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闇の救済者戦争⑲〜外道には制裁を

作者：御影イズミ

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「紋章つかいへの道がひらけたがー……奴さん、こっちになんか頼み事しようとしてんなー」

　集まってくれた猟兵達と共に、五卿六眼『紋章つかい』への道を確認しているフォンテ・ベトリューガー（｜白銀雷帝《Weis Blitz》・f38529）は今回の仕事について軽く説明する。

　ダークセイヴァーに蔓延っていた寄生虫「紋章」の生みの親である紋章つかい。これまでに作られた紋章の数は数知れず、そのために犠牲になった人々の命ややオブリビオンの数も計り知れない。
　『正しき意志の持ち主に紋章を渡し、英雄にする』という目的のために紋章を作り出しており、猟兵達はきっと紋章をつけて検体となってくれる！　と自分が正しいと信じて疑わないほど。
　自分の正しさを認めない者は正義ではない、と言い切るほどの外道でもある、とフォンテは呟く。

「で、まあ今回はその紋章つかいと相手してもらう。……相手の紋章をぶっ潰すって方向でな」
「ちょーっと厄介だけど、ありとあらゆる紋章を身につけた紋章つかいが相手だ」

　フォンテ曰く、彼が見えた先にいたのは不死の紋章をはじめとしたありとあらゆる紋章を起動させた紋章つかい。
　全身をこれまで作った紋章で戦闘力を増強させたり追加攻撃を使えるようになっており、『こういうのが使えるからきっと猟兵も紋章つけてくれる！』などとのたまっているそうだ。

「なんか戯言言ってんな、ぐらいに考えて討伐に向かった方がいい。ああいうのは無言で叩くに限る」
「ああ、ちなみに奴さんにも欠落はあるみたいだが、紋章作成に特化してるから無敵能力とかはない。紋章壊して倒せば倒れる」

　いつものように、叩き続ければそのうち相手はぶっ倒れるから安心しろとフォンテは笑いながら手を差し伸べる。
　準備が整った者から紋章つかいのところに送り届けるとのことだ。

　――命を粗末に扱う外道に、制裁を。

第1章 ボス戦 『五卿六眼『紋章つかい』』

POW   :    紋章正拳 【「番犬の紋章」を拳に装着しての正拳突き】が命中した部位に【紋章つかいの正義】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する（抵抗は可能）。 SPD   :    紋章連脚 【「不死の紋章」を脚裏に装着しての飛び蹴り】【「辺境伯の紋章」を膝に装着しての膝蹴り】【「殺戮者の紋章」を爪先に装着しての連蹴り】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる（何度でも可／対象変更も可）。 WIZ   :    紋章断罪翼 自身が装備する【「月の眼の紋章」を両翼に装着した漆黒の翼】から【細胞破壊光線】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【肉体宝石化】の状態異常を与える。 イラスト：レインアルト 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●道の上を疾走るだけ
　五卿六眼の１人、紋章つかい。ダークセイヴァーに蔓延る寄生虫・紋章を作り上げた張本人。その理由は『正しき意志を持つ者に、相応しき力を与える為』。
　猟兵達の存在を目の当たりにしても、正義を知る者だからこそ紋章を付けてくれると考えていた。

「まったく……アンタみたいなのをどっかの漫画で読んだんだよな。あー、世紀末な世界の……偽医者だったっけか？」
　そんな紋章つかいの様相にどことなく既視感を覚える数宮・多喜（撃走サイキックライダー・f03004）。頭の中に残る記憶を掘り返しても、なんかそういう漫画を読んだことがあったな、ぐらいの意識でいた。
「要らないな、｜楽観主義者《むのう》の｜紋章《さくひん》なんざ……有害な愚作は砕くに限る」
　対してヴィゼア・パズル（風詠う猟犬・f00024）は大きなため息をついた。目を眇め、半目で紋章つかいに視線を送り、傍から見れば鬼畜の所業であるが、もう一方の視点から見ればそれは『無能』で『役立たず』が作る正義でしか無いと言うように。
「いやそうそう、これよこれ。これこそがまさしく、ダクセのオブリビオン。あー、懐かしい」
　小さく笑うエスタシュ・ロックドア（大鴉・f01818）。これまでのオブリビオン以上に外道で鬼畜な相手が現れたことで、原点に戻ってきたと笑っている。言い方を変えれば、｜殴りがいがありそう《楽しめそう》だと。

　３人は共に走る。多喜とエスタシュはそれぞれ愛機に乗り、ヴィゼアは空中浮遊で紋章つかいへと近づいていく。
　紋章つかいはその名の通り、全ての紋章を使って猟兵達と渡り歩く力を持つ。そのため彼女達はチームワークを駆使して一点集中で紋章を破壊する方向へと決めていた。
　そんな３人を近づけさせまいと、紋章使いは翼に込めた月の眼の紋章を使い細胞破壊光線を放つ。紋章を使わぬ者に正義は無いと言わんばかりの雨が降る。
「治験が終わってないような代物、現場に持ち込んでんじゃないよ！　というか、治験なら自分の身体だけでやっときな！」
　SMG-MP5udcを使い弾幕を張って紋章つかいを足止めしていく多喜。宇宙カブJD-1725で上手く立ち回りつつ、時には神経を麻痺させて足止めをしたり、電撃を絡めた銃弾で紋章つかいの動きを阻害していく。
　だが、曲がりなりにも相手はダークセイヴァーを支配していた五卿六眼の１人。この程度で足止めされるほど弱くはない。
「その研究をひけらかすまでに、この時に至るまでに、いったいどんだけの歳月を使った！？」
　けれど多喜にはそれ以上に足止めの手段を持っている。それが、ユーベルコード『｜時縛る糸《クロノスタシス》』。１３９分の１秒で紋章つかいの主観時間を１３９秒間止める思念波を怒りとともに弾丸に混ぜ込み、紋章つかいを弱らせていた。

「まあ、自分で自分を使うという考えが無い以上、どんな実験も失敗だったと思うがね」
　ヴィゼアの鋭い声とともに、ユーベルコード『｜絶対零度の虹衣《アゥロラ》』が戦場全体を包み込む。
　思念体すら凍結させる絶対零度の空間。息を吸い込めば、喉を凍らせ肺を痛めるほどの空気が全体へと流れていく。
　けれど、多喜もエスタシュもそんな痛みはどこにもない。ヴィゼアの思うがままに、氷精霊の加護を与えてはその力を強化していくのみ。
「――其の在り方に、制限はない……とは言え、其の『｜正義《在り方》』は此処で終わらせるだけだ」
　凍てつく風を紋章つかいの周囲に奔らせ、ありとあらゆる痛みで足止めをしていく。それは紋章つかいを行動させるためではなく、次なる一撃に備えての準備として。
　今ここにいるのは自分だけではない。共に集まった仲間、集めてくれた彼が最後を決めてくれるとヴィゼアは信じていた。
「エスタ、頼むぞ」

「オーライ。思う存分、やらせてもらうぜ」
　ユーベルコード『｜黒曜火車《サモンザブラックレディー》』を使い、愛機シンディーちゃんと共に疾走るエスタシュ。多喜、ヴィゼアの支援を受けてたっぷりと力を蓄えた彼は、シンディーちゃん専用付属ジェットエンジン・ブルーフレアドレスから炎を噴出しながら紋章つかいへと近づいていく。
　凍てつく風によって紋章つかいの身体はもう氷漬けに等しい。空気中の水分が集まっては紋章つかいの肉体を少しずつ凍らせているため、エスタシュは炎で氷を溶かさないギリギリの限界を見極めて走り続けた。
「あ、そうだ。ひらめいた」
　燧石と名付けられた鉄塊剣・フリント。それに氷精霊の加護を貰って鋭い氷をつけてもらい、槍のような形を作ってもらったエスタシュ。片手でシンディーちゃんを運転しながら、狙いを定めるために紋章つかいの周囲を疾走る。
　高温と低温の狭間に取り残された紋章つかいへのダメージは激しいものだ。しかしエスタシュは『紋章を壊さない限りは終わらない』ことを知っている。
「――見つけたッ！！」
　走って、走って、走り回って見つけたトドメに至る憎悪の紋章。それを一突きすることで、戦いの終止符が打てることを知っている。
「やっちまえ、オーナー！」
「そのまま突き進め、エスタ！」
　限界ギリギリまで紋章つかいの足を止めている多喜とヴィゼアの声を受け、エスタシュは超スピードでシンディーちゃんと共に紋章つかいへと突っ込んでいく。

　道と名のつくもの、疾走らざるを得ないと言わんばかりに鋭い一撃が叩き込まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●正義を止めるためのヒーロー
「どれだけお前が正義を語ろうと……お前が積み上げてきた犠牲者達の無念は晴らせねえ！！」
　拳を握りしめ、紋章つかいに啖呵を切った空桐・清導（ブレイザイン・f28542）。
　紋章によって苦しめられた人々の嘆きは数知れず。犠牲となった人々を「実験台」としか見ていない紋章つかいの罪は、その人数分の重さがある。
　その全てを清算するために、怒りのままにヒーロー・ブレイザインは馳せ参じた。

「その紋章は１つ残らず焼き尽くす！　――決着！　変身ッ！！」
　ユーベルコード『｜決着変身！《ファイナル・ブレイザイン》』によって大きさが２倍以上となり、堅牢な装甲が包み込む。紋章つかいが戦場の何処にいようが、必ず見つけ出して倒すという強さが彼の姿をより大きくさせている。
　対する紋章つかいはその手に番犬の紋章を手に装着し、真っ直ぐに清導に向かってくる。己の正義のため、正義を乱す者に制裁を与えるために。
「そうはさせるか！！」
　正拳突きを叩き込もうとしてきた紋章つかいに対し、真正面から超特大の火焔砲と光焔砲で紋章つかいの身体を包む清導。１つの紋章だけではなく、全ての紋章を焼き尽くす勢いで砲撃をぶちかまし、更には光焔による鎖で紋章つかいを拘束していく。
　抜け出そうと必死に足掻く紋章つかいだが、その手に宿した番犬の紋章は正拳突きが当たらなければ発動しない。故に清導は特に念入りに、拳が動かないように拘束を強めた。

「そして、コイツでケリをつける！！」
　拳を高く掲げ、光焔を纏わせた清導。その光焔は高く燃え上がったかと思えば、剣のような形状となって清導の刃へと変貌する。
　一気に紋章つかいへと迫った清導の剣は天を割くような長さとなり、やがては己の力を込めて、自分の怒りを、犠牲者達の嘆きを祓うために振り下ろす。
「超必殺！　ファイナルブレイジング・スラッシュ！！！」

　正義を称する狂人に、正義を貫くヒーローの｜焔《ひかり》が迸った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2023年05月22日