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飛蝗

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 月の存在しないよ闇の中、がらりと瓦礫が崩れ落ちる音が静寂に響き渡る。
 既に人影の失われた廃墟で何かを探し求めるように、がさりがさりと音は鳴り止まない。

『ほほう、これは……なかなかに価値のありそうなものがありますね』

 嬉しげな男の声が、人のいない静けさを引き裂いた。
 拾い上げた物を何度も眺めまわし満足そうに頷くと、大事そうに懐に戦利品を仕舞い込む。
 そうして再び散策を始めるのだった。


 グリモアベースの一角に存在する会議室。
 パイプ椅子に腰を下ろした黒髪狐耳の少女が、何もない中空を眺めていた。
 戸惑いがちに声を掛けると、グリモア猟兵の少女�ミーナ・ペンドルトン(小学生妖狐・f00297)は、はっとして猟兵達に向き直る。

「ごめんごめん、最近忙しくてぼけっとしてたよ……」
「みんな集まってるみたいだから、お仕事の話始めよっか」

 苦笑を零した彼女は、気を取り直すと依頼の内容を話し始めるのだった。

 ホワイトボードにコツコツとマーカーが走り文字を描き出す。
 ぱちぱちと貼り出された写真に写るのは、真新しい廃墟だ。
 廃墟なのに真新しいとは如何なものか。

「はい、今回の舞台はダークセイヴァーにある農村……だった場所だね」
「つい先日、モンスターのスタンピードに巻き込まれて廃村の憂い目にあったんだけど、偶然通りがかった旅人が、どこからか呻き声を聞いたらしいんだよ」

 そこでと手を一つ叩き、生き残った人がいないか調査をして欲しいと彼女は言う。
 ただ、モンスターがまだ潜んでいる可能性もあるし、何よりグリモア猟兵の予知に引っ掛かったのだから、オブリビオンが関わっているのは間違いがない。
 要注意するように、と。

「今分かってる情報はこんなものかな? 追加で何か分かったら共有するね」
「それじゃあみんな、気を付けていってらっしゃい」

 そういって彼女は、猟兵達を送り出すのだった。


神坂あずり
 通常シナリオでは6作目となります、神坂(こうさか)あずりです。
 今回は、難しく考えることもないオーソドックスなシナリオですのでお気軽にどうぞ。


 シナリオメニューは以下の通りです。
 1章:情報収集。
 2章:集団戦。
 3章:ボス。

 ご参加お待ちしております。
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第1章 冒険 『廃村に潜む影』

POW   :    邪魔な瓦礫などを撤去して痕跡を探す。

SPD   :    足跡や何かを動かした跡などを探して調査する。

WIZ   :    情報をもたらした者を探して話を聞く。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

仁科・恭介
【POW】
「これは見事な廃墟だね。探すのにもお腹がすきそうだ。」

元は農村という事、うめき声が聞こえたという事から、地下倉庫に隠れている人が居るかと思い、瓦礫などを撤去しながら捜索します。
地下倉庫の目星は廃墟についた時に村の構成から判断してつけます。
撤去の際に重そうで邪魔な木材などがあれば【剣刃一閃】の練習と思いながら切断して撤去することを試みます。
ただ、隠れているのが人とは限らないため警戒はします。

捜索の際に撤去した瓦礫などは邪魔にならない、死角とならないように注意しながら廃棄します。
また、捜索を行うための拠点を作る方がいれば、使えそうな素材を見繕って渡します。

※アドリブ、連携は歓迎です。


アイリ・ガングール
あー。とりあえず【情報収集】の技術はあるからそれを駆使して探索しようか。邪魔な瓦礫を撤去して痕跡を探すよ。
とはいえあてどなく、っていうのもまた面白くない。【第六感】を駆使して辺りを付けつつ、やね。
後は呻き声を聞いたって話じゃから何かこちらに害意を向ける存在もおるかもしれんし、瓦礫の撤去の際は脇差片手に何らかの害があるものから奇襲受けた際に【武器受け】出来るように警戒しながら行うよ


幻武・極
うわぁ、これはまたひどくやられたみたいだね。
うめき声が聞こえたという情報もあるから慎重に瓦礫の撤去をしていかないとね。

とにかく瓦礫をどかしていくよ。
どかすのが無理そうな大きな瓦礫は羅刹旋風で粉砕するよ。
瓦礫をどかしていった先に何か有益な情報があるといいんだけどね。


樫倉・巽
まずは人探しと言うわけか
一つ目立つように歩き回ってみるとするか
生き残りがいれば気付くだろうし
なにか別のものが吊れるかもしれんからな

何か出てこないかと思い
あたりに声をかけながら生き残りを探す

もしかしたらいざという時のために地下室や避難用の地下道を作っている者がいるかもしれない
そうでなくとも農民はしたたかなものだ、食料くらいは貯め込むための場所はあるだろうからな
下に空間がありそうな瓦礫や家の構造物をよけその下を探す
生き埋めになったものを見捨てたとなれば寝覚めに悪い
地面を叩いて空間があるかを確かめたりしながら丁寧に探す

敵など別のものが吊れたら一気に叩き切り何か手がかりになるものを持ってないか探す




 いつかの夜のように瓦礫が崩れる。
 いや、それはもっと盛大で、騒々しく轟音を伴って崩れ落ちた。
 朦々と砂埃が立ち込め、カラカラと小石が転がり落ちる中にゴホゴホと小さく咳込む声が混ざる。

「うぇ、口の中に砂入った……」

 今しがた自分で粉砕した瓦礫を前に渋い顔でそうぼやくのは、幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)だった。
 一人で動かすには少々大きな石材だったため、致し方なかったのだ。 いささか派手にやりすぎた感も否めないが……。
 そうまでしたが特にめぼしいものはなく、成果は芳しくなかった。
 さて、どうしたものかと顔を上げて彼女は周囲を見渡し、近くにいた見知った人影に気付き声を上げる。

「うーん、ここら辺はなにもないみたいだね。 ……そっちはなにかあったー?」
「こっちは丁度、地下室の入り口を見つけたところじゃよ。 こっち来やんせ」

 声を張り上げて問う極に答えたのは、近くで探索を行っていたアイリ・ガングール(死(かこ)を以て生(いま)を拓く・f05028)だ。
 手招きで呼ばれた極が近付くと、アイリの畳まれた扇子が示す先には、二人の男性が瓦礫を撤去しようとしゃがみ込んでいる。
 アイリを含めた三人は、この村に到着した直後から情報収集を行い、村の構造から当たりを付けていくつもの要所や地下室の探索を行っていたのだ。
 彼らの手元、石造りの天井と思しい瓦礫の下には、人一人が通れる程度の小さな扉が押し潰されていた。
 これでは仮に中に生存者がいたとしても、出ることはかなわなかっただろう。 早急に中を確認する必要がある。

「ゆっくり、注意しながら慎重に持ち上げるよ」
「あぁ、問題ない。 いくぞ……せーのっ」

 二人の男性、仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)と樫倉・巽(雪下の志・f04347)は、息を合わせて力を込め重たい瓦礫を浮かせた。
 完全に持ち上げるには至らなかったが、ずりずりと床の上を滑らせ、邪魔にならない位置まで移動させる。
 パンパンッと手をはたいた巽は、ここには何か手がかりがあればいいんだけどなと呟きながら、地下室への扉に手をかけ注意深く引き開いた。
 黒々とした穴からひんやりとした空気に乗って、黴のような臭いが鼻腔を衝く。
 互いに目配せをし各々が武器を構えながら、灯したカンテラを標にゆっくりと注意深く周囲を探りながら階段を下っていく。
 そうして階段を下りきった先には、壁一面に棚の備え付けられた食料貯蔵庫が広がっていた。
 貯蔵庫と言えどもここはダークセイヴァーの農村だ。 棚には大したものはなく、精々が豆類や萎びた根菜などしか残っていない。
 他にあるものと言えば、恐らくは飲料水代わりに飲まれているエールの樽くらいであろうか。
 更に明かりを遠くまで届かせるために、カンテラが高く掲げられる。
 光に移ろう闇の向こうには、人の気配も人以外の気配もない。
 静かなものであった。

「……やはり、なにか違和感があるのう」
「呻き声を聞いたっていうのに、人っ子一人いないしね。 食料が古いのは単純に不作かな」
「ダークセイヴァーは、オブリビオンのせいでどこも食糧難だからな」

 干乾びてカリカリになった根菜を手に、勿体ないとぼやく恭介に、場所が場所だけに致し方あるまいと巽が首を振る。
 地下室の様子から、ここも事件前後に人が入った様子はなさそうだった。 つまりはこの地下室もまたハズレだ。
 この様子では魔獣の襲撃は、逃げ隠れする暇もないほどに素早かったのか、はたまた気付かぬほどに静かに行われたのであろうことが窺える。
 そんな風に話し合う恭介と巽に、扇子で口元を隠したアイリが論点のおかしさにきょとんとした顔で首を傾げ口を開く。
 お主ら、もしかして気付いておらんのか? と。
 そう問うアイリに、何のことか分からずに今度は二人が困惑することになった。
 ぱちりと扇子を閉じたアイリが、核心となるその言葉を放った。

 ――この廃村には生者どころか、死体の食い残し一つ見当たらんよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリーシャ・マクファーソン
廃村に響く声……あのヴァンパイアがいる可能性は少ないだろうけど、これも仕事……

人と話すのは苦手……力仕事もちょっと……地道に何か跡が残ってないか調べよう……

誰かいますかー……いたら返事してくださーい……

こんな呼び掛けに答えてくれるなら、楽な仕事だなぁ……

でも、何か反応はあるかもしれない。音を聞き逃すな……

音がしても、すぐには飛び付くな。いるのは生存者だけとは限らない……

周りの違和感を探せ。
モンスターに襲われた村だ……瓦礫が綺麗に積み重なってる訳がない

もしそんな不自然があったなら、ここはもう危険地帯。
廃村に何かを求めてる『奴ら』がいる証拠……

警戒心を高めろ。……戦いのときは近い……


マリン・ラピス
廃村で呻き声ですか…。
何があるかわかりませんから常に警戒していきましょう。
まずは少し離れた場所から偵察をしてみます。
鳥さんお願いしますね。(幸せの青い鳥使用)
もし人がいるようなら【追跡】して様子を見ましょうか。
生き残りの方であれば保護したいところですね。
何か怪しい痕跡などがあればすべてチェックしてほかの方にも共有しますよ。
現地に脅威がなさそうなら自らの目も使って探索を一気にします。
オブリビオンの情報が少しでもわかればいいのですが…。




 月さえ見えぬ――この世界においては常であるが――夜闇の中、一羽の鳥が羽ばたいてゆく。
 血糊のこびりついた石造りの家屋の残骸の間を瑠璃の鳥が行き交い、餌を探す小鳥の如く、僅かな違和感を探し求めていた。

「誰かいますかー……いたら返事してくださーい……」

 ともすれば聞き逃してしまう儚い声音を背に、幸せの青い鳥が空を舞う。
 その青い小鳥を追うのもまた、同じ色合いを持つ二人の少女だった。
 小さくも透き通った声音で誰何を続けていたアリーシャ・マクファーソン(氷血の小悪魔・f14777)がため息を零すと共に、微かな灯りを反射した羽根を煌めかせた小鳥が、瓦礫の上に降り立ち、小さく鳴き声を奏でた。
 小鳥が示す場所を覗き込んだマリン・ラピス(禁忌に生み出されし姉妹・f08555)もまた、アリーシャと同じようにため息を零すのだった。

「またありましたね。 なんなのでしょうか、これ」
「私達より前に……何かがいたのは間違いないわね……」

 それは何者かに瓦礫が掘り返されたかのような不自然な痕跡だ。
 それも一つや二つではなく、これまで探索してきた複数個所に渡り存在するものであった。
 いくつかには血痕が残っており、恐らくは救助したであろうと思われる跡だったが、そうでないものも複数見受けられた。
 自分達が感知していない何かがいることに背筋がぞわりとするものを感じる。
 その時、アリーシャの耳に微かな違和感が届き、視界の隅に青白いものがひらりと舞う。
 すぐさま視線を向けたその先には……既に何もない。 だがあれは恐らく見慣れたものだった気がする。

「掘り起こした場所に規則性がありませんね。 どうかしましたかアリーシャさん」
「いえ、尻尾のようなものが見えものだから……あれは、犬の尻尾ね……」
「全然気が付きませんでした……。 野良犬でしょうか?」

 そこまで言葉を紡いだところで、おかしなことにはたと気付く。
 この世界は既にオブリビオンによって完全に支配されており、大半の地域は異端の神々や魔獣の領土と化している。
 そのような世界において、真っ当な野良犬などが果たして生存できるのだろうか?
 顔を見合わせた二人は、急いで仲間達の元へと走るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『オルトロス』

POW   :    くらいつく
自身の身体部位ひとつを【もうひとつ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    ほえる
【悲痛な咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    なかまをよぶ
自身が戦闘で瀕死になると【影の中から万全な状態の同一個体】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 集えよ我らが一族よ。
 我らの餌が、この地に再びやってきた。
 一人残らず喰い殺し、我らが血肉と為す時ぞ。
 それが我らの本能であり、それが我らの主命である。
 さぁ、狩りの時間を始めよう。


 それらは影に潜み、瓦礫に隠れ、巧妙に姿を現すことなく次々と気配が満ちてゆく。
 地上に集まった猟兵達を取り囲むように一つ、また一つと増えるそれは獣だった。
 それはただの獣ではなく、群れを成し人を喰らい糧とする犬型の魔獣だ。
 互いを出方を窺うような時間は、そうは長くは続かなかった。
 いくつかの群れに分かれた魔獣が、そろりと姿を現す。
 駆けだした魔獣達が、猟兵達に襲い掛かる!
ズァイ・コッペ
◆お仕事で人手…カニ手も可と聞いてきたらまたお犬様達により
生命とお肉の危機カニっ!
でも…ズァイはそれを生き抜く新しい生命の理を学んだカニ!
その名もっ、「共生」!

◆新たに仲間…ご飯となったユーベルコード「フナムシレギオン」さん
召喚カニ!フナムシさんはいっぱいいるし、強いカニ!
ただ、一撃で消えちゃうほど脆いから
…そこをスキル目潰しと「蟹光線」で援護カニね!
ズァイが足止めてフナムシさんが頑張る!これこそズァイが学んだ共生カニ!…あっ、他の参加者の方の援護もしないといけないカニね。
助け合って長生きするカニ!


アリーシャ・マクファーソン
妙な気配の正体は、犬もどきだったの。
囲まれるまで気付けないなんて、私もまだまだね。

でも、黙って食い殺されてやるつもりはないわ。
いいでしょう……一匹残らず、氷漬けにしてやるわ。

【POW】で対抗。
獣らしく、噛みつきで攻撃してくるみたいね。
指輪を強く握りしめて、自分の掌を気付けて血を流す。
流した血を振りまいて、あたりの地面を凍らせてみましょうか。

万が一、噛みつきを喰らっても慌てない。
だって、敵がわざわざ殺されに来てくれたのよ?
噛みつかれて流した血に魔力を通わせ、発動
【氷雪之茨鞭】
氷の鞭が、魔獣を縛り上げることでしょう。
いい悲鳴を聞かせてね?私だって、痛かったんだから……。


アイリ・ガングール
 おや。獣の群れかね。ええよええよ。こいつらがなんもかんも喰らい尽くしてたって事かねぇ。フォックスファイア召喚で迎撃。暗い場所じゃしこれで他の者たちも行動しやすくなってくれればええんじゃが。
 くらいつく攻撃は脇差の【武器受け】で受け流し、ほえる攻撃は仕方なし。避けるの難しそうじゃし【覚悟】を持って耐えようか。
 フォックスファイアは基本的に襲い掛かるオルトロスの壁になるように展開しておく。それで勢いをそいで他の者たちが攻撃しやすいようにといった動き。基本的に援護


仁科・恭介
手作りの【携帯食料】をツマミにしながら仲間の猟兵と情報交換します。

「なるほど。犬型の何かに喰われた可能性があると。それなら呻き声にも、人っ子一人いないのも辻褄があうけど…
その何かは、人を喰う事で何かを蓄えるんじゃないか?」

仲間の猟兵から情報を聞きながら考えている時、【吸血】の本能から血の匂いを持った何かに囲まれているような気配を感じます。

囲まれるのはまずいと思い、一転突破できるような場所がないかを【目立たない】よう注意深く探します。
「襲って来た物の調査は突破した後だね」
隙を見つけたら他の猟兵が動きやすいように【残像】で陽動しつつ囲みを破ることを試みます。

※アドリブ、連携は歓迎です。


マリン・ラピス
いつの間に囲まれていたとは…。
警戒は怠らないようにしていたのですが、今はそんなことを考えてる場合じゃないですね。
ここはわざと怖がる演技をします。
「いやだ!こないで!」
そうしてわざと襲わせます。
タイミングを見計らってあらかじめ【クリスタライズ】で不可視にした瑠璃月で一気に【なぎ払い】ます。
見えない攻撃でいきなりやられれば周りも動揺するはずです。
さあ、皆さん一気に行きましょう!


樫倉・巽
居たのは魔獣ばかりか
それなら仕方がない
切り伏せるだけだ

仲間を守るように前へ出て裂帛の気合を込め魔獣を睨みつけながら構えをとる
獣ならば殺気の強いほうが場を制するだろう
剣に殺気を込め相手を呑むつもりで【蜥蜴剣術無天流】を使い戦う
仲間と離れないように距離を測りつつ
自らから剣を振るときは威圧することも目的に力強く
相手を迎え撃つときは相手の間に合わせてしっかりと当てる
相手が多い時には手数で圧倒し間合いを取り
できるだけ一体ずつ切り伏せていける位置取りを心がける
可能なら瓦礫など構造物を利用して有利な位置取りを心がける
仲間が危機なら急いで駆け付ける

すべて倒しても気を抜かずあたりを警戒
「終わりとは思えないな」




「妙な気配の正体は、犬だけど犬もどきだったの。 囲まれるまで気付けないなんて、私もまだまだね」
「いつの間にやら、ですね。 警戒は怠らないようにしていたのですが……」

 じわじわと包囲網を狭めていく獣オルトロス達を前に、冷静に観察しながらアリーシャとラピスが呟きを漏らす。
 どうやら大型犬ほどの体躯を持ちながらも、臆病なのか一気に飛び掛かってくるでもなく、用心深くこちらを観察しているようだ。
 ならばと、ラピスが獣達から僅かに視線を逸らした。
 一歩後ずさりした彼女を、怯えて下がったと見て取ったのか、もっとも御しやすく弱い標的と見定めた二体のオルトロスが一斉に飛び掛かる。
 対するラピスは狙いを片方に絞り、無手の右手を払いながら斜め前へと踏み出した!
 血飛沫が舞い、オルトロスが悲痛な声を上げながら地面を転がる。
 鋭利な刃物で一直線に切り裂かれた腹部から、だくだくと血が溢れて地面に広がってゆく。
 不可視の刃を伝い、血が滴り落ちる。
 まずは一体。
 クリスタライズで姿を消した瑠璃月を振るい、刃に付着した血糊を払う。

「さあ、皆さん。 敵が動揺している今のうちに一気に行きましょうう!」

 恰好の的だと思われた少女に一撃で倒されたことに揺らぐオルトロスの群れの前に干し肉を咥えた男が飛び出す。
 なぜ彼はこんなタイミングで干し肉を咥えてもぐもぐしているのか?
 そんなことは簡単だ、彼がフードファイターだからだ。 それ以外に理由などはないし、ある必要もないだろう。
 踏み込みと共に、増大した腕力でもって刀が振るわれる!
 だが浅い。 僅かに刃先を掠らせながらもひらりと身を翻したオルトロスの顎が、引かれる途中の刀をがっちりと咥え込む。
 眼前の相手に手をこまねいている間にも、別の敵が襲い掛かってくる。
 手傷を覚悟して身を強張らせたその時、背後がふっと明るくなり、喰らいつこうとしたオルトロスの鼻先を炎が焼く。
 掛かってきたオルトロスが怯んだ隙に、蹴り飛ばして引き離しながら、恭介が感謝を告げる。

「ごめん、助かったアイリ。 感謝するよ」
「コココココ。 ええよええよ、次は気をつければええんじゃ」

 数多の狐火に照らされ、夜闇を追い払ったアイリがころころと笑う。
 彼女を脅威と悟った数体のオルトロスが喰らいつこうと迫るが、舞い踊るように揺らめく狐火が行く手を阻む。
 本来であれば、高い機動力でもって獲物を狩る彼らだったが、今やその勢いを削がれていた。
 その期を逃す猟兵達はいない。 巽の振るう愛刀『砂塵渡り』が犬型魔獣の頭を叩き切る。
 裂帛の気合を込められた力強いその一撃は斬るだけに留まらず、勢いよく吹き飛ばされた死体に巻き込まれたオルトロスが倒れ込む。

「ふ、素早さを失った獣など、張り子の虎と何ら変わらんな」
「でも油断してると食べられちゃうかもしれないカニ! 生命とお肉の危機カニっ!」
「なら……犬なのだから、鎖に繋いでしまえば良いわ」

 不安げに心配をするズァイ・コッペ(かにさん・f08081)の言葉に、握り込んだ手から血を滴らせたアリョーシャが手を振るう。
 倒れ込んでいたオルトロスに、鮮やかな鮮血がぱたぱたと浴びせられる。
 それは鈍く輝くと、血を触媒として無数の氷の鎖が形を成し、身動きを封じていく。
 拘束を解こうともがくオルトロスだが、冥界の番犬でもないただの番犬など鎖に繋ぐことは容易く、逃げること能わず。
 どこからか現れた一匹の小さな虫がキチキチと小さな音を立てながら、絶断之氷柩に囚われた番犬に噛みつく。
 それは、この場所にいるにはあまりに場違いなフナムシであった。
 一匹、二匹……それは加速度的に数を増やし、悲鳴を上げる哀れなオルトロスに群がり、その身を貪り喰らう。
 悍ましい光景に、一部の猟兵の背中がぞわりと粟立つ。

「これこそがズァイが学んだ共生カニ!」

 地獄のような光景を生み出した張本人は、ふんすと胸を張る。 まさに弱肉強食。
 全身を貪られたオルトロスが事切れたその時、ずるりと影の中から同一個体が蘇る。
 怨みを晴らすかのように放たれた悲痛な咆哮が、群がるフナムシを千切り飛ばす!
 重心を下げて咆哮波をやり過ごす猟兵達の隙を突き、群れたオルトロスが攻勢に出た。

「群れる獣は面倒じゃのぅ……ちゃんと言うことを聞いてくれる子犬ならよかったんじゃが」
「仕方ないよ、犬型と言っても相手はオブリビオン。 それを望むのはなかなか難しいことだろうね」

 苦言を呈しながらもアイリは喰らいつこうとする顎を脇差で往なし、バランスを崩したところを恭介が斬り捨てながら軽口を叩く。
 多かれど、個々の脅威度は然程高くないことは幸いであった。
 襲い来る敵を殺気と手数で牽制する巽をサポートするように、ラピスの素早い斬撃がオルトロスの動きを更に鈍らせていた。
 倒しても倒しても、その影の中から次々と湧いてくるオルトロスだが、それも時間と共に僅かずつ数を減らしている。
 これ以上は犠牲が増えるだけだと悟ったのか、はたまた戦いは十分だと思ったのか、一匹のひと吠えによってオルトロス達が猟兵達から距離を取る。
 一瞬の膠着。
 だが、元来臆病で狡猾な彼らが逃げに転じた時の動きは迅速だった。
 多少の犠牲など躊躇することなく猟兵達に背を向け、追跡を逃れるように散り散りに分散して走り出す。

 いくらかは逃走を阻止できたものの全てを倒すことは叶わず、再び集まった猟兵達は今後の行動を話し合い始めた。
 もちろん、再度の襲撃に備えた警戒を怠らずに、だ。

「これですべて終わりとは思えないな……だが」
「深追いは厳禁カニね。 欲張りすると、失敗するカニ」
「しかし、住民の遺体がないのは、アレらが食ったということだろうか……辻褄は合うけど……」
「判然としないものを感じますね。 掘り起こされた瓦礫の痕跡にしても、さっきの魔獣がやったとは思えないものもありましたし」

 気を抜かずに辺りに視線を飛ばす巽、蟹爪をかぷかぷさせたズァイを横目に恭介とラピスは考え込む。
 探索時の様子を見るに、別の何者かが介在している可能性が高い気がするが……。
 その時、猟兵達の耳に何者かの足音が聞こえてくる。
 先ほどまでのオルトロスとは違い、二足歩行特有の足音だった。
 何者かを見極めようと警戒を強めながら前方の闇を睨みつけた猟兵達の前に、大柄な人影が映る。

『その疑問には、私がお答えしましょう』

 そこには、巨大なムカデを身に纏う山羊の頭の異形の姿があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『往生集め『エルシーク』』

POW   :    賢者の双腕
見えない【魔力で作られた一対の腕】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    蒐集の成果
自身が装備する【英雄の使っていた剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    幽暗の虫螻
【虫型使い魔】の霊を召喚する。これは【強靭な顎】や【猛毒の針】で攻撃する能力を持つ。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エルディー・ポラリスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 闇の中から姿を現した異形は徐に口を開く。

『こんにちは猟兵の諸君、まずは自己紹介と行きましょうか……私の名はエルシーク。 見ての通りのオブリビオンでございます』

 エルシークと名乗った異形は、恭しく首を垂れると先ほどは我が家の飼い犬が失礼しましたと謝罪をすると、その目的を語り始めた。
 彼、エルシークは『往生集め』と呼ばれる蒐集家であり、魔獣オルトロス達にはそれを探すように指示をしていたそうだ。
 往生集めの名の通り、彼のコレクションはオブリビオンの犠牲となった者の遺体や遺品だ。
 この村にはあまり目に適うものはなかったが、降って湧いたようになかなかの逸品が舞い込んできたのだという。

『どうでしょう皆様。 私のコレクションになる気はございませんか?』

 その言葉と共に、無数に分裂した剣が猟兵達に狙いを定める。
 それはかつて異形を狩っていた英雄が用いた剣であり、今はエルシークの所蔵するコレクションの一つだった。
アイリ・ガングール
 いや、何言っておるん?さっさと死んでくるかね。
 攻撃については【地形を利用】してよけるよ。さっきからさんざんっぱらこの村は歩き回ったんじゃ。何がどこにあるかはわかる。だから木々や家の梁に【金狐霊糸】を使って三次元的に移動して避けていくよ。
 そのうえで隙を見て近寄って黎明一閃。【生命力吸収】の技能を使って威力を上げて、攻撃は【武器受け】に【戦闘経験】を駆使して受け流し、霊刀で一閃する。さっさと死んでくれや。もう失ったものは還らんけども、これ以上失う事はあるまいて


アステル・シキョウ
・キャラ視点
聞いたか、ニエ。往生集めだとよ
「あんな奴の収集品に加わるなら、俺様は死ぬ方がマシだな」
まぁ趣味は悪いよな……確かに
「道具っつうのは使われてこそだ、使い手から離されて飾られるなんてゾッとしねえ」
そう言う物なのか?……まぁいい、じゃあ少なくとも俺はお前をきちんと扱ってやらないとな
……今回はノクターンになるのは無しだ、お前をニエとして使うぞ
「……ほぉ、おもしれぇ。やってみるか」

・行動
戦闘形態「仮面ファイターノクターン」に変身せず、あくまでもアステルと呪具『ニエ』として戦闘
目的は相手への大ダメージ

アステルが大鎌のニエを振り回す形ですが、危ない際は回避の為ニエがアステルを引っ張る様に動きます


仁科・恭介
「こんにちは、エルシークさん。ご丁寧にどうも。
それは宣戦布告と受け取って宜しいですか」
と、【礼儀作法】で失礼無く返します。

至極真っ当な返礼したのは肉を摂取する時間、考える時間、味方が冷静になり準備を整える時間を少しでも稼ぐため。

相手のペースで戦いに入るのは得策ではない。
相手を少しでも隙を混乱を。

そう考えて、剣が狙いを定める中、(本能的に自分とは相性が悪いとは感じてますが【残像】の準備をしながら、)
「いやいや面白い事をおっしゃる。それで主導権握ったつもりでしょうか?
今までこんな間抜けには会ったことなかったですね。

のように【礼儀作法】とは真逆な感じで言葉を遮りながら煽りヘイトを集めます。


樫倉・巽
強いほうが生き残る、自然の掟だ
俺とて強さを求めている、何よりも強いということを
だからと言って弱いものは死に絶えてもいいと言うわけではないだろう
なかなか斬りごたえがありそうな相手だ
切ればその分、人の世に近づくか
願わくばな

「お前のほうが強ければ、お前の願いも叶うだろう」
刀を構え呼吸を整えて間合いをはかる
刀で攻撃を受けつつじりじりと近づき、気を見たら【三日月二連】で攻撃する
一気に踏み込み間合いを詰め下段から振り上げる【地の一撃】で腕を払い
空いた頭蓋に天空から振り下ろすように【天の一撃】を叩きつける
真っ二つに切り裂くように、当てる瞬間にすべての力を集中させ一気に断つように刀を振り下ろす
「夜明け前か」


マリン・ラピス
あなたのコレクションになる気はさらさらありませんよ。
あなたはオブリビオンで私達はは猟兵、ならば答えは1つだけでしょう?
さて、まずはあの操っている剣が厄介ですね。
【咎力封じ】で剣の動きを止めてしまいましょう。
本体にもついでに撃って足止めします。
…この状況で皆さんにすごく言いづらいのですが…実は私虫が苦手でして。
動きは止めますので皆さんお願いします…。


アリーシャ・マクファーソン
番犬共の飼い主は変態コレクターだったってわけね。
生憎、あなたの収集物に成り下がる気はさらさらないの……大人しく、血反吐を吐いて屍を晒してくれるかしら?

【WIZ】で対抗
きっと番犬以外にも持ち駒はあるのでしょう。
新しい眷属の召喚に注意しておきましょうか。

【血命蒼翼】

敵の攻撃で流した血や、指輪を使って自ら流した血。
これらを触媒に、氷の翼を形成。
極小、極細の氷の翼たちが敵を容赦なく襲うことでしょう。
避けたつもりでも無駄よ。その翼は刺さった周りをも凍てつかせるのだから。
動きたくても動けない……今、どんな気分かしら?
いい加減、諦めなさい。あなたの命脈は、もう凍りついたの……。




「こんにちは、エルシークさん。 ご丁寧にどうも。 それは宣戦布告と受け取って宜しいですか?」
『あなた方が私に対抗するだけの力をお持ちでしたら、そういうことになるでしょうか』

 戦いの幕は切って落とされたかに見えたが、そこに口を挟む男が一人。
 往生集めエルシークに挨拶を返しながら、恭介は礼儀作法に則り丁寧に頭を下げる。
 対するエルシークは彼を一目見た瞬間に興味を失ったかのように視線を外す。
 それもそうだろう。 蒐集家たるもの、貴重な物を集めるのが当然の理。
 希少品も持たぬただの人型に、興味などはあろうはずもなかった。
 だがそれでも、恭介は慇懃な姿勢を崩さぬままに、笑みを浮かべて慇懃無礼に口を開く。

「いやいや、面白い事をおっしゃる。 それで主導権握ったつもりでしょうか? 今までこんな間抜けには会ったことなかったですね」
『ふむ……時間稼ぎの安い挑発ですが、誘いに乗るのもまた一興ですか。 いいでしょう』

 呆れたように頭を振りながら、すっと挙げられた腕に追従し、剣の矛先が一点に集中する。
 広範囲に降り注ぐはずだった剣の群れが、恭介ただ一人に向かって放たれた!
 あまり時間は稼げなかったが、それでも間に合ったこともあった。
 放たれた剣の幾本かが、ラピスの<咎人封じ>により生み出されたロープに拘束され、その動きを止めた。
 しかしそれでも、剣の群れ全体から見れば半数にも満たない。 残像を囮にしながら辛うじて回避を試みる恭介。
 だが、縦横無尽に舞う剣の群れの全てを避けることは叶わず、脹脛を傷つけられ膝から力が抜ける。
 膝をついた恭介の身体を無数の剣が貫くかに見えた瞬間、紅い三日月と蒼い満月が空を裂き、宙を舞う剣が地に堕とされる。
 薙刀を構え直したラピスが思わず一歩引く中、振り切った大鎌を引き戻したアステル・シキョウ(フォーリングスター・f01826)がエルシークの前に立ちはだかった。
 アステルの鎌を認めたエルシークの目がきらりと光る。 それはコレクターが獲物を見つけた時の目だ。

『おや、なかなか蒐集し甲斐のある良い鎌をお持ちですね。 ガラスケースに閉じ込め、ホールの中央に飾っておきたい威風です』
『使い手から離されて飾られるなんてゾッとしねえ、道具っつうのは使われてこそだ』

 アステルの手の中から、嫌そうな声があがる。
 その声の主は、彼の手にする大鎌型呪具に宿る『ニエ』のものだ。
 彼? の言葉に何か思うところがあったのか、エルシークは一つ頷くと先ほどの言葉を訂正するように口を開いた。

『では、使い手共々、綺麗に展示させて頂きますとも』
「……確かに、ゾッとしないな。 使い手らしく使ってやる。 今回はノクターンになるのは無しだ、お前をニエとして使うぞ」

 それは彼ら本来の戦い方をせず、あくまでもアステルと呪具『ニエ』として戦うという宣言だった。
 面白がるニエの声に背中を押され、アステルが駆け出す。 相対するはその手に英雄の剣を構え剣の群れを従えたエルシーク。
 飛び交う剣の群れを弾き、避け、時にはラピスの振るう瑠璃の鎖に助けられながらアステルが迫っていく。
 横薙ぎに振るわれた大鎌の刃を、エルシークは冷静に剣の腹で受けながらわざと吹き飛ばされることによって勢いを受け流す。
 ふわりとした動作で動きを止めたエルシークだったが、吹き飛ばされたことによって距離の近付いたラピスに気付き、その目を輝かせ――文字通り黒い眼窩に光が灯し――て、喜色満面の声を上げる。

『おや? おやおやおや、これはこれは実に美しい! 遠目では分かりませんでしたが、その身体は鉱石で出来ているのですね!』
「ひっ!」

 近付いたことによってその身に這いずるムカデが視界に大写しになり、ラピスは思わず息を飲む。
 そう、彼女は虫が苦手であった。 出来うることならば見たくもなければ近付きたくもない。
 だが悲しいかな、向こうの方から迫ってきていた。
 それはもうぐいぐいと迫ってきていた。
 ギチギチと威嚇するかのように身体を鳴らすムカデに、思わず身を竦ませて後ずさる。

『出来るならば無傷で確保したいのですがいかがでしょうか?』
「あなたのコレクションになる気はさらさらありませんよ」

 悠長に言葉を交わすエルシークに背後から影が落ちる。
 振るわれたニエがオブリビオンを二つに斬り伏せるかと思われた時、その身から離れたムカデの強靭な顎がその刃を捉える。
 硬質な音を立てて弾かれた鎌が地面に突き立つ。
 それは大きな隙だった。 だが、アステルは一人で戦っているわけではない。
 顎を広げ喰らいつこうとするムカデの身体をエルシークごと瑠璃の鎖が幾重にも雁字搦めにして封じる!
 オブリビオンは即座に鎖を断ち切りその身を逃がすが、魂をも切り裂く一撃が全てを切断する。
 逃げ遅れたムカデの身体が両断され、骸の海へと沈んでいく。

「ふむ、いささか甘く見過ぎていましたか」

 一旦距離を取り、体勢を立て直したエルシークにさらなる刃が迫る。
 一気に間合いを詰め、下段から掬いあげるような剣戟に手にした英雄の剣が弾き飛ばされる。
 頭蓋を砕く振り下ろしの一撃が叩きつけられる!
 が、刃同士が打ち付けられ、甲高い金属音を奏でて受け止められた。
 英雄の剣を複製した二振りの刃が、空中に固定されているかの如く巽の刀を受け止めていた。
 いや、それは固定されているわけではなかった。 魔力により形作られた不可視の腕だ。
 賢者の双腕により支えられた二振りの剣が、巽の刃を振り払う。

『……竜人かと思いましたが、どうやら違ったようですね。 これならば魔獣の方が良さそうです』
「ぬかせ。 今はただのトカゲであろうとも、いずれは竜をも越えて見せる」
『今から狩られるのですから、いずれなどありませんよ。 ……しかしその得物は悪くありませんね、頂きましょう』
「お前のほうが強ければ、お前の願いも叶うだろう」

 これ以上の言葉は不要とばかりに睨み合い、じりじりと間合いを測る彼らの間に金色の影が流星の如く割り込む。
 打ち付けあった大太刀と英雄の剣が、パッと火花を咲かせ周囲を照らし出す。
 ぎちりと鍔迫り合いの後に金色の影アイリが飛びずさると、その頭部に目を止めたエルシークがほうほうと頷く。

『作り物かと思っていましたが、その獣のような耳は本物ですか……この世界では見られない生物相です。 いやはや、猟兵という生き物は実に多様性に富んでおられる。 欲しいですね』
「いや、何言っておるん? さっさと死んでくるかね」
『いやはや、やはり力尽くしかありませんか。 ですが、簡単に手に入るコレクションというのも面白味がありませんからね』
「誘い文句としても三流やね。 ちゃくちゃく片付けさせてもらうわ」

 アイリと入れ替わり正面から斬り結ぶ巽を援護するように、後方から血を凍らせた刃がエルシークを襲うが剣の一振りで軌道を逸らされ落ちていく。
 ちらりと確認した視線の先には、自らの血を凍刃に変えるアリーシャの姿があったが……ただの人型かと断じて視線が外される。

『ふう……しかしこの人数の相手は流石に分が悪いですね。 手数を増やさせていただきましょう』

 背後に跳躍すると共に、賢者の双腕から投げ放たれた二振りの剣。
 放たれた刃は狙い違わず再度攻撃に出たアイリの足を止め、アリーシャの腕を切り裂き血霧を散らす。
 金狐霊糸を用いて瓦礫や木々、家の梁を足場に縦横無尽に駆けるアイリが追撃にかかるが、即座に複製された英雄の剣が迎え撃つ。
 両手と双腕、二対の剣が猟兵達を睥睨する。
 臆することなく剣線に踏み入る巽とアイリ。 交差する度に刃鳴り、散る火花によって周囲が照らし出される。
 ――パキリッ。
 濡れた破砕音を鳴らして放たれた無数の針が、容易く剣に叩き落とされる。
 針の来たる場所には、腕の傷を押えながら夜闇に煌めく氷の翼を広げたアリーシャの姿があった。

『おお……ただの人型でありながらも、その姿は確かに美しい』
「避けたつもりでも無駄よ。 その翼は刺さった周りをも凍てつかせるのだから……あなたの命脈は、もう凍り付いたの……」

 彼女の言う通りだ、
 叩き落とされた針は芽吹きの季節の花のように一斉に地面に氷を咲かせ、エルシークの身体をも侵蝕していた。
 次々と撃ち込まれる極細微小な針が、その身を侵していく。
 これで詰みだというのに、エルシークは歓声を上げた。

『おお、おお……っ! ついに、ついにこの時が来ましたか。 私が、私こそがコレクションに加わる時が。 それもまた一興。 コレクター冥利に尽きるとい――』

 その言葉が最期まで紡がれることはなかった。
 頭蓋を砕く異界の刀と、その身を薙ぐ護国の大太刀によって凍結した体が微細な欠片へと砕け散る。
 微かな星明りを反射してきらきらと降っては骸の海へと還っていく中で、小さくため息がこぼれた。

「まったく、とんだ変態コレクターだったわね」

 こうしてまた一つの事件が幕を下ろした。
 蒐集された物や命が還ることはない。 だが、これ以上は失われることもない。
 そこにはきっと、大きな意味があったのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月02日


挿絵イラスト