』

『良いキョンシーが出来たね……くふふ♪』
　謎の行商人こと、邪仙黒道・梦蝶は笑っていた。

●グリモアベース
「という、全小国民キョンシー化計画が実行されてしまったわ！」
　グリモア猟兵のジェルダ・ヒーメィ（銭の亡者・f27900）が事件の発生を告げた。
「でも大丈夫、程々に叩いてやれば水銀を吐き出して皆キョンシーから普通の村民に戻るみたいよ。メタメタに倒したりしないでね！　一応村民だから！」
　そうして計画が失敗したのが露呈すれば、親玉の邪仙黒道・梦蝶が現れるだろうとジェルダは言う。

「キョンシーコレクターみたいね。もしちょっとでも兵馬俑オブリビオン、というかキョンシーが残っていたら強くなる技を持っているから、全員救出するのよ！」

　それにしても、何故皆女性型キョンシーなのだろうか。疑問に思いつつ、ジェルダはグリモアでの転移を開始したのだった。

第1章 集団戦 『隻眼女僵屍』

POW   :    幻獣拳術『檮杌爪』 【拳や爪】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。 SPD   :    幻獣拳術『鳳凰翔』 レベル×5km/hで飛翔しながら、【両足】で「🔵取得数+2回」攻撃する。 WIZ   :    幻獣拳術『禍躯鱗』 自身の【衣類】を捨て【麒麟憑依状態】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。 イラスト：すねいる 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「ふぅん、水銀でオブリビオンに……ね。これは効くかしら？」
　バジルは何やら注射針を持っていた。
『なにをするきあるかー』
『おいたはいやねー』
　隻眼女僵屍達は、嫌な予感を感じて逃げようとする。だが、バジルのUC《ハイパーデトックス》からは逃れられなかった。
「すぐ終わるからね！」
『あいやあああ!!』

　スッ。何か毒気が抜けていった気がした。毒・菌・ウイルスを攻撃するこのUCの効果で、若干理性を取り戻した隻眼女僵屍。
『はっ、私は一体何を……ある』
『何か嫌な夢を……いやまだ見ている気がするね』
『とりあえず、猟兵倒すよろし』

「水銀の効果が若干薄まったようですわね。しかしまだオブリビオン、ならば！」
　ローズはUC《夕焼けの薔薇の棘》を発動し、薔薇を一輪手にして念じていく。すると、薔薇の棘が隻眼女僵屍を襲った。
『あいやあぁぁぁ!!』
『反撃！　反撃するあるよ！』
『喰らうがよろし！』
　拳や足を伸ばした所に、更に瞬間的に注射針を撃ち込まれる隻眼女僵屍。
『はっ、どうしてこんな事をしていたんだ我々は……！』
『分からない……何故だろうか……』
「よし、少しずつ抜けてるわね」
　バジルは成果に満足して、次なる治療していない個体へと向かった。

「……水銀を体から抜けばいいんでしょうか？　それじゃあこれならいけるかもしれません！」
　光花は閃いて、UC《Invasion of black cat》を発動する。魔力で創った子猫人形を戦場に放ち、命中すれば血液を奪って帰って来る。
『あっ、可愛い……』
　気を取られた隻眼女僵屍は子猫人形に血液を奪われた。
『いてえぇぇぇ!!』
　元は男性だったのだろうか、若干野太い声で悲鳴を上げた隻眼女僵屍。

「これ、血と水銀を分離しなくちゃいけませんね」
　光花が呟くと、バジルは頷いた。
「後で｜やっておく《●●●●●》わ」
　猟兵の科学力を侮ってはいけない――という事だろうか。

　子猫が群れ、薔薇の棘が刺さり、プスリと注射針を刺される隻眼女僵屍達は、少しずつ本来の姿を取り戻し始めていた。
『おかしいな……我々、さっきまであるーとかよろしーとか言ってた気がするんだが』
『そうですのう……』
　どうやら老人も紛れていたらしい。
「お爺ちゃん、すぐ終わるから動かないでね――はい終わったわ！」
　バジルが何回も《ハイパーデトックス》するおかげで、大体の水銀は抜けただろうか。
「後は身体の治癒力に任せれば大丈夫よ」

「それじゃあ、注射針にも限りがあるようなので……あちらの個体を攻撃しておきますわね」
　治療があまり行き届かなかった個体には、ローズの薔薇の棘でダメージを与えていく。
『痛いある！　何するあるか！』
『お前、何あるある言ってるんだよろし』
『お前も何よろしよろし言ってるんだある』
　一応、毒気が抜けたのでこれで充分だろうか――子猫が奪って来た血液を水銀と分離させる為、バジルは治療を終えてから光花と作業を開始したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「成程、程々に攻撃して水銀を吐き出させてやればいいんだな？」
　貫鉄はUC《不動明王尊羂索縛》を発動する。隻眼女僵屍の一人を突くと、覇気で象った羂索が隻眼女僵屍を縛り上げる。
『あいやー！　なにするあるかー！　やめるよろし！　やめるよろし！』
「改心するまでの辛抱だ！」
　浄化の力でじわりじわりと改心させられていく隻眼女僵屍。
『あう……わたしなんでこんなことしてたあるか……？』

　と、少しずつ水銀の力が弱まり始めた所で、他の隻眼女僵屍は猟兵に対抗する。
『させないね！　わが「きりんひょういじょうたい」をみるがよろし！』
　そう言って麒麟憑依状態になる隻眼女僵屍。
「えっ……その技、太陽光の下ではダメージを受けるのでは？」
　メイリンが心配するのも当たり前、今は真昼間だった。
『か……かんけいないね！　たおせばよいある！　ほあちゃー！』
「ジリ貧ではないです……？　じゃ、じゃあ程々に攻撃しますね」
　アレクサンドラはカンフーキックを避けたのち、思いっきり隻眼女僵屍を投げつける。倒れた先で身体全体で太陽光を浴びる隻眼女僵屍。
『ああぁぁぁぁいたいあるぅぅぅ!!　もえるようにからだがあついあるぅぅぅ!!!』

「で、ですからそれは使わない方が……」
　アレクサンドラがなだめるも、隻眼女僵屍はジタバタしながら太陽光をもろに浴びた。
『いな！　りょうへいたおすあるぅ！　たおすあるぅぅ！』
　駄々をこねながらも太陽光ダメージを受け続ける隻眼女僵屍を見て、アレクサンドラはUC《少女弄舐》による舐め回しで麒麟憑依状態の隻眼女僵屍を回復してやる事にした。
「これで楽になっていただければ……」
『あいやー、すまねぇある……すまねぇある……』
「あっ、他の隻眼女僵屍の皆さんも太陽光でダメージ受けてますよ……！」
　メイリンはUC《飛竜の癒し》を発動して飛竜の形状を模ったオーラを飛ばし、同じく熱くて痛い隻眼女僵屍を治療していく。

「太陽光で死なれてしまっては困りますので」
『今度から計画組んでからやるある……けほっ』
　結局、継続ダメージで水銀を吐いたのだった。

「(もしかするとこのオブリビオン……あまり知能が高くないのか？)」
　周囲の隻眼女僵屍を見て貫鉄はそう思いながら、次の隻眼女僵屍に羂索を縛り付けた。
『あいやー、わたしもきりんひょういじょうたいになりたいあるー』
　縛られてジタバタする隻眼女僵屍を見て貫鉄は叱る。
「周囲の状況を見たか！　阿鼻叫喚になるからやめておけ！」
『そうするね……ところでいつまでしばるあるか？』
「お前さんが改心するまでだ」
　浄化の力でじきに改心していき、水銀を吐き出した隻眼女僵屍。

「よし……ここら辺のオブリビオンは全部元に戻ったな？」
「えっと、そのようです」
「皆さん戻って良かったです……」

　元に戻った村人達はそれぞれ自身の置かれた状況を理解していなかった。
「あたいは一体今まで何してたんだい？」
「さあ、わたしゃとんと分からんで」
「僕は嫌な夢を見ていた気がするよ……じわじわ鉄板の上で焼かれる夢だ」
　とりあえず、何も覚えてないのは良い事なのだろうか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

第2章 ボス戦 『邪仙黒道・梦蝶』

POW   :    邪脚・睚眦 【仙術で強化した脚力による蹴りの乱舞】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。 SPD   :    邪突・狴犴 【拳や脚による急所への鋭い突き】が命中した部位に【邪悪な仙術】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する（抵抗は可能）。 WIZ   :    邪仙・贔屓 【武装した戦闘用女性キョンシー】が自身の元へ多く集まるほど、自身と［武装した戦闘用女性キョンシー］の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。 イラスト：すねいる 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

『あら、もう客人？』
　邪仙黒道・梦蝶がゆっくりと振り返ると、そこには猟兵達が待ち構えていた。
「人々に始皇帝飲ませてキョンシーにしたなんて許せないよ！」
　儀式は済ませてある茉莉は、UC《割に合わないsacrifice》を発動し、3分間の間、能力を3倍にして殺戮刃物【黒星ノ双剣】を持って突撃した。
『肉弾戦で相手するわ』

　仙術で強化された蹴りはまるで舞踊のようだった。だが、茉莉の能力が3倍になっている今なら互角以上に戦える。
『っ、手ごわいね……』
「舐めてもらっちゃ困るよ」

　そして、それを見つめている彼方は戦闘にまだ参加していない。
『あら！　貴方は戦わない？　残念ねぇ、今この子が戦闘中だというのにね！』
　すると、彼方のUC《影狼投射》が発動し、召喚された影狼が影の鎖で邪仙黒道・梦蝶を拘束する。
「悪いな、このタイミングを待っていたんだ。今から行かせてもらう！」
『ぐっ、卑劣だね！』
　【試製封刃『Tyr』】を持って接敵し、拘束中の邪仙黒道・梦蝶を攻撃する彼方。
「そろそろ3分経つよ！　勢いよくお願い！」
　茉莉が後方に声をかける。
「了解よ」
　リムティアが応えた。UC《三不中隊》を発動し、ハンドガンやナイフで武装した歴戦の女傭兵の幽霊が575名搭乗する水陸両用装甲車が現れた。
『なっ……何だいあの物量！　こうなったら……おいで私のキョンシー達！』

　――邪仙黒道・梦蝶の言葉に応えたキョンシーの数、0人。

『どうして!?　どうして誰も来ないの!?』
「さっき全員兵馬俑オブリビオンから解いたらしいからな。少なくとも近くにはいないんじゃないのか？」
　彼方が拘束しつつ攻撃を与えながら答えた。そう、兵馬俑オブリビオン化させた武装女性キョンシーを兵力にするつもりだったという邪仙黒道・梦蝶の計画は……彼女の所に辿り着いた時点で崩壊しているのであった。

『そんな……!!』
　顔色が一気に絶望していった邪仙黒道・梦蝶。
「さあ、徹底的に攻撃するわ！　進行開始！」
　リムティアの掛け声で水陸両用装甲車が前へと進む。575人の幽霊の圧が凄い。全員がハンドガンとナイフを構え、邪仙黒道・梦蝶へと襲ってくるのである。
『く――来るなあぁぁぁ!!』

　茉莉の儀式の力が切れた頃には、575名全員が邪仙黒道・梦蝶の所へ押し寄せていた。
「600人弱はちょっとやりすぎじゃない？」
　茉莉は苦笑いしていた。
「まぁ、｜猟兵《埒外》だからな……」
　彼方は幽霊だから押し潰されないとはいえ、あの圧量の中で攻撃をし続けるのは少々危険だと考えて退避していた。

「よし、いい感じに攻撃し終えたわ」
　リムティアが進軍してよし、の合図を出したので改めて邪仙黒道・梦蝶を確認しに行く茉莉と彼方。
「のびてるね……」
「のびてるな……」

　邪仙黒道・梦蝶の狙いが外れた要因はやはり、武装女性キョンシーが既に一人も存在しなかった事だろうか。まあ、1人でもいれば違ったのかというと――575人には流石に耐えられなかったのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

『どうして……どうして武装した女性キョンシーが1人も居ないの!!』
　邪仙黒道・梦蝶は憤慨していた。自身の使える技の一つが潰されたような物である。そして、そこを｜ピンポイントに《WIZで》突いた三人の猟兵がやってくる。

「どうしてと言われても、倒しちゃったから仕方ないよ。それじゃあトドメは私達が差すから覚悟してね！」
『くっ……こうなったら｜功夫《カンフー》で！』
　と、何とか心が立ち上がろうとしていた邪仙黒道・梦蝶に乃愛のUC《心を砕く桜の嵐》が発動、触れた者の精神を破壊する桜の花びらが舞い、ほとんどが邪仙黒道・梦蝶に命中した。
『どうして……どうして女性キョンシーが居ないのぉぉぉぉぉぉ……!!』
　再び落ち込んでしまったようだ。

「(よし、今なら届きそうです……！)」
　その間に、スピネルはロングボウの【フォレストスナイパー】を構え、UC《ハイドスナイプ》を発動して命中率・回避率・ダメージを3倍にしていた。
「(てぇっ!!)」
　邪仙黒道・梦蝶は落ち込んで地面を見ているので敵に気付かれるどころではなく、放った矢が勢いよく命中する。
『痛ああっっ!!』

　流石にずっと落ち込んでいられないと辺りを見回すも、来ていたのは蒼夜。
「ん～、美味しい♪」
　パワーフード【特製骨付き肉】を食べた事によりUC《パワー・エヴォリューション》が発動する。全細胞が活性化され、能力を上げた状態で一気に【蒼霊刀】で斬りかかった。今なら2分と少しの間は活性化が続くだろう、猛攻を受ける邪仙黒道・梦蝶。
『痛いっ！　痛いって言ってるでしょう！　やめなさい！』
「これは持病の腰痛が治ると騙されたお爺さんの分！　これは末永く幸せに結婚生活できると騙された青年と妻の分！　そしてこれはなけなしのお小遣いでお母さんにプレゼントしようとした女の子の分よ!!」
　始皇帝水銀の被害者達の思いが痛く突き刺さる。
『具体例出されてもっ!!』

　邪仙黒道・梦蝶が困惑している間に、スピネルは再び射撃しようとしていた。
「(もう一回……次は、頭の辺りを狙います！)」
「そしてこれは……あっ、もう2分ぐらい経つわ……ね」
　フラッと倒れた蒼夜を見て『しめた』という表情の邪仙黒道・梦蝶に狙いすまし、発射。
『がっ!!!』
　クリティカルヒットを叩き出したスピネル。
「やった、成功ですね」

　乃愛が覗き込んで様子を確認する。
「やっつけた……みたいだね」
　蒼夜が目を覚ました頃には、乃愛は邪仙黒道・梦蝶の所持していた物から小さな入れ物を発見していた。
「これは確か始皇帝の水銀を集めるための物だよね？　とりあえず集めておこう」
　入れ物の蓋を開けると、みるみるうちに吸い込まれていく始皇帝水銀。全てが収まりキュポッと自動的に蓋が閉まると、封じ込めたのか力を込めても開かない強度になっていた。
「どれ位始皇帝を集めればいいのかしら？」
　蒼夜の疑問が解決するのは、恐らくそう遠くない頃だろう――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2023年06月09日