6
ぱらいそ埋めし桔梗花

#サムライエンパイア #戦後 #クルセイダー #安倍晴明 #上杉謙信

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#戦後
🔒
#クルセイダー
🔒
#安倍晴明
🔒
#上杉謙信


0




 サムライエンパイアの天空を悠々飛び、攻撃をしかけていた|魔空原城《まくうはらじょう》。
 その威容も今や地上に引きずり降ろされていた。将軍家光の乳母である春日局こと斎藤・福を始めとした首塚の一族のユーベルコード――呪詛の鎖の力によって。
『ふむ、魔空安土城の時と同様に仕掛けて参りましたか』
 城の中、ぱらいそ礼拝堂にてクルセイダーは一人笑む。尤もその表情は元来彼が有したものとは異なっていた。
『見えますか、クルセイダー』
 未熟な猟書家に対し、その肉体を乗っ取った陰陽師は問いかける。この世界にて乱を起こそうと企てていた、秀吉の孫を名乗る青年が望んでいた景色がこれから広がるに違いない。

「ぱらいそ預言書」はかく語れり。
 あるじ死すとも、魔軍転生は死なず。
 選ばれし者に宿るなり。

『貴方が死した所で、魔軍転生にて宿ったこの晴明は死にませぬ。預言は正しくございましたか』
 クルセイダーは……いや、晴明は薄ら笑う。
『さて、晴明クルセイダーの初陣と参りましょう。どれ程の|業《カルマ》が蒐集出来るものやら……』
 実に楽しみでございますな――。
 手繰るは死者の身体と魂を繋ぎ、弄ぶ糸。


 陰陽師の始祖たる者の暴挙に蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は軽く眩暈を覚えながらも猟兵達に告げる。
「本来、魔軍転生っちゅうのは魔軍将を憑装する事で肉体にその力を宿す邪術なんやけど……」
 あの織田信長が用いたユーベルコード。それを更に強力にしたのが「超・魔軍転生」なのだが。
「使い手以上に術に長けた存在を身に下ろした末路……と言うべきなんやろな。猟書家・クルセイダーは自ら憑装した陰陽師・安倍晴明にその肉体を奪われてしもうた」
 既に彼の意識は消滅し、その身体は完全に晴明の物となった。
 そして晴明はクルセイダーに成り代わってエンパイアに更なる混乱をもたらそうとしている。
「けど、上様がそれを察知せぇへん訳ない、と。首塚の一族の力で安土城の時みたく原城も地面に引きずり降ろしはったさかいな。奴が鎖壊して逃げられる前に、早よ征伐せなアカン」
 頼むわ……と凪紗は言う。その戦いは困難を極める事を知りながら。

「晴明は屍人を使役する……エンパイアウォーでも色々繰り出して来よったけど」
 生殖型ゾンビなる物を作り出した晴明は、それに超・魔軍転生を用いて魔軍将を憑装させると言うトンデモな術の用い方をした結果――自我無きゾンビの肉体は瞬く間に魔軍将のそれへと変じたのだ。
「姿も意志も記憶も全部、元の魔軍将のモンや。幸い武田信玄は【Q】で撃破しとったし、風魔小太郎もドクター・オロチに持って行かれたさかい、対象外となってくれたけど」
 しかし、富子・コルテス・弥助……そして実は猟書家であったと言う謙信が魔軍将ゾンビとして復活し。恐ろしい事に晴明はそれを量産しようとしている。無論、今回の戦いにも投じてくる事だろう。
「まずは乱の為に集められた島原一揆軍と戦う事になる。異常な信仰心で士気もエラく高い上に、晴明のせいでゾンビ加工されてはるから簡単に倒せへんと思う」
 それを倒した先に待ち構えているのは上杉・謙信。晴明クルセイダーがいるのは更にその先となる。
「しんどい連戦となるやろけど……エンパイアの危機や。宜しゅう頼むわ」
 そう告げて凪紗はグリモアの光を描き、送り出す。
 いざ、魔空原城へ……!


天宮朱那
 天宮です。何気に初の猟書家決戦。桔梗花とは即ち晴明紋。
 島原の乱って何年だっけ…と確認したら寛永14年(1637年)。
 家光公の年齢から計算すると現在のエンパイアは寛永7年(1630年)なのかな、と。
 ってことでフライング島原の乱開催です。

 各章で断章入れます。
 その中でプレイングボーナスとなる事項を説明する形となりますので読み取って頂けると幸いです。
 一章は集団、二章は上杉・謙信、三章は晴明クルセイダーとの戦い。
 特に二章・三章は強敵相手ですので心して挑んで下さい。負傷描写上等!の気概でどうぞ。

 複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載を。
 技能の『』【】等のカッコ書きは不要。技能名のみ羅列は描写がシンプルになります。
 オーバーロードはご自由に。採用不採用に変化は無いのでご了承を。

 各章、断章追記予定。ゆっくり進行。
 マスターページやTwitter(@Amamiya_syuna)、タグなどでも随時告知をします。
 適度に人数集まったら〆切目安の告知予定。
 戦争シナリオ優先の為などで再送お願いする事も多々有ります事、ご容赦の上参加願います。
96




第1章 集団戦 『切支丹女武者』

POW   :    鉄砲三段
【鉄砲の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    部位狙撃
【鉄砲】から【トリモチ弾】を放ち、【手や足を狙う事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    聖母の慈悲
【聖母に捧げる祈り】を聞いて共感した対象全てを治療する。

イラスト:森乃ゴリラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 空舞っていた魔城は今や大地に落とされ縛り付けられている。
 猟兵達が近付くと城門が自ずと開き、そこから多くの武装した女武者達が姿を現した。

『|救世主《めしあ》と我らの信仰を守るために!」
『|主《でうす》の御許に、ぱらいそに導かれるために!』

 島原一揆軍の士気は恐ろしく高い。それを支えるはクルセイダーが導きし預言書から生まれし異常なる信仰心。
 しかし彼女達は知らない。既にその身が朽ちている事に。屍人と化している事に。
 最早彼女達は簡単に死ぬ事を許されぬ身。頭や脚を飛ばし落としただけで戦いの手を止めないだろう。自分の身に起きている事すら、信仰の賜物だと疑わぬだろう。
 なれば慈悲は要らない、手加減も要らない。
 完膚なきまでに殲滅するつもりで――戦え。
鍋島・小百合子
SPD重視

ぱらいそなる虚像にしか救いを見出せぬか
今こそ彼岸へと送り返してしんぜようぞ

「肥前が女武者・鍋島小百合子!我が騎馬と共に一番槍を仕る!」
UC「鎧装馬騎乗」発動にて鎧軍馬を召喚し騎乗
敵陣へ一目散に駆け上がり、薙刀と人馬一体の騎乗突撃でまずは第一陣をなぎ払いては衝撃波を伴う吹き飛ばしで掻き回す(範囲攻撃、先制攻撃併用)

敵の鉄砲攻撃には残像を発しながら薙刀で受け流していっての回避を意識

第二陣を相手する時は一旦距離を置き、長弓を用いての流鏑馬戦術に切り替え
敵長を狙撃(視力、スナイパー併用)して指揮系統をまずは挫き、
敵軍に向け矢の弾幕を張り巡らせる(範囲攻撃、一斉発射、鎧無視攻撃併用)



 朱き武者鎧に身を包み、手に薙刀を携えし女傑――鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は魔空原城より怒濤の如く現れる島原一揆の女達をまずは一瞥した。
「――ぱらいそなる虚像にしか救いを見出せぬか」
 同じ|女子《おなご》にして武者たる敵を前に小百合子が思うは憐憫か。異常なる信仰心があの女達を突き動かし、その身が朽ちつつある事すら知らぬとは。
「今こそ彼岸へと送り返してしんぜようぞ」
 死してなお操られている身と心を解き放つ為、骸の海より黄泉還った彼女達を再び在るべき場所へと戻すべく。

「肥前が女武者・鍋島小百合子! 我が騎馬と共に一番槍を仕る!」
 薙刀を天に突き上げ小百合子が叫べば、その傍らには立派な体に鎧を身に着けた雄々しき軍馬が姿現す。
 その背に素早く跨がり、手綱を引いて一気に敵陣へと駆け上がっていく。
『でうす様の、くるせいだー様の加護ぞあらん!!』
 士気の高い敵の女達は恐れる事無く馬の前に立ち、鉄砲を向け狙うも駿馬の速度には追い付かない。
「征けぇっ!!」
 そして小百合子も鉄砲の銃口向けられた所で馬の脚を止める真似はしない。人馬一体となって突撃する彼女の薙刀による横薙ぎの一閃は衝撃波をも伴って多くの女武者達を一度に斬り伏せる。
『おのれ……幕府の手先め!』
『これしきで……!』
 腹を斬り裂かれ、腕や足を切り落とされても尚、信仰の力と言う思い込みで立つ屍人達。斬りかかる歩兵達の刀は残像を伴った素早い歩で避け、または薙刀にて受け流す小百合子。
「おっと……! 小賢しい真似を……!」
 更に飛んでくる鉄砲の弾は鉛玉では無くトリモチ弾であった。馬の足元ぎりぎりに着弾したそれを踏まぬ様に手綱を捌きながら小百合子は敵から一旦大きく距離を取る。
「なかなか色々仕掛けて来るものよ。だが……」
 得物を持ち替える。やはり愛用の長弓に矢を番え、敵集団の動きを観察しながら再び馬を走らせた。
『来るぞ!』
『撃ち方、構――』
 ヒュンッ……と風を切る音。号令を発しようとした女武者の喉を小百合子が放った矢が見事に貫いた。流鏑馬――走る馬上からの弓術もお手の物、武家の嗜みだ。そして敵の長であろう個体を優先的に狙いしとめれば、頭を失い指揮系統に混乱を来した敵陣の統率は見る間に乱れていく。
「烏合の衆が我ら武家の戦術に敵うと思わぬ事よ」
 次々と矢を放ち、急所を射抜く。馬の勢いで撥ね飛ばし踏み潰す。しぶとい屍人達が起き上がった先から攻撃を仕掛けていく小百合子。
 その勇猛果敢な無双っぷりに遠くより見つめる徳川の武士達も思わず舌を巻くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シトー・フニョミョール
いやぁ、なんででしょうね。サムライエンパイアにはあまり来てませんでしたけど…晴明クルセイダー、妙な胸騒ぎがしますねぇ。不思議。

鉄砲の弱点、それは視界に左右されるところ。
それならこいつの出番ですよーとばかりに風上から石化ガスをたっぷり振りまいて目くらまししますよ。
これは単なるスモークではなく、石化作用のあるシトーイチオシの奴ですからね。押しても逃げても石になってしまえば神の慈悲すら届かないって寸法です。

一通りガスを撒いた後はしばらく様子を見つつ、まだ動く面々は叩いて倒しておきましょう。屍人を固めて持って帰るー…のもなんか今回は気が引けますね。土に帰せるものは砕いて在るべき所へ帰ってもらいましょう



「いやぁ、なんででしょうね……」
 シトー・フニョミョール(不思議でおかしなクリスタリアンの従者・f04664)は地上に引き釣り降ろされし魔空原城を前にして首を傾げながら周囲の景色を見回した。
 長らく猟兵をやっているとは言え、このサムライエンパイアには余り来た記憶が無い。しかし……かの晴明がクルセイダーの身を乗っ取ったと言う話には妙な胸騒ぎを覚える。
「――不思議」
 それが何故なのかは、シトー自身にも解らない。この先、本人に会えばその答えが出るのだろうか。
『くっ……敵が来るぞ!』
『狙撃方、構え!!』
 かの織田信長が生きていた時代に武田の騎馬隊を撃破したと言う三段構えの鉄砲隊。それを模倣したかの様に、城の前では竹囲いの中で三列を作った切支丹女武者達が鉄砲の先を此方に向けているのが見えた。
「鉄砲の弱点、それは視界に左右されるところ。それならこいつの出番ですね……!」
 くるくると敵陣の前で回って見せるシトー。血迷った訳では無い。その手にあるは、石化ガスの発生装置。ぶわっと噴射されていく有色のガスはスモークの如く女武者達の視界を覆い、鉄砲の狙いを付ける事すら許さない。
『げふっげふっ』
『み、見えぬ……む、こ、これは……?』
 風上からのガス攻撃に女武者達は避ける事すら敵わず。咳き込みながら彼女達はそのガスの本当の意味を知る。
 ガスが通り過ぎた後に残ったのは、石化した女達の姿。シトーのイチオシである石化ガスの効果は十二分の威力を発揮していたのだ。
 全身石化したものから身体の一部変化に留まったものまで様々だったが。流石のゾンビ達も全身石化してはどうにもならなかったらしい。
「押しても逃げても石になってしまえば神の慈悲すら届かないって寸法です」
『おのれ……!』
 ばきっ。辛うじて全身石化を免れた女武者達は、自ら石化した四肢を折り捨ててシトー目掛けて斬りかかり、銃の引き金を弾いて狙撃する。
「っと、往生際が悪いですよ!」
 オニキスの肌に刃が触れ、鉛玉が掠める。ヒビが走る事は無いが痛みは感じる。咄嗟に翻したスカートの内より発射されたミサイル達が襲い来る武者達を迎撃し、その身を砕きそれ以上動けぬ様に叩き壊す!
「いつもなら固めた連中は持ち帰ってる所ですが……」
 彼女達は屍人。生者の様に見えて、致命傷を受けてなおも動こうと足掻くその様子はある種の怖ろしさを感じさせる。今回ばかりはやめておこう。
「土に。在るべき所へ帰ってもらいましょう」
 全身石化した女武者達を砕き、シトーは祈る様に告げる。その身は砂へ土へと――魂は骸の海へと還る様に。

成功 🔵​🔵​🔴​

須辿・臨
よっしゃー、腕が鳴るっす!
誰の得にもならない……楽しそうなのが一人いるっすけど、まあ、そういう戦いは早々に片付けるに限るっすよ。

方針はとにかく最速で駆け抜けて剣刃一閃。
捨て身の一撃ってやつっすね。
案外鉄砲なんて、動いてりゃ当たんねえもんすよ。
モチロン、そんな楽観視はしてねっす。

おそらく息を合わせてくる初撃は、撃たれる寸前狙って跳んで上に。
後は走って戦線を掻き乱し、向けられる銃口、臭い、殺気、感覚頼りに、頭や身体ド真ん中にズドンとならねえように。

狙いを定めてる時に上から銃身踏みつけて斬り下ろし。
一人ずつ着実に。
あるいは先に銃身ばっさり……は銃身切り詰めた近距離射撃が怖いっすけど。

突破するっすよ!



 このエンパイアで戦が始まる。平和が一番なのは解っちゃいるが、胸高鳴るのは羅刹の|性《サガ》か。
「よっしゃー、腕が鳴るっす!」
 須辿・臨(風見鶏・f12047)は愛用の紅き太刀・焔宴を肩に担いで戦の場に出る。無論、この戦いは誰の得にもならぬもの。何か楽しそうなのが一人いるらしいが、そいつが楽しむ為だけに幾多もの命を玩具にされるのは癪に障る。
 目の前には引き釣り下ろされた城が一つ。わらわら出て来た切支丹武者達。彼女達には用は無い。奥にいる首魁を早々に片付けるに限るのだ。平和を保つ為にも。
『来るぞ、幕府の手先だ!』
『ぱらいそに導かれるためにも!!』
 信仰心に突き動かされる女武者達は手にした鉄砲を一斉に構える。三段構えの陣を組んだ彼女達は連続した発砲にて敵を仕留める術に長けているのだ。
 だが臨は銃口の先が己に向く事を恐れずに敵陣目掛けて全速力で駆け抜ける。案外鉄砲なんてものは、動き回っている標的に簡単に当たるものではないのだと彼は知っている。
『撃てぃっっ!!』
 パパパパンッッ!!! 号令と共に一斉発射される鉄砲の音が重なって聞こえる。しかしその瞬間、臨は思い切り地を蹴り宙高く飛び上がっていた。初撃は回避したが、本番はこれからだ。
 楽観視はしていない。縦横無尽に駆ける事で第二陣の撃ち手は標準を上手く合わせる事も出来ず、その足並みも微妙に揃わないのだとは言え……下手な鉄砲なんとやら、時折手足を掠める弾に軽く肝は冷やす。
 狙いを此方に定めた女武者の前で軽く跳躍し、その銃身を踏みつけながら剣を一気に振り下ろす。剣刃一閃――ユーベルコードの域にある剣閃は屍人と化した女武者がそれ以上動く事も無い様に真っ二つに切断した。
『怯むな、戦え!』
『撃て、撃てぇっ!!』
 統率が回復する前に、臨は掻き乱す様に駆ける。指示出した者へと一気に迫り、逆袈裟に斬り上げながらその向こうに居る撃ち手の持つ鉄砲の銃身をばっさり斬り落とす。
 自分に向く銃口、硝煙の臭い、殺気――感じる全ての感覚を元に、臨は本能的に攻撃を避けて動き立ち回る。
 どんっ!
「――――!! 危ねっす……!」
 銃身切り詰めた鉄砲による至近距離射撃が角の先、髪の先を掠めていった事に冷や汗かきつつも。臨は敵陣を崩壊させ、その奥にある城への道を目指すのだ。
「突破するっすよ!!」
 この先にいる気高き武将、そして卑劣な術士を討つ為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

夷洞・みさき
あの手の死なない咎人は禊ぐのも大変なんだよね。見削いでもあまり自分の咎を認識しないから。
だから、いるべき所に還ってもらった方が良さそうだね。

銃撃に対しては頭部と胸部のみは守る
それ以外の個所は半実体なので効果は無視できる

咎人を骸の海へと還す船を呼ぶ
過去になりこの世に存在しなくともやる事は永遠に変わらない

船体は銃撃を無視し武者の集団に砲撃を行い、鎖で捕縛
船に乗せられるだけ詰め込んだ後、敵と共に骸の海に戻る

自身に近寄る相手は車輪など拷問具にて傷口をえぐったり、盾にしたりして恐怖を与える
手足を潰して再生中で動けないうちに船に放り込んでおく

君達が行くのは天国じゃないよ。
元居た所、骸の海に還るだけだよ。



『ぱらいそ預言書のお導きあれ!』
『くるせいだー殿の加護ぞあれ!』
 切支丹女武者達の異様な士気は信仰に基づくもの。夷洞・みさき(海に沈んだ六つと一人・f04147)は目の前に布陣する彼女達を見て改めてそれを実感した。
「あの手の死なない咎人は禊ぐのも大変なんだよね……身削いでもあまり自分の咎を認識しないから」
 彼女達はオブリビオン。言わば過去の亡霊。そしてその身は屍人。既に身が朽ちつつある事すら知らぬ者達。たとえ胸に風穴穿たれようと、手足をもがれようと、止まりはしないだろう――『信仰』に身も心も捧げている彼女達は。
「だから、いるべき所に還ってもらった方が良さそうだね」
 そこは彼女達が望むぱらいそではないのだけれど。

『撃てぇぇぇっっ!!!』
 号令と共に一斉発射される鉄砲の音。自分に向かってくる弾も、頭と心臓さえ守ればどうって事無い。実体すらあやふやな四肢や胴を貫く程度は無視し、みさきは召喚の術を編む。
「帆を張れ、郷愁の風背負って!」
 みさきの声に応え現れたのは一隻の朽ちたガレオン船。咎人を骸の海へと還す存在。
「過去になりこの世に存在しなくとも――やる事は永遠に変わらない」
 広げた手の平を敵陣に向ける。それが砲撃の合図。ずどんずどん、と大砲が火を吹けば女武者の陣は吹き飛び蹴散らされ瓦解していくのが見えた。
 更に"涸れた波"号から射出されるは幾多の鎖。シャリンと音立て、砲撃に巻き込まれて尚も戦う意志を捨てぬ女武者達を捕らえ、ウインチで巻き上げるかの如く彼女達を船の中に回収していく。
『や、やめろ!?』
『おのれ、同朋を返せ!!』
 銃撃程度では死なぬのだろうと、みさきに直接斬りかかってきた女武者達。だがみさきは慌てずに拷問具である車輪を盾にしてその攻撃を止めた。
「そんな事をしても、咎を増やすだけなのに」
 にたり、と向けたその笑みに。斬りかかった女武者は身の毛がよだつ感覚を覚える。彼女達は察したのだろう。この猟兵は生と死の狭間に存在せし人在らざる何かの様なものだと。
 その隙にみさきは傍らの車輪を手繰り、武者達の足を轢き潰した。ぎゃあと言う声と骨肉潰れる音。構わない。死者に肉体など本来要らぬ筈だろう。動けなくなった彼女達もまた船に放り込み、捕らえた者達と一緒に乗せて。
 多くの女武者を乗せ、船は現世から消えて行くのをみさきは静かに見送る。
「君達が行くのは天国じゃないよ――元居た所、骸の海に還るだけだよ」
 帰還する船に軽く手を振って、みさきは身を翻す。地に引き吊り下ろされし魔空原城。この奥にも|還《帰》すべき咎人がいるのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

趙・藍樹
存在しないモノに縋ると言うのは今一つ共感は出来ないですが
心の支えが必要であったというのは分かります
しかしもはや屍人。何を言おうが天国とやらには届かないのでしょう

殲滅戦となると、手数が欲しい所ですが――あまり得意で無いのですよね
黒牙で足元を狙い威嚇、蔦鎖華光で捕獲しドスソードで止めを
トリモチ弾は面倒ですが…利用するのも良いでしょうか
足狙い出来たらそのまま受け、続く攻撃を急所のみ避けて適度に傷を負う
ある程度血を流さないと使えないのですよね
動けなくなる前の適当なところで、刺青から炎の精霊竜を呼び出し一気に殲滅へ
痛みすら感じる前に焼いてあげますよ…優しいでしょう?
主の御許とやらに行けるかは知りませんが



 猟兵達の快挙により、城から現れる切支丹女武者の軍団は明らかに数を減らしていた。
 それでも。劣勢強いられてなお、彼女達の士気は落ちる気配は無い。
『怯むな、我らにはでうす様の加護ぞあり!』
『ぱらいそへの導きあれ!!』
 そんな彼女達の様子に、趙・藍樹(圈养的牡丹・f40094)はどこか冷めた表情で首を傾げていた。
「存在しないモノに縋ると言うのは今一つ共感は出来ないですが……」
 所詮信仰とは見えぬ神仏へ、その心を委ねる様なものだろうと藍樹は思う。だが実在・非実在を問わぬならば、心の支えと言うものの必要性は充分に理解はする。人間は一人では生きていけぬものだと言う事も。
「しかしもはや屍人。――何を言おうが、|天国《ぱらいそ》とやらには届かないのでしょう」
 袖からぬるりと得物を取り出しながら、藍樹は最期の足掻きを見せる彼女達を見つめ……そして駆け出した。
 今出来る事、すべき事は、彼女達を全て倒す――それが今回の仕事なのだから。

『来るか、幕府の手先め!!』
 鉄砲の音が響き、それに継いで打刀や脇差を手にした女武者達が一斉に向かってくる。
(「殲滅戦となると、手数が欲しい所ですが――あまり得意で無いのですよね」)
 迫る女武者の足元に向けて|黒牙《リボルバー》のトリガーを絞れば弾が足を貫通していく。威嚇のつもりだったが、どうも屍人と化した彼女達は痛みすら然程感じないのか。僅かに動きを留める程度であったが。
「まぁ、充分ですかね」
 不用意に近づき斬りかかってきた女に人差し指示せば、光の鞭・蔦鎖華光がそこから伸びる。動き封じる様に捕獲した所で鍔無き刃で一気に首を落とす。
「流石に頭部を失えば戦えはしない、でしょう?」
 とは言え、この調子ではキリが無い。身に仕込んだ武器による攻撃も、何度も披露すれば見抜かれるのも時間の問題。
『ちょこまかと動かれては面倒、取って置き行くぞ!』
 一斉発射されるトリモチ弾。避けようと思えば可能ではあったが。
(「あれは面倒ですが……利用するのも良いでしょうか」)
 数歩引いた所で足に着弾。べったりした感触が己の足と地面を繋いだ。成る程、これはおいそれと動けない。
『今だ、一斉発射!!』
 続けて鉄砲の音が重なる。集中砲火を身に受け、藍樹はあっと言う間に蜂の巣になるも――頭部と臓器は無事なら問題無い。
「替えが効きますから、ね?」
 手足などそもそも|機械化義体《サイバーザナドゥ》に置き換えれば良い。だが、手足より流れる血は生きた肉体からしか溢れ出ぬものだけれども。
「さあ、これからが本番ですよ?」
 肌に刻まれ咲く花が血にまみれ――そこより炎の精霊竜が雄叫び上げて具現化した。
「骨まで燃やし尽くせ」
 女武者達に向かって炎竜は駆け抜けるとその高熱を以て一気に屍人の身を焼き尽くしていく。
「痛みすら感じる前に焼いてあげますよ……優しいでしょう?」
 足をどうにかトリモチより脱しながら、藍樹は優しくない笑みを悲鳴上げる女達に向けていた。
「主の御許とやらに行けるかは知りませんが」
 どこかで見た十字切る仕草をしてみせ、彼女達が必死に守っていた城を見上げて前に進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『軍神『上杉謙信』』

POW   :    毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    毘沙門刀車懸かり
対象の攻撃を軽減する【回転する12本の『毘沙門刀』】に変身しつつ、【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:色

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 屍人と化した女武者を退けた猟兵達は魔空原城の中へと進軍する。
 広い城内を進めば、一回り広い部屋へと出――。

『来たか、猟兵』

 白黒双振りの太刀を手にした白い頭巾の男が青い瞳を向けて待ち構える様にそこにいた。
 かつてこの世界のフォーミュラが戦乱と共に喚び起こした魔軍将。そしてクルセイダー同様、各世界で暗躍せし猟書家の一人。
『お初にお目にかかる者もいよう。私は上杉謙信。他の世界における日の本の国の歴史に通じておれば名くらいは存じていよう』
 軍神、と名を轟かせた武将。その名に違わぬ堂々とした佇まいのままに男は告げる。
『本来ならば軍を率い布陣を牽いた戦を得手とする所ではあるが、生憎クルセイダー殿……いや、晴明はそれを許してはくれぬ様だ』
 故に、晴明のいるであろう礼拝堂を守るこの場所に配されたと。
『さて、存じていようが……今のこの私の身は屍人。致命傷を負ったとて、おいそれと倒れぬ身と化している』
 黒刃アンヘルブラック・白刃ディアブロホワイトの双振りを構えれば、その周囲に幾多もの刃が舞い始めた。
『先に進みたくば私を再び屍に帰してみるが良い、猟兵よ』
「ぱらいそ預言書」はかく語れり。
 望むと、望まざるとに関わらず。
 魔軍将は選ばれし者に集うなり――。
シトー・フニョミョール
まぁ大勢散らしておしまいじゃないですよね。これは厄介そうです。
しかしシトーも今回のためについつい準備しちゃいましてね、そおぃ!(【UDCラバー液】瓶を上杉謙信に投擲)
そのまま突撃です! 斬って避けたのなら僥倖。もう刀の何本かはゴムになって使えませんからね。そいそぉい!(すかさず【UDC液体蝋】瓶を投擲)
攻めてくる刀はなまくらにしてなんぼですからね!そしてスライディング――からのラストそぉい!(上杉謙信の頭上に【UDC液体金属】瓶を投げ、フック付きワイヤーで瓶を破壊)
うまく行けば侵食性の液体金属が降り注いでメタリック軍神『上杉謙信』の完成です。
中性的な美しさ、いいよね…いい。


鍋島・小百合子
POW重視
他の猟兵との協力・連携重視

越後の虎たる軍神と相見えるとは武士の誉なり
肥前藩主・鍋島直茂の姪子たるわらわがお相手いたそう

UC「黄金勇霊装」発動にて勇気の力を発現した黄金の甲冑を纏い、
軍神の刃に対しわらわは薙刀にて戦に臨む
十二本の毘沙門刀から来る軍神の業には薙刀の武器受け防御で受け流すか残像を纏いながら飛翔能力を活用しての回避しつつ、こちらからは洗練されし我が薙刀の武技(なぎ払い、乱れ撃ち、咄嗟の一撃併用)を見舞う
毘沙門刀と軍神の手に持つ二刃の太刀筋を戦闘知識として吸収し見切りに活用

軍神にわらわの勇気と負けん気の強さを見せつけてくれようぞ!



「まぁ大勢散らしておしまいじゃないですよね――」
 これは厄介そうです、とシトー・フニョミョールは目の前に立つ武将を見つめ、思わず肩を竦めた。
 そこにあるのは軍神と誉れ高き武将『上杉・謙信』だ。かのエンパイア・ウォーでも立ち塞がった男は超・魔軍転生にて屍人の肉体を有し、再び猟兵達の前に立ち塞がる。
「越後の虎たる軍神と相見えるとは武士の誉なり」
 歴史に名だたるその相手を前に、鍋島・小百合子は思わず笑みを浮かべてしまいそうになるのを抑えながらも毅然として薙刀を構えたまま名乗りを上げる。
「我が名は鍋島・小百合子。肥前藩主・鍋島直茂の姪子たるわらわがお相手いたそう」
『鍋島――と言うと、龍造寺の重臣として名を轟かせたあの、か』
「遠く越後まで知られていたとは――伯父上もさぞかし喜ばれよう」
 小百合子はその言葉に軽く口元を緩めるが、すぐに武士の顔に戻るとユーベルコードを発動する。
「わらわの勇よ、力となり輝け……!」
 身に纏うは黄金の甲冑。武者鎧とは違い全身の形に添う機能的な西洋鎧にも似た金色。即ち小百合子の勇気の象徴。
「格好良いですね、黄金の鎧……! シトーも今回の為についつい準備してきちゃいましたし、支援します!」
 そう楽しそうに告げるシトーの手には既に何本かの薬液が入った瓶が握られていた。
『さぁ、どこからでもかかって来るが良い猟兵達よ』
「言われなくとも! そおぃ!!」
 シトーが投げつけた瓶は放物線を描く。その特段普通の速度の攻撃に謙信も避ける事はせずに周囲に浮かぶ毘沙門刀を奮って叩き割ったのだが。
『……む』
 軍神が眉間を寄せた。一撃を当て、瓶の中身を受けたその毘沙門刀の刃がゴム状に変化している事に気が付いたのだ。
『これもまた、其方の妙技か』
「いぇーす! さっきの瓶の中身はUDCラバー液! 攻めて来る刀はなまくらにしてなんぼですからね!」
 その間にも小百合子が高速飛翔による接近、薙刀が思い切り振りかぶられればゴム状に表面が変化した毘沙門刀は受け止めきれずに叩き折られ、その先にいる謙信の身体を薙いだ。
「我が薙刀術の武技もお見せいたす!」
『成る程、ただのじゃじゃ馬娘では無さそうだな其方も』
 十二本の毘沙門刀繰り出す謙信。その四方八方からの連続攻撃に対し、小百合子は華麗なる薙刀捌きにて受け止め、流し、隙間を縫う様に刃の先を突き入れる。多少の斬撃は身に纏った鎧が受け止める。恐れは今は要らぬ。向かう勇気が力と成す!
「そいそぉい!!」
 更にシトーが次の薬瓶を軍神の操る刃に向けて投擲する。先程のを見て謙信も流石に刀で受けたくは無いが、投擲の軌道は刀と己自身の双方を狙ったもの。刀が避ければ自分に当たる。
『ちっ……!』
 舌打ちと共に毘沙門刀が瓶を叩き割り、UDCの不可思議な液体蝋がその刃を覆って鋼をあっと言う間になまくらに変質させてしまう。
「シトー殿、援護痛み入る!」
 残像纏った小百合子は残る毘沙門刀の攻撃を避けながら乱れ舞う様な薙刀の斬撃を軍神に見舞う。
 刀傷にまみれつつも、更に自分に向かってくるシトーの存在に気付く謙信。その身をも数振りの毘沙門刀に変じるとそのスライディングを回避し一斉に串刺しにせんと試みるが。
 シトーのその手には液体金属入った小瓶が握られていた。
「ラストそぉい!!」
 高く投げあげた小瓶。毘沙門刀と変化した謙信の上を抜けた所でシトーの飛ばしたワイヤーの先、金属フックがガシャンと小瓶を叩き割り、その中身が爆ぜた。
 侵食性の液体金属が染み込むと同時に、彼女のユーベルコードの力――封印の効果が完成する。
『ぐっ……!?』
 毘沙門刀への変身が解け、周囲に舞っていた毘沙門刀も瞬時に姿を消す。
 そこに一気に迫る小百合子。軍神の得物は今は手にした二刃のみ。
 ガキン、と交差した双太刀と薙刀の刃がぶつかり合う。姿勢を崩したままの謙信は歯を食いしばりつつも真っ直ぐに小百合子を見つめ、そして小さく笑み零す。
『この戦いの中で私の太刀筋すら己の糧としているな、鍋島の娘よ』
「戦の中でわらわは学び、強くなる。軍神、わらわの勇気と負けん気をその目に焼き付けよ!」
 高まる力で小百合子は素早く薙刀を引き、すかさず横薙ぎに払う。
 軍神の胴より血の華が咲いたのを僅かに離れた所で見つめていたシトーは、謙信を金属化出来なかった事を残念に思いつつもそのある種の美しさに目を奪われていた。
「中性的な美しさ……戦場に咲く花、いいよね……いい」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夷洞・みさき
将が兵を使えないのは大変だね。屍人として蘇って好き勝手できないのは大変だね。本調子が出せなくて大変だね。
他に何かあるかい?大変な事は。
ま、咎人の都合なんてどうでも良いんだけど。
君が生前どれだけ人を殺し、土地を焼いたかもどうでもいい。
ただ過去から今に害を為す。その咎への敵だ、僕等は。

水や死に関する属性には強いがそれ以外は普通

UCにて召喚した船で天変地異に対応する
船員、船、真の姿になった後の同胞達の順で天変地異に共倒れ承知で対応
拷問具を率いた人体部分が辿りつく
死ぬことを戸惑わない咎人殺しの軍勢にて恐怖を与える

こっちは五百五十五と七人だけど頑張ってね。
逃げても良いよ。いつか僕達は追いつくから。



「将が兵を使えないのは大変だね」
 世間話でもするかの様に。夷洞・みさきは目の前に立つ軍神と称されしかつての武将に言葉投げかけた。
『折角の戦に本領発揮出来ぬ口惜しさは否定せぬ』
「本調子が出せないと。そりゃ大変だね」
 みさきは全く同情などしない笑みを顔に張り付かせたまま告げる。
「屍人として折角蘇ったのに。好き勝手出来ないのは大変だね」
『――何が言いたい』
 流石に小馬鹿にされているとは感じていたのだろう。肩を竦め、謙信はその涼やかな視線をみさきに向けた。
「いや何、聞くだけ聞いてみたかっただけさ。他に何かあるかい? 大変な事は」
 ――ま、咎人の都合なんてどうでも良いんだけど――と。クツクツと肩を揺らし、女は嗤う。手を翳せばそこには愛用の大車輪。咎人を屠る仕事道具。
「僕はこの世界の歴史には詳しくない。君が生前どれだけ人を殺し、土地を焼いたかもどうでもいい」
『戦の場上では人の命など塵芥同然。今更の話だな』
「だけど戦の時代は過去の話。過去から泰平にある今に害を為す。それは咎だ。そしてその咎への敵だ、僕等は」
 そう告げたみさきの後ろに黒き影と共に喚び出されていく何か。それは一隻の船。涸れた波を名に持つ游濫船。
『其方はその亡霊たる水軍を率いる将と言う事か』
「将って程、大層なものじゃあない」
 たまたま現世に残っただけだと薄ら笑み、みさきは手を掲げて同朋たる幽霊達に告げる。
「掲げよ、我らの紋章を。咎人を屠れ、同朋よ」
『冥海より来しものはあるべき場所に戻れ』
 船に乗る咎人殺しの幽霊・総勢555人、及びみさきと彼女の身に宿る魂併せて七人が猟書家たる魔軍将に対峙する。船員達は一斉に拷問具を手に襲いかかり、対して謙信は手にした炎の属性持つ毘沙門刀を奮って火炎の竜巻を引き起こす。
(「水や死に関する属性は強いんだけど、な」)
 霊に対して浄化の象徴たる炎を用いるのは鉄板か。更に電撃の突風を放ってくる謙信の攻撃に軽く舌打ち。見た通りに頭は切れるのか、的確に効果的な属性を選んでくる。
「けど、数は此方が多い」
 焼かれても尚食い下がり襲い来る船員達、続く船。不死たる屍人の群れが延々と襲い来る様子に似ている事だろう。そして軍神の引き起こす天変地異の壁を突破して、みさき自身がとうとうその手を間近に伸ばす。
「逃げても良いよ。いずれ、いつか……僕達は追いつくから」
『は、逃げるなど』
 笑止、と。謙信は手にした二振りでみさきの叩き付ける大車輪を受け止め――切れぬ。
『ぐっ……!』
 その身に背負った業の重さそのものに押し潰されるかの様に。
 みさきとその同朋の攻撃は、死せる軍神を再び冥府に送り返すが如く、身を貫き喰らい付いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

趙・藍樹
此処に来るまでに時間をかけた分確りと待ち構えられていた、という所でしょうか

何時の事だか忘れましたが、名前は聞いた事がありますね
遥か昔に武将として名を馳せた方だと
だとするなら、此方も全力で向かわねば失礼というもの
先へと進む為に…再び動かぬ屍と成って頂きましょう

【華胥の夢映す月鏡 潜りて向かう先は何処か】

直接打ち合えば押し負けるだろう一撃の軽さは手数で補う
ドスソードと月影氷牙共に構えて距離を詰めての2回攻撃を
謙信の変身後はドスソードで毘沙門刀を受けて回転を一瞬でも止め、隙を探して月影氷牙で急所狙い
この感じは私と貴方と、何方が先に力尽きるかの競争となりそうですね
さあ、限界まで――遊び、ましょう?



 既に戦いは始まっていた。その身を切り裂かれて貫かれても尚、平然と立つ軍神の姿がそこにある。
「此処に来るまでに時間をかけた分確りと待ち構えられていた、という所でしょうか」
 趙・藍樹は謙信の周囲に漂う数振りの毘沙門刀を見つめ、軽く小首傾げた。本人が述べた様に、得意とする軍を率いての戦いは出来ぬ様だが、それでも悠然とこの武将は目の前に立っているのだ。
「何時の事だか忘れましたが、名前は聞いた事がありますね」
『ほぉ?』
「遥か昔に武将として名を馳せた方だと」
 サイバーザナドゥの地球は他の世界と比べても未来を進んでいる。国が国として成してはいなくとも、古き時代に歩んだ歴史は恐らく他のアース系世界と変わらぬ筈だ。
「残念ながらまともな教育を受けてないものでして――うろ覚えではあるのですが」
『なに、構わぬ。この世界でも貴殿の世界でも、私がこの名を挙げた事は過去の事象に過ぎぬのだから』
 故に、過去より蘇った。武士が健在な世界で時代だからこそ彼はこうして喚ばれ、此処に存在するのだろう。
「そうだとしても、此方も全力で向かわねば失礼というもの」
 スッと藍樹が袖を振れば、鍔無き刃の切っ先が顔を覗かせた。
「先へと進む為に……再び動かぬ屍と成って頂きましょう」
『は、既にこの身は屍。貴殿に止められるものか』
「やってみなきゃ、解らないでしょう?」
 藍樹は挑発的な軍神の言葉に対し、やはり挑発的な笑みを向け。そっとその唇に詩乗せながら床を蹴って敵に向かい駆ける。

 ――|月鏡映華胥梦《華胥の夢映す月鏡》,|潜入何処《潜りて向かう先は何処か》

『……早いな』
 謙信は両手の太刀で藍樹の初撃受け止めながら眉潜めた。踏み込みから彼の元に到達する速度は常軌を上回る。
「さて、楽しませて下さいよ?」
 |殺技疾風《サツリクノカゼ》――高速戦闘モードに入った藍樹の手には刀と短剣。一度弾かれ、数歩引いたとてすぐさま距離を詰めると瑠璃月伴う刃が軍神を斬り付ける。
『成る程、一撃はそう強くはなさそうだ』
「バレましたか。しかし手数は天の星より多いですよ?」
 隙は与えぬ。続け様に休む暇無く攻撃を加えれば流石の謙信も受けざるを得ぬ事となる。
『――なれば』
 十数度目の斬撃を黒太刀で弾いた直後に謙信はその身をも刃へと変じた。回転しながら襲い来るは十二振の毘沙門刀。帯びるその属性は――。
「電気を帯びるとは……なかなかの観察眼の様で」
 ドスソードで毘沙門刀を受ければ電撃が一瞬の内に伝わる。|機械化義体《サイバーザナドゥ》で換装した身を見抜くとは、流石軍神と言えるだろう。
『作り物の身体持つ者は雷にて動き、過度の雷に弱い――そう聞くからな』
 だが多少機械の身が灼かれた所で藍樹は全く気に留めない。使い物にならなくなった躰は変えれば良いだけだ。
 刃を振るい、回転する紫電の刀を受け止めて止める。走る電撃。だがその一瞬の内に藍樹は刀の要となる目抜きの部分を思い切り月影氷牙で突く。
『――!!?』
 刀身を柄に固定するその箇所。目抜きを外されては刃は安定せぬだろう。
「あたり、ですかね?」
 鋼の刃そのものよりも、その拵え部分が脆弱なのは刀を扱うが故に知ってはいたから。
『くっ……!』
 それでも。新たに別の刃が回転しながら高速で藍樹を襲い、その服を切り裂き電撃で機械回路を灼く。
「この感じは私と貴方と、何方が先に力尽きるかの競争となりそうですね」
 無論、完全に力尽きる前に自分は退くつもりだが。他にも猟兵はいる。先にも敵はいる。何より半死で帰還したらきっと怒られる――説教は面倒だ。
「さあ、限界まで――遊び、ましょう?」
 刀と刀が躍り、ぶつかり合う音と火花はしばし続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須辿・臨
名だたる武人の……制限付きにしても。
一騎討ちってのは燃えるっすよ。

いざ、参るっす!

元より戦上手が相手、軍を動かすのが得意といって、同時にそれは対一の戦況を見る力にも優れているもんっすからね。
弱点を隠し、弱点を突いてくる。

先にあんま威力あがってねえUCの一撃をかまして、普通の斬撃って侮りを誘うっす。
露骨に「くそ、通用しねえんすか!」って悔しがってみたり。
こっち剣を振るしか能の無い単細胞と(本当だけど)思い込ませる。

んで、オレの次策は正面から十二の剣に突貫っす!
向こうの攻撃は剣で受けて、頭とか心臓とか、脚が動かなくなるような怪我だけは回避するのを意識、後はどんな深手も覚悟の上、謙信公に向かって全速力っす。
相手が命中より、攻撃力を優先してくれりゃ、いいんすけどね。
たった一撃、限界まで、力を溜め。

本当の、逆境の一太刀を見舞うっすよ。
ま、百メートル半径より遠いってことはないと信じるっす。

工夫も変哲も無い純粋な力で、お返しするっす。
こいつは、あんたが解放されるよう――出し惜しみなしの全力だ、ってね。



 猟兵達の猛攻を受けて尚、その男は立つ。
 それは矜持か意地か――否、武人たるもの命尽きる時まで戦いに身を置いてこそ。
 故に立ち塞がり続けるのだ。忠義無くとも、屍の身となりても。
『貴殿も……武の道に魂捧げた身か?』
 白き裹頭は出家者の容貌――かの上杉謙信たる求道者はある意味同類の匂いを感じ取ったか。
「名だたる武人の……制限付きにしても」
 須辿・臨は既に抜き身の刃を手にし、武将を前にして尚もその顔に笑みが消えずにいた。
「一騎討ちってのは燃えるっすよ」
 戦いはいつだって楽しい。血湧き肉躍り、全ての感覚が研ぎ澄まされ――命と命のやりとりの中にある緊張感とは最早中毒性の高い快感でもあるだろう。
 ましては軍神と称された戦上手が相手。今は軍を率いていないとは言えど侮れる筈も無い。軍を動かす事は即ち対一の戦況を見る力に優れていると同義――臨はそう考える。己の弱点を巧みに隠し、此方の弱点を的確に突いてくる。あの両手に有る二振り合わせた十二の属性持つ太刀を今は軍の代わりとして操るのだろう。
「羅刹の剣士、須辿・臨――いざ、参るっす!」
 焔の宴は踊る様に彼の右手の中に収まったままに細くも力強い刀身にて宙を斬り裂いた。しかし放たれた一太刀は易々と軍神に躱され、炎纏う毘沙門刀と雷撃纏う毘沙門刀がその動きを止め、弾く。
『斯様な軽い斬撃――よもや手数で攻めようとでも?』
「くそ……っ! オレの剣、通用しねぇんすかっ!」
 唇噛み締め更なる剣撃を浴びせんとするも、悉くそれは受け流され空を切る。悔しげに吼える臨に対し、期待外れだったのかと残念そうな侮るような……そんな微妙な表情を謙信は見せた。
『剣をただ闇雲に振るうだけの男には見えぬ――そう思ったのは私の見込み違いか?』
「ははッ! 割と大当たりっすよ!?」
 単細胞なのは間違い無い。否定出来ぬと臨は自身をそう思っている。だがそう思って貰うのもまた策の内。
「うおおぉぉぉっっ!!!!」
 雄叫び上げ、臨は真正面より十二の刃に向かって突貫する。全速力にて謙信に向け、その手にした剣を届かせんと振るい駆ける。
『命知らずめ、ならば一思いに――!』
 毘沙門刀がくるりと一回転すると、鋭く炎を氷を雷を纏いながら臨に思い切り振り抜かれていく。その斬撃は強烈に彼に向かう。辛うじて受けた一太刀目は強い衝撃を以て鋼を通じ、臨の手の感覚を一瞬にして奪う。
「まだ、まだ……!」
 十二の刃は臨の身を薙ぎ、腕を切りつけ、脚を刺す。だがしかし青年の足は止まらない、止める事は出来ない!
 間近に迫る臨に、軍神は気付く。深手を追いつつあるこの青年だが、致命傷と行動が阻害される四肢だけは死守しているその巧みさに。
『だが、そんな手負いで何が……!』
「手負いだから、こそ……!」
 たった一撃。そう、この一撃に全てを賭ける。その為に彼は斬撃の中を駆けた。限界まで力を溜めた。
「お覚悟……!!!」
 出し惜しみ無しの全力を篭め。放つは|逆境の一太刀《ラスト・アヴェンジャー》――その身に受けたダメージ全て、この一撃に上乗せして叩き込む!
 ――斬!!
『か、はッ……』
「工夫も変哲も無い純粋な力にて、お返ししたっすよ」
 すれ違い様の一撃。そのたった一撃は謙信の胴を真っ二つに両断せしめた。その上半身が床に音を立てて落ち、続けて下半身が後ろに倒れる音がしたのを背に聞き遂げてから臨は振り向いた。
『――肉を斬らせて骨を断つ、と言った所か。私の攻撃はわざと受け続けた、と』
 軍神は近付く臨の顔を見上げて言う。全ては反撃の一撃の為だったか、と感嘆の息を漏らし、そして告げる。
『止めを刺すと良い。今の私の肉体は再生こそせぬがこのままでは直ぐには死ねぬ故――頼む』
 屍人と化したその身は両断された程度では動けずとも死ねない。身が朽ちるのを待つだけならば、と男は言う。
「オレはあんたが解放される事を願って剣を振るったっす」
 故に断る道理は無い――横たわる軍神の首目掛けて臨はその手の刃を振り下ろした。

 ――………。
「クルセイダー……いや、晴明はあの先っすね」
 骸の海に消えて行く軍神を見送った臨は、軽く血止めを済ませてから先に見える階段を一瞥し。
 屍人を生み出し操る悪しき存在を討つべく、彼は足を踏み出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『憑装猟書家『晴明クルセイダー』』

POW   :    十字槍「人間無骨」
【十字型の槍】が命中した対象に対し、高威力高命中の【体内の骨を溶かす光線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    憑装侵略蔵書「ぱらいそ預言書」
【預言書に書かれた未来の記述を読むことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    『魔軍転生』秀吉装
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:kawa

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 美しき礼拝堂にその青年は立っていた。
 壁に彩られるはまるで|楽園《ぱらいそ》の様な絵が描かれたステンドグラス。
 手には十字を象った槍、そして侵略蔵書『ぱらいそ預言書』。
 切支丹の先鋒を担った少年を思わせる容姿を持つ彼であったが、その目は最早虚ろ。

『おいでなさいましたか、猟兵』
 その声はクルセイダーのものであったが、言葉遣いは全く以て別人のもの。
 霊的な力がある者ならば、青年にもう一人の存在が重なって見える事だろうか。
『クルセイダーの蛮勇、それはもう見事なものでございましたよ。エンパイアを転覆に導かんとすべく、この私の憑装を試みたのですから。ええ、身の程知らずにも程がありますな』
 くく、と喉鳴らして笑むその仕草は、かつて魔軍将として現れた平安時代の陰陽師、安倍・晴明そのもの。
『この肉体とユーベルコードは既にこの晴明のもの。折角でございます故……彼の意志を受け継ぎ、この世界を破滅に導くのもまた一興かと思いましてな』
 魔軍将ゾンビの生成もその一端だと晴明は笑む。彼の目的に理由など無い。ただ人々の命を弄ぶだけのもの。

『けれども、邪魔をなされに来られたのでございましょう?』
 薄笑いを浮かべてクルセイダーの顔をした晴明は告げる。
『私自身の法術こそ使えませぬが、この肉体と私の霊体――ユーベルコードは、ええ、二人分一度に用いて見せまするが故――簡単にはやられますまい』
 十字槍を構え、預言書を見開き、秀吉譲りの黒き尾を揺らす。
『逃げも隠れも致しませぬ。さぁ、貴方達の|業《カルマ》をとくとお見せ下さいませ』

============
 敵はクルセイダーの肉体と霊体の晴明による「2回攻撃」を行いますので、それに対処する事が三章におけるプレイングボーナスとなります。
 このシナリオにおいては、一つ目は「猟兵の指定ユーベルコードに対応したもの」を、二つ目は「猟兵の一番低い能力値に対応したユーベルコード(一つ目が一番低ければ二番目)」を使用させる事とします。
============
鍋島・小百合子
WIZ重視
他の猟兵との連携可

死者に鞭打つ愚行はそこまでじゃ
今こそ黄泉へと送り返してくれる!

敵の2回攻撃にはそれぞれで違う戦術で対応
猟書家本体の繰り出す召喚攻撃には薙刀でなぎ払いながら生じる衝撃波を繰り出しては吹き飛ばしていき、
霊体の十字槍は当たらぬよう残像を纏いながらその太刀筋を見切りつつ、回避される事を前提とした一撃をわざと繰り出し、隙あらば懐の小太刀で一刺し加えていく(カウンター、咄嗟の一撃併用)

二人の敵の攻撃を凌げればUC「勇者乃武器」発動
己が勇気を薙刀に纏わせて神罰と破魔の力を込めた一閃!

戦での業は戦功で払うてくれるわ!
肥前が女武者・鍋島小百合子!いざ参る!


須辿・臨
さって、いよいよ来たっす、お覚悟っすよ!
迷惑なクルセイダー状態に同情はしねえっすけど……輪を掛けて迷惑そうなあんたは、ここで止めるっす。

禁断のユーベルコード二段撃ちっすか。
晴明らしさ全開っすね!

ひとつ目は限界突破、人間無骨に対する回避優先、骨なくなるのは御免っす!
槍の動きを見ながら高速飛翔によるダッシュで斬り込むっす。
避けられなさそうなら、この場合脚っすかね……踏み込み甘くなるんで、嫌っすけど!

二つ目はサイキックブラストっす。
近づいて来た時、近づけた時、どかんと電流叩き込むっす。

常に動いて軸を定めず、手数で勝負。
体勢崩しを狙い、隙あらば深く斬り込むっす。

あんたを楽しませる気はねえんでね。



 不敵な薄ら笑みを浮かべる猟書家の成れの果てを前に、この世界に生まれし|武士《もののふ》として――護る者として、鍋島・小百合子は明確な敵意を以て鋭き視線をそれに向けた。
「死者に鞭打つ愚行はそこまでじゃ。今こそ黄泉へと送り返してくれる!」
『これはこれはおそろしいお顔をなされますことで。しかしながら……此処は女人と侮ってはなりませぬか。此処までお越しになったその実力、きっと確かでありましょうな』
 慇懃無礼なその態度は異教の聖職者然としたその姿形には似つかわしく思えないのは、やはりその中に有する存在が別の者だからであろう。
「っと、そっちが『二人分』ならこっちも二人で挑んでもいっすよね?」
 小百合子の後ろより声が掛かる。抜き身の刀を肩に担ぎそこに立つ須辿・臨が全身血塗れなのは、謙信を相手に決死の策で挑んだ証左か。
「さって、いよいよ来たっす、お覚悟っすよ!」
 しかし負傷すらまるで楽しみの一部でもある様に、羅刹の青年はニタッと口元に笑みを向けて晴明宿るクルセイダーを睨み付けた。
「迷惑なクルセイダー自体に同情はしねえっすけど……輪を掛けて迷惑そうなあんたは、ここで止めるっす」
『強がりも程々になさいませ。血を失って顔面蒼白にあらせられると言うのに』
「戦の場に立つ敵相手を気遣うなぞ侮辱の極みぞ」
 小百合子は薙刀を構えて晴明を睨み付け、臨の横に並ぶ。そして顔を見る事無く告げた。
「妾は奴の繰り出す召喚術を受けて立つ。貴殿に槍の攻撃を捌いて頂く事、願えるかの?」
「オレも槍から受けるつもりだったっす。けど、多少防ぎ漏らしてもお互い様って事で勘弁っすよ?」
「うむ、無論承知の上じゃ」
 奴は此方の最も苦手な力で二度目を攻めて来ると送り出した陰陽師は伝えてきた。不得手は自分が良く知る。そして小百合子の苦手は臨が得意とする力技なのだとその一言で充分理解出来た。同時に、臨の苦手とする術への対処を彼女が担ってくれるなら。幸いにも均衡が取れるのではなかろうか。
『さて……魔軍転生・秀吉装! 其の孫たるクルセイダーを護りにお出でませい!!』
『『『フェンフェンフェーン!!!』』』
 クルセイダーが号令上げると同時に鳴き声を響かせて黒い毛玉が大量にその場に満ち溢れる。青年の臀部に伸びるのと同じ黒き尾を持つその丸い生き物こそ、エンパイアウォーでも立ち塞がった豊臣秀吉その者である。
「肥前が女武者――鍋島・小百合子、いざ参る!!」
 気合一閃、薙ぎ払いによる斬撃と生じた衝撃波が襲い来る秀吉達を一撃の元に両断し叩き潰し消滅させていく。それもその筈、数こそ多いも一匹一匹は至極弱い相手だ。
 そこに近付くはクルセイダーの影。霊体が操るその身体は人知を超えた動きで十字槍『人間無骨』を振るい、小百合子の身を貫かんと狙う。骨抜きにされる訳には行かぬとその太刀筋を冷静に見切り、逆に己から一撃を突き入れた。
『斯様な攻撃、見え見えでございますよ』
「承知の上よ!」
 回避される事は充分解っていた。その余裕めいた笑み、慢心こそが晴明に突くべき弱点。
『ぐっ……!?』
 懐の小太刀をすれ違い様に突き入れる。クルセイダーの白いローブが僅かながらに紅く染まるのを小百合子は確かに見ると同じく。
「禁断のユーベルコード二段撃ちっすか。晴明らしさ全開っすね!」
 その全身を羅刹紋で覆った臨が既に晴明クルセイダーの目前まで迫っていた。|限界突破《オーバー・リミット》はその負傷の度合いに応じて臨の身を強化する。既に傷だらけの彼の戦闘力は天井知らずに跳ね上がり、その速度はマッハ9を越えて一瞬で懐に刃を突きつける!
『早い……!?』
「骨なくなるのは御免っす!」
 クルセイダーが槍を突き出すその所作がコマ送りの様にすら見える。突き出された人間無骨を一歩で回避しながら槍の中程を左手で跳ね上げて軌道を逸らし、無造作に一太刀入れれば血吹雪きすらも遅く見えた。避けられぬなら脚の一本でも差し出してやろうかと思っていたが、どうにも杞憂だった模様。
「限界突破にも程があったっすかね……?」
 どれもこれも、自分を容赦無くボロボロにした謙信が悪いと思って欲しい。そう言う前に、薄らと見える霊体の晴明が印を組んで術を放つ。
「また毛玉っすか……!!?」
 あの大量の秀吉に囲まれれば幾ら音速飛翔をしていても動きが割れる。臨は刀を逆さに持ち替えながら、その両手を秀吉の群れに向け、高圧電流を解き放つ!
「そぉれどっかん!!」
 叩き付けられた電流に動きが止まり消し炭になるフェンフェン達だが、その数は多い。
「任せよ!」
 小百合子が薙刀を振るう。その刀身には強く光り輝くオーラを纏われていた。それは彼女の勇気が具現化した力。|勇者乃武器《ユウキアルモノノブキ》として破壊力を強く増した薙刀の穂先が思い切り横薙ぎに払われれば、視界を覆い尽くす程の黒い毛玉が瞬殺され、目の前に晴明の魂宿したクルセイダーの姿がハッキリ見える。
「我の心に灯す、勇気の心と共に……!!」
 小百合子はその薙刀に神罰と破魔の力を篭め、渾身の一閃を放つ!!
『はは――勇気、など戯れ言を――』
「笑ってる程、余裕っすか?」
 同時に秀吉から逃れた臨が超高速で迫り、小百合子の攻撃を避けようと動く晴明クルセイダーを阻止する様に袈裟斬りに太刀を叩き込んだ!
「あんたを楽しませる気はねえんでね!」
「戦での業は――戦功で払うてくれるわ!!」
 次いで小百合子の勇気の刃が、異教の装束に身を包む青年の身を鋭く深く貫いた。
『――が、はっ――!?』
 晴明クルセイダーを名乗る男の顔より一瞬にして余裕の笑みが消え去り、白き口元と衣装が赤黒く染まった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シトー・フニョミョール
死に際から救ったセイメイ――貴方に逢い、一緒に連れてってと言いたかった。それが|内なるあの子《六合・薫(りくごう・かおる)》が望み、果たせなかったこと。
その願いは望めないけど、逢えただけでももう十分…てね。
…よし、では彼女がシトーを創り出したキッカケたる晴明を討ち、思い残しを消し去るとしましょうか!(生身の肉体に変わり、黒い影がオーラとなって纏わりつく。しかし所々に張り付く石の鱗。そして紅の双眼。これがシトーの真の姿【完全版】)

細かく動きつつ、秀吉が出てきたらこの時の為に作った装備でバキバキ迎撃!人間無骨は一発外せば攻略可能なので逃げ足や軽業などで対応です。

そして人間無骨を外したタイミングでGOです!懐に飛び込み、上空からは黄金化ドローン&暗器の石化針の2回攻撃!どちらか当たれば良し、そして朽ちず不変のモノにしてさしあげます!!

結局シトーも己の欲望もとい|業《カルマ》には抗えませんねぇ。でも彼女の言う『己の闇を恐れよ。されど恐れるな、その力』その答えをようやく見つけ出せた気がしましたよ。



 かつて、ある少女がいた。
 彼女はその死に際を救った者に、ずっと願っていた。
 貴方に逢いたい、一緒に連れていって――と言いたかった。
「それが内なるあの子が――|六合《りくごう》・|薫《かおる》が望み、果たせなかったこと」
『……唐突に何を仰るのやら』
 シトー・フニョミョールの独白に、晴明宿りしクルセイダーはさてと首を傾げた。顔立ちこそ違えど、あの人を食った薄笑いをシトーは知っている。エンパイア・ウォーで現れた魔軍将が一人。いや、それよりずっと前――内なるあの子が識り、ずっと焦がれていた存在。
「その願いは望めないけど、逢えただけでももう十分……てね」
 シトーのオニキス色の肌が変化していく。黒が抜けていき、その身に纏う影となり――柔らかい人間の四肢がそこに現れる。
『――これはこれは。それが貴方様の|業《カルマ》と申されましょうか』
 クリスタリアンであったシトーの姿はすっかり人間のものへと変ずる。所々に貼り付く石鱗は鉱石の身体の名残の様に。真っ直ぐ晴明を見つめるその両瞳は真紅。彼女の中にある内なる存在の意思と姿が顕在化した真なる姿。
「よし……! 思い残しを消し去るとしましょうか!」
 |彼女《薫》が|自分《シトー》を創り出した切欠たる晴明を討つ。
 それこそが彼女達の心に一つの区切りをもたらすのだろうから。

『さて、孫たるクルセイダーの為においでませ――|豊臣秀吉《グレイズモンキー》達!!』
『『フェンフェンフェーンッ!!!』』
 黒い毛玉の様な存在が晴明クルセイダーの声に応じて一斉にその場を埋め尽くす。かつての隠し将・豊臣秀吉の姿をしたその小さき存在はシトーに向かって殺到、襲いかかる。
「なんの……!!」
 この為に動きやすい靴を新調して来た。細かく身軽に立ち回り、襲い来る秀吉を回避しながらも足元に纏わり付かれる前に思い切り蹴り飛ばす。一撃で倒せる程弱いのは解っている。数の利に屈しなければ何て事は無い筈だ。
 だが敵はこの毛玉だけでは無い。倒すべき相手も同時に動き出す。
『はっ!!』
 気合一閃、クルセイダーの手にした十字槍・人間無骨がシトーに向けて勢い良く突き出される。
「っ……!!」
 その一撃さえ外せば次は来ない。そう思いながら身軽さを活かして回避する――そのつもりだったのだが。
『フェンフェン!!』
「ちょっ!?」
 ミニ秀吉達がシトーの片足に一斉にしがみついてきた。明らかに彼女の回避行動を邪魔しに来たと言うのか。
『実に律儀で孫思いですね』
 晴明はほくそ笑む。突き出した一撃がシトーの身を掠め、クルセイダーが振り返り様に槍を向ければ光線が迸り彼女の傷口をそのまま掠めていく。
「っぐ……!」
 身の片側に力が入らない。骨が身を支えぬと言うのはこういう事かと思いながらも、全身にそれが至らぬのは掠めただけで済んだからなのか。
 考えている暇は無い。足に纏わり付く秀吉達を振り払いながら、攻撃を終えたクルセイダーの懐に飛び込む様に彼女は動く、駆ける。
 シトーの後ろ上空には既にグラビティ・スターライトのドローンが展開され、黄金色の光を青年に向けて放ち。彼女自身の手には石化針が指の間に携えられていた。
『――っ! この光、ただの光では……?』
「良く気付きましたね! 黄金化の光線ですよ!!」
 光より逃れる様に動き、秀吉達をドローンの破壊に差し向ける晴明クルセイダー。彼女の足止めをする存在がいなくなった所でその手が相手に肉薄し。
「朽ちず不変のモノにしてさしあげます!!」
 ぱらいそ預言書を持つ左腕に石化の針が突き刺されば、侵略蔵書がばさりと床に落ちていく。
「結局シトーも己の欲望もとい|業《カルマ》には抗えませんねぇ――」
 石化した相手の左腕を見つめ、恍惚とした笑みを浮かべながらもシトーは敵から距離を置く様に後ろに下がり。

《己の闇を恐れよ。されど恐れるな、その力》

「|彼女《薫》のその言葉――その答えをようやく見つけ出せた気がしましたよ」
 人の肌色をした自分の手を見つめながら、シトーはそう独り言ちたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

趙・藍樹
傷付いているとは言え、「外見は」一幅の絵画のように美しいですね

安倍・晴明…嘗ては優れた術師であったと聞いております
しかし今の姿は何とも憐れなもの
借り物で粋がっていても滑稽なだけだというのに、ねえ
挑発に乗れば良し、乗らなくても構わない

面白い玩具を使いますね
小型秀吉は出来るだけ引き付けてから蔦鎖華光でなぎ払い
十字槍をドスソードで抑えて、距離が詰まったところで闇の精霊竜を身に下ろす

――仮令斃れようとも、お前を殺す

ドスソードで斬り付け、刃が鈍ったなら晴明へと突き刺して月影氷牙へと持ち替える
痛いでしょう、苦しいでしょう
翠月を起動させてわざとに頬を掠めるように放って
楽にしてあげても良いんですよ、それとも命乞いでもしてみますか?

――終わりだ、死に損ない
月影氷牙を首へと向け大きく切り裂いて

ユーベルコード解除し反動を受けその場に膝をついて
魔軍転生に頼り、周囲を巻き込んだ結末が此れとは
…自らの力で戦ったのなら、後の世において憐れむ者も居たでしょうに
終わりを見届け、その場を離れて安全圏まで気合で移動後倒れる



 地面にごとりと落ちたのは手首の形。まるで精巧な彫刻の様。
 左の肘より先に石化を受けた青年は最早、信仰の書物をその手に掲げる事も敵わず。
『身体は器に過ぎませぬ――動く事適えば充分でございます故』
 右手に十字槍を構え、クルセイダー……否、宿りし安倍晴明は薄らと笑みを浮かべていた。
 そこにゆっくりと、すっかり戦いで荒れ果てた礼拝堂に猟兵がまた一人足を踏み入れる。
「傷付いているとは言え。一幅の絵画のように美しいですね――|外見《・・》は」
 白磁の如き肌を己の血で染めた趙・藍樹もまた、先の戦いで満身創痍に程近いと言うのにそんな感想を口にした。
『おや、私の事を評じる貴方様もまた美しくも随分と傷付いている様に思えますが……?』
 わざとらしく肩を竦めて晴明は言う。お互い皮肉を篭めて投げ合う言葉の内容は然程変わらない。それが可笑しく思えたのか、クツクツと笑い声すら立てている。
「安倍晴明……嘗ては優れた術師であったと聞いております」
 生憎、この世界の命運を賭けたと言う数年前の戦いを藍樹は知らない。彼の生きる世界が他の世界を繋がった際に先達に教えて貰った知識に過ぎぬ。だが、幾多もの|地球《アース》における日本の古き歴史や創作物には彼の名を記す物は多いのだと聞く。
「しかし今の姿は何とも憐れなもの――借り物で粋がっていても滑稽なだけだというのに、ねえ」
『良いのでございますよ、滑稽でも。容易に受肉出来ぬ今、骸の海でただ揺蕩い続けるより興があります故』
 まるで安易な挑発には乗らぬと告げるかの様に、晴明クルセイダーは十字槍を片手のみで構えた。
(「流石にこの程度で揺らぐ相手でもなさそうですね」)
 然程期待もしては無かったが。少なくとも相手は相当強かな性格だ――自分以上に。
『さぁ、お見せなさい――貴方の|業《カルマ》を!』
 槍を思い切り横薙ぎに振り翳し、クルセイダーはその黒き尾を立てて叫んだ。
『『フェンフェンフェンッ!!!』』
 その呼び声に応じ、一斉に彼と同じ尾を有した黒い毛玉の群れが藍樹に向かって襲い来る。
「面白い玩具を使いますね」
 小型のマスコットの様に見えるが侮ってはならないとは聞いている。何でもクルセイダーの祖父である魔軍将・豊臣秀吉がこの姿だったのだと言うのだから。
 咄嗟に床を蹴って後ろに下がる。襲い来る小型の秀吉達が自分に向かって殺到してくるのは充分読めた。ならば出来るだけ引き付け、一点集中させて一網打尽にするに限る。
 左手の人差し指を前に突き出しながら腕を思い切り振るう。その動きに合わせて光纏った魔力の鞭がしなる。
『フェンッ!?』
『フェフェンッ!!?』
 数は多くともその一体一体はたったの一撃で消し飛んで行く。だが藍樹が薙ぎ払い秀吉達に対処している間にクルセイダーが此方に向かって床を蹴ったのは見逃さず。
『人間無骨の錆となりませい――!』
 鬼武蔵の槍が藍樹目掛けて勢い良く突き出された、しかし彼は動じない。既にその右手にあったドスソードを槍の十字に叩き付け抑え、穂先を横に流しながら――斬り裂かれる肩口より覗く牡丹花より漆黒の闇咲かせた。
「――仮令斃れようとも、お前を殺す」
 ――|闇華抱竜《アンカホウリュウ》――響くは竜の咆吼。現れ出た精霊竜は瞬く間に藍樹と一体化して彼の身を倒れる事知らぬものへと変える。
 右手のドスソードの刃は槍を受け止め鈍ったであろう。そのまま身を翻しながら切っ先を間近に捕らえた晴明――いや、その器たるクルセイダーの身に突き刺した。
『――っ!?』
「痛い、でしょう?」
 袖より滑り出る短剣・月影氷牙に持ち替えながら再び目の前の男に刃突き立てた。出来る限り痛覚の過敏な位置を。
『――っぐ!?』
「苦しい、でしょう?」
 目から放つ光線でクルセイダーの頬を掠める様に灼く。わざとだ。藍樹の攻撃はいたぶる様に、死なぬとも苦痛を与えるが為の連撃。
「楽にしてあげても良いんですよ、それとも命乞いでもしてみますか?」
『は、はは――この晴明が命乞い? 冗談は程々になさいませ……!』
 人間無骨が再び藍樹を襲う。その脇腹を貫くものの、彼は顔色一つ変えず、次の光線が来る前に左腕でがっつりと捕まえ抑え込めば、晴明クルセイダーの懐に完全に入り込む。
「――終わりだ、死に損ない」
 その声は至極冷徹に。月が落とす影の様に――右手に握った牙を、クルセイダーの首に向けて突き立て、そのまま大きく斬り裂いた。
『お見事……ええ、見事にございますよ』
 頸動脈より鮮血を噴き上げながらも晴明クルセイダーは笑う。
『痛みなぞ、苦しみなぞ、前の身では得ること無き感覚でありましたでしょうな』
「魔軍転生に頼り、周囲を巻き込んだ結末が此れとは」
 倒れ伏せながら尚も減らず口を叩く晴明の言葉を聞き遂げ、藍樹は得物を取り落としその場に膝を着いた。
「……自らの力で戦ったのなら、後の世において憐れむ者も居たでしょうに」
 反動による身体の痛みに耐えながら藍樹は立つ。この痛みこそがきっと生きる存在たる証左なのだ。
 身を引きずって外門に到達した所で掲げたクルセイダーの首級を幕府の武士達が見届ければ、歓喜の声を上げる。それを遠くに聞きながら――藍樹はそのまま意識を手放したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月02日


挿絵イラスト