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闇の救済者戦争⑱〜殲剣を手に禁獣を討て

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争 #禁獣『ケルベロス・フェノメノン』

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#禁獣『ケルベロス・フェノメノン』


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「闇の救済者戦争への参戦に感謝します。リムは戦況を報告します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は解説を始めた。
「皆様の活躍によって第三層の主だった戦場の攻略はほぼ完了し、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』に決戦を挑む事が可能になりました」
 五卿六眼『祈りの双子』によって封印を解かれた「究極禁獣」の1体、ケルベロス・フェノメノン。それは数百mの巨体を誇り、強靭な肉体、無尽蔵の魔力と呪詛、オーバーテクノロジーの機械兵器など、ありとあらゆる軍事兵器を保有する。その正体は謎に包まれているが、猟兵に敵意を向けている以上、恐るべき敵には違いない。

「月光城砦群に隠されていたケルベロス・フェノメノンの欠落、コギトエルゴスム『ヘリオライト』が破壊されたことで、かの禁獣の無敵能力は失われました」
 まさに禁獣との戦端が開かれるタイミングで舞い込んできた朗報だが、それを差し引いてもケルベロス・フェノメノンは無尽蔵とも思える生命力を持ち、通常武器やユーベルコードが通用するようになっても撃破は極めて困難である。
「ですがケルベロスは自身が攻撃を放つのと同時に、時折体内から一振りの『|小剣《グラディウス》』を落下させます」
 これは通常の武器としては使えないように見えるが、何故かケルベロス・フェノメノンに対して放つユーベルコードを大幅に増幅させる効果を持つと予知で判明している。これを利用すれば奴を倒し切ることができるかもしれない。

「|小剣《グラディウス》を回収し、増幅したユーベルコードを叩き込み続ける。ケルベロス・フェノメノンを撃破できる可能性があるとすればこれでしょう」
 それにはケルベロス・フェノメノンの強力なユーベルコードを凌いだうえで、奴の隙をついて|小剣《グラディウス》を拾わないといけない。向こうもそれが自身にとっての弱点たりえることを知らないとは思えない。慢心も容赦も一切なく、猟兵を殲滅するために全力で挑んでくるはずだ。
「彼がそこまでの執念を燃やす理由は不明ですが……|小剣《グラディウス》にはケルベロスに対する特攻効果の他に『どこかの世界』に繋がる力を秘めているようです」
 もしかするとケルベロス・フェノメノンはダークセイヴァーではない、別の世界から来た存在なのかもしれない。彼を撃破して|小剣《グラディウス》を持ち帰ることができれば、より詳しい調査が可能になるだろう。その結果、猟兵がこれまで知らなかった新世界への道が開けるかもしれない。

「ただし、ケルベロス・フェノメノンはもう1体の究極禁獣『デスギガス』が倒されると、どこかに姿を消してしまうとも予知されました。この点はご留意ください」
 つまり|小剣《グラディウス》を獲得するためには、デスギガスを倒すよりも先にケルベロスを倒さなくてはならない。現状では推測になるが、デスギガス側もケルベロスが倒れれば類似の行動を取る可能性があるため、2体の禁獣のうち撃破できる対象は片方のみとなる。
 どちらを優先すべきかという問題にリミティアは答えることはできない。ただ彼女はグリモアの予知に基づいて説明を行い、「ケルベロス・フェノメノンに挑む」と決断した猟兵達のために、かの禁獣のいる領域へと道を開く。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼は『祈りの双子』が封印を解いた究極禁獣の1体、『ケルベロス・フェノメノン』の撃破です。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……|小剣《グラディウス》を拾い、ユーベルコードを増幅する。

 欠落を破壊されてもなお無尽蔵の生命力を誇るケルベロス・フェノメノンですが、彼が攻撃の際に落とす|小剣《グラディウス》には、彼に対するユーベルコードの威力を増幅させる効果があります。これを利用して強化したユーベルコードを叩き込み続ければ、奴を撃破できるかもしれません。
 また、この戦場を制圧すれば敵が落とした|小剣《グラディウス》はその場に残り、戦後にこの剣にまつわる調査依頼が発生します。ただし先に⑰禁獣『デスギガス』が制圧されると、ケルベロス・フェノメノンは何処かに姿を消してしまうようです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『禁獣『ケルベロス・フェノメノン』』

POW   :    グラビティブレイク・フェノメノン
【自身の肉体または武装】に触れた対象の【肉体を地表にとどめている重力】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD   :    インフェルノファクター・フェノメノン
命中した【機械兵器】の【弾丸や爆風】が【炎の如く燃え盛る『地獄』】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    サイコフォース・フェノメノン
着弾点からレベルm半径内を爆破する【呪詛と魔力の塊】を放つ。着弾後、範囲内に【消えざる『地獄』の炎】が現れ継続ダメージを与える。

イラスト:カツハシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

純・あやめ
うーん、なんでだろう。アイツ、懐かしい感じがするよ?
ねぇ、【カキツバタ】、わたしって過去にアレと遭ったことあるの?
『…正真正銘、初対面よ。あんたも私もね』
…そっかー。まぁいいや、今は戦う時だ
【パトドラゴン】に乗って敵に接近、あとは全スキルを駆使して攻撃を回避!
『なんとか隙を見て小剣を回収しないとダメよ。集中しなさい!』
パトドラゴン、頑張ってね!壊れても後で直してあげるから!
一気に間合いを詰めたら、UC【七華絢爛】を叩き込む!
その後の事は考えない!決めるよ、【カキツバタ】!
『ええ!あと、その剣は大事に持って帰りなさい。きっと大事なものだから…ね』
??…分かったよ、そうする



「うーん、なんでだろう。アイツ、懐かしい感じがするよ?」
 眼前に立ちはだかる雲衝くほどの巨体。破壊と殲滅の意思が形を取ったような禍々しき三つ首の獣――究極禁獣『ケルベロス・フェノメノン』を目の当たりにした純・あやめ(水流と砂塵の衛士・f26963)は、不思議な既視感を抱いていた。
「ねぇ、カキツバタ、わたしって過去にアレと遭ったことあるの?」
『……正真正銘、初対面よ。あんたも私もね』
 純家の祖先を自称する女悪魔の「カキツバタ」に尋ねてみても、答えは芳しくない。妙にはっきりと「初対面」と断言したのが少しだけ引っかかるものの――神隠しにあう以前のあやめの記憶は不明瞭であり、どれだけ思い出そうとしても過去にかかった靄は晴れてはくれなかった。

「……そっかー。まぁいいや、今は戦う時だ」
 強敵相手に余計な事を考えている余裕はないと、あやめは気を取り直して第六分署『パトドラゴン』に乗り込む。
 小型高速ジャイロをフル回転させて空から接近すれば、ケルベロス・フェノメノンもすぐに此方に気付いて咆哮を上げる。
「来たか、六番目の猟兵よ! ここが貴様らの最期の地だ!」
 発せられるのは純粋な殺意。その背に搭載されたミサイルやキャノン砲が一斉に火を噴き、猟兵へと襲い掛かる。
 これはただの機械兵器ではない。命中したものを炎の如き『地獄』で焼き尽くす【インフェルノファクター・フェノメノン】だ。

「パトドラゴン、頑張ってね! 壊れても後で直してあげるから!」
 敵の攻撃を回避するために、あやめは持てる技能の限りを駆使する。空中戦を得意とする彼女の操縦技術は大したもので、巧みな機動で砲火の嵐を掻い潜っていく。このまま反撃といきたいところだが、その為には「あるもの」が必要だ。
『なんとか隙を見て小剣を回収しないとダメよ。集中しなさい!』
 ケルベロス・フェノメノンが攻撃の際に時折落とす『|小剣《グラディウス》』。コレがなければ奴にダメージを与えるのは至難の業だ。あやめはカキツバタの指示に従って全神経を研ぎ澄ませ、砲火の中でキラリと刃物の輝きを見つけだす――そして機体からぐっと身を乗り出して、その光に手を伸ばして。

「……掴んだ!」
 回収の際に多少の無茶をせざるを得なかった為、避けきれなかった弾丸や爆風が『地獄』となってパトドラゴンを焼く。だが、まだ墜落するほどのダメージではない。手に入れた|小剣《グラディウス》をしっかりと握りしめながら、あやめはケルベロス・フェノメノン本体に舵を切った。
「一気に間合いを詰めたら、【七華絢爛】を叩き込む! その後の事は考えない! 決めるよ、カキツバタ!」
『ええ!』
 作戦と呼べるほどのものではない特攻戦法だが、こうでもしなければあの禁獣には太刀打ちできないという確信が何故かあった。『地獄』に焼かれながらも必死にパトドラゴンを動かし、反重力場を発生させる「リフレクターコイン」による連続跳躍で、一気に敵の間合いに迫っていく。

『あと、その剣は大事に持って帰りなさい。きっと大事なものだから……ね』
「?? ……分かったよ、そうする」
 謎めいたカキツバタの忠告に一瞬首を傾げるあやめだったが、その意味を深く考えている時間は無かった。至近距離で対峙するケルベロス・フェノメノンの威容は凄まじく、目が合っただけで震え上がるほどの圧を感じる。だが、ここまで来て怖気づくものか。
「【カキツバタ】、【サクラ】、【カランコエ】、【アイリス】、【ワルナスビ】、【シャボンソウ】…一気に決めるよ!」
 チェスピースに封じられた六柱の悪魔の権能を解放し、自らを含めて七華とする。それらを象徴する花弁のオーラが舞い散り、|小剣《グラディウス》の元に集まっていく――大いなる地獄の番犬を討つために、この謎めいた遺物は彼女と悪魔の力を爆発的に増大させた。

「いっけえ!」
「オ、オォォォォ……ッ!!!!?」
 其の名は水無月曲槍流・魔技【七華絢爛】。刹那に放たれた4つの斬撃波のうち、3つまでもがケルベロス・フェノメノンの巨体を切り裂く。鮮血と呪詛と機械が混ざりあったものがバラバラと飛び散り、咆哮が大地を揺らした。
 使った本人でさえ驚くほどの威力。それを可能にした|小剣《グラディウス》とは一体何なのか――深まる疑問の種をしっかりと握りしめたまま、あやめはその場を離脱するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
今はただ、押し通るのみ!
剣を拾い、UCを増幅……『限りなく物理的に存在してない状態の回転』を集束させ、そのまま『あらゆるこの世の条理を"貫く"羽の弾丸』を発射
蒼翼羽剣ブラウグラムの刀身形態――未来属性と過去属性を発揮し、『重力略奪』が発動する『時間軸を破却』し、そのまま羽の弾丸でケルベロス・フェノメノンの武装や肉体を貫くぞ

まだだ、最大展開――|剣《ブレイド》の設定を開始
我が最重要本質は『|蒼穹《ヴァルキリー》』である
故に――あらゆるこの世の理を『超えて行く』!

広げた翼から羽の弾丸を射出し、弾幕を広げる
このまま、押し通させてもらうぞ!



「今はただ、押し通るのみ!」
 凄まじき威容を誇る禁獣『ケルベロス・フェノメノン』と対峙しても、ブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』・f38903)の闘志は些かも衰えはしなかった。彼奴の正体や目的がどうであれ、この世界の終焉を破壊するために立ち止まってはいられない。
「我らが|惑星《ほし》に至る可能性がある者は、誰であれ殲滅あるのみだ!」
 対するケルベロス・フェノメノンは咆哮と共に【グラビティブレイク・フェノメノン】を発動。己の肉体そのものを武器として強烈な攻撃を仕掛けてくる。だが、その際に彼の巨体から一振りの小さな剣が落ちるのを、ブリュンヒルデは見逃さなかった。

「まずはその|剣《ブレイド》を貰う!」
 ブリュンヒルデは蒼いエネルギーの翼で戦場を翔け、重力の軛を破壊するケルベロス・フェノメノンの攻撃を躱しざま、地面に落ちた|小剣《グラディウス》を拾い上げる。この剣に宿るユーベルコードを増幅する力――それが彼奴を打倒するうえで必要なのだ。
「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼! 森羅万象、遍く理を貫く羽の魔弾。其に宿る無にして無限の回転を以て、その終焉に終焉を!」
 右手に愛剣「蒼翼羽剣ブラウグラム」を、左手に|小剣《グラディウス》を携え、発動するのは【蒼翼の終焉破壊・無にして無限たる回転の羽弾】。『限りなく物理的に存在してない状態の回転』を集束させ、そのまま『あらゆるこの世の条理を"貫く"羽の弾丸』を発射するユーベルコードだ。

「撃ち抜け!」
 ブラウグラムには刀身の形態によって過去と未来を捉える能力を持つ。それによって重力略奪が発生する時間軸を"破却"することで、ケルベロス・フェノメノンの行動に隙を作ったブリュンヒルデは、そのまま羽の弾丸を放つ。
「グオ……ッ!?」
「まだだ、最大展開――|剣《ブレイド》の設定を開始」
 |小剣《グラディウス》で増幅された回転力で武装や肉体を貫かれたケルベロス・フェノメノンが、驚きと苦悶の声を上げる。間髪入れずにブリュンヒルデは追撃体制に移行。剣の力をフルに引き出せるこの状況を利用して、己の限界を突破する。

「我が最重要本質は『|蒼穹《ヴァルキリー》』である。故に――あらゆるこの世の理を『超えて行く』!」
 雄々しき宣言と共に巨大化した「蒼きヴァルキリーウイング」を広げ、蒼穹の如く闇夜を塗り替える。そこから射出される羽の弾丸はひとつひとつが|小剣《グラディウス》と|剣《ブレイド》の再定義により強化されたもの。弾幕の規模を拡張することで、一気に決着を付けるつもりだ。
「このまま、押し通させてもらうぞ!」
「グ、オオオオオ……ッ! やってくれるな、六番目の猟兵よッ!」
 猛烈な速度と数の弾丸に全身を貫かれながら、ケルベロス・フェノメノンが吼え猛る。既に『欠落』を破壊されていながら、尋常ならざる生命力の底は未だに見えない。しかし|小剣《グラディウス》で増幅された猟兵の攻撃が、彼奴にダメージを与えているのは間違いないはずだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
デスギガスの方も本当なら気になるんだけど…
先に出てきた方が悪い!
それにそんな面白そうな機械積んでるのも悪い!
悪いけど先に倒させて貰う!

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
先ずは敵の攻撃を凌ぐとしようか
『斬撃波』を飛ばし弾丸の軌道を少しでも避け、『オーラ防御』で周囲に多重シールドを展開し爆風を軽減
直撃を回避しながら時を待とう
全部をどうにか出来るとは思ってないさ、動ければそれでいい
奴が小剣を落としたら、それに向かって駆けよう
同じように攻撃を軽減しながら近付いたら『念動力』で一気に引き寄せる
そして【剣技・蒼嵐剣】起動
小剣によって増幅された風の刃でケルベロスに一撃喰らわせてやろう!



「デスギガスの方も本当なら気になるんだけど……先に出てきた方が悪い! それにそんな面白そうな機械積んでるのも悪い!」
 祈りの双子が封印を解いた二体の究極禁獣のうち、どちらを優先して撃破するかという問題。月夜・玲(頂の探究者・f01605)は迷ったものの、最終的にはメカニックの血が疼いた事もあって『ケルベロス・フェノメノン』との戦いを選んだようだ。
「悪いけど先に倒させて貰う!」
「そう簡単に倒せると思ったか! 返り討ちにしてくれる!」
 自身が開発した模造神器「《RE》Incarnation」と「Blue Bird」を抜刀する玲に対し、ケルベロス・フェノメノンは背部にある機械兵器の照準をロックオン。怒号と共に数多の砲門が火を噴き、弾丸と爆風の嵐が襲い掛かった。

「先ずは敵の攻撃を凌ぐとしようか」
 玲は二刀の模造神器から斬撃波を飛ばして弾丸の軌道を曲げ、周囲にオーラシールドを多重展開して爆風を軽減。
 奴が|小剣《グラディウス》を落とすまでの辛抱だと、直撃を回避しながら時を待つ。とは言え、それまで耐えきるのも簡単な事ではない。
(全部をどうにか出来るとは思ってないさ、動ければそれでいい)
 ケルベロスの【インフェルノファクター・フェノメノン】は、掠めただけでも炎の如き『地獄』に変化して標的にダメージを与え続ける。ブレイズキャリバーの能力に似た未知の燃焼現象に身体を焦がされながら、彼女はぐっと歯を食いしばる。この程度の痛みならUDCとの戦いで慣れっこだ。

「面白い兵器だね、参考になるよ……っと!」
「ぬぅ?!」
 無数の砲火の中に紛れて、一振りの小さな剣が落ちたのを玲は見逃さなかった。それに向かって走りだす彼女に、ケルベロス・フェノメノンはより激しい攻撃を加える。それが自分にとって致命傷になり得る弱点だと、奴も知っているのだ。
「|小剣《グラディウス》は渡さん!」
「残念、もう手が届く距離さ」
 バリアと斬撃波で耐えられるギリギリの距離まで近付いた後は、念動力を使って剣のほうをこちらに引き寄せる。
 すっと手の中に収まった|小剣《グラディウス》は、通常の武器として用いるには頼りなく見える。だが、その刃に秘められた力を彼女は感じ取ることができた。

「蒼嵐大系、まずは基本の技からってね」
 果たしてその効果は如何程のものか、検証も兼ねて玲は【剣技・蒼嵐剣】を発動。風の刃で敵を攻撃するシンプルなユーベルコードだが――|小剣《グラディウス》の力で増幅された結果、その風速・射程・威力は通常時とは比べ物にならないレベルに強化される。
「これまでのお返しだ、一撃喰らわせてやろう!」
「なに……ッ、グオオオオッ!!!?!」
 ありったけの力を込めて模造神器を振り下ろした瞬間、風の刃は蒼き竜巻を起こして『地獄』の炎を吹き飛ばし、ケルベロス・フェノメノンに直撃。数百mはあろうかという巨体を宙に巻き上げ、肉体と機械の一部を抉り取った。
 元々の装備とユーベルコードの性能もあるとはいえ、この威力。未知なる異世界の技術に触れた玲は|小剣《グラディウス》を握りしめ、興味津々の様子で笑みを深めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
イグニシオンに[騎乗]しての[空中戦]
無敵能力が失われたとはいえ未だ圧倒的な相手、小剣を回収するまでは[残像]による回避に専念する
蓄積された[戦闘知識]と研ぎ澄まされた[心眼][第六感]で敵には直接触れないように立ち回りながら小剣の落下を[見切り]、右掌に回収だ
ここからは小剣で増幅したUCで反撃
この場で積み上げられた皆の痛みを束ね一気に解き放って焼き切るぜ
小剣はそのまま回収しよう


ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ連携歓迎

これが、ケルベロス・フェノメノン?
大きいし、すごい威圧感…
でも、怖がってる場合じゃないの!

仲間も含めて広域結界を展開、破邪と浄化の力で緩和を図るの
割れても効果を減らせればいいの
そしてUC発動
その地獄の炎の熱は、全部奪って凍てつかせるの

何度も結界を張って、炎魂たちを操って、機を待つの
これが、|小剣《グラディウス》?
炎魂たちを憑依
そのまま操ってケルベロス・フェノメノンに仕掛けるの

足下を凍らせて、全身に取り付かせて熱量を一気に奪って凍らせていくの
その生命力、少しは、|凍結《止め》させてもらうの!



「これが、ケルベロス・フェノメノン? 大きいし、すごい威圧感……」
 ついに眼前に現れた巨大な三つ首の獣を、驚愕と共に見上げるのはロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)。こうして対峙しているだけでも、息が詰まるほどの殺意とプレッシャーを感じる。『祈りの双子』が今回の戦争で頼みとした究極禁獣の名は伊達ではないようだ。
「でも、怖がってる場合じゃないの!」
 既に『ケルベロス・フェノメノン』は猟兵を殲滅すべき敵と見做している。それなら自分達も全力で挑まなければ。
 勇気を奮い立たせて人狼の少年は前線に出る。敵と比べれば小さくとも、その体には魔導と叡智の力が宿っている。

「|原初起動《イグニッション》。行くぜ相棒!」
 奇しくも同じタイミングで前線に飛び出したのは久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)。人の身から異形の|焔黒騎士《フレアライザー》に変身を遂げた彼は、焔を纏う天使を連想させる白亜のキャバリア・イグニシオンに乗って空を翔ける。数多の強敵との戦いを経験した正義の味方は、地獄の番犬も恐れはしない。
「来るがいい、六番目の猟兵達。纏めて殲滅してやる!」
 彼らを迎え撃つケルベロス・フェノメノンは、三つの顎から巨大な呪詛と魔力の塊を放った。その一撃――【サイコフォース・フェノメノン】は着弾と同時に大爆発を引き起こし、消えざる『地獄』の炎によって大地を焼き焦がした。

「みんなを守るの!」
 即座にロランは自身と仲間も含めて広域結界を展開、破邪と浄化の力で呪詛と魔力の爆発の緩和を図る。月光のような輝きを帯びた透明な結界は、激しい爆風を浴びるとガラスのように割れてしまうが、効果を減らせればそれでいい。
「ありがとう、助かったぜ!」
 彼の結界のお陰で難を逃れた遥翔は、相手が無敵能力が失われたとはいえ未だ圧倒的であることを実感する。まずは|小剣《グラディウス》を回収するまで回避に専念したほうが良いだろう。攻撃を仕掛けるのは逆転のカードが手元に揃ってからだ。

「|重力の鎖《グラビティ・チェイン》に囚われよ!」
 急速接近する遥翔の「イグニシオン」に対して、禁獣はさらに【グラビティブレイク・フェノメノン】を発動。その巨躯に触れたものは重力を奪われるか与えられる。無重力にせよ高重力にせよ、肉体の自由を失う事に変わりはない。
「ようは直接触れなければいいんだろう?」
 だが遥翔は蓄積された戦闘知識と研ぎ澄まされた心眼、及び第六感で敵の動きを読み、イグニシオンの超スピードで回避する。陽炎の如き残像を発生させ戦場を縦横無尽に翔ける機神を捉えることは、敵にとっても容易ではなかった。

「チイッ……ならばこの戦場ごと焼き尽くして……!」
「させないの。エントロピー移動術式、展開。リアライズ完了。分離、解放。オペレーション、スタート」
 業を煮やしたケルベロス・フェノメノンは、直接攻撃から『地獄』の劫火による蹂躙戦法に切り替えようとするが、ロランの【凍えて砕ける蒼色の炎魂たち】がそれを阻む。機械音声のような呟きと共に現れた蒼色の魔術炎が、地獄の炎と混ざり合ってその火勢を止めた。
「その地獄の炎の熱は、全部奪って凍てつかせるの」
 通常の炎とは真逆の性質を持つ、熱を奪うことで燃え盛る炎魂。これと結界の重ね掛けによって彼は防御に徹する。
 敵の火力に対抗するにはこれでもギリギリだが、耐えていればきっと機会はやって来る。それまで何としても戦線を維持するのだ。

「ええい、邪魔をするなッ」
「いいのか? 足元がお留守だぜ」
 呪詛の地獄炎を阻む炎魂の破邪結界に、ケルベロス・フェノメノンが苛立ちを露わにした瞬間。遥翔は巨体の真下に駆け込むと、今まさに落下する|小剣《グラディウス》を右掌でキャッチする。それは武器として扱うには小ぶりだが、手にすれば不思議な力が宿っているのを感じられた。
「受け取れ!」
「! ありがとう!」
 回収できた|小剣《グラディウス》は2本。そのうちの1本を遥翔はロランに投げ渡す。これで二人の猟兵の手に逆転のキーアイテムが渡った。これまで耐えてきた分をお返しするかのように、彼らはケルベロス・フェノメノンに反撃を開始する。

「これが、|小剣《グラディウス》?」
 異世界の技術で鍛えられた未知の道具に、ロランが炎魂たちを憑依させてみると、蒼い炎がたちまち大きくなった。
 この|小剣《グラディウス》はケルベロス・フェノメノンに対して放つユーベルコードを大幅に増幅させる。その効果のほどを確信した彼は、そのまま炎魂を宿した剣を操ることで攻撃を仕掛けた。
「その生命力、少しは、|凍結《止め》させてもらうの!」
「ぐ、オオォォォォッ?!! 我が肉体が、凍るだと?!」
 まずは足下から凍らせて回避を封じ、全身に炎魂を取り付かせて熱量を一気に奪う。数百m級の巨体ともなれば内容する体温だけでも凄まじい熱になるだろうが、ロランの操る蒼い炎はそれ以上の魔力で相手を凍てつかせつつあった。

「お、おのれ、|小剣《グラディウス》を返せ……!」
「悪いが、こいつはこのまま回収させてもらうぜ」
 凍結に苦しみもがくケルベロス・フェノメノンに、追撃を仕掛けるのは遥翔。|小剣《グラディウス》の力で増幅するのは我が身と融合した|原初の炎《イグニス》の力。キャバリアが持つ機神太刀"|迦具土《カグツチ》"にソードビットを束ねて軸とすることで、巨大な焔の太刀が形成される。
「痛みを超えて束ねたるは原初の真焔。焼き尽くせ、リベリオン・ブレイド!」
 その一撃にこの戦場で積み上げられた皆の痛みを束ね、己の全身全霊をかけて解き放つ【因果を灼く真焔の太刀】は何十メートルにもなる焔の斬撃となって、ケルベロス・フェノメノンを真っ向から斬り伏せた。その光景は、さながら神話における魔獣退治の一幕が如し。

「グオオオアァァァァッ!!!!」
 凍てつく蒼の炎魂と灼き斬る原初の真焔。ふたつの火焔の力をその身に受け、絶叫するケルベロス・フェノメノン。
 これだけの攻撃を立て続けに喰らって無事で済むはずがない。圧倒的とさえ言える究極禁獣の無尽蔵の生命力にも、徐々に陰りが見え始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レティシア・ハルモニアス
ちいっ!危ないのう!

敵がUCを放って来たので視力で確認していたが不意打ちだったのでキャバリアに搭乗していたから呪詛魔力耐性属性の結界術で防御しながら着弾点から推力移動で逃れる妾

て…天牙〜!
妾は仲間を庇って巻き込まれた天牙を見て叫ぶ(トラウマが蘇った)

クソ、今は敵に集中じゃ…
キャバリアで推力移動で小剣を拾った妾は仲間達にも渡した

許さんぞ…貴様ァァァ!
妾はUCを発動してキャバリアから敵に波動を放つ


まだまだ!
敵の攻撃を避けながらオーラ防御で防ぎながら電撃の斬撃波を放つ

ぬわァァァ!
キャバリアが攻撃を受けてキャバリアから放り出された

っ!
妾を見下ろしている敵の顔はハージェスを思い出す

くそ…
敵の攻撃が迫った


黎明・天牙
夢幻戦線

行くぞ〜セスタ
『わふっ』
セスタも返事してくれた
『うおっデカいな』『面倒ね』
ヴォルガとリズも武器を構える


敵がUCを放つタイミングを視力で確認して振動の力で発生させた衝撃波を放つと同時に後ろに飛んで回避した

『わふっ!』
サンキューなセスタ

『ちょっヤバ!』
セスタが小剣を咥えてきたので回収した時にリズが敵のUCに巻き込まれそうになったのでリズを突き飛ばし前に出た

『て…てん』

UC発動
振動の力を全身に纏い体中に毛が生えて防御する

『オラァァ!ごめん…天牙!』
リズがセスタに乗って呪殺弾を放つ

『ティニは今冷静さを失っている行ってやれ!』

OKボヨンボヨン

ティニが攻撃を喰らいそうなっていたので前に出て防御した

強敵なんだから落ち着けよボヨンボヨン

頼むわ
ティニはあ…え…としか言わなかったので俺はヴォルガの方に投げる
『おいぃぃ!』
ヴォルガが受け止めてティニと共に後退する
前は蛇じゃなかったか?』と小声で呟いた

おいデカブツ覚悟しろよ
張力を利用してUCOVERBOOST・熊雀振動撃を放ち遠くまで吹き飛ばした



「行くぞ~セスタ」
 黎明・天牙(夢幻戦線のリーダー『パラダイス・ブレイカー』・f40257)の呼びかけに応えて、銀色のオオカミが「わふっ」と吠える。その後ろに並ぶのはオオカミ獣人のヴォルガとライオン獣人のリズ、そしてヴァンパイアのレティシア・ハルモニアス(奪われた全てを取り返す為に〜吸血鬼戦線〜・f40255)。種族も生まれもバラバラな「夢幻戦線」のメンバーが揃い踏みだ。
「うおっデカいな」「面倒ね」
「じゃが、やるしかないのう」
 ヴォルガとリズが武器を構え、レティシアはサイキックキャバリア『Pluto・Unlimited』に乗り込む。対する相手は禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。数百メートルに達する巨体に無尽蔵の魔力と呪詛、そしてオーバーテクノロジーの機械兵器で武装した恐るべき怪物だ。

「誰であろうと、どんな種族であろうと、我らが|惑星《ほし》には行かせん!」
 殺意に満ちた咆哮と共に、ケルベロス・フェノメノンは【インフェルノファクター・フェノメノン】を発動。背中に搭載した機械兵器から弾丸や爆風の嵐が吹き荒れ、戦場を文字通りの『地獄』に変えていく。ひとたびその劫火を身に受ければ、骨まで灰になるまで焼かれ続けるだろう。
「避けろよ~お前ら」
「ちいっ! 危ないのう!」
 天牙はユーベルコードを放つタイミングを見極めて振動を発生させ、衝撃波を放つと同時に後ろに飛んで回避する。
 一瞬遅れてレティシアも呪詛・魔力に耐性のある結界を張って防御。キャバリアの推力を全開にして砲火の着弾点から逃れる。他の面々もどうにか直撃は免れたようだ。

「わふっ!」
 なおも弾丸と爆風の嵐が続く中、セスタが地面に落ちている一本の|小剣《グラディウス》を見つけた。ケルベロス・フェノメノン攻略においては、このアイテムが勝利のカギになる。それを理解していた彼は剣の柄を咥えると、一目散に天牙の元まで駆け戻っていった。
「サンキューなセスタ」
 天牙は銀狼の頭をわしゃわしゃと撫でて小剣を受け取るが、さて反撃と言うにはまだ状況が良くない。仲間達はみな敵の猛攻を耐え凌ぐので手一杯の様子だ。特に、回避の出遅れたリズがユーベルコードの爆風に巻き込まれそうになっている――それを見た彼は迷わず駆け出した。

「おっと危ねえ」
「て……てん」
 横からリズを突き飛ばして前に出る。身代わりとなった天牙の姿は、次の瞬間爆風と『地獄』の劫火の中に消えた。
 止める間もなかったリーダーの犠牲。誰もが予想だにしなかった事態に、残されたメンバーには動揺と衝撃が走る。
「て……天牙~!」
 特にショックが大きかったのはレティシアだ。仲間を庇って犠牲になる光景から、過去のトラウマが蘇ったらしい。
 他の面々――リズとヴォルガも平静ではいられない。狼狽する小さき者達をあざ笑うかのように、ケルベロス・フェノメノンは攻撃を止めなかった。

「クソ、今は敵に集中じゃ……」
 レティシアは必死にキャバリアを操縦して戦場を駆け回り、落ちていた|小剣《グラディウス》を回収して仲間達に渡す。だが、どんなに己を律しようとしても、仲間を傷つけた敵が眼の前に居るのに落ち着いてなどいられない。それは彼女の美徳であり弱点でもあった。
「許さんぞ……貴様ァァァ!」
「グオッ?!」
 怒りを爆発させたレティシアは【混沌の闇の波動】を発動。|小剣《グラディウス》の力で増幅された波動がケルベロス・フェノメノンを仰け反らせた。あまりに生命力が強すぎるため即死させる事はできないが、ダメージは間違いなく与えられている。

「天牙! 生きてるか?!」
「天牙! 返事して天……!」
 暴れ回るレティシアに敵の注意が向いている間に、ヴォルガとリズは天牙の安否確認を急ぐ。あのレベルの攻撃が直撃すれば、いくら悪運の強い彼でもただでは済まない。せめて生きてさえいれば――祈るような想いで呼びかけるが。
「ふ~危なかった」
「「天牙?!」」
 爆心地からひょっこりと現れたのは、体中にもこもこの毛を生やした天牙だった。攻撃を受ける瞬間に【『パラダイス・ブレイカー』羊神雀男】を発動し、羊の毛皮と振動オーラでダメージを軽減したのだ。直前に受け取った|小剣《グラディウス》のユーベルコード増幅効果がなければ、耐えられたかは微妙な所だっただろう。

「オラァァ! ごめん……天牙!」
 無事を確認できたリズは安堵と怒りがないまぜになった気持ちで、天牙に謝りながらケルベロス・フェノメノンへの攻撃に加わる。セスタの背に乗って走り回りながら放つ呪殺弾は、さほどダメージは無いものの牽制としては十分だ。ヴォルガも後方から援護射撃を行いつつ、最前線にいるキャバリアを指さして叫ぶ。
「ティニは今冷静さを失っている行ってやれ!」
「OK」
 毛玉のような姿でボヨンボヨンと跳ねていく天牙。まだ彼が無事だったことを知らないレティシアは「まだまだ!」と敵に電撃の斬撃波を放っている。だが、そんな感情任せの戦い方ではいずれ限界がくる。既に「欠落」は破壊されたとは言え、単なる力押しで勝てるほど禁獣は甘くない。

「舐めるなッ!」
「ぬわァァァ!」
 ついにケルベロス・フェノメノンの攻撃がキャバリアを捉え、衝撃でレティシアはコックピットから放り出される。
 無防備に地面に倒れ込んだ彼女を高みより見下ろすのは異形の三つ首。その姿に彼女はかつて己に敗北と屈辱を与えた男、バージェスの顔を思い出した。
「くそ……」
 悔しさに涙する女吸血鬼を踏み潰さんと、【グラビティブレイク・フェノメノン】が叩きつけられる――だが、その刹那にボヨンと割って入ったのは羊の毛玉。あらゆる衝撃を跳ね返す張力と振動のバリアが、再び仲間の命を救った。

「強敵なんだから落ち着けよ」
「あ……え……」
 ボヨンボヨンと弾みながら諭す青年に、レティシアは唖然とするしかなかった。驚きのあまり言葉も返せない彼女を見て、天牙はこれ以上ボサッとしている暇もないと判断し、おもむろに彼女を持ち上げてヴォルガの元に放り投げる。
「頼むわ」
「おいぃぃ!」
 ヴォルガは慌ててレティシアをキャッチすると共に後退。「前は蛇じゃなかったか?」と呟くのが聞こえたが、種族の垣根すら超えてしまえるのがユーベルコードの力だ。そしてこの能力は防御に限らず、攻撃にも応用が可能である。

「おいデカブツ覚悟しろよ」
 【OVERBOOST・熊雀振動撃】を発動した天牙の両腕両足に、圧縮された振動の力が宿る。羊毛の張力と|小剣《グラディウス》の力も利用して放つその一撃は、概念や物理法則すらも破壊する衝撃波となってケルベロス・フェノメノンに襲い掛かった。
「グ、オオオォォォッ?!!!」
 仲間のピンチに怒りを覚えていたのは彼も同じなのか。怒涛の衝撃波が三つ首の巨獣を夜空の彼方まで吹き飛ばす。
 いくら外側が頑丈でも、内部に直接浸透する衝撃のダメージは軽減できない。血反吐と共に撒き散らされる絶叫が、戦場に響き渡った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サツキ・ウカガミ
大きいのは脅威だけど、ボク達一人一人のこと、ちゃんと認識してるのかな?大ざっぱに攻撃してくるようなら、攻撃の隙を縫っていきたいね。

小剣を拾うまでは戦況と攻撃を『見切り・情報収集』しつつ『ダッシュ・悪路走破』で駆け回ったり『闇に紛れ』て逃げに徹するよ。

小剣を拾えたら、刀を抜いて『威圧』で『おどろかし』て攻撃を誘う。小剣は、一応身体の陰に隠しておこうかな。「ボクはここだ!当たってないよ!ヘタクソめ!」
さぁ、こっちを見たね?ボクを認識したね?
「打ち砕くべきは、キミ自身だ!」
【瞳術『忍夜皐曲者』・鏡魔眼】を発動、自滅を強制させる。キミの攻撃は広範囲で、キミ自身を潰すにはちょうど良いサイズ感だね!



「大きいのは脅威だけど、ボク達一人一人のこと、ちゃんと認識してるのかな?」
 前方に立ちはだかる『ケルベロス・フェノメノン』の巨体を見上げつつ、サツキ・ウカガミ(|忍夜皐曲者《しのびよるめいはくせもの》・f38892)は戦況把握を行う。なるほど"究極"を謳われるだけあって、「欠落」を破壊されてなお凄まじい火力と無尽蔵の生命力を有する強敵には違いないが、決して隙が無いわけでもなさそうだ。
(大ざっぱに攻撃してくるようなら、攻撃の隙を縫っていきたいね)
 相手の死角を突くのは忍びなら必須のテクニックのひとつ。愛用の忍装束に身を包んだ彼女は、状況確認を終えると音もなく走りだした。まず最初の目標は|小剣《グラディウス》の回収。攻撃を通すための武器を手に入れるまでは、逃げに徹して敵の攻撃を凌ぎきる。

「ウオオオオオッ!! おのれ、六番目の猟兵達めぇッ!!」
 小さき者達に予想以上の苦戦を強いられて、ケルベロス・フェノメノンも頭に血が上っている様子だ。三つの首から呪詛と魔力の塊を吐き散らし、爆発と消えざる『地獄』の炎で戦場を焼き焦がす。最大火力の【サイコフォース・フェノメノン】で敵対者を纏めて殲滅するつもりだ。
(うわっ、危ない危ない)
 炎上する大地と爆風を巧みに躱して、サツキは戦場を駆ける。これほどの規模の攻撃が来ては逃げも隠れもできないように思えるがそうではない。月光と獄炎に照らされた禁獣の巨体が落とす影こそ、忍びが紛れるに最も適した闇だ。

(小剣は……あった!)
 巨獣の足下の死角に潜伏したサツキは、そこに落ちていた一本の|小剣《グラディウス》を拾い上げる。彼女はそれを身体の陰に隠すと、愛刀「月牙」を抜いてケルベロス・フェノメノンの視界に姿を見せる。その顔には不敵な自信に満ちた笑みが浮かんでいた。
「ボクはここだ! 当たってないよ! ヘタクソめ!」
「! 貴様……!」
 威圧感をこめて挑発的に言い放つと、三つ首の無数の目が一斉にギロリとサツキを見た。これまで戦場全体に撒き散らされていた殺意と敵意が一点に収束される――それだけで物理的な圧力さえ感じるほどだが、彼女は怯まなかった。

「さぁ、こっちを見たね? ボクを認識したね?」
 相手の攻撃の意識をこちらに向けさせること、それがサツキのユーベルコードの発動条件だった。ケルベロス・フェノメノンの顎から再び【サイコフォース・フェノメノン】が放たれる寸前、少女の瞳に不思議な模様が浮かび上がる。
「打ち砕くべきは、キミ自身だ!」
 殺意を跳ね返す『鏡魔眼の術』に瞳術での命令を上乗せした【瞳術『忍夜皐曲者』・鏡魔眼】。鏡写しの如く魔眼に反射された敵意は、敵に自傷を強制させる。恐るべき呪詛と魔力と地獄の劫火が灼いたのは、地獄の番犬自身だった。

「グ、ガアアアアアッ?! 馬鹿な、何故……ッ!!」
「キミの攻撃は広範囲で、キミ自身を潰すにはちょうど良いサイズ感だね!」
 隠し持った|小剣《グラディウス》による増幅効果もあって、暴発した【サイコフォース・フェノメノン】は先程のものを上回る火力でケルベロス・フェノメノンに甚大なダメージを与える。まんまと術中に嵌まった敵を見上げて、サツキはご満悦だ。
 それは強大であるが故の隙から生じた破滅。今や無敵の存在ではなくなった究極禁獣の生命は、逃れ得ぬ"死"に着々と近付きつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
あやー!
藍ドルはお触り厳禁なのでっすよー!
触られたら高重力で押さえつけられるのも無重力で弾かれるのも厄介なのでっしてー。
殺意と星を護る以上は宇宙まで追放されることはなさそうですが!
逃げ足で時間稼ぎな藍ちゃんくんなのでっす!
ところででっすねー。
相手も弱点を分かっているというのならむしろ小剣でこっちを釣ってきそうなのでっすよねー!
でしたらええ、釣られた演技をして……ファンの皆様、よろしくなのでっす!
藍ちゃんくんは陽動!
おびき寄せた攻撃を避けるのに専念し、小剣はファンの皆様にとってもらうのでっす!
プレゼントありがとなのでっす!
小剣をマイクとした藍ちゃんくんの歌と皆様のコールをお届けするのでっす!



「あやー! 藍ドルはお触り厳禁なのでっすよー!」
 雲を衝かんばかりに巨大な三つ首の獣を見上げ、素っ頓狂な声を上げるのは紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)。無論、そんな事を言っても『ケルベロス・フェノメノン』が止まる訳がない。異世界より現れたと推測されるこの怪物は、全ての猟兵をここで殲滅するつもりだ。
「我らが|惑星《ほし》に貴様らが到達する前に、ここで潰す!」
 "あいどる"が何だろうが知った事かと、振り下ろす一撃は【グラビティブレイク・フェノメノン】。かの禁獣は触れたものの肉体を地表にとどめる力――すなわち重力を自在に操作できる。奪われるにせよ与えられるにせよ、被害を受ける側にとっては致命的だ。

「高重力で押さえつけられるのも無重力で弾かれるのも厄介なのでっしてー。殺意と星を護る以上は宇宙まで追放されることはなさそうですが!」
 ここはとにかく避けるしかないと、全力逃げ足で時間稼ぎに徹する藍。数百mの巨体から繰り出される打撃、搭載されたオーバーテクノロジーの武装から放たれる攻撃を躱して、躱して、躱しまくる。攻撃の際に奴が落とす|小剣《グラディウス》をゲットしなければ、反撃もままならないが――。
(ところででっすねー。相手も弱点を分かっているというのならむしろ小剣でこっちを釣ってきそうなのでっすよねー!)
 ケルベロス・フェノメノンは決して知性のないケダモノではない。序盤ならともかく猟兵が|小剣《グラディウス》の能力を知っていると分かった今なら、そうした策を練ってくる可能性は十分にある。それがなければ猟兵側は有効打を出せない以上、釣り餌としては最適だろう。

(でしたらええ、釣られた演技をして……)
 これ見よがしな感じで落ちてきた|小剣《グラディウス》を拾いに行こうとすると、案の定と言うべきか、そこでは敵の集中砲火が待っていた。策を看破してはいても流石にこれを避けきるのは難しい――ぱっと身を翻してギリギリで直撃は避けるものの、すぐに追撃がやって来る。
「かかったな、愚か者め!」
 ここぞとばかりに猛攻を畳み掛けるケルベロス・フェノメノン。人間であれば喜悦の表情を浮かべている事だろう。
 だが、全てが自分の思い通りになっていると慢心した時にこそ、隙は生じやすい。策を仕掛ける側だとばかり思っている奴は、自分が策をかけられている事に気づかないものだ。

(藍ちゃんくんは陽動! ファンの皆様、よろしくなのでっす!)
 自分はおびき寄せた攻撃を避けるのに専念し、|小剣《グラディウス》は【藍の手】で召喚したファンの皆様にとってもらう。それが藍の作戦だった。見えないスピリチュアルなファンたちは推しの期待に応えてこっそりと戦場を移動し、落ちている剣を拾ってきて彼に差し出す。
「プレゼントありがとなのでっす!」
「なっ、いつの間に?!」
 あくまで釣り餌だったものがいつの間にか彼の手に渡っているのを見て、ケルベロス・フェノメノンが動揺する。
 ステージも十分に温まってきたところで、ここからは主役交代だ。藍は|小剣《グラディウス》をマイクのようにくるりと持ち替え、高らかに歌い出す。

「ファンの皆々様と一緒のお歌は山をも動かすのでっす!」
 藍の歌声とそれに呼応するファンのコールは、|小剣《グラディウス》で増幅され物理的なパワーになる。圧倒的な一体感が生み出す天地鳴動の衝撃は、たちまち戦場を巨大なライブステージへと変え、ケルベロス・フェノメノンを吹き飛ばした。
「ぬ、グオァアアアアアッ!!!?!」
 まさか、ただの歌とコールにこれほどの力があるとは思わず、驚愕の叫びを上げながら三つ首の獣が大地に倒れる。
 一時はピンチのように見えて、終わってみれば全てライブの演出の一環だったように感じる。実に見事な"藍ドル"のパフォーマンスであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
(『結界術』で{蜂蜜色の陽炎}を使った結界を作ることで『オーラ防御』を行い、そのままバッタのように飛び回りながら攻撃を回避する)
弱さを得たということは乗り越えるための強さを手に入れる機会を得たという事
貴方にそんな殊勝な心掛けができればの話ですが
(スピンしながらジャンプすると背中の翅を広げて『空中浮遊』し燃え盛る炎のように大きく動き{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
私はもっと上手に踊りたい
弱い私の大欲は貴方を飲み込んでしまうほど大きいのです
(『念動力』で小剣を手元に手繰り寄せしっかりとつかむ)
小剣も来たことですしお喋りはここまでにしましょうか
(UC【蠱の星】を発動し上空に巨大な火球を作り出す)



「弱さを得たということは乗り越えるための強さを手に入れる機会を得たという事」
 欠落を破壊され無敵能力を失った『ケルベロス・フェノメノン』に、播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は語りかける。現状は彼奴にとって窮地だろうが、これを糧として己を見つめ直せば、新たな力を得られるかもしれない。成長にはモチベーションが重要である事を彼女は知っていた。
「貴方にそんな殊勝な心掛けができればの話ですが」
「御高説は不要だ。我はただ全身全霊を以って貴様らを殲滅するのみ!」
 対するケルベロス・フェノメノンから返ってきたのは純然たる殺意。その巨体に宿る無尽蔵の呪詛と魔力が、砲弾状の塊になって撃ち出される。弱体化し手負いとなった今でもなお、彼奴のユーベルコードは絶大な威力を有していた。

「どうやらその気は無いようですね」
 クロリアはバッタのように飛び回って呪詛と魔力の塊を躱し、「蜂蜜色の陽炎」のオーラを使った結界を作ることで爆発に備える。地面に着弾した【サイコフォース・フェノメノン】は激しい爆風と衝撃波を起こし、消えざる『地獄』の炎で戦場を燃え上がらせた。
「全て燃え尽きるがいい!」
 ケルベロス・フェノメノンの殺意を体現するが如き獄炎の嵐は、その命が尽きるか敵を滅ぼすまで消えないだろう。
 しかしクロリアはただの火に入る虫けらではない。くるくるとスピンしながらジャンプすると、背中の翅を広げて空に浮かび上がり、火の手が届かない高度に退避する。

「私はもっと上手に踊りたい」
 クロリアはそのまま空中に浮遊したまま燃え盛る炎のように大きく動き、「紅焔の旋律」を刻んでダンスを始める。
 それは天を衝かんと燃え上がり、鎮まることなく燃え広がる炎を表現した情熱と欲望のリズム。彼女が踊りにかける想いをそのまま体現した旋律だ。
「弱い私の大欲は貴方を飲み込んでしまうほど大きいのです」
「なにを言って……?!」
 最初は彼女の言わんとする事が分からなかったケルベロス・フェノメノンだが、踊りが激しさを増すにつれてオーラが炎のように立ち上り、巨大な球体を形作っていくのを見て瞠目する。その揺らめく光は地上の獄炎よりも強く、闇夜にもうひとつの月が現れたかのような輝きだ。

「小剣も来たことですしお喋りはここまでにしましょうか」
 そして、いつの間にかクロリアの手には一振りの|小剣《グラディウス》が握られている。ダンスの合間に念動力を駆使して、落ちていた物をこっそり手元に手繰り寄せていたのだ。その効果によってオーラの輝きはさらに増幅され、直視できないほどの眩さになる。
「もっと輝け! 私の星!」
 彼女が発動したユーベルコードは【蠱の星】。飽くなき舞踊への執念と欲望が生み出したオーラの塊が、巨大な火球になって戦場を照らしだす。それは彼女と敵対する者にとって滅びを告げる凶星であり、熱と光の裁きを下すものだ。

「グ、ゴアアアアアアッ?! や、焼かれる……この我が……?!」
 地獄の炎よりも熱いオーラの光線が、ケルベロス・フェノメノンを焼き焦がす。その様子を空から見下ろしながら、クロリアはダンスに熱中する。それを「生きがい」と呼ぶほどのひたむきな情熱こそが、彼女の踊りを日々上達させ、星を輝かせる原動力となるのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
ああ…武器は|小剣《グラディウス》なのか?

【流体金属生命体】を全身に纏って戦闘開始だ!
グラディウスが出るまで耐えないといかんからな…それになんとなくこのUCがいいような気がするんだよネ!

魔力塊と言えど何かにぶつかれば爆発するでござろう!到達する前に銃弾を叩き込んで爆破させ細かい呪いやら爆発は流体金属君を鎧にして耐える!流体金属君銀とか混ざってない?ほら呪いとか払いそうじゃん?
グラディウス取るまでの我慢でござるよ!

そういやグラディウスはUCの力を上げるそうでござるが…なら取ったら貴様も力が上がるのかい流体金属君?
上がるなら当然!「鉄拳」だッ!猟兵はやられた分はぶん殴って返す!それが流儀ィィ!!



「ああ……武器は|小剣《グラディウス》なのか?」
 どうやら今回の敵はそれがないと倒せないらしい。話を聞いたエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は流体金属生命体「オウガメタル・Spitfire」を全身に纏って戦闘を開始する。生きた鎧によって防御を高める【戦術超鋼拳】の構えだ。
「グラディウスが出るまで耐えないといかんからな……それになんとなくこのユーベルコードがいいような気がするんだよネ!」
 特に根拠がある訳ではないが、この|金属生命体《オウガメタル》は『ケルベロス・フェノメノン』と相性が良さそうな気がする。向こうがそれを見て何を思ったかは定かではないが――少なくとも鎧もろとも殲滅するという強い殺意だけは感じた。

「その程度で我が獄炎を耐えられるとでも思ったか!」
 怒号と共にケルベロス・フェノメノンが吐き出したのは、無尽蔵の魔力と呪詛の凝縮塊。着弾すれば爆発を起こし、消えざる『地獄』の炎を撒き散らすという【サイコフォース・フェノメノン】だ。流石にこんなモンは喰らってやれねえと、エドゥアルトはさっと「マークスマンライフル」を構える。
「魔力塊と言えど何かにぶつかれば爆発するでござろう!」
 地面に到達する前に銃弾を叩き込み、空中で爆破させる。このほうが至近弾を喰らうより遥かにマシだ。飛び散った細かい呪いやら爆風やらは、鎧にした流体金属君が耐えてくれる。地獄の炎はちょっと熱いが、それでも溶けてしまうほどではない。

「流体金属君銀とか混ざってない? ほら呪いとか払いそうじゃん?」
 なんか破魔的な力が宿ってないか話しかけてみるものの、残念ながら鎧は言葉を発さないので意思の疎通は難しい。
 そうしている間にも呪詛の塊は次々に降ってくるため、エドゥアルトも必死にライフルを撃ちまくるしかなかった。
「グラディウス取るまでの我慢でござるよ!」
 敵から降ってくるものは攻撃だけではない。呪詛塊に比べればずっと小さな剣がキラキラ光りながら落ちてくるのを彼は見逃さなかった。流体金属君の防御力を信じて燃えさかる大地を突っ切り、逆襲のキーアイテムをその手に掴む。

「そういやグラディウスはユーベルコードの力を上げるそうでござるが……なら取ったら貴様も力が上がるのかい流体金属君?」
 エドゥアルトがもう一度尋ねてみると、流体金属君は黄金の輝きでそれに応えた。|小剣《グラディウス》を取った瞬間から鎧の強度も出力も格段にアップしているのが分かる。彼がこの生命体に付けた「Spitfire」とは癇癪持ちという意味だが、その名にふさわしい程の荒れ狂うパワーを感じた。
「上がるなら当然! 『鉄拳』だッ!」
「な、なにをッ……?!」
 今こそやるしかねえとばかりに、鉄拳を振り上げ吶喊するエドゥアルト。動揺したケルベロス・フェノメノンはもう一度攻撃を放つが、黄金装甲化した流体金属の鎧はもはやその程度では砕けない。逆に防いだ攻撃の威力に比例して、その戦闘力をさらに増強する。

「猟兵はやられた分はぶん殴って返す! それが流儀ィィ!!」
「グゴアァッ!!?!」
 猛烈な勢いでケルベロス・フェノメノンの顔面に叩き込まれた【戦術超鋼拳】が、その巨体を大地に倒れ伏させる。
 ズシンと響き渡る地鳴りと共に戦場が揺れ、禁獣の絶叫が木霊する。利子付きできっちりお返しを食らわせたエドゥアルトは、満足げに拳を天に突き上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ
今だ見ぬ世界の欠片たる小剣
これがお宝ではなくて、何になりましょう
お宝ということは、つまり。私の物です

【飽和死霊埋葬】を解放
私自身はケルベロスの動きを見つつ、数多のオブリビオンの死霊を矢継ぎ早にけしかけ、常に視線を死霊側に向けられるようにする
巨大であれば、巨大な死霊を。攻撃が通らなくても、常に全力の一撃を
その力全てを再現できないとはいえ強力なフォーミュラレベルの死霊を混ぜこみつつ

小剣を落としたら、死霊でフェイント、時間稼ぎ、盾にしつつ拾いに行く
邪魔の為の攻撃は最大限に
拾ったら、小剣を吟味しつつその力を死霊達へ
死霊の集団戦術はお手の物です
お宝を拾ったらもう用はありません
死んでください



「今だ見ぬ世界の欠片たる小剣。これがお宝ではなくて、何になりましょう」
 禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の体内より排出される未知の|小剣《グラディウス》に、シノギ・リンダリンダリンダ(|強欲の溟海《グリードオーシャン》・f03214)は興味津々だった。聞けばそれは禁獣に対する切り札になるだけでなく、異世界に繋がる力も秘めていると言う。紛れもなくお宝と呼ぶにふさわしいだろう。
「お宝ということは、つまり。私の物です」
「略奪者めが! この|小剣《グラディウス》は渡さぬぞ!」
 ケルベロス・フェノメノンからすれば、これが猟兵の手に渡るという事は故郷の惑星への到達を許すことでもある。
 彼奴はそれを防ぐために全ての猟兵をこの場所で殲滅する気でいる。略奪を目的とする猟兵が相手ならば尚の事だ。

「第一、第二ロック解錠。怨嗟式呪霊咆哮。死霊機関、解放」
 これだけの大物が相手ならシノギも初手から加減はしない。我が身に刻まれた怨嗟に塗れた呪詛を引き裂き、【飽和死霊埋葬】を発動する。現れるのは彼女が今まで殺してきたオブリビオンの死霊達――死してなお呪詛となって彼女に使役される怨嗟の塊だ。
「屍人どもめが、冥府に帰れ!」
 ケルベロス・フェノメノンはそれを忌まわしげに睥睨し、【サイコフォース・フェノメノン】を発動。放たれた呪詛と魔力の塊は死霊の群れに着弾すると爆発を起こし、消えざる『地獄』の炎によって彼らの怨魂を焼き尽くしていく。

「やりますね。ですがまだまだいますよ」
 シノギは敵の動きを見つつ、数多のオブリビオンの死霊を矢継ぎ早にけしかける。敵が巨大であれば、こちらも巨大な死霊を。攻撃が通らなくても、常に全力の一撃を――その力の全てを再現できないとはいえ、強力なフォーミュラレベルの死霊まで混ぜ込んだ、総力体勢で攻め立てる。
「何体来ようが同じ事だ!」
 ケルベロス・フェノメノンも次々に呪詛塊を撒き散らし、戦場を獄炎で染め上げ死霊どもを焼き払う。これだけの数の差があっても戦力差は歴然で、攻撃を食らわせても膨大すぎる生命力のせいでほとんど効いているように見えない。だがシノギとて、これで奴を倒せると思っている訳ではなかった。

(やっと落としましたね)
 シノギが見ていたのはケルベロス・フェノメノンが|小剣《グラディウス》を落とす瞬間。死霊達はそれを拾うための時間稼ぎであり、盾であり、敵の視線を向けさせるための囮だ。彼らの全力特攻をフェイントにして、女海賊はひっそりとお宝の回収に向かう。
「これが欲しかったのですよ」
「ッ、貴様!」
 流石に途中で気付かれはするものの、死霊達総出で最大限に邪魔をさせれば、少しくらいは敵の行動を妨害できる。
 その少しの猶予を使って、ついにシノギは|小剣《グラディウス》をその手に掴んだ。見てくれは実用性のないアンティークに近いが、その刀身からは確かに秘められた力を感じる。

「お宝を拾ったらもう用はありません」
 シノギは手に入れた|小剣《グラディウス》の力を死霊に送り込み、戦闘力を増幅する。ゴーストキャプテンである彼女にとって死霊の集団戦術はお手の物だ。これまでとはまるで違う動きで、飽和した死霊の群れがケルベロス・フェノメノンに牙を剥く。
「死んでください」
「お、おのれ……グアアァァァァッ!!!?!」
 種族も能力も異なる死霊の攻撃と、死してなお脳に直接残される怨言。何十倍にも増幅されたそれらを喰らっては、地獄の番犬も平気ではいられなかった。もはや用済みとばかりに冷たい視線を向けるシノギの前で、禁獣は呪霊に塗り潰されていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

結月・志愛美
『さあ〜て、シャミどうする?』
背中に背負っているサヴェ姉が話しかけてくる
【視力】で敵がUC発動を確認する

サヴェ姉、力を貸して
魔剣から放たれる光に包まれて姿が変わる
UC災害の化身を発動

敵のUCは【結界術】で爆風や弾丸を防ぎながら神速移動で回避する
小剣もついでに拾う

じゃあ…反撃しようか
【気功法】で息を整えた後に
指定UC発動して竜巻を敵に放って怯ませた隙に走りながら六の剣・月輪龍舞を放ち切り裂き、六の剣の効果で追撃で七の剣・月花突を放ち吹き飛ばす

『シャ〜ミ、追い打ちに現象を操ってみようか』

私は手を前に出して炎や爆風を敵の方へ返した

うわ…これってえげつない力だな
災害の力の扱いに気を付けようと心に決めた



『さあ~て、シャミどうする?』
 結月・志愛美(時空を超えた龍神少女『シャミ』と次元災害の剣・f40401)の背中から、意思を持つ魔剣「サヴェイジ・オーラ」が話しかける。彼女達の目の前に立ちはだかるのは禁獣『ケルベロス・フェノメノン』――無尽蔵の呪詛と魔力にオーバーテクノロジーの超兵器を宿した、恐るべき地獄の番犬だ。
「我が|惑星《ほし》に至らんとする者は、誰であろうと全て打ち砕く!」
 揺らがぬ意志と殺意を剥き出しにして、その獣は【インフェルノファクター・フェノメノン】を発動。背中に搭載された兵器群が自分をロックオンするのを、志愛美の目ははっきりと捉えていた。このレベルの敵を相手取るには、まだ自分だけでは力が足りない。

「サヴェ姉、力を貸して」
『おっけ~』
 魔剣から放たれる光に包まれて、志愛美の頭部には龍の角が、背中には黒い翼が生える。これこそ【災害の化身】、災害魔剣サヴェイジ・オーラの力をその身に宿した姿だ。ただの人間なら触れただけで魔剣に乗っ取られてしまう危険な力だが、彼女はそれを自らの意思でコントロールできていた。
「……さあ行こう」
 彼女が黒翼を羽ばたかせると、その身はたちまち神速の領域に到達する。砲弾やミサイルでも捉えきれない速さだ。
 速さだけでは躱しきれない弾幕や爆風も、魔剣の力を使った結界術で防ぐ。ダメージを最小限に抑えながら竜人少女が向かう先にあるのは、地面に突き刺さった一本の|小剣《グラディウス》だ。

「じゃあ……反撃しようか」
 神速の早業で|小剣《グラディウス》を回収した志愛美は、気功法で呼吸を整えてから【極天神楽・五の剣・焔天滅昇】を発動。幼い頃から学び、身体に染み付いた型に沿って魔剣を振り下ろせば、斬撃波が白銀の竜巻となりケルベロス・フェノメノンに襲い掛かった。
「グオオオオッ……?!」
 |小剣《グラディウス》の力で増幅された竜巻の規模と風圧は、数百mの巨体を怯ませるほど凄まじい。その隙に志愛美は【極天神楽・六の剣・月輪龍舞】を発動、龍を象るように走りながら漆黒の斬撃を放った。それぞれの剣技が次の技に派生することで連続攻撃を可能とする、それが彼女のユーベルコードの特徴である。

「極天神楽……月花突!」
「グガァッ!!?」
 六の剣で敵の脚部を切り裂いた直後、志愛美は間髪入れず追撃の【極天神楽・七の剣・月花突】を発動。白銀に煌めく素早い刺突を食らわせ、ケルベロス・フェノメノンを吹き飛ばした。|小剣《グラディウス》で増幅された攻撃をこれだけ立て続けに喰らえば、相手もただでは済むまい。
『シャ~ミ、追い打ちに現象を操ってみようか』
「? うん」
 そこでサヴェイジに言われるがまま、志愛美は手を前に出して「動け」と念じる。すると先ほどケルベロス・フェノメノンがばらまいた炎や爆風が流れを変え、敵の元に返っていく。自身が生み出した『地獄』に追い打ちをかけられるとは、向こうも思っていなかっただろう。

「ぐ、ガァァァァッ……馬鹿なぁぁぁァァァ……!!」
「うわ……これってえげつない力だな」
 獄炎に焼かれて悶え苦しむケルベロス・フェノメノンを見て、志愛美は災害の力の扱いには気をつけようと決めた。
 まだコントロールできているなら良いものの、ひとたび箍が外れればこの力は使い手にも予想がつかない事態をもたらす恐れがある。普段「サヴェ姉」と呼び慕うものの恐るべき本質の一端を、彼女はこの日実感したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
【アドリブ歓迎】

ケルベロスねぇ
(何処かの世界では暴食の大罪の象徴の1つらしい、という知識が朧気に)
面倒くさいけど、まずは小突く事からってわけね

『宵闇』を生やし『飢渇』の「オーラ防御」や飛び回って敵の攻撃を避けつつ
同じく『宵闇』を生やした『飢渇』の群れを躰から喚び出す
全方位から『飢渇』に「捕食」攻撃と『微塵』の「爆撃」を仕掛け、小剣を引き摺り出して敵の部位を捕食した『飢渇』と共に『顎門』で体内に取り込んで回収

こんだけ手間かけさせたんだから、相応の効果はあるんでしょうね――!

UCを発動する。躰から吐き出される『飢渇』の群れが同等の体躯を持つケルベロス・フェノメノンの姿に変貌しUCで本物に襲いかかる



「ケルベロスねぇ」
 生と死の境界を守る地獄の番犬は、どこかの世界では暴食の大罪の象徴の1つらしい、という知識がメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)の脳内に朧気に浮かぶ。目の前の『ケルベロス・フェノメノン』にそれが当てはまるかは不明だが、飢餓と暴食を担わされた者としては少しだけシンパシー、あるいは対抗心があった。
「面倒くさいけど、まずは小突く事からってわけね」
 奴を倒すためには幾つかの手順を踏む必要がある。厄介そうに顔をしかめながらも、彼女は背中から骨身でできた翼を生やして相手に近付く。全ての猟兵を故郷に迫る外敵と見做しているケルベロス・フェノメノンは、それに気付くや即座に攻撃を仕掛けてきた。

「ここで滅びよ、六番目の猟兵達よ!」
「お断りよ」
 雲を衝く巨体から繰り出されるは【グラビティブレイク・フェノメノン】。触れたものの重力を操る一撃から身を躱すため、メフィスは骨身の翼で宵闇を翔ける。羽ばたきと共に暴風を起こして飛び廻る彼女の躰からは、タールと肉片を混ぜ合わせたような黒いオーラが尾を引いていた。
「まずは小剣とやらを引き摺り出すわよ」
 尽きる事なき飢餓衝動から生まれた「飢渇」のオーラは、本体から切り離されると眷属として蠢き出す。変幻自在に形を変えるそれらは、本体と同じ骨身の翼と捕食のための爪牙を生やし、ケルベロス・フェノメノンに襲い掛かった。

「腹を減らした小蝿どもが、我を喰らうつもりか?」
 全方位から迫る「飢渇」の群れを、ケルベロス・フェノメノンはミサイルや砲撃で撃ち落とす。この世界の基準では明らかなオーバーテクノロジーの武装すら操り、無尽蔵の生命力を誇る彼奴に生半可な攻撃は通じない。だがメフィスも無策で仕掛けた訳ではなかった。
「爆ぜなさい」
 攻撃を受けた「飢渇」は微塵に砕け、爆風と共に骨身の破片や血潮を撒き散らす。それらが目眩ましとなって禁獣の気を引いた隙に、生き残った「飢渇」が飛びついた。醜悪な牙でがぶりと敵に齧り付く様は、サイズ差を考えれば巨象に蚊が取り付いたようなものだろうが――今回、彼らが欲しているのは血肉ではない。

「このッ!」
 煩わしげにケルベロス・フェノメノンが巨体を揺すると、「飢渇」の群れは齧り取った僅かな肉片とともに篩い落とされる。与えたダメージは軽微と見られるが、メフィスは「上出来よ」と呟いて、顎門と呼ばれる捕食器官を開いた。
「そいつが欲しかったのよ」
 眷属達が捕食したのは禁獣の血肉だけではない、その体内にある|小剣《グラディウス》のほうが本命だ。メフィスは顎門の吸引能力によって「飢渇」達を自分の躰に呼び戻すことで、彼らが咥えた小剣も一緒に取り込んで回収する。これでようやく奴に反撃する準備が整ったわけだ。

「こんだけ手間かけさせたんだから、相応の効果はあるんでしょうね――!」
 期待外れだったら承知しないわよとぼやきつつ、メフィスは【鏡像を模る】を発動。ぐっと全身に力をこめて顎門を開くと、大量の「飢渇」が――本人の体積を無視した膨大な肉と骨と血の塊が吐き出され、巨大な三つ首の獣の姿を形作っていく。
「まさか――?!」
 それはまさしくケルベロス・フェノメノンの複製体。|小剣《グラディウス》の力でオリジナルと同等の体躯や戦闘力を忠実に再現したバケモノだ。構成素材は「飢渇」のため見分けがつかないという事はないが、突然目の前に現れた自分の鏡像に、敵も驚きを隠せない。

『『何もかも、全て私だ。「私達」のものだ』』
「ッ……?! やめろ、グオオオオオッ!!?」
 メフィスとケルベロス・フェノメノン複製体は異口同音に声を発すると、再現した武装と爪牙でオリジナルを襲う。
 今度はさっきの「飢渇」とは訳が違う。四肢を裂かれ胴体を抉られ首筋に噛みつかれ、血も肉も重力すらも全て貪り尽くさんとする、底知れない暴食の暴威をその身に受け、禁獣はたまらず悲鳴を上げた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
負けて…たまるか!
叫んで私は気合を入れる
『ああ!行くぞ…月華!』
朱雀はキャバリアに変身して搭乗した

敵のUCを推力移動で回避しながら視力で機械兵器を避けて小剣を拾う(消滅属性の矢弾の雨を放ち躱しきれない機械兵器を消滅させる)

吹き飛びなさい!
朱雀から降りて指定UC発動して時空崩壊の焔矢を放ち敵に攻撃する

『俺も続くぞ!』
朱雀はUC伝説の大妖怪・刀角を纏い次元突発能力の斬撃波を放つ

まだまだ行くよ!吹雪!
UC伝説の大妖怪・吹雪を発動して吹雪を呼び出して絶対零度の氷を敵に放ち凍らせた(足止めになればいい)

これで…終わりだよ!
障害物を足場にして敵の上を取り時空崩壊の焔矢と音響弾による衝撃波を放ち敵に攻撃する



「負けて……たまるか!」
 目の前にいるのが強敵ならば尚の事、花咲・月華(『野望』を抱く?花咲の鬼姫・f39328)は大声で叫んで気合を入れる。全猟兵を殲滅対象とする禁獣『ケルベロス・フェノメノン』――地獄の番犬が相手だろうと、ここで退くわけにはいかないのだ。
『ああ! 行くぞ……月華!』
 彼女の付き人である赤鬼の「朱雀」が、鳳凰を象った赤いキャバリアに変身する。花咲一族に代々仕えてきた機神は今代の姫君を乗せ、冥き闇夜の戦場を翔ける。出力は最初からフルスロットル、このレベルのオブリビオン相手に出し惜しみはなしだ。

「撃ち落としてくれる!」
 ケルベロス・フェノメノンは【インフェルノファクター・フェノメノン】を発動し、巨体と融合した数々の機械兵器から弾丸と爆風の嵐を放つ。それらは命中すれば炎の如き『地獄』と化し、標的が燃え尽きるまで消えることはない。
『喰らうかよ!』
「当たるもんか!」
 朱雀は爆風の隙間を縫うように推力全開で飛び回り、躱しきれない弾丸は月華がコクピットから矢弾で撃ち落とす。
 鬼の姫が妖力を込めた矢は『地獄』とも相殺して消し去れるが、そもそもの攻撃のスケールと物量が違う。あまり長くは耐えられないのは明白だった。

「小剣を……あった!」
 敵の猛攻を辛くも凌ぎながら、月華の優れた視力は爆風に紛れて小さな何かが落下するのを見逃さなかった。すぐさま朱雀をそちらに急行させると、彼女は炎の弓と矢を片手にコクピットから飛び降り、地面に突き刺さった|小剣《グラディウス》を引き抜く。
「吹き飛びなさい!」
 ここからが本番だとばかりに、発動するのは【花咲流奥義・鬼姫覚醒】。月華の髪は長く伸びて炎の鎧を身に纏い、小剣の効果で増幅された妖力は燃え盛る焔の矢となってケルベロス・フェノメノンに放たれる。時空すらも崩壊させる条理超越の力が、禁獣の前足を射抜いた。

「ぐおッ?! こ、こやつ……!」
『俺も続くぞ!』
 鬼の姫からの反撃にケルベロス・フェノメノンが動揺し、間髪入れずに朱雀は【伝説の大妖怪・刀角】の力を纏う。
 使い手の刀になることで武装を強化する大妖怪の助けを借り、彼が放った一撃は次元を揺るがすほどの斬撃波を発生させた。
「まだまだ行くよ! 吹雪!」
 さらに月華は【伝説の大妖怪・吹雪】を召喚。美しい青髪の女妖怪に絶対零度の氷弾を放たせ、敵を凍りつかせる。
 相手のサイズを考えると凍結させられる箇所は一部だけだが、それでも足止めになれば十分。大妖怪達の連続攻撃を受けたケルベロス・フェノメノンが、僅かにたじろぐのを彼女は見逃さなかった。

「これで……終わりだよ!」
 戦闘で破壊された瓦礫を足場にして、月華は力いっぱい地面を蹴る。跳躍と言うよりはもはや飛翔に等しいジャンプ力で敵の上を取ると、|小剣《グラディウス》で増幅された渾身の攻撃を放つ。時空崩壊の焔矢と音響弾による衝撃波が、ケルベロス・フェノメノンを襲った。
「グ、オオオオオオオッ!!!!」
 炎と音の衝撃に射抜かれた禁獣の絶叫は大地を揺るがすほど激しく、負傷した頭部から血が滝のように流れ落ちる。
 猟兵達から度重なる攻撃を受けて、無尽蔵の生命力にもそろそろ限界が見えてきた頃合いか。「欠落」を失った彼は決して無敵でも不死でもないことを、その全身の傷痕が示していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
まずは小剣を拾うよ

『オォォー!』
オーさんは返事した

『ふん…これが禁獣か』
ミナルアさんも戦闘態勢をとる

よし、拾えた
『オォォ〜!』
敵がUCを放って来たらオーさんに乗りながら機械兵器に呪殺弾を素早く放ちながら(クイックドロウ)小剣を拾いに行く
オーラ防御も展開

行け!ラウール!
UC逆行怪盗皇・ラウール・アナザーワンを発動して敵の動きは敵の影から出てきたラウールが怪盗能力によるワイヤーで拘束しUC剥奪撃で攻撃

『落ちろ…禁獣!』
ミナルアさんはUC精霊魔導・ヴァイオレンス・パラドックスで攻撃する

『オォォー…行くぜエル!』
ああ…行くよ皆!
皆で敵に総攻撃をかける

私は気づかなかった…ラウールの顔に罅が入っていた事に



「まずは小剣を拾うよ」
『オォォー!』
 オオサンショウウオ型バイクの「オーさん」に乗って、戦場に駆けつけたのはエリュファシオン・アルティウス(“やんきー”を目指す『時間逆行』を使う不思議な旅人・f39208)。元気に返事をする相棒の声を聞きながら、見据える先には『ケルベロス・フェノメノン』がいる。
『ふん……これが禁獣か』
 同行する星霊ミナルアも、敵を見上げながら戦闘体勢を取る。数百メートルを超える巨体に無尽蔵の生命力、膨大な魔力と呪詛、オーバーテクノロジーの超兵器。圧倒的な戦闘力を誇るこの禁獣に一矢報いるには、ユーベルコードの力を増幅させる|小剣《グラディウス》の確保は必須だった。

「来るよ!」
「ウオオオオオオッ!!!!」
 エリュファシオンの号令で仲間達が散開するのと、ケルベロス・フェノメノンの【インフェルノファクター・フェノメノン】が発動するのはほぼ同時だった。撒き散らされる弾丸や爆風が戦場を『地獄』の炎で燃え上がらせていく中、少女は愛騎を巧みに操縦して|小剣《グラディウス》を探す。
「よし、拾えた」
『オォォ~!』
 地面に落ちていた小剣を左手で掴みつつ、右手で「シャドウ・ガンナイフ」を構え、呪殺弾で敵の弾丸を相殺する。
 さらに「万能時間覇気」のオーラを身に纏って爆風に耐えながら、ユーベルコードを発動するため剣に力を込める。ここからが反撃のターンだ。

「行け! ラウール!」
 エリュファシオンの呼びかけに応えて現れるのは【逆行怪盗皇・ラウール・アナザーワン】。龍と悪魔が混じった6枚の翼を持つ、赤いタキシード姿の怪盗紳士が、持ち前の技巧を駆使してケルベロス・フェノメノンの拘束にかかる。|小剣《グラディウス》の効果で強化された彼のワイヤーは、禁獣の巨体でも千切れることはない。
「ぐッ……放せ!」
「放すかよ! 今だミナルアさん!」
『ああ。落ちろ……禁獣!』
 敵が拘束を振り解こうと藻掻いている隙に、ミナルアが【精霊魔導・ヴァイオレンス・パラドックス】を発動。得意の魔法と剣技を小剣の効果でさらに高めることで、ケルベロス・フェノメノンの頑丈な肉体をも貫通する威力となった攻撃を次々に叩きつける。

『オォォー…行くぜエル!』
「ああ……行くよ皆!」
 この機を逃すなとばかりにオーさんが真の姿――『調停龍パラダイム・パラドックス』に変身し、エリュファシオンがそれに応えて【逆行奥義・調停龍パラダイム・パラドックスの総攻撃】を宣言。この場に呼び集めた全ての仲間達と同時に、全力で攻撃を仕掛けた。
「お、おのれッ……グアアアアアアアッ!!!?」
 ガンナイフの呪殺弾、星霊の魔導斬撃、怪盗王の神剣、調停龍のブレス。|小剣《グラディウス》で増幅された全ての攻撃を身に受けて、ケルベロス・フェノメノンが絶叫する。山のような巨体がグラグラと揺れるたびに、血肉や兵器のパーツ、そして小剣が戦場に雨のように降り注ぐ。

 ――戦況は優勢。だが、それ故にエリュファシオンはまだ気付いていなかった。
 怪盗王から怪盗龍王、そして怪盗皇へ。これまで何度かの進化を遂げてきたラウールの顔に、罅が入っていた事に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シホ・エーデルワイス
アドリブ&連携歓迎

…何と言いますか…混沌とした容姿ね
よく見ないと
どこに頭が3つあるのか見分けが付かないし
体も有機物に機械に霊的らしき物がごちゃ混ぜ
…禁獣は異世界への扉なのかしら?


【華霞】の目潰しで私の居場所を感知し辛くし
翼で空を飛んで
対空中機動戦闘知識を元に第六感と聞き耳で見切り残像回避で時間稼ぎ

呪詛と地獄の炎は呪詛と火炎耐性のオーラ結界で防御

継戦能力でグラディウスが落ちるのを待ち
落としたら『聖笄』の光学迷彩で目立たない状態になりつつ回収し
【華霞】を増幅して放つ

華霞は私のUCの中では低火力な方ですが
グラディウスでどれだけ強化されるか興味津々です


戦後
弔いの祈りを捧げ
グラディウスは持って帰ります



「……何と言いますか……混沌とした容姿ね。よく見ないと、どこに頭が3つあるのか見分けが付かないし」
 有機物に機械に霊的らしき物がごちゃ混ぜとなった『ケルベロス・フェノメノン』の異形ぶりに、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)はふさわしい表現が思いつかなかった。これまでダークセイヴァーで遭遇したオブリビオンと比較しても、異質な存在感を強く感じる。
「……禁獣は異世界への扉なのかしら?」
 このケルベロスも、そしてもう一体の禁獣『歓喜のデスギガス』も、別の世界との繋がりが示唆されている。それはこの二体に限った偶然なのか、あるいは禁獣全般にまつわる特徴なのか。答えを考察している時間は残念ながら無い。

「消え去れ、六番目の猟兵達よ……うッ?!」
「咲き誇って! 私のエーデルワイス!」
 ケルベロス・フェノメノンが【サイコフォース・フェノメノン】を放つ構えに入った瞬間、銀色の輝きが彼の視界を覆う。わずかに速くシホが【華霞】儚きエーデルワイスの嵐を発動したのだ。禁獣にダメージを与えるには火力不足だが、その花弁には敵の感覚を晦ませる作用があった。
「おのれ、目潰しとは小癪な……!」
 標的を見失ったケルベロス・フェノメノンは闇雲に呪詛と魔力の塊を撒き散らすが、シホは純白の翼で空中を舞い、残像が生じるほどの華麗な回避機動を取る。いくら戦闘力に差があっても、目が見えていない敵の攻撃に当たるほど彼女は間抜けではない。

(まずはグラディウスが落ちるのを待ちましょう)
 反撃の準備が整うまでは回避に徹するシホだが、事はそう簡単でもない。地面に着弾した呪詛と魔力の塊は大爆発を起こし、消えざる『地獄』の炎を周囲に撒き散らす。焼き焦がされない為には正確に攻撃範囲を見切り、距離を取る必要がある。
「ウオオオオオオッ!!!」
 エーデルワイスの花吹雪を焼き払わんと『地獄』を拡大するケルベロス・フェノメノン。シホは過去の戦闘経験から似たような術技を使う敵の知識を元に、第六感と聴覚を研ぎ澄ませて戦場を翔ける。少々の火の粉が降りかかる程度であれば、対呪詛・耐熱効果を高めたオーラの盾で耐えることができた。

「……あれですね」
 そんな耐え忍ぶ戦いを続けた末に、ケルベロス・フェノメノンの体内から|小剣《グラディウス》が落ちるのを見たシホは、『聖笄』ハイドランダのヘッドドレスの力で光学迷彩を張り、自身を透明化して回収に向かう。エーデルワイスの嵐による目眩ましもまだ効いており、発見される確率は極めて低かった。
「これがグラディウス……」
 実際に手に取ってみたそれは武器としては頼りない見た目だが、話に聞いていた通りの力を秘めているのを感じる。
 その効果がどれ程のものか確かめてみようと、シホは小剣をぐっと握りしめ、再度同じユーベルコードを発動した。

「華霞は私のユーベルコードの中では低火力な方ですが、グラディウスでどれだけ強化されるでしょうか」
 興味津々の様子でシホが放ったエーデルワイスの嵐は"儚き"と呼ぶにはあまりにも強い輝きを放ち、先程の何十倍もの規模で戦場に吹き荒れた。地獄の劫火と呪詛はかき消され、数百mに達するケルベロス・フェノメノンの巨体もあっという間に呑み込まれてしまう。
「グ、オオオオオオオッ!!?!」
 |小剣《グラディウス》で増幅された想像以上の攻撃に、悶え苦しむ三つ首の獣。聖浄なるオラトリオの力を宿したエーデルワイスの花弁は、無尽蔵とさえ思われた禁獣の生命力を削り取り、骸の海に還さんとする――その光景を見上げながら、シホはそっと祈りを捧げた。

「どうか安らかな眠りを……」
 たとえ討たねばならぬ者だろうと弔いを欠かさない、慈悲の心が彼女を聖者たらしめるのだろうか。その後、シホはケルベロス・フェノメノンが倒れるまで戦場に留まり、消滅を確認すれば改めて祈りを捧げ、|小剣《グラディウス》を手に帰還するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
錬金術…マヒ攻撃と凍結攻撃と聖属性攻撃(ファイの力を借ります)の弾丸を錬成

クイックドロウ…弾丸を素早く放つ

属性攻撃…刹那の無限回転

『アルマ、来るで!』『行きますよ!』
OK!
ファイと慶喜が呼びかけて来たので私も返事をしながら敵と対峙する

『行け、アルマ!』
敵のUCは前に出た慶喜が凍結の力を纏った結界術で防御している間にファイに抱えて貰いUC錬金術士奥義・天使の無限回転弾を敵に放つ
行くわよ!『天使の無限回転…炸裂しなさい!』

敵に錬成弾を敵に放ち攻撃しながら敵の動きを止めながら小剣を拾う

こ…これは何?!龍の…力?
私は小剣を拾って力を感じた
よし、やってやるわ!
小剣にあの時の骸海龍の無限回転をかけて自身の周りを包み込むUC骸海龍アテルマディナ発動
私は龍の姿に変身した

『あ…あれは?!あの時の力!』『何や!アルマには魔力は無い筈やろ…?!』
骸海龍の力を知るファイと知らずに動揺する慶喜が居た

グォォォォォォォ!よし…コントロール出来る喰らいなさい!骸海龍の無限回転滅弾よ!

私は骸海龍の無限回転滅弾を敵に放った



『アルマ、来るで!』『行きますよ!』
「OK!」
 同行する仲間の「東・慶喜」と【錬金術士奥義・大天使ファイ召喚】で喚んだ「大天使ファイ」の呼びかけに返事をしながら、アルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)は敵と対峙する。眼前にそびえ立つ山のような三つ首の巨獣こそ、究極禁獣『ケルベロス・フェノメノン』だ。
「殲滅する……我々の|惑星《ほし》に迫る者は、全て!」
 如何なる理由によるものか、その一念のみを使命として獣は猟兵を敵と見做す。背部に搭載された機械兵器が一斉に火を噴き、弾丸と爆風の嵐が戦場に吹き荒れる。燃え盛る『地獄』にて標的を死ぬまで焼き焦がす、【インフェルノファクター・フェノメノン】だ。

『行け、アルマ!』
 メンバーの中でも結界術に長けた慶喜が、前に出て敵のユーベルコードを防ぐ。薄氷の如き結界が弾丸や爆風とせめぎ合っている間に、アルマは天使ファイに抱えてもらいながら【錬金術士奥義・天使の無限回転弾】の構えを取った。
「行くわよ!」
『天使の無限回転……炸裂しなさい!』
 天使の力を借りて行う、刹那の回転エネルギーを込めた銃弾は、発射後に分裂して見えなくなる。さらに弾丸自体もアルマの錬金術でマヒと凍結効果、さらに天使の聖なる力を付与した特別な錬成弾。これなら多少はダメージを与えられるかと思ったが――。

「全然効いてないわね……」
 ケルベロス・フェノメノンの無尽蔵の生命力の前では、どれだけ弾丸を当てても大海にミルクを零したようなもの。
 それでも錬成弾の付与効果で多少なりとも動きは鈍らせることはできた。その間にアルマは|小剣《グラディウス》を拾いに向かう。インフェルノファクター・フェノメノンと同時に、敵の体内からこぼれ落ちたものだ。
「こ……これは何?! 龍の……力?」
 小剣を拾った瞬間感じたのは、秘められた力とひとつのイメージ。小剣だけの力ではない、アルマの中に秘められた力が、共鳴して高まっているのだ。なぜ魔力を持たないはずの彼女にこんな力があるのかは本人にも分からないが――今なら使いこなせそうな気がする。

「よし、やってやるわ!」
 理屈ではなく本能のままに、アルマは銃弾ではなく自分自身に回転をかける。それにより発動するのは【骸海龍アテルマディナ】。天使のような白の翼と、悪魔のような黒の翼を持つ、緑と紫の鱗に覆われた龍の姿へと変身を遂げる。
『あ……あれは?! あの時の力!』『何や! アルマには魔力は無い筈やろ……?!』
 ファイは以前にもアルマがその力を振るうのを見たことがあった。あの時はほぼ暴走に近いものだったが、今は自我を保っている様子。一方でそれを知らない慶喜は、彼女が使えるはずのない魔法じみた現象を引き起こした事に動揺を隠せなかった。

「グォォォォォォォ! よし……コントロール出来る喰らいなさい! 骸海龍の無限回転滅弾よ!」
 それがアルマ自身の成長の証なのか、|小剣《グラディウス》の助けによるものかは定かではない。いずれにせよ全身に漲るこのパワーを使わない理由はない。骸海龍と化したアルマは大きく顎を開き、運命すらも破壊する無限の回転滅弾を放った。
「……?! なんだ、この力は……グオオオオオッ!!!?!」
 分裂した錬金弾を何発喰らっても小揺るぎもしなかったケルベロス・フェノメノンの巨体が、その一撃で揺らいだ。
 回転に抉られた部位はズタズタに破壊された再生する事もできない。かつては無敵を誇った究極禁獣にも、いよいよ最期の時が迫りつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

此処とはまた違う、別の世界からの来訪者「ケルベロス」か…
色々と興味は尽きんが、まずは奴を倒すところからだな

シガールQ1210とシルコン・シジョンを装備
牽制も兼ねてケルベロスに銃弾の嵐を叩き込み、同時にダッシュと悪路走破を駆使して、敵のインフェルノファクター・フェノメノンを食らわないように戦場を駆け回る
瞬間思考力を高めて敵の攻撃を見切りながら戦場を分析
敵の身体から零れ落ちたグラディウスを探す

まったく、息をつく暇がないな!まさしく地獄と言ったところか!
だが…私をこの程度で止める事が出来ると思うな!

銃弾や爆風を避けながら、グラディウスを把握出来たらUCを発動
ヴェートマ・ノクテルトのリミッターを解除して、さらなる高速移動で敵を翻弄
その隙に、念動力でグラディウスを手元に手繰り寄せる

何とも心許ない小剣だが…
秘めたる力は、確かに本物のようだな!

グラディウスを装備
UCの反動で全身から血を流しながら高速移動で敵に接近して斬撃波を連続で放つ

刀身軋めど、折れず、毀れず…
この身は既に、不滅の剣だ



「此処とはまた違う、別の世界からの来訪者『ケルベロス』か……」
 闇の救済者戦争の始まりと同時に封印を解かれ、猟兵にとっては大いなる脅威として立ちはだかった『ケルベロス・フェノメノン』。この獣が本当に異世界から来たのであれば、どうして今ダークセイヴァーにいるのか、なぜ禁獣になったのか――キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)の頭に幾つもの疑問が浮かぶ。
「色々と興味は尽きんが、まずは奴を倒すところからだな」
 奴の故郷と思われる世界に到達できれば、この疑問も幾つかは解消されるだろう。それに何より、この戦争に勝利するためにも奴を見逃す事はできない。「欠落」による無敵能力は破壊され、無尽蔵の生命力もあと一息の所まで削られた――なら、ここでもうひと押しだ。

「行くぞ、ケルベロス」
 キリカは強化型魔導機関拳銃「シガールQ1210」と神聖式自動小銃「シルコン・シジョン」を装備し、牽制も兼ねてケルベロス・フェノメノンに銃弾の嵐を叩き込む。秘術と聖句の力で強化された弾丸はドラゴンの皮膚すら貫通し、邪悪なオブリビオンを数えきれないほど浄化してきた代物だが――。
「温いは……真なる地獄の炎で燃え尽きるがいい、六番目の猟兵よ!」
 この程度では今回の敵はビクともしない。三つの首から咆哮を発し、未知のオーバーテクノロジーによる機械兵器から弾丸と爆風の嵐が吹き荒れる。この【インフェルノファクター・フェノメノン】が命中したが最期、標的は『地獄』の炎で永遠の灼熱を味わう事になるだろう。

「まったく、息をつく暇がないな! まさしく地獄と言ったところか!」
 たちまち炎上していく戦場の中で、キリカは攻撃を喰らわないように駆け回る。悪路の走破は慣れているが、ここは過去の経験と比較しても指折りに過酷な状況だ。一瞬でも思考力を止めれば、あっという間に本物の地獄行きである。
「だが……私をこの程度で止める事が出来ると思うな!」
 思考と足をフル回転させて、攻撃を見切りながら戦場の分析を行う。ケルベロス・フェノメノンを倒すために絶対必要となるのが、攻撃の際に奴が落とす|小剣《グラディウス》。まずはそれを回収しなければダメージを与えることすらままならない。

「あれだな……コード【épique:La Chanson de Roland】承認。リミッター全解除……起動しろ! 【デュランダル】!」
 銃弾や爆風を避けながら|小剣《グラディウス》の所在を把握したキリカは、身に着けているバトルスーツ「ヴェートマ・ノクテルト」のリミッターを解除。本来は装着者のアシストを目的とした各機能をブースターに変えることで、肉体の限界を超えたさらなる高速移動を可能にする。
「なんだと……ッ?!」
 急激なスピードの向上に翻弄され、束の間ながらケルベロス・フェノメノンは標的の動きを見失う。この隙にキリカは念動力を行使し、地面に刺さっていた小剣を自分の手元まで手繰り寄せる。「ッ、しまった!」と敵が彼女の狙いに気付いた時には、もう手遅れだ。

「何とも心許ない小剣だが……秘めたる力は、確かに本物のようだな!」
 傭兵であるキリカから見ると、通常のコンバットナイフのほうが武器としては余程役に立ちそうに感じる。しかし、この|小剣《グラディウス》の真価はそこではない。ケルベロス・フェノメノンに対するユーベルコードの威力を、大幅に強化する点にある。
「ここからが本番だな……!」
 彼女は猛烈なスピードで敵に接近し、その巨体めがけて斬撃波を連続で叩き込む。【デュランダル】起動中の装着者は身体能力の強化のみならず、スーツのセンサーが小脳の受容体を刺激する事で、潜在的な念動力の資質を増幅する。その威力はただでさえ超高層ビルを圧壊させるほど。小剣の力でさらに増幅された今ならば、破壊力は計り知れない。

「貴様……ッ、グオオッ?!」
 念動の斬撃波を食らったケルベロス・フェノメノンは大きな傷を負い、血飛沫とともに3つの首が同時に絶叫する。
 これだけの出力を発揮するユーベルコードを代償もなしに使うことは出来ないだろう。限界以上の力を引き出されたキリカの肉体は悲鳴を上げ、全身から血が流れる――しかし、それでも彼女は止まらなかった。
「刀身軋めど、折れず、毀れず……この身は既に、不滅の剣だ」
 肉体を凌駕する不屈の魂が、人を人以上の存在たらしめる。念じる事が力になるなら、その意志こそ最も鋭き刃だ。
 勝利の鍵たる|小剣《グラディウス》を握りしめ、歴戦の傭兵が繰り出す猛攻は、ついに禁獣の首を捉え――根本から真っ二つに、切断する。

「おのれ、六番目の猟兵達め……この我らでさえ止められぬとは、口惜しや……」

 無念の言葉を遺して、ケルベロス・フェノメノンの巨体は虚空に溶けるように消えていく。
 後に残されたのは、戦場に散らばった大量の|小剣《グラディウス》だけだ。倒すべき敵が消えても、それらは今だに秘めたる力を失わず、まるで猟兵達の手に渡ることを望んでいるようにも見えた――。



 ――かくして禁獣『ケルベロス・フェノメノン』撃破を成し遂げた猟兵達は、新たな世界への手がかりを入手する。
 この|小剣《グラディウス》が猟兵をいかなる世界に導くかはまだ分からない。だが、そこには必ず新たな冒険と戦いが待っていることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月27日


挿絵イラスト