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刹那の美を愛でるために

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●咲き乱れる命
 寂れた街道で馬車を走らせていた行商人は、空模様に吹雪を予感し、一時の庇を求めてその廃墟を訪った。
 すでに領主も住人もなく、うち棄てられて相当の年月が経過していると一目でわかる、小さな町の古城。
 堅牢な城門をくぐった瞬間、行商人はかぐわしい花の香をかいだ。
 崩れかけた城内の一面に広がるのは、美しい花畑。
 寒空の下にありながら、あまりに生命に満ち溢れ、この世のものとは思えぬ光景。
 ……それは確かに、存在すべからざる花々だった。
 花畑のかしこに覗けるのは、白い肌。棘持つ蔓に絡みつかれ、あるいは苗床の如く横たわり、生身の裸体を少しずつ、少しずつ、色とりどりの花々へと変容させていく、幾人もの少女たち……。
 情けない悲鳴を上げ、ほうほうの体で逃げ出す行商人の姿を、見開かれたまま閉ざされることのない少女の眼差しが見つめる。
 瞳から溢れた赤い水滴が、一筋、頬を伝った。

●グリモアベース:ゲネ
「今回はダークセイヴァー。少々厄介な事案だね」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は忙しなくホログラムのコンソールに指を走らせながら、珍しく気難しげに言った。
「とっくの昔に無人になったはずの古城に、異常な花畑が繁殖している。人間の少女たちを養分に……というより、人そのものを花へと変容させて構築されたもののようだ」
 ダークセイヴァーは概ねオブリビオンに牛耳られている状況だが、中には表立っては動かず潜伏し、好き勝手に欲望のまま振る舞う者もいる。今回もおそらくそれだろう、とゲネは推測する。
「この悪趣味な花畑を創り出したのは、十中八九、少女愛好家『リリアーナ・ヒル』だ」
 猟兵たちの前に展開したホログラム画面に現れたのは、妖艶な美女のフォトグラフ。選りすぐりの美少女を集めてハーレムを築くことを嗜好とする、極めて変態的なオブリビオンである。
「だがコイツの居場所はわかってない。あの土地は情報の収集方法が限られるからね」
 となれば、取れる手段は一つのみ。
「だから、諸君には直接現場に行って、この花畑を調査してほしいんだ」
 城は、屋外屋内ともに花々に侵食されている。
 おそらく城内のどこかに研究施設のような場所がある。そこを破壊できれば、この場所で研究されていた花畑の精製法の拡散を防ぐことができるだろう。
 またそこには、花畑に供されるために用意された少女が、まだ無事な状態のまま囚われている可能性もある。
「すでに変容してしまった少女たちにはぼんやりと意識のある者もいるから、なんらかの情報が聞けるかもしれない。当然、ほとんどは手遅れだが……上手くすれば何人か助けられる可能性もなくもない……が」
 過度な期待はせんでくれよ、とぼやくゲネの笑みに力はない。
「少女愛好家が少女を手元に置かずに花にしちまうってさ。知りたかないけど、ろくな理由じゃなかろうねぇ……」
 溜息を零しつつ、ゲネは転移術式を大量のホログラム画面に展開した。
「さあ諸君、ユーベルコードの確認と、胸糞への覚悟を終わらせたら、すぐに出発だ。命を弄ぶクソヴァンパイアを暗闇の中から炙り出し、相応の鉄槌を頼むぞ……!」


そらばる
 そらばるです。
 猟兵としては二作目になります。
 今回は個人的に色々と思い入れのあるダークファンタジーに着手させて頂きました。

 ダークセイヴァー。美しくも残酷な花畑。
 古城はどこもかしこも満開の花畑。
 どこかに研究施設があるはずです。
 まだ無事な少女たちが囚われているかもしれません。
 花になりかけている少女たちから話が聞けるかもしれません。助けられる可能性も、もしかしたら……。

 物語のスタートは、城門をくぐったところから。
 研究所などへの侵入方法を考えるのはそれ以降で大丈夫です。
 皆様の想いのこもったプレイング、お待ちしております。

●シナリオ構成
 第一章:冒険(花畑)
 第二章:冒険(???)
 第三章:ボス戦(少女愛好家『リリアーナ・ヒル』)
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第1章 冒険 『私の為に花は咲く』

POW   :    研究施設の破壊など

SPD   :    囚われた人をこっそり救出するなど

WIZ   :    侵入ルート、避難経路の割り出しなど

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

葛乃葉・やすな
わしは激怒した。
必ず、かのリリアーナ・ヒルを除かなければならぬと決意した。

わしも人の子供が好き、言うなれば少女愛好家なのじゃ。

「なぜ少女を花に変えるのじゃ。」

少女愛好家の風上にもおけぬわ。

【目立ない】よう古城に接近し、【地形の利用】【戦闘知識】【情報収集】で侵入ルートと避難経路を見つけてるとしよう。

崩れかけた城門のまわりには件の花が見える。

「呆れた少女愛好家じゃ、生かしてはおけぬ。」

花畑をみるなり、わしは激怒した。



 葛乃葉・やすな(ガチャで大爆死した妖狐・f14023)は激怒した。
 必ず、かのリリアーナ・ヒルを除かなければならぬと決意した。
 やすなも子供好き、言うなれば自身も少女愛好家なのだと自認する。
 だからこそ、花畑の創造主を理解できない。
 許せない。
「なぜ少女を花に変えるのじゃ」
 少女愛好家の風上にもおけぬわ。正面から吹き付ける寒風に吐き捨てる。
 身を潜め、風雨に曝された廃屋の影を進む。手に入れた情報と実際に目の当たりにする景色とを照らし合わせ、侵入路と避難経路に目安をつけながら。
 城下に敵の気配はない。古城の周囲にも。
 慎重な迂回を経て、やすなはやがて古城にたどり着く。
 崩れかけた城門のまわりには、件の花が見える。
 城門をくぐったそこは、少女の命で輝く麗しの花園。
 未だ人の形を保った少女たちの瞳が、やすなを映し出す。
「呆れた少女愛好家じゃ、生かしてはおけぬ」
 花畑を見るなり、やすなはもう一度激怒した。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリーツィア・シュヴァルツシルト
これだからヴァンパイアってヤツは。手前勝手な戯れで全てを奪い去る。胸糞が悪い……くだらねぇ理由で未来を奪う過去も、そいつらの血が半分も流れているって言う自分も。(舌打ちをし、苦々しい表情で吐き捨てる)

城門をくぐった後、城内をしらみつぶしに歩き、研究施設らしき物を見つけた場合、若しくは探索の邪魔をする存在が現れた場合、【血統覚醒】を使用。背に負った暴食の呪剣を抜き放ち、「怪力」に任せた「なぎ払い」で研究設備の破壊、或いは障害の排除を行う。



「これだからヴァンパイアってヤツは」
 残酷にして美しい花園を進みながら、アリーツィア・シュヴァルツシルト(黒き盾のアリーツィア・f14153)は忌々しく舌打ちした。
「手前勝手な戯れで全てを奪い去る。胸糞が悪い……くだらねぇ理由で未来を奪う過去も、そいつらの血が半分も流れているって言う自分も」
 苦々しく顔を歪めて吐き捨て、アリーツィアは古城を睨むように見上げると、躊躇なく中に踏み入った。
 一見無人と見える城内にも、花々は瑞々しく咲き乱れ、少女たちの視線もまた途切れることはない。
 アリーツィアはとにかくしらみつぶしに城中を歩き回ることにした。
 厨房、兵舎、武器庫、使用人部屋、裏庭……一階は完全な空振り。あるのは花と少女ばかり。
 ならばと適当な階段から上階に上がったところで、奇妙な生物と出くわした。
 人間より一回り小さいサイズ感の、やせぎすな小鬼。不似合いな白衣らしき襤褸を纏い、手には山ほどの草花や薬品らしき液体の入った薬瓶を抱えている。
「キィッ!? キキキィィィ――ィ!」
 小鬼はアリーツィアの姿を見るや、甲高い声を上げながら死に物狂いで逃げ出した。
 その叫喚に呼応するように、廊下に展示されていた騎士鎧の目庇の下に、赤い眼光が輝いた。
 ガシャン……ガシャン……重い音を立てて、数体の騎士鎧が台座より下り立ち、アリーツィアの前に立ち塞がる。
「なるほど、さっきのが研究員ってわけか。あれを追いかければ研究施設に行けるんだろうが……」
 アリーツィアもまた両眼を真紅に輝かせる。その肉体は、見る間にヴァンパイアの姿へと変貌していく。
「まずは、障害を排除するのが先だな」
 背に負う暴食の呪剣が抜き放たれ、膂力に任せた一閃が、騎士鎧たちを鋭く薙ぎ払った。

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・望
人を苗床に咲く花畑、ですか。
あまりにも……
最善は尽くせなくても、どんな方法だとしても助けないと、哀しすぎるのです。

その為にもまずやらないといけない事は侵入したり、避難する道を見つけることですね。

【マジックオーケストラ】で召喚したねこさん達に頼むのです。
あの子達なら目立たずに侵入できるでしょうから、ねこさん達に調査してもらって、【動物と話す】で結果を聞き出すのです。
【第六感】にも頼ってちゃんとマッピングしたり、情報を書き留めておくのです。

そのデータをしっかり共有すれば他のみんなの役にも立てますよね。



 眼球の失われた眼窩から咲く花。宙に伸ばされたまま硬直したたおやかな手に絡みつく花。
「人を苗床に咲く花畑、ですか。あまりにも……」
 美しくも異様な花畑を見渡し、七那原・望(封印されし果実・f04836)はなんともいえない溜息を零した。
「最善は尽くせなくても、どんな方法だとしても助けないと、哀しすぎるのです」
 そのためにまずやらなければならないのは、研究施設を探し出し、侵入路と退路を確保すること。
「さぁ、開演なのですよ!」
 望はマジックオーケストラを発動した。たちまち周囲を無数の白猫の軍勢が埋め尽くす。
「お願いしますね」
 心得たとばかりに一斉に城内へ散開していく白猫たち。壁や床の狭い隙間を通り抜け、天井裏を悠然と進み、崩れかけた梁の上を渡り……数と小さな体を活かして、瞬く間に古城の情報をかき集めてくる。
「一階は何もなし、二階では交戦開始、鎧姿の防衛戦力が集結し始めている……動くなら、引き付けてくれている今ですね。三階から上は……」
 猫たちと言葉を交わし、実地のマッピングと情報とを照らし合わせながら、望は少しずつ城の全容を把握していく。
「研究員と思われる小鬼が城の上階に逃げ込んだ……?」
 新たに舞い込んだ情報に、望の脳裏に直感が閃いた。
「ひょっとしてこの城、上階にも庭園があるんじゃ……研究施設はきっとそこに……!」
 望は未完成のマップを指で辿り、待機している猫たちに語り掛けた。
「上の階のどこかにある、庭のような場所を探してください。それから、動物の言葉がわかる猟兵がいたら、この情報を伝えてあげて。みんな、くれぐれも見つからないように……!」
 再び散っていく猫たちの姿を、望は祈るように見送った。

成功 🔵​🔵​🔴​

レガルタ・シャトーモーグ
ロクでも無いな…
人を苗床に育つ花なんて醜悪にも程がある


【動物と話す】で近くの小動物をつかまえて、普段人が出入りしている場所を聞く
花畑にアクセスしやすい場所に研究施設があるなら、花畑の中央とかが怪しいだろうか
苗床の少女が比較的古いエリアの周囲を中心に捜索

捜索時は「視えざりし屍の招聘」で髪の長さ以外は自分にそっくりな漆黒の共犯者を呼び出し2人で探す(共犯者は髪が長い)
研究施設捜索のため花園を見て回るついでに、助けられそうな少女が居ないかも確認
息があれば救出し、どこから連れてこられたかを聞きたい
自力で動けるなら迷彩マントを被せ逃がす

変態趣味にこれ以上付き合ってられないからな
感付かれない内に急ごう



 曇り空に掲げた指に小さな野鳥を止まらせて、レガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)は呟く。
「ロクでも無いな……人を苗床に育つ花なんて醜悪にも程がある」
 指を耳元に寄せると、小鳥は古城と周辺の様子を歌うように囁いた。
「……上層部に小鬼の出入りが多いのか。上階の様子は……そうか、ありがとう」
 再び空に向けた指から、小鳥は軽やかに飛び去っていく。
「来い……!」
 レガルタはユーベルコードを発動した。たちまち足元から漆黒の影が立ち昇り、自身そっくりの、髪の長い漆黒の共犯者を形作った。
 共犯者と共に、時に入り込んだ野生の動物から情報を引き出しながら、城内を進むレガルタ。
「この辺りの少女はさっきより侵食が進んでいるな……苗床が『古い』のか」
 もげ落ちた腕の断面から花を生やす少女、顔面のほとんどが花に埋め尽くされた少女、胸が花畑と一体化している少女……徐々に形を失い、花園に溶けていく少女たち。その悲しい軌跡を追うように、レガルタは城の上階にたどり着いた。道中に無事な少女の姿を見出そうとはするが、目的地を目指すほどその可能性はしぼんでいくように思われた。
 他の猟兵の使い魔らしき猫に示された先には、長い年月を経てまるで古い遺跡の如き重厚な雰囲気を纏った空中庭園があった。
 ……その奥には、研究施設らしき建造物も。
「変態趣味にこれ以上付き合ってられないからな。感付かれない内に急ごう」
 静かな呟きに鋭い意志を秘めて、レガルタは研究施設へと向かう。
 悲劇の拡散を食い止めるために。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザザ・クライスト
【KBN】で参加

【POW】サーチドローンで偵察後、侵入に使えそうな場所を調査

「まずは周囲の確認からだな」

サーチドローン・Ghost3DVを操作して空から古城を偵察
携帯端末に画像を転送させて確認する

「優先順位はどうする? ヘル・高鳴はどうお考えです?」

フラウ・神羽のボディーガードに意見を求める
実力は未知数だが、時折チラつく視線の冷たさは尋常ではない

最終的にはしらみつぶしだろォが、少女たちを連れて歩くのは無理だしな
話が聞けるならフラウとヘルに任せてオレは周囲の警戒に努める

「フラウ、話しておいた上着の用意は大丈夫か?」

まさか裸のままというワケにゃいかねェだろ?

扉の鍵などは銃で壊すなりして進むぜ


神羽・リオン
【KBN】高鳴さん、ザザさん、私の三人で行動
2人の後ろを歩き、
「勿論よ。そのままには……できないもの」
手には大量の上着や羽織を用意してザザさんに返事を。
彼らと一緒でなければ足がすくんでしまいそう。
不安な声で「高鳴さん……」
頭を撫でられて思わず『怖い……』と言いたくなる気持ちを堪え。
少女達の残酷な姿に狼狽え立ち尽くす。
情報収集の役に立てばとKBN-Valacを起動させた手は震えてしまって。 高鳴さんに渡すわ。

少女達に駆け寄り「ヒドイわ……こんなの!」
蔓を取り除き、上着を羽織らせ、聞こえるなら彼女達の声を聞き、 花畑に何かないかと目を光らせ 調査を

アドリブ歓迎


高鳴・不比等
【KBN】で参加

これまた、花に変えてもつまらんだろうに。オレはそのままの方がいいね。

可能なら事前に馬車と荷台を門前に複数用意しておく

ドローンにサーモグラフィー付いてる?なら少女達の場所が分かるかもな。

ドローンで偵察した画像を元にマッピング、それを元に進んでいく

そう怯えなさんな、大丈夫。オレ達が付いてるよ。
リオンに声をかけ、頭を撫で安心させる

順位はー、調べつつ救助、後はなり行き!って感じで。

花壇以外もトピアリーやヘッジ、床に噴水、彫刻まで隈無く探索

少女達を発見次第、UCで蔓のみを斬り、持込んだ衣類や水を渡し救助
動けるなら馬車へと向かわせ、無理なら待機してて貰う

大丈夫かいお嬢さん方。助けに来たぜ。



 仲間たちと共に城門をくぐった高鳴・不比等(鬼人剣・f02226)は、かぶりを振った。
「これまた、花に変えてもつまらんだろうに。オレはそのままの方がいいね。……ん?」
 軟派な感想を漏らしつつ、変容中途の少女たちの顔を見て回り、不比等は小さく首をひねった。なんとなく違和感があるような……
「まずは周囲の確認からだな」
 傍らで、ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)はサーチドローン・Ghost3DVを起動した。速やかに舞い上がるドローンが、空中から撮影した古城の様子を携帯端末に転送してくる。
「……外も中も花まみれか。壁面は穴だらけで侵入路には事欠かないな。内部はかなり複雑そうだが……優先順位はどうする?  ヘル・高鳴はどうお考えです?」
 冷静沈着に分析しつつ、ザザは実力の知れぬボディーガードへと問いかけた。
「順位はー、調べつつ救助、後はなり行き!って感じで」
 軽薄にも聞こえる声色で返す不比等。しかし『苗床』の少女たちを見分するその眼差しが、言い知れぬ冷たい光をチラつかせたのを、ザザは見逃さなかった。
「フラウ、話しておいた上着の用意は大丈夫か?」
 ザザは続いて、後方にいる不比等の主へと投げかけた。
 二人の後を無言で歩いていた神羽・リオン(OLIM・f02043)は、大量に抱えた上着や羽織を抱きしめながら、低く答える。
「勿論よ。そのままには……できないもの」
 言いながらも、足元に通り過ぎていく『手遅れ』な少女の凄惨な有様に、どうしても視線が吸い取られてしまう……。
 三人はドローンの情報をもとに古城を探索していった。
 一人でも無事な者はないか、サーモグラフィーで熱源を探る。変容していく少女たちのほとんどは動物としての体温を失いつつあったが、ちらほらと恒温状態に近い反応もある。ほとんどは先行している猟兵や野生動物のもののようだが……
「高鳴さん……」
 不意に、しんがりのリオンが怯えたように不比等を呼んだ。
 二人が振り返ると、足を止め立ち尽くしてしまったリオンの、激しい狼狽の眼差しを向ける先には、全身に花を咲かせ、リオンに向けて手を伸ばしたまま固まっている少女がいた。
 侵食具合は一朝一夕のものではない。しかしあたかも今まさに助けを求めているようなその残酷さが、リオンの心を抉る。
「そう怯えなさんな、大丈夫。オレ達が付いてるよ」
 不比等は立ちすくむリオンの頭を優しく撫で、情報収集のために小型PCを立ち上げたきり震えている彼女の手から、それを受け取った。
(「怖い……」)
 思わず吐露したくなる気持ちを堪え、リオンは懸命に勇気を振り絞って頷き返した。
「……フラウ。上着の準備を」
 前方から唐突にザザが声を上げた。
 はっとして振り返れば、熱源反応を示す端末を手にしたザザの前には、古めかしい扉があった。マッピングした情報によれば、その先は城の裏庭のはずだ。
 ザザは二人の表情に理解と覚悟が浮かんだのを認め、歪んだ錠前に銃弾を撃ち込み破壊した。
 勢いよく開かれた扉の先には、寒空の下に荒れ果てた裏庭。そこは他と比べて花の侵食がまだ緩やからしく、まだ青いつぼみも多い。
 そこに無造作にへたり込む少女たちの一人には、まだ生々しい生命力が感じられた。
「ヒドイわ……こんなの!」
 リオンはたまらず少女に駆け寄った。柔肌に絡みつく蔓を取り除き、上着を羽織らせ、彼女の口許に耳を寄せながらも、他に無事な者はいないかと辺りに目を光らせる。
「大丈夫かいお嬢さん。助けに来たぜ」
 不比等もまた、かつて何かのトピアリーだったらしき形骸の下に、もう一人の生存者を発見した。鬼人剣を発動して蔓のみを斬り放し、上着でくるんで水を口許に運んでやる。
 虚ろな眼差しの少女たちは、それぞれに朦朧と呟く。
「わたし……えらばれ……かった」
「リ……ーナ……ま……ぎ、しき…………地下」
 リオンと不比等が顔を見合わせたその時、古城の上階から鈍く重い轟音が辺りに響き渡った。
「先行した連中が研究施設の破壊に成功したようだな」
 周囲の警戒に務めていたザザが、たなびく煙を目で追って呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『復活の儀式を阻止せよ!』

POW   :    勘で儀式の場所を探す

SPD   :    痕跡を辿って儀式の場所を探す

WIZ   :    情報収集や魔法で儀式の場所を探す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●廃墟地下:深淵の儀式
 猟兵たちは空中庭園に存在した研究施設の破壊に成功し、囚われていた数名の少女たちを救出した。
 また、裏庭にて救出した二名の少女も、命に別状はない。
 ……残念ながら、他に生存者はいなかった。

 彼女らの証言は若干の混乱もあったが、それぞれを突き合せることで、新たな事実が浮かび上がった。
「古城を中心とした街の地下には、広大な遺跡が広がっている」
「その遺跡のどこかで、周辺の人里からかき集められた生贄を使って、オブリビオン召喚の儀式が行われている」
 少女たちは言葉少なにそれらを伝えると、最後に、
「儀式を行っている術者を、殺さないで」
 とだけ懇願したきり、口を閉ざした。

 情報は断片的だが、リリアーナ・ヒルの手による儀式であるのは間違いないようだ。
 その儀式を止めることができれば、一気に敵の懐に潜り込めるかもしれない。

 また、気づく者は気づいただろう。
 少女愛好家が「美少女を集めてハーレムを作ろう」というにしては、花畑にされていた少女たちの容姿は少々平凡に見える……という、小さな違和感に。

 ……様々な想いを抱きながら、猟兵たちは城の地下へと潜る。
 暗く冷たい迷宮にも似た地下遺跡が、目の前に広がっていた。
レガルタ・シャトーモーグ
あの庭園の地下にこんな場所があったとはな…
生贄を使った大規模な儀式をするなら、準備のために配下がつけた痕跡があるはず
【迷彩】マントで身を隠し、照明は付けずに【暗視】で奥を探索する
分かれ道は足元の人の通った痕がより濃い方向
ときおり耳を澄ませ、声がする方へ向かう
途中に配下が居た場合、1体でこちらに気づいていない場合は背後から【暗殺】
複数で哨戒している場合は、飛針を投げてわざと音を出し、音に注意が向いた隙に「鈴蘭の嵐」で一掃を狙う

お気に入りの少女は自分の手元に置いているのか
用が無くなれば表の花畑に捨てるのか
どちらにせよ相応の報いは受けさせてやるさ…



 廃墟の直下に広がる地下空間は広大だった。少し見回すだけでも、迷宮のように入り組んでいるのがわかる。
「あの『庭園』の地下にこんな場所があったとはな……」
 澱んだ空気のわだかまる遺跡内を、レガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)は密やかに侵攻していく。
 迷彩マントで身を隠し、照明はつけない。暗闇には暗視を駆使し、どんな痕跡も見逃さない。
(「生贄を使った大規模な儀式をするなら、準備のために配下がつけた痕跡があるはず」)
 果たして、古めかしい石床には、人間らしいものとそうでないものの足跡が残されていた。いくつもの分岐を、レガルタは迷う必要もなく進むことができた。
 時折耳を澄ませ、気配を探るのも忘れない。
(「……! 足音……魔物か」)
 物陰から窺うと、前方の階段から哨戒役と思われる小鬼がやってくるのが見えた。足音は一体分、気配も一匹。
 レガルタは小鬼が傍らを通りすぎる瞬間を狙い澄まして、背後から貧相な背を貫いて心臓を一突きにした。
「ギェ……っ?」
 不格好な悲鳴を上げて、小鬼はあっけなく絶命した。
 次いで、別方向の通路から複数の足音と小鬼らしき鳴き声が聞こえてきた。レガルタは咄嗟に飛針を通路を挟んだ対岸へと投げつけた。
「キィ?」
「キッキィ!」
 針が石材を叩く甲高い音に、おびき出された三体の小鬼たちが通路から飛び出した。
 注意を一点に集中する三匹を、一瞬にして無数の鈴蘭の花びらが包み込み、瞬く間にその命を奪う。
「……お気に入りの少女は自分の手元に置いているのか。用が無くなれば表の花畑に捨てるのか。どちらにせよ相応の報いは受けさせてやるさ……」
 花びらを武器に戻しながら呟き、レガルタはさらなる闇を奥へと進んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリーツィア・シュヴァルツシルト
【能力値//POW】
可能であれば、痕跡を辿ったり、魔法を使ったりして儀式の場所を探す他の猟兵に同行させてもらえるように話を持ちかける。
そちらの方面はからっきしだからな。許可が取り付けられるのであれば感謝の意を伝え、少しでも探索に集中出来るように、「武器受け」や「盾受け」を駆使し、罠や敵などの障害から「かばう」事で力になろう。

約束が取り付けられなければ、見回りがいる場合を考慮し、遺跡の壁を攻撃して注意を惹きつけ、他の猟兵の探索がやりやすくなる事を期待する。

どちらにせよ、俺個人としては力ずくで動く事になる。
ただ手がかりを迅速に見つけ、奴を喰らうだけだ。その為であれば手段は問わない。


七那原・望
WIZで判定

殺さないで?どういうことなのでしょう?

それに、自分好みの女の人を生贄にして、そうでない人を苗床にしてる?

これ以上は調査しないとわからないのです。

ねこさん、引き続きお願いします。
【マジックオーケストラ】でねこさんと影を呼んでおき、ねこさんに地下遺跡の捜索をお願いし、【動物と話す】でその結果を聞き出します。
敵の配下などがいた場合は、そこに影を送り込んで、可能なら捕まえて情報を引き出します。
ただ、大事になって面倒な事になりそうな場合は、やめておきます。

【第六感】も頼りにマッピングや色々な情報を整理して、みんなにも共有します。



 複雑な経路の広がる遺跡を前に、アリーツィア・シュヴァルツシルト(黒き盾のアリーツィア・f14153)は渋面を作った。
「探索の類はからっきしだからな……良かったら同行させてもらえないか?」
 声をかけられた七那原・望(封印されし果実・f04836)は快諾する。
「もちろんです。私もできるだけ皆さんと情報を共有したいと思っていたので」
「助かるよ。その代わり、荒事は任せてくれ。アンタが探索に集中できるように全力を尽くさせてもらうさ」
「こちらこそです。私も探索はこの子たち頼りなのですけどね。……ねこさん、引き続きお願いします」
 ユーベルコードを発動した望の周囲に、無数の白猫と無数の影の軍勢が現れ、即座に遺跡の内部へと散開していく。
 猫たちのもたらす情報をもとに地道なマッピングを重ね、二人は石造りの古めかしい遺跡を順調に進んでいった。
「……それにしても、『殺さないで』というのはどういうことなのでしょう?」
「さぁな。彼女ら、あれっきりなんにも喋らなくなっちまったからな」
「それに、苗床の少女たちの顔立ち……自分好みの女の人を生贄にして、そうでない人を苗床にしてる……?」
「どうだろうな。生贄ってのは、別に女とは限らないんじゃ――待て」
 何気ない会話の半ばで、アリーツィアが角際で足を止め、進軍を鋭く制止した。
 壁に身を寄せ、そっと窺った進行方向の三叉路には、五体程度の小鬼がたむろしている。
 情報を採る格好のチャンス。二人は無言で頷きあった。
「――小鬼ども、こっちだ!」
 アリーツィアは高らかに声を上げ、盾を構えながら猛然と敵陣へと突っ込んだ。
 突然の襲撃に、小鬼たちがキィキィと騒ぎ、迎撃態勢をとろうとする――その背後に立ち昇る、複数の影。
「キィッ!?」
 完全に不意を衝かれた小鬼たちは、瞬く間に影の軍勢に制圧された。
 取り押さえられ、床に這いつくばる小鬼を見下ろす望。
「さあ、儀式場の場所まで案内してもらいましょうか」
「抵抗しようなんて思うなよ。……さっさと儀式場を見つけ出して、奴を喰らう。その為に、手段を問うつもりはない」
 力ずくで押し通る気迫を背負ったアリーツィアに眼光鋭く睨み下ろされた小鬼は、諦めたようにがっくりと脱力し、唯々諾々と従った。
 儀式場への道筋を見出し、二人はさらに前進する。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葛乃葉・やすな
数名かもしれぬが救助出来たのじゃ。
あやつらには感謝せぬとな。後ほどわし特製のいなり寿司でも振る舞うかのう。

それにしても「儀式を行っている術者を殺さないで」とはどういう事じゃ?

リリアーナ・ヒルであれば除さねばと思っておるのじゃが…。

まぁそれは置いておくとして、まずは【情報収集】をしておこう。
何かに気づくかもしれん【第六感】にも期待しておくかのう。

まずは、花畑にされた少女について重点的に調べるとしよう。

美少女ハーレムを作ろうとしたり割にはどうも選定にムラがあるでのう。
何か裏があるかもしれぬ。

まぁ、わしの様に少女となれば見境ないと言う事もあるがのう。

※アドリブや絡み歓迎じゃ。



 葛乃葉・やすな(ガチャで大爆死した妖狐・f14023)は、すぐには地下に潜らず古城に残っていた。
「数名かもしれぬが救助出来たのじゃ。あやつらには感謝せぬとな。後ほどわし特製のいなり寿司でも振る舞うかのう」
 助け出した少女たちを、仲間の手配した馬車が安全な場所へと運んでいくのを見送ると、やすなは再び古城の調査に戻った。
 城の花畑は未だ枯れず、苗床と成り果ててしまった少女たちも多くがその姿を残したままだ。
「それにしても『儀式を行っている術者を殺さないで』とはどういう事じゃ? リリアーナ・ヒルであれば除さねばと思っておるのじゃが……」
 ひとりごちつつ、やすなは苗床の少女たち一人一人を注意深く見て回った。
「ふむ。確かに秀でて美しいという顔立ちではないが、決して醜くもない。む、少女というには多少とうが立っておる者も少々……」
 どうやら苗床にされたのは、総じて『美少女』と呼ぶには微妙なラインの女性であるとわかったが、やすなにはなおのこと釈然としない。
「どうにも、選定にムラがあるようだのぅ。……まぁ、わしが少女となれば見境なさすぎるだけかの」
 幾度目か、花畑に視線を巡らせ、やすなははたと、今更のように気づく。
 花畑の『美しさ』に。
「美しく……美しいまま……いや、少々美しさに欠ける少女でも、花と化せば皆平等に美しく、花畑として永遠に……」
 天啓のような直感が、脳裏に閃く。
 ――リリアーナ・ヒルは、すでに自分好みのハーレムを完成させている。
 この花畑は、ハーレムの余剰。好みからは少し外れているが棄ててしまうのも惜しい少女たちを、より美しく、長久に愛で続けるために――
「……ならば、術者というのは――いかん。急がねば」
 やすなは素早く身を翻し、地下への道を急いだ。
 その胸に、忌まわしき少女愛好家への怒りを新たにしながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ザザ・クライスト
【KBN】で参加

【POW】痕跡を探しながら勘を働かせる

「痕跡を探すしかないだろう」

遺跡に出入りしてるなら痕跡はある筈だ
アイデアがあるなら乗るぜ

「選別に漏れた、という話かと」

手当たり次第に集めてみたが、並の少女には用がない
『不合格』は花に、『合格』なら手元に
あるいは術者として利用しているか

「フラウ、落ち着け」

痕跡がないか注意深く【視力】【暗視】で確認
【第六感】と【野生の勘】を研ぎ澄まして進む

憤りを露わにするリオンに、

「感情的になるなとは言わねェ。だが、それは戦いまでとっておけ」

今から熱くなってると本番でバテちまうぜ?
クールな物言いはクール過ぎるほど
努めてそうしている事をフラウはもう知っている筈だ


高鳴・不比等
【KBN】で参加
(ライトで照らしつつ)
通った所は埃や土質、靴跡で解るし痕跡を辿のが楽だろうな。
犬なら臭いで行けたかも…

…狐も犬も同じって事で、お嬢出来ない?無理か、だよね。

アイデアじゃ無いが、レーダー探査機や測量ソフトでマッピング序でに不審な空間がないか調べてるよ。
野生動物か…化け物がいるかも。
オレは来て欲しくないが、案内出来る頭があるかね。
良い匂いだろ?

それはオレも考えましたよ?なんか引っ掛かるっつーか。
ブ…平凡も利用法はあると思うんだが、術者を殺すなってのも気になる。

そーそ、今から燃やしても燃料切れになるだけだぜ?
クソ野郎にブチ込む分はお預け。

…お嬢のそういうトコは好ましいが、苦いもんだね


神羽・リオン
【KBN】の3人で行動
【WIZ】狐火で周囲を照らしながら感情任せに突進

少女達を見た後は恐怖から敵への憤りへと変化。
今度は2人よりも前を歩くわ。
ザザさんに落ち着けと言われても興奮状態。

こんなに広いんだもの。どんどん歩いた方が早いわよ!騒がしくしていれば向こうから来るかもしれないわ。捕まえて儀式の場所まで案内させればいいじゃない……

クンクンと鼻を鳴らしてみたけど
「高鳴さんの香水の匂いしかわからない……」ジト目

敵に早く撃ち込みたいと両手に銃を持って進み、
2人に諭されながらも魔弾の装填準備
「術者を殺さなければいいんでしょ?」
儀式に敵が顔を出したら先制攻撃よ

アドリブ歓迎



 暗い遺跡の中を、小さな狐火とライトの灯りが照らし出す。
「痕跡を探すしかないだろう。遺跡を出入りしている者がいるなら、必ず何かの跡は残るはずだ」
 ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)は冷静だった。第六感と野生の勘を研ぎ澄ませ、優れた視力と暗視能力で暗がりの違和感も見逃すまいと目を凝らす。
「同感。通った所は埃や土質、靴跡で解るし、それが楽だろうな。犬なら臭いで行けたかも……」
 ライトで辺りを照らしながら進んでいた高鳴・不比等(鬼人剣・f02226)は、ふと思いついたように前方へと目をやった。
「……狐も犬も同じって事で、お嬢出来ない?」
 狐火を掲げ、二人に先んじて感情任せに進んでいた神羽・リオン(OLIM・f02043)は、むっとして足を止めると、律儀にクンクンと鼻を鳴らしたのち、ジト目になった。
「高鳴さんの香水の匂いしかわからない……」
「無理か、だよね」
 良い匂いだろ?と茶目っ気たっぷりに笑う不比等。
「地道に行くしかないということだな。他にアイデアがあるなら乗るぜ」
「アイデアってわけじゃ無いが」
 ザザの問いかけに、不比等はレーザー探査機や測量ソフトなどを繋いだ手元の端末を示してみせた。
「マッピング序でに不審な空間がないか調べてみようと思ってね。ああ、早速熱源だ。野生動物か……化け物がいるかも」
「もう少し慎重に歩いたほうがよさそうだな」
「――ごちゃごちゃ言ってる暇なんかないわ! こんなに広いんだもの。どんどん歩いた方が早いわよ!」
 心持ち声を潜める男性陣に向かって、リオンは強気に言い放った。
「騒がしくしていれば向こうから来るかもしれないわ。捕まえて儀式の場所まで案内させればいいじゃない……」
「フラウ、落ち着け」
 憤りをあらわにするリオンを、ザザは冷静に諭す。
「感情的になるなとは言わねェ。だが、それは戦いまでとっておけ」
「でも!」
「今から熱くなってると本番でバテちまうぜ?」
 クール過ぎるほどクールなザザの物言いは、努めてそうしているのだということを、リオンも理解している。
「そーそ、今から燃やしても燃料切れになるだけだぜ? クソ野郎にブチ込む分はお預け」
 不比等もザザに同調する。
 リオンは一瞬むくれたような顔になったが、興奮状態は収まらない。
「私は、これを一刻も早く変態ヴァンパイアにぶち込みたいだけなの!」
 言い捨てながら、怒りを籠めて魔弾を装填した銃を両手に構え、相も変わらず感情的な足取りで先へ先へと突進していってしまう。
 ザザと不比等は顔を見合わせ、仕方なしにその後に続いた。
 古城では恐怖に身を竦ませていたリオンだが、生き残りの少女たちを見た後は、完全に怒りに捕らわれてしまったようだ。
「……お嬢のそういうトコは好ましいが、苦いもんだね」
「あの調子では、敵との遭遇も考えておかねばなるまい。フラウの言う通り、利用するのも悪い手ではなさそうだ」
「オレは来て欲しくないが、案内出来る頭があるかね。……お嬢、いきなり撃つのだけはやめてくださいよ」
「わかってるわよ、術者を殺さなければいいんでしょ?」
 儀式に敵大将が顔を出したら先制攻撃。リオンの頭の中はそれ一色だ。
「人の命を弄ぶなんて許せない……! 大体どういうつもりなの!? 女の子の顔に点数つけるみたいなあのやり口は……!」
「それはオレも考えましたよ? なんか引っ掛かるっつーか」
 不比等の意見は、ぶつぶつと怒りを垂れ流しながら前のめりに歩くリオンの耳には届いていない。
「選別に漏れた、という話かと」
 ぽつりと、ザザが零した。
「手当たり次第に集めてみたが、並の少女には用がない。『不合格』は花に、『合格』なら手元に」
「まあそんなところだろうけどさ。ブ……平凡にも利用法はあると思うんだが。術者を殺すなってのも気になる」
 何が何やら、と不比等は肩をすくめた。
 冷静な考察の末に、ザザは一つの閃きを添える。
「あるいは術者として利用しているか」
 ……厄介な話だ。そう呟いたのは、どちらだったか。
 怒り狂う少女を先頭に、三人はより深い闇の奥へと進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『少女愛好家『リリアーナ・ヒル』』

POW   :    トドメを刺した子には私からの寵愛を授けるわ
【大勢の短剣を持つ主人に心酔する娘達の突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【殺到する娘たちの追撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    私を守護する忠実で有能なペット達よ
全身を【大盾を持った少女達に指示し護る為の陣形 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    ギャラリーは多い方が良いでしょう?
戦闘力のない【身動きのできない、拘束されている少女達】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【少女達の悲観や絶望の感情】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はキア・レイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●地下儀式場:少女愛好家『リリアーナ・ヒル』
 ある者は影に紛れて。ある者は敵を利用して。
 猟兵たちは各々の力で道を切り拓き、その禍々しい儀式場へと到達した。

「あぁら、無粋なお客様ですこと」
 嫣然とした笑みで猟兵を出迎えたのは、少女愛好家『リリアーナ・ヒル』。
 だが彼女は、儀式の術者ではないと見て取れる。

 地面に描かれた巨大な召喚魔法陣の中心には、種族も特徴も様々な老若男女が数十人、力なくへたり込んでいる。彼らが生贄なのだろう。

 魔法陣の周縁には、術者と思われる人間が数名。
 ……いずれも、並外れて美しい顔立ちをした少女である。
 リリアーナ・ヒルは残酷に微笑んで種明かしを始めた。

「私は美しい少女が大好き。
 けれど私の眼鏡に適う美少女はなかなか見つかるものではないの。
 だから、小鬼に命じて、近隣の村から攫える者を根こそぎ攫わせているのよ。
 あの小鬼どもはヒト族の個体差などまるで理解できないもの」

「けれど、そうしていると、無益な『余剰』が発生するでしょう?
 美しさのわずかに至らぬ少女は花にして愛で、
 論外の者たちは生贄にして再利用。
 無駄のない、我ながら素晴らしい活用法だわ!」

「この娘たちは忠実なるしもべにして、私の恋人たち。
 儀式の術者を勤めてもらっているわ。
 ……ええ、召喚する対象などどんなものでも構わないのよ」

 偏愛を極めた女の頬は、薔薇色に上気する。

「この召喚の術は、ヒトの身には苦痛を伴うもの。
 私は、
 この娘たちが自らの手で罪なき人々の命を捧げ、
 その死を代償に忌まわしき怪物を召喚してしまったその瞬間の、
 美少女の顔が美しく歪む、刹那の表情が見たいのよ……!」

 リリアーナ・ヒルが狂おしく我が身を抱きしめた瞬間、生贄たちがどこからともなく現れた鳥籠型の檻に閉じ込められ、高々と天井に吊り下げられた。
 術者の美少女たちは波が引くように、不気味なほど統制された動きで魔法陣の周縁から退き、リリアーナ・ヒルの傍らに控えた。

「……そんな至福の時を邪魔する野暮な人には、おしおきが必要ね。
 さあ、こちらへ。もっと傍に寄って、そのお顔をお見せなさいな?」
 天井知らずの欲望に乾く唇を舐めて、リリアーナ・ヒルは猟兵たちを妖しく手招いた……。
アリーツィア・シュヴァルツシルト
(自分1人生き残った故郷の、人々の蹂躙される様がフラッシュバックし)無粋だ?野暮だ?……貴様らはいつもそうだ。貴様の言う『余剰』はっ、誰かにとっての『唯一』である場合もあるのにっ!!……殺すっ、貴様はっ、喰らってやるっ、私がっ!!

【血統覚醒】を使用し、騎士剣と盾を手に正面からボスに向かって行く。差し向けられる娘達は「武器受け」と「盾受け」を駆使し受け流し弾いていく。娘達を奴の武器と捉えるのなら「武器落とし」も有用だろうか。剣や盾から「呪詛」を込め、娘達の動きを封じるよう試みる。
娘達をいなした後は暴食の呪剣を抜き放ち、ボスに対し「怪力」に任せ連撃を繰り出し、「生命力吸収」「吸血」で魂を喰らう。



 人々が蹂躙されていく。故郷が、死んでいく。
 たった一人、自分だけを残して。

 脳裏を鮮烈に焼くフラッシュバックに、アリーツィア・シュヴァルツシルト(黒き盾のアリーツィア・f14153)の感情は焼き切れた。
「無粋だ? 野暮だ? ……貴様らはいつもそうだ」
 瞳が真紅に染まる。肉体が、瞬く間に変貌していく。
「貴様の言う『余剰』はっ、誰かにとっての『唯一』なのにっ!!」
 爆発的な力を立ち昇らせるその姿は、己が忌み嫌うヴァンパイアそのもの。
 騎士剣と盾を手に、アリーツィアは真正面から猛然と敵陣に突っ込んだ。
 リリアーナ・ヒルの唇が、艶やかに弧を描く。
「トドメを刺した子には、私からの寵愛を授けるわ」
 妖女の魅惑的な声色に、控えていた少女たちが一斉に動き出した。その手には一人一本の短剣。
 心からの、しかしどこか根源的に歪んだ笑みを浮かべて、次々襲い来る少女たち。
 明確な殺意を持って振るわれる短剣を、アリーツィアは剣で受け押し返す。さらに死角から飛び掛かった少女には、ほそやかな腹部に盾の腹を押し込んでその全身を払いいなす。
「少しおとなしくしていてくれ……!」
 アリーツィアは剣と盾に呪詛を籠め、さらに少女たちの攻勢を捌いていった。
 呪詛の影響で少女たちの動きが鈍り始めた。その隙を縫い、アリーツィアは暴食の呪剣を抜き放ち敵へと突撃する。
「……殺すっ、貴様はっ、喰らってやるっ、私がっ!!」
 怪力任せの連撃が、妖女の柔肌を斬り裂き、その魂に喰らいついた。

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・望
WIZで判定

許せない……っ!
そんな身勝手な理由で、こんなことをするなんて……
絶望と悲嘆に顔を歪めるべきは、お前です!

可能なら他の猟兵と協力して戦います。


最初は罪華・フィーネで近接戦です。
受けたダメージの回復とかはしないで、苦痛と不安の表情でリリアーナを【誘惑】なのです。

注意がこっちに向いてきたら【マジックオーケストラ】なのです。一部の影にはわたしを守ってもらいます。

ねこさん達の【全力】の【属性魔法】をリリアーナにぶつけながら、密かに影達に拘束されている少女達や生贄達を【封印を解く】や【第六感】にも頼りながら救出します。

これでそのくだらないユーベルコードも終わり、です。

絡み、アドリブ歓迎です。



「許せない……っ! そんな身勝手な理由で、こんなことをするなんて……」
 振り上げられた純白の大鎌に、赤いアネモネが映える。
「絶望と悲嘆に顔を歪めるべきは、お前です!」
 七那原・望(封印されし果実・f04836)は怒りも露わに敵陣に突っ込んだ。
 しかしその思考は冴え渡っていた。先んじて突撃を仕掛けた仲間の切り拓いた道を突き進み、ダメージは最小限に。
 刃の痛みを覚えた瞬間、望の顔にかすめる苦痛と不安の表情が嗜虐趣味の少女愛好家を誘惑し、生じた隙を純白の刃が翻る。
「……ステキ」
 腕を斬り裂く斬撃など気にも留めずに、リリアーナ・ヒルの眼差しはうっとりと望に釘付けになる。
「あの娘、手に入れなさい」
 主の願望に呼応して、少女たちが一斉に地を蹴った。
 殺到する刃。その収束点たる望の目前に、急速に影の軍勢が立ち昇り、凶刃を弾き、少女をいなし、望を守護する。同時に出現した白猫たちは一気呵成に炎の魔力を練り上げた。
「ねこさん達、今です!」
 炎の奔流が少女たちの間をすり抜け、リリアーナ・ヒルの姿を逆巻く炎の渦に包み込んだ。
 その隙に、望は少女たちの意思に施された封印を解かんと、清浄な魔力を輝かせる。
「お願い、目覚めて……!」
 今にも望に襲い掛からんとしていた短剣が、不意に力を失い、乾いた音を立てて次々と床に落ちていった。
「わた、し……いったい……?」
 洗脳から解き放たれた少女たちが口々に困惑を零し、視線を彷徨わせた。
 と同時に、渦巻いていた炎が引き裂かれるように闇に散る。
「……やってくれたわね」
 剣呑に目を眇めるリリアーナ・ヒルへと、望は少女たちを背に庇うように足を踏み出した。
「これでそのくだらないユーベルコードも終わり、です」

大成功 🔵​🔵​🔵​

レガルタ・シャトーモーグ
分かりやすくクズだな…
後腐れ無く殺れるから助かる

正面からやり合うより絡め手でいく
奴が隙を見せるまでは立ち止まらない様にして攻撃を回避
向かってくる娘には飛針を投げたり、ワイヤーで引っ掛けたりして妨害
操られてるのか、見た目は娘の中身ゲテモノなのかの判断がつかないからな
一応、無力化で止めておく
ゲテモノっぽかったら殺す
少女の数が多すぎて埒が明かない場合は【ロープワーク】でワイヤーを天井に引っ掛けて一気に頭上から距離を詰める
攻撃の隙を突いて背後に回り込み【毒攻撃】を乗せた「背面強襲」を【2回攻撃】
貴様の不細工な面は見飽きた
さっさと逝け


葛乃葉・やすな
おぬしの悪行は捨て置けぬ。
やはりお主は少女愛好家の風上にもおけぬわ。

UC【絶技・九尾開放】を使用。
リリアーナの周りに少女たちがいる場合は【範囲攻撃】【気絶攻撃】で無力化する。

リリアーナには最大出力の妖気を【衝撃波】にしてぶつける。
攻撃が当たればついでに【生命力吸収】してくれるわ。
わしの攻撃は終わらんぞ。【2回攻撃】でもう一度【衝撃波】放つ。
わしの妖力に先ほど吸収したおぬしの生命力を上乗せした攻撃じゃ。

当たるとさぞ痛いじゃろうなあ。じゃがまだ足らぬよ。
お主にはもっと苦しんでもらわぬと割に合わぬ。
わしのお仕置きはまだまだこれからじゃぞ。



「酷いわね。その娘たちにどれほどの労力をかけたと思って?」
 リリアーナ・ヒルは悠然と、しかし不愉快そうに長い髪を払った。
 と同時、その傍らには新たな少女たちが忽然と現れた。さるぐつわを噛まされ、手足をきつく拘束され、涙と鼻水とよだれに塗れた顔。慈悲を乞う哀れな眼差し。
 彼女たちから立ち昇る悲観と絶望の感情を浴びながら、リリアーナ・ヒルは満足げに猟兵たちへと微笑みかけた。
「ギャラリーは多い方が良いでしょう?」
 唾棄すべきその笑顔に、猟兵たちは怒りをさらに燃え上がらせる。
「分かりやすくクズだな……後腐れ無く殺れるから助かる」
「おぬしの悪行は捨て置けぬ。やはりおぬしは少女愛好家の風上にもおけぬわ」
 レガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)と葛乃葉・やすな(ガチャで大爆死した妖狐・f14023)は各々に吐き捨てると、別方向へと散開した。
「ここから先は慈悲は無いぞ」
 九尾の妖狐へと姿を変じつつ、やすなが敵陣へと正面から突っ込んだ。
「私を守護する忠実で有能なペット達よ」
 リリアーナ・ヒルが冷淡に命じると、どこからともなく現れた新たな少女たちが、大盾を手に守護の陣形を組んだ。
「すまぬが眠っていてもらうぞ」
 やすなは九尾の尾で少女たちを薙ぎ払った。打ちのめされた少女たちは次々昏倒し、背後に庇っていた主への道を開ける。
「何をしているの。迎え撃ちなさい」
 鞭のようなリリアーナ・ヒルの言葉に打たれて、また新たに現れた少女たちが短剣で襲い来る。
 その足元に突き刺さる飛針。手足を捉え、動きを妨害するワイヤー。
「……幻や化け物の類ではない、か」
 距離を保ち、少女たちを無力化していきながら、レガルタは冷静に情勢を見極める。
 リリアーナ・ヒルの攻撃手段は少女たちのみ。彼女たちが生身の人間であるのなら、一人ずつ無力化させていけばいずれ戦力は尽きるかもしれない。……が。
「数が多すぎて埒が明かないな」
 レガルタは出し抜けにワイヤーを天井めがけて撃ち込んだ。襲い来る少女たちの目前で、幼い体がぐん、と宙に引っ張り上げられ、頭上に勢いよく飛び出した。
 はっとして顔を上げるリリアーナ・ヒル。その隙を逃さぬやすな。
「最大出力じゃ!」
 九尾の妖気が衝撃波となってリリアーナ・ヒルを打ちのめす。だが攻勢は終わらない。
「当たるとさぞ痛いじゃろうなあ。じゃがまだ足らぬよ」
 重ねられる二打目の衝撃波。初撃で吸収した生命力を上乗せした凄まじいエネルギーに、リリアーナ・ヒルの豊満な肉体が激しくのけ反る。
「かは……っ」
 血を吐いたその背後に、レガルタの刃が閃く。
「貴様の不細工な面は見飽きた。さっさと逝け」
 妖女の背中をナイフが貫き内臓を抉る。一撃、さらにもう一撃。
 鮮血に塗れ、毒に侵されながら、リリアーナ・ヒルは呪詛を吐き捨てる。
「お、のれ……」
「お主にはもっと苦しんでもらわぬと割に合わぬ。わしのお仕置きはまだまだこれからじゃぞ」
 九尾の妖狐の挑戦的な言葉に、リリアーナ・ヒルの美しい顔が憎悪に歪んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザザ・クライスト
【KBN】で参加

「ヘル、オレは援護に回る。フラウがやる気なら付き合うのが務めだろう?」

ヘル・高鳴にニヤリと笑いながらリオンを追う
リリアーナにはバラライカで【援護射撃】、フラウ・神羽をフォロー
もう片手のアレスはラバー弾(非殺傷用)で、術者の少女達に向けて使用、無力化を図る

「これだからヴァンパイアってやつはよォ!」

戯言を吐き捨てながら攻撃は【盾受け】
【戦闘知識】【野生の勘】を駆使して冷静に立ち回る

「やらせねェッ!」

フラウへの攻撃は【かばう】
ダメージは【激痛耐性】とナノアーマーの効果で防御
隙を見て【束縛の鎖】をリリアーナに叩き込んで行動を阻害

「逃がしやしねェぜ!」

あとはフラウとヘルがどうにかすんだろ


神羽・リオン
【KBN】で参加
UCは攻撃力強化

「聞いてない。聞くに値しない!アンタの趣味なんてどうでもいい!」
Lachesisのブレードを分割させながら【先制攻撃】を狙って聖属性の【属性攻撃】を【零距離射撃】で撃ち込もうと突進。
接近すれば彼女の不気味さに一瞬怯むかもしれないわ。だけど引かない。
「許さない!許さないからああ!!」
突進してくる少女達を【見切り】、彼女らに攻撃されてもリリアーナに肉迫しようと何度も前へ。
怒りに囚われなければ出来ないことも。
二人に庇われ下がることになれば、術者の足元に氷属性攻撃を放ち足止め。その間も隙を狙い

戦闘後は崩れ落ちる様に床に座り込んで
「ヴァンパイア……私、やっぱり嫌いだわ」


高鳴・不比等
【KBN】で参加

雑な計画をさも完璧かの如く語るってどうよ?恥ずかしくないんです?
構って欲しいけどなぁ、変なの召喚されても倒すの困るだろーが。
にしても全く、良い趣味してるねどうも。

お嬢完全にプッツンしてるわ。
(ザザの言葉に肩を竦め)いつもの事だ、後始末には慣れてるよ。

(危なくなればリオンの肩を後ろに引っ張り代わりに前に出る)
野暮で悪いねご同類。だが理解してるだろ?鬼が二体出逢った以上、殺しあうしかないってさ!

盾や武器となる少女達は残像で交わし、生命力吸収しつつ峰打ちや殴打で気絶させ無効化。
リリアーナへ迫り鬼人剣で傷口を剔り斬る。

見目に反して美しく無い奴だが、最期位は赤く綺麗に咲かせてやるよ。



 口許の血を拭い、美しい顔を険しく尖らせるリリアーナ・ヒルを、高鳴・不比等(鬼人剣・f02226)は嗤う。
「雑な計画をさも完璧かの如く語るってどうよ? 恥ずかしくないんです?」
「……なんですって」
「何を喚び出すかぐらいは構って欲しいけどなぁ、変なの召喚されても倒すの困るだろーが」
「なによ、そんなこと」
 リリアーナ・ヒルは鼻で嗤って、蠱惑的な笑みに唇を歪めた。
「あなたが心配することではなくてよ、坊や。私は私のハーレムを完成させるだけ。召喚した者にはそれ相応に役に立ってもらうだけ。どの道滅びる運命のあなたたちが口を挟むことでは――」
「聞いてない」
 きっぱりと、リリアーナ・ヒルの言葉を遮る声。
「聞くに値しない! アンタの趣味なんてどうでもいい!」
 叫ぶや否や、神羽・リオン(OLIM・f02043)は手にしたLachesisのブレードを分割させながら敵陣へと突進した。
 悠々とこちらを見下すヴァンパイアの不気味な微笑みに、一瞬、心が怯む。けれど引かない。絶対に、引けない。
「あらー、お嬢完全にプッツンしてるわ」
「ヘル、オレは援護に回る。フラウがやる気なら付き合うのが務めだろう?」
 ぼやく不比等にニヤリと笑って、ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)はリオンを追った。
「いつもの事だ、後始末には慣れてるよ」
 肩をすくめて、不比等も続く。
 ザザの両手銃が火を噴く。バラライカKBN18で、リオンの進路を欺くように、弄ぶように立ち位置を変えるリリアーナ・ヒルの動きを牽制しながら、アレスKBN13で非殺傷用のラバー弾をばら撒いて足止め。リオンの道を少しずつ拓いていく。
「これだからヴァンパイアってやつはよォ!」
 盾で攻撃を受けながら吐き捨てつつも、ザザはどこまでも冷静に立ち回る。野生の勘が少女たちの動きをつぶさに捉え、身に沁み込んだ戦いの知識が体を突き動かしていく。
「にしても全く、良い趣味してるねどうも」
 襲い来る少女たちの見目にぼやきつつ、不比等は攻撃を残像で躱し、流れるように峰打ちや殴打を叩き込みながらその生命力を吸い上げ、一人一人確実に気絶させていく。
「許さない! 許さないからああ!!」
 襲い来る少女たちを見切り、躱しきれずに短剣に肌を裂かれようとも、リオンは敵への肉迫を諦めない。何度でも、前へ。邪魔をするなら少女の腹にも膝を蹴り込む。怒りに囚われてしかできない暴挙を、この時のリオンは躊躇なく選択した。
「まあ怖い」
 リリアーナ・ヒルは愉しげに笑い、リオンへと少女たちを差し向けた。四方八方から迫る刃――
「やらせねェッ!」
 即座にザザが短剣の軌道に潜り込んだ。次々と振り下ろされる斬撃を、ナノマシンによる皮膚硬化で全て受け止め、激痛を耐える。
 庇われたリオンの肩を後ろに引っ張りながら、不比等も前に出る。
「野暮で悪いねご同類。だが理解してるだろ? 鬼が二体出逢った以上、殺しあうしかないってさ!」
 不比等の刀が抜き放たれ、閃く。
 その軌跡を避けようとして、リリアーナ・ヒルは愕然と目を見開く。
 彼女の両足は鎖に巻き取られ、半ば凍りついていた。
「逃がしやしねェぜ!」
 束縛の鎖を手に、ザザがニヤリと口の端を持ち上げた。その後方には、氷結の魔力を撃ち込んだ姿勢のまま、リリアーナ・ヒルを睨み据えるリオン。
「見目に反して美しく無い奴だが、最期位は赤く綺麗に咲かせてやるよ」
 不比等の呟きと同時、放たれる無数の剣閃。リリアーナ・ヒルの柔肌に刻まれた傷口を、ことごとく剔り、斬り捨てる。噴き出す鮮血。
 絶叫がリリアーナ・ヒルの喉を裂いた。
「おのれ……おのれぇ! こんなところで、この私が……ッ」
「――その屈辱と後悔をしっかりと魂に刻んで、滅しなさい!!」
 すでに、リオンの銃口は至近距離にあった。
 醜く歪むヴァンパイアの顔を、凄烈にして神聖な輝きが射抜く。
「いやあああぁあぁぁぁぁ――――……!」
 眩い白光が儀式場を照らし出し、リリアーナ・ヒルの肉体は千々に引き裂かれ消滅した。
 全てを終えて、リオンは崩れ落ちるように床に座り込んだ。
「ヴァンパイア……私、やっぱり嫌いだわ」

●風花舞う空の下
 主を失った儀式場から、魔法陣がほどけて消えていく。
 同時に、洗脳状態にあった少女たちが次々に正気を取り戻した。
 先に正気を取り戻し猟兵によって退避させられていた少女たちと、生贄として囚われていた人々と合わせて、猟兵が助け出した人数は五十人はくだらない。
 皆、命に別状がないらしいのが幸いだった。

 事件が明るみに出るまでに犠牲になった人数は、きっとそれ以上。
 残酷な現実と、これ以上の惨劇を防げた安堵を噛み締めて、地上に戻った猟兵と人々の頬を、冷たい風が撫でていく。

 花畑から舞い上がる花弁と、空にちらつき始めた白い雪。
 二種の風花が、物寂しい曇り空を彩った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月19日


挿絵イラスト