闇の救済者戦争⑭〜Betet auch im Tod
私は祈り続けた。
私は救い続けた。
私は救い続けた。
私は救われなかった。
私は祈り続ける。
私は世界を殺す。
私は殺されたかった。
●
「……いつまで、そう思えていたんだろうね」
カレル・レグロリエン(緑の夢に星を灯す・f36720)がそっと、目を伏せる。性の割に長い睫毛に縁取られた半月の眼から、痛みを感じた。
「第五の貴族の話は聞いた? 倒しても別の紋章・別の姿を持ってまた現れる者は、死ねないように改造された存在だった、っていう話」
悲劇以外の何物でもなく。
ここにも、また一幕。
「敵は……彼女は。元々は、人々のために祈り、奇跡を起こし続けた聖者だったみたい。けれど、その祈りも吸血鬼を退けるには至らなかった。……そして、オブリビオンとなって、その性質は反転した」
彼女がどれほど、人々のために祈ろうと。
最早その祈りは、人々のために実らない。
「祈れば祈るほど、世界を……人々を害する亡霊が、彼女の周りに……世界に、満ちていく」
人々を救いたかった。
人々を救えなかった。
人々を……救えなくなった。
その絶望は、如何程のものだっただろう。
「そんな彼女に、手が差し伸べられた。……勿論、彼女が望まない形でだよ」
悪女の深情け、ならぬ|禁獣《デスギガス》の深情け。
人々のためにと祈り続ける彼女は、永遠に祈りを繰り返す身体となった。意思に反して世界を壊す力はそのままに。
過去の残滓と化した彼女は最早、世界にとっての存在悪。彼女は永い時を経てそれを悟ったか、或いは……元より見て見ぬふりをしていたか。
定かではない。確かなことは、気づいて、絶望して、死ねなくて、そのまま。
「狂ってしまうしか、なかったんだ」
人々も、己自身も救われないと、知っていながら。
「終わらせて、きてあげて」
絞り出された声が、震えている。
「彼女の左手の甲には、その身体に不死を齎す紋章がある。何度も壊せば、それが見えてくる筈だ。そこを狙って壊すことさえ出来たなら……彼女は死ねる」
だが、つまり、それは。
「何度も、彼女は死ぬことになるだろう。その度に蘇ってはまた祈るだろう。……死の恐怖すら、祈り続けなければという狂気に塗り潰されてしまっているのは、彼女にとって不幸中の幸いかも知れないね」
遠慮はしないであげて、と。
彼女のためにも。
「悲劇は……実在しない物語の中だけで、充分だよ」
|台本《グリモア》が、はらりと捲れた。
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあです。
心情重視。
戦争シナリオのため、今回は1章構成です。
第1章:ボス戦『救済の聖者』
敵を何度も殺し続けることで現れる『不死の紋章』を破壊するように動くことでプレイングボーナスが得られます。
彼女自身はユーベルコードの通り、祈るばかりで攻撃を行いませんが、彼女に集う亡霊が苛烈な攻撃を仕掛けてきます。
断章なし、公開された時点で受付開始です。
但し最低成功数での完結を目指すため、人数によっては全員採用がお約束出来ません。
また、今回は基本【オーバーロードのみ受付】となります。
予めご了承いただければ幸いです。
(※月末近くまでに必要成功数に達しない場合のみ、通常プレイングを募る可能性がございます。その際はタグでご連絡いたします)
それでは、よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『救済の聖者』
|
POW : 落日の記憶
全身を【輝かせ、周囲の亡霊達を癒しの力】で覆い、自身の【猟兵達との距離の近さ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 神、運命、世界に見捨てられ、それでも
【祈りの言葉】を聞いて共感した対象全てを治療する。
WIZ : 救済を求め、慕い、集まる
【非業の死を遂げた人々】の霊を召喚する。これは【生物や死体へ憑依】や【最後の瞬間に持っていた武器】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:chole
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「フィーナ・ステラガーデン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ロー・シルバーマン
祈りの果てに救われぬ狂気に囚われる…本当にあの究極禁獣は善意から悲惨を導いてしまうんじゃのう。
不死の絶望を此処で終わらせてやるのが儂らの役目、酬いは与えられぬが解放への手助け位は。
可能なら他の猟兵と連携。
破魔の力を山刀とアサルトライフルの銃弾に込めて亡霊達を削る。
永遠に彷徨い続けるのであるよりはここですぱっと成仏した方が楽じゃぞ、と除霊、浄化していく。
隙を見て聖者の急所に弾丸や斬撃叩き込み一旦距離を取って再度攻撃に。
左手の様子には注意、紋章が出現したら亡霊達の群や周囲地形で聖者から身を隠す。
そして聖者の死角に入ったら猟銃でUC起動、致命的な部位…紋章を狙撃し損壊を狙おう。
※アドリブ絡み等お任せ
エリカ・タイラー
※全員リクエスト
「闇の救済者戦争」の戦争シナリオへの参加を希望します。
シナリオ上で必要な怪我や失敗は厭わず積極的に行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
キャラクターのテーマは「青い炎」。
敵フラグメントに対して、あるいは、
目の当たりにした虫酸が走る・反吐が出るような惨状を造り上げた黒幕に対しての怒りに、
時に静かに、時に激しく燃え上がります。
使用ユーベルコードの指定はありません。
「成功」以上の結果で書けそうなものを一つステータス画面からお選び下さい。フラグメント次第で不使用も可です。
あとはお任せ致します。
宜しくお願い致します。
●
「……神よ、どうかお救いください。神よ、どうか慈悲をお与えください……」
譫言のように繰り返されるは虚ろな祈り。
これでは最早、神の耳にも届きはすまい。
(「祈りの果てに救われぬ狂気に囚われる……か。本当にあの究極禁獣は善意から悲惨を導いてしまうんじゃのう」)
ロー・シルバーマン(狛犬は一人月に吼え・f26164)は浅く短く嘆息した。
この世界の理不尽は、彼とてよくよく知り得ている。それにしても、悲劇を目の当たりにする度に募る遣る瀬なさ。
「不死の絶望を此処で終わらせてやるのが儂らの役目、酬いは与えられぬが解放への手助け位は」
「ええ、私も力を尽くします。このような所業、赦されていい筈がない……」
エリカ・タイラー(騎士遣い・f25110)は静かに、しかし確かに胸の内に怒りを燃やしていた。
デスギガス――奴はどこまでも無邪気で、悪意など微塵もなかったことなどエリカも重々理解している。
だが、悪気はなかったから、で済まされてよいモノなのか、これは。彼女の中で、その答えは否だった。
「よろしく頼むぞ」
ローに頷き、エリカは己の|剣《シュヴェールト》を――キャバリアを招来。
「希望の光で――貫いて見せる!」
突撃する彼女の駆ける剣を、援護するようにローは破魔の刃と弾丸を放つ。
向かう先は、叫喚と共に迫り来る亡霊。
「永遠に彷徨い続けるのであるよりはここですぱっと成仏した方が楽じゃぞ」
山刀が振り下ろされれば悲鳴を上げて両断され、アサルトライフルの銃弾が貫けば弾けるように霧散した。
それでも、彼らは。
『聖者様ヲ護レ』
『聖者様ヲ救エ』
「……っ、」
嘗て、まだ彼女の祈りが聞き届けられていた頃。
恐らく彼らは奇跡に触れて、彼女を慕う人々の――、
(「……考えても詮なきことっ」)
エリカはひとつ頭を振って。
怒りの炎を力に変えて、蒼き刃で聖者の左胸刺し貫く!
「……ぁあ゛、っ」
痛みはまだ、感じるのか。
それでも、祈りの言葉は途絶えない。
「一度は己が何者か、理解したなら本意ではなかろうて……」
届かぬ祈りなら、滅ぼす祈りなら、止めてしまえ。
そう思えたなら、どれほど楽に死ねただろうか。
けれど、今更だ。猟兵は出来ることをするだけ。
聖者も亡霊も怯んだ隙に、ローはその首を薙いで落とし、蘇ればすかさず心臓を撃ち抜いた。死の感覚も短ければ、苦しみも短くて済む。
そして見る。左腕に、輝きと呼ぶには禍々しく赫い何かが浮かび上がるのを。
ローがエリカに目配せすると、彼女はひとつ頷いて。シュヴェールトを繰り、派手に亡霊たちを斬り裂いていった。
聖者の目を、引きつけるために。
ローは密かに身を隠し、機を窺いながら、ふと、思案する。
(「恨むなとは言わぬ――と言えたのなら、幾分か彼女も救えたのじゃろうか」)
だが、それは叶わぬから。
一息に、猟銃の引き金を引いて――赫を、穿つ!
「っ、い、ぁぁああああああっっ!!」
苦しみ、のた打ち回り、聖者は倒れる。
ぱりんと、何かが割れる音がした。
――まずは、一度目。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ペペル・トーン
祈った先が暗闇に落ちてしまっても
思う尊さは変わらないわ
きっとそうよね
あの子達を喚んで問う
私達は共に願ってお友達になったのよね
でも、なれなくなってしまったら?
願う程に傷つけてしまうなら、悲しいことよね
安心して、私達とは違うお話よ
でも、今起こっているお話よ
だからね、あの子が悲劇を重ねる前に
正しい場所に導いてあげたいの
叶えてくれる?
霊の対応はあの子達に
あの子達も願いは届かなかったけど
今は悲しみで満ちている訳ではないもの
得られなかった、温かな夢をみましょう
最期の導きが安らかなものであるよう
そっと手を添え
闇の中の灯りであった貴方
貴方の為に、このお話は終わりにしましょ
物語が早く閉じるように鎖で紋章を貫いて
●
(「祈った先が暗闇に落ちてしまっても……」)
既に幾度も死を迎え、紋章も一度砕け散り。
なお人々のためと、神が再び聞き届けること信じて祈る。
その狂気はひたむきさゆえ。それさえも否定することは、ペペル・トーン(融解クリームソーダ・f26758)はしたくなかった。
(「思う尊さは変わらないわ。きっとそうよね」)
確かめるために、喚ぶ。
フラスコの幼い子供たち。魂だけの姿でなお愛らしい、ペペルの大切なお友達。
「私達は共に願ってお友達になったのよね」
子供たちは、ペペルのことが大好きだ。そして、それはペペルも同じこと。
「でも、なれなくなってしまったら?」
どれほど愛しても、どれほど共にと願っても、叶わぬばかりか痛みを与え。
そんな未来が、もし、あったとしたら。
「願う程に傷つけてしまうなら、悲しいことよね」
自らの境遇に置き換えれば、その悲哀も幾分か理解出来る気がしたし、幾分かでも理解したかった。
不安げに、或いは心配そうにぺペルの顔を覗き込む子供たちに、ふわり微笑んで見せて。
「安心して、私達とは違うお話よ」
これはあくまでもしもの話。
「でも、今起こっているお話よ」
他人事だと、切り捨てたくはなかった。
「だからね、あの子が悲劇を重ねる前に、正しい場所に導いてあげたいの」
叶えてくれる? ――そう、問えば。
子供たちは、大きく頷いた。
ありがとう、とまた微笑んで、それを合図に子供たちは、亡霊の群れへと立ち向かってゆく。
『聖者様ヲ護レ』
『聖者様ヲ救エ』
ああ、彼らもまた。
救えるものなら聖者を救いたかったのだと、ペペルは悟る。嘗て自分を救ってくれた、悲劇の人を。
(「あの子達も願いは届かなかったけど、今は悲しみで満ちている訳ではないもの」)
懸命に亡霊を抑える子供たち。
悲しみに暮れていては、友のためと勇気を振り絞ることすら、きっと出来なかった。
願いを叶えることはもう出来なくても、せめて心には安寧を。
「得られなかった、温かな夢をみましょう」
最期の導きが安らかなものであるよう、祈りながら。
そっと、ペペルは手を添えて。
「闇の中の灯りであった貴方。貴方の為に、このお話は終わりにしましょ」
優しい幕引きを、ここで。
物語が早く閉じるように。
鎖で、紋章を貫いた。
――これで、二度目。
大成功
🔵🔵🔵
カタリナ・エスペランサ
貴女がどれだけの悲劇に立ち向かってきたのかは知らないけれど、解るわ
ずっと、ずっと|祈り《戦い》続けてきて……絶望した|程度《・・》で。狂い果てた|程度《・・》で。
今更、止まれる訳が無いわよね
ごきげんよう御先達
当代の“闇の救済者”が|終わらせ《救い》に来たわ
亡霊の攻撃は《第六感+戦闘知識》併用し《見切り》先読み
《空中戦》の機動力を活かし囲ませない事を念頭に回避
魔神権能の《封印を解く》事でオーバーロード、真の姿を晒しましょう
【暁と共に歌う者】発動し不死鳥を召喚
共に重ね奏でるは《浄化+属性攻撃+ハッキング+結界術+多重詠唱+歌唱》、
歌声は戦場を塗り替え聖域を形成
戦いが長引く程に此方には《継戦能力》の強化を、相手には浄化による戦力低下を与えるわ
オーバーロードに伴い形を変えた大剣や不死鳥の放つ斬撃、装備[第六神権]の空間破壊を組み合わせ
相手が滅びるまで攻め立て続ける
神、運命、世界に見捨てられ、それでも――
それでも戦い続けるのは、今を生きる私たちの番
貴女はもう休んでいいの。骸の海で、どうか安らかに。
●
「ごきげんよう御先達」
ふわり。
カーテシーのように、優雅に。カタリナ・エスペランサ(望暁のレコンキスタ・f21100)が舞い降りる。
それでも――カタリナの介入にも、自らがどれほど傷つき死を繰り返そうと、意にも留めずに祈り続ける聖者の在り方は。
「そうよね。貴女がどれだけの悲劇に立ち向かってきたのかは知らないけれど、解るわ。ずっと、ずっと|祈り《戦い》続けてきて……絶望した、」
カタリナにとって――、
「|程度《・・》で」
何の不思議もない。
ごく自然なものであった。
「狂い果てた|程度《・・》で」
そんなもので。
苦痛など、絶望など、狂気など。
終わらせる理由には、なり得ない。
「今更、止まれる訳が無いわよね」
世界に屈して歩みを止めてしまえば『その程度』。
そんなものではなかった筈だ。死してなお、信じた神に裏切られてなお、その祈りで人々を救いたいと願った、|狂気《おもい》は。
同情はしない。哀れだとも思わない。
狂っても――否、狂ってしまったからこそ。理性を失いながらも貫いた『祈り』はまさに彼女の意思そのものではないか。
それすらも、永遠の苦痛に失われてしまう前に。
「当代の『闇の救済者』が|終わらせ《救い》に来たわ」
聖者は祈りの言葉を紡ぐ。何も変わりなく。
彼女の命が潰え続ける、その気配に亡霊の群れがざわついた。
『聖者様ヲ護レ』
『聖者様ヲ救エ』
『聖者様ヲ』
『聖者様』
声は慟哭に似て。
祈りに応えて無限に湧き出る――ならば、相手をするだけ無駄というもの。
戦場で培った知識と経験と、勝負勘。全てを総動員し、その動きを読んで切り抜ける。
空をも己の領域に変えて、縦横無尽に立ち回り、敵の包囲を許さない。
いつしかその姿は変じ。光輪掲げ広げる翼は三対へ。天使か、女神か。その輝きは神々しいまでに。
但し彼女は、聖者に慈悲を与えない。
与えてしまえば、余計な苦しみを生むだろう。聖者自身がそれと解らぬままに。だからこそ、カタリナは。
「我在る限り汝等に滅びは在らず、即ち我等が宿願に果ては無し――来たれ我が眷属、焔の祝福受けし子等よ!」
不死鳥が、炎の中から産声を上げた。
奏でよう、その声と共に。歌声に乗せて詠唱を重ね、浄化と攻撃を兼ね備えた聖域を展開してゆく。
輝ける世界は、一度でも朽ちた身には牢獄だ。正気を失う代わりに得た躊躇いのない防衛本能も、力を失ってしまえばないものと同じこと。
「こう見えて、念には念を入れる方なの。だから徹底的に――やらせて貰うわ」
地の利ごと、洗浄を塗り替えてしまうのも。
これから、苛烈な攻めで不死の身を殺し尽くすのも。
全ては確実に、滅するために!
「神よ……なぜ……」
魔力を通して変じた大剣が。
空間をも破壊する第六の神権が。
雷にも似た灼熱の刃を振るう不死鳥たちが。
何度も、何度も聖者の身体を亡霊ごと滅ぼしてゆく!
「……我らを見捨てたもうたのですか……」
聖者の声が、初めて震えた。
きっとそれが晩鐘だった。聖者にとっては。
「神、運命、世界に見捨てられ、それでも――」
悲鳴を上げて、亡霊の群れが消えてゆく。
救う力は、聖者に残っていなかった。
否、元より最早偽りの救い。
今の聖者に、力はない。
なればこそ。
「それでも戦い続けるのは、今を生きる私たちの番」
聖者の役目は、終わったのだ。
祈ることを止めたとて、咎める神はもういない。
「貴女はもう休んでいいの。骸の海で、どうか安らかに」
聖者は膝を着き、緩慢に倒れ伏す。
紋章が、割れて砕けた。
――そして、三度目。
遂に祈りは実を結ばず、それでも。
聖者は漸く、祈りの終わりを赦された――。
大成功
🔵🔵🔵