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闇の救済者戦争⑮〜生まれてくる事さえ許されなかった者達

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争

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●ある実験室にて。
 其処は暗い闇に包まれ、少し先の場所さえ見えなかった。
 其処は一歩足を踏み入れれば誰もが顔を歪めるほどに酷い匂いが充満した場所だった。
 其処は足下に何かが散乱していた。
 そして、其処には余りにも異質な気配を発する何かが蠢いていた……。
『ぁぁぁ……』
『さmuぃ……さむiょ……』
 血に塗れ、まるでその肉体が未だ作られかけているかの様な其れは温かい何かを求める様に全身から生えた触手を蠢かせていた。
『ォヵ……さ……』
 特に天井に向かって触手は伸びており、天井にぶら下がっている何かに届きそうで届かない。
 そんな状況が幾度となく繰り返されていた。
 そして、天井に何があるかといえば……。
『ぉヵぁさん……』
 腹を裂かれた恐らくは赤子を孕んでいたと思しき幾多の女性、其の骸が大量にぶら下がっていたのであった……。

●グリモアベースにて。
「多分、皆も判ってると思うが……蠢いている何かは妊娠していた女性達の子供の成れの果てになる。
 無理矢理孕ませたか妊娠した女性を浚ってきたか……何れにしても、そんな女性達から生まれて直ぐの我が子を奪うか腹を裂いて引きずり出し、母親諸共殺めされ骸の海に堕とされた赤子たち。
 『未来を歩み出せなかった者達』と言われる存在、其れが皆と戦って貰う事になる相手って事だ」
 そう言ってグリモア猟兵は沈痛な表情を浮かべながら説明を始めていく。
「彼等は愛情に飢え温もりを求め引きずり込む存在だ。
 彼等の攻撃手段は三つ、先ず一つは攻撃に躊躇する者に愛情を求め群がる無数の赤子達、無数に存在する彼等の意思を束ね襲い掛かるという能力」
 此れに関しては一切彼等に同情せず対処する鋼の意思が必要になってくるだろう。
「二つ目はゆっくり広がる血溜まりから生えた赤子の腕が襲い掛かる能力。
 こいつは威力も厄介だが外れても攻撃が当たった先を血の池と化していき、其処から赤子が這い出す様になっちまう」
 更に言えば其の血だまりは『未来を歩み出せなかった者達』の力を引き出す為に只単に回避するだけではじり貧な状態になりかねないので其の対策を考えておくべきだろう。
「三つめは瀕死となると同時に血の池に変じ、其処から無数の赤子を呼び出してくる能力」
 此の呼び出される赤子は呼び出した『未来を歩み出せなかった者達』と同等の力を有している。
 だから瀕死にさせる事無く一瞬で倒す等の対策が必要になるだろう。
「更に言えば彼等は『祭壇』と呼ばれる設備によって加工によって全身から悍ましい触手を生やしている『紋章』になりかけの存在だ」
 そんな彼等が侵入者である猟兵達に温かさを求めて群がってくるだろうというのが此れから赴く戦場なのだとグリモア猟兵は言う。
「……あそこは悍ましいにも程がある光景が広がっているし耐えがたい死臭が充満している。
 皆には其れに耐えてでも『未来を歩み出せなかった者達』を倒してきてほしい。
 彼等を開放し、此れ以上の犠牲者を増やさない其の為に」
 そう言ってグリモア猟兵は猟兵達を戦場へと送り出したのだった。


久渓洞
 初めまして、或いはお久しぶりです久渓洞です。
 今回の依頼は戦争依頼、温かさを求めて猟兵達に群がる『未来を歩み出せなかった者達』を倒し此れ以上の犠牲者を出さない為の戦いとなります。
 プレイングボーナスは祭壇のおぞましい光景と死臭に耐えて戦う事。
 皆さんのプレイング楽しみにお待ちしております。
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第1章 集団戦 『未来を歩み出せなかった者達』

POW   :    血の羊水へと引き摺り込む
【攻撃に躊躇する者に愛情を求め群がる赤子】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[攻撃に躊躇する者に愛情を求め群がる赤子]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    広がる悪夢
【ゆっくり広がる血溜まりから生える赤子の腕】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【が血の池と化し広がり、赤子が這い出す】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    悲劇が繰り返される
自身が戦闘で瀕死になると【血溜まりとなり、血溜まりから無数の赤子】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サマエル・マーシャー
救いを求める声があるならば、救世主の出番です。
(自身が救世主であるという認識に狂っているので凄惨な光景も死臭も気にしない※【バーサーク】)

UCにより全ての赤ん坊に私の翼から羽を放つ【範囲攻撃】。
私の羽には『アイテム:神の毒』が含まれています。私が愛する者の感情と心を変質させるこの毒で彼ら・彼女らの心に穏やかさと安らぎを与えます。
これにより、私のUCによる同化までの時間を稼ぎます。

生まれたのなら、愛して欲しいですよね。
その気持ち、とてもよく分かります。
だから、私はあなたたちを愛しましょう。私の中で、私が終わる、その時まで。(完全同化しながら『アイテム:霊的サイバースペース』内に敵全てを取り込む)



〇狂い愛し。
『ぉヵぁさん……』
『さmuぃょぉ……』
「救いを求める声があるならば、救世主の出番です」
 そう言って実験室に最初に降り立ったのはサマエル・マーシャー(電脳異端天使サイバー・グノーシス・エンジェル・f40407)であった。
 彼女の眼前には余りにも凄惨な光景が広がっていたが二のデータの残骸が偶発的に融合した結果、『救世主らしき何か』として生まれた彼女は自信が救世主であるという認識に狂っており、其の目的の為なら眼前に広がる光景も死臭も気にせずに動いていた。
「私に全てを任せてください。救ってあげます」
 其の言葉と共に放たれた電子の羽は高速で未来を歩み出せなかった者達へと迫り……。
『ぁ……』
『ぁたたヵぃ……』
 羽を喰らった未来を歩み出せなかった者達は羽に含まれたサマエルが愛する者の感情と心を変質させる『神の毒』によって穏やかさや安らぎの感情が自身の中に生じ、彼等彼女等は初めて知る感情に戸惑い困惑。
『なに……koれ……』
『siら……なぃ……』
 それによって未来を歩み出せなかった者達は其の動きを止め……結果、己の中が改竄されていることにすら気付く事はなかった。
 何故ならそんな事よりも彼等、彼女等にとっては未知の感情、其処から感じる温もり以上に重要には思えなかったから。
 そして、そんな彼等、彼女等にサマエルは穏やかに声を掛ける。
「生まれたのなら、愛して欲しいですよね。
 その気持ち、とてもよく分かります」
 嘗て、己がこうなる前、愛玩用電子生命体でありながら嬲り殺しにされた方の自分を僅かに思い出したのか其の声はとても悲し気で優し気で……。
『……ぁぁ、ぁたたヵぃ……』
「だから……私はあなたたちを愛しましょう。
 私の中で、私が終わる、其の時まで……」
 心の底からの善意で彼女は未来を歩み出せなかった者達を己の中の霊的次元へと取り込んでいくのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
【アドリブ歓迎】

そう、よくある事ね。大して珍しくもなくありふれている

溜め息が零れる。馨しい死の香り
そう捉える己の衝動(ほんのう)が嫌になる
『禁忌』のベルトで躰を締め上げて薄まりそうな理性(自分)を引き戻す
縋るように這い寄ってきた触手を『骨身』の刃で斬り飛ばし払いのけて

……私はアンタ達のお母さんじゃないわよ。だけどね

躰に幾つも開いた「顎門」から「血潮」が湧き出して津波となり赤子の血だまりが混ざり合って溶けていく
ぶら下がる骸も、忌々しい祭壇も、全てを私の血が喰らいつくして紅い海に沈んでいく

その場の全てを呑み込んだ血の奔流がうねって私の躰に戻っていく
――全てを飲み干して、連れて行けるだけ連れて行こう



〇全てを飲み込み先に進み。
『ぉヵぁsa……』
『sa……ぃ……ょ……』
「そう、よくある事ね。
 大して珍しくもなくありふれている」
 己の眼前に広がる只人ならば悍ましいと感じるであろう光景にメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は僅かに顔を顰めながらそう呟き溜息をつく。
 頭では己とて悍ましいと感じている。
 だが同時に此の死臭が馨しいと、好ましい物だと己の衝動(ほんのう)は捉えている。
 メフィスは其れが如何しようもなく嫌だった。
 だから、彼女は己の躰を縛る飢餓衝動を抑えるベルトで己の躰を締め上げ、薄まりそうな理性。自分の心を引き戻す。
 此の衝動に従ってしまったら、もう己はヒトではなくなってしまうと思うが故に。
『ぉヵぁさ……』
「……私はアンタ達のお母さんじゃないわよ」
『ぃたぃ……』
 己に縋る様に這い寄ってきた触手を右手から食い破り突き出てきた骨の刃で斬り飛ばし払いのけ、未来を歩めなかった者達を一瞥する。
 己の骨の刃を喰らったからか触手は削り取られボロボロの状態。
 本来ならば其れで警戒し此方に近付くのを止めるのが普通というものだが……。
『ぉヵぁさん……』
『さmuぃょ……』
『ぁtaためて……』
 其れでも尚、未来を歩めなかった者達は温もりを求めてかメフィスの元へ群がっていく。
 其の姿は必至で赤子が母親を求めているかのようで……。
「だけどね、アンタ達の望みは叶えてあげるわ」
 だからこそか。
 メフィスは穏やかな声で未来を歩めなかった者達へと語り掛ける。
 そして、彼女の言葉と共にメフィスの躰に幾つも開いた顎門から紅い血潮が湧き出していき……真っ赤な津波となって周囲を全てのみこんでいく。
 未来を歩めなかった者達、生まれてくる事すら出来なかった赤子達は血だまりごと飲み込まれていき、紅い津波と混ざり合い溶け込んでいく。
 更に其れだけでは終わらさぬとばかりに紅い血潮は赤子達の親であるぶら下がる骸達も忌々しい祭壇も……実験室に存在した全ての物を喰らいつくしていき、周囲は完全に紅い海へと沈んでいく。
 そして、其の場の全てを呑み込んだ血の奔流はうねりながらメフィスの躰へと戻っていったのであった。
 ―――そして彼女は全てを飲み干して、連れていけるだけ全てを連れていく。
「少なくとも私は一緒だから、もう寒くはないでしょう?」
 そう嘯いて彼女は先へ進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「地獄と言うのは正にこういう光景を言うのだろう。
しかし真におぞましいのはこれが天地の理によって成されたのではなく
誰かの悪意によって作り出されたと言う事か。」
口、鼻を抑えて死臭を軽減しながら
月光のローブによって【環境耐性】【毒耐性】を得て
死臭、光景に耐え。あくまで敵を倒す事のみに集中する事で
必要以上にその他の要因に気を向けない様にする。

シャイントリガーを発動しつつその力を一点に集中させ
自らの霊力により【破魔】【除霊】の力を込めて
一体に対して熱線で攻撃。ダメージを与えると共に
その血溜まりを蒸発させて新たな赤子が生まれる事を防ぐ。
敵に囲まれないように移動しながら狙いを定め
素早く一体ずつ倒していく。



〇地獄の中を耐えながら。
「……地獄と言うのは正にこういう光景を言うのだろう。
 しかし真におぞましいのはこれが天地の理によって成されたのではなく誰かの悪意によって作り出されたという事か……」
 眼前に広がる赤く染まった赤子、其処から生え、蠢く触手、最早黒く染まった犠牲者達の血、天井にぶら下がる女たちの骸……。
 その余りにも悍ましく傷ましい光景にフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は口と鼻を抑え死臭に耐えながらそう嘯いた。
 そう、此の余りにも悍ましい光景は。此の余りにも惨すぎる地獄は悪意により顕現された物。
 祝福されるべき命を殺め冒涜し……守るべき我が子を奪われた母親の命を奪う。
 そんな悍ましい行為を考え行った者達がいる事が何よりも悍ましいのだとフォルクは嫌悪感に顔を顰めながら考える。
 そんな風に考えつつもフォルクは身に纏う魔法の念糸を幾重にも編み込んだ純白のローブ、月光のローブによって毒と死臭漂う環境への耐性を高める事で抵抗力を増大。
 余りにも耐えがたい死臭は増大させた其の抵抗力で無理やりに耐え切り、眼前に広がる凄惨極まる光景は自分に迫る未来を歩み出せなかった者達へと集中する事で意識しすぎないようにして対処。
「この掌に在りしは天の日輪放つ撃鉄。降り注ぐは浄戎の炎。
 我に仇為す汝らに、等しく光あれ」
『……ぁっ』
 更に詠唱と共に己が手に装備するフレイムテイル、炎のラミアを封じた魔本を加工し黒手袋の形状にした物から放たれる太陽光にも等しい其れを一点に集中させ、更に破魔の力を存分に付与した熱線は強力無比。
 未来を歩め出せなかった者達を屠ると同時に生じる筈の血溜まりを蒸発させて新たなる彼等が生まれ出てくる事を防いでいく。
『ぁ……』
『さむぃ……』
『ぉヵぁさん……』
 そんなフォルクに未来を歩み出せなかった者達は温もりを求めてか攻撃され消える事すら厭わずに群がる様に迫ってくるが、此れに対し彼は囲まれぬ様に距離を取り、其のまま一体一体素早く的確に自身に迫る者達を倒していく。
「……在るべき世界の明日の為にも、君達を開放させて貰うさ」
 彼等を救う事が出来ない事に僅かに忸怩する想いを心の中に抱きながら……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
この程度で【覚悟】揺らす黒騎士などいない。
往こう。その命、その苦悶を炎にくべて回る。

UC【黒騎士呑み込む青き業火】展開、触れた端から総てを燃える鉛に変換
燃える鉛に変えて青炎で均せば、自分にとっていつも通りの光景と臭いだ。
敵、祭壇、女性の骸。一切合切を呑み込み自身の一部して吸収する。
(【焼却】【生命力吸収】【地形破壊】【蹂躙】)

……未来など与えられるわけもなし。せめてこの鋼身を墓標に葬る。
母子諸共、我が青炎に抱かれて永久に眠るがいい。寒さはなかろうさ。



〇全てを蒼き炎へと変えていき。
「……此の程度で覚悟揺らす黒騎士などいない。
 往こう。
 その命、其の苦悶を炎にくべて回る」
 戦場に降り立つと同時にそう宣言したのは鎧のヤドリガミ、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)であった。
 そう余りにも惨く凄惨な光景であっても彼は決して歩みを止める事はない。
 今迄垣間見た光景には此れを超える光景も幾つも存在しているし、何より此処で彼等に同情し足を止めたとして彼等を救えるわけではないのだから……。
「我が血はもはや栄光なく……されど未だ我が業と炎は消えず……!」
『……ぁ……ぁっぃ……』
 だから彼は詠唱と共に触れた物質や命を燃える鉛に変換する力を引き出すと己に温もりを求めて群がる未来を歩めなかった者達を己に触れた端から燃える鉛に変換していく。
 そして、そんな風に己の仲間が鉛に変わる姿を身ながら未来を歩めなかった者達は其れでも尚、ルパートへと触手を伸ばし迫ってくるのは温かさを求めての事か……。
「いや、考えても詮無きことか……」
『ぁぁ……ぁたたヵぃ……』
『ぉヵぁさん……ぉヵぁさん……』
 思索にふけりそうになるのを振り払い、ルパートは己に迫る未来を歩めなかった者達を燃える鉛に変え、自身の躰へと纏っていく。
 其れを何度も続け、彼等のいた場所を青き炎で燃やしていき……彼にとっての何時も通りの光景と肉が燃える何時もの匂いへと周囲を変えていく。
 己に迫る未来を歩めなかった者達も其れを生み出す祭壇も、腹を裂かれて我が子を奪われ今なお死体を晒され続ける女性達の骸も……其れ等一切合切を燃える鉛に変換し、自身の中へ呑み込んで自分の一部として吸収する。
 自分が彼等を救えぬ事実には思う事は全く無い訳ではないが其れでも彼は只ひたすらに其れを繰り返す。
『ぁtuぃ……』
『ぉヵぁさん……』
「悪いが未来など与えられるわけもなし。
 せめて此の鋼の身を墓標に葬るのみ」
 其れしか自分には出来ないのだからと僅かに自嘲しつつ只管にルパートは進み続ける。
「母子諸共、我が青炎に抱かれて永久に眠るが良い。
 寒さはなかろうさ」
 そして己の周囲の全てを青き業火で焼き尽くした時にそう嘯いたルパートの心情は如何様な物であったかは……彼以外、誰も知らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィルバー・セラ
【アドリブ連携歓迎】
……胸糞悪ィにも程があるな。
俺みたいなダンピールと違って、
よっぽど生まれる価値があって喜ばれる子供らだっただろうに。
介錯してやるのがせめてもの手向けになりゃあいいんだが。

『新緑の外套』に魔力を流して【迷彩】化する。
思考が赤ん坊なら姿が消えた奴を見つけるのは難しいだろうよ。
敵が生まれる血溜まりは炎の【属性攻撃/全力魔法】蒸発させつつ、
相手のUCを【指定UC】で相殺。
本体には腐食と感覚鈍麻の【呪詛】を複合して作った
【呪詛弾/誘導弾】を砲撃。
化け物化してるとはいえ、痛みは少なくしてやらねえとな。

ほら子供は寝る時間だ、さっさと還りな。
来世はまともな世界に生まれてこいよ。



〇せめて痛みなく。
『ぉヵぁさん……』
『どこ……saむぃょ……』
「……胸糞悪ぃにも程があるな。
 俺みたいなダンピールと違って、よっぽど生まれる価値があって喜ばれる子供らだったろうに……」
 眼前に広がる母を求めてさまよい蠢く紅い赤子たち、未来を歩めなかった者達の姿にフィルバー・セラ(霧の標ロードレスロード・f35726)は顔を顰め、そう呟く。
 ある吸血鬼が戯れに人間の女を襲い生まれ、それ故に酷い迫害を受けたからかフィルバーは己を世界に産み落とした吸血鬼への憎悪は深く、其れこそ其の憎悪によって猟兵に覚醒した程。
 そんな彼にとって自分達の様に迫害される事無く、両親に愛され苦しいながらも穏やかに生きる事が出来ただろう命を母親ごと奪い、此の様な存在に変えた吸血鬼の行いは許しがたいものだった。
「介錯してやるのがせめてもの手向けになりゃあいいんだが」
 そして、彼等をせめて苦しみから解放してやろうとフィルバーは深い緑の外套を羽織り、其れに魔力を流していく。
 そして、其の侭外套の迷彩効果によってフィルバーの姿は消失。
『どこ……』
『ぃなぃ……?どこ……?』
(予想通り、思考が赤ん坊なら姿が消えた奴を見つけるのは難しいか……)
 己の姿を見失い探す幼げな姿に、そんな赤子をこんな鵜方へ変えた者達への怒りを更に滾らせながらも、決してその怒りに囚われる事無く、彼は次の手段の準備へと移行する。
「……先ずは其の血溜まりは排除させて貰うぜ」
『……ぁつぃ……』
『……ぁたたヵぃ……?』
『……ぁぁ……ぉヵぁさん』
 先ずフィルバーは部屋全体に劫火を放ち赤子たちの足元の血溜まりを蒸発させていく。
 其れでも尚蒸発しきれずに、そして其処から己と同じ赤子を生み出そうとする者もいたが……。
「狙ったものは外さねえ。
 それが例え目に見えないモンだろうとな」
 そのフィルバーの宣言と共に放たれた魔弾が僅かな血溜まりから生まれ出ようとした赤子を霧散させていき、新たな赤子の出現は阻止されていく。
 そして、更に本体に対しては……。
『……ぃたくなぃ?』
『からだ……くずれru?』
「化け物となってるとはいえ痛みは少なくしてやらねえとな」
 腐食の呪詛、そして痛みを少しでもなくすようにと施された感覚鈍麻の呪詛が込められた弾丸が赤子を撃ち貫き、其の体をゆっくりと崩壊させていく。
 本来ならば激しい痛みに襲われていても可笑しくないだろうに其の表情は痛みも感じず戸惑うばかり。
「ほら子供は寝る時間だ、さっさと還りな。
 ……来世はまともな世界に生まれて来いよ?」
 そしてそんな彼等に対し穏やかな声色で声を掛け、彼等が消える様を最後まで見守ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

瀬河・辰巳
自分だけ生き残るのも辛いけど、殺された挙句にこれはもっと辛いよな…早く殺して母親の元に行かせてやろう。こうなると親子にとってはそれが1番の救いだと思うから。

UCの使用と共に全力魔法で思いっ切り燃やし、少しでも光景と死臭を紛らわせる。荊である程度対処出来ると思うけど、木々で隠れながら大鎌で片っ端から一息にとどめを刺していき、離れた位置は弓矢で頭等を射たりして対応。

…可能なら天井の母親の亡骸も一緒に燃やしてやろうかな。灰になれば天井から自由になれるし…弔いの炎なら両方に、ってね。



〇せめて母親の元へ。
「自分だけ生き残るのも辛いけど、殺された挙句に此れはもっと辛いよな……」
 嘗て失った母と妹の事を思い出したのか瀬河・辰巳(宵闇に還る者・f05619)は其の端麗な顔立ちを悲し気に歪めていた。
『ぉヵぁさん……』
「そうだよな、お母さんに会いたいよな……。
 早く殺して母親の元に行かせてやろう。
 ……こうなると親子にとってはそれが一番の救いだと思うから」
 そう宣言すると同時に黒く染めていた髪を本来の物に戻して辰巳は精神を集中させる。
「呪いと祝いは紙一重。森の悪意も祝福となる」
 詠唱と共に現れたのは影の森。
 辰巳の意思で姿を変える其れは炎を纏った荊によって未来を歩めなかった者達を串刺しにして留め……。
「此れで少しでも此の臭いを吹き飛ばさせて貰う」
『ぁっぃ……?』
『ぁたたヵぃ……?』
 更に其処に辰巳が放った爆炎が舞い上がり、肉を焼き死臭を吹き飛ばしていく。
『ぉヵぁさん……』
『どこ……?』
 其れでも温もりを求めてか未来を歩めなかった者達は辰巳を求めて触手を伸ばし蠢いていく。
 此れに対し辰巳は影の木々の合間に隠れながら彼等に迫り……。
『ぁ……』
 大鎌を振るって目についた先から一気呵成にトドメをさしていく。
 勿論、彼から離れた場所に蠢く者も居はするが、其れに対しても……。
『ぃたぃ……?』
 放った矢で頭を射る等し確実に屠っていく。
 更に其処に加えて……。
「灰になれば天井から自由になれるし……弔いの炎なら両方に、ってね」
 炎を以って天井にぶら下がっている母親の亡骸も赤子達と共に燃やしていく。
 残された彼等が母親の元に逝けるようにという願いも込めて念入りに。
 そして、全てが終わった時、其処には何もなく……彼等は母親の元へと逝けたのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月18日


挿絵イラスト