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闇の救済者戦争⑬〜巨乳を狙う殺戮者の城

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #月光城

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●月光城の1つにて
 ダークセイヴァー第5層にある城塞群の1つ。
 そこには、1人の女性がいた。
 紫がかった黒の鎧に身を包んだ女オブリビオン、懺爪の殺戮者『ミーリィ』だ。
「ふふ……この城に近づく巨乳どはをすべてえぐれ胸に変えてやる……」
 狂気に満ちた表情で、ミーリィは身に着けた爪を鳴らす。
 月の眼の紋章の力を借りた城主である彼女は、訪れる者たちを待ち続ける。
 城を囲む『人間画廊』からは、手枷をつけられ、真紅の鎖によって完全に体の自由を奪われて、壁に磔にされた胸の大きな女性たちの嘆きの声が響き続けていた……。

●魔空回廊を突破せよ!
 グリモアベースに集まった猟兵たちに、白金・伶奈(プラチナの先導者・f05249)は声をかけた。
「ダークセイヴァーでの連日の戦い、お疲れさまです。皆さんの力により、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の欠落へつながる魔空回廊の存在を確認することができました」
 魔空回廊がある場所は、第5層の月光城。異端の神々と戦うための、無数の城が並ぶ場所だ。
 そして、この回廊は『月の眼の紋章』と融合した城主を撃破しなければ突破することはできない。
「ですが城主であるオブリビオンは、魔空回廊と紋章の力により通常の『660倍』の力を得ています。普通に戦ったのでは、決して勝つことはできないでしょう」
 まずは城主の強化を打ち消さなければならない。そのためには、城主の攻撃を回避しながら、回廊を囲む形で作られた『人間画廊』に向かい、血の鎖で画廊の壁に磔にされている人間たちを救う必要がある。
『人々を救うごとに強化効果は低下していきます。人間画廊の犠牲者の半分程度解放すれば、オブリビオンの強化は無効になるでしょう』
 伶奈は言った。
「私が確認した城の城主は、懺爪の殺戮者『ミーリィ』です。女性ばかりを狙って殺す殺戮者です……もちろん、城内に潜入すれば男も殺すでしょうが」
 理由はわからないが、どうやら胸の大きな女性に対して強い嫉妬を抱いているらしく、その爪で胸をえぐろうとしてくるらしい。なお、当人は比較的スレンダーな体型のようだ。
 殺した女性たちの血によって武器を『惨殺殲滅形態』へ変化させたり、『貪り喰らう影の化け物』を召喚することができる。
 他に、束縛のオーラと血の鎖、足枷によって敵の動きを封じるユーベルコードも使ってくるようだ。
「殺戮者と呼ばれる敵が、さらに強化されている以上、容易な戦いではないでしょう。しかし、いずれケルベロス・フェノメノンを倒すためにも、まずこ倒さなければいけません。皆さんの力なら、必ずできると信じています」
 そう言って、伶奈は頭を下げた。


青葉桂都
 お世話になっております、青葉桂都(あおば・けいと)です。
 今回はダークセイヴァーの『闇の救済者戦争』において、魔空回廊を守る月光城の城主と戦っていただきます。

●戦場について
 本シナリオは『⑬月光城砦群~魔空回廊』のシナリオです。

●懺爪の殺戮者『ミーリィ』
 当シナリオで倒すべき目標です。
 両手に巨大な爪を装着した女性で、女性ばかりを狙って殺す殺戮者です。特に胸の大きな女性を好んで狙うようです。
 シナリオ開始当初は、魔空回廊と月の眼の紋章の力で戦闘能力が660倍になっています。
 攻撃能力の詳細は選択肢を参照してください。

●人間画廊
 魔空回廊を囲むように作られた画廊です。そこで『展示品』として多くの人間たちが囚われています。
 ミーリィを強化する力の源は『展示品』にされた人々であり、彼らを救うことで有利に戦うことができるでしょう。
 おおむね半分程度を解放すれば、強化を無効化することができます。

 それでは、ご参加いただけると幸いです。
 どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『懺爪の殺戮者『ミーリィ』』

POW   :    殺戮者の宴
【これまで殺戮した女性の血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【惨殺殲滅形態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ダークネスブラッド
【束縛のオーラ】【血の鎖】【足枷】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    捕食する影(グリードシャドウ)
【貪り喰らう影の化け物】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。

イラスト:カラス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はガイ・レックウです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四王天・燦
《華組》

偽乳の身としては気持ちは分かるが乳を削っちゃグロすぎる
これがシホの宿命ってなら二人で越えよう

気は進まないがシホが気を引いている内に、急いで画廊の女性を助けるよ
怪盗となる月夜の翼を発露させ闇に紛れ囚われの女性に近づく
破魔を乗せたアークウィンドを一閃させ血の鎖を切断し女性達を夢匣に回収するぜ

救助を終えたら急いでシホの救援に向かう
嫁のおっぱいに手ェ出してんじゃねえ!
惨殺形態の爪を残像を囮に避ける
早業で神鳴を抜刀し、部位破壊:手首で腕ごと武器を落とすカウンターを見舞うぜ
躊躇なく首も狙うぜ

戦闘後医術の符や治療系UCで必死でシホを手当する
掠り傷程度なら血を舐めとるよ
信じていても心配はしちゃうものさ


シホ・エーデルワイス
《華組》

…嫉妬ですか…
確かに私の胸は大きい方だと思いますが…
こうして殺意を抱かれるのも『聖痕』の宿命かな…


私が囮になって敵の注意を誘き寄せ時間稼ぎ

敵の戦闘能力を考慮すると無謀でしょうが
今も救いを求めている人々の声に応じて助けたい想いで【盾娘】

敵の攻撃は第六感と聞き耳による読心術で見切り
ダンスの様な動きで残像回避しつつ
爪を聖銃の零距離カウンター射撃で弾き飛ばしたり
オーラを纏わせて武器強化して受止めたりして防御に専念

切り刻まれても激痛耐性で耐えます


燦が来たら反転攻勢
爪部位をスナイプで破壊し武器落としの援護射撃


戦後
自分の負傷を手当てしようとしたら
燦が手当てしたいと言ってしてもらいます

くすっぐたいよ♪


エドゥアルト・ルーデル
デカパイ感謝

容赦なく煽っていこうぜ!胸の小さい上に度量も狭いとかこれだからペチャパイは…
怒った?怒った?煽るだけ煽ったら…逃げるんだよォ!660倍とかまともに戦う訳ないだろ!アバヨえぐれ胸!
攻撃が来る前にレッツワープだ!

…Now Loading…

ファストトラベルだ!これはロードを挟んで世界を暗転させるので突如消えたように見える訳ヨ
適当にその辺の絵に向かってファストトラベルですぞ!絵画なら実質回廊中拙者の味方がいるようなもんだ

鬼ごっこしてる間に救出もやるでござるよ、この自分で考えて動ける【流体金属】君がな!モチロン煽ったのは引き付ける為でござる

適当に救助したら爆発物を落として本格的な離脱でござる


オリヴィア・ローゼンタール
……戦争にかこつけて私怨に走ってません?

まぁ、そうやって手段と目的を取り違えている手合いはやり易い
胸の大きさ(存在感)を強調するバニーガールの姿に変身(狂乱の斬り裂き兎)すれば、それだけで【おびき寄せ】の効果がある筈

黄金の獅子を簡易召喚
戦闘力は期待できないが、囚われた人々の【救助活動】が目的
磔にしている鎖を爪牙で壊し、背に乗せて回廊の外へ【運搬】してもらう

私自身は【心眼】や【第六感】を総動員した【見切り】を元に、空中をも足場にした【ダッシュ】で逃げて【時間稼ぎ】に徹する
影の化け物は視認できないが、ウサギの【聞き耳】があれば対処できる筈

強化が剥がれれば、告死の大鎌で斬りつける(切断)


ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン
う゛ぇ゛あ゛あ゛あ゛あ゛もがれる!?!?

救助ならなにかお役にたてればと思いましたがオブリビオンの殺意と迫力がすごく…すごくすごいですっ!?
【飛空艇】に変身して逃げましょう全速力で!【惨殺殲滅形態】は速力は上がらないそうなので逃げきれたらいいなぁ!?

660倍の相手から逃げる過程で壁に激突したりしちゃいますがぶつかった衝撃で壁が崩れて絵の方々が解放されてるかもしれませんっ
その時は一瞬人の状態に戻って絵の人を拾ってまた飛空艇に変身しましょう!多分船内に格納さてれたりするんじゃないですかね!?

沢山助けて強化を無効化できたら帰っていいですか…?まだ殺意が凄くて…
なんとか…頑張って体当たりを!えーいっ!


リカルド・マスケラス
巨乳は宝っすよ。殺すとか削るなんて勿体無いっすね

とりあえず、ヒーローマスクのサイズの小ささで仲間が戦っている間にこっそり【念動力】で浮いて忍び込んだり、磔にされた女性達を助けるっすよ
「お助けついでにちょっとこっちも助けて欲しいんすよ」
と、【コミュ力】を交えて囚われの女性達の身体を借りる。【仮面憑きの舞闘会】で138人くらいまでなら憑依して力を貸せる。そうした女性達に囚われた人たちを助けさせて連鎖的に救助してゆく
あとは女性達を縛っていた鎖とかを【ロープワーク】で巧みに操って【破魔】とか【浄化】の力を込めつつ縛ったり叩いたり、もしくは拳
「人を呪わば穴二つっすよ。不当な恨みはよくないっすよ〜」



●襲い来る殺戮者
「う゛ぇ゛あ゛あ゛あ゛あ゛もがれる!?!?」
「きょぉぉぉぉぉにゅぅぅぅぅぅぅう!」
 ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(鉄の狼・f34026)は走っていた。
 後方からは懺爪の殺戮者『ミーリィ』が追ってきている。
 狂気に満ちた視線が背中に突き刺さる。
 爪がカタカタと嫌な音を立てる。
(「救助ならなにかお役にたてればと思いましたがオブリビオンの殺意と迫力がすごく……すごくすごいですっ!?」)
 ミーリィはどうしても胸の大きな女性を殺したくて仕方ないらしい。とはいえ、660倍の力で追われる方はたまったものではない。
 ガレオノイドであるヴォルフスブルクは飛空艇に戻って逃げる。
 敵のユーベルコードには速度強化の効果はない。だが、660倍の能力はユーベルコードの力を持ってようやく避けられる程のものだった。
 逃げるうちに、ヴォルフスブルクは『人間画廊』に入り込んでしまう。
「あぁぁ! ごめんなさい!」
 勢い余って磔にされている女性にぶつかりそうになり、ヴォルフスブルクは謝りながらどうにか避ける……。
 しかし、できたのは正面衝突を避けることだけだった。
 画廊が砕け、捕らわれた人々が落下していく。
 とっさに人間の姿に戻り、彼女は人々を回収して再び飛空艇に戻る。
 後方からは、なおもミーリィが追って来ていた。

●翻弄する猟兵たち
 しばらくあふれ出るほどのパワーで追い続けた後、ようやくオブリビオンは自分が追っているのが巨乳ではなく飛空艇だと気づいたようだった。
「胸の小さい上に度量も狭いとかこれだからペチャパイは……」
 その間隙を逃さず、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は聞こえよがしに呟いた。
 ミーリィがゆっくりと彼を見た。
 その動きは緩慢だったが、目つきは怒りに満ちていた。
「お? 怒った? 怒った?」
 嘲りを込めて、エドゥアルトはなおも言葉を投げかける。
「お前……巨乳でもないくせにケンカ売ってるの?」
「煽ってるだけでござる。そして煽るだけ煽ったら……逃げるんだよォ! 660倍とかまともに戦う訳ないだろ! アバヨえぐれ胸!」
 脱兎のごとくにエドゥアルトは駆け出した。
 もっとも660倍の能力を相手に逃げられるはずもない。一瞬のうちにミーリィが背後に迫り――そして、世界にロード画面が表示された。

…Now Loading…

 ロードが終わった時、エドゥアルトは囚われの味方――『人間画廊』に磔になった女性の元へと移動していた。
「救援ミッションですぞ! ちゃちゃっと移動して片付けるでござるよ!」
 ミーリィが彼の所在に気づいたなら、再びロード画面に移行して移動する。
「適当にその辺の絵に向かってファストトラベルですぞ! 絵画なら実質回廊中拙者の味方がいるようなもんだ」
 もっとも、知覚能力も660倍になっている敵からいつまでも逃げ続けるのは容易ではない。
 束縛のオーラが彼に襲いかかり、顎ひげが伸びた首に絡みつく。
 だが、そこでミーリィの動きが止まった。
「……戦争にかこつけて私怨に走ってません?」
 自分をにらみつける敵を見て、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は呟いた。
「まぁ、そうやって手段と目的を取り違えている手合いはやり易い」
 彼女はシスターの姿からバニーガールの姿に変身していた。そうすると、オリヴィアの大きな胸が強調される。必然、ミーリィの視線をおびき寄せることができる。
 オブリビオンが手を突き出すと、貪り喰らう影の化け物が現れる。もっとも、一瞬だけでそれはすぐに視認できなくなった。
「今度こそ……えぐってやる!」
 見えざる化け物と共に、敵はオリヴィアを追ってきた。バニーの聞き耳で獣の動きを察知し、振り回される爪を勘でかわすが、時折彼女の色白の肌に傷が刻まれている。
 すでに幾人かの犠牲者は助けているはずだが、まだ足りないということだ。
 もっとも、エドゥアルトもオリヴィアも、ただおびき寄せていたわけではない。
 エドゥアルトが呼び出した自分で考えて動ける流体金属や、オリヴィアが簡易召喚した黄金の獅子は、主の命令に従い人々を救出し続けていた。

●囮作戦
 入れ替わり立ちかわり、猟兵たちはミーリィの気を引き、その間に『人間画廊』から人々を救出していく。
 そんな戦いが、しばし続いた。
「……嫉妬ですか……。確かに私の胸は大きい方だと思いますが……」
 シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は自分に向けられるオブリビオンの視線をはっきりと感じ取っていた。
「くっくっく……えぐってやるよ、その無駄にでかい脂肪の塊をね……」
 惨殺殲滅形態に変化した異形の爪を鳴らしながら、ミーリィがシホへと近づいてくる。
「こうして殺意を抱かれるのも『聖痕』の宿命かな……」
 自らに刻まれた消えない傷跡を想い、シホはあえて敵の前に立ちはだかる。
 爪が空気を切り裂き、シホへと襲いかかってきた。
「大丈夫……私これでも結構丈夫なのですよ」
 直感で攻撃を見切って防ごうとする――だが、660倍よりは低下したとはいえ、まだ敵の強化は有効。
 オーラをまとわせた武器を弾いて、爪がシホを切り裂く。
 もっとも、シホ自身のユーベルコードは発動している。人を救わんとする想いが彼女に攻撃を耐える力をくれる。
「見かけより硬い胸だねえ。……えぐりがいがあるっ!」
「そう簡単に私を倒せるとは思わないでください」
 攻撃に耐えながら、シホは人々を救出している仲間のことを考える。いや、信じる。
(「お願いね、燦」)
 シホが囮になっている間に、彼女は必ず人間画廊の人々を助けてくれているはずだった。

●救出作戦
 四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)は『人間画廊』に捕らわれた人々に音もなく接近していた。
 シホが気を引いてくれている間に救出するのが彼女の役目だ。
(「偽乳の身としては気持ちは分かるが乳を削っちゃグロすぎる。これがシホの宿命ってなら二人で越えよう」)
 燦がマントをひるがえす。
「怪盗・月夜の翼、推参――ってね。さあ、お仕事を始めるぜ」
 ユーベルコードの力で怪盗へ変身した彼女は、捕らわれた人々へと音もなく接近した。
 妖精の祝福を受けた短剣を一閃すると、風が巻き起こり女性たちを捕らえる血の鎖がバラバラになる。
 助けた人々を、燦は次々に魔法の小箱『夢匣』へとかくまっていく。
「巨乳は宝っすよ。殺すとか削るなんて勿体無いっすよね」
 狐面が声をかけた。ヒーローマスクのリカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)だ。
 念動力で仮面だけで行動するのも楽ではないが、能力660倍の敵と戦うことを考えればまだマシだ。
「そうだな。シホはアタシの宝だ。だから急いでこの人たちを救出しないと」
 頷いた燦と手分けして、リカルドも救出作業に入った。
 移動と同じく念動力を活用し、血の鎖を壊していく。
「お助けついでにちょっとこっちも助けて欲しいんすよ」
 助けた女性に、リカルドはこっそりそう告げた。
 頷いてくれた人は自らの分体を憑依させて、さらに救助を手伝ってもらう。そうでない人は、燦の小箱に入ってもらえばいい。
「さあ、楽しい宴の始まりっすよ!」
 ヒーローマスクで強化した身体能力と、加速度的に増えていく人手によって救出作業の効率が一気に上がった。
 最終的には狐面をつけた138人の女性たちが、人間画廊の女性を次々に手枷や血の鎖を破壊していく。
「これでなんとかなりそうっすね」
 リカルドは次々に救われていく女性たちをながめて呟く。
 もちろん、その間に他の猟兵たちによる救出作業も進んでいる。
 敵の強化が解除されるのは、程なくのことだった。

●殺戮者を撃破せよ
 シホはオブリビオンの攻撃を耐えきった。
 時折仲間たちがミーリィの注意を引いてくれたおかげもあるが、敵の能力が徐々に、しかし確実に低下していくのを彼女ははっきりと感じていた。
「月の眼の紋章の力が薄れている……?」
 ミーリィがはじめて、巨乳への殺意以外の言葉を口にした。
 ――不意に、『人間画廊』に風が吹く。
 そして、月夜の翼がシホの元へと舞い降りる。
「嫁のおっぱいに手ェ出してんじゃねえ!」
 燦がミーリィとシホの間に割り込むように飛び込んできたのだ。
 とっさにオブリビオンは惨殺殲滅形態の爪を振るった。だが、それは残像をかき消しただけだった。
 素早く抜いた太刀が放電する。神鳴の太刀が紅の電撃をまとって、ミーリィの爪を弾き飛ばす。
 本当は切り落とすつもりだったが、強化が失われてもオブリビオンの武器を破壊するのは容易でない。
 爪と太刀が甲高い音を響かせる。
 傷だらけのシホも爪を狙って援護射撃。2丁の聖銃が十字の光を放ちながら、オブリビオンの爪を弾いていく。
「上等だ……えぐれなくたって、その胸に消えない傷を刻んでやる!」
 だが、ミーリィの殺意はなおも消えなかった。

「帰っていいですか……? まだ殺意が凄くて……」
 ヴォルフスブルクは戦意旺盛な敵の姿を見て呟いた。
「拙者もずいぶん煽ったから近づきたくないでござるな。離脱させてもらうでござる」
 エドゥアルトは『デュフフ』と笑って、そのまま離脱した。
「え? どうましょう……」
 戸惑ったヴォルフスブルクは離脱する黒髭と敵の姿を交互にながめた。

 バニーガール姿のオリヴィアは、禍々しい大鎌をミーリィへと振り下ろした。
 死の運命を刻みつける告死の大鎌がオブリビオンを切り裂く。
 直後、敵が召喚した陰の化け物がオリヴィアへと喰らいついた。
 しかし、反撃した隙を狙って、今度はリカルドが操る血の鎖がミーリィへ絡みついた。救出した時に回収しておいたものだ。
「人を呪わば穴二つっすよ。不当な恨みはよくないっすよ?」
「どこが不当だ! 巨乳は存在自体が不当なんだ!」
 不当としか言いようがない言葉を返し、ミーリィが鎖を力づくで吹き飛ばす。
 そして、猟兵たちから距離を取るために後方へ跳び……着地したところで、爆発した。エドゥアルトが離脱する時に落とした爆弾を踏んだのだ。
 吹っ飛んだところに燦が踏み込む。神鳴で容赦なく首を狙うが、ギリギリのところで敵はそれを防いだ。
 シホの聖銃やオリヴィアの大鎌、リカルドの鎖も追撃を加え、ミーリィの動きが完全に止まる。
「なんとか……頑張って体当たりを! えーいっ!」
 そこに、飛空艇形態のヴォルフスブルクが突っ込んできた。時速1万キロを超える超高速で、飛空艇の重量をオブリビオンに叩きつける。
 猟兵たちがとっさに離脱する。
 直撃したミーリィは壁まで吹き飛び、人間画廊の壁に埋まったまま……二度と動かなかった。

●戦い終わって……
 オブリビオンを倒し、猟兵たちはそれぞれに戦場を離脱する。
 もっとも、正面から囮になっていたシホは帰る前に治療が必要だった。
「手当してから戻るので、皆さんは先に戻っていてください」
「治療ならアタシがやるよ」
 即座に燦が言って、手製の霊符の中から治療の符を取り出す。
「こんな傷だらけになって……信じてても、心配しちゃうものなんだからな」
 シホの手をとって、傷口を舐めて消毒する。
「くすっぐたいよ♪」
 そう言いながら、シホの顔には笑みが浮かんでいた。
 猟兵たちはそれぞれに手当をし、帰還していく。
 人間画廊は完全に静まり返っていた。
 まだ人間画廊に捕らわれていた女性たちも、流体金属や黄金の獅子、仮面に操られた女性たちによってすべて救出されている。
 禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の欠落を守る城が、まだ1つ陥落した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年05月18日


挿絵イラスト