闇の救済者戦争⑮〜黑のモーメント
「さて、どれがよいか……」
祭壇は血生臭く、つい先ほどまで実験が行われていたばかりだとわかる。犠牲となった屍が液体で満たされた容器の中から恨みがましそうな目を向ける先で、彼はひとつの紋章を選び取った。
そこは紋章の生まれる場所。
『第五の貴族』の中でも限られた者だけが運用を許されていた、第五層の生態実験室群なのだ。だが、犠牲となった者達の詳細がここで語られることはない。
「その名を黑の紋章」
仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)は告げた。
「対象が過去に経験した失態や羞恥心を呼び起こす黑い霧を戦場に撒き散らす。それはかつての失敗経験かもしれないし、恋や愛にまつわる自意識の産物であったかもしれない。第五の貴族『黒鋼公シュヴァルツ』は過去の恥辱を晒された者がそれに耐え、怒りの刃をシュヴァルツに向けてくるのを何よりも楽しみにしているんだ」
戦闘を楽しみたいという欲求を満たすため、黒鋼公シュヴァルツは必ず相手に先制を許す。これは彼が使うユーベルコードの性質的にも噛み合った行動だ。
あとは自身が構える細身の剣を用い、激しい乱舞を繰り出すだろう。
「ただし、紋章の霧は常時発動なので祭壇のある場所に踏み込んだらただちに効力が発揮される。これに先んじて何か対策を行うことはできない。もっとも、紋章には必ず弱点が存在する。この霧は光に弱いんだ。物理的にでも魔法的にでも、明るい場所に引きずり出してしまえばたちどころに効力は消え失せるはずだよ」
ツヅキ
プレイングを送れる間は受付中。
早めのお返し予定です。
●第1章
過去の強烈な羞恥心や恥辱の経験を否応なく思い出させてくる紋章を装備した第五の貴族との戦いです。こちらは敵のユーベルコードとは無関係に自動発動するため、完全に防ぐことは難しくなっています。
なお、弱点は『光』です。
紋章の「弱点」を突いて戦う。
プレイングボーナスは以上です。
第1章 ボス戦
『黒鋼公シュヴァルツ』
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POW : 存分に愉しませてくれ
自身の【戦闘を楽しみたい欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 貴様の力を見せてみよ
【猟兵の攻撃を受け止め続けた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ : この程度、児戯に等しい
【自身の細剣】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自身の細剣から何度でも発動できる。
イラスト:紺屋サキチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「セシリア・サヴェージ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
紫・藍
あや~!
あやややややややややややややややややややややや~~~~~~~~~~~~~~~!!!
あうあうあうあう、うー。
趣味が悪いのでっす。
藍ちゃんくんのテレ顔や赤面顔を見ていいのは藍するおねーさんだけなのでっすよー?
どんな仲睦まじい日々を過ごしてるのかは内緒なのでっす!
黒鋼公さんにはお見せしないのでっす。お聞かせしないのでっす。
かわりにええ。黒鋼公さんにお見せするのはお聞かせするのは!
眩く輝く藍ちゃんくんのステージなのでっすよー!
コピーするのならどうぞどうぞなのでっす!
何せライブ会場で刃物沙汰などご法度でっすからねー!
使えば使うほど弱体化間違いなしなのでっすよー!
戦闘を楽しませてはやらないのです!
「あや~! あやややややややややややややややややややややや~~~~~~~~~~~~~~~!!!」
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は悶絶した。
黑の紋章が放つ黒い霧が藍から引き出したのは藍するおねーさんしか知らない藍ドルの素顔。|仲睦まじい日々《ふたりだけのひみつ》の中で彼女だけに見せたことのある諸々を暴露された藍は言葉を失い、「あうあう」と転げ回った。
「どうした、かかって来ぬのか。羞恥に歪む顔を見たいものだが?」
「断固拒否なのでっす!」
挑発に乗って来ない藍に黒鋼公は「ほう」と目を細める。
「ならば、さらに濃い霧で……」
「そうはいかないのでっすよー!」
藍がマイクを構えた途端に世界がめくり変わり、陰鬱とした実験室はサイリウムのレーザーライトが乱舞するライブ会場へと変貌を遂げた。
「これは……」
ユーベルコードを受け止めた細剣を黒鋼公が振るう度、色鮮やかなレーザーライトが倍化する。
なにしろ戦場をライブ会場に変え、ライブに無関係な行為の弱体化をもたらす技だ。これでは埒が明かないと気付いた黒鋼公は直接攻撃に切り替えるが力が抜けて調子が出ない。
「な、なんということだ。私の剣技が弱体化している……!? くッ、このような技をコピーしたところで何にもならぬではないか」
「これなら戦闘を楽しむことは不可能でっすよねー?」
光り輝くステージの上では藍のテレ顔も赤面顔も見えなくなる。代わりに像を結ぶのはファンが望む笑顔――即ち、藍ドルとしての顔で。
「それではいざ、藍ちゃんくん生ライブの始まりなのでっすよ!」
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
思い出したくもない過去を強制的に呼び起こしてくるとは。随分といい趣味、いい性格をしているというか……
神刀の封印を解除
刀を持つとしばしば思い出す事。それは……負けた事や、守れなかった事
分かっているさ、失敗だらけだ。思い出したくはないが、忘れるわけにはいかない事だ
だから、動揺するような事はない
神刀に力を溜めつつ、その神輝きによって黑い霧を晴らして。絶技【無我】
初手で最大の一撃を叩き込む。代償も上等だ、持っていけ
先手を許してくれるというのならばありがたく
動揺するような事はないとはいったが、しかし。何も感じない訳じゃない
だがお前はこういうのが見たかったんだろう。なら、ありがたく持っていけよ
黒い霧に包まれた戦場に立つ夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は、鞘に収めたままの神刀を掲げて微かな息を吐いた。
胸を抉られる記憶の群れ。
負けた事、守れなかった事……失敗の経験には暇がない。
だが、鏡介はゆっくりとまぶたを開いた。
同時に神刀の封印を解き放つ。
「確かに思い出したくもない過去ばかりだ。しかし、同時に|忘れたこともない《・・・・・・・・》。今さらだよ黒鋼公。こんなのはわかりきったことなんだ」
まったく、いい趣味をしている。
言外の意味を汲み取った黒鋼公は不敵に微笑んだ。
「おや、顔色ひとつ変えぬとはなかなかの手練れと見た。ならばその剣術で私を楽しませてもらおうか」
「ほんと、いい性格してるよ」
お望み通りに鏡介は神刀を抜刀し、黒鋼公目がけて斬りかかった。抜き身の刃が発する神輝は黒霧を退けるように晴らしつつ、容赦なく代償として鏡介の一部を持ってゆく。
――先手を許したことが命取りと知るがいい。
「ふ……」
余裕の笑みで受け止めようと剣を構えた黒鋼公の顔色が変わるまでそれほどの時間を要しなかった。
「なに――」
そもそも、受け止められなかったのだ。
振り抜いた剣閃は黒鋼公の剣を弾き飛ばすままに本人の体を断つ。鏡介の表情からはほとんど感情は窺えない。だが、間近で交錯した瞳の奥には確かな痛みと恥じらいの色があった。
「お前はこういうのが見たかったんだろう」
なら、ありがたく持っていけと、鏡介の唇が音もなく動いた。
大成功
🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
どもー!エイリアンツあっばばば!!!
鮮明に蘇るアレソレに名乗りも忘れて触手がびたんびたんしそう。
▼恥
過去に自作した美少女フィギュアを
無垢な猟兵さん達に下から覗かれた経験
ダメェェ!!ぱんっ…ダメェェェ!!
阿鼻叫喚を装いつつ―UC発動!
通電性と思しき盾、或いは敵装備を通じて超速移動を。
ハァイ、舐めプ代表ニキに最高の赤っ恥をお届けに参りましたァ☆
Krakeの先端から閃光弾を真上と
【零距離射撃】で盾にも照射。
次ターンに持ち込ませる前に
全力の四砲【一斉発射】をブチ込めれば幸いかな。
交戦中に同戦場で恥辱で困ってる人がその場に居たら
【コミュ力】を活かして、そっと優しくフォローしにいくね。
☆アドリブ・共闘歓迎
「どもー! エイリアン……」
颯爽と|宇宙バイク《Glanz》で戦場に乗り付けた途端にパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は耳まで真っ赤になって白目を剥きかけた。
あれはいつだったか、無垢な猟兵さん達が遊びに来たときのことだ。
なにしろ無垢だから「この美少女フィギュアオレがつくったんだよ☆」なんて言ったら素晴らしく興味津々に眺めまわしてくれたんだっけ。
それはもう、上から|下から《・・・》。
「あっばばば!!!」
――美少女フィギュアの服の下を覗いちゃダメ、絶対。
当時の感情が鮮明に甦ったパウルは触手をびったんばったんしながら見悶える。阿鼻叫喚だ。いかん、マジで死んでしまいそう。
「ダメェェ!! ぱんっ……ダメェェェ!!」
いっそ殺せと言わんばかりに暴れ狂いながら発動するユーベルコードは|Immortals《ブラフマン》。パウルを宇宙蛸の人魚と代え、一瞬にして黒鋼公の装備を通じて目の前に出現する。
「なんだと?」
あまりにも超速であったため、剣を抜く余裕すらなかった黒鋼公の身体に|アームドフォート《Krake》の砲口を突き付けてご挨拶。
「ハァイ、舐めプ代表ニキに最高の赤っ恥をお届けに参りましたァ☆」
打ち上げた閃光弾が頭上で爆ぜ、霧を一気に晴らしてゆく。同時に盾にも照射しつつ――四砲とも全力で全弾をブチ込んでやれ――!!
「ば……馬鹿なッ……」
完全に虚を突かれた黒鋼公は|無防備《ノーガード》で好きなようにやられた屈辱に歯ぎしりする。意趣返しに成功したパウルのフォローによって救われた猟兵もいただろう。
「大丈夫♪ オレだって立ち直れたんだもの、明日には明日の風が吹くからさ。Cheer up!」
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
「人に歴史あり」っていうけれど、その何割かは黒歴史だと思うの。
だって私がそうだから…
(神として永く生きてきた分、黒歴史も相当に💦)
そのままだと(羞恥のあまり)戦わずして負けそうなので、
催眠術で「黒歴史は格好良い!人生が充実している証♥」と
”デビルキング法”っぽいノリで自己催眠を掛ける。
根拠の無い自信満々な状態でシュヴァルツと対峙。
怒りは無く、余裕の表情で《陽だまりの庭》を行使。
紋章の霧を陽光で消去。
コピーしたければどうぞ♪
プラズマの属性攻撃と神罰を右拳に宿し、念動力にて電子スピンを
コントロールして形成したプラズマスパイラルを衝撃波と共に打ち出す
貫通攻撃:”ぎゃらくてぃかまぐなむ!”を打つ。
大町・詩乃(阿斯訶備媛アシカビヒメ・f17458)は恥ずかしかった。
凄く恥ずかしかった。
とんでもなく恥ずかしかった。
あれも、これも、どれも!!!!!
なにせ、神として永く生きてきた身である。
――ああ。
詩乃は両手で顔を覆い、首を左右に振り分けた。
「黒歴史ぃ……仕方がないことですよね、わかってはいるんです。『人に歴史あり』という言葉もありますし、光も影も全てひっくるめて私自身なのはわかってはいるんですが……ッ」
こうなったら、自分に都合のいいように認識を改竄する他ない。詩乃はぶつぶつと何かを呟き始めた。そう、価値観を転換してしまえばよいのだ。世界の在り方すら変えてしまったあの“デビルキング法”のように!
「いったい何を呟いて……」
黒鋼公が耳を済ませるとこんなセリフが聞こえてくる。
「黒歴史は格好良い!」
「ん?」
「人生が充実している証♥」
「ちょっと待て……」
「そういう体験のない人生なんて逆に味気なさすぎですよね?」
「いや――」
「黒歴史満載の私すごーい!!」
詩乃は突き抜けた余裕の微笑みを浮かべ、呆気に取られた黒鋼公にユーベルコードを仕掛けた。眩い光が降り注いで霧を晴らし、戦場を陽光で満たしてゆく。
「私の紋章が……!? しまった、これでは――」
「ふふふっ。どうぞコピーしたければなさってくださいな♪ 真似すれば真似するほど、あなたの紋章は力を失っていきますけどね?」
拳を握る右手に宿るプラズマと神罰の力に念動力で電子スピンを加えてやれば、竜巻のように迸るプラズマスパイラルが黒鋼公に襲いかかった。
「成敗いたします! いざ、ぎゃらくてぃかまぐなむ!」
「ぐッ、は――」
衝撃波は黒鋼公を貫いて背後の壁に衝突する。攻撃の余波で崩れ落ちる実験室には構うことなく、詩乃は拳を構え直した。
「こうなればむしろ黒歴史万歳ですね。さあ、催眠が解けないうちに勝負を決めてしまいましょう!」
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
恥辱の記憶……。
学生時代に夫に迫っても相手にされず、最後は私から押し倒したことでしょうか……。今から考えても恥ずかしい。
夫とのあれこれが脳裏をよぎって、とても戦闘出来るメンタルじゃありません。
パンと両頬を叩いて、マインドセット。記憶の奥底からまさぐりだしてくれたお礼はさせてもらいます。
「全力魔法」光の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」で光輝の雨。
紋章の霧を一瞬とは言え消し飛ばす、光の雨はいかがですか?
床に刺さった光の矢は、戦闘の間くらいはそのまま光り続けます。更に、第二射、第三射で、戦場をより明るくしてみせましょう。
もちろん、黒鋼公の身体にも光の矢は突き刺さります。辱めてくれた贖いはその生命で。
それは学生の頃の記憶であると、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)にはすぐにわかった。あんなことをしでかしたのは後にも先にもない。どれだけ迫っても相手にしてくれない彼を押し倒して、そして……――。
芽亜は熱い頬を両手で軽く叩き、現在に集中するために気持ちを切り替えた。
「……その相手がいまの夫です。まったく、若気の至りでしたね。これで満足ですか黒鋼公? 悪趣味にもほどがありますよ」
「そうだろうか。他人の恥辱ほど面白いものが他にあるかね?」
嘯き、細身の剣を構える黒鋼公に芽亜も弓を引き絞る。
「こんなものを記憶の奥底からまさぐりだしてくれたお礼はさせてもらいます。お覚悟を」
――それは、全力でいくという宣戦布告。
矢を放つ弦音が戦場に響き、破魔の力に満ちた光輝の雨が天より降り注ぐ。眩い光によって霧さえ晴らしてしまえば、たちどころに紋章は力を失って黒鋼公の魔力も削がれてゆくのだ。
「どうやら効いてくれたようですね」
「やれやれ、無粋な。せっかくよい顔をしていたというのに」
「余裕ぶっていられるのもいまのうちですよ」
「なんだと?」
芽亜はくすりと微笑み、床に刺さったままの矢がいまだ光り輝いているのを黒鋼公に示した。第二、第三射と回数を増すごと、まるで松明のように戦場を照り輝かす。
「ちッ……」
黒鋼公はその身に突き刺さった矢を乱暴に引き抜くが、すぐに新たな矢が肩や脚を穿った。容赦はしないと先に言ったはずだ。
「覚悟はよろしいですね。辱めてくれた贖いに、その生命を貰い受けましょう」
大成功
🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
(名乗った瞬間に、過去の記憶が蘇る)
ぐあぁぁ!
あれは悪事(ドッキリ)に引っかかり続けて数十年の
リアクション芸人の悪魔さんに悪事を仕掛けるというTV番組の企画に参加した際
ものの見事に失敗し芸人の悪魔さんと番組スタッフの皆さんを白けさせてしまった
私の中で最も忌むべき記憶…!
目を逸らすな!
(UC【強悪!妖光堕澱醜穢閃】を発動し太陽のような強烈な光を放つ)
嫌なことを思い出させてくれたお礼です!
遠慮なく受け取ってください!
(赤紫色の矢印の姿をしたオーラの矢を放つと同時に『衝撃波』を纏ったパンチを叩きつける)
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
名乗った瞬間に過去の記憶がよみがえったダーティは血を吐くような悲鳴を上げた。
「ぐあぁぁ!」
あれはTV番組の規格に参加した時のこと。
デビルキングワールドではそういうバラエティがよく放送されていて、この時もリアクション芸人の悪魔に悪事を仕掛けるというドッキリみたいな流れであった。
「失敗……凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティがまさかの失敗……! 白けた芸人の悪魔さんと番組スタッフの皆さんの顔が忘れられません……私の中で最も忌むべき記憶をよくも呼び起こしてくれましたね!?」
「ふふ、期待通りの反応に感謝するよ。さあ、かかってくるがいい。どのような攻撃であろうとこの剣で受け止めてみせよう」
満足そうに剣を構える黒鋼公だったが、その余裕もここまでだ。
「ならば、眼を逸らすな!」
「なッ――」
突如、太陽のように強烈な光が実験室に満ちる。恥辱の記憶に震えるダーティの様子を楽しそうに観察していた黒鋼公はもろにその光を見てしまった。同時に霧が晴れ、黑の紋章はあっという間に力を失っていった。
「く、目が……」
とっさに手で顔を覆うが、命令違反による回避能力の減衰は赤紫色の矢印のオーラによる貫通攻撃によって贖われる。
「しまった!」
「嫌なことを思い出させてくれたお礼です! 遠慮なく受け取ってください!」
相手が体勢を立て直す前にパンチを叩きつけてやれば、衝撃波によって吹っ飛んだ黒鋼公は背後の壁に叩きつけられて呻いた。
「私は凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティ! 黒歴史は新たな活躍の歴史で塗り替えていけばよいのです!」
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
なんか、効力だけ効くと黒の紋章というより黒歴史の紋章…
こちとら黒歴史だらけだわ
Q.正直一番恥ずかしかったのは?
A.今の恋人が遠回しとはいえ告白の言葉をくれてたのに、他に好きな人いるんだって勝手に勘違いして勝手に落ち込んでた事ですね、キスだって仕事上の事で役得くらいに勝手に思ってた
とはいえもう過去の事だし、先制で必ずしも攻撃する必要は無いよね?
というわけで【心に灯す希望の輝き】発動
一緒に発動してくれてもいいよ?
【破魔】の光と【浄化】が強くなって僕が有利になるだけだから
刃はなるべく杖での受け流しと回避に専念しつつ
【オーラ防御】
UC効果で光技の効果を高め
【高速詠唱】で光魔法の【属性攻撃、全力魔法】
「なんか、効力だけ聞くとまるで黒歴史の紋章みたい……こちとら|黒歴史《そういう経験》だらけでやばいなーって感じではあるけど」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は腕を組み、小首を傾げる。
「でも、やっぱり一番はあれだよね。あー、きたきたきた……」
黒い霧に包まれた途端、澪の全身に震えが走った。
人は思い込みの激しい生き物であり、どれだけ別の事実が目の前にあろうともなかなか気が付けなかったりする。
(「思い返せば、遠回しな告白の言葉だったよねあれって……なのに他に好きな人がいるんだと勝手に勘違いしてた僕はまさか自分に言っているなんて思いもしなくて勝手に落ち込んで」)
キスまでしていたのに、職権乱用だけど役得だなあとか考えていた自分を殴ってやりたい。鈍いにも程がある勘違いは実際に付き合うことになった今でも――いや、今だからこそ、恥ずかし過ぎる思い出であろう。
「とはいえ、もう過去のことだしね」
愉悦の微笑みを浮かべている黒鋼公はこちらが攻撃を仕掛けるのを待っているようだ。もっとも、ユーベルコードにはいろいろな作用がある。
たとえば、こういうのとか。
「さあ、希望の輝きよ降り注げ」
澪が両手を掲げると、美しい花々と共に破魔の光が降り注いだ。滞留する霧を晴らして紋章を浄化する天上世界の到来に黒鋼公は狼狽えた。
「これは……!?」
「一緒に発動してくれてもいいよ? もっとも、そうしたら破魔と浄化の光がさらに増して僕の側が有利になるだけだけどね」
あっさりと澪は弱体化した黒鋼公の剣技を杖で受け流し、オーラで防御を固める。|天上世界《ここ》では剣よりも光魔法の方が|相応しい《強い》。
「くッ――」
高速で紡がれた全力の光魔法に包み込まれた黒鋼公はそれこそ屈辱に呻いた。よもや、こんな方法で紋章の強化を覆されるとは思ってもいなかったのだろう。
大成功
🔵🔵🔵
瀬河・辰巳
うわー、趣味悪っ。俺にシスター服を着せて遊んでた吸血鬼といい勝負だな。…くそ、思い出すと苛立ってきた。
UCの属性は光。コピーされると面倒なので、あえてUCで敵は狙わず、紋章の弱体化のために壁や床に刺したり飛ばしたりして光で辺りを照らす用にする。まあ、万が一コピーされても光が余計に強くなって紋章は弱体化するし、こっちの槍で相手のを弾き返すけどね。
敵への攻撃は飛んで身を隠しながらの弓矢と大鎌による奇襲。時々呪詛たっぷりの暗殺道具。
接近できそうならオトモダチ(影)を囮にして紋章ごと切ってやろう。
女顔って言われるけど、普段は化粧だからな。化粧も生きるための手段だからな。
その一、お前はとても悪趣味だ。
実験室を満たす黒霧を挟んで対峙した黒鋼公に瀬河・辰巳(宵闇に還る者・f05619)の告げた第一声がそれであった。
「前にもいたぞ、そんな吸血鬼が。よくも思い出させてくれたな?」
「ふふ、その吸血鬼はお前に何をしたのだ」
「誰が教えるか!」
その時に着せられていたシスター服の恥辱といったら、今思い出しても苛立たしい。辰巳は恥辱に赤らむ顔を敵から隠すように姿隠しの影を纏った。背の翼が風を孕み、生み出す魔法の槍は光の属性を得てまばゆい輝きを放つ。
「まずはこの霧を何とかしないとな……!」
辰巳が狙ったのは天井や壁だ。穿たれた槍が松明のように実験室内を照らして紋章の力を弱体化する。霧の濃度が下がり、よみがえった恥辱の記憶もやがて薄れていった。
「どうした、私を狙わないのか?」
挑発するような黒鋼公の台詞を辰巳はため息一つで受け流す。
「俺の技を奪られるのは面倒なことになりそうなんでね。当てなきゃコピーすることもできないだろ?」
辰巳が転がり込んだのは祭壇の裏側だ。素早く番えた弓矢で狙いをつけ、死角よる放つ射撃が黒鋼公の皮膚を裂く。
「掠めた程度で――」
だが、くらりと眩暈を感じた黒鋼公はすぐに悟った。
「毒……いや、呪詛か!?」
「ご名答」
立て続けに振るわれた大鎌は今度こそ黒鋼公の胴体を抉る。いずれも暗殺道具、相手の命を奪うことに特化した造りになっている。
「面白い。こういう敵を待っていたのだ!」
「――今だ、頼んだぞ」
黒鋼公の剣閃が捉えたのは辰巳ではなく、囮として飛び出した|獣の影《オトモダチ》。新しい矢を番え、念を押すように呟いた。
その二、化粧は生きるための手段である。
指先を離れた弦に押し出された矢は一直線に迸り、黒鋼公の纏う漆黒の鎧の継ぎ目から内部を貫く。
「ぐッ……」
「女顔は化粧の産物。普段はそれで猫を被ってるのさ。必要に迫られて被る|仮面《ペルソナ》が俺の真実だとは思わないでくれるかい、黒鋼公」
大成功
🔵🔵🔵
佐藤・和鏡子
救急車のヘッドライトの光(武器から光線)で紋章の霧の力に対抗します。
(恥辱の経験は過去の戦いでオブリビオンに辱められたことがあります)
戦闘を楽しみたいようですが、ご要望にお応えして映えるユーベルコードを使ってあげますね。
彼岸花の花びら舞う中で一騎打ち、雰囲気があって良いと思いませんか?
向こうもこちらの技をコピーして飛んできそうですが、そこに飛行で加速して突っ込み、怪力+重量攻撃+捨て身の一撃を乗せた必殺の一撃を喰らわせます。
数多の命を吸った祭壇を擁する一角にサイレンの音が近づいた。
年代物の救急車である。
ボロボロのアメ車らしく乗り心地は激しく悪いが、とても頑丈で佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)のお仕事には欠かせない相棒だった。
「光――?」
眩しさに目をすがめ、黒鋼公は戦場に満ちる霧が無力化されてゆくのを見つめた。
「その車は何だ、猟兵よ」
「救急車をご存じありませんか? 人の命を助け、救うための乗り物です」
和鏡子の頬が紅潮しているのはおそらく、黑の紋章によって甦った恥辱の記憶による心傷の影響に違いなかった。生々しく想起されるのはあの時の消せない痛み……心も体も痛めつけられ、まるで物のように扱われた過去の。
堆積する記憶の底、箱に仕舞い込むようにして眠らせた衝動はふとした拍子に蓋が開いて姿を見せる。
そう、いまみたいに。
「救う? なぜそんなことをするのだ。そんなことよりもこうして戦うほうが何倍も面白く楽しいであろうに」
「貴方の流儀は理解しています。受けて立ちますよ、このユーベルコードで……!」
――白衣のナースが其処にいた。
手に赤き斧を持ち、彼岸花の花嵐を従えて飛翔する。
「美しいな」
満足そうに呟いた黒鋼公は己が剣から全く同じユーベルコードを再現した。血塗れの祭壇に彼岸花の花弁が舞い落ち、戦いを彩る舞台装置と成る。
鋭く突き出された黒鋼公の刃を和鏡子は斧の柄で受け止めた。互いに超速飛行しての鍔迫り合いは接触した刹那、凄まじい反動が互いの身に襲いかかる。
「さようなら、黒鋼公。彼岸花が貴方を骸の海へ送ってくれるでしょう」
渾身の力を込め、和鏡子は斧を振り抜いた。後先のことを考えず、この時限りに全力を尽くした重量級の一撃であった。
「よもや、この私が――? 信じられぬ、信じられようか」
黒鋼公は霧と共に消え失せ、元の姿に戻った和鏡子は軽く息をついて救急車に寄りかかった。
「終わりました、ね」
大成功
🔵🔵🔵