闇の救済者戦争⑪〜その手に剣を
無数の剣が、地から生えている。
それはさながら、剣呑な草原だった。そこに落ちた者を受け止めるのではなく、串刺しにする血染めの草原。
その草原は、切っ先の上に闘技場を戴いていた。奴隷となった魂人や、凶悪な魔獣。果ては何らかの罪を犯したはらからすらも、観客の娯楽と化していた。
この日もまた、一人の吸血鬼が闘技場へと現れる。
その手に、一振りの|短剣《グラディウス》を手にして。
「みんな、集まってくれてありがとう」
ロッタ・シエルト(夜明けの藍・f38960)はそう言って、グリモアベースに集った猟兵達へお辞儀をした。
「さっそくだけど、みんなにはグラディウス・アリーナに行って欲しいの」
第三層には、草原とも呼ぶべき場所が存在している。だが、その草原を構成するのは、草ではなく自生する無数の剣だ。剣の草原は切っ先の上に闘技場を戴いており、そこが今回の目的地であるグラディウス・アリーナとなる。
「ここは、魂人の奴隷同士や、奴隷と魔獣を戦わせる場所として使われていたみたい」
それどころか、時には罪を犯した闇の種族を痛め付け、発狂に追い込む事もあったという。勿論、目的を果たした後に待っているのは下層への放逐だ。
「みんながアリーナに転送されると、剣の草原から一振りのグラディウス……短剣が飛んで来るわ」
その短剣は自然と猟兵達の手に収まるため、取り落としたり怪我をしたりする心配は無いという。
「どうやら今回は、この短剣のみを使って戦うっていうのが、闘技のルールになってるみたいね」
それは、敵対するオブリビオンにとっても同じ事だ。
正々堂々の剣戟戦。望まれているのはそれなのだから。
「吸血鬼の思惑通りにするのは癪だけど……短剣をうまく使えたら、戦いが有利になると思うの」
気を付けて、行ってらっしゃい。
ロッタはそう言って、掌にグリモアを浮かべた。
牧瀬花奈女
こんにちは。牧瀬花奈女です。このシナリオは一章のみで完結する戦争シナリオになります。
断章投稿後から、物理的に送れなくなるまでプレイングを受け付けます。
●プレイングボーナス
飛来した|短剣《グラディウス》を用いて戦う。
●その他
完結を優先して執筆を行います。そのため、プレイングが送れなくなった後は、失効までに書けた分だけ採用、という形式になります。プレイングに問題が無くとも不採用になってしまう可能性がありますので、ご了承下さい。
第1章 ボス戦
『世界の真実を知るもの『カターニア』』
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POW : その展開、知ってるもん!
【読書で得た見識の広さで、】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD : 想像の翼を広げちゃえ!
戦闘力が増加する【空想上の獣】、飛翔力が増加する【空想上の獣】、驚かせ力が増加する【空想上の獣】のいずれかに変身する。
WIZ : そのアイディア、いただきっ!
【自信が持つ本】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自信が持つ本から何度でも発動できる。
イラスト:黒江モノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ティフラム・ラルフ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
グラディウス・アリーナへ転送された猟兵達の元に、それぞれ一振りの短剣が飛来する。吸い込まれるようにして手に収まったそれを見て、これが今回の武器なのだと猟兵達は理解した。
「あら、今日はこれを使わなきゃいけないの?」
猟兵達へ相対する位置に、一人の少女が現れる。フリルに飾られたドレスをまとった彼女の手には、猟兵達が手にしたものと同じ短剣が握られていた。
愛らしい少女の姿をしていても、彼女が倒すべき相手なのだと猟兵達には分かる。
「いいわ。私、短剣の使い方くらい知ってるもん! 本で読んだんだから!」
少女――世界の真実を知るもの『カターニア』は、そう言って短剣を構えた。
シャオ・フィルナート
俺、元々短剣使ってるし…
いつもと変わらないかな…
【暗殺】技術を用いた素早い身のこなしと【早業】でのなぎ払い
【集中力、気配感知】能力で相手の行動を予測、【見切り】回避しつつ
的確に背後や死角に入り込み攻撃
更に【蒼魔】発動
短剣に鋭い冷気を纏わせ振るう【凍結攻撃】
死星眼が使えないなら【生命力吸収】の効果は微々たるものだけど
一応そのための魔力も乗せておくか…
別に、コピーしてもいいけど…
俺に氷が効くと思うの…?(【氷結耐性、寒冷適応】)
生命力もお互い吸収し合ってても意味無いし
あんたの技には時間制限あるんでしょ
いつまで耐えられる…?
まぁ、待つ気は無いけど
少しでも隙を見せた瞬間凍らせて草原に叩き落としてあげる
●
手の中へ飛来した|短剣《グラディウス》を視界に収め、シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)は常の愛用武器である銀のナイフを思い出す。刃渡りにさほど違いは見受けられない。
「いつもと変わらないかな……」
中性的な声が闘技場の空気を震わせたかと思うと、シャオの体はカターニアへと肉迫していた。瞬きを一度する間に、長手袋に包まれた細腕を短剣が薙ぎ払う。きゅうと藍の瞳の瞳孔が窄まり、カターニアの動きを捉えた。
次に繰り出された突きを、シャオは既に予測している。ふわと身を躍らせて避け、カターニアの死角へと入った。短剣を振るい、脇腹を切り上げる。
次の一撃を振るう前に、全身を冷気で覆う。触れたもの全てを凍結させるユーベルコードに加え、短剣の刃へ更なる冷たさをまとわせた。
「一応この魔力も乗せておくか……」
シャオの右目が金色へと変じ、視界に入れたカターニアの生命力を奪う力が短剣に上乗せされる。
「そのアイディア、いただきっ!」
冷え切った短剣の刃を、カターニアは手にした白い本で受け止めた。シャオのユーベルコードを写し取った本から、冷気が零れる。傷付いた分だけカターニアの戦闘能力は増強され、生命の力を吸い取る能力が付加された。
「別に、コピーしてもいいけど……」
本から立ち上る凍結の力を、シャオは僅かに伏せた目で見る。
俺に氷が効くと思うの。
振るう短剣の剣身と同じく、冷えた言葉がカターニアへ届いた。本から放たれる冷気は、先程の突きとは比べ物にならないほど鋭く冴えている。しかし、高い凍結耐性と寒冷適応の能力が、シャオの身を凍て付かせようとする力を阻んだ。更に生命力の吸収は互いに行っているため、さしたる意味は無い。
「いつまで耐えられる……?」
シャオのオリジナルとは違い、コピーでしかないカターニアのユーベルコードには時間制限がある。長期戦になれば不利になるのはカターニアの方だ。
「……まぁ、待つ気は無いけど」
少しずつ力を失いつつあるカターニアの本を短剣で弾き、シャオはその切っ先を腹へと突き立てる。物悲しい音を奏でて細い体が凍て付くまで、瞬き一度の時間も必要としなかった。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
短剣を振りながら
「俺も本で読んだ程度には使い方は知ってる。
本で読むだけと実際戦うのは違うのも知ってるけどね。」
敵と距離を取りながら敵の様子を観察つつ
ディメンションカリバーを発動し魔石を短剣に取り付ける。
その後、動きを【見切り】攻撃を本で
受け止められない様に注意し【残像】を使って敵を攪乱。
敵からの攻撃にも注意して短剣を使って何かして
こないかを警戒。不審な様子が有れば極力攻撃して妨害。
攻撃をするタイミングを掴まれない様にしながら
距離を取って短剣を振い距離を無視する斬撃を放って攻撃。
攻撃は掠る程度でも当たる事を重視し徐々に敵を追い詰めていく。
敵のダメージが大きくなったら仕留める為の
攻撃に切り替える。
●
短剣の使い方を本で読んだ。カターニアはそう言った。
「俺も本で読んだ程度には使い方は知ってる」
短剣を振りながら、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は目深に被ったフードの飾りをちりりと鳴らす。
「本で読むだけと実際戦うのは違うのも知ってるけどね」
すっと、短剣を構えたフォルクの姿勢は整っていた。氷の欠片を散らしたカターニアが、まっすぐに突っ込んで来る。横へ跳び退いて距離を取り、短剣へユーベルコードの力を乗せた。鍔と柄の交差する位置に、きらめく魔石が搭載される。
瞬き一度の後、カターニアの左手に白い本が現れた。魔石の力を乗せた短剣を振るえば、あの本で受け止めるつもりだろう。
カターニアのその動きを、フォルクはフードの奥から微かに覗く紫の瞳で見据える。次の動作を予測すると、戦場に己が残像を作り出した。
「えっ……そんなの、本で読んだことないわ!」
「本に書いてあることだけが全てではないよ」
落ち着いた声音で言い、フォルクは混乱するカターニアへ短剣を振るった。魔石の力を帯びた一撃に、距離は全く意味が無い。カターニアは短剣で防御を試みたが、空間すら断つ斬撃を防ぐには時間が足りなかった。ぱっと血の飛沫が闘技場へ散る。
カターニアがたたらを踏む間に、残像の数を増やす。青い瞳が惑いを映した。
フォルクの観察する目の前で、カターニアが残像をまとめて横薙ぎにする。一撃の下に葬られたそれをまた生み出しつつ、フォルクは捻れたカターニアの胴へ遠距離から短剣を振るった。
一撃一撃を確実に当てる事を重視して攻撃を繰り出すフォルクの斬撃が、カターニアを捕え損ねる事は無い。魔石の力を乗せた一斬りは、少しずつカターニアの体力を奪って行った。
ドレスの白に朱が滲む。今だとフォルクは判断した。
短剣を手前へ引き、軽い力で突き出す。カターニアは素早く短剣を防御の形に動かしたが、しかしその刃が攻撃を受け止める事は無い。
突きを繰り出す素振りをしただけだと、カターニアに気付く時間があったかどうか。一呼吸の間の後、吸血鬼の少女は大きく体勢を崩していた。
今度は一歩を踏み出し、フォルクは短剣を振り下ろす。距離の概念を持たぬ斬撃は、過たずカターニアの胴を裂いていた。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
友人の天城くん(f08073)と参加
悪趣味な闘技場だけど、確かに同じ武器って心意気は良い
でも悪いがお前達の楽しみも此処で終わりにする
「分かった。行くぞ、天城くん」
短剣だけでの戦いは慣れてる
まずは何も使用せず切り込み、天城くんとの連携準備を
相手の攻撃を受けては流し、紙一重で躱し軽く挑発
「どうした?短剣は苦手か?」
天城くんと連携して切り結びながら【水遁「霧影」】を使用
正々堂々の戦いに見えるよう、霧は軽めにしながら手数を増やし
本気の連撃で切りながら霧に触れさせる
「何。技が卑怯なら声を上げて観客に知らせればいい」
天城くんとの連携から、最後の一撃で刈り取る
「こういう戦いはな、動揺した方が負けなんだ」
天城・潤
団長の凶月さん(f35296)と
短剣はいつも刃渡りの長い獲物を持つ僕には
不向きな武器でしょうね
でも同じ武器で相対する
その意気は気に入りました
「凶月さん、僕は黒影剣で往きますからね」
技の名前だけなら予測は難しいと判断して敢えて口にします
でも僕は一瞬は何もせず動きません
一見口だけで戸惑うように見せます
先陣は僕の団長が
凶月さんが動き敵が行動に出た時が僕の詠唱
黒影剣で姿を隠し剣戟の間を縫います
凶月さんの手数の多さに対処しようとすると
僕の不可視の刺突が襲う
この連携に対処し見切り続ける事は難しいでしょう
凶月さんのグラディウスが与えた傷が血飛沫が
邪悪の乙女の断末魔を呼ぶ時
僕は会心の笑みでその技を称えましょう
●
闘技場に降り立った凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)の元に、グラディウスが飛来する。するりと自然に手の中に収まった短剣は、目の前に立つカターニアが持つものと全く同じ形をしていた。
潤が普段使用している武器は、もっと刃渡りの長い獲物だ。この短剣の使い心地は、常とは勝手が違うだろう。
「でも同じ武器で相対する、その意気は気に入りました」
「悪趣味な闘技場だけど、確かに同じ武器って心意気は良い」
潤の言葉にそう返して、陸井は闘技場を見回す。観客の入りは上々といったところか。
だが、陸井は彼らの楽しみを此処で終わりにするつもりで来た。
「凶月さん、僕は黒影剣で往きますからね」
自分が使用するつもりのユーベルコードの名を、潤は敢えて口にする。技の名前だけならば、予測は難しい。そう判断しての事だった。事実、カターニアは眉を寄せて不機嫌そうな表情を作っている。
「分かった。行くぞ、天城くん」
「あなたたち、なに言ってるの? 今ここで使っていい武器はこのグラディウスだけよ」
カターニアの言葉に陸井が応じる事は無い。
普段は短刀銃を愛用している陸井にとって、短剣での戦いは慣れたものだ。先陣を切り、カターニアへと接近する。瞬き一度の間、潤は『護』の字が刺繍された羽織の背を見送っていた。短剣の扱いに戸惑っているように、カターニアには見えたに違いない。
その間に陸井はカターニアを攻撃範囲に収めた。迷わず短剣を横に薙ぎ、ドレスから露出した肩を狙う。カターニアは一歩退いて深手を負う事を避け、短剣を陸井の胴目掛けて振るった。かん、と高い金属音を鳴らし、陸井はその反撃を刃で軽くいなす。
「どうした? 短剣は苦手か?」
柔和な声で紡がれた挑発に、カターニアは軽く歯を軋らせた。
「そんなわけないじゃない! ちゃんと本で読んだんだから!」
でたらめな軌道を描く短剣が、陸井を捉えられる訳が無い。高い音を幾度も鳴らし、短い刃はその度に弾かれ、受け流されてしまう。
潤はその間に、ユーベルコードの詠唱を終わらせていた。その身と武装が闇のオーラに包まれ、カターニアの視界から姿がふつりと消える。
相手が目を瞠ったその刹那の隙を、陸井も潤も逃さない。立て続けに振るわれた陸井の斬撃を、カターニアは完全に防ぎ切る事は出来なかった。弾き合った切っ先の隙間を縫い、潤は不可視の刺突を放つ。
ふわと幻の頁が宙に舞い、カターニアが潤の一撃を回避する。しかしその間も、陸井の攻撃が止む事は無い。既に幾つか血の染みが出来ていたドレスに、新たな鮮血が広がった。
陸井と潤。二人が連携を続けている限り、カターニアが全ての攻撃を見切り続ける事は出来ない。
更に幾合か切り結んだ後、陸井は流れる水を呼び寄せた。身を隠す水遁は霧を発生させ、陸井の姿を潤と同じようにカターニアから隠してしまう。
ユーベルコードに呼応して、また幻の頁が舞った。陸井の斬撃をかわしたカターニアの腕へ、潤の突きが食い込む。それに反応した隙に、手数を重視した陸井の刃が血を踊らせた。
陸井の手数に対応しようとすれば、剣戟の合間を縫って潤の刺突が襲い来る。潤の突きを避けようとすれば、陸井の手数の多さをさばき切れない。
しかも、それら全てが不可視の攻撃なのだ。いかに回避に特化したユーベルコードを修得していようとも、全てを避けられると思う方が間違っているだろう。
口を開きかけたカターニアの頬に、陸井が広げた霧が触れた。瞬き一度の後、吸血鬼の少女は声を失う。
明らかな動揺を見せたカターニアへ、陸井はまた一歩踏み込んだ。胸と胴と、腕。その三箇所を立て続けに切り裂く。腹には潤の短剣が突き立った。うごめく唇は悲鳴の形をしていたが、それすらも声にならない。
「何。技が卑怯なら声を上げて観客に知らせればいい」
「その通りです。ルール違反なら、僕達が退場させられるでしょうからね」
闘技場の観客席からは、変わらず歓声が響いている。同胞の吸血鬼の少女が劣勢に陥っているのを見て、暗い喜びが広がっているようだった。
「どうやらこの場に、貴女の味方はいないようですね」
潤はそう言って、カターニアの脇腹に短剣を突き立てる。よろめいたその体を、陸井が袈裟斬りにした。
予想よりも軽い音を立てて、カターニアが倒れる。
「流石は僕の団長。見事な一撃です」
会心の笑みを浮かべる潤へ、陸井は短剣の血を振るい落として微笑した。
「いや、天城くんと一緒だから出来たことだよ」
カターニアの胸はまだ上下している。
しかし、この邪悪の乙女の断末魔が近付いている事は、誰の目にも明らかだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キアラ・ドルチェ
師父の時人さん(f35294)と
グラディウス…普段使ってるスティレットとは、切れる分、使い勝手違いますが…まあ何とかなるでしょ(楽観的
へえ…本で読んだから知ってる? じゃあ実戦経験はないですね、なら…
CelticBattleSong-モリガンの勲-!
猛り狂え! 戦いの熱に浮かれよ! 持てる知識を活かせぬまま、お逝きなさいっ!
へ? これコピーされたら? その時は私も狂戦士化して全力でぶん殴って、ぶちころがす…げふん…地面を舐めさせて差し上げます♪
【暗殺】技術なら私のが上ぽいし?
ま、時人さんいるから、何とでもなると思ってるのもあるんですが
「自然に還れ! カターニア!」(時人さんと息を合わせ短剣一閃
葛城・時人
預かり子のキアラ(f11090)と
確かに使った事ない武器だけど
キアラが得た武器を使いこなす為の
模擬戦闘で打ち合った事はある
「使えなくはないよ」
そして白燐蟲がいる
俺と長く共に在り共に闘うククルカンが
「用意はいい?」
落ち着きキアラとお互いを鼓舞し
キアラに白燐奏甲詠唱
多重詠唱で自分も蟲と光の加護を
「全ての真実を知る、か。果たしてどうかな?」
俺は態と大振りと派手な足捌きで嘲弄
そしてUCは敵に不幸な事故を招く
華麗に躱しても、ほら、幾度も繰り返すと
手が足が縺れて
これが待っていた好機
「キアラ!」
俺も刺し貫くけど
暗殺者の技に長けた俺の養い子が
数多の予想と回避を潜り終焉を導くだろう
「俺の預かり子は強いからね!」
●
ゆっくりとカターニアが起き上がる。その間に、キアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)は飛来したグラディウスを軽く振るっていた。普段使っているスティレットと、刃渡りは近いものがある。しかし、この短剣には切り刃があった。その分だけ使い勝手は異なるに違いない。だが何とかなるだろうとキアラは楽観的に考えていた。戦う前から臆していては、勝てるものも勝てない。
「時人さん、どうですか?」
キアラに問われ、葛城・時人(光望護花・f35294)はグラディウスの重みや刃渡りを確かめる。確かに使った事の無い武器だが、キアラが得た武器を使いこなすための模擬戦闘で打ち合った事はある。
「使えなくはないよ」
そう返し、キアラを安心させるように笑顔を見せた。
そう。そして時人には白燐蟲がいる。長く共に在り、共に闘うククルカンが。意図的に緩やかな呼吸をすると、気持ちが落ち着いて行った。
「用意はいい?」
「もちろんです! 二人であの吸血鬼をぼっこぼこにしてやりましょう♪」
二対の眼差しが、短剣を構えるカターニアを見る。
「よし。絶対に勝とう!」
時人の掌からククルカンが顔を出し、きゅいと一声鳴いてキアラの元へと空中を泳いで行く。短剣を構えたキアラの肢体が蟲と光の加護によって白い燐光をまとった時には、時人にもまた同じ護りが与えられていた。
傷だらけのカターニアが、短剣を片手に突っ込んで来る。キアラはその一撃を難なく受け止めた。
――本で読んだんだから!
グラディウスを手にした時の、カターニアの言葉がキアラの脳裏を過る。
「本で読んだから知ってる……じゃあ、実戦経験はないですね」
カターニアの刃を弾き、キアラは横に跳んだ。
「全ての真実を知る、か」
カターニアの二つ名を、時人は敢えて口にする。踏み込む動きは派手で大振りだ。
「果たしてどうかな?」
時人の一撃をどうにか避け、カターニアは切っ先を向けて来る。態と大袈裟な動きでそれを空振りさせると、白い頬が朱に染まった。
「なによ、なによ……新しい本も持ってないあなたたちなんて、いらないわ!」
無意味に空を切るカターニアに生まれた隙を、キアラは逃さない。
丸く大きく開かれた口から、歌が溢れた。舞えと、狂えと、戦えと、妙なる歌声が焚き付ける。暴力だけが全てを解決するという強い意志の下に紡がれた歌に、カターニアの瞳から理性の光が消え失せた。
歌をコピーされなかった事への安堵が、胸の奥で芽生える。実体を持たぬ歌を、本で受け止める事は出来なかったのだろう。
もしそうなったとしても、キアラは自らも狂戦士と化し全力でぶん殴ってぶちころ――地面を舐めさせるつもりではいたのだけれど。
「持てる知識を活かせぬまま、お逝きなさいっ!」
カターニアとの距離を詰め、キアラは短剣の切っ先をドレスに沈ませる。
キアラがここまで積極攻勢に出られるのは、時人がいるからだ。時人がいれば、何とでもなる。師父への信頼が、キアラの身を軽くした。
無論、時人も黙って見ている訳ではない。預かり子の動きを把握しながら、手にした短剣を大きく振るう。ざくりと一撃は脇腹を大きく裂き、ドレスの赤黒い染みを大きくした。
二撃目を、カターニアは大きく跳び退いて避けた。開いた距離を一足で詰め、時人は突きを繰り出す。回避しようとしたカターニアの足がもつれて、体がよろめいた。切っ先が深く腕を穿つ。
「俺のククルカンは、護りだけじゃないんでね」
白燐蟲は宿主に祝福を、敵対者に不幸をばら撒く。二人に加護を与えたククルカンは、己が使命を十分に全うした。
崩れた体勢を立て直そうとしたカターニアは、そのさなかに手の中から短剣を取り落としてしまう。掌から滑り落ちた武器を捕まえようとする無防備な瞬間を、時人は確と捉えた。
「キアラ!」
待っていた好機に、預かり子の名を呼ぶ。時人がカターニアのみぞおちを刺し貫く間に、キアラは接敵していた。
「自然に還れ! カターニア!」
時人の短剣が引き抜かれた直後、キアラはカターニアの胸を横に一閃する。喘鳴のような声を上げて、吸血鬼の少女は闘技場の地に倒れ伏した。
「俺の預かり子は強いからね!」
数多の予想と回避を潜り抜けた養い子の功を誇るように、時人はカターニアを見下ろす。
「暗殺技術は私の方が上でしたね」
キアラは短剣の血を振るい落とし、愛らしく片目を瞑って見せた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
浅間・墨
今度の相手は女の子…ですか。この方も吸血鬼…?
外見が女の子ですと戦い難いですね。これは。
しかし倒さなければ先に進めませんので…行きます!
獲物(短剣)の間合いなどは先程の戦いでほぼ把握しています。
でも相手が大男から女の子になるので少し踏み込んで斬りますね。
早業使用の【鍔鳴】で攻めていきます!…と言いつつ…。
初めは早業を使用せす女の子の出方をよく観察したいと思います。
彼女の太刀筋や足の運びを知ってからでも遅くはありません。
もし先を識たように回避した場合は早業で更に剣速を上げますね。
そして2回攻撃とフェイントを使用し回避した場所を斬ります。
初撃を回避しても彼女の移動場所の癖を知っていれば斬れるはず。
癖は無意識に行っていることが多いですし中々直せませんから。
無理やりに癖を押さえたとしてもその分回避などで遅れがでるはず。
「…ごめ…なさ…ね…」
心苦しいのですが『斬る』と決めたので迷いはありません。
顔だけは斬らないようにしてせめて苦しまないよう一撃で。
●
荒い息を零しながら、カターニアが緩慢に身を起こす。
今度の相手は女の子……ですか。
さらりと流れる長い髪と、半ば血で染まったドレスを見て、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は思う。沸き立つ闘技場の空気から察するに、この少女もまた吸血鬼である事に疑いの余地は無い。
外見が女の子ですと戦い難いですね。これは。
墨はまっすぐに伸びた前髪の向こうで、少しばかり眉を寄せた。墨自身も小柄で可愛らしい印象を与える女性だが、それでも華奢な少女に刃を向けるのは少しばかり躊躇われた。
しかし、倒さなければ先には進めないのだ。グラディウスの柄を握る手に力を込めて、墨は同じ武器を構えるカターニアと向き合った。
墨は、グラディウスを使っての戦いは初めてではない。先だっての戦いで、獲物の間合い等はほぼ把握していた。けれども相手の体格は大幅に違う。その差を考慮して、墨は少し踏み込んだ位置から刃を振るった。短剣同士が打ち合い、甲高い音を立てる。
近接攻撃に特化したユーベルコードを用いて攻勢に出たいところだが、墨は暫しカターニアの動きを観察する事にした。
早業を敢えて封じ、納剣と抜剣を繰り返してカターニアの出方を見る。
カターニアは短剣に慣れておらず、何処か覚束ない動きを墨に晒した。その足取りを、鋭さに欠ける太刀筋を、墨は確と観察する。
墨はある程度の時間が過ぎた後で、カターニアとの距離を更に縮めた。至近距離からの抜剣による一撃を、しかしカターニアは瞬きを一度した後、ふわりと避ける。
踊るようなその動きも、墨は視界に収めていた。回避行動に移る際、カターニアは右足を僅かに爪立たせている。
ほぼ立ち位置を変えないまま振るわれた一撃を、墨の短剣が受け止めた。真横に振り抜いてカターニアの短剣を弾く。
次に前へ踏み込んだ時、墨は早業の封を解いていた。速度を上げたユーベルコードの斬撃を、カターニアはまたふわりと踊るように回避する。しかし、瞬き一度の隙も無く納剣した剣を再び抜剣した時、カターニアはまだその場に留まっていた。横薙ぎの一閃がドレスの腹を赤く染める。
「二回攻撃……! 本で読んだのより速すぎる!」
カターニアは苦し紛れの叫びを放ち、それと共に近距離から墨へ突きを繰り出した。それを短剣の平で弾き、また納剣する。
腰の高さで握り締めた短剣を、鞘からほんの少し抜く。カターニアはその動きに誘われて、また踊るように右足を爪立たせた。
墨は抜く素振りだけを見せた短剣をもう一度鞘に収め、回避先へ移動したカターニアに向けて抜剣する。避けた筈の攻撃をまともに受けて、カターニアの目が大きく見開かれた。
「どうして! その攻撃、もう知ってるはずなのに!」
叫ぶカターニアの動きの癖を、墨はこれまでの観察で把握している。いかに回避しようとも、その仕草の行きつく先を知っていれば斬れるのだ。
「……ごめ……なさ……ね……」
途切れ途切れに詫びる言葉は、カターニアには届いていないだろう。
心苦しさはある。しかし、『斬る』と決めた墨の太刀筋に迷いは無かった。
せめて苦しまないよう一撃で。
願った通りの斬撃がカターニアの腹を切る。仰向けに倒れた彼女が起き上がる事はもう無い。
血染めのドレスをまとった吸血鬼の少女は、そのかんばせだけは花のように愛らしいままだった。
大成功
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