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悲歎のサロメ

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●赤き部屋
 あかがねが黒く染まっている。
 娘の身を彩る布は水を含んで重く、身体の線を顕わに纏わり付く。
 彼女は震える指を伸ばす。瞳は狂瀾を宿し大きく見開かれ、されど口元には微笑み。
「ああ、やっと……」
 愛おしげに持ち上げた、胸にすっぽりと納まるような球体。
 どろどろで、とても生臭く、なんだか青黒いもの。そんなものを酷く愛おしげに見つめて――娘は叫んだ。
「……違う!」
 そして先程まで宝物のように大事に手にしたそれを、地へ叩きつける。
 ぐしゃり、それは大地に吸い込まれるように転がった。床は粘り気のある液体でねっとりとしていたから、再び戻って来たそれを優しく受け入れた。
「どれ、どれなの……? あのひとは……」
 娘の唇が震える言葉を紡ぐ。そして再び、悪臭漂う赤黒い床を彼女は這った。端から見るに、その様は狂人としか思えぬ。
 何せ――その空間は狂気そのもの。
 本来は瀟洒な屋敷の大広間。柔らかで上質な絨毯は今や血と汚物と肉塊で汚れている。折り重なる人、人、人。
 そして、首、首、首――。転がる死体は、全て首を断たれている。
 生きて動く人間は娘だけ。
 その娘もとても正気ではない叫びを上げた。
 ――こんな情景の内で正気であることの方が、余程理解に悩むところであるが。
「助けて! 助けて……あのひとの首が、みつからないの」
 叫ぶだけ叫んで、啜り泣き始める。静かに、とても悲しそうに嗚咽している。
 ゆえに、彼女を見て、心から哀れと思う者もあるだろう。
 然し――この凄惨な情景を生み出したのが、彼女であると知っていたならば――その嘆きを因果応報と嗤うだろう。
 ただ、その女は。その全てを知りながら前者の心を持ちて、言葉を紡ぐ。
「折角力を貸してあげたのに、可哀想な子。でも安心して……私が代わりに探しておいてあげる」
 ああ、でも。手当たり次第刈ってしまったから――よく解らない。
 けれど大丈夫――いずれ、皆。ひとしく白くなるだけだから。
 そう、優しく甘く。毒を孕む言葉で慰めたのだった。

●墓荒らしの謎
「さて、仕置きの時間です」
 いいお天気ですね、というのと同じ感覚で――黒蛇・宵蔭(聖釘・f02394)が猟兵達に向けた第一声はそれだった。
「ダークセイヴァーのとある街でここ数日、墓場が荒らされ、死体――の首だけが無くなるという事件が起こるようです」
 などと不思議がっても回りくどいだけですね、言って、彼は微笑む。
 それは無論オブリビオンの仕業だ。そうでなくば、猟兵の力を集結させる意味は無い。
「しかし、私が視たのは夜間、白骨が墓場で動き回っている姿のみでして……どんなオブリビオンが背後に存在し、何故そんなことをするのかは解らない――そう、事件の前後に繋がる情報がないのです。ですから、まずは皆さんに何故『首が集められているのか』を調べていただきたいのです」
 街で人に聞き込みをするも、墓場で残された痕跡がないか調査を行うもよし。
 それは自ずと黒幕へと繋がることだろう。
「まあ、例え調査が巧くいかなくても――墓を荒らしに来たスケルトンの足跡を辿れば辿り着けるでしょう」
 少々陰気な事件ではありますが、嘯きて、宵蔭は猟兵達を一瞥し――宜しくお願いしますね、と改めて微笑を向けるのであった。


黒塚婁
 どうも、黒塚です。
 天の視点から全貌はほぼ明らかなのですが、淡淡と事件を追いかけていく雰囲気で展開していきます。

●第1章:墓場
 調査シナリオになります。お好きに行動してください。
 難易度的には簡単だと思います。

●第2章:集団戦『スケルトン』
 予知では、墓場で待ち受け戦うことになっていますが、調査の結果によって、戦場などが変わるかもしれません。

●第3章:ボス戦
 黒幕との戦いになります。詳細は辿り着いた時に。

●プレイング受付に関して
 マスターページ及びTwitterで告知します。
 基本、受付状態になっていればいつ送っていただいても構わないのですが、こちらの事情で流れる可能性もあります。
 そのあたりも含め、お知らせはしていく予定です。

 それでは、皆様の活躍を楽しみにしております。
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第1章 冒険 『墓荒らし』

POW   :    墓を見張る

SPD   :    罠などを仕掛ける

WIZ   :    周辺で情報収集をする

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ラザロ・マリーノ
【POW】
死体の首ねぇ。何に使うか知らんが体の方はいらないのかね?
まあ、誰かさんが行動するまで待たせてもらうか。

【地形の利用】で墓地周辺の目につきにくい場所に隠れたうえで、構造可変体鱗による【迷彩】で周囲の環境に溶け込んでおく。
監視は主にエコーロケーションの【聞き耳】【暗視】で行うぜ。
とはいえ音だけじゃ得る情報に限界があるから、何か動きがあれば【忍び足】で近づいて肉眼で確認する。

そういや、生きてる人間からも首は取れるが、そういう事はしてねえんだよな。
オブリビオンの仕業なら、殺しをためらう理由はねえだろうし…単に首を集めるのが目的ってわけでもないのか?


明石・鷲穂
(POW)
墓荒らしかぁ…何で首だけ持ってくんだ?
全然わからん。
行動の予測も付かない、意味もわからない……なら見張り続けるしかないよなぁ。

「『秋晴れの鷲。空を駆ける俺自身。』……悪いなぁ。今日は陰気な夜空だ。」
UC【法界の鷲】で呼びだしたワシにも目を光らせてもらおう。
ただでさえ大きいし…暗い夜に光る体は目立つからな。木々の中に隠れていてくれよ。

俺自身も身体がデカいからな。ワシとは反対の木々に隠れていよう。
対処が必要な場合に備えて武器は手元に。
準備は万端だ。
あとは……寝ないように気をつけよう。

(アドリブ連携お任せ)



●墓地を訪れるもの
 夜半、温い風が墓標を擦り抜けて、寂しげな音を立てた。
 いっそ冷たい風であれば気も引き締まったであろうが。半端な気温が、陰鬱な空気をそこに澱ませる。
「死体の首ねぇ。何に使うか知らんが体の方はいらないのかね?」
 ラザロ・マリーノ(竜派ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)が首を捻った。
 もしも通りすがりの一般人でもいれば、誰もいないところから唐突に聞こえた呟きに肝を冷やしたことであろう。
 彼は今、鱗表面の構造を変化させ、周囲の風景に溶け込む身を隠している。
「何で首だけ持ってくんだ? ……全然わからん」
 片や大きな木に背を預け、明石・鷲穂(門前の山羊・f02320)は唸る。
 行動の予測も付かない、意味もわからない――なら見張り続けるしかないよなぁ、とのんびり零し、
「『秋晴れの鷲。空を駆ける俺自身。』……悪いなぁ。今日は陰気な夜空だ。」
 光を纏ったオオワシを召喚して、ふむ、と口元に手をやる。
 闇夜において光源のように輝く相棒は隠密には向かぬか。
「……やっぱり目立つか? 木々の中に隠れていてくれよ」
 指示を出すと、彼も身を隠す場所を探す。大柄な身体が目立たぬような、木陰。
 周囲を見渡す――墓場は街から離れているが、正面まではきちんと道が整備されており『街の中にある』と考えて良い位置関係であった。
 ――広い墓場だ。
 半分は庶民のための、シンプルな墓石が並んだ墓場。
 半分は貴族のための墓場。仰々しい門構えと柵で分けられているため、分かり易く差がついている。
 その性質上、周囲には程々背が高い木が植えられ、視界を遮るようになっている。出入り口は正面と、貴族用の墓地にもうひとつ出入り口がある。そちらは貴族街側から直接繋がっていた。
 管理のために両方の墓地が繋がる門もある。今は破壊されている。堅い金属で無理矢理叩き壊されたのだろう、歪んでしまって、直すには柵の修繕も必要そうだ。
 区域の隅には墓守用の小屋がある。これも庶民用と貴族用でそれぞれあるが、彼らが夜仕事に出る気配はなかった。
「しかし――誰も通りがからないな……騒動の所為か?」
 ラザロが言う。じっと気配を消し、聞き耳を立てても、聞こえるのは温い風の音と、犬だか鼠だかが駆け抜けていく微かな気配。
 ――だがよく考えれば、誰も居ないということが異常なのではないか。
「そういや、生きてる人間からも首は取れるが、そういう事はしてねえんだよな……殺しをためらう理由はねえだろうし……単に首を集めるのが目的ってわけでもないのか?」
 こんなにも街と墓場は近いというのに、被害に遭うのは死体だけ。
 わからねえな、裡で零し――かさり、木の葉を踏みしめる小さな音を聞き付け、ゆっくりとラザロは歩き出す。
 その足取りは無造作であるが、殆ど音を立てぬ歩行――しかし、やはり野良犬だった。
「人がいないから、犬が多いのか」
 くわりと出掛けた欠伸を殺しつつ、鷲穂はふと零す。
「貴族の墓があるのに……警備もなく、夜盗のひとりも出ないのは……奇妙だなぁ」
 先程までくっつきそうになるほど重たかった瞼が、ぱちりと開いた。
 輝くオオワシもゆっくりと場所を変える。木々の中をゆっくり飛んで、彼が位置する場所の向かい、貴族の墓地を見るために。
「そうか、そうか……『貴族の墓はまったく荒らされていない』のか」
 ならば何故、門扉は破壊されている?
 それが伝えてくる情報を鷲穂は腕組み受け止め――さて、どういうことなのか、さっぱりわからん、再び零すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レガルタ・シャトーモーグ
まずは現場検証だな…
墓場で荒らされた墓標を中心に痕跡を調べる
足跡を辿ったり、【動物と話す】で周囲の小動物に墓場に夜間出入りする人影の行方を聞く
荒らされた墓標の名前や性別、荒らされ始めた時期の少し前に死んだ者、墓標はないが行方不明になった者などを調べれば、何か関係が分かるかもしれないな
墓守が居れば、その辺りの話を聞いてみる


調査時に「視えざりし屍の招聘」で漆黒の共犯者を召喚し手分けする
漆黒の共犯者の外見は髪が長い事以外は自身にそっくりの少年

首集めなんていい趣味してるな…
さぞかしアジトは醜悪なコレクションで溢れてるんだろう
生者の首を狙い始める前に片付けよう…


宇冠・由
お母様(f00173)とは別行動 ※描写が別でも構いません

お墓を荒らすなんて酷いですわ……
オブリビオンを屠っている立場だと説得力はありませんが、死者を蔑ろにする行為はいけないと思います

現場百回。その行為を見た方がいないか聞きこみ調査と参ります

私はビーストマスター、人が見ていなくても墓地に住まう烏やネズミ、町にいる猫など全ての動物が証言者
背格好、性別、向かった先、特徴的な荷物、なんでもいいので情報を持ち帰り、他の方と共有します

そして犯人の臭いがないか、【十六夜月】で召喚した狼たちに探らせます



●動物達の証言
 ――干し肉を貪る痩せた野良犬曰く。
 この墓場で生きてる人間は墓守ぐらい。夜な夜な墓を荒らす骸骨の噂で、ここ最近は全く人が寄りつかない。
 ――眠たげに半眼で睨む毛並み豊かな猫曰く。
 骸骨達は複数がかりで一晩で大体三、四体の死体を奪っていく。
 疲れを知らぬ怪奇であらば、もっと掘り返せそうなものだが、何かを吟味していて、決して無差別というわけではないらしい。
「そうか……」
 レガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)は小さな干し肉を追加で投げた。犬は食らいつくと、さっさと闇夜に去って行った。
 やはり被害に遭った墓標を確認し、共通点を見出すべきだろうか。いや、きっと別の猟兵がやっているだろう。どういう結論が出たのか、気になるところだ。
「首集めなんていい趣味してるな……」
 さぞかしアジトは醜悪なコレクションで溢れてるんだろう。
 思考を巡らせつつ、ぽつりと零した彼の言葉に、
「お墓を荒らすなんて酷いですわ……死者を蔑ろにする行為はいけないと思います」
 宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)が憤然と主張する。
 オブリビオンを屠る猟兵ではあるという後ろめたさを感じつつも――やはりそれは別の問題だ。誰かを傷つける過去の亡霊と、今ここに存在するだけ遺骨とでは。
 これ以上の犠牲を出さぬため――聞き取れる情報は聴いてしまいましょう、と彼女は振り返る。
「皆様は何かご存じではありませんの?」
 大きな木を寝床にする鼠と、鳥たちに尋ねた。
 さて――身を寄せ合う鼠たち曰く。
 ――骨達は貴族街の方からやってきて、扉を破壊したのも奴らの仕業らしい。
 鳥たち曰く――夜の事は解らないが、昼間のことならば、領主のお屋敷に向かった人達が戻ってこない。
 関係があるか無いのか、よくわからない情報だが。
「結論として、墓場に出入りした犯人は、スケルトンだけということになるのでしょうか……」
「骸骨、か……」
 由の言葉をレガルタは小さく繰り返す。
 つまり予知に出てきたスケルトンが掘り出しに来るのだろう。しかし「それだけ」らしい――黒幕は遠くで指示を出しているのか。
 そこにレガルタによく似た少年がふらりと近づいてくる。髪が長いだけで、本当に瓜二つ――それもそのはず、彼はレガルタが操る『漆黒の共犯者』だ。
 彼が得た情報も彼らが得たものと殆ど相違ない。逆に言えば、今の手持ちの情報は事実なのだろう。
 いずれにせよ、赤い瞳が冷たく闇夜を見据える。
「……生者の首を狙い始める前に片付けよう」
「はい、お母様が墓地で『誰か』にお話を聴いているはずですの」
 ぴりりと緊張を孕んだ彼の言葉に、由は怯む事無く、柔和に返したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジャハル・アルムリフ
副葬品などが目的ではないのか
…死体の首、とは変わった蒐集癖であるな
餓えた野良犬でもあるまいに

*墓場にて観察を行う
外套を被り、木陰あるいは墓石の影で息を潜める

<第六感>や<暗視>を活かし感覚を研ぎ澄ましておく
静かな墓場で物音や、動くものがあればすぐ気付けるように

不穏な気配、墓を荒らす何者かの姿を発見できればそちらを観察
墓の形や古さ、その性別
髪の長さや色、など
盗む死体に共通点があるのか否か
手当たり次第でないのなら何かを探しているのだろうが
しかし――何の為だ

墓場を去り始めたら【月の仔】を用いて後を追わせ
奪った首を何処へ持ち去るのか突き止めてくれよう
他者の眠りを騒がせた罪は重いぞ


アルバ・アルフライラ
全く…首なぞ集めて何になると云うのだ
首から下ならば幾らでも使い道があるだろうに

先ずは墓場へ赴きクリスタライズを使用
透明状態で墓場内に痕跡がないかどうか探る
その際不自然な痕跡を残さぬよう注意
足跡や掘り返された痕、墓の配置に違和感がないか
墓石の名前や没年齢から分る被害者の共通点
黒幕に繋がる落し物等――何でも良い
たとえ残された情報が少なくても取り零さぬよう徹底的に調べ、後に他猟兵と情報共有を図る
…とはいえこの業は行使するだけで疲弊する
動けなくなる前に終らせよう

常に聞き耳を立て、第六感で何者かが近付いている気配を察知した際は警戒を怠らず
それが怪しい人物ならば叶う限り全容を見える位置で息を潜め様子を観察


冴島・類
墓荒らしとは、物騒な

意図を測るのは勿論だし
首を持ち去る対象が
街の生きた人になっては堪ったものじゃないですし
何より、永の眠りを暴くなんて

【POW】
街で首を持ち去られた方の共通点がないか
(性別・亡くなった年頃)
だけは、調べてから

夜に、似た共通点持つ方の眠る墓を見張ります
共通点なければ…
まだ、亡くなって日の浅い方のを

灯りは消し、物陰に潜み暗視活用し静かに見張り
荒らしに来たものがあれば
コードにて、一葉呼び出し
その者を追跡させ、行き先を探れたら

荒らすものが見つけられない場合は
痕跡がないかを調査します

もう魂の不在の身体だとしても
暴いて良いわけない
眠りは安らかであるべきなんだよ

※アドリブ、他の方との絡み歓迎


ロカジ・ミナイ
…ふふっ
墓場を堂々と調査出来る機会を逃す手はないよねぇ
ましてや荒らされた、剥き出しの、不思議が起こっている墓場だ
ワクワクしないかい?
一体何があるのか…変な虫?毒キノコ?

手袋にシャベルを握って掘るべし掘るべし

――ああ、もちろん目的は分かっているよ
それっぽい何かがあったらそれっぽくするとも
要するにシャレコウベが無いんでしょ?
確かにそれはつまらな…いや、不可解だよねぇ

僕ならばの話
顔が好きか、好きな顔か、理由はどちらか
顔ってのは個人の特徴が凝縮されている
全身では運ぶのに骨が折れるし、ならば頭だけを、と
それとも体には興味がないか

…なんて独りごちている間にも
何か面白いものが見つかったりね


葦野・詞波
墓場から、首だけか。
屍に鞭打つためなら怨恨
首のコレクターなら奇癖か。

副葬品が盗られていないなら
盗掘の線はなさそうだが……
どうにも苦手だ、頭を使うのは。

愚痴を言っても始まらない
墓場で荒らされた墓の特徴や
共通点を探るとしよう。

荒らされた墓に入っていた者の
種族、性別、享年、死因
古い墓なのか、新しい墓なのか
無差別なのか、作為によるものか
何か分かることはあるだろう。
墓碑に書いてあればいいが
無ければ墓守に訊くしかないな。

骨の折れる仕事だ。
一人での調査は厳しい
……スケルトンの手でも借りる事が出来れば
良かったかもしれないな。

同業と情報交換は
積極的に行った方が良さそうか。


鹿忍・由紀
墓荒らしだけなら直接生きてる人間を殺しにくるやつより良心的だね。
まあオブリビオンってことが分かってるなら本当に被害が出る前に片付けとかなきゃいけないか。

墓場付近で『追躡』を使用。
俺は目立たないように隠れておくよ。
黒猫を墓場で見つからないように待機させ、スケルトンが現れたら観察、のちに尾行。
追えるギリギリのところまで頑張ってもらおうか。
隠れ家を見つけられたら上々。
付近の偵察まで出来たらベストだね。

墓場の近くで過ごすなんて退屈で気が滅入るなぁ。
さっさと尻尾を出してくれることを祈ろう。



●墓荒らし
 墓荒らしとは、物騒な――冴島・類(公孫樹・f13398)は表情を曇らせる。
「でも直接生きてる人間を殺しにくるやつより良心的だね」
 鹿忍・由紀(余計者・f05760)はのんびり響く声音で応じつつ、遊んでおいで、と影の黒猫を解き放つ。感覚を共有した猫が闇に紛れて手の回らぬ方へ駆けていくのを見送る。
 けど、彼は墓場を一瞥する。
「本当に被害が出る前に片付けとかなきゃいけないね」
「ええ。首を持ち去る対象が街の生きた人になっては堪ったものじゃないですし」
 ゆっくりと、類は首肯した。そして、緑の瞳を僅かに伏せる。
「――何より、永の眠りを暴くなんて」
 そんなことを許してはおけぬ。その一心で、彼は墓標を調べ始めた。
 被害者の共通点はないかどうか――それを識るには、やはり直接墓を調べるのが一番だろう。
「副葬品などが目的ではないのか……死体の首、とは変わった蒐集癖であるな」
 餓えた野良犬でもあるまいに、ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)の言葉に、全くだ、と嘆息を零すは、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)である。
「全く……首なぞ集めて何になると云うのだ。首から下ならば幾らでも使い道があるだろうに」
 ――何に、という無粋な問いは不要だ。実際、首から下と上では、上の方が役立たずであることは確かであろう。
「まあ、目的は犯人に問えばよいことよ」
 言い、アルバは自らを抱きしめるように腕を回す――すると、すぅっとその姿は薄く澄んでいき、消えてしまう。
 あわせジャハルは外套を被り墓石の裏に屈んだ姿勢で、周囲を窺った。
 鋭い視線は闇を貫き、感覚を研ぎ澄ませ、不審者の気配のみを探る。
 傍ら、透明になったアルバは、明らかに異常のある墓標をゆっくりと巡る。
 叡智に澄んだ瞳が、存在する情報を集約せんと墓石に刻まれた情報を集めていく。
 ――ジャン、享年二十一。
 ――ヨハン、享年二十三。
 ――エリオ、享年二十……。
 墓の位置そのものはてんでバラバラであるが、掘り返された墓は皆男性で、年の頃は同じ二十代前半。
 だが死亡時期は全く無視している。例えば、ジャンが死んだのは十年前だが、ヨハンはたった二年前。
 そして奇妙なことに、エリオ某は五日ほど前に亡くなった者の遺体らしく、掘り返されたが――首は残されていたようだ。
「外見的な特徴は関係ない……?」
 アルバは細い指を口元に寄せ、怪訝そうに眉を寄せた。更に不可解である。
 類が調べた限りも同じ事。
 真新しい墓は一度掘り出されるが、首は残っている。
 それならやはり掘り出しに来るものを待たねばならないのか――げんなりと、由紀は零す。
「墓場の近くで過ごすなんて退屈で気が滅入るなぁ」
「……ふふっ」
 背後で、不意に笑いが漏れる。
 様々な色の視線が集まったことに気付き――失敬、と他の猟兵達に詫びるは、手袋にシャベルをかついだロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)であった。
「墓場を堂々と調査出来る機会を逃す手はないよねぇ――ましてや荒らされた、剥き出しの、不思議が起こっている墓場だ。ワクワクしないかい? 一体何があるのか……変な虫? 毒キノコ?」
 あちこちの墓を覗き込みながら饒舌に演ずる彼は、周囲の空気を察して、口元の笑みを消すと深く頷く。
「――ああ、もちろん目的は分かっているよ」
 ロカジは演説講じる教授の如く腕を広げ、墓場をぐるりと指し示す。
「要するにシャレコウベが無いんでしょ? 確かにそれはつまらな……いや、不可解だよねぇ」
 そして無造作にざくざくと歩んでいく。
 僕ならばの話だけど――、ロカジは青い瞳を細めた。
「顔が好きか、好きな顔か、理由はどちらか。顔ってのは個人の特徴が凝縮されている――全身では運ぶのに骨が折れるし、ならば頭だけを、と」
 それとも体には興味がないか――嘯きながら、埋めきれていない、骨の覗いた墓を見つめる。
「屍に鞭打つためなら怨恨。首のコレクターなら奇癖か?」
 彼の言葉を聴きて、葦野・詞波(赤頭巾・f09892)が低く呟く。
 離れた場所を調べた彼女もまた、彼らと同じ内容の報告をした。
「数が欲しいなら根こそぎ奪えば良い。こんなにも墓の数があって、特定のものが狙われている……やはり怨恨か?」
 彼女の疑問に――類はそうなのだろうか、と僅かに首を捻った。
 墓を掘り起こしている存在は、細やかな指示をされていないのか、理解していないのか。かなり大雑把な仕事ではある。
 それでも特定の条件を満たす墓を掘り返すというは、何かしらの執着を抱いているのに間違いないだろう。
「手当たり次第でないのなら何かを探しているのだろうが……しかし――何の為だ」
 彼の言葉を聴いたジャハルが、鋭く目を細めた。
「お前……いや、皆さん。あちらを」
 不意に姿を現したアルバが集う猟兵達へと声をかける。
 彼が示したのは、墓場を仕切る柵と破壊された扉の辺り――おっと零し、由紀も僅かに目を瞬かせた。黒猫が闇夜に浮かび上がるそれらを捉えたのだ。
 ゆっくりと近づいてくる、スケルトンの集団を――。
 おやおや、とロカジが笑みを深めた。
「これでは犯人を示す証拠が埋もれていても、中身と同じになっちゃうねぇ」
「……スケルトンの手でも借りる事が出来れば――と考えたのは、相手も同じか」
 赤い頭巾の奥、詞波は銀の瞳は細めて言う。剣呑な色を湛えているが――ひとまず、猟兵達は姿を隠すことにした。

 二十体程のスケルトン達がカタカタと歯を鳴らし合って合図を出し合い、四体ほどの組に分かれていくつかの墓を物色し始める。
 やがてこれぞ、という墓を見出すと、徐に掘り始める。
 そして首を無造作に掴み出す。まだ肉がついているものは、その場でぽんと捨て――きちんと白骨の頭蓋であることを掲げて確認しあうと、引き返していく。
 それらの行動そのものが類にとっては度し難いものでもあったが、堪えて見守った――見守るしかなかった。
「もう魂の不在の身体だとしても、暴いて良いわけない――眠りは安らかであるべきなんだよ」
 祈るように。類は瞳を閉じ、術を行使する。
「少しの間、共に」
 式を召喚した。あちらこちらに腕を伸ばす蔓草の形をした式である。
「行け」
 更にジャハルも二対の翼を持つ半透明の蛇を放ち――白骨の頭蓋を手にしたスケルトンを追いかける。
「他者の眠りを騒がせた罪は重いぞ」
 ――奪った首を何処へ持ち去るのか突き止めてくれよう、と。
 隠れ家でも見つかったらいいね、と同じく猫に追わせた由紀が茫洋と頷く。
「しかし……骨、か」
 詞波がぽつりと零す。
 ロカジがいうように好みであるのか、彼女が思ったように怨恨であるのか。
 いずれにせよ、人相も解らぬ骨を求める理由とはなんなのだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
首を持ち去るとはまた奇妙な…。なにかの魔術的な儀式か、はたまたオブリビオンの個人的な嗜好か…。いずれにせよ、まずは調査です。

「礼儀作法」「世界知識」を使い遍歴の騎士を名乗り、墓荒らしに義憤を抱いて調べていると墓守に接触。首を切られた遺体の共通項や詳しい情報を教えてもらいましょう。

そこから、次に首を狙われそうな新しい遺体のある墓を割り出し、その近くに「破壊工作」「怪力」で掘った穴に潜み、「暗視」で監視します。
念のため「防具改造」で目立たない様、暗色の外套を纏いましょう

候補の墓が複数あるようならUCの妖精ロボも動員。
首を持ち返る犯人を見つけたらワザと泳がせて妖精ロボで尾行、拠点を割り出します


宇冠・龍
由(f01211)とは一旦別行動 ※描写が別々でも構いません

「死人に口なし、とは努々思わないことです」

荒らされたお墓を調べます
まず両手を合わせて黙祷したのち、【枯木竜吟】を使用
その墓石、そして首のなくなった死体から被害者の霊を呼び出します

「あなたの首は必ず取り戻します。ですからどうか、お話を聞かせてください」
二度死した霊には辛い質問かもしれませんが
いったい誰が、いつ、どのようにしてこんなことをするのか、そして一番印象的だったこと聞いてみます

私の情報が役に立つなら何よりです。他の方と情報を共有しましょう


コノハ・ライゼ
不穏な噂を調べに来たと
街で軽作業手伝ったりしながら話を聞いてみる

墓方面で不審者を見なかった?なんて直接的なモノから
変わった事……急に様子がおかしくなった人とか、不明者とか
不安に思ってる事なんかでもイイ、解決の力にはなれないだろうケド
何気ない話から見える事もある
それとそう、墓守は居るかな
ソチラでも話を聞いてみたい

墓守にも同様に
少しばかりの食べ物と酒で口が軽くなったりはしない?
荒らされた形跡、見慣れぬ影など
日時とかも街のヒトより詳しく聞き出してみようか

ああ、死人を掘り返すナンてのはよく分かんねーケド
(倫理観などよりも唯々死人に想いをかける気持ちが分からず)
そうまでして見付けたいナニカが、あるんかね



●ある罪人
 首を持ち去るとはまた奇妙な、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は歩みながら低く唸る。
「なにかの魔術的な儀式か、はたまたオブリビオンの個人的な嗜好か……」
 さて、何が目的なのか。考えながら、戸を軽く叩く。
「もし、失礼する」
 粗末な木の扉が、ヒステリックな音を立てて開く。まるで内にある人物の警戒心を吐露するかのように。
 顔の幅ほど扉を開けた墓守の表情はどんよりと暗い。
 トリテレイアは実に丁寧に自分の事を語った――己は遍歴の騎士であり、墓荒らしに義憤を抱いて調べているのだと。
「ここ最近、墓荒らしにあっていると聴き、解決まで手助けをしたいと思っているのだが」
 墓守は露骨に嫌な顔をした。
 彼を厭うのではなく、思い出すのも嫌だ、と言いたげな表情だ。
「ああ――誰もが寝静まった時間によォ、ザックザクと音がするンだ。よく聞き覚えのある――土を掘り返す音さ」
 トリテレイアは驚いた――墓守は、現場に居合わせているのか。
 いんや、墓守は期待に満ちた気配に気付いたか、ゆっくりと頭を振る。
「直接は見てねえ。いや、普通は夜も見回りするんだけどよォ……領主様のお達しで、決して夜墓場に出るなと。半年前、アイツが処刑された時期かねェ」
「……アイツ? アイツとは……?」
 問い返されて、エッ、と墓守は急に顔色を変えた。土気色から真っ青に。
 後はこれ以上は話せねぇの一辺倒で、墓守は扉を閉めようとした――が、彼はそれを許さない。事も無げに扉を固定すると、いえいえ、色々教えて貰わなければ、と迫るのであった。

 荒らされた墓の前――宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は墓に手を合わせている。
「死人に口なし、とは努々思わないことです」
 黙祷のち、瞬けば、穏やかながら強い眼差しで墓石を見つめる。
「眠りし記憶に宿りし霊よ、今こそ蘇り我が前に現れいでよ」
 その力を貸して欲しいと念ずるように墓石に触れれば、眼前に揺らめく影が人の形を取り戻す。
 物質の思念や記憶を読み取った霊を、龍が顕現させたのだ。
「あなたの首は必ず取り戻します。ですからどうか、お話を聞かせてください」
 彼女がそう訴えると、はっきりとした容貌をとらぬ霊体は、いずこからか言葉を発した。
『俺の首は……骨の怪物に持って行かれた……』
 真夜中、スケルトンの軍団が墓を曝く。現時点で彼女は識らぬが、既に明らかになっている事実を霊は語る。
「どうしてそんなことを……」
 それを聞き終えた龍は、ひとりごちた。そして意外にも――霊はその独り言に応えたのだ。
『奴らは、あの男を捜している』
 驚き、彼女は彼を見つめる。
『哀れな男……あの女のせいで死ぬ事になった、墓標も与えられなかった男……』
「あの女……?」
『領主の娘……』
 温い風にその言葉は攫われた。
 ――此処は広い墓場だ。貴族と、庶民と。では、それ以外のものは何処に眠るのだろう。
 更に隔てられたところに――枯れた花が捧げられた更地がある。墓標もなく、祈りの言葉も刻まれぬ。しかし『誰か』が眠っている場所。
『罪人にも、墓標が立つ。だがあの男は別だ……何処に眠っているか、知られてはいけない……知っているのは――』

「ああ、死人を掘り返すナンてのはよく分かんねーケド……そうまでして見付けたいナニカが、あるんかね」
 コノハ・ライゼ(空々・f03130)が茫洋と零す。
 墓地をそぞろ歩いても、別に何とも心は騒がぬ。彼にとって死者は死者だ、それ以上でもそれ以下でもない――倫理を破るものを悪と見なすまでは理解できるが、それを痛ましいと思う心に同調を覚えぬのであった。
 彼が目指すは、貴族墓地の墓守。
 いくつかの情報を街で得て、確信を持ってこの戸を叩く。
「コンバンワ」
 こちらの扉もかなり慎重に開いた。笑みを浮かべたコノハが酒瓶と、食欲をそそる良い匂いのする包みを振ってみせる。
「……そろそろこちらにも誰か来ると思っていた」
 墓守はどこか諦めたように言うと、コノハの来訪を受け入れる。
「お話してもらってイイ?」
 薄く笑う彼の表情は、どこか嗜虐的に見えた。
 街で尋ねた『急に様子がおかしくなった人とか、不明者とか――』という言葉に対する答え。それが真ならば、彼らの抱える秘密は既に守る必要は無いはずだ。
「まァ、ひとまず飲みなヨ。変なモノはいれてないカラ」
 それは矜持に反するからネと、誰にでもなく呟き。
 さっと差し入れを押しつければ、相手はぎこちなく応じる。
 口を湿らせた酒か、不安を誘う風か、或いはコノハの飄然とした口調が誘ったか。
「我々は、貴族に雇われている身……ゆえに、実はな――監視をしていたのだ」
 滔々と墓守は彼に打ち明けた。
「主は死に。夜な夜な骸骨が現れる怪奇が起こるとなれば――正直疲れてね……聴いてもらえるか」
 ――へェ、彼は薄氷の瞳を細めるも、口は挟まず続きを待つ。
「この墓場は貴族も眠っている。ゆえに物盗りも出る。けれど、半年ほど前から、我々のような貴族側の墓守は……別の命令を受けていた」
 ある罪人の墓を、隠し通す事――。
 墓守は震えながら告げた。
「領主の娘が愛した……無辜の罪人の骸を、彼女に曝かれぬように」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神埜・常盤
死者の眠りを妨げるなんて
耽美で猟奇な事件の薫りがするなァ
それに死者の安寧を妨げるなんて無粋
見過ごす訳にはいかないよねェ

僕は情報収集の技能を活かし調査を
世界知識を用いて此の辺りの事情を
良く知っていそうな者に声掛け
コミュ力活用して話を聞いてみるよ

余所者へのガードが固いなら
身に付けた礼儀作法で
警戒を解せないか試みて
ご婦人にはダンピールの容貌活かし
誘惑しながら心当たりが無いか
聞いてみようかなァ

何か知っていそうだけれど
どうしても話したがらない者には
催眠術で話を聞かせて貰おうか
さァ、僕を信じて話を聞かせてご覧?

集めた情報は勿論
仲間と確り共有するよ
オブリビオンに気取られぬよう
目立たない行動を意識しておこうか


アルバ・ファルチェ
(絡みやアドリブ歓迎)

《WIZ》使用。

街での聞き込みをしようかな。
【情報収集】は少し得意なんだ。
噂話なら女性の方が詳しそうだし、女性を中心に聞いてみよう。
あ、【礼儀作法】は忘れずに。
怖がらせたり怪しまれるのは本意じゃないからね。
【コミュ力】や…あまり必要ないかもだけど、【誘惑】も駆使して、大事な人を亡くしたとか引き離されたとかそんな人がいないかなぁって話が聞けたらいいな。

どうしてそんな話を聞きたがるのか疑問に思われた場合は【楽器演奏】の特技を生かして、悲恋の歌を作りたくってって誤魔化そうかな。
なんなら少しだけ演奏してもいいかもしれないね。


ユルグ・オルド
首から上だけ欲しい、ってか
面食いだわァ……って顔知らんけど
とても聞かせらんない軽口は噤んで
足は墓場に向けようか

首のなくなった死体
掘り起こされた墓ってのは見て分かるもんかね
分かるんならいくつか名前控えておきたいとこ
名前でわかるんなら男女の別を
――あとは戻って心当たりのある名前があるか聞いてみよう
名前から年のころとか、持ってかれたやつに共通点があるかと

尋ねるのは多少酔いのまわった酒場
噂話を装って、怖いねなんて声掛けて
最近首なしで埋葬された墓とか、あんのかな
そしたら自分の首探してんのかもね
ね。最近真夜中に物音とか、しなかった?
んふふ、酒がまずくなる前に切り上げるけども


シノア・プサルトゥイーリ
WIZ
そう、頭を
体はいらないのかしら
背後にいる者は何を手に入れたいのか

他の猟兵たちとも協力して街で情報収拾を

自ら起き上がって首を差し出した訳でもなし
選ばれた墓に理由もあるはず

墓荒らしを不安がっている人もいるでしょう
世間話にも真摯に耳を傾けて
ごく最近の墓なのか、性別など

お話を、聞かせていただけますか? 
えぇ秘密に致しますわ(膝をおり視線を合わせ

被害にあった墓の持ち主か知人に話しは聞けそうかしら
不審なものを、普段見かけぬものや、お供えの花でもあったか

次に自分の墓がと心配されている方もいたりするのかしら

首だけを持っていくという拘りがあるのであれば
選んでいる理由もあるでしょう

アドリブ歓迎



●事の顛末
 それにしても陰気な街だ。活気というものが欠片もない。
 殆どの店が閉まっており、街行く人々は皆、暗色で地味な服を着て歩いている。
 たとい旅人として。それが何を意味しているのかは予想が付く。ダークセイヴァーならば、敢えてそういう法令を敷かれた街という可能性も僅かにはあるだろうが。
「今、街中で喪に服してるんだ……領主様が亡くなったんでな」
「へェ、領主が……」
 神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)が赤茶色の目を細めた。
 多くの店が看板を下ろしている中で、街外れの汚い酒場は営業しており、多くの人々で賑わっていた。
 貧しそうな人々が好んで集いそうな、安酒を薄めて出しそうな店。だがどうにも情報が集まりそうなところは此処ぐらいであった。
「けれど……それにしては店が閉まりすぎではないかしら?」
「あーそれはなぁ」
 シノア・プサルトゥイーリ(ミルワの詩篇・f10214)の問い掛けにぽりぽりと店主は頬を掻く。
「何処の店もみんな、旦那が亡くなったんで、店が開けられないのさ」
 その言葉に、二人は顔を見合わせた。
 巨大な街なのに通常のように活気づいているのは貧しい地域だけ――その理由は簡単なこと、領主に屋敷へと招かれた貴族や商人、街の有力者が、つい先日――全員亡くなったらしい。
 貴族街が何処よりもどんよりと暗く、皆が息を潜めて屋敷に閉じこもり、出歩く者が一人もいなかったのはその所為だ。しかし、単なる喪中よりも深い闇が漂っている印象もあったのだが。
「領主の屋敷で何があったのかしら」
「いやいや、俺の口からはとても……あの辺りに、口さがない連中がいるから、そいつらに聴きな」
 店主がわざとらしく身震いする。そう――シノアは思ったよりもあっさり引く。最初から問答で全ての情報を引き出せるとは思っていない。
 そして指し示された場所には陰気にちびちびと酒を飲む男や、ふたつ先の席まで響くような声で笑う集団、きゃらきゃらと笑う女達がいる。
 シノアが視線を向けている間に、常磐はさっと席を定めて納まっていた。
「死者の眠りを妨げるなんて、耽美で猟奇な事件の薫りがするなァ……それに死者の安寧を妨げるなんて無粋。見過ごす訳にはいかないよねェ」
 常磐は微笑んで、低く囁きながら、隣に座る女の肩に腕を回してみる。
「しかもその領主も貴族も皆死んでしまったのだろう? 何があったのかなァ」
 ねェ、君知ってるかい――猥雑な言葉を平然と吐いていた女は、胸元も顕わな衣装からすると娼婦か。常磐の貌を見て、ふふと笑い、
「ハン、何があって死んじまったかはわからないけど……良い気味サ――天の報いさね」
 吐き捨てるように言う。少し酔っているのか、語気も荒い。
 だが、彼女がそれを『天の報い』と表現するのは――豊かな者を恨む気持ちがあるにしても、ひどく不穏である。ならば多少、無理を通して問うてみよう。
 巧くいく素養は充分にあると、端麗な笑みを刻んで、彼は女の瞳を見つめる。
「君がそこまでいう程に。過去に何があったのか……さァ、僕を信じて話を聞かせてご覧?」
 娼婦の据わった目が、じっと彼を見つめ続け――蕩ける。
 そうさねえ……彼女が語り始めた内容に――彼は口元に浮かべた冷笑をますます深めたのであった。

 彼が女から話を聞き出す間に、シノアも気さくそうな者の輪に加わっていた。
「次に自分の墓がと心配されている方もいたりするのかしら」
 隣に座っている男へ、彼女は覗き込むようにして、問い掛けた。
「お話を、聞かせていただけますか? えぇ秘密に致しますわ」
 上目遣いに問い掛ければ、相手は露骨な喜色が浮かべる。
「いや――墓が荒らされるのは、困るけどよ。墓守が元に戻すし……とられた首は、どうしてやることもできないからなあ。どうせ若い奴の墓しか荒らされないって、みんな傍観決めてるんでなあ」
 男の言葉にシノアは小首を傾げる。
「若い人の墓しか荒らされないのは何故かしら」
 彼女の問いに男は言葉を詰まらせるが――じぃっと赤い瞳で見つめれば、相手はたじろぐ。
「……お嬢さんがらみだろうからなあ、って。アイツの首探してるんじゃねえの……」
 ああ、また――それは『罪人』のことね。
 彼女は裡で零す。それを教えて欲しいのだが、なかなか皆の口が重いのだ。
 ただ、ひとつだけ判明したことがある。
「領主の屋敷の件はなあ。わからねえことばっかりだ。実際の所、一人だけ何とか逃げ出せたヤツが『みんな一瞬で首が吹き飛んだ』っていう話だけでな。後は使いを出せども、誰一人戻ってこないのさ」
 領主の屋敷は現在進行形で――焦臭いことになっているようだ。

 喧噪に紛れる小さなささめき。
「首から上だけ欲しい、ってか。面食いだわァ……って顔知らんけど」
 人には聴かせられないな、と嘯き笑い。ユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)はその辺のテーブルにするりと納まる。
 喧しい集団は見知らぬ顔が混ざっても、いつもの事だと気に留めない。否、酔っていて、よくわかっていないのかもしれない。
「なぁ、最近墓場で首盗まれたヤツらに心あたりない?」
 そして、さり気なく酒を注いでやる。
 問いかけは軽く、世間話のように――次の矢は、犠牲者は二十代の男性、名前もいくつか。だが彼が問い掛けるまでもなく、テーブルについている男達は急に顔色を変えた。
 だが、素知らぬ顔でユルグは続ける。
「最近首なしで埋葬された墓とか、あんのかな……そしたら自分の首探してんのかもね――……ね。最近真夜中に物音とか、しなかった?」
「兄ちゃん、おっかねえ話巧ェなあ……!」
 ひとりの男が青ざめながら堪らず返す。
「でも当たらずとも遠からず、ってヤツじゃないか?」
 怯えた男をげらげら笑い、別の男がそう言えば、
「ま、おおっぴらに話すことじゃないが有名な話さ。領主の娘が墓場まで通い続けて、半狂乱の状態で連れ戻されるってのを半年近くやってたってのはよ」
 怯えた男が頷いた。
 ふぅん、と眉をあげたユルグの横から、怒声が飛ぶ。
「それがなんだ!」
 がん、とグラスをテーブルに叩きつけ、吐き捨てたのは若い男だ。
「クソ! 狂ったからなんだ! あの女のせいで……何でアイツが罪人として殺されなきゃならない! 更には墓もないなんて……」
 アイツはヤツのダチだったのさ、囁いて、目の前の男が渋い顔で虚空を睨んだ。
 眩むほどのアルコールの匂いの中で、ふとユルグは気付く。彼らの間にある悲壮な空気――それは紛れもなくやりきれない怒りの果てであるのだと。

 引き金は――その一言が引いた。
「大事な人を亡くしたとか引き離されたとかそんな人がいないかなぁ」
 アルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)が問い掛けに、酒場の女は彼を試すように見た。
 あまり学のある娘ではないようだが、だからこそ与しやすい――。
 媚びるような視線に、わかったわかったと酒を奢ってやれば、女は嬉しそうに語り出す。
 ――曰く。
 この街を治める領主は名君と呼んで差し支えなかった。この地に吸血鬼の気配が薄いのは彼の采配のお陰であるし、それはこの辺りの貧民達も認めるところだ。
 またこの街に屋敷がある縁もあって、彼はよく貧民街も見て回っていた。娘を連れていることもあった――だが、それが皮肉な運命を導いた。
 領主の娘は、貧民街の男に心を奪われてしまったのだ。
 とても綺麗な顔をしていた――もしかしたら吸血鬼の血でも混ざっていたのかもしれない。
 領主の娘は家を飛び出してでも彼と一緒になりたいというところまで熱を上げていた。
 ――男に愛があれば、まだ救いがあったが。しかし彼は全く娘に興味を持っていなかった。
 そう、あくまでも一方的な恋慕。
 叶わぬ恋をした娘の目を醒ますために、領主は初めて――恐ろしい愚策をとった。
 名君だと信じた人は、実際は暗君だったのだと、皆を失望させる方法でもあった。
「つまり、男を罪人に仕立てて……処刑した、と」
「断れない縁談が迫ってるって話もあったけど……あの綺麗な首をすっぱり落として。そして墓標も立てずに、埋めちゃったのよ……首は別の所にあるって噂もあるくらい」
 アルバの言葉に女は悲しそうに目を伏せる。憐れみを向けたのは、死んだ男にであろう。
 本当に綺麗な男だったのよ、と二度繰り返していた。
 そして領主の娘は、それを切欠に心を壊し――これを切欠に半年間。街は異様な緊張感に包まれてきた。
「でも、お嬢さんは回復して、領主のお祝いに踊りを披露するんだとか噂があったのよ……何か起こるかもとは思ったけど、まさかこんな奇妙なことになるなんて」
 彼女は酒精に誘われ、無邪気に笑う。
「でも逆恨みで墓を荒らされるのは、ちょっと勘弁してほしいわよねェ」
 それは悪意のない純粋な本音――。

 ――事は解った。
 無辜の罪人を生み出した歪みで、街を真綿で首を絞めるように、緩慢な死へと向かっている。
 それは多少オブリビオンの導きも影響しているやもしれぬが――結局の所、すべて人が生み出した因果であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『スケルトン』

POW   :    錆びた剣閃
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    バラバラ分解攻撃
自身が装備する【自分自身のパーツ(骨)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    骸骨の群れ
自身が戦闘で瀕死になると【新たに複数体のスケルトン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●死の住処
 白骨の首を手にした骸骨兵は、追跡されていることなど露とも知らず。
 或いはそれも構わぬか。堂々と夜道の中心を征く。
 それらは誰もが息を潜める貴族街を辿り――、やがて領主の屋敷に辿り着く。
 門扉は見るも無惨な破壊によって、常に解き放たれている状態だった。エントランスに至る前庭は手入れされずとも青々と繁っているが、しかし如何ともしがたい虚無を湛えている。
 屋敷の扉も門と同じく。黒々とした虚を開けた儘、骸骨兵を受け入れる。
 ――その先には生者の気配を一切感じない。
 だが同時に猟兵を阻む事なく、裡へと誘うのであった。

 一歩踏み込めば、噎せ返る死の香り。否、ただただ鼻が曲がりそうな悪臭。泥と、血と、様々な汚物を混ぜ返したような、人の嫌悪を塗り込めたような臭気だ。
 その大本は、正面をそのまま進んだ大広間に続いているようだが――しかし先に訊いていた通り。屋敷は来るモノを拒まぬが、帰る事は許さない。
 武装した骸骨兵達が様々な部屋より飛び出で、有無を言わさず、猟兵達に迫るのであった。
トリテレイア・ゼロナイン
人の過ちにオブリビオンが便乗したこの一件で多くの血が流れました

切っ掛けが娘の実らぬ恋と領主の愚かな采配だとしても、この狂気の拡大はこれ以上許すわけにはいきません

脚部スラスターを吹かしての「スライディング」で床を高速で移動しつつ、「怪力」で振るう剣と盾で「鎧砕き」「なぎ払い」を繰り出しスケルトンを攻撃します
前線で暴れることで自身に注意を惹きつける形で後衛の味方を「かばい」ます

「盾受け」「武器受け」、「スナイパー」技能を使った格納銃器で武器や飛来する骨を防御、迎撃し、確実に数を減らしていきましょう

この先に待ち受けているのは狂気に堕ちた領主の娘とオブビリオン…
単に利用されているだけなのか、それとも…


レガルタ・シャトーモーグ
ここか…
随分と手厚い歓迎をしてくれる
長居するつもりはないのでお構いなく、とはいかないらしいな…

囲まれない様に逃げながら飛針を投げて牽制し広い場所へ誘導
鈴蘭の嵐ができるだけ沢山巻き込める様に動く
骨がバラけても個別に飛ばしてくるのは【見切り】で回避し頭蓋骨を【鎧無視攻撃】で砕く
流石に全部のパーツを砕くまで動き続けるとかは無いと思いたい

とはいえ、片っ端から新手が来るのはキリが無いな…
瀕死手前から一気に致命まで持っていけばいいか
他の猟兵と連携して骨がユベコを使う前にトドメをさす

この骨共も元は屋敷の使用人だったんだろうか
救われないな…



●なれの果て
 闇と異端の神、他ならぬ吸血鬼の支配に喘ぐ世界において――こんな小さな切欠が、決定的な倫理の崩壊を招くものだろうか。
 人と人が織りなす関係の中で、人の過ちにオブリビオンが便乗し、あまりにも多くの血が流れた。
 切っ掛けが娘の実らぬ恋と領主の愚かな采配だとしても――。
「この狂気の拡大はこれ以上許すわけにはいきません」
 トリテレイア・ゼロナインは厳かに宣言すると、脚部スラスターが唸る。
 加速したトリテレイアは儀式剣を翼のように広げ、空気抵抗など知らぬように滑らかに振り抜いた。
 彼を阻むように壁となっていたスケルトン達が、胸を砕かれ仰け反り崩れていく。
「随分と手厚い歓迎をしてくれる」
 零すは、同時に突入したレガルタ・シャトーモーグ――彼は真っ直ぐ正面を目指すのではなく、壁沿いに走ると、すぐさま壁を蹴った。
 彼を角へ追い込もうとしたスケルトン達が、飛び越そうとする小柄な影を視線だけで追いながら、一瞬、惑う。
「長居するつもりはないのでお構いなく」
 ――とはいかないらしいな。呟きつつ、レガルタは次を見据えている。
 彼の高さが頂点に達した時、重力に従って広がった外套の向こう側。袖の奥に備えた飛針が光る。
 正面、剣を高く掲げたスケルトンの眼窩へとそれは吸い込まれていく。衝撃で倒れていく一体を踏んで、新たな道を見出し、一群の背後をとる。
 だが、押し寄せる兵はまだまだいる。
 それらがレガルタの元に詰める前に、間に割り込んだのはトリテレイア――相手など構わぬというように、錆びた剣が彼の白銀の装甲を捉えようと乱暴に走る。
 対し、彼は右腕を無造作に掲げるだけで充分だった。トリテレイアの身体に合わせた盾は、接触の瞬間水平に薙ぎ払えば、粗末な剣を易々と弾き飛ばす。
 左――剣で受けた攻撃は、更なる加速で弾いて潰す。彼そのものが暴れ狂う暴風のようなもの。
 触れれば、消し飛ぶのだ。
 そんな彼の作った安全域の内、レガルタの武装がすべて鈴蘭の花へと変じた。
 愛らしい白い花がスケルトン達の身を覆えば、無情に斬り裂いていく。何処までも、視界の限り。
 無機質に崩れ落ちていく骨であった残骸を、赤い瞳が真摯に射貫く。
「この骨共も元は屋敷の使用人だったんだろうか……」
 ぽつりと零されたレガルタの言葉に、さて、どうだろうと――トリテレイアには判断する材料がなかった。
 混ざっていたかもしれない――全て喚ばれたオブリビオンやもしれぬ。
 だが恐らく、確実な事は。
「この先に待ち受けているのは狂気に堕ちた領主の娘とオブビリオン……」
 単に利用されているだけなのか、それとも――答えに辿り着くために、トリテレイアは盾として剣として、レガルタは確実にその息の根を奪いながら、進む。
 どちらにしても――少年は小さく、囁いた。
「救われないな」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神埜・常盤
コノ君(f03130)と共闘

おや、酒場で愉しんで来たのが
ばれて仕舞ったねェ
勿論さ、メインディッシュを前に
リタイアなんて勿体無い!
なんて巫山戯つつ

僕は七星七縛符で
コノ君や皆が戦い易くなるように
スケルトンどもの動きを封じよう
呪詛もオマケに乗せてやる
有り難く喰らい給えよ
命を削る業だが大丈夫さ
コノ君ならきっと
首尾良く仕留めてくれるからねェ

此方への攻撃は
護符を僕やコノ君の周囲に展開し
オーラ防御で防ぎたく
もしダメージ受けたら激痛耐性で凌ぐとも

敵の攻勢が緩めば隙を逃さず
展開していた護符に破魔を纏わせ
骸骨へ飛ばす事でカウンターを狙おうか

牽制を超え接近して来た敵が居たら
催眠術で同士討ちを唆そう
──さァ、潰し合え


コノハ・ライゼ
ジンノ(f04783)と

あれぇ、ジンノ酒と女の匂いがするぅ
偶然会った友に顔近付け、手元狂わさないでヨ?なんて軽口
だってお互い本命はこの奥デショ

先ずは『高速詠唱』で【彩雨】発動
周囲を広く薙ぎ払うように氷を降らせ
『2回攻撃』にて今度はジンノが捕縛した対象へ集中攻撃
そのまま凍て砕ければヨシ、
でなくともその対象は確実に倒すよう攻撃重ねるネ
ジンノのお命、無駄に喰わせるにゃ勿体ないじゃない
それに弱った敵放置して数増やされンのも面倒だ
『傷口をえぐる』ように『生命力吸収』して
喚ぶ隙与えないよう一気に仕留めるヨ

ジンノや他の仲間を狙いに行く敵がいたら
彩雨降らせ足止めと牽制にすんね
もうちょい付き合いナサイってな



●死と戯れ
「あれぇ、ジンノ酒と女の匂いがするぅ」
 コノハ・ライゼは神埜・常盤にぐっと顔を近づけ、わざとらしく匂いを嗅ぐ。
「おや、酒場で愉しんで来たのがばれて仕舞ったねェ」
 言葉とは裏腹に、常磐は軽薄な笑みを湛えて肩を竦めた。
 薄氷と赤茶の視線は上と下で互いを試すようにぶつかり。
「手元狂わさないでヨ?」
「勿論さ、メインディッシュを前にリタイアなんて勿体無い!」
 諧謔混じりの会話は軽やかに、交錯して別れる。
 ゆらりと踏み出したコノハが描く紫雲の軌跡に浮かぶは、万色映す水晶の針――示した針路を、真っ直ぐ貫く。
 突如と襲い掛かった針に、スケルトン達の足並みが乱れる。
 飴色のインバネスがはためく。常磐の腕が斜めに空を斬れば、闇色に刻む赤き五芒星が放たれた。
 彼の腕がコートを割ったのは一度。しかし霊符はいくつも放射状に放たれている。
 スケルトン達の身体が一度小さく震えたかと思うと、ぴたりと硬直し、動かない。
 そこに深く斬り込んだのは、コノハ。
 楽しげに細められた右目がぴりりと雷を纏い。解き放てば、一気に貫く。
 ――砕けていく骨、しかしそれを踏み抜く新たなスケルトンが、コノハの背を捉える。垂直に剣を振り下ろそうとしたその肋骨に、ぴたりと霊符が貼り付いた。
「有り難く喰らい給えよ」
 呪詛を重ね、より強固に縛り上げる。
 涼しい顔で采配する常磐であるが、顔色はいつもよりも青白い――スケルトンの動きを、行動を封じるために命を削っているためだ。
「アラ、大判振る舞い」
 それをコノハがそれとなく零せば、余裕の笑みを彼は返す。
「コノくんなら首尾良く仕留めてくれるからねェ」
 そりゃあね、と次の水晶を空に精製しながら、からからとコノハは笑った。
「ジンノのお命、無駄に喰わせるにゃ勿体ないじゃない」
 細かな針をいくつも撒いて、呪詛を徴と、穿ち散らす。
 そうそう、命を削らなくっても、こういう手もあるんだよ――と。常磐が霊符を無造作にばらまいた。
 霊符の雨がスケルトンの視界を惑わしたか。それらは二人を無視し、互いに剣を合わせだした。
「――さァ、潰し合え」
 低い声音は残酷に、しかし僅かな愉悦を口元に湛え。
 その術者を煩わしく考えたか、動くそれの背後に、既にコノハが忍んでいる。
「もうちょい付き合いナサイってな」
 魂亡き者、命を賭けるにも、命を喰らうに不足であるが――彼らは繚乱と舞い、道を作るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宇冠・龍
由(f01211)と参加

恋は盲目、その熱が引き起こした痛ましい事件。その結末が、このような死臭だというのですか……
(恐らく、未だに首を探しているのでしょうね)

恋をした同じ女として、どうしても用事ができました。
館に乗り込みます。

【画竜点睛】にてスケルトンの動きを封じます
鬱蒼とした草むらから這い寄る百を超える呪詛の腕たち。その怪力で動きを捉え、倒すことなく無力化しましょう

「数が多いですが、倒せばそれが更なる呼び水となる。中々に強かですね」
申し訳ありませんが、主人にお目通り願いましょうか


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

きっと……今も探し続けているのでしょうね、愛した方の首を
きっと止めない限り、延々とこの行為が続きますわ
止めませんと

私は空飛ぶヒーローマスク
首だけの私の存在が、どれだけの効果を及ぼすか分かりませんが、首を攫う名を受けた白骨たちは、私を注視するはず
尾行に気づかれないほどの簡易命令を実行する存在なら、効果は高いでしょう

空中戦は得意分野でしてよ
剣の届かない位置まで上昇し、首だけの私に注意をひきつけ、他の方が攻撃や館への潜入をしやすくします



●静かなる先導
「恋は盲目、その熱が引き起こした痛ましい事件。その結末が、このような死臭だというのですか……」
 微かに目を伏せ、宇冠・龍は呟く。
 濃密なる死の気配。すぐにでも彼女達を斬り裂こうという、敵意を持ったスケルトンを前に、彼女はそれ以上を言葉にしなかった。
「きっと……今も探し続けているのでしょうね、愛した方の首を。きっと止めない限り、延々とこの行為が続きますわ」
 けれど代わりに――宇冠・由が言う。
 穏やかながら、決意を感じる養女の言葉に、そうですねと龍は儚げに頷く。
「恋をした同じ女として、どうしても用事ができました」
 されど、その宣言は凛と響いた。
 母がそう願うならば、由もまた応える。勿論、ただ追従するのではなく――凶行を止めるのだ、という彼女自身の思いもある。
「皆様の為の力――」
 由はヒーローマスク。炎の義体を捨てれば、愛らしい顔がふわりと宙に浮かぶ。
 本体だけを投げ出すような行動、そして母を守るための覚悟が彼女の力を強固にする。
「空中戦は得意分野でしてよ」
 剣の届かぬ位置まで舞い上がり、注意を引く。
 ――首だけの存在を、スケルトンは無視できぬのではないか、という予想に関して言えば、明らかに彼らが求むるものと彼女は異なる。
 然し、求めた結果は得られる――異質なる存在に引きつけられ、それを排除せねば、という意志が働いた。
 剣を振り回すスケルトン達が、互いの体を昇り合い、何とか鋒を届かせようとする。
「数が多いですが、倒せばそれが更なる呼び水となる。中々に強かですね」
 無防備なそれらへ向け、冷静に判断を下し、龍が力を差し向ける。
「咲けよ徒花、一つ二つと首垂らせ」
 彼方、地より無数の怨霊の腕が骨骨に這い寄り――取り縋り、呪詛で力を弱らせる。
 奇っ怪なタワーは力を失ったことで崩れ落ち、そのまま床を這いずり蠢くことになる。
「申し訳ありませんが、主人にお目通り願いましょうか」
 暴力を誇示せず――悠々と歩みを進める龍と、ふわりふわりと飛んで、注目を集める由。
 扉に辿り着くまで、二人の戦いは変わらない。
 堂と、静かに。相手を空回りさせ続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルバ・ファルチェ
(絡み・アドリブ歓迎)

《SPD》使用。

無辜の男性を処刑した事も、その遺体を勝手に埋めちゃった事も許せないのは解らなくもない。
でも無関係の人の墓を暴いて首を持って行っちゃうのもまた許されることじゃないよ。

だから止めなきゃ。
それを邪魔するなら容赦はしないよ…とは言っても僕が得意なのは攻撃より盾役なんだけど。

仲間がいるなら【おびき寄せ】【かばう】で盾役を担う。
【地形の利用】で囲まれたり背後を取られたリには気を配る。
あとは【盾/武器受け】や【オーラ防御】で耐えるよ。
【見切り】も駆使してダメージは最小限に。

攻勢に出る隙があれば【カウンター】【なぎ払い】【範囲攻撃】【鎧砕き】【鎧無視攻撃】を使って倒そう。


鹿忍・由紀
手厚い歓迎をどうも。
一体一体がそんなに脅威じゃなくても群れるとなんでも面倒なものだよね。
『影雨』で出来るだけ頭数減らしていこう。
こちらに向かってる敵には影雨を一点集中させて壁代わり兼攻撃として対応。
敵の本拠地だから一気に踏み込みすぎないように警戒しながら進むよ。
複数の敵相手に一人で突っ込むのも無謀だし、他の猟兵たちとも協力しようか。

頭蓋骨だけで想い人を探すってなかなか難儀そうだけど、執念ってすごいものだね。
俺は骨だけじゃどれが誰かなんて判別できそうにないや。
そういえばここにいるスケルトン達は首から下もあるから、集められた頭蓋骨とはまた違うんだろうな。


ロカジ・ミナイ
悲しい悲しい悲しい悲しい話があったものだ
しかし悲恋の続きがあるのならこの目で見ておきたいねぇ、後学の為に
そいでもってこの難解でもある物語を紐解けたなら、
僕も登場人物の一人になれるかもしれないだろう?

しかしまぁ……酷い臭いだな
正気どころか魂まで滅入りそうな空間だ
……鼻栓鼻栓

どういう了見でシャレコウベの運搬なんてやらされてるんだい?
なんて聞いても仕方ないよねぇ、君らだってシャレコウベだもんねぇ

とりあえずどいておくれよ、もっと奥に用があるんだから
邪魔したり叩いたりするなら邪魔して叩くし
それいけヤマタ、7つの顎で砕いてしまえ
ハハッ、美味いかい?
しばらくカルシウムは不要そうだ


明石・鷲穂
行きは良い良い帰りは怖い…かあ。
よし、お邪魔するぞ。

「首なんか持って…お前らの主は何をするんだよ…」
「カラカラ、カラカラ…良い音なるなあ」
武器は金剛杵(槍)を使用。
[先制攻撃]で切りつけたり、薙ぎ払ったり。
[鎧無視攻撃]で少しずつダメージを与えていくぞ。

急な攻撃には[野生の勘]で対処しきれると良いんだけどな。

「獅子が噛み付くと神がつく…厄祓いでもしてやろうか」
「骨だから噛みごたえはあるが…味はしないよなあ。」
ある程度ダメージを与えたらUCを発動。
左手を獅子狛の頭に変えるぞ。
それぞれ敵を一発で倒すために[捨て身の一撃]で攻撃。
回復もさせてもらって一石二鳥だ。

(アドリブ、絡みはお任せだ)



●空虚な器
 無辜の男性を処刑した事も、その遺体を勝手に埋めちゃった事も許せないのは解らなくもない――アルバ・ファルチェは星の力を宿す剣を振るい、立ち塞がるスケルトンどもを一瞥する。
「でも無関係の人の墓を暴いて首を持って行っちゃうのもまた許されることじゃないよ」
 だから止めなきゃ、瞬くタンザナイトの瞳が強い意志を宿す。
「それを邪魔するなら容赦はしないよ」
 エントランスホールを突っ切るように飛び出せば、周囲をぐるりとスケルトンが取り囲む。
 叩けば崩れそうな程度の相手だが、身動きする隙間も許さぬほど詰め寄ってくる――だがアルバに焦りはなかった。
「手厚い歓迎をどうも」
 淡淡と、背後から――感情を見せぬ青い瞳でそれらを一瞥し、鹿忍・由紀は言う。
 群れるとなんでも面倒なものだよね、零す通り、気怠げに彼は命ずる。
「貫け」
 影から複製された夥しい数のダガーが飛び交う。それは踏めば作動するトラップにも似て、しかし由紀の意志で室内の何処でも発動する力であれば、逃げ場など無い。
「行きは良い良い帰りは怖い……かあ」
 明石・鷲穂の声音はのんびりと響く。
 おっかないな、こんなに未練が残って――などと嘯き、彼の色の薄い瞳が細められる。
「首なんか持って……お前らの主は何をするんだよ……」
 彼は僧という肩書きは持っているが、与えるものは破壊。
 柔らかな焦茶色の髪がふわりと浮かんだと思えば――ぶんと唸る、力に任せた金剛杵の軌跡。
「カラカラ、カラカラ……良い音なるなあ」
 鷲穂が豪快に得物を振り回せば、空虚な骨格同士、乾いた音を立ててぶつかり合う。
 これだけ密集しているのだ、いくら無造作に振り抜こうとも、的には困らぬ。
 少々愉快に思いながら豪快に立ち回る鷲穂の背に続き、由紀はそれにしてもと天を仰いだ。
「頭蓋骨だけで想い人を探すってなかなか難儀そうだけど、執念ってすごいものだね」
 俺は骨だけじゃどれが誰かなんて判別できそうにないや、声音は淡淡としたものだ。
 事実、骨、骨、骨――今目の前にあるどれを眺めても、違いを見出せぬ。
 或いは、探しても探しても解らないから、永遠と繰り返すのだろうか。
 ――噫、全く不毛で報われぬ行いだ。
「悲しい悲しい悲しい悲しい話があったものだ」
 深く息を吐き出すように、ロカジ・ミナイが興じる。
「しかし悲恋の続きがあるのならこの目で見ておきたいねぇ、後学の為に」
 そいでもってこの難解でもある物語を紐解けたなら、僕も登場人物の一人になれるかもしれないだろう――?
 堂々と唱いながら、急に顔をしかめた。
「しかしまぁ……酷い臭いだな」
 正気どころか魂まで滅入りそうな空間だ――眉をしかめつつ鼻栓つめるロカジへ、その姿で戦うのかいと由紀が視線と共に窺うが、彼は片目をぱちりと瞑り返す。
 レディの目がないのならば、格好よりも実用性ということだろうか。
 猟兵達の視線をさらりと無視して、ロカジはスケルトン達へと問うた。
「どういう了見でシャレコウベの運搬なんてやらされてるんだい? なんて聞いても仕方ないよねぇ、君らだってシャレコウベだもんねぇ」
 嘲笑ですらない。いっそ憐れみを帯びている。
 相手には感情がない。空虚な兵だ。雑用を担い、それすら完璧ではない未熟な衛兵は――ただ命令を忠実に実行しようとする。
 侵入者を殺す、という単純な命令を。
 おお、と鷲穂が声をあげた。一方的であった攻勢を、数の力で押し込めようと、更に数を増して押し寄せてきたのだ。
 更に空中には大腿骨やら、そのもの頭蓋骨やら、パーツが複製されて飛来する。
 全方位からの攻撃を猟兵達は如何に防ぐのか。
 否、届く前に、何かが阻んだ。翼と十字の意匠を施された白銀の盾が皆を守るようにずらりと並ぶ。
「僕の前では誰も傷つけさせないよ」
 自信を滲ませ微笑むアルバの言葉通り。その数は守られる猟兵よりも多く。仮に一枚破られようが、次の盾が仲間を守る。
 由紀のダガーが不規則に飛来し、淡淡と本体を仕留めれば。
 からりからりと音を立てて落ちた骨の幻が消え失せる。それを踏みしめ、とりあえずどいておくれよ、とロカジが擂粉木やら妙に殺意の高い煙管やらで、腕を伸ばす範囲のスケルトンを散らす。
 キリが無いなあ、とぼやいて、振るった煙管をコンとひと叩き。
「やぁ、僕のヤマタちゃん。そろそろおやつはどうだい?」
 酒火で燻る煙草の火種を飛ばす。
 すると思い思いに顎を開いた七ツ首の大蛇が、骨の群れへと飛び込んだ。
 合わせ、鷲穂が矛持たぬ左手を別の方角へと向ける。
「獅子が噛み付くと神がつく……厄祓いでもしてやろうか」
 言って、獅子へ変じた腕が、大蛇に負けじと牙を剥き――獰猛な獣はスケルトンの頭部を易々噛み砕いた。
 ぼりぼりと噛み砕く音が周囲から響く。
「ハハッ、美味いかい? しばらくカルシウムは不要そうだ」
 大蛇の働きを見てロカジが笑えば、鷲穂はしみじみと呟く。
「骨だから噛みごたえはあるが……味はしないよなあ」
 されど、相手は空虚な器。
 畏怖を覚えて後退ることはないのだ――哀れなことに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と共に

屋敷の存在そのものが冒涜であるな
師父、俺には全て打ち壊すが良いと見える

…ヴァンパイアが人間を想う事もあるとはな
死を知って尚求めるほどに壊れた娘の
その不幸は真実と胸に留める、が
…連鎖は何処かで断ち切らねばなるまいよ

前に出るでないぞ、師父
言い置いて群れる骸骨達の中へと向かう
距離を詰められる直前に【竜墜】を
<怪力>に<範囲攻撃>で底上げしての
地形破壊で連中の足元を壊し、体勢を崩させる狙い
いかな亡者とて粉々になれば動けまい

瓦礫や崩れた骨を蹴り飛ばして他猟兵への攻撃の妨害とし
もしも懐に入られれば黒剣で迎え撃とう
斬られれば<オーラ防御><激痛耐性>で耐え
隙を作り、反撃を狙う


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
ああ、醜悪とはまさにこの事よ
――身勝手な感情に踊らされるからこうなるのだ
首を刎ねられたくなくば疾く道を開けよ

魔方陣より召喚するは【暴虐たる贋槍】
押し寄せる多くの骨を砕かんと、高速詠唱にて息吐く暇なく業を行使
一番に狙うは首だが…足や手でも落とせば多少は戦力を削げようか
ふふん、数が増えようと所詮我が前では雑兵に過ぎぬ
それとも貴様等は我が魔力の暴風を制す猛者となり得るか?
容赦なく、慈悲なく骨が塵芥と成り果てるまで詠唱は止めず
万一接近されたならば第六感にて回避
後、カウンターを叩き込む

無論、ジジをはじめ他猟兵の支援は忘れぬとも
我が魔術を絶え間なく行使する事で多少は敵の足止めになろう



●蒼嵐
 静かに――ジャハル・アルムリフはただ、そこに居る。だというのに、細められた黒瞳に宿る殺気が暗い輝きを放ち、近寄りがたい圧を放っている。
「屋敷の存在そのものが冒涜であるな」
 低い声音は、滲む不快を隠さない。
 そして、師もそれを咎めず肯定する。
「ああ、醜悪とはまさにこの事よ」
 相対する全てを冷ややかに見下し、アルバ・アルフライラは言い放つ。
「――師父、俺には全て打ち壊すが良いと見える」
 ジャハルの言葉に否を唱える理由はない。構わぬ、全力で成せと応えれば、黒き龍は解き放たれた。
「前に出るでないぞ、師父」
 ジャハルは一言残し、真っ直ぐに群れる骨どもへと、駆った――最中、その拳が変容していくことに、誰が気付いただろうか。
 飛び込んできた彼へ相手が反応するよりも先、閃いた彼の腕は竜。
「墜ちろ」
 呪詛を纏いて、叩きつけられた力は暴虐そのもの。
 直接接触したものは粉塵と消えたが威力は死なず。そのまま床もろとも破壊する。
 ――破壊すると決めたのだ、彼がその力を加減する道理はない。
「いかな亡者とて粉々になれば動けまい」
 全身の全ての力を注ぎ、隕石でも落ちたかという大穴が穿たれていた。彼の刺すような視線が捉えるは、崩れた足場にもたつくスケルトンども。
 運良く逃れようとも、巧く動けぬだろうと、冷静な目論みもある。
 だが、それを埋めるように、それ以上のスケルトンが新たに召喚される。
 まともな足場を駆ける新たな手勢へ、冷徹なる声音が響く。
「首を刎ねられたくなくば疾く道を開けよ」
 忠告はした、とアルバは冷徹に囁き。
 ――運の悪い奴等め、零す合間に風の槍が視界を埋める兵を一掃した。
 無情なる風は彼の警告とほぼ同時に吹き荒れ、身じろぎすら許さず塵と霞む。
 だが敵は引くことを知らぬ。無事であるもの、新たに召喚されたもの、いずれも二人へと愚直に向かってくる。
「ふふん、数が増えようと所詮我が前では雑兵に過ぎぬ」
 自信に満ちたスターサファイアが、うっすらと笑みを湛える。
 煌めく流星、仕込み杖が光の尾を引いたと見るや。
「――それとも貴様等は我が魔力の暴風を制す猛者となり得るか?」
 次なる槍は、既に放たれている。
 第二陣、飛び込んだジャハルが瓦礫を蹴り上げ、無謀にも剣を振り上げた一体を叩きのめしながら、黒剣を振るい、別の一体を斬り伏せる。
 拳を再び振り抜けば、更なる粉塵が舞い上がる。どれもこれも、どす黒く、澱んだ屑だ。
「死を知って尚求めるほどに壊れた娘のその不幸は真実と胸に留める、が……連鎖は何処かで断ち切らねばなるまいよ」
 彼の言葉に、アルバは微かに瞳を閉じた。
「――身勝手な感情に踊らされるからこうなるのだ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シノア・プサルトゥイーリ
そう、恋をしていたの
お嬢さんは今、愛した男の首を探しておいでかしら
死者を暴くものが全ての首を確かめた後に、頭の乗ったままの街の人々をどう見るものか

通らせていただきましょう

ー死の匂いがするわね
馴染みのあること
…えぇ、これはあの街とお嬢さんに至る道筋。沈むにはまだ早い


刃に手を這わせ黒礼二式を発動
太刀にて近接で攻撃を範囲攻撃を意識して、数に対応を

向こうの攻撃は見切れる様に動きに気をつけて
衝撃波で貴方の体は削れるかしら?

刃を合わせればカウンターから斬り返す
貴方の刃は届いているもの
空いた胴はいただくわね

弔いにはならずともこの炎は貴方たちを焼き尽くす
見せていただくわ
この先にある恋と愛の
一人の想いの結末を


葦野・詞波
どうやら、ここで当たりか。
スケルトンの手を借りて正解だったな。
誘われているだけかもしれないが
何の目的でやっていたのかも含めて
入ってみれば分かることだろう。

しかし――
血の匂いには慣れ親しんでいるつもりだったが。
煙草の匂いでも誤魔化し切れない程とは。
ここまで濃いのは、数えるほどだ。

それに加えて、有無を言わさずか。
招かざるとは言え。
客人への対応が実になっていない。

先手を取って【揺光】による投槍の一撃
そのまま距離を詰めてなぎ払い・範囲攻撃で
敵中で槍を振るい回る
剣閃には見切りで対応

あまり長引けば流石に不利だ
無限に沸いて出てこられても困る
味方と密に連携し一撃で粉砕狙い
瀕死にさせない事を心掛ける



●死の狂奔
「どうやら、ここで当たりか。スケルトンの手を借りて正解だったな」
 赤頭巾の奥、皮肉げに葦野・詞波が笑みを刻む。
「そう、恋をしていたの」
 確かめるように、シノア・プサルトゥイーリが零す――その言葉は宵に深と沁みた。
「お嬢さんは今、愛した男の首を探しておいでかしら」
 薄く、笑みを刷いて。しかし、瞬きで消える――死者を暴くものが全ての首を確かめた後に、頭の乗ったままの街の人々をどう見るものか……。
 彼女の独白に、さてな、詞波は肩を竦めて見せる。
 いずれにしても放置はできぬ。
 無防備に虚を晒す屋敷の中へ、二人は躊躇わず踏み込んだ。
 途端、シノアが微かに眉をあげる。その瞳は影の下、より赤く輝く。
「――死の匂いがするわね」
「血の匂いには慣れ親しんでいるつもりだったが……煙草の匂いでも誤魔化し切れない程とは。ここまで濃いのは、数えるほどだ」
 頷く詞波の唇は、蠱惑と笑みの形を描く。自らが纏う香りをも上書きするような死臭。先に待つは如何なる絵図かと嘯く。
 しかし、その瞳は不機嫌そうに細くなる。既に奥から、煩わしい音が届く。
「客人への対応が実になっていない」
 招かれざる客とはいえ――有無を言わさず、さて、凡人であれば主人に首でも届けたであろうが。
 相手の姿を皆まで確認する前に、軽やかに詞波が踊った。竜種の遺骸より聖別された槍が閃く。
「刺し闢け」
 短く告げ、彼女は腕を振るった。
 迷いのない、渾身の投擲。放たれた槍は獲物に触れても構わず進み――館の床を大きく抉り、破壊する。
 追いかけるように、紋章刻まれた黒鞘から抜き払い、太刀を正面へ構えた姿勢でシノアは駆った。
「――重ねて我が血を畏れたまえ」
 囁きながら、刃に指を添える。ぷつりと零れた赤い滴をそのままに、太刀を振るう。
 隙の無い踏み込みは確かに、されど特別なこともない一刀だ。
「弔いにはならずともこの炎は貴方たちを焼き尽くす」
 彼女の囁く通り。その呪われた血に触れれば、それから真紅の炎が燃えさかる――触れた点より伝い、肉のない肉体を炎で包む。
 ごう、と風が炎を揺らした。
 既に詞波が詰めている。強烈な薙ぎ払いはスケルトンの首を、胸を、腹を次々と砕いた。その背に返す剣戟が迫る。しかし、そのなまくらは彼女に届く前に、鈍い音を立てあらぬ方向へ弾かれた。
 低く沈み込んだ体勢で、シノアが太刀を振り上げている。
「貴方の刃は届いているもの。空いた胴はいただくわね」
 艶と微笑み、両手を添え、振り下ろす。間合いは充分。何より喩え逃れようが、関係はなかった――彼女の剣風は彼方まで届く衝撃波となって駆けるのだから。
 二人が気儘に破壊した残骸を糧に、炎が繋がっていき、皓皓と周囲を照らす。
 それは部屋の片隅で、飛びかからんと機を見ていた敵どもの姿が明らかにした。
 この程度の相手ならば、数を相手にするのも苦ではないが――嘆息ひとつ、詞波はそれらを一瞥する。
「無限に沸いて出てこられても困るな……」
 さて、果てはあるのか。
 前にも誰かが考えた――このスケルトンは死者を操るものなのか、過去より呼び出されしものなのか。
 前者であれば果てはあろう。しかし後者であれば――此処でいつまでも戯れているわけにはゆかぬ。
 ある程度の数を蹴散らして、そのまま奥まで飛び込むべきか。
 えぇ、シノアがゆっくりと頷く。
「……これはあの街とお嬢さんに至る道筋。沈むにはまだ早い」
 太刀を返せば、鈍く光る。詞波も唇に笑みを湛え、道を切り拓くべく、槍を構える。
 先に飛び込んだ彼女の背を庇いながら、シノアは静かに零す。
「――見せていただくわ」
 この先にある恋と愛の、一人の想いの結末を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冴島・類
あーー
領主のお宅に辿り着いちゃうんですか
しかもこの有様だ

連れて行った首の中に
そうまでこい望む誰か
何かがいたのかどうか
それを聞くのも、識るのも
彼等の歓迎を越えてから

群に個で挑むのは無謀だし
戦闘時近くの猟兵さん達と
補い合えるところあれば連携
逆に邪魔はしないよう注意して

序盤は破魔の力込めた刀での薙ぎ払いと
瓜絵用いた二回攻撃で手数稼ぎながら
相手の動きを注視し
見切り避け、避けきれぬ際は直撃は外らせたら
ただし、剣が味方を狙っていれば
避けるより庇い優先します

瀕死になれば増えるなら
その隙を与えないか…若しくは
刀を嵐に変え、増えようとする骨ごと包んで

元々、此処に仕える者じゃないでしょう
諸共、お逝き

※アドリブ歓迎


ラザロ・マリーノ
こいつは…ひでぇ有様だな。

屋敷の関係者の中に、件の男が埋められた場所を知ってる奴がいたはずだが…
お嬢さんがそれに気づかない様にオブリビオンが手を回したのか、
それとも、既に見つけたが現実を受け入れられなかったか。
いずれにせよ人の心につけいるのが得意な野郎が潜んでるようだな。

攻撃力重視でUC「極限の領域」を発動。
【フェイント】をかけながらの【ダッシュ】で攻撃を回避しつつ、
【怪力】【なぎ払い】ハルバードを叩き込むぜ。

死人の仕事は墓場で寝る事だけだ。
お前らもまとめて埋葬してやるから、それまでおとなしくしてもらうぜ!

※アドリブ・連携歓迎


ユルグ・オルド
出迎える気があんなら、掃除しとくもんだぜ
まァ呼ばれちゃいないけど
こんなところにいちゃあ正気が何かもわからないね

囲われないよに立ち回りは気を付けていきたいとこ
こっちも数がいるんなら手薄なところに回ろうか
共にはシャシュカを、呼ぶのは錬成カミヤドリ
数には数の、手数で勝負
空っぽの頭の軌道くらいは見切りたいね
避けきれない分は呼んだ写しで捌いてそんままそっ首落としたいところ
……空っぽの頭落として意味あんのかね

ふと逸れた集中は繋ぎなおして増える前にちゃっちゃと倒そう
なぎ払い、倒れる骸を蹴り込んで
さっさと墓場にお帰り願おう
用事があんのはこの奥だ



●そして、沈黙
 ――領主のお宅に辿り着いちゃうんですか、冴島・類は瞳を翳らせる。
「こいつは……ひでぇ有様だな」
 ラザロ・マリーノがあげた声は彼の感想と同じ。
 こんな空間を素晴らしいと思う人間は――相当に少なかろうが。
「出迎える気があんなら、掃除しとくもんだぜ」
 ユルグ・オルドは飄乎と言い、空へ無造作に手を伸ばし、一振りのシャシュカを引き寄せる――否、既に空に無数の曲刀。
 既に臨戦態勢の彼であるが、先陣を切ったのはラザロであった。
 敵群へ突進するかの如く、真っ直ぐに踏み込み、吼える。
「死人の仕事は墓場で寝る事だけだ。お前らもまとめて埋葬してやるから、それまでおとなしくしてもらうぜ!」
 粗末な剣をかざし、彼らをその一部へと迎えようというというスケルトンへ――無手を繰る――否、傍ら寄り添う小型のドラゴンがハルバードへと姿を変えるをしかと握り。
「いくぜ! 俺の全開!!」
 猛ると同時、全力で薙ぎ払う。
 向上した攻撃力によるそれは、まさに一掃――押し寄せるがゆえ、波状に倒れ込んでいく。
 銀杏色の組紐飾りが空を舞った。隙なく破魔の刃を振るい、類はラザロの背を預かるように立ち回る。
 剛と柔、そんな二つの波がスケルトン達を追いやり、一カ所に押し留めた。
「突っ立ってると危ないぜ?」
 問いかけを放ったはユルグ――そう、二人の斬撃から逃れても、シャシュカは空中を水平に滑り、次々に首を落としていく。
 そこで、ふと。彼はひとりごつ。
「……空っぽの頭落として意味あんのかね」
 だが、それらの場合、形には意味はあった。少なくともこの単純な動きしか出来ぬスケルトンは、四肢の不足を別の何かで補う様子はない。
 従って、頭がなくなれば動かなくなる。代わりに、呆れるほど数が多いのだろう。
 縦横無尽に奔るシャシュカへ、対抗すべく、数々の骨が浮き上がる。さして頑丈なものではないが、刃の軌道を阻むのには充分だ。
 彼がそれの対応に追われる間、押し寄せるスケルトンの剣を、類は後ろに跳んで躱す。
 顔立ちは幼い印象を与えるとも、理知的な光を湛えた緑の瞳は、戦場を冷静に見つめている。
「さあ、瓜江」
 鮮やかな赤い糸を類が引けば、濡羽色の髪がさらりと音を立てた。目覚めた瓜江は主が手繰るが儘に、ひらりと類の背に迫る剣を腕で払い、もう一撃、すかさず打ち込む。
 それは優美に舞うように、軽やかでありながら鋭く、叩き込まれる連撃。
 風が啼く。
 ラザロが水平に薙ぎ払ったハルバードの軌道は単純だが、見定めたところで、体がついてゆかねば躱せぬ。
 隆々と鍛えられた肉体が躍動し、その膂力が起こす暴風は向かう敵を粉々に砕いていくも。新手は続々と湧いてくる。
「む、こいつら……!」
 がちりと鋼が軋む音がした。
 彼の振るったハルバード、その刃を噛むように、剣を差し出した一体がいた。だがラザロにとっては児戯に等しい――そう、本来は容易に振り払えるはずであったが。
 押し合う力は、予想に反して拮抗する。負けはしないが、更にもう一体、二体、と増えていく。
 ――無尽蔵のスケルトンと渡り合う状態に慣れてしまったからこそ、一瞬、虚をつかれた。
 これらは間違いなく元から相手にしていたスケルトンよりも、やや力を増している――その正体に類は気が付く。
 これは苦し紛れに召喚された、強化型のスケルトンである、と。
 手元の短刀をくるりと返し、手放す。
「咲け、常春」
 唱えれば、宙で刀は山桜と解け、華麗なる烈風となりて吹き荒れる。
「元々、此処に仕える者じゃないでしょう――諸共、お逝き」
 そう待たせず、主も此処から退去しますよ、と。囁きかける穏やかな声音は冷徹な響きを伴って。
 山桜が消えれば、骨の山が築かれ、動くモノは数少なくなっていた。
 真に物言わぬ骸となりはてた者達を蹴り散らし、
「さっさと墓場にお帰り願おう。用事があんのはこの奥だ」
 手にする刃でユルグが残りを切り伏せる。彼と背中合わせに、ラザロがハルバードを豪快に叩きつければ、ひとまず波は去ったようだ。
 助かったぜ、と金の瞳を細め気さくに笑うラザロに、こちらこそ、と類は笑む。
「それにしてもよ」
 ラザロは嘆息し、扉を見やる。
 少なからず領主や連なる誰かが、件の男の首の在処を知っていたはずなのだ。
 お嬢さんがそれに気づかない様にオブリビオンが手を回したのか、それとも、既に見つけたが現実を受け入れられなかったか――。
「いずれにせよ人の心につけいるのが得意な野郎が潜んでるようだな」
 その言葉に何を思うか。己を肩に担ぎて、ユルグは一歩踏み出した。
「行こうか。次が湧いたら困る」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『救済の代行者・プレアグレイス』

POW   :    黒死天使
【漆黒の翼】に覚醒して【黒死天使】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    鏡像の魔剣・反射
対象のユーベルコードを防御すると、それを【魔剣の刃に映しとり】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    鏡像の魔剣・投影
【魔剣の刃に姿が映った対象の偽物】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリーヴァルディ・カーライルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●救済者
 ――どす黒い部屋だ。
 しっとりと腐臭を孕んだカーテン、黒くぬめる絨毯だったもの。テーブルを彩るは腐り果てた正餐――しかし不思議と虫一匹いない。
 そんな微かな生命の存在さえ、この屋敷は許さぬのか。
 かつては様々な色彩を帯びた大広間。欲望と虚栄で作られた瀟洒な空間であったはずが、今や血で穢れ、ただの一色に染まっていた。
 すると鋭敏になった嗅覚が、より強い腐臭を認識し――実際、部屋の隅々まで染みこんだ死の臭いは強烈だ。
 ただ、すっかり錆びた燭台には小さな光が灯っていて、明るいとは言えないが、視界に困るほどでもない。尤も――それが見せる光景に気持ちの良いものは何一つ無い。
 部屋の至る所で、数々の骸が白い骨を曝し、じっと天井を見つめている。否、それらはすべて首が無い。
 首は、大広間の奥。主賓席が設けられるであろう場所に、山と転がっている。
 人の腰ほどはある山がひとつ、ふたつ、みっつ……。
 胴体の数もなかなかだが、それにしても到底数が合わぬ。
 墓場からここに運ばれてきたとみて、間違いない頭蓋骨の山。
「――見事でしょう?」
 その傍らに佇む黒衣の少女は、そう問い掛けた。
 無垢な顔立ちに穏やかな表情を湛え、彼女は猟兵達を見つめている。この部屋の異質さを一切意に介さぬ様子。片手は黒い剣を握り、もう片手には――何を持っているか、猟兵達から確認できなかった。
 彼女がオブリビオンであることは名乗られなくても解っている。強力な存在であることも、肌で感じる。
 それでも尚、猟兵達は正視に耐えぬ部屋へと視線を凝らす。
 胸に灯る感情はそれぞれであれ、この部屋に居るはずの『もうひとり』を探さずにはいられなかった。
 くすくす、と剣持つ少女は笑う。
「あの子を探しているのね? でも、もう救済は終わっているの……ずっと、ずっと前に」
 その一言で、皆の視線は、少女――救済の代行者・プレアグレイスへと集まる。
「彼女が私を呼んだのはいつだったかしら。人の時間感覚はよくわからないの……でも、確か、一ヶ月ほど前」
 彼女は淡淡と歩く。黒いヒールは音を立てぬが、ぱきり、と足元で骨が砕ける。
 ――ああ、誰かが息を零す。
 切欠となる誤りは、人の手で紡がれたにしても。
 つまり、最初から――。
「今にも壊れてしまいそうなほどだったから。救済を与えたの。だから、代わりに……」
 プレアグレイスは手にしていた七色に輝くヴェールに唇を寄せ。
 ――見つけてあげなければいけないのよ、と、囁いた。
 知りもしない、男の首を。

 見届けることも許されないかと思ったけれど、予想外のことに、同席させられた。残酷なショーを見せれば、わたしが諦めると思ったのか。怖れると思ったのか。
 泣き叫んで取り乱すかと思っていたのに、わたしは意外にも冷静だった。
 いいえ、冷静などではなかった。でも『目の前でこれから起こること』から目を逸らしてはいけないという、予感めいたものがあった。
 既に狂っていたのかもしれない。手に入らぬのならば、死んでしまえと。
 そんな歪みがあったのかもしれない。
 ああ、けれど。
 そんなことはどうでもよくなってしまった。
 あの人の美しい首が。
 生命力に満ちた強い瞳が。
 色を失い落ちていく様を眺めて――どうしようもなく、これ以上も無く。
 この世にこんなにも美しいものがあったのか、と。
 頬を伝った涙は歓喜の涙で。どうしてもあの首を欲しいと思ってしまった。

 連日連夜、あの日の光景が繰り返し夢で甦る。
 そして、違う夢を見た。わたしは思うままにたくさんのひとびとを殺して、あの美しい首を探すのだ。
 ――でも、見つからない。
 そんな悪夢から目覚め、いつものように嘆いていたら、救いが訪れたのだ。
 後の事なんてどうでもいい。どうか、どうか、願いを叶えて。
 ただそれだけを黒い天使に願ったのだ。
トリテレイア・ゼロナイン
娘はすでにこの世に無く、その狂気だけが残っていたということですか
その狂気に救済と称して付き合っている貴女はある意味では面倒見がよいのですね、プレアグレイス。幾度か戦ってきましたがその救済に駆ける情熱は評価します
その救済は人々にとって破滅でしかないのですが

鏡像や写し取られたUCから味方を●かばうように立ち回ります
●盾受けで防御し、当たったら不味い攻撃は●見切ってスラスターでの●スライディングで回避

黒死天使となって近接戦を仕掛けてきたら、剣を片腕での●怪力●武器受けで受け止め、もう片腕の格納銃器での●だまし討ちのUCを使用
●スナイパー技能で狙うは剣
用途は違いますが塗料で鏡面を汚し使用を制限させます


レガルタ・シャトーモーグ
これが結末か…
下らないな

…首集めの理由なんて俺には理解出来ないし、興味もない
でも、そこまで強い思いを抱かずにはいられない衝動…
恋、だったか
そんなものが、この世界にも存在するんだな…
結末は悲劇だとしても、彼女は幸せだったのだろうか…
…いや、それこそ下らない
結末ではなく終焉を
その為に俺はここに来たのだから

立ち止まらず【残像】による牽制と【毒使い】のダガーによる刺突攻撃を繰り返し相手のペースを崩す
隙があれば背後に回り込み「背面強襲」

自分の偽物が出た場合
その外見に明らさまに憎悪を見せ
一撃の元に消し去る
…貴様が容易く触れていい領分じゃない
死ね


宇冠・龍
由(f01211)と参加

そうですか、彼女はもう……
猟兵としてこの考えは間違っているのでしょうが、せめて「向こう側」でお二人とも安らかに過ごしてほしいです
「そして、どの首も、決してあるべき場所はここではありません」

その手にあるものを返していただきましょうか
【魚質竜文】にて不可視の霊を操作し、まず、手にしているであろう女性を取り戻します
それに意表を突けたなら、味方の攻撃の合間、一瞬の隙を突いて、もう片手に持つ鏡像の魔剣を叩き落します


戦いが終わったなら、全ての首を元の場所に戻しましょう
墓守の方なら男性の埋葬場所もご存じのはず
亡くなったご令嬢をすぐ隣に埋めて祈りを捧げます


宇冠・由
お母様(f00173)と参加


周囲の骸骨は被害者たちのもの
拠点防衛には慣れております。周囲を傷をつけないようかばい、立ち回りには気を付けましょう

私は全身炎のブレイズキャリバー
その炎は傷ついてもすぐに再生します

この燃える身体を以て敵の目を引き付けおびき寄せ、
空中を舞いながら周囲や味方に攻撃が及ばないように盾としての距離を維持

隙あらば二振りの火炎剣を投擲
この剣も私の一部。回避しても軌道を変えて追跡し、その奇麗な翼を燃やしますの
接近できるなら、抱擁と共に相手の全身を炎で包みましょう

もし周囲の骨や味方に被害が及ぶ場合は、私の一部を切り離したオーラで守りきります



●黒死天使
 猟兵とプレアグレイスの間に、一瞬の沈黙が落ちた。
 やがて息を吐いたのは――当然の如く、猟兵である。目の前に居る存在は呼気すら感じさせぬ。思えば、元よりこの屋敷に生者らしい気配はなかった。
「これが結末か……下らないな」
 レガルタ・シャトーモーグは冷ややかに断ずる。
 彼の言葉に、プレアグレイスは曖昧な微笑みを浮かべたまま、何とも動じはしない。
「そうですか、彼女はもう……」
 睫の影を頬に落とし、宇冠・龍は囁く。宇冠・由は案ずるように母の傍に寄り添いながらも――じっと敵から目を離さぬ。
 否、彼女が見つめているのは、その背にある周囲に重ねられた骸骨か。
 集められた頭蓋骨、それはこの場で殺されたものもあるだろう。
「娘はすでにこの世に無く、その狂気だけが残っていたということですか」
 それらをゆっくりと一瞥しながら、トリテレイア・ゼロナインの静かな言葉が場に響く。
 事実を確認するように。噛みしめるかのように。
「ええ、少し……ずっと前に」
 答えを求めたものではないが、彼女はそう告げた。この屋敷がこうなるよりも前に――と。
 トリテレイアは僅かに頷いた。彼の頭部は甲冑であれば、感情は見えぬが。その動作には静かな憤りが滲んでいるようだった。
「その狂気に救済と称して付き合っている貴女はある意味では面倒見がよいのですね、プレアグレイス。幾度か戦ってきましたがその救済に駆ける情熱は評価します」
 ――その救済は人々にとって破滅でしかないのですが。
 低い声音は平坦、あくまでも冷静。
 だが同時に、その言葉はある種の威圧を伴っていた――過去より甦るオブリビオン。幾度となく巡り逢ってきた猟兵たちもいる。そして、悉く退けてきたと彼は告げたのだ。
 承知の上か、否か。プレアグレイスは動じない。
 ただ黒い剣をゆっくりと下げて、臨戦態勢であることを示すのみ。
「……首集めの理由なんて俺には理解出来ないし、興味もない」
 ぼそりと、誰に届けるわけでもなくレガルタは零す。
「でも、そこまで強い思いを抱かずにはいられない衝動……恋、だったか――そんなものが、この世界にも存在するんだな……」
 結末は悲劇だとしても、彼女は幸せだったのだろうか……いや、それこそ下らない、レガルタは頭を振る。
「結末ではなく終焉を。その為に俺はここに来たのだから」
 言って、低く構えた彼の姿と――プレアグレイスの左手の内にある七色のヴェールに、そうでした、と龍は彼女へ強い視線を向けた。
(「猟兵としてこの考えは間違っているのでしょうが……せめて「向こう側」でお二人とも安らかに過ごしてほしいです」)
 自分が此処に立つ、その理由を思い返す。
「そして、どの首も、決してあるべき場所はここではありません」
 宣告と共に、彼女の手の内にある黒い竜玉が鈍く輝き出す。
「死海に還りし息吹達、視界を寡黙に泳がれよ」
 朗と謳えば、不可視の浮遊する十匹の魚の霊が宙を泳ぐ――それは指示の儘に、プレアグレイスの手元へとするりと滑り込む。
 見えぬ相手の動きは捉えきれず、或いは予想外であったか。プレアグレイスは思わずヴェールを落とす。
 ひらひらと空を舞うそれを、霊が攫って、龍へと届ける。
 それを切欠に、猟兵達がそれぞれに地を蹴った。
 宙に浮き上がった由の体が――本体はそのマスクであるが――薄暗い大広間で、赤赤と輝く。
 地獄の炎を激しく燃やし、相手の注意を惹きつけんとする。
 戦場を見つめる骨達をも守るために。
 輝きの影、深く落ちた闇の中で、再び龍の操る霊が剣を狙い走った。
 されど二度目、感覚を掴んだのか、プレアグレイスは剣で応じた。緩やかな薙ぎの一閃は籠もる力で、霊をいくつか掻き消した。
 剣を落とすという、龍の狙いには至らなかったが――その隙は充分に、レガルタの接近を許した。
 はためかせた外套の下、体の動きと武器を隠したまま、ぎりぎりまで迫り、首を狙い毒を孕んだ両刃のダガーが斜めに走る。
 金属が打ち合う音で彼は飛び退く。
 眼で確認するよりも、掌に伝わる感触と、第六感に従って翼を羽ばたかせた。
 しかしその手首には、うっすらと朱線が走っていた。
 追撃を許さぬように、地を滑るようにトリテレイアが間を詰める。彼の身を覆うような盾を掲げ、プレアグレイスが何も出来ぬように押しやったが――その細い体は、一方的な推進力を易々と止める。
 風がふわりと黒髪を揺らした。
 由が投擲した炎で編んだ燃ゆる二対の剣が、風を斬り上と下、挟撃を仕掛けた。
「この剣も私の一部。回避しても軌道を変えて追跡しますの」
 彼女の言葉通り。避けただけでは追いかけてくる。翼を狙うそれへ、剣で応え、ひとたび退けるとプレアグレイスはゆっくりと羽ばたいて猟兵達から距離を取った。
「多勢に無勢。だったら、増やすまで」
 白い指が黒い刀身を撫でた。斜めにかざした剣が、猟兵の姿を写し取る。
 双方の中間ほどに現れた、小柄な蹲る影――それが閉ざしていた瞳を開く。
 ――真紅。
 弾けるように、ダガーを手に飛びかかってきたレガルタの偽物――それを見るなり、レガルタの赤い瞳が光を消した。
 彼は一切の状況を捨ておき、真っ直ぐに偽の自分へ向かう。庇おうとしていたトリテレイアの腕の下を潜り抜け、直接対峙し――。
 躊躇わずにその喉を掻き斬った。
 感情を見せぬ表情が、声音が、憎悪を隠さず。
「貴様が容易く触れていい領分じゃない……死ね」
 言い放ち、そのままプレアグレイスまで及ぼうと、地を強かに蹴った。
「そう……貴方はそういう顔を見せてくれるのね」
 彼女は微笑みを浮かべ、黒い剣を振り上げていた。冷静さを失って飛び込んだレガルタに、回避の術はない。無慈悲に斬り下ろされる。
 とはいえ、常に彼を守る力が働き、斬撃は幾分か和らいだ。しかし無傷ではない。
 すぐには動けぬ彼へ、止めとばかり、再び黒い剣閃が走る。
「させません……!」
 発し、由が炎の剣を放つ。真っ直ぐに走った炎と刃が叩き合い、火花が弾け、はらりと落ちた薔薇の花弁を燃やす。
 不可視の魚霊がプレアグレイスに体当たりで更に押し返す間に、トリテレイアが詰めている。
 再び、プレアグレイスは大きく後ろへ跳躍すると、微笑みを消した。
「……少しだけ、本気をお見せしましょうか」
 そう言い――翼の色を変えた。黒く染まった翼が空を撃った、と龍が認識した瞬間、プレアグレイスが目の前に居た。
 空気が揺らぎ、ふわりと薔薇の香りが漂う。
「お母様!」
 由が炎の腕を伸ばし、黒死天使へ抱きついた。然し、その体を抱き留める前に、胴から肩を両断されていた。
 彼女の体は地獄の炎ゆえ、実質ダメージはないに等しいが――それでも掻き消された分だけ、疲弊する。
 トリテレイアが力任せに儀礼剣を振るう。垂直に叩き下ろした重い打撃を、彼女は軽く受け止めた。
 だが、それも織り込み済みだ。
「貴女の戦い方はよく知っています」
 彼の体より全球状に放たれる索敵レーザーは、この距離であれば外しようがない。
 剣を構えて真っ直ぐ伸びた腕――その半ばが突如と開いたかと思えば、腕部装甲から覗いた銃口が至近距離より火を噴いた。
 蛍光塗料の混ざった散弾、それが彼女の剣を汚す。
 鏡面の輝きがひとたび失われた。畳み掛けるは、レガルタ。
 彼女の剣も早い。体を回転させるように薙がれた剣風に、藍色の髪を彩る鳥兜が僅かに揺れる。
「遅い……!」
 レガルタがその背を捉えた。
 逆手に握ったダガーによる、逃れようもない刺突。人であれば骨を潜り抜け、臓腑を傷つける一撃。
 彼女が更なる回避が取れなかったのは、龍にしか見えぬ霊が腕を捉え、由の炎が脇から迫っていたからだ。
 ひとつ遅れ、漸く黒死天使は力任せに振り払う。暴風の如き剣閃が、由の体を再び斬りつける。
「私の再生力を見縊らないでください」
 斬撃で散った小さな炎、それは由の意のままに相手を縛る炎の枷となる。
 黒き天使は、猟兵達の追撃をそつなくいなしていくが――いくつもの綻びの楔は穿たれている。
(「彼女達のため……彼らのため……」)
 竜玉を手に、龍は祈るように次の力を振るう。
 ――彼らの戦いを、物言わぬ無数の骸が見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

葦野・詞波
以前も聞いた名だが、別の個体か。
しかし、何処で聞いても趣味の悪さだけは
一流だな、プレアグレイス。
よくこれだけ集めたものだ。

お前の救済は余計なお節介
それも最悪な類のものだ。
妄執の手助けが救済なものか。
悪魔の囁きだ。

全力の槍投げから距離を詰めて
刃に映らぬよう常に位置取りを変えながら
槍撃を繰り出し
プレアグレイスの翼が黒く染まったなら
頭巾を脱いで【貪狼】を
その翼に狙いを定めて一撃を見舞う

反射による一撃は見切りを以って対処
自分の技は、自分がよく知っている。

娘が道を誤ったことは事実。
だが破滅に導いたのはお前だ。
救済ごっこはこれで終わりだ。


ラザロ・マリーノ
救済ね。過去の残骸でしかないオブリビオンが救済なんて笑えねえ冗談だな。

まず、真の姿を開放(体格が一回り大きくなり、牙・角・翼が生えて、よりドラゴンに近い外見に)。

【フェイント】を交えた【ダッシュ】で近づいて、UC「修羅の業」を叩き込む。
【怪力】【ロープワーク】【時間稼ぎ】で羂索を操って、プレアグレイスの行動を妨害するぜ。

てめえに殺された奴を生き返らせる事はできねえ。
無実の罪で処刑された男の遺体も見つけられねぇ。
絶望に捕まった娘を救ってやることもできねぇ。
情けねえ限りだが、せめてもの手向けに奴の首を墓前に捧げてやるよ!

※アドリブ・連携歓迎


アルバ・ファルチェ
(絡みやアドリブ歓迎)

《POW》使用。

死が救いであるという事は否定しないよ。
そしてその死を、遺志を継ぐことも。
けどそれは残った誰かを傷つけて、壊して、奪って成すことじゃない。
だから…僕は止めるよ。
僕が守りたい人達の為にも、自分自身の誇りの為にも。

【属性攻撃:氷】を【先制攻撃】で魔剣に。
魔剣の刃に映しとる技が多いのなら、映せないように封じれたらなって。

【おびき寄せ】【挑発】【存在感】で攻撃を引き付け、【盾/武器受け】や【オーラ防御】、【見切り】で攻撃をあしらいながら【カウンター】で【武器落とし】を狙う。

倒すとかより仲間のサポートを。
どうかこの悲劇に幕を下ろして終わらせて…。



●怒り
「救済ね。過去の残骸でしかないオブリビオンが救済なんて笑えねえ冗談だな」
 ラザロ・マリーノが吐き捨てる。
 金眼を獰猛に細め、正面から苛立ちをぶつけても、相手はそ知らぬ顔だ。
 以前も聞いた名だが、葦野・詞波は冷めた視線を送る。
「しかし、何処で聞いても趣味の悪さだけは一流だな、プレアグレイス。よくこれだけ集めたものだ」
 言い放ちながら、その指先は確りと槍を握り、いつでも仕掛けられるように距離を測っていた。
「死が救いであるという事は否定しないよ。そしてその死を、遺志を継ぐことも」
 アルバ・ファルチェのタンザナイトの視線は真摯と相手を見据え、盾を構える。
「けどそれは残った誰かを傷つけて、壊して、奪って成すことじゃない」
 ああ、詞波は鷹揚に頷く。
「お前の救済は余計なお節介。それも最悪な類のものだ――妄執の手助けが救済なものか。悪魔の囁きだ」
 反論も異論も挟まず、プレアグレイスは微笑むだけだ。
「幾度でも骸の海へと送り返してやろう」
 嘲笑を吐き出し乍ら、詞波は聖別されし遺骸の槍を全力で投げる。
 黒髪を割って床に突き刺さった槍、それへプレアグレイスが手を伸ばすよりも先、真の姿を解放したラザロが迫る。
 その体は一回り大きくなり――常であれば蜥蜴に似た姿の彼であるが、今は牙が迫り出し、角が伸びて、屈強なる翼が生えている。
 猛々しき龍の姿に近づいた彼の力は、より強化され、黒死天使と化している彼女に引けを取らぬ。
「少しだけ付き合ってもらおうか!」
 唸りを上げる拳が彼女の肩を強か撃つ――衝突した瞬間、爆発が起こる。
 その衝撃だけでも、かなりのものであっただろうが、プレアグレイスは苦痛に顔をしかめることはなかった。
 ただ、僅かに目を瞬かせた。その左腕に食い込む金属。二人の間は五色の糸を縒った縄――羂索で結ばれていたのだ。
 ニィ、とラザロは牙を剥いて笑って見せた。
 これで距離を取ることはできぬ――アルバの剣を彩る魔法石が、氷の力を放った。
 黒い剣は魔力を受け止めたが、思う通りに凍り付くことはなかった。
 しかし塗料によってくすんだ部分がより強固になる。無論、刀身全てを隠したわけではないゆえ、無効化には遠い。
 されど、アルバは誓う。
「盾の騎士の血にかけて、護ってみせるよ」
 返す剣に身をさらし、受け止めるべく白銀の盾をかざした。
 その影から躍り出るは、赤頭巾を脱ぎ、不思議な色をした髪を表に晒しながら、駆る詞波。
「捷いぞ」
 繰り出した矛先は風よりも早く。
 応じるプレアグレイスも人知から外れた速さで下から剣を振り上げたが、アルバの構えた盾が火花を散らし受け止め――揺るがぬ。
 詞波の槍は鋭く黒死天使の翼を貫いた。
「娘が道を誤ったことは事実。だが破滅に導いたのはお前だ――救済ごっこはこれで終わりだ」
 低く告げる。散った黒い羽毛がちらちらと舞って、炎に巻かれ消える。
 彼女の青い瞳が僅かに細められた。不吉な予感を察し、詞波は飛び退く。
 黒い剣が、凄まじい勢いで彼女を追う。
 強化された彼女の力に加算された、詞波の技。しかし自身の技ならば、見極められる。
 何より――不意にプレアグレイスの体がぐんと後ろに下がった。
 羂索を両腕で巻き取って、ラザロがその体を引き留めたのだ。
「てめえに殺された奴を生き返らせる事はできねえ。無実の罪で処刑された男の遺体も見つけられねぇ。絶望に捕まった娘を救ってやることもできねぇ――」
 彼が憤るは、自身の事。
 全て猟兵が訪れる前に終わったこととはいえ、それを赦すかどうかは別の話だ。
「情けねえ限りだが、せめてもの手向けに奴の首を墓前に捧げてやるよ!」
 意志を載せた槍斧が唸る。
 力任せの旋回からの強烈な一撃は、羂索で彼女を引きつけ、回避を許さぬ。
 果たして追い込まれたプレアグレイスだが、ラザロの懐へと、飛び込んできた。ゆっくりと弧を描く斬り上げ――槍斧の刃が彼女の腕を傷つけ、朱が弾け、アルバの盾を汚した。
 だが、黒い剣が槍斧の腹を叩いて方角を変える。軌跡はラザロの首を狙い、思わず仰け反った彼との間、ぴんと張った縄を巻き取るようにして断ち切る。
 ご苦労だった、詞波の唇が僅かに囁く。
 繰り出した槍がその背を薙ぐ。いくつもの黒い羽が広間に散らばる――されど半身で振り返ったプレアグレイスは、薄い笑みを浮かべていた。
 瞬く間に転回した彼女の深い踏み込みからの斬撃を、アルバは白銀の盾で受け止める。
 細腕が信じられぬ力と鬩ぎ合いながら、負けるものかと踏みとどまる。
 彼の願いはただ一つ。
 ――どうかこの悲劇に幕を下ろして、終わらせて。
 応えるように、ラザロと詞波が奮う。彼らが叩きつけた傷は徐々に黒死天使を追い詰めていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神埜・常盤
コノ君(f03130)と共闘

――躯、骸かァ
こうなって仕舞えば、どれも同じなのにねェ
手頃な頭蓋で妥協すれば良いものを

憤慨より呆れが声に混ざるのは
似たような事をし続けた男を、よく知っているから

兎も角これはやり過ぎだ
さァ、仕置と参ろうか
……あァ、僕の首はあげないよ
コノ君だって、此処に並ぶ気は無いだろう?

「天鼠の輪舞曲」で敵へ捨て身の一撃
コノ君が飛ばした黒影に紛れ敵の隙を突き
暗殺の技能活かし不意打ち狙う
削られた命は黒い天使の君から吸血しようか

鏡像は厄介だが――
くれぐれも見間違えないでくれよ、コノ君
男前の方が本物の僕だからねェ
ふふ、では此方も手加減せずに、鏡像へ霊符でマヒ攻撃
食事の邪魔などさせないさ


コノハ・ライゼ
ジンノ(f04783)と

いずれ等しく白く、だっけ?
ふは、「見付けてあげる」気なんてねぇよネ
アンタ飽きるまで楽しもうって目ぇしてンよ

当然、と返すと同時
隙を作るべく複数に分散した【黒影】を仕掛ける
蝙蝠も影に紛れりゃ尚判別し難いでしょ
『高速詠唱』の『2回攻撃』で更に大きな一体仕向け追撃

鏡像も気にする事なく攻撃しジンノの攻撃の手を止めさせない
ふは、上手く避けるのが本物デショ
だからオレがソコに居ても遠慮要らないってコト
それに、匂い嗅ぎ分けるのは得意でネ

ああでも折角のメインディッシュだ
一口この子らにも分けて頂戴、と隙見て『傷口をえぐる』『生命力吸収』

全て啜る為に流した血と、そう言われた方が理解できたなぁ



●虚像と嗤う
「――躯、骸かァ。こうなって仕舞えば、どれも同じなのにねェ」
 手頃な頭蓋で妥協すれば良いものを、零す神埜・常盤の声音は惘れが滲む。
 似たような事をし続けた男を知っている――ゆえの、惘れ。
「いずれ等しく白く、だっけ? ふは、『見付けてあげる』気なんてねぇよネ」
 心底可笑しいとコノハ・ライゼは笑う。
 しかし愉快そうな口元とは裏腹に、細めた薄氷の瞳は、冴え冴えとした鋭い光が宿っていた。
「アンタ飽きるまで楽しもうって目ぇしてンよ」
 プレアグレイスは肯定しないが、否定もしない。ゆっくりと黒い剣を構えるだけだ。
 それが意味することを忘れるような、凛然とした所作。
 なるほど、力持たぬ人間であれば、彼女を救いの神であると見ることもあろうか。
 兎も角これはやり過ぎだ、常磐はインバネスの裾を払って、符をかざす。
「さァ、仕置と参ろうか……あァ、僕の首はあげないよ。コノ君だって、此処に並ぶ気は無いだろう?」
 当然、コノハは深い笑みを口元に刻み。
「くーちゃん、やっちゃって。」
 コノハの呼び掛けに応え、黒き管狐が飛びかかる。それは一体ではなく、複数体でプレアグレイスの視界を阻むように――放射線状に飛び出した。
 管狐たちは空を駆って、爪を、牙を彼女に向ける。
 黒い剣がそれらを一掃せんと薙ぐが、てんでばらばらに気儘に、管狐は散っていく。
 彼らが戯れるその陰で。
「種も仕掛けも有るまいさ。何せ僕は怪人だからねェ」
 唱うなり、蝙蝠の群れへと姿を変じた常磐が、彼女の背後へ滑り込む。
 咄嗟に剣を振るえど、黒い群れはさっと剣風に乗り、躱す。
 つまりコノハが仕掛けた黒い管狐は、攻撃の一手であると同時に、常磐を捉えがたくする盾でもあった――果たして黒い複数の影は、彼女を覆うように食らいついていく。
 爪で斬り裂きながら管狐が空へ飛び退こうと、残された吸血蝙蝠がぎゅっと蠢く。
 手数の多い相手に堪らず、彼女は剣に二人を写し取った。
 黒い剣閃が煌めかせ、ひとたび距離をとれば――彼女を守るように、二人の虚像が現れる。
 最初は吸血蝙蝠の姿で現れた其れは、常磐が姿を元に戻せば、同じく姿を戻すのだから、大変よく出来た偽物である。
「くれぐれも見間違えないでくれよ、コノ君。男前の方が本物の僕だからねェ」
 などと常磐が嘯けば、コノハも軽口を返す。
「匂い嗅ぎ分けるのは得意でネ」
 今ジンノはお酒くさいじゃナイ、と囁けば、なるほど確かにと常磐は霊符を弄ぶ。
 偽のコノハで万物を写し取るように澄んだ刃を翻し、躍りかかってくる――鏡映しに、コノハが同じ手で一閃斬り返す。
「ふは、上手く避けるのが本物デショ」
 オレがソコに居ても遠慮要らない――薄氷の視線を背後の常磐に送り、彼はそのまま低く沈んで、更に深く、斬り込んでいく。
 狙うは、味も素っ気もない幻などではなく。
 悠然と黒い翼を広げ、迎撃してきたプレアグレイス。
 彼女は絶えず薔薇の香りを纏っているが――今や血の香りが混ざっている。肩口に蝙蝠の牙が穿った傷が、黒衣をしっとりと深く濡らしていた。
「ああでも折角のメインディッシュだ。一口この子らにも分けて頂戴」
 ゆらりと動きを緩やかに、剣戟のタイミングをずらす。紫雲の髪が斬られ宙舞うのを追い越し踏み込むが、ひらりと天使は身を躱す。
 更に、プレアグレイスを守るため、コノハの背を追う二人の像が武器を振り上げるのを――阻むように、常磐が次々と符を飛ばした。
「食事の邪魔などさせないさ」
 ――あまり美味しくはなかもしれないけどねェ、蝙蝠の牙で味わった余韻を思い出し、赤茶色の瞳を悪戯っぽく細めて、彼は囁く。
 オレは悪食だもの、諧謔と共にコノハは最後の一歩を詰めた。
「勝手なことばかり。けれど」
 間合いはプレアグレイスの優位。彼の脇腹に鋒が先に届いた。この程度の痛みなど、彼の動きを阻む理由にならぬ。
 そのまま抱きしめるほどに接近し――然し、石榴をその胸へと突き立てる。
 味わいは如何なるものかは語らず。彼は彼女へ、冷ややかに囁いた。
「全て啜る為に流した血と、そう言われた方が理解できたなぁ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

冴島・類
これを見事と言うものと
交わす言葉等最早ない

鏡面を見て
UCを使うのは隙をついた際のみとし

フェイント、残像を用いて相手の攻撃を引きつけながら
見切りで致命打は避けて近づき
刀での破魔の力こめた攻撃を狙っていると見せ

魔剣を封じることが狙い
近づけば攻撃受けるのも覚悟
瓜江手繰り、彼を鞘にするように
剣を身で受け止め貫ぬかせ
抱きしめ何も写せぬよう縛る
一瞬で良い
それが周りの刃を届かせる
二回攻撃で、UCの糸で剣持つ腕を狙い炎を

人は…弱い
切欠となった「子」が
許容を超えた悲劇に心壊し
終わらせる必要があったとして

狂気を糧に
願いを口実に
更に悲劇を紡ぎ笑うのは
愉快犯と言うんですよ

終われば
どれだけかかろうと
遺体達を墓に弔えたら


シノア・プサルトゥイーリ
此処はお嬢さんの夢が眠る果てかしら
墓所から無理に連れてきたにしては持て成しの悪いこと

救済を口にするのであれば、望む首くらい覚えておきなさい?
私は、貴方の首を望むわ

太刀を使い近接にて斬り合いを
二回攻撃で少しでも傷をつけましょう

見目通りの大剣の動きとはいかぬでしょうね
向こうの攻撃はカウンター出来るよう注意して
出来ずとも武器で受け、間合いは開けすぎず
周りの猟兵とよく協力して
己の傷は吸血で対応

死者の眺める戦場であれば尚のこと
余力を残すことなど望むまい

全力魔法で増幅させ第七の詩篇を
あちらの術を封じましょう
喉を焼く痛みなど気にする必要もない

一つの救済の結果
生まれたのがこれ程の死であるのならばね

アレンジ歓迎


明石・鷲穂
敵は…この天使なのか!
まあ、目的に代わりは無いだろう。
案内してくれた宵蔭が言ってたな。仕置の時間だ。

今回は油断出来なさそうだから、常に[野生の勘]で警戒を。
まずは様子見だ。
武器の槍で[武器受け]しながら、切りかかる。
[激痛耐性]があるから仲間の攻撃は[かばう]ようにしよう。
隙ができたら[早業]で、敵の一部…羽根でも髪でも良いだろう。抉って食うぞ。

……驚く程に不味いな!美人な天使なのにしっかり不味い!!
文句も言ってられないな、UC発動だ。
強化をしたら拳に大連珠を持ち替え。
[捨て身の一撃]で殴って攻撃をしよう。

さて、この身は不浄の皮袋。
慈悲もなにも無い。俺はこんな獣人だが…破戒僧だからなあ。



●報い
「此処はお嬢さんの夢が眠る果てかしら」
 累々と骨の転がる、地獄にも似た光景を前に――悪い夢ね、シノア・プサルトゥイーリは囁いた。
「墓所から無理に連れてきたにしては持て成しの悪いこと」
 無造作に積まれた頭蓋骨へ視線を向け、賓客であるならば、もっと丁寧に扱うべきではないかしら、と問い掛ければ。
 否――冷徹に、冴島・類は断じた。
「これを見事と言うものと交わす言葉等最早ない」
 温かさを抱く緑の瞳は、今は怒りを見せ、プレアグレイスを見据えていた。
 この天使が黒幕なのか、明石・鷲穂は目を丸くしてみせたが――誰ぞが言っていたな、と思い出した言葉を彼女へ向けた。
「仕置の時間だ」
 いっそ場違いなほど朗らかな笑みと共に、彼は金剛杵を構えた。
 そんな彼の隣、鳥の紋章が刻まれた黒鞘を、地と水平に構えたシノアが並ぶ。
「救済を口にするのであれば、望む首くらい覚えておきなさい?」
 隻眼をゆっくりと瞬かせ、鯉口を切る。
「私は、貴方の首を望むわ」
 告げるなり、競うように両者は地を駆った。
「ふふ……神の在り方は、人には理解できないものですもの」
 彼らを前にぽつりと零し――既に黒死天使と覚醒しているプレアグレイスも剣を手に前へと跳んだ。その速度は傷を負っていようと変わらず早い。
 黒い一筋がシノアの華やかな髪を浮かせ、剣風が肩口を裂く。
 構わず彼女も太刀を叩き込む。上からの斬撃に、斜めに斬り上げる反撃は、黒い柄に当たって弾かれた。
 在らぬ方へと向いた鋒に、おおと声をあげた鷲穂は更に金剛杵を叩き込んで、体勢を崩しに掛かる。
 剛の槍を潜るように、類が刀を振るう。銀杏色の組紐飾り揺らし、軽やかに刻めば、黒髪を一房切り落とす。それは途端に枯れて消える。
「この刃には、破魔の力を籠めているんですよ」
 丁寧に説明を付け足す。それは、単に手の内を明かす愚行ではなかろう。
 問いただす時間も確認する時間も与えず、鷲穂が波濤と槍を振るった。嵐の如く前へと躙り出る彼に、黒死天使はどう打って出るか。
 出した答えは、回り込む――無論、人知を越えた速力をもてば、可能であろう。
 だがその瞬間をシノアは待ち構えていた。
 感覚で合わせた大振りな一刀、鋼が結び、音を立てて弾ける。
 迷いのない足運びは、傷を厭わず前へと動き、今度は最短の軌道を以て、シノアが追撃した。
 白い腕に新たな真っ赤な線が。生身の肌が顕わ故に仕方が無いが、プレアグレイスの双腕は猟兵のものと――己の血で赤く染まっている。
 三者もまた、対等に渡り合っているように見せて、少しずつ傷を負っている。
 しかし勢いは完全に猟兵のものだ。
 背に槍を突き立て、鷲穂はそれの翼の一部を力任せに剥ぎ取る。
 そして、むんずと掴み毟った羽を、彼は躊躇いなく口へと放り込んだ。
「……驚く程に不味いな! 美人な天使なのにしっかり不味い!!」
「あら――誰も彼も、失礼ではないかしら」
 不味い不味いと連呼されると、さしものプレアグレイスも気を悪くするらしい。
 翼の一部を引きちぎられた挙句、喰らってそんな感想を聞かされれば、思わず反論したくなる程度の心はあるか。
 しかし、だからと気を遣う相手でもない。
「さて、この身は不浄の皮袋」
 彼女の一部を喰らったことで、不浄の気を宿し――その纏う気が、膂力が、明らかに高まった。
 危機を感じたか、彼女が黒い剣を振り上げるより早く。左手に大連珠握り、強か殴りつけた。
 その動作が完了するころ――風が遅れて周囲の瓦礫を吹き飛ばす。恐らく瞬く間に吹き飛ばされたという印象であろう。
「慈悲もなにも無い。俺はこんな獣人だが……破戒僧だからなあ」
 その細い躰が吹き飛んでいこうと、微塵も心は揺らがない。
 オブリビオンを容易くいなす力だ。当然、反動もある――衝撃の瞬間、彼の腕の一部内側から破裂し、止まる事無く血が流れる。
 しかしそれがどうしたと飄飄と鷲穂は次の手を仕掛けにいく。
 プレアグレイスは息を呑む。直ぐに身を起こし、体勢を立て直さなければ。
 けれどそれを阻止するように、黒髪の人形が剣ごと彼女を抱きしめた。
 視線を上げれば、糸越しに類が十指を握り、力を籠めていた。
 彼女は類の接近を警戒していて――ある程度の距離をとったことで、安堵していた節がある。それこそが彼が刀の持つ力を語った理由でもある。
「人は……弱い。切欠となった『子』が許容を超えた悲劇に心壊し、終わらせる必要があったとして――」
 糸手繰る類が、人形――瓜江の背後から、静かなる言葉を紡ぐ。
 彼の怒りが、犠牲者達の悲しみが、彼女へ届くことはないだろう。
「狂気を糧に、願いを口実に……更に悲劇を紡ぎ笑うのは愉快犯と言うんですよ」
 それでも類は言葉にせずにはいられなかった。プレアグレイスへ指を向ける。
「燃えよ、祓え」
 厳かに告げれば、絡繰糸から生じる炎が彼女を包んだ。
 剣は瓜江で隠されて、その鏡面が何を映すこともない。力の限り、類は拘束を解かず。
 彼らの躍動へ、シノアは羨望の眼差しを注いだ。
 死者に恥じぬ戦いを奉じよう――物言わぬ聴衆に向けた彼女の誓いを、先に彼らが満たしていることに。
 無意識に、喉に触れて。全ての力を魔力と変じる。
「土は土に、灰は灰に、塵は塵に。我が身をどれほど焼こうとも。招かれざるものよーーすべからく、神苑の縁にて眠れ」
 朗と謳う――喉が灼ける祝詞。
 招かれし天空の門より降り注ぐ破魔の光槍が、天井を灼きて、天使の体を貫く。
「一つの救済の結果、生まれたのがこれ程の死であるのならばね」
 せめて真の救済とすべく。その報いを受けよと――力を奪った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と共に

答え合わせも出来ぬ探し物とは
詭弁は要らん
奪うだけの救済など只の暴力だ
満たされるのは貴様だけだろう

…などと、言うだけ無駄だろうがな

師の選んだ術を知れば隠れ舌打ち
長引かせるわけには行かんが変身されては厄介だ
応えるように、用いるは【竜血咒】
最短距離を駆けた先で黒剣を
懐に入られたなら強化した腕を振るい
負傷には構わず耐え
喰らいついてでも疾く終わらせんと

偽物が現れたなら血でも傷でも与え目印として
決して、後方の師へは通さぬ様
そら、貴様の言う救済とやらを呉れてやる


せめて骨だけでも村に戻せば
弔いようもあるだろうか

なあ、師父よ
戻れぬ程に壊れていたなら
確かに救いでもあったのだろうか


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
…っは、成程
『代行者』とは良く言ったものよ
然しこの御使い、少々無能が過ぎる様だぞ?
これでは目当の首すら分りはせん

封ずるべきは彼奴の覚醒
敵の強化を許す程此方も余裕がある訳ではない
…ジジの小言は必至だろうが致し方なかろう
何より猟兵の――ジジを守る事こそ先決
【戒めの光芒】で彼奴の覚醒を、投影を止められるか試みる
上手くいくとも限らぬが承知の上
駄目ならば魔術による麻痺も視野に
鏡映しの御使いが現れた際は後方より観察
どちらが本物で偽物か逐一確認
偽物を狙う者居れば指摘

戦の後、屍はあるべき場所へ
救いか…私にはあの娘の真意は測りかねる
分るのは――その願いもオブリビオンに捻じ曲げられた事だけだ


鹿忍・由紀
なんだ、元々おかしくなっちゃってたのか。
もうちょっと前向きな向きことに対して救済してくれれば良いのにね。
何にもならないことさえ救済するなら、ある意味お人好しなのかもしれないけど。

敵の動きを観察し、ダガーで攻撃しながら相手の隙を探す。
隙を見つけてUC『絶影』で距離を一気につめて攻撃を。
敵からの反撃は「見切り」「第六感」で対応し、スピードで翻弄する。
おんなじ真似事したって、その大きな剣じゃ全く同じスピードは出ないでしょ。
敵を倒すためなら躊躇いなく足場の骨を踏み割って進むよ。足を取られないようにだけ気をつけて。

アドリブ、絡みはご自由に。


ユルグ・オルド
はん、趣味が悪いったらねェの
部屋が、願いが、それとも全部
首がないから目が合わないだけ幸いだね
って冗句も冗談になんねぇんだよなァ……

今回は一振り携えて
一体多数なら数の利で掛かろうか
立ち回りは間隙をぬって下がる奴に代わって前へ
深追いしたなら下がろうか
緩急とともに途切れずと
見切って躱せたんならカウンターといきたいとこ
飛び込むのは真直ぐ覚悟とともに、ただ一振りの刃になろう

踊れなかった、首もない、酷いお仕舞だ
主役も居ないのに見つけた首はどうすんの
尋ねたところで聞きたかないが

飛び込んで熄で切り込もう、折れるまでは怯みもしない
戻らなくたってこんなくらい夜だけは終わらせよう
報いにその首でも、落としてみるかい



●願い
 肩竦め、鹿忍・由紀は茫洋とした視線を周囲に送る。
「なんだ、元々おかしくなっちゃってたのか」
 事の次第に向けた感想は、あっさりしたものである。
 ――でも、一拍おいて、青い瞳がプレアグレイスを射貫く。
「もうちょっと前向きな向きことに対して救済してあげれば良いのに」
 何にもならないことさえ救済するなら、ある意味お人好しなのかもしれないけど――。
 否、オブリビオンとはそういうものなのだろう。
 だとすれば一分たりとも益になどならぬと確認できたようなもの。
「……っは、成程、『代行者』とは良く言ったものよ」
 アルバ・アルフライラは嘲笑を隠さぬ。
「然しこの御使い、少々無能が過ぎる様だぞ? これでは目当の首すら分りはせん」
 そうだな、師父――ジャハル・アルムリフの黒瞳は細く冷ややかに、体の半分を朱で染めたプレアグレイスを睨めつけている。
 答え合わせも出来ぬ探し物とは。探す気などないのだと宣言しているようなもの。
「――詭弁は要らん。奪うだけの救済など只の暴力だ。満たされるのは貴様だけだろう」
 言語化されてしまえばそれだけだ。
 彼女のもたらした救済は夥しい死のみ。万が一にも救われたのは、心を病んだ娘がひとりだけ。そしてそれを理由に、新たな苦しみを生み続ける。
「はん、趣味が悪いったらねェの」
 吐き捨て、ユルグ・オルドは構える。
 彼らの戦いを見守る骸共は意識せずとも視界に入る。
「首がないから目が合わないだけ幸いだねって、冗句も冗談になんねぇんだよなァ……」
 ゆっくりと頭を振り。一挙で鞘を棄て、彼は地を蹴った。
 プレアグレイスの体はぼろぼろだった。両腕は真っ赤に染まり、髪は不揃いに断たれ、装いは斬られ灼かれ疵だらけである。
 黒い剣には細かな亀裂が走って、まともな像は映るまい――とはいえ、油断はならぬが。
 深く踏み込んで、素早く払う。
 弧を描くユルグの刃を彼女は一歩下がって躱す。しかしその脇で、鋭い煌めきが走る。
 詰めていた由紀が仕掛けた。諸刃の短剣は長刀と異なり、直ぐに追撃が整う。
 彼の斬撃は瞬きも許さず。力任せにいなせば、生じた隙をつき、ユルグの気儘ながら力強い剣が襲ってくる。
 これを退けるならば、絶えず剣で応じるしかない。剣を盾に二つの剣戟から逃れようという足取りは、ダンスのステップの如く。
 しかし彼らは彼女を慮るどころか、追い詰めるために、リードの速度は増していく。
 唯そのまま追い込まれ続けるプレアグレイスではなかった――彼らの速さと力を見極めると、単純な戦闘能力で以て一気に押し返す。
 黒い羽の力は未だ健在――二人の刃を撃てば、決して弱くはない戦慄きが指先に伝わる。
 僅かな隙をついて距離を取るかと思いきや、ユルグに向けて、彼女は直進した。その速度たるや、手負いとは思えぬ加速。
 ――やはり出来る事なら、あの力を封じるべきか。
 相手の動きを測るアルバの星を宿す瞳は、決意に煌めく。
「小言は後でな」
 悪戯めいた笑みを口元に、アルバの手の内に金紅石の針が生成される。
 牽制まで先手を打たれてはどうしようもない――ジャハルは舌打ち、駆っていた。
 既に投影は完全に封じられている。
 なれば、彼が試みるはその覚醒を封ずるため――代償に命を賭けると決めた師の身を案ずるならば、一刻も早く決着をつけねばなるまい。
 複数の猟兵を押し返せる力、単に狙っても針は当たらぬであろう。
「纏え」
 短く命じれば、ジャハルの全身に呪紋が巡る。
 黒死天使としての力を纏って戦う彼女と、彼は真っ向にぶつかった。衝撃の瞬間に、空気が弾け――烈風が起こる。
 其処には技なるものは無い、力と力のぶつかり合いであった。呪紋の走った腕がその喉を掴み。彼女は剣を彼の肩へと突き立てる。
 鬩ぎ合う両者は一時、完全に動きを止め――よくやった、とアルバは裡で囁き、針を撃つ。
「其処でじっとしていろ」
 冷ややかな声音に、嫌な気配を感じたか。彼女はもがき、ジャハルの拘束を振りほどいて全力で飛び退いた――地を滑り、蹲るような姿勢で彼女は正面を見据えたが。
 その背の翼は色を失い、白く――否、戦いによって汚れ、歪な形に傷付き、柔らかな曲線を失った見窄らしいものになっていた。
 金紅石の針に力を封じられ明らかに精気の弱まったプレアグレイスへ、由紀が畳み掛ける。
「絶ち切れ」
 魔力で高まった敏捷性は、彼を疾風と変え。最早目で追うことも応じる事も出来まい。
 確りと握る破魔のまじないが施されたダガーを、すれ違い様、その頚元へと滑らせた。
「おんなじ真似事したって、その大きな剣じゃ全く同じスピードは出ないでしょ」
 ひゅ、と走る朱の珠を。細められた青が認めた。
「……試してみましょうか?」
 傷を押さえることもせず、剣を翻す。むしろ、今や彼女の反撃はそれしか残されていない――細かく砕けた鏡面で写し取った技を、彼女が披露しようかという瞬間。
 なあ、ユルグがその背に囁いた。
「踊れなかった、首もない、酷いお仕舞だ。主役も居ないのに見つけた首はどうすんの」
 否、答えなど不要。
 その意思を示すように彼は一気に加速する。
 低い姿勢で、頭から飛び込むような跳躍だった。距離を詰めながら抜き払われた斬撃は視認できぬ。
「――王手、」
 ただ結果として、彼女の横をすり抜け、大きく広げた腕の先――本体が赤く染まっていた。
 腰から背を斜めに走った剣閃。
 翼がふたつ、床に落ちた。
「報いにその首でも、落としてみるかい」
 軽口めいたユルグの問いに、返答は黒い刃。真っ白になった顔は真剣と引き締まり、笑みも余裕も失った。
 それでもなるほど、オブリビオンであれば――か弱い少女に似て、最後まで戦う気骨があるらしい。
 尤も、抗おうが諦めようが――プレアグレイスの命の灯火は、最早僅かであった。
 開戦よりずっと命を削り、毒や呪詛、或いは破魔の力。ありとあらゆる毒素を身に溜め込み、打ち合ってきたのだ。
 此処まで奮ったことこそ、その強大さの証明であり――しかし、それもこれまで。
 戦いを止めたところで、もう彼女の運命は変わるまい。
 だがゆっくりと息絶える瞬間まで、待ってやる理由は『彼』にはなかった。
「そら、貴様の言う救済とやらを呉れてやる」
 首を――誓いを載せた黒剣がなぞる。無骨な刃を力任せに引けば、細首など容易に断てる――猟兵達の与えた楔と共に。
 ジャハルの一刀は敢え無く少女の首を落としたのであった。

 残された猟兵達はこの広い空間で、暫し黙した――プレアグレイスの肉体は塵と消えて、骸の海に戻っていった。
 残されたのは、ただただ集められた何者かの頭蓋骨。
「せめて骨だけでも村に戻せば弔いようもあるだろうか」
「それを望むものがいる……無碍にはできん」
 ジャハルが問えば、アルバは頷く。
「皆を元の場所には戻せないだろうけどねえ」
 あっさりと由紀が言う。ここに集められたものたちは、誰がどれともつかぬ。喩えどれほど愛した相手でも、こんなに混ざってしまえば見抜けまい。
 死者自身に訊くという手もあるにもあるが――。
 そんな現実をまざまざと見せつけられ、
「……結局、無い物ねだりだったわけか」
 深い溜息と共に、ユルグは本体を鞘に納めたのだった。

 弔いのために動き出した猟兵たちの傍ら。弟子は師に問う。
「なあ、師父よ。戻れぬ程に壊れていたなら、確かに救いでもあったのだろうか」
 あの黒天使のもたらしたそれを救いなどとは思わない。
 けれど、結果だけは――そうなったのであろうか、と。
「救いか……私にはあの娘の真意は測りかねる」
 アルバが俯けば、輝く髪がその表情を半ば隠した。
「分るのは――その願いもオブリビオンに捻じ曲げられた事だけだ」

 愛しい者を、求め、狂い。
 悪夢の中、虚しき舞台を哀れに踊ったひとりの娘。
 ――その願いは何一つ叶わなかったが。
 しかしその願いの一端を知った猟兵達は――望むか望むまいか、死者は語らぬが――街の片隅にひとつの墓標で応える。
 ――貴きも貧しきも、聖者も罪人も、等しく同じ墓地に眠らせた。
 果たしてこの街が、失ったもの取り戻せるのかどうかは、成し遂げた猟兵達にも解らぬが。
 少なくとも墓場を荒らす怪異は二度と訪れないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月28日
宿敵 『救済の代行者・プレアグレイス』 を撃破!


挿絵イラスト