闇の救済者戦争⑧〜蒼ざめた馬・右翼
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「ダークセイヴァーでの戦い、お疲れ様!」
グリモアベースを訪れた猟兵達を、アメリア・バーナード(量産型キャバリア乗り・f14050)が出迎えた。
「早速だけど仕事の話よ。第四層にあった『人類砦』の一つが、第三層に転移されてしまったの」
現在、小さな砦を取り囲むようにして、多数のオブリビオンが殺到している状況だ。
「砦の左翼から迫る畜獣部隊には戦力を集中出来ているんだけど、右翼からも別の部隊が押し寄せて来ているわ」
砦の東にある暗い針葉樹の森を横切り、『篝火を持つ亡者』が迫りつつある。
フードの下は腐り果てた死体だ。戦闘力は高くないものの、痛みも恐怖も感じず、上位のオブリビオンに下された忠実に命令に従い、最後の一体まで戦い続けるという。
「勿論、みんなだけで森に突っ込んでも良いんだけど、砦側からも味方が出ているから、彼等と共闘すると楽だと思うわ」
レジスタンス組織|闇の救済者《ダークセイヴァー》。人狼で固められたブレイズキャリバー部隊だ。
武器は鉄塊剣のみ。人数も3名と少ないが個々の実力は高く、ユーベルコードも修得している。
彼等は森の中に散開し、黒ずくめの装束と木の遮蔽を活かして、勇敢な突撃を繰り返しているという。
「でも、数は圧倒的に亡者たちの方が有利よ。
このままだと敵の炎を使った遠距離攻撃に射すくめられて、全滅してしまうだろう。
「多分だけど、もう砦に目ぼしい戦力は無いと思うの。それでなくても彼等が討ち取られれれば、士気はガタ落ちするでしょうね」
決して挫ける事なく戦いを続けてきた彼等は人々の盾であり、光でもある。
全滅する前に加勢し、共に砦を守り切って欲しい。そうアメリアは言う。
「危険な戦いだけど、みんななら目的を果たして、無事に帰って来てくれると信じてるわ。それじゃ、よろしくね」
白妙
●戦争シナリオ
これは戦争シナリオです。
1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。
●状況
砦の東の森から、亡者の大群が迫りつつあります。
ブレイズキャリバーが3名、散開して迎撃を行っています。
10~13歳の少年。全員が人狼咆哮とブレイズフレイムを習得しています。
●プレイングボーナス
『|闇の救済者《ダークセイヴァー》達と協力して戦う』です。
●他
プレイング受付は5月7日(日)の8時30分からとなります。
同じ砦の出来事ではありますが『左翼』シナリオとの掛け持ちも可能です。
テレポート、もしくは直接移動して来たという形になります。
宜しくお願い致します。
第1章 集団戦
『篝火を持つ亡者』
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POW : 篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
イラスト:トギー
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
二條・心春
こちら側も厳しい状況なんですね。両側守ってはじめて安全と言えるでしょうから、私もお手伝いしますよ。
遠距離攻撃に加えて森を焼かれてしまうと不利でしょうし、あの炎は厄介です。私が何とかしますので、その隙に攻撃してもらうよう闇の救済者の方に伝えましょうか。【憑依召喚:守護竜】を使います。闇の救済者の方々を守るため……フンババさん、力を借してください!水弾を放って火を消していきます。薄暗い森の中でも篝火は目立ちますね。
倒れた敵に対しては、今度は炎の矢で焼いてしまえば、簡単には復活できないかな。彼らが目立った方が砦の皆さんには良い影響があるでしょう。ですから私は、ばっちりバックアップさせてもらいますね。
オリヴィア・ローゼンタール
別動隊とは小癪な真似を……!
少年たちの攻撃で倒れた筈の亡者が、再び襲い掛かる
上空へ転移し、白き稲妻(属性攻撃・電撃)と共に落下して踏み潰す(踏みつけ)
身に纏っているのは白い中華服
ただ倒しても骸を素材に蘇ります! ユーベルコードの炎で焼き尽くすのです!
そこかしこで蘇らんとする亡者どもへ【天霆雷砕蹴】を叩き込む
漲る【覇気】が白い稲妻と化して迸り、亡者を操る術を破壊する(破魔・浄化)
3人しかいないと悲観することはありません
諦めず協力し合えば各々が一騎当千、総勢三千の兵力に比肩します
そうであると己を、そして仲間を強く信じることが【限界を突破】する唯一の方法です!
箒星・仄々
この世界において
希望は欠くべからざるもの
これから未来を創り上げていく命もまた
皆さんをお助けしましょう
援護に来ました
共に砦を守り抜きましょう!
立体映像をそこかしこに映して
亡者さんたちの気を引きましたら
木陰や藪の中、幹にいる鼠さんが
次々と爆発します
影の予想で倒れない亡者さん達もおられるでしょう
けれどこれは布石です
爆発の光や炎がそこかしこで輝いている今なら
篝火は影を生みません
今です!
それぞれの場所でブレイズさんたちが
咆哮で吹き飛ばしたり
火達磨にしたり
鉄塊剣を振るって攻撃
私も鼠さんが変形した手裏剣を放ち援護
おそらくかつての犠牲者である亡者さん達を
海へと導きましょう
終幕
鎮魂曲を奏でます
お疲れ様でした!
東の森の中、ひたひたと足音を忍ばせ、無数の黒い影が進んでいく。
その手で揺れる篝火はやがて立ち止まり、激しく瞬く三つの輝きを円状に取り囲んでいた。
「ははは、来いよ! 全員叩き切ってやる!」
『――』
その中央では闇の救済者達が炎を纏った大剣を手に立ち回っていた。だがオブリビオン『篝火を持つ亡者』の数は時間と共に増していく。
「このぉっ!」
「数が多すぎる!」
このままでは圧殺されてしまう――そんな思いが彼の胸に去来し始めた、その時。くるり、と彼等の頭上で純白の中華服が翻った。
その正体はオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。くるり、と宙返りするや、彼女を見上げた亡者の一体に向けて。
「はぁっ!」
その身に纏う白き稲妻と共に、真一文字に急降下した。
『――――』
渾身の踏み付け。辺りを照らすほどの目映い閃光が迸れば、天から降る雷にも比する衝撃を脳天に受け、オブリビオンが音も無く倒れ込む。
「ただ倒しても骸を素材に蘇ります! ユーベルコードの炎で焼き尽くすのです!」
「! よし、やってやるぜ!」
ば、と振り返りざまに掛けられたオリヴィアの言葉に、闇の救済者達も鉄塊剣を握る力を取り戻す。
そして畳みかけるように、二條・心春(UDC召喚士・f11004)と箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)もまたテレポートを果たす。
「援護に来ました。共に砦を守り抜きましょう!」
「こちら側も厳しい状況なんですね。両側守ってはじめて安全と言えるでしょうから、私もお手伝いしますよ」
「みなさん、ありがとうございます」
オリヴィアと同じく砦の西側を固めていた二人だ。端末を弄り始めた心春の隣で、仄々がカラクリ鼠を召喚すれば、それは木の根や足元の起伏を伝い、森のあちこちに立体映像を映し出す。
幻影に意識を惹かれた敵の包囲の周囲で、今度は別のカラクリ鼠達が一斉に爆発した。
『――』
「今です!」
木陰で、藪の中、幹で。篝火の影を封じる程の輝きが炸裂すれば、仄々の掛け声と共にオリヴィアが3人を引き連れ突破を図る。
進路上。先程踏みつけた1体がむくりと起き上がったそのタイミングを狙い。
「雄々しき天の雷霆よ! その威光で我を阻む敵手を粉砕せよ!」
叫びと共にオリヴィアは助走の勢いを乗せ、白雷を纏う強烈な蹴りを放った。
「……|天霆雷砕蹴《ヴァジュラ・カウンター》!!」
『――――』
雷霆に引き裂かれるような威力を前に、フードだけを残して消滅する亡者。そこから少年達が囲みを抜け、反撃を開始した。
厳しい戦いを続けて来た彼等の立ち回りは無駄が無い。なおも爆ぜる閃光の中、地獄の炎を纏った鉄塊剣による斬撃が、目の前の亡者達を叩き伏せていく。
それらが他の亡者に操られ復活しようとした瞬間、飛来した高熱の炎の矢が纏めて焼いていく。
「ふふ、しっかりバックアップさせていただきますね」
闇の救済者達が声の先を見れば、そこには微笑を浮かべた心春が居た。
「薄暗い森の中では篝火は目立ちますね」
指先で手繰る炎の矢が倒れた亡者を焼き、続けて放たれた水の矢が、暗闇で目立つ篝火を片っ端から掻き消していく。
獅子面の竜型UDC『フンババ』との合体召喚を果たした彼女の姿はいつもと変わらないものの、その力は戦況を一変させる程に引き上げられている事がわかる。
それでありながら心春は支援に徹している。森を篝火で焼かれては一気に不利となる。何より闇の救済者達が目立つ事は、砦の士気を保つ事にも繋がる筈だ。
「この世界において、希望は欠くべからざるもの。これから未来を創り上げていく命もまた」
「3人しかいないと悲観することはありません。諦めず協力し合えば各々が一騎当千、総勢三千の兵力に比肩します」
二人の語るそれは、おそらくは3人が歩んだであろう道程そのもので。
ざ、と散々に乱れた敵群を真一文字に駆けるオリヴィア。彼女を支援するように、手裏剣と化した仄々の鼠と、心春の放つ二属性の矢が降り注げば。
「そうであると己を、そして仲間を強く信じることが、限界を突破する唯一の方法です!」
味方を操っていた目前の亡者をオリヴィアは一蹴。轟音と共に、一際目映い閃光を炸裂させるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シャオ・フィルナート
そう…戦えるんだ
なら…足止め手伝うから、壊して
氷麗ノ剣を使用
【暗殺】技術を活かした素早い移動と
氷の魔力を乗せたなぎ払いによる【凍結攻撃】
数が多いのなら纏めて捌く必要がある
一度凍り付いた個体なら、多分些細な衝撃で破壊もできると思うよ
例えば…人狼咆哮の音波による振動、とかでもね
凍り付いたまま、粉々に
そこまで粉砕した状態でも対象になるかはわからないけど
もし亡者が増えても、全て対処するだけだ
蒼魔を発動し、触れただけで凍結させる鋭い冷気で
戦場を駆け抜けながら次々に動きを封じる【範囲攻撃】
救済者の3人を狙う個体を最優先に凍結
破壊は全て任せるよ
その方が、1人で処理するよりも速いから
効率重視…よろしく…
東の森で立ち回る3人のブレイズキャリバー達だが、状況は良くない。
次第に数を増す亡者達を前に、彼等は苦戦を強いられていた。
「これ以上は無理だよ!」
「嫌だ! オレは諦めない!」
飛来する炎弾を木陰でやり過ごす彼等の、そんな切迫したやり取りを。
「そう……戦えるんだ」
淡々とした声が引き取った。
その声の主はいつの間にか姿を現した、シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)。
「え、援軍……? 助かるよ!」
「ああ、まだ戦える!」
頼もしげに見上げる少年達の視線を僅かに外しつつも、シャオは剣を抜き放つ。
美しい剣だった。赤熱した武骨な鉄塊剣とは真逆の、氷の芸術品を連想させる程に繊細で透明な。
「なら……足止め手伝うから、壊して」
言うとシャオは敵の射線に身を晒すや否や。
とん、と足音をその場に残し、樹木の根を蹴った。
『――』
反応を許さぬ接近。同時に叩き込まれたのは、氷の魔力を乗せた薙ぎ払い。
びきり、と斬られた数体が凍り付けば、それを残し、さらに奥の敵へと。
手当たり次第に凍結を続けて行けば、森の中はたちまち氷像だらけとなった。
その時、亡者の一隊が少年達の方へと向かう
「! 応戦だ!」
炎の剣を振るい戦う闇の救済者達。それでも撃ち漏らした相手が篝火を煌めかせた、瞬間。
「効率重視……よろしく……」
しゅん、と敵影の間を縫ったのはシャオ。その身に纏う鋭い冷気が、亡者達をフードの奥まで凍らせる。
だがシャオは流れを止めず、次の一隊へと向かう。その瞬間、少年達も彼の言わんとするところを理解した。
足止め。壊す。効率重視。そして相手の凍結のみに専念する立ち回り。
即ちシャオが少年達に最も期待するのは――広範囲攻撃を用いた止め差し。
「みんな、いくぞ!」
刹那、三つの吼え声が重なり、森を震撼させる。
そこに混じる大量の破砕音を、シャオは遠くから確かに聴き取ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
妻のシリル(f35374)と参加
レジスタンスの救済者達は断じて失ってはいけない存在だ
絶対に護るけど、きっと彼らも戦いたいと思う
方針をシリルと打ち合わせ次第すぐに戦場へ
「あぁ、頼んだ。シリル」
戦闘開始と同時にシリルとロボの攻撃に任せ
闇の救済者達に声をかけて置く
「俺と妻が攻撃をしかけるから、群がってるのと撃ち漏らしを頼む!」
彼らの返答を受けたら【戦文字「昇龍」】を使用
召喚した黒龍に飛び乗って高速で飛翔し
ロボに群がる亡者たちを駆け上がりながら
竜の咢でくらい尽くす
「これ以上好きにはさせないよ」
俺とシリル達の攻撃で敵を蹴散らせば
闇の救済者の3名も戦いやすくなる筈
「さぁ、勝利を取りに行こう」
シリルーン・アーンスランド
夫の陸井(f35296)さまと参ります
希望を失うは一瞬
破滅的な事象一つで全てが崩れ去りましょう
そこから取り返す事は出来ても
無くし亡くし失くした事実は覆らない
ゆえにわたくしどもにて命の灯は護らねば
「陸井さま…敵の引き付け等はロボさまとわたくしにお任せを」
お返事を伺い頷きあってのち
UCメガリス・さまよえる舵輪を詠唱致します
現れ出でたるロボさまに一礼しお願いを
「何卒、お力にてあれらなる亡者に最期の憩いを…!」
ロボさまは大きく目立ちますし鋼鉄のお体に
亡者が群がりましょう
そこが夫と救済者さま方攻撃のしおとなりますわ
我が手でも剣を取り心で瞑目し屠ります
大群何するものぞ
「救済者さま方を護り抜き必ず勝利を!」
暗い木立の中で、時折、火花が爆ぜるのが見える。
そこへ向けて並んで駆けるのは、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)とシリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)。
「希望を失うは一瞬。破滅的な事象一つで全てが崩れ去りましょう」
そう呟くシリルーンの視界に見え始めたのは、ブレイズキャリバー部隊。
この世界を救う為、挫ける事無く戦い続けて来た闇の救済者の一隊だ。
――彼等のような者の命が失われるのは、決して珍しい事では無い。全てが終わった後ならば、取り返す術を模索する事すら出来よう。だが。
「無くし亡くし失くした事実は覆らない――故に、わたくしどもにて命の灯は護らねば」
「そう。彼等を喪ってはいけない」
陸井の方針もシリルーンと同じだ。この場で戦っているのは彼等だけではない。
その中でも際立った戦力である少年達の死は、全軍の士気に影響するだろう。
とはいえ。
「絶対に護るけど、きっと彼らも戦いたいと思う」
「ええ」
陸井の深い漆黒の双眸が、アメジスト色のそれと交差する。
「陸井さま……敵の引き付け等はロボさまとわたくしにお任せを」
「あぁ、頼んだ。シリル」
ざ、と同時に立ち止まれば、闇の中のあちこちに、篝火が揺らめいているのが見える。
『篝火を持つ亡者』の軍勢。砦を押し包まんばかりの数を前に一歩も退かず、シリルーンは進み出ると。
「キャプテンさま……! ハナさま! 皆様! どうかお力お貸し下さいませ!」
がらがら、と転がる音は一瞬。
かの世界における選ばれし『所有者』の証は、篝火を追い越し、森の樹々を圧し、見る間に巨大な人の形を模した。
「何卒、お力にてあれらなる亡者に最期の憩いを……!」
一礼するシリルーン。すると彼女の願いを聞き届けたとばかりに『メガリスロボット』が、ズン、と一歩を踏み出す。
その一際人目を惹く巨体を前に、亡者達が群がるのを確かめ、陸井は木陰を一瞥した。
「俺と妻が攻撃を仕掛けるから、群がってるのと撃ち漏らしを頼む!」
「おう! 二人とも、聞いたな!」
帰って来る返答は3人の少年達のものであった。その声には若干の疲労が滲んでいるものの、同時に尽きぬ戦意も感じられた。
煤竹の矢立で空中にさらさらと『昇龍』の二文字を記す陸井。
するとたちまちそれは黒龍と化し、陸井の体を夜闇の向こうへと舞い上げた。
高速で駆ける長躯の背中から見下ろせば、鋼鉄の巨人を無数の篝火が取り巻き、中にはよじ登る者まで居るのが見える。
「これ以上好きにはさせないよ」
ぐん、と蜷局を巻く軌道で、黒龍がメガリスロボットの体を駆け上がる。
その進行方向、周囲に取り付く亡者は咢に喰らわれ、ローブの切れ端だけを残して悉く消滅した。
同時に地上から、厚い鉄が抜き放たれる音が響く。シリルーンが浮き足立つ地上の大群を前に、西洋剣を抜いたのだ。
「……救済者さま方を護り抜き必ず勝利を!」
突進。横薙ぎが篝火ごと両断すれば、闇の救済者達もまた大剣を手に切り崩しにかかる。
「さぁ、勝利を取りに行こう」
黒龍と巨人、そして四剣。
全てが合わさり、亡者達を蹂躙する。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ゾーヤ・ヴィルコラカ
うっそうとした森は守るには最適ね。木々のせいで魔法の狙いはつけにくいけど、その分あっちからも気づかれにくいから、不意を打つにはよさそうかしら。いくら相手が大軍だろうと大丈夫、ゾーヤさんが援護するわ!
【UC:氷棘の乱舞】(SPD)を発動よ! 森を進む咎人さんの一団の周りに氷の茨を張り巡らせて〈捕縛〉を狙うわね。彼らの動きが止まったら、ブレイズキャリバーのみんなとタイミングを合わせて氷の槍を放って〈貫通攻撃〉よ。咎人さん達からの反撃には、わたしが〈かばう〉ことで彼らを守るわね。
ゾーヤさんが咎人さん達を動けなくしている間に、一気に攻撃しちゃいましょう。さぁ、いくわよ!
(アドリブ等々大歓迎です)
葉擦れの音を響かせ、『篝火を持つ亡者』の一隊が、森の中を行進する。
そんな彼等を物陰で密かに観察する者達が居た。
「来たよ」
木と岩が作り上げた起伏の影で、小声で言い交すのは、闇の救済者である3人のブレイズキャリバーと。
「鬱蒼とした森は守るには最適ね」
ゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)であった。彼女の言う通り、この森は深く、狙撃には不向きだ。氷の属性魔法の使い手であるゾーヤからすれば、得手の一つが潰された形ではある。
ただし悪い面ばかりではない。
「その分あっちからも気づかれにくいから、不意を打つにはよさそうかしら」
太い針葉樹は侵入者の頭近くまで深々とその葉を引き下ろし、濃淡の在る闇を作り上げている。
隠れ場所には事欠かない。とりわけ斬り込みを得意とする今のメンバーにとっては好都合な条件と言える。
「いくら相手が大軍だろうと大丈夫、ゾーヤさんが援護するわ! ……と、そろそろね」
頼もしいゾーヤの言葉に同意するように、少年達も鉄塊剣を引き寄せた、その時。
『――』
びきり、と響いたのは凍結音。それと同時に亡者達の行進がぴたりと止まった。
彼等を囲むように木々や地面から突き出していたのは、ゾーヤのユーベルコード『氷棘の乱舞』で構成された氷の茨であった。
「覚悟しなさい!」
物陰から飛び出したゾーヤが虚空から氷の槍を放てば、それは1体の亡者を深々と貫き、声も立てずに絶命させた。
反撃とばかりに方々から投げつけられる篝火の炎を、手にした幅広の刀身をぐるりと返して受け止めた時、別方向で喚声が上がる。
ゾーヤが気を引いている内に死角に回り込んだ、ブレイズキャリバー達による側面突撃だ。
「さぁ、行くわよ!」
凍刃と炎刃が薄闇で迸り、逃げ惑う黒影を薙ぎ払う。
亡者達の一隊はゾーヤと闇の救済者の連携を前に、為す術も無く全滅したのだった――。
大成功
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ジード・フラミア
メリア『イヤー、戦い始めた頃を思い出しマスネェ!』
ジード「……確かに似たオブリビオンと戦ったことはあったね。」
メリア『フフ、同じ作戦で行きマショウカ!』
『彼女』の体が曲がる普通の人なら曲がらないだろう形に、しかし人形であるメリアのボディはおかしな形に曲がる。それだけでも人の形から離れていくのに、何処からか現れたスクラップが『彼女』に纏わり付く。ジードのスクラップビルダーの力だ。そして、『彼女』の体は変わる。
沢山の敵を葬れるように手脚が多くなる。その姿はまるで蜘蛛だった。
UC【|変化する人形《メリア・アタッチメント》】を使用
蜘蛛の様な姿になります。腹の部分にはランタンを取り付け、体の下に影が出来ないようにします。
炎から身を避けるように低くなったり、|闇の救済者《ダークセイヴァー》達や他の猟兵が下を通れる程、身体を持ち上げ簡易的なセーフティゾーンを作成したりします。
アドリブ・連携は歓迎です。
砦の東側面を抜け、森へと分け入って行くジード・フラミア(人形遣いで人間遣いなスクラップビルダー・f09933)。
その視界にぽつりぽつりと光が映り始めた頃、『メリア』がかぱりと口を開いた。
『イヤー、戦い始めた頃を思い出しマスネェ!』
「……確かに似たオブリビオンと戦ったことはあったね」
火の手に包まれた辺境の村での戦い。それはジードとメリアにとっての初陣であった。
ひたひたと深い森を埋める『篝火を持つ亡者』達は、その時と全く変わらない不気味な姿を、木陰と手に持つ灯火の下で晒している。
「もう少しだ!」
「叩き潰してやる!」
響いて来る声へとジードが向き直った先で、時折、激しい炎の輝きが瞬く。
音を立てずに近付き、木の幹から二人で顔を出して窺えば、そこでは闇の奪還者達が立ち回っていた。
遮蔽を駆使して手近な敵を斬り倒す3人に向け、亡者達も数に任せて取り囲み、火焔の弾を降り注がせて来る。
『フフ、同じ作戦で行きマショウカ!』
「そうだね……よし、準備出来たよ、メリア」
『オーケー! イキマスヨ!』
メリアの体が音を立てて変形を始める。
幾度も幾度もあらぬ方向へと曲がり、ついには人型の球体関節人形からはかけ離れた姿になったところで、さらに何処からか現れた大量のスクラップが彼女を包み込んだ。
みるみる巨大化し、太く長い八足で胴を持ち上げた時、メリアの姿は蜘蛛のような姿へと変貌を遂げていた。
「助けに来たよ。みんな」
亡者達が篝火から炎を放つタイミングに合わせ、メリアが体を伏せればその体躯はぐっと低くなる。
反撃に移るメリア。亡者達は篝火を揺らすも、それよりも遥かに強いランタンの光が影を作らせない。
『――』
接近と同時に踏みつけ。たちまち3体が闇へと掻き消えていく。
ぐい、と体を持ち上げたメリアの真下に救済者達が集まって来れば、スクラップで構成された巨体が簡易的なセーフティーゾーンとなり、戦線を押し上げた。
「……準備は良い?」
ジードが呟いた時、再度メリアが突撃。
続く救済者達。形勢は逆転。
この瞬間『篝火を持つ亡者』達は他の猟兵からも追われる側へと転落し。
やがて森から一体残らず、完全に駆逐されたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵