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闇の救済者戦争③〜永劫の苦痛は蜜の味

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争

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●眠りは遮られ
 人は、その時を迎え、生を終えると、埋葬される。それは土に還り、眠り、永遠の安らぎを得る眠りの為に。

 魂人は、眠る。しかし、それは土に還り、永遠の安らぎを得る眠りではない。

 戦いに敗れ、重傷を負った魂人達が埋葬される。それは……闇の種族による慈悲でも、親切心でもない。そのようなものは欠片もない。
 魂人は「永劫回帰」によって死ねない。ならば、埋葬されれば、生き埋めということになる。
 生き埋め。それは、彼らに永遠の苦痛を与える檻の名前。

●喰らうは運命
 魂人達が生き埋めにされている墓場で、声がする。それは、魂人の哀しみの声を掻き消す遠吠え。
「――!!」
 歓喜にも似た、高く、空気を震わせるだけの音は、表現しようがない。振動音。
「やっと……やっと、外に!」
 幾度の苦痛を乗り越え、土を掻き分けて出てきた魂人が、土から顔を出す。
「ひっ……!」
 しかし、その前には狼のような、黒犬。
 墓守の黒犬か。いいや、それは、茨のような多数の尻尾を歓喜に震わせ、待ちわびたとばかりに開く口から見える青緑の舌は長く長く、タールのような涎を纏わせる。
「――!」
 お前の強い強い想い、繰り返された苦痛、増幅された執着は、美味しい餌だ、と。脳に響くように、聞こえていないのに、聞こえる。
 魂人の顔が絶望の色に染まる。獣の複数の目がにたりと笑う。
 あぁ、魂人の喉に牙が突き立てられる。抗う統べなどないのだと。
 墓場に肉を喰らう音だけが木霊する……。

●グリモアベースにて
「う……っ。」
 フルール・ラファラン(妖精の愛し仔・f00467)が、苦しそうに悲しそうに、口元に手を当てる。
「ごめんなさい。大丈夫なのよ。今見たものがとても……とても悲しかったから。皆に救って欲しいのよ。」
 場所は、ダークセイヴァー第三層にある魂人の墓場。そこには、戦いに敗れ重傷を負った魂人達が埋葬されているという。
「でも、それは、埋葬なんかじゃないの。永劫回帰で死ねない魂人にとっては生き埋め。そして、その魂人の苦痛に惹かれてやってきた怪物がいるの。」
 『運命を喰らう獣』。それが怪物の名前のようだ。
「その獣は、繰り返す死によって苦痛を重ねた魂人の肉を好むの。……とても、むごいのよ。」
 墓場にはその獣がうろついているとのこと。例え生き埋めにあった魂人を救出したとしても、たちまちに獣に食い尽くされてしまうだろう。
「『運命を喰らう獣』を先に倒すことが、魂人さん達を助ける第一歩になるの。獣は『強い想いや苦しみを抱えた者を感じ取り、その肉を執拗に狙う』って習性があるのよ。」
 うまく利用すれば、戦況を有利に進めることができるかもしれない。
「皆、お願い。魂人さん達を救ってあげて。その為に、『運命を喰らう獣』を倒して欲しいの。」
 フルールの両手の上のグリモアが光を強めて、皆を送り出す準備を始めた。


ありす
 こんにちは、または初めまして。マスターのありすです。
 お久しぶりではありますが、戦争依頼、頑張ってみたいと思います!

 今回のシナリオは【闇の救済者戦争】の【③魂人の墓場】のものになります。
 敵は『運命を喰らう獣』になります。プレイングボーナスがありますので、ご注意ください。

 ・プレイングボーナス:運命を喰らう獣の習性を利用して戦う。

 敵の攻撃を見て、上手く行動をしてみてください。辛い想い、抱えていませんか。それが、何かキーカードになるかもしれません。吐き出して、そして、希望に変えてみてください。

●執筆タイミング
 プレイングが送られ次第、書けそうなタイミングを見て随時書いていこうと思います。
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第1章 ボス戦 『運命を喰らう獣』

POW   :    影牢
【闇の中】から【漆黒の自分の分身】を召喚する。[漆黒の自分の分身]に触れた対象は、過去の【苦痛の記憶とその時の感情】をレベル倍に増幅される。
SPD   :    奪い喰らい尽くす
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【過去を思い出す力を】、否定したら【幸福な思い出を】、理解不能なら【正常な思考力と理性】を奪う。
WIZ   :    ファンタム・リム
対象に【大切な相手が死に逝く姿】の幻影を纏わせる。対象を見て【恐怖や哀しみ等、マイナスの感情】を感じた者は、克服するまでユーベルコード使用不可。

イラスト:ナフソール

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は塔・イフです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●運命を喰らう獣
 墓守の黒犬……否。墓荒らしの黒犬が墓地を徘徊する。
 時折、足を止めては、茨のような見た目の複数の尾を揺らし、苦痛に呻く魂人の、帰りたいと願う強い想いを、感じとり、そうして舌なめずりをする。不気味な青緑色の長い長い舌は、美味しい美味しいご飯を目の前にして、待ち切れないというばかりにタールのような唾液を纏わせ、滴らせている。
サク・ベルンカステル
「罪なき魂人を生き埋めにし苦痛を喰らう獣か、、、強き負の想いを喰らうというのであれば我が復讐の念を嗅ぎ付けるだろう」
自身に起こった過去の惨劇を思いだし復讐の誓いを新たに固め己を囮とし獣を誘き出す

不意に闇の中から現れた漆黒の自分の分身に阻まれ忘れがたき過去の苦痛の記憶とその時の感情を増幅される

だがいつ如何なる時も片時も忘れることなどなかった過去の惨劇を上位存在への復讐の原動力としているサクには心を抉り耐え難い痛みに折れはしない
尽きることのない怒りと悲しみ、それを敵に向ける術は持ち合わせている。
かつてない復讐の意思を込めて自身の分身と運命を喰らう獣目掛けてUC概念斬断(POW)と技能切断を使用する


尾守・夜野
…強い思い…ね
なら囮になれるかもしれん

まぁ…ずっと俺だけ助かったことを後悔してるし
だからといって自死なんてこたぁ皆の死が無駄になるしで死ぬこともかなわん

ずっとそんなもんなんでよってくるんでねぇの?
分身は避ける
無理なら黒纏で遠くで動きを止める

それでもUCが効くなら多分仇共に村焼かれて四肢縫い留められたまま眼の前で皆が焼かれてくところ見せつけられた時の記憶と感情が来るんだろうな

ま、来るとしてもそれは俺の感情であり俺等の感情ではない
動けなくなった俺がいたら別人格に交代して動き続ける

でUC発動



●カゲロウ
「……強い思い……ね。なら囮になれるかもしれん。」
 生き埋めにされた魂人と、運命を喰らう獣のみがいる墓地に猟兵は降り立つ。不気味に吹く風に、夜の闇に溶けそうな黒髪を持つ尾守・夜野(|墓守《うせものさがし》・f05352)の呟きは風に掻き消える。その風に、更に月光に照らされたような銀色の髪が靡く。
「罪なき魂人を生き埋めにし苦痛を喰らう獣か……。」
 サク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし者・f40103)が呟く。フッと、瞳を一度閉じ、そうして開いてぎらついた緑色を墓地へと向ける。
「強き負の想いを喰らうというのであれば、我が復讐の念を嗅ぎつけるだろう。」
 そう言葉にすると、何処からか現れたのだろうか。サクがもう一人、サク自身の目の前に現れる。不意に闇の中から現れたもう一人のサクは、一瞬の間に距離を詰める。サクが構えた黒剣『漆黒ノ魂滅』を翻し、彼の肩に食らいつくように痛みを残す。
 また、夜野の前にも、もう一人の夜野が現れる。
「まぁ……ずっと俺だけ助かったことを後悔してるし。」
 運命を喰らう獣の攻撃で現れただろう漆黒のもう一人の夜野に、夜野は地を蹴り駆けだし、分身の接近よりも早く動く。最初は分身を避けつもりで動き出したが、分身もまた同じように早く動き出す。避けられない。
 ならば、と。夜野は自身から、もう一人の夜野に触れる。

 あれは、いつだろう。この時よりももっと前の時間。
「貴方は……生き、のび、て。」
 冷たくなっていく女性を抱きしめる様に抱えて、冷たくなる手を握るサク。
 将来を誓い、共に生きようと願い誓った、たった一人の幼馴染。押さえても、押さえても止まらない傷口からの出血。それを止めるように、サクの手に手を重ねた彼女の手の熱はなく。小さく呟くその唇にも色はなく。
周囲は燃え崩れ落ちる家や商店といった建物と、既に事切れた人々の体が投げ出されている。
 俺だけが、残された。家族、友達、そうして大事な幼馴染。誰もいなくなり、そうして、自分は人間ですらなくなって。独りぼっちで、何も持たなくなり、何を信じていいのか。痛む心を、闇だけが優しく包み込む、静寂。
「お前は、一人だ。誰も、何も残っていない。憐れだな。」
 サクの声が囁く。痛い。冷たい。誰もいない寂しさ。異端になった自身の存在意義。哀しみ。悲しみ。

 あれは記憶がなく、ただあてもなく、探す記憶の手がかりもなく彷徨っていた頃。UDCアースの農村に受け入れられた。あそこは、温かく、家族というものを記憶していない夜野にも、これが家族の温かさなのか、と伝わるくらいの。居心地がとてもよかった。共に働き、共に食事をし、共に生活をしていて。
 そうして、彼だけが残された。
 狂信者たちの神に生贄にされた家族同然の村の皆。四肢を縫い留められた夜野は叫ぶ。
「やめろ!やめてくれ……!!」
 村の家々は焼かれ、火の海となった村の中心で、更に高々と燃える炎に、泣き虫なあの子、優しくしてくれておばさん、いつも叱りそして諭してくれたおじさん……次々と投げ込まれ、断末魔が響く。夜野の悲痛の叫びは、村人の断末魔に消える。
「村の皆は、お前の代わりに贄になったんだよ。」
 もう一人の夜野が言う。
 大事なものが消えるのを見せつけられ、そうして残ったものは、自分だけ……。

「だが……それを俺は、忘れなかった。忘れるわけがないだろう。」
「だからと言って、自死なんてこたぁ……皆の死が無駄になる。」
 サク自身が、黒剣を大きく振る。と、もう一人のサクが二つに分断され、掻き消える。
「ただ触れられたとでも?もう遅いんだよ!」
 夜野が発動させたユーベルコード|専【呪亡】衛《センシュボウエイ》が発動する。夜野の分身が、既に受けていた遅延・蓄積式の呪詛毒で、内部破壊を起こし、融け消える。
「痛みは、俺の、復讐の原動力だ!」
 サクは、再び現れた自身の分身を、ユーベルコード|概念斬断《ガイネンザンダン》で切り刻む。
「あいつは言ったんだ。“生きろ”と。」
 そして、貴方の歌を歌ってと。いつ如何なる時も、片時も忘れなかった惨劇。それは同時に上位存在への復讐の原動力として、尽きることのない怒りと悲しみ。そうして、それを敵に向ける術は身につけている。
「俺は……私は、ここで死ぬわけにはいかないのよ。だって、皆の分も生きないと割に合わないのよ。」
 夜野のもう一つの人格も表出する。動けなくなった人格がいれば、また別の人格が現れて、次々に分身を内部から破壊していく。
「……!!」
 分身を掻き消された運命を喰らう獣が明らかな動揺を見せる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ゾーヤ・ヴィルコラカ
 なんて、なんてひどいところなの。魂人さんを、あんな風に埋めてしまうなんて。早く獣さんを何とかしなきゃ。ひとりでも多く助けるためにわたしはここに来たんだもの!

 恐れる心を奮い立たせて獣さんに立ち向かうわ。飛び掛かってくる分身を〈武器受け〉で受け止めるわ。心に湧き上がるのは故郷を失ったあの日の記憶、何もできなかった無力感。思わず倒れそうになるのを〈気合い〉で耐えて、〈勇気〉を振り絞って【UC:絶凍領域】(POW)を発動。狙ってる余裕なんてないから、吸収した魔力で氷の〈属性攻撃〉を〈乱れ撃ち〉よ。

 違う、わたしはあの頃とは違うの! そこを退いて頂戴、咎人さん達!

(アドリブ負傷等々大歓迎です)



●唯一の
 万年雪と夜と、そして深い絶望に覆われたダークセイヴァーの村。そこで、ゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は唯一の希望として、綿で優しく包み込むように、大事に大事に、万年雪に凍えない様に温かく育てられた。
 暗黒の世界で唯一の聖なる存在として、時に崇められ、時に隣人として、時に友として、皆と接し、育まれ……。
 そうして、それは、一人の領主によって蹂躙され、掻き消され、痛みに変わった。
「ごめんね……ごめんなさい……。ゾーヤ、何も、できなかった。」
「そう、貴方は何もできなかった。何もできない。」

 墓地に降り立ち、運命を喰らう獣に相対したゾーヤは、重量のある片手半剣、守護の長剣を手に叫ぶように言う。
「なんて、なんてひどいところなの!」
 魂人を生き埋めにし、更に苦しみを増すこの墓地。早く運命を喰らう獣を何とかしなければと焦る。一人でも多く助ける為に、早く、と。
「……ぁ!?」
 氷の属性攻撃を乱れ撃ちで、次々と運命を喰らう獣が出現させる分身を消していたが、不意を突かれて、背中に触れられる。

 そうして、感じたのは、あの時の無力さ。大切にしてくれた人たちに、何も返すことが出来なかったあの頃の自分。期待されていただろう。慕われて信頼されていたのに。何もできなくて、皆滅ぼされてしまったあの時と、その無力感。
 思わず、その内側からの痛みに倒れそうになる。あぁ、ゾーヤは……。

「違う……違う!わたしは、あの頃とは違うの!」
 ガンっと剣を地面に突き立て、吹雪の結界を展開する。|絶凍領域《スノーストーム・テリトリー》。吹き荒れる冷たい雪が、触れた分身を次々に消し、吸収した魔力は更に氷を呼び。
「そこを退いて頂戴!」
 分身の向こうにいた運命を喰らう獣の足元が、徐々に凍り付いていく。その不気味な色の肌を、氷が引き裂いていく。
「――!!」
 痛みによって、喰らおうとした強い負の想いに伸ばした舌を慌てて引き戻す獣。傷つきながらも、獣は距離を取ろうと、必死に傷を作りながらも動く。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
【花蟻】
大切な相手が死に逝く姿、それを前に膝を付き胸を掻きむしる。
ああ、ああ、私がこの手で討った吸血姫、恋人にして親友だった異母姉の|『あの子』《アリス・ロックハーツ》(装備アイテム参照)の姿。
獣がこの身に牙を突き立てる。だが、そんなことはどうでもいい。だって『あの子』は、『あの子』と私は……ふたりでひとりになったのだから♪だめよ、拾い食いしたら、私“達”は|寄生種《サイキックヴァンパイア》。細胞の一片でも取り込んだら|内側から乗っとるわよ《化術肉体改造降霊》❤
澪さんは大丈夫そうね。
多重詠唱結界術で澪さんをかばいつつ|エナジードレイン《大食い、魔力吸収》で獣をまとめて喰らうわ。

ええ、大丈夫よ


栗花落・澪
【花蟻】
自身に【オーラ防御】を纏い
翼の【空中戦】で適度な距離を保ち

相手が獣なら
鼓膜に直接【催眠術】の魔力を叩きつけるように【歌唱】
思考力、視野を狭めて隙を作りやすく

恋人であり、僕を檻から救ってくれた恩人の死
僕が愛する事、愛される事…
怖かったそれらを、少しでも受け入れるきっかけをくれた人

ずっと置いていかれるのが
捨てられるのが怖かった

でも…もう覚悟は出来てる
人間だもの、いつかは死ぬのは当たり前
その時側にいれたら嬉しいけど
なんなら僕が狂ったら殺してって
逆の時は僕も殺すから、って…約束した仲だよ
だから、大丈夫

UC:浄化と祝福発動
【破魔】を乗せた火の鳥による【浄化】と燃焼の一斉攻撃

アリスさん大丈夫…!?


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:白雪林

酷い話です。…ええ、助くためにも、早く片付けねば
『我ら』は悪霊。その暗い念は尽きることを知らず。囮になりましょう

触れられぬように、氷雪+破魔属性の矢を射かけていきましょう
触れられたのならば…思い出すは8/25の光景。夕暮れ、私以外がオブリビオンに腸食われ死に絶えた故郷…まあ、その後に私も同じく死にましたけど
(唯一生き残る可能性のあった人)

ええ、増幅されたから、何だというのですか。四人を一人に束ねるきっかけなのですよ?
むしろ、それは『我ら』にとって糧なれば
UCを使用し、攻撃を苛烈にしていきましょう


メアリー・ベスレム
ああ、なんて悪趣味なのかしら!
その光景に、悲しむどころか笑ってみせる

だけれど敵の分身に触れてしまい
増幅された痛みには【激痛耐性】耐えるけど
表情変えて、想いに思わず蹲る

人狼としてた囚われた過去
アリスとして弄ばれた過去
猟兵として傷を負った過去
メアリの過去は苦痛だらけ
そのすべての感情を増幅されたら
戦ってなんていられない!

……そういう【演技】をしてあげる
その様子を「美味しそう」と思い
まんまと喰らい付いて来たのなら
【騙し討ち】の【狼殺し】!

メアリが抱いた強い感情……
それは悲しみや救いを求める想いなんかじゃないわ
苦痛を与えた者への復讐心!
ええ、メアリにとっても苦痛は蜜の味
その先の復讐が、だけれど!


把繰理乃・えんら
強い苦しみということでしたら囮になれます
バグの集合体であるこの身は常に世界の全てから拒絶されていますので
こんな私でも人を救えるなら戦います、あの時お嬢様がそうしてくださったように!

あちらのUC、何か要求してきているようですが私には獣の言葉は分かりかねます
それにバグに正常な思考や理性などあるとお思いですか?
落ち着いて狂気耐性により対処、思考を整えてUCを使用します

さて……最早あちらは満足に動けないところでしょう
普段でしたら距離を取って銃撃ですが今回はバグルケインを構えて泳ぐようにダッシュ、鎧無視の貫通突きを行い更にそのまま生命力を吸収します
この無限のバグの海で、食われる側の気分を味わってください



●花蟻
「――!!!」
 運命を喰らう獣が吠えると、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)と栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の周囲を霧のような靄が包み込む。
「あぁぁ……っ!!」
 その幻影に魅せられたアリスが悲痛な叫びをあげ、地に膝を付き、胸を掻きむしる。
「アリスさん大丈夫……!?」
 そういう澪もクラリと視界が歪む。

 アリスが見たのは、アリス・ロックハートの姿。吸血姫であり、恋人にして親友で、異母姉だった彼女。
 アリスはその体を抱きかかえて、|『あの子』《アリス・ロックハート》の白いエプロンを赤く染める液体を止めようと必死に手で押さえる。
「お願い、逝かないで。わたしは、なくしたかったわけじゃないの!」
 色違いのあの子に願う。しかし、あの子は笑って、涙を流して必死に訴えるアリスの頬にそっと冷たくなる手を添える。
 あぁ、あぁ、私がこの手で討ったけど。いなくなって欲しいとは願ってない。
「いなくならないで……!」
 戦場の墓地にアリスの叫びが響く。運命を喰らう獣が牙を光らせる。

 クラリと眩んだ澪の視界に写るのは、恋人であり、澪を檻から救ってくれた彼の体。冷たい土の上に横たわって。四肢は無惨に食い荒らされて。澪を呼んでくれた声は、二度と聞こえない。
「僕が愛する事、愛される事……もっと、教えてくれないの?」
 怖かったそれらを、少しでも受け入れる切っ掛けをくれた人。
 ずっと、ずっと、置いて行かれるのが捨てられるのが怖かった。幼くして囚われ、本当の家族の記憶も温かさもなく、その見た目で見世物として売られた過去。
「僕は置いて行かれる……?」
 背中がヒヤリと冷える感覚がある。運命を喰らう獣の舌が澪の身体に巻き付けられる。

「……でも。でも……もう覚悟は出来てる。」
 澪がバサリとオーラを纏った翼を大きく広げ、運命を喰らう獣の捕縛を強引に解き、空へと舞い上がる。
「人間だもの、いつかは死ぬのは当たり前。」
 その時傍にいられたら嬉しいけれど、なんなら僕が狂ったら殺してって。逆の時は僕も殺すからって。
「約束した仲だよ。だから……大丈夫!」
 その表情は、もう嘆き悲しむ彼ではない。運命を喰らう獣に向かってユーベルコード|浄化と祝福《ピュリフィカシオン・エト・ベネディクション》を発動。
「鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて。」
 あらゆる種の鳥の姿を模した炎の破魔鳥を、歌と共に紡ぎ出す。鳥が無数に飛び、運命を喰らう獣に襲い掛かる。獣は茨の尾で叩き消そうとするが、その数を全て掻き消すことは出来ず延焼する。
「アリスさん、しっかりして……!」

 獣が突き立てようとした牙のような痛みの中で、ふと、思い出すアリス。
 そうだ。『あの子』は、『あの子』と私は……。
「ふたりでひとりになったのだから♪ええ、大丈夫よ。澪さんは大丈夫そうね。」
 嘆き悲しんでいたアリスは、アリス・セカンドカラーは魂を侵蝕する精神寄生体と共生し、生命活動を維持していると思い出す。
「私達はふたりでひとり、『あの子』が私の|精神《裡》にいる限り、|肉体《私》が『あの子』に攻撃を届かせない。」
 ユーベルコードを使用可能になったアリスに、破魔の炎を受けた獣が焦げた肌を燻らせながら走る。グワッと開いた口にある牙を煌めかせ、アリスに襲い掛かる。
「だめよ、拾い食いしたら、私“達”は|寄生種《サイキックヴァンパイア》。細胞の一片でも取り込んだら……。」
 アリスの肩を喰いちぎった獣が、苦しみだす。
「|内側から乗っとるわよ《化術肉体改造降霊》❤」
 運命を喰らう獣は、噛み千切った肉を吐き出し、攻撃を止めさせる。
「――!!」
 遠吠えのように耳に響くが表現し得ない音を出し、今度は澪に飛び掛かる。が、アリスの展開した多重詠唱結界術で庇う。
「一緒に……。」
「行きましょう!」
 二人は運命を喰らう獣に飛び掛かる。

●静かなる過去
「ああ、なんて悪趣味なのかしら!」
「酷い話です。……ええ、助くためにも、早く片付けねば。」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は細い眼を更に細め、眉を寄せる。しかし、対照的にメアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)は、悲しむどころか笑って見せる。

 メアリーの分身が、メアリーを抱きしめる。メアリーは激痛耐性で耐えようとするが、脳内でフラッシュバックするのは過去の記憶の洪水。
 人狼として囚われた時。アリスとして、ダークセイヴァーから、何も知らない世界アリスラビリンスに招待され、翻弄された時。人狼としての力はあり、噛み千切って、引きちぎって藻掻いて。
 猟兵となって、でも敵の前に出て傷を負い、冷たい地面に倒れ伏した時。
 全て全て、敗北と、翻弄と、無力感と、苦痛と、助けてと救いを求める感情。その全ての感情が増幅されたメアリーは、構えた体を脱力する。

「『我ら』は悪霊。その暗い念は尽きることを知らず。囮になりましょう。」
 第二の人格『静かなる者』を表出させた義透は、白い雪のような長弓「白雪林」を構える。籠める力は氷雪と破魔。闇の中から湧き出てくる漆黒の自身の分身をドンドンと射抜いていく。触れらぬように、と。しかし、その背後に忍び寄るのは漆黒の自分。

 トンと肩を叩かれれば、思い出すのは8月25日の光景。
 夕暮れ時。昔々、母と生き別れ、それでも生きたのに、死したあの日。義透以外がオブリビオンに腸を食われ、喰いちぎられ、死に染まって絶えた故郷。皆、自身を、唯一生き残る可能性に賭けて、身を盾にして彼を逃がそうとした。
 守られたのに、逃がしてくれたのに、追いつかれて、そうして腸を同じく喰いちぎられて散った彼。
 あの無念は、あの敗北の味は……。

「ええ、増幅されたから、何だというのですか。四人を一人に束ねるきっかけなのですよ?」
 しかし義透は、振り切るように増幅された感情を抑え込む、いや、それは『我ら』にとって糧となる。
 |四悪霊・『怪』《シアクリョウ・アヤ》。生命力を吸収する四悪霊の呪詛を、運命を喰らう獣に向けて放つ。今度触れられるのは獣の方。獣だって生きている、その生命力を今度は喰いちぎってやろうと。

「戦ってなんて……いられるんだ!」
 だってそれは、苦痛を与えた者への復讐心でもあるから。
 メアリーは演じて見せた。増幅された記憶と感情は、メアリーにとってそれは、蜜の味。
「その先の復讐が、メアリにとって、蜜の味だから!」
 構えなおし、義透に合わせるようにユーベルコード|狼殺し《ウルフスベイン》。抱きしめてきた分身を甘い蜜のような、復讐心が具現化した毒で内部破壊。
 自由になった身を躍らせて、運命を喰らう獣に超接近。その体に飛びかかる。
「お味は如何かしら?」
 ペロリと獣の身体を舐め、猛毒を与える。

●バグの先
「こんな私でも人を救えるなら戦います。……あの時お嬢様がそうしてくださったように!」
 魂人を生き埋めにし、その苦痛を増幅し、そしてその肉を喰らう獣に把繰理乃・えんら(嫌われ者のバーチャルメイド・f36793)は言葉を向ける。
「――!」
 既に数多の攻撃を受けてきた運命を喰らう獣は、問うように、鼓膜を震わす遠吠えのような音を響かせる。
 しかし、バグの集合体であるえんらであっても、運命を喰らう獣の言葉は分かりかねる。それに、バグ正常な思考や、理性があると思っているのだろうか。
「落ち着いて……。」
 えんらは、胸元にしまった「あやかしメダル『煙々羅』」を、服の上からぎゅっと握りしめる。
 バグの集合体であるえんらの身は、常に世界の全てから拒絶されている。強い苦しみなど、日常茶飯事だろう。あの時、お嬢様はそんな私は救ってくれた、名前を与えてくれた。
「……大丈夫。」
 一息、二息。自身が存在していいという思いを強める。狂気耐性がその思考を助ける。思考を整え、息を吐く。
「大丈夫。」
 普段ならば距離を取って銃撃をするえんらだが、既に揺らぎだした運命を喰らう獣の姿を見て、泳ぐようにダッシュをする。
 バグルケインを構えて、ユーベルコード|オール貫通落下バグフィールド《オチルトキハオチルモノデス》を発動。戦場全体に地面を突き抜け沈む異常空間を発生させる。
「もうやることムチャクチャですが……さぁ、落ちましょう。」
「――!!!!」
 精神力を、生命力を、異常空間に落ちた運命を喰らう獣から吸い上げる。
「この無限のバグの海で、食われる側の気分を味わってください。」
 泳ぐように異常空間から出てきたえんらは、墓場に降り立ち、運命を喰らう獣が落ちたバグの海を閉じる。

 そうして、墓場を徘徊していた墓荒らしの獣を屠った猟兵達は、生き埋めにされた魂人を助け出そうと動き出す。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年05月05日
宿敵 『運命を喰らう獣』 を撃破!


挿絵イラスト