闇の救済者戦争⑯〜ツキアカク
「うふふ、私がこの世界に立つのも久々でございますねえ。昨日のことのように、懐かしい」
第五層と第三層とで、舞台も状況も当時とは何もかも違いますがね、と虹目・カイ(虹に歪む自己・f36455)は神秘的な笑みを以て猟兵たちの感情を弄した。
「Shoot the moon――月を撃ち落とせ。ええ、今回皆様に課せられた任務がそれでございます」
言葉の通り。
猟兵たちは、複雑に絡み伸び上がる血管の樹を登る。登ることが、求められている。
しかして輝ける無数の赤き月はそれを赦さない。それらは宛ら太陽の如く、己に迫るを傲慢と見做し猟兵たちへと牙を向く。
「偽りの翼溶かす熱、ではなく。赤き光の矢とでも申しましょうか。ええ、牙を向く、カッコ物理、カッコトジ、ですとも。目からビーム、と言い換えても差し支えございませんよ」
わぁとってもわかりやすい。
しかし打つ手はあると言う。
「【Q】の力は偉大でございます。尤も強力である分、発動も難しいものですが――ともあれ。月を撃つ。その手段を講じてくださった方々がいらっしゃいましてね。その甲斐あって、我々もその恩恵を受けることが叶ったわけです。感謝せねばなりませんね」
発動した【Q】。
月撃ちの力を以て、月へと直接攻撃を仕掛ける。
しかし、仮にも相手は『月』。撃ち落とすことなど、可能なのだろうか。
「ここで皆様に朗報でございます。この月はただの『模造品』なのです。攻撃性能は凶悪でございますが、我々猟兵の攻撃に耐えうるほどの強靭さはない模様。奴らに吠え面かかせるには、充分ではございませんか」
お口も悪くなろうというもの。
「おや失敬、うふふ。ともあれそういうわけでございますから。私からお伝えすることは、ただひとつでございます」
にこり、笑って。
「――派手にブチかませ。以上」
端的に淡々と。
そうしてその掌に、|円環の虹《グリモア》は煌めいて。
「さぁ皆様、お時間でございますよ!」
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあです。
ここから私のボーナスタイム。
戦争シナリオのため、今回は1章構成です。
第1章:冒険『月の模造品を破壊せよ』
積極的に月を破壊していくことでプレイングボーナスが得られます。
浮かんでいるので遠距離戦か、空中戦が妥当でしょうか。
勿論、予想外の方法で驚かせてくださっても、差し支えございません。
断章なし、公開された時点で受付開始です。
但し最低成功数での完結を目指すため、人数によっては全員採用がお約束出来ません。
また、オーバーロード以外のプレイングは場合によっては再送をお願いする可能性もございます。
それでも、よろしければ。
私の持てる全力で、皆様を格好よく書かせてください。
ご縁がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『月の模造品を破壊せよ』
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POW : 一撃で模造品を破壊する、気合いで攻撃を耐え抜く
SPD : 狙いすまして遠距離の模造品を攻撃する、照射される光線をかわす
WIZ : 魔法や呪術で模造品を攻撃する、照射される光線を和らげる
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フォルク・リア
「月を堕とすか、随分な難題だけど。
それでもできると言うならやるだけか。」
ALL OUTを使用して飛行。
周囲にファントムレギオンの死霊や具現化した風属性の盾を
配置して敵の攻撃を防御又は【空中浮遊】、【空中戦】による
変則飛行により回避。
回避しつつも月へ攻撃を当てる為に月の位置を測る。
月からの攻撃が来るタイミグや攻撃間のインターバルを【見切り】
攻撃のタイミングを窺う。
攻撃が止むか弱まるタイミングで空中に静止。
攻撃の為に風属性の大弓を具現化
攻撃を受けても攻撃姿勢を崩さず
月に狙いを定めて【全力魔法】の魔力を込め
【誘導弾】の力を持った矢を放つ。
「負ける訳には行かないんだ。
月でも何でも相手にしてやるよ。」
●
赤い大樹。
無数の血管が縺れ絡み合い天高く伸びるソレに沿うようにして、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は遥か高みを目指す。
だが。
ぎょろり、赤い月が目を引ん剝いた。
不届き者は其処な男か。睥睨する夥しい月、その眼。
アレを、穿たねばならぬ。いと高きを望むなら。
「月を堕とすか、随分な難題だけど――」
それでも、女は云った。
確かに、その耳で聞いたのだ。
「できると言うならやるだけか」
ぐんと速度を上げる。
追い縋るように光は放たれた。それは敵意の雨霰。
傘の代わりにフォルクが翳すは、渦巻く風の盾。収束する力が光を弾き、砕いた。
然れど盾の隙間に一条のみとて捻じ込まんと、悪意は迫る!
「そうだろうな」
読めている。
伏兵。盾の内に潜み、一切の接近を阻むその姿は。
主の盾たる、世界に浮かび上がる死霊たち――!
(「さぁ、ここからだ」)
黒翼、一際大きく虚空を扇ぐ。
風と死霊の護りを率いて、血脈の四囲を旋回する。
純白の内に秘された瞳が、月まで幾許――その隔たりを見極める。
そして、静止。
敵意が、止んだ。
静寂を貫くは、黒翼の羽ばたきばかり。それの他にはフォルク自身さえ微動だにせぬ。
しかし、音なくして現れるは反撃の詮術。
静かに風は流れ、フォルクの眼前へとその姿を現した。風喚び風纏う大弓。
「負ける訳には行かないんだ」
きりり、弓引く。
月を捉えて、僅か揺れ動くことすらなく。
瞬く眼が光を再び集め始める――が、遅い!
「月でも何でも相手にしてやるよ」
放たれる。
輻湊する疾風が、月の芯へと突き刺さる。
瞳の、瞳孔のまさに真中。驚愕に見開かれて。
瞑目すら赦されず。赤が、滴った。
ばりん、と甲高い音を立てて、偽りの月は血色の破片へと変じ。
煌めきは地へと降り注ぐ。変色し黒くひび割れた血液にも似た荒廃の地へと。
しかしフォルクは、その光景を美しいと感じることは、終ぞなかった。
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ歓迎
月の模造品?
月に関する物が多いよね、ダークセイヴァーは
月光城とか
その月を撃ち落とすって、けっこう大変そうだけどやってみるの
ぼくの周囲を結界で覆うの
境界面を変更、鏡状にして光を反射、ダメージを減らしながら進んで行くよ
結界は常に修復して耐えながら進むの
一番良く見える場所に移動してから、UC発動
耐えるのはぼくの得意分野なの
殲滅結界、射出!
耐えた分だけ、照準も威力も増えるぼくの攻性結界受けてみるの
結界を解くと大量の破邪の槍となって月の模造品を追尾、寄り合わさって何度も突き刺さって破壊するの
ここまでかなり撃たれてるからね
戦果は期待できると思うの
●
(「月に関する物が多いよね、ダークセイヴァーは」)
月光城然り、月の模造品然り。
この世界での戦闘経験は数多くあれど――ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は今、美しい少年のかたちをした月光城の主の魔手から少女たちを救った時のことを、ふと想起していた。
それでも、あの怪物は人の姿をしていた。だが今、ロランたち猟兵へと敵意を向けるのは、偽りの月、その無数の眼。
(「その月を撃ち落とすって、けっこう大変そうだけど……やってみるの」)
骨が折れるのは確か。だが、恐れはない。
上へ、上へ。確固たる意思を持って、突き進む。
不意に、刺すような視線を肌に感じた。
一、二、三、……最早数え切れぬほど。
来た、と思った。
事実、赤く輝く幾つもの月が、ロランの姿を見下ろしている。
奴らにとって、今のロランは、的だ。上昇を続ける的当ての的。
――その慢心ごと、ひっくり返してやる。
(「光には、反射を」)
ロランの周囲に展開された結界が、くるりくるりと回り始める。それは無数の鏡となり、相対する眼から放たれる一条の赤を照り返し、侵入を拒む。
その度に割れる結界を即座に修復。疲弊は色濃いが、ロランの身体に傷はただのひとつもない。
さぁ進め。どんどん登れ。月すらも追い越して。
見下ろすは逆転し。それでもなお追撃を繰り返す偽物へと、決別の時と悟る。
「耐えるのはぼくの得意分野なの。そして耐えた分だけ、照準も威力も増える――」
集中砲火を受け切り、弾き返すと同時。
結界を全て解いて、護りを捨てる。
――否。攻勢へと、転じる!
「受けてみるの。ヒュッテンブレナー式――殲滅結界、射出!」
鏡の破片が寄り集まる。光となって、形作ってゆく。
それは断罪の光であり、破邪の槍。
悪を決して逃さず、模造品へと殺到する。
一撃で鏡が破壊される威力を、数え切れないほど耐え抜いたのだ。
その反動が如何程のものか――語るまでもあるまい!
「偽物はいらないの」
拒絶の言葉は響かない。
――自らが割れる音で、掻き消されただろうから。
大成功
🔵🔵🔵
火華・狂香
月を落とす。……話には聞いとったが、猟兵ちゅうのはえらい事すんやな
ま、派手な事した方が敵さんの戦意を削げるかもしれんし、……いっちょドでかい一発、お月さんにぶっぱなしてやろうやないか!!
敵さんの攻撃は炎の剣で防ぐ(武器受け、ジャストガード)
ーーはっ! こんの程度攻撃でうちの炎は消せへんでぇ!?(ーーいや嘘。めっちゃ痛いし、キツい)(でもまあーー此処まで来たなら、耐えて耐えて、ドでかいの打ち込ませて貰うでーー?)
剣を片手で持って、もう片方の手にサブマシンガン持って、敵に向けてぶっぱなしたる!(制圧射撃)
ーー一ここや、一気に押しきらせて貰うでーー!
UC発動した剣で月のニセモンを攻撃や!(焼却)
●
「……話には聞いとったが、猟兵ちゅうのはえらい事すんやな」
月を落とす、だなんて。
火華・狂香(薪を継ぎ足され続ける小さな火種・f40375)はまさに、その月を仰いでいた。今から落とすべき、月を。
それもひとつやふたつではなく。夥しい数の。まさしく猟兵が、そして己自身もまた、世界の理から大きく外れた身であることを実感する。
「ま、派手な事した方が敵さんの戦意を削げるかもしれんし、……いっちょドでかい一発、お月さんにぶっぱなしてやろうやないか!!」
声を上げれば、血色の月が目を覚ます。
光る眼が一斉に、狂香を射抜いた。
(「……上等や!」)
戦場が、自らにとって都合よく出来ている場所だなどと、想像さえもしていない。
容赦なく落とされる光の雨を、すらり抜き放つ炎の剣で防ぎ、打ち返す!
「――はっ! こんの程度攻撃でうちの炎は消せへんでぇ!?」
ぱちぱちと爆ぜる燐火とですら、比べたところで生温い。
大胆不敵に笑って見せる、が。その実、僅かに掠めた光の端ですら、容易く狂香の皮膚を、身体を蝕んだ。
(「――いや嘘。めっちゃ痛いし、キツい」)
痩せ我慢もいいところだ。自嘲気味にふは、と吐息めいた笑い声が溢れる。
(「でもまあ――此処まで来たなら」)
腹はとうに括っている。
(「耐えて耐えて、ドでかいの打ち込ませて貰うで――?」)
その機を、窺う。
直撃だけは避けながらも、身を灼く熱と痛みに歯を食いしばり、口元に笑みの形を作ったまま、瞳渇いても瞬きせずに。
一瞬を――捉える!
「――ここや!」
来た!
光が僅かに止んだ、その刹那!
片手のみで己のサブマシンガンを抱えて、制圧射撃!
ぱりん、ぱりんと割れる音、何度も、何度も鼓膜を打って。
その時、墜ちる月と目が合った。
瞬間、地を蹴って、飛燕の如く飛び込む!
「一気に押しきらせて貰うで――!!」
血よりも赤く、炎よ燃え上がれ。
偽物を今――灼き斬る刃で!
成功
🔵🔵🔴
栗花落・澪
自分の足で動くのは苦手なんだよね
体力的にもそうだし…あんまり心臓に負荷はかけられない(心臓病持ち)
だから、空中戦で行かせてもらうね
自分に出来るやり方で登りつつ
月からの攻撃は予兆を逃さない気配感知で回避重視
更に紅色鎌鼬を発動
怒りは無いけど…敵意ならあるよ
大量に量産させた鎌を空中に浮遊させ
特殊素材だからね
普通の鎌と違って透き通って見えるとはいえ
光はちゃんと反射するよ
だから一部の鎌は飛んで来る光線を防ぐ盾として
自身の周囲に浮遊させておき
残りの鎌に高速詠唱で雷魔法の属性攻撃を付与
遠隔操作して一斉に薙ぎ払いと同時に雷による衝撃を与え破壊する範囲攻撃
仮に斬れなくても
一点集中の衝撃で壊す事は出来るんだよ
●
天蓋血脈樹は遥か。
見上げる栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、己は辿り着くに適した身体をしていないのだと、改めて痛感する。
(「自分の足で動くのは苦手なんだよね。だから、登るのも……」)
考えるだけで気が滅入った。
好き好んで、こんな身体になったわけではないのに。
(「体力的にもそうだし……それに」)
きゅ、と己の左胸を握る。
心の臓を、病魔の手が撫でている。
しかし、往かぬという選択肢はない。
(「身体と心臓に、負荷がかからないように」)
可憐な翼をはためかせ、空の道へと身を滑らせた。
だが、偽物は嘲笑う。
無駄だと嗤う声の代わりに、光の束する音がする。
殺気を背中に感じた。不思議と怒りはなかった。
けれど。
「……敵意なら、あるよ」
飛び立つも翼もがれる哀れで愚かな小鳥?
はて、真に哀れで愚かは、果たしてどちらか。
顧みれば、月の眼が見開かれ、その視線は遍く澪の元へ。
そんなに見つめられたら――気配で、全て明け透けじゃないか。
軽やかに、それでいて無駄のない旋回で貫く光を往なして見せて。
お返しとばかりに虚空へずらり並べる、薄紅の刃!
その一閃は、光をも断ち。
澄んだ刃面は僅か月を映して、その視線を跳ね返す!
「言っておくけど、特殊素材だからね」
一目には色硝子とも見紛うそれの、性質は寧ろ鏡に似て。
光を反射する、盾ともなる。
「さ、鎌使いの本領はここから」
唱える。唱える。唱える。
刃が纏うは細身の光。ぱちぱちと音を立てて奔り――そう、その正体は、雷光。
同じ光でも、その特質は異なるもの。
光弾ける音が、強くなる。
「行くよ」
全ての月を、全ての刃が薙ぎ払う。
月へと罅が侵食していく。音を立てて広がってゆく。
それでもなお、足りないと言うのなら。
「仮に斬れなくても――」
境目を、こじ開けるようにして。
雷鳴。轟音。貫き、砕き、破裂する!
「一点集中の衝撃で壊す事は出来るんだよ」
偽物は壊れ。欠片は砂へ、そして塵へ。
眼持つ月は最早、道を阻むことはない。
大成功
🔵🔵🔵