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闇の救済者戦争⑬〜オムネス・プロ・ヒュドラー

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #月光城

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●禁獣の守護獣
 ダークセイヴァー第五層。
 それは猟兵たちにとって地上と思われていた第四層よりも更に下層の領域である。
 常闇の世界に勢力は二つ存在している。
 無論、支配者たる吸血鬼。そして、人間……ではない。異端の神々である。
 互いに相争う存在。
 敵が存在しているのならば、当然備えるものでる。

 例えば、城塞。
 猟兵たちは第五層にて見ただろう。
 月光の輝きを放つ城塞『月光城』を。これまで猟兵たちは恐らく、それが吸血鬼にとっての外敵である異端の神々と戦うためのものであると判断していた。
 だが、今や『デスギガス災群』によって現れた『月光城の主』たちは、第五層の支配者である『第五の貴族』をも凌駕する力を持っている。
「ここが『月光城』。異端の神々と戦うための城塞というのならば『ケロベロス・フェノメノンの欠落』を隠し、守るにはうってつけというわけね」
『月光城の主達』――『異端の魔女ディアナイラ』は己の下肢たる軟体生物を模したかのような触手をもって『月光城の罠』を見やる。

 それはまるで碁盤目状のような城塞の姿であった。
 全てが正方形のタイルや壁になっている。そこから溢れるのは無數のトラップ。
 天上より降り注ぐ槍に矢、振り子の斧、落ちる床の下にそびえる剣。四隅より放たれる弾丸。
 そのどれもが一斉に侵入者へと襲いかかるだろう。
 ともすれば、彼女も巻き添えになる。
 いや、そうはならない。『異端の魔女ディアナイラ』の下肢の間は『月の如く煌々と輝く、異形の身体部位』――巨大な顎が備わっていた。
 しかも、それは顎、という概念を覆すものであった。
 360度、ぐるりと回転し、皮膚が裂けるように、ぞろりと鋭い犬歯居並ぶ様を見せつける。
 いずれの罠が作動しても、いや、全てが一斉に作動しても彼女は、その異形の身体部位をもって悉くを躱し、さらに迫る者をユーベルコードと共に顎で食らうだろう。
「元より私の体は異形」
 軟体動物の如き触手の下肢。

 今更である。
 力を使えば使うほどに異端の神に近づいていくが、それでいい。
 己は『異端の魔女ディアナイラ』であるのだから。
「ならば、力の果てにこそ私の求めるものがある。例え、姿形が変わっていくのだとしても、私の中にある核は告げている。求めよと。あらゆるものを殺す存在になれと」
 彼女が守るは『ケルベロス・フェノメノンの欠落』。
 かの禁獣は無敵。
 だが、それはこの『欠落』在りきである。

『ケルベロス・フェノメノン』は悪となり得る存在を、その可能性の全て打ち砕く。
 ならば、己は純然たる力となろう。
 神殺しの獣に居たりし者がいるように。
 己もまたそれを求めるのだ。
「完全なる悪性は、完全なる善性の如く。私は求める。神殺しの獣たる存在にならんことを――」

●闇の救済者戦争
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。ダークセイヴァー世界第五層……『月光城』、月の満ち欠けによって呼応するように輝く城塞に禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の『欠落』が秘されていることが判明いたしました」
 ナイアルテの言葉に猟兵たちは息を呑む。
 禁獣。
 それは打倒不能なる存在であった。
 けれど、『欠落』を破壊することによって『無敵能力』を無効化することができることが判明している。

 猟兵たちが為した【Q】によって発見された事実は、この『月光城』の何処かに在るであろう『欠落』を暴き立てた。
「ですが、今の『月光城』には『第五の貴族』を凌駕する『月光城の主』が存在しています。名を『異端の魔女『ディアナイラ』。彼女は何者かによって『月の如く煌々と輝く、異形の身体部位』……胴に異形の顎を備えています」
 その顎は通常の生物では不可能な、生命体の構造を無視した奇っ怪な挙動でもって、あらゆる角度、視覚を問わず攻撃を躱し、また下肢の触手と顎でもってカウンターを叩き込んでくるというのだ。
 さらに悪いことには、『月光城』内部での戦いになる。
「そうです。『月光城』の内部は数多の罠が仕掛けられています。この『月光城』もまた同様です。例に漏れず、碁盤目状の床や壁、天井……あらゆる角度から槍や矢、銃弾や剣、ありとあらゆる飛来する武器が皆さんに襲いかかることでしょう」

 猟兵たちは呻くかもしれない。
 罠に加え、『異形の身体部位』を有する『第五の貴族』を凌駕する強大な『異端の魔女ディアナイラ』を打倒しなければ、『ケルベロス・フェノメノン』の『欠落』を破壊することはできない。
『欠落』が破壊できないのであれば、『無敵能力』によって打倒するどころではない。
「……危険な戦いであることは言うまでもありません」
 彼女の瞳が爛々と輝いている。
 確かに『異端の魔女ディアナイラ』は強敵である。
 人体では到底できぬ攻撃回避能力に加え、カウンター能力。
 さらにユーベルコードによる驚異的な生命力。罠。多くが彼女に利するところとなるであろう。
 だが、それでも、である。

「例え、どれだけの困難が道に横たわっているのだとしても、皆さんはそれを乗り越えてきていらっしゃるのです。これまでの歩みが、皆さんの背を押すと私は信じております」
 だから、と彼女の瞳は輝き、猟兵たちを激戦たる『月光城』へと送り出すのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『闇の救済者戦争』の戦争シナリオとなります。

 ダークセイヴァー第五層にて以前より発見されていた『月光城』。【Q】により、この危険極まりない『月光城』に禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の『欠落』が存在していることが判明しています。
 禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の『無敵能力』を無効化するためには『欠落』を破壊する他ありません。

 しかし、この『月光城』には『第五の貴族』を凌駕する強敵が存在しています。
『異端の魔女ディアナイラ』。
 彼女の体には『月の如く煌々と輝く異形の身体部位』、胴を裂くように存在する巨大な顎でもってあらゆる攻撃を人体を超越した挙動でもって躱し、皆さんに必ずカウンターを叩き込んできます。
 さらに『月光城』の罠は、無數に、四方から皆さんに襲いかかるでしょう。

 地の利は敵にあります。
 ですが、この罠と強敵を乗り越えなければなりません。

 プレイングボーナス……異形の身体部位から繰り出される攻撃に対処する/城内のトラップに対処する。

 それでは、『鮮血の洪水』を防ぎ、己の弱点をひた隠しにしようとする闇の種族を打倒する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『異端の魔女ディアナイラ』

POW   :    異端の落とし仔
【傷付けられた際に発生する猛毒の返り血】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に落ちた血肉は異端の神の眷属へと変化し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    穢された聖遺物
レベル×5本の【神聖と猛毒の二重】属性の【かつて自身を討伐に来た者達の武器や防具】を放つ。
WIZ   :    ハイドラの降臨
自身の【人間だった頃の記憶や人間性の喪失】を代償に、【自身の内外を侵蝕する異端の神の血肉】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【驚異的な再生力や土地を汚染する程の猛毒】で戦う。

イラスト:えな

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアイシス・リデルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蛇塚・レモン
やる事は単純明快っ!
再生を上回るパワーで!
斬って斬って斬りまくるっ!

UCで変身
黄金霊波動による結界障壁を展開
あたいの念動力とオーラ防御と結界術を合わせた強固な霊的防壁
更にUC効果で敵攻撃軽減
全方位の罠と攻撃を受け流す

あたい自身は念動力で空中浮遊&空中機動で
敵の触腕の射程外を常に保つよ(カウンター対策
蛇腹剣には妹ライムの魂魄を憑依させて神罰の炎属性全力魔法付与
そして敵射程外から蛇腹剣を振り乱す神楽舞で
罠や敵本体・血肉をズタズタに切断する灼熱の衝撃波弾幕を乱れ撃ち!
蛇神様の呪詛で腐食属性マヒ攻撃も追加!
焼却で周囲の毒を浄化

あたいに物理攻撃は割と効かないよっ!
そのまま細切れのタコ焼きになっちゃえっ!



 月の満ち欠けによって呼応するは『月光城』。
 その煌めく輝きは常闇の世界にあって、異様なる光景であったことだろう。城内に脚を踏み込んだ蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)は、それだけでこの場内が罠だらけであることを理解する。
 いたるところが碁盤目状に仕切られている。
 壁も床も天井も。
 何もかもが罠の作動一つで銃弾や矢、槍や剣、斧といった危険が襲い来る。
「だからって言ってもね! やることは単純明快っ!」
 レモンは己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
 黄金の霊波動をまとった、白蛇神降ろしの巫女たる姿に変じた彼女は、結界障壁を展開する。
 罠は確かに恐ろしいものだった。

 けれど、ユーベルコードではない。
 己の行動を阻害し、制限するためのものであった。真に恐れなければならないのは、相対する怪物――『異端の魔女ディアナイラ』であった。
「私を前にしてそれを言うのは、どうかと思うわ。私にとって、あなたの語る単純明快こそが強みなのだから」
 下肢たる触手が蠢く。
 ふくれ上がる血肉は異端の神々より移植されたもの。
 すでに彼女の中には人間であった頃の記憶はない。捧げ、擦り切れ、その度に力を増してきたのだ。
 蠢く触手が一斉にレモンへと迫る。
 宙を舞うようにして迫る触手はレモンの体を串刺しにするかのように鋭く尖り、その結界障壁を酷く打ち据える。
 響き渡る音は、衝撃だけでもレモンの肌を撃つだろう。

「射程外って思っていたんだけど!」
「城内にて戦うのであれば、枷となるでしょう、それは」
 吹き荒れるようにして迫る触手をレモンは手にした蛇腹剣に炎を宿し、切り裂く。神楽を舞うようにして切り結ぶ姿は壮麗であったことだろう。
 ユーベルコードの煌めきは、黄金の輝きを解き放つ。
 振るう蛇腹剣の斬撃は衝撃波を伴って、ともすればレモンの体を穿たんとする触手を吹き飛ばして寄せ付けない。
「いったでしょ、あたい! やることは単純明快っ! ってね!」
 レモンの瞳が輝く。
 妹の魂魄を憑依させるユーベルコード。
 憑装・蛇塚シロオロチ神楽(ソウルユニゾン・ヘビヅカシロオロチカグラ)は己の寿命を削る。

 代償を強いるユーベルコード。 
 されど、代償があるがゆえに強烈な力を放つ。神罰のホのを宿した魔力によって蛇腹剣の舞うような、円を描くような軌跡がレモンの神楽舞をさらなる高みへと昇華する。
 それは戦場には似つかわしいものであったことだろう。
「無駄ですよ。私の触手は再生する。そして、切り落とされた血肉は……」
「戦場を猛毒に冒すっていうんでしょ! でもね! あたいには!」
 吹き荒れる黄金波動が蛇神の呪詛でもって、塗りつぶしていく。灼熱の衝撃波は、弾幕のように放たれ続ける。
 敵が戦場を猛毒で塗りつぶすというのならば、それを吹き飛ばす。
 城内の罠も、『異端の魔女ディアナイラ』の持つカウンター能力も、何もかも……。

「斬って斬って斬りまくるっ!」
 振るう蛇腹剣が炎の竜巻のように振るわれる。
 あらゆるものを切断する斬撃は、迫る触手を次から次に寸断していく。
「我慢比べということですか?」
「そのつもりはないよっ! このまま細切れのたこ焼きになっちゃえっ!」
 振るう斬撃は嵐のように。
 迫りくる触手を切っ先から寸断し続ける。黄金の波動は炎であり、呪詛。
 猛毒が満ちるというのならば、それ自体を焼き滅ぼす。迫る罠もレモンにとっては意味を成さないというように、単純明快たるユーベルコードでもって『異端の魔女ディアナイラ』を押し留めるように切り裂き続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「この城も厄介ならそこの敵も相応に厄介らしい。
それでも突破口は在る筈。いや、なくても作るだけか。」

生命を喰らう漆黒の息吹を発動し花びらを纏って
飛来する罠を防御。
床の罠には龍翼の翔靴を使用し【空中浮遊】する事で
足元にも花びらを入れる事で回避。

敵と距離のある内にデモニックロッドから
闇の魔弾を放つ。
敵が回避し攻撃して来る事を予め予測しその動きを【見切り】、
そのカウンターにスカイロッドの風弾に
鳳仙花の花びらを纏わせた攻撃を更なる【カウンター】として反撃。
当るか当たらないかに関わらず花びらを纏わせない
透明な風弾を本命として【誘導弾】で放つ。
どれかの攻撃が当たれば接近し無数の花びらに
敵の生命を喰らわせる。



 罠の満載された城内。
『月光城』の主と言われる『異端の魔女ディアナイラ』。
 そして、彼女の主と思わしき存在より与えられた『月の如く煌々と輝く身体部位』――その胴に備えられた顎の如き部位は、あらゆる攻撃に対して人体を超越したかのような挙動で持って猟兵の攻撃を躱し、カウンターを叩き込んでくる。
 彼女の下肢たる触腕は尋常ならざる手数でもって圧する。
 同時に城内を埋め尽くす猛毒。
 罠はいずれもが猟兵にとって行動を阻害するものであった。
「この城も厄介ならそこの敵も相応に厄介らしい」
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は己に迫る無數の矢と銃弾、剣、槍の切っ先をフードの奥より見据える。

 その奥に輝くはユーベルコード。
「ならばなんとします。私は貴方達を滅ぼすもの」
「であれば、突破口を見出すのが人というものだ」
「そんなものはありはしませんよ。私の体に加えられた、この顎はあらゆるものを砕き、そして駆動は人のそれではありませんから」
『異端の魔女ディアナイラ』は笑う。
 確かにどうに備わった顎は明らかに人のそれではない。
 可動範囲も360度全周に対応しているし、何より下肢の触手が厄介極まりない。加えて、毒。さらには城内の罠でもって己たちの行動を狭めてくる。
「本能に従う怪物かと思っていたが、存外計算しているものだな」

 フォルクは己の手にしたデモニックロッドから闇の魔弾を解き放ち、また同時に己の周囲に冥界の鳳仙花の花弁をまとわせる。
 迫る罠が矢と銃弾であるのならば、花弁が防ぐ。
 また床下が抜けた瞬間、空中を蹴って飛ぶ。
「意外に思えましたか。ですが、元来魔女とは、智慧を持って世界の理に精通するもの。ならば、こんなこともできますよ」
 飛んだフォルクに迫るは城内という限られた戦場を埋め尽くすかのような下肢の触手の群れ。
 肥大化し、さらには猛毒で圧するように迫るそれをフォルクは見た。
 放つ風の弾丸。
 それは触手の全てに叩き落される。
 触れる者の生命を食らう冥界の鳳仙花。その花弁をまとった弾丸は視認しやすいものであった。
 だからこそ、『異端の魔女ディアナイラ』は、それを触手で撃ち落とす。

「例え、触れれば生命力を吸い上げられるのだとしても、今の私には関係のないこと。致命傷さえ受けなければ!」
 弾丸を撃ち落とし様にフォルクへと迫る触手。
 その切っ先は鋭く、猛毒に彩られていた。触れれば、己が生命を落としかねない状況。されど、フォルクの瞳は、フードの奥で煌めく。
 そう、彼にとってカウンターは想定されたもの。
 己の攻撃に必ずカウンターを仕掛けてくるというのならば。
「確かに智慧ある者と見受けられる。だが、本当の意味での魔女というのは、その智慧に振り回されたはしないものだ」
 フォルクは己のユーベルコードこそが、『異端の魔女ディアナイラ』に有効的な攻撃であると『見せかけて』いた。
 花弁まとう風の弾丸は、その一手にすぎない。

 生命力を奪う花弁。
 それを印象付けたからこそ『異端の魔女ディアナイラ』は、フォルクの攻撃が常に花弁をまとうものであると認識しただろう。
 けれど、それはフォルクの一手。先手であると言わざるをえない。敵がカウンターを仕掛けてくるというのならば、己はそのカウンターをさらに打ち返すのみ。
「故に、よくみておけ」
 フォルクは花弁まとわぬ風の弾丸でもって『異端の魔女ディアナイラ』の顔面を打ち据える。
「――!?」
 彼女は目を見開く。
 何が己の顔面を打ち据えたのか理解できなかった。そして、その不理解は、一瞬の遅れを生み出し、隙を生み出すのだ。

「これが、お前の生命を刈り取る手向けの花だ」
 告げる言葉と共に『異端の魔女ディアナイラ』を取り囲むは、生命を喰らう漆黒の息吹(イノチヲクラウシッコクノイブキ)。
 花弁纏う弾丸は布石。
 透明な風の弾丸は布石を繋ぐ鎹。
 そして、今まさに『異端の魔女ディアナイラ』を取り囲むは、詰めの一手。
「喰らえ、冥界の鳳仙花」
 フォルクは己に迫っていた触手が次々と枯れるようにしわがれ、大地に落ちるのを見ただろう。
 それこそがフォルクの狙い。

「この一手で突破口を開く。いや、作り出す――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
クソギミック+クソ能力ボス
…うーん、調整ミスのゲームかな?
ナーフしろナーフ!

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
足下に『オーラ防御』で盾を張り無理矢理押さえつけてガード
それ以外は全て剣で斬り払って『武器受け』!
【光剣解放】起動
どれだけ回避性能が優れていても、どれだけ再生力が凄くても
数でゴリ押す!
流行りのゴリ押しの子じゃい!
字が違う?細かい事は良いんだよ!
攻撃は展開した光剣に任せて、こっちは罠と敵のカウンター対応に注力
カウンターが来るって分かっているならそれに合わせて『斬撃波』で迎撃
触手は斬り落とし、顎は此方に届く前に体ごと『吹き飛ばし』てしまおう
大事に隠した欠落は何処かな!



 これがもしもゲームであったというのならば、クソギミックであると言わざるをえない。
 攻略させる気もなければ、猶予もない。
 所狭しと碁盤目状に配置された罠は足の踏み場もない。天井だろうが壁だろうが、一息もつかせぬままに弾丸が飛び交い、矢が緩急つけたように放たれる。
 直線的な弾丸の軌道と山なりの軌道を描く矢が同時に襲ってくれば、猟兵達と言えど緩急ついた攻勢に惑わされることだろう。
 更に床が抜ける。
 天井から振り子の斧が迫る。
「それだけならまだしもさー……」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は己に迫る漆黒の触手の群れを見る。

 猟兵によって生命力を奪われて尚、この勢い。
『異端の魔女ディアナイラ』の力は『第五の貴族』を遥かに凌ぐものであった。そこに加えてさらに強化たる『月の光の如く煌々と輝く身体部位』が追加されている。
 手数の触手。
 カウンターの如く追加された胴の顎。
 起点たる腰はあれど、そのカバーリングは360度全周。
 如何なる角度から攻撃しても、死角がないと言わんばかりに対処居てくるのだ。
「クソ能力ボスまで追加しているとか!」
「元より私たちは貴方達を滅ぼさんとしているのです。別に私の元までやってきて下さいと試しているわけではないのですよ」
 怪物たる姿。
 これが神話であるというのならば、英雄に課せられた試練であろう。
 ゲームであるというのならば、攻略してこそであろう。
 けれど、これは違う。

 この『闇の救済者戦争』は命がけである。
 己たちが敗北すれば、ダークセイヴァー世界に生きる第三層以下の人々の生命は絶えることになる。
 抜き払った蒼き刀身の模造神器が煌めく。
「……うーん、調整ミスのゲームかな? ナーフしろナーフ!」
 そんな風に玲はわめきたてながらも抜け落ちた床を無理矢理にオーラの盾を展開し、居並ぶ剣の切っ先を足場にして飛ぶ。
 だが、そこに迫るは触手の群れ。
 いずれもが猛毒を含んでいることは明確。
 二段、三段にも重ねた攻勢。どうあっても己たちを滅ぼすと言わんばかりだ。

「無駄ですよ。どれだけ罠をかいくぐり、私の触手を躱すのだとしても。私は、もはや怪物以上のものへと至っている。ならば」
 打倒されるべきものではないと触手が絡まり鉄槌のように玲へと迫る。
 受けてはならない。
 さりとて、こちらの攻撃はカウンターされる。
 ならば。
「どれだけ回避性能が優れていても、どれだけ再生力がすごくても!」
 玲の瞳がユーベルコードに煌めく。
 刀身、その模造神器の機能が開放される。

 玲の周囲を取り囲むようにして生み出された光剣。
 それは、千を超える数であり、この場内においては空間という空間を埋め尽くすものであった。
「数でゴリ押す!」
「野蛮な。ですが!」
 光剣解放(セイバー・リリース)によって生み出された光剣が乱舞する。触手を切り裂き、再生する端から切り裂いていく。
 どれだけ数を用意したとしても、互いの手数だけが勝敗を決するというのならば、玲の光剣は『異端の魔女ディアナイラ』を包囲し、その手数を数でもって押しつぶすのだ。

「これが最近流行りのゴリ押しの子じゃい!」
「なんの話です?」
 玲はまるで取り合わない。なぜなら。
 君は完璧で究極のイェーガーであるからだ。
 まあ、なんていうか微妙に字面が違うし、厳密に言えば違うのだが。
「似たようなもんでしょ! 細かいことは良いんだよ!」
 誰に言っているのかわからない。『異端の魔女ディアナイラ』にとっては不可解な存在であったことだろう。
 だが、それでも己の触手はカウンターのように光剣の合間を縫って玲へと迫る。その切っ先が玲の胸を貫かんと飛ぶ。

「わかってるんだよね! そっちが必ずカンターするってことは! なら、それに合わせれば!」
 カウンターへのカウンター。
 来る、とわかっているのならば、如何用にもタイミングを合わせることができるのが玲である。
 手にした模造神器が何故二振りなのか。
 その斬撃は迫る触手を切り裂きながら、さらにもう一撃を斬撃波として『異端の魔女ディアナイラ』へと振り抜く。
「その顎は起点なんでしょ! そんでもって、それでこっちの攻撃は噛み砕く! けれど、その顎はカウンターの起点。その挙動が人体を超越してるってんならさ!」
 玲は続く三連撃目でもって彼女の胴を切り裂く。

 血潮が舞うさなか、玲は見据える。
「大事に隠した『欠落』は何処かな!」
 禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。かの無敵能力を無効化するための鍵たる『欠落』がこの月光城に隠されている。
「言うとでも!」
「なら、君を滅ぼした後でじっくり探させてもらうよ!」
 光剣が舞い、互いに囲い合う攻勢は、さらなる苛烈さを持って過熱していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サク・ベルンカステル
城の罠には随行大剣4本を用い【武器受け】で対処する。

異端の魔女を見かけるなりUC魔血覚醒を使用し半魔半人からほぼ魔人の姿に変化し雄叫びを上げて突然する。

触手を黒剣と甲冑、UCの闇の血の装甲で引きちぎり返り血は【オーラ防御】で防ぐ。
異形の身体部位の顎による噛みつきには【オーラ防御】と装甲で耐えて(負傷しながら)いる隙に罠の対処をしていた随行大剣で本体を攻撃する。



 過熱していく戦いがあった。
 ユーベルコードの激突。
 互いの存在を証明するかのような力と力のせめぎあい。
『月光城』にて戦う猟兵と『異端の魔女ディアナイラ』の攻防は一進一退。
 未だ彼女を倒せていない。
 元より、彼女は『第五の貴族』をも凌駕する存在。さらには『月光城』内部の膨大な罠と胴に加えられた『月の光の如く煌々と輝く身体部位』――胴の顎がある。
 これにより人体とは思えぬほどの奇っ怪な挙動を見せる。
 360度ぐるりと廻る胴はあらゆる角度からの攻撃に対応し、カウンターを放ってくるのだ。
「私は神殺しの獣へと至る。そのためには」
 掲げた手。

 そこに穿たれるようにして放たれた剣の一撃。
 血潮が飛ぶ。
「――!!!」
 咆哮が共に荒ぶ。
 それはサク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし剣鬼・f40103)の咆哮であった。彼にとって『異端の魔女ディアナイラ』がどんな存在であっても関係がなかった。
 目の前にあるのは異端の魔女。
 ならば、異形たる彼女を打倒することこそが、彼の核とも言うべきものである。
『異端の魔女ディアナイラ』にも『神殺しの獣』となるという核があるように、サクをサク足らしめているものは、ただ一つ。
 煌めくユーベルコードの輝きが瞳に宿る。

「獣のよう」
 嘲笑が耳を打つ。だが、サクは止まらなかった。例え、その飛ぶ血潮が己の肌を灼く猛毒であったとしても、躱すことはなかった。
 躱すより己の斬撃を届かせることのほうが先だった。
「――!!!」
 咆哮だけだった。
 己はもはや人でなくなっているようにも思えたことだろう。身を裂く触手の一撃がサクを吹き飛ばす。
 瓦礫へとさらに全周から『月光城』の罠が迫る。
 銃弾、矢、剣、槍、斧。
 ありとあらゆる武器がサクへと一斉に襲いかかる。

「拍子抜けです。この程度で……」
「――!!!」
 だが、それで終わることはない。終われるわけがない。
 魔血覚醒(マケツカクセイ)。
 それは闇の血を刃と鎧として権限する魔人へと至るユーベルコード。振るう斬撃が迫る触手を切り裂き、引きちぎる。
 どれだけ己の身を此処に止めようとしたとしても、サクは止まらない。
 軋む体も。
 溢れる血も。
 何もかも、このためにある。そう、異形たる上位存在を絶ち斬る。そのためにこそサクは剣を振るう。
 まさに剣鬼のごとき魔人。

 本能そのものであった。
 技量もなにもない。術策など程遠く。ただひたすらにサクは迫る触手を切り裂き、『異端の魔女ディアナイラ』へと迫る。
 宙に浮かぶ大剣が『月光城』の罠を弾き飛ばし、触手を弾き返す。
 言葉はいらない。
 ただ斬る。
 そのためにこそ己は己自身を大剣と規定する。
 人を辞めるのだとしても。それでも止められない衝動がある。この衝動が消えた時、己は己でなくなるのだ。

 それは喪った者に対する冒涜に思えた。
 だから。
「――!!」
 咆哮と共に斬撃の一撃を『異端の魔女ディアナイラ』へと叩き込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

さてー、まあ放っておけないんですよねー。
そう、ここを攻略すれば、価値が近づくんですからね。

悪霊ですから、微かに空中浮遊して床のは回避。壁や天井からのは…結界術で弾いてしまいましょう。

さらに攻撃は漆黒風の連続投擲。それしかないように思わせましてー。
ああ、猛毒ですかー。当たらなかった方が不利益なのでー当たりまして、毒耐性で凌ぎます。
本命は、カウンターに合わせるUC…見えぬ攻撃ですー。



 弾けるように剣戟の一撃が『異端の魔女ディアナイラ』の肉体を切り裂く。
 血潮が噴出する。
 だが、それでも『異端の魔女ディアナイラ』は笑っていた。
 彼女の血は猛毒。
 そして、猛毒の血は地面に触れた瞬間に眷属たる触手となって溢れんばかりに宙を飛ぶ。
「良いですよ。この衝動。久しく感じていなかったことです。これが怒り。我が身を傷つけられたことへの怒り。追い詰められているという怒り。私自身への怒り」
 彼女は笑みながら、その傷跡を撫でる。
 その傷跡が裂けるようにして『月の光のごとく煌々と輝く』顎が生まれる。

「神殺しの獣となるためには、猟兵をまずは殺せなければ」
 彼女は笑う。
 下肢たる触手が走り、また『月光城』内部の罠が一斉に作動する。
 それを馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は見つめる。
 矢、銃弾。
 それは飛び道具としてまだいい。
 けれど、剣や槍、斧、鉄球といった予測不能なる箇所からの射出はいただけない。
「さてー、まあ放っておけないんですよねー」
『疾き者』は迫る罠を浮遊し、床を踏むことなく壁より迫る罠へと対処する。
 単純だ。
 弾けば良い。己達悪霊は霊障として結界を張り巡らせる。

 如何にこちらの挙動を制限するのだとしても、凶悪な罠であっても、霊障は受け止め、空中で止める。
 だが、そこに飛ぶ血に塗れた触手は結界に弾けない。
「砕けぬと思いましたか」
『異端の魔女ディアナイラ』は笑う。
 彼女の血潮は猛毒。
 外れたとしても、地面を己の眷属たる触手へと変える。そう、ここは『月光城』。彼女のテリトリーでしかない。
 ならば、この戦いは一方的なアドバンテージしか存在しないのだ。

 圧倒的な不利。
「予想外、とは言いませんのでー。やはり、此処の守りは堅牢堅固。『欠落』を隠しているから、ですよねー」
「そのとおり。禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の『欠落』があることは正しい。故に要所といえるのです。だから、私がいる」
 その言葉には力への自負があった。
 事実、猟兵たちはこの『月光城』を攻め落としかねている。
 それは彼女の力が強大であることもあるだろう。
 放つ棒手裏剣の一撃にカウンターが飛び込む。下肢たる触手は狙い過たず的確に『疾き者』の追い、その身を打ち据える。
 跳ねるようにして戦場を浮遊して、走る。

 ジリ貧、と言う言葉しっくり来るだろう。
 だが、それでも『疾き者』は棒手裏剣を投げ放つ。さらに血潮が飛ぶ。猛毒たる血潮は躱すべきであったが、しかし、『疾き者』は己の霊障を蝕む猛毒を敢えて受ける。
「それしかないのですか。至極つまらないです」
 棒手裏剣を弾きながら『疾き者』を追い詰める触手。
 その切っ先は尖く変化する。
 貫く形。
 受ければひとたまりもないであろう。

 だが、次の瞬間『疾き者』は瞳をさらに細める。
「いえ、これは布石にして、見えぬ攻撃ですー……ポルターガイスト、とも」
 言いますね、とその瞳がユーベルコードに輝く。
 それは四悪霊の呪詛。
 見えぬ手。四悪霊・『怪』(シアクリョウ・アヤ)。この一撃を確実に撃ち込むために、これまで棒手裏剣を放っていたのだ。
「これが本命、というものですー」
 如何に『異端の魔女ディアナイラ』が強大であったとしても、猟兵の戦いは繋ぐもの。紡ぐもの。
 ならばこそ、この一手が次へとつながるのだ。
 掴む呪詛の手が『異端の魔女ディアナイラ』の体から生命力を吸収し、その強大な力の一端を欠けさせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
全方位の歌でっすのでー!
回避も何もないのでっすよー?
ディアナイラの魔女さんも罠の数々も藍ちゃんくんの歌で魅せちゃうのでっす!
藍ちゃんくんの歌は心無きものにすら感情を呼び起こす魂の歌でっすからねー!
自身を癒しながら歌えまっすので再生力と猛毒による持久戦にも対処可能なのでっすがー。
そもそもでっすねー。
人間だった頃の記憶や人間性の喪失が代償として成り立つ以上は、それ、魔女さんにとって大切なものではー?
藍ちゃんくんの歌で代償にしたはずの心を呼び起こされた魔女さんは。
異形の体と神の血肉を制御できまっすかー?
おやすみなさいなのでっす。
心は異形になりきっていなかった魔女さん。



 無數の罠がある。
 天井、壁、床。
 あらゆるところから『月光城』の罠は迫る。
 剣や槍は勿論、振り子斧や、弓矢、銃弾さえも全方位から猟兵の行動を狭めようと迫ってくる。
 さらには『異端の魔女ディアナイラ』の触手が襲いかかる。
 彼女は猟兵相手に慢心することはなかった。
 確実に『月光城』に隠された禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の『欠落』を守るためには、猟兵を確実に仕留めるしかないと理解していた。

 満身はない。
 しかし、それでもなお猟兵たちは食い下がる。
 裂ける胴にあるのは、『月の光の如く煌々と輝く』顎。それが彼女の不可解な挙動を可能としていた。
 死角はなく。
 またあらゆる攻撃に対してカウンターを放ってくる。
「ですが! 藍ちゃんくんは、歌うのでっす!」
 紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は構わなかった。歌うことだけに集中していた。
 歌声は全方位に響く。
 指向性はあれど、強弱はあれど。
 それでも歌は響く。

 藍は歌う。
「歌で魅せちゃうのでっす!」
 響く歌声は青空の如く澄んだ歌声。
 皮肉なことだ。この常闇の世界には存在していないもの。あるのは天井と月光ばかりだ。
 そんな世界にあって青空を想起させることがいかに難しいかは言うまでもない。
 これは障害だ。
 けれど、藍の歌はそんな闇も障害も吹き飛ばす。

「これは……感情を揺さぶる歌。この私に、この私の、感情を揺さぶる?」
「そうなのでっす! 藍ちゃんくんは、心無きものにすら感情を呼び起こす魂の歌でっすからねー!」
 迫る罠がどれだけ藍を傷つけるのだとしても、藍のユーベルコードは、体を癒やし続ける。『異端の魔女ディアナイラ』の血を受けても構わなかった。
 猛毒の血。
 されど、藍テール(アイチャンクン・アオゾラステーッジ)は響き続ける。
 歌で毒は吹っ飛ばせるのだ。

「そもそもでっすねー」
 藍は歌いながら問いかける。
「人間だった頃の記憶や人間性の喪失が代償として成り立つ以上は、それ、魔女さんにとって大切なものではー?」
「過ぎ去ったものに意味ないですよ。喪ったということは、過ぎ去ったということ。私は過去の化身なれど、神殺しの獣を目指す。なら」 
 代償など踏みつけにしていいものであると彼女は言う。
 しかし、藍の歌声は彼女の喪ったはずの人間性を揺さぶるのだ。
「うそでっすねー! なら、そんな顔なんてしないのでっす!」
 だから、と藍は歌い続ける。

 どんな歌にも意味はある。
 どんな歌にも安らぎをもたらす力がある。
 ならばこそ、魂無き者にも、心無き者にも響く歌声は。
「心は異形になりきっていないってことなのでっす!」
 魔女さん、と藍は瞳を向け、歌声を向ける。
 その心が本当に望んでいたのは、なんだったのか。問いかけは、最早喪った心にうつろに響き、『異端の魔女ディアナイラ』の中を見出すことのできぬ心によって、散々に引き裂くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レナータ・バルダーヌ
死ぬのは誰でも嫌でしょうから、禁獣さんたちが必死に隠すのも当然です。
でも、それはお互い様……欠落は破壊させてもらいます。

驚異的な回避と再生力……それでも、やれるだけは。
機械翼「カノン」のスラスター左右1基ずつを副腕形態に変形させ、【自動射撃】モードの熱線砲で攻撃。
さらに手当たり次第に罠を起動、残り4基のスラスターを独立操作して変則的な【空中機動】で回避しつつ、【念動力】で敵を束縛して命中させます。
躱せない罠や反撃はサイキック【オーラで防ぎ】ますけど、負傷も織り込み済みです。

やはり、最後はこうなりますか。
可能な限り【耐えた痛み】を【A.B.エンパシー】で【カウンター】、文字通りの痛み分けです。



 禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。
 かの禁獣は無敵である。その事実を猟兵たちは知っている。そして、その無敵たる力の源が『欠落』に存在していることも。
 故に隠す。
『闇の種族』たちがそうしたように、隠し、『欠落』に至るのならば世界を鮮血の洪水に押し流してもかまわないとした。
 故に猟兵たちは立つ。
 そうはさせぬと。
「取るに足らぬ生命のために己の生命をかけますか」
『異端の魔女ディアナイラ』は問いかける。
 彼女の身は猟兵達のユーベルコードによって消耗を刻まれている。だが、依然、彼女の力は強大そのものだった。

 さらに『月光城』の罠も健在。
 碁盤目状の壁や床、天井からは銃弾や矢、剣や槍といった罠が猟兵達に襲いかかる。膨大な数の罠と『異端の魔女ディアナイラ』の下肢より放たれる触手が猟兵達を寄せ付けないのだ。
「死ぬのは誰でも嫌でしょうから」
 レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)は思う。
 それは禁獣達もまた同様なのだろうと。だから『欠落』を隠す。無敵たる所以を。でも、とレナータは告げる。
「それはお互い様……『欠落』は破壊させてもらいます」
「させぬと言っているのです、猟兵。そして、私が居る限り、『欠落』まで届くことはありません」
 血潮が飛ぶ。
 猟兵達によって刻まれた傷跡から噴出する猛毒の血。その血を纏う下肢たる触手が一斉にレナータに迫る。

「わかっていますよ。驚異的な回避と再生能力……何より、その猛毒の血」
 受ければ毒に冒される。
 さりとて躱せば、地面は眷属たる触手に埋め尽くされてしまう。
 罠も捨て置くことはできな。
 だからこそ、レナータの背に負う機械翼『カノン』が羽撃くようにして広がった瞬間、それは副腕へと姿を変える。
 変形した副腕は砲口を携えていた。
 放たれる熱線が血潮を焼き、触手を焼き切る。
 迫る罠も同様だった。
「だから、こうするのです!」
 床を踏み抜く。
 一斉に迫る罠。四方八方。隙間なく迫る罠の鋒にレナータは怯えなかった。

 そして、その全方位から迫る罠は『異端の魔女ディアナイラ』にも迫る。けれど、彼女もまた同様だった。
 彼女に追加された部位。
 胴の顎は、人体とはかけ離れた挙動によってあらゆる攻撃にカウンターを放つ。そう、レナータの熱線の一撃にさえカウンターのごとく触手を放つのだ。
「動きの起点を止めれば……そう、その胴、こそ起点」
 レナータは念動力で『異端の魔女ディアナイラ』の動きを止める。
「此れで止められると?」
 振りほどくようにして念動力を弾き返し、『異端の魔女ディアナイラ』はレナータを触手の一撃打ち据える。
 血潮が噴出する。
 痛みが走る。
 強烈な、痛み。レナータはけれど、その瞳にユーベルコードを輝かせる。

 己の痛みを他の誰かに与えぬためには一身に受けなければならない。
 きっと彼女には、『異端の魔女ディアナイラ』には共感してもらえないだろうということはわかっていた。
 けれど、それでもレナータは思う。
 走る痛みがどんなものであるのかを。己が向けた悪意が如何なるものかを。
「この身に受けた痛み、すべてあなたにお返しします!」
 輝く瞳から放たれるは、己の痛みを転写するユーベルコード。
「――な」
 激痛が走る。
『異端の魔女ディアナイラ』の脳内に走るは錯覚に過ぎなかった。
 けれど、それは自然発生する外傷によって本当の痛みへと変わる。レナータが感じた痛み。
 この痛みを誰かに押し付けようとする。
 その報いを受けさせるように、レナータは己の痛みを『異端の魔女ディアナイラ』を共感する。
「痛みを忘れた獣よ。これが文字通り痛み分けです――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
罠も設置し自らも改変済み
勇ましーね別嬪さん

即UCで全強化
代償の呪詛殺意を今は冷静に利用

>罠
城全部罠だな
【軽業と罠使い】知識活かし見切り着地点を次々移り【視力/野生の勘】で反射的に躱す

七葉隠を分割し1は手に残り6は【念動力】で敵UCを【追跡、武器受け】弾き念動で足場に使い刺突
触手を斬り裂き七葉隠を6本矢継ぎ早に念動で【投擲】敵本体へ撃ち込む
カウンター見越して微妙に後退して被弾浅め狙うが【激痛耐性】で覚悟も

敵カウンターに吹っ飛ぶのは猫目雲霧と外套を置去りに仕掛けた変わり身
…と見せかけ裏にいる
一瞬でも敵がオレを探せばそこを突く【だまし討ち】
降魔強化で合体七葉隠渾身で振り抜き【串刺し/暗殺】

アドリブ可



 痛みが走る。
『異端の魔女ディアナイラ』は猟兵達のユーベルコードによって痛みを感じていた。
 人間性はとうに存在しない。
 正真正銘の化け物となったのだ。言わば、獣そのもの。ならば、己が目指すのは。
「神殺しの獣そのもの。力の在り方一つで世界が滅びるのならば、世界さえも殺してみせましょう。それが私の望み」
 彼女の胴が裂ける。顎のような追加身体部位によって彼女は人間ならざる動きを見せる。あらゆる攻撃に対してカウンターを放つ力。
 さらには『月光城』内部の罠。
 これらを用いて、迫る猟兵たちを殺す。

 それが己の為すべきことであったが、その一つもがなし得ていない。
 何が違うのか。
 何が異なるのか。
 わからないが、しかし、猟兵は殺さねばならない。
「勇ましーね別嬪さん」
 鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は迫る無數の罠を反射的に躱しながら『異端の魔女ディアナイラ』へと言葉を放つ。
 言葉は彼女の容姿を褒めるものであったし、本心であったことだろう。
 けれど、人間性皆無たる彼女の心には何一つ響くものではなかった。
「だからどうしたというのです。力なきこと以上に私が恐れるものなどないのです。憂う必要も」
 その言葉にトーゴは手にした巨大忍刀を振るう。

 分割される刃。
 念動力でもって制御される分割刃が、『月光城』内部の罠に猛毒と神聖でもって付与した力の武器を弾く。
 重たい。
 ただの武器ではないと理解する。
「これは……」
「ええ、私を嘗て討伐しようとした者たちのものです。力に貴賤はありません。だから、今こうしてあなた方を追い込む武器となっている」
『月光城』内部の罠、その武器は全て彼女のユーベルコードのテリトリーであると知らしめるようなものであった。
 どれだけの生命が犠牲になったのかもわからない。
 しかし、トーゴは矢継ぎ早に分割した刃でもって弾きながら、さらに刃を足場にして蹴って飛ぶ。

「神殺しの獣を目指して、人間性も捨てさって、記憶も失って、それでも求めるものなのか、力ってのは」
「そうでしょうとも。そうでなければならないでしょう。力なきことは、力在ることの前には些細なこと」
 故に、と迫る武器をトーゴは蹴り飛ばす。
 身に宿すは、妖怪、悪鬼、幽鬼。
 己を縛るは呪縛呪詛。
 どうしようもない感情が湧き上がってくる。
 降魔化身法は確かにトーゴの体を強化してくれている。けれど、代償も無論存在しているのだ。
 それが、この胸に湧き上がる呪詛の如き殺意。
 とめどないものが湧き上がってくる。

 振るう分割刃に触手のカウンターが飛ぶ。痛烈な一撃がトーゴを打ち据えるが、しかし、それは変わり身。
 吹き飛ぶ体は、手ぬぐいと外套がトーゴを模したもの。
「搦手と呼ぶにはあまりにも拙い手を」
 しかし『異端の魔女ディアナイラ』に死角はない。彼女の追加された身体部位、胴の顎は、それを起点として360度ぐるりと体を回す。
 故にカウンターは意味を成さない。

 だが、トーゴの強化された肉体ならば、その回転を置い縫うことができる。
 目にも留まらぬ速さ。
「ですが!」
 己ならば、捉えられると『異端の魔女ディアナイラ』は身を捩る。だが、そこには誰もいなかった。何もなかった。
 そう、トーゴは外套の裏に身を潜めていた。
 敵の虚を突く。
 さらに裏をかく。周囲に飛ぶ分割刃が合体し、その巨大忍者刀の一閃が『異端の魔女ディアナイラ』の背を、一撃の元に切り裂くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
罠だらけの城塞か。
戦う為の施設に望むのも酷かもしれないが居住性は最悪ではないかな?

『ヤーヌスの双顔』
自身を起点とした半径100m超の不可視の魔力結界を張って月光城を闊歩。
襲い来る罠は不可視の魔力により射程範囲に入ると同時に消滅させましょう。
月光城の主は回避が得意のようだが空間そのものが武器。
間合いに入った際には全周囲の空間が牙を剥きます。
勿論、シーザー自身もじっとはしていません。
卓抜した戦闘技術(功夫×暴力×第六感×戦闘知識)で『オーラセイバー』を振るいます。
神妙な剣技と不可視の破壊魔力が同時にまた連携して主を襲います。

「やあ、お嬢さん。申し訳ないが此処にある『欠落』、破壊させて貰うね」



 満ちる罠。
『月光城』内部は罠の坩堝だった。
 碁盤目状の天井や壁、床は全て罠。その内部から繰り出される銃弾や矢、剣、槍、果ては振り子斧や鉄球などありとあらゆる物が猟兵達に襲いかかる。
 だが、その罠を踏破するのが猟兵である。
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)もまたその一人であった。
 赤い仕立てのスーツにシワ一つ刻むことなく彼は、『月光城』を闊歩する。
「罠だらけの城塞。戦うためとは言え、この居住性の最悪さはどうかと思わないかね」 
 彼の言葉に斬撃の一撃を叩き込まれ、猛毒の血潮を滴らせる『異端の魔女ディアナイラ』は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 下肢たる触手が血潮を纏いながら一気にシーザーへと襲いかかる。
 彼女の血は、罠に付着し、放たれる。
 それだけであらゆる生命を蝕む棘となるだろう。『異端の魔女ディアナイラ』は傷つく度に、その力をましていく。
 猟兵地の戦いは、加速度的に彼女の力を高める結果となっていた。
「だが、意味はない」
「私にとって力とは存在の意義。力なき者に存在する価値もなければ、意義もないのです」 
 だが、シーザーは、ふむ、と悠然と佇んでいた。
 彼の周囲には、不可視たる魔力が満ちている。
 ヤーヌスの双顔(デウス・アルビテル)と呼ばれる破壊消滅領域。

「ハハハ、意義を求めるかい。力に」
 シーザーにとってはあまりにも無意味であったことだろう。
 こんな罠も児戯に等しい。
 どれだけ罠で全方位を取り囲むのだとしても、猛毒の血満ちる地面から眷属たる触手を生み出して襲い来るのだとしても。
 シーザーのユーベルコードは空間そのもの。
 己が発動していると認識している間、その力は空間を破壊消滅領域へと変え、あらゆるものを破壊していく。
「無論。力に意義なくば、振るうも意義なしでありましょう?」
「それもそうだ。だが」
 シーザーは踏み込む。
 卓越した踏み込みだった。真紅のスーツが翻った瞬間、振るい抜くオーラセイバーの斬撃が『異端の魔女ディアナイラ』へと叩き込まれる。
 否、それは叩き込まれたのではない。

 胴に追加された顎たる部位。
 それによってオーラセイバーを受け止めているのだ。
「お嬢さん。力とは在り方だ。振るうことを決めるのは、力の持ち主だ。意義だの意味だのを考えるのは我等の役目。お嬢さん、君はただ力を求めているだけだ」 
 それでは、とシーザーは斬撃を振り抜く。
 確かに顎で受け止めていたはずだ。振り抜くことなどできはしないはずだ。なのに、と思い至る。
「そうだよ。我がユーベルコードは、不可視の魔力によって破壊消滅させる。私を起点としてね。故に、お嬢さんは私の間合いの内にある」
 見えぬ力の衝動は、一気に『異端の魔女ディアナイラ』の触手を破壊し、消滅させていく。

「申し訳ないが、先を急ぐのでね。此処に有ると云う『欠落』、破壊させて貰おう」
 シーザーは悠然と告げ、手にしたオーラセイバーの一撃を『異端の魔女ディアナイラ』へと叩き込む。
 禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の『欠落』。
 無敵たる、かの獣を切り裂くためには、『欠落』の破壊こそ要。故に、シーザーはさらに踏み込み、痛烈なる斬撃を『欠落』守護する『異端の魔女ディアナイラ』を切り裂くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゾーヤ・ヴィルコラカ
 月光城、またここに足を踏み入れることになるなんて。しかも、今度はたくさんの罠と強大な咎人さんが待っている。でも、足を止めてなんていられないわ。

 【UC:氷棘の乱舞】(SPD)を発動よ! とんでもない動きを〈視力〉で何とかとらえて、〈捕縛〉するように氷の茨を縦横無尽に張り巡らせるわね。猛毒は茨を通して〈浄化〉の〈結界術〉を展開して、戦いの間だけでも耐えられるようにするわ。茨を足場に罠をすり抜けながら魔女様に近づいて、氷を纏った長剣の〈怪力〉を込めた〈属性攻撃〉を放つわね。

 わたしの氷からは、誰だろうと逃れられないわ。さぁ咎人さん、骸の海に還りなさいな!

(アドリブ等々大歓迎です)



 月の満ち欠けに呼応して輝く城。
 それが『月光城』である。足を踏み入れたことのある猟兵もいただろう。ゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)もまたその一人であった。
 苛烈なるヴァンパイアとの戦い。
 数多の罠。
 いずれもが猟兵にとって厳しい戦いであった。
 そして、此度も同様……否、それ以上の脅威が猟兵へと襲いかかる。
「私は神殺しの獣へと至る。力の存在こそが、私の全て」
『異端の魔女ディアナイラ』の下肢が蠢き、また同時に彼女の周囲に合った無數の罠に猛毒と神聖の属性が帯びる。

 無數の罠。
 全方位から迫る銃弾や槍、剣、矢、斧、鉄球。
 ありとあらゆる武器が猟兵を狙っている。ゾーヤは頭を振る。
 またここに足を踏み入れるとは思ってもいなかった。
 けれど、此処で退くわけにはいかない。此処には禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の『欠落』がある。
『欠落』さえ破壊することができたのならば、無敵たる禁獣をも打倒することが可能になる。
「なら、足を止めてなんていられないわ」
 ゾーヤの瞳がユーベルコードに輝く。
 一斉に飛びかかるようにして飛来する無數の罠。全てに猛毒と神聖の力が宿っている。触れるだけでゾーヤの体は毒に冒され、また神聖たる力によって焼かれることだろう。

「いいえ、ここで潰えていただきます」
『異端の魔女ディアナイラ』の下肢たる触手が飛ぶ。無數に、それこそこれまで猟兵たちがユーベルコードによって付けた傷、消耗をものともしないかのようにゾーヤへと迫るのだ。
「とんでもない動きをするのね!」
 胴に追加された部位。
 顎。月光のように輝くそれは、こちらの攻撃に対して確実にカウンターを放ってくる。迫る罠の武器をゾーヤの瞳に輝くユーベルコードが一瞬で凍りつかせる。
 それは棘。
 それは茨。
 蔦のように張り巡らされた氷が、一瞬で罠によって飛来した武器を凍結させ、ゾーヤの足場とするのだ。

「どれだけ早く動こうが、私はあなたを捉えてみせましょう。この顎で、噛み砕き、その暖かな血潮で喉を潤すのです」
「いいえ、それは起こり得ない未来だわ、咎人さん」
 ゾーヤは氷の茨、その棘を縫うようにして戦場を走る。
 次々と罠が作動するが、あらゆるものが彼女のユーベルコードによって凍結され、その鋒を届かせることはなかった。
「罠の武器を全て凍結させますか」
「ええ、わたしの氷からは、誰であろうと逃れられないわ」
 それは氷棘の乱舞(アイシクル・ストラグル)のように。踊るようにゾーヤは氷の園を飛ぶ。

 手にした長剣に氷が纏われ、ゾーヤの膂力によって斬撃が振るわれる。わかっている。この一撃には必ずカウンターが来る。
 下肢たる触腕が宙を滑るようにゾーヤへと迫っている。
 背後。
 カウンターを狙うのなら。敵が人体の構造を超越した挙動を見せるのならば、死角はなく。そして、ゾーヤには死角がある。
 即ち、背後。
 自分の背中に目はない。ならばこそ、必ずそこに来るとわかっているのならば。
「敢えて受ける!」
 背に痛みが走る。結界術でも防ぎきれない。猛毒は茨を通して浄化の力で耐えきる。
 ならば、己の痛みを振り返ることはない。
 手にした長剣。
 如何にカウンターを放つのだとしても、その一撃を振り抜くことによってしか得られぬ未来があるというのならば、ゾーヤは構わず振り抜く。

「さぁ咎人さん。躯の海に還りなさいな!」
 振るった斬撃は氷雪の一撃。かの『異端の魔女ディアナイラ』の体が人体を超越した動きを見せるのならば、凍りつかせることによって動きを止める。
 刻まれた剣閃は彼女を切り裂き、その血潮さえも凍結させ、氷の花を咲かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリー・スペルティナ
ふふん、四方から罠、高い迎撃能力……トラップ城に真正面から挑む程わたくしもアレではありませんわ(今は)

UC【強化呪式:紅の冥霧】!この身を呪血の霧に変えてしまえば槍も矢も銃弾も落とし穴とかも意味はなく、そもそも物理的に傷付けないのならば返り血も無意味ですわ!
わたくしもそういう戦法よくやるからわかるんですのよ!

そして、
この血は想いを喰らうものであり、そうやって無数の呪詛を溜め込み封じたもの、霧となってまとわりつき、
この呪血の力……|想い《感情》を喰らう力と、
そうやって取り込みこの内に封じてきた無数の負の感情――憎悪、憤怒、悲嘆、嘆き、悔恨、それらが積み重なった“呪詛”を浴びせていきますわ!



 鮮血が氷付き、花弁を思わせるように『月光城』に散る。
 それは『異端の魔女ディアナイラ』の身より迸る猛毒を持つ血潮。されど、その猛毒を発揮することはなかった。
 凍りつかせるはユーベルコードの輝き。
 猟兵の一撃はカウンターを見舞う身体部位を追加された彼女をさらに乗り越えて、斬撃の後を刻み込んでいた。
「ここまで追い込まれるとは思いもしませんでした。猟兵。やはり、貴方達は」
 しかし、それでもなお倒れない。
『異端の魔女ディアナイラ』は強大な存在であった。
 もはや人間であったという自覚すらない。
 あるのは己が神殺しの獣へと至る、という目的意識のみ。異端の神々に近づく肉体。下肢たる触手が蠢き、その血潮に宿した猛毒をもって猟兵を殲滅せんとする。

 さらに『月光城』内部の罠が一斉に作動する。
「ふふん、トラップ城に真正面から挑む程わたくしもアレではありませんわ」
 迫る剣、槍、斧や鉄球といった剣呑たる罠を前にメリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)は自信たっぷりに言い放つ。
 彼女にとって、罠とは踏破すべきものである。
 だが、此度の戦いはそれだけはない。ただ罠を踏破するだけなのならば、何の問題もないのだ。
 けれど、相対する敵……『異端の魔女ディアナイラ』は追加された身体部位、胴に現れた顎によって360度全周に死角はなく、あらゆる攻撃にカウンターを放ってくるのだ。
 ならばこそ、メリーは正面から立ち向かうのではなく、己の身より紅い霧を解き放つ。
 迫る罠。
 それを躱すこともできよう。
 だが、それをする、ということは敵に己の行動を読ませる、ということと同義。

「ふふん」
 彼女の身より噴出した紅い霧。
 それは彼女の体を同様に変化させるものであった。
「|吸血鬼《あいつら》にできることですもの、わたくしだってやればできますのよ!」
 強化呪式:紅の冥霧(エンハンス・ブラッドミスト)。
 身を変貌させる特性。
 それによって迫る罠の鋒は悉く霧の中に吸い込まれてメリーの体を傷つけることはなかった。
「こうすれば、罠も何もかも無意味! そもそも物理的に傷つかないのならば」
 そんな彼女の顔面を穿つように猛毒の血潮に塗れた下肢たる触手が槍のように穿たれる。

 だが、メリーは紅い霧となって、再び形作る。
「あなたのどんな攻撃もわたくしには無意味でしてよ。わたくしもそういう戦法よくやるからわかるんですのよ!」
 奇しくもメリーの戦法と『異端の魔女ディアナイラ』のそれは似通っていた。
 だからこそ、分かる。
 物理が無効化される以上、毒は意味を成さない。なにせ、毒は触れて影響を及ぶことで体内に入り込むのだ。
「この血は思いを喰らうもの。わたくしの霧は呪血と同じ。今まで無數の呪詛を溜め込んで封じたもの」
「それで、どうするというのです」
「決まっておりますわ。この呪血の力……|想い《感情》を喰らう力と、そうやって取り込み、この内に封じてきた無數の負の感情――」

 メリーは記憶を有していない。
 あるのは己の黒騎士としての力と死霊術師としての技量のみ。
 記憶が無いからこそ、背負いたいと思うのかもしれない。戦場に満ちる感情はいつだって負の側面が多いものだ。
 この常闇の世界、ダークセイヴァーであれば尚のことであろう。
 故に、人の感情に溢れている。
 呪詛と成り果てるものであったとしても、メリーは死者の想いを形に変え、受け止め、連れていく。
 そうすることが己の使命であるというように、彼女は力を振るうのだ。
「憎悪、憤怒、悲嘆、嘆き、悔恨……」
 それらを束ねた呪詛たる迸りでもって己の紅い霧は噴出し、『異端の魔女ディアナイラ』の体へとまとわりつく。
 身を蝕む呪詛。
 それがこれまでこの世界に殺されてきた者たちの無念である。

 例え、第五層にて死した後、転生したのだとしても、さらなる地獄が待つのみ。
 ならばこそ、メリーは思うのだ。
「積み重なったもの。この呪詛を受け止めるのは、わたくししかないのだと! その力、今こそ身に浴びるときですわ!」
 紅い霧が『異端の魔女ディアナイラ』を飲み込んでいく。
 無念を、怨念を。
 嘆きの先に連れて行くようにメリーはユーベルコードの輝きで持って戦場を満たすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
|悪性《赤》も|善性《青》も行き着くところは同じなのかもしれませんね
ええ、良い迷惑という意味で
完全なる悪性と善性は揺らがない

ですが私たちは揺らぐがゆえに
神も神殺しの獣も打倒する可能性を持ちえるのです

それでは
|メイド《ステラ》、参ります

【メイドズ・ホワイト】
スピードと反応速度で強引に回避&突撃!

月光城の罠はもちろんの事
穢された聖遺物とて当たらなければ意味がありません!!

肉薄したらそのまま肉弾戦に
あまり得意ではありませんが!
出来ないわけではありません!

至近距離まで踏み込んでからの飛び膝蹴り
着地より早く『ニゲル・プラティヌム』を引き抜き
零距離からの乱れ撃ち
フィニッシュは後ろ回し蹴りといきましょう!



 紅い霧が死せる者たちの呪詛を持って『異端の魔女ディアナイラ』を飲み込んでいく。
 だが、それを払うように下肢の触手が振るわれる。
 同時に周囲の罠に宿すは猛毒と神聖たる属性。それが彼女のユーベルコードであった。『月光城』に備えられた無數の罠。
 それらに彼女の力と、彼女を討伐戦とした者たちの力を掛け合わせる。
「私が神殺しの獣に至るためには力を得なければなりません。まだ足りません。もっと多くの傷を得て、もっと多くの力と成さねば」
 傷つく度に異端の神々へと近づいていく。

 それだけしか彼女にはない。
 すでに人間性など失っている。ただただ完全なるに近づくために、あらゆる不要なる要素を削ぎ落としていく。
 揺らがぬこと、と言えば聞こえは良いだろう。
「|悪性《赤》も|善性《青》も行き着くところは同じなのかもしれませんね」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、良い迷惑という意味で、と付け加える。
「完全なるものは揺らぐことはないのです。完全であるからこそ、不完全さを排斥するのです。即ち、それは同一」
『異端の魔女ディアナイラ』の瞳に輝くユーベルコードと共にステラに迫る無數の罠。
 猛毒と神聖を帯びた剣や槍、矢、鉄球など一斉に全方位から襲いかかる。

 だが、ステラは優雅にメイド服の裾をつまんで一礼してみせた。
 余裕があったからしたのではない。
 己が。
 そうであると規定するからこその所作。無駄と言われたのならば、そうだろう。しなくてもいいことだ。
 けれど、それでも。
「|メイド《ステラ》、参ります」
 己は揺らぐ。
 己を規定する真芯を起点として揺らぎ続ける。完全なる善性と悪性は揺らがない。揺らがぬ故に良心というかけがえのないものとを持ち得ない。
 それはともすれば優しさおいうものであったことだろう。

「強いだけの力に意味はない。その強さには優しさというものが必要なのです。いつかの誰かの言葉であったものでしょうが」
 煌めくユーベルコード。
 ステラの瞳は見ている。迫る罠の鋒も。己を射殺さんとする触手の鋭さも。
 だが、それらは全てステラにとって認識できるものであった。
「メイドたるもの、この程度は基本、ですので」
 見て、避ける。
 それは尋常ならざる反応速度であったことだろう。
 まるで罠の鋒がステラをすり抜けたかのように見紛うほどの隙のない、無駄のまったくない所作でもってステラは優雅に『異端の魔女ディアナイラ』へと迫るのだ。

「避けた……!? 罠のみならず、私の触手までも!?」
「ええ、もちろん。穢された聖遺物とて当たらねば意味がありません」
 肉薄する。
 その動きはあまりにも無駄のないものであった。ともすれば、どこまでも優雅たるものでもあった。
 一見無駄に思える動きですら、迫る罠と触手を躱す一手へと昇華するのだ。
「踏み込むこと。ええ、我が『主人さま』もそうであったように」
 揺らぐからこそ得た優しさがある。
 例え、何一つなしえないのだとしても。それでもと願い、足掻き、不完全であるからこそ完璧たる所以もって前に進む。
 それを知るからこそ、ステラは己の膝を跳ね上げ『異端の魔女ディアナイラ』の顎を砕く一撃を叩き込む。
 
 カウンターすら許さぬ流れるような所作。
 攻撃の意図さえ感じさせぬ一瞬。
 刹那の如き一撃は『異端の魔女ディアナイラ』に不可解なる感情を抱かせたことだろう。
 宙に浮かぶステラの体。
 だが、その体が地面に降り立つより早く、抜き放たれた二丁拳銃の銃口が『異端の魔女ディアナイラ』へと突きつけられる。
 カウンターは起こらない。
 これまで猟兵たちが刻んできた消耗が、その反応を遅らせる。
 叩き込まれた弾丸とステラの身を翻して放つ後ろ回し蹴りの一撃が、胴たる顎に叩き込まれ、その起点を砕く。
「できないわけではありません。『主人さま』がそうであったように。メイドたる私ができない、と言うわけには参りませんので」 
 ステラは圧倒するような優雅さでもって華麗に着地し、見事な一例を持って『異端の魔女ディアナイラ』を下すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギヨーム・エペー
はは、回りはトラップで内部は触手に顎! そして無敵とはどう当てつけてみようかなー!! その前に攻撃当てなきゃだけども!!
礼儀を持って聞いておくけど、此処を通してくれないか? あとついでに欠落どこにある?

UCによる痛みは意識し続けよう。気付け薬になる
相手が無敵なら、無敵じゃない罠に攻撃して動きやすい盤面を作りながら挑むよ。地形には均等に罠が割り当てられている。最初は回避や破壊をしようにも、罠はおれを見抜いて驚かせてくるだろう。学習する前に息切れさせるってのも狙いどころなんだろうな、だが引き付ける事はできる!
おれの氷槍をどう返してくる! また来るぞ無謀にも来るぞおれは! 遊んでくれよ、倒れるまで!



「礼儀を持って聞いておくけど、此処を通してくれないか? あとついでに『欠落』はどこにある?」
 ギヨーム・エペー(Brouillard glacé calme・f20226)は、猟兵の一撃に寄って疲弊し、吹き飛ばされた『異端の魔女ディアナイラ』を前にそう告げる。
 礼儀は大切だ。
 どんな時にだって、礼節が足りるのならば、なんとかなるものである。ギヨームはこれまでの人生を振り返ってそう思う。
 だからこそ、この『月光城』の何処かに隠されていると言われる禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の『欠落』の在り処を問うのだ。

「それを言うと思いますか?」
「一応、というのはある。だって、そうするのが人間というものだ。そして、他者というものを認識する術でもある」
 例え、相容れぬ存在同士であっても、だ。
 ギヨームは『異端の魔女ディアナイラ』が答えないことを確認する。答えない、ということがわかっただけでもいいとさえ思っていた。
「楽観が過ぎる、とは思いませんか」
「思わない。いつだってそうだが……!」
 迫るは無數の罠。
 剣や槍だけならばいざしらず弓矢や弾丸、振り子の鉄球、ありとあらゆる罠が全方位からギヨームを襲う。
 
 それを躱すので精一杯であった。
 この罠は猟兵を直接は殺さない。だが、罠の軌道はそれだけでこちらの動きを制限するものであった。
 だからこそ、厄介なのだ。
「この罠もそうだけど、君はどうして求める。『神殺しの獣』になったところで、何がどうなるというわけでもないだろう。力を得ただけだ。それをどう使うかを考えないのなら、意味がないとは思わないか」
 迫る猛毒と神聖帯びた罠。
『異端の魔女ディアナイラ』は、その力を持って猟兵達を追い詰める。
 凄まじい物量。

 それを一身にギヨームは受け止める。
 己の皮膚に猛毒の矢が触れた瞬間、彼の瞳がユーベルコードに輝く。
 猛毒が皮膚を突き抜けて体内に入り込むより早く、彼の皮膚を突き破り現れるは氷結晶の鱗だった。
「……!?」
「ああ、痛いさ。わかっている。けれど、これは気付け薬と一緒だな。意識がはっきりする!」
 猛毒と神聖の罠が一斉に反射される。
 それがギヨームのユーベルコード。
 己の行動や状態に異常と制限を受けると即座に、自動的に反射するユーベルコード。それにより、彼を襲った罠は全て『異端の魔女ディアナイラ』へと撃ち込まれるのだ。
「反射……!」
「ああ、そうだ! そして、俺の氷槍をどう返してくれる!」
『異端の魔女ディアナイラ』は追加された部位によってカウンターを叩き込んでくる。だが、反射された罠全てに対応しきれない。
 全方位から迫る猛毒と神聖帯びた武器全てを捌き切ることはできず、そして、ギヨームの振るう氷槍は最も反撃し難い一撃であった。

 だが、その一撃を胴の顎は噛み砕くように咥え、止める。
「……ッ! こういたしましょう!」
 ひねる体と共に下肢たる触手がギヨームへと叩きつけられる。氷結晶の鱗が砕けるが、しかし、瞬間ギヨームの体が飛ぶように舞い上がる。
「無謀だというかもしれないが! 遊んでくれよ、倒れるまで!」
 ギヨームは笑って氷の槍を振りかぶる。
 宙に浮いたのは全方位から反射れた罠から逃れるため。
 そして、放たれた罠は『異端の魔女ディアナイラ』へと叩き込まれ、その身を無數の武器でもって壁へと縫い込まれる。

 そこへ叩き込まれる氷の槍。
 飛び散る血を凍りつかせるほどの一撃は、しかして『異端の魔女ディアナイラ』をさらなる消耗へと引きずり込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

たしか神殺しの剣、だっけ?
面白そうだね、そんなものが何を隠してるのか!
それを教えてもらうためにもゴッドスレイヤーされないためにもここを攻略していかないとね!

●罠も返り血も当たらなければ
罠も返り血もあると分かってればどうということはない!(ないかな?)
ボクはともかくボクの【第六感】を舐めてもらっちゃ困るね!
罠を踏まないか、踏んでも当たらないコースでダッシュ!
あるいは[球体]くんたちをばらまいて適度に防いだり罠を潰したり…
そして何より罠を避けるのが得意な彼女の動きを制限する!
そうして隙を見出せばUC『神撃』でドーーンッ!!

さあ神殺しとはいかなるものか
ボクに教えてよ!



 禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。
 それは無敵たる獣。
『欠落』を隠すが故に、その無敵たる力を削ぐことはできない。退けることはできるかもしれないが、倒しきれないということは脅威が過ぎ去らぬことを示していた。
 故に猟兵たちは『欠落』を探し求める。
『月光城』にて強大たる存在、『異端の魔女ディアナイラ』が守っているというのは、逆説的に此処に『欠落』が存在することを示しいたことだろう。
 だが、彼女は傷つく度に異端の神々へと近づいていく。

 すでに彼女に人間性はない。
 穿たれた身は猛毒の血潮を垂れ流せども、しかして力は増していく。
「私が求めた力。神殺しの獣に至るための力。力なき者ではなく、力あるモノとして……」
 猟兵達のユーベルコードは確かに彼女を消耗させていた。
 だからこそ、更に彼女の力は強大になっていくのだ。
「面白そうだね! そんなものが何を隠しているのか! うんうん、それを教えてもらうためにもゴッドスレイヤーされないためにも、此処は攻略していかないとね!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は作動する『『月光城』の罠を飛ぶようにして躱す。

 全方位からの罠。
 碁盤目状の床や壁、天井。
 いたるところから罠の剣や矢、銃弾に斧、鉄球に槍。もう雨あられとばかりにロニに迫っている。
 だが、それを全て第六感でもって躱す。
 罠なんていうのは、踏み込まなければどうにかなるというものと示すように彼は走る。罠を作動させても構わない。飛来するより早くかければ良いのだというように迫る触手をも躱す。
「どうしたんだい、動きにキレがないよ!」
 ロニはわかっていた。
 これまで猟兵達のユーベルコードが煌めく度に『異端の魔女ディアナイラ』の動きが鈍ってきているのを。
 そして、致命的なことに彼女の胴に追加された身体部位。
 カウンターを可能とする奇っ怪な挙動の起点はすでに穿たれ、潰されている。

 だから、こちらに攻勢を掛けることができないでいる。
「私を……!」
「舐めるなってことだね! わかっているよ! だけどさ!」
 罠を踏み越え、さらに『異端の魔女ディアナイラ』へと迫る。己一人であればここまで踏み込むこともできなかっただろう。
 けれど、猟兵達のユーベルコードは確実に彼女を追い込んでいたのだ。
 迫るロニを『異端の魔女ディアナイラ』は人間性の失われた瞳で見つめる。神性。殺さなければならない存在。
 だが、届かない。

「さあ神殺しとはいかなるものか。ボクに教えてよ!」
 振るう一撃は、そのなんたるかを示させはしない。
 振りかぶった神撃(ゴッドブロー)。
 その煌めきは信心無き者にさえ神々しさというものを感じさせるだろう。人間性宿らぬ瞳にさえ光をともして見せる。
 放たれた拳は『月光城』を内側から砕くように破片を飛び散らせ、その強烈なる一撃でもって『異端の魔女ディアナイラ』を叩き伏せるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
力を使えば使うほどに異端の神に近づいていく、か
他人事と思えない部分はあるけれども
相容れない存在である以上倒すしかないね

罠で飛来する武器は神気で防御しつつ
ガトリングガンでディアナイラを攻撃
相手のUCで飛んでくる武器や防具は
ガトリングガンの範囲攻撃で迎撃したり
神気で防御したりしようか

カウンターで繰り出される
触手や顎はワイヤーガンを利用して躱そうとするよ

躱しきれなかったら静謐誓願を使用
攻撃を受けても自分を現状から変化させない事で
受けたダメージを疑似的に回復するよ

邪神の好きな永遠に近付くUCだから
あまり使いたくは無いんだけどね

そして戦場全体を神気で覆えば回避はできないから
相手の体を凍結させて攻撃しよう



 内部より破壊されるようにしてユーベルコードの一撃が炸裂する。
『月光城』の壁面は吹き飛び、内蔵された罠が宙に舞う。
 それはこれまで『異端の魔女ディアナイラ』を討伐せんとした者たちが遺した武器。それらを罠に転じていたのが、彼女の力。
 魔性を打倒さんとした神聖たる属性にあらゆるものを殺す猛毒を満たした武器。
 それらは全て『異端の魔女ディアナイラ』に制御され、その全方位たる一撃を迫る猟兵……佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)へと向ける。
「力を使えば使うほどに異端の神々に近づいていく、か」
 他人事とは思えなかった。

 己もそうであるからだ。
 力の行使は常に代償を強いるものである。だからこその共感。けれど、相容れない存在である。
 己が猟兵であり、『異端の魔女ディアナイラ』がオブリビオンである異常、滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかないのだ。
 故に、倒すしかない。
「射殺すがいいでしょう。私を殺さんとした神聖たる武器よ。私の猛毒たる血潮に冒されし武器よ」
 降り注ぐ武器。
 鋒には全て『異端の魔女ディアナイラ』の血が塗れている。
 受ければ己を蝕む猛毒で死に至るだろう。
 だからこそ、晶は己の手にしたガトリングガンで迫る罠の武器を弾き飛ばす。

 だが、その攻勢は却って『異端の魔女ディアナイラ』の攻勢を強める結果になる。彼女の下肢たる触手が飛び、穿たれた胴の顎は動きを鈍いものとしていながらも、晶の放った弾丸似合わせるようにカウンターたる一撃を叩き込んでくるのだ。
「疾い……! ここまで追い込んでまだ動く!」
「私は神殺しの獣に至る。私の力であらゆる者を殺せるように慣れば、もう誰も私を殺せることはできない」
 だから、と『異端の魔女ディアナイラ』は叫ぶ。

 迫るは穿たれた胴を更に引き裂かんばかりに広げた大顎。
 己を丸ごと飲み込まんとするかのような醜悪たる姿。だが、晶は見据える。力を使い、傷つき、その度に人間から離れていく。
 元あった人間がどのような存在であったのかも、もう伺い知ることはできない。
 慰めもなく。
 癒やしもなく。
 救いもない。

 世は事もなし、とは行かないのが現実である。
 晶の瞳がユーベルコードに煌めく。
 それは、静謐誓願(インヴァリアブル・セレニティー)。戦場に満ちるは森羅万象に停滞をもたらす神気。
 一瞬で放たれた神気は『異端の魔女ディアナイラ』の体を凍結させる。
「悪いね……邪神の好きな永遠に近づくユーベルコードだから、あまり使いたくはなかったんだけれど」
 そうも言っていられないほどに強大な敵だったのだ。

 停止するように固定された『異端の魔女ディアナイラ』。
 大顎をもたげ、その力を求め続けた意志は、晶には共感できても理解できないものであった。
 永遠は確かにあるのだろう。
 邪神が言うように。
 けれど、晶はそれを否定する。肯定をしない。
 なぜなら、己は戻りたいと思っているからだ。どうしようもないほどに焦がれたものがある。
 だからこそ、晶は停止された時間の中で浮かぶ『異端の魔女ディアナイラ』へとガトリングガンの銃口を向け、その体を撃ち抜く。
 砕け散っていく体。
 その光景を見上げ、晶は相容れずとも、似通った部分を有する敵の最期に、これ以上変わりようがないという滅びを手向けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月12日


挿絵イラスト