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夜歩く者は退屈を殺す

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ダークセイヴァーの一角に、その居城はあった。その名も簡潔に、ナイトウォーカー城――夜を歩く者の城であった。
 高い城壁、閉ざされた門、そして真っ赤な水によって染まった堀。かつて、人の領主が支配していた頃は白亜の名城と呼ばれたそこは、もはや以前の名を知る者はいない。あらゆる色が黒く染め上げられ、吸血鬼にふさわしい城へと変えられていた。

「……退屈だな」

 その玉座で気怠げに呟いたのは、この城の主であり吸血鬼アルゴ・ナイトウォーカーだ。以前の家名は憶えていない、だから城につけたものと同じ姓を名乗る、というものぐさ振りだった。
 しかし、アルゴは吸血鬼だ。一度やる気を出せば、近隣の村々に、草一つ残さない。

 例えば五年前。村々の代表者にくじ引きをさせ、当たってしまった一つの村を他の村の者達に虐殺させている。

 例えば八年前。村々の子供達を集め、己が造った暗闇の獣が徘徊する森へ閉じ込めた。無論、生き残った子供はいない。

 例えば十五年前。村々から一人ずつ、若い女を生贄に差し出させた。楽しんで血を吸い終われば、女達の村に遺体を返してやった――ただし、手作りの家具に変えてだ。

 とにかくこのアルゴという吸血鬼は、動く時と動かない時のメリハリがひどいタイプなのだ。人生の大半を無気力で過ごしながら、思い出したように動きがせば昼夜一睡もせずに動き回る――そして、動けば戯れで人が死ぬのだ。
 だから、近隣の村々の人々はこの男を刺激しない。ただ、従うだけだ。従っていれば、この男がやる気さえ出さなければ、命だけは保証されるからだ。
 そんなアルゴが、退屈だと口にした。彼を知る者ならば、それがいかに危険な徴候かわかっただろう。
「退屈しのぎをするとしようか」
 アルゴが、だらしなく座っていた玉座から立ち上がる。すると、どうだろう。目に力が宿り、猫背であった背も伸び、全身も一回り大きくなったような、筋肉の張りが生まれた。
「確か『獣』が数十体残っていたな。村々を襲わせ、数を競わせるか。一番食らった獣には、褒美をやってもいいかもしれんな」
 カツンカツンカツン、と力強い足取りでアルゴは歩き出し――そして、獰猛な笑みを浮かべた。

「あるいは、俺が一人一人皆殺すのもいいか。退屈しのぎになれば、それでいい」


「吸血鬼らしい、と言ってしまえなそうなのかもしれんがの」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、眉根を寄せて吐き捨てた。嫌悪感を隠しもせず、ガングランは続ける。
「ダークセイヴァー世界にある吸血鬼の城、ナイトウォーカー城。アルゴとやらは、そこの城主じゃ」
 ほとんど置物のように動かない男が、数年に一度精力的に動く事がある。どうやら、その時期が近づいているらしい。
「そうなる前に、乗り込んで討伐するまでよ。ただ、このナイトウォーカー城というのはなかなかに強固な城でな」
 かつて人間の貴族が住んでいた城に、アルゴが住み着いたのだ。城壁や堀、閉じたままの城門。そして、空からの侵入者にはスケルトンの弓兵が攻撃してくるという状況だ。
「ものぐさな吸血鬼らしいから、かつての城の構造のままらしいが、そのあたりは適切に情報を調べれば何かわかるかもしれんな。とにかく、吸血鬼の横暴を許す訳にはいかん。確実に討ち滅ぼすのじゃ」


波多野志郎
人の心がないから、鬼と言うのだよ。どうも、波多野志郎にございます。
今回はダークセイヴァー世界で、吸血鬼が住む城へと挑んでいただきます。

まずは、強固な城の中へどう侵入するか? 考えていただきます。


新たなる惨劇が生まれるか否かの瀬戸際です。振るってご参加くださいませ。
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第1章 冒険 『不夜城に攻め入れ!』

POW   :    力づくで侵入する。

SPD   :    隠密に侵入する。

WIZ   :    侵入の経路を探す。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイリーン・ミュレット
ひとを束ねる者が雑な統治をすること、やはり気持ちの良いものではないわね。
ここはこの超カリスマ大怪盗であるあたし、アイリーンの出番かしら!
●侵入【WIZ】
貴族が住んでいたものを、というのならお家騒動から領主同士の争いなどに供えた脱出用の経路があるはずよ。
少し離れた場所に拓けた場所でもあれば地下通路の隠し扉はあるかもね。
井戸や水路に人が通るすき間があるケースもあるわ。この辺は怪盗としての勘と、昔の実家暮らしの経験ね。

見張りにはなるべく姿を見せないほうが良いわね。だって『居ないはずの人物がいる』。その方がイカすじゃない?
音は気をつけましょう。
ふふん、たまにはあたしだってシリアスになれるのよ。どやぁ


シュデラ・テノーフォン
城を攻めたり護ったり
昔は良くやったな、懐かしい
始めようか

狙うは対空用のスケルトン
先ず隠れながら奴らに銃撃
当たらずとも音で警戒し始める筈
よし、おいでハーキマー
追跡…と言っても、逃げてる奴じゃないけれど
発砲元探して動き回るだろう骨追いかけ飛びついてくれるかい
勿論向かう間は見える範囲城壁内見渡して
手薄な箇所、侵入経路を確認しとこう

骨だって不可視の有翼狼が突然体当たりしてきたら、更に混乱するだろうから
その間に俺は飛んで上空から侵入したいな
バレちゃったらCenerentolaに氷の精霊弾をセット
一体凍らせてその後ろに回り込む
敵を盾にしながら残りも凍らせていこうか

後はハーキマー先行で中を確認しながら進もう


アイ・エイド
【WIZ】
城の内部構造についての情報を集めるぜ!
村へ行き
失せ物探しコミュ力を使いつつ
人間時代のナイトウォーカー家に仕えていた家系の奴がいねェか虱潰しに聞いてく!

聞く理由はアルゴが内部構造の地図を
無くしたから探してるんだ!
気分屋だから早く渡さねェと村全てを
また破壊するかもしれねェぞ?

後はスケルトンの配置を知りてェとこかねェ?
現場へ行き
メカニックである俺様がこの時代でも使えるように作った小型電子地図を他の猟兵に配布!
見つからねェように外からUDC独特の狂気に反応する超常発見機で敵反応を探してさっきの地図に入力!
これは他の奴が持ってるのと連動してっから、
他の奴にも敵の位置が把握することが出来るぜェ!


ロイド・テスタメント
【SPD】
『戦闘知識』と『第六感』で敵の配置、気配で探る事にしましょう。
もちろん『目立たない』様に。
(簡単な事ではないですが、最悪咎力封じで他の皆さんの援護をしましょう)
侵入しようとしても、した後も安心は出来ませんでしょうね。
『罠使い』の知識として、見えない糸を引いてたり、侵入者が分かるトラップなんかありそうですね。
(なんか、残しておくのもイヤなので、使えない状態にしましょう)
嫌がらせです、ええ。
それに、他にも侵入する方もいますでしょうから、その為の保険でもあります。
見付かっても、敵を盾にして何もないことを言わせます。
無理ならばさっさと殺すだけです、使えない奴は捨てるだけだ。
そうだろう?


リーヴァルディ・カーライル
…ん。私も同じ気持ち…。
これ以上、吸血鬼に何一つ奪わせはしない。
…奴には、今までの悪逆の代償を支払ってもらう。

【常夜の鍵】を刻んだ小石を複数用意
他の猟兵に使い方を教えた後、小石を渡しておく

…私は侵入口を作ってくるから、少し待っていて。

防具を改造し、自身の存在感を消す呪詛を付与
小石のように気配を殺した後【吸血鬼伝承】を発動
第六感と暗視を頼りに弓兵達の視線を見切り、
気付かれないよう霧に変化して城の内部に潜入した後、
【常夜の鍵】の魔法陣を目立たない場所に描いて他の猟兵を呼びだす
他に潜入する方法があれば相談した上で決めよう

…そんなに退屈なら待っていて。
すぐに時間を持て余す事が無い体にしてあげるから。


ティナ・クリムゾン
えっと、弓兵が居るなら、中にも色々居る、のでしょうか……?
なら、偵察から、初めましょう

まず、見つからずに近づける所まで接近
ナイフで自分の腕を傷つけて、『血の使い魔』を発動
私の血で作った小さめの蝙蝠たちを偵察に
一斉に飛ぶと目立つので、少数ずつ、ゆっくりと
『暗視』『視力』『目立たない』に加えて、エコロケーション能力も再現
見張りの位置を把握し、さらに城へ接近
城の内部情報を得るため、慎重に蝙蝠を送り込む
途中、ちょっと休憩して、特性血液パックで血を補給したりも

過去の資料などで情報を集めた人が居れば、情報共有して、指示があれば、それに従って蝙蝠を動かすことも出来ます
音の反響で、色々と判別可能ですし


鹿忍・由紀
WIZ
技能「情報収集」「世界知識」を使って近隣の村で建築に関わった家系がないか調べよう。
見取り図が残っていれば攻め方を工夫することが出来るよね。
城の構造を変えてないのは自信もあるってことなのかな。
見取り図が残ってそうな家に見当をつけたら…城に乗り込みたいからって言っても刺激するなって止められそうだから盗んじゃおうか。
様子を窺って家の人が出ていった間に。これでもシーフやってるからね。
「第六感」「盗み」「逃げ足」あたりが役に立ちそう。
ただあんまり盗みとかしたくないからもし普通に交渉しようとしてる猟兵がいたらそれにあやかって見せてもらいたいな。
情報収集で得た情報は提供するから協力してもらえないかな。


ジェイ・バグショット
ナイトウォーカー城、ね。
夜を歩く者の城ってんなら、俺も住む権利はありそうだな。
(仕事前の一服を終え、さてどうやって侵入したものか)

正面から力ずくなんて俺のやり方じゃない。
敵との遭遇は出来るだけ避けたいんで侵入経路を探しつつ隠密に行動する。
なぜかってそりゃあ、敵との戦闘なんて危険を選ぶほど、俺は馬鹿じゃねぇからな。(持病持ち故戦闘を避けたがる性質)

城の城壁で侵入できそうな低いところ、堀の水路で場内に通じている場所がないかを探す。
城の構造は手を加えていないらしいな、年月で脆くなってるところがあればそこをちょいと崩して入り口にしてみるか。

持病のせいで体調はいつも通り悪い。
早く帰って寝たいんだよ俺は。


ラッセル・ベイ
吸血鬼は城の王座でふんぞり返る……うむ、我ながら実に的を射た言葉だ
そして最期は人間に滅ぼされるというのもお決まりだな
さて、行くとしようか

●行動(WIZ)
ふうむ、随分と強固な城だな
……良し、城門を飛び越えるか。これが一番手っ取り早い筈だ

城門の側に近付き【グラウンドトーテム】を自身の足元に発生させる
せり上がるトーテムに乗って、その勢いで城門を飛び越えて侵入だ
……強引に城門を抉じ開けても良かったのだが、疲れそうでな

トーテムにより私の武具が時間経過で強化される
吸血鬼アルゴの所に付く頃には、最大限にまで達するだろう

大地の加護よ、私に知恵を。武具に力を与え給え


アッシュ・ランベルト
【WIZ】

【心境】
…吸血鬼は、ほんと。趣味悪い。
……とりえず。入れるところ、探さないと。

……【目立たない】、で、城の周辺を探索して。
【情報収集】で、侵入口とか無いか、探す。
……お城、だったなら。王様とか、逃げる脱出路みたいなの。ない、かな。
【第六感】で、怪しいのとか、見つけられないかな。
井戸とか、岩とか。そういうのと、通路みたいなの。繋がってないかな。
侵入口を見つけても、見つけなくても、他の猟兵と情報共有をしに一度戻る。

■口数少なめ。アドリブ絡み歓迎。


ミカエラ・チャーチ
ずっと無精してればいいのに
物騒すぎる気紛れなんて迷惑通り越して害悪でしかないわ
おいたは懲らしめてあげないとね!

【SPD】
城門以外の侵入口を探すわ
痕跡を追うのは得意なの
頻繁に使われてはいないはずなのに足跡が残ってる外れ道とか
城壁や堀囲いに触れた跡や凝った汚れや動作痕があるとか
些細なひっかかりも見逃さないように気をつけつつ、他の猟兵とも協力して探索するわ

城内へ侵入する際、もし狭い経路だった場合は赤毛の狼に変身する
見張りの敵や伏兵がいたら人狼咆哮で排除
こんな怪しげな場所だもの、狼の咆哮くらい珍しくはないだろうけど
猟兵仲間なら良し悪しはともかく何かあったって気付いてくれるだろうしね

*アドリブ、連携歓迎



●かつてのナイトウォーカー城
 ナイトウォーカー城、まずはその城がどんな場所であるか知る必要がある――鹿忍・由紀(余計者・f05760)は気怠げな瞳で周囲を見回した。
 そこは、アルゴ・ナイトウォーカーの領地にある村の一つだ。人々の顔に生気はなく、それこそ亡者の群れのような有様だった。
(「心が折られた、そういう表情だね」)
 由紀は、密かにため息をこぼす。この領地の『歴史』は、事前に調べた。その内容を思えば、この状況も納得できる。
(「いつ、あの吸血鬼が気紛れを起こすか……そう思えば、心も安まらないか」)
 人は苦痛に慣れる事は出来る。だが、それが散発的に起きた場合、次はいつそれが起こるのかと疑心暗鬼となり、今度は何も起こっていない間こそが苦痛になるのだ。
 ――次は、どんな悲惨な事が起こるのだろう? その自身の内側から膨らむ想像こそが、彼らを追い込んでいるのである。
「……さてと」
 由紀は、そのまま小さな酒場へと向かっていた。その前にいたのは、アイ・エイド(腐れ人狼・f10621)だった。
「あー……」
「アンタも猟兵だろ?」
 アイの言葉に、由紀はうなずく。アイの説明から、どうやら同じ思考の結果ここに至った事を知る。
「あの城の中が知りたくてね。知ってそうなヤツをようやく見つけたんだ。それが――」
「この酒場の主か」
 それは由紀の調べた情報を一致する。だから、いっその事忍び込んで盗もうと思ったのだが……。
「任せろ、オレに名案があるぜ」
 アイは寂れた酒場に、迷わず踏み込む。酒場の主がアイと由紀へ、暗い瞳を向けた。
「……よそ者か。よそ者に飲ませる酒は――」
 最後まで酒場の主が言い切るより早く、アイが両手を広げて言った。

「アルゴサマが内部構造の見取り図を無くしたから探してるんだ! 気分屋だから早く渡さねェと村全てをまた破壊するかもしれねェぞ?」

 その一言は、効果抜群だった。アイもそのように周囲の村々を巡って、ここにならあると掴んだのだ。
「ま、待ってくれ! すぐに! すぐに出すから!」
「おう、頼むぜ」
 慌てて建物の中へ駆け込んだ酒場の主に、アイは由紀へ笑みを向けた。それに由紀は、盗みを働かなくてすんだと肩をすくめるだけだった。

●現在のナイトウォーカー城
(「えっと、弓兵が居るなら、中にも色々居る、のでしょうか……? なら、偵察から、始めましょう」)
 ティナ・クリムゾン(流血の魔弾・f14110)は、黒塗りの城――ナイトウォーカー城へと密かに忍び寄っていた。堀の端、澱んだ赤い水に満たされたそこは錆びた鉄のような匂いに満ちていた……ティナには、慣れしたんだ血の匂いに似て非なるものだった。
 当然だ、その赤は飲むには適さない腐った血……必要以上に搾り取った、飽食の証なのだから。
「ん……お願い」
 ティナがナイフで自分の腕を傷つけると、ツゥ……と一筋の血が流れる。その血が水滴となって落ちる、そう思った刹那だ。重力に逆らって血の滴が舞い上がると、それはやがて無数の小さな蝙蝠となってナイトウォーカー城へと飛び立っていった。
 血の使い魔(ブラッド・ファミリア)、ティナと五感共有した無数の血の蝙蝠だ。血の蝙蝠達は、キィキィと超音波によるエコロケーションによって情報をティナへと送ってくる。
「……ん、これは……」
 血の蝙蝠達から情報を受け取って、ティナは呟いた。内部の構造は、アイと由紀が入手した見取り図から変わっていない。しかし、中のスケルトンの配置は偏執的と呼べるほどに厳重なものだ。上から普通に侵入しようものなら、あっと言う間に矢の雨あられに歓迎される事になる。
 かつては白亜の城であった城をわざわざ黒くしたのは、汚れが目立たなくなるからというアルゴのものぐさなのだが余計に手間がかかっているのかよくわからない理由からだったのだが……これが、中々に面倒だ。
 昼間なら警戒しているスケルトンも見えるが、夜になるとまったく見えない。何せ、スケルトンは明かりを必要としない、人間であれば警戒のために明かりを点してわかりやすいのだが、そういう目印もなくなるのだ。
 どうやら、この城は思った以上に厄介らしい。
「……ちゃんと、調べませんと」
 自身の責任は重大だと確信したティナは、移動する。特性血液パックで血を補給して、休憩を挟みながら調べられる範囲で調べていく――この情報が、仲間の猟兵達と共有されていくのだった。


(「城を攻めたり護ったり――昔は良くやったな、懐かしい)」
 シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)は、威圧感のある黒い城を見てよく観察した。ティナから得た情報を元に、シュデラは一つ一つスケルトンの動きを読み取っていく。死角はない、それぞれが互いを補完し合う、そういう配置だ。
(「いい城だ。守りやすく、攻めにくい」)
 シュデラはナイトウォーカー城を観察して、そう判断する。まず、城壁は高く厚く堀は深く広かった。唯一の入り口は、大きな跳ね橋がかかった正門のみで本来ならあっただろう裏門の跳ね橋は壊されていた――裏門など必要ない、撤退の意思のない現われだ。
 シュデラは、純白に灰銀被る彩りの硝子細工を飾ったマスケット銃を構える。小高い丘にあるため、上から狙う事は難しい。だからこそ、シュデラは狭間――攻城戦時、城壁上部にある射手が遮蔽として利用する凹状の隙間だ――そこから見える、歩き続けるスケルトンへと狙いをつけた。
(「始めようか」)
 タン! とシュデラのAschenputtelによる銃声が一発、スケルトンの頭蓋骨が弾け飛んだ。まさに狩人、正確無比な狙撃だ。その銃声に、他のスケルトン達も動き出す――それを見て、シュデラは傍らに呼びかけた。
「よし、おいでハーキマー」
 Call Harkimer(コールハーキマー)――シュデラと許可した者のみ見える透明有翼狼ハーキマーが、召喚される。
「発砲元探して動き回るだろうスケルトンを追いかけて、飛びついてくれるかい?」
 シュデラは翼を広げ、そうハーキマーへ語りかける。ハーキマーは飛び立つことによって、命令に応える。不可視のハーキマーがスケルトン達へ襲いかかる――この混乱が、状況を動かした。

 シュデラの起こした騒動に、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)は城壁を見上げた。
「吸血鬼は城の王座でふんぞり返る……うむ、我ながら実に的を射た言葉だ。そして最期は人間に滅ぼされるというのもお決まりだな」
 神話伝承、あるいは英雄譚のお約束だ。正義の前に、悪は討たれる。人は化け物を恐れるが、決して滅ぼされず逆に化け物こそが滅ぼされるのだ――ラッセルにとって、そんな物語は有り触れたものだった。
「ふうむ、随分と強固な城だな……良し、城門を飛び越えるか。これが一番手っ取り早い筈だ」
 強引に城門を抉じ開けても良かったのだが、疲れそうだ、とラッセルはバシャリと堀の赤い水の中を走っていく。そこから城壁の高さは、もはや数十メートルの高さになる。壁というより、崖と表現するのが正しかった。
 ハーキマーが暴れまわり、スケルトンが混乱している隙に、ラッセルは立ち止まる。騒動から離れた場所、ここなら今は手薄なはずだ、と。

「開戦だ。呼び起こせ、グラウンド」

 ラッセルが地盾グラウンドを構えた瞬間、ルーンが淡い輝きを放つ。その瞬間、視界がぶれた。ズ――! と足元からせり出した大地属性のトーテムポールがラッセルを押し上げたのだ。
 またたく間にトーテムポールが、ラッセルを城壁の上へとせり上げていく。ラッセルが即座に城壁の上に着地。残っていたスケルトンがそれに気づいて弓を構えるが――遅い。「フッ――!」
 ラッセルが、炎剣フラムを薙ぎ払う。ゴォ! と背骨を立たれスケルトンが燃え上がるのを振り返りもせず、ラッセルは城壁の内部へと駆け込んでいった。

「ナイトウォーカー城、ね。夜を歩く者の城ってんなら、俺も住む権利はありそうだな」
 仕事前の一服を終えて、ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)はタバコを指で弾いた。ジュ、と赤い水へ落ちたタバコの火が、簡単にかき消されていく。
「ずっと無精してればいいのに、物騒すぎる気紛れなんて迷惑通り越して害悪でしかないわ」
「まったくだなっと」
 言い捨てるミカエラ・チャーチ(幻灯窟の獣・f14223)に同意しながら、ジェイは周囲に視線を走らせる。堀がある、という事は水路があるはずだ――そのジェイの予想は正しい。事前に仲間が手に入れた見取り図にも、しっかりと水路の状況は残されていた。
「ここだな」
 ジェイは石造りの入り口――排水溝的には出口だが――を覗き込む。人が通れるだけの広さがあるのは、メンテナンスの必要があるからだ。しかし、ものぐさの吸血鬼が城主になってからこっち、整備などされていない。ようするに、荒れ放題だった。
 パシャン、と進むことしばし。鉄格子へと行き当たった。
「鍵は……かかってるか。ちょっと力を込めれば外せるか――」
「来たよ!」
 ジェイの言葉を遮るように、ミカエラが警告を発する。当然、そこがどんな場所だろうと外部と繋がっているなら警備対象だ――スケルトンが一体、そこにいた。
「それは勘弁だ」
 ジェイが迷わず後退、入れ替わりでミカエラが前に出た。

「オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオゥ!!」

 ミカエラの人狼咆哮が、スケルトンを吹き飛ばす! だが、スケルトンは吹き飛ばされながら増援を呼ぼうと、這って下がろうとした。鉄格子を外している時間で、援軍がやって来ただろう――普通ならば。
 しかし、ミカエラは赤毛の狼に変身すると鉄格子の隙間をすり抜けた。そして、助けを求めようとしたスケルトンを噛み砕いた。
「早く帰って寝たいんだよ、俺は」
 持病のせいで体が重いジェイはそうぼやくと、何とか鉄格子を外して城への侵入を果たした。

●隠された道
「ひとを束ねる者が雑な統治をすること、やはり気持ちの良いものではないわね。ここはこの超カリスマ大怪盗であるあたし、アイリーンの出番かしら!」
 アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)が、ふふんと鼻で笑ってドヤ顔を見せる。
「……吸血鬼は、ほんと。趣味悪い」
「……ん。私も同じ気持ち……。これ以上、吸血鬼に何一つ奪わせはしない……奴には、今までの悪逆の代償を支払ってもらう」
 アッシュ・ランベルト(虚・f00578)の呟きに、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)も静かに決意の込めて言う。
「……とりえず。入れるところ、探さないと」
「ええ、それが」
 アッシュの言葉に、ロイド・テスタメント(全てを無に帰す暗殺者・f01586)は同意する。それに対して、我が意を得たりと笑みを見せたのはアイリーンだ。
「貴族が住んでいたものを、というのならお家騒動から領主同士の争いなどに供えた脱出用の経路があるはずよ」
「……ん。……お城、だったなら。王様とか、逃げる脱出路みたいなの。ない、かな」
 アイリーンの自信満々な物言いと、アッシュの頼りなさげな疑問にロイドはひとつうなずく。
「なるほど、だとすればどこにあると思いますか?」
「さすがに見取り図には載ってなかった」
 リーヴァルディは、仲間が入手してくれた見取り図の写しに視線を落とす。当然と言えば、当然だ。城主にとって、緊急時の逃げ道は最後の生命線。そこを平民の手に残す見取り図に残すはずがない。
「少し離れた場所に拓けた場所でもあれば地下通路の隠し扉はあるかもね。井戸や水路に人が通るすき間があるケースもあるわ」
 アイリーンの指摘は、かなり的確だ。怪盗としての勘と、昔の実家暮らしの経験からなる知識が元になっているのだが――ロイドは、元暗殺一家の教えからその指摘は正しいと判断した。
「そうなると、見取り図からすれば――」
「……ここ?」
 アッシュが見取り図を指さしたのは、一つの井戸だ。裏門側、ひっそりと隠された場所だ。
「そうなると、こちらが怪しい」
 この城には堀がある、ならば隠し通路の出口もまた地下にあるはずだ――リーヴァルディは、実際の土地へ視線を向ける。
「ええ、おそらくは」
 ロイドもうなずき、四人は周囲を探索する。探すべきは地下、そこにいたったからこそ空井戸を発見できた。上り下り用の背後のついた空井戸の底には横道があり――それは、ナイトウォーカー城の空井戸へと繋がっていた。
「見張りにはなるべく姿を見せないほうが良いわよね。だって『居ないはずの人物がいる』。その方がイカすじゃない?」
「……そうですね」
「ふふん、たまにはあたしだってシリアスになれるのよ」
 どやぁ、と胸を張るアイリーンに、ロイドは密かに古井戸に仕掛けられていた鳴り子のトラップを解除していた。なるほど、隠し通路を見つけた、と油断したらこのトラップに引っかかる訳だ、とロイドは今の城主の捻くれ具合を理解した。
「……そんなに退屈なら待っていて。すぐに時間を持て余す事が無い体にしてあげるから」
 リーヴァルディは城を見上げ、常夜の鍵(ブラッドゲート)を発動させる。既に、他の仲間には常夜の鍵(ブラッドゲート)を刻んだ小石を渡してある――これで、常夜の世界の古城を通ってここへと仲間がいつでも訪れるようになった。

 ――侵入は終わった。ここからは、ナイトウォーカー城を攻略するのみ。アルゴ・ナイトウォーカーと猟兵達の、戦いがここに始まった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●猟犬のごとく
 城壁を守っていたのがスケルトンならば、城内を守っているのはアルゴによって作られた暗闇の獣の群れだ。
 庭はもちろん城内にさえ、暗闇の獣は徘徊している。彼らは、常に飢えていた。理由は簡単だ、主が思い出した時にしか『餌』を与えないからである。だが、飢えた獣こそが恐ろしい――彼らは何者であれ、侵入者を許さない。飢えを満たすため、全身全霊で襲いかかってくるのだ。

 ――そんな城内へ、猟兵達は侵入に成功した。城壁を越えた者、地下の水路から侵入した者、そして隠し通路からやって来た者。それぞれ侵入経路は違えど、ゴールは同じだ。
 すなわち、オルゴ・ナイトウォーカーがいる玉座の間。そこへいかに至るか、それが新たな問題だった。
ジェイ・バグショット
接近戦は拷問具による死角からの斬撃
ダメージの多い敵に対して【傷口を抉る】
SPDによる静かで素早い戦闘が得意

自身の鮮血を少し使用し敵も気づかないほど静かに【刻印】を発動
ブラッド・ガイストも同時に発動
生み出された『黒い液体の生物』はスプーン一杯ほどの大きさで多数に分離し敵を強襲
触れた箇所から体内へ吸収されるとそのまま血液を貪り食い敵を殺す

血が通ってる生き物で良かったぜ
良い餌場になりそうだ

凄惨さをどこか楽しむように口の端で笑う

首輪のような輪に棘がぐるっと刺さっている拷問具を複数使用。自動で敵を追尾し、捕らえると同時に棘が突き刺さりダメージを与える。

番犬と言えどちゃんと首輪しとかないと駄目じゃねぇか。


ラッセル・ベイ
ほう、これはまた大きな獣だ
犬の様に見えるが、山羊の様にも見える。中々興味深い
……おっと、こんな事を考えてる暇はないな
行こうか、「ポイゼ」

●戦闘(WIZ)
相手は暗闇の獣。であれば「聖杖セイント」だ、まさに適任よな
セイントに神聖ポーションを付与
トーテムの力も加わって、相当な属性強化が施される

では行くぞ、【コンビネーションⅠ】
私は前衛、グラウンドとセイントを構えて攻撃準備
ポイゼは後衛、毒針で獣を弱らせる

奴等は姿を眩ます術を使う様だな
だがポイゼの毒針は敵を追尾する。隠れても無駄だ
透明を解除しなければ、猛毒と代償で死ぬぞ
……尤も、解除すれば私の魔法を受けて貰うが

そこか。神聖なる波動よ、我が敵を分解せよ


アイリーン・ミュレット
この匂い…獣?それに、床を爪が引っ掻くような音…何かいるわね。
数が多いし、ちょっとマジにならないときついかしら。
●戦闘
見える敵の動きと音が一致しなければ【バットストーム】で周辺をまとめて攻撃。
あら、変だと思って攻撃してみればあなたも姿を消せるのね。

他のユーベルコードも使えるなら、味方前衛の後方から【炎の魔弾改】による追撃も行うわ。
数や不意打ちで近づかれてしまったら【自称カリスマの意地】で防御力を重視して耐えましょう。
この程度であたしを倒そうだなんて、…一年くらい早いっての!(押し負けそうになりつつ)

なるべく味方の特性も活かせるよう立ち回りたいわ、だってそれもカリスマの条件だもの!
アドリブ歓迎


リーヴァルディ・カーライル
…ん。白亜の名城が、今や獣の巣窟とは…。
これならまだ骸骨兵が徘徊している方がマシね。
骨ならば、これ以上城を汚す事は無いもの…。

事前に防具を改造して第六感を強化しておき、
攻撃の気配や殺意の存在感を可視化する呪詛を付与。

…餓えた獣ね。普段より殺気がハッキリ視える。

私は暗視を頼りに城内を無造作に進み、獣を誘惑する。
敵の攻撃を見切り最小限の動きで回避した後、
生命力を吸収する大鎌を怪力任せになぎ払い傷口を抉る2回攻撃を行う。

…狩られるのがどちらか、教えてあげる。

回避が難しいUCは【限定解放・血の再誕】で無効化。
可能な限り吸血鬼化はせず力を溜めておき、
本命相手に叩き込めないか試みる(無理そうなら獣に放つ)


シュデラ・テノーフォン
成る程、何処から入っても獲物と出会うんだ
なら城内通って行こう
壁や柱とか障害物に隠れて狙撃できるからね
夜歩く危険は君達だけじゃないよ、オブリビオン

相手も透明になれるんだ?
でも餓え過ぎで息も歩き方も荒そうだし
音ダダ漏れならすぐ解りそう
野生の勘も合わせて、気配を探り
距離を保って先ずは1発狙撃で先制攻撃
後は移動しながら銃を複製
障害物に手間取る獲物を自在に動くGlasregenの銃撃で翻弄させようか

追いつかれた時の爪と面倒な咆哮…衝撃波かな
それは指輪の盾で防ごう
仲間がいるなら俺の後ろどうぞ、護るよ

倒しながら玉座へ
侵入前にハーキマーで見渡した光景と、
城の構造は何処も似たようなモンなら昔の経験も頼りに進もう


アッシュ・ランベルト
目的
可能な限りの殲滅と、王座への道を開く。

自分を餌に獲物を釣ることはあるけど。
俺の言う「餌」は、キミ達の食事ってわけじゃない。
キミ達の飢えは癒やしてあげない。
「……邪魔。」

【目立たない】で気配を消して、【見切り】【地形の利用】で立ち回りを。
手頃な相手に片っ端から『咎力封じ』で行動の阻害をし、味方が戦いやすいよう整える。
『見えざる狩猟者』に対して、【聞き耳】で居場所の特定ができれば、
優先して『咎力封じ』で対応しつつ、周囲の猟兵に注意を促す。

【目潰し】……見えなくしても鼻が効くかな?
……でも。【傷口をえぐる】と、ケモノでも痛いんじゃない?

アドリブ絡み歓迎。


ミカエラ・チャーチ
飢えても共喰いしない辺りは褒めてあげてもいいのかしら
でも歯向かうなら倒すだけよ

ブラッド・ガイストを発動して鶴嘴を強化
相変わらず名前の通り貪ってくれるわね
飲んだ分はしっかり働いて頂戴よ
敵の動きを観察して回避や攻撃のタイミングを見定めながら戦うわ
隙があろうとなかろうと鶴嘴を叩き込んで
忌まわしい生命力を吸い上げ奪ってやるの
ますますお腹が空いちゃったかしら
気紛れな主人に仕えて苦しかったでしょ
あの世では飢えも渇きもきっとないから
安心して逝ってらっしゃい!

敵が複数いる場合は人狼咆哮で牽制するわ
あたし含め窮地に陥る猟兵がいないように
出来るだけ連携、協力し合って

*アドリブ、連携歓迎


鹿忍・由紀
ああ、随分沢山用意したもんだね。
これは他の猟兵と手を組んだ方が断然楽になるやつか。ついて行こう。

お前たちも気まぐれな主人を持つと大変だね。
ユーベルコード千里眼射ち【SPD】を使用。
攻撃に見境がないんなら、同士討ちを誘発させてやろう。
基本は後衛で援護射撃しつつ、魔獣達がまとまったタイミングで周りの人達に離れてと一言かけユーベルコードを使う。
技能「暗視」「視力」「スナイパー」で特に殺気立ってる魔獣を狙えばうまいこと敵のSPD攻撃を利用できないかな。
まとめて弱らせることができたら叩きやすくなるよね。
魔獣達が飢えで冷静さを失ってるなら、それを利用させてもらおう。
もう飢えを感じなくなるよ、良かったね。


ティナ・クリムゾン
次は、内部の調査ですね
もう派手に突入していますし、思いっきり腕を傷つけて、『血の使い魔』で大量の血の蝙蝠を生み出して場内の索敵
獣の姿を確認したら、数と来る方向を皆に伝えます

透明化は厄介そうですけど、エコロケーション能力による音の探知がある私は見逃しません
透明化した敵を見つけ次第、蝙蝠が突撃
元が血なので、ぶつかって潰れれば血が残ります
即席ですが居場所を知らせる目印の完成です
複数の蝙蝠をぶつけるので、血の完全な透明化も阻止
どこに居るかさえ分かれば、普通に1体ずつ撃ち抜いていけば大丈夫でしょう
今は、頼れる味方も居ますし

獣の索敵と同時に玉座の間までのルートなども確認
あと戦闘後、血の補給もしておきます


草野・千秋
魔獣が相手か、腕がなりますね
(ベルトのコードを解除)
変身!
断罪戦士ダムナーティオー、いざ参る!

【POW】
仲間が傷つけられそうなら
盾受け、かばうで
鋼の体に守れぬものなどありません!
ヒーローは人を守るものですから
攻撃は2回攻撃と怪力を駆使しつつ
命中率重視
勇気をもってこの戦いに挑む
トドメが刺せそうなら捨て身の一撃で

……ふう、皆さんご無事でしたか

アドリブ絡みなど歓迎



●夜歩く者の城
 ナイトウォーカー城の内部は、殺気渦巻く空間だった。飢えと乾きを満たさんと、獣徘徊する狩猟場――まさに、アルゴという頂点の元に管理された弱肉強食の場だった。
「……ん。白亜の名城が、今や獣の巣窟とは……。これならまだ骸骨兵が徘徊している方がマシね。骨ならば、これ以上城を汚す事は無いもの……」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は小さく呟き、真っ暗な城内を見通す。城内にいる者に明かりが必要ないからだろう、濃い暗闇がそこにはあった。
「……餓えた獣ね。普段より殺気がハッキリ視える」
 不意に、リーヴァルディが振り返る。過去を刻むもの――グリムリーパーの横一線に、暗闇に鮮血が舞った。そこにいたのは、喉を切り裂かれた暗闇の獣だ。
「ガ、アアアアアアアア!!」
 だが、暗闇の獣は止まらない。透明化が解けようと構わず、強引に血塗られた爪を振り下ろそうとした。
 しかし、止まらないのはリーヴァルディも一緒だ。鎌の切っ先が壁を切り裂き火花を散らしながら、もう一回転――今度は暗闇の獣の胴を両断した。
「アアア、ア、ァ……」
 リーヴァルディの横を、ずるりと力なく垂れ下がった爪が通過していく。上半身と下半身で断ち切られた暗闇の獣が、そのまま崩れ落ちた。
「……狩られるのがどちらか、教えてあげる」
 リーヴァルディは、構えを解かない。自身に向けられる殺気――もっと言えば、食欲を第六感が感じるからだ。

 その喉笛に、手足に、腸に、牙を突き立て血を啜り、肉を咀嚼する。肉だけではなく、魂も尊厳もむしゃぶりつくしたい――獣の飢えが、夜歩く者の城の侵入者達へと向けられていた。

●肉に飢え、血に乾き
「飢えても共喰いしない辺りは褒めてあげてもいいのかしら。でも歯向かうなら倒すだけよ」
 ミカエラ・チャーチ(幻灯窟の獣・f14223)は、自身に殺到してくる殺気に小さく笑った。
 ミカエラは、漆黒の戦鶴嘴へと自身の血を注ぐ。ブラッド・ガイストによって自分の血によって殺戮捕食態へと変形したDevourerに、ミカエラは吐き捨てた。
「相変わらず名前の通り貪ってくれるわね。飲んだ分はしっかり働いて頂戴よ」
 頭上から殺到するように、殺気が迫る――見えざる狩猟者によって透明化した暗闇の獣達へ、ミカエラはDevourerを薙ぎ払った。受け止められようと回避しようと構わない、強引なカウンター気味の一撃が、暗闇の獣を穿っていく!
「ギャン!」
 暗闇の獣が、地面を転がる。傷は深いが、暗闇の獣は即座に立ち上がった。痛みよりも耐え難い、飢えと乾きに襲われているからだ。
「ますますお腹が空いちゃったかしら。気紛れな主人に仕えて苦しかったでしょ? ――あの世では飢えも渇きもきっとないから、安心して逝ってらっしゃい!」
 ミカエラの咆哮が、大気を震わせ暗闇の獣達を薙ぎ払っていく。ミカエラの人狼咆哮に吹き飛ばされた暗闇の獣が、不意に獣達が苦しみだした。
「あ、が、が、あ!?」
 暗闇の獣達が悶え苦しみ、その背中で奇っ怪なモノが膨れ上がっていく。黒い液体の生物が、暗闇の獣の血を啜り、大きくなっていったのだ。最初は、それは瞬く間に、スプーン一杯ほどの大きさから二メートルを優に超える巨体を誇っていた暗闇の獣より大きくなって、食い潰していく――!

「血が通ってる生き物で良かったぜ。良い餌場になりそうだ」

 そう凄惨さをどこか楽しむように口の端で笑ったのは、ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)だ。自身の刻印へとブラッド・ガイストを使用、殺戮捕食態へと変化させたのが黒い液体の生物の正体だ。獣を食らい付くして戻ってくる刻印をジェイは受け止める。
「まだまだ来るわよ」
 ミカエラの言葉に、その背中を守るようにジェイが立つ。ジャガガガガガガガガガガ! と大量の内側に棘を持つ鉄輪を召喚――ジェイは吐き捨てた。
「番犬と言えどちゃんと首輪しとかないと駄目じゃねぇか」
 囲むように迫ってくる暗闇の獣達の気配に、ジェイは荊棘の王を投擲。言葉通り首輪のように暗闇の獣達の首にめり込んだ棘付きの鉄輪が、突進を止めた瞬間――。

「――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオゥッ!!」

 ミカエラの人狼咆哮が、獣の群れを薙ぎ払った。

 屋敷の廊下を、アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)が進んでいく。
「この臭い……獣? それに、床を爪が引っ掻くような音……何かいるわね。数が多いし、ちょっとマジにならないときついかしら」
 アイリーンは散歩先で出会った犬にでも向けるように、軽い口調で告げる。獣の気配というのは、想像以上に『臭う』ものだ。その吐息が、その体が、生きている限り気配を完全に殺す事は難しい。これが自然の中なら、また違うだろうが――人工物の中では、なおさらだ。
「いきなさい、可愛い眷属たち!」
 アイリーンのバットストームによる戦闘用コウモリの群れが、瞬く間に廊下を埋め尽くしていく。そのコウモリの群れが、透明化していた暗闇の獣達の形を浮き彫りにした。
「あら、変だと思って攻撃してみればあなたも姿を消せるのね」
 アイリーンのからかいに、獣達が殺到する。コウモリを爪で叩き落とし、牙で食らい――アイリーンを貪ろうと飛びかかる!
「ねらった獲物は逃さない!」
 アイリーンの指先から放たれた炎の弾丸が、暗闇の獣を撃ち抜いた。しかし、燃え上がった獣を押しのけ、次の獣が牙を剥く。上からアイリーンを押しつぶし、床へと押し倒してガチガチ! と牙を鳴らした。

「この程度であたしを倒そうだなんて、……一年くらい早いっての!」

 アイリーンの膝蹴りが、暗闇の獣を宙へと浮かせる――直後、バリン! と窓を割れた。飛び込んできた短矢が、正確に暗闇の獣の首を刺し貫き、壁へと縫い止める。
「お前たちも気まぐれな主人を持つと大変だね」
 屋敷の外、クロスボウを構えたまま鹿忍・由紀(余計者・f05760)が言い捨てた。十秒間の集中、それが生み出した研ぎ澄ませた感覚が視認していた敵への命中率を向上させる――由紀は、千里眼射ちは狙いをつけた対象へと連続で矢を射掛けていった。
 本来なら、姿は見えなかったはずだ。しかし、狙ったのは正確には暗闇の獣ではない。アイリーンのバットストームによって浮き彫りにされた空間を、だ。
 ダンダンダン! と由紀のクロスボウによる狙撃が、赤い花を咲かせていく。その花の数が十輪を越えた辺りで、由紀は呟いた。
「もう飢えを感じなくなるよ、良かったね」
 アイリーンのバットストームがあったからこそだ、由紀は改めて立ち上がったアイリーンを見る。その口の動きを読めば、「味方の特性も活かせるよう立ち回り! これもカリスマの条件ね!」とドヤ顔しているらしかった。
「随分沢山用意したもんだよね。やっぱり、他の猟兵と手を組んだ方が断然楽になるやつだった」
 由紀は、否定しない。改めて動き出したアイリーンについて、由紀も動き始めた。

 ナイトウォーカー城のエントランス。そこで、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)とラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)は一際大きい暗闇の獣と対峙していた。
「魔獣が相手か、腕がなりますね」
「ほう、これはまた大きな獣だ。犬の様に見えるが、山羊の様にも見える。中々興味深い……おっと、こんな事を考えてる暇はないな。行こうか、「ポイゼ」」
 千秋がtonitrus transformatioを腰に装着、ラッセルが傍らの毒精霊「ポイゼ」へと語りかける。
「変身! 断罪戦士ダムナーティオー、いざ参る!」
 変身した千秋が、暗闇の獣へと走り込む。その怪力を駆使する右の回し蹴リが、暗闇の獣の脇腹へとめり込んだ。
「ガ、ア!!」
「させません!」
 暗闇の獣は構わず、爪を振りおろうとする。その迫る鮮血の爪を、千秋はすかさず跳ね上げた右の爪先蹴りで、蹴り飛ばした。
 大きく、暗闇の獣が体勢を崩す。そこへラッセルが駆け込んだ。
「行くぞ、援護してくれポイゼ」
『任せなさいな!』
 後衛から「ポイゼ」が毒針を放ち、暗闇の獣の足を止める。その懐へ潜り込むと、ラッセルは聖杖セイントを叩きつけた。
「が、は!?」
 トーテムの力も加わって強化された神聖属性に、暗闇の獣が吹き飛ばされる! しかし、床を転がる獣の姿が、掻き消えていった。
「奴等は姿を眩ます術を使う様だな――」
「危ない!」
 ラッセルの背後を、千秋が飛び出し庇う。見えない暗闇の獣の一撃が、千秋を壁へと吹き飛ばした。他の個体よりも巨大だからこそ、その一撃は重い――しかし、ラッセルは冷静だ。

「隠れても無駄だ。透明を解除しなければ、猛毒と代償で死ぬぞ」

 いくら姿を消そうと、「ポイゼ」の毒針は追尾する。確かに獣の焦りの気配を感じ取って、ラッセルは言った。
「そこか。神聖なる波動よ、我が敵を分解せよ」
「ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
 ラッセルの神聖魔法が、暗闇の獣を打つ。暗闇の獣が身を焼かれるような苦痛にのたうち回る中、千秋が飛んだ。
「これで、終わりです!」
 ドン! と加速を得た千秋の飛び蹴りが、暗闇の獣を貫いた。ボン! と内側から爆ぜるように、暗闇の獣は消滅した。

 その通路は、まさに狩場となっていた。
「透明になっても、それじゃ意味がないね」
 シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)にとっては、暗闇の獣は的でしかない。透明となって姿を消せても、餓え過ぎで息も歩き方も荒く音もただ漏れだ。飢えにさえ襲われていなければ、もっと困難な相手だったろうに――硝子細工装飾の白い大型拳銃を構え、シュデラは引き金を引いた。
 ドン! と撃ち抜かれ、廊下に鮮血が散る。シュデラは、野生の勘で暗闇の獣の気配を追っていた。床を鳴らす爪の音、わずかに溢れる白い息、それは通常の人間にはわずかな気配だが、シュデラにとっては騒音に等しい。
「来る……向こうかな?」
 爪の音がこちらに向かっている、それが曲がり角の先だと悟り、シュデラはCenerentolaを構えた。

「綺麗な雨を、観せようか」

 ガシャガシャガシャガシャガシャ! と大量の生み出された硝子製の銃が、自在に宙を舞う。曲がり角の向こう、こちらへやって来ようとしていた暗闇の獣達は、シュデラのGlasregen(グラスレイン)によって穿たれていった。
「悪趣味なものだね」
 シュデラには、何となくだが暗闇の獣達の主であるアルゴの意図がわかる。飢えと乾きに苛まれた暗闇の獣達の意味は、ただ襲われる獲物の恐怖を煽るためのものではないか、と。
「姿が見えない相手に気づかない間に殺されるよりも、気配があっても見えない相手に襲われる方が、怖さを想像できる……そんなところかな?」
 だから、もう一回シュデラは繰り返す。悪趣味な事だね、と。シュデラは、周囲の暗闇の獣を狩り尽くしたと悟ると、次の狩場へと歩き出した。

●夜歩く者の間へと――
「……邪魔」
 アッシュ・ランベルト(虚・f00578)は、自身へと向かってくる見えない相手にそう呟いた。人狼の聴覚が、暗闇の獣の気配を捉え――ガシャン! と空中で拘束具が火花を散らす。
「自分を餌に獲物を釣ることはあるけど。俺の言う「餌」は、キミ達の食事ってわけじゃない。キミ達の飢えは癒やしてあげない」
 近づき、獣の気配へアッシュは囁く。自分へと向けられる食欲とあがきを感じながら、アッシュは言った。
「……見えなくしても鼻が効くかな?」
「ガ、ガアア、アアア――!!」
 湿った音と共に、ツ……と二筋の赤が流れ、床を濡らした。ガシガシ、と拘束具を鳴らしてあがく見えない相手に、アッシュは表情一つ動かさず告げる。
「……でも。【傷口をえぐる】と、ケモノでも痛いんじゃない?」
「ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 肉の潰れる音と骨が砕ける音が、断末魔にかき消される。アッシュは無感情にそれを聞き終え、振り返った。
「どう? わかった?」
「ん……大体の場所は」
 こくり、とうなずきティナ・クリムゾン(流血の魔弾・f14110)は答える。ティナの血の使い魔(ブラッド・ファミリア)は、城中を飛び回っていた。そのエコロケーション能力によって、一つの部屋に辺りをつけたのだ。
「こんな城で、そこだけ完全防音なんですよ……」
「怪しいにもほどがある」
 ティナもアッシュの感想に、同意する。ティナは、ふと気配を感じてコウモリをそこへ殺到させた。
 そこにいたのは、血によって赤く染まった暗闇の獣だ。アッシュの拘束具によって動きを止められた獣へ、ティナは鮮血の薔薇を抜くと同時、銃弾を撃ち込んだ。
「が、は……!?」
「血がいくらあっても、足りませんね」
 特性血液パックのストローに口をつけ、ティナは血を補給する。そこへやって来たのは、リーヴァルディと千秋、ラッセルだった。
「……ふう、皆さんご無事でしたか」
「この先?」
 千秋の安堵の言葉と、リーヴァルディの問いかけにティナは二重の意味でうなずく。この騒がしい城で、唯一の静寂に包まれた場所――アルゴ・ナイトウォーカーがいる、玉座の間がそこにはあった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アルゴ・ナイトウォーカー
「……ん?」
 ものぐさな吸血鬼、アルゴ・ナイトウォーカーは気怠そうに顔を上げた。いくら完全防音、外からの音が遮断された空間であろうと彼の吸血鬼の感覚はその異常を見逃さない。
「さて、まさか獣どもが共食いでも始めたか? さすがに、飢えさせ過ぎたかもしれん」
 そこにあるのは、面倒だという感情以外はない。だが、その瞳にわずかな火が点る。興味、という感情だ。
「いや、それだけでこれはあるまい。もしや、侵入者か?」

 暗闇の獣共を、これほど蹂躙する侵入者――それは興味深い……か?

 アルゴは、立ち上がる。万が一、それが侵入者なのだとすれば――。
「――面白い」
 死んだ魚のような目に、光が戻る。それは、数年に一度訪れるアルゴのやる気に満ちた瞳だった……。
草野・千秋
退屈しのぎ、戯れのため。だなんて……
(怒りに拳を握り震える)
人の命をなんだと思ってるんだ!
このダムナーティオーが許さない!

【POW】
2回攻撃、怪力、捨て身の一撃を駆使し
勇気をもって挑む

この戦い必ず勝ってみせる!
仲間が攻撃されたら盾受け、かばうでカバーリングも
仲間は守るものでしょう、ねえ?
ヒーローたるものそうあらねばと誓ったのです

アレンジ絡みなど歓迎


リーヴァルディ・カーライル
…ん。そのまま怠惰に浸っていれば良かったものを。

改造した防具の呪詛を維持し第六感を強化
両目に魔力を溜め攻撃の気配や殺意の存在感を可視化する
暗視と【吸血鬼狩りの業】を駆使して攻撃を見切り回避

…誓約書、分裂する剣、蝙蝠。
お前達の手口は知っている…。

敵が隙を見せたら【限定解放・血の教義】を二重発動(2回攻撃)
大鎌の刃に“闇”属性の“過去を世界の外に排出する力”を宿して凝縮。
吸血鬼化した自身の生命力を吸収して巨大な“闇の結晶”刃を形成する。

…もう無聊を慰める必要は無い。
お前に相応しい場所に送ってあげる。

怪力任せに大鎌をなぎ払い命中した瞬間に結晶を開放。
過去の存在を傷口を抉るように骸の海へ押し流す。


シュデラ・テノーフォン
ヤる気出た?
そうでなきゃ、楽しくないよなァ
さ、俺と面白い事をしよう

成る程殆ど遠距離攻撃なんだ
面倒そうな誓約書は野生の勘も働かせて繰り出す瞬間を察知
クイックドロウからの狙撃で撃ち墜とす
飛んでくる刀剣も同じく迎撃するけど、数が多いかな
間に合わない量は指輪の盾を展開
仲間をかばう事も兼ねて耐え切ろうか
例え硝子の盾にヒビが入っても油断しない方が良いよ
破れたと同時に魔法の硝子は破片を撒き散らす衝撃波に成るんだ
面白いカウンターだろう?

後は見難い蝙蝠か、けどむしろ好都合
群がろうが目標はヴァンパイアだけを見て
Accoladeの魔法をかけた光線銃で蝙蝠ごとアイツ撃ち抜いてやる
さようなら獲物、退屈ごと消し飛びな!


アイリーン・ミュレット
カリスマ大原則(思いつきで適当に持論を言ってるだけ)ひとぉつ!!人の上に立つからには雑用とまとめ役に徹するべし!
とうっ!超カリスマ大怪盗アイリーン、参上!あなたの所有物の全てを奪いに来たわ!
●戦闘
味方を補助するように動きたいところね。
【カリスマ大怪盗の本気】の高速移動と、存在感の発生と気配の遮断の切り替えも交えて妨害メインで動きたいわ。
あと【自称カリスマの意地】で防御力を重視して味方の盾になったり【カリスマの威光】で味方を強化するなど。

仲間や守りたいものがあるうちは、意地と無茶と気合いで倒れない!これもカリスマの条件よ!
それに体の頑丈さには自信あるの、あたし。

・アドリブやアレンジも歓迎


ラッセル・ベイ
此奴がアルゴ、か。やはり玉座にいたか
ヴァンパイアらしいと言うか何と言うか………
まぁいい、始めようか

●戦闘(POW)
トーテムの力が最大限にまで高まったようだな
セイントよ、今こそ君の真なる姿を見せ付けてやろう

残り全ての属性ポーションを消費し、封印を解く
火炎、氷結、電撃、大地、神聖、暗黒、猛毒の七属性を得た【覚醒武器】セイント。これが私の切り札だ

神聖なる炎魔法を私の周囲に展開し、誓約書の無力化を狙う
誓約書を防げずに魔法を封じられても構わん
その時は「ストレングス・ルーン」を起動して近接戦闘に移行
尤も、武器を封じられた場合はルールを破ってでも使うが

受けてみよ、七属性複合魔法……セイント・フレア!


ジェイ・バグショット
敵が別の相手をしている時に気配を消しての【騙し討ち】
同時に刻印を発動。
刻印は主の体から離れ敵を強襲
敵の身体に刻まれた場合、刻印を中心に肉体が粒子化していく。(厳密には超振動で極微細に砕かれた肉体が霧のように霧散している
対象が消滅するまで発動可能)

生きながら身体が消えていくなんて、なかなか経験したことないだろ?
貴重な体験が出来て良かったな。とにっこり

退屈がお嫌いらしいじゃん。
なら俺とダンスでも?すぐ退屈が恋しくなるぜ

荊棘の王の自動追尾を解除し自分で操ることで【早業】により速度アップ
多方面から輪を強襲させると同時にサバイバルナイフによる攻撃で【傷口を抉る】
敵の攻撃からは輪を間に挟んだりなどして回避


コロッサス・ロードス
●戦術
自身の『武器受け、盾受け、オーラ防御、見切り』等の防御技能を活かす為、また仲間を『かばう』事で被害を抑える為にも、敵に肉薄して攻撃を誘う
但し闇雲に突出する愚は冒さず、他の猟兵との連携を重視する

●攻撃
『怪力』と『鎧砕き』技能で防御を崩し、二の太刀でその隙を穿つ『2回攻撃』が基本

●対クルーエルオーダー
効果的な戦闘の為ならば、ダメージ『覚悟』でルールを破る事厭わず
どれ程の威力だろうとも即死さえ避ければ問題ない
瀕死となるまで死力を尽くして戦い続け、必ずや【Colossus of Rhodes】の発動条件を満たす

「貴様の齎す悪しき終焉……力無き民草に成り代わり、我らが武と意地を以て打ち砕く!」


ミカエラ・チャーチ
熱心なのも困るけど気紛れに命を弄ばれるのも迷惑なの
その厄介な性根を叩き直してあげるわ、存分に仕合いましょ

ブラッド・ガイストで鶴嘴に血を与えつつ敵の挙動を観察
標的の選定や技の前動作などに癖がないか見定めて、不利を被らないように活用する
攻撃する時は真っ向から鶴嘴を叩き込むわ
あたしの相棒は食いしん坊なの
触れた端から生命力を吸収して穿った傷のほかにもダメージを重ねる
あんたも痛みを知ればいいのよ
命は玩具じゃないんだって思い知りなさい

もしも犠牲になった人達の形見の品とかが残っているなら、近隣の村まで持ち帰って供養してあげたいな

*アドリブ、連携大歓迎


鹿忍・由紀
ものぐさな吸血鬼だって聞いてたけど、随分やる気に溢れてるじゃないか。
ものぐさなまま戦ってくれても良かったのに。
退屈しのぎに付き合うのも面倒だなぁ。

【SPD】
ユーベルコードの使用のために自分の血が必要になるから、一定量になるまではダガーによる斬撃で戦おう。
わざわざ攻撃をうけてやることもないからヒットアンドアウェーで削れるだけ削ってやる。
念力で飛んでくる武器に対しては「見切り」「第六感」「武器落とし」で向かってきたやつから叩き落としてやる。
こちらが受けた傷が増えてきて血が必要量に達したら【虚空への献身】を使用。穿て。
飛んでくる刃も吸血鬼もまとめて撃ち抜いてやる。
どう、退屈しのぎになってる?


アッシュ・ランベルト
(……ずっと何もしなければ、俺達に殺されることもなかったのに。)
(……何かしようとしたから、予知に引っかかってくれたんだけど。)
……まぁ、どっちにしろ。吸血鬼は、全部。殺す。

【忍び足】【目立たない】でこっそり部屋に侵入。
攻撃対象になった時は【見切り】【残像】で回避を。
「……はずれ。」

アルゴの背後に回り込んで【暗殺】【傷口をえぐる】を用いた『シーブズ・ギャンビット』で攻撃を。
「……もう、暇。感じることも、ない。……お前は、ここで。おしまい。」

戦闘後は興味を無くしたようにさっさと帰還。

アドリブ&絡み大歓迎


ティナ・クリムゾン
私は、遠距離からの狙撃が得意なので、後方から援護です
『スナイパー』、『誘導弾』を活かして、両手に持つ愛用の銃から『血の射線』を撃ちまくります
ちなみに必要な血は、銃から伸びた棘が刺さって吸い取る仕組みです

室内ならほぼ確実に射程内なので、接近戦は避け、きっちり距離をとり続けます
アルゴ自身へだけでなく、マサクゥルブレイドとサモンシャドウバットを使ってきたら、そっちを標的として狙い攻撃の妨害をしますね
影の蝙蝠の数は分かりませんが、『視力』、『暗視』を活かしつつ、存在する場所を予測して、『血の射線』の数の暴力で吹き飛ばしてみようかと

戦闘後は血の補給
そういえば、この城ってこの後、どうするんでしょうか



●夜歩く者
 ナイトウォーカー城、その玉座の間の扉が勢いよく開いた。
「カリスマ大原則、ひとぉつ!! 人の上に立つからには雑用とまとめ役に徹するべし!」
 アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)は、部屋へと踏み込むと、ポーズを決めて言い放った。
「とうっ! 超カリスマ大怪盗アイリーン、参上!あなたの所有物の全てを奪いに来たわ!」
「そうか、大儀である」
 アイリーンの勢いを、その一言で切って捨てたのは城主アルゴ・ナイトウォーカーである。アルゴはふむと顎を撫で、言った。
「上に立つ者は置物でこそあれ、という俺の意見とは違うが……カリスマとやらは、また違うのであろう。貴重な意見だ」
「――で、でしょうね!」
 真面目に受け取られ、思いつきで適当に持論を言ってるだけとは言い出せなくなったアイリーンである。知ってか知らずか、引きずる事無くアルゴは次に会話を進めた。
「――で? 次の出し物はなんだ? 道化よ」
「ものぐさな吸血鬼だって聞いてたけど、随分やる気に溢れてるじゃないか。ものぐさなまま戦ってくれても良かったのに」
 鹿忍・由紀(余計者・f05760)の言葉に、アルゴは肩をすくめて言う。
「さすがの俺も、退屈というのは楽しめなくてな。数年に一度、吸血鬼らしい戯れをしたくなるのよ……退屈しのぎにな」
「退屈しのぎ、戯れのため。だなんて……」
 そう、怒りに拳を握ったのは草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)だ。
「人の命をなんだと思ってるんだ! このダムナーティオーが許さない!」
 真っ直ぐに向けられる怒りを受け止め、アルゴは頭を掻く。終わったか、と視線で問うてから、こちらも真っ直ぐに返した。

「――命だよ。それ以外の何だとでも?」

 あるいは、命として見ていない方がマシであったかもしれない。命と理解して、命を戯れに奪える――その精神性を、目の前の吸血鬼は持っているのだ。
「此奴がアルゴ、か」
 この短い会話で思い知った、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)はそう言いたげに吐き捨てる。
「ヴァンパイアらしいと言うか何と言うか………まぁいい、始めようか」
「ああ、始めよう。お前達の命を使って、退屈しのぎをさせてもらおう」
「……ん。そのまま怠惰に浸っていれば良かったものを」
 肌にひりつくほどの殺気を感じて、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が呟く。アルゴの瞳に、怠惰はない。気迫に満ちた輝きに、気配を消して部屋へと侵入したアッシュ・ランベルト(虚・f00578)は思わずにはいられない。
(「……ずっと何もしなければ、俺達に殺されることもなかったのに……何かしようとしたから、予知に引っかかってくれたんだけど」)
 アルゴが、踏み出す。まるで散歩にでも出かけるように、自然な一歩。シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)は、笑って言った。
「ヤる気出た? そうでなきゃ、楽しくないよなァ。さ、俺と面白い事をしよう」
「ああ、せいぜい面白くしてくれ」
 二歩目で、アルゴの姿が消えた。文字通り、視界から消えたのだ。

「上だ!」

 コロッサス・ロードス(金剛神将・f03956)が叫び、前へ出る。大盾を頭上へ構え、腰を落したコロッサスへ、天井近くへと跳んでいたアルゴのマサクゥルブレイドが放たれた。

●アルゴという名の吸血鬼
 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!! と豪雨がごとく、刀剣が降り注ぐ。コロッサスは台風の中で傘をさすかのように、その猛攻を不退転によって受けきった。
「ほう。受けきるか」
 天井、そのわずかな凹凸を摘み、アルゴは見届ける。そこへ飛び込むのは、tonitrus transformatioを起動させた千秋――断罪戦士ダムナーティオーだ。
「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 draco interfectoremを振るった千秋へ、アルゴは凹凸から手を離し腰から抜いた剣と刀で受け止める。空中での激突、それで終わらせなかった千秋は横回転しながら二撃目を叩き込んだ。
 ギィン! と火花を散らしながら、アルゴは床へと吹き飛ばされる。アルゴは空中で身を捻り、着地に成功した。
「……誓約書、分裂する剣、蝙蝠。お前達の手口は知っている……」
「――それで?」
 リーヴァルディの言葉を、アルゴは切り捨てる。先ほど自身が放った剣の一本を蹴り上げ、裏拳でリーヴァルディへと飛ばした。
「……吸血鬼狩りの業を見せてあげる」
 剣の軌道を、リーヴァルディはアルゴの殺気から見抜く。吸血鬼狩りの業(カーライル)による予測によって、リーヴァルディはわずかに横へ移動して剣をかわした。
「一撃で足りぬなら、こうだ」
 ダン! とアルゴが掌底で床を打つ。その衝撃で浮いた刀剣を、アルゴは連続蹴りで飛ばしてきた。リーヴァルディは、動かない――その刀剣を、シュデラがAschenputtelのクイックドロウによる狙撃で撃ち落とすと予想していたからだ。
「いい的だね」
 その間隙に、ミカエラ・チャーチ(幻灯窟の獣・f14223)が鶴嘴に血を与え、殺戮捕食態へと変化させる。ミカエラは一足飛びにアルゴに間合いを詰め、Devourerを振るった。
「熱心なのも困るけど気紛れに命を弄ばれるのも迷惑なの。その厄介な性根を叩き直してあげるわ、存分に仕合いましょ」
「よかろう」
 ギ、キン! とミカエラとアルゴが剣戟を重ねる。一つ、二つ、三つと打ち合った瞬間、鮮血の薔薇と鮮血の茨へとティナ・クリムゾン(流血の魔弾・f14110)は血を吸わせた。
「ん……標的、捕捉……撃ち抜きます」
 放たれるのは、血の弾丸、血の雨だ。ティナの血の射線(ブラッディ・ライン)をかわしきれないと悟ったアルゴは即座に後退、影の蝙蝠を群れで召喚し盾とする。
「――む」
 アルゴの動きが、一瞬止まる。それは、いつの間にか眼前にアイリーンの姿があったからだ。

「ふふん、あたしにかかればこんなものかしら」

 カリスマ大怪盗の本気の動きだ。高速起動によって、それを可能としたのだが――。

(「気配は目の前にしても希薄すぎる――何故、目の前に立った?」)

 目立ちたいだけか? いや、この道化ならそうかもしれないとアルゴは刹那納得しかけ――脇腹に感じた痛みに、それを否定した。
「半歩、浅いか」
 アイリーンの姿に一秒も満たない時間アルゴが気を割かれた隙を、由紀が突いたのだ。アルゴの裏拳による牽制を紙一重で見切り、由紀は無理せず下がる。

「……吸血鬼は、全部。殺す」

 アッシュが、気配を殺したまま背後からアルゴを切り裂く。それも浅いのは、アルゴが攻撃の瞬間に後ろ回し蹴りを繰り出したからだ。
「……はずれ」
 だが、その鋭い蹴りもアッシュの残像を薙ぎ払うだけだ。狼の狩りに、無駄はない――そう、その挑発でさえ。
「――ッ!?」
 初めて、アルゴの表情が変わった。指先が、崩れるように掻き消えたからだ。アルゴは視線を走らせる――それを成した、ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)がそこにいた。
「生きながら身体が消えていくなんて、なかなか経験したことないだろ? 貴重な体験が出来て良かったな」
 にこりと微笑み、ジェイは言ってのける。アイリーンから始まった一連の攻撃は、このジェイの刻印による攻撃を通すための布石だ。
 もしも、一人で挑んでいれば、こうもうまくいかない。仲間との連携があったからこそ決まった攻撃だ。
「トーテムの力が最大限にまで高まったようだな。セイントよ、今こそ君の真なる姿を見せ付けてやろう」
 すべてのポーションをかけ終えたラッセルは、聖杖セイントを構え――告げた。
「真の力を見せるとしよう。覚醒せよ」
 火炎、氷結、電撃、大地、神聖、暗黒、猛毒――七属性を帯びた聖杖セイントが、覚醒武器へと変化していく。
「これが私の切り札だ」
「ハハッ――面白い!」
 アルゴが、口の端を笑みに歪める。心が、血が、肉が、沸き踊る! アルゴ・ナイトウォーカーは、己の全力を持って猟兵達へと挑みかかった。

●明けない夜はないように――
 ――どれだけの時間、猟兵と吸血鬼は戦い続けただろう?
 互いに一歩も退かぬ乱戦に、終わりは見えなかった。だが、明けない夜がないように――終わらない戦いもまた、ないのだ。
「退屈がお嫌いらしいじゃん。なら俺とダンスでも? すぐ退屈が恋しくなるぜ」
「面白い、踊るとしよう」
 ジェイが荊棘の王の自動追尾を解除する――その瞬間、手動へと切り替えた。ヒュガ! と襲い来る鉄輪の動きに対応し始めていたアルゴは、リズムを崩される。それでもかわすアルゴへ、ジェイは鉄輪を操り追わせた。
 踊り、あるいは我慢比べか。相手が自分について来れなければ負け――ただ、二人には致命的な差があった。それは、仲間がいるかどうかだ。
「ッ!?」
「あたしの相棒は食いしん坊なの」
 駆け込み、漆黒の鶴嘴を突き刺しミカエラが囁く。血ではなく、直接生命力が貪られる――直後、アルゴの右腕にジェイの荊棘の王が追いつき嵌められた。ミカエラは、アルゴの目を見て言った。
「あんたも痛みを知ればいいのよ。命は玩具じゃないんだって思い知りなさい」
「――今だ」
 ジェイの言葉と同時、ミカエラは後退。入れ替わりに、アッシュが踏み込みアルゴの背に深々とダガーを突き刺し、抉った。
「……もう、暇。感じることも、ない。……お前は、ここで。おしまい」
「――まだまだぁ!!」
 大量の羽音をさせて、アルゴは四方八方に影の蝙蝠を解き放つ! その目くらましの中を、アルゴは駆け抜けようとした。

「受けてみよ、七属性複合魔法……セイント・フレア!」

 ラッセルがセイントを振るった瞬間、火炎、氷結、電撃、大地、神聖、暗黒、猛毒の七属性の一撃が、大量の蝙蝠を一瞬にして駆逐する! それはまさに、暗雲を切り払う一撃だ。その一撃の凄まじさに、アルゴも驚愕の表情を浮かべ――次の瞬間、凄惨に笑った。
「ふ、は、はははははははははははははははははははは!」

 アルゴのマサクゥルブレイドが、玉座の間を薙ぎ払っていく。刃を由紀は血と影で形成された侵食性のある複数の杭で相殺した。
「どう、退屈しのぎになってる?」
「なっているとも!」
 由紀の虚空への献身(アナイアレイト)に貫かれようと、アルゴは止まらない。この退屈を殺し尽くされた空間で、止まっている理由がないからだ。全力を尽くす、その歓喜にアルゴは満ち足りていた。
「この戦い必ず勝ってみせる!」
 そのアルゴを真っ向から迎え撃ったのは、千秋だ。
「畳み掛けます!」
「お、おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 千秋の冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(ヤクソクノジュウダン)による全武装の一斉発射と、アルゴの渾身の刀剣による乱舞が空中で激突していく! それは、まさに二つの暴風雨がぶつかりあったような激しさだ。
 その激しい激突の中へ、アルゴは躊躇なく飛び込む。そして、血で書いた誓約書を展開させた。

「コロッサスさん!」

 千秋の声に、コロッサスが動く。事前に、打ち合わせていたのだ。千秋は、危険だと止めた。しかし、コロッサスは真摯に答えた。

 ――これが俺の最善だ。

 ヒーローとして、守るだけではない――千秋は、信じたのだ。仲間の決意を。
「『動くな』!」
 それは単純な――しかし、戦闘では致命的な誓約。しかし、コロッサスは迷わず前へ出た――敢えて、誓約を破ったのだ。
「貴様の齎す悪しき終焉……力無き民草に成り代わり、我らが武と意地を以て打ち砕く!」
 コロッサスを、ダメージが襲う。動くな、という単純明快で簡単に達成できる命令は、凄まじいダメージとなってコロッサスを襲い――。

「我が血と魂魄を以て……古き御力の一つ、今この地に来臨す」

 コロッサスが天を仰ぎ、崩れ去った瞬間だ。地響きと共にそこに現われたのは、天井を突き破るロードスの巨像だ。コロッサスによるColossus of Rhodes(コロッサス・オブ・ロードス)は、まさにここに伝説の存在を呼び起こしたのだ。
「派手にやってくれる!」
 ロードスの巨像が、その拳を振るった。アルゴは、その拳を受け止める――ガリガリガリガリ! と靴底で床を削りながら、アルゴは壁際で止まる事に成功した。
 成功した、はずだった。
「んー、あんまり趣味は良くないわよね?」
「――あ?」
 アルゴは、しげしげと石版を見るアイリーンに気付く。その石版が何なのか、ガクンと体勢が崩れた瞬間、アルゴは思い知った。

「もっと、いい床板使ったらいいと思うの。こう、カリスマを感じさせるような?」

 そう、この部屋の――窓際の床板だ。それをこのカリスマ怪盗が、盗んでいたのだ。あるはずの足場がなく、アルゴは体勢を崩し――。

「道化ええええええええええええええええええええ!!」

 ――ゴォ! とロードスの巨像が壁を砕いて、拳を振り抜いた。ナイトウォーカー城から吹き飛ばされたアルゴへ、巨像の腕に飛び乗ったリーヴァルディが駆け抜けた。
「……もう無聊を慰める必要は無い。お前に相応しい場所に送ってあげる」
「さぁせるかああああああああああああああ!!」
 吹き飛ばされながらも、空中でアルゴは蝙蝠を壁にするため解き放つ! だが、その影の壁に、シュデラは自身から抜いた羽根を代償にAschenputtelへとAccolade(アコレイド)を使用する。
「12時の魔法を君に」
 封印が解かれ、硝子の羽根を飾るブラスター兵器となったAschenputtelを構え、シュデラは言った。
「さようなら獲物、退屈ごと消し飛びな!」
 ドン! と一条の光線が蝙蝠の壁を撃ち抜く! そして、なおも残った蝙蝠はティナの血の射線(ブラッディ・ライン)によりひとつ残らず撃ち落とされていった。
「お願いします」
 ティナの言葉に答え、巨像の拳からリーヴァルディが跳んだ。
「……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」 リーヴァルディは限定解放・血の教義(リミテッド・ブラッドドグマ)によって、己の吸血鬼の生命力とに“闇”属性の“過去を世界の外に排出する力”を宿して凝縮――大鎌に闇の巨大な刃を形成する。
「が、ああああああああああああああああああああああああああああ!!」
 吼えるアルゴへ、リーヴァルディは怪力任せに大鎌をなぎ払い――命中した瞬間に結晶を開放。過去の存在を傷口を抉るように、骸の海へ押し流した。

 夜歩く者は、退屈と共に死に絶えた。猟兵達はそれを見届け、漆黒の城を後にする。
「そういえば、この城ってこの後、どうするんでしょうか」
 玉座の間が破壊された跡が見える城を見上げ、ティナは呟く。特性血液パックで血を補給するティナへ、ミカエラは首を左右に振った。
「さぁ、どうなるのかしらね」
 ミカエラの手には、薄汚れた熊のぬいぐるみがある。おそらく、アルゴの戯れで殺された子供のものだろう、そう思い遺品として持ってきたのだ。
 このかつて白亜だった城と同じく、ダークセイヴァー世界はオブリビオンによって黒く染め抜かれている。例え一時人の手に戻っても、再び吸血鬼が襲ってくる事だろう。
 この黒を、払わなければならない――その想いを、猟兵達は強くするのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月06日


挿絵イラスト