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闇の救済者戦争⑬〜美少年回廊

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #月光城

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「……あの人だ」
 グリモアベースで、青い六角柱の水晶の形を覗き込んだロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)はそう呟いた。その顔は、いつもの無表情とは違っていた。若干青いような、それでいてどこか怒気をはらんだような。見慣れない表情のまま、ロビンはその名を口にする。
「……『拷問伯爵』フォルター・フェッセルン…………僕を、攫って……城に、閉じ込めたヴァンパイア」
 それが、このグリモア猟兵の少年の宿敵の名だった。

「……あの人……何も、変わって、ない……」
 いつものぼそぼそとした口調の端に怒気をはらませ、ロビンは続ける。
「僕、だけじゃない……何人も……何人も……攫って……捕まえて……悪戯に、拷問具にかけて……!」
 ぎゅっと握りしめた拳を震わせ……俯く。
「……僕は、あの人の、お気に入り、だったから……何も、されなかったけど」
 その顔には『助けられなかった』後悔が滲む。この少年が何かと人を助けようとするのは、あるいは自分と同じように『拷問伯爵』に攫われた人々を助けられなかった罪滅ぼしなのかもしれない。グッと袖で涙を拭うような動作をして、ロビンは面を上げた。
「……ごめん、取り乱した……ちゃんと、説明、するね」
 しゃんと背筋を伸ばした彼は、いつものグリモア猟兵としての顔だ。
「第五層にある、『月光城』は、外敵……おそらくは異端の神々と戦う為の城塞、なんだけど」
 月光城といえば、月の満ち欠けに応じて輝くという謎の城だ。ロビンもまた、その調査を猟兵達に依頼したことがある。しかし今、デスギガス災群に乗って現れたこの城塞群は少々その時とは趣を異にしているらしい。
「第五の貴族をも凌駕する、『月光城の主達』は……その城塞群の中央に、『ケルベロス・フェノメノンの欠落』を、隠してる」
 つまり、この戦場を制圧すれば、この先に控える究極禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の欠落が判明した上、それを破壊して、禁獣の持つ「無敵能力」を無効化できるということだ。ただ、それも一筋縄ではいかない。
「ケルベロス・フェノメノンの……秘匿された、『欠落』に繋がる『魔空回廊』には……月の眼の紋章と、魔空回廊の相乗効果で、大幅に強化された……月光城の主が、いるから」
 それが、今回はロビンの宿敵たるフォルター卿らしい。その戦闘能力、回廊内にいる限りという条件付きではあるが、実に元の『660倍』。そのまま戦えば、およそ勝ち目はあるまい。しかし、この能力強化の源は、回廊にぐるりと取り巻かれる形で作られた|人間画廊《ギャラリア》に「展示品」として囚われている人間達の命。つまり囚われた人間を助ければ助けるほど、弱体化する。この辺りは以前の月光城の調査の時と同じだ。ただ、今回囚われているのは。
「きれいな……男の子、ばっかり」
 ロビンが若干呆れた様相で腕を組む。そんなところも変わっていないと言いたげだ。どうやらこの拷問伯爵、美少年がことのほか好きらしい。自らの美しさをひけらかすタイプではないが、ロビンもまた、大きな銀色の瞳に漆黒の髪が映える、目鼻立ち整った美しい少年だ。その上、ダークセイヴァーでもそれほど数が多いわけでもないだろうオラトリオ。美少年好きの拷問伯爵のお気に入りになるのもむべなるかな。ともあれ。
「フォルターは……|人間画廊《ギャラリア》に、まるでホルマリン漬け、みたいに……巨大な瓶に詰めて、少年を飾ったり……鳥でも、鑑賞するみたいに……鳥籠に、閉じ込めたり……!」
 説明する少年の声が再び、怒りに震える。聞いているだけでも吐き気を催す邪悪だ。しかも、そうして「飾られて」いる少年達の中には、散々拷問具にかけられていたぶられ、既に虫の息の者もいれば、なんなら棘だらけの拷問椅子やラックという拷問具にかけられた状態で「展示」されている少年もいる。早く助けなきゃ、とロビンは見ている方が痛くなるほどに強く拳を握りしめた。
「……幸い、といっていいのか、分からないけど。あの人……莫迦だよ」
 吐き捨てるようにロビンが言う。大人しい彼らしからぬ口調だが、それほどまでに怒りが深いのだろう。
「……扉は厳重に鍵かけたのに、窓は閉め忘れるような人だから」
 どこか遠い目で呟くロビンの目には、おそらくは彼が宿敵の手から逃げおおせた時の光景が映っている。どうもフォルター卿には、美少年を攫い、拷問具にかけその血を啜る|恐ろしい《変態の》一面と、そのくせ|どっか抜けてる《頭弱い》一面があるようだ。
「そのくせ、自分では自分のこと、賢いと思って自惚れてるから……もしかしたら、使える、かもね」
 敵の弱点ともいえる一面を告げ、少年は水晶型のグリモアを閃かせる。フォルター卿は彼の宿敵ではあるが、今回はグリモア猟兵として皆を転送させる仕事があるため、ロビンは一緒には行けない。代わりに倒してきて欲しい、という少年の真摯な願いと共に、猟兵達は魔空回廊に降り立った。


ライ麦
 ライ麦です。ずっと出したかったロビンの宿敵ですひゃっほー! もっとねっとり書きたかったんですが()、時間もないのでこの辺で!

 要点だけ説明すると、これは一章のみで完結する戦争シナリオです。禁獣ケルベロス・フェノメノンの秘匿された『欠落』に繋がると思しき謎の通路、『魔空回廊』を守る月光城の主を倒してください。
 敵は『月の眼の紋章』と融合しており、その紋章と魔空回廊の相乗効果により、回廊内にいる限り、戦闘能力が元の『660倍』になるというチートモードですが、この能力強化の源は、回廊にぐるりと取り巻かれる形で作られた|人間画廊《ギャラリア》に「展示品」として囚われている人間達の命です。強烈な攻撃を何とかして掻い潜り、囚われた人々を解放する度に敵の強化は失われていきます。全体の半分の人々を解放できれば、強化は完全に失われます(プレイングボーナスがつきます)。
 また、今回戦うフォルター卿には、「自分では自分のことを賢いと思っているが、実際は割と抜けてる」という弱点があります。当シナリオのみ、この弱点を利用したプレイングにもボーナスがつきます。

 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『『拷問伯爵』フォルター・フェッセルン』

POW   :    私の命令は絶対なのだ!
【拷問具】を見せた対象全員に「【動くな!】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【フォルターに抵抗する気力】が半減する。
SPD   :    さあ、私に跪くがいい!
【手枷】【足枷】【猿轡】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    やはり美少年の血液は美と健康に良い……!
全身を【美少年の血液】で覆い、自身が敵から受けた【屈辱】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:沖田龍

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ロビン・バイゼです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サマエル・マーシャー
UCを発動し回廊を救いの世界に。
これで囚われた方々はいつでも出られるようになります。
ですがその気力もない人も多そうなので皆さんに向かって私の羽を散布する範囲攻撃。『神の毒』の効果で彼らの心に希望を与えます。
敵からの攻撃も私の羽が散布されている以上、敵は羽に触れれば薬物で心を壊されますから簡単には私に近づけないはず。

敵の強化が失われたら「私の能力は分かったでしょう?試しにあなたも私に救いを求めてはいかがですか?」と。
自惚れが強い相手なら結論は否定になるはず。

救いを否定しデバフがかかった敵に接近・密着し『盲目の天使』と『盲目的で破滅的な愛』のコンボで廃人に。

悪として生きるしかない憐れな命に救済を。



「あなたたちはここに囚われ、苦しんでいるのですね」
 回廊に降り立ったサマエル・マーシャー(|電脳異端天使《サイバー・グノーシス・エンジェル》・f40407)はぐるりと回廊を取り巻くように飾られた美少年達を見回し、呟く。腰から翼を生やし、頭上に輪を備えた彼女の姿は、まるで天使のよう。
「私が救世主です。あなたたちを全ての苦しみから解放します」
 サマエルがそう唱えた瞬間、少年を拷問椅子に縛り付けていた手枷足枷は音を立てて崩れ、鳥籠の鍵は破壊され、瓶の蓋は開く。
「な……!? 貴様、何をした!?」
 突如回廊に舞い降りてきたサマエルに呆然としていたフォルターも、それで我にかえって、憤怒の表情で彼女を睨みつける。せっかく捕らえた美少年達を逃がされてはたまったものではない。彼の方を向き、サマエルは淡々と答える。
「ここは、救いを求める者には絶対に救いが与えられる世界です」
「ふざけるな! いつの間にそんな世界に……」
 言いながら周囲をぐるり見回したフォルターは、勝ち誇ったように言った。
「なんだ、誰も逃げていないではないか! ふはは! やはり皆、私の元にいたいのだな!」
 見れば、せっかく自分達を捕らえ、縛り付けていた器具が破壊されたというのに、少年達は虚ろな瞳でぼんやりとそれを見ているだけで、誰も逃げ出そうとしない。それもそうだろう。突然与えられた救いに現実感がわかないというのはもちろん、おそらくはこれまでもさんざん逃げ出そうとしてはその度に捕まり、お仕置きと称して激しくいたぶられてきたのだろうから。いわゆる学習的無力感というやつだ。そもそも痛めつけられすぎて、既に虫の息の者もいる。逃げ出そうという気力がわかないのも当然だ。無論、それはサマエルも想定のうち。
「あなたたちの心に希望を」
 そう述べて、サマエルは自身の羽を広範囲に飛ばし、ばらまく。たかが羽、とフォルターが嘲笑するように鼻を鳴らしたのもつかの間。その羽に当たった少年達の目はみるみるうちに輝きを取り戻し、我先にと逃げ出していく。
「な!!? お、おい、待て、私から逃げ出そうというならお仕置きだ!」
 慌てて手にした猫鞭を鳴らすも、サマエルの羽……『神の毒』によって希望を植え付けられた少年達は止まらない。捕らえようにも、逃げ出した数が多すぎて捕らえきれない。忌々しげに地団駄を踏み、
「くそ、こんな羽がなんだというのだ……!」
 と落ちている羽に手を伸ばしたフォルターは、触れた瞬間本能的に何か危険なものを感じ取ったようで、慌てて引っ込めた。それもそのはず。『神の毒』の正体は、羽に染み込んだ薬物。迂闊に触れれば、心が壊されてしまう。いくら紋章と回廊の効果で戦闘能力が大幅に上昇しているとはいえ、心が壊されてはどうしようもない。そもそも、多くの囚われの少年達が逃げ出した今、既に660倍もの強化はないはずだ。狼狽えているフォルターにサマエルはそっと近づき、囁いた。
「私の能力は分かったでしょう? 試しにあなたも私に救いを求めてはいかがですか?」
「ふ、ふざけるな! 誰が貴様の救いなど!」
 サマエルを睨みつけ、血……おそらくは捕らえた美少年達から集めたであろう血液の入った瓶を頭上に掲げるフォルター。みすみす少年達を逃がされ、格下と信じている相手からは救いをちらつかされ、相当屈辱を味合わされた彼は、この血で失った戦闘力をいくらかは補える、はずだった。その血を浴びる前に、美少年達の血の入った瓶はなぜか手の中を滑り落ちて、床に落ちて割れる。
「な!?」
 驚愕に目を見開くフォルター。まさかただ血を浴びるだけの行為が失敗するなど。だが、それも当然だ。ここは、サマエルの価値観で救いが与えられる慈悲の世界。救いを拒絶した相手に、与えられる慈悲はない。固まっているフォルターに、サマエルはさらに近づき……押し潰すように抱き締めた。
「悪として生きるしかない憐れな命に救済を」
 『盲目の天使』と『盲目的で破滅的な愛』をくらったフォルターが絶叫する。流し込まれたのは、快楽を感じる以外の全てを喪失した廃人に貶める毒。しかし、それもまた彼女にとっては愛で、救済なのかもしれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ絡み歓迎

ロビンさんのトラウマ、なんとかするの

え、と…、その目、なんだか怖いの…
(身なりも綺麗で手入れの行き届いた黒髪と竜胆の毛並み、気弱そうで気品のある佇まい)
狼の脚力と瞬発力で走って必死に逃げながら必死に避けて、嗜虐心をくすぐるね
そうやって、とにかく、時間稼ぎして相手の力や人間画廊に施された魔術的拘束の解析を進めるの

く、まずいの…っ!
猿轡を嵌められそうになったら、月光城に満ちる月の魔力を吸収、狼のオーラを纏って、咆吼を上げるの
音撃で拷問器具を破壊
逃げてばかりじゃ、ないよ?
何度も咆えて反撃なの



(「ロビンさんのトラウマ、なんとかするの」)
 ここまで転送してくれたグリモア猟兵の身の上話を思い出し、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は獣の手を握って気合を入れる。入れたのだが。
「人狼の美少年が攫わずとも私の元に来てくれるとは! ふはは! ツイているな!」
 歓迎するように両腕を広げて高笑いするフォルターに早くも心折れそうになった。しかし、フォルターのその反応もある意味当然だ。ロランの、身なりも綺麗で手入れの行き届いた黒髪と竜胆の毛並み、気弱そうで気品のある佇まい。どこをとっても、フォルターの好みそうな美少年だから。目を妖しく光らせ、近づいてくるフォルターに、ロランは、
「え、と……、その目、なんだか怖いの……」
 と、怯えた様子でじりじりと後ずさりする。
「怖い? そうか、ならもっと恐怖するがいい! 恐怖すればするほど、美少年の血はさらに美味しくなる!」
 これ見よがしに猫鞭を鳴らし、迫るフォルター。たまらず、ロランは四脚で駆け出した。
「いやっ、来ないでっ……!」
 瞳を潤ませ、時折後ろを振り返りながら、狼の瞬発力と脚力でとにかく回廊内を駆け回るロラン。その背後から、足枷やら手錠、鋭く尖った金属の鉤爪、鋭い棘付きの輪、等々、様々な拷問具が飛んでくる。それらを必死で避けながら逃げる彼の姿は、フォルターの嗜虐心を煽るには十分だった。
「ほらほら、逃げても無駄だぞかわいいワンコちゃん?」
 全身を美少年の血液で覆い、舌なめずりしながら追ってくるフォルター。事実、様々な拷問具を避けて駆けている間に、ロランは次第に回廊の隅に追い詰められつつあった。
「く、まずいの……っ!」
 焦りに顔を歪める彼に、その口を塞ごうというのか、猿轡が飛んでくる。紋章と回廊、それに全身を覆った血液によって強化された一撃は、確実にロランを捕らえる……はずだった。
「うぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉん!」
 突如、魔術文字による隈取が発生し、狼の様な見た目になった彼が咆哮を上げる。それはフォルターが全身を覆った血を弾き飛ばし、さらにその音響は美少年達が囚われている拷問具を破壊する。
「な……なんだ?」
 耳を押さえ、よろよろとよろめくフォルター。そう、ロランはただ逃げているだけではなかった。その実、時間稼ぎして相手の力や人間画廊に施された魔術的拘束の解析を進めていたのだ。
「逃げてばかりじゃ、ないよ?」
 お返しとばかりに、何度も吠えて反撃するロラン。解析を元に放ったユーベルコードは、着実にフォルターを追い詰めていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【鯱兎】

攫われて、閉じ込められて
そういう意味では僕も同じだったから
他人事とは思えないかな

初めは小さい体で翼収納、風魔法を乗せた靴で浮遊し晃君の陰に隠れ
目を逸らしてくれた隙に救助優先

治療が必要な子にはUCで癒しを与え
切断可能な檻、器具の類は鎌で切断
或いは氷魔法で凍結後に衝撃を与え砕く事で破壊狙い

ただ、下手に壊すと余計に傷つけそうな場合は
軽く手を振って合図を出し晃君と交代
今度は僕が、高速詠唱、多重詠唱で水、氷魔法の属性攻撃、範囲攻撃
あちらこちらに氷の壁を生成したり
血液ごと本人を凍結させ時間稼ぎ

えっ、喋れない……?
しゃ、喋るの、苦手なんです…!
だから、僕に話しかけないでください…!
(必死に話合わせ)


堺・晃
【鯱兎】
無理はなさらないでくださいね

あらかじめ澪君を人形に触れさせ澪君の姿をコピー
更に指定UCを発動し遠隔操作
本物の澪君が動いているように錯覚させ、攪乱
その隙に澪君を救助に向かわせ

賢い貴方なら、2対1でもうまく立ち回るのでしょうね
厄介なことだ
あぁ、その子喋れないんですよ

SPDUCは人形を盾にし
救助音をごまかすため銃での射撃や
召喚したメイデンの棘の一斉発射等で極力大きな音を立てる

澪君の合図が見えたら紫鴉を呼び出し
毒爪の攻撃で気を引かせた隙に自ら人形に触れ
僕の姿の人形の髪を伸ばし敵を捕縛、足止め
暗殺技術を用いて視界に映らないよう素早く移動し
澪君と交代後拷問具を解除して回ります
僕も拷問具詳しいので



(「攫われて、閉じ込められて。そういう意味では僕も同じだったから、他人事とは思えないかな」)
 転送を担当したグリモア猟兵の話、そして今も様々な拷問具や瓶、鳥籠等に囚われている美少年達の姿に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は自らの過去を重ね合わせて胸を痛めた。助けたい。その思いを込めた瞳で、物陰から囚われの少年達を見つめる彼に、堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)は、
「無理はなさらないでくださいね」
 と囁いて、Mirror Dollを澪に触れさせる。すると、本物の人間のように精巧な人形はたちまち澪そっくりの姿に変わった。見えない念糸を操り、晃はその人形をフォルターの前に向かわせる。
「む、また新たな美少年が! ……いや、少女か……?」
 突然眼前に現れた澪(人形)の姿に、フォルターは目を輝かせ……しかし少女と見まごう容姿に、暫し考え込む。
「あぁ、その子は立派な男の子ですよ」
 柔和な笑みを浮かべながら、晃も彼の前に躍り出た。その背後に隠れるように澪は翼をしまい、ただでさえ小さな体を縮こませて、風魔法を乗せた靴で浮遊する。しかし目の前に現れた美しいオラトリオが少年であると聞かされたフォルターは、本物の澪の存在に気付かない。爛々と瞳を煌めかせ、手にした猫鞭を鳴らした。
「素晴らしい……! 逃げ出したあの子の代わりに、私の新たなコレクションに加えなければな!!」
 早速澪人形に向かって手枷、足枷、猿轡を放つフォルターに、
「おやおや、おいそれと、僕のおも……澪君は渡せませんねぇ」
 晃はにこやかな笑みのまま、すかさず念糸を手繰って人形を退かせ、さらに放たれた拘束具を銃で撃ち抜く。金属製の拘束具とぶつかった銃弾は大きな音を立て、その音にフォルターが気を取られている隙に、澪は素早く晃の背から離脱した。彼が澪人形を操り、わざと音を立てながらの戦闘で敵の目を逸らしてくれている間に、囚われの少年達に駆け寄る。
「大丈夫? 今、助けるから……」
 底に生えた鋭い棘に全身を刺され、息も絶え絶えに鳥籠の中に横たわっている少年達に優しく声をかけ、澪は聖なる光を放出する。その光に照らされた少年達の傷はみるみるうちに癒え、起き上がる元気をも取り戻す。引き換えに澪は疲労するが、救えるのならこれぐらいなんともない。さらに鳥籠の檻を氷魔法で凍結させ、その上から透き通った美しい薄紅色の鎌を振るうと、凍結し脆くなった檻は砕け散った。同じ要領で、澪は次々に少年達を救い出していく。一方、戦っている晃の方は。
「賢い貴方なら、2対1でもうまく立ち回るのでしょうね。厄介なことだ」
 等と、フォルターを煽りながら、召喚したアイアン・メイデン・スキュアの扉を開き、内部の棘を一斉に発射させる。実際のところ、敵はうまく立ち回るどころではない。美しい澪人形、それに晃がわざと立てる音に気を取られ、襲い来る棘や銃弾に翻弄されて無様に踊っている有様だ。
「く、くそ……しかし貴様さえ封じれば、このオラトリオの美少年は私のもの……!」
 歯ぎしりしながら、フォルターは今度は晃に向かって拘束具を放つ。おっと、と晃は自身の前に澪人形を差し出した。晃に代わり、手枷足枷を嵌められる澪人形。本物と信じているフォルターは喜びに打ち震える。
「おお……ついに私にこの美少年を差し出す気になったか! 早速可愛がって……」
 下卑た笑みを浮かべて澪人形ににじり寄ったフォルターはしかし、はたと立ち止まった。
「……しかし、この少年、さっきから一言も喋らないな?」
 これでは鳴かせ甲斐がないとしげしげと眺めるフォルター。まずい。人形であることがバレたか……などと焦ることもなく。
「あぁ、その子喋れないんですよ」
 晃はしれっと嘘をついた。
「そうか。なら問題ないな」
 あっさり納得したフォルターは、さぁどう可愛がってやろうかと澪人形に手を伸ばし……その時、晃の視界の端に軽く手を振る澪の姿が映った。
(「詳しくない僕じゃ、余計に傷つけそうだから」)
 梯子状の台……いわゆる「ラック」と呼ばれる拷問台で手足を拘束され、体を引き伸ばされた状態で「展示」されている美少年を指差し、澪は身振り手振りと小声で説明する。頷いた晃は、黒に近い紫色をした、赤い瞳のカラスを呼びだし、猛毒を塗った爪でもってフォルターを襲わせた。
「うぉっ!? なんだ!?」
 敵が慌てふためている間に、晃は今度は自分自身で人形に触れた。澪のかたちをとっていた人形が、晃へと姿を変える。たとえ手枷足枷を嵌められた状態でも関係ない。その人形の髪は長く伸び、フォルターを拘束する。その隙に、晃は彼の視界に映らぬよう、素早く移動した。代わりにその前に躍り出たのは本物の澪だ。
「……あれ? いつの間に手枷足枷を外して……というか、入れ替わっている??」
 ようやく紫鴉を振り払ったフォルターが、いつの間にか位置を入れ替えた(※フォルターから見れば)澪と晃を交互に見て目を瞬かせる。あまり賢くないという話は本当のようだ。ため息をつきつつ、
「水よ、氷よ、僕に力を」
 と高速詠唱、多重詠唱で水、氷魔法の属性攻撃を放つ。腐っても一応紋章と回廊の効果で強化されている相手だ。どうにか晃人形の髪の拘束を振り払い、逃げ出そうとする彼に、
「逃がさないよ」
 澪は冷徹に魔法で成形した氷の壁をあちらこちらに作り出し、足止めする。
「くっ……だがこんな壁程度!」
 すかさず瓶に詰めた美少年達の血液を取り出し、浴びようとする彼を、
「させない!」
 澪は血液ごと凍結させた。凍った血液で全身を覆うことはできない。恨めし気に彼を睨みつけたフォルターは……ふとあることに気づいて首を傾げた。
「……あれ、そういえば君は喋れないという話ではなかったか?」
「えっ……喋れない……?」
 知らんうちに付与されていた設定に、澪は背筋を硬直させる。
「しゃ、喋るの、苦手なんです……! だから、僕に話しかけないでください……!」
 必死で話を合わせつつ、
(「……晃君~!!」)
 心の中でチームメイトを恨んだ。その晃といえば、特に噂にくしゃみするということもなく、悠々と拷問具を解除して回っていた。拷問具には詳しい。澪が苦戦していたラックも、手足を縛るための縄を解いてしまえばなんてことはない。解放した美少年にお礼を言われながら、晃は涼しい顔で進んでいく。敵の力をさらに削ぐために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラピリナ・ラピルバール
解りました、ロビンさん!びしょ……無辜の民を護るが騎士の、領主の務め!
このラピリナ・ラピルバールに任せてください!(気のせいか息が荒い)

まずは囚われている方々の救出を優先します
確かに不利な状況ですが、そんな事はよいのです、
何故なら人々を護るは騎士としての責務。
特に子供らは未来の希望、故に!彼らを護るのを優先するのは当然なのです!!(UC)
加えて『サードアーム』(髪を腕のように扱える)も用いて彼らを助け連れ出そうとします

相手のUCですが……目の前に美少年が居るのに他に目が行く訳がありません!
拷問具などに気を取られている暇はないのです!
ひたすら救助と連れ出し、おまけで囮と攪乱として動きましょう



「解りました、ロビンさん! びしょ……無辜の民を護るが騎士の、領主の務め! このラピリナ・ラピルバールに任せてください!」
 などと、なぜか鼻息荒くグリモア猟兵に詰め寄ったラピリナ・ラピルバール(女騎士、ラビシャンに転生する・f39113)はその通りに転送されていた。フォルターの目の前に。
「わざわざこの私の前に出てくるとは、間抜けな奴だ! よっぽどこの拷問具の餌食になりたいようだな!」
 そんな彼女に、これ見よがしに猫鞭や、猫の爪(スペイン式くすぐり器)、ブレストリッパーといった拷問具を見せ付けるフォルター。美しい女騎士ではあるが美少年ではない彼女に容赦はない。だが、そんな拷問具の数々をラピリナは見てなかった。
「うっひゃああああ! こんな! 美少年がこんなにたくさん!」
 目を輝かせ、涎すら垂らしながら、飾られた美少年達に見入っていたから。そう、彼女は悪い意味でのこども好きだった。ある意味同類(※しかしこんなに悪趣味ではない)の彼女にポカンとしつつ、フォルターは我にかえって、
「おい、こら、この私を無視するとはどういう了見だ! こっちを見ろ! 動くな!!」
 と憤然と命令する。しかし彼女の目は美少年達に釘付けのまま動かなかった。
「目の前に美少年が居るのに他に目が行く訳がありません! 拷問具などに気を取られている暇はないのです!」
 涎と鼻血を拭い、ラピリナは兎の脚で跳躍する。確かにここは敵の本拠地で、紋章と回廊の効果で、相手は大幅に強化されていて。不利な状況であることは間違いない。だが。
「そんな事はよいのです! 人々を護るは騎士としての責務。特に子供らは未来の希望、故に! 彼らを護るのを優先するのは当然なのです!!」
 高く跳び上がった彼女は、そのまま何らかの液体に漬けられて閉じ込められている美少年の瓶に蹴りを入れた。(悪い意味での)こども好きの性質のために不利な行動をすればするほど、彼女の身体能力は強化される。強化された身体能力での蹴りは、ガラスの瓶に大きなヒビを入れる。耐えきれずに砕けた瓶から、液体とともにぐったりとした美少年が流れ出てきた。それを繰り返し、瓶詰の少年達をあらかた出したラピリナは、
「では、さらばです!」
 と両腕、さらに|束ねた髪《サードアーム》をも用い、少年達を抱えて颯爽と立ち去ろうとする。
「おい、待て! だから! 動くな!!」
 地団太を踏みながら、なおも拷問具を見せ付け、命令するフォルターに一瞥すらくれず、ラピリナは回廊内を跳躍する。こうして囚われの少年達を助け出し、囮と攪乱として動き回ることが、後に続く仲間達の助けになるはずだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウィル・グラマン
●WIZ【ゲーマーズ】

ザイーシャから珍しい物が観れるからって誘われて来てみたけど…何だよこれ?
趣味の悪ぃ展示品ばっかだし、ザイーシャもやけに上機嫌で気味の悪ぃ拷問具を見て回ってるし嫌な予感しかしねぇぞ…やべ、拷問伯爵の足音が聞こえてきたから隠れねぇと

って、ザイーシャの奴…ヘンタイ野郎とやけに会話が弾んでいやがるぞ…
変なこと言ってなけりゃ良いけどよ…げ、こっち見やがった
えーっと…『ヴィジョン・ハイジャック』を使え?
そんなサインを送ってきたなら、使うしかねぇか!

まんまと奴がオレの電脳魔術に引っかかったら、ザイーシャと一緒に悪趣味な人間画廊に囚われてる奴らを助けていくぜ
ちぇ、とんだデートだったぜ


ザイーシャ・ヤコヴレフ
●POW【ゲーマーズ】
まぁ!見てウィル、人間の瓶漬けに鳥籠とかたくさんあるわ
珍しい拷問具もたくさんあって、まるで中世拷問博物館みたいね♪
ウィルは私と|遊んでくれる《拷問される》時、どんなのが良い…あら、恥ずかしくて何処かに隠れちゃったかしら?

じゃあ、館長の伯爵さんに「これはどんな拷問をする物なの」って質問しながらウィルを探そうかしら
伯爵さんったら得意げに色々自慢してるみたいだし、おだてて持ち上げちゃおっと

…あら、ウィルみーつけた
でも、伯爵さんと合わせたら大変な事になりそうだし…ねぇ、伯爵さん
私のお友達だけど、どう拷問したい?
スマホで撮ったウィルと碎輝の新郎さん姿の写真を伯爵さんに見せて注意を引きながら、ウィルにUCを使って欲しいサインを送るね

伯爵さんがウィルの電脳魔術で自分の世界に入ったら、伯爵さんから聞いた拷問具の解除の仕方でみんなを助けていくね
だいぶ助けても、伯爵さんったらまだ熱心にウィルと碎輝の事を語ってるね
お礼に…私のギロチンを自慢して、骸の海に還る前の最後の思い出にしよっと♪



「ザイーシャから珍しい物が観れるからって誘われて来てみたけど……何だよこれ?」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は憮然とした表情で辺りを見回す。そこには、そこかしこに瓶詰めにされた美少年や、鳥籠に飾られた少年、はたまた拷問椅子に縛られたまま飾られている少年など、趣味の悪い展示品がそこかしこに並べられていた。対照的に、彼を誘ったというザイーシャ・ヤコヴレフ(|Кролик-убийца《殺人バニーのアリス》・f21663)の方は、
「まぁ! 見てウィル、人間の瓶漬けに鳥籠とかたくさんあるわ。珍しい拷問具もたくさんあって、まるで中世拷問博物館みたいね♪」
 と、やけに上機嫌で展示品を見て回っている。正直、嫌な予感しかしない。冷や汗をかき、さりげなく同行者から距離をとるウィル。その時、さらに間の悪いことに、彼の耳にコツコツと不気味な足音が聞こえてきた。
「まったく、あの忌々しい兎女め……! まんまと私のコレクションを持ち去りおって!」
 爪を噛み、苛立ちを隠しきれない様子でこちらに迫ってくる|拷問伯爵《フォルター》。どうやら先ほど戦った猟兵のことを言っているらしいが。やべ、と慌てて見つかる前に少年の瓶詰の陰に隠れるウィル。一方のザイーシャは、
「ねぇ、ウィルは私と|遊んでくれる《拷問される》時、どんなのが良い……あら、恥ずかしくて何処かに隠れちゃったかしら?」
 展示品に夢中で、彼が隠れたことにも気づかなかったようで。忽然と消えた同行者の姿に首を傾げる……と、代わりにこちらにやってきた拷問伯爵と目が合った。
「な……貴様も兎女!? おのれ、貴様も私のコレクションを奪いにきたのか!」
 真っ赤なうさ耳ずきんを被った彼女の姿に、先ほどのトラウマを刺激されたらしく。憤然とした顔で猫鞭に手をかける彼に、無邪気にザイーシャは少年達と一緒に展示されていた、金属製の梨のようなものを指差して問いかけた。
「ねぇ、これはどんな拷問をする物なの?」
「む、それに目をつけるとは。貴様もなかなか目が高いな」
 怒りから一転、感心したように頷くフォルター。展示されている少年達を奪おうという素振りも見せず、純粋に煌めく瞳で質問する彼女に、どうやら気が合いそうだと判断したらしい。嬉々として、
「これは苦悩の梨といってな。これを×××に突っ込んで、ネジを回してこの金属製の葉を開いて……」
 と、とてもリプレイには書けない使用法をのたまう。……ちなみに、有名なこの使用法(※詳細は省く)は実のところ誤りだと言われている。実際は猿轡として使われたらしい。尤も、フォルターはその間違った使用法で使ってそうだが。
「へぇ、すごーい。伯爵さんって物知りなのね。ねぇねぇ、じゃあこれは?」
 そんな彼をおだて、持ち上げながら、ザイーシャはさりげなく展示品の隙間に目を走らせ、ウィルの姿を探す。
「これか? これはスカベンジャーの娘といって」
 得意げに解説するフォルターが全く気付かないでいるうちに、ザイーシャの目が瓶詰の陰に隠れたウィルの金髪をとらえる。味方のはずなのに、ウィルは総毛だった。
(「……げ、こっち見やがった……ザイーシャの奴……ヘンタイ野郎とやけに会話が弾んでいやがったし……変なこと言ってなけりゃ良いけどよ……」)
 嫌な汗の止まらないウィルに、ザイーシャはにこりと微笑む。無論、彼女とて見た目は可愛らしい少年であるウィルを、伯爵に引き合わせたら大変なことになるのは分かっている。だから。
「ねぇ、伯爵さん。私のお友達だけど、どう拷問したい?」
 以前撮った、ウィルと小学生形態の碎輝のメイド服姿の写真をスマホで見せながら問いかけた。陰から見ていたウィルはズッコケる。実際に会わせたら大変なことになるから、写真で我慢してもらうという……って、そういうことじゃない。実のところ、これは伯爵の注意を引くための作戦だった。決してザイーシャの趣味ではない(ほんまか?)。どれどれ、とスマホを覗き込んだフォルターは、顎に手を当てて考え込んだ。
「ふむ、勝気そうだがなかなか可愛らしい少年達だな。女装させられて涙目なのもポイントが高い。こういう少年達はイヤイヤしてるところ、服を剝ぎ取って、それこそスカベンジャーの娘やエクセター公の娘で拘束して、嫌というほど鞭で叩いて泣かせたいね」
 やっぱり変なこと言ってた! ていうか言ってる! と両者に頭を抱えているウィルに、ザイーシャはさりげなく、
(「あれ、使って」)
 とサインを送る。
(「え? あれか? ま、そんなサインを送ってきたなら、使うしかねぇか!」)
 小声で呟き、ウィルは詠唱する。
「夢か現か幻か。ハッキングされた視界の中で、何が現実か疑いながら迷い込んじまえ!」
 瞬間、フォルターが見ているザイーシャのスマホの画面に、それこそメイド服姿のウィルと小学生形態の碎輝のサムネイルが表示される。
「む? なんだ?」
 小さくとも興味を惹かれるそれを、フォルターは覗き込んだ……途端に狂喜した。目の前には、先ほど写真で見たメイド服姿の可愛らしい少年達が並んでいたからだ。
「ああっ! さっき画面越しに見た少年達が目の前に……! これは夢か、幻か? ……夢、じゃない!」
 頬をつねって、ここが現実世界であることを確かめたフォルターは、喜び勇んで彼らに突進した。
「アイツ、何やってんだ?」
 本物のウィルに白い目で見られながら。そう、ここは現実は現実でも、ウィルのユーベルコードが作り出した、仮想現実と一体化した現実世界。実のところ、いつでも外に出られるのだが、これが仮想現実と気づいていないフォルターは出ようともせず、幻影のウィルと小学生碎輝にひたすら頬ずりしている。ドン引きしつつ、その隙にウィルとザイーシャは|人間画廊《ギャラリア》に囚われた少年達を次々に解放していった。それこそ、拷問具に拘束されている少年など、さっき得意げに伯爵が語っていた内容の逆をやればいい。そうしてあらかた助けた後、二人は一息ついてフォルターの方を見た。これまでに訪れた猟兵達の活躍もあり、もう囚われの美少年はいない。もはや強化は完全に失われているだろう。自身が割と崖っぷちの状況にあることも気づかず、
「さあ、次はこの首輪をつけて……ぐへへへへ」
 と幻のウィルと小学生碎輝に迫っているフォルターに、
「伯爵さんったら、まだ熱心にウィルと碎輝に迫ってるね。お礼に……私のギロチンを自慢して、骸の海に還る前の最後の思い出にしよっと♪」
 ザイーシャはくすりと笑って、指を鳴らす。途端に、彼の背後にさっき語っていたエクセター公の娘が現れた。木製の台に、両手両足を縛る縄とそれを引っぱるための巻き上げ機のついたそれから放たれた縄が、フォルターの両手両足を拘束し、無理やり彼の体を引き伸ばした状態で固定する。
「な!? い、痛い痛い!! 放せ!!!」
 さんざんこの拷問具で少年達をいたぶってきただろうに、自身がやられるのは嫌なようで。フォルターは必死にもがいた。だが、この拷問具の性質上、体を動かせば動かすほど痛みが増すだけで。ぐったりした彼に、
「大丈夫……痛いのは少しの間だからね?」
 ザイーシャは囁いて、ギロチンの刃を放つ。拘束されている彼に、避けられるはずもない。ギロチンの刃は、確実にかの拷問伯爵の首を断ち切った。噴き出す鮮血と絶叫。ゴロリと転がった首からは目を逸らし、
「ちぇ、とんだデートだったぜ」
 と頭の後ろで手を組みながら、ウィルはザイーシャを連れて去っていく。……待って、今「デート」って言いました!? いつの間にそんな関係に!? という作者の叫びはともかくとして。拷問伯爵とともに、悪趣味な|人間画廊《ギャラリア》はその役目を終えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月20日


挿絵イラスト