闇の救済者戦争⑮~響く怨嗟の声
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いたくて、
あつくて、
つめたくて、
くるしくて。
いたくて、
いたくて、
わたしは、
わたしたちは、ここにいる。
●グリモアベースにて。
「とりあえず、適当に飲んだりつまんだりしながら聞いてくれ」
つかの間の休息にと用意した軽食や飲み物を集まった猟兵達へとすすめながら、千早・鴉綺(武装機械トリプルアポカリプス・f02816)は手元の資料を確認し、説明を始める。
「向かってもらうのは、「第五の貴族」の中でも限られた者だけが運用を許されていた、第五層の生体実験室群だ」
手にした資料を握り潰しかけながらも、努めて冷静な表情のまま、説明を続ける。
「知ってるものもいるかとは思うが、そこでは「紋章」がおびただしい犠牲を経て作り出され、ヴァンパイア達に大いなる力と異形の攻撃手段を与えている。
そして、祭壇での「加工」によって全身からおぞましい触手を生やした、紋章に「なりかけ」の下級オブリビオンの群れが周囲に多数蠢いているんだが……。
これらを蹴散らし、敵の数を減らすと共に、新たな紋章の生産を食い止めてもらいたい」
鴉綺は手元のカップに口を付け、なにかを飲み込むように一口分の飲み物を嚥下する。
「皆に対処を頼むことになる下級オブリビオンンの特徴についてなんだが」
間。言い淀み、逡巡し、口を開く。
「そこで実験されてたのが、まぁ……年端もいかない少女達でな。
隷属から逃れる術を知らず、自分たちをボロボロになるまで酷使して弄んだやつらを主人とし、忠誠を誓ってやがる」
はぁ、と小さく息をつきながら続ける。
「そして得物は食器のフォークや矢といった武器たり得ないモノを装備させられている。
が、そいつらはオブリビオンだ。
いいか、もう一度言うぞ?下級といえどオブリビオンだ。
救おうなどと甘いことを考えてると、そいつらの糧にされるからな、気をつけろ」
と、脅しも込めて言う。
「他に注意が必要なのはのは祭壇のおぞましい光景と死臭だな。耐えろ。
その辺りを油断せず注意してれば問題なく攻略できる戦場の筈だ」
伝えながら手元の資料を小脇に抱え、
「準備のできたものから声をかけてくれ」
そう締めくくると、鴉綺は転送の準備へと入るのであった。
林言音
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閲覧ありがとうございます、林言音と申します。
またまた闇の救済者戦争、一章完結の戦争シナリオとなります。
●補足事項
基本は集団戦闘のシナリオになります。
OPにもありますが、特殊事情がない限りは彼女たちを物理的はもちろん、精神的にも救うことはできません。
ご注意下さい(難易度が跳ね上がります)
●プレイングボーナス
『祭壇のおぞましい光景と死臭に耐えて戦う』
というプレイングボーナスがありますので、ご活用くださいませ。
●文字数節約について
共闘、アドリブについてはNGの場合のみプレイングにご記載下さいませ。
また、お連れ様がいらっしゃる場合には、お相手の方の愛称とIDの併記をしていただきますと助かります。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『隷属から逃れる術を知らない少女達』
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POW : 命より重い忠誠を誓おう
【忠誠を誓った者から授かった力】に覚醒して【命を省みず戦う戦士】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 主のためなら限界すら越えて戦い続けよう
【主の命令書を読み限界を超えた捨て身の攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 主人に永遠の忠誠を誓おう
【忠誠を誓う言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
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●すりつぶされる。またひとりさけぶ。
犠牲の数など数える意味を見つけられないほど、床へ、壁へ、祭壇へとこびりつき、新しく滴り落ちてくる血の跡。
周囲を漂う、鼻腔を刺激する形容為難い腐臭。
その地へと脚を踏み入れた猟兵達へと、少女たちは虚ろな、ビー玉のような眼をむけて一斉に群がるのだった。
佐藤・和鏡子
確かに、臭いも風景も感情のある存在なら脅威でしょうね。
というわけで、感情のない殺戮マシン(私)を投入しますね。
相手がなんだろうが動く存在なら無差別攻撃できますし、臭いや風景も機械には無関係ですから。
具体的には消防斧と救急箱内蔵型荷電粒子砲装備で惨殺のユーベルコードを起動します。
近距離は消防斧(重量攻撃+怪力による叩き潰し)、遠距離は荷電粒子砲(レーザー射撃+範囲攻撃による拡散レーザー)で対処します。
吹春・志華
こういうのはうちの他の子には任せられないわね
浄化・狂気耐性・呪詛耐性・破魔の力を込めた結界術を自分に使うわ
一応の防御策と祭壇の気持ち悪さで狂気に陥らないようにね
……死臭はもう耐えましょ、今から更に増えるもの、そうでしょ貴女達?
命を省みず寿命をも削っての身体強化、ね
それだけ尽くされたらご主人様もさぞご満悦でしょう
(素材でしかないのにこんな真似させられて)
言おうとした言葉を飲み込んでUCを使用、幽体離脱を誘発させるわ
後はガンナイフからの誘導弾と短刀での切断で意識の無い体に急所攻撃よ
悪く思わないでよ、これがこの術本来の使い方なんだから
怨念の素材作りの術としてのね……私も大差ないわね、貴女達の主人と
●鳴り響く警告は。
確かに、臭いも風景も感情のある存在なら脅威でしょうね。
というわけで、感情のない殺戮マシン(私)を投入しますね。
『排除サブルーチン起動。危険です、注意してください』
看護用ミレナリィドールである佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)は周囲に警告を出す。
それは、優しさからでもあるのだろう……。
「相手がなんであろうと、臭いや風景も機械には関係ありませんから。
脅威存在は、すべて排除します」
そうして心優しいミレナリィドールである和鏡子は感情を、理性全てを捨て去り、
脅威緊急排除モードへと移行を完了した。
●思い全てを命綱に。
吹春・志華(観測者・f35442)は浄化・凶器・耐性・呪詛耐性・破魔の力を込めた結界術を纏い、周囲の陰惨な状況で狂気に陥らぬ様、準備を整えて立っていた。
「……死臭はもう耐えましょ、今から更に増えるもの、そうでしょ貴女達?」
こういうのはうちの他の子には任せられないわね。
ふと自身の庇護する存在を思いやるが、手にしたガンナイフの感触で即座に意識を切り替える。
「命を省みず寿命をも削っての身体強化、ね。
それだけ尽くされたらご主人様もさぞご満悦でしょう」
(素材でしかないのにこんな真似させられて)
続けそうになった言葉を飲み込み、志華は生家に伝えある秘伝呪術の一つ。
『強制幽体離脱』を完成させた。
●壇上の狩場
襲い来る少女たちは、武器とは言えないような、フォークやスプーン、燭台。中には椅子の脚だったものと思しき木材を手に、次々と群がってくる。
それに対し、和鏡子は医療知識を元にして、群がってくる少女達の首を、触手腕を、脚を容赦なく手にした巨大な消防斧で的確に切り落とし、刎ね落とし、叩き潰していく。
何度目かに振るった斧で倒されていく少女達。その後ろから現れる新たな少女達との隙間ができる。
瞬間。
和鏡子の周囲を救急箱内蔵型荷電粒子砲から放たれる拡散型のレーザービームが焼き払っていった。
●ビー玉の視線をうけながら。
幽体離脱を誘発させる空間に入ってくる少女達を、手にしたガンナイフで一体一体を確実に素早く意識を狩り落とし、反対の手に持つ短刀で意識のない少女達の首を落としていく。
「悪く思わないでよ、これがこの術本来の使い方なんだから。
怨念の素材作りの術としてのね」
と志華の口から言葉が漏れる。
事実確認なのか、贖罪なのか、それとも他の感情なのか。それは知っているのは志華だけである。
再度、ガンナイフを振るい、再び突入してくる少女達を狩り、独り言ちる。
……私も大差ないわね、貴女達の主人と。
大成功
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スピネル・クローバルド
アドリブ・連携歓迎
■心情
実験されていた少女たちですか、何とかしてあげたい気持は山々ですが
救おうとしては、逆に私達の命が危ないですね。
せめて安らかに眠って貰う事が彼女たちへの救済になるでしょう。
■行動
おぞましい光景は、私は目を閉じて敵の位置を【気配感知】しますね。
死臭は、幾重にも重ねた布製のマスクなどで少しでも和らげておきます。
後は【環境耐性】で、おぞましい光景や死臭等の環境にも耐えます。
戦闘では深緑の嵐(UC)を使用します。
【属性攻撃】により強化された森属性を駆使して、
【範囲攻撃】でオブリビオンを一気に倒しますね。
ユーベルコードで倒し切れなかった敵は『フォレストスナイパー』で各個撃破します。
夜刀神・鏡介
もし救う術があるならば、できる限り尽力しようと思うけれど
その術がないのなら、戦うしかないだろう
利剣を抜いて、澪式・玖の型【辻風】の構えで敵と相対
刀と眼の前の敵に精神統一。それだけで周辺の光景や死臭も無視できる。そういう修行を今までしてきた
やる事は単純。こちらの構えや視線などから、相手の動きを僅かに誘導して彼女達に先手を取らせて、踏み込んできたところで【辻風】、後の先の斬撃でカウンター
一撃で倒しきれなければ、返す刀で即座に追撃
……彼女達は一流の戦士という訳じゃないからな。限界を超えた捨て身の攻撃といっても、どのように動くかが分かっていれば対処は容易い
一通り始末したなら……祭壇を破壊しよう
●いつか。
スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)と夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)の二人は、もしも救う術が見つかるのであれば、おぞましい光景や腐臭、そして少女たちと対峙しながら周囲へと注意を払う。
だが。
隷属から逃れる術を知らないからこそ、主の命令に忠実なるままに従属し、捨て身の攻撃を繰り出せてしまう少女たちの猛攻が、周囲を探索させる暇を与えぬ勢いで、二人へと降り注ぐ。
「何とかしてあげたい気持は山々ですが、
救おうとしては、逆に私達の命が危ないですね。」
「ああ、もし救う術があるならば、できる限り尽力しようと思うけれど」
その術がないのなら、戦うしかないだろう。
鏡介は前衛に位置を取り、利剣を抜いて、澪式・玖の型【辻風】を構える。
刀と眼の前の敵に精神統一。それだけで周辺の光景や死臭も無視できる。そういう修行を今までしてきたのが彼である。
『これは森の歌。木々の合唱。木漏れ日、葉擦れ、せせらぎ。重ね合わせて歌い、踊りなさい』
後衛に立ったスピネルは、瞳を閉ざし、周囲の気配を探りながら森の歌を完成させていく。
一瞬の隙を縫い、連携しやすいように立ち位置を変え、それぞれのなすべきことをなす。
●したたりおちる鮮血と涙。
ひとりの少女が、鏡介の隙へと誘い込まれるかのように手にした矢……矢じりすらついていない、細い木の棒をまっすぐ差し込んでくる。
……彼女達は一流の戦士ではない。なれば限界を超えた捨て身の攻撃といっても、どのように動くかが分かっていれば対処は容易かった。
『一手遅い――澪式・玖の型【辻風】』
先手を取った、と少女が思った時には、彼女の腕と首は体から離れ、続いた別の少女の触手腕も本体から切り離され、返す刀で急所を貫かれていた。
●森。
スピネルたちを中心に森がその場所を侵食するかのように浮かび上がり、嵐となった。
鏡介の刀の届く範囲は狭くはない。だが、それでも近接型で戦っているために届かない範囲もある。
そちらを受け持つように動くのがスピネルである。
「せめて安らかに眠って貰う事が彼女たちへの救済になるでしょう」
スピネルがそうつぶやくと、鮮やかな新緑をにおわせるかのような優しく、柔らかな嵐が巻き起こり、森と化した一帯を少女たちごと飲み込んでいくのだった。
●流れ落ちぬ涙。
一人の少女がどこかへ手を伸ばし、そのままこと切れる。
それが、実験体であった少女たちの最後の一人であった。
後続がこないことを確認すると、鏡介は祭壇へと静かに踏み出し……一刀両断に斬り捨てた。
大成功
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