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【SecretTale】Decision

#シークレット・テイル

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#シークレット・テイル


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●一方その頃、マリネロの港
「……うーん……」

 マリネロの港で猟兵達と共に行動していたジャック・アルファードが首を捻って考える。

 彼の従姉妹であるアルムがこのマリネロに落ちてきた状況について。
 そしてゲートから通ってきた可能性と抹消されたゲート作成者の情報。
 エレティック・リュゼ・ルナールと名乗る謎の男からの進言や、ヴィオット・シュトルツァーが届けた物。
 挙句の果てにはジャックの世界にいるはずの貴族ゲラルト・フィリップ・フュッテラーの存在が彼の頭の中を一層混乱させた。

 今、何が起こっているのか。今、何をすべきなのか。
 それらを考えるにはまだ少し、情報が足りない……そんな気がしているそうだ。

「こういうときは原点に帰れっていうから、セクレト機関に戻るのもいいんだろうけど……」
「……なんだろうな、まだこの街にいなきゃならない気もしてしょうがないんだよな」

 ぼりぼりと頭をかいて、どうしたものかと悩むジャック。
 現在彼がセクレト機関に戻ったとしても、上層部の人間――ヴォルフやフェルゼンからは敵として認定されかねないため、安易に帰還することも難しい。
 それならマリネロの街にいてもらうことも可能だが、非常事態の際には燦斗と協力することを取り付けているそうで、あまり燦斗から離れることも許されないそうだ。

「あー、まあアンタらがいてくれるから、|狼のおっさん《ヴォルフ》や|片目のおっさん《フェルゼン》には敵と認定されないかもしれないけどな?」

 ちょっとだけ悪戯っぽく笑うジャック。
 この世界を救うために呼び出されている猟兵達と協力しているのなら、自分自身も同じ協力者に見てくれねぇかな、と淡い期待を寄せているようだ。

「……けど、狐面のおっさんとも話をする機会を準備しておくのも悪くないか」

 小さくため息をついて、今、自分が出来ることを考えるジャック。
 マリネロの街に留まるか、セクレト機関に戻るか――。

●一方その頃、セクレト機関
「……また?」

 司令官であるエルドレット・アーベントロートは眉間にシワを寄せて、何かの情報を脳内で受け取っている。
 それは隣で席についているヴォルフ・エーリッヒ・シュトルツァーにも同様に届いているようだ。

 その情報は『マリネロの街の子供たちが行方不明になる』というものだ。
 ここ最近になって増え始めた失踪事件。事前にコンラートからも情報が届いているようだが、それ以降も続いていることから緊急事態となりはじめていた。

「マリネロの街で……か。最近頻発してねぇか?」
「ああ。あの街はエスクロが張ってたってのに、どうやって抜けてんだか」

 なあ? と虚空に問いかけると、小さなウィンドウが1つエルドレットの前に現れる。
 そこに記されていた文字は以下のようになっていた。

 ――ちゃんと俺は仕事してたんだからな!
 ――エルドレットが見ていないところで!
 ――Escroc Chercheur

「はいはい、わかってるわかってる。誰も仕事してないって言ってないって」

 両手を上げて、降参のポーズを取ったエルドレット。エスクロと呼ばれる人物に向けての言葉を一言二言投げた後、今後の対策をヴォルフと共に練っていた。

●一方その頃、諜報部隊オルドヌング
「……えっ、ゲラルトさんが!?」

 驚いた声を上げるエーミール・アーベントロート。虚空に浮かぶウィンドウによって新たな情報が彼に舞い込んでいた。
 新たな情報……ゲラルト・フィリップ・フュッテラーが更迭されたという情報が。

「いや、まあ、あの人は普段から『異世界間戦争起きねぇかな……』とかのたまう人でしたけど、そんな本気にはしませんやん!?」
「ねえエルドレット!? 私の声が聞こえてるなら、彼の更迭を解いてくださいよ! 無実ですよ、彼は!」

 仲間が更迭され、虚空に声を荒げるエーミールに反応して別のウィンドウが開かれ一言残す。
 それは司令官であるエルドレットからの言葉でもあった。

 ――今はだーめ。
 ――ゲラルト君が何をしてたか、こっちでも調査するからね。
 ――Eldolet Abendroth

 そのウィンドウがエーミールの目に映ると同時、ふ、とエーミールの脳裏にあることが浮かんだ。なんてことはない、ゲラルトのある弱点。
 それはゲラルト自身は命令がなければ動けない人物である、ということ。過去大罪を犯している彼は監視対象のため、命令が下されなければ動くことが出来ないのだそうだ。

「……エルドレットの命令で動いていたわけでは、ない……?」

 エルドレットが動かしているわけではないのなら、では、誰が彼に命令を下していたのか?
 謎は今もなお、深まるばかり……。


●そして始まる、調査のお時間。
 猟兵達に与えられた情報はいくつか存在する。
 その中でも、まだ詳細が出ていない情報もある。

 今回はそれらを調べるお時間。
 ――さあ、何を調べようか?


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 自作PBW「シークレット・テイル」のシナリオ、第五章。
 今回は『現在集まっている謎に触れる』が主になります。

 シークレットテイルHP:https://www.secret-tale.com/

 今回のシナリオでは「過去の情報」から現在に至るまで触れていない情報について調べていくシナリオになりますので、なるべく「過去シナリオ」を読むことをオススメします。
 現時点で猟兵達が持っている情報は以下の通り。

 ・ジャックの持つ「ゲートと■■の関係性について」の内容
 ・行方不明者が出た30年前の事件
 ・エレティック・リュゼ・ルナールについて
 ・ゲラルト・フィリップ・フュッテラーについて
 ・アルムが通ってきたゲートの情報について

 この他にも、過去シナリオで気になる情報があればそちらについて調べることも可能です。
 整合性が取れていれば、リプレイとしてお返しします。
 逆に理由に整合性が取れていなければ、プレイングはお返しになります。

 また今回は以下のNPCと会話が可能です。
 上段はセクレト機関に帰還した扱い、下段はマリネロの街に留まる形になります。

 ・エルドレット・アーベントロート
 ・金宮燦斗
 ・ヴォルフ・エーリッヒ・シュトルツァー
 ・エミーリア・アーベントロート
 ・フェルゼン・ガグ・ヴェレット
 ・諜報部隊『オルドヌング』メンバー(公式サイト参照)

 ・ジャック・アルファード
 ・エレティック・リュゼ・ルナール

 なおジャックに関してはセクレト機関に帰還することも可能ですが、その場合は隠れての帰還となります。
 この点に関してはご注意ください。

 皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Mission-05
 シナリオのクリア条件
 過去情報の調査

 過去情報調査 フラグメント内容
 POW:NPCに無理矢理話を聞いて追加情報を探る。
 SPD:気になった情報を引き合いに出してNPCから話を聞く。
 WIZ:いろいろな推測を立てつつ、NPCから情報を引き出す。

 以下、会話可能NPCの居場所等

  **************

 ・エルドレット・アーベントロート
  →セクレト機関・司令官室

 ・金宮燦斗
  →セクレト機関・研究用スペース

 ・ヴォルフ・エーリッヒ・シュトルツァー
  →セクレト機関・司令官室

 ・フェルゼン・ガグ・ヴェレット
  →セクレト機関・第2書庫

 ・諜報部隊『オルドヌング』メンバー
  →ゲラルト:セクレト機関・懲罰房
  →オスカー&テオドール:セクレト機関・休憩室
  →カスパル&ローラント:セクレト機関・訓練室
  →エーミール&メルヒオール:セクレト機関・ミーティングフロア
  →ロルフ&シェルム:セクレト機関・購買部
  →ヴィオット&コンラート:マリネロの街

 ・ジャック・アルファード
  →マリネロの街・港区

 ・エレティック・リュゼ・ルナール
  →マリネロの街・商店街

  **************

 話しかけるNPCによっては、マリネロの街に留まるかセクレト機関への帰還となるので注意。
 合流したい場合はその旨を伝えること。
黒木・摩那
謎が謎を呼んできてる状態ですね。
悩ましい……

そもそも世界を繋ぐゲートは誰でも作れるものか?
そして、先の基地襲撃のゲートを開けたのはエルドレットさん、ということでした。

ここから推測すると、
エルドレットさんが複数いる可能性がある?
それが未来からの自分なのか、異次元世界の自分か、誰かの詐称かはわかりませんけど。
側にいるヴォルフさんも司令官の知らぬ間に権限を使うことも考えられますね。

司令官周辺が怪しいとなると、更迭されたゲラルトさんもむしろ知りすぎてしまったから、とも考えられます。

まずは、これらのことを金宮さんにぶつけてみましょうか。
ゲラルト自身から更迭された理由わかる?も聞いてみたいかも、です。



●Case.1 司令官の謎

「謎が謎を呼んできてる状態ですね。悩ましい……」
 セクレト機関に戻ってきた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は眉間にしわを寄せ、これまでの情報を精査するため研究用スペースへと向かっていた。
 その間、摩那の頭に浮かんでいた疑問は『そもそも世界を繋ぐゲートは誰にでも作れるものか?』というもの。機関襲撃事件ではエルドレット・アーベントロートが作成者という事になっているが、じゃあ、その名前を騙ってゲートの作成は出来るのだろうか、と。
「ここから推測するに……もしかして、エルドレットさんが複数いる可能性がある……?」
 ある1つの答えかもしれない何かに辿り着いた摩那。研究用スペースまで辿り着いて、その推測について燦斗に話を聞いてみることに。

「まず、私が考えたのは『エルドレットさんが複数いる』という推測。未来からの自分なのか、異次元世界の自分か……あるいは誰かの詐称かはわかりませんが……」
「ふむ、なるほど。確かにそれならあり得る……かもしれませんが、実は父にはそれが当てはめられないんです」
「えっと……それは、どういう?」
 少し意味が理解出来ていない摩那。人間、誰しも過去や未来、平行世界の自分などの存在があり得るかもしれないというのに、エルドレットにそれが当てはめられないのはどういうことなのだろうか、と。
 そんな摩那を見て燦斗はアレ? と声を上げそうになったが、ふと、あることを話してない事に気づく。
「そういえば……摩那さんには父の身体がどうなっているか、お話したことはありませんでしたね?」
「え、エルドレットさんの身体? なにかあるんですか?」
「はい、あります。まあ、機械の身体って言うだけなんですけど」
「さらっととんでもないこと言ってません?」
 燦斗曰く、エルドレットの身体は全てが機械の身体。彼はある事情から脳だけを大型コンピューターに繋いでおり、そこから機械の身体を動かしている状態なのだそうだ。
 そのため、エルドレットだけは『現在のエルグランデ』から離れることが出来ない。時間軸の移動、並列世界への移動を行えばたちまちにその身体は機能停止してしまい、動かすことの出来ない鉄の塊へと変貌してしまうためだ。
「一応異世界や平行世界でも動かす方法はあるんですが、それには私達兄弟がいないと出来ないんですよ」
「けれど、金宮さんやエーミールさん達と一緒にいるエルドレットさんの姿は……|誰も見ていない《・・・・・・・》」
「そう。なのでゲートの情報に関しては誰かが改竄していると考えるほうがいいと思いますよ」

 少しだけ休憩をし、燦斗から紅茶を頂いた摩那。少しだけ気分が落ち着いたところで、次の話題へと切り替えた。
「では、ヴォルフさんが関与している可能性は? 彼なら司令官の知らぬ間に権限を使うことも考えられますが」
「それは少し……難しいかもしれません」
 少しだけ燦斗が口ごもる。というのも、ヴォルフ、燦斗、エミーリアの3名は肩書こそ全員同じ『司令官補佐』だが、それぞれ使える権限が違っている。
 燦斗は研究調査関係の権限、エミーリアは情報関係の権限、ヴォルフは人員管理の権限のみ。ゲートの管理に関しては補佐の中では燦斗のみが使える状態であり、ヴォルフは自由にゲートを作ったり情報を操作したりは出来ないとのこと。
 じゃあ、金宮さんが……!? とわざとらしく驚く様子の摩那に対し、燦斗はいやいやそれはない、とツッコミを入れて和ませて、前回のゲート情報についての追加情報について語った。
「念のため襲撃時のゲートに改竄の跡がないか確認した所……一旦、情報を削除した形跡があったんです。そこで私はアルムさんが通ってきたゲートの情報をもう一度探った所……」
「……まさか、作成者が変わっていた?」
 摩那の問いかけに小さく頷いた燦斗。キーボードを叩き、マリネロの港のゲート情報を見せてもらえば……摩那が確認した時には確かに作成者情報が削除されていたはずなのに、今現在では作成者の名前が『エルドレット・アーベントロート』に変更されていた。
 こういった作成者の情報変更が出来るのは本来であればエルドレットか燦斗のみ。しかし彼もエルドレットもやっていないと口を揃えるため、ますます混乱が広がっていた。
「誰かがなりすましている……そう考えたほうが良さそうですね」
 カップに残っていた紅茶をすべて飲み干した摩那はソーサーにカップを置いて、もう一度考え込んだ。


●Case.2 更迭の理由

 色々と頭の中で考え込んでいる摩那。ふと思い出したのは、自分がマリネロの港で捕まえた不審者――もといゲラルト・フィリップ・フュッテラーのことだった。
「そういえば、ゲラルトさんって更迭されたと聞きましたが」
「ああ、はい。それがなにか?」
「更迭されたのは、ゲラルトさんはもしかしたら『知りすぎてしまった』からかな、と思って」
「あー……いえ、父から聞いた話では、それはない、だそうです」
「では、何故?」
 何故か、と問われると燦斗は眉間にしわを寄せた。というのも、燦斗自身もあまり納得のいっていない理由でゲラルトは更迭されたのだそうだ。

 諜報部隊《オルドヌング》副リーダーだったゲラルト・フィリップ・フュッテラー。
 彼は拘束を受けた後の弁明で『同志のために私は動いている』と発言したのだが、ヴォルフも燦斗も意味がわかっていない中でエルドレットだけがその意味を理解したらしく、彼と一言二言言葉を交わした後に更迭を宣言されたそうだ。
 その理由はエルドレット曰く『このままじゃいけない』とのこと。未だ意味の分からない理由だが、エルドレット自身はなにか考えがあって彼を更迭したのではないか、と燦斗は推察している。
「何がいけないのか、それに彼の言う同志とは誰のことを指しているのか……私にはわからないんですよねぇ」
「うーん……。|同志《それ》、口癖だったりします?」
「あー……どうでしょう。その辺りは詳しい人……エーミールやメルに聞いてみないことにはわかりません」
 全ての人員の情報を知っているわけではないので、と断りを入れた燦斗。司令官補佐といえど、機関や部隊の人達の情報については全く頭に入っていないのだそうで。
「ゲラルトさんについては、そうですね……本人に話をつけたいなら、私が何とかしますよ。懲罰房に入れられてますからね」
 そう言って燦斗は再び微笑んで、コンピューターと向き合う。
 まだまだ探るべき情報はあるだろうからと、共に探ってくれるようだ。


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 ・エルドレットの身体についての情報が開示されました。
 →彼にこの話を聞くと……?

 ・マリネロの港にあったゲートの情報が再び書き換えられているようです。
 →作成者が「エルドレット・アーベントロート」に切り替わりました。

 ・ゲラルトの更迭理由は『このままじゃいけない』とのこと。
 →詳しい理由はエルドレットが知っているようですが……。
 →現時点でオルドヌング副リーダーが変更となりました。
 →NPC「ゲラルト」「カスパル」に情報追加。

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大成功 🔵​🔵​🔵​

唯嗣・たから
POW
たから、考えるの苦手。とりあえず、エルドレットさんにお手紙届けて、身体のことについて聞く。あとゲラルトさんの更迭理由も。

エルドレットさん、たから郵便局です。お手紙どうぞ。
あと合言葉、|秘密《セクレト》に潜む|救世主《サルバドル》を解き放て、だって。お手紙に書いてあった。

あのね、たから、来たばかりで情報整理しきれてないから、いっぱい聞いていーい?エルドレットさん、身体のご事情で、現在のエルグランデから離れられないって本当?ゲートの情報、エルドレットさんが作成したことになってるみたいだけど、作ったの?

あとゲラルトさんの更迭理由、教えて欲しい。えっと、これは好奇心で知りたい。



●Case.3 届けられた手紙

「んむぅ……」
 手に手紙を携えて、唯嗣・たから(忌来迎・f35900)はセクレト機関の司令官室へと向かう。
 既に猟兵達には司令官室まで入る許可を与えているとのことなので、すんなりと扉は開きエルドレットとヴォルフのもとへ。
「お? どしたん、嬢ちゃん」
「えっと、エルドレットさん……」
 きょろきょろと首を左右に振って、どっち? と首を傾げるたから。
 こちらに来たばかりの彼女はまだエルドレットの姿を見たことがなかったので、名前を呼んでどっちがエルドレットなのかを判断した。
 代赭色の三つ編みを持った、左頬に紅の塗られた男が軽快にたからの声に返答し、自己紹介をしていく。
「はいはーい、俺がエルドレットね。こっちの厳ついおっちゃんはヴォルフ」
「誰が厳ついおっちゃんだコラァ。テメェの方が年齢バカ高ェだろうが」
「はははー、それに関しては内緒でーす」
 からからと笑うエルドレット。簡単な自己紹介をしてもらったことでたからはエルドレットとヴォルフの判別ができるようになったため、改めて彼に持ってきたもの――手紙を渡す。
「えっと、えっと。たから郵便局です。お手紙どうぞ」
「手紙? 誰から…………っ!?」
 その手紙を受け取った瞬間、エルドレットの表情が強張る。予想できなかった不意打ち、見えてなかった未来が来たと言いそうな顔に、ヴォルフも眉を顰める。

 手紙の内容はエレティック・リュゼ・ルナールからの一筆。たからが合言葉である『|秘密《セクレト》に潜む|救世主《サルバドル》を解き放て』の一言を添えると、エルドレットは一度悩むような表情を見せて……ある1つの決心をした。
「仕方ない、ゼ……ルナール教授がそう言うのなら、ジャックを正式な機関招待者として登録する必要があるようだ」
「はあ!? どういうことだよ、ドレット! 説明しろ!」
 意味が分からず怒るヴォルフ。彼にもきちんとした説明をするべきだと判断したエルドレットは、ある指定を入れてヴォルフに話すことにした。
「あー……ヴォルフ、ここから話すことは誰にも言うなよ。リヒにも、ミルにも、メルにも、リアちゃんにも」
「……それは、アイツらに知られてはならないから?」
「もっと言うとお前にも知られたくなかったんだけどね。こればっかりは仕方ない」
 やれやれ、と呟いたエルドレット。たからのための椅子をコントラ・ソール《創造主《クリエイター》》で作り出すと、説明を始めた。

 |秘密《セクレト》に潜む|救世主《サルバドル》を解き放て。
 これは、ある人物からセクレト機関に潜ませた救世主となりうる人物――つまりはジャック・アルファードを自由にしろ、という意味。
 ジャックをセクレト機関に送り込んだ人物の正体は、ベルトア・ウル・アビスリンク。彼はまだ死んでおらず、今もなお箱庭世界で生きている。その世界の神様として君臨している形にはなっている……そうだ。
「えっと、そしたらジャックさんは……」
「例の件は知ってるね? ……あー、ヴォルフにも言えない、例の件」
 エルドレットのいう例の件とは『裏切り者がいる』という情報。このことはエルドレット以外では猟兵達しか知らず、たからや他の猟兵達にも誰にも告げるなと言われている。
 その件に関して異世界にいるベルトア側に支援を申し出た所、ジャックが派遣された。彼はベルトアからあるコントラ・ソールを受け取っているため、それを使って猟兵達の支援を受け取れるだろう……と予測が立てられている。
「ただ、問題があってね。トア……ベルトアとジャックの持つコントラ・ソールは俺じゃあ登録が出来なくて」
「じゃ、じゃあ、だれが……?」
「そこでルナールの出番。どうやら、ベルトアからの手紙をある人物から受け取ってて、それからこっちに登録してくれたみたいだ」
「その、お手紙を運んだ人って、誰?」
「ふふふ。その人物こそが、ゲラルト・フィリップ・フュッテラー。今回更迭された人物さ」
「……そういえば」
 ふと、たからは考える。ゲラルトの更迭理由が、かなりふんわりしていたものだったが……あれは何故なのだろうか?と。
 本来更迭理由ともなれば、かなり重大な違反などしなければならないものだ。しかしゲラルトの場合は『このままじゃいけない』という、ふんわりした理由だけ。それだけで諜報部隊オルドヌングの副リーダーから外されたのだ。
「どうして、このままじゃいけない、なの? 好奇心でちょっとだけ、気になった」
「あー……それに関してはちょっとゲラルト君の経歴にも関わるんだけどー……」
 どうしよう? と首を傾げてエルドレットはヴォルフを見る。ヴォルフは少しだけ考えたが、エルドレットが説明するよりは……と軽く説明をしてくれた。

 ゲラルトは元は異世界渡航を繰り返し、犯罪級の行いをしていた人物。逮捕後は死刑宣告を受ける可能性が高いとまで言われていたのだが、それにストップを掛けたのがヴォルフだった。
「能力が良かったんでな。ある縛りをつけた上で、俺の部下として働かせることにしたんだ」
「えっと、その縛りっていうのは……?」
「それが『命令がないと自由に動けない』っていう縛り。俺の部下である以上は、誰かの命令がないと動けないんだ」
 誰かの命令がなければ動けないゲラルトの話を聞いたたから。エルドレットが言う『このままじゃいけない』という言葉を今一度思い出し、ある事に気づいた。
「……はっ! お手紙運んでるなら、自由に動けないと、たいへん!」
 もし、ゲラルトが運ぶ手紙が『裏切り者の阻止』に繋がるのだとしたら、制限がかかっているのは非常にまずい。そこで縛りをなくすため、ヴォルフの部下という立場……副リーダーという座を外し、自由にすることでベルトアやルナールとの手紙を自在に行き来させるようにしたのだ。
「すごーい……」
 目をキラキラさせるたから。ちょっとした理由でも、ちゃんと考えられた上での理由だったのだと知って少々楽しそうだった。


●Case.4 いろんな謎

「そういえば、エルドレットさん。身体の事情で、現在のエルグランデから離れられないって、本当?」
 もう1つ、気になったことを口にするたから。時系列の違う複数人のエルドレットがいたら、という想定があったが、新たな情報――現在のエルグランデから離れることが出来ないという情報により、それは潰えた。
 その情報は確かなものなのかを確認すべくたからは口にしたが、エルドレットはあっけらかんと『うん』と答えた。
「まあ簡単な話、中継機と途絶えた携帯電話みたいなものさ。電波がなかったら、動かないだろ?」
「脳と身体が、別々の場所になるから……?」
「そういうこと。信号が貰えなかったら、この身体は鉄の塊になっちゃうんだ」
 脳からの信号を受け取り、初めて動かせる身体。逆を言えば、現在でも脳からの信号が途絶えれば目の前にいるエルドレットさえも……。

「じゃあ、ゲートの情報、エルドレットさんが作成したことになってるみたいだけど……」
 最後の情報、新たに書き換えられたゲートの情報について尋ねてみるが、エルドレットは首を横に振って否定する。
「あー、そっちは俺じゃない。誰かが上書きして変更してるね、アレ」
「そーなんだ……」
 ゲートの情報に関しては、一切関わりがないと言い切ったエルドレット。自分が作ったゲートは猟兵達が来て以降は確かにジャックを呼んだときのものだけであり、それ以外では開いたことはないと。
 ただ、エルドレット曰くゲートの情報はそう簡単に書き換えられるものではない。司令官である自分でさえも、容易には手出しできないそうだ。

「じゃあ、だれが……?」
 司令官でも手出しが難しいゲートの情報。
 一体、誰が書き換えているというのだろうか……。



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 ・ゲラルトの更迭理由が判明しました。
 →彼は『命令なく自由に動くため』副リーダーの座から外れました。
 →以後ゲラルトは手紙運びのために自由に動き回ることでしょう。

 ・合言葉が使用されました。
 →以後、合言葉の使用は不要です。

 ・ジャックを派遣したのは『ベルトア・ウル・アビスリンク』だということがわかりました。
 →新たに情報項目としてベルトアについて調べることが可能です。

 ・ジャック・アルファードがセクレト機関に戻っても敵と判別されなくなりました。
 →このため彼のNPC立ち位置が「猟兵達の協力者」へと変貌します。

 ・エルドレットの身体の詳細について判明しました。
 →彼は『脳からの信号が途絶える』ことで行動不能となります。

 ・NPC「ジャック」「ベルトア」「ゲラルト」の情報が更新されます。
 →詳細は公式ページを御覧ください。

***************************************

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
WIZ アドリブ連携歓迎
場所:マリネロの街 行動:行方不明の調査

ふむふむ。色々と情報が混み入ってきマシタネー。
ベルトアという方が何やら暗躍されている様子。
ゲラルト殿やエレティック殿の動向も気になりマスガ……特にエレティック殿は何か知ってそうデスガ……。
ひとまず手の届く範囲で探りマスカナ!

という訳でヴィオット殿とコンラート殿にも手伝ってもらって、失踪した子どもたちを探しマショー!
子どもの減少に真っ先に気づいたコンラート殿の協力があれば、何か手掛かりが見つかるかもしれマセーン!
ヴィオット殿は配達が終わって暇デショーシ、人手は多くて損はありマセーン!(離れ離れにしてはいけないも気にかかるため)
経費で落ちるという話なので、遠慮せず《オープン・セサミ》!
バルタンズの人海戦術で、情報収集と痕跡の捜索を行いマース!

そういえば、この街にはエスクロという方がおられると小耳に挟んだのデスガ、その方の協力は得られないのでありますかな?
お忙しいのでなければ、ご挨拶ついでに情報共有をしておきたいのでありますが。



●Case.5 子供達の行方

 少し日が傾いた頃のマリネロの街。バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が情報をいくつかもらって、考える様子が見えた。
「ふむふむ。色々と情報が混み入ってきマシタネー。暗躍されてる方やら、動向が怪しい方やら……」
 眉を寄せ、集まった情報にどれから手を付けるか悩むバルタン。その隣では休暇中のヴィオット・シュトルツァーとコンラート・ベトリューガーの2名もいた。

 ……というのもコンラートはこのマリネロの街を見て、ある事に気づいている。
 それが『子供達が少ない』という、パッと見ただけではわからない事態。既にセクレト機関側へ連絡も入っているようだが、具体的に誰がいなくなっていて、いつから行方不明なのかまでは定かではない。
「コンラート殿、なにか手がかりなどが見つかったのデスカ?」
「んやー、普段この街に来たら顔見知りの子が来るねんけど、今日来なかった~って思っててなぁ。それでよー見たら、遊んでる子供少ないなぁ、って思ってて」
「ふむふむ……ではまず、その方のご家族にお話を聞くのが良さそうデスネ?」
「せやなー。おうちは確かあっちの方やから、聞きに行こか~」
「では、その間に子供達の捜索隊を組みマショウ! ――レッツゴー、バルタンズ!」
『バッルルー!』『『『バルバルバルー!』』』
 ユーベルコード『|バルタンズの軍勢《オープン・セサミ》』を使い、ミニ・バルタン達による捜索隊を組むバルタン。ちなみにセクレト機関の経費としてミニ・バルタン達のお|給料《こづかい》が出せると聞いたので、遠慮なく人数を出して人海戦術を組んだ。「いや経費無限ではないんだが??」とエルドレットが言った気がしたが、気にしない。
 自分達が聞き込み調査をしている間に子供達を探し、ほんの少しでも手がかりを見つけることが出来れば僥倖と言ったところ。
 しかしミニ・バルタン達の足では少々時間がかかる可能性がある。そこでヴィオットが一つ、提案を出した。
「外に出すなら、俺のコントラ・ソール|《精霊猫《ガイストカッツェ》》の猫達乗ったほうが良さそうやな」
「おや、良いのデス? 重さとかは……」
「|猟兵《あっち》のサライもやっとるし問題ない。ってことで……」
 指笛を鳴らし、ミニ・バルタン達が乗せられるサイズの精霊猫を呼び寄せたヴィオット。ミニ・バルタンの数に合わせて……は難しかったため、街の外へ出る部隊を優先的に足代わりにすることに。

 ミニ・バルタン達を放出した後も、バルタンはコンラートとヴィオットと共に子供達の親から情報を集める。
 コンラートとヴィオットを離れ離れにしてはいけない。その言葉がどうしても引っかかっているため、彼等を離れ離れにするわけにはいかなかった。
 3人で町の人々から聴取を行い、集めた結果が以下の通り。



「うちの子がいなくなった時? 確かあの時はいつも教授と一緒に勉強会をしてる子といなくなってて……」
「うちの子は隣の家の子と一緒にいなくなったんだ。まだ見つかってないが……何処に、いるんだろう……」
「え? 1人きりにさせてたかどうか? いや、流石に1人で出かけるような子じゃないよ、うちの子は。絶対誰かいないと怖がって外に出ないからね」
「うちは兄弟揃っていなくなったんだ。機関に連絡を入れてから数日……何がどうなっているんだろう」



 様々な情報が上がる中、1つだけ共通する事項がある。それは『行方不明者は必ず2人以上でいなくなっている』という点だ。
 1人ずついなくなるならまだしも、必ずと言っていいほど2人以上でいなくなっている。これにどんな理由があるのかまではわからないが、少なくとも急速に子供の数が減った理由には当てはまるだろう。
「だから俺が見た時、なんか一気に減ったなぁ思ったんやな」
「あとはミニ・バルタン達の報告待ちデスナ。何処まで走ったのやら……」
「んー……精霊猫の反応的に、一定の距離から先は行ってないな。これもなにかの指針になりそ」
 マリネロの街の外に出たミニ・バルタンと精霊猫達はそう遠くはない場所まで出歩いているが、街を大きく離れるような事は起きていないようだ。
 これは子供達の足跡や行動範囲から絞られた可能性の範囲というだけで、ミニ・バルタン達はそれを計算し尽くして走ってくれているようだ。

『バルルー!』『ふぐるにょわー!』
 そのうち、1組のミニ・バルタンと精霊猫がバルタン達のもとへ戻ってきた。
 2つの声はかなり焦りの声を出しており、何事かと3人が振り向くと……狐面の男・ルナールを簀巻きにして引きずっている光景が目の当たりにされた。
「ちょっとそこの3人組、このちみっこいのどうにかしてくれないかね!?」
『バルァ!』『にょん!』
「いったぁー!?」
 喋るなといわんばかりにルナールを叩くミニ・バルタンと精霊猫。
 この男がどうやら怪しさ満点だったから連れてきたようだが、反論の余地すら与えられず「とりあえず主の所に連れて行こう!」と連れてきたようだ。
「オォウ……何があったのかはわかりマセンが、ひとまずどうどう……」
 暴れるミニ・バルタンと精霊猫を落ち着かせるバルタン。そのうち事情聴取を行うのはバルタン達に引き継がれたため、ミニ・バルタン達が集めた情報と重ねてルナールへの事情聴取が行われた。



●Case.6 エスクロ・シェルシェールの正体

「いや、本当に私じゃないんだってばぁ……」
「ふーむ……」
 簀巻きのまま、バルタン、ヴィオット、コンラートに事情聴取を受けているルナール。
 ミニ・バルタンの調査では子供達がいなくなる直前には必ずルナールが関わっていた部分も大きいが、調査範囲内に彼の住居が見つかったため、彼が犯人ではないか? と考えられたそうだ。
 しかしルナールは逆にゲートを閉じていたのは自分だ! と反論。司令官エルドレットとも協力を取っているのは既にバルタンも知っているが、少し怪しいのは間違いない。
「そういや、さっき連絡あったけどジャック・アルファードが協力者認定受けたんやっけ?」
「そうデスネ。お手紙を届けた方がいらっしゃるので。その手紙の届け主がこちらの方デシタ」
「ああ、そうだね。頃合いを見て彼に権限を与えてくれ、と言ったのだが……エスクロのヤツが司令官に通してねぇからなぁ!!」
 ツッコミを入れるような表情で叫んだルナール。
 ここ最近、ずっとエスクロという人物に司令官エルドレットへの提言を伝えていたのだが、エスクロが忘れていたのか、それとも別の事情からか通していなかったようだ。

 ふと、バルタンは思い出す。この街にはエスクロが見張っていたという話でもあるのだから、もしよければその方に顔合わせをして情報を交換しておきたいと。
「エスクロさんと?」
「エスクロさんとかぁ……」
 その声に渋い声を上げたのは、ヴィオットとコンラート。彼と会うのは至難の業だと口にしたが、そのぐらいなら猟兵はなんとでも乗り越えて見せようとバルタンは言う。
 だが、2人が渋っていたのはそういう理由ではなかった。至難の業というのは、『物理的に会うのが難しい』という意味のようで。
「?? どういう意味デショウ?」
「ああ……先生はまだ、|彼等《猟兵》に伝えてないのか」
「何を……」
「司令官が機械の体というのは聞いているね?」
「ハイ。情報は流れてきてマスネ」
 もらった情報の中から『エルドレット・アーベントロートは機械の体を使っている』という情報があることを確認したバルタン。それに紐づけされているのだよとルナールが続けて言うが、よくわかっていない。
 そこでルナールはヴィオットとコンラートに視線を向けた後、私が告げたことは黙っておくように、と言ってからエスクロの正体について告げた。


 ――エスクロ・シェルシェール。
 彼はエルドレット同様に脳だけになっている存在。
 『司令官システム』として練り込まれた1人。

 司令官システムは数多の脳を使い、全ての機械の演算を引き受けているシステム。
 その副産物としてエルドレット以外の脳が世界の空に見えぬカメラを張り、全てを見張っているだけ。

 声をかけるだけで反応があるウィンドウは全て。
 司令官システムに練り込まれた者達の言葉なのだ。




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 ・子供達が行方不明となった時、「2人以上」でいなくなっていることがわかりました。
 →絶対に1人でいなくなることはないようです。

 ・ルナールが子供達の行方不明を察知して複数のゲートを閉じる処理をしていたようです。
 →ゲートの位置は「郊外の平原」「船着き場」「海岸」にそれぞれあったとのこと。
 →現時点では8つほどのゲートを閉じたそうです。
 
 ・エスクロ・シェルシェールの正体、および『司令官システム』の情報が出現しました。
 →これまでに出てきたウィンドウは全て、この司令官システムからの反応だったようです。
 →詳しい設定は公式ホームページのその他→ワールド説明から確認が出来ます。

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大成功 🔵​🔵​🔵​

秋月・那原
なはるんは不老不死を求めている!
はじめまして那原です
この世界の調査に加われば不老不死の『こんとらなんとか』をいただけると聞いてやってきました(誤情報


少年(f01298)、ジャックと調査
そういえばお前、空から落ちてきた婚約者に会いに行ったのか?
なんでこの世界に来たのかとか、聞いたりしたか?

……今だれを想像したんだ少年? おにーさんに教えてみ?(にやにや)

たぶんジャックはマリネロの港にまだ居ると思うし、来たついでに「郊外の平原」「船着き場」「海岸」のゲートについても調査

もしセクレト機関に戻るのなら『行方不明者が出た30年前の事件』についても調べたい
30年前っつったら『箱庭研究』も30年前だしな


日野・尚人
秋月(f30132)、ジャックと調査。

よ、来たぜ!ジャック!・・・って、そうそう、アルムだっけ?
こっちに来た経緯もだけど、何より自分の目で無事を確認しないのかよ?
警戒心0で誰にでもほいほい付いて行ったり、厄介事に首突っ込んだりしてるかも知れないぜ?



ホント危なっかしくてなぁ;(|自らの恋人《アイシャ》を想い遠い目)

ともあれ調査調査!
子供が行方不明になる時は必ず2人以上・・・ゲートの設定か?
既に閉じた8つは勿論、他にも子供の行きそうな場所を聞き込んで捜索するべきかも?
24時間以内の出来事なら(UCで)確認出来るし・・・
あ、「ゲートと■■の関係性について」も読めない部分を<解読>出来ないかな?



●Case.7 アルムとジャック

 港町マリネロにある休息所。そこでジャックはモルセーゴと共に休憩を取っていた。
「どうするかねぇ……」
「ぎぃ……」
 様々な疑問が彼の頭の中を駆け巡り、どれを先に解決するかと考え込んでいる様子だ。特に彼はこの世界の住人ではないために、疑問となる部分が浮かばないこともあってどう解決に導くかを悩む。
「おーい、ジャックー!」
 そんな折に彼のもとへ駆けつけたのは、猟兵として活動している間に世話になった日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)。その隣には秋月・那原(Big Cannon Freak・f30132)も共にいた。
 彼らはジャックの案内を聞きつけてやってきた新たな支援者。すでに情報は彼らの手中にもあるようだが、ジャックの持つ情報もほしいからと駆けつけてくれたのだ。

「そういえばお前、空から落ちてきた婚約者には会いに行ったのか?」
 那原の問いかけに対し、ジャックはNOを答えた。
 彼がアルムを認識した時にはまだセクレト機関がジャックを味方とは認識出来ておらず、今のように協力者であると断定された訳では無い。
 燦斗曰く、完全に機関側に保護されたアルムに会うには手続きが必要なため、正式に協力者と認められるまではお預け状態だと。
「だから、まあ。この街での情報収集が終わったら、ちゃんと会いに行くつもりだ。記憶喪失だろうと……必ず」
「ああ、そうした方がいいぜ。警戒心0で誰にでもほいほいついていったり、厄介事に首を突っ込んだりしてるかもしれないぜ?」
「へぇ~、まるで何処かの誰かさんみたいだねぇ?」
 ニヤニヤと笑みを浮かべながら那原が尚人に視線を向ける。ある人物のことを思い起こしているようで、尚人もまた同じ人物が頭に浮かんでいるようだ。
「……ホント、危なっかしくてなぁ!」
 2人が思い浮かべた人物のこれまでを思い起こすと、すこぶるやんちゃで手がかかる子なので、いつも見張っていないと何をやらかすかわからないという不安があるそうだ。故にこうしてジャックの手伝いをしている今も、尚人は結構気が気でない。
 それでも彼の手伝いをするために駆けつけたのだから、しっかりと情報を集めておくことに。



●Case.8 子供達の行方

「そういえば、ゲートについて話は聞いているか?」
 那原がジャックに問いかけてみると、彼は『知らない』と答えを返してきた。どうやらルナールが見つけたというゲートに関しての情報はまだ彼には流れていなかったようだ。
 何が起こるかわからないため、念のためにジャックと合流してからゲートの場所へ向かおうと考えていたようで、それならとジャックも同行してくれた。

 場所は「郊外の平原」「船着き場」「海岸」。ジャックがいる休息所からは海岸が1番近かったため、まずは海岸のゲートを探る。
「ここ、確かアルムが落ちてきた場所なんだよな。それ以外にもあった、ってことなのか……」
「けどルナール? だっけ? その人ってどうやって見つけたんだろうな?」
「さあ……? とにかく、情報は見るのが1番だよ。――空間から過去の残滓を回収して……っと!」
 尚人はユーベルコード『|過ぎ去りし時の中に《イン・プラエテリトールム・テンプス》』を使い、過去24時間を遡って存在した物品や映像を作り出す。
 彼らが作り出した映像は既にゲートが閉じられた後なので、以降子供達がいなくなることはないはずだが……。
「……あれ? この人……」
「どうした、少年」
「ああ、いや、ほら。ここにいる人」
 尚人が作り出した映像に映っているのは、ゲートがあったであろう場所から少し離れて佇む男の姿。妨害用のコントラ・ソールでも使っているのか、自身の姿を隠しているようだ。
 それでも割り出せる情報はいくつかある。男は推定160cm前後の背の高さをしており、長い髪が風でなびいている。時折咳き込む様子の姿も見せ、自身の体調が優れないことがわかると足早にその場を去っていく様子が映し出されていた。
「これって、やっぱり犯人かな?」
「おそらくはな。ルナールっておっさんがゲートを閉じた事に気づいたから、その様子を見に来たって感じか?」
「まさに犯人は現場に戻るってやつだな。……けど、今の情報だとかなり難しくないか?」
「そうだなあ……。なんで子供を2人ずつ攫っているのかとか、その辺りが分かればよかったんだけど……」
 24時間以内の出来事の締めくくりには、ルナールが同じ場所に立ってゲートを弄る様子が映し出されている。これは確実に彼が閉じたという証拠でもあるため、情報としては正しいと判断される材料となった。
 またルナールは足跡を確認している様子も伺えた。子供達の足跡を見つけ、その情報をなにかの端末に入力している様子も見せていたことから、彼が現場の状況を映像保管しているようだ。
「だったら、見せに行ってみるか?」
 ジャックのその提案に乗った那原と尚人。
 すぐさまジャックはモルセーゴを上空に解き放ち、ルナールを探してもらった。

「やれやれ……私がすぐに見つけたから良いものの、アレは危なかったぞ?」
「すまん。これが一番手っ取り早いと思った」
「まったく……」
 モルセーゴを見つけたルナールはすぐさま那原達と合流。大きなため息をつきながら、尚人が見つけたルナールの行動について答えてくれた。
 曰く、子供達は彼らが知っている大人と共にゲートの先へ出向いた可能性が高い。海岸で見つけた足跡には抵抗した様子がなく、素直について行っていたそうで、それを写真に収めておいたそうだ。
 また子供達は抵抗なくゲートを通り抜けていることから、なにか別の目的で子供達を集めてゲートへ入らせた可能性が高いと彼は言う。
「他に子供達が行きそうな場所ってあるか?」
「ああ、私が閉じたゲートの場所以外にもいくつか。定期的な見回りをしているが……私だけでは見つけきれてないかもしれんからな」
「じゃあ俺たちも見に行ってみようぜ。もしかしたら、まだあるかもしれない」
「ふむ。では案内しようか」
 そう言ってルナールは尚人と那原を順繰りに案内し、子供達が来たであろう現場に尚人のユーベルコードを逐一放ち様子を伺う。
 やはり映し出されるのは姿を妨害された男の姿。そして子供達が抵抗なくゲートに飲み込まれる瞬間もいくつか見受けられるのだった。



●Case.9 ゲートと■■の関係性について

「そういえばジャック、1ついいか?」
「ん? なんだ」
 調査を終え、一旦休憩を取っている尚人とジャック。ルナールと那原で飲み物を購入しているため、手短に彼はジャックの持つある本について問いかける。
 それはずばり、彼が守りに来たという研究書籍『ゲートと■■の関係性について』。タイトル文字が一部掠れているその書籍は、もとはベルトア・ウル・アビスリンクが書き出したものだ。
 そうしてジャックはハッと気づく。――そういえば、中身を見てもいないし、誰にも中身を見せていない!
「ええ……読んでないのかよ」
「俺が読んでも多分ちんぷんかんぷんだと思って……。研究書籍って言うなら、なおさら」
「あー、じゃあルナールもいるし、一緒に読むか? タイトルも知ってるかもしれない」
「そうするかぁ」
 そう言うと彼は虚空に手を伸ばし、空間に穴を開けてゴソゴソと中から黄土色の表紙の本――『ゲート構築と■■について』を取り出す。彼は事前に持ち出しの許可を燦斗を通して得ており、守るなら自分の持つ空間魔術の中だと判断して隠していたそうだ。

 丁度本を取り出した時、ルナールと那原が2人の飲み物も持って戻ってくる。
 もちろん、研究書籍を目にした瞬間わずかにルナールの表情が濁ったのを尚人は見逃していない。どうやらルナールはこの本についても詳しいようだ。
「……これ、読んでも大丈夫か?」
「構わないよ。――読めれば、ね」
「それって……」
 ルナールに促され、書籍の中身を確認する那原と尚人。しかしその本は開いても真っ白なページしか続いておらず、ある特定の場所でないと読めないようになっているとルナールは告げる。
 これも事前にベルトアが仕掛けておいた1つのトラップ。持ち出したところで簡単に読ませる気はない、という書いた本人の性格がよく現れていた。
「じゃあ何処だったら読めるんだ?」
「さあ、それは私の口からは言えないかな。『ゲートと呪術の関係性について』は私が機関から追い出される原因を作った本だし、ちょっと悪戯心が働いた」
「あ、今のタイトル? 良かった~、コレタイトル掠れてて読めなかったんだよね~」
「何ッ!? くそっ、情報漏らす予定なかったのに!」
 悔しがるルナールと、からから笑う那原。悪戯心が働いたのにまさか情報を漏らしてくれるなんて、誰が予想しただろうか。

 ……けれど、そのタイトルはこの世界と切っても切り離せない、あるものと結びついてしまうと那原と尚人は気づいてしまった。
 『コントラ・ソール』。過去には呪術と呼ばれていた、エルグランデに住む人間の力。
 ゲートとコントラ・ソールに何か繋がりがあるのか。否、もう一つの気になる情報と繋がりがあるのではないか?
 それが気になって仕方がない那原はルナールにある頼み事をした。

 ――今すぐにでも、セクレト機関に戻りたいと。



●Case.10 『30年前の事件』

「ルナールから連絡があったから呼び戻したけど……なんかあったのか?」
「ちょっとね。ああ、はじめまして、那原です。この世界の調査に加われば不老不死の『こんとらなんとか』をいただけると聞いて」
「待て、《|無尽蔵の生命《アンフィニ》》は無理だぞ。無理だぞ!? ただでさえ移植研究中だってのに渡せねぇって!」
 セクレト機関に戻ってきた那原と尚人は早速、総司令官のエルドレットに挨拶をしていた。
 ルナールの計らいにより直通の緊急ゲートを使い、時間を気にすることなく戻ってこれたのでお土産を片手に調査の協力を申し出る。
 またジャックも既に協力者として登録されているため、すぐさま彼は那原と尚人と別れてアルムのいる部屋へと直行。彼女の無事を確認しに向かった。

 では、那原と尚人の気がかりなもう一つの情報とは何か。それは……。
「単刀直入に言うと、30年前に起きた行方不明者が出た事件について聞きたくて」
「……アレか……」
 少しだけ渋い顔をしたエルドレット。セクレト機関の中でもその話は割と禁忌寄りの話だそうで、彼も話すかどうかを悩む様子を見せた。
 けれど、それを後押ししたのは後からやってきた男――ヴォルフ・エーリッヒ・シュトルツァー。彼はいつしかこの事件を探りに来る人物が現れるだろうと予測をつけていたそうで、話すべき時が来たんだとエルドレットを諭した。

 ヴォルフ曰く、30年前の事件――正確には『箱庭研究』の事故がそれに当たる。
 エルグランデに危機が訪れるという《|預言者《プロフェータ》》の予知をもとに、13人の研究者達からなるチームで『箱庭世界』を作り出そうとしていた。
「だから、箱庭研究……」
「そう。エーリッヒ、エーミール、俺、フェルゼンも参加してた」
「じゃあ、その時に起きた事故っていうのは……?」
「世界が完成した時、先遣隊として派遣した3人のメンバーが帰れなくなる事故が発生しちまってなァ……。俺らからしたら事故なんだが、周りの目から見たら事件ってなっちまってよ」
 ガリガリと頭をかいて目を逸らすヴォルフ。参加している本人があれは事故だと言い切るのだから、事故だったことは間違いないのだろう。
 更にヴォルフ曰く、その世界に飛んでいった3名のうち2名は記憶喪失となっており、自身が研究者だったこと、エルグランデという世界の情報を一切合切失ってしまっているそうだ。
「じゃあ、参加してた人って教えてもらえたり?」
「……いいのかね、ドレット。言っちまって」
「まあ、良いんじゃないかな。真実はいつも俺達のそばにあるみたいだしな」
 小さく笑ったエルドレットの様子を見るに、本来であれば非公開にされる情報のようだ。それでもこの事件が|侵略者《インベーダー》が来る原因を作っているのだとしたら、早急に猟兵達に公開すべきだと判断した様子。
 その様子に納得を見せたのか、ヴォルフは少し待っていろと告げてから那原と尚人に見せるための研究者名簿を1から作り出す。手作業なので少し時間はかかったが、顔写真と名前だけは見せてもらえた。

 顔写真と名前を見せてもらった那原と尚人は、事前に入手していた情報からある人物の項目に目を向ける。
 |侵略者《インベーダー》・モルセーゴを操り、直接セクレト機関を狙ってきた『神様』と名乗った人物――アマベル・オル・トライドールに。
 写真を見れば顔立ちは幼く、海のように青く長い髪に夕日色のような瞳を持つ。しかしその表情は世界を作るという人物なのに、人を嫌っているような、世界を嫌っているような表情をしていた。
「……まさか、『神様』って……」
「箱庭世界の神様……ってこと、だろうな……」 
「この人が……子供を攫ったとか……?」
「どうだろうな……もっと調べる必要がありそうだ」

 研究者名簿のアマベルの視線。
 それが本当に『神様』なのかどうかは、まだ、この場で語られることはない……。



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  箱庭研究 研究者名簿(登録順)

 ・エーリッヒ・アーベントロート
 ・エーミール・アーベントロート
 ・ヴォルフ・E・シュトルツァー
 ・フェルゼン・ガグ・ヴェレット

 ・ベルトア・ウル・アビスリンク(事故により移転済み)
 ・レティシエル・ベル・ウォール(事故により移転済み)
 ・アマベル・オル・トライドール(事故により移転済み)

      他、6名。

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 ・ルナールが閉じたゲート周辺の調査によって謎の人物がゲート近辺にいたことがわかりました。
 →ただし妨害工作により『身長が160cm前後』『長い髪を持つ男』『時折咳き込む』という情報しかわかりません。
 →またその人物は『子供達と親しかった可能性』があります。

 ・ジャックが守っていた研究書籍の名前が『ゲートと呪術の関係性について』だと判明しました。
 →ただし、内容はある場所以外では読めないように細工されています。
 →なおこの研究書籍、ルナールとも関連があるようで……?

 ・『箱庭研究』に参加していた研究者が公開されました。
 →その他→NPC設定よりご確認頂けます。
 →|燦斗《エーリッヒ》、エーミール、ヴォルフ、フェルゼン、ベルトア、アマベルが更新されます。
 →『レティシエル』の項目が追加されます。

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  『Decision』 complete!

     Next Stage →

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大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月13日


挿絵イラスト