闇の救済者戦争⑰〜曙光の凱歌
「……あれ?」
ソレは、ふと顔を上げた。何か大切な、大切なものを今失くしてしまったような感覚がして。
「なんだろう……よくわからないや。わからないってことは、とくべつなことじゃないんだろうね」
ひとしきり考えてた後、ソレはそう結論付けて周囲を見渡す。其の身に在る門は開け放たれ、今も此の|闇深き世界《ダークセイヴァー》の下層から、|闇の眷属《オブリビオン》達を引きずり上げている。
引きずり上げられた|闇の眷属《オブリビオン》達は、ソレの「飼い主」等の思惑を阻止せんとする者たちを制圧し蹂躙せんとするが、其の風向きが気が付くと変わってきている。
そう。猟兵が、遂に此の地に辿り着かんとしているのだ。
●
「漸く此度の戦争も、終局が見えつつある。
皆の奮闘、頭が下がる思いだ」
集まった猟兵達に、エルフィアは頭を下げた。此の世界の出身という訳では無いが、エルフィアのグリモアは此の戦いにあたり、此れ迄に比べよく予知を刻む。
「先日戦端が開かれた禁獣デスギガス。知らぬ者は居るまい。
彼奴が災群だけでは無く、此方に矛先を向けてきた」
とはいえ、デスギガスのやる事は、其の身の門から|闇深き世界《ダークセイヴァー》の下層に居る|闇の眷属《オブリビオン》達を吐き出すという点では変わらない。しかし、災群と異なる点がある。それは、下層の人々――それも、闇の救済者達の一団が、混じっているのだ。
更に、開戦と共に上層に迷い込み、猟兵達に助けられたあの砦の者たちも、猟兵達の助けにならんと向かっているという。併せた其の規模は、千人を超える。
猟兵では無いとはいえ、彼等も長きに渡り|闇の眷属《オブリビオン》共と渡り合ってきた者たちだ。特殊な強化を受けていないただの眷属達であれば、ある程度は渡り合えるだろう。
「と、なれば。
彼らにとっても、我々にとっても、好機であろう?」
そう語るエルフィアの手元で、書物のかたちをしたグリモアのベージが音も無く捲られ、淡い光を放つ。
「祈りの双子への戦端も開かれ、他の五卿へも、じき我等の牙が届くだろう。其の後の未来の為にも、彼等を頼む」
グリモアの光が猟兵達を包み、戦場へと送り出していった。
白神 みや
お世話になっております、|白神《しらかみ》です。
戦争シナリオ3本目になります。そこはかとなく1本目、2本目と地続きですが、そちらに不参加でも、関連シナリオ( #曙光の凱歌 タグをつけております)に不参加でも問題はございません。ほんのりフレイバーな感じです。
どうぞお気軽にご参加頂ければ幸いです。
禁獣『歓喜のデスギガス』との決戦となります。
デスギガスの歓喜の門を通じて下層よりオブリビオンと共に迷い出てきた|闇の救済者《ダークセイヴァー》達と、開戦間もなく三層へ迷い出てしまった|闇の救済者《ダークセイヴァー》達。彼等の力を借りてデスギガスに一矢を。
●プレイングボーナス
|闇の救済者《ダークセイヴァー》達と協力して戦う。
●お願い
MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
このシナリオのプレイングは、先行シナリオ完結後に受付開始になります。詳細はタグ等参照ください。(断章を挟むかもしれません)
締切お知らせまでにいただいたプレイングを全採用で進行予定ですが、🔵状況等によっては追加を受付る可能性があります。
第1章 ボス戦
『禁獣『歓喜のデスギガス』』
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POW : デスギガス・ラッシュ
【大きく裂けた口】から【歓喜の笑い声】を噴出しながら、レベル×5km/hで直進突撃する。2回まで方向転換可能。
SPD : ダークセイヴァー・レクイエム
【人類砦の残骸】を降らせる事で、戦場全体が【絶望の世界】と同じ環境に変化する。[絶望の世界]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ : ザ・ダイヤ
空中あるいは地形に【ダイヤ】の紋章を描く。紋章の前にいる任意の対象に【漆黒の影】を放ち【記憶喪失】効果を与える。
イラスト:八谷アツキ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
深山・樹
妹の光華(f37163)と
一緒に行けないから駄目って言ってたけど
我慢できないって言われてきたら
救済者さん気持ち悪い門から出て来てる!
光華がすぐ騎士さんで救った…
この子どこの戦場でも行動が早い
僕はいつも遅れて
僕より向いてそう…ううんダメ!僕が守らないと!
襲ってきたからイーティングブレイドで薙ぎ払う
この人たちと光華守って戦って
攻撃してたら立て直せた…よかった
「こういうのだけ光華と倒して下さい!」
僕が言うの間違ってるかもだけど
アレは猟兵でないと無理
って言ったら光華泣き出した……
き、救済者さんたちの目が冷たい
「…みつか、いこ」
この涙には勝てない
戦いは危ないけど
「ちゃんと守る!一緒に!」
手を繋いで行こう
天風・光華
いつき兄様(f37164)と参加なの!
兄様は見せてくれなかったけど光華こっそりみてたの
だからこの世界で何があったのかもぜんぶしってるの
「だから絶対ゆるせないの!」
兄様にせつめいしたら絶対怒られるの!
でもみつか、がまんできなかったの!
「兄様!ダークセイヴァーさんたち助けるの!」
「おたすけなのー!」
吐き出されるダークセイヴァーさんたちは騎士さん達でキャッチなの!
「あのおっきいのは任せてなの!オブリビオンさんと戦ってほしいの!」
兄様はダメって言うけど涙ぐみながらお願いするの!
兄様はこれでいちころなの!
準備が出来たら皆でデスギガスに向かうの!
「騎士さん達!光華たちの敵をやっつけてー!」
●
「絶対ゆるせないの!」
天風・光華(木漏れ日の子・f37163)がそう言う事を、深山・樹(処刑人・f37164)は予想していた。だからこそ、戦争の情報から|光華《いもうと》を遠ざけていた……つもりだった。しかし、光華は自分で戦争の事を、戦況を、調べていたのだ。
もちろん、光華の方も、兄の性格を理解している。戦場へ向かうと言えば、猛反対をする事は判っていた。それでも、一度赴いた縁のある世界の危機を黙ってみている事はできないと強く思ったのだ。
「兄様! ダークセイヴァーさんたち助けるの!」
見上げる妹の強い意思に、兄は折れるしかなかった。世界を護りたいと思う気持ちは、樹も同じだったから。
戦場に転送された二人の目に入ったのは、巨大なやや悪趣味なぬいぐるみのようにも見える異形の姿。その身体にぽっかりと開いた穴からは、様々なモノが濁流さながらに溢れ出て来る。それは、|闇の眷属《オブリビオン》や瓦礫のようなモノだけではなく。
「なんなんだ、ここは!」
「なるべく高い所へ!」
下層で戦っていた筈の|闇の救済者《ダークセイヴァー》達もまた巻き込まれてこの地に迷い出てしまっている。まるで濁流に流されるかのように押し出されて来たため、砦から文字通り流されかけている者まで居る状況だ。
「おたすけなのー!」
いち早くそれに気が付いた光華が、幻影の騎士を召喚して流されかけた救済者を騎士に受け止めさせる。そんな彼等に襲い掛からんとした|闇の眷属《オブリビオン》を樹が武器で薙ぎ払った。
「ありがとう、助かった……!」
「こういうのだけ光華と……この子と、倒して下さい!」
「あのおっきいのは任せてなの! オブリビオンさんと戦ってほしいの!」
例を言う救済者に向けて二人が言った言葉にほんの少しのズレがある。あくまでも自分を後衛に下げようとする兄に、光華は不満そうに視線を向けた。
(う……っ)
その視線を受けた樹は狼狽えつつも、妹を危険な目にあわせたくない思いを込めて視線を返す。じっと見合う兄と妹。
光華が涙目になった所で、唐突に勃発したささやかな勝負の勝敗は決していた。
「ありゃあ、坊主の負けだな」
小さな決戦を見守っていた救済者達が苦笑いでそう零した。ありゃあ将来苦労するぜ等と小声で交わされる言葉が、樹には居たたまれない。
「……みつか、いこ」
妹の手をとって、樹は足早に移動する。移動する間に、樹は気持ちを切り替える。危ない戦いに妹を連れ出すのは本意じゃないけれど、それならば、自分が護ればいいのだ、と。
繋いだ手をぎゅっと握りあって、二人は幻影の騎士達と救済者達と共に巨大な禁獣へと駆け出した。
「お友達になりに来てくれたわけではなさそうだね?」
「わるいことする子はおしおきなの!」
「救済者さんたちも光華も! ちゃんと守る!」
禁獣が伸ばしてきた手を樹の武器が薙ぎ払い喰らった所へ、光華の幻影の騎士達の刃と、詠唱眼鏡の光が追撃した。
禁獣には猟兵の刃しか届かないかもしれない。だからこそ幼い二人の攻撃は確かに獣に届いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
自身にオーラ防御と誘惑を纏い
翼の空中戦で目立つよう囮になりつつ
空から敵味方双方の陣形を常に把握
僕は魔法特化でどうしても詠唱時間が必要になるから
救済者さん達は遠距離攻撃が出来るなら僕の隙を補ってほしいかな
あとは基本眷属処理を優先してもらって構わないから
念のため護身用に破魔を乗せた鎌を手に持ち
いざとなったらなぎ払い対処
更に浄化と祝福発動
万一僕の記憶が無くなっても
無視して攻撃を続けるようにと予め伝え
眷属達の間を飛ばして攻撃、延焼
影なら光で消せるかな
高速詠唱で破魔を乗せた光魔法の属性攻撃、範囲攻撃
光量と浄化で敵UCの打ち消し狙いと同時に光で目眩し
その隙に合体した鳥達にデスギガスさんへ一斉攻撃狙い
●
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、禁獣の巨体を見上げながら、己がどう動けばいいかを考える。
(どうしても詠唱時間が必要になるからな……)
魔法に特化した澪が十全に戦うには、詠唱時間が必要になってくる。技能を用いればある程度のフォローは可能だと思うが、それでも乱戦の中では不利になる事が多い。
「砦に助けに来てくれた子じゃないか? こっちに助っ人に来てくれたのか」
そんな澪に声を掛けてきた救済者は、この戦いが始まって間もなくの頃に助けた砦で顔をあわせた救済者だった。
「あ、砦の皆は大丈夫そう?」
「お陰様でな。だから戦える奴らの一部はこっちに来たんだ」
砦の皆が無事である事、そして希望を棄てずにいる事を聞いて澪は安堵の表情を浮かべた。それなら、後はこの禁獣を倒せば彼等は平和にもう一つ近づくのだ。
「僕が詠唱しながら囮になるよ。皆は僕の隙を補ってほしいかな」
「遠距離攻撃なら任せてくれていいが……大丈夫なのか?」
澪の提案に、心配そうに救済者が顔を見る。
「任せて。僕なら、大丈夫」
澪はそう言うと、翼をはためかせて、共に己に護りと誘惑の力を纏う。更にユーベルコードを発動させ、破魔の鳥たちと共に空に舞う。鳥たちの炎と魔力の光が禁獣への軌跡を描く。
「まぶしい……! 目がチカチカするよ!」
「今だね……皆、行くよ!」
光に目を灼かれた禁獣に向けて、一つに合体した破魔の鳥が突進した。
大成功
🔵🔵🔵
神臣・薙人
【月灯】
禁獣といえども、既に無敵の存在ではない
諦めず退け続ければ
最後に勝鬨を上げるのは私達です
天城さんの笑顔には私も笑顔を
もうこの禁獣の欠落は存在しません
勝ちに行きましょう
救済者の皆さんには落ち着いた声で
後方支援と攪乱をお願いします
私達が主体となって戦いますから
天城さんと共に前へ
最初に白燐蟲を呼び出し
デスギガスへ食い付かせます
あの光が敵の印です
負傷者が出た際は桜花乱舞で治療
記憶喪失も、これで治れば良いのですが…
でも、目印がありますから
笑い声が聞こえた時点で
突撃を警戒
方向転換にも注意し
素早く進路から跳び退きます
紋章発動時もすぐに前から移動
間に合いそうになければ
仲間だけでも突き飛ばして移動させます
天城・潤
【月灯】
容赦はしません
幾度も邂逅した皆さんとも既に息は合うはずです
ご一緒の神臣さんに当たり前の顔で微笑みます
「退け続ければ…必ず」
そうです
終り無い対処療法の戦いだけの時とは違います
このモノ共を追い詰めたのは皆さんと猟兵なのですから
敬する僕の団長のように
「僕達が全力で戦路を往きます」
落ち着いて説明を
「遠くから遠距離攻撃や鬨の声で攪乱を」
そして強く
「決して僕達の為に無理はしないで下さい」
僕達は埒外の存在
命を大切に生きて下さいとお伝えし
護剣・断罪捕食を使用
これで僕が戦う限り僕の命は尽きません
「喰らい尽くしてあげましょう」
明滅する残花さんを目印に
精霊と花の香と共に
戦場を駆けましょう
開かれた明日の為に
●
「禁獣といえども、既に無敵の存在ではありません」
未知の状況に戸惑い騒めいていた救済者達の間を神臣・薙人(落花幻夢・f35429)の落ち着いた声音が通り抜けた。
「アンタ達は……」
その声に振り返った救済者は、これまでの戦いで顔をあわせた事がある者だった。薙人が彼等に会釈を返す傍らで、天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)も落ち着いた笑みで頷く。
「終り無い対処療法の戦いだけの時とは違います」
長く隠されていた「欠落」の存在が明かされ、目の前に聳え立つ禁獣のそれは壊された。五卿六眼を含めた彼等を追い詰めたのは、此処に集う者達――闇の救済者達と、猟兵の尽力あればこそ。
「諦めず退け続ければ、最後に勝鬨を上げるのは私達です」
「退け続ければ……必ず」
彼等の強さを知らぬ者にはその繊細さが先に立って見える二人であるが故に、訝し気な者も見受けられるが、過去の戦いで彼等に助けられた者達がその言葉に背を押される。
「俺達は、以前アンタ達に助けられたんだ。アンタ達が言うなら、きっと勝てるんだろう」
「この前のあの羽根の化け物達を追いやってくれただろ! あそこに居たんだ!」
二人に助けられた事を確認する者や不審げな者達を説得に動く者達も出始める。
「僕達が全力で戦路を往きます」
そんな中で、先ず動いたのは潤だった。その心で意識をするのは、尊敬する存在。尊敬する彼のように立ち振る舞えればと。
「皆さんは、遠距離攻撃や鬨の声で攪乱を」
「私達が主体となって戦います」
二人は此処でも今までと同じようにそう言い重ねる。常識の埒外である禁獣の前に立つのは、生命の埒外である猟兵達の仕事だ。
「決して僕達の為に無理はしないで下さい」
生命は何にも置いて代え難いもの。だからこそ、その埒外に召し上げられた者達が立ち護るのだ。
「……わかった。だけど、アンタ達も気を付けるんだぞ!」
その言葉に、一瞬潤の瞳に驚きが走る。
「そうですよ。無理は禁物です」
潤が愛用するユーベルコードは時に己の|寿命《いのち》を削るものだと理解している薙人が苦笑いしながら言う。
「……行きます」
心配される事が少し照れくさくて、潤は敵の方へ向き直る事で表情を隠した。手にした武器に力を籠め、いつものようにユーベルコードを起動させる。喰らい持ち主に力を与える捕食者と化した武器を振るって、駆け出す。併せるように、薙人の|白珠の白燐蟲《残花》が飛ぶ。
「あの光が敵の目印です。あそこへ遠距離攻撃を!」
|白珠の白燐蟲《残花》が食らいついた先に、救済者達の弓矢や銃、魔法といったあらゆる遠距離攻撃が降り注いだ。
「いったいなあ、もう!」
禁獣は身体を震わせて刺さった弓矢等を振り落とす。
「ぼくのお友達になってればよかったのに。あっ、今からでも遅くないよ?」
どう? と首を傾げて手を差し伸べる様は、その動きだけであれば可愛らしいものだったかもしれないが、その巨体や姿の歪さ故に、唯不気味としか言えなかった。
「喰らい尽くしてあげましょう」
薙人の狂い咲く桜吹雪を纏った潤が、不快の彩と共に武器を振るい、その手を斬り付けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
氷雫森・レイン
【アレク/f14882】
我が故郷A&Wが戦渦に見舞われた折、彼は助けに来てくれた
だから私も言った
貴方の故郷に何かあれば必ず私を呼ぶ様にと
「偉いわよアレク。ちゃんと呼んでくれたわね。師として、先の戦争時の礼として共に戦いましょう」
丁度良いわ
今の私の旅路も元はと言えばこの世界から蔓延した人狼病の所為
どうやら眼前の敵には関係なさそうだけど
「多少八つ当たりしたっていいわよね」
冒険者を導くはフェアリーの務め
とはいえ救済者達相手なら縁ある者の方が向いているわ、任せましょう
私はこの矮躯の背で、閃光の如き軌跡を以て導いて見せる
高速で飛びつつ影を躱しがてら逆に魔法の矢で縫い付け、来たるべき一撃の時を作り出す…!
アレクシス・ミラ
【レインさん/f10073】
僕の故郷の世界の為に来てくれてありがとう。レインさん
貴女と共に戦えるなら心強いよ、先生
救済者達へ呼びかける
共に災厄に立ち向かおう
大丈夫。皆の勇気は傍で見てきた
けれど“全員で生きて帰る”事をどうか忘れないで
僕が皆の盾となります
同意してくれるなら
【聖戦の鬨】
曙光を、我が師と我らが闇の救済者達に!
鎧を『白夜・重騎士形態』へ
『白龍吼』を散弾砲の如く放ち
注意を引きながら麻痺の雷纏う剣で斬る
突撃を見切れば
皆の前に出て盾のオーラ『閃壁』を最大展開
覚悟と共に受け止める!
…僕も一人じゃない
皆や師がいる!
閃光と共に押し返し
彼女が作ってくれた隙を突くように
白龍吼で、皆で!門へ一斉攻撃を!
●
「僕の故郷の世界の為に来てくれてありがとう」
アレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)は、その肩近くを舞う蒼氷雨の妖精――氷雫森・レイン(雨垂れ雫の氷王冠・f10073)へと声をかける。
「偉いわよアレク。ちゃんと呼んでくれたわね」
レインはひらりと身を翻すと、アレクシスの肩に座す。
「師として、先の戦争時の礼として共に戦いましょう」
「貴女と共に戦えるなら心強いよ、先生」
レインの今の旅の目的である紫陽花狼の終焉を変える術を得る為であれば、この闇深き世界から蔓延した人狼病を識る事が近道の一つだろう。目の前に聳え立つ禁獣は、恐らくそれのは関係が無い存在のようだ。なによりも。
(多少八つ当たりしたっていいわよね)
若干胡乱な事は流石に声には出さずに心の裡に仕舞う。そんな事をレインが思う間に、アレクシスは救済者達へと呼びかける。
「今こそ共に災厄に立ち向かおう」
落ち着いた、しかし強い意志を籠めた声音は、吹き渡る風のように人々の間を抜ける。
デスギガスの門より下層から吐き出されてきた救済者の中には怪訝な顔を向ける者もいるが、此処までの戦いでアレクシスを知る者もおり、彼等に向けてその時の事を語る者が出てくる。そんなざわめきを受け流して、アレクシスは再び口を開く。
「大丈夫。皆の勇気は傍で見てきた」
見える範囲の人々を一人でも多く視界に収めながら続ける。
「けれど。“全員で生きて帰る”事をどうか忘れないで」
|縁《えにし》を築いた者達が無事であるようにと、そう願っている事も添える。彼等は確かに此処まで死がすぐ隣に居る状況で戦ってきたが、今や禁獣の不死性は喪われ、此処には一騎当千の猟兵達が居る。
「……そうだな。俺達は生きて還らなきゃいけない!」
「ここであのデカブツを倒せれば、アイツ等だって……!」
救済者達は口々にそう己を周りを鼓舞する。この戦いを制しても|下層《彼等》の戦いは未だ終わらないが、ここで勝利を得ればそれは間違い無く力となるだろう。
その様子を見ながら、アレクシスはユーベルコードを起動させる。
「『今日の世界を護り、皆と共に生きる明日の世界を――未来を、僕達の手で切り拓こう』」
その|詠唱《ことば》と共に、救済者達を光が包む。
「曙光を、我が師と我らが闇の救済者達に!」
アレクシスのその声に、救済者達の鬨の声が応えた。
「なら、冒険者を導くはフェアリーの務めね」
救済者達への鼓舞を|アレクシス《弟子》に一任していたレインは、アレクシスの肩から翔び立つ。アレクシスの光を受ける姿は光の妖精のようにも見える。
アレクシスは鎧を重騎士形態へ変え、その肩口に据えられた銃口から光の砲撃を数多に撃ち放つ。二人の放つ光が舞い飛び、溢れ出る|闇の眷属《オブリビオン》を、禁獣が放つ影を縫い穿つ。
「むっ。ぼくだって、負けないんだぞ!」
そう言いながら反撃とばかりに、その図体や威力と裏腹な無邪気な笑い声と共に突進して来る禁獣をアレクシスが盾とその光の壁で受け止め動きを封じた。
「皆で! 門へ一斉攻撃を!」
アレクシスの声と共に光の砲撃が、救済者達の攻撃が一斉に禁獣の腹にある門に向け放たれた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キアラ・ドルチェ
シリルさん(f35374)とリグノアさん(f09348)と
ほんっと可愛いくないです!
見た目もだけど、やる事為す事ろくでもない考え方と中身も!
大体男は愛嬌女は度胸!というでしょう!?…あれ、デスギガス男?
…ま、まあそれはともかくっ、参りますかね
はい! ダークセイヴァーの皆さんもご一緒に唱和下さいね?
「いざ! れっつ・ふるぼっこ!」
シリルさんもリグノアさんも実力は折り紙付き
とても心強い♪
よし、ダークセイヴァーの皆さんは私と共に…とつげきぃいいいい!!!
飛んでくる紋章は【第六感】で回避
そして片手にマッドネスパーティ・チェーンソーエッヂ展開、「八つ裂きにして『かわいい』大きさにして差し上げますよっ♪」
シリルーン・アーンスランド
キアラさま(f11090)リグノアさま(f09348)と
口調の割に可愛くないとキアラさまがお怒りですわ
ご一緒の救済者さま方からも笑みが零れて
キアラさまは臆されませぬ
御一緒だと殺伐の戦場も趣が違います
リグノアさまも好もしく思われておいでと分かります
厳しい戦場とて心が通うのも知己同道の有難さかと
「それでは…」
舵輪を掲げ高らかに…さぁリグノアさまも皆様もご一緒に
「いざ…!れっつ・ふるぼっこ!」
メガリス・さまよえる舵輪にてロボさまがおいであそばしましたら一礼し
「リグノアさまが血路を!お後征かれ、どうかかの敵に鉄槌を!」
皆様への攻撃は全員で全力で打ち払いこの場の総力にて
「汚らわしきモノよ…去りなさい!」
リグノア・ノイン
キアラ様、シリル様とご一緒に
見上げんばかりの巨体を眺めますが恐怖はありません
独りでは戦えずとも、今はお二人が居ります
「|In der Tat《成程》…では|Lasst uns dich verprügeln《れっつ・ふるぼっこ》と参りましょう」
戦闘開始と同時にまずは兎に角回避を
溢れ来る残骸やオブリビオン達を避け
虚空からキャバリアを召喚
私の目的は皆様の支援です
「では、道は私が御作り致します」
そのまま【Flügel "Lignoa"】を使用し
ダークセイヴァーへの支援も兼ね
高速の突進と全武装を放つ事で
一直線に敵と残骸、そしてデスギガスを穿ちに
「|Ja《肯定》.私はただの露払いです。さぁ、お覚悟を」
●
「ほんっと可愛いくないです!」
キアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)が声を上げた。
「ほんっと可愛いくないです! 見た目もだけど、やる事為す事ろくでもない考え方と中身も! 大体男は愛嬌女は度胸! というでしょう!? ……あれ、デスギガスって男?」
そのまま矢継ぎ早に正直な感想を連ねた後、己の言葉から生じた疑問に皆を振り返る。
「キアラさまと御一緒だと殺伐の戦場も趣が違いますわね」
共に戦場へ赴いたシリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)がころころと笑いながらそう言えば、同じくリグノア・ノイン(感情の渇望者・f09348)も頷いて応える。一瞬無表情にも見える|顔《かんばせ》は静謐ながらも穏やかな彩を帯びていた。
「|Das ist ein Wunder《不思議なものですね》. ……恐怖はありません」
見上げんばかりの巨体の禁獣との相対となれば、もっと恐れを感じるのだろうと思っていた。しかし、そんな思いとは真逆に、その心はその|顔《かんばせ》と同様に凪いでいた。
「あの嬢ちゃん達、豪胆だな……」
「大体、あのデカブツみて可愛いだどうのって先ず考えるかね?」
そんな三人の様子に、此処まで緊張を強いられてきた救済者達もどことなく苦笑いを浮かべて声を交わしていた。それが耳に入ってしまったキアラは、衝動で吐き出してしまった率直な感想を思い出して頬を染める。
「……ま、まあそれはともかくっ、参りますかね」
気を取り直したキアラは救済者達へと向き直る。
「はい! |闇の救済者《ダークセイヴァー》の皆さんもご一緒に唱和下さいね?」
その言葉に、要領を得ないリグノアを救済者達は首を傾げ、唯一人キアラの意図を察したシリルーンは笑みを深め、その腕に抱きしめていた銀の雨降る時代からの無二の友誼の証を空に掲げる。
「いざ! れっつ・ふるぼっこ!」
「いざ…! れっつ・ふるぼっこ!」
キアラとシリルーンの唱和に、戸惑い気味の救済者達の声が続く。
「ふるぼっこ……?」
「|In der Tat《成程》……では|Lasst uns dich verprügeln《れっつ・ふるぼっこ》と参りましょう」
戸惑う声に紛れて、リグノアは真面目にそう呟くと、己の兵装でもあるキャバリアを喚び出して乗り込む。
「道は私が御作り致します」
その兵装の名の如く、|真白き矢《Weiß of Pfeil》となって、リグノアは禁獣に向けて翔ける。
「『キャプテンさま……! ハナさま! 皆様! どうかお力お貸し下さいませ!』」
白き矢の軌跡に続くように戦場に響いたシリルーンの呼び声に、縁深き鋼の巨人が応じる。見上げるシリルーンと、鋼の巨人の視線が一瞬交錯すると、シリルーンは優雅に一礼をする。
「リグノアさまが血路を! お後征かれ、どうかかの敵に鉄槌を!」
シリルーンが白き矢の軌跡を指し示せば、鋼の巨人は僅かにシリルーンへと視線を向けた後、地を駆ける。
「へえ、変わった子がいるね! お友達になってくれるかな?」
言葉と動きだけは無邪気な子供のそれで、禁獣が笑う。
「|Nain《拒否致します》. 」
白き矢となったリグノアは、禁獣の求めを拒絶する。この獣の「お友達」は、獣自身がどう思っていようが「玩具であれ」という事だ。断じて受け入れる事は出来ない。
「私はただの露払いです。さぁ、お覚悟を」
リグノアは静かにそう言うと、己が持つ全ての遠距離武装を解き放ち、禁獣へと突進する。それに追随するように、シリルーンの|大いなる秘宝《メガリス》の化身が放つ雷撃が、禁獣へと迸った。
「やっぱり、お二人は凄いですね!」
その様子を見守っていたキアラは、感嘆しきりにそう零した。旅団でよく知る二人の実力はよく知っているが、やはり心強い。
「では、私達もいきましょうか!」
くるりとターンをして、キアラは救済者達へと言う。また何か唱和されたりするのかと、怪訝な顔をした者も居たような気もするが、キアラそれを気づかなかった事にする。
「……とつげきぃいいいい!!!」
その声と共にユーベルコードを発動させる。手にしていたノコギリソウの葉がするすると巨大化し、その名の通り鎖鋸さながらに回転を始める。
「八つ裂きにして『かわいい』大きさにして差し上げますよっ♪」
「ぼくはかわいいとおもうんだけどなあぁぁ!」
三人の戦乙女と、彼女達に率いられた闇の救済者達の容赦のない攻撃が、禁獣を確かに貫いた。
「うう、こんな痛い目にあわせて……今度仕返ししてやるんだから!」
涙目になった禁獣は、そう言いながらその身の門へと吸い込まれていった。
唐突にも思えるような幕引きに、状況を把握するような沈黙が流れた後、戦場に歓声が轟いた。
大成功
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