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ザ・バトル・レイジズ・オン

#UDCアース

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#UDCアース


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 TRRRRRRRRDDDDTRRRREEEEE! 地下ライブハウスに甲高いギターの音色が響き渡った。地鳴りめいたドラムサウンド、強く歪んだベースの爆音。ハウスに詰まったパンクファッションの若者達が口々に咆哮する中、ステージに立つギタリストがマイクを鷲づかみにして叫ぶ。
『Why are you standing here? Because of subordinate? Is it fun in such a life? Let's live more freely! There is no one who binds us in this world. Let's indulge in pleasure and fall apart!』
 ギタリストはマイクを客席に向け手で煽る。
「Hey, C'mon!」
『Oh, Yes! We are dirty!』
「声小っせえぞ! シャウト! モアビッガー!」
『Oh, Yes! We are dirty!』
「オーケェェェェイ!」
 マイクを投げ捨てたギタリストは枝めいた腕でギターを手に取り高速演奏を披露する。青白い上半身を激しく動かし、水色のロングヘアをヘッドバンギングで振り乱す。かき鳴らされる高音に合わせて、ステージ左右が爆炎を噴いた。思い切りのけ反ったギタリストは叩きつけるように弦を弾く。一回、二回、三回!
『ヒュウ――――――ッ!』
 観客のコールを受け、
「OKOK! 今日も良く来てくれたなベイビー・フォールン! ここに来たってぇことはァ? 全員来たがってるわけだよなー……嗚呼素晴らしき、ダーティ・ロードにィィィ!」
『YEAHHHHHHHHHHH!』
「ハッハッハッハッハッハ! 良い返事してくれるぜェ! 良し、気に入ったァ!」
 ギタリストがギターのネックを握りしめ、傍らの銅鑼をぶっ叩く! GOWAAAAAAANG……! 鈍い音が響くと共に、ステージ脇から上半身裸のマッスル巨漢がコンテナを引いてやって来る。ギタリストは観客に向かって大げさに身振り。
「オレ達ゃロッカー! 法律? 道徳? 知らねえなあ。やりたいように生きるだけ! それがわかってるベイビーズにはァ……!」
 銅鑼を叩いたギターをバットめいて振り向き、コンテナにフルスイングして破壊! 中から白い粉入り袋が入ったCDケースが雪崩れ落ちてきた。
「このオレのCDと、オマケに悪の華にキく薬をタダでプレゼントしてやるぜェェェエエエッ!」
 若者達が湧き上がり、喝采と口笛が両手を上げるギタリストに浴びせられる。ギタリストは邪悪な笑みで観客達に手を振った。


「薬物、ダメ、絶対。オーケー?」
 画面を戻したシーカー・ワンダーは、両手をクロスさせて言った。
 UDCアース某所にある廃植物園。その地下に作られたライブハウスで、オブリビオンの教団が活動しているとの情報が入った。
 オブリビオンの名は『邪悪なるロッカー』。パンクロッカー風の姿をしたオブリビオンで、とある邪教の構成員。反社会的な曲や過激なパフォーマンスで若者から支持されているアーティストであり、同時にライブに集まったファンに薬物を配って堕落させようと企んでいる。
 放置すれば、邪教信仰は勢力を広げ、若者達は二度と戻ってこれなくなる。そうなる前に、ロッカーを撃破してほしい。
 ただし、ライブハウスの上にある植物園には、UDCアースに突如出現した不可思議殺人オブジェクト『悪魔の数字(デビルズナンバー)』の一種がひしめいている。これらを撃破してからライブハウスに殴り込み、ロッカーと戦うことになるだろう。
 ロッカー戦では、パンク思想に捕らわれた若者達も妨害に入る可能性があるが、彼らはただの人間なので、さほどの戦力にはならない。しかし、猟兵の攻撃を食らったら死んでしまうので、上手く対処しながら戦ってほしい。
 作戦終了後は、UDC組織の厚意で高級ホテルの一夜貸し切りが約束されている。各自、好きなようにゆっくり羽を伸ばすと良い。


鹿崎シーカー
(親愛なる猟兵の皆さんへ。皆さんの中にはアドリブ・連携を私の裁量に任せるという人がいるかもしれない。そういう人は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると、私がとても助かります。ただし、これはお願いであって強制ではない。これの有る無しでプレイングを弾くとか判定に補正かけるとかそういうことは無いのでごあんしんください)

(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
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第1章 集団戦 『六零二『デビルズナンバーはやし』』

POW   :    悪魔の枝葉(デビルリーフ)
【刃物のように鋭い木の葉】が命中した対象を切断する。
SPD   :    悪魔の花粉(デビルポレン)
【目が痒くなる特殊な花粉】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    悪魔の樹枝(デビルブランチ)
レベル×5本の【刺突】属性の【鋭く伸びた木の枝】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

各務・瞳子
【SPD】
植物園にライブハウス? 何か中途半端に健康的やね
そんなんでドラッグとかダーティとか、ちゃんちゃらおかしいわ
勿論、花粉症はノーサンキューやで!

『目』が痒くなる花粉やったら、うちの兄弟がお役に立つやろか
うちの本体は『トンボ眼鏡』やさかい、錬成カミヤドリで複製した兄弟も特別製(オーラ防御・呪詛耐性&毒耐性付き)の眼鏡や
参戦した猟兵の分だけ複製して、皆の目をかばってみるわ
視界がクリアなら、猟兵が負ける筈ないもんな

兄弟自体が邪魔にならんように念力に集中するけど、うち自身は人形のリュカに守ってもらうさかい。猟兵の皆はザクザク伐採したってな!

連携・アドリブ歓迎。大体「あなた」「名前+さん」呼びやね


ガーネット・グレイローズ
ロックのような騒々しい音楽は趣味じゃないのだが。
青少年を悪の道に引き込む輩は看過できんな!

しかし……これはまた、奇怪なUDCだな。
【念動武闘法】を発動させ、鋼糸を22本複製。
「ざわざわと鬱陶しいやつらだ。少しばかり伐採するか」
植物園のマップを調達し、それらしい樹木に目星をつけておく。
<念動力>でそれぞれの糸を個別に操り、空中を疾走させて葉や枝を切り落としていこう。
大気のざわめき、音などを頼りに<第六感>を働かせ、敵の攻撃を知覚し<武器落とし>で迎撃する!
太い幹は斬るのに手間取りそうだから、糸を高速で震動させて<鎧無視攻撃>。糸鋸の要領で切れ味を高める。
「そういえば、もう花粉が飛ぶ季節か……」


虚偽・うつろぎ
とりあえずロックユーしてまわれば良いのかな
へいへーい、ろっくろっくにしてやんよ的な
という訳でまずは前座を一掃していくかー
まぁ、僕に出来るのは捨て身の特攻だけなんだけどね

ハヤシさん達の中にダーイブ
ダッシュしてロックに飛び込むよ
そしてジバクモード発動
技能:捨て身の一撃を駆使して自爆
範囲内の敵全てが対象

捨て身の自爆特攻、その一発のためだけのうつろぎ
自爆後はボロボロになってると思うので
適当に隅っこに転がしておいてもらえれば

アドリブ連携はご自由に
一人称などはステシの口調(上の口調)のままです
その時の気分でころころ口調は変わるので特に気にせず書いてもらえれば


エレクメトール・ナザーリフ
薬をばら撒いているとは私にとってロッカーさんは悪!
つまり遠慮なく引き金を引ける問題ない相手
シシシ、またとない機会です

【SPD】
自身から半径内の全員を無差別攻撃する、ということは言いかえれば運が良ければ当たらない、ということですね
一度敵のユーベルコードを見て攻撃範囲を把握。その後接近戦を挑みましょう。長距離攻撃は苦手ですし
【零距離射撃】出来る範囲まで接近し【クイックドロウ】で【2回攻撃】をぶち噛まします!

攻撃後は敵の攻撃が発動する前にすぐに攻撃範囲外まで離れましょう。後はヒットアンドウェイの繰り返しです
運悪く敵の攻撃が当たった場合でも一発や二発では死なないでしょう……多分
後は銃の神にでも祈ります


パウル・ブラフマン
【WIZ】
事前に【コミュ力】で
周辺に住む人達に
馴染み深い薬物撲滅系ソングを教わっとこっと。

それじゃーいくよ、UC発動!
ちょいハスキーな声で【歌唱】するのは
さっき習ったヤク撲滅系朗らかソング。
ちょっとでも皆のパワーアップに役立ちますように☆

Glanzに【騎乗】したら
持ち前の【操縦】テクを活かして立ち回るよ!
飛来する枝を【見切り】つつ
Krakeで敵を手前から順に狙撃。
敵の密集度が高ければ
Glanzごと特攻して【なぎ払い】を試みる。
ダイナミック伐採してやんよォ!

仲間のピンチ時は
【スライディング】で間に入って【かばう】ね!

※アドリブ&連携大歓迎!
一人称:オレ
二人称:名前+くん、ちゃん、さん(年上相手)


熱海・靖久
薬物、ダメ絶対。

僕も若い頃はバンドを組んだりしていたし
ロックもパンクも大好きだよ。
でも反社会的的な行動はダメ、絶対。
純粋に音楽やパフォーマンス、アートを楽しむよう、お仕置きさせてもらうね

■戦闘
レガリアスシューズと大連珠にて
ストリートダンスを踊るような
華麗でアクティブなうごきと共に
【2回攻撃】や【ダッシュ】【踏みつけ】交え
キックやパンチでの連続コンボを。

回りに仲間いれば連携を意識し
「ここは僕が行くよっ」
など声がけや【かばう】など駆使

「流石大木、なかなか倒れないかな。本気で行くよ」
【力溜め】し、UCで強烈なパンチを

※アドリブ&絡み大歓迎!
一人称:僕
二人称:あなた、苗字+さん
三人称:彼ら



 UDCアース某所、植物園。風に煽られ、葉擦れの音を響かせる園内に爆音が轟いた! 植物園中央から噴き上がる黄色い噴煙。立ち込める花粉を取り囲むデビルズナンバーはやしの群れがガサガサと笑い声を上げる中、花粉の中からシャウトが響く!
『パープルヘイズ吸い尽くして、傷ついちゃっていいのか――――――い!』
 BFOOOOOM! 花粉が内側から吹き飛んで四散! 弾け飛ぶ花粉の中央、ヘッドフォンの間奏を聞きつつトンボ眼鏡を押し上げるパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)の足元、地に両手をついた各務・瞳子(トンボ眼鏡のグリモア猟兵・f02599)は飛び出していく仲間達の背中に叫んだ。
「兄弟が邪魔にならん集中するさかい、あんたたちはザクザク伐採したってなー!」
 瞳子の頭上に洋装の少年アンティークドールが浮いた。一方はやしへ突っ込む熱海・靖久(多重人格者のスカイダンサー・f06809)は、振った両手に出た数珠をメリケンサックめいて握り込む。
「ここは僕が行くよっ! ナザーリフさん、援護よろしく!」
「わかりました!」
 エレクメトール・ナザーリフ(エクストリガー・f04247)を背に靖久は加速! はやしの群れがマシンガンじみて撃ち出す葉の刃掃射を、高速のジグザグステップと回転を交えた動きで次々と回避。回転裏拳や左拳コンボで撃ち落としては進み、跳躍から葉刃ラッシュの中を水切石めいて飛びながら肉迫していく! パウルがマイクを手に歌い出した。
『時は満ちず! 若い心を、悪魔が誘う。下らない、運命の分かれー道―――!』
 靖久・エレクメトールとは逆方向、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は苦笑する。
「騒々しい音楽は趣味じゃないのだが……まぁ、薬物撲滅の曲なら良いだろう! サイキックアーツ!」
 上向けたガーネットの手からワイヤーの束が飛び出し、宙でばらけた。ガーネットが腕を打ち振ると同時に鋼線は全て空を切り、伸びてくるはやし達の枝をまとめて斬り落としていく。パウルの足元から波紋状の水色光が拡散し、仲間達を光らせる。パウルの耳朶打つ朗らかなサウンド!
『You're young――――この先はー長い――――! Slay demons! 悪意打ち倒せ――――! 誘惑跳ねのけSay no drag、だからパープルヘイズ吸い尽くして、生きながら死ぬんじゃな―――い! 人生終わるまで、縛られる気かそれじゃ……なんで生まれた? パープルヘイズ跳ね飛ばして、健やかなら重畳・じゃな―――い! 一生の、後悔はいらねえ……Clean and correct!』
 エコーを背に靖久は飛び込み前転からのブレイクダンスめいた回転蹴りだ! 弾かれる三体のはやしのうち一体の零距離に入ったエレクメトールは二丁拳銃を押し当てる。
「ファイア―――――ッ!」
 はやしの幹を二条の光線が貫通! エレクメトールは左右から来る枝伸長刺突をバク宙回避。靖久がリンボーダンスじみて枝の下を滑り抜け、撃たれたはやしに飛びかかった。よろめくはやしに弾丸の如きジャンプストレート!
「せえええあッ!」
 SMASH! 鉄拳を食らったはやしの幹が激しく軋み、風穴二つを亀裂が結ぶ。靖久は逆の手を引き絞り腰を入れてストレート追撃! CRAAASH! はやしの上半分がへし折れ後ろに倒れた。直後、やられたはやしの後ろに控えた別のはやしの群れが息を吸いこみ、頭部から花粉放出! 黄色い粉煙がとっさに防御態勢を取る靖久を飲み込むと同時に、着地したエレクメトールと反対側のガーネットを暴風めいた花粉が包む。目を見開く瞳子の眼鏡が、鮮やかな緑のオーラを放った。
「花粉症はー……ノー! サン! キュー! やでっ! 兄弟!」
 緑のオーラが炎めいて湧き立ち瞳子の全身に波及。次の瞬間、花粉を突破したガーネットのトンボ眼鏡にも同様に緑のオーラ! ガーネットはしなる両腕を打ち振り、宙に伸びたワイヤーの斬撃ではやし達を盆栽していく。枝や葉を連続で斬り落とされていくはやし達は悲鳴じみた声を上げ、ガーネットに葉刃乱射! オーケストラ指揮者めいて腕を動かしたガーネットは、目前に鋼線を幾重にも張り巡らせた。ワイヤーの結界に突っ込み細切れと化した葉を浴びながらも、腕を交叉した状態で留まるガーネット。進めぬ! その時、彼女の後方からエンジン音!
「ガーネットちゃん! そのままそのまま!」
 DRRRRNG! 白銀のバイクに乗って跳ぶパウロ! 彼のズボンの裾から砲身付きの触手が飛び出し、葉刃を撃ち続けるはやしの群れに狙いを定める!
「砲撃支援だ! ぶっ飛べッ!」
 BOMBOMBOMBOMB! 四発の砲弾がはやし達の足元を撃ち抜き連続爆破! 葉刃の掃射が止まった隙にガーネットは交叉していた両腕を開いてワイヤーを撃ち出した。爆煙の奥でたじろぐはやし達、さらにその後方の個体群まで一体につき一本の鋼線が巻き付いた。ガーネットは両腕を下げ、勢いよく振り上げる!
「ふッ!」
 一斉に宙に巻き上げられるはやし達! 空中で前後反転を決めたパウロは虚空を舞うはやし一体の幹に着地し、ブーストをかけて斜め下に急降下した。地に飛び降りたパウロはバイクを走らせ、ガーネットとすれ違う。目指す先は四体のはやしに挟撃される瞳子! アンティークドールが張ったオーラドームに無数の枝が凄まじい速度で連打を繰り出す。パウロは両足の触手砲を用意!
「リロードOK! Krake発射ァ!」
 タコ足のキャノンが火を噴いた。パウロに振り向くはやし四体の顔面に一発ずつ砲弾が直撃するのを見、瞳子は頭上の人形に目配せしてオーラドーム解除。パウロのバイクが真横に来ると共に後部座席に飛び乗った。
「おおきにパウロさん! バイクとキャノンで助け入るとか、ニクイことするやないの」
「まだまだ! もういっちょ見せるよバイクテク!」
 バイクハンドルをひねって加速するパウロは、トリプルアクセル後退で刺突枝をかわした靖久を呼ぶ!
「靖久さん!」
「ブラフマンさん。……っ! 危ないッ!」
 前後反転跳躍した靖久がパウロ達を飛び越え、バイクを追う葉刃の乱射を回転キックで叩き落とし疾走。踊るような高速ジグザグステップで隙間を縫いながら接近し、右前のはやしに華麗なキック! 左前のはやしの枝刺突をバク転回避して懐に入り、逆回し蹴りで蹴り飛ばす。左右後方に居たはやしが花粉を噴射! たちこめる黄色い霧から飛び出した靖久の鉄拳が右のはやしに突き刺さる! オーラを宿したトンボ眼鏡を直し、靖久は呟く。
「むう……流石大木、なかなか倒れないな」
 左はやしが複数の枝を突き下ろし砂煙を上げる。が、土埃が晴れたそこに靖久無し! 左右をキョロつくはやしの背後に回り、靖久は腰だめに拳を構えた。数珠が光を帯びて輝き始め、靖久の上腕二頭筋が盛り上がる!
「次は、本気で行くよ」
 振り返る二体のうち片方に渾身の鉄拳が命中! 靖久は深く踏み込んで一体を殴り飛ばし、構えていた逆の手でもう一体もぶん殴る! SMAAASH! ミシミシと軋む音を立ててすっ飛んでいくもう一体。先ほど華麗なキックを食らいよろめくはやしに、靖久は側転接近からの前方回転跳躍でワン・インチ距離へ! ハッとして振り向く樹木の横面を、重いアッパーカットで殴り飛ばした。時間差で飛んでいく四体のはやし。そちらに目もくれず振り向いた靖久の目にガーネット! 彼女はワイヤーで縛ったはやし達をカウボーイの投げ縄めいて振り回していた!
「グレイローズさん!」
「承ったッ!」
 遠心力をつけ、ガーネットは捕らえたはやしを投げ飛ばす! 向かう先は先ほどまで靖久とエレクメトールが対峙していたはやしの群れだ。雨の如く降り注ぐ同胞達に色めき立つ群衆の中を、エレクメトールは二丁拳銃を手に疾駆!
「攻撃、当たっても死にませんように……!」
 はやし同士の隙間を疾駆しながら連続銃撃! 熱線で幹を焼いて穴を空け、さらにバク宙からのムーンサルト回転跳躍で葉刃の嵐を回避。地を転がって受け身を取ったエレクメトールは、ダッシュで全方位から来る刺突枝を潜り抜け群れを抜け出した。追い打ちに放たれる葉の飛刃の前にパウロのバイクが滑り込む!
「リュカ!」
 バイク後部座席の瞳子からアンティークドールが飛び出し、オーラでバリアを張って防衛! 一方、パンフレットを開いたガーネットはマップのあちこちにつけられたチェックマークを素早く数え、はやしの群れをざっと目算。頷いた。
「よし、これで全部出揃ったな。うつろぎ!」
「はいはい。ロックユ―の時間? 了解」
 地面からぬるりと出てくる虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)。黒粘液の水溜りから黒い腕を七本生やし、地面をつかんで爪を立てる。
「それじゃ、ロックに大一番と行きましょうかね。まぁ、僕に出来るのは捨て身の特攻だけなんだけど……さっ!」
 ダッシュ! 腕を使って凄まじい速度で地を滑り、パウロ達の横をすり抜けてはやしの群れへ真っ直ぐ突撃。うつろぎに気づいて突き出される無数の枝をぐねぐね曲がりながら避け、うつろぎは七本腕を地に突っ張って跳んだ! 体を橙色に輝かせ、空中から群れの中央にダイブ。枝葉の隙間が眩い光をほとばしらせる!
「自爆モードオン。ゴッドうつろぎアタック…………カミカゼ!」
 CABOOOOOM! 大爆発がはやしの群れをど真ん中から吹き飛ばす! 火のついた葉や木片が舞い上がり、パラパラと落下。弾き飛ばされたはやし達も体を燃やされ、絶叫しながらのたうち回る。その中へ走り込む靖久! 軽やかなステップではやし達の隙間を駆け抜け、群れの中央に出来たクレーターへ飛びこんだ。
「虚偽さん!」
 クレーターの真ん中で痙攣するうつろぎを抱え上げ、靖久はクレーターを駆け上がる。ぐったりしたうつろぎは絶え絶えに言葉を紡ぐ。
「おー……ありがたや。僕、もう動けないから……適当に、隅っこに、転がしておいて……もらえれば……」
「出来ないよ! あなたを捨て置くなんて!」
 その時、焦げ付いたはやしの数体が身を起こし、靖久を睨んだ。燃え残った枝や葉が一斉にざわめく!
『MYAAAAAAAAHHHH…………!』
 恨めし気な唸り声。肩越しに見返る靖久を射抜く木々の視線。次の瞬間、パウロのバイクがクレーターの真上に飛び出した!
「どっち向いてる! オレの方を見ろおおおおおおッ!」
 はやし達の目がパウロに向いた。彼の後部座席には瞳子に代わってガーネット。彼女は手から伸びたワイヤーの束に口づけし、息を吹き込む。蟲の羽音じみた音を立ててワイヤーが振動し始める!
「ダイナミック伐採だ! 準備はいいかい、ガーネットちゃん!」
「……ああ、頼む!」
 白銀バイクの輪郭を蒼の光が包み込み、彗星めいて加速! 天駆けるバイクはクレーターの壁に接地し、内側をなぞるようにして走る! ガーネットが手から伸びたワイヤ―がはやし達をすれ違う傍から斬り捨てて解体。木々の残骸が斜面を転がり落ちていく。だがクレーター外周、等間隔に四体並んだはやし達が大きく息を吸いこんだ! そのうち一体を背後から熱線が貫通! 前のめりに倒れ、斜面を滑り落ちていくはやしを余所にエレクメトールは外周を疾走。
「なんか、下の方は全部斬られそうですし……こちらは、私が撃ち抜かせてもらうとしましょうか」
 とっさに振り向いた二体目が伸ばす枝を錐揉み回転跳躍回避し、銃口を押し当てて接斜! クレーターから離れるように疾駆して飛んでくる葉刃をかわしつつ、三体目に向かって弧を描くような軌道で近づいていく。足狙いの枝刺突を跳躍回避してワン・インチ距離に飛び込み、二連銃撃! 最後の一体がエレクメトールに花粉の嵐をぶっ放す! その光景を遠くに瞳子はトンボ眼鏡を押し上げる中指の先にオーラを込めた。
「無駄やって。そないな花粉通す兄弟やあらへん。ほんで……」
 花粉の嵐をぶち抜いて飛び出すエレクメトール! ぎょっとするはやしに、二つの銃口が突きつけられる!
「視界がクリアなら、猟兵が負ける筈ないもんな」
 ZGYUUUM! 二条のレーザーに射抜かれ、最後の一体が左右に揺れて仰向けに転倒。エレメクトールが着地して地面を滑る音を残して、植物園は静寂に包まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『邪悪なるロッカー』

POW   :    D.I.J.シューター
【自傷行為】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【楽器を銃】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    殺しの調べ
【ギターを掻き鳴らして衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    黒キ夢
【毒々しいメイク】【呪いのタトゥー】【血の六芒星】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠七瀬・麗治です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エレクメトール・ナザーリフ
森林伐採は大変でした。思ったより引き金引けてスカッとしましたが!そうそう、私の事はエレクと呼んでください。エレクメトールって長いんですよね

さて本命のロッカーさん
林Sと同様に無差別攻撃なので再びお祈りタイムの時間ですね
敵のコードを見てから攻撃範囲を把握し接近戦を挑みます
相変わらず【零距離射撃】出来る範囲まで接近し
【クイックドロウ】で【2回攻撃】で!
私、これしか出来ませんから!

攻撃後は敵の攻撃発動前にすぐに攻撃範囲外まで離れますが
今回相手は一人
敵の攻撃を誘い仲間に攻撃させたり
連携して集中砲火を加えていきます

ギターの弦を狙った武器破壊や指を狙いたいですねー、シシシ
上手くいけば戦力ダウンになるはずです


ガーネット・グレイローズ
お前の主義主張についてとやかく言うつもりはない。
社会に不満があるなら、それを音楽で表現するのも自由だ。
だが、未成年を間違った方向へ導くことだけは許さんぞ?
洗脳された若者たちが邪魔してきたら、〈催眠術〉を
上書きし、退場を促す。

ギターを銃に変える攻撃は、こちらもブラスターで応戦だ。〈援護射撃〉で味方を支えつつ、〈念動力〉で衝撃波を生み出し演奏を妨害。敵が手を止めて隙が生じたら、【妖刀の導き】で武装を強化。敵が【黒キ夢】でパワーアップしたら、クランケヴァッフェと妖刀の二刀流で〈2回攻撃〉。ヒットしたら私の〈呪詛〉を外から送り込み、力を過剰供給することでバランスを崩してやろう。過ぎた力は身を滅ぼすぞ。


各務・瞳子
音楽は心を揺さぶるさかい、悪い連中に利用されるんやろなぁ……
けど、クスリつこた時点でパチモンや。音楽だけで勝負する根性なかったんかな

一般人も巻き込まれる殺しの調べを1番警戒
歌われる前に、ツッコミ君からワイヤー出して足元に張り巡らせ、一般人を片端から即席トラップでこけさせる。さっさと縛り上げて隅っこ転がしとくわ【早業+武器改造+罠使い】

「うちも新作披露や! うちの創作意欲とあんたの悪の華、どっちが強いか勝負や!」
オブリビオンには新UC「三位一体学寮の意気」の2回攻撃を繰返し。攻撃力低下とUC封殺を狙う。同じ攻撃ばっかやと見切られそうやし、時々人形のリュカにフェイント攻撃させるな

アドリブ・連携歓迎


熱海・靖久
あれが首謀者だね…確かに観客も多いね。
…春。
(UCの【オルタナティブ・ダブル】により、もう一人の人格『春』を呼び)
観客の相手はよろしく

■戦闘
春は妨害に入ってきた若者たちの対処を
「こっから先はVIPしか見られない特別なショーだぜ、ケケケ」
「俺のダンスに酔いしれな!」
と観客の気を引く激しいダンスを

その間、靖久はボスに一直線
ギターを狙って武器のシューズで蹴り上げ【吹き飛ばし】や【2回攻撃】
【力貯め】、周りの猟兵と連携し
素早く翻弄しつつ戦う
「おじさんだからって舐めないでほしいね!」

※アドリブ&絡み大歓迎!
一人称:僕
二人称:あなた、苗字+さん
三人称:彼ら

■春
一人称:俺
二人称:おまえ、靖久
三人称:あいつら



 CRASH! 地下ライブハウスの扉が砕け、音楽が止む。観客達が入り口を振り返り、ステージ上のロッカーが怪訝な顔をする中、室内に踏み入ったエレクメトール・ナザーリフ(エクストリガー・f04247)は銃を両手に清々しい笑みを浮かべた。
「こんにちはー! いやー、森林伐採は大変でした。思ったより引き金引けてスカッとしましたが!」
 シンと静まり返るライブハウス。エレクメトールに続いて入室した熱海・靖久(多重人格者のスカイダンサー・f06809)と各務・瞳子(トンボ眼鏡のグリモア猟兵・f02599)が、目を細めるロッカーを見据えた。
「見つけた。あれが首謀者だね……確かに観客も多いね」
「音楽は人の心を揺さぶるさかい、大勢惑わされてしもたんやろなぁ…………ま、クスリつこた時点でパチモンやけど」
 その時、ロッカーがスタンドマイクを乱暴に取る。響くハウリング音! ロッカーは噛みつくように叫んだ。
『ヘイ。ヘイヘイヘイヘイ! なんの用だニューカマー? このオレの美声聞きに来たとか、そういうツラ構えじゃーなさそうだけどよ』
「そうだな」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が肩にかかった赤髪を払う。
「お前の主義主張について、とやかく言うつもりはない。社会への不満を音楽で表現するのも自由だ。……だが」
 灰色の瞳がロッカーを睨んだ。
「未成年を間違った方向へ導くことだけは、許さんぞ?」
『ハァァァァァァン?』
 ロッカーが下唇を突きだし、首を傾げる。嘲笑めいて鼻を鳴らすと、観客達に呼びかけた。
『オイ聞いたかベイビーズ。この乱入者様方……オレ達が間違ってるってよぉ! シャベェこと言ってくれるよなぁ!』
 観客達が低くさざめくように笑う。手に手にバールや釘バット、ナイフ、メリケンサック、スタンガン! 靖久は紫とピンクの二連ブレスレットを自分の手首ごとつかんだ。ブレスレットの石が輝きを放つ!
「……春。観客の相手はよろしく」
『砂にしちまえ! FOOOOOOOOO!』
 ギターの音色を合図に踏み出す観客達! 次の瞬間、靖久の輪郭がブレて二つに分身。片方が跳躍して観客達のど真ん中にダイブした。驚き、退いた観客達の中に丸い間隙。その中央で春は病んだ微笑みを浮かべ、立ち上がってポーズを決めた。
「こっから先はVIPしか見られない特別なショーだぜ、ケケケ」
 タップダンスめいて踏まれるステップ。徐々に爪先を高く跳ねながら、春は声高に言い放つ!
「俺のダンスに酔いしれな!」
 始まる激しいストリートダンス! バク宙、跳躍回転から両手を地につけ両脚を振り回し、そこからブレイクダンスへ移行。顔を見合わせてた面々の内、一人が釘バットを振りかぶって一歩踏み出すその足を細い鋼線が絡めとる! 直後、観客全員が跳ね上げられた! 無数のワイヤーを伸ばしたハリセンを振り上げ、ニヤリと笑う瞳子!
「取ったッ! 一網打尽やーッ!」
 驚愕し、ロッカーがたじろぐ。彼の懐に滑り込んだ靖久がギターを蹴り上げ、がら空きになった腹に一回転からのサイドキック! 吹き飛んだロッカーは後方のドラムセットに突っ込んだ! 腰を抜かしたドラマーが椅子から転げ落ち、逃走。ロッカーは胸に刻まれた血の刻印に手をやり、爪を立てる。
「痛っでェ……クソッタレがァァァッ!」
 刻印を引き裂き血を噴出! 血液はロッカーを中心に渦巻いてまとわりつき、大柄な魔人の肉体を形成。片手斧じみて血の刃を作ったギターを握る彼の脇に着地したエレメクトールが、ロッカーの脇腹に二丁拳銃を突きつけ熱線を撃つ! 揺らぐ巨体を遠目に、ガーネットは縛り上げられた観客達に屈み込んだ。
「済まないが、少し持ちこたえてくれ! 観客達を退場させる!」
「はーいっ!」
 返事したエレメクトールは連続バク転を打ちロッカーのギター連撃をかわす。彼女の背中がステージ横壁につくと同時、ロッカーは斧を大上段に振り上げた!
「死にやがれえええええッ!」
 片頬を吊り上げたエレメクトールは前後反転し壁を蹴って跳躍! 身をひねって斧斬撃とすれ違い、血で出来た巨体の脳天を二丁拳銃で狙い、熱線で射抜く。CRASH! 一拍遅れて斧が床を打ち砕き、エレメクトールは巨体のうなじを蹴って距離を取る! その下を抜けた靖久はロッカーの背中へジャンプ。ドロップキックだ!
「ふんッ!」
 SMASH! 背を蹴られたロッカーの頭が横壁に突っ込む。宙返りした靖久は片足で着地して力を込め、渾身の飛び膝蹴りで追撃! クリーンヒット!
「ぐぼォッ!」
「各務さん!」
 靖久の後方で瞳子が跳ぶ。トンボ眼鏡、傍らに浮遊したアンティークドール、機械仕掛けのハリセンが赤・青・緑のオーラを炎めいて燃え立たせる!
「うちも新作披露や! うちの創作意欲とあんたの悪の華、どっちが強いか勝負やで!」
 閃光! 靖久を跳ね返したロッカーは撃ち出された三色のオーラに振り向き、ギターをかき鳴らした。凄まじい爆音が瞳子のオーラと激突し、押し止め、弾き飛ばす! そのまま取り回したギターを展開して光線銃に変形させ、猟兵達に突きつけた。
「U-RAAAAAAARGH!」
 射出されたレーザーがステージの上を薙ぎ払い、ライブハウスの壁に焦げ跡を刻む! 思わず顔を上げるガーネットの視界、ロッカーの足元に転がり込んだエレメクトールが二丁拳銃の熱線でギターを握る腕を穿つ! 舌打ちしたロッカーはエレメクトールを蹴り飛ばし、斧状ギタースイング追撃! 割り込んだ靖久がギターを蹴り上げ、エレメクトールの腕をつかんで水切石めいたバックジャンプ。殴りかからんとするロッカーの目をアンティークドールが塞ぎ、ハリセンを振りかぶった瞳子が駆けこむ! オーラをまとったハリセンが蒸気をジェット噴射!
「うおおおおりやああああああッ!」
 ハリセンフルスイングがロッカーの鳩尾を撃ち抜いた。床を離れた血の巨体に、瞳子はトンボ眼鏡からオーラビーム射出! 弾き飛ばして奥の横壁に叩きつける! THOOOM……! 靖久は抱えたエレメクトールを見下ろした。
「無事ですか、ナザーリフさん」
「私は平気です。それと」
 跳ね起きたエレメクトールがクラウチングスタートじみた低姿勢を取る!
「私のことはエレクって呼んでください。行きますよっ!」
 飛び出したエレメクトールの前で、起き上がったロッカーがギターを光線銃に変えて連続銃撃! 複雑軌道ダッシュでこれらを避けたエレメクトールは走り幅跳びめいてジャンプした。横薙ぎに振るわれる斧を身を反らして避け、着地スライディングで股下を潜ってバク宙! ロッカーの両肩に接射を撃ち込む!
「づァッ……!」
 ロッカーの両腕が落ちると同時に肩の穴が塞がり始める。ロッカーの顎下に入った靖久は一歩踏み締め、力を溜めた。
「はァッ!」
 サマーソルトキックがロッカーの下顎を撃ち抜き、空中へ投げ出した。靖久はさらに対空飛び蹴りを繰り出し、血の巨体をくの字に圧し折る!
「うがあああッ!」
「おじさんだからって舐めないでほしいね! エレクさん、各務さん!」
 エレメクトールが二丁拳銃をクロスし、瞳子がオーラをまとうハリセンを野球選手めいて振りかぶる! 瞳子の眼鏡レンズ、頭上に浮遊する人形もまたオーラに包まれ、蹴り上げられたロッカーに狙いを定めた。
「トドメや! 年貢の納め時やで、パチモンロッカーッ!」
「パチモン……だと?」
 白目を剥いていたロッカーの瞳が戻る。鈍化した時間の中、踏み込みながらハリセンを振るわんとする瞳子と、低姿勢ダッシュの構えを取るエレメクトールが目に映った。ロッカーの心拍が上がり、両肩の穴が凄まじい速度で塞がれていく!
「ファック……終わると思うか…………オレのロックが! こんなところでよおおおおおおおッ!」
 両肩完全治癒! ロッカーは靖久を鷲づかみにして瞳子に投げ、天井に銃撃した反動で垂直落下。着地の衝撃で砂煙が噴き上がる一方、驚いて攻撃を引っ込めた瞳子に靖久が命中して一緒に倒れる。そちらを一瞥して砂埃へ飛び出すエレメクトール! 迎撃に突っ込んだロッカーはギターを横薙ぎに振るう!
「ダラァッ!」
 斬撃を回転跳躍回避したエレメクトールの足をロッカーがつかみ、床に叩きつけて振り回す! そして慌てて起き上がった瞳子と靖久に投擲! 庇いに入った靖久がエレメクトールを受け止めた。
「各務さん!」
「応よー! 行くでリュカ!」
 ハリセンを手にバレー選手めいてジャンプする瞳子。しかしロッカーはギター演奏の構えを取り、片手を振り上げた。
「ヒャ――――ハハハハハ! Rock’n! Roooooooollッ!」
 GYUAAAAAAAAANG! 爆風じみた大音響が三人を吹き飛ばし、反対の壁に叩き込む! 横壁にめり込んだ三人へ、ロッカーはギターの銃口を向けた。
「ジ・エンドだ。オレのライブをファックしたSin、地獄に行って後悔しやがれ!」
 レーザー三連続射出! 三つの光が三人の心臓に命中する寸前、横合いから飛来した別の光線がロッカーのビームを全て相殺した。ステージに降り立つガーネット!
「待たせたな。おかげで全員避難させられた」
「テメェッ……!」
 空の客席を一瞥したロッカーが再度ギター演奏の構え!
「邪魔してんじゃねえぞアマアアアアアッ!」
 腕がギターをかき鳴らす寸前、ガーネットは片腕を突き出し衝撃を放つ! 腕を弾かれ演奏妨害。よろめくロッカーの前で、ガーネットは二本の刀を引き抜いた。赤と白に輝く二つの刀身!
「観客にはお帰り頂いた。次はお前だ」
「グッ……!」
 血の巨体からロッカーの上半身が露出する。ロッカーは胸を激しく掻き毟り、迸る血を巨体に流す。徐々に膨張していく血の外鎧!
「オレのロックを……何度も何度も! ぶっ殺してやるッ! 叩いて潰して無惨にファックしてやるァァァァッ!」
 肥大化し、ステージからはみ出した血の巨腕が振りかぶられた。横薙ぎの腕がガーネットを押す潰す寸前、流れるように振るわれた二刀がロッカーの肉体にX字の斬り傷を刻む。血の拳がガーネットの数ミリ手前で停止し、風圧が紅い髪をなびかせた。
「過ぎた力は身を滅ぼす。死ぬ間際だが、覚えて逝け」
 X字の傷が濁った紅白の光を噴出! のけ反り、喉を掻き毟るロッカーが断末魔の悲鳴を上げた!
「グアアアアアアアアアアアッ! ARRRRRRRRRRRRRRRRRGHッ!」
 ロッカーの全身に赤と白のひび割れが走り、血の外装にまで広がっていく。ガーネットが背を向け、刀を納める。鯉口を切る音が響き、ロッカーの体は爆発四散した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『高級ホテルで優雅な一夜』

POW   :    プールやフィットネスで汗を流したり、レストランで料理を満喫する

SPD   :    ホテル内を探検したり、上質な空間で作業に没頭する

WIZ   :    ホテル内のバーや客室、ロビーなどで静かな時間を過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ガーネット・グレイローズ
(他参加者との絡みやアドリブ歓迎)
戦いを終えてほっと一息、自室でシャワーを浴びて
身体を綺麗にしたら、バーラウンジでお酒を飲んだり、
煙草を吸ったりしてのんびり寛ごう。
「では、バラライカを貰おうか」
騒々しい戦いだったからな。こういう静かな場所で寛げるのはありがたい。ここは組織の好意に甘えるとしよう。

スマートフォンを操作し、今回の事件に関するニュースを
チェック。
「もうニュースが出ているのか。だが、UDCは……組織はうまく事件を情報操作したな。だが、UDC事件はこれからも増加の一途を辿るだろう。息つく暇もないな」
猟兵やUDC関係者との雑談を楽しんだら、部屋に戻って休もう。


虚偽・うつろぎ
WIZ
バーで静かにお酒を楽しもうかな
もちろん席はカウンター
マスターにお任せでお薦めを色々もらおうかな

「マスター、いつもの頼むよ(初来店」

もし女性がカウンターいればマスターに頼んで
「あちらのお客様からです」をやっちゃおうかな
ただそれがやりたいだけで何もしないのだけど
とりあえず牛乳をプレゼント

後はマスターと常連でもないのに常連っぽく会話を楽しんでおくね


各務・瞳子
本格的に戦闘に参加したんは初めてやったけど……難しいもんやね
うちに出来る事、出来ん事、もっと把握せんとなぁ

……反省終わり!
UDC組織さんの厚意はありがたく、やね
こういう所は初めてやけど、ホテルの事はネットで調べたし今回は

ここのバーラウンジな、ライブラリーも兼ねてるんやて
本好きらしいし、シーカーさんもお手隙やったら誘ってみよかな

壁一杯の本棚に並ぶハードカバーが圧巻や
うちは……この世界の事知りたいなって。博物図鑑とか民俗学の専門書とか。この世界の名作もええね
飲み物は、徹夜読書ゆうたら珈琲、あ、甘いカフェラテがええな♪

上等なソファに丸まって読書。周りが読んどる本も気になるけど、すぐ没頭
贅沢な時間やね


熱海・靖久
■目的
ホテルのラウンジで『春』とゆっくりとした時間を。
共に闘った仲間には会釈しつつ

■会話
(UC【オルタナティブ・ダブル】を発動させ、『春』の人格を憑依)
「お疲れ様、春」
『あー、久しぶりにパフォーマンス出来て楽しかったぜ。あのライヴハウスの雰囲気は嫌いじゃねーぜ、ケケケ』
「あぁ、僕もだよ。バンドをやっていた頃が懐かしいね」
靖久はコーヒーを注文、春は
『なー靖久。酒が飲みたい』
「だめ。身体は僕なんだ、それに若くない、倒れたら困る」
『ち。仕方ねぇなぁ。じゃあ青汁…』
「そこまで気を遣わなくていいし、ないよ多分」

※アドリブ大歓迎!
一人称:僕
二人称:あなた
三人称:彼ら

■春
一人称:俺
二人称:おまえ、靖久



 バーラウンジ『BLUE CATS』。扉が開き、カラカラと鐘の音が鳴る。入店したガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)はしっとりした赤髪の毛先を巻きながら、バーカウンターについた。ややあって、壮年のバーテンダーが滑らかな所作でやって来る。
「いらっしゃいませ。何をご用意致しましょう」
「では、バラライカを貰おうか。それと、灰皿を」
「承りました」
 くるりと背を向け、酒瓶並ぶ棚に手を伸ばすバーテンダーを余所に、ガーネットは店内に目を向ける。緩やかなジャズを流すジュークボックス、ダーツボード。バーカウンターの後ろ側には丸テーブルとソファがいくつか設置され、そのうちひとつに収まる熱海・靖久(多重人格者のスカイダンサー・f06809)と目が合った。軽く会釈する靖久の傍に、シックな給仕服を着た女性が近づく。
「失礼します。ご注文はお決まりでしょうか」
「コーヒー、それから……」
『なー靖久』
 靖久の傍らに病んだ青年の幻影が出現。濃い隈の浮いた目で靖久を見る。
『酒が飲みたい。向こうの赤い髪した姉ちゃんが頼んでた……バラライカ、だったか? それで』
「だめ。身体は僕のなんだ。それに、若くないし倒れでもしたら困る」
 幻影がつまらなそうに鼻を鳴らした。
『ち。仕方ねぇなぁ。じゃあ青汁でいい』
「そこまで気を遣わなくていいし、ないよ多分」
『ちっ……』
 給仕の女性が首を傾げる。
「……お客様?」
「ああ、申し訳ない。コーヒー二つで」
「かしこまりました」
 一礼して去っていく女性を見送り、靖久はテーブルに置いた音楽雑誌を手に取った。ぱらぱらページをめくる彼の傍ら、ソファの肘掛けに座った青年の幻影が雑誌を覗く。
「ま、ともあれお疲れ様、春」
『ああ。久しぶりにパフォーマンス出来て楽しかったぜ。ヤクだのなんだの好みじゃねえが、あのライヴハウスの雰囲気は嫌いじゃねーぜ。ケケケケケケ……』
「僕もだよ。バンドをやっていた頃が懐かしいね」

『もっかいやってみるか? バンド』
「いいよ、そんな歳でも無い」
『年齢なんて関係ねーだろうがよ。お前がやりたいかどうかってのが大事だ。な?』
「……考えておくよ」
 肩を竦める靖久の後ろを、給仕の女性がお盆を片手に過ぎていく。行先はバーカウンターの真反対、壁一面を埋め尽くす巨大な本棚と、それを鼻歌混じりに物色する各務・瞳子(トンボ眼鏡のグリモア猟兵・f02599)。
「失礼します」
「ん?」
 振り向いた瞳子は不思議そうに瞬きをした。女性が差し出した盆に、白い液体を満たしたカクテルグラス。
「あれ、うち頼んだのカフェラテやで?」
「あちらのお客様からです」
 女性が差し出す手を目で追った先、バーカウンターの丸椅子にわだかまる虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)がひらひらと手を振る。瞳子はグラスとうつろぎを交互に見、やや控えめにグラスを取った。
「…………はぁ、どうも」
「ごゆっくりどうぞ」
 そそくさと立ち去っていく女性を見送り、ドリンクに目を落とす瞳子。難しい顔で疑問符を浮かべる彼女に、本を頭に乗せたシーカー・ワンダーがちょこちょこと寄る。
「各務さーん。どうしたの?」
「いやー……」
 振り向いた瞳子が、困り顔でグラスを掲げる。
「これもろたんやけど、どないしたらええと思う?」
 シーカーが頭の本を手で押さえ、首を傾げた。
「……お酒?」
「かなぁ。お酒入れるグラスやもんね、これ」
「匂い嗅ぎました? お酒ならそれでわかるはずだし」
「ふむ……」
 グラスを鼻に近づけ、匂いを嗅ぐ。続いて一口含んだ瞳子は、半眼を作った。
「あ、これ牛乳やわ」
「牛乳……!?」
「うん、牛乳。なんや、びっくりして損したぁー」
 ショットグラスをぐいと傾け中身を飲み干す。
「んで、シーカーさん何読むか決まったー?」
「うん。これ」
 頭の本を取り上げ表紙を見せる。褐色の巨大機械と二人の少女を描いた絵。屈んだ瞳子は眼鏡を上げた。
「ほーん。小説?」
「そうそう。各務さんは何読むか決まりました?」
「うち? うちはなー……この世界の事知りたいなって。博物図鑑とか民俗学の専門書とか。あと、この世界の名作読むのもええね」
「博物図鑑ならさっき見たな。えーっと……」
 本棚に歩み寄り、備え付けの梯子を登るシーカー。身を乗り出して並ぶ本の背表紙を確認していく。爪先立ちした瞳子の頭の近くで、そのうち一つを指し示す。
「あった。これこれ」
「ほお、これか。……決ーめたっ。これにしよ!」
 示された一冊を抜き取り、瞳子は手近なソファに座り込む。本を開く彼女を遠目に、ガーネットは牛乳入りグラスを持ち上げた。紫煙くゆる煙草を灰皿に置き、横目でうつろぎを見やる。
「全く紛らわしい。何故牛乳なんだ。注文が来たと思ったぞ」
「いやぁ、あちらのお客様にっていうの、ちょっとやってみたくって」
「…………それだけか?」
「それだけだよ?」
「やれやれ……」
 呆れたように笑うガーネット。マスターが彼女の手元に新たなショットグラスをサーブ。顔を上げるガーネットに、マスターは悠然と微笑んだ。
「バラライカでございます。牛乳ではなく」
「ふふっ……ああ、ありがとう」
 礼を言って少し傾け、スマホを取り出す。うつろぎがその横顔に呼びかける。
「何見てんの?」
「ニュースだ。先ほどの件がもう出ている。……組織はうまく情報操作したようだが、UDC事件はこれからも増加の一途を辿るだろう。息つく暇もないな」
「あー……。これから何度自爆すればいいんだろうね、僕」
「他の戦法を考えればいいだろう……何も毎度毎度敵陣に突っ込んで自爆することは無い」
 何か言いかけるうつろぎに、マスターが口を挟んだ。
「お客様は何に致しましょう」
「いつもの頼むよ」
「承りました」
「えっ」
 振り向くうつろぎの前で、マスターは『VODKA』、『COINTREAU』、『ライムジュース』と書かれた瓶を取り出し、手際良くシェーカーに注いでシェイクする。上部が広がったグラスに氷を入れ、シェーカーの中身を入れて素早くかき混ぜ、ライムをひときれ入れてサーブ。うつろぎは供されたカクテルをまじまじと見た。
「……これは?」
「カミカゼです」
「…………」
 うつろぎが『う』の字にグラスを持っていき、一口。そしてカウンターに突っ伏した。
「くっ、負けた……。中々やるね、マスター」
「長らくこの職一筋ですから。カクテルだけでは渡れぬ世界です」
「なるほどなー。接客も一流じゃないと駄目ってことか」
「お客様も、一流ですから」
 壁にかかった振り子時計がコチコチと鳴り、夜十二時に針を合わせた。ゆったりしたジャズの音色。コーヒーや酒の香りを漂わせ、一日の夜が更けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月03日


挿絵イラスト