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闇の救済者戦争⑮〜双星遊戯

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #第五の貴族

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#第五の貴族


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●泳ぐ影
「今回お前達に向かってもらうのは、紋章の祭壇――『歓喜のデスギガス』によって第五層から引きずり上げられた、生体実験場だ」
 集まった猟兵達に、 ヴィトレル・ラムビー(斧の狩猟者・f38902) が行き先を示す。
 ここでは本来、おびただしい数の犠牲を払いながら『紋章』の生産を行っていたという。持ち主の力を強化し、異形の攻撃手段さえ与える紋章、その力の一端を目撃、体感した猟兵も少なくはないだろう。
 祭壇を管理していた『第五の貴族』も同様にこちらに来ており、放っておけばまた紋章の作成儀式が始まってしまうことも予想されるが。
「残しておくべき施設ではない……という点について異論はないだろう? 進軍のついでに、ここを制圧してやろう」

 グリモアによって転送される先は、無人の祭壇。儀式の用意を待っているこの場所には、吸血鬼が生み出したと思しき怪物が、警備役として配されている。
「影魚……というらしい。二匹一対、空中を泳ぐ魚型の怪物だ」
 祭壇前において、球状の水槽に入れられているそれは、侵入者の接近を察知して解き放たれる。影魚は『影の中を自在に泳ぐ』という能力を持っており、鋭い歯を用いた奇襲攻撃を得意としているようだ。
 また、二匹一対の言葉通り特殊な繫がりを有しており、片方が倒されても、片方が生き残っていれば短時間で復活してしまうらしい。

「まあまあ面倒くさくなってきただろう。だが今回は、さらにもう一つ『紋章』が加わる」
 苦笑いを浮かべながらヴィトレルが言う。
 それは、『欠けた月の紋章』。持ち主の耐久力を弱める代わりに、負傷すればするほど、莫大な力を齎す、という代物だ。元が強力でプライドの高い吸血鬼にとっては、デメリットばかりが目立つため、ペットだか使役獣だかわからないこの影魚に与えられたのだろう。
「話が見えてきたか? そう、ここでさっきの『二匹一対』ってのが出てくるわけだ」
 二匹の影魚は特殊な繫がりを持ち、紋章を共有している。そして、両方を同時に倒さない限り死なない。つまり片方のみが倒れた場合、それが復活までの短時間だが、『死ぬほどの傷を負いながら生きている』という特殊な状況が成立するのだ。
 紋章の真価を引き出した残りの一匹は、第五の貴族をも凌ぎかねない凄まじい力を持つことになるだろう。
「対策は一つ。二匹の影魚を倒すタイミングのズレを、ゼロに近づけることだ」
 とはいえ、一心同体であるかのように連携し、影に潜る能力を持つ彼等を同時に倒すのは困難に違いない。

「……だが、不可能ではないだろう? お前達のアイデアに期待している。任せたぞ」
 それぞれの猟兵の目を見て、そう告げると、ヴィトレルは戦場への扉を開いた。


つじ
 当シナリオは『闇の救済者戦争』の内の一幕、一章構成の戦争シナリオになります。

●戦場
 祭壇前の広場、儀式場です。影魚のためでしょう、消えない魔法の光を灯した柱が、無数に並んでいます。
 戦闘時は無人です。

●影魚
 イラストでは鎖で繋がれていますが、水槽から出てきた際に解放されます。
 もしかしたら飼い主か持ち主が居るのかも知れませんが、このシナリオで出てくることはありません。

●欠けた月の紋章
 持ち主の耐久力が下がる代わりに、負傷するほど力を増す。
 最終的に凄まじいバフがかかりますが、その頃には持ち主の負傷が重すぎてまともに戦えないか、とっくに死んでいる……という欠陥品でした。

●プレイングボーナス
 紋章の「弱点」を突いて戦う。
 二人一組で参加された方にはボーナスを高めに付けます。

 それでは、皆さんのご参加お待ちしています。
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第1章 ボス戦 『影魚』

POW   :    影供
【片割れの噛み付き】が命中した対象に対し、高威力高命中の【片割れの噛み砕き】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    陰影
全身を【影】で覆い、自身が敵から受けた【光】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    影浸
肉体の一部もしくは全部を【影】に変異させ、影の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は襞黄・蜜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

朱酉・逢真
【逢魔ヶ刻】
心情)そうさァ旦那、テキトウな"上"で助かったなィ。戦争なンだ、敵は油断しているほどイイ。影ねェ。ひひ、そうとも。俺はいつだって影に隠れているからな…ヤ皮肉でなく事実としてサ。誰かに触ると危険だし。
行動)ああ、心得たよ。まず病毒を纏わせた結界で旦那を覆う、俺は|宿《カラダ》自体が病毒の塊だから噛まれても攻撃になる。こうしたら隙を見つけるために影に引っ込むンじゃないかとね。そしたら俺の手番さ。俺の|黯《かげ》を伸ばして奴らの影に触れる。そうすりゃ出口はひとつ、入り口からは出られない。後ろから俺の眷属《獣・鳥・虫》どもが追い立てるンだ、同時に出るしかないだろう? じゃ、任せたぜ旦那。


深山・鴇
【逢魔ヶ刻】
紋章の力、ねぇ?欠陥品でも持ち主の特性によっちゃ厄介なものになるんだな

同時に倒す、その誤差が少ないほどいいらしいよ、逢真君
難しそうな話だが、相手は影に潜る能力があるそうでね
うん、皆まで言わずとも、だろ?
影に潜るっていうなら君に一日の長があると俺は思ってるよ

影魚が影に潜ったら、その二匹が出てくる場所を同じにできるかい?
できるなら同時に出てきたところを俺が一刀両断に斬り捨てれば話は早いと思うんだが…どうだい?
万が一にも失敗したらフォローを頼むよ、逢真君!

影魚を追い立て、影へと潜り込むように仕掛ける
影へ潜ったなら逢真君が指定する場所へ意識を集中
飛び出してきたところをUCで一網打尽だ



●陰
「紋章の力、ねぇ?」
 深山・鴇(黒花鳥・f22925)の見据える先には、紋章を生み出す儀式のための舞台が一つ。準備を待っているだけの祭壇は、その名称に反して随分と素っ気ないものだった。そんな中でも目を惹くのは、やはり巨大な水晶状の置物か。水槽のようになったその中では、一対の魚が陰陽の模様を描くように泳いでいた。
 両者をつなぐ鎖と共に、その身体には欠けた月の紋章が見える。
「欠陥品でも持ち主の特性によっちゃ厄介なものになるんだな」
 適材適所、モノは使い様、などという言葉は飽きるほどに使い古されているが、今回もその類と言えるだろう。
「しかし、本当にコレだけとはね」
「そうさァ旦那、テキトウな"上"で助かったなィ」
 笑みを含んだ調子で、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)が応じる。本来紋章を扱う第五の貴族――吸血鬼達はここには居ない。
「戦争なンだ、敵は油断しているほどイイ」
「まあ、それはそうだ」
 目の前の敵に集中できるという点はありがたい。一対の影――影魚達は、こちらを認めたらしく、水晶の中で激しく蠢き始める。ほどなく、侵入者を狩るために出てくるだろう。
「相手は影に潜る能力があるという話でね」
「影ねェ」
 後は言わなくても通じるか。ひひ、と不吉な笑みを浮かべる彼に、鴇は『注文』ではなく別のものを口にした。
「……影に潜るっていうなら、君に一日の長があると俺は思ってるよ」
「ああ、俺はいつだって影に隠れているからな」
 実際そうしていないと危ないからだが。軽口で応じる逢真の横で、鴇は刀を抜く。
 同時に祭壇前の水晶が砕け、中から牙を剥いた魚達が飛び出てきた。片方は影へと消えて、片方は上方へと泳ぎ出す。その両者に気を配りながら。
「あの二匹が出てくる場所を同じにできるかい? そうしたら、出てきたところを俺が一刀両断にしてみるよ」
「へえ、旦那に任せりゃァ安心だ」
「いや、万が一にも失敗したらフォローを頼むよ、逢真君!」
 図々しいのか謙虚なのか、そんな返しをする彼に結界を張って「心得たよ」と逢真が呟く。そうして踏み出した先は、立ち並ぶ柱の作る、無数の影の交わる場所。無造作な歩みに対し、影魚達は狙い通り、『釣り餌』へと食い付いた。
 片割れの牙が食い付くと、影から飛び出したもう一匹が死角から追撃をかける。逢真の身体はその鋭い歯によって引き裂かれ――。
「美味くはねェだろうに、なあ?」
 さして動じた様子の無い彼とは逆に、攻撃を加えた影魚達の動きに変調が生じる。病毒の化身たる彼の身体は、牙や爪を武器とする相手には滅法強い。苦し気に身を捩る魚達に鴇が迫ると、彼等はたまらず影の中へと引っ込んだ。
 こうなれば後は、追いこむばかり。逢真の伸ばした|黯《かげ》が、魚達の潜った影へと触れる。暗い暗い水の中は、彼の手により塗り替わり、迷宮へと成り果てた。
「ほら、そこから出てくるぜ」
「――いや、仕事が早いね」
 影の中の様子はわからないが、逢真の眷属達が猛威を振るっているのだろう。
 そんな彼の指定する場所へと向き直り、鴇はその時を待った。
 不等間隔に柱の並ぶ、静かで音のない光景。魔法の灯で照らされた影は揺れることもなく、予兆も前兆もなかった。けれど『その瞬間』を逃さず、鴇は刃を振り抜く。
「《咲け》」
 一閃。ただの一振り、その軌跡は二匹の影魚をまとめて斬り裂く。
 そうして、欠けた月は輝くことなく地に落ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハート・ライドン
残しておくべき施設ではない…ええ、同感です
敵戦力は可能な限り削いでおくべきでしょう
この地の支配者層への打撃になるならば、尚更

私と二匹一対の魚
多勢に無勢の状況ですね
一先ずは『ダッシュ』で回避に専念し
敵の連携具合を確認しましょう

二方向から攻めてくるのか
或いは息もつかせぬ連撃か
二匹が私に近付くタイミングを『見切り』
いざ、反撃に移ります

片割れの噛み付きをライフルの柄で『武器受け』
これで私は射撃不可かつ初撃を受けた状態です
もう片割れが噛み砕きに来ることでしょう
成す術はありません――本当に私が一人なら、ですが

噛み砕かれる寸前にUC発動
攻撃は託します、ポルックス
二匹纏めて、貴方の拳で撃ちのめしてしまいなさい



●鉄拳
 残しておくべき施設ではない。猟兵の一人が口にしたその言葉に、ハート・ライドン(Never Say Die・f39996)は同感だと頷く。大量の生贄、無辜の命を食い物にし、なおかつ敵を強化するという『紋章』。そんなものは存在しないに越したことはないのだから。
「敵戦力は可能な限り削いでおくべきでしょう」
 それが敵の支配者層への打撃となるなら尚更だ。
 彼女の向かう紋章の祭壇、その前に据えられていた水槽から、一対の影魚が泳ぎ出す。立ち並ぶ柱と、それが地面に落とす無数の影、その間をゆらりと二手に分かれた魚達に対し、ハートは牽制を試みた。
 使い込まれた小銃が火を吹き、弾丸を見舞う――とはいえ、一度の銃撃で二体同時には狙えない。相手もそれはわかっているのか、まるで逆方から追い詰めるように、二匹の影魚はハートに迫る。
「……なるほど」
 敵の動きを観察しながら、彼女は一旦後退を選択、祭壇の間をその足で駆ける。追い縋り、喰らい付こうとする魚達に対し、地を蹴り、時に柱を蹴り付けて、その牙から巧みに身を躱す。
「さすがは二匹一対、といったところですか」
 敵の連携は見事なもの。特に多勢に無勢のこの状況は最も得意とするところなのだろう、こちらの死角を突き、怒涛の連続攻撃を浴びせてきている。反撃の隙も、現状では見当たらないが……しかし、『攻撃を行う際には影から出て来ざるを得ない』という敵の特徴を、彼女はしっかりと見切っていた。
「いざ、反撃に移ります」
 柱の裏から飛び出すようにして牙を剥く影魚、その一撃を、ハートはライフルの柄で受け止める。
 反撃と言う割には、いきなり武器を封じられたかのような状況。もう一匹存在する影魚からすれば、それは必殺の好機である。
 ――だが、それは彼女が本当に一人であった場合の話だ。
「攻撃は託します、ポルックス」
『All right, Gemini hook』
 彼女の呼び声に応えたのは、彼方の世界の愛機。時空を超えて腕を伸ばした、キャバリアの巨大な腕がハートの眼前を薙ぎ払う。文字通りの鉄拳は喰らい付く寸前の影魚を、そして彼女のライフルの銃把に噛み付いた残りの片割れを、まとめて打ち据え、吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風魔・昴
麻生竜星(f07360)と共闘
彼の事は『竜』と呼ぶ
アドリブ歓迎


二匹一対……ね
一心同体の連携なら私達の十八番
だてに幼馴染じゃないのよ
連携の最大の武器は『信頼と絆』よ
作り物の『それ』には負けないわっ

真上に魔法の光を作り浮かべ、自分達の影を出来るだけ小さくなる様に立つ
「私達の陰から奇襲はさせないわ」
敵からの攻撃は【第六感・見切り・オーラ防御・残像・なぎ払い】で回避
ダメージを与え過ぎない様に二匹を同時に【斬撃波・衝撃波・銃殺弾・矢弾の雨】で攻撃
「影の中には逃がさないわよ!」
常に竜星との連携を意識して行動
「了解、竜!」
彼からの合図があると、同時にUCを放つ
「常闇に帰りなさいっ」


麻生・竜星
風魔・昴(f06477)と共闘
彼女の事は『スー』と呼ぶ
アドリブ歓迎

影の中を泳ぐか……奇襲には用心しないとな
しかし二匹一対とは……俺達には丁度いい相手だな
本当の連携の強さを見せてやろう

敵が行動を始めたら、自分達の影を出来るだけ小さくなるように立つ
敵からの攻撃は【第六感・見切り・オーラ防御・残像・なぎ払い】で回避
ダメージを与え過ぎない様に二匹を同時に【斬撃波・衝撃波】で攻撃
常に昴との連携を意識して立ち回る
「スー、敵のダメージが最大になった時点で同時に攻撃する。OK?」
ダメージが最大になったと見切ったら、昴にアイコンタクト
彼女と同時にUCを放つ
「闇で眠れ……永遠になっ」



●絆
 水晶のようにも見える、暗く透き通った宝玉。紋章の祭壇に据えられたそれから、一対の影魚が泳ぎ出る。ゆらりと空中を待ったそれは、侵入者の気配を察すると、一つ跳ねて、地に差す影へとその姿を消した。
「影の中を泳ぐか……奇襲には用心しないとな」
 水面と違い、影の中は見通すこともできず、揺らぐこともない。油断なく構えながら、麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)は傍らの風魔・昴(星辰の力を受け継いで・f06477)へと声を掛ける。
「しかし二匹一対とは……俺達には丁度いい相手だな」
「一心同体の連携なら、私達の十八番よね」
 だてに長らく幼馴染をやってはいない。相手の思考を読んで、呼吸を合わせることもお手のものだ。
「連携の最大の武器は『信頼と絆』よ。作り物の『それ』には負けないわっ」
「本当の連携の強さを見せてやろう」
 昴の言葉に竜星が頷く。敵と味方、どちらの連携が上か――それはすぐに明らかになるだろう。

 まずは初手、影へと溶けて潜り込んだ相手の奇襲に備え、二人は寄り添うように立つ。昴が真上に灯した魔法の光による影を、最低限の大きさに保ち、同時に他の影を断ち切るためだ。二人の周囲は眩く照らされ、柱の影が途切れた。
「私達の陰から、奇襲はさせないわ」
 こうなれば影の中を泳いでいる限り、こちらには辿り着けない。攻撃の際には必ず姿を表す必要があるため――。
「来るぞ!」
 発見は容易だ。離れた影の中から飛び出してきた影魚は、牙を鳴らしながら宙を舞い、突っ込んでくる。迫るそれを、竜星は構えた剣で受け止めた。刃と牙が噛み合い、火花を散らす中、側方からもう片方の影魚が、竜星の脇を狙う。
 だが、背中合わせで息を合わせた二人に死角はない。そちらに対応した昴が杖を掲げ、魔術の結界を作り出してそれを阻んだ。
「影の中には逃がさないわよ!」
 攻撃をし損ね、足元の影に逃れようとする影魚を、衝撃波で牽制。二人は二体同時にダメージを与えられるよう立ち回る。
 とどめを刺せば、すぐに復活してしまう……それゆえに手加減をしていたが、負傷が嵩めば嵩むほど、敵の動きは素早く、攻撃は鋭くなっていく。欠けた月の紋章は徐々に輝きを増して、二人の受ける手傷は徐々に重くなっていった。
「スー、敵のダメージが最大になった時点で同時に攻撃する。OK?」
「了解、竜!」
 それでも二人は諦めない。竜星の問いに、昴ははっきりとそう答えた。
 集中し、呼吸を合わせ、その瞬間を逃さず捉える。難しいその課題を、二人の絆は容易に乗り越えて見せた。
「今だ、スー!」
 竜星の掲げた剣が金色の光を纏い、その合図に応えて、昴もまた眩い星を紡ぎ出す。『月光乱舞』、そして『星光雨』。二人の放った光が同時に空から降り注ぎ、輝く雨が祭壇の間を照らし出した。
「常闇に帰りなさいっ」
「闇で眠れ……永遠になっ」
 黄金の光は影魚達を貫き、打ち据え、地に淀む闇へと叩き落としていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

烏護・ハル
代償はチャラ、恩恵だけは無制限?
……面倒くさいな。
……よし。殴りましょ。

態勢が整うまでは見切り、フェイントを交えて受け流しつつ、
高速、多重詠唱で魔力を溜める。

全て整ったら魔力を全部回して防御結界を展開。
グラップル、激痛耐性、継戦能力を駆使。
敢えて牙を受け止める。
逃がさないわよ、この……!

同時に式神さんも大勢召喚。
念動力で敵の態勢を崩させる。
式神さん、抑え込んで……!
こいつらブン殴るから!
異議は後で聞きます!

呪詛も載せ、2回攻撃。
二匹へ立て続けにUCの拳を叩きつける。

わかってんのよ。陰陽師としてどうかって……。
でも呪詛も込めた。式神さんにも手伝ってもらった。
うん。陰陽術ね、陰陽術!
……たぶんね!



●|陰陽術《インファイト》
「代償はチャラ、恩恵だけは無制限……ですって?」
 敵の身に付けた紋章、その内訳を聞いて烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)は表情を曇らせる。いくら何でも都合がよすぎる、それはさすがにインチキなのでは? 対抗策もないではないが、「面倒くさいな」という感想が先に立つ。
「まあ、仕方ないないわよね……」
 諦めのような、言い訳のような呟きを残して、彼女は水槽を割って飛び出した一対の影魚を迎え撃った。
 無数に、そして不規則に立ち並ぶ柱の間を泳ぐ魚達は、死角を、そして影の中を巧みに進んで撹乱を試みてくる。最初の呟き通り面倒くさいその仕掛けに、ハルは回避に徹することで応じて見せた。
 エサを見つけたとでも言わんばかりに突っ込んでくるそれらの牙を、見切り、フェイントを交えて受け流す。何やらまたインファイターみたいな動きをすることになっているが、そう、仕方ないことである。一匹ずつ、互いに死角を作るように動くそれ等の攻撃を凌ぎながら、ハルは高速詠唱での魔力溜めを行っていく。
 しかしながら、二匹一対と称される連携と、怒涛の連続攻撃に、やがて回避の動きに限界が生じ始めた。
 顔面に向かって食い付いてきた一匹を、ハルは上体を仰け反らせて躱す。魚の正面顔をどアップで見るの勘弁してほしいな、などと思っている場合ではない。視界を塞ぐその動きによって、もう一匹の追撃に対する行動が一手遅れた。
「……ッ!」
 おそらくは影から飛び出してきたのであろう片割れが、ハルの足首に噛み付く。これで大きく動きが制限されてしまう……が、この一瞬に関しては食い付いている相手の動きもまた、限られたものへと制限される。
「逃がさないわよ、この……!」
 準備は整った。ハルは念動力で影魚達を縛り付けつつ、式神さん達を大量に召喚する。
「式神さん、抑え込んで……!」
 ハルの命に従い、影魚達の自由を奪うように式神達が動き出す。じっくりと充填した魔力を使い、今こそ必殺の――。
「こいつらブン殴るから!」
 えっ。
「異議は後で聞きます!」
 速やかに突っ込みを断ち切って、ハルは自らその手を振るう。困惑する式神達をよそに、唸る拳は影魚達を速やかに地へ叩きつけた。
 これぞ師匠直伝の陰陽術。これ以上ないほど上手くいったはずだが、彼女に注がれる式神達からの視線は、何だか冷たいものだった。
「これも……立派な陰陽術なのよ」
 もはや自らに言い聞かせるようにハルが言う。
 だって拳に呪詛も込めたし。式神さん達の力も借りたし。陰陽術でよくない? ねえちょっと目を逸らすのやめて。
 ――払った犠牲は大きかったが、ハルは無事、この場を守る影魚達を撃退した。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルフィード・クローフィ
【雲蜘蛛】

おぉ、お魚さんだ!
二匹で泳いでるねー
ふむふむ、死をもふたつを別つって仲良しさんだね!
ん?環ちゃんは羨ましいの?
そっかずっといれるのはいいよね!
じゃ俺も環ちゃんとずっと居る!

でも片割れさんが居るって頼もしい感じがするよね!
ふふっ、俺は環ちゃんと一緒だと力が出るよ!
はぁーい!じゃ、俺がお魚さん捌くね!!
環ちゃんはお魚刻むの上手そうだよ?
そうそう、なめろうとか美味しいよね!
お刺身も良いけど生は無理そうかな?

環ちゃんがお魚の動きを止めてくれたので
この最凶クッキングナイフでお料理開始!!
環ちゃんはお魚料理何が好き?
焼き魚?煮魚?揚げるのも良いよね!!
煮魚だね!!揚げると骨まで食べれるから!

漁師さんか!
今度海に行ってお魚さん釣ってみるのも良いよね

出際良く捌きつつ
死神の導き
片方に逃がさないように
地獄への捌きをしてあげよう!!

最後に環ちゃんと合わせて、えい!
後で美味しく頂くね!!!


雨絡・環
【雲蜘蛛】

あらあら、アルフィードさん
ご覧くださいな、お魚さんですよ
ふたつでひとつ
死をもふたつを別つことは出来ない、だなんて
すこぉし、羨ましいわ
だってずうと一緒に在れるでしょう?

あら、ほほほ
かわいらしいことを仰ってくださる
おそれいります
わたくしもアルフィードさんが居りましたら百人力ですよ
さ、お仕事いたしましょう
片方はお任せしても宜しくて?
お魚をさばくのはアルフィードさんのお得意ですものね
わたくし、おさんどんは不得手ですけれど
刻む……捌くではなく、刻む
なるほど、その手が御座いましたか
早速やってみましょう
ええ、加熱は大事ね

とはいえ、このお魚さんの歯の鋭いこと
先ずは捕らえてしまいましょう
『返し縫い』

少々、漁師になったような気分です
そうですねえ
わたくし煮魚が好きよ
揚げるのも良いですね、豪華ですし

アルフィードさんが必ず応じて下さるでしょうから
片方のお魚からの攻撃には気を払いません
……なるほど
確かに頼もしいわ
最後、雪椿によるひと刺しの時は息を合わせて参りましょうね
影のお魚のお味はどんなかしら



●友釣り
 黒く輝く水槽の中で一対の魚が互いの尾を追いかけるように円を描く。祭壇前に据えられたその光景は、まるでそれ自体が儀式の一環であるかのように映る。
「あらあら、アルフィードさんご覧くださいな、お魚さんですよ」
「ほんとだ! 二匹で泳いでるねー」
 紋章を生み出す儀式の祭壇、戦場に赴いた雨絡・環(からからからり・f28317)とアルフィード・クローフィ(仮面神父・f00525)のやりとりは、どこか戦争の緊迫感を忘れさせるものだった。
 それでも、敵の接近を感じた魚達は水槽を破り、空へと泳ぎ出す。その身に刻まれた『欠けた月の紋章』は、対の印のように輝いていた。
「へえ、あの二匹は仲良しさんなんだね!」
「死をもふたつを別つことは出来ない、だなんて……」
 片割れが死しても、残された方の元に復活することで会いに戻る、その在り方に環が目を細める。
「……すこぉし、羨ましいわ」
「ん? 環ちゃんは羨ましいの?」
 アルフィードの問いに、「ええ」と頷いて。
「だって、ずうと一緒に在れるでしょう?」
「そっかずっといれるのはいいよね! じゃ俺も環ちゃんとずっと居る!」
「あら、ほほほ」
 かわいらしいことを仰ってくださる。そう微笑みながら、儀式場の柱の間を泳ぎ来る敵を目で追う。地面に描かれた無数の影のどれかに、影魚達はどこかで身を潜めるだろう。その時を見逃さないように、アルフィードもまたそちらに視線を注いでいた。
「でも片割れさんが居るって頼もしい感じがするよね!」
 どこまでも陽気な語り口調でそう言うと、クッキングナイフを手に笑みを浮かべて。
「ふふっ、俺は環ちゃんと一緒だと力が出るよ!」
「おそれいります。わたくしもアルフィードさんが居りましたら百人力ですよ」
 とぷん、と魚達が影へと沈む。水面のように跳ねをせず、揺らぎもしない影の下は、全く見通すこともできないけれど。
「さ、お仕事いたしましょう。片方はお任せしても宜しくて?」
「はぁーい! 任せてくれて大丈夫だよ!」
 いつ奇襲が飛んできてもおかしくない状況にも関わらず、返答は飽くまで軽やかなものだった。
「お魚をさばくのはアルフィードさんのお得意ですものね」
 わたくし、おさんどんは不得手ですけれど。そんな呟きに片眉を上げてアルフィードは言う。
「環ちゃんはお魚刻むの上手そうだよ?」
「刻む……捌くではなく、刻む。なるほど、その手が御座いましたか」
「そうそう、なめろうとか美味しいよね!」
 見方を変えれば意識も変わるもの。早速やってみましょう、と応じた彼女は、影の中から飛び出してきた魚に懐剣を向けた。
「お刺身も良いけど生は無理そうかな?」
「ええ、加熱は大事ね」
 死角を狙うような鋭い牙は、環の手にした刃よりも大きく見える。それでもなお、敵の初撃を受け流すと。
「とはいえ、まずは捕えてしまいましょう」
 空中のその身を、蜘蛛の絲で絡め取った。さらに広げられたそれは、続く一匹に対する罠のように配される。
「少々、漁師になったような気分です」
「漁師さんか! 今度海に行ってお魚さん釣ってみるのも良いよね」
 むしろこの場合は網引き漁かな?
「環ちゃんはお魚料理何が好き? 焼き魚? 煮魚?」
 「そうですねえ」と考えて、彼女は応じる。影から飛び出してきたもう一匹は、蜘蛛の絲をその歯で切り裂き、空中で身を捩る。環へと喰らい付く構えではあるが、彼女は構わず言葉を続けた。
「わたくし、煮魚が好きよ」
「煮魚だね!! あっでも揚げるのも良いよね!! 骨まで食べれるし!!!」
「揚げるのも良いですね、豪華ですし」
 空中の魚を捉えたのは、アルフィードの召喚した死神の指。死の宣告に続いて、クッキングナイフが白い軌跡を描く。
 ……なるほど、確かに頼もしいわ。
 信頼できる片割れが居るという状況を味わうように小さく呟いて、環もまた雪椿を振るった。
「さあ、地獄への捌きをしてあげよう!!」
 一瞬で三枚に卸すような斬撃と、目釘を打つような一突き。それが同時に一対の影魚を襲い、仕留めて見せた。
「影のお魚のお味はどんなかしら」
「後で美味しく頂こうね!!!」
 最後まで和やかに、そんな言葉を交わしながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

矢来・夕立
嵐さん/f38770
新しい取引先のかたです。あちらの言葉を借りるなら盟友…らしいですが。
マップ兵器と協力関係を結べたのは重畳です。こんなエネミーが相手ですから。

⚫︎方針
機動力と視界を奪取
連携を阻止した上で同時撃破を狙う

本日の天気、大嵐です。急激な雷雨と突風にご注意ください。主にオレがご注意しないと死ぬんですが。マジで加減しねえなあの男
暗闇が深まってもこれ幸いと隠れ続けるとは思いません。お腹を空かせてこっちに食いつくでしょう。
それともビビりますかね?なら炙り出すまでです。
【紙技・紙鳴】。ホントの嵐には及びませんが、ウソでもニセモノでも役には立ちます。例えば変な音で連携を妨害する。例えば光を強めて影の輪郭を濃くする。他にも色々。
あちらはトロい上に目が見えていません。今なら二匹同時に殺すのも、そう苦ではないでしよう。
《闇に紛れる》のが自分たちだけだと思われても癪ですしね。
他人に合わせてばかりってガラではないですけど、嵐は自然現象です。人間にはどうしようもありません。精々上手く利用しますよ。


バルザック・グランベルク
矢来の小僧(f14904)
契約を結んだ盟友に嵐が力を貸してやろう。
だが、我は一切の容赦はせん。せいぜい敵諸共吹き飛ばされぬ事だな、小僧。

戦場に到着次第、敵の注意を引きつけUCを発動。我を中心に黒雲の暴風圏を形成する。
この雷雨で影魚どもの視覚を奪い、機動力を封じ込め確実な蹂躙を行なっていく。
結果的に一帯が影に覆われるが故に影魚どもの活動範囲を広げる事にはなるが、眼と脚を奪われた以上、不離一体の奴らの連携にも粗が出るであろう。杜撰な攻撃を仕掛け顔を表した所を逆に潰してやれば良い。
此方に怖気付き鳴りを顰めるのであれば、小僧の閃光の仕掛けで誘導してやれば良い。視界を損なった手負の獣、強い光に当てられれば惹かれるなり逃げ惑うなり何かしらの兆候が見られる筈だ。其処を見抜き、ただ一方的に潰すだけの事。

影を泳ぐ怪魚と言えど、嵐の闇の中で息をする事能わず。自らが潜む闇が死の大海である事を思い知らせてくれる。



●俄雨
 祭壇の前に据えられた黒い水晶、魔法の灯に照らされ輝くそれは、『敵』の接近を感知すると、静かに砕け散った。中を満たしていた透明な液体が流れ落ち、同時に一対の影魚が解き放たれる。空を泳ぎ、闇へと沈む。その魚達は、影の中を自在に泳ぐ能力を秘めていた。
 無数に並んだ柱は、据えられた魔法の明かりによって格子状の影を生み出し、奇襲のための道筋を描き出す。それは影魚のために作られたフィールド。だがそこに、より巨大な影が差した。
「本日の天気、大嵐です。急激な雷雨と突風にご注意ください」
 矢来・夕立(影・f14904)の平坦な声音に続いて、稲光がさらにその影を色濃く染める。バルザック・グランベルク(嵐帝・f38770)、鎧をまとった巨大な嵐が、地響きと共にそこに降り立った。
 風が吹き荒れ、叩きつけるような雨が降る。その二つ名に相応しい暴風と共に、その一歩が祭壇の柱を叩き壊した。
「……マップ兵器と協力関係を結べたのは重畳です」
 歩くだけでまあまあの被害額を叩き出しているその様子に、夕立が頷く。一体を暗殺するのであれば確実に彼の領分だろうが、今回はその真逆。二体同時に倒す必要のある今回のような相手には、この範囲攻撃が有効打となるだろう。取引先――あちらに合わせるなら『盟友』であるところのバルザックは、比較すると小さなその影を一瞥して、そのまま侵攻を続けた。
「――せいぜい敵諸共吹き飛ばされぬ事だな、小僧」
「ここも射程の内だって言ってます?」
 マップ兵器はマップ兵器でも敵味方を区別しないタイプらしい。いつものように棘のある言葉を投げてはみるが、雷鳴と雨音、ついでに風の唸りで届きやしない。
「まあ……良いですけどね」
 変に気を使われても互いの長所を殺し合うだけだろう。それに何しろ嵐となれば自然現象、人間にどうこうできるものではない。精々上手くやり過ごし、利用できるところを利用するのが肝要だ。
 しかし、敵もその辺りは似たような認識か、俄かに辺りを覆い始めた黒雲の中、『影』ばかりになったその空間を、影魚達は自由に泳ぎ始める。暗闇に包まれたところで、バルザックの巨体を見失うことはさすがにない、地を揺らす足音の合間を縫い、死角へ回り――。
『……!?』
 牙を剥いて飛び出したそこで、影の中とは違う土砂降りの雨に襲われる。暴風雨は動きを阻害し、稲光がその眼を眩ませ、奇襲のはずの一撃は空を切った。
「そこか」
 杜撰な一撃を咎めるように、拳が降る。それが地を割る間に、影魚はかろうじて影の中へと逃れていた。
「外しましたね?」
「……逃げたところで、所詮は一時凌ぎよ」
 こちらに動じた様子はないが、あちらはその真逆では? 影の中へと潜り込んで見えない敵の動きを予測して、夕立は式紙を取り出す。強大な嵐にビビっているのなら、自然と狙われるのは『もう片方』だ。狙いがわかっているのなら、後は罠を張るだけ。
 案の定、影の中から跳び上がり、牙を剥いてこちらへと身を捩る影魚に対し、夕立は千代紙風船を放り投げた。
 連携し、二方向から迫るそれらの前で、紙風船が爆ぜる。『紙技・紙鳴』、激しい光と音を撒き散らすそれは、この場に似合いの『落雷』である。
「とはいえ、ホントの嵐には及びませんがね」
 それでも、狙ったタイミングと場所で爆発させられるのはこちらだけの利点だ。突如の雷鳴、眩い光と音で、影魚は目を回したようにのろのろと、明後日の方向へと泳ぎ出す。のたうつような有様、前後不覚のその様子からすると、今は何も見えていないだろう。
「《闇に紛れる》のが自分たちだけだとでも?」
 潰れた視界、彼等にとっての『闇』の中を悠々と歩いて、夕立は影魚達に背を向ける。その辺りには多分、特大の雷が落ちてくるので。
「影を泳ぐ怪魚と言えど、嵐の闇の中で息をする事能わず――」
 上出来だ小僧、とばかりに朗々と嵐が鳴る。
 猛り吠えるのではなく、低く唸る音色と共に、巨大な鎚が振り下ろされた。
「この闇こそが、死の大海であると知れ」
 その一撃は二体の影魚をまとめて打ち据え、影に潜る間もなく地へと叩きつける。
 儀式場の床を大きく抉り、砕いて。血煙と化したそれを吹き飛ばしながら、嵐が通り過ぎていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
ヴァシリッサ(f09894)と

「ダーリン」と呼ばれて咳払い一つ
動揺を隠しつつ「そうだな」と真面目に頷き返す
作戦にも同意だ、ニ体の敵の同時撃破を狙う

ユーベルコードを発動、狼獣人の姿に変じて交戦
影を自由に動き回る敵に反応する為、近接戦闘の能力を強化する

常にヴァシリッサの側で行動
ヴァシリッサと協力して互いへの攻撃を警戒、不意打ちを防ぎたい
彼女に敵が向かう場合、接近してくる敵に強化された速度で爪の一撃で迎え打ち妨害を試みる
自分への攻撃の対処はヴァシリッサを信じて任せる

初撃の対処後、ヴァシリッサとは別の敵への反撃を狙っていく
即座に間合いを詰め、彼女の射撃にタイミングを合わせて攻撃
容赦のない弾幕の構えを横目に姿勢を低く、狙う敵に一気に飛び掛かり渾身の攻撃を叩き込む
好機を逃さず同時に撃破したい

何度も共に戦った彼女の攻撃は、戦法もタイミングも良く理解している
細かく打ち合わせをしなくても同時攻撃は容易だ

撃破できればコンビとしてはこちらが上という事か
(機嫌良く尾が揺れて、気恥ずかしさに慌てて止めて)…そうか


ヴァシリッサ・フロレスク
シキ(f09107)と
なんでも歓迎

紋章?
HA!
雑魚が一丁前に小賢しいねェ

ま、ドッチのコンビのが上等か
カラダで分からせてやろうじゃないか?
Darlin'❤

紋章に依る耐久力低下
被ダメージで超強化
殲滅は同時撃破のみ

なら|話《・》はひとつだ

【戦闘知識】から導く解は単純明快
双方を同時に一撃で|仕留める《ブチのめす》迄

影を潜行する能力は厄介だが此方を狙う方はシキを信じ敢えてノーマーク
寧ろ【悪目立ち】する立回りで攻撃を誘い、シキが狙い易いように
此方はシキを狙う片割れを『ノインテーター』で【スナイパー】の如く牽制しUC初撃を妨害

|後ろ《ケツ》がお留守だよ?

初撃を妨害された敵の追撃など躱すのは容易い

A-HA❤
"|We are in the juice《入れ食いだ》"♪
シキと息を合わせ其々同時に攻撃を
タイミングは目配せすら、不要

UC発動
ギリギリまで引き付け【見切り】
【早業】で『ディヤーヴォル』の【弾幕】を急所へ【零距離射撃】で叩き込む

仕留めることが出来れば

|Duh《モチロン》♪
揺れる尻尾へ愛おしくウィンクを



●ウロボロス
 欠けた月。満たされない、不完全な紋章が二匹の影魚を照らし出す。鎖は外れてもなお、それは両者の間を繋ぐように輝きを放っていた。ふたつでひとつ、切っても切り離せぬその存在が、この紋章の真価を引き出したと言っても良いだろう。
「HA! 雑魚が一丁前に小賢しいねェ」
 水槽の外へと泳ぎ出したそれらを前に、銃を肩に置きながらヴァシリッサ・フロレスク(|浄火の血胤(自称)《エンプレス・オブ・エンバー》・f09894)が笑う。二匹一対、一心同体、そんな風に言い表せる相手であろうと、負けるつもりは毛頭ない。
「ま、ドッチのコンビのが上等か、カラダで分からせてやろうじゃないか?」
 続く「Darlin'❤」というわざとらしく甘ったるい呼びかけに、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は咳払いを一つ。「そうだな」と努めて短く返す。そして、にんまりと笑みを浮かべる彼女から逃れるように。
「で、どう攻める?」
「そりゃあ、ねえ?」
 とりあえず、逸らされた話にそのまま乗っておく。紋章のデメリットで減った耐久、そしてダメージを受けることで強化されるという特徴、殺し切るための条件――それらを加味すれば結論は明白だ。
「二匹同時に、一撃で|仕留める《ブチのめす》」
「ああ、それでいこう」
 それが出来れば苦労はしない、という話ではあるが、彼等には十分に勝算があった。
 ゆらりと空中を泳ぐ二匹の影魚。儀式の間に立ち並ぶ柱の描く、光と影のコントラストの間をゆっくりと進むと、二人の手前で格子模様の影の中へと飛び込んだ。自在に潜航する魚達は、一帯の影の最適な場所から奇襲を仕掛けてくるのだろう。
 「こわいこわい」と笑いながら、ヴァシリッサはそれに対し、鼻歌混じりに踏み込んでいった。悪目立ちするその動きに、影魚の一匹がつられて飛び出す。彼女の視線の逆から影を抜け、死角を突く、その間も彼女は無警戒のままだったが。
「触るな」
 鋭い爪の生えた獣の腕が、一瞬の奇襲に反応していた。『アンリーシュブラッド』、獣人としての姿を露にし、感覚を研ぎ澄ませていたシキは、敵の牙がヴァシリッサに届く前にそれを阻む。彼女の傍を重点的に警戒し、構えていたからこそ可能になった一手。だがその分、彼自身に対する攻撃への警戒は為されていない。柱の影から顔を出し、尾鰭の一振りと共にもう片方の影魚が噛み付きかかる。
 ヴァシリッサと同様に、シキはそちらを一顧だにしない。その代わりに『シキに対する攻撃』にだけ気を配っていた彼女の銃弾が、その尾鰭に穴を開けた。
「|後ろ《ケツ》がお留守だよ?」
 バランスを崩し、影魚が空中で身を捩る。シキに切り裂かれた個体もまた、紋章を輝かせながら逃した獲物を睨んでいる。
「A-HA❤」
 状況を俯瞰したヴァシリッサが笑みを零す。儀式場、影の上に全員が姿を見せて、殺意の視線は綺麗に一周している。
 順繰りに片割れの尾を狙う展開ではあるが、より貪欲なのがどちらか、そして捕食者がどちらかはすぐに明らかになるだろう。
「"|We are in the juice《入れ食いだ》"♪」
 それは信頼の成せる業。交錯は一瞬、互いに互いを信じ、死角をあえて放置するという手で、二人は必殺の瞬間を掴み取る。何度も共に死線を潜り抜けてきた二人ならば、打ち合わせも合図も不要。ただ息を合わせ、自然に動けば良い。
 重機関銃が片割れを照準するのと同時に、肉食獣の瞳が残りの一匹を捕まえ、地を蹴り付ける。
 しっかりと、ぎりぎりまで敵を引きつけてから、ヴァシリッサがトリガーを引く。『弑逆の矢』が嵐のようにばら撒かれるのと、シキの爪が稲妻のように空を切り裂き、敵を貫くのはまさに同時。紋章が真の輝きを放つ暇もなく、二人の『爪』は敵を引き裂き、仕留めてみせた。
 血飛沫と共に力を失い、一対の魚達は共に地へと落ちる。ペアとペア、同じ数での戦いを制したのは、シキとヴァシリッサの側だった。
「……つまり、コンビとしてはこちらが上、という事だな」
 ふ、と息を吐くような秘かな笑みが、シキの口から零れる。冷静ないつもの調子の声音ではあるが、その尾は上機嫌であることを示すように揺れており――彼の自制が働く前のその一瞬を、ヴァシリッサは見逃していなかった。
「|Duh《モチロン》♪」
「……そうか」
 ウィンクに含まれているそれに、気付かない振りで目を逸らす。

●制圧
 猟兵達の手によって、この場の守りに配された影魚は退けられた。
 欠けた月は沈み、静寂が戻る。紋章の祭壇のさらに先へと侵攻し、一行は戦争の佳境へと歩を進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月19日


挿絵イラスト