「この辺は調査は終わったか……」
きょろきょろと辺りを見渡すジャック。
戦争が終わったダークセイヴァーの世界はまだまだ謎が多いため、調査を続けていた。
「ん?」
ふと、ジャックが視線を向けた先にあったのは謎のゴミ箱。あまりにも突飛な設置物に思わずジャックは蓋を開く。
その視線の先に映るもの――全裸で眠っている少女の姿に思わず固まってしまったが。
しかしここで寝ているのは流石にまずいだろうと、彼女の肩を揺すって起こそうと試みた。
「んん……まだ、寝かせて……」
起きた少女はじゅるりとよだれを垂らしながらも、半分寝ぼけ眼でジャックを見る。
こりゃダメだ、と感じたジャックはひとまず彼女に服を渡して着替えてもらった。
「ありがとう……って、アルコやミリアは?」
服をくれたお礼を告げ、きょろきょろとあたりを見渡して何処かへ行こうとする少女――スターレイル。
流石にそのまま出るのはまずいとジャックが引き止め、一旦拠点へと帰ることに。
「え、ええっ、なんだここ!?」
入るや否や、それまで無表情だったスターレイルの表情が一気に驚愕の表情に変わる。
「ん? 俺の拠点だが」
「し、知らないものがたくさんある!」
あまりに驚いた様子のスターレイルに疑問を持ったジャックは、スターレイルにいくつか質問をする。
グリモアを知っているか、どんな風景を覚えているか、覚えていることはあるか、等。
話を聞けば聞くほどに、彼女の経歴が開かれる。
彼女は神だ。それも始まりの猟兵が出た噂がある時代からの。だから|現在《いま》を知らない。
敵との交戦中に弟子を庇い、オブリビオンになる呪詛を受けたこともある。
「オブリビオンに……って、大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。呪詛を受ける刹那、『星虹』の力で三割ほどの力と自分の魂を避難させておいたから」
「じゃあ本体じゃなく分身が呪いを受けた、ってことか。なるほどねえ……」
まだ納得のいかない部分はあるが、それでも彼女は目の前にいるためそれで納得するしか無い。
「ということは、このまま外に放り出すのはまずいか。今日はここに泊まりな」
「えっ、いいの?」
「ああ。明日、もう少し詳しく説明するからよ」
「ありがとう」
放り出すのも気が引けたのだろう。ジャックは寝床を用意して、彼女を一晩泊めてあげた。
長い年月、眠っていたとて三割の力は戻っている。
完全に戻るにはもう少し、時間が必要のようだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴