闇の救済者戦争⑬〜青に溺れるコリドーア
足を踏み入れ進むたび、まるで深い海の底へと沈んでゆくかのように。
魔空回廊に満ちる彩は、ただひたすらの青。
そして深く静かな海底に眠るかの如く、ぐるりと回廊を取り巻く『展示品』達。
だって、イルカが空を泳ぐ此処は、尾鰭のように水のドレスを揺らす主が守る城。
聴衆を溺死させる旋律を奏でる彼女の『|人間画廊《 ギャラリア 》』なのだから。
●青の回廊に沈む
「ダークセイヴァーの世界の命運がかかっている闇の救済者戦争。今回皆に赴いて欲しいのはその戦場のひとつ、月光城砦群の魔空回廊だ」
筧・清史郎(桜の君・f00502)は集まった猟兵達に礼を告げてそう端的に伝えた後、視た予知の詳細を語り始める。
「ダークセイヴァーの第五層にある「月光城」は、外敵……おそらくは異端の神々と戦う為の城塞であるというが。だが今、デスギガス災群に乗って現れたこの城塞群の各々を治める、第五の貴族をも凌駕する「月光城の主達」は、その城塞群の中央に「ケルベロス・フェノメノンの欠落」を隠しているという」
だが此処を制圧すれば、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の欠落が判明した上、それを破壊して、禁獣の持つ「無敵能力」を無効化できるというが。
「この月光城深部に、「おそらく禁獣ケルベロス・フェノメノンの秘匿された『欠落』に繋がる」と思しき謎の通路、『魔空回廊』の存在が判明した。しかし、この場を守っているのは『月の眼の紋章』と融合したこの城の主自身。紋章と魔空回廊の相乗効果により、敵は「回廊内にいる限り、戦闘能力が元の『660倍』になる」という恩恵を受けている」
そのような敵と真っ向から戦えば、勝ち目が限りなく薄いことは明白だが。
「この能力強化の源は、回廊に取り巻かれる形で作られた|人間画廊《 ギャラリア 》に「展示品」として囚われている人達の命だ。だが、囚われた人々を解放する度にその強化は失われていくという。なので皆にはこの『魔空回廊』の|人間画廊《 ギャラリア 》へと赴いて貰い、人々を救出して、強化を失った敵を討って欲しい」
そして今回の戦場となる『魔空回廊』は、まるで海底の如き深い青の色で満ちていて。
演奏のテーマとして掲げている『水死』を与えんと、水葬のチェロを奏でているのは、この月光城の主『死響楽団』ヴィオローネ・チェロ。
さらに彼女の力は、この魔空回廊内にいる限り『660倍』にも強化されている。
『月の眼の紋章』と融合し、『展示品』として囚えている人達の命を源として。
だが清史郎も告げるように、そのような強敵でも付け入る隙は十分にある。
強烈な攻撃を掻い潜り、囚われた人々を解放すれば、敵の強化は失われていく。
なので人々を救出し、強化の効力がなくなった敵を討って欲しいというわけだ。
「ヴィオローネ・チェロは、水のドレスを纏って空中を水中のように泳ぎながら得物である水葬のチェロを奏でてきたり、水葬のチェロを水のイルカに変じさせて生命力を奪う水飛沫を放ち続けてきたり、まるで溺れているかのように息が詰まってしまう程の緊張の感情を与える演奏をしてくるという。強化された状態のそれらの攻撃は熾烈だ。まずは周囲に囚われた人々を救出し、そして強化を失った敵を討ってくれ」
清史郎はそこまで説明した後、よろしく頼む、ともう一度頭を下げてから。
満開桜を掌に咲かせ、猟兵の皆を導く。
イルカが空中を泳ぎ、死を奏でる深い青が揺蕩う、深海の如き魔空回廊へと。
志稲愛海
志稲愛海です。
よろしくお願いいたします!
こちらは1フラグメントで完結する『闇の救済者戦争』のシナリオです。
プレイング受付は、シナリオ公開と同時に開始します。
今回のこのシナリオは、早期完結運営の予定です。
成功の見込みが立ち次第、シナリオタグ等で締切をお知らせします。
追加冒頭はありません。
●プレイングボーナス
人間画廊ギャラリアに捕らわれた人々を救出する。
●シナリオ概要等
概要はOPにある通りです。
人々を救出し、強力な能力強化を失わせ、敵を倒してください。
回廊に囚われた人々は、水の鎖のようなもので拘束されています。
猟兵達にとってはこの水の鎖を断つことは容易ですので。
声を掛けたりしつつ拘束から解放してあげれば、それで大丈夫です。
救出メインでも戦闘メインでも、皆様らしく行動していただければです!
公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為は厳禁です。
締切等の告知は、MS個別ページやタグ、Twitterでも改めてお知らせします。
●お願い
同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。
グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何名様ででも歓迎です。
ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。
期間内に送信頂いた内容に問題のないプレイングは全採用したいと思いますが。
戦争の展開次第ではその限りではないことご了承下さい。
また、今回は早期完結を目指しているので、早めに締切になる見込みです。
それではご参加お待ちしております!
第1章 ボス戦
『『死響楽団』ヴィオローネ・チェロ』
|
POW : アクア・ヴェール・ドレスコード
【戦場に適した水のドレスを纏った姿 】に変身し、武器「【水葬のチェロ】」の威力増強と、【空中を水中のように泳ぐこと】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD : ウォーター・バーリオル・ドルフィン
【武器「水葬のチェロ」を水のイルカ 】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【生命力を奪う水飛沫】を放ち続ける。
WIZ : ディープ・シー・リサイタル
【武器「水葬のチェロ」を用いた演奏 】を披露した指定の全対象に【本当に息が詰まってしまう程の緊張の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:秋日子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠幻武・極」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セリカ・ハーミッシュ
相手は水を自在に操る厄介な力をもっているけれど
何とか回廊に囚われている人達を助けながら勝利しないとだね
ウイング・オブ・フリーダムで翼を展開して水の中に
囚われる前に飛び回ってヴィオローネ・チェロの攻撃を避けながら
人々を捕えている水の鎖をアイスレイピアで断ち切っていくね
それから翼の力で勇気を与えて、わたしがヴィオローネの
注意を引いている間に安全な場所まで逃げてもらうよ
強化されているとはいえ攻撃の一発一発の威力は
さほどでもなさそうだし、身動きが取れなくなっても少しでも
長く耐えて皆が逃げられる時間を稼ぐね
無事に避難してヴィオローネの力が弱体化してきたのなら反撃に映るよ
「これ以上、水で悪さはさせないよ」
足を踏み入れた月光城の魔空回廊に満ちるのは、まるで海底にいるかのような青一色。
そして、回廊を取り巻くように飾られている『展示品』。
セリカ・ハーミッシュ(氷月の双舞・f38988)はぐるりと巡らせる瞳に、より深い青を湛えながらも。
水葬のチェロを携える月光城の主の動向を窺いつつも思う。
(「相手は水を自在に操る厄介な力をもっているけれど、何とか回廊に囚われている人達を助けながら勝利しないとだね」)
そう……『展示品』にされているのは、囚われた人々。
さらに『月の眼の紋章』と融合した『死響楽団』ヴィオローネ・チェロの能力は、この魔空回廊内にいる限り『660倍』にも強化されていて。
彼女が演奏のテーマとして掲げている『水死』を、己の力の糧にしている『展示品』の人々に与えんとしているのだ。
だからセリカはアイスレイピアを手にして、泳ぐように深青の空へと羽ばたく。
回廊に響くヴィオローネ・チェロの旋律に決して囚われぬように。
ウイング・オブ・フリーダムで展開した翼で青の回廊を飛び回りながらも。
アイスレイピアを振るっては、次々と断ち切っていく。
「……!?」
「こ、ここは……」
「これでもう大丈夫だから、わたしが注意を引いている間に安全な場所まで逃げて」
翼の力で勇気を与えながらも、人々を捕えている水の鎖を。
そして希望と逃げるための力を与えられ、駆け出す人々を追わんと。
『……演奏会の邪魔はさせないわ』
刹那、水葬のチェロを水のイルカへと変じさせる、ヴィオローネ・チェロであるけれど。
セリカはすかさずバサリと翼をはばたかせ、水のイルカが放つ水飛沫を確りと見据える。
敵の能力は今大きく強化されており、その水飛沫は生命力を奪うというが。
だがセリカは敵の注意をひくべく立ち回りながらも、怯むことなく間に割って入って立ち塞がる。
強化されているとはいえ、水飛沫の攻撃の一発一発の威力は弱めであるようであるし。
「……っ」
たとえ攻撃を受けて身動きが取れなくなっても……少しでも長く耐えるべく、ぐっと踏みとどまる。
展示品にされていた人々が逃げる時間を稼ぐべく。
それは、勿論人々の笑顔を守るためでもあり、同時に、ヴィオローネ・チェロへと反撃する機会にもなるのだ。
力の糧である人々の数が減れば……彼女の能力も弱体化するのだから。
セリカは青の回廊を泳ぎ、アイスレイピアの切っ先をすかさず向けて振るう。
「これ以上、水で悪さはさせないよ」
『……!』
聴衆を溺死させるような死の演奏会など、もうさせやしないと――倒すべき眼前の敵へと目掛けて。
大成功
🔵🔵🔵
バレーナ・クレールドリュンヌ
◎
【息の仕方】
どんなに息が詰まるような曲でも……息の仕方がわからない程の胸の苦しみも……思い出させれば良いわ……心の底にある温かい本当の記憶を。
私は演奏に歌で応じて、閉じ込められた人に、息の仕方を思い出させてあげるわ。
心をどんなに引き裂かれても、本当の記憶は決して嘘をつくことはない。
|息の仕方《ハートソング・トゥ・リブ》
思い出して、あなたの心休まる瞬間を、温かい思い出を。
まやかしの溺死の曲は、真実の息を取り込むことで、やがて響きを失うはず。
私は歌うわ。
囚われた人達を救う、溺れた王子様を救う人魚姫のように……。
(アドリブ&連携OKです)
満ちる静寂と深く沈む青の色が人々に与える、恐怖と苦しみ。
どこまでも深いその色に飲み込まれれば、もがけばもがくほど沈んで苦しくなって……やがて、溺れて死に至る。
月光城の主が『展示品』にした聴衆へと披露せんとしているのは、そんな『水死』をテーマとした死の旋律なのだから。
その音色は、本当に息が詰まってしまう程の緊張を聴く者へと与えるというが。
でも――ひらり、ゆうらり、青に揺蕩うように。
白皙の人魚は、滑らかなる尾鰭を揺らしながらも、廻る回廊を思うままに泳いで。
「どんなに息が詰まるような曲でも……息の仕方がわからない程の胸の苦しみも……思い出させれば良いわ」
|人間画廊《 ギャラリア 》に閉じ込められた人達に、思い出させてあげる。
その心の底にある、温かい本当の記憶を。
だってバレーナは知っているから。
心をどんなに引き裂かれても……本当の記憶は決して嘘をつくことはないって。
だから、まやかしの溺死なんて奏でるその響きを失わせるべく。
『みんな、私の水葬のチェロの演奏を聴いてちょうだい。そして、深い青に溺れてしまえばいいわ……!』
「思い出して、あなたの心休まる瞬間を、温かい思い出を」
水葬のチェロを奏でるヴィオローネ・チェロの旋律よりも、もっともっと深くまで。
――息の仕方を忘れるくらいの哀しみを、生きることの意味を。
人々の心の奥底へとずぶり、潜ってゆくかのように。
バレーナはその歌声で、触れた掌で、心や精神を震わせて――届かせる。
そして、海色の翠を湛えた瞳に希望のいろを煌めかせながら、青の回廊を泳ぎまわりつつも。
泡沫に還ることなき人魚は紡ぐ……私は歌うわ、って。
『どんな干ばつの地だって、私の旋律を聴いた聴衆は溺死するのよ……、ッ!?』
その歌は、まるで御伽噺を彩り綴るかの如く響いて。
バレーナはひらり、囚われた人達を救っていく。
「! あれ、苦しく……ない?」
「あの綺麗な白の人魚の、歌のおかげ……?」
そう――溺れた王子様を救う、人魚姫のように。
大成功
🔵🔵🔵
シャルファ・ルイエ
まずは人質の解放を最優先に動きましょう。
きっとわたしはちょうど良いですし、囚われた人達が助かって、あちらの強化を無力化出来るなら一石二鳥です。
人質の方達が減れば減るほど、わたし達も戦いやすくなりますし。
音で溺れるのなら、音が聞こえなければいいんですもの。
【降夜】で夜を呼びます。
いまのひととき、此処は夜で、光も音もない海の底です。
敵の視界と音を奪えているうちに、出来る限り多くの人を助けますね。
水の鎖を壊す時に、周囲が見えない場合は今は動かずに、見えるようになったら逃げるよう言い添えておきます。
時間稼ぎに限界が来たら夜を終わらせて、敵を足止めして捕まっていた人達が逃げる時間を作らないと。
月の眼の力を得た月光城の主は、魔空回廊の|人間画廊《 ギャラリア 》に振り撒いては満たす。
一面の青の色と、聴衆を溺れさせるような『水死』の旋律で。
そんな今の彼女……『死響楽団』ヴィオローネ・チェロは、この青の回廊内にいる限り、能力がかなり強化されるという。
融合した紋章と、『展示品』である人々の命を糧として。
魔空回廊へと足を踏み入れ、そして周囲へと青を湛える瞳を巡らせるのは、シャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)。
戦場を泳ぎ、水葬のチェロを構えるヴィオローネ・チェロを倒す、それを成すために。
けれどそのためにはまず、やるべきことがある。
敵が強化された今のままの状態では、厳しい戦いになること必至だから。
(「まずは人質の解放を最優先に動きましょう」)
青の回廊を取り巻く『展示品』……囚われた人々を救うべく動き出しながらも。
シャルファはこうも思うから――きっとわたしはちょうど良いですし、って。
「人質の方達が減れば減るほど、わたし達も戦いやすくなりますし」
囚われた人達が助かって、同時にそれが敵の強化を無力化出来るというのならば一石二鳥、なのだから。
……それに。
『私のチェロの演奏を聴いて、溺れなさい』
「音で溺れるのなら、音が聞こえなければいいんですもの」
――あなたが抱いてる、星を想って。
シャルファがそう、その歌声で招き降らせるのは、光も音も届かない闇夜。
青の回廊が刹那、見えない星を信じられる者だけが見透せる夜と化して。
『! ……なっ』
(「いまのひととき、此処は夜で、光も音もない海の底です」)
広がる深淵の漆黒が、敵の視界と音を奪えば。
シャルファはその隙に青の戦場を駆け、人々を捕えている水の鎖を断ち切っていく。
「大丈夫ですか、怪我はありませんか?」
出来る限り、多くの人を助けるべく。
けれど今、この魔空回廊に満ちるのは、音も光も無い夜の闇。
「で、でも真っ暗で、何も見えなくて……」
水の鎖から解放された人々は、静寂降る夜に不安気に紡ぐけれど。
「今は動かずに、見えるようになったら逃げてくださいね」
水の鎖を壊す時にそうシャルファはひとこと言い添えておく。
そして次々と、鎖から人々を解放していくのだけれど。
『く、どんなに逃げようとしても、私の演奏を聴けばすぐに溺れてしまうの』
時間稼ぎも、どうやらここまで。
そう判断したシャルファは、すぐさま夜を終わらせて。
言っておいた通りに慌てて駆け出した人たちを背にし、立ち塞がる。
(「敵を足止めして捕まっていた人達が逃げる時間を作らないと」)
次にやるべきこと――ヴィオローネ・チェロを、決して通さぬようにと。
大成功
🔵🔵🔵
スピネル・クローバルド
アドリブ・連携歓迎
■心情
660倍に強化された力ですか、まともに戦っていれば勝ち目は無いですね。
まずは囚われた人々を救助する事が先決ですね。
■行動
囚われた人たちを【救助活動】で助けますね。
私は、『森葉静隠』を使用して周囲を広大な森に変えつつ
自身や仲間を木の葉で隠して敵の攻撃を掻い潜ります。
私もステルス護衛兵の【迷彩】機能や自身の【目立たない】能力で
森の中に擬態して、見付かり辛くしますね。
囚われの人々は、水の鎖を断ち切ってどんどん助けて行きます。
戦闘では、ディープ・シー・リサイタルには
【息止め】で耐えつつ【落ち着き】で緊張感にも対処します。
反撃の際は『フォレストスナイパー』で攻撃します。
一見すれば、まるで深海を泳ぐかのような優雅な姿に見えるのだけれど。
スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)は青の回廊を揺蕩う月光城の主『死響楽団』ヴィオローネ・チェロを見遣り、思う。
(「660倍に強化された力ですか、まともに戦っていれば勝ち目は無いですね」)
だが、強化された今の状態では勝てなくても……その強化を無くす手段はあるのだから。
スピネルは状況を確認するように、赤い瞳を巡らせる。
(「まずは囚われた人々を救助する事が先決ですね」)
青の回廊をぐるりと取り巻くような『展示品』、囚われている人々へと視線を移して。
刹那、青の世界を駆け、確りと救助活動ができるように展開する。
――さぁ、狩りの時間ですよ。
『私のチェロで水死させてあげる……、!?』
自分達の姿を隠すような木の葉を降らせる『|森葉静隠《 ハーミット・イン・フォレスト 》』を。
そして海のようであった回廊が広大な森へとその様相を変えれば。
スピネルも自身の目立たない能力を駆使し、背景に同化する事が出来るキャバリア・ステルス護衛兵の迷彩機能も最大限に使って。
敵に見つかりにくくするべく、森の中にすかさず擬態すれば。
囚われの人々の水の鎖を断ち切って、次々と助けて行くべく立ち回る。
『く……姿は見えなくても、でも聴こえるでしょう? 息ができなくなるわよ?』
それでもヴィオローネ・チェロは、水葬のチェロの演奏を披露してこんとするけれど。
「……っ」
どのみち息が詰まってしまう感覚を覚えるのならばと息止めして耐えつつ、与えられるという緊張感にも落ち着いて対処していきながらも。
スピネルは、握る『フォレストスナイパー』をぐっと構え、狙いを定めれば。
『私の回廊に足を踏み入れた者はみんな、水死するのよ……う、ぐっ!』
何と言っても、射程距離も射撃精度も共に超一級品。
そんな木製の弓から放たれた矢が、青の世界を泳ぐ敵を見事捉えて射貫く。
もう『水死』がテーマの演奏会なんて終わりだと――水葬のチェロの旋律にも決して屈することなく。
大成功
🔵🔵🔵
館野・敬輔
【POW】
アドリブ連携大歓迎
相変わらず、月光城の主は人々を平然と弄んでくれる!!
ここでその傲慢な考え事断ち切ってやる!!
指定UC発動し、純白鎧を纏った聖戦士に変身
その上で漆黒の「オーラ防御」で守りを固め
「ダッシュ、地形の利用」で囚われの人々の間を走り回り
次々と黒剣で水の鎖を断ち切り救助していく
聖戦士化している間は、黒剣の間合いに入らない限りは負傷を最小限に抑えられるはずだから
必要あらば救出した人々をかばうぞ
…待たせてすまない、今助けに来たよ
もう大丈夫だからね
強化が失われたらダッシュで懐に飛び込み
水葬のチェロが奏られるより早く
「2回攻撃、怪力」でチェロごとぶった切る!
演奏会はもうおしまいだ!!
月光城の魔空回廊を満たす彩りは、ただ一色。
『私のチェロの演奏を聴きながら、溺れて海の藻屑になるといいいわ』
我が物顔で青の画廊に死の旋律を響かせるのは、この城の主・『死響楽団』ヴィオローネ・チェロ。
いや、ただ青の彩りで回廊を満たすだけならば、ともかく。
足を踏み入れた回廊を見遣る館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は、ふるりと大きく首を振り、ぐっと拳を握り締める。
敬輔はよく知っているから。いつだって、やつらはそうだ。
「相変わらず、月光城の主は人々を平然と弄んでくれる!!」
人々を恐怖と絶望に陥れ、享楽に酔い、大切な様々なものを嬉々と壊していく。
現に、今だってそうだ。
眼前の敵が、『展示品』と言って回廊に飾っているもの……それは、囚われた人々。
……けれど。
『ふふ、この『展示品』たちのおかげで力が満ちているわ。お礼に、水死の最期を与えてあげる』
「ここでその傲慢な考え事断ち切ってやる!!」
それを許すことなんて勿論、敬輔には断じてできないから。
――闇と光は表裏一体の存在。今こそ俺と魂たちの闇を光に変える時!
刹那、敬輔はその姿を変じさせる。光輝く純白鎧を纏った聖戦士へと。
さらに、漆黒の守りのオーラで身を覆い、魂宿す黒剣を手にして大きく地を蹴る。
青の回廊の地形を利用し、その刃を振るうために。
だがその切っ先が向けられるのは、まだ倒すべき敵にではない。
『……!』
強い憤りを感じながらも、敬輔は己がまずやるべきことを違えない。
囚われの人々の間を走り回り振るう斬撃が次々と断ち切っていくのは、水の鎖。
枷となっていた鎖から人々を解放し、救出していけば。
『この海の回廊からは逃さない』
ゆうらり泳ぐように水葬のチェロを弾き鳴らし、人々を逃がすまいと水死の旋律を奏でんとしてくるヴィオローネ・チェロ。
だが、咄嗟に聖戦士化している敬輔が立ち塞がり、負傷を最低限に抑えながらも盾となって。
「……待たせてすまない、今助けに来たよ。もう大丈夫だからね」
「! きゃっ……あ、ありがとうございます、騎士様……!」
水の鎖から解放した少女を安心させるように声を掛けつつ、またひとり、青の恐怖から解き放つ。
そして、ひらりとヴィオローネ・チェロが水のドレスを纏った気配を察すれば、即座に身を翻して。
水葬のチェロが奏られるより早く、全力をもって敬輔はぶった切ってやる。
「演奏会はもうおしまいだ!!」
『なっ!? ……う、くっ!』
抱く熱い想いを全力でこめつつも、あくまで敵を討つべく冷静に。
チェロごと敵を叩き伏せるべく放った、怪力を乗せた連なる斬撃をもって。
大成功
🔵🔵🔵
南天庵・琥珀
青の世界、綺麗だな
人が捕まってなければだけど
念の為耳栓しておいて
ユーベルコードでジローを喚んで、一緒に救助活動だ
結晶輪・雪兎幻想で鎖を断ち切って、声をかけていこう
相手の肩や頬に触れて、落ち着いた言動を心がけてな
大丈夫、息出来るぞ
救助中は、俺からは攻撃しない
もし、敵が邪魔してくるようなら……
ジロー、頼んだ
俺が敵を気にしないことで、隙だらけだと思わせられれば狙い通り
ジローは俺を……家族を守るために、強くなる
お前の炎は、家族を想う気持ちは、水なんかで消し止められたりしないって
――証明してやれ、ジロー!
救助が必要なくなったなら攻勢に転じよう
その時は、俺はジローへの指示に徹するのと……
あんまりやりたくないけれど、真の姿へ
……ほんとうのすがたへ
もとにもどると、なみだがとまらなくなる
かなしくて、さびしくて
でも
そしたら、ジローは
おれのことを、まもってくれる
ぜったいに
※真の姿
髪が赤に近いピンクに
七歳前後まで若返り、子供用の赤いロングコート着用
下はショートパンツ、外からは素足にショートブーツに見える
常に落涙
足を踏み入れた回廊に巡らせる瞳は、海に輝く星の色のようで。
一面に満ちる青の彩りを重ねるように眺めながら、南天庵・琥珀(ナイトタイムドリーマー・f36445)は紡ぎ落とす。
「青の世界、綺麗だな」
ぐるりと廻る魔空回廊はまるで深海にいるかのように、深く静かな空間を作り上げていて。
ふと耳に聞こえ始めるのは、月光城の主『死響楽団』ヴィオローネ・チェロが奏でるチェロの旋律。
だが海底の演奏会かの如く、一見するとそれは神秘的に見えるかもしれない。
だが、美しくも心穏やかな音色では決してないのだ。
何と言っても、この画廊に並ぶ『展示品』の数々。
琥珀は、深海のような青の回廊の色は神秘的だとは思うけれど。
でも、その光景を肯定する気はない。
だって、その『展示品』とは。
「人が捕まってなければだけど」
回廊を取り巻くように囚われた、数多の人々なのだ。
だって此処は、青き回廊の|人間画廊《 ギャラリア 》なのだから。
だから、ただひたすらに満ちるこの青の彩りは、海の底に沈められたみたいに。
そんな『展示品』達にとってはきっと、恐怖のいろでしかないだろう。
琥珀は念の為耳栓しておきつつ、青の回廊にケルベロスオメガのジローを喚んで。
まずは一緒に、囚われし人々の救助活動をするべく動き始める。
人々を捕えて離さない水の鎖を結晶輪・雪兎幻想で断ち切っていきながらも、琥珀は声を掛けていって。
「! きゃっ、息が苦しいっ、溺れちゃう……!」
響くチェロの『水死』の旋律に惑わされ、急に体の自由が戻って来たことによってパニックに陥る人もいたが。
「大丈夫、息出来るぞ」
相手の肩や頬に触れて、ここは深海ではないことを実感させながらも。
……落ち着いた言動を心がけてな、って安心させるように言の葉を紡いであげる。
だが、人々の救助中は自分からは攻撃しない琥珀だけれど。
そんな『展示品』達を次々と解放していく行動を、敵が黙って許すわけはない。
『どんな干ばつの地でも聴衆を溺死させる、そんな私の旋律からは逃れられないわ』
青の回廊に響き渡るは「水葬のチェロ」から奏でられる、ディープ・シー・リサイタルの音色。
息苦しい恐ろしい深海の幻で惑わすべく、深い青の回廊を美しくも不穏な旋律で満たしながらも。
己に攻撃してくる気配のない琥珀をも溺れさせてしまおうと、攻撃を向けんとするも。
敵が邪魔してくるようなら、と……それも実は、想定通り。
全く彼女のことを気にする様子がないような素振りを見せ、その狙い通りに、隙だらけだと相手の油断を誘えば。
「ジロー、頼んだ」
琥珀は絶大なる信頼の感情を乗せて、青の戦場へと解き放つ。
「お前の炎は、家族を想う気持ちは、水なんかで消し止められたりしないって」
――証明してやれ、ジロー!
燃ゆるそのいろは、青に映える激しい赤。
赤い雪女からの加護は、大切な存在を守るために赤き焔を灯し続ける。
そして琥珀も知っているから。
ジローは俺を……家族を守るために、強くなる、と。
けれど周囲の人々を全て解放し、安全な場所へと避難させると同時に、敵の強化の効力を失わせれば。
琥珀も月光城の主を討つべく、青の戦場に共に並び立って。
ジローへの指示に徹しながらも、刹那曝け出す。
(「あんまりやりたくないけれど……」)
それは琥珀の、ほんとうのすがた――赤に近いピンクの髪をした七歳程の幼き姿。
赤い子供用ロングコートを纏い、ショートパンツに、外からは素足にショートブーツに見える装いで。
ぽろり、ぽろぽろと――その瞳からは、決して降りやまぬ雨のような雫が、止めどなく流れ落ち続ける。
だって……もとにもどると、なみだがとまらなくなるのだ。
――かなしくて、さびしくて。
けれど……でも、と。
真の姿となったちいさな彼も、やっぱり知っているから。
『あら、かわいい子。そんな貴方にも、素敵な『水死』を……、っ!』
「そしたら、ジローは、おれのことを、まもってくれる」
……ぜったいに、って。
魔空回廊に揺蕩う敵を、旋律を奏でるチェロごと燃やすべく。
真の姿へと変じたちいさな琥珀は、ジローを青の世界へと送り出す。
自分をいつだってまもってくれる燃ゆる赤を、涙流れ落ちるその瞳に滲ませながら。
大成功
🔵🔵🔵
ルーシー・ブルーベル
【心彩】
なんて底なしのあお
全て塗り潰されてしまうような
……なゆさん、わたしね
実はずっとあおが怖かったの
目が逸らせなくて、大切で、……怖くて
昔なら此処にいたら少し竦んでしまっていたかも
でも今なら、なゆさんといっしょなら
だいじょうぶって思える。不思議ね
……えへへ、本当?
それはとっても、誇らしいわ!
ええ、画廊に囚われた方々を助けに行きましょう!
水の音、チェロの音色
ようく耳をすませて
ヴィオローネさんから距離をとったり隠れたりして
最初はやり過ごしながら進みましょう
息をひそめていると本当に水底に沈んでいるよう
……いいえ、だいじょうぶ
独りでない事はこんなにも力をくれる
捕らわれたひとって、あの人達かな
周囲に注意を払いながら水の鎖を断っていくわ
もうだいじょうぶよ、立てる?
あっちにも人が居る!行ってみましょう
……大分逃がせたかしら?
ええ、共に
そろそろこちらの演奏も聞いて頂きましょう
『ふたいろ芥子の怪火』
息止める程の音色に対しては
花菱草色の護り火で二人を包む
昏い青にも染まらぬ色があると
わたし達で証明しましょう
蘭・七結
【心彩】
青――それは、己からは遠い色彩
手の届かない空と、足の着かない海
“果て”が視えないから、かしら
何処か恐ろしく感じてしまう
拡がる景色は、青に満たされている
――そう。ルーシーさんも、なのね
様々な“あお”を纏う、幼き子
何もかもを抱えていたあなたが
今は『怖い』と伝えてくれている
それが、無性に喜ばしく感じてしまう
ルーシーさんに力を添えられているのならば
それは、とても幸いなことだわ
わたしも、あなたの存在が心強いわ
往きましょうか
先の視えない青を掻き分けて、先へ
耳を澄まして音を捉えましょう
音色を耳にしたのなら、隠れつつ進んで往くわ
……だいじょうぶ。一緒に居るわ
常夜の昏さも、青の深さも
共にならば、恐ろしくなぞ無い
鍵の刃にて水の鎖を絶ちましょう
もう、平気よ。お逃げなさい
後のことはわたしたちに任せて頂戴な
――さあ、ルーシーさん。共に
わたしたちの演奏を堪能していただきましょう
夜の、水の闇を払うように
この戦禍を、その音色を断ち切るために
両の手で握る鍵刀の刃を振るう
『くろ紅の縁絶』
わたしたちの彩は如何かしら?
何処を見回しても、目に映る彩はただひとつだけ。
(「なんて底なしのあお」)
巡らせるルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)の瞳に、さらに深いその色が重なる。
……全て塗り潰されてしまうような。
そう思ってしまうほどの、ただひたすらの青。
それは、蘭・七結(まなくれなゐ・f00421)にとっては、己からは遠い色彩。
(「“果て”が視えないから、かしら」)
いくら手を伸ばしても届かない空と、どれだけ藻掻いても足の着かない海。
だから、拡がる景色に満たされている青に身を投じれば。
七結は思ってしまうのだ……何処か恐ろしく感じてしまう、と。
――でも。
「……なゆさん、わたしね。実はずっとあおが怖かったの」
届いた声が紡ぐのは自分と同じ気持ち。
今、この青の只中にいるのは、ひとりではないのだ。
どこまでも深い青は、やはり飲まれてしまいそうな不安な心地に陥ってしまうけれど。
「――そう。ルーシーさんも、なのね」
「目が逸らせなくて、大切で、……怖くて。昔なら此処にいたら少し竦んでしまっていたかも」
七結は、青は青でも、眼前の彼女の青を映した眸を細める。
様々な“あお”を纏う、幼き子。
(「何もかもを抱えていたあなたが、今は『怖い』と伝えてくれている」)
それが、無性に喜ばしく感じてしまうし。
「でも今なら、なゆさんといっしょなら、だいじょうぶって思える。不思議ね」
「ルーシーさんに力を添えられているのならば。それは、とても幸いなことだわ」
……わたしも、あなたの存在が心強いわ、って。
心に満ちる想いを言の葉で伝えれば。
「……えへへ、本当? それはとっても、誇らしいわ!」
自分のことをちゃんと頼ってくれて、そして、年相応に笑ってくれる。
それが本当に嬉しくて。そんな彼女に自分も支えられているって、紡いだ言葉通り強く感じるから。
だから七結は、こう躊躇なく紡げるのだ。
――往きましょうか、って。
先の視えない青を掻き分けて……ふたりで一緒に、先へ。
だからルーシーも、迷わずこう返せるのだ。
「ええ、画廊に囚われた方々を助けに行きましょう!」
この青の魔空回廊に飾られているという『展示品』……それは、囚われている人々。
そしてその|人間画廊《 ギャラリア 》に囚われし人々の命を糧に、得ているのだという。
ふいに耳に聞こえてくるチェロの音色……それを奏でている月光城の主・『死響楽団』ヴィオローネ・チェロは、本来の660倍もの強大な力を。
そんな彼女が青に響かせる音色のテーマは『水死』。
聴く者を飲み込み、溺れさせんと響き渡るけれど。
ふたりはようく耳を澄まして、音色から相手との距離や方向をはかりながらも。
身を潜めつつ、青の世界の奥へと進んで。
「……息をひそめていると本当に水底に沈んでいるよう」
ルーシーは思わずそうそっと、心に抱く思いを呟き落してしまうけれど。
でもすぐに、生じていたそんな不安のいろも、泡のように消えていく。
「……だいじょうぶ。一緒に居るわ」
隣にいてくれる七結の声を聞けば。
だから、ルーシーも返せるのだ……いいえ、だいじょうぶ、って。
(「独りでない事はこんなにも力をくれる」)
そしてそれは、七結だって同じ。
常夜の昏さも、青の深さも。
(「共にならば、恐ろしくなぞ無い」)
だから、青に飲まれてしまった人たちにだって、手を伸ばせる。
「捕らわれたひとって、あの人達かな」
そうルーシーが見つけたのは、水の鎖に繋がれて『展示品』にされている人々。
まだ幸い、自分達の存在に、ヴィオローネ・チェロは気付いていないようであるから。
周囲に注意を払いながらも次々と人達を縛る水の鎖を断っていく。
「もうだいじょうぶよ、立てる?」
「もう、平気よ。お逃げなさい」
七結も鍵の刃をもって、水の錠前を開けるかのように、鎖を絶ち切っていって。
解放されても尚、不安そうな様子の少女へと、笑んで返してみせる。
それほどまでに周囲の青は深くて。
その只中で泳ぎ出すには勇気がいるというのは、よくわかるから。
だから、その背を押すように、紡いであげるのだ。
……後のことはわたしたちに任せて頂戴な、って。
「あっちにも人が居る! 行ってみましょう」
誰一人、理不尽な青に飲まれることがないように。
そしてそれこそ海かのように回廊は広いけれど、他の皆とも手分けし合って隅々まで取りこぼしなく。
「……大分逃がせたかしら?」
ルーシーは最後のひとりの鎖を断ち切った後、もう一度くるりと周囲を見回してみてから。
七結とふたり視線を交わし合い、こくりと頷き合う。
「――さあ、ルーシーさん。共に」
「ええ、共に」
……わたしたちの演奏を堪能していただきましょう。
……そろそろこちらの演奏も聞いて頂きましょう。
青の中を共に泳いで、終わらせるための二重奏を響かせるために。
『溺れるほどたっぷりと聴かせてあげるわ。水葬の奏でを』
けれど、ふたりに気付いたヴィオローネ・チェロも、水葬のチェロをすかさず構えて。
ふたりのことを溺れさせんと、水死の旋律を奏でてみせるけれど。
でもたとえ、水のドレスをひらり纏った相手が、息止める程の音色を弾いたとしても。
『! ……なっ』
ルーシーの咲かせた花菱草色の護り火で包まれたふたりには、完全に届きはしなくて。
いくら青の回廊の空を水中かのように上手に泳いだって、決して逃しはしない。
「昏い青にも染まらぬ色があると、わたし達で証明しましょう」
――目覚めて、花開く時よ。
――きざんで、納めて。
刹那、同時に青の世界に咲き誇り閃くのは、魔を祓う蒼芥子色の炎と、いとを絶つことのみに特化した黒鍵の刃。
ふたりが奏で合うそのいろたちは、決して人々を死へと誘う昏い青になんて飲まれやしない。
そして瞬間、青の世界の主が最後に咲かせたいろは、鮮やかに飛沫く赤。
「わたしたちの彩は如何かしら?」
七結は、ついに沈みゆくヴィオローネ・チェロへとそう訊ねてみるけれど。
でももう、月光城の主がそれにこたえることは叶わず、飲まれるような恐ろしさも泡のように消え失せて。
主を失った青の回廊にただひたすら広がるのは、凪いだ海の様な、音のない静寂だけであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵