闇の救済者戦争⑬~花と罠
最初、それは羽かと思われた。
幼さを残す少女の背から生えた物体は闇の中に煌々と光る。
何者かの手によって移植された異形の身体部位――よく見るとそれは羽ではなく、巨大な花びらであると知れた。
「よいしょ、と……」
何かが近づいて来ると察したが身動きした途端、床全体が揺り動いてもうひとつの異形部分が全貌を現す。根だ。こちらも月の如く輝く植物の根。敷き詰められた床石を割り砕きながら地上へまろび出ると同時に羽搏く花びらによって少女の体は中空を揺蕩った。
「|あれ《・・》を守ればよいのでしょ? 大丈夫。シュッテロッテにお任せあれなのよ」
「どうやら、ケルベロス・フェノメノンは自身の欠落をどうあっても隠し通したいらしいね」
仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)が指し示すのは『【Q】月が導く第六層』の成果によって発見された城砦群だ。
「第五層の『月光城』はもともと異端の神々と戦うための城塞であったと考えられる。それが今、デスギガス災群に乗って城主と共にこの戦場に現れた。目的は城砦群の中央に隠された『ケルベロス・フェノメノンの欠落』の防衛だろう」
つまり、ケルベロス・フェノメノンの欠落を暴き、これを破壊して禁獣の持つ『無敵能力』を無効化するにはこの戦場を制圧しなければいけない。
「問題は、この城砦群を守る月光城の主達はそれぞれに|何者かの手《・・・・・》によって強化されていることだね。まあ、そんなことができるのは五卿六眼のいずれかに違いないだろうけど。それも普通の強化じゃない。『月の如く煌々と輝く、異形の身体部位』を複数移植されている」
ひとつは、下半身から生える植物の根のような部分。とても頑丈で、地面を割り砕き、地中を掘り進んで別の場所から地上へ飛び出してくる。
もうひとつは羽のように浮遊できる花の翼だ。これを使って浮遊できるため、地上を歩行するには向かない根を持ちながらも移動を苦にしない。
「敵はこれらの異形部位を活用し、『およそ通常の生物では不可能な、生命体の構造を無視した奇怪な挙動』で襲いかかってくるだろう。しかもね、この城内には他にもさまざまな仕掛けが施されている。それらも同時に対処しなければならない難所なんだ」
弥鶴は苦笑する。
「彼らの欠落というのは、そこまでして隠し通さなければならないものなんだってさ。だけど、逆効果だとは思わない? 作為的な行為は必ず逆の反動を生むものだよ。押すなよ、と言われたら押したくなるようにね」
……城内にいつからか螺子巻きの音が聞こえ始めた。
錆びつき、掠れた耳障りなそれは最後まで巻ききった途端にあらゆる罠を発動するための動力。巻ききる前に螺子巻きを見つけ出し、破壊できれば罠は作動しない。
よくよく壁や床を見ると、動かせそうな場所や不自然な穴が見つかった。おそらくは何かが飛び出したり、床が抜けたりする仕掛けだろう。
どこかにある螺子まきを探して壊してもいい、罠をかいくぐる方に全力をかけてもいい。
ただし、敵はそれを待たない。
地中で息をひそめ、襲いかかる機会をうかがっている。
いつでも。
ツヅキ
プレイングを送れる間は受付中。
早めのお返し予定です。
●第1章
城内の状況はオープニングにある通りです。
無策で飛び込むと罠と敵に挟み撃たれてしまうので、ご自由な手段で対処をお願いします。
異形の身体部位から繰り出される攻撃に対処する/城内のトラップに対処する。
プレイングボーナスは以上です。
第1章 ボス戦
『シュッテロッテ・ドランケルハイト』
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POW : 星蝕竜~シュッテロッテ~
自身の【背負う十字架】を捨て【敵対者を磔にし、自身の封印を解き星蝕竜】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。
SPD : 夜光花嵐舞~セストラム・ノクターン~
自身の装備武器を無数の【星の魔力を宿した夜光花】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 星籠~シュテルン・ゲフェングニス~
レベルm半径内に【光を侵蝕する闇】を放ち、命中した敵から【光と魔力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
イラスト:ちびのしま
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠幻武・極」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
藍ちゃんくん、藍ドル故、ステージギミック等には目ざといのでっして~。
罠や仕掛けを見つけて避けることはできそうなのでっすがー。
困ったのでっす!
リフターやポップアップもかくやの縦横無尽っぷり!
対処するのが難しいのでっすので!
もういっそおびき寄せちゃいまっしょう!
呑気に歌を歌いながら無防備に螺子まきを探すふりをしていれば襲ってきてくれるでしょう!
幸い光と魔力を奪われること自体は致命傷にはならないのでっす。
相手の勝ち筋は暗闇で惑う藍ちゃんくんが罠にかかること!
ですがですがその罠、既に藍ちゃんくんのファンなのでっすよー?
歌っていたのは布石なのです!
逆に罠にかけちゃおうなのでっす!
「ほよ?」
地中にまで聞こえてくる楽しそうな歌声はシュッテロッテ・ドランケルハイトの興味を引くのに十分だった。ちょっとだけ頭を出してきょろきょろ見回すと、柱の裏を覗き込んだり天井の梁の上を見上げたりして螺子巻きを探している最中の紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)と目が合った。
「はじめましてなのでっす! 藍ちゃんくんでっすよー!」
「し、ししし……侵入者だー!?」
慌てて地中に潜ったシュッテロッテは改めて藍の背後に回り込み、仕切り直して飛び出した。ステージ映えする演出に使えそうなまでの機動力はさすが欠落の守り手か。
「欠落は渡さないのよ! 光はみーんな、シュッテロッテに奪われちゃいなさい!」
周囲の暗闇を利用した|光捕り《・・・》の威力は凄まじく、藍から奪った魔力と光で籠はすぐに満たされる。勝利を確信するシュッテロッテだが、その顔色が変わるまでほとんど時間を要しなかった。
「な……なにこれ!?」
不意に天井から吊り下がった罠の数々は藍ではなくシュッテロッテの手足を拘束し、壁に叩きつけたのだ。その威力は凄まじく、月光城の主といえども一瞬気を失いかけるほどで。
「どうして罠がシュッテロッテを狙うのよう!」
「答えは簡単なのでっすよー」
罠を手懐けた藍はにっこりとダブルピースで説明した。
「藍ちゃんくんの歌でファンになった罠が味方になってくれたのでっす。これでもう縦横無尽にポップアップするのは難しかろうなのでっすよ~」
「が、がーん……!」
まんまと罠にかかったのはシュッテロッテだったのだ。こんな事態は想定していないので罠を自力で解除する仕組みもない。
「藍ドルの力はすなわちファンの力なのでっす。それを思い知るとよいのでっすよー!」
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ歓迎
地面に潜った?!
狼の聴覚に意識を集中して、掘り進む音を聞いて場所を把握するよ
地面の中にいる限りは攻撃の予兆も聞き取れる、今の内に魔力をソナーのようにして罠の構造を感知してみるの
あの辺りに仕掛けの種がありそう…
おっと!針が飛び出しそうな床の上に敷いた結界を足場にして大ジャンプ、相手がそこを通れば一つ破壊なの
出てきた!
く、いきなり暗くなった?
でも、あなたのお花の匂いは狼の嗅覚ではっきり分かるよ
鼻と耳が無事なら、さっき罠をスキャンしたのもあって動けるの
魔力は、このお城からもらうの
月光城の月の魔力を吸収して、この闇の構成も分析したの
香る、聞える…
そこだね!UC発動
魔力を奪う意趣返しなの
ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)にとって見えない敵の位置を特定するのはそれほど難しいことではない。
――聞こえる。
耳をぴくぴく動かして地面を掘り進む時の石材が砕ける音や土の擦れる音に意識を集中。あれだけ巨大な質量を持つ物体が強引に地中を移動しているのだから、どうやったって音は隠しきれない。
「むう、なら罠で蜂の巣なのよ!」
「残念だけど、もう既に罠の場所は読みきったの!」
とっさに結界を足場にしたロランは床から飛び出す針を躱しつつ、おびき寄せたシュッテロッテを使って罠を破壊。
「しまった!」
「魔力をソナー代わりにして罠の構造感知を試みたの。まずは一つ、破壊したよ」
「許さないのよ、そんなこと!」
シュッテロッテは憤慨して星籠を振り回す。
「暗くなった!?」
「そうよ。光も魔力もシュッテロッテの前に屈するの。降参するならいまのうちなのよ?」
何も見えない暗闇の中でロランが頼りにするのは自慢の鼻と耳だ。だって、その立派な花から漂う香りをたどれば大まかな位置を把握するのに十分だから。
あらかじめスキャンして罠がないのを確認してあるルートをたどり、シュッテロッテの放つ香りと物音を手掛かりして|狩り《・・》を行うロランの姿はいつしか魔術文字に彩られた狼へと変化していた。
「け、獣!?」
驚愕するシュッテロッテを捉え、ロランは吼える。
「おおおおぉぉぉん!!」
「嘘、月光城に満ちる月の魔力を奪って力に変えたというの? そんな……きゃああッ――」
よもや、自分のやったことをそのまま返されると思ってもみなかったシュッテロッテは自家中毒のような症状を起こして頽れ、地面を這いつくばった。
大成功
🔵🔵🔵
ハート・ライドン
ケルベロス・フェノメノン
予兆を見た時から不思議な畏怖を感じます
破壊者というより、まるで守護者のような…
いえ、危険な存在であることは変わりませんね
討たねばならぬなら、必要な一手を
トラップ対処にやや比重を置き行動
不自然な箇所が見出せる壁を
【迅雷疾走】で通過、壁裏の仕組みを確認
『メカニック』知識で把握した罠の構造と
城内の音を頼りに螺子巻きの位置を推定
破壊に向かいます
しかし、敵は見逃してはくれないでしょう
魔力を帯びた攻撃は私には分が悪い
ゆえに壁や、罠を構成する歯車等を通り抜けて盾とします
ひたすら逃げ続け、敵を誘導
彼女の攻撃で螺子巻きを壊してもらいましょう
踵を返しての反撃は
罠対処後でも遅くはないはずです
――駆けろ、稲妻の化身となりて。
またひとつ、ハート・ライドン(Never Say Die・f39996)は壁裏に仕掛けられた罠を発見した。その構造は至極単純。噛み合う歯車をたどれば当たり前のように螺子巻きの位置は特定できる。
微かな螺子巻きの音に反応したハートの耳がくんっと動いて後方を向いた。再び迅雷と化して破壊へ向かうハートの眼前に床を割り砕きながらシュッテロッテ・ドランケルハイトが出現する。
「出ましたね、月光城の主」
「ふんだ! シュッテロッテはケルベロス・フェノメノンの大事なものを守るように言われてるのよ。絶対にここは通しません」
「ケルベルス・フェノメノン……」
予兆で見たそれは底無しの何かを感じさせる存在だった。不思議な畏怖とでもいうべき何か。破壊者というよりはまるで守護者のようにさえ思えるほどで。
「あれは危険な存在でしょう」
「そうかしら?」
「ええ。もっとも、それはあなたも同じことですがね」
「あッ――待ちなさい!」
疾走する稲妻の黒馬を追い掛け、青い魔花の欠片が城内を舞い飛んだ。星の魔力を宿した夜光花は闇に煌々と照り輝いている。だが、それを振り払うように迸る電光の方が僅かに早い。
「あーん、当たんないよう」
どれだけ狙いをつけても、ハートは器用に壁や歯車を盾にすり抜けて自らが直撃を受けないように立ち回り続けた。
シュッテロッテは気付いていない。
ハートの本当の狙いは回避ではなく、誘導であるということにさえ。
「待てえ!」
「――かかりましたね」
ついに、目的を果たしたハートが元の姿を取り戻す。
花びらが殺到したのは最初に見つけておいたあの螺子巻きだった。ふたりの目の前で、螺子巻きは花びらに襲われて木端微塵のありさまに。
「あ、あー!?」
武器を手に迫るハートに後ずさるシュッテロッテ。この瞬間、戦いにおけるイニシアチブの持ち主が変わったのだ。
「では、こちらの番ですね。罠さえなければ自由に戦えますので、お覚悟を」
大成功
🔵🔵🔵
キャロライン・ブラック
欠落を隠すために城まで呼び寄せるとは
何ともスケールの大きなお話です
ですが何事も小さな積み重ねがあってこそ
城主を打倒し、やがてケルベロス・フェノメノンの命へ届かせましょう
罠が溢れた城内に強力な敵が潜んでいる状況
となればまずは城内をわたくしの色へと塗り替えてしまいましょう
氷河の青で罠を塗り固め、作動を阻害してまいります
さらには床も天井も塗り固めることで奇襲への対策といたします
重点的に塗り固める罠はともかく
表面を覆う程度では根で割り砕かれてしまうでしょうが
ほんの僅かでも遅らせることができれば察知して避けることも叶うでしょう
そして植物とは寒さに弱いもの
花の翼も根の足も氷河の如く青く染めて差し上げますわ
――レインボーワンド。
キャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)が虹色の宝石を戴く杖を振るごと、城内のありとあらゆるものが透き通った青色に塗られてゆく。
「な、なにこれぇ!?」
何しろ、この塗料は触れた部分を冷たく塗り固めてしまうのだ。ゆえにシュッテロッテは驚愕を隠せない。こうしている間にも壁から飛び出す寸前の棘は塗り込められて動かなくなり、落とし穴が開くはずの床もしっかりと閉ざされてぴくりとも反応しなくなったせいで。
「こんなことが可能なの? シュッテロッテの月光城が青く塗り替えられちゃった!」
こうして、床も壁も柱もあらゆるものがキャロラインの好きな色に染まった。氷河のような、というのは伊達ではない。実際に部屋の温度まで下がっている。もはや氷そのものといってよいほどの、崇高なる氷河の青。
「そういえば、ケルベロス・フェノメノンの欠落を隠すためにはるばる城ごといらっしゃったのだとか」
キャロラインの呟きは即ち、|ここを通らせてもらいますよ《・・・・・・・・・・・・・》という意味を孕むのだとシュッテロッテは過たずに理解した。
「く、くぅ~!」
半泣きになったシュッテロッテは滅茶苦茶に城内を暴れ始める。
「こんなの、こうしてやるのよ!」
勢いをつけて氷河の青に塗られた地面を砕き、もぐらみたいに掘り進んで奇襲を試みた。確かにこの塗料は強化されたオブリビオンであるシュッテロッテの動きを阻害するほどの強度はないかもしれない。だが、ほんの一瞬でも動きを遅らせることさえできれば、その僅かな差が命取りになることはいくらだってあるのだ。
「えッ……」
完全に死角をついたつもりのシュッテロッテをキャロラインの掲げる一振りのレインボーワンドが確実に捉えていた。
「植物とは寒さに弱いもの。お忘れかしら?」
刹那、大量の塗料がシュッテロッテに襲いかかる。澄み渡る色彩は花の翼も根の足もみんな青一色に染め上げて。
「これでまた一歩、彼の者の元へ近づきましたわね」
まさしく、色彩魔法を操るゴッドペインターの面目躍如であった。
大成功
🔵🔵🔵
サク・ベルンカステル
地中からの不意打ちかつ宙を舞う敵であれば空中戦を制すまで
UC黒剣解放を使用し空中戦を仕掛ける
敵UCの十字架は脇に浮く随行大剣を蹴り急な軌道を取り避ける。万が一捕まった場合は随行大剣を操り十字架を破壊し脱出する。
ギロチンや矢等の飛び道具的な罠は黒剣や随行大剣4本で技能武器受けをすることで対処
落ちる床はUCの飛行で対処する
サク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし剣鬼・f40103)が城内へ足を踏み入れた時、シュッテロッテ・ドランケルハイトは足下から中空へと躍り上がったまさにその瞬間だったという。
すぐさま、地中に近い場所は危険と判断したサクは空中戦を挑むという判断をくだした。
「黒剣、解放」
「うそ!?」
しまった、とシュッテロッテは下降を試みる。
サクがあまりにも早く飛翔するさまを見せたからだ。この羽はあくまで浮き上がり移動するためのもので空中戦には適さない。
「遅い」
まるで相手の行為を読んでいたかのように、サクは傍に浮かび上がる随行大剣の柄を蹴り上げてシュッテロッテが擲つ十字架の軌道を躱した。
「な、なにこれぇ!」
敢え無く星蝕竜への変身をキャンセルされたシュッテロッテは慌てて罠の密集地帯へと逃げ込んだ。だが、サクの随行大剣はまるで盾のように飛来する礫や弾丸といった仕掛けを刃に受け止め、主であるサクの身を護ることに専念する。
「え、えーと……えーと……」
空中戦にあっては落とし穴の類はまるで役に立たない。何か効果的な罠はなかっただろうかとシュッテロッテは思案する。
その一瞬が命取りになるとも知らずに。
「隙だらけだぞ」
高速にてすれ違いざま、サクは容赦無く移植された強化部位ごと敵を断つ。まるで自分自身が剣の一部となったかのような恐ろしく隙の無い必殺の一撃であった。
大成功
🔵🔵🔵
メフィス・フェイスレス
いちいち動き回って罠を探すのも面倒なのよ
手当たり次第にいくわ、そうすればいずれ当たりを引くでしょう?
――別に、バケモンみたいな動きはアンタ達の専売特許ってわけじゃないのよ?
UCで自身の躰が【蕩】けて、敵の攻撃を躱す
城内の地形を浸食しながら黒い海を広げていく
地形全体ごと罠を、敵の根を津波のように呑み込んで、黒い海の一部に同化して、さらに際限なく城を食い荒らしていく
……当ててあげましょうか。上に留まっていれば安全だとでも思ってるんでしょ?
黒い海から声を響かせて、海面から「宵闇」の骨翼を生やした「飢渇」の群れが沸き立つように次々と顕れ、飛んで敵に喰らい付こうとする
叩き落として、黒い海に呑み込まんと
手段はある。
バケモノっぽさで競うなら、かなりのやつが。
はい、そこね――地響きを脚の裏に感じながらメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は文字通りに|蕩《・》けて敵地への浸食を果たした。
だっていちいち動き回って罠を探すのは面倒だから仕方ない。まるで黒い海嘯が押し寄せるかのような光景はシュッテロッテ・ドランケルハイトを恐怖で震え上がらせた。
「え、ちょっと、待って……」
「あら、どうしたの。まさか|こういうの《・・・・・》ってアンタ達だけの専売特許だとでも思ってた?」
頼りの罠もぜんぶ丸呑んでおわり。
何もかもがメフィスと同化して、もはや月光城は黒い海に浮かぶ孤島のようなありさまだった。
……当ててあげましょうか。上に留まっていれば安全だとでも思ってるんでしょ?
たぷん、と揺れる波間から響く声にぎくりとなるシュッテロッテ。
その通りだった。
それ以外の何者でもなかった。
だって、こんな状態で地中に潜れるわけがないから、侵食から逃れるには移植された花の翼で空中に浮かび上がる他なくて。城の奥深くに隠されていたはずの螺子巻きはとっくの昔に動きを止めている。だからシュッテロッテは孤立無援。
「あれのどこに光がどこにあるというのよ?」
行き場のない星籠を持つ手が震え、破れかぶれの攻撃を放った。迎え撃つのは、黒き海そのものと化したメフィスの海面より飛び立つ骨翼を生やした|影の眷属《飢渇》たち。次々と姿を顕しては、とめどなくシュッテロッテに襲いかかる。
「や、やだあ!」
「泣いてもだめよ」
叩き落として、丸呑みにしてあげる。
花の翼や根に喰らいついた飢渇はそれがぼろぼろになるまで齧りついた。美味しいとか美味しくないとかそういう次元を超えた暴食そのもの。
「そろそろ、落ちて」
この|黒い海《腕》に受け止めてあげるから。
ぽ、ちゃん。
大成功
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