闇の救済者戦争㉑〜蛹のような
腐敗とは、生あるものが朽ちて元来の性質を失いつつ死に還るまでの|猶予期間《モラトリアム》。
ならば、腐敗の“王”とは何者か?
「そろそろ戦争も佳境だね」
仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)は言った。
「今度の相手は五卿六眼のひとり、『腐敗の王』。『生と死の循環』を操る絶対者。魂人の発生原因であり、『欠落』も健在。完全に滅ぼすことはできないが、彼を倒すごとに魂人の発生確率を下げることができる」
けれど、生と死の循環を操る腐敗の王の力は強大だ。
『死の循環』をひとたび加速させればあらゆるものが急速に腐敗し始める。血管で埋めつくされた大地どころか、生命の埒外にある猟兵すらも。
生きながら腐り落ちるとは筆舌に尽くしがたい辛苦を伴なうに違いない。耐えるだけでも褒められてしかるべきにも関わらず、まだこの先があるのだ。
「死の循環の影響によって腐敗し消滅した肉や血は『腐敗の王』の元へ集められ、『オブリビオン』として彼の傍らで蘇る。自身は腐敗し朽ちながら、その血肉を得て蘇った自身のオブリビオンと腐敗の王を相手取って戦う……説明しているだけで身の毛がよだつね」
幸い、この状態では『腐敗の王』も自在に戦うというのは無理だ。攻撃に対する防御は脆くなっているし、受けた傷を癒すようなことも不可能。
「少しずつでも与えた傷は蓄積する。だから、一撃でも多くの攻撃を入れてほしいんだ。その積み重ねの先に果報が待つと信じて」
|私《・》は『死の循環』を加速させるもの。
腐敗した状態は可能性の宝庫なのだ。
美しい蝶になるために幼虫は蛹のなかでいったんどろどろに溶かされる。
私はお前をその状態にしてやろう。
まったく別のものに新しく生まれ変わるための儀式、それこそが腐敗である……。
ツヅキ
プレイングを送れる間は受付中。
自身のオブリビオンの攻撃方法はプレイングよりご指定いただけます。
特になければこちらで判断しますので、お任せください。
先に⑳祈りの双子の戦場が制圧されると『腐敗の王』はどこかへ姿を消し、撤退します。
また、シナリオ成功本数×3%の確率で、ダークセイヴァーの人々が死んだ時に魂人にならないでそのまま死ねるようになります。
僅かずつでも腐敗の王に与えたダメージを重ねる。
プレイングボーナスは以上です。
第1章 ボス戦
『五卿六眼『腐敗の王』』
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POW : フレイムビースト
自身の【全身】を【熱き魂の炎】化して攻撃し、ダメージと【装備焼却】の状態異常を与える。
SPD : オブリビオンソード
【腐敗による「消滅と忘却の宿命」】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【ユーベルコード知識忘却】の状態異常を与える。
WIZ : 死の循環
【この世界を司る「世界法則」そのもの】から、戦場全体に「敵味方を識別する【死の循環】」を放ち、ダメージと【肉体腐敗】の状態異常を与える。
イラスト:佐渡芽せつこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
[SPD]
他の猟兵と協力して戦うわ。
にしても腐敗ねえ…あまり近寄りたくない相手ね。
ということで敵が見えるぎりぎりまで離れたところから[迷彩]仕様の[目立たない]ように隠れてスタート。
数キロ離れてもいいわよ?
そして弓矢を構えてユーベルコード【千里眼撃ち】。
10秒の集中をすれば136レベルの二乗で18.496kmが射程の射撃。
多少のずれや防御は[スナイパー]+[誘導弾]+[貫通攻撃]で無理やり当てる。
一発射撃したらすぐに次の場所へ隠密移動。近づかれたら距離をとる。
そしてまた射撃。これの繰り返しでダメージを積み重ねるわ。
「生と死の循環…さて、手の届かない相手にはどうなのかしらね?」
なんて、匂い――……。
戦場は腐敗臭に満ちている。死の匂いだ。ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は周囲の景色に身を溶け込ませ、できるかぎり『腐敗の王』から距離を置いた。
「無駄なことを」
五卿六眼の一つ柱である男が加速する『死の循環』とは戦場のどこにいようともその効果を発動するらしい。もっとも、距離が離れるごとにその威力はさすがに減衰するようではあったが。
「……肉眼で視認できるぎりぎりはこの辺りかしら」
ヴィオレッタ―は鉾矢を番え、腐り始める指先で弓を構える。皮膚が爛れ、白い骨が見え始めた。1、2、3――……。
滴り落ちる血がまるで生きているかのように蠢き、腐敗の王の元へ移動し始める。4,5、6――……眼球も腐り始めたらしく視界が歪んだ。
7,8、9――……だが、まだ見える。
「アーチャーの意地を甘く見ないことね」
――10。
集中時間が10秒を数えた刹那、ヴィオレッタの放つ矢が『腐敗の王』の眉間を貫いた。彼がゆっくりとその矢を引き抜く間に移動した先で次の矢を番える。
「生と死の循環……さて、全身が腐り落ちるまでにはまだ猶予があるみたいね。それまでにどれだけの攻撃を積み重ねることができるかしら?」
成功
🔵🔵🔴
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん?
武器:漆黒風
属性:風
かつて死したときに、自らの肉体が腐敗するのはみたことがありますが。いま再び、苦痛を伴ってということですかー。
…それがどうした。
私から生じるならば、おそらく何かしら投擲してくるでしょうねー。
それを見切り、回避し…足さえ動けばいいのです。ただ、前へ。
腐敗の王の攻撃は避けることはできませんでしょうから、甘んじて受けて…激痛耐性で凌ぎましょう。
返しとして、こちらはUCを早業の二回攻撃で。僅かながらもダメージを与えるならば、避ける間も、切り捨ても不可なほどに密集させます。
それがどうした、と馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)こと『疾き者』は腐り落ちた自身から産み落とされし存在と対峙する。
既に経験のある苦痛であった。
悪霊ならば一度は必ず経験しているはずの、死した後の腐敗する肉体。想像通りにその指先には黒ずんだ手裏剣状の物体が挟まれている。
投げる、と分かっていれば見切るのも難しくは無かった。
既に肉のほとんどは削げ落ち、足元は血だまりになっていたにも関わらず義透はまだ歩けた。まだ骨が残っている。――前へ。
これだけ腐敗したら、死の循環とやらを受けようが受けまいが変わるまい。ただ腐り落ちるだけだ。痛みだけは耐性が効くので麻痺したような痺れを感じるのみであったが。
「――、――」
こちらの番ですね、と言ったつもりで声になっていなかった。
今妻の如き無数の矢が二度閃き、こちらも防御が脆い状態にある腐敗の王へと痛烈な呪詛の矢を叩き込む。やれやれ、果たして呪詛が効くのかこやつに?
みっしりとその体に密集させた矢を全身に受けた腐敗の王は躰を震わせた。笑ったのだ。死の循環にも怖じることなく立ち向かうその姿に魂の昂りを覚えたのだ。
「それでよい。生と死のいずれをも乗り越える者のみが、この私と戦う資格を持つのだからな猟兵よ……!」
成功
🔵🔵🔴
ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ連携歓迎
これが、生と死の循環を操るってこと
それに、ぼく自身も敵に
魂人への転生に、死、この戦場は、なんて苦しいの
でも、諦めないの
体は朽ちても、魔力が残ってる限り!
ドーム状の結界を多重展開、ぼくの偽物の攻撃は防げるの
耐えながら攻めるだけなの
魔道具たちも、崩れ落ちる前に、魔術回路を全力励起
ありったけの魔力を使って、様々な属性攻撃魔術を乱れ撃つの
ぼくを中心に、円周状に、腐敗の王も偽物も巻き込んで
はぁ、はぁ…
偽物のぼくじゃ、これは真似できないでしょ?
ぼくが撃ち込んだ魔術の痕跡同士を魔力でリンク
超大型魔術陣を展開
UC発動
これは、オブリビオンだけを祓う、ぼくのとっておきだから…
う、後は、任せたの…
これが、生と死の循環を操るということ――。
吐き出した血が、どす黒い。
それは既に内蔵まで腐っているということだ。なんて苦しいのだろう。魂人も生まれ変わる時には同じような苦痛を味わったのかもしれない。
生と死の間に横たわる猶予期間……。
「ほう、まだ耐えるか猟兵よ」
「諦め、ないって決めたの」
「素晴らしい。私は私が操る死の循環を超える存在の誕生をいつも願っていたのだよ」
「なら、見せてあげるの……!」
ドーム状に紡がれた結界が幾重もの壁となり、オブリビオンとして復活した自身の魔法を防ぐ最終防衛ラインとしての機能を果たした。
「防がれた?」
驚くオブリビオンの眼前であらゆる魔道具が一斉に力を解き放つ。
ロランが身に纏う魔術回路が最大出力を越えて励起。
魂の根底から魔力を燃やし、沸騰する――魔法陣が幾重にも展開。
数えきれないほどの魔をが同時に発動。
狙いも何もない、自身を中心に波濤の如く乱れ撃つのみだ。偽物も腐敗の王も等しく呑み込み、嵐のように吹き荒れる。
「いいぞ、いいぞ……!! 己の|死《オブリビオン》を越えてみせろ、猟兵よ!」
「……スキャン完了、リンク最大」
それぞれ別個の魔術として紡がれたその痕跡がひとつ、またひとつと繋がれてゆく。まるで生命の樹のようにリンクして最後には巨大なひとつの魔術陣を成した。
「お望み通りに、見せてあげるの……!」
まさか、オブリビオンに対する最終兵器を自分に撃つなんて思いもしなかった。魔法陣の中心より発動する黒雷が自身の腐敗した血肉より受胎したオブリビオンを過たず撃ち抜いた。
「見事なり!」
腐敗の王の高笑いを聞きながら、ロランはゆっくりと崩れ落ちる。
「う……」
霞む視界に、|猟兵《みんな》の背中を視ながら――……。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
この世界の生と死の循環を歪めた張本人が、生まれ変わりを語るのはどうかと思うが
例えお前自身をここで倒しきれずとも、せめて少しでも循環を正常に戻してみせよう――!
神刀の封印を解除、紫紺の神気を纏うことで参の秘剣【紫電閃】を発動
この状態だ、流石に9倍の強化とまではいかないだろうが、素のままよりはいいだろう
オブリビオン化した自分は動き出す前に速攻、先手を取って力押しで倒しにいく
腐敗の王のUCは気になるが。そもそも攻撃を受けなければ良いし、忘却するのはあくまで知識のみ
既に発動したものを無効化はできないだろうし、忘れたところで刀を使うのに影響はない
速度で攻撃を凌ぎつつ、確実に攻撃を与えていこう
王?
神気どりの間違いじゃないか。
腐肉から甦った俺が抜刀する。
やはりそうくるか、と夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は神刀の封印を解いた。なにしろ相手は自身のオブリビオン。得物が刀であるのは夙に予想できていたので。
纏うは神気。
色は紫紺、属性は雷撃。
たとえ9倍には至らずとも、|お前《・・》よりは確実に――速い。
「やるじゃないか」
それなりの傷を負わせてやったにも関わらず、平気な口ぶりなのは本人譲りか。彼の手にある|元《・》神刀は黒く歪み、全く別のものへ造り替えられてしまったかのようにすら見える。
「どうだ、生まれ変わった自分と戦う気分は?」
「生と死の循環を歪めた張本人がよく言うよ」
「くくッ、褒め言葉だな」
「死んだ人々を魂人として転生させる……お前を倒すほどにこの世界の人々は歪んだ循環から解放されるらしいな。せめて少しでもいい、正常なる循環を取り戻す――!」
腐敗した血肉の合間から覗く瞳が力強く輝いて。
「!!」
刀ごと強引に薙ぎ払われたオブリビオンが体勢を崩す。ほとんど体当たりするように突っ込んだ鏡介の刃が九重の紫電閃をその身に刻み付けた。
「面白い」
自身の来世ともいえる存在を倒した鏡介に腐敗の王は自ら剣と化した右腕を突き刺そうと動いた。凌げ。躱す度に腐った血が飛び散る。それでも足を止めるな。少しずつでいい、掠めるような傷であっても構わない。
――いつかそれらは積もり積もって、お前の息の根を止めるだろうから。
「忘却せよ、羽化の前には幼虫であった頃の記憶など不要だ」
ずぶり、と肩口を抉る王の右手。本来は心臓を狙ったものだが、逸れた結果である。神気――いったいそれは? 鏡介は奥歯を噛み締めた。
「知らずとも、いい」
それは技に対する信頼であった。
だから、それが何であるかを忘れるままに振るう刀で腐敗の王を深く、激しく、斬り付け続ける。
成功
🔵🔵🔴
ゾーヤ・ヴィルコラカ
……あなたがこの世界を歪めているのね、腐敗の王。あなたの勝手に、この世界を巻き込むのを許しておけないの。身体が腐り落ちようが構わない、必ず刃を届かせて見せるわ!
腐り落ちる部位を氷漬けにして〈時間稼ぎ〉よ。身体を何とか引き摺りながら、【UC:絶対零度の眼差し】を発動よ。巨大な氷塊をいくつも編み上げて、腐り落ちる前に直撃させるわ。もう一人のわたしからの攻撃は〈結界術〉で集めた氷で相殺を狙うわね。
……あなたは生も死も弄ばれる今をどう思うの、もう一人のわたし。
こんなところで止まりたくないの。二人ともそこを退いて、わたしたちを前に進ませてちょうだい!
(攻撃方法お任せ、アドリブ負傷等々大歓迎です)
闇だった。
わたしという存在を引っ繰り返した裏側の存在。
あらゆる光と祈りを失い、あらゆる闇と絶望に支配されたもう一人のわたし。
なのに緑色の瞳と姿形だけはそっくりなままで、ゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は親しみと拒絶の両方の感情を覚えたものだ。
自分と同じでありながらまるで似て非なるもの。
「……希望を騙るのはやめてちょうだい。そんなのはおためごかしなのよ」
――炎を使うと思った直後、ゾーヤは焼けるような熱を全身に感じていた。何もかもが真反対。ゾーヤが凍らせる冬を呼ぶのなら、それは焼けつく夏をもたらすのだ。
「いやよ」
ゾーヤは言った。
氷を紡ぎ合わせた結界で炎を相殺し、血を吐きながら。
「わたしはこんなところで止まりたくない、止まらない。だから……そこを、どきなさい!」
腐り落ちる全身に氷を纏い、腐敗する速度を可能な限り押し留める。歩けないのなら、這ったって近付いてやる。睨みつけるように腐敗の王を瞳に映した刹那、隕石のように巨大な氷塊が戦場に降り注いだ。
腐敗の王は平然とその身を抉られつつ、恍惚とした声色で呟く。
「腐りながらも失われぬ希望の光……生と死を超え、私に歯向かうとはな。いいぞ猟兵、もっとその魂を燃焼させるのだ!」
「お黙りなさい!」
ダークセイヴァーを歪めていた原因を前にして、怒りをぶつけずにいられようか。ゾーヤは白骨が見えかかった人差し指で腐敗の王を指し示す。
「あなたの勝手に、この世界を巻き込まないで。いつか必ず刃を届かせて見せるわ!」
「ああ、楽しみに待っているぞ。その約束忘れるな」
ゆめゆめ忘れるな――。
成功
🔵🔵🔴
シノギ・リンダリンダリンダ
腐敗を、死を。操れるのは己だけだと
まさか、そう思ってはいないですよね?
【我が腹】を解放
腐敗してしまう環境でしたら、それに呪詛が上乗せされるだけ
さぁ腐敗の王。海賊版の私
仲良く腐っていきましょう?
数多の呪詛毒を生み出せるCurse Of Tomb
どんな呪詛も毒も吸収する怨嗟Dead or Die
それらを霧に溶け込ませ、戦場全体を呪詛と、腐敗と、黄金化に塗れる世界にする
己が生み出す呪詛毒には耐性があるが、腐敗の王に対する腐敗には上記の己の体質を以て進行を遅れさせる
私の海賊版には新種の呪詛毒を調合して与えましょう
私を殺せるのは私だけですよ?
死ねないのでしたらその分、数多の毒の実験台になってくださいな?
なんて愚かしい自惚れだろうか。
己の力に溺れ、視野を広げることを怠った末路に違いない。
世界は広く、たくさんの未知にあふれている。
そう、ここに――腐敗を、死を、操れる者がいるということ。
どうかお見知りおきを、腐敗の王さま。
「これは……」
腐敗の王の肉体が|腐ってゆく《・・・・・》。戦場全体を覆い尽くすほどの呪詛毒の霧がシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海グリードオーシャン・f03214)の|腹《オタカラ》からとめどなくあふれ出しているのだ。
「まさか、自分が腐らされる体験は初めてですか?」
「なるほど。私が循環を操ることで腐敗を進めるのならば、お前は呪いでそれを成すというわけか」
シノギは無言で唇だけを吊り上げる。
説明の必要などない。見ればわかるから。これまで斃して来たオブリビオンたちの呪詛毒をたらふく溜め込んだ天使核の貯蔵量は底無しだ。
互いが互いの毒と循環によって腐り落ちてゆく。だが、そうやって外表が崩れてゆくほどにその身に蓄えた呪詛毒のあふれる量が増してゆくのは皮肉であった。
いつしかそれらは霧に溶け込み、戦場全てを支配下に置くだろう。
「いかがです? 貴方にはこのような芸当は不可能でしょう」
「確かにな。私には腐敗することはできても……」
彼は黄金と化した自分の右手を上げ、呆れたように笑った。
「このような真似はとてもじゃないが、不可能だ。それにどうやら貴様は腐敗の効き目も遅いらしいな」
「そういう体質なので」
「面白い。この手で殺してみたくなる」
「私を殺せるのは私だけなのですよ。悪しからずご了承くださいな。ああ、そちらの――海賊版の私も同様ですよ?」
所詮は過去の自分から生み出された存在に過ぎないオブリビオン。こんなたとえ話を知っているか。ある者が小説を盗み贋作を拵えた。どちらの作者が本物かを見抜くには続きを書かせればよい。
ゆえにシノギは新種の呪詛毒をその場で合成して解き放った。
「|元祖《オリジナル》に複製が勝とうなどとは片腹痛いですね」
またひとつ、ここに新たな呪詛毒が発明される。
腐敗の王はおかしそうに笑い声を上げた。自身が腐り落ちてゆくのがたまらなく快感のようだった。
「さしずめ、私は実験台か?」
「ええ。死ねない被検体は理想です」
ついにオブリビオンの躰が腐り落ちた。腐敗の王は忘れている。こちらの目的は彼を斃すことではなく、ひたすらにその体力を削ぎ落し続けることなのだ。
シノギは含み笑い、実験を続けた。それが腐食と毒と黄金化に塗れた世界に相応しい行動であると言わんばかりに。
「どうやら今日の実験は全て成功みたいですよ、腐敗の王?」
大成功
🔵🔵🔵
ロー・シルバーマン
…生きながらに腐らせる、か
それ程の苦痛を背負ってまで倒すべきか…当たり前じゃろう?
家族、仲間。逝ってしまった儂の大切な人々の苦痛に満ちた時間を終わらせる為に、生と死の循環を解放せねば!
即UC起動、神域を展開し癒し腐食に抗う。
ただ攻撃を叩き込む間体が動けばいい。
手足が潰れれば傷つけることも難しくなるじゃろうから浄化の結界を手足に重点的に張りつつ挑むぞ。
…苦痛は気合で抑え込む。この程度先に逝った皆の苦痛に比べれば…!
万全の自分には手負いの獣のなりふり構わなさで隙を突き突破。
UCの太陽風を叩きつけつつ敵の攻撃を見切り致命傷だけは避けつつ相打ち覚悟で猟銃で破魔の弾丸を喰らわせる!
※アドリブ絡み等お任せ
……生きながらに腐らせる。
それで怯むようならば、ロー・シルバーマン(狛犬は一人月に吼え・f26164)はここまでやってきていなかった。
胸を過ぎる家族や仲間、逝ってしまった大切な人々の苦痛に満ちた時間を今――ここで終わらせよう。
闇の世界に神域が生じる。
「風……?」
「そうじゃ」
不思議そうに太陽を見上げる腐敗の王にローは説明してやった。
「お主の悪しき感情や病毒を灼く古の太陽風。そしてわしを癒す陽光。さあ、勝負じゃ……!」
浄化の結界をさらに重ねがけた手脚は腐敗の進行を緩やかに止め、猟銃を持つ手と踏み止まる脚に加護を与える。
あとはもう、気合だ。
(皆よ、わしに力をくれ……!」
腐敗した血肉より生み出されたローのオブリビオンは鏡映しのように猟銃を構え、容赦なく攻撃を仕掛けた。
この場合、彼が五体満足であったことが逆に隙を生んだと言えるだろう。手負いの獣のなりふり構わなさを舐めてはいけない。
「どけえぇぇ!!」
強引にオブリビオンを突き倒し、吹き付ける太陽風に耐える腐敗の王に迫る。
「ほう」
腐敗の王の右手剣が胸を抉った。残念、心臓は逸れている。とっさに致命傷を外すように体をひねったローは猟銃の引き金を引いた。
破魔を含む弾丸は腐敗の世界の中で清浄な輝きを放ち、貫いた場所から腐敗の王が纏う死の穢れを浄化する。
成功
🔵🔵🔴
儀水・芽亜
身体が、生き腐れていく……。これが腐敗の王の力。
せめて、「範囲攻撃」のサイコフィールドで腐敗の進行を抑えましょう。「呪詛耐性」「環境耐性」はどこまで効果があるでしょうか?
私の作り物とは目障りな。『鎖蛇』で「なぎ払い」ます。眠らせに来たら、「眠り耐性」で抵抗します。
腐敗の王、生死の摂理を返してもらいますよ。死者は骸の海に還るがさだめ。
『鎖蛇』を振るって、その身体を傷つけ、「傷口をえぐる」ようにダメージを重ねます。
段々身体が上手く動かなくなってきました。それでも、まだ戦う意志は残っていますよ。
サイコフィールドで腐敗の進行を止めながら、ひたすらに『鎖蛇』を振るって――。
ここまでですか、口惜しい。
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)は今まさに死に向かって腐り落ちようとしていた。肺は膨らまず、鼓動は次第にゆっくりと……生命の埒外である猟兵だからこそ、この状態でもまだ動けるに過ぎない。
「さすが猟兵だな。普通の生き物であればとっくに死んでいる」
「それほどでもありませんよ」
戦場に満ちる鴇色の陽炎が腐敗の進行を緩やかに押し留め、温かな夢幻による痛みの緩和を齎してくれた。呪詛耐性や環境耐性もないよりはましか。それでいて、|これ《・・》なのだから生死の循環を操るという腐敗の王の能力は凄まじい。
「ここで止めを刺せないのが残念ではありますがね」
「ふっ、私の『欠落』を壊さぬ限りはな」
腐敗の王の傍らに集められた腐肉と血から生み出された芽亜の|オブリビオン《作り物》が儚い笑みを浮かべる。
「目障りな」
行く手を阻む自身を鎖蛇で薙ぎ払い、返す軌跡で腐敗の王を狙った。生死の摂理を取り戻すため、骸の海へ死者を還さんがために――!
「抵抗はよしなさい」
オブリビオンが攻撃に用いたのは子守唄。耐性を持つ芽亜は構わず聞き流した。そんなもので鎖蛇を操る手が止まると思ったら大間違いだ。
「まだ動けるのか、素晴らしい……!」
自らの肉に食い込み、抉る拷問具のしなやかさと執拗さが腐敗の王を感嘆せしめる。
「く……」
もはや腕の感覚がない。
動けているのは、これまでの戦いの経験が体に染みついているから。芽亜の意識はもはや半分以上薄れかけていた。
「それでも!」
斃れる瞬間まで、諦めない。
口惜しい、というのが芽亜が感じた最後の感情であった。ここまでか。遠く、腐敗の王の声がする。楽しそうに、面白がるように。
「また会う時が楽しみだな、猟兵よ――……」
成功
🔵🔵🔴
館野・敬輔
【POW】
アドリブ連携大歓迎
腐敗の王…っ!
貴様が、貴様が正常な循環を妨げて
死して尚魂人に転生し、永劫に苦しむ世界を作ったと…!?
…人々を苦痛の永劫輪廻から解放するために、貴様を倒す!
オブリビオンとして蘇った俺は黒剣1本のみで戦うが
そいつは魂のない、ただ剣で殴りつけるだけの木偶の坊さ
腐敗の王も、オブリビオンを盾に熱き魂の炎で俺を攻撃し装備を焼却するかもしれないが
それだけで戦えなくなる俺じゃない
…この世界の住人を舐めるな
指定UC発動し、身体の一部を白く硬化させ狂戦士化
硬化中に「ダッシュ」で接近し
「2回攻撃、なぎ払い、怪力」でオブリビオンも腐敗の王もまとめて殴り、投げ飛ばし、引き裂き、ねじ伏せる!
館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)の指先が白く硬化してゆく。手首、肘。足下も。白化が進むごと、敬輔の理性は失われる。
――ただ、それでも忘れないものがあるとすれば。
理性を越えた、心からの怒りと決意。
「貴様が腐敗の王か」
「いかにも」
「正常な循環を妨げていた元凶」
「間違いなく」
ついに敬輔の四肢と腹部の硬化が完了。
「つまり、貴様がいなければ魂人は存在せず、永劫回帰の苦しみもなかったのだな」
「ああ」
「っ……!!」
結論はただひとつだ。
白化した左眼に敵を宿しながら、敬輔は――走った。腐敗する世界を、傲慢なる王の間を、ついに開いた最後の戦場を。
「覚悟しろ、貴様を倒す!!」
混沌に纏ろう彼の同人の力が腐敗する躰を白化して押し留める。敬輔のオブリビオンの力が精彩を欠いたのは、そうやって腐敗した肉と血の流出が抑えられたことが一因であったのかもしれなかった。
「これが猟兵の力か」
腐敗の王はどこか満足そうに笑う。
その身が灼熱の炎と化し、獣めいた挙動で襲いかかった。
「だが、剣がなければ始まるまい!」
敬輔が装備する黒剣をユーベルコードで焼却した腐敗の王は勝利を確信して微笑む。
無手となった猟兵を迎え撃たせるオブリビオンは所詮、魂の入っていない木偶の坊。ゆえに彼の手にある黒剣は宝の持ち腐れであった。敬輔は白化した左手でぬるい剣戟を受け止め、自身のオブリビオンごと腐敗の王を力任せに薙ぎ払う。
――この世界の住民は、ずっと耐えてきたのだ。
他の世界にも貧しかったりオブリビオンの圧政に喘ぐ者たちはいた。だが、太陽の恵みさえ得られない世界など他にない。
それでも生きて来たのだ。
その強さを、思い知れ。
「ぐ……ッ」
微かに、腐敗の王が呻いた。
敬輔は腕を掴んで背中から地面に叩きつけ、そのまま抱えた腕を引き裂くようにねじり上げる。
積み上げろ。
少しずつでも構わない。
やがて貴様が斃れ伏すまで、何度だってねじ伏せてやるから。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
変革を謳い、自らの完結である死を目指して生き続ける藍ちゃんくんにとっては。
完結するでもなく死を奪われたオブリビオンとして蘇るというのはこの上ない悲しみでしょう。
|腐敗《変わりゆく》藍ちゃんくんを羨ましそうに見ているのがその証なのでっす。
ですが!
あの藍ちゃんくんはそれさえも覚悟していたかつての藍ちゃんくんでっすので!
歌うのでっす、その覚悟にお応えするためにも!
藍ちゃんくん達のユニゾンを!
藍ちゃんくんは|過去《オブリビオン》に。
オブリビオンは|今《藍ちゃんくん》に。
ヒトとオブリビオンとして敵対することになったとしても互いの藍音Cryねは互いを傷つけることはないのでっす。
その悲しみを癒やし、その原因たる腐敗の王を多重に揺さぶるのでっす!
熱き魂の炎?
装備焼却?
熱いのは炎だけではないのでっす。
藍ちゃんくん達の涙もまた熱いのでっす。
マイクが壊れてもドレスが燃やされても藍ちゃんくんにはこの魂があるのでっす!
過去に、今に、|未来《死》を取り戻す歌を歌い続けるのでっす!
――悲しみ癒す歌を、君に。
腐敗しゆく躰を流れる透明な雫は涙であった。けれど新たに生まれた頬を流れるそれも同じく涙としかいいようがない。
|それ《・・》を見せつけられた腐敗の王は理解できないでいた。おかしい。腐敗した血肉から生み出したオブリビオンは猟兵と血みどろの戦いを始めるはずだったにも関わらず、あの歌はこの身ばかりを抉る――。
「理由は簡単なのでっす」
いまもなお腐り落ちる最中ながら、藍は朗らかに笑った。
「変革を謳い、自らの完結である死を目指して生き続ける藍ちゃんくんにとっての哀しみとは、死を奪われたオブリビオンとして蘇ること。腐敗であってもそれは変わりゆくことには変わらないのでっす」
その証が、こちらを見つめる羨望の眼差し。悲しみを癒すには|原因《・・》を斃せばいい。そう、他の何かを傷付ける必要なんかないのだ。斃せ、|それだけを《・・・・・》。
「覚悟はとっくの昔にできているのでっす。かつての藍ちゃんくんならば、分かっているはずなのでっす!」
|だから《・・・》、歌え。
――藍色のユニゾンを。
過去と今が響き合い、元凶たる腐敗の王は追い詰められる。
「かくなるうえは……!」
だが、炎と化して藍の装備を焼却したところで歌は止まらなかった。マイクが壊れ、ドレスが燃えても魂がある限り舞台の幕は降りたりしない。
「過去に、今に、|未来《死》を取り戻すのでっす!」
歌が運命の循環を廻す原動力となる瞬間を腐敗の王は視るだろう。そうでなければ文化とは言えないから。肉体が朽ち、命が終わっても歌は生き続ける。それが生と死を超越するということではないか。
「くく……はははッ、面白い! 私は理解できないが、だからこそ面白い考えだな猟兵よ」
腐敗の王は満足そうに言った。
実に面白い、と。
「藍ドル、といったか。まったく外連味のあるやり口よ。だがそれがいい。たかが歌などにこの身を、やられるとはこれほど愉快なことは早々ないわ!」
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
生きながらの腐敗とはこれほど苦しいものなのですね💦
ですが!
フィルムスーツ機能(救助活動)が詩乃に細胞再生及び活性化アンプル
を注入&激痛耐性で時間稼ぎ。
今の私は神力とスペースシップワールドの科学力を併せ持つ存在、
即ちスペースアシカビヒメ!
貴方の力には屈しません!
《神性解放》
(今の私、シリアスに決まってる♪)
詩乃のオブリビオンが動き出す。
それは不気味な被り物を着て言った。
『私は邪神さ』
「それはもういいですから!」
先制攻撃でフィルムスーツの腕に内蔵したレーザー射撃・光の属性攻撃を
オブリビオンの眉間にスナイパーでロックオンして貫通攻撃。
「腐敗の王、あなたも分かつと同類ですか!
よりによってあの様な存在を呼び出すとは。」
『お前の場合はアレしか無い』
「そんな失礼な事を言うのはこの口ですか!」
腐敗の王の熱き魂の炎を凌駕するほど激おこな詩乃は、心眼・第六感で攻撃を予測、衝撃波・念動力で炎を吹き飛ばす。
オーラ防御も纏う。
煌月にUC&神罰・雷の属性攻撃を籠めた鎧無視攻撃で出来る限りダメージを与えて後に繋げる
生きながら腐敗するというのはこれほどまでに辛く、焼かれるような息苦しさと痛みに苛まれる感覚に耐えねばならないのか。
大町・詩乃(阿斯訶備媛アシカビヒメ・f17458)が咳き込むと黒ずんだ血が地面に散る。
「う……く、ッ」
身を包むホワイトカラーのフィルムスーツに内蔵された機能を使う。細胞再生と活性化を促すアンプルを注入、腐敗する速度に物理的なブレーキを施した。痛みを堪えて立ち上がる。
「立派なことだな。そこまでして戦う理由が貴様にはあるのか?」
「聞かれるまでもありません……」
煌月を構えた詩乃は、唇を引き結んで腐敗の王を見据えた。
「貴方はこのスペースアシカビヒメが討伐いたします。お覚悟を!」
「なるほど神秘と科学の融合体か、非常に興味深いな」
詩乃の神聖が解放されるほど、|それ《・・》はまるで体の内側から追い出されるかのように腐敗の王の傍らへ集まり始めた。腐肉と血に混ざり込んだ神性の対義的存在――即ち生れ落ちたばかりのオブリビオンが名乗る。
『私は邪神さ』
「それはもういいですから!」
黒歴史、黒歴史、黒歴史!!
まるで部屋に出た真っ黒なアレを叩き潰すみたいな勢いで詩乃はフィルムスーツの腕に内蔵された武装を解き放ち、オブリビオンの眉間を何度も撃ち抜いた。もう徹底的に光属性のレーザーで射殺した。二度と出てこないで下さいと叫び倒しながら。
「はぁ、はぁッ……」
肩で息を繰り返し、腐敗の王を睨みつける詩乃。
目は潤み、頬は羞恥に染まっている。
「腐敗の王、あなたも分かつと同類ですか! よりによってあの様な存在を呼び出すとは」
「他に無いからだ」
「なんですって!?」
「何度でも言ってやろう。お前の場合は|アレしか無い《・・・・・・》」
「ふ……ふぐうッ……」
詩乃は涙目になって煌月を握り締め、ぷるぷると震えながら怒った。それはもう激おこだった。腐敗の王の炎がフィルムスーツを焼こうと渦巻くが、それよりも速く煌月を薙ぎ払い、千々に吹き飛ばす。
「そんな失礼な事を言うのはこの口ですか!」
オーラを纏い、全身を若草色にみなぎらせた詩乃は神罰の稲妻を宿す刃で腐敗の王に斬りかかった。その鎧ごと、ぶった斬ってやる……!!
「失礼? 私は本当の事を言ったまでだが?」
「余計たちが悪いです!」
限界まで煌月を振りかぶり、止めとなる一撃を与える。
「英雄になろうがオブリビオンになろうが、アレだなんて……ッ! 私、もう何にもなれないじゃないですかあ―――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!」
大成功
🔵🔵🔵