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その肉、制御不能

#アルダワ魔法学園 #ノベル

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夢ヶ枝・るこる




 アルダワ魔法学園。そこにあるのは世界の名にもなっている学園だけでなく、その外にも広く世界は広がってた。その中の一つ、東方諸島。そこに夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は訪れていた。
「なるほど、制御装置ですか」
「えぇ。どうやら『限界』を感知する機能がついていなかったようでぇ」
 かつて異世界で手に入れた失敗作だという蒸気装置を調べた結果、その理由が部品の欠落ということが判明。その最後のパーツを求め、彼女は知己であるグリモア猟兵ミルケン・ピーチのボディ、花園・桃姫を伴いこの世界へとやってきたのだ。
 さらにその部品があるというこの場所は、偶然にも桃姫がグリモア猟兵として予知した事件の起こった町。その際に知り合った術士が飲食店関係者と言うことなので、二人は買い物後にそこへと立ち寄ることにした。

「いらっしゃいませー……ん? そのでかいの……」
 肉の焼ける匂いが満ちるその店。入店すると下の方から声がかかった。彼女の名はブリス・ローズリーフ。童顔で低身長の貧乳寸胴だが、歴とした成人女性のマジックナイトである。
「はい、お久しぶりですぅ」
「壺付けカルビの人ですよね? お肉下さい」
「え、何この人。うわこっちもでか……」
 彼女の店の名物であるという特性壺付けカルビを購入しようとする二人。ブリスはそれを出しつつ、ふと何かを思いついたような顔をする。
「あ、それじゃ、お代代わりにちょっと付き合ってほしいことがあるんですけど。肉の大食い大会、三人一組のチーム戦だから一人じゃ出られなかったんですよね。私と同じ量食べれる知り合いいないし」
 東方諸島では大小さまざまな武術大会や、そこからの派生で自身の技術や能力を見せつけるような大会も盛んに行われている。これもまたその一つだろう。
「で、この大会、誰かと競うんじゃなくてスコアに応じて景品が出るんですけど……その中の一つに『ダイエット魔法薬』というのがあって」
「分かりました! 行きましょう! どこですか!」
「ちょ、近い、乳当たってる、離せ! もがー!」
 そのままブリスを乳に挟んだ状態で引きずり店の外へ出ていく桃姫。その後について、るこるものんびり会場へと向かうのであった。

 受付して席に通された三人の前に並べられたのは、超巨大なリブロースステーキ。
「おお、これは中々ですねぇ」
「うちとは違う味付けだから、こういうのもたまにはいいですね」
 それを食べながらの三人の感想。ブリスの店はどちらかというと『焼肉』に近い肉を出しているので、こういった巨大なステーキはあまり食べ慣れているわけではないのだろう。
 お喋りしながらの食事というのどかそうな光景だが、その目の前の肉はまさに秒速で消えていく。
 あっという間に一枚消えたところに、今度は真ん中に骨の入ったステーキが出てきた。
「うわ、骨から取るのめんどくさい……汚い事するなぁ」
 時間を稼いで満腹感を増させようという腹かとブリスが悪態をついていると。
「はい、それでは次をぉ」
 るこるはなんとTボーンを左右の二つだけにさっさと剥がし、一口ずつでそれを完食してしまっていた。彼女に対しこの程度の小細工は無意味ということだ。むしろサーロインのヒレを同時に味わえ、食がより進むとさえいえる。
 さらに次に来るのは柔らかいランプ。こちらはブロック風の切り出しで、外が良く焼かれていながらも中はレアで肉のうまみが溢れてくる。
「お肉! お肉!」
 それに勢いよくかぶりつく桃姫。あまりの勢いに彼女のランプまでふるふる揺れている。
 三人の勢いに瞬く間に消えていく肉。それは食べる勢いがあまりに凄まじく、焼きが間に合わず待ち時間ができてしまいそうな程だ。るこるが【豊饒佳饌】にて大食い能力を強化している上、ダイエット薬を手に入れればいくら食べてもチャラということもあってその勢いは留まる所を知らない。
「おや、こちらは最初にも出てきたリブロース……もしかして一頭分全部食べたので二周目でしょうかぁ?」
「どうせならササバラとかカイノミとかで分けてステーキにして欲しいですね」
「何でもいいです、美味しいなら!」
 一部理性を失ってそうなのもいるが、とかく三人の勢いは止まらない。そのまま目的の薬はもちろん、受け狙いで絶対出ないだろう数字を設定された『Xt:別荘』まで軽々突破し、三人は全ての賞品を得たのであった。

 早速薬を試すため、ちゃんと貰えた別荘に移動した三人。待ちきれぬとばかりに桃姫が薬を服用し、他二人もそれに続く。すると効果はすぐに現れた。
「え、え……えぇぇぇ!?」
「あら、これはぁ……」
 桃姫とるこるの胸や腹、尻などが見る間に変化していく。ただしそれは減るのでなく、元の数倍の大きさに膨れ上がる方向でだ。
「これか! こういうことか畜生!」
 その横ではブリスが大声を上げてブチ切れていた。その体形には一切変化がない……が全身から魔力がオーラの如く立ち上り、気だけで周囲の全てを吹き飛ばさんほどになっていた。
 ブリスが分析したところ、薬の効果はカロリーを『減らす』のではなく、『影響を激化させる』もの。だから減る時は少しの運動で大幅に減らせるが、太る時は食べた量の数倍のカロリーが行くべきところに纏まっていくのだ。その場所が、るこるや桃姫は乳腹尻であり、ブリスは魔力だということだろう。正しくは『飲むだけでダイエットできる薬』ではなく『ダイエットに使うと効果的な薬』ということだ。
「こんなお尻とおっぱいで運動なんてできません!」
「ブラで抑えないと運動できないけど合うブラがない、やっと見つけてもまた大きくなってて探しなおし。よくある話ですねぇ」
「あってたまるかそんな話! こちとら小さすぎて合うブラないわ!」
 るこると桃姫の間では深く通じ、ブリスには全く一切理解できないそんな話。
 その後もブリスが怒る度に魔力が暴走し、その衝撃がるこると桃姫の乳尻をふるふると雄大に波打たせる。果たしてこの肉の波でエネルギーが僅かでも消費され、前人未到級に摂取したカロリーをいつか打ち消してくれるのか……答えが出るのは随分先になりそうであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年04月29日


挿絵イラスト