闇の救済者戦争⑱〜ヘリオライトの瞳
●絶空獣現象
『我らが惑星には、何人たりとも近付かせぬ』
『例え其の者に悪心無くとも、熱き血潮の勇者であっても!』
『悪となりて邪となりて、我らが惑星に到達する可能性のある者は、全て打ち砕く!』
『――無論、貴様らもだ。六番目の猟兵達よ!』
『いずれ、|重力の鎖《グラビティ・チェイン》は貴様らを導くだろう』
『ならばその前に、ここで殲滅してくれる!』
『|異端の神々《デウスエクス》を屠りし我らが力、思い知れ!』
●神殺しの剣
禁獣禁域から解き放たれた究極禁獣が一体、ケルベロス・フェノメノン。
無敵能力の源となっていた『欠落』を破壊した今、彼の獣を倒そうと多くの猟兵達が集まっていた。
「皆、お疲れ様。第二層にも辿り着いていよいよ後半戦ね」
グリモア猟兵のイデア・ファンタジア(空想の描き手・f04404)が、予知によって判明した情報を説明する。
「無敵じゃなくなったケルベロス・フェノメノンだけど、腐っても究極禁獣ね。とっても強そうだわ」
強靭な肉体、無尽蔵の魔力、ありとあらゆる機械兵器。これらを併せ持つケルベロス・フェノメノンは、以下の三つのユーベルコードを使うようだ。
一つ、自身に触れた対象の重力を自在に操作する能力。
一つ、機械兵器の攻撃が命中した部位を『地獄化』――欠損させる能力。
一つ、周囲一帯を消えない炎で焼き払う能力。
それだけでなく、獣が体内に保有していた『殺戮の呪詛』を解き放ったことで、戦場は恐ろしい魔境へと変わってしまっている。
「これがある限り、そこにいるだけで死の呪いに蝕まれることになるわ」
呪いに抗う手段はただ一つ、強い願いや想いを叫ぶことだけだ。妄執に囚われた三つ首の獣に対し、己の魂の叫びを全力でぶつけることこそが、勝利を得るための鍵となるだろう。
「あと、相手の大きさは数百メートルくらいあるから」
最後にさらりと大事なことを付け足して、イデアは猟兵達を送り出したのだった。
渡来あん
初めまして、あるいはお久しぶりです、渡来あんです。
見覚えある名前の見知らぬ相手。
●説明
体長数百mの巨大な獣相手に挑みましょう。
無敵能力を失っているので、この戦場を制圧すれば滅ぼすことが出来ます。
また、⑰禁獣『歓喜のデスギガス』より先に制圧すると……?
プレイングボーナス:「魂の叫び」を放ち、死の呪いを跳ね除ける。
それでは、ご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『禁獣『ケルベロス・フェノメノン』』
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POW : グラビティブレイク・フェノメノン
【自身の肉体または武装】に触れた対象の【肉体を地表にとどめている重力】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD : インフェルノファクター・フェノメノン
命中した【機械兵器】の【弾丸や爆風】が【炎の如く燃え盛る『地獄』】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ : サイコフォース・フェノメノン
着弾点からレベルm半径内を爆破する【呪詛と魔力の塊】を放つ。着弾後、範囲内に【消えざる『地獄』の炎】が現れ継続ダメージを与える。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
久遠寺・遥翔
イグニシオンに[騎乗]しての[空中戦]
鍵となるのは魂の叫びって話だ
[オーラ防御]と[結界術]による多重障壁で身を守りつつ、全霊を込めて叫ぶぜ
「輝けイグニシオン、俺達の未来を守り抜くために!」
大事な人がいる。シンプルでありがちな理由だがこの意思は何よりも強い
かつて小剣に願いを込めて叫んだ他の世界の誰かのように願いを込めて打ち砕く
「お前は邪魔だ」
奴の機械兵器による攻撃や爆風は[心眼]でしっかりと[見切り]回避しつつ
こちらも全力のUCを叩き込む
ソードビットによる牽制を織り交ぜた超高速の飛行連続斬りでその巨体を切り刻み[焼却]し尽すぜ
重苦しい重圧。
三つ首の獣から放たれたおびただしい呪詛は、生きとし生ける者全てを滅ぼそうとするかのようだ。
愛機のキャバリア、イグニシオンに搭乗する久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)もその影響を直に受けていた。
肉体が、心が死んでいく。腕が上がらなくなり、息をすることも億劫になっていく。
それでも遥翔を突き動かしているのは、胸の奥から湧き上がる魂の叫びだ。閉じた瞼の裏に浮かび上がる笑顔、耳に残っている甘い声。
嗚呼、最愛の彼女の名は。
「――空あああああっ!!」
キャバリアの瞳が赤く光る。白い機体が再起する。コックピットのモニター越しに、敵を睨んで男が吠える。
「輝けイグニシオン、俺達の未来を守り抜くために!」
そして機神は空を翔ける。巨大な敵へと向かっていくその姿はまるで、誰かが振るった|小剣《グラディウス》のようだった。
敵の武装はその巨体に相応しく、数も大きさも通常兵器とは比べ物にならない。無数の巨大ミサイルに追尾されながらも、遥翔と愛機はそれら全てを振り切る勢いで飛び続けた。
『如何なる欲望、願い、愛だろうと! 我らの未来を奪わせはせぬ!』
それでも決して諦めない獣の執念に、遥翔はふと思う。これが過去の残像だというのなら、どれだけの無念があったのだろうと。少しだけ同情しなくもない。
だとしても、今という時代を生きているのは猟兵達だ。未来は現在を生きる者にこそ必要な物だ。それを阻むというのなら。
「お前は邪魔だ! 行くぜ相棒――ラグナレク・キャリバーッ!!」
燃え盛る焔の剣を構え、全身全霊の突撃を。狙うは中央の首、橙色の無数の瞳。
幾つもの剣閃が一体となり、巨獣の顔に大きな傷をつけた。太陽さえ灼く黄昏の炎が『地獄』に負けじと燃え続けている――。
大成功
🔵🔵🔵
九重・白亜
強い願い、想いか……なら話は簡単だ。
オレと一緒に居たいと言ってくれた人……水瀬・美鳥さん。一人で彷徨っていたオレの手を、取ってくれた人。
今なら言える。オレは、美鳥さんの力になりたいッ!!
|現象《フェノメノン》如きが、この想いが塗りつぶせると思うな!!
しょっぱなから全力魔法、肉体改造!
お前が獣であるのならば、オレも獣となって戦ってやろう。
均衡の歪曲。重力を捻じ曲げてオレの思うように操り、戦場を駆ける。奴の首、三つあるその根元に飛びつき、属性攻撃最大で食らいつく!
そうだ暴れろ。暴れる度にオレは叫んでやる。
オレの、オレたちの旅路の邪魔をするな。
魂。
それは時に、生命が備えている一種の器官を示す言葉であり。時に、人が生涯をかけて貫く在り方のことである。
自分の在り方とは一体何だろう。そう考えた時、九重・白亜(今を歩む魔術師・f27782)はすんなりと答えを見つけることができた。
「……オレは」
手を取ってくれた。一人で彷徨っていた自分に道を与えてくれた。気恥ずかしくて口にしたことはなかったけれど、その行いにどれほど救われたことだろう。
「オレはっ……!」
彼女のことが好きだ、大好きだ。ずっと一緒にいたい、ずっと笑顔でいてほしい。この想い、この願い、たかが|現象《フェノメノン》ごときに塗り潰されてなるものか。
今なら言える。少年は、魔術師は、九重・白亜という人間は――。
「オレは、美鳥さんの力になりたいッ!!」
魂の叫びが呪いを振り払い、疲弊した肉体を凌駕する。白亜という存在が、その真の姿を露わにする。
「均衡、崩壊せし時、それは混沌となる……獣、お前に合わせてやる」
流動する色彩の汚泥に覆われた四つ足の獣。大きさこそケルベロス・フェノメノンには及ばないが、内包する不吉さは引けを取らない。
|混沌の獣《カオスティック・フェンリル》。終末の権化と本来呼ばれるべき獣は、しかし今は望む未来のために駆け出した――。
――白い首に噛みつかれた禁獣は、既に重力が自身の手を離れていることを悟る。
『ぐっ!? おのれ、そこまでして我らの惑星を狙うか!』
均衡は崩れた。一秒ごとに強弱が、時には向きさえ変動する重力の中、全身がばらばらになりそうな衝撃に晒されながらもフェンリルは|顎《あぎと》を決して緩めない。
暴れ続ける禁獣に対して白亜が思うことはただ一つ。
『オレの、オレたちの旅路の邪魔をするな』
戦場に獣の咆哮が響く――。
大成功
🔵🔵🔵
リゼ・フランメ
ならば、魂の奥底より炎のように叫ぶのみ
「強きもの、されど光も優しさも知らぬ怒りの獣よ!」
我が惑星には近づけさせぬという憤怒は、守護の念より来たとしても
「光と救いを求め、希望を願う者の強さは貴方を越えると知りなさい!!」
魂蝕む死の呪いを、叫びと共に破魔を宿す炎を纏って打ち消し
「常闇を越えようとするひとの、鮮やかなる力をご覧いれましょう」
早業で戦場を駆け抜けると同時、軽業による跳躍等を含む軽やかな身のこなし+フェイントで立体的な動きで相手を幻惑
重力の与奪は纏った破魔の炎と浄化で相殺を
ひらりと攻撃を避ければ、UCを宿した剣の一撃で焼却を
如何なる巨躯であれ
魂を切り裂かれては身の大きさは無意味でしょう
狂える獣を見上げながらリゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)は叫ぶ。普段は蝶のように軽やかな声を、今だけは燃え上がる炎のように張り上げて。
「強きもの、されど光も優しさも知らぬ怒りの獣よ!」
守ることは戦うこと、戦うことは倒すこと、倒すことは殺すこと。初めは気高かっただろう守護の念はいつしか魔道に堕ちてしまった。
もしも気高さを保ち続けていれば、いつか『惑星を狙う者達』との和解さえあり得たかもしれない。今みたいに無用な争いをせずに済んだかもしれない。
けれど賽は既に投げられた。なら後は、己が|剣《ブレイド》でもって未来を切り拓くのみ。
「光と救いを求め、希望を願う者の強さは貴方を越えると知りなさい!!」
吐いた言葉は魂の叫び、胸の奥底から湧き上がる祈りの猛火。身に纏う赤い光こそは、魔を破り罪を断つ、夜を照らす人の輝きだ。
「常闇を越えようとするひとの、鮮やかなる力をご覧いれましょう」
翅のない蝶が戦場を舞う。ドラゴニアンでありながら飛べないことなど微塵も感じさせず、軽やかなステップを踏みながら敵の巨体を登っていくリゼ。その姿はまるで火の粉が天へと巻き上がるかのよう。
ぐわりと獣が牙を剥き、けれど空を噛む。幻惑の動きで逃れてみせたリゼがそのまま劫火剣を振るう。
それは魂を灼く刃。この瞬間、リゼは相手の正体の一端に触れてみせた。
『痛い』『どうして』『来ないで』
「これは……!?」
何万、何百万、いいやそれ以上。おびただしい数の魂を獣は内包していたのだ。まるで一つの文明そのものと相対したかのようだった。
一瞬だけ驚くリゼ、けれど彼女が追うべき|火《理想》を見失うことはない。
「……せめてこれ以上罪を重ねないよう、あなた達の咎を清めましょう」
夢見る蝶は月下に踊る。かつての惨劇を焼き尽くし、その先に新しい時代が始まることを願って――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
よくわからんが懐かしいふいんきがするでござる、が
想いは一つ、|ここにない物《デウスエクス》なんぞどうでもよろしい…誰が最強か決めてェ
どちらがより強いのか、答え合わせをしようじゃないか…殺し合いだッ…!!クソ野郎!!
全身に【流体金属】を纏ってぶん殴りに行こうぜ!
所で流体金属君って金属だけどさー銀とか混ざってない?ワンチャン呪詛に耐性とか持ってない?という訳で気合入れて耐えろよな!
やれ
呪詛爆発を堪えつつ接近してパンチ、パンチ、ひたすらパンチですぞ!文字通りの鉄拳でござるよ!
我慢して耐えた分は相手から食べていいでござるよ流体金属君!お代わりもいいぞ!そういう事だ!死ねぇ!ケルベロスゥ!
「よくわからんが懐かしい|ふいんき《なぜか変換できない》がするでござる」
己が魂がゆえか、それとも何らかの縁が結ばれていたか。心身を蝕む殺戮の呪詛、そしてその大元である禁獣に対し、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は奇妙な感慨を抱いていた。
「……が、それはそれとして」
グラビティ・チェイン? デウスエクス? どうでもよろしい。そう言い切ったエドゥアルトが今思っていることはただ一つ。
最強、その称号を得るのは誰かということだけだ。
「どちらがより強いのか、答え合わせをしようじゃないか……殺し合いだッ……!! クソ野郎!!」
巨獣に嬉々として挑むエドゥアルト。呪詛さえ吹き飛ばすその闘志はどこから来るのだと聞けば、闘技場からと返ってきたとか何だとか。
ともあれ、戦いのゴングが鳴る。
傭兵の体を流体金属が覆っていく。その正体はオウガメタルという名の金属生命体だ。
「ところでさー流体金属君? 君銀とか混ざってない? ワンチャン呪詛耐性とか持ってない? そっかーいけるかーよしよろしく!」
流暢かつ一方的に話しかけるエドゥアルト。話しかけられたオウガメタルは無茶を言うなと震えているが――。
「やれ」
有無を言わさない物言いにシュンとなるのだった。何だか様々な耐性を持っているようだが、もしかして全てこんな経緯なのだろうか。その狂気耐性、一体誰の狂気に対してです?
「ヒャッハー! 死ねぇケルベロスゥ!」
そんな下僕の悲哀はお構いなしに、主人は敵へと突っ込んでいく。敵から放たれる呪いをオウガメタルが変形し飲み込む。
「オラオラオラオラオラァ!!」
激しいパンチを繰り出す傭兵、その拳は金属の輝きに覆われている。食らった呪詛を力に変えて、文字通りの鉄拳制裁。
何だかんだで有能な流体金属君なのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ歓迎
うぐ、ここにいるだけで命が吸われていくよう…
なんて強力な呪詛…
も、桃の精さん、ぼくに、抗うための時間を、ちょうだい…
ここで倒れられないの
一緒に生きていきたい人たちがいる
死にたくない、じゃない
今は、どんなに短くても、ぼくらしく、みんなと生きていきたい
だから、こんな呪詛には負けないの!
呪詛は言葉、呪詛は理、呪詛は理解できる者にしか効果がない
なら、解析はできるの!
毛並みに溜め込んだ満月の魔力を集中、撃ち出される呪詛と魔力の塊を睨み付けてUC発動
ぼくの魂と思いを乗せて、響け、ぼくの声!
ケルベロス・フェノメノンの呪詛を消し去って、その先へ!
「うぐ……も、桃の精さん、ありがとう……」
サシェから立ち昇る香りがロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)の苦しみをほんの少しだけ和らげる。わずかな、けれど値千金の時間を稼いでくれた桃の精へと感謝を告げて、ロランは禁獣の呪いと向き合う。
死ね、と。殺戮の名に相応しく直截に告げてくる呪詛はあまりにも強力だ。命が抜けていく感覚に生理的な嫌悪感を覚えるロラン。
人狼は短命だ。ロラン自身、自分の余命がどれだけ残っているかは分からない。この感覚はいつか来る日が少し早まっただけなのかもしれず――それでも。
「ここで、倒れられないの……!」
死にたくない、ではない。生きていたい。こんな所では終われない。
大切な絆と共に、かけがえのない仲間達と共に。皆と過ごす輝かしい日々をもっともっとと魂が叫んでいる。
「ぼくはぼくらしく、みんなと生きていきたい! だから、こんな呪詛には負けないの!!」
いつかの日へと前を向いて歩いていこう。きっとその道のりで大事なものを得られるだろうから。
『ああ、生きていきたかったとも! 我らもな!』
ケルベロス・フェノメノンが放った魔力塊、それは殺戮の呪詛とはまた別の呪いだ。一切合切を焼き払おうとする魔力に込められた獣の想い、それを少年が理解できたのは共感ゆえだった。
道半ばで終わってしまった無念。仔細は不明でもそれだけは伝わってくる呪いをロランは理解し、共感し、そして拒絶する。
「ケルベロスさんも悔しかったの? ……でも!」
容赦はしない。それが世界だというのなら、意を決して明日を奪い合おう。敵を討ち、我が身を削ってでもその先へと辿り着こう。
満月の魔力に精神を蝕まれながらも人狼は吠えた。強く、強く、どこまでも強く――。
大成功
🔵🔵🔵
ゾーヤ・ヴィルコラカ
あなたは全てに代えても守りたい何かがあるのね。でも、そのためにこの世界に新たな災いを招くことになるのは見過ごせないわ。わたしは猟兵、手に入れたこの力で、わたしたちが生きるこの世界を守りたくてここに来たの! 覚悟なさい、咎人さん。ゾーヤさん、守るのは大得意なんだから!
叫ぶと同時に【UC:慈悲なき冬、来たれり】(WIZ)を発動よ、あらん限りの魔力を使って大量に編んだ氷槍を〈一斉発射〉するわ! 咎人さんの放つ魔力は、〈多重詠唱〉の〈結界術〉で防御を固めて立ち向かうわね。
強いだけのあなたと、恐ろしいだけの世界なんかに、負けられやしないわ。だってわたしは、猟兵だもの!
(アドリブ等々大歓迎です)
『我らの惑星には近づかせぬ! 誰であろうとだ!』
「……あなたは全てに代えても守りたい何かがあるのね」
無数の魂。文明。無念。狂えるケルベロス・フェノメノンの断片を知ったゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は、倒れそうになりながらも踏みとどまり獣を見上げる。
「でも、そのためにこの世界に新しい災いを招くのは見過ごせないわ」
この百年、ダークセイヴァーの人々は虐げられてきた。自分達が地の底に閉じ込められているとも知らず、死して尚待ち受ける残酷な運命に翻弄されてきた。
ようやくここまで来たのだ。第四層の大半を解放し、第五層で真実を知り。更なる闇が支配する第三層に希望の灯を届け、支配者達の座す第二層へと駆け上がった。全てここ数年の出来事だ。
「わたしが猟兵になったのは、きっとこの時のため。この世界を守りたくて……だからわたしはここに来たの!」
誰かが言った、『やがて世界に真の希望を』――今がその時。
「覚悟なさい、咎人さん。ゾーヤさん、守るのは大得意なんだから!!」
ゾーヤの叫びとほぼ同時に禁獣が呪いを放つ。獣の頭上で膨れ上がった魔力が形となって降ってくる。
「わたしの運命は氷、氷あるところに雪は降る。ここはもう、わたしの領域。――慈悲なき冬は此処に来たれり!」
だが、魔力塊は氷の槍に貫かれて爆散した。消えない炎が飛び散るが、戦場に吹き荒ぶ氷雪に埋もれていく。
ゾーヤの胸元で氷華の聖痕が輝いている。それは彼女の聖者としての力、故郷の万年雪を思わせる蒼銀の力。
雪は時に凶暴でありながら、外敵を遠ざける守護者でもあった。ちょうど今のゾーヤのように。
「強いだけのあなたと、恐ろしいだけの世界なんかに、負けられやしないわ。だってわたしは、猟兵だもの!」
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
【紫闇】
どのような事情があろうと、此方に仇をなそうと言うのであれば容赦はしない
力の差を思い知るのはどちらか…すぐに分かるだろう
シルコン・シジョンを装備
的が大きいから当て放題だな
銃弾の雨で敵を乱れ撃ちにしつつ、瞬間思考力を高めて敵の攻撃を確実に見切り、回避していこう
共に戦う魅夜と補い合う様に連携を取れば、私達に死角はない
魅夜…君がいてくれるならどのような呪詛も怖くない
そして、私もまた一振りの剣となって君を守ろう
UCを発動
ヴェートマ・ノクテルトのリミッターを解除
さらに速度を増した高速移動で攻撃を避けつつ敵に接近して銃撃
さらに、強化された念動力でケルベロスの武装を機械兵器を圧壊させてダメージを与えていく
魅夜…今まで君と過ごした日々、そしてこれから君と歩んでいく未来の全てを愛おしく思う
二人で積み上げてきた日々とそこから生まれた想い、それがあればどのような呪詛であろうと二人を砕く事は出来ない
私達の絆は永遠だ
魂からの叫びで死の呪いを撥ね退ける
最後はケルベロスに急接近して、二人で一撃を叩き込もう
黒城・魅夜
【紫闇】
事情があるのはお互いのこと
星とやらを助けてほしくば一言そういえばよかったものを
あなたは愚かにもただ牙を剝くだけでした
ならばこちらもただ叩き潰すだけのことです
救いを求めぬものに手を差し伸べるほど私はお人好しではありません
私もまた悪霊ゆえに多少の呪いは使えます
結界に呪詛を満たし範囲攻撃でキリカさんと私を包みこみ
さらにオーラで中和してガードしキリカさんをサポートします
そう、こんな危急存亡のときでも
私の隣にはあなたがいてくれます、キリカさん
ゆえに、焦りも危惧もありはしません
ふふ、私のように闇に生きる悪霊にも
こんな想いが生まれるものなのですね
キリカさんがともにある限り私は無限の高みへ上って行けるのです
それが私の魂の叫び、我が永遠の友への誓いです
呪いを跳ねのけつつ
心眼と見切りを用いて敵の攻撃を回避
その攻撃は「命中」が条件ですからね
そしてキリカさんの放った兵器の爆炎は色濃い影を作り出す
ええ、私の能力のためにあるような影をね
いかに巨体であっても関係ありません
影に飲まれて永劫の虚無へと消えなさい
「事情があるのはお互い様のこと。|助けて《m'aider》と、一言そう言えばよかったものを」
「ああ、此方に仇をなそうというのであれば容赦はしない。思い知るのはどちらか……すぐに分かるだろう」
闇色の髪の黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)と、紫色の髪のキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)。固い絆で結ばれた二人は、ケルベロス・フェノメノンに引導を渡すべく戦場へ足を踏み入れる。
魅夜は思う。救いを求めない者に救いの手を差し伸べることはないと。
キリカは思う。一振りの剣となって友を、友との未来を守ってみせると。
二人は思う。大切な友と一緒なら、どんな強敵だろうと打ち倒せると。
――握り合っていた手が名残惜しそうに離された。
『|異端の神々《デウスエクス》も|闇の種族《ダークネス》も|猟兵《イェーガー》も! 全て殲滅あるのみ!』
禁獣がそう吠えた瞬間、殺戮の呪詛が二人へと襲いかかる。当初の作戦では魅夜が結界で軽減する算段だったが――どうやらそう上手くはいかないようだ。圧倒的な殺意がたちまち二人を蝕んでいく。
「すみません、私がもっと呪いに明るければ……究極禁獣の名は伊達ではないようですね」
まるで不死の存在でも想定しているかのような、執拗なまでに殺しに長けた呪いだ。申し訳なさそうな顔をする相方に対し、キリカは首を優しく横に振る。
「魅夜……君がいてくれるならどのような呪詛も怖くない。それは君が呪いに強いからじゃない、君が君だからだ」
だから心配するな、そう気丈にも笑ってみせるキリカの姿に魅夜も励まされる。
ああ、己が友のなんて頼もしいことだろう。自分のような闇に生きる悪霊がこんな想いを持てるだなんて、かつては想像もしていなかった。
「あなたが私の隣にいてくれてよかった、キリカさん。ええ、あなたがいる限り焦りも危惧もありはしませんとも」
「その調子だ。さあ、あの獣に私達の絆を見せつけてやろう」
そうして二人は共に立つ。死に満ちた戦場で、二つの魂が輝きを増していく――。
敵が背負う武装はオーバーテクノロジーの機械兵器だ。残弾の概念を無視して放たれ続ける巨大ミサイル群は、当然のようにこちらを追尾してくる。
いかに速度を出そうと迎撃しようとこのままでは追い詰められる――そう判断した魅夜は、先ほどの汚名返上とばかりにとある呪詛で二人を包み込んだ。するとミサイルが次々とあらぬ方向に逸れていくではないか。
呪詛の正体は闇の力による姿隠し。機械のレーダーを狂わせたのだ。
狂ったとはいえ、無数のミサイルの中には偶然こちらへの直撃コースとなる物もある。しかしそのような物は次々と空中で爆発していった。
撃ち抜かれたのだ。キリカが持つ|大口径の自動小銃《シルコン・シジョン》による狙撃である。
もちろんそれだけでは終わらない、ついでとばかりに乱射した銃弾の雨が禁獣の巨体へと吸い込まれ、聖なる力が獣を削る。的が大きいから当て放題だな、とはキリカの言だ。
『ちぃ……|小剣《グラディウス》よ、魔空回廊を開け!』
ぞくり、とキリカは死の気配を――殺戮の呪詛の中でも分かるほど濃厚な気配を――感じとった。急いで周囲を見渡すと、異空間に繋がっているかのような黒い穴が空中に幾つも開いているではないか。
けれど、そこから敵の攻撃が飛び出してくることはない。
「私の前で闇を利用できるとは思わないことですね」
回廊の中では、飛翔するミサイルを鎖が絡めとり影へと沈めていた。それを一人知覚し静かに宣告する魅夜。
「助かるよ、この隙に大元を断つ……起動しろ! 【デュランダル】!」
|特製の戦闘服《ヴェートマ・ノクテルト》が全てのリミッターを解除し、着用者の能力を危険域まで引き上げる。高層ビルさえ圧壊させる念動力の照準を、キリカは敵のミサイルランチャーへと定めた。
軋む、歪む。それだけで十分だった。いかに高度な技術で作られていようと精密機器には変わりない。僅かな狂いは発射失敗という致命的な結果に結びつき――大爆発を巻き起こす。
死線で踊るかのように二人は戦い続けた。その果てに、臨界した想いが自然と口をついて出る。
「魅夜……今まで君と過ごした日々、そしてこれから君と歩んでいく未来の全てを愛おしく思う」
「キリカさん……あなたと出会えたことは私の宝物です。これからも続いていくことが私は嬉しい」
口にせずとも伝わることはある、それでも口にせずにはいられない。だって、魂が震えているのだから。
全身全霊で己が在り方を口にすれば、自然と叫びになるのだ。いつかどこかの世界でシャウトと呼ばれた行為、その真骨頂こそが魂の叫び。
「二人で積み上げてきた日々と、そこから生まれた想い」
「ともにある限り、私達は無限の高みへ上って行ける」
『私達の絆は永遠!! 何者にも砕かれはしない!!』
戦場に満ちていた呪詛は二人の叫びが吹き飛ばした。もはや憂いは何もない。
「これでさよならだ、ケルベロス。……最後に、言い残す言葉はあるか?」
『運命は変えられぬか……致し方ない、後は我らが使徒達に託すとしよう』
「そうですか。では、影に飲まれて永劫の虚無へと消えなさい」
特別製の弾丸が放たれ、獣の体表で爆発する。爆炎は大地に色濃い影を作り、影の中から鎖が伸びる。
そうして三つ首の獣、その残像は奈落の底へと沈んでいったのだった。
後に残るは二人の猟兵。彼女達の手はいつしか再び握り合っていた――。
大成功
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