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闇の救済者戦争⑮〜うたごえ

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #第五の貴族

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●紋章の祭壇
 鮮血の香る祭壇の前には、夥しい量の赤を溜めた甕が一つ。それをぐるりと囲むようにして、広間にはテーブルが並べられていた。
 この世界、そしてこの戦争下においてはあり得ないほど凝った料理と、血のように赤いワイン。数々のフルーツや菓子が豪奢な皿の上に並んで、蝋燭の光を受けて輝いている。広間の外周には黒服の楽団が、主好みの独特で、奇妙な音色を奏でていた。
「よお、楽しんでるかあ兄弟?」
「あ、は、はい! デルロッサ様……!」
 青い炎を纏った尾と翼をもつ、悪魔のような風体の男が、パーティーの客の一人へと話しかける。陽気に笑い、ワインを開けて、しばし歓談しているように見えたが。
「はっはっは! つまんねえなお前。もうちょっとやる気出せってぇ」
 燃える翼が一振りされると同時に、彼の胸元で紋章が輝く。それを受け、火の粉のひとかけらが客に触れると、その男の沈黙を糧にするように、激しく燃え上がった。

「ああ、いいな。その調子だ」
 蝋燭よりも明るい炎。苦悶に歪む表情と、喉が破れんばかりの悲鳴。続く断末魔をうっとりと楽しんだデルロッサは、やがて音の出なくなったそれを掴み上げると、無造作に祭壇の甕へと放り込んだ。
「中々良い余興だったな――さあ、パーティーを続けようぜ!」

●宴の紋章
「ぱりぴと言えば、当然君達の出番だと思うんだけどね」
 集まった猟兵達を迎えたのは、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)の至極いい加減な言葉だった。意味が分かっているのかいないのか、調子の良い笑みを浮かべて彼は言う。
「今回向かってもらう『紋章の祭壇』――その生体実験室のひとつでは、ずーっとパーティーが開かれているんだ」
 そう、戦争中であるにも関わらず、だ。
 元は第五層にあったこの祭壇では、おびただしい数の犠牲を経て、ヴァンパイア達に大いなる力と異形の攻撃手段を与える『紋章』を作り出していた。
 そしてデスギガスによって第三層まで引っ張り出された今もなお、この祭壇の管理者は新たなる紋章を作り続けているのだと言う。下層にて捕まえていたのであろう人々を、次々と生贄に捧げている――当然だが、これを放っておくわけには行かない。

「すぐさま儀式を止めたいところだけど、ここの管理者も紋章を持っていてね。そう簡単にはいかないかもしれないよ」
 この祭壇の管理者、デルロッサが持つのは『宴の紋章』。騒げば騒ぐほど力が増し、周囲の静かな者や、大人しい者、盛り上がっていない者に、凄まじい威力の攻撃を放つことが可能になるという、少々変わった紋章だ。
 パーティーが盛り上がれば盛り上がるほど、デルロッサは強化され、大人しい者は間引いて生贄として消費する――つまるところ、このパーティーは儀式兼強化手段となっている。
「逆に言うと、彼等はパーティーを止められないんだ。敵の余裕もあるだろうけど、猟兵である君達が出ていっても、普通にパーティーに入れてもらえると思うよ」
 何故そんなことを言いだすのか、その理由は『宴の紋章』への対抗手段にある。
 この紋章は、自分より静かな者に攻撃する際に真価を発揮する。ゆえに敵よりも賑やかに、楽しんで大騒ぎしてしまえば、逆にその攻撃はほとんど効かなくなるのだ。
「というわけで、君達にはこのパーティーに乗り込んで、良い感じに楽しみながら敵を倒してきてほしい」
 君達なら簡単でしょう? ふふふ、と軽い笑い声を響かせながら、オブシダンは一同を送り出した。


つじ
 皆さんそろそろパーティーがしたい頃だと思いますので、ご案内です。
 当シナリオは『闇の救済者戦争』の内の一幕、一章構成の戦争シナリオになります。

●|儀式《パーティー》
 祭壇前の広間がパーティー会場です。ダークセイヴァーにしては凝った料理とワイン、それを運ぶ給仕とお客、低音が響く独特の音楽を奏でる楽団が居ます。彼等は全員生贄として連れて来られた人々ですが、パーティーを止めると焼き殺されるのでデルロッサに従っています。

●『鳴響止酔』デルロッサ
 紋章を持つ、この場の主。理由は不明ですがその身に炎を宿しており、焼かれる痛みを他者の悲鳴や苦悶に酔う事で慰める、そんな趣向の持ち主です。
 紋章で超強化されているため、まともに戦えば苦戦は免れないでしょう。

●宴の紋章
 持ち主はテンション上げて騒ぐことで力を増し、自分より静かな者や暗い者により強力な攻撃を放てるようになります。
 平たく言うと、陰キャさんを光で焼き尽くすための紋章です。

●プレイングボーナス
 紋章の「弱点」を突いて戦う。
 陽キャだかパリピだかみたいにパーティーを楽しみながら戦うと、敵の攻撃をほぼ無効化できます。
 普段そういう感じじゃないのに頑張っている方には、個人的にボーナスを積み増します。

 以上になります。それでは、皆さんのご参加お待ちしています。
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第1章 ボス戦 『『鳴響止酔』デルロッサ』

POW   :    従え
【翼の炎】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
SPD   :    捧げよ
【静寂を憎む暴虐】を解放し、戦場の敵全員の【希望の声】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    躍り狂え
自身が装備する【炎の尾】から【絡み付く燃える茨】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【激痛】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はエンゲージ・ウェストエンドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

菱川・彌三八
此の腹に響く音
…成る程、相分かった
つまり此れァあれよ、酒だ
酒飲もう

はい、先ずは光るびいどろ入りの酒
振ると中の金箔(みてえの)も光るってンで矢鱈と目映い
七色あるから並べとけ
お前ェ好きだろこういうの

次、掌くれえの小せェ酒
何処でも飲める優れ物よ
此れも彩りが良い
ちいと甘ェが、其のパなんとかは大体此れ

そして此奴ァとっときだ
なんと泡の酒
酒以外にも乗せられるぜ
此れが亦すげェ酔う

序でに、此の手の祭りにゃ水もあって良いだろう
館ン中だとか細けェ事をパなんとかは気にしねェもんだぜ

ってェわけで、波ってえよりゃ水柱
景気良くぶち上げて参ろうか
そういやお前ェは炎だったか
すんなら丁度良いや
騒ぎてェんなら被らにゃ損だぜ
なぁ?



●Splash
 紋章の祭壇、多大なる犠牲と引き換えに力ある紋章を生み出すこの場所では、今宵も儀式が執り行われていた。用意された楽団の奏でる、低音を基調とした音色が燭台の灯を震わせ、人々の影を妖しく彩る。
「……成る程」
 まあ遠目にした段階から薄々勘付いてはいたが、場に流れる腹に響く音色を耳にした辺りで、菱川・彌三八(彌栄・f12195)は完全に理解した。つまりこれは、そう。
「よし、酒飲もう」
『んん? 何だよお前、まだ素面かァ?』
 「誰だよ」という問いと「まぁいいか」という回答が同時に通り過ぎていったらしい、デルロッサはかぱかぱとワインを開けながら彌三八の乱入を受け入れる。そんな彼の前で、彌三八はやたらと大量に用意されたワインとは違う、別の酒を披露し始めた。
 最初に置かれたのは、酒の入ったびいどろ硝子。振ると中で黄色の光が散って見栄えが良い。
「ほらヨ、お前ェ好きだろこういうの」
 各色取りそろえたそれに続いて、今度は掌サイズで気軽に飲めるタイプのものを。こちらもやはり見栄えがするためか、並べられたそれ等に、デルロッサは綺麗に食い付いた。
『おーおーおー、珍しいモン持ってんなァ』
 ダークセイヴァーでは馴染みがないものだろうが、このオブリビオンの趣味には合いそうだという彌三八の見立ては当たっていた。
「そして此奴ァとっときだ――」
 注がれたのは泡状の酒。蝋燭の灯の下で輝くそれも、大層気に入ったようで、デルロッサは上機嫌で酒を酌み交わす。濃い酒精に酔いも回り、宴も更けてきたところで。
『んで? 次は何が出てくンだよ兄弟?』
「ちっと趣向は変わるが……水だな」
『はァ? 水?』
 デルロッサの眉間に皺が寄る。不満げな様子を見せる彼に、彌三八が言葉を続けるが。
「此の手の祭りにゃ水もあって良いだろ?」
『んなモン要らねぇよ、酔いが醒めちまう』
 ったく、わかってねえなぁ。しらけた様子でボヤきながら翼を一振り、デルロッサは青紫の火の粉を飛ばす。
 彌三八の身体を燃え移った炎が包み込み、宴を一際眩く飾る。だが全身を焼くはずの火炎の中で、彌三八は平然と応じて見せた。
「そういうわけじゃねェんだが……マ、丁度良いや」
『なんだと……?』
 散々盛り上がった現状、宴の紋章を介した攻撃はまともに機能していない。
 そんな状況をいまいち呑み込めていないデルロッサを横目に、「そういやお前ェは炎だったか」などと言いながら、彌三八は絵筆を一振り。描き出すのは、いつもの波濤とは少し風合いの違う、盛大にぶち上がる水柱。
「騒ぎてェんなら被らにゃ損だぜ、なぁ?」
 絵の完成と同時に具現化した水流が、デルロッサを炎ごと呑み込んで、上空へとぶっ飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
はいはーい、僕未成年なんでお酒飲めないんですけどお茶かジュースあります?
フルーツは食べたい!僕も食べていい!?
甘いのは特に大好きー!

あ、あと折角楽団がいるなら僕歌でも披露していいですか?
声は高いけど曲調次第では楽器の低音とも調和は取れる筈だよ
楽しいパーティには余興があってもいいよね!
良かったら皆も一緒に歌って!
楽しんでおかなきゃ損だよー?(客に安心を与えるようにウインク

明るい笑顔の【誘惑】と【歌唱】、【ダンス】で盛り上げつつ
どさくさに紛れて【誘幻の楽園】で攻撃
歌がそのまま技発動の演出だからね!
最後まで盛り上がって楽しませてよ!
折角の綺麗なお花、焼きつくすなんて無粋な事はしないよね?ねっ!?



●Melody
「はいはーい、僕未成年なんでお酒飲めないんですけどお茶かジュースあります?」
 両方あるけどどっちが良い? 突如パーティーに参加した形の栗花落・澪(泡沫の花・f03165)にも、居合わせた人々は訝しむことなく応対する。命がかかっているのだからそれどころではないという面もあるのだろうが、恐らくは元々の善良さによるものだろう。
「フルーツは食べたい! 僕も食べていい!?」
『いいぜぇ、好きに楽しみな』
 それとはまた別の理由で鷹揚なデルロッサの態度をうまく活かして、澪はその場に溶け込むようにふるまう。
「甘いのは特に大好きー!」
 この世界ではそうそう手に入らないであろう果実や菓子、それらを堪能し、次に着目するのは楽団の人々。
 奏でる曲は重厚、というよりは腹に響く低音をやたらと鳴らす不可思議なものだったが。
「何とか合わせられる……かな?」
 これもまた余興の一つ、と飛び入りで歌を披露し始めた。
 高い声音は一苦労だが、どうにか調子を合わせた彼は、観客に対してウインクをひとつ。恐らくは恐怖にさいなまれているだろう彼等に、一時不安を忘れさせる。
「良かったら皆も一緒に歌って! 楽しんでおかなきゃ損だよー?」
 明るい笑顔で人々を誘って、その場を盛り上げると、炎の翼で一際目立つデルロッサを目で追って。
 歌声の変調は『誘幻の楽園』を導く。歌声をキーとするユーベルコードによって突如花弁が辺りを舞う。余興の演出の一環――そう周囲も敵も認識しただろうが、刃となったそれは、会場にいるデルロッサへと襲い掛かった。
 鋭い刃が裂傷を作り、周囲を美しい花畑へと変える。
『おい、てめェ……!』
 周囲は華やかになったけれど、攻撃されたという事実は変わらない。デルロッサは炎の尾を鞭のように撓らせて澪を打つ。同時に生じた炎の色の茨が、花畑を覆っていくが。
「折角の綺麗なお花、焼きつくすなんて無粋な事、しないよね?」
 宴の紋章の効果を上回った盛り上がりで、澪は無傷のまま。
「さあ、最後まで盛り上がって楽しませてよ!」
 禍々しい茨をさらに上書きしていくように、彼の色の花弁が舞う。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
賑やかで楽しんで大騒ぎと言えば、そう!
藍ちゃんくんなのでっす!
デルロッサさんのご趣味とは間逆な高温が気持ちいい歌を響かせまくるのでっす!
この歌は生贄とされた皆様に向けた歌でもあるのでっす!
歌わされる歌ではなく歌いたくなる歌を!
踊りたくなる歌を!
騒げれば騒げるほど皆々様も紋章の力で安全になり、皆様が笑顔になればなるほど悲鳴や苦悶に酔うデルロッサさんは堪ったものじゃないでしょうからねー!
つまりつまり、今、藍ちゃんくんは、デルロッサさんにうるせえええ! と思われてるのでっす!
敗北宣言、いただいたのでっす!
尾も茨も平気なのでっす!
アンコールでお返ししてあげるのでっすよー!



●OnStage
 儀式を兼ねて行われている、妖しく邪悪で愉快な宴。戦争中にあるまじき大騒ぎの成されるこの場所へ、ついに紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)が降臨する。
「賑やかで楽しんで大騒ぎと言えば、そう! 藍ちゃんくんなのでっす!」
 ステージも場も良い感じに整ったこの場所で、藍は早速ワンマンショーを開始した。
『おお? 活きのイイ奴が来たなァ』
 突然の乱入者ではあるが、それもまた宴の肴になるだろう、デルロッサがそう油断している内に、藍は聴衆に向けてその歌声を披露していく。
 元から流れていたデルロッサ好みの調子とは別の、高い声音が響き渡る。それを聞いた聴衆――生贄候補にされている人々は、次第にそれに魅せられて。
「貴方の為に歌いまっす! というやつでっすよー!」
 デルロッサに脅される形で、デルロッサのための曲を奏でていた楽団も、その真逆な音楽へと自然に惹かれていった。
 歌わされる歌ではなく歌いたくなる歌を。踊りたくなる歌を。楽団の演奏は完全に藍色に塗り替わり、人々は笑顔で歓声を上げる。
『ハッハッハ、こりゃスゲェわ』
 デルロッサもまたその様子に呵々と笑う。だが、その声には舌打ちでもしそうな色合いが混ざっていた。
 確かに宴は盛況だが、盛り上がりすぎてもデルロッサにとっては都合が悪い。周囲まで完全に盛り上がってしまっては、紋章の効果により攻撃が阻害され、へたをすると生贄を捧げる儀式に支障が出るのだ。
 そしてそもそも、デルロッサの好むのはその際の悲鳴や苦悶――この状況はその真逆である。
『うっせえなあ……!』
 そのストレスがピークに達したところで、デルロッサの炎の尾が振るわれる。焔の色に燃える荊が、舞台の上の藍へと絡みつく、が。
「敗北宣言、いただいたのでっす!」
 盛り上がりも最高潮に至った彼が相手では、宴の紋章の強化は効かない、いやむしろ、真逆の効果を齎していた。
 そもそもパフォーマンスではなく実力行使に出た時点で、勝敗は決している。
 では、皆々様のアンコールにお応えして。
「藍ちゃんくんでっすよー!!!」
 大音声と共に放たれた衝撃波が、デルロッサを見事に吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リダン・ムグルエギ
【ワイハン】アドリブ大歓迎
海賊と山羊と羊のパーティージャック、はっじまっるよー
被害者はこちら、オシャレな服にイケてる角のデルちゃんでーす

宴はスマホを通してワイハンchから生放送!
乾杯いえーい!コメントと敵の反応を肴に酒!宴!

今回のポイントは敵は「戦場」の希望の声しか奪えないコト
「配信先(異世界)の希望のコメント」は奪えませーん
これが山羊の盤外戦術!

配信が続けば続くほどに無敵になるんだもの
おシノギちゃんのノリに合わせて盛り上げつつ
抱きつくノリで攻撃をバリバリ庇いに行くわよ!
ついでに香水に含ませた催眠毒でシープちゃんをサポート!

爆発オチなんてサイッテー!
無敵を行かして最期は庇いつつアフロになるわ


シノギ・リンダリンダリンダ
【ワイハン】
宴があるなら、この大海賊を呼びなさい!!まったく!
さぁ、負けていられません、大海賊流の大宴会を見せつけなくては!!

とにかくお酒!料理!お酒!料理!
酔えば酔うほど笑い上戸になりますが問題ありません
今回のパーティージャック、私の仕事は騒ぎ散らす事です
自然体が良いのです。これが大海賊の自然体です
いぇーい!!!宴最高ー!
敵の攻撃?千鳥足で避けてあげますよ!酔拳です!

宴もたけなわになったら、シプラ様が敵を友好的にしている所に千鳥足で近寄っていき爆弾が埋め込まれた右腕で殴りかかります
大宴会大成功パーンチ!!
当たっても当たらなくてもいいです。大爆発が全てを包みます

やっぱり最後は爆破オチですよね


シプラ・ムトナント
【ワイハン】
わたしとて令嬢の端くれ、パーティーの礼儀は心得ていますが……今は上品に過ごす時ではありません。
怒りではなく、最高の楽しみをもって打倒します。

お酒はなくとも雰囲気に酔うことは出来るのです。
しかも今回はリダンさんが配信されているとのこと……ならば、特技をお見せしましょう!!

『催眠の羊眼』を使います、催眠術の生配信の始まりです。
種も仕掛けもありません……視聴者の皆様、画面のわたしと目を合わせませんよう。

抵抗しても構いませんが、わたし達は既にほぼ無敵ハイテンション。
見てくださいこの盛り上がりっぷりを……ほら、あなたも、『友好的』になりませんか?
さて、最後はシノギさんにお願いします!!



●OnAir
 本日のワイハンchは出張生放送企画、ロケ地に選ばれたダークセイヴァーの紋章の祭壇――戦争の正に最前線で、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)のスマホを通した配信がスタートした。
「海賊と山羊と羊のパーティージャック、はっじまっるよー」
「宴があるなら、この大海賊を呼びなさい!! まったく!」
「パーティーとは聞いていましたが……なるほど、こういう類のものですね」
 参加者はシノギ・リンダリンダリンダ(|強欲の溟海《グリードオーシャン》・f03214)とシプラ・ムトナント(鋼の衛生猟兵・f39963)。早速戦場もといパーティー会場へと切り込んでいったシノギはともかく、社交界的なパーティーとは違う状況に頷いているシプラと視聴者に向けて、仕切りのリダンがざっくりと趣旨を説明していく。
「日がな一日パーティーをしている羨ましいんだかそうでもないんだかわからない人達のところに、飛び入りで混ざっていこうと思いまーす」
 それからついでに主催者のオブリビオンも倒す。なるほど。|獣人戦線《馴染みの戦場》と違ってゆるゆるだが、ここもまた戦争においては重要な局面のはず。
「では怒りではなく、最高の楽しみをもって打倒しましょう」
 飽くまで真摯に気合を入れたシプラに、「その意気よー」とか合いの手を入れて、リダンはスマホを構えながら紋章の祭壇の儀式場へと向かっていった。
 ダークセイヴァーにしては珍しい凝った料理の数々に、燭台の灯す小さな火が揺れて影を落とす。楽しそうにしながらも、どこか不安げな人々が行き交い、心臓の鼓動のような定期的なリズムが楽団の方から響いている。やはりどこか不自然な会場をぐるりと画面と一緒に見回して。
「さて、おシノギちゃんはどこまで行ったのかしら……?」
 先行した彼女を探す。地味に人の数の多いここで、特定の誰かを探すのは一苦労である。
「ちょっと! ここ料理が足りてませんよ!!!」
「いましたよシノギさん」
「あそこだけ雰囲気が海賊船ね」
 案外速やかに見つかった。お酒に料理、用意されたそれらを遠慮なくいただきながら、景気の良い笑い声を上げている。ワインとグラスが樽とジョッキに化けているような気がするが、この会場はそういうのも準備されていたのだろうか。海賊船テーブルに合流した二人も杯を手に、その騒ぎに加わることにした。
「乾杯いえーい!!」
「いぇーい!!! 宴最高ー!」
 海賊と言えば宴会、そして大海賊ともなれば大宴会である。少々意味がわからないがこういうのはなめられたら負けだ。大海賊の流儀というやつを見せつけなくてはならない。揺れない地面の上だろうとやることは同じ、飲んで食って、それから歌え。
 シノギの先導で海の男の好きそうな歌が始まり、楽団の伴奏を上書きするようなそれが彼女のテーブルを中心に広がる。すると。
『楽しそうじゃねェか、俺も混ぜてくれよ、なァ?』
 デルロッサがそこに現れる。愉快気に笑ってはいるが、目つきはどこか鋭いまま。
「はい、こちらが主催者、オシャレな服にイケてる角のデルちゃんでーす」
『ンン? なんだよそれ』
 進み出たリダンがデルロッサと並んで気を逸らす。配信という概念自体がなさそうな彼がそれに戸惑っている内に、シノギは首を傾げ、緊張した様子の周囲に尋ねていた。
「あれ、なんで歌うのやめたんですか??」
 それはデルロッサの機嫌を損ねると殺されかねないからだ。しかし船長にそんな言い訳は通用しない。歌の再開を促す彼女に、気付いたデルロッサは半眼で絡んでいった。
『このパーティーには合わねェんだって。わかれよ』
 ばさりと燃える翼が振るわれる。悲鳴を上げろ、とばかりに放たれた攻撃を、しかしシノギは足元をふらつかせた拍子に躱してみせた。
「ああ、今日はちょっと波が強いですね」
『テメェ……!』
「まあまあデルちゃん、楽しみ方はそれぞれで良いじゃない」
 その間に入ってリダンが言う。デルロッサはなおも攻撃を続けようとするが。
『邪魔するんじゃねェよ』
 脅しの声、振るわれる尾、しかしどれも彼女等にさしたる影響は与えられない。リダンが香水に混ぜた催眠毒のせいもあるだろうが、デルロッサの宿した宴の紋章は、こういう時に無力である。これは好都合だと見て取って、リダンは仲間の方へと目配せをした。
「さあ、ここでシプラちゃん!!」
「はい……!?」
 目配せどころではなかった。雑にも程がある振りだが、こっちは未成年で素面である。しかし、それでも彼女は雰囲気を読める女、向けられたスマホのカメラに応えてみせる。
「ならば、特技をお見せしましょう!!」
 一芸披露の時間。彼女が振るうのは『催眠の羊眼』だ。
「種も仕掛けもありません……視聴者の皆様、画面のわたしと目を合わせませんよう」
 普段は細めて隠されているその瞳が、赤い輝きを露にする。催眠の魔眼がデルロッサの視線を絡め取り、捕まえる。これにより、彼はシプラに対して友好的になってしまうはずだが……。
「んー、でも本当にかかったのか、どうやって……」
 あえて言うなら、その証明の仕方が問題だろうか、できれば画面の向こうに分かりやすく伝えてやりたい……などと思案に暮れていたところで、リダンは手元の異変に気付いて言葉を切った。
「リダンさん、どうかされました?」
「いえ、なんだかコメントが……」
 右側の枠がカラフルに色付きながら、飛ぶように流れていく。これ視聴者の何割か催眠術かかってない? 大丈夫? まあそれはそれとして同時接続者数が跳ね上がっていくのは見ていて気分が良い。
「良いわ、その調子で進めて!」
「でしたら――催眠術にかかった証拠として、一緒に歌ってもらいます!」
『あァ!?』
 あれだけ嫌がっていた海賊流の歌をあの口から歌わせれば、催眠術は成功と言って良いだろう。既に画面の向こうで視聴者が合唱を始めていそうだが、とにかく。
『誰がやるかよ、俺は悲鳴と苦悶の声が……くッ……!?』
 シプラの魔眼にデルロッサが抗う。しかしやがて押し切られたか、ためらいがちに、その口が開かれて。
『あ、あー……』
「ヘタクソ!!!!」
 最初の声出しの時点で、シノギの右ストレートが炸裂した。
 デルロッサの顔面を捉えたその腕には爆薬が仕込まれており、クリーンヒットしたその衝撃と共に着火する。酔っ払いの一撃は大爆発という帰結を迎え、炎と煙と爆風が、パーティー会場の一角を吹き抜けていった。

 荒れ狂う風が収まった頃合、漂う煙の残滓を手で払いながら、シプラが呟く。
「綺麗な花火でしたね」
「爆発オチってサイッテー」
 ちょっと髪型がアフロになったが、こちらに大きな被害はない。ふふっと笑ったリダンの視線の先では、片腕を失ったシノギが次の一杯を要求していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九之矢・透
LEDサングラスにアロハシャツを装備し
息を吸って、吐いて、いざ

いえええぇいい!!!!バイブス上がってる~!?
そこのスタッフぅー
パリピ的フードをシクヨロ!!
え、それは何かって?
モチのロン☆パリパリピーマン略してパリピに決まってるジャン!
これコレよ、せんきゅす!!

今はまだ振り返ったらダメだぞアタシ!!

デルロッサちゃん!
その炎やばたにえんだな!
でもまだアゲ足りてないんじゃないのー?
もっと滑稽にいこうぜ?骨鶏なだけに!!

技能を上げた「麻痺」の毒のせた柳を投擲
動きを阻害して騒ぎ難くさせよう

よぉ兄弟!……とは、演技でも言えないなァ
故郷のチビ達、見てるか?アタシは頑張ってるぞ
……いや!
やっぱ見てなくていい!



●PARIPI
 いつもの帽子に輝くLEDサングラス、そして派手なアロハシャツを身に纏った九之矢・透(赤鼠・f02203)は、一度深く息を吸って、吐き出す。そしてこの戦争の最前線、紋章の祭壇を成す儀式場へと踏み込んだ。
「いえええぇいい!!!! バイブス上がってる~!?」
 心構えはしてきたけれど、微妙に裏返った声が出る。
「そこのスタッフぅー! パリピ的フードをシクヨロ!!」
 びっと指を立てて注文するが、給仕を担う一般人から「えっなんですか?」みたいな反応が返ってきた。フッ気取った様子で笑って見せる透だが、その頭の中には「そういえばパリピって何食って生きてるんだ?」という疑問が渦を巻いている。
「モチのロン☆パリパリピーマン略してパリピに決まってるジャン!」
『はあ、な、なるほど……?』
 通った。奇跡的な機転でその場を突破した彼女は、格調高い皿で運ばれてきた千切りピーマン焼きを受け取って、満足気に指を立てる。
「これコレよ、せんきゅす!!」
 なんだこれ苦いな。パリパリする食感を味わっていると冷静になりそうになってしまうが、透はどうにかそれを忘れる。振り返るな、立ち止まってはいけない、ただそれだけを考えて。
『随分気合入ってんなァ、兄弟?』
 そんな彼女のもとにこの場の主、デルロッサが現われる。愉快気に笑っているようには見えるが、こちらを探るような気配を、いつもの透ならば察知していただろう。翼と尾を彩る魔性の炎――その火力を分析する代わりに。
「デルロッサちゃん! その炎やばたにえんだな!!」
『は???』
「でもまだアゲ足りてないんじゃないのー? もっと滑稽にいこうぜ? 骨鶏なだけに!!」
 勢い任せの一投、ユーベルコードによる麻痺毒を込めた小刀が、デルロッサに突き刺さる。
『テメェ……!』
 よくも、と口にしながら放たれた炎は、しかしLEDサングラス上の光と一緒に流れていく。宴の紋章の効力、勢いで上回った今の透に、デルロッサの攻撃は通用しない。
「HAHAHA、残念だったな――」
 「兄弟」、と続けるのは調子に乗ったこの状態でも口にするのは憚られた。思い返されるのは故郷のチビ達の顔。みんな見てるか? アタシは頑張ってるぞ。だから帰ったらあたたかく迎えてくれ。若干傷心の声が出かけるが、しかし。
 こんな戦いぶり見られたいか? と透の中の理性が呟いた。いやまあ、心底真面目に戦っているのだけど。
『クッ……、まさか素面でこれとはなァ』
「ほっとけ!!!」
 麻痺が回り、自由に動けなくなった状態のデルロッサを、透の拳が打ち倒した。

大成功 🔵​🔵​🔵​


●宴の終わり
 それぞれの尽力によって、デルロッサは打ち倒された。血を求め、紋章を生み出す魔性の宴は幕を下ろし、紋章の祭壇の一角を切り取る。
 燭台の火は消え、静寂が戻る。
 この世界を滅びから救うための戦いに、猟兵達はまた一つ歩を進めた。

最終結果:成功

完成日:2023年05月14日


挿絵イラスト