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闇の救済者戦争⑪〜この一刃に運命を

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争

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●剣士、一人
 闘技場に、風が吹く。
 観客席を埋め尽くすは、闇の種族達。
 そして、フィールドに立つ闘技者が一人。全身鎧の緋色の剣士。
 まとう鎧は、屠ってきた者達の返り血を浴びた末、赤錆に覆われている。
 兜に隠され、その表情はうかがえぬ。それでもなお、誰もがこう思うだろう。
 まるで死に場所を求めているようだ、と。

●刃と刃の語らい
 闇の救済者戦争。
 ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)が、次に示した戦場は、一つの闘技場だった。
「グラディウス・アリーナ。ダークセイヴァー第三層、無数の剣が自生する草原の、遥か上方に建造された場所でございます」
 このアリーナは本来、魂人の奴隷同士、もしくは、奴隷と凶悪な魔獣を戦わせる興行の場だったらしい。
 他にも、なにがしかの罪を犯した闇の種族を痛めつけ、発狂に追い込んだ挙句、下層へ放逐する手段としても利用されていたとか。
「これから皆様を、このアリーナに転移いたします。対戦相手は、『赤錆の剣士』」
 そして戦闘開始の直前、『剣の草原』から一振りの|短剣《グラディウス》が飛来し、猟兵の手に収まるという。
 この短剣のみを用いて戦う。これが、今回の闘技のルール。
「『赤錆の剣士』もまた、同様にこのルールにのっとり、武器は同様の短剣のみ」
 武器が同じならば、勝敗を決するのは、使い手の技量、あるいは知略。
「正々堂々、剣戟戦で相手を制する。ズバッと、誇り高き勝者となってくださいませ」
 剣の心得さえも搭載されていそうな機人が、猟兵達の勝利を願った。


七尾マサムネ
 こちらは、『闇の救済者戦争』のシナリオです。
 一章のみで完結します。

●プレイングボーナス
 飛来した|短剣《グラディウス》を用いて戦う。

●赤錆の剣士
 本来は二振りの剣の使い手ですが、今回は一振りの短剣のみを武器として戦います。

 それでは、皆さまの堂々たる戦いぶりに期待しております!
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第1章 ボス戦 『赤錆の騎士』

POW   :    強撃
【瞬時に間合いを詰め、二刀の剣】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    致命へと繋がる
【剣による打ち払い】が命中した対象に対し、高威力高命中の【刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    切り裂き詰める
対象のユーベルコードに対し【超常すら切り裂く斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:善知鳥アスカ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィーナ・ステラガーデンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャオ・フィルナート
短剣なら、いつも使ってるし…
ただ、まぁ…折角だから、ほんとに刃物だけで戦ってあげるよ

普段使用する凍結魔力は使用せず
【集中力、気配感知】能力で相手の行動を予測、【見切り】回避しながら的確に背後や死角に入り込み
【暗殺】技術を用いた素早い身のこなしと【早業】でのなぎ払い

回避の際は互いの位置関係次第では騎士自身を踏み台に
【軽業】で体重を感じさせない事も出来るけど
体勢を崩させたい時は思い切り蹴り飛ばすつもりで

更に【封印解除−駿−】発動
寿命はどうでもいいけど…念のため自分の腕を一度斬り
攻撃、と見せかけたフェイントでまず相手のUCを引き出し回避したうえで短剣での連続攻撃

凍結使わないの…久しぶり……



 四方より、闇の者達の視線注がれるアリーナ。
 その中央へと進み出たシャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)のもとに、天よりの到来者があった。
 何食わぬ顔でシャオの手に収まったそれこそ、与えられし、そして同時に枷ともなる力。|短剣《グラディウス》。
『……汝は我を凌駕出来るか。使い慣れぬ刃を手にして』
 対戦者……『赤錆の騎士』が、シャオと全く同型の短剣を突きつける。
 哀しみに満ちた剣気が、シャオにも伝わる。
「短剣なら、いつも使ってるし……ただ、まぁ……折角だから、ほんとに刃物だけで戦ってあげるよ」
 宣言に偽りはない。普段扱う凍結魔力は、あえて封印する。
 剣の技量に関しては、相手が上だとしても。勝利してみせる。
 傷を受ける覚悟、とも、捨て鉢とも、どちらともとれる速度で、騎士が先に斬りかかった。
 得物のリーチは短い。自然と、シャオに飛び込むような形になり、一気に間合いを詰めてくる。
 シャオは、相手の刃に意識を集中させた。騎士の挙動の予測も交え、斬撃から逃れていく。
 相手が刃を繰り出した直後を狙い、素早く攻めに回ると、鎧の間隙を狙った薙ぎ払いを見舞う。
『次は此方だ』
 鎧の重さを感じさせぬ高速の斬撃が、シャオに迫る。だがシャオはコンパクトに跳び上がると、相手の肩を蹴って距離を取った。
 踏み台にされた反動で、体勢を崩す騎士へと、すかさず再接近。
 達人めいた攻防を披露するシャオと騎士。だが、観客の反応は、芳しくはない。闇の者達が望む戦いは、陰惨で、無慈悲で、残虐なものなのだろう。
 そんな彼らを満足させるためではないけれど。
 シャオは、死星眼を輝かせた。己の腕を切りつけ、代償の要求を満たすと、相手の間合いに入り込む……。
『……もらった』
 騎士が刃を振るう。闘いの終わりを惜しむように。
 その一撃が通れば、シャオとの相対は終結に向かう。勝利を確信しつつも、騎士からは、喜悦など一片も感じぬ。
 だが。
『!』
 騎士の短剣が払ったのは、虚空のみ。シャオの超速度が、敵の背後を取っていた。
 短剣による連撃が、容赦なく、騎士を切り刻んだ。
「凍結使わないの……久しぶり……」
 予測を超えた、シャオの反撃。
 にも拘わらず、何処か喜ぶような気配をもらす剣士に、シャオは思わずそう呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

嬉乃・抹茶子
 くるくる~と飛来した短剣をパシッとキャッチ。
 え~と、刃物なんて家庭科の授業ぐらいでしか使ったこと無いんですけど……。
 とりあえず、ヒーローマスクの師匠と合体して身体能力をアップ。
 合・体っ!
 それにしてもレスリング仮面と短剣って、なんだか傍から見るとコンビニ強盗みたいですね~。
 とりあえず、スカイステッパーを駆使して真正面からの打ち合いは避けておこっと。
 
 他に剣の扱いが得意そうな猟兵さんがいたら、攻めはその方にお任せして、私は出来るだけ走り回って敵を翻弄できたらいいな!
 敵の鎧は赤く錆びていますし、あんまり小回りは効かないんじゃないかな?
 隙をついてのひと刺し狙いです!

 アドリブ連携歓迎


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
なんというか、どこもかしこも面倒な上に趣味が悪いねえ。
まあ仕方ない、少しだけ付き合うとしようか。

さて、剣なんてほぼ使った事が無いけれど、まあ避ける分には問題ないね。
相手も剣一本しか使えない分普段よりはマシだろうし、
【慣応練磨】で動きを観察しながら、攻撃を見切って避けようか。
しばらく相手の動きを記憶して剣技を学習したら、
相手が間合いを詰めに踏み込んできたところにカウンターで短剣を突き刺すよ。

まったく、あたしが戦うのは見世物になるためでもなければ、
アンタに満足のいく死に方をさせるためでもないんだからさ。
あんまりこういうのに付き合わせないで欲しいんだけどねえ。



 闘技者として、バトルフィールドに進み出たペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)へと浴びせかけられたのは、どこか陰鬱な歓声だった。
 観客が求めているのは、試合ではなく、死合。
 相争う剣闘士が傷つき、苦しみ、悔恨の末に果てていく……その様を観賞する事。
「なんというか、どこもかしこも面倒な上に趣味が悪いねえ。まあ仕方ない、少しだけ付き合うとしようか」
 くるくるくる、と。
 決意に呼応するように、ペトニアロトゥシカの手元に、|短剣《グラディウス》が滑り込む。
「さて、剣なんてほぼ使った事が無いけれど」
 ペトニアロトゥシカが、得物の握り心地を確かめる横で。
 こちらも綺麗な円を描いて飛来した|短剣《グラディウス》を、嬉乃・抹茶子(至高の食を求めて・f07810)は、パシッとキャッチする。
 初めましての武器は、何処かよそよそしい感覚を伝えてくる。
「え~と、刃物なんて家庭科の授業ぐらいでしか使ったこと無いんですけど……」
『次の相手は、貴公らか』
 『赤錆の騎士』が、抹茶子と相対する。
 かつては、名のある騎士だったのであろう。騎士道に従い、抹茶子達の戦闘態勢が整うのを待ってくれているようだ。
 観客席からは、早く猟兵を血祭りにせよと野次が飛ぶ。闇の種族を喜ばせるつもりは毛頭ないが、抹茶子は、力を解放した。
「合・体っ!」
 抹茶子はポーズとともに、ヒーローマスクの師匠と、合体を遂げる。
 ……レスリング仮面と短剣って、なんだか傍から見るとコンビニ強盗みたいですね~?
 と、抹茶子は思ったが、騎士がそのたとえを理解できるとは思えなかったので、心の声にとどめておいた。
『では、参る』
 短剣を胸元で構え、挨拶とした『赤錆の騎士』が、戦端を開いた。
 強い踏み込みからの斬撃が、ペトニアロトゥシカを標的とする。だが、血しぶきを上げる運命からは逃れた。
「避ける分には問題ないね」
 この短剣、長剣のように持て余すことはないし、何より、相手も条件は同じ。本来のように二刀流も使えない以上、対戦としてはむしろ好条件ともいえる。
『真の剣士は振るう剣を選ばぬ』
 騎士が、不意に標的を変更した。
 鎧の重量など無視するかのような速力で、抹茶子に迫る。
「はっ、はやっ!」
 一拍遅れて抹茶子も地面を蹴った。そのまま空中へと逃れると、相手の初撃を回避する。
 続けざまに襲い来る剣から逃れて跳躍。フィールドを駆けて、跳んで、真正面からの打ち合いから逃れる。
『機をうかがっているのか』
 騎士が、抹茶子を臆病と罵ることはない。もっとも、観客はそうではないようだが。
 確かに、相手の俊敏さは、全身鎧を身に着けているとは思えないほどだ。だが、抹茶子は、気づいていた。
 錆びに塗れた鎧が、騎士本来の機敏な動きを妨げていることを。
 それは、僅かなラグではあるが、十全な小回りを発揮させない。一種の枷のよう。
『この場に立った以上、覚悟はあるはず。恥じぬ力を見せてみよ』
 回避に徹していたペトニアロトゥシカに、騎士が、挑発を送った。
「剣士として格上な相手に、闇雲に突っ込むような真似はしたくない、それだけだよ」
 そんなペトニアロトゥシカへ、騎士が疾走を仕掛けた。
 ユーベルコードの力を加えた、超速の斬撃へつなげるつもりだろう。だが、ペトニアロトゥシカの首を狙った騎士の一撃は、あえなく空を薙いだ。
『今のを見切るとは……!』
 【|慣応練磨《コンバット・ラーニング》】……抹茶子が敵を翻弄してくれている間に、敵の動きは学習した。相手の一挙手一投足は、見覚えた。
 狙いを外しても、技の完了までには、まだ時間が残っていた。その隙をついて、ペトニアロトゥシカが、カウンターを繰り出す。
 鎧の弱点……間隙を見抜いて、短剣を刺し込んだのである。
『ぐ、見事……!』
「まったく、あたしが戦うのは見世物になるためでもなければ、アンタに満足のいく死に方をさせるためでもないんだからさ」
 膝を屈する剣士の称賛、そして、観客席からの罵声を浴びながら、ペトニアロトゥシカは嘆息した。
「あんまりこういうのに付き合わせないで欲しいんだけどねえ」
『身勝手は承知の上。だがそれでも!』
 まだ敗北には足りぬ、というように、抹茶子へと、騎士の打ち払いが来る。だが抹茶子は、空中を蹴ってかわすと、宙返りして相手の背後へ。
『これを避けるとは。ならば』
 即座に振り返ろうとする騎士。だが、鎧の錆が、その動きを鈍らせる。そこが、抹茶子には付け入るスキとなる。
 逆転の一刺し!
 抹茶子の一撃は、鎧の守りの薄い箇所を、しっかりとらえていた。
『蝶のように舞い、蜂のように刺す。まさにこのことか……!』
 場内のブーイングをかき消すように、騎士が、抹茶子を称賛した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フォルク・リア
「使える武器は短剣だけ。
敵も条件は同じであるにしろ相手は剣士、
どう見ても不利だけど。やるしかないか。」

敵に接近される前に冥空へと至る影を使用して短剣を強化。
敵の踏み込みを含めた攻撃の間合いを【見切り】
距離を取って【残像】を発生させて敵を攪乱。
他に武器が使えない以上敵の攻撃を受ければ重傷は避けられないと
考え敵の攻撃は受け止めずに必ず回避する。
回避を優先しながら、少ない攻撃機会を活かすために敵の隙を窺い
攻撃できそうであれば一気に近づいて鎧の隙間を狙って
短剣を突き刺し、その瞬間に魔力を短剣に流し込んで強化。
一撃で致命傷とするために短剣でその傷を抉る。
「こんな趣味の悪い見世物は此処までにして貰う。」



 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、自分、そして『赤錆の剣士』に浴びせられる観客の声を疎ましく感じていた。
 応援などとは程遠い。闇の種族が発する、煽り文句の群れは、もはや呪詛と変わらぬ。
 フォルクの手には、飛来した|短剣《グラディウス》。
「使える武器は短剣だけ。条件は同じであるにしろ相手は剣士。どう見ても不利だけど。やるしかないか」
 同じく短剣を構えた『赤錆の騎士』と相対するフォルク。兜とフードで、互いのまなざしはうかがえぬ。
『問題はないか。では、参る』
 勝敗よりも、闘いそのものを求めるように。
 騎士が、フォルクに斬りかかった。しかし、その接近より早く、影が招来された。
『数に頼むつもりか』
 しかし、フォルクが呼んだ影が、戦いに加勢することはない。
 意図をつかみかねた騎士は、慎重さを含んだ太刀筋で、フォルクを攻め立てる。
 本来より狭まった相手の間合いを見切り、回避するフォルク。窮地に陥るのは歓迎だが、いい一撃をもらってしまえば、逆転の芽もなくなってしまう。
 技量に勝る相手の刃を受ける事は、ぜひとも避けたかった。
『我の体力の消耗を待つ策か。だがそうはいかない』
 フォルクの残像を薙ぎ払いながら、騎士が前進する。
 かく乱に対しても冷静に対処する辺り、歴戦を感じさせる。
 常人ならば、そんな集中力の持続にも、限界がある。だが、オブリビオンへ堕ちた騎士は、そうしたものとは無縁にみえる。
 だとしても、意志があるのなら、そこに必ず油断は生じる。
 予想通り、次第に焦れた騎士は、一撃での決着を狙っているようだ。しかし、万全の態勢を整えようとするあまり、フォルクへの攻撃の手が緩む。
 その瞬間を、フォルクは待っていた。
 相手へと突撃する。狙いは、重厚なる鎧の隙間。
 控えし影の役目は、冥界の門。異界より流入した魔力が、短剣を魔剣へと昇華する。刃を高みへ導いたのは、ほかならぬ騎士自体の奮戦。
『ぐ』
 手応えあり。
 つかんだ絶好の機会、それを致命へと導くために、相手の傷をありったけの力で抉る。
『一太刀で終わらせるつもりが、我自身が返り討ちに遭おうとは……』
「慢心があったのだろう。ともあれ、こんな趣味の悪い見世物は此処までにして貰う」
 騎士から短剣を抜きながら、フォルクは、言葉の刃を投じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

仰木・弥鶴
俺は戦いの際にどのUCを使うか結構悩む方なんだけど
今回はこれ一択だな、と

飛来したグラディウスの攻撃力と装甲を強化するためにUC
【蟲使い】で体内から呼び出した白燐蟲を盾のような羽状に纏わせて敵の攻撃を【受け流す】際の緩衝材に
普段使っている解体ナイフより随分と重くて勝手が違う分、蟲たちに助けてもらいたいね

相手は斬撃でこちらのユーベルコードの相殺を試みるだろうが
成功率という言い方をするなら必ず相殺できるわけではないはず
相手の喉元を確実に突き刺すため、相殺しきれないくらい膨大な量の白燐蟲を総動員して速攻勝負

何度も手の内を見せるつもりはないんだ
逆手に持ったグラディウスの柄に左手を添え、深々と刃を押し込む



 闇黒のバトルフィールドへと入場した仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)の頭上で、鈍い光が閃いた。
 光……|短剣《グラディウス》は、主を見つけるなり、弥鶴の手元に滑り込む。
 多分使っている解体ナイフとは、全く異なる手触りと重みだ。勝手が違う。
『用意は良いか』
 今回の対戦相手……『赤錆の騎士』が、弥鶴に問う。その手にも、同様の短剣が握られている。
 愛剣ではない。この短時間で、使い込んだ愛剣のようになっている辺り、優れた剣士は使う剣を択ばないものらしい。
 だが、弥鶴とて、この場に立った以上、覚悟と勝算は人並に持ち合わせている。
「用意なら、出来てるよ」
 戦いの際、弥鶴は、どのユーベルコードを使うか結構悩む方だ。だが、今回はこれ一択だな、と即断していた。
 意識を集中させる。体内から呼び出された白燐蟲が、弥鶴へと纏われる。短剣をより研ぎ澄まし、あるいは装甲を形成して加護となる。
 武器の違いは、蟲達の助けでカバーする。油断はない。
『ユーベルコード……貴公の真骨頂か。であっても、我が剣にて断ち切ってみせよう』
 渾身。
 短剣から繰り出された騎士の斬撃が、弥鶴に迫る。
 たとえ借り物の刃であっても、騎士の振るう剣。ユーベルコードで研ぎ澄まされた刃を浴びれば、弥鶴を守る白燐蟲達とて、一瞬にして無効化されてしまうだろう。
 だが、確定、ではないはず。
 弥鶴は、攻撃を打ち破るため、守りではなく、むしろ攻撃へと転じた。
更にあふれ出す、白の群れ。
 相手の超絶の斬撃を以てしても振り払えぬほど、大量の白燐蟲が、弥鶴へと結集する。
 長期戦になれば、相手の刃は、一層力を増す。だが。
「何度も手の内を見せるつもりはないんだ」
 ゆえに、弥鶴が選ぶは、速攻勝負。
 こちらに飛び込んできた騎士を阻んだのは、白燐蟲達の重奏。盾の如き、羽状の守り。
 緩衝材とした蟲達の間隙を縫って、弥鶴は、短剣を突き出す。
 蟲達によって視界を乱された騎士が、それを看破する事は、叶わなかった。
『ぐ……!』
 逆手に持ったグラディウスの柄に左手を添え、深々と刃を押し込む。
 弥鶴の一刃は、相手の喉元を、確実に突き刺していた。
『み、見事……!』
 傷口を押さえながら、騎士が、弥鶴を称える言葉を絞り出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴北・誉人
なんにせよ
反吐が出ンだよ
命を命と思わねえ
どうやったらそこまで非道になれンのかわかんねえ
理解の外だ

つっても分かり合おうなんて思わねえ
死に場所がねえンならココで斃れろ

相手してやっからァ
終わっちまえ!

俺も剣の覚えはある
普段振ってる太刀じゃねえけど
やることは変わらねえ
短剣を握って一振り
具合を確かめる

瞬時に距離を詰めてくるところに相打ちの覚悟を決めて、真っ直ぐにUCを放つ
敵の間合いに踏み込まねえように…ンな悠長なことは言ってらンねえだろォから
できる限り躱すことに専念すっけど
気合いれて短剣で弾き受け流す

この場限りの短剣だから毀れても惜しくねえ
短剣が折れようが刺突で鎧を砕き、そのまま力に任せて斬り込んでやる



 他者の命を、遊戯の駒として。
 安全圏から死合を愉しむ観客達を、鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)は一瞥した。
「反吐が出ンだよ」
 誉人の鋭いまなざし。今にも観客席に飛び込んでいくのではないか、と思わせるほどの憎悪が滲む。
「命を命と思わねえ。どうやったらそこまで非道になれンのかわかんねえ。理解の外だ」
 そして誉人の視線が、目の前の相手に突き刺さる。
『赤錆の騎士』。ヴァンパイアと成れ果て、奪った命で鎧を飾る者。
「分かり合おうなんて思わねえ。死に場所がねえンならココで斃れろ」
『それを、期待している』
 騎士の口調は、低温かつ、静か。これが、鎧が錆びるまで相手を斬り殺してきた者の境地……否、末路か。
「あァそうかい。なら、相手してやっからァ……終わっちまえ!」
 飛来した|短剣《グラディウス》を、ノールックで掴む誉人。
 ほぼ同時に、騎士の手元にも、刃が握られる。
 誉人にも、剣の覚えはある。普段振るう太刀ではないが、やることそのものに変わりはない。
 誉人は、握った短剣を軽く一振り。具合を確かめる。
「自分で飛んできたわりにゃあ不愛想だな」
 誉人は苦笑した。手に馴染まぬのも織り込み済み。
 対する騎士もまた、その技に乱れはなかった
 踏み込む。本来、二撃のはずが、一撃に減じている。だが、その分、速く、鋭い。
 何よりも、迸る強い剣気が、こちらを威圧する。誉人は、相打ちの覚悟を決め、自らも技を……ユーベルコードを放った。
 敵の間合いに踏み込まないように。などど、悠長なことは言ってられないと承知している。
 躱す、ただそれだけに専念する。
「……ッ!」
 見切った。
 ありったけの気合をこめて、短剣で相手の刃を弾き、受け流す。この場限りの武器。折れようが惜しくはない。
 刃同士が火花を散らす。交錯を経て、前に進んだのは、誉人の刃。届いた刺突が、錆びた鎧を穿つ。
 鎧の破片が顔を打つのも厭わず、誉人は、そのままの勢いで、斬り込んだ。
 手ごたえが来る。同時に、役目を終えた短剣が、刃を折る。
『敗北を与えてくれた事、感謝、する……!』
「別にお前の為じゃねぇし」
 会場に響く、狂える歓喜と罵声をよそに。
 塵芥となって消えゆく騎士を、誉人は、素っ気ない言葉で送り出したのだった。骸の海へと。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月10日


挿絵イラスト