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闇に光る眼

#UDCアース #一人称リレー形式

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#UDCアース
#一人称リレー形式


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●UDCアースにて
 とある都市の名もなき公園。
 深夜ということもあって、人影はない。
 だが、人ならざる者の影はあった。
 シャーマンズゴーストの骨格標本とでも形容すべき姿のUDCたち。
「……よし。神体に宿らせることはできた」
「目覚めよ、目覚めよ」
「姿を現せ」
「我らの前に……」
 公園の中央部には円形の芝生があり、三本の桜の木が身を寄せ合うようにして立っていた。そこに向かって、UDCたちは腕を伸ばし、ぶつぶつと呟いている。念のようなものを送っているのだろう。
 その念に呼応したのだろうか、桜の木々の根本――星明かりが届かぬ小さな闇の空間に一点の不気味な光が灯った。
 そこにいる何者かが目を開けたのだ。

●グリモアベースにて
「UDCアースには『花より団子』とかいう諺があるらしいが、俺は花も団子も好きだねぇ。美しい花は団子の美味さを引き立てるし、美味い団子は花の美しさを引き立てるからな」
 伊達姿のケットシーが猟兵たちの前で三色団子を食べていた。
 グリモア猟兵のJJことジャスパー・ジャンブルジョルトだ。
 すべての団子を胃に収めると、名残り惜しげに串をしゃぶりつつ、JJは本題に入った。
「で、今回はそのUDCアースに行ってもらいたいんだわ。怪しげなUDCが……いや、怪しくないUDCなんていないだろうけどよ。とにかく、UDCのオブリビオンどもが夜の公園で儀式をおこなって、邪神を復活させようとしてやがるんだ。そいつらを倒してくれ」
 儀式をおこなっているオブリビオンたちはシャーマンズゴーストの一種。しかしながら、その姿形は普通のシャーマンズゴーストとは大きく異なるものらしい(シャーマンズゴーストという存在そのものが『普通』ではないのだが)。
 彼らが儀式をおこなっているのは、とある都市の公園。時間帯は夜。報告を受けたUDC(組織)の職員たちが既に動いており、一般人の公園への出入りを人知れず遮断しているという。
「オブリビオンどもの儀式はまだ途中だから、邪神は完全に復活していない。半覚醒ってところかな」
 なぜか『半覚醒』を『はんかくせー』と発音するJJ。
「そんな状態の邪神を置いて、オブリビオンどもは逃げたりしないだろう。その場で息絶えるまで戦うはずだ。まあ、こちらとしては好都合っちゃあ、好都合だよな。公園の外に被害が及ぶことを警戒せずに済むわけだし」
 異形のシャーマンズゴーストたちを倒せば、それで終わりというわけではない。復活途中の邪神も始末せねばならない。
「邪神とはいえ、はんかくせー野郎だから、普通に戦って倒すことはできるはずだ。ただ、その邪神の詳しい能力とかは予知できなかったんだよ。たぶん、力押しよりも搦め手で来るタイプだと思うんだが……それ以上のことは判らない。すまないが、出たとこ勝負でいってくれや」
 申し訳なさそうに耳を伏せるJJ。
 しかし、三秒も経たぬうちに表情を陽気なものに変えた。
「あ、そうそう。その公園には綺麗な桜と雪柳が咲いてんだ。任務が無事に終了したら、花見と洒落込んでみたらどうだ? 派手にライトアップはされてないが、淡い星明かりと外灯の下で花を愛でるってのも乙なもんだぜ。しかも、UDCの組織が一般人の出入りを止めてっから、貸し切り状態だ。ただし、出店の類はないぞ。飲み食いしたけりゃあ、自分で持参するか、近所の自販機なりコンビニなりで調達するか、他の猟兵にたかってくれ」
 きっと、JJは他の猟兵にたかるタイプだろう。


土師三良
 土師三良(はじ・さぶろう)です。

 本件は、UDCアースの夜の公園でオブリビオンたちを倒し、その後でお花見をするシナリオです。戦闘だけもしくはお花見だけの参加も大歓迎。
 第1章は、シャーマンズゴースト・ボーン・リボーンとの集団戦。現場が公園なので、ジャングルジムだの滑り台だのブランコだのシーソーだのといった遊具を戦闘時のアクション等にカッチョよく利用することができます。
 第2章は、はんかくせー邪神との戦い。敵の詳細は判りませんが、JJ曰く『力押しよりも搦め手で来るタイプ』とのこと。
 第3章は、夜のお花見。お呼びがあればJJも顔を出しますが、人様にたかる気満々なので、放っておいたほうがいいです。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。

 ※章の冒頭にあるPOW/SPD/WIZのプレイングはあくまでも一例です。それ以外の行動が禁止というわけではありません、念のため。

 ※基本的に一度のプレイングにつき一種のユーベルコードしか描写しません。あくまでも『基本的に』であり、例外はありますが。
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第1章 集団戦 『シャーマンズゴースト・ボーン・リボーン』

POW   :    クロウボーン・ライダー
自身の身長の2倍の【白骨化した馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    サイキックボーン・パレード
【念力で操った自分自身の骨】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    ストーンエイジ
【杖の先端に嵌った宝玉】から【物体を石化させる光線】を放ち、【石化】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 その公園は上から見ると六角形をしていた。六つの頂点のうちの二つは出入り口。各辺は花壇とフェンス。花壇に植えられているのは雪柳だ。六角形の中央には円形の芝生があり、三本の桜が生えている。
 UDC――シャーマンズゴースト・ボーン・リボーンたちは芝生から少しばかり距離を置いて並び、桜の木々に向かって手を伸ばしている。
 目覚める途中の邪神がそこにいるのだろう。
 戦闘中に芝生めがけて攻撃を放てば、シャーマンズゴースト・ボーン・リボーンたちは邪神を守るために自分の身を盾にするかもしれない。敵のほうから攻撃に当たってくれるのだから、猟兵にとっては都合が良い。
 しかし、芝生を攻撃することばかりに意識を取られていると、敵に隙を突かれる恐れもある。
 さて、どう戦うか?
 
波狼・拓哉
つまり芝生と敵を両立して攻撃すればいいんだな?そして虚をつければ倍増と。まあ、やりすぎると後の花見で悲しくなるし出来るだけ抑えては行くか。
そういうわけで?(箱型状態でミミックを召喚)悪いけど?(ミミックを掴む)塵と帰りな?(思いっきり芝生の真ん中、桜の木の中心ぐらいで巻き込みそうにない位置に投擲)さあ、化け焦がしな!(桜を巻き込まないぐらいの範囲で炎化)…あ、無差別なんで周りは気を付けてね?
さて、やりたいことはやりきった感が凄いんだけど自分も行動しますか…衝撃波込めた弾で浮いてる骨を落としたり、周りの延焼食い止めたりとサポートに回ろう。
(アドリブ絡み歓迎)


鏡島・嵐
判定:【WIZ】
うえ、シャーマンズゴーストってわりと愛嬌ある姿だって思ってたけど、骨だけだとやっぱ不気味だな……。
桜の下には鬼やら死体が潜むって話があるけど、それってこういう感じなんか?

おれはともかく他の仲間が動きを封じられんのは困るから、《逆転結界・魔鏡幻像》で相殺して防ぐようにする。
その間に〈武器落とし〉で杖を狙って攻撃を阻害したり、〈援護射撃〉や〈鼓舞〉を飛ばして、味方の攻める勢いを保つようにしてえな。
こっちに光線が飛んでくるようなら、〈見切り〉とかで避けを試みたり、最悪〈オーラ防御〉〈呪詛耐性〉で凌ぐようにする。
味方が石化して動きが止まってるなら、元に戻るまでは優先的にフォローする。


城島・冬青
夜桜見物より邪神様ですかー?
お疲れさまです!でも邪魔しますねっ
(言いながら芝生を攻撃)
普通のマンゴーさんは可愛いのにこの骨マンゴーさんはおどろおどろしいなぁ

はんかくせー邪神の盾になろうとするマンゴーさんを花髑髏で攻撃していきます
なんか…絵面的に苛めてるみたいであまり気分は良くないけどここで儀式を放置してたらもっと大変なことになっちゃうから仕方ないんだよね
UCは死神の矢を使用
【第六感】で不意打ちされる前に察知できるようにしとくよ
一度に複数の敵に群がられたら【衝撃波】で吹っ飛ばすか【残像】で惑わせてその隙に【ダッシュ】で一旦距離を取るよ

年上には敬語に名前+さん付け
年下同い年はタメ口
アドリブ歓迎です


上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
「桜に下には死体が、なんていうが、邪神ときたか」

先ずは観【視力+情報取集】る。
敵の総数と配置、味方の戦力を大まかに把握。
目付は広く、戦場全体の動きを見るように。

得物は素手喧嘩【グラップル】
UCで攻撃力を強化し囲まれないよう常に【ダッシュ】で動き回り、相手の懐に肉薄し、一体ずつ一気に確実に始末する。

他の猟兵とは別方向から芝生を目指すように侵攻し、敵戦力を分散させ儀式の邪魔になる攻める。
可能であれば芝生まで突破し、儀式を行っている個体を優先的に潰すことも視野に入れるが、基本的には深追いはせず、囲まれそうになる、後背を突かれそうになったら迷わず一旦退いて【逃げ足】体勢を立て直す。



●鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)
 白い花に囲まれた六角形の公園。
 零時をとっくに過ぎてるけど、夜も眠らぬ都会の一角だもんで、救急車のサイレンだの酔っぱらいの騒ぐ声だの猫たちの唸り合いだのが風に乗って流れてくる。
 そんな緊迫感ゼロのBGMを聞きながら、おれたちは対峙していた。
 三本の桜の木が立つ芝生の前にずらりと並ぶ、シャーマンズゴーストのスケルトンみたいなUDCどもと。
「うえ!」
 と、おれは声をあげずにいられなかった。
「シャーマンズゴーストってのは、わりと愛嬌のある姿だと思ってたけど……」
「この骨マンゴーさんたちはおどろおどろしいですねぇ」
 途中で消えた呟きを補ったのは冬青。俺よりいくつか年下(十代の前半くらい?)に見えるオレンジの髪の女の子だ。
「そういえば、イルカやペンギンなんかの骨格も外見のイメージとはだいぶ違うらしいですよ」
「イルカやペンギンは邪神を復活させたりしないでしょうけどね」
 左の頬に大きな傷のある兄ちゃん――修介が冬青の軽口に応じた。油断なく周囲を見回しながら。たぶん、敵の数や配置とか遮蔽物の位置なんかを把握しようとしてんだろう。
「なにも、こんな場所で邪神なんざを復活させなくてもいいのにな」
 俺は手製のスリングショットに小石を仕込み、ゴム紐をぐいと伸ばした。
「それとも、『こんな場所』だからこそか? UDCアースの昔の作家だか詩人だかが言うには、桜の木の下には――」
「――屍体が埋まってる」
 修介が後を引き取り、じりじりと横に移動を始めた。敵の後方に回り込むつもりなのかもしれない。
「人間どもめ」
「邪魔はさせぬ……邪魔はさせぬ……」
「貴様らを神体への最初の贄としてくれよう」
 骨マンゴー(いや、俺のネーミングセンスについてとやかく言わないでくれよ。命名者は冬青だかんな)どもがなにかぶつぶつ言ってる。
 そんなひねりのないザコっぽい台詞に臆する様子も見せず、冬青が腰から日本刀を抜いた。
「夜桜見物よりも邪神様ですかー? お疲れさまでーす! でも――」
 刀の鍔には花と髑髏の模様が入ってる。今回の任務には似つかわしいや。
「――邪魔しますねっ!」
 冬青は刀の切っ先を骨マンゴーどもに突きつけた……ように見せかけて、その背後の芝生に向けた。

●城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)
「切り裂け、疾風!」
 放つはユーベルコード『死神の矢』。私の愛刀『花髑髏』の切っ先からカマイタチが発生し、芝生に立つ三本の桜めがけて飛んだ。
 だけど、命中せず。
 一体の骨マンゴーさんがすかさず射線に割り込み、自分の体で受けたから。
「神体に手出しはさせんぞお!」
 胸をカマイタチに斬り裂かれながらも、骨マンゴーさんは気丈に振る舞ってる(骨っぽい体なのに血が出てるのがフシギ)。
 まあ、こっちとしては狙いどおり。防がれることを見越して攻撃したんだよ。
「俺も邪魔させてもらいましょうか」
 私に続いて、ずいと前に出たのは探偵の拓哉さん。一見、爽やかなお兄さんっぽいけど、五十件くらいのUDCがらみの事件にかかわってきた強者なんだって。
「悪いけど」
 骨マンゴーさんたちに語りかける拓哉さんの足下に箱が……いえ、箱型の生物が現れた。RPGとかに出てくるミミックってやつ? きっと、ユーベルコードで召喚されたのね。
 そのミミックを拓哉さんがむんずと掴み――
「塵と帰りな」
 ――芝生めがけて放り投げた!?
「さあ、化け焦がしな!」
 化け焦がすって、なんなの? ……って、思ってたら、ミミックが炎の塊に変わり、火の玉を撒き散らした。なるほど、化けて焦がすから、化け焦がすなのね。
「無茶しないでくださいよ、拓哉さん。桜まで焼けちゃったら、お花見ができなくなるじゃないですかー」
 私が抗議すると、拓哉さんは笑顔を返してきた。
「大丈夫、大丈夫。桜を巻き込まないギリギリのところを狙いましたからね。それに、ほら。敵が進んで防火壁になってくれてますよ」
 ホントだ。骨マンゴーさんたちってば、私が攻撃した時と同じように自分の体を盾にして、ミミックの炎を受けてる。健気というか、なんというか……。
 とはいえ、すべての骨マンゴーさんが盾役をやってるわけじゃない。攻撃を仕掛けてきたのもいる。
「我が神の力の一端を見よ、人間ども!」
 何体かの骨マンゴーさんが杖を振り、その先端に付いてる丸い宝石から光線を発射した。
「おっと!」
 私はなんとか躱せたけど、食らった人もいる。この光線、一発でも命中すると、体が石化して動きが鈍くなるみたいね。
「鏡の彼方の庭園、白と赤の王国、映る容はもう一つの世界。彼方と此方は触れ合うこと能わず」
 よく通る澄んだ声が後ろから聞こえてきた。嵐さんの声だね。呪文を詠唱してるのかな?
「死ね!」
 またもや、敵が光線を発射。私もまたもや回避……と、思ったけど、今度は避けきれなかった。
 でも、避けるまでもなかったみたい。
「幻遊びはお終いだ!」
 嵐さんの叫びとともに大きな鏡が私の前に現れ、光線を相殺してくれたから。このユーベルコードを詠唱してたんだね。

●波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)
 元の姿に戻ってきたミミックを俺は再び掴み、先程と同様にユーベルコード『偽正・炎精陽炎(フォーマルハウト・ミラージュ)』を発動させました。
「もう一回、化け焦がしな、ミミック!」
 ミミックが炎と化して跳ね回り、火の玉が乱舞。桜の根元にいる邪神を守るべく、UDCたちはそれらを体でキャッチ。
 実に見事なファインプレー……に見えますが、冬青さんに言ったように桜を巻き込まないギリギリのところを狙っているのですから、普通に避けても桜が被害を被るわけではありません。はたして、UDCたちはそのことを知らずに踊らされているのか。あるいは、無意味と判っていながらも邪神に献身せずにはいられないのか。どちらにせよ、憐れですね。まあ、邪神に限らず、どのような神に対する信仰もそんな物なのかもしれませんが。
「神体に手出しはさせん!」
 ミミックの炎に焼かれながら、憐れなUDCがまた杖を構えました。
 しかし――
「同じことばっか、言ってんじゃねえよ!」
 ――嵐さんのスリングショットから石礫が放たれ、ミミックの手に命中。その拍子に杖は地面に落ちました。これこそ、本物のファインプレー。
 杖を落としたUDCの他にも反撃をしている者たちはいるのですが、その全員がこちらに意識を向けているわけではありません。
 修介さんが敵陣の後方から殴り込みを仕掛けて攪乱していますから。
『殴り込み』というのは比喩ではなく、本当に己の拳を武器にして戦っているのです。時にはUDCの懐めがけてダッシュし、時にはUDCの横に回り込み、時にはUDCと間合いを取るために飛び退り……土埃をあげて戦場を駆け巡り、敵を殴り倒していく様は鬼神を彷彿とさせますね。
「あんなおっかない戦い方……おれにはとても真似できねえや」
 修介さんの戦い振りを見ながら、嵐さんがなにやら手を動かしました。
 次の瞬間、彼の傍に大きな鏡が出現しました。先程も使用したユーベルコード。その鏡面から光線が発射され、修介さんの死角から迫っていた光線を打ち消しました。
「そのような援護も誰にだって真似できるものじゃありませんよ」
 と、嵐さんに言いながら、俺は『MODEL typeβ バレッフ』のモデルガンを懐中から取り出しました。
 彼と同様、仲間を援護するために。

●上野・修介(元フリーター、今は猟兵・f13887)
 力は溜めず……息は止めず……意地は貫く。
 適度に力を抜いて、呼吸を安定させながらも、戦意を奮い立たせる。こうすることで攻撃力が上昇する。俺流の総合素手喧嘩術の一つだ。
 UDCの数は多いが、手当たり次第にぶちのめしたりはしない。ただ一匹に狙いを定め、敵に囲まれないように走り回りつつ、機を見て、そいつを殴る。殴る。殴る。殴り続ける。
 そして、仕留めたら、別の一匹をまた殴り始める。
 当然、俺のほうも何度か攻撃を食らった。『何度か』で済んだのは仲間たちのおかげ。よく見えなかったが、さっきも嵐さんが助けてくれたようだ。
「えーい! ちょこまかと動き回りよって!」
 一体のUDC(今、俺が狙っているのとは別の奴だ)が苛立たしげに怒鳴ると、その体から四本の骨が分離した。
 それらはジグザグの軌跡を描き、こちらに飛んできた。俺なんかよりもよっぽどちょこまかとした動きじゃないか。
 体を捻り、一本目を躱す。二本目と三本目もかろうじて回避。しかし、体勢が崩れた。
 そこに四本目が迫ってきたが――
「衝撃波を込めた弾丸などはいかがでしょう?」
 ――小気味よい音が弾け、骨が地面に落ちた。
 声が聞こえたほうを見る。
 拓哉さんが拳銃を構えていた。随分とカラフルな拳銃だな。カラフルすぎて玩具のように見えるが……まさか、本当に玩具なのか? まあ、いい。なんにせよ、助かった。
「ありがとうございます」
 拓哉さんに礼を言って、敵たちに向き直ると、冬青さんが視界に入った。俺と同じように動き回りつつ、見えない斬撃(カマイタチのようなものだろうか?)を刀から放っている。標的は桜の根本の邪神らしいが、すべてUDCに防がれている。
 しかし、防がれることを見越して……いや、わざと防がせるために邪神を攻撃しているのだろう。
「はぁー」
 激しく攻め続けながら、冬青さんは情けない顔で溜息をついた。
「こういうのって、あんまり気分が良くないなぁ。なんか、絵面的に苛めてるみたいで……」
 もっとも、情けない顔をしていたのはほんの数秒だ。
「でも、仕方ないよね! 儀式を放置してたら、もっと大変なことになっちゃうんだから!」
「そのとおりです」
 冬青さんの言葉に頷き、俺はUDCを殴りつけた。
 その一発で絶命したことを確認し、次の敵を探す。
 邪神復活などさせるものか。
 こいつらは一人残らず殺す。
 物言わぬ死体に変えてやる。
 桜の木の下に埋めたりはしないが。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フォルク・リア
敵からの攻撃に注意しつつ
初撃はウィザード・ミサイル全弾を芝生に向けた放ち
敵の注意を其方に向ける。
その後は芝生への攻撃は控え、
敵の中で攻撃し易い者へ攻撃を集中。
敵からの攻撃を警戒し、周辺の敵の動きを見て
杖の宝玉の光(ストーンエイジ)が放たれそうなら
ウィザード・ミサイルの炎の矢を宝玉目掛けて放ち
光線との相殺を狙う。

自分への攻撃が多くなれば攪乱の為に
炎の矢の4分の1程度を芝生へ撃ち込んで自分から気を逸らす。
「身を呈しても髪を守るとは健気な事だが、
此方にとっては好都合。
十分に利用させてもらう。」

的を絞らせない様に公園を動き回り
遊具を遮蔽物に利用したり
ジャングルジムをに飛び乗る等で敵を攪乱、
攻撃を躱す。


王・笑鷹
お団子美味しいよネ、ワタシも売りさばいて儲けたいナー

ハオ、出汁にもなりそうにない子鬼サン
公園で鬼ごっことか、乙じゃナイ?

狐火で行動範囲を狭めつつ、近づくなら容赦なく燃やすヨ
骨から燃えにくい?
それならくっつけて大きくして、芝生でも燃やしちゃおうカ

ちょこまか動いてダガーで反撃
光るモノが小銭カナって寄り道したり。指輪とかも稀に落ちてるよネ!
そんな風に奇襲を仕掛けるヨ(奇襲と言い張る)
ちょっぴり石化しかけても、あの宝石欲しいナーとか思うと手が勝手に動くんだよネ
フシギダネー

協力できそうな猟兵サンがいたら一緒に
狐火の援護をメインにするヨ
大丈夫、大丈夫、サービスしとくカラ、後で倍で返してネ?

アドリブ他歓迎


セツナ・クラルス
邪神というけれど
彼らからしてみれば此方が邪神の教徒なのだよねえ…
思うことはあるのだが
オブリビオンは我々から見れば
いてはいけない存在
この場所をあるべき姿に戻す為、精々励むとしようか

敵の数が多い為
此方も手数を増やして対応しよう
芝生に幾つかの灯火を向かわせ敵を釣る
灯火は直進的に邪神へと突っ込ませる
この攻撃で敵の意識を分散、欲をいえば数を減らすことができたら僥倖

本当の目的は後方支援
前線に立つ猟兵たちが後ろを気にせず戦えるように灯火で敵の牽制をしよう
苦戦している猟兵がいれば積極的にフォロー

敵に狙われないように
可能な限り隠密に行動するが
万が一敵に狙われた場合、
手元に残しておいた灯火で反撃



●セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)
「身を呈して神を守るとは健気なことだが――」
 白いローブのフードを目深に被ったフォルクさんがウィザード・ミサイルを次々とUDCの群れに撃ち込んでいく。
「――こちらにとっては好都合。十分に利用させてもらう」
 実はUDCを狙っているわけではないけどね。そう、標的はあくまでも桜の木。他の猟兵たちと同じように、フォルクさんもUDCが盾になることを判った上で攻撃しているんだ。
 しかし、そのような戦い方をいつまでも続けるつもりはないらしい。こちらの意図を悟らせないようにするためか、標的を桜からUDCたちに切り替えた。
「これもまた研究の一環……となればいいのだが。命ばかりでなく、知見の糧を提供してほしいものだな」
 ローブの裾をはためかせて公園内を動き回り、『知見の糧』を得るべくUDCたちを攻撃するフォルクさん。
 彼が放つウィザード・ミサイルの炎に別の炎が加わった。
「援護するヨ、先生」
 妖狐の笑鷹さんの『フォックスファイア』だ。フォルクさんのことをなぜか『先生』と呼んでいるけど……深い意味はないのだろう、たぶん。
「サービスしとくカラ、後で倍で返してネ」
 狐火で敵を焼きながら、『先生』ことフォルクさんに笑いかける笑鷹さん。どうにも掴みどころがない。多重人格者である私が言えた義理ではないけど。
「サービスを頼んだ覚えはないのだが」
 笑鷹さんにペースを狂わされることなく、フォルクさんは淡々と戦い続けている。
 当然のことながら、私はその様子をただボーッと見ていたわけじゃない。猟兵の一人として、フォルクさんの『研究の一環』とやらに協力している。ユーベルコードの『原初の灯火(ハッピーバースデー)』を使ってね。
「私のサービスにはなにも返さなくていいよ」
 フォルクさんにそう言いながら、『原初の灯火』で生み出した炎を桜めがけて投じていく。
 例によって、UDCたちは躊躇することなく盾となり、それを防いでいる。
 可哀想だけど、その信仰心や忠誠心が報われることはないと思うよ。

●王・笑鷹(きんぎつね・f17130)
「私のサービスにはなにも返さなくていいよ」
 セツナが炎で子鬼サンたちを攻撃してるネ。ワタシの『フォックスファイア』と似たようなユーベルコードだケド、操ってる狐火の数はあっちのほうが倍以上も多いヨ。
 あ? それって、つまり、倍以上の料金が取れるということ? なのに『返さなくてイイ』とか言っチャウなんて……。
「先生、無欲ネー。でも、サービスの対価を求めないのヨクないよ」
「私も『先生』なのか……」
 苦笑しながらも、セツナは狐火を投げる手を止めない。もちろん、ワタシも。それにフォルクもウィザード・ミサイルを撃ち続けてる。何種類ものユーベルコドの炎が飛び交う光景はとても綺麗ネ。季節外れの花火大会って感じ。あー、これが本当の花火大会なら、見物料ががっぽがっぽ入ってクルのにぃ。惜しいネー。残念ネー。
 花火めいたユーベルコードだけじゃなくて、フォルクのアクションも見物料を取れそうヨ。敵に狙いをつけられないように素早く走り回って、滑り台を遮蔽物にして攻撃を防いだかと思っタラ、ジャングルジムに飛び乗って高度を取り、そこからジャンプしてシーソーに着地して、またジャンプ! ……といった具合にUDCたちを攪乱してる。
 まあ、それもワタシの援護射撃ならぬ援護炎撃あってのコト。後で倍返しよろしくネ……って、あ!?
「どこを見ている、この雌狐!」
 油断して、UDCの光線を食らっちゃったヨー! 体が動かなーい! でも、光線が出てきたあの高価そうな宝玉を見てると、物欲が刺激されて、自然に手が動き……出すかと思ったけど、やっぱり無理でシター。石化も解除できないなんて、ワタシの欲もまだまだネ。こんなことでは立派な商売人にはなれないヨ。
 いや、反省してる場合じゃないし。動けないでいるワタシに向かって、敵が追撃――
「大丈夫かい?」
 ――してくるよりも早く、セツナが狐火を撃って、その敵を撃退してくれたヨ。
 そうしている間に体が動くようになったので(石化は一時的なものみたいネ)ワタシはセツナにお礼を言った。
「謝謝。この借りは倍で返すヨ、先生」
「べつにいらないよ。このサービスも無料だ」
 本当に無欲ネー。そんなことではこの世知辛い時代に生きていけないヨ。

●フォルク・リア(黄泉への導・f05375)
「ハオ、出汁にもなりそうにない子鬼サン! 公園で鬼ごっことか、乙じゃナイ?」
 石化の解けた笑鷹が『子鬼』ことUDCたちを挑発しながら、公園の中を走り出した。俺のように敵を攪乱しつつ、攻撃を回避している……というような意図があるのかどうか判らないが、その動きはあまりにも不規則だ。
 たとえば、敵に突進していくのかと思いきや――
「あ? なにか光るモノが落ちてるヨ。小銭かな、小銭かなー?」
 ――などと言いながら、方向転換し、足を止めずに手を地面に伸ばして、なにかを拾い上げる。
「違った! 制服かなにかの金ボタンだったヨー!」
 そして、それを投げ捨て、また方向転換。ずっと、こんな調子だ。しかし、そうやってデタラメに動き回りながらも、UDCたちにはしっかりと攻撃を加えている。
「これ、ワタシ流の奇襲ヨ!」
 俺の訝しげな視線に気付いたのか(いや、フードに隠れているから、見えるはずがないのだが)、訊かれてもいないのに笑鷹はそう言った。動き続けながら。
 そんな彼女も……いや、彼女だけでなく、この俺も立ち止まる時が来た。
 UDCの最後の一体がセツナの炎を受けて息絶えたのだ。
 俺たちの勝利。もっとも、戦いが終わったわけではない。奴らが復活させようとしていた邪神も始末せねばならないからな。
「邪神とはいうけれど――」
 消し炭と化したUDCを見下ろして、セツナが誰にともなく言った。
「――彼らからしてみれば、こちらが邪神の教徒なのだよねえ」
「確かに」
 と、俺は頷いた。
「自分が崇める神を『邪神』呼ばわりする奴はいない」
「商売人のワタシにとっては、お客様こそが神様ネ!」
 にこにこと笑いながら、笑鷹が力強い声で宣告した。
 そして、その笑顔を維持したまま、付け加えた。
「ただし、金を持ってるお客様に限るヨ」
 そうだろうとも。
「さて、私たちの邪神にして彼らの正神である存在に謁見を願おうか」
 セツナが芝生に目を向けた。
 それを待っていたかのように(本当に待っていたのかもしれない)、三本の桜の根本――外灯の頼りない明かりが届かぬ闇の奥から別の闇が沸き出してきた。いくつもの目を有した闇。いや、闇ではなく、暗色のオーラか? あるいは瘴気?
 暗い表面に浮かぶ無数の目で俺たちを見ながら、そのオーラもしくは瘴気はゆっくりと近付いてくる。
 だが、それ自体が動いているわけではない。
 それの発生源が動いているのだ。
 UDCたちが『神体』と呼んでいたもの。
 半覚醒状態の邪神の魂が宿った器。
 その姿は……。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『邪悪が宿ったモノ』

POW   :    人質
【一般人】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
SPD   :    幻影か実体か
質問と共に【回答者の見知った幻影】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    六つ目の影
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【邪神の影】が出現してそれを180秒封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 無数の目が浮かぶ影あるいはオーラあるいは瘴気を立ち昇らせて、猟兵たちに近付いてくる神体。
 それはアライグマだった。
 正確に言うと、アライグマのぬいぐるみだった。
 さして重要でない情報を付け加えると、とても可愛いアライグマのぬいぐるみだった。
「よくも、我が信徒たちを滅してくれたな」
 アライグマが声を発した。聞く者の耳を鑢で削るかのような錆ついた声だ。
 だが、見た目は可愛い
「楽に死ねると思うなよ、人間ども……いや、人間ではない者も含まれているようだな。それになにやら特殊な力も持ち合わせてるようだ」
 アライグマは足を止め、ゆっくりと首を巡らせた。猟兵たちを見回しているのだろう。それに合わせて、瘴気に張り付いている無数の目も瞳孔を左右に動かした。不気味な光景だ。
 だが、アライグマが首を巡らせる動作は可愛い。
「しかし、私に勝てると思うなよ。あれを見るがいい」
 アライグマは片腕をちょこんと上げた。
 その動作も可愛い。
 それはさておき、アライグマが腕を向けた先(五指が備わっていれば、指さしていただろう)は公園の入り口の一つだった。
 黒服を着た数人の男がそこから園内に入ってくる。虚ろな目をして。夢遊病者のような足取りで。
 猟兵たちはすぐに理解した。その男たちの正体が、一般人の出入りを遮断していたUDC(組織)の構成員であることを。
「驚いたか? 貴様らには通じぬが、普通の人間ならば、このように操ることができるのだ。ふっはっはっはっはっ!」
 錆びた笑い声を響かせながら、アライグマは胸を反らせて肩を揺らした。
 可愛い。
「それだけではないぞ。貴様らの記憶の中にあるものの幻影を生み出すこともできるし、貴様らの技の弱点を見抜くこともできるのだ。これが神の力!」
 戦う前から自らの手の内を明かしていくアライグマ。
 よほど自信があるのか?
 あるいは愚かなだけか?
 なんにせよ、一つだけ確かことがある。
 ……とても可愛い。
 
波狼・拓哉
可愛いけどやってることはえげつねぇ!
だとしても邪神放っておくわけにはいかないので。んーうん。化け撃ちなミミック。ぬいぐるみを狙いな。あ、人質に庇われるとかすると面倒だから接射で。ほら某スイカバーとかああいう感じで射撃口をぬいぐるみにぶっ刺してから撃とうか。…ところでさ?ミミックは一体しか存在出来ないけど再召喚のラグとかはないんだよね…つまりはそういうことだ(ミミックを召喚しまくる)
自分は一般人の無力化とかサポートに回ろう。質問にも適当に答えとこ。別に隠すことないし。そして最大の弱点である本人狙いはさせないように地形を利用して逃げ足発揮して全力で逃げ回るとしようか…!
(アドリブ絡み歓迎)


上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
ボス本体が小さい。大振りは避け、細かく小さく、一発一発をより丁寧に、確実に当てる。
また味方の射線上に入らないよう位置取りに気を配る。

一般人に自身を操らせる・盾に使うなどしてきたら、『クライミングロープ』を用いて捕縛【グラップル+戦闘知識】する。

UCは攻撃力強化。
『拳は手を以て放つに非ず』は対オブリビオン戦闘での補助として、元々平常時から無意識下で行っている『基礎』を、意識的に行うことでUC化したモノである。
故にUCとしてのそれを封じられても問題ない。
――むしろ
「わざわざ意識しなくていい分、楽だ」

質問されたら素直に答える。
「出来り限りですが、まあ真面目に生きてますよ『先生』」


鏡島・嵐
判定:【WIZ】
……まあ、後ろにあるおぞましいナニカを無視して見れば、確かに可愛いけどさ。
つっても、いくら見かけがそれでも怖ぇもんは怖ぇんだ。悪ぃけど消えてもらうぞ。

《大海の姫の恋歌》で皆を治癒しながら自分も攻撃に参加。
このUCの弱点……なんだろうな。誰もケガしてねえと意味無ぇ……そもそもそういう状況じゃ使わねえけど。
封じられてもあんまり影響無ぇから、気にせず攻撃。
〈目潰し〉を……この場合目ってどこなんだろ。後ろのおっかねえ影の方かな?とか狙って〈援護射撃〉を撃ったりする。

あと隙を見て、操られてるUDC構成員の人たちを無力化して助ける。
多少手ひどいことするかもしれねえけど、後で謝っとこう。



●波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)
「これが神の力!」
 いくつもの目が張り付いた影を背にして、小さな体でふんぞり返るアライグマ。
「邪神ジャンプ!」
 アライグマの叫びに応じて、黒服の男性――UDC組織のメンバーが素早く駆け寄り、ぬいぐるみを持ち上げました。「しゅびぃぃぃーん!」と謎の声を発しながら。もしかして、風を切って飛んでいる様を表す擬音のつもりなのでしょうか?
「邪神パンチ!」
 アライグマは空中で方向を変え(いえ、メンバーがぬいぐるみの向きを変えただけなのですが)、パンチを繰り出すポーズを見せました。
 それに合わせて、別のメンバーが修介さんに拳を叩きつけました。「ばしぃ!」という擬音を叫びながら。
 なるほど。邪神といえども、ぬいぐるみに宿っている状態では肉弾戦は不得手。だから、このように他者を操り、攻撃役にしているわけですね。
「可愛いけど、やってることはえげつねえ!」
 私は怒りの声を発し、アライグマに向かって突進しました。
 アライグマは後方に飛んで(いえ、ぬいぐるみを持ってるメンバーが飛び退っただけなのですが)間合いを広げ、メンバーたちを盾にして、行く手を阻みます。
 その間に攻撃役のメンバーが「ずっぎゅわぁぁぁーん!」と独特の擬音を叫びながら、二発目のパンチを繰り出しました。
 しかし、標的となった修介さんは華麗に回避。
「何度も食らうか!」
 そして、盾役たちの間をすり抜け、アライグマに迫っていきます。UDCたちと戦ってる時、彼はユーベルコードで力を上昇させていたようですが、今も同じ状態にあるのでしょう。
「ふっはっはっはっは!」
 空中に浮かんだまま(いえ、メンバーに持ち上げられてるだけなのですが)、アライグマは憎々しげに笑いました。
「貴様、特殊な方法で己の戦闘能力を上昇させているな? しかし、その技には大きな弱点があるぞ! 呼吸を要としているゆえ、息のできぬ水中などでは使うことができぬのだ!」
 さすが、邪神。『ユーベルコードの弱点を見抜ける』というようなことを宣っていましたが、あれは嘘ではなかったのですね。
 しかし、修介さんは――
「それがどうした?」
「ぶひぇっ!?」
 ――なにごともなかったかのようにアライグマの顔面めがけて拳を叩きつけました。一度ならず、二度三度と。
 傍目にはシュールかつカオスな光景に見えるかもしれませんね。顔に傷のあるお兄さんが、黒服の男の人が持っているアライグマのぬいぐるみを激しく殴りつけているのですから。

●上野・修介(元フリーター、今は猟兵・f13887)
「な、なぜどぅわ!?」
 ボロボロになりながら、アライグマは横っ飛び(という態で、メンバーが全力疾走して)で俺の殴打から逃れた。
「なぜ、攻撃することができるのだ? 私に弱点を見抜かれたら、その技は封じられるはずなのに……」
「あれは技というのとは少し違う」
 と、俺は言ってやった。
「対オブリビオン戦闘での補助として平常時から無意識下でおこなっている基礎を、あえて意識的におこなうことでユーベルコード化したものだ。ゆえにユーベルコードとしてのそれを封じられても問題ない……むしろ、わざわざ意識しなくていい分、楽だな」
「なんだかよく判らないけど、凄いぜ!」
 後方から賞賛の言葉を投げてくれたのは嵐さん。
「ありがとうございます。でも、べつに凄くはないですよ。凄い人がいるとしたら、それは俺に格闘術の基礎を教えてくれた先生です」
 先生について語りつつ、アライグマにまた攻撃を加えるために俺はまた走り出した。
 嵐さんの声が追いかけてくる。今度は賞賛ではなく、詠唱だ。
「その調べは哀しく、その詞は切なく、その末期は儚く、痛みを遙かに運び去る」
 詠唱が消えると、代わりに美しい歌声が流れてきた。
 足を止めずに振り返る。嵐さんの傍に歌声の主――人魚がいた。あの詠唱で召喚されたのか?
 人魚の歌声はただ美しいだけじゃなかった。攻撃役のUDC組織の男に殴られた傷がいつのまにか癒えている。歌詞の通りに『痛みを遙かに運び去』ったわけだ。
 前方に向き直ると、その攻撃役が衝突せんばかりの勢いで走ってきた。いや、本当に衝突するつもりらしい。
 俺は攻撃役の体当たりを躱し、横をすり抜けて、アライグマに向かって走り続けた。
 だが――
「邪神バリアー!」
 ――アライグマがポーズを決めて叫び、UDC組織の男たちが次々と立ちはだかる。先程と違って、簡単に突破できそうにない。俺に殴られまくったことに懲りたのか、アライグマは防御のフォーメーションを重視するようになったらしい。
 なら、しょうがない。この生きた『バリアー』を取り除くとするか。
 ただし、なるべく傷つけないようにな。

●鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)
 修介が丈夫そうなロープを振り回し、黒服のおっさんたちを修介が攻撃……してるのかと思いきや、そうじゃない。ロープを相手の腕や足に絡めて、動きを封じてるんだ。
 殺さずに無力化しようとしているわけだが、対するおっさんたちのほうは殺す気満々(本人たちの意思じゃなくて、アライグマに操られているだけだけど)だから、さすがの修介も何度か反撃を食らってる。でも、大丈夫。どんなに怪我を負っても、俺の召喚した人魚が歌声で癒してくれる。
「その耳障りな人魚の歌の弱点も見切ったぞ!」
 うげっ!? アライグマがいきなり俺に話しかけてきやがったぞ。我ながら情けないが、思わず身を竦めちまった。でも、しょうがねえだろ。相手は不気味な邪神。後ろにあるおぞましい影だかなんだかを視界に入れなけりゃ、けっこう可愛いが……いくら見かけが可愛くても、怖えもんは怖えんだよ。
「力の源が歌声であるため、音が伝わらない環境では効果を発揮できん。また、もっと大きな音にかき消されて無効化されることもあるだろう」
 俺のユーベルコードの弱点を指摘するアライグマ。ぬいぐるみだから表情なんか作れないはずなのに、ドヤ顔に見える。
 弱点つーか、あたりまえのことを言っただけのような気がしないでもないが、効果はあったらしく、人魚の歌声が途切れた。
 でも、べつに困りゃしない。治癒のユーベルコードが封じられたのなら、攻撃するまでだ。
「怖いという気持ちは消えてねえけど――」
 俺はスリングショットから石を放った。
「――だからといって、なにもしないわけにはいかないもんな」
「ぐえっ!?」
 アライグマが無様に呻いた。俺の目潰し攻撃が命中したんだ。ぬいぐるみの目じゃなくて、後ろにある影だかなんだかの目だけどな。
 その隙に拓哉が一気に間合いを詰めた。
「さあ、化け撃ちな、ミミック! 暁の地平線に存在を刻みな!」
 またもやミミックが召喚されたけど、それがミミックの姿をしていた時間は一秒にも満たない。
 なぜなら、アニメやゲームに出てくる宇宙戦艦みたいなものに変わったから。
 宇宙戦艦ミミックはアライグマの小さな腹に舳先をブッ刺し、光線を撃ち込んだ。ほぼゼロ距離だから、ダメージを受けたのはアライグマだけ。ぬいぐるみを持ってるおっさんは無傷。
 そして、宇宙戦艦ミミックは音もなく消えた。
 でも、それで終わりじゃなかった。
「ミミックは一体しか存在できないけど、再召喚の際にラグは生じないんだ。つまり――」
 拓哉が新たなミミックを召喚した。
「――こういうことだ!」
 二つ目のミミックは宇宙戦艦に化けて光線を放ち、そいつが消えると、三つ目のミミックが現れて宇宙戦艦に化け、また光線を放ち、そいつが消えると、四つ目の……。
 何度も何度も何度も何度も宇宙戦艦ミミックの光線を撃ち込む拓哉。アライグマをえげつないって言ってたけど、この攻撃もけっこうえげつないよなぁ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
なんて恐ろしい姿だ…
…ふふ、なんてね
残念だったね
見た目に惑わされるような私じゃないよ
目覚めたばかりだか早々に…
…あれ、ゼロじゃないか
現れた別人格・ゼロの幻影に注意を向け

きみが私をどう思ってるか?
答えるまでもない質問だね
勿論愛し――
……!?
ま、まだ最後まで答えてないのに問答無用で攻撃なんて酷いじゃないか
しかも物凄く痛いし
というか、なんでこれが不正解なんだ
自己愛?違う!
ゼロと私は同一人物だが、人格は別なので問題はない!

幻影相手に本気で言い合う
仲裁に入ったアライグマには真顔で鎌を突きつけて
…先ほども言ったが
見た目で惑わされるような私ではないよ
ふふふ、ゼロを貶めたことを後悔するといい


城島・冬青
アライグマ(のぬいぐるみ)ですか
これは可愛いですね
でも私はタヌキ派なんで(謎の主張)
いえ、タヌキだとしても邪神倒すべし慈悲はないです!覚悟しなさいっ

にしても一般人を呼び出すとかずるい!アライグマきたない!
一般人には当たらないよう細心の注意を払ってアライグマの邪神に攻撃していくよ

屍山食らいて実を結び
血河飲み干し咲き誇れ、花髑髏

これ操られた人達は邪神を倒せば元に戻るよね?
相手の攻撃は【第六感】で予測&死角からの不意打ちを素早く察知して【ダッシュ】で避けるか【武器受け】で凌ぐ

一般人が巻き込まれる可能性があるので【衝撃波】は使用しない


年上には敬語に名前+さん付け
年下同い年はタメ口で喋る
アドリブ歓迎です


王・笑鷹
あーキミかわいいネ!
でも、残念。魂宿った人形はちゃんと魂抜いてあげないとネ。

無辜のヒトを傷つけるのは可哀想だから、攻撃しないように気をつけるヨ。
……そういえば、組織のヒトって労災出るのかナ?
出ないなら可哀想ネ。

シーブズ・ギャンビットで戦うヨ。
ワタシ厚着だから一枚二枚脱いでも大丈夫。
アライグマさんにダガー振り下ろすの、ちょっとザイアクカン。

え、あそこに見えるは借金取りのオニーサン!
ゴメンナサイ、ワタシまだお金作ってないネ。
ついでにいうと利子の分は返す気も無いけどネ。
幻相手に言わなくてもいいことを言った気がするネ?

邪神入りアライグマぬいぐるみ、売れそうだけどナーオカルト的に。
それよりもお花見ヨ!



●セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)
「えーい、猪口才な!」
 時代がかった怒号とともにアライグマは跳躍し、小さな宇宙戦艦の猛攻から逃れた。
 いや、跳躍したのはアライグマ自身ではなく、ぬいぐるみを保持しているUDC組織の構成員なんだけどね。
「しゅばばばーん! しゅた!」
 奇声を発して、構成員は着地した。『しゅばばばーん!』は跳躍の擬音(着地時に発しても遅すぎるような気がするけど)で、『しゅた!』は地面に足がついたことを表す擬音なのだろう。
「許さん……もう許さんぞ、貴様ら……神たる私をなめおってぇ……」
 アライグマの苛立たしげかつ悔しげな声に合わせて、無数の目を持つ影が炎のようにゆらめく。
 嗚呼、なんと恐ろしい姿!
 ……なんてね。ふふっ。見た目に惑わされるような私じゃないよ。
「おめめぱっちりの影は不気味だけど、ぬいぐるみのほうはとても可愛いですね。でも、惑わされたりしませんよ!」
 花と髑髏の装飾が施されたサムライブレイドを構え直しながら、冬青さんが力強い声で宣言した。彼女も私と同じ気持ちらしい。
「だって、私はタヌキ派だから」
 うーん……同じではあるけれど、その気持ちが根差すところはちょっと違ったようだ。
「いえ、タヌキだとしても! 邪神、倒すべし! 慈悲はない! 芝桜が咲き乱れる丘の上でちっちゃくて可愛いタヌキの集団と相対したとしても、骨抜きにされることなど絶対にありません!」
 なんだか妙に具体的だ。まあ、なにはともあれ、タヌキ型の邪神が現れても、冬青さんに任せておけば安心だね。
 おっと、今は未知のタヌキについて考えている場合じゃない。目の前のアライグマを倒さないと。
「慈悲がないのは私も同じだ。邪神アタック!」
 アライグマが叫ぶと(技のネーミングセンスについてはとやかく言わないでおこう)、盾役を務めていたUDC組織の構成員たちが猟兵に襲いかかってきた。得物は自らの拳。それを振る度に『どかっ!』とか『ばきっ!』とか『メメタァ!』という擬音を声に出すのがなんとも……。
「屍山食らいて実を結び、血河飲み干し咲き誇れ、花髑髏!」
 冬青さんが擬音の合奏を詠唱の独奏でかき消した。構成員たちの攻撃を巧みに躱し、アライグマへと突き進んでいく。その手に握られたサムライブレイドの刀身が漆黒に変わっているけど、それはたぶんユーベルコードを使用しているからだろうね。以前にも見たことがあるよ。
「とおーっ!」
 斬撃が届く距離に達すると同時に冬青さんはサムライブレイドを振り上げた。漆黒の刃がアライグマの腹を逆袈裟に裂き、切っ先が描いた弧線に沿って、血飛沫が……いや、ぬいぐるみの綿が飛ぶ。
 これが本当の『はらわた』だね。

●城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)
「ずしゃあああーっ!」
 ぬいぐるみを持ったUDC組織の人が血飛沫ならぬ綿飛沫の擬音を叫んだ。
「私が攻撃された時の効果音はいらん!」
 そして、それを叱るアライグマ。
 コントか漫才みたいな脱力系のやりとりだけど、そうしている間もしっかり距離を取り、私の第二撃を避けようとしている。
 だけど、あまーい。猟兵は私だけじゃないんだよ。
「あー。キミ、かわいいネ! でも――」
 ほら、ダガーを手にした笑鷹さんが駆けてくる。
「――残念。魂宿った人形はちゃんと魂抜いてあげないとネ」
 UDC組織の人たちが次々と殴りかかるも、笑鷹さんは素早く回避。残像が生まれるほどのスピード。ユーベルコードの『シーブズ・ギャンビット』を使ってるんだね。
「服を脱いで、モット速くなるヨー」
「ちょ、ちょっと待って、笑鷹さん! 人目があるところで脱ぐのはやめたほうが……」
 慌てて止める私に構うことなく、笑鷹さんは無造作に服を脱ぎ捨てた。
「ワタシ、厚着だから一枚二枚脱いでもダイジョーブ!」
 あ、ホントだ。脱いでも肌は露わにならなかった。でも、アライグマに操られて自我を失っているはずのUDC組織の人たちが残念そうな顔をしているように見えるのは気のせいかな? ぬいぐるみの持ち役の人に至っては『ちっ!』って舌打ちしたような……いえ、空耳だよね。たぶん。
 それはさておき、ちょっとだけ薄着になった笑鷹さんは疾風の勢いでアライグマに接近して、ダガーの一撃を浴びせた。そして、すぐに離脱。
 でも、アライグマも黙っちゃいない。
「雌狐め! 己が記憶に鞭打たれるがいいわ!」
 アライグマが両腕を振り回すと(どーでもいいけど、すごく可愛い仕種)、走り去ろうとする笑鷹さんの前に強面の男の人がどこからともなく現れた。いえ、『どこからともなく』じゃない。アライグマの言葉が本当なら、それは笑鷹さんの記憶から生み出された幻影。
 きっと、今までの笑鷹さんの人生において、この強面の男の人はとても重要な意味を持つ存在なんだろうね。武術の師範とか? 実のお兄さんとか? 死に別れた恋人とか?
「さあ、幻影が発する問いに真実を返すことができるかな? ふっはっはっはっはっ」
 アライグマが高笑いを響かせる中、男の人の幻影は笑鷹さんにぐいと詰め寄り、大声で問いかけた。
「こら、笑鷹っ! いつになったら、金返すんじゃあーっ!」
 ……え? 借金取りなの?
「ゴメンナサイ! ワタシ、まだお金作ってないネ」
 ぺこりと頭を下げる笑鷹さん。誠意は微塵も感じられないけど。
「ついでに言うと、利子の分は返す気もないけどネ」
 ついでに言うことじゃないと思う……って、借金取りの幻影が消えた!? つまり、『利子を返す気はない』という言葉は間違いなく真実なんだね。

●王・笑鷹(きんぎつね・f17130)
 借金取りの幻、消えちゃったヨ。本物の借金取りもこんな風に消えてくれたらいいのにネー。
「貴様も幻影に真実を返せるかな?」
 あ? アライグマが新しい幻を作り出したネ。簒奪者の鎌を持って攻撃を仕掛けようとしていたセツナの前に。
「……ゼロ?」
 幻の名前らしきものを呟くセツナ。傍目には鏡の前に立っているように見えるかもしれないネ。だって、その幻はセツナと似たような顔形をしているカラ。たぶん、多重人格者であるセツナの別人格の幻ダト思うヨ。
「答えてみろ。オレがおまえのことをどう思っているか……」
 ゼロの幻が問いかけると、セツナは余裕の表情を取り戻したヨ。きっと、チョー簡単な質問なのネ。
「そんなの決まってるだろう。愛して……うわっ!? ま、まだ最後まで答えてないのに攻撃するなんて酷いじゃないか! しかも、痛いし! ものすごく痛いし!」
 前言撤回。簡単な質問じゃナカッタみたい。
 ちゃんと答えられなかったら、セツナはダメージを受けたネ。でも、そんなことはお構いなしにゼロの幻に食ってかかっていくヨ。
「そもそも、なんで『愛してる』という解答が不正解なんだ!」
「気持ち悪りいんだよ! 自己愛にも程があるわ!」
「自己愛なんかじゃない! きみと私は同一人物だが、人格は別なのだから!」
「都合の良い時だけ別人扱いするんじゃねえ!」
「『都合の良い時』の定義を明確にしてもらおうか! 話はそれからだ!」
 自分の別人格(の幻)との口喧嘩……こういうのも『喧嘩するほど仲が良い』って言うのかナ。言わないかナー。
「ふっはっはっはっはっ! 争え! もっと争え!」
 いかにも悪役って感じの台詞を口にして、アライグマが悦に入ってるヨ。でも、他の誰かに言われるまでもなく、セツナはゼロの幻と激しく争ってるネ。てゆーか、アライグマのコトはもう眼中にない感じ?
 アライグマもそれに気付いたのか、セツナとゼロの幻の間に割って入った。
「いや、争うのはいいんだが、神たる私を無視するな! 無視するなって! おい! 聞けよ、こっちの話をよぉ!」
「は?」
 幻との口喧嘩を中断して、アライグマをぎろりと睨みつけるセツナ。
「ああ。そういえば、きみこそがそもそもの元凶だったな。ゼロを貶めたことを――」
 鎌を振りかぶり、斬りつける。
「――後悔するといい!」
「うぐわっ!?」
 鎌で体を裂かれ、大きくのけぞるアライグマ。
 そこにすかさず、冬青が追撃。怒りの叫びをあげながら、カタナを一閃させたヨ。
「一般人を操って利用するとか、誰かの記憶から幻影を生み出すとか、本当にずるい! アライグマのくせして、きたなーい!」
 他の猟兵たちも次々と攻め立てていく。拳で、ミミックで、スリングショットで。
 もちろん、ワタシもダガーで。
「や、やめろ、貴様ら! 私は神だぞ! 神なのだぞぉーっ!」
 ってなことをほざきつつ、アライグマは必死に反撃してきたけれど、無駄無駄。もう大勢は決したヨ。

 激闘の末、アライグマのぬいぐるみに宿っていた邪神は死んだネ。
 操られていたUDC組織のヒトたちも正気に返ったけど……休む間もなく、骨マンゴー(命名者は冬青だヨ)の死体とかをかたし始めタ。ニッポンジンって、ホントに働き者。そういえば、UDC組織のヒトって労災が出るのかナ? ブラック臭がプンプン漂う組織ダカラ、出ないような気がするネ。だとしたら、可哀想ネー。
 近くにいた組織のヒトにワタシは訊いてミタ。いや、労災のことじゃないケド。
「ところで、骨マンゴーの死体だけじゃなくて、アライグマのぬいぐるみも持ってくノ?」
「はい。しかるべき処置をおこなった後、資料として保管します」
「できれば、ワタシに譲ってほしいんだけどナー」
 邪神の器として使われていたぬいぐるみとなれば、オカルトマニアに高く売れるはずヨ。
「それはできません」
 ちぇっ! ケチなんだカラ、もう。
 まあ、いいか。
 それよりもお花見ヨ!
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『季節の花を鑑賞しよう』

POW   :    花を眺める

SPD   :    花を眺める

WIZ   :    花を眺める

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 UDC組織の構成員たちの働きによって、ありえざる存在との戦闘の痕跡は公園から一掃された。
「お疲れさまでした」
 リーダーらしき構成員(ぬいぐるみを保持する役として操られていた男だ)が猟兵たちに労いの言葉をかけた。彼や他の構成員も『お疲れ』のはずだが、誰の顔にも疲労の色は滲んでいない。本当に疲れていないのか、疲れを表に出していないだけなのか。なんにせよ、よく訓練されているらしい。その割にはあっさりと操られていたが。
「一般人のシャットアウトは早朝の五時頃まで続けます。その間、ご自由にここで過ごしてくださって構いません。飲食物が必要なら、近くのコンビニでどうぞ。それと、これは――」
 男はUDCアースの紙幣を猟兵たちに差し出した。
「――その足しにでもしてください」
 おそらく、組織の経費ではなく、彼のポケットマネーであろう。
 
上野・修介
※絡み・アドリブOK
周辺を探索し残党や邪神の残滓を確認。
問題なければ戻ってくる。
「問題ないとは思いましたが、まあ、性分なので」

経費ならともかく、流石にポケットマネーは受け取れないのでそのまま返す。
もしそれでもと言われたら
「なら仕事が終わったら部下の人たちに一杯奢ってあげてください」
と提案する。

他の猟兵さんたちのリクエストを聞いてコンビニへ買い出し。
「あ、領収書お願いします。」
上の方にはキッチリ請求する。

戻ってきたら、少し離れた位置で夜桜を眺めつつ、戦闘の振り返る。

一つの戦いは終わった。
なら次の戦いがある。

――行住坐臥造次顛沛

思考は途切れず、次を、先を見据える。

あと酒は無し。下戸なので、マジで


リヴェンティア・モーヴェマーレ
▼アドリブ&他の方との絡みモリ盛りのモリ大歓迎!

▼本日の主役動物
夾(きょんちゃん:ハムスター型魔導蒸気機械でおっとりしてる)
他の子が居ても問題無

▼【花を眺める】
お花見が出来ると聞いて…!お弁当を作ってきましたー!(一斉に拍手する動物達)

きょんちゃんはいつも大人しいので今日はどんどんはしゃいで欲しい気持ち(ハムスター型魔導蒸気機械に『本日も主役』と書かれた襷をかけて)さぁ、皆でお花見でス!(小動物達に各々の好きなもので作った、小動物サイズのお弁当を渡していく)
沢山あるノデもし他の人も食べてくださるなら食べて欲しい気持ち。お料理とお掃除は結構得意なのデス!
おにぎりに唐揚げ…卵焼き…色々ありますヨ♪


城島・冬青
お疲れさまー
臨時収入(ポケマネ)も得ましたしそこのコンビニで色々買ってきました!
あ、これはからあげです
3種類のフレーバーがあったので全部買ってきたんですよ
柚子胡椒味のからあげと
カレー味のからあげと
じゃじゃーん!深川めし味のからあげです!
カレー味と柚子胡椒味はともかく
深川めし味とか意味わからなくて逆に気になりませんか?私は気になります
お菓子も買ってきましたよ
キノコのチョコ菓子とタケノコのチョコ菓子です
宣言すると私はタケノコ派🌟
…これはもしや戦争が起こるかもしれないやつかな?
どちらも美味しく食べるから平和にいきましょう

花ですか?ちゃんと見てますよ!
花はいつだって綺麗です
でも私は花より団子なので!


波狼・拓哉
夜桜だー!何だろう言葉の響だけでテンションちょっと上がる…!
それじゃ、近くのコンビニに買い物言って適当にお菓子と…未成年がいるならお酒はやめとくか。居ないなら?飲むしかなかろうよ…!
まあ、桜見ながらだからそんなガバガバ飲むわけじゃないし。というかそんな飲み方したら渡されたポケットマネーじゃ全然足りないし。
あ、自分の分ぐらいは出しますんで渡された分で買って来た奴はみんなで食べません?ほらシャットアウト言ってももう来られても問題はないわけで?となると別に人員見張らせる必要もほぼ無いわけで?…ね?
そういうやJJさんは来てないのかな。たかりに来る想定でサバ缶買っておいたんだけど。
(アドリブ絡み歓迎)


鏡島・嵐
そんじゃ、夜桜見物と洒落込むか。おっと、雪柳もあるんだっけか。
どっちもこの時期限定だからな。せめて眺めて、戦いの疲れを吹き飛ばしてえとこだな。
……んー、一応小腹を満たすもんでも調達するか。
近くにコンビニあるっていうし、桜餅とか団子とか駄菓子と茶を買い込んでおく。あ、さすがに貰った金は使わねえぞ。後で返しとく。

……ってなんか視線を感じるんだけど……アンタかよJJ。
……何だよその物欲しそうな目つきは?
ふーん……(にやりと笑って)じゃあアンタにはこれやる。どれか一個選べ。三つともはナシだ。
(「三個に一個超酸っぱいのが入ってるガム」を選ばせる。当たりを引くかどうかはお任せ)


セツナ・クラルス
我々には言い値で報酬が貰えるというのに
わざわざ自分の懐を痛めてまで支援をして頂けるとは
なんて素晴らしい人なんだ…!
感激しつつ、頂けるならちゃっかり頂戴し
気になるおやつを買い足しておこう
ふふふ、楽しみだなあ
期間限定とか地域限定とか
ちょっと特別感のあるものを中心に選んでおこう
…ゼロ、辛いものばかり選ばないでおくれ
マッチャ味だと思ったらワサビ味だったとかあったら、泣くよ、私は
本当に

花見は皆で楽しもう
今日はお疲れさま
恐ろしい敵だったが
みなさんの活躍を間近で見られたのは幸せだったかな

J Jさんも転送お疲れさま
花見団子はいかがかな?
ひとつぶが拳大程の大きさの花見団子を差し出して
ふふふ、すごいボリュームだろ


王・笑鷹
千景(f11414)と

お小遣い謝謝ネ!
ナイス擬音だっだヨ(ぐっ)

さあ、お楽しみのお花見ヨ
夜桜も雪柳も幽霊みたいに綺麗ネ
ついつい神サマが復活しようとするのも納得ヨ
折角だから拝んでおくヨ。儲かりますヨウに!

皆にお団子売るのは諦めて……千景の目が怖いからじゃナイヨ?
そう、千景の差し入れお菓子が楽しみ。
ワタシはコンビニでお茶買ってきたヨ。お酒は買えないから我慢ネ!
ん?おつり?(首傾げ)

どれも可愛くて豪華で目移りするネ
売りにいけないのが残念……コンコン
ゆっくりと味わって食べるヨ。食物は大事にって教わってるからネ
(もごもご)どれも好吃!

疲れたし美味しいし狐変身してごろごろするネ
後は任せたヨ……ぐう


烏丸・千景
笑鷹ちゃん(f17130)と

ほぉん、こいつはまた立派な桜だ
夜桜とは風流だねぇ
神様っていうのもちょっとばかし、そんな気になったのかもねぇ

笑鷹ちゃんはお仕事お疲れ様
えー怖くない怖くない
商売しない分、お菓子をあげよう

片手で食べるのに丁度良いカラフルなカップケーキに
手作りのチョコ
ちっちゃくて軽いお菓子も良いけど、やっぱりどっしり食べるのも良いよねぇ
甘いので飽きたらチーズもあるよ

ほぉ、コンビニのお菓子も良いねぇ いっぱいだ
こいつはお釣りもなさそうだねぇ

こんだけ美味しく食べてくれる子がいれば作りがいもあるねぇ
おーしぃ?

こんこん、おねむだったら乗っかってかえる? 襟巻きにしちゃえばあったかだしねぇ



●王・笑鷹(きんぎつね・f17130)
 修介、どうしタンだろ? 戦いは終わったのに、鋭い目付きをして公園の中を歩き回ってるヨ……と、思ったら、表情を穏やかなものに変えて、コッチにやって来た。
「先生、なにやってたノ?」
「UDCの残党や邪神の残滓の有無を確認してたんです。残っているわけがないだろうとは思いましたが……まあ、性分なので」
 真面目ネー。
 でも、真面目に過ごす時間はこれにて終了。ここからは楽しい上に嬉しいお花見の時間ヨー。なんで嬉しいかというと、UDC組織のヒトがお小遣いをくれたカラ! よっ、太っ腹!
「やったー! 臨時収入ぅ!」
 冬青も飛び上がらんばかりに喜んでるネ。
 その横ではセツナも感激に身を震わせているヨ。
「我々は充分な報酬がいただけるというのに、このような支援まで……感謝の言葉もありません」
 まあ、感激に震えながらも、お小遣いをしっかりきっちりちゃっかり受け取ってるんだけどネ。さすがだヨ。
 ワタシもお礼代わりにサムズアップ。
「ナイス擬音だっだヨ」
「……え?」
 UDC組織のヒト、ポカンとしてるネ。どうやら、邪神に操られていた時のことは覚えてナイみたい。実は記憶消去銃を使って自分で消したトカ? 消したくなる気持ちも判らなくはないケド。
 まあ、そんなことはドーデモいいヨ。軍資金も調達できたことだし、皆で買い出しに――
「ちょっと待ってください」
 ――行こうと思ったら、修介が割り込んできタ。なんだか、イヤな予感。
 修介はセツナの手からお小遣いを取って、UDC組織のヒトに差し出したヨ。コレは予感的中カナー?
「組織の経費ならともかく、さすがにポケットマネーは受け取れません。お気持ちだけ、ありがたく頂戴いたします」
 真面目ネー! ホッッッント、真面目ネー!

●鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)
「返しチャウのは却って失礼ヨ」
 セツナの手から修介の手へと移動した金を笑鷹が掴み取った。
「遠慮が美徳という考え方はイケナイね。もらえるモノはもらっておこうヨー」
「そういうわけにはいきません」
 笑鷹から金を取り返す修介。
 俺も修介と同意見かな。というか、とりあえず受け取っておいて、後で黒服のおっさんに返すつもりだったんだけど。
「だったら、この金で買ってきた分は皆で食べません?」
 と、ミミック使いの拓哉が提案した。
「ほら、一般人のシャットアウトといっても、もう誰かが来ても問題はないわけで? となると、べつに人員を割いて見張らせる必要もほぼないわけで? ね?」
 なるほど。それもいいかもな。人数が多いほうが楽しそうだし。
 でも、おっさんは首を左右に振った。
「確かに問題はないかもしれませんが、上からの指示は絶対です。なにがあろうと、我々は早朝五時まで一般人の出入りを制限しなくてはいけません」
 融通がきかないなぁ。
「では、その仕事が終わった後で――」
 修介が改めて例の金をおっさんに差し出した。
「――部下の人たちに一杯奢ってあげてください」
「いえ、それは……」
「そう言わずに」
「しかし……」
 と、押し問答を暫く続けた末におっさんはようやく金を受け取った。
「すいません」
 いや、『すいません』もなにもあんたの金じゃないか。オトナの世界ってのは、めんどくさいな。
「では、買い出しに行きましょう。リクエストのあるかたは仰ってください」
 皆のリクエストを聞いてメモを取り始める修介。
 その作業が終わると、誰にもともなく言った。
「領収書はちゃんともらっておきましょう。後で上のほうにきっちり請求しますから」
 うん。やっぱり、めんどくさい。

●城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)
 買い出し、買い出しぃ~♪
 さすがに修介さんだけに買い物を押し付けることはできないから、私を含めた数人でコンビニに来たんだ。仲間と一緒にいろんなものを買い込むのって、なんだか楽しいよね。
「未成年がいるから、お酒はやめておきましょうか。そうなると……やっぱり、お菓子ですかね」
「お菓子っつっても、チョコだのなんだのだけじゃなくて、桜餅とか団子もないとな。あと、そういうのに合う茶も忘れちゃいけない」
 拓哉さんと嵐さんも楽しそうに商品をカゴの中に入れてる。
「あ? 拓哉さん。これも買っとかないと」
 私が指さしたのは、お菓子界で激しい抗争を繰り広げている二種類のチョコレートスナック。そう! 『タケノコの里帰り』と『キノコの山登り』だよ!
「花見の場でキノコタケノコ戦争が起きるかもしれませんね」
「そうならようにどちらも美味しく平和的に食べましょうよ」
 苦笑する拓哉さんに笑顔を返しつつ、私はカゴに『タケノコの里帰り』と『キノコの山登り』を入れた。もちろん、数は同じ。揉めるといけないからね。
「冬青はどちら派なんだ?」
「断然、タケノコ派です!」
 嵐さんの問いに胸を張って答える私。いや、べつにキノコ派を挑発する意図はないよ? 平和的にいこう、平和的に。
 でも、タケノコキノコ戦争(私はタケノコ派だから、キノコタケノコ戦争とは言わないの)とは別の戦いが横で始まってるんだよね。
 それは甘党と辛党の戦い。
 甘党は、セツナさん。
 辛党は、ユーベルコードで具現化したセツナさんの別人格のゼロさん。
「辛いものばかり選ばないでおくれ」
「べつにいいじゃねえか」
「いいわけないだろう。マッチャ味だと思ったら、実はワサビ味でした……なんてことがあったら、泣くよ、私は」
「いくらワサビ味といっても、泣けるほど鼻に来ることはねえさ」
「いや、そういうことじゃなくてね」
 うーん。この戦いはタケノコキノコ戦争よりも根が深そう。

●波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)
「皆にお花見用のお団子を売りつけて、がっぽり儲けターイ……ってなことを思ってたんだけど、今回は諦めるネ」
 コンビニで買ってきたお菓子やお茶をレジャーシートに並べ終えて、笑鷹さんは肩をすくめてみせました。冗談めかしていますが、ちょっぴり本気で残念がっているようにも見えますね。
「あ、べつに千景の目が怖いからじゃナイヨ?」
「えー? 怖くない、怖くない」
 スーツ姿の男性が顔の前でぶんぶんと手を振りました。彼が千景さん。にこやかな笑みを浮かべる様は確かに怖くありません。首元から覗く刺青を無視すればの話ですが。
「笑鷹ちゃんが珍しく商売っ気を出さなかったから、御褒美……というわけでもないけど、お菓子をあげようか」
 そう言って、千景さんは傍らのバスケットを開けました。取り出したるはカラフルなカップケーキやチョコクッキー。とても美味しそうです。
「これって、手作りですか?」
「そうだよー」
 俺が横から尋ねると、千景さんは笑顔のままで頷きました。
「あいやー!?」
 感嘆の声をあげる笑鷹さん。目が輝いています。
「どれも可愛くて豪華で目移りするネ! 売りにいけないのが残念……コンコン」
 いや、咳だか鳴き声だかでごまかしても無駄ですよ。
「私もお弁当を作ってキマしたー!」
 と、元気な声が背後から聞こえてきました。
 振り返った俺の目に入ったのは、ミレナリィドールのリヴェンティアさん。千景さんと同様、にこにこと笑っています。
「もちロン、手作りですよ!」
 それを聞いて、一同は拍手喝采。
 いや、『一同』っていうのは俺たちのことじゃなくて、リヴェンティアさんの周囲にいる小さな動物たちのことですけどね。ハムスターとかチンチラとかハリネズミとかフェレットとか。どれも俺のミミックとはまた違う可愛さがあります(そもそも、俺のミミックに可愛さがあるのか? ……という疑問はスルーしましょう)。
 その可愛い集団の中で一際目立っているのは、緑の珠をつけた白いハムスター。いや、ハムスターを模した自律型ガジェットでしょうか。何故に目立っているのかというと、『本日の主役』と記された襷をかけているからです。
「さあ、召し上ガレー」
 機械仕掛けの主役くんを始めとする小さなお供たち(あるいはお友達?)にこれまた小さな弁当を配っていくリヴェンティアさん。
 俺たちもコンビニのお菓子をいただきましょうか。

●烏丸・千景(陽炎の果て・f11414)
「うーん! 好吃!」
 俺のお手製のカップケーキを頬張ると、笑鷹ちゃんは満足げに目を細めた。お気に召したようでなにより。こんだけ美味しく食べてくれる子がいれば、作りがいもあるってもんだ。
「それにしても、夜桜も雪柳も幽霊みたいに綺麗ネー。ついつい神サマが復活しようとするのも納得ヨ」
 舌でカップケーキを味わいつつ、目で花々を愛でる笑鷹ちゃん。
「うん。神様っていうのもちょっとばかし、そんな気になったのかもねぇ」
 実に立派な夜桜だ。普通なら、夜の街の喧噪や俺たちが騒ぐ声なんかで風情が台無しになるところだろう。でも、この三本の桜は何事にも毒されず、侵されず、悠然と立っている。笑鷹ちゃんは幽霊に例えたが、実は彼ら(彼女ら?)こそが神様なのかもしれないねぇ。
「折角だから、拝んでおくヨ。儲かりますヨウに!」
 笑鷹ちゃん、夜桜に向かって手を合わせてるよ。御利益はあるかなぁ?
 さて、花ばっかり見てないで、俺もなにか食べようかな。自前のやつも良いが、コンビニのお菓子も良いねぇ。いっぱいあるけど、どれにしようか。
「唐揚げ、いかがですかー?」
 と、冬青ちゃんが唐揚げを勧めてきた。
「三種類のフレーバーがあったので、ぜんぶ買ってきたんですよ。柚子胡椒味と、カレー味と……じゃじゃーん! 深川めし味でーす!」
「ふ、深川めし味?」
「はい。唐揚げに深川めし風の味付けをするなんて、意味が判らないですよねー。でも、判らなさすぎて、逆に気になりませんか?」
「まあ、気にならないこともないけど……」
 俺は深川めし味の唐揚げを手に取り、おっかなびっくり囓ってみた。チキンの食感とシーフードの風味が口の中で握手。うーん、悪くないんだけど――
「――無性にご飯が欲しくなるね」
「だったら、おにぎりをドウゾなのです!」
 リヴェンティアが大きな重箱を開いてみせた。
「動物たちダケじゃなくて、人間用のお弁当も作って来たでスよ。皆さんにも食べてほしい気持ち」
 重箱の中にはおにぎりの他にも卵焼きや唐揚げ(さすがにこれは深川めし味じゃないよね?)が詰まっていた。
「こりゃいいねぇ。いただこう。笑鷹ちゃんもどうだい?」
「……」
 返事はなし。
 それもそのはず。笑鷹ちゃんは狐に変身して体を丸め、寝息を立てていた。戦いの疲れが一気に来たのかな?

●リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)
「うんうん。卵焼きも唐揚げも美味しいよ」
 やったー。千景さんに誉めていただきマシた。
「俺も摘んでいいかな?」
 あら? 嵐さんにも興味を持ッテもらえた様子。
「どうぞどうぞ。さっきも言いまシタが、皆さんに食べてほしい気持ち!」
 他の方々にもお弁当を勧めて回る私デス。
 即席のお花見会場を一周して(重箱は空になりました! 大好評!)帰ってくると、今度は千景さんがお菓子を勧めてくれました。
「よかったら、俺のカップケーキもどうぞ」
「アリガトです!」
 受け取ったカップは二つ。一つは私用。もう一つは『動物の森精鋭部隊(仮)』用。
 後のほうのカップをシートに置くと、本日の主役であるところのハムスター(型ガジェット)のきょんちゃんを始めとする『動物の森精鋭部隊(仮)』の面々が群ガッテきました。皆、小さな顔をクリームまみれにして、美味しそうに食べテます。ただし、ハリネズミの由希くんを覗く。由希くんはツンデレ気質なので、美味しいものを食べた喜びを素直に表現しないのデス。
「甘いのに飽きた人はいないか? チーズもあるよ」
 千景さん、本当に気が利きますネ。私も見習いたい気持ち。
「もらおうかな」
 チーズを受け取る嵐さん。包装袋を破りながら、近くに座っていた修介さんに目を向けマス。
「アンタ、さっきからお茶ばっかりちびちび飲んでるな。未成年がいるってんで、拓哉は酒を買ってこなかったけどよ。もし、どうしても飲みたいんだったら、未成年の俺たちに遠慮しなくてもいいんだぜ」
「いや、遠慮とかじゃないんですよ」
 修介さんは照れたように笑いました。
「俺、下戸なんです」

●セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)……の別人格のゼロ
「『夜桜』という言葉の響きだけでテンションがちょっと上がりますね!」
 菓子を口に運ぶ手を休めて、拓哉が桜の木を見上げた。
「うん」
 嵐も同じように桜の木に沿って視線を上下に動かした。そして、じっくり眺めた後、体の向きを変え、公園を囲む雪柳をぐるりと見回しながら、しみじみと言った。
「よーく見て、記憶にとどめておこう。桜も雪柳もこの時期限定だからな」
「うんうん。限定というのは良いものだよねぇ」
 嵐の言葉に頷きながら、セツナも花を観賞してる……が、菓子もしっかり食ってる。ちなみにこいつがコンビニで買ってきた菓子は季節限定や地域限定のやつばっかりだ。企業の戦略に乗せられやがって。我が分身ながら、情けないぜ。
「おまえ、食ってばっかりじゃねえか。これが花見だって判ってるか?」
 と、オレが問いかけた相手は情けない分身じゃない。数箱目の『タケノコのナントカ』とやらを空っぽにした冬青だ。
「ちゃんと花も見てますよー」
 と、冬青が言った。新しい箱を開けながら。
「花はいつだって綺麗です。でも、私は基本的に花より団子派なので!」
 おや? あっちにも花より団子派がいるな。涎を垂らして、オレたちをじっと見つめているケットシー。そう、グリモア猟兵のJJだ。
「なんだよ、JJ? その物欲しそうな目は?」
 JJの視線に気付き、呆れ顔をつくる嵐。
 一方、拓哉は――
「JJさんが来るだろうと思って、これを買っておきましたよ」
 ――サバ缶を置いた。
「やったー! サンキュー!」
 猛スピードでサバ缶に飛びつくJJ。猫まっしぐらだな。
「花見団子はいかがかな?」
 缶を開けるのにてこずってる(猫の手では開けにくいらしい)JJにセツナが団子を差し出した。どいつもこいつも甘やかしすぎだぜ。それにしても、でかい団子だな。一粒が拳くらいの大きさがあるぞ。
「ふふふ。すごいボリュームだろ?」
 微笑むセツナの前でJJは拳サイズの団子をためらうことなく口に突っ込んだ。
「はふぉふぁふぁふへほぉー!」
「『顎がはずれそう』だそうです」
 団子を口に入れたままの状態で叫ぶJJと、その奇声を通訳する冬青。よく聞き取れたな。
 やがて、JJは団子をすべて胃袋に納め、悪戦苦闘の末にこじ開けたサバ缶にも後を追わせた。
 だが、まだ食い足りないらしく、口の辺りに指をあて、周囲をきょろきょろと見回している。
「しょうがないなぁ。これをやるよ、JJ」
 嵐がニヤリと笑い、JJに三つのガムを差し出した。
「このうちの一つはチョー酸っぱいガムなんだ。さあ、どれか一つ選びな。三つともってのはナシだぞ」
「楽勝、楽勝! 俺ァ、めちゃくちゃクジ運が良いんだぜぇ!」
 JJは余裕の表情でガムを選び取り、それを口に放り込んだ。
 次の瞬間――
「ちゅっぴゃあーっ!? ちゅぱぱぁぴゅりぴゅりちゅぴゅうっぅぅ!」
 ――目ン玉をひん剥いて飛び上がった。
「『酸っぱー。舌がピリピリするう』だそうです」
 いちいち通訳しなくていいよ、冬青。

●上野・修介(元フリーター、今は猟兵・f13887)
 午前四時を少し過ぎた頃、深夜の花見はお開きとなった。べつに誰かが終了を宣言したわけじゃない。自然な流れでそうなっただけだ。
「私、お料理だけじゃなくて、お掃除もけっこう得意なのデス!」
 リヴェンティアさんがてきぱきと後片付けを始めた。小さな動物たちと一緒に。『本日の主役』の襷をかけたハムスターはとくに張り切っているようだ。さすが、主役だな。
 掃除が得意と言うだけあって、リヴェンティアさんの働き振りはたいしたもので――
「ハイ、綺麗さっぱりとした気持ち!」
 ――あれよあれよという間に片付けを終えた。手伝いを申し出る暇もない。
 こうして、皆は解散……するかと思いきや、何人かは公園に残った。
 余韻に浸っている者もいれば、眠っている者もいる。
 俺は前者だ。もっとも、花見の余韻ではなく、戦いの余韻だが。
 少しばかり距離を置いて三本の桜を眺めながら、今回の戦いを振り返る。何時間も前に終わった戦い。だが、戦いの終わりはすべての終わりではなく、区切りに過ぎない。
 すぐにまた始まるのだから。
 どこかの世界で。
 次の戦いが。
「おーい」
 過去の戦いを振り返りつつ、未来の戦いに思いを馳せていた俺だが、間延びした声によって現在に引き戻された。
 声の主は千景さん。足下で眠っている狐――笑鷹さんに呼びかけている。
「こんこん。おねむだったら、乗っかって帰る?」
「ぐぅ……」
 優しさたっぷりの提案に笑鷹さんは鼾で答えた。本当に寝ているようにも見えるし、狸寝入り(狐だけど)しているようにも見える。でも、千景さんはべつにそれを追究するつもりはないらしく、笑鷹さんを抱き上げた。
「襟巻きにしちゃえば、あったかいかもねぇ」
 その言葉の通り、千景さんは首に巻くような形で笑鷹さんを肩に乗せて、のんびりとした足取りで立ち去った。

 さて、俺も帰るか。
 次の戦いの前に一眠りだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月26日


挿絵イラスト