7
白日の返礼

#サムライエンパイア #もりのくまさん #妖怪・猪子槌

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
#もりのくまさん
#妖怪・猪子槌


0




●山中
「おなかへったくまー」
「ごはんがみつからないくまー」
「くまー」
「急にごはんがなくなったくまー」
「おかしいくまー」
「くまー」
「くんくん……いいにおいがするくまー」
「人のにおいくまー」
「くまー」

●グリモアベース
「熊退治を頼める猟兵さんは居ないっすか! サムライエンパイア行きっす!」
 戦争に勝利したばかりだが、猟兵を呼ぶ声は絶えない。今日も威勢の良い声がグリモアベースに響く。集まった猟兵たちに香神乃・饗は説明し始める。

 とある山の麓の村に、じねんじょをつかった饅頭を作っている和菓子屋がある。
 山でじねんじょを掘って作っているのだが、今年に入ってからは和菓子職人が掘る前に掘らてしまっていることがあり、収穫量が減っていた。山に人が入った気配はないので人が盗んだ訳ではない。和菓子作りに影響が出始めたので、その日は思い切って山奥まで探しに行ったのだという。

「そこで運悪く熊に遭ってしまうっす」
 熊も腹を減らせていて、菓子職人を食おうと襲いかかった。熊と遭遇した和菓子職人は森を抜け逃げのびたのだが。
「また、運が悪かったっす。森をぬけた先は崖だったっす」
 放っておけば熊に食われるか、崖から落ちて命を落とすだろう。今から向かえば助けに入ることができる。
「和菓子職人を助けてあげてほしいっす」

 時間は午前中だ。森を抜けた所に熊が数匹、その前に和菓子職人、その背には崖が迫る。熊の後ろに移転するという。崖は猟兵たちが戦っても崩れることはない。
「その熊、迫力はないんっす。ぬいぐるみみたいなもふもふふわふわな奴っす」
 しかも「くまー」と間のぬけた声で鳴くのである。人の言葉を喋る熊、つまりは普通の熊ではない、オブリビオン『もりのくまさん』という。
「めっちゃんこ腹を減らしてるっすから、食べ物で気をそらせることができるかもしれないっす」
 現場はいつもは実り豊かな山だという、腹をすかせた熊が居るのも違和感があるのだが……。行けば理由が解るかもしれない。

「そういえば、猟兵さんたちホワイトデーのお返しはもう用意したっすか? まだなら今のうちに用意してはどうっすか?」
 和菓子職人を助ければ菓子を作ってもらえるかもしれない。
 ホワイトデーはすぐそこだ。料理ができるなら職人に教えて貰って饅頭を作ってみてはどうだろう? 不得手なものでも白い饅頭に食紅や絞り羊羹で字をかけば言葉を形にできる。
 無論、ただ味わいに行くのもいい。作りたての饅頭はシンプルな味だがふわふわで美味しい。

 ここまで説明した饗は、ぱんと両手をあわせ梅のグリモアを発動させる。
「じゃ、熊の後ろの正面にどーんとご案内するっす! 猟兵さん、準備は良いっすか?」


ごは
●2月27日(水)午前8時30分~プレイングを受付します。
 ホワイトデーの準備はいかがですか? 3月14日までに完了を目指します。想いをこめた贈り物をしてみませんか?

 第一章:集団戦、第二章:ボス戦闘、第三章:和菓子作りです。プレイングは全て採用する予定です。ホワイトデーと銘打っていますが、男性だけではなく女性も是非どうぞ。

 最初にいただいたプレイングが流れないように執筆を始めます。
 マスターページ、もしくはツイッターで執筆開始日を告知しますので参考にご覧になってください。

 チームで参加したい場合は【グループ名】もしくは【相手の呼び名・fから始まるID】を冒頭にご記入ください。

 皆さまのプレイングをお待ちしています。宜しくお願いいたします。
35




第1章 集団戦 『もりのくまさん』

POW   :    もぐもぐたいむ
戦闘中に食べた【鮭 】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    たべちゃうぞ! 
【ある日、森から 】【現れた熊が】【かわいい顔に似合わぬ鋭い爪の斬擊】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    みんなあつまれー!
【くま 】の霊を召喚する。これは【くまぱんち】や【くまかみつき】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

コノハ・ライゼ
……緊張感ドコ
まあイイや、食いモンで気を引けるならオレの出番ってね

先ずは熊の気を、つう訳で林檎をぽいと投げ込んで
ホラ、まだまだ美味しいモンがあるヨ?
林檎ちらつかせつつもう一方の手には紙バケツに盛った竜田揚げ
しっかり香るようにんにく醤油をきかせた自慢の品
こーゆーのもあるケド食う?
誘いながらじりじり後退し職人サンから熊を離そう
その隙に職人サンは誰かが保護してくれると信じて

上手いコト誘き寄せれたら、食べるの待って攻撃仕掛けようか
容赦はしねぇケド腹ペコのままよりはネ
敵数分に【月焔】分散し撃ちこんで
近付いた敵には「柘榴」で『傷口をえぐる』ように斬りつけるヨ

腹ペコ熊が出た理由、調べたらわかるかな?



「おいつめたくまー!」
「おにくーくまー!」
「くまー!」

「……緊張感ドコ」
 とても緊迫した状況なのだが、熊の間のぬけた声を実際に耳にしたコノハ・ライゼ(空々・f03130)は思わず溜息をもらす。
「まあイイや、食いモンで気を引けるならオレの出番ってね」
 まだ猟兵たちの存在は気づかれていない。片手で弄んでいた林檎を熊の群れに放り投げた。

「いたいくまー!」
「なんだくまー!」
「くまー! (きょろきょろ)」
「「「りんごくまー」」」
 ごすっと頭に1頭に命中し、混乱した熊たち。だが、投げ込まれたのは待ち望んでいた『ご飯』だ。しっかり食いつき、奪いあう。

「ホラ、まだまだ美味しいモンがあるヨ?」
 声をかけると、熊たちの視線が一斉に集まる。
 右に、左に林檎を振りながらじりじり後ろに下がると、熊たちも目で追いながらじりじりと迫る。

「こーゆーのもあるケド食う?」
 紙バケツにてんこ盛りに盛った竜田揚げをどん!

「「「つられないくまー!」」」
 熊たちは一斉に駆け寄り、クマも! クマも! と竜田揚げに群がる。
 台詞と行動が一致しないのも無理はない。この竜田揚げはカリっとサクッと揚げたて! 料理上手なコノハの自信作だ。濃厚な肉と油の匂いに加え、アクセントに使ったにんにく醤油の香りがぶわりと広がる。かみ締めた瞬間に鶏肉のあぶらが口の中に広がる奴! 空腹な熊たちに堪えられるわけがない。完全に竜田揚げまっしぐら。
 お陰で菓子職人との距離は十分稼げた。

「(その隙に職人サンは誰かが保護してくれる)」
 救助に向かう猟兵の姿を目の端で確認しながら、熊たちに向き直る。食べている今が騙し討ちの好機だ。
「(容赦はしねぇケド腹ペコのままよりはネ)」
 この飯はせめてもの手向け、お代は命でいただこう。
 ご飯に夢中の熊たちに気づかれないように静かに冷たき月白の炎を呼び、方々に撃ち込む。

「くま?」
「くまー??」
「あっちっちっくまー!」
「もえてるくまー!」
「くーまー!」
 ご飯を食べるため密集していた熊たちに、みる間に燃え広がり一面が月白の炎に染まる。転がり火を消そうとするもの、崖から転落してしまうもの、悶え苦しみ阿鼻叫喚。

「みんなあつまれー! くまー!」
 炎を浴びてなお動ける熊が呼び声をあげると、燃え尽きた熊や崖から落ちた熊から靄がたちのぼり集う――まるで魂がその熊に取りつくよう。
「くーまー!」
 ぱわーあっぷ! と、言わんばかりに胸を張る熊。だが、見かけは変わらずあまり強そうには見えない。
「くまぱんちくまー!」
 ぶんぶんと腕を振り回すようにコノハに爪が襲い来る。避けた際にかわりに穿たれた大岩が軽く砕ける、威力は本物だ。

 避けるだけでは如何にもしようがない、左爪を軽く身を捩って避け、右爪を掻い潜り一息に間合いをつめる――風が左頬を掠めるのを感じたが痛みはない。
 懐に入り込めばナイフの間合い、一体型ナイフ『柘榴』で腹を切りあげ、手の中で軽やか転がし逆手に持ち替え再び傷を深く抉るよう切り下ろす。
「ぐあああーくまー……」
 確かな手ごたえと共に腹が裂け、どうと倒れる音が響く。そして最期まで緊張感のまったく無い鳴き声だけが耳に残る。

 真紅に濡れた石榴を血振るいし、さっき風が撫でた頬を親指でこする。傷は浅い。
「腹ペコ熊が出た理由、調べたらわかるかな?」
 答えはきっと森の中だ。その前にもうひと仕事、目前の熊の森を片付けなければならない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジンガ・ジンガ
アラやだ、くまちゃんカッワイー!
夕飯は熊鍋ってのも充分有りじゃんよ?

それにしても、この蜜柑うっめェわ
――ってコトで、オスソワケしたげるねェ?

★SPD
【先制攻撃】ってコトで
持ってきた蜜柑を適当に何個か【投擲】
気ィとられてくれたら【だまし討ち】のシーブズ・ギャンビット
オマケにショットガンで【2回攻撃】のプレゼント

相手の攻撃は軌道をしっかり【見切り】
【フェイント】かけて他の【敵を盾にする】ことで回避

もしかしなくても
俺様ちゃんのコト食えるとか思ってんのカシラ、この畜生
イヤだわ、テメェが食われる側に決まってるっしょ!
それか、大人しく共食いでもしとけっての

くまちゃん片付けたら、職人ちゃんの無事確かめよーね



「アラやだ、くまちゃんカッワイー!」
 ジンガ・ジンガ(塵牙燼我・f06126)は黄色い声をあげていた。見かけは本当に可愛いくまなのである。
「夕飯は熊鍋ってのも充分有りじゃんよ?」
 軽薄に言葉をつむぎながらも、手にした蜜柑を皮ごとひとかじり。
「それにしても、この蜜柑うっめェわ――ってコトで、オスソワケしたげるねェ?」
 悪戯っぽい笑みを浮かべ、熊の群れに向かい鋭く幾つか投擲する。
「あいたたくま!」
「くまー?(きょろきょろ)」
「「「みかんくまー!」」」
 夫々見事に命中した。潰れたみかんもあったがその甘い匂いの元は腹を減らした熊たち念願のご飯だ。たちまち争奪戦が始まる。この混乱は騙し討ちには絶好の好機だ。

「もう一つごちそうしたげるねェ」
 双つのダガーが餌に食いつこうとする口を正確に射抜く、そこに散弾の雨を重ねてプレゼント。
 目を、顔を、首から上を潰しつくされ、声もなく絶命する熊。

「なんだくまー!」
「おこったくまー!」
「くまー!」
 騒ぎの元――ジンガを漸く認識した熊たちは、ギロリと睨みつけ、鼻息荒く向かい来る。
 ジンガはぶんぶん振り回される爪の軌道を確認しながら避け続けていたが、なにぶん数が多い。あっという間に包囲されてしまった。
「もしかしなくても、俺様ちゃんのコト食えるとか思ってんのカシラ、この畜生」
 嫌な予感に苦笑いを浮かべる。恐らくその想定は――。
「「「もっとごはんくまー!」」」
 大当たりであった。いただきまーすくまー! と、堰がきれたようジンガに殺到する。

「イヤだわ、テメェが食われる側に決まってるっしょ! それか――」
 だがこれはジンガの狙い通りであった。爪の射程を見切り、追い詰められたとみせかけるフェイント。

「大人しく共食いでもしとけっての」
 迫り来る爪をギリギリラインを見極めてすり抜け高らかに宙に跳び体を半回転、熊の包囲陣外に軽々着地していた。
 冷たく言い放ったその背では、フェイントを理解できず盾がわりにされ、互いの爪で切り裂きあった熊たちが地にひれ伏すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天秤棒・玄鉄
 饅頭、良いねえ。肴にちょいと……って暢気に構えるのは早えな。

 んで、なんだ。腹減ってんのか。
 魚を、流し売り七道具の紐をエラに通して持ってくとするか。
 巧い事気が逸らせたんなら、職人に話でも聞いて見るかね。

 さてだ。
 殴る気も失せる愛嬌だが、人肉食らおうってのはいただけねえ。ちいとばかし痛い目見てもらうぜ。
 攻撃に合わせて【武器受け】からの【早業】【力溜め】『喧嘩棒術、崩』で、反応装甲の如く【衝撃波】で【カウンター】、職人達を【かばう】ように(【激痛耐性】)動く。

 コイツらが食いあぐねた理由てなあ、なんだろうかいな。
 旨い饅頭のためだ、ちょいと調べてみようかい。



「饅頭、良いねえ。肴にちょいと……って暢気に構えるのは早えな」
 天秤棒・玄鉄(喧嘩魂・f13679)群れる熊の背を眺めていた。だが、饅頭を手にいれるまえにひと仕事だ。

「くんくん」
「魚のにおいくまー」
「くまー!」
 好物の匂いに気付いた熊たちが振り返る、らんらんと目を光らせ見つめる先は天秤棒『玄鉄写し』の先。流し売り七道具の紐につりさげられた魚だ。
「なんだ。腹減ってんのか。欲しいなら、くれてやる。ほーらよっ!」
 森にむかって投げると、熊も! 熊も! と、ドタドタ走りついていく。他の猟兵たちもそれぞれ持ち込んだ食べ物で熊を誘導していた。その甲斐あって菓子職人から熊の意識は完全にそれ、やすやす到達できる道が出来ていた。その道を抜ける。

「おい、生きてるか?」
「は、はい、なんとか。……ありがとうございます、助かりました」
 採掘道具を背負った中年の男が頭をさげる。件の菓子職人だ。
 転んだのか全身土にまみれで、あちこちに擦り傷を負っているが、命に関わる傷はなさそうだ。
「で、なにが起きたんで」
「私も何のことだかさっぱりわかりません。突然、熊が出て逃げていたらこのありさまです」
 話を聞くだけでは謎は解き明かせなかったが、ひとまず無事は確認できた。
 職人を連れて移動することも出来るが、身の安全を保証できる逃げ場の心当たりがない。
 ここを護りきれば己の後ろは安全地帯だ、このまま事態の収束までここに居て貰おう。崖から落ちないように言い含める。

 「さてだ」
 あとは、この場をおさめるのみだ。熊に向き直る。
 群れの混乱はひと時で、猟兵たちの攻防をすり抜けご飯を求めて崖のほうにも戻り始めていた。
「殴る気も失せる愛嬌だが、人肉食らおうってのはいただけねえ。ちいとばかし痛い目見てもらうぜ」
 天秤棒を構える。それを合図と受け取ったのか熊が駆け出し迫りくる。
 ぶんと首に向け振り下ろされる爪を天秤棒を斜め後方に倒して受ける、ガンと重い振動が棒ごしに腕に伝わる。愛嬌があっても熊には変わりない、その力は確たるもの、力同士のぶつかり合いだ。胴に向けての更なる爪の追撃を斜交いに振り受け流す。
 再び振り下ろされた爪を跳ね上げ気味に受け流し勢いを殺さず突っ込み喉元に一突き。唸り声をあげる喉元にしっかり食い込ませたままぐっと力を溜め『喧嘩棒術、崩』を発動させる。
「そら、仕切り直しだ」

――ッドオオオオオオオォォォン!!!

反応装甲が爆発するが如くの破裂音が鳴り響く。猛烈な衝撃派が熊を空高く跳ね上げ、そのまま崖から墜落させる。
強力かつ超高速な突きが繰り出されたのだが、熊には理解出来ていないだろう。仕切りなおす間もなく吹っ飛んでしまった。
「さ、次はドイツだ」
挑発する様に担いだ天秤棒でトントン肩を叩いて群れを眺める。
コイツらが食いあぐねた理由は全て片付けた後に調べてみようかいと考えつつ、次の熊と対峙するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐久間・嶺滋
……人的被害を出される前に、駆除するしか無いか。

くまの霊は比較的近接攻撃に偏っているな。ならば視界と機動力を奪おうか。
【サイキックブラスト】を放ち、なるべく複数個体を巻き込む。
電光で【目潰し】をしつつ、【マヒ攻撃】【呪詛】を乗せる形だ。
巧く相手が怯んだら、【暗殺】を仕掛ける。
遠ければ『影葬楔』の苦無投げ、近ければ『千変万化の葬影』の大鎌形態で斬り捨てる。

「腹が減ったか?だからと言って……人間を、襲っていい道理は無いぞ?」
「人の味を覚える前に骸の海へ、行き着くと良い」

※アドリブ可



「……人的被害を出される前に、駆除するしか無いか」
 同行している猟兵たちが与えた食べ物に群がる熊たちを眺め、佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)は溜息をもらす。
 自然を愛する者として動物を討つのは忍びないのだが、猟兵たちが与えたご飯を食べ尽くせばまた人を襲うかもしれない。このまま捨て置けないものだと己に言い聞かせた。
 まもなく一部の熊と猟兵たちとの交戦が始まった。その動きを観察し、考察し、対策を練る。

「(くまの霊は比較的近接攻撃に偏っているな。ならば視界と機動力を奪おうか)」
 到着してすぐ茂みに身を隠したお陰でまだ気付かれていない、このまま討ち取ろう。気配を消して木陰伝いに撃ち込み易い位置に移動する。
 両掌にサイキックの力で沸き起こした高圧電流を溜め狙いを定める。
「腹が減ったか?だからと言って……人間を、襲っていい道理は無いぞ?」
 刹那、一面が白く包まれた。裁きの雷の如く眩い光が熊の群れを貫く。
「しびしびしびれるくまー」
「あばばばばばくまー」
「くまー」

 感電し体をびくんびくんと震えさせる熊、呪詛にのまれのたうちまわる熊。
 密集していたため、熊たちのほぼ全体を包み込むほどに効き目が現れていた。
 ショックで絶命したものもいるようだが、まだ息のあるものもいる。
 黒い影を苦無『影葬楔』に変えて、念で投擲する。苦無の雨が熊たちを貫き、息の根をとめていく。
 雨を免れた熊たちがもたもたと動き始めようとした、その時に。
「人の味を覚える前に骸の海へ、行き着くと良い」
 黒き影の鎌が翻りその首を、命を、刈り取っていく。
 霊を呼び集める間もなく熊のたちは絶命した。呆気ない決着ではあるが、猟兵たちの力の積み重ねによる圧倒的な作戦勝ちである。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『妖怪・猪子槌』

POW   :    どっかーん!
単純で重い【不思議な木槌】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    不幸になーれ!
【不思議な木槌を振ること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【不運なこと】で攻撃する。
WIZ   :    とっつげきー!
自身の身長の2倍の【うり坊】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御狐・稲見之守です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【2章のOPは3/5中に追加いたします。追加次第プレイングを送って頂いて構いません。もう少しだけお時間を頂きます。】
「やっと来たか! 待ちくたびれたぞ、人の子!」
 猟兵たちが熊との戦いを終え、助け出した菓子職人を森の際まで連れ出した頃、少女が森から顔を覗かせた。
 目を輝かせうきうきと踊る心を隠さずに、猟兵たちと職人の前にその姿を現す。手には大きな木槌を携えている。
「わしか?わしは神じゃ! この山の福の神『猪子槌』じゃ! どうじゃ、驚いたじゃろ!」
 誇らしげに胸をはり、きらきら輝く笑顔で言い放つ。
 地元のものなら知っているのではと、猟兵たちが尋ねると職人は首を横にふる。
「知りません。こんな山神さまの話は、聞いたことがありません」

「そうか……、そうか、知らぬか。人の子よ、『忘れた』な」
 その言葉を聞いた少女の表情は見る間に曇り、睨みつけてきた。その瞳は寂しげな光に揺れている。
「人の子は忘れよるんじゃ、わしがどれだけ人の子を愛でてやっても……」
 ぶんと大木槌を一振りし、猟兵たちと職人に突きつけるよう構える。
「もう何もやらん! 幸も、土地も! 全部、ぜーんぶ、のうなってしまえばえぇんじゃ!」
 叫びとともに、陽が落ちたような怪しい気が辺りを包みこむ。
 このまま無事に帰してくれそうにない、戦いは避けられないようだ。
 山の神というならこの山のことに詳しいかもしれない。最も、事情を聞いても答えてくれる保証は無いのだが。
化野・那由他
妖怪も神も根源は同じ。和霊か荒霊か、それが問題ね。なにか事情があるようだし、神を名乗るならそう遇しましょう。
掌に載るサイズの奇書を開き『仍て件の如し』で回避しつつ話を聞き出そうと試みます。情報収集、第六感、戦闘知識、コミュ力を活用。
「荒ぶる神よ。どうか鎮まり給え……!」
「山は痩せている様子。何が起こったのかお聞かせ下さいませんか?」
戦闘は避けられないでしょう。話を聞いたら奇書の別の頁を開き『叢原火』で属性攻撃、全力魔法、破魔を駆使し木々を焼かないよう操作して鬼火を飛ばします。
「私は人の側に立ちます。飽くまで暴れるというのであれば、力を以て鎮めるのみ……!」

※アドリブ歓迎です。会話等もご自由に!



「(妖怪も神も根源は同じ。和霊か荒霊か、それが問題ね。なにか事情があるようだし、神を名乗るならそう遇しましょう)」
 事情がわからないまま刃を交えたくはない、化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)は前に進み出て呼びかけた。
「荒ぶる神よ。どうか鎮まり給え……!」
「何用じゃ、猟兵よ」
「山は痩せている様子。何が起こったのかお聞かせ下さいませんか?」
「決まっておろう、お灸をすえてやったんじゃ。こうでもせんとわしの所に来んじゃろ。実りを貰うたなら、礼を言いに来るのが筋じゃ。
 前はよう来とったんじゃ、えぇ子じゃったのう。じゃが、ぱったりと来んようになった。それでも、わしはずっと待っておったんじゃ」

 誰かが通っていたというなら、失伝してしまったのではないか。護るものの命が尽きれば、忘れ去られてしまう。
 那由他は菓子職人を目の端に捕らえた。その瞳は寂しげに揺れ、かつて失ったモノ、空白の頁が脳裏をよぎる。
 たとえ、記憶から消え去ったとしても、そこにある事実は変わらず赦されるものではない。怒りを鎮めるにはそれ相応の代償が必要となるだろう。
 それでも猟兵として護るべきは――。

「私は人の側に立ちます。飽くまで暴れるというのであれば、力を以て鎮めるのみ……!」
「そうか、猟兵よ。ならば――此れまでじゃ、不幸になーれ!」
 過去は埋まらなくとも、未来を埋めることはできるのだ。那由他は奇書を開き、宿る力を解放した。
「先を視ること件の如く」
 解き放つ頁は『件』、未来を見通す妖の力がその身に宿るのを感じる。
 猪子槌の木槌が振り下ろされ、不幸にも開く頁を間違え色とりどりの閃光があがり本ごと爆散する像がみえた。
 呼ぶつもりであった頁をとりやめ、ぱらりと空白、何も起きない未来の頁を呼ぶ。
「其の未来、消すが如く」
 10秒後の未来がかき消える。改めてぱらりぱらりと奇書をめくる。
「燃え盛ること業火の如く」
 呼び出したのは、猪子槌が炎に包まれている頁だ。ぼうと灯った叢原火が猪子槌を轟と包む。森を焼くことはなく猪子槌だけを焼く、まるで苦悶に悶える妖から宿る魔を祓うが如く燃えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジンガ・ジンガ
そりゃ、忘れるっしょ
ヒトの命は儚いモンよ、死んだらソコでぜーんぶオシマイ
カミサマんコト、知ってるヒトが死んだらアウトっしょ
ねェ、『ずっと』ってどンくらい?

まァ、別に俺様ちゃん、このコに同情もクソもねェから
フッツーに【だまし討ち】の【先制攻撃】狙うけどね
ゴメンねェ、俺様ちゃん基本的にカミサマとか信じてねェからァー!

相手の攻撃を【見切り】ながら
【フェイント】も使いつつ【武器落とし】を狙い
隙が出来たら、さっさと【2回攻撃】を叩き込む

アイジョーがキチンと返ってくるとかさァ
そう思ってるコト自体が間違いなんじゃない?
注いだ相手が、元気いっぱい幸せそうに過ごしてンなら
それでイイと思うけどね、俺様ちゃんは、さ



「水よ来るのじゃ!」
 木槌をふると、燃え盛る炎を打ち消すよう滝のような水が降り猪子槌を包む。水が晴れる頃、ダガーの雨が猪子槌を襲った。
「ぐっ……何をするのじゃ、猟兵よ」
 避け損ねたダガーが猪子槌の左腕に刺さる。それを引き抜き、捨てながら睨みつけてくる。
「ゴメンねェ、俺様ちゃん基本的にカミサマとか信じてねェからァー!」
 てへぺろこつーん♪ジンガ・ジンガ(塵牙燼我・f06126)は、にやにやと笑みを浮かべるものの、内心穏やかではなかった。
「(神を相手どるナンて聞いてねェ)」
 絶対的な力を前に恐怖心を裏返し、染み付いたツクリモノの笑みを浮かべていたのだ。

「そりゃ、忘れるっしょ。ヒトの命は儚いモンよ、死んだらソコでぜーんぶオシマイ。
 カミサマんコト、知ってるヒトが死んだらアウトっしょ」
 語りながらダガーを投げつける。そうして、軽々しく放り投げた言葉は己にも刺さる。
 死ねば全てが終わるのだ。だからこそ今まで必死に抵抗し、生き抜くために己を磨いて生きてきた。

「随分と白状じゃの、猟兵よ。忘れられた神がどうなるか知っておるか。その様子じゃ知らぬのじゃろうな――さぁ、不幸になーれ!」
 猪子槌がぶんと木槌を振ると、不幸にも突風が吹き投げたダガーがジンガに向けかえってくる。
「わ! あっぶネ!」
 半身を捻って避けると、先ほどまでジンガが居た場所にトトトンっと小気味よい音とともにダガーがつき刺さる。
 この含みのある言葉、忘れられれば死ぬとでもいうのか。例えそうだとしても、このコに同情もクソもないのだ。――いま生き延びる為には。

「ねェ、『ずっと』ってどンくらい?」
 懲りずにもう一度ダガーを投げながら問う。ジンガの言葉も止まらない、まるで不安が漏れぬよう心をおさえる蓋のよう。
「もう、忘れたのう。もう一度、不幸になーれ!」
 ふたたび木槌が振り下ろされ、またもや不幸にも突風が巻き起こり投げたダガーが戻りジンガを襲う。流石に二度は避けきれなかったのか、その身にダガーを受け吹き飛ばされる。
「木々が芽吹き、栄え、実り、眠り、幾度となく繰り返しおった。そのうち数えるのを辞めたのじゃ。もう、数えるのもだるうてのう。じゃが、ついさっき目が覚めたのじゃ。――っ!」
 猪子槌が目を見開く、木槌を握る左手に深々とダガーが刺さっていたのだ。力を失った手から木槌がゴロンと音をたて地に落ちる。

「アイジョーがキチンと返ってくるとかさァ、そう思ってるコト自体が間違いなんじゃない?
 注いだ相手が、元気いっぱい幸せそうに過ごしてンなら、それでイイと思うけどね、俺様ちゃんは、さ」
 倒れたはずのジンガが、服についた土をぱんぱんと払いながら飄々と立ち上がっていた。
 実は飛来するダガーの軌道を読み両手で受け止めていたのだが、そのまま再び投げたとしても当てられないことは容易に推測できた。全ては油断を誘うためのフェイントだ、倒されたフリをしながらダガーを投げ返していたのだ。
「礼儀が……なってないぞ、猟兵よ」
 その言葉は問いかけへの答えか、手を貫かれたことに対してなのかはわからない。否、考える必要もないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メグレス・ラットマリッジ
忘れられた神様なんて一度死んだのも同じですよ。
それも分からず、みっともなく歩く死者を弔おうとする事の何が無礼だってんですか!
誰も覚えてないから疫病神デビューって人は貴方の道具ではありません!

初撃に手斧を投げつけ、なるべく視界に入らぬよう木々を縫いながら距離を詰めます。
そのまま接近戦を挑み【見切り】や【マヒ攻撃】で牽制
隙が出来れば得物を地面突き刺しUCを発動、決定打を狙います。



 猪子槌は落とした木槌を拾おうとまだ無事な右手をのばしかけ――止まる。その手が掴むはずだった宙を黒い手斧が割る。
「忘れられた神様なんて一度死んだのも同じですよ」
 メグレス・ラットマリッジ(襤褸帽子・f07070)の声が迫る。風をきる気配に、猪子槌は体を捻り足を蹴り上げ応じる。斧の刃と下駄の歯が交錯する。
「それも分からず、みっともなく歩く死者を弔おうとする事の何が無礼だってんですか!」
 ギリギリと鳴る刃と歯、互いの気の持ちようをあらわすかの如く、譲らず押し合う。
 過去に存在し死んだというなら、今ある姿はオブリビオンに違いない。
 この山を護っていたという存在が世に災いをもたらす前に葬ることも一つの解決法だ。
「力で挑むというか、猟兵よ。ならば受けてたつのじゃ」
 交わる瞳はどこか寂しさに揺れているようにも見えた。だが、流されるわけにはいかない――目の前のものも含め、全ての幸せを護るために。
 猪子槌はその身に斧の刃を受けないよう脇に流し、身を屈めて足を払う。メグレスが退いた隙をついて、木槌を拾いなおす。

「さぁ、不幸になーれ!」
 木槌がぶんと振り下ろされ幸せを刈り取る風が吹く。だが、そこにメグレスの姿はなかった。
「どこじゃ?」
「ここです!」
 今までの戦いを見ていたメグレスは視界に入ると不幸が襲うのではないかと見切り実行したのだ。そこに不幸は訪れず、風は空しく吹き抜けていた。
 木の陰から不意をうつよう飛び出してきた斧を木槌が受ける。続いて、間髪入れず袈裟に斬るのを木槌が流す、再び斬る、流す……二人の応酬は続く。利き手を失ったのが響いているのか、刃を受ける手が徐々に緩みじわじわと猪子槌を追い込めているように思えた。決めるなら今だ。
 斧を力任せに振り下ろすと、ついに受け流し切れなかったのか猪子槌は木槌をもっていかれ少し体勢を崩す。それを見逃す訳もない、すかさず雷杖を討ちこむ。
「誰も覚えてないから疫病神デビューって人は貴方の道具ではありません!」
 バリっとはじけるような音とともに、猪子槌の身がびくんと跳ね動きをとめる。
 確かな手ごたえを感じたメグレスは雷杖を地に突きたて己が血を注ぎ裁きの雷を呼ぶ。これで全てを終わらせよう。
「ゴートゥヘル!!」
 メグレスを中心に全周の地に雷の波動が貫き抜ける。その範囲にあったものは全て短い音を残し動きをとめていた。焦げた匂いが周りに漂う。
 猪子槌も例外ではなかった、その紫電に貫かれ荒い息をあげていた。まだ息があるのは、流石というべき生命力だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仲佐・衣吹
オルタナティブ・ダブルで分身に僕ことベストが
本体にオレことサーベルが入って
福の神とか名乗ってる迷惑なガキンチョをぶっ飛ばせばいいんだよな

あの子の攻撃が厄介だね
僕が対峙している間にサーベルに後ろへ回り込んでもらって
不幸攻撃と同時に奇襲してもらおう

存在が忘れられなくなること――寿命が怖いかい?
君が残したものは君自身だけでなく
山の恵みを受けて育った動植物や村人もそうだ
君が愛したものが逞しく連綿と紡がれてゆく
それは間違いなく君の功績だ

そろそろ代替わりの時期ってことだ
アンタも忘れられるほど長い間に歳食ったんだよ
そりゃオレらの言葉で未来を任せるって言うんだ
アンタが育てたヤツらはヘナチョコばっかなのかよ



 雷に討たれ、動きをとめた猪子槌に仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)は穏やかに話しかけた。
「存在が忘れられなくなること――寿命が怖いかい?」
 柔和な笑みを浮かべる好青年、衣吹のなかに住んでいる多重人格の1人、ベストだ。
「どうじゃろうな、猟兵よ」
 多重人格はふとした切欠で人格が消える場合もある。つまり、唐突に死を迎えることもあるのだ。
 忘れ去られたら跡形も遺さず簡単に消えてしまう神という存在と近いのかもしれない。
「君が残したものは君自身だけでなく、山の恵みを受けて育った動植物や村人もそうだ。
 君が愛したものが逞しく連綿と紡がれてゆく。それは間違いなく君の功績だ」
 人格が例え消えたとしても遺せるものはある、この『衣吹』のなかにも。

「褒めてくれるか、猟兵よ。じゃがな、違うのじゃ」
 猪子槌は寂しげに頭を横にふる、きっぱりとした否定だ。
「猟兵よ。
 礼を欠いたらどうするのじゃ。
 ものを貰うたらどうするのじゃ。
 それすら解らんのか、なげかっぐっ……」
 猪子槌の胸に唐突にルーンソード刃が生える。衣吹はもうひとりの自分を呼び、猪子槌の死角からの奇襲を頼んでいたのだ。宿っていたのは武器の扱いに長けた戦闘狂のサーベルだ。
 木槌を警戒してのことだったが、易々と目標を果たすことができた。猪子槌の体にはもう動く力は残っていなかったのかもしれない。
「そろそろ代替わりの時期ってことだ。アンタも忘れられるほど長い間に歳食ったんだよ。
 そりゃオレらの言葉で未来を任せるって言うんだ。アンタが育てたヤツらはヘナチョコばっかなのかよ」

「猟兵よ、そうじゃ。人の子は儚く、脆く、弱きものじゃ。言葉すら話せんのじゃ」
 喉からひゅう、と溜息のような息が漏れた。猪子槌は寂しげな笑みを浮かべ、近づきつつある運命を受け入れたかのように語り続ける。
「未来を任せる、か。愛してやるものがのうなってしもうたら、どうなってしま……じゃろうか……」
 徐々に声は弱まり、微かな嘆きが風に溶け去る。こうして猪子槌は躯の海に還っていった。
 猪子槌が求めたものとは、一体何だったのか。謎を残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『季節の行事』

POW   :    体力が尽きるまで全力で楽しむ

SPD   :    イカサマを辞することなく楽しむ

WIZ   :    効率よく無駄なく全てを楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【3章のOPは3/10中に追加いたします。追加次第プレイングを送って頂いて構いません。申し訳ございません、もう少しお時間を頂きます。】

 周囲を探索してみると石を積んでつくった小さな塚のようなものと洞窟が見つかった。
 その洞窟内には、じねんじょなどの山の幸が置かれていた。猪子槌が悪戯に集めたものかもしれない。

 和菓子職人とともに村に戻ると、すぐさま今後の相談が行われた。
 塚のある辺りにお社をたてて奉り、二度と忘れないよう語りつぎ護っていこうという話にまとまった。
 これからは山が荒れるかもしれないのだが、礼を忘れた報いを受ける覚悟をきめたのだ。

 そして、お社に供える和菓子を作る為、猟兵たちが助けた和菓子職人が腕をふるうこととなった。
 世話になった猟兵たちにも和菓子が振舞われる。
 簡素なものだが茶席が用意された。周りには、のどかな田園風景が広がり菜の花が咲く。眺めてのんびり過ごしてみるのはいかがだろう。

 和菓子職人が作る饅頭は、じねんじょを入れた白い生地を蒸しあげて作った皮で餡を包んだものだ。ふわふわした食感が楽しめる。作りたては一層ふわふわ感が増す。
 餡は、頼めば蜂蜜漬け金柑などにも変えてもらえる。また、皮だけでも素朴な味で美味い。

 菓子作りに興味があるなら、職人に習って作ってみるのはいかがだろう。
 料理が不得手なら、仕上がった饅頭に食紅や絞り羊羹で文字を書けば自分が作ったものになる。それも無理なら職人に伝えれば形にしてくれるだろう。
 ホワイトデーは間近だ、ここでお返しを用意するのも良いかもしれない。あなたは忘れていませんか?

【プレイング受付中です。ご参加お待ちしております】
●フラグメントの選択肢は行動の一例です、選択肢にない行動でも構いませんご自由にどうぞ。なお、アイテム発行は行いません。
●3/12までにプレイングを頂ければ3/14に間に合うよう執筆を進めます。3/13に頂いた分は3/14以降のお返しになるかもしれません。
朱鳳・智優利
【WIZ】 【桃☆灰】
レージ! お菓子だって☆
ちうりんね、洋菓子覚えたから、和菓子も覚えたいの!!!
え、お勉強? 違う違う、これもなんか作った覚えあるんだよねー。
レージは前世のわたしに作ってもらったこととか……あ、いや。
えへへ☆なーんでーもないっ!

覚えがあるなら食べたら思い出すかもじゃん?
食べて覚えよっ♪
ほらほらレージも!!!!!

――って、これ何? え、バレンタインのお返し……?
ほわっ!! そ、そうかホワイトデーーーーーー!!!
ちうりんすっかり忘れてたよ。
ありがとっ☆ 中身は何だろうな―。今開けてもイイ?
(中身を見る)
ちうりんこれ、大切にするねっ☆
よし! じゃあおなか一杯になるまで食べるか!


佐久間・嶺滋
【WIZ】 【桃☆灰】
……お菓子なー。いや作らなくは無いけどこういうのあんまりやらんよなぁ、って。
饅頭とか自分で作ることあまりないしこういう機会には良いかなって。
……昔作ってもらった?
……そうだっけ(なんともない振りをしてわざとすっとぼける)
確かに食べたら思い出すかもしれないが……どうなんだろう(一抹の不安)

お腹いっぱい食べるったって限度もある気がする……んだけど
いやこの饅頭美味しいからやりかねないのが怖い……

バレンタインのお返しもこの場で返すけれど、
中身はちうりのみぞ知る……と言う辺りで。



 朱鳳・智優利(異世界転生したら邪教の教祖兼変身ヒロインにされた件・f01245)は、佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)の腕に自分の腕を絡ませ、寄り添いながら厨房を眺めていた。
「レージ! お菓子だって☆ちうりんね、洋菓子覚えたから、和菓子も覚えたいの!!!」
 甘えるように見上げながら頼み込む。
「饅頭とか自分で作ることあまりないしこういう機会には良いかなって」
 良い勉強になるだろうと、嶺滋も賛同する。
「え、お勉強? 違う違う、これもなんか作った覚えあるんだよねー。
 レージは前世のわたしに作ってもらったこととか……あ、いや。えへへ☆なーんでーもないっ!」
「……昔作ってもらった? ……そうだっけ」
 てへぺろっとごまかす智優利に、顔色ひとつ変えずとぼける嶺滋だったが実は思い当たる節があったのかもしれない。
 時折、混ざる前世の記憶――世界の闇、己の闇と戦いながらも、愛し合った学生生活の日々。赤い糸で結ばれた2人は再び現世で出会った。この2人であればこその秘め事だ。
「覚えがあるなら食べたら思い出すかもじゃん? 食べて覚えよっ♪ほらほらレージも!!!!!」
「確かに食べたら思い出すかもしれないが……どうなんだろう」
 更にとぼける嶺滋だったが、その脳裏に一抹の不安がよぎる。智優利の味覚といえば――。

 そうこうして、二人の和菓子作りは始まった。
 とくに智優利は職人とひけをとらないどころか職人顔負けの見事な手腕で饅頭を作り上げていった。
 前世の経験が生きたのかもしれない、現世でも菓子作りの才に恵まれているのだろう。
 紫芋を使い生地をピンク色に染め上げ、丸めた生地を二つ繋げてかわいくハート型に仕立てて蒸しあげた。ふわふわハート饅頭の完成だ。
 食べて食べて♪と智優利が差し出した饅頭からは、良い匂い――蒸したての米粉のふんわり甘い香りが鼻腔をくすぐる。いたって普通だ。ぱくりと一口食べてみる。
「美味しい」
 口から毀れるのは素直な感想と安堵の息。ふわふわとした生地、甘い餡の味が口の中に広がり、とても美味しい饅頭だった。
 智優利の好みからは外れているはずだが……。刺激的なものが混ざらないように職人が配慮してくれたのかもしれない。

「忘れないうちに、ちうりに」
「――って、これ何?」
「バレンタインのお返しだ」
「え、バレンタインのお返し……? ほわっ!! そ、そうかホワイトデーーーーーー!!!」
 さりげなく差し出された包みはバレンタインのお返しだ。
「ちうりんすっかり忘れてたよ。ありがとっ☆ 中身は何だろうな――。今開けてもイイ?」
 うきうきと袋の中身を覗き、目を輝かせる。篭められた想いは智優利だけが独り占め。
「ちうりんこれ、大切にするねっ☆」
 袋ごと嶺滋をぎゅっと抱きしめて、溢れんばかりの輝く笑顔を嶺滋に向ける。
「よし! じゃあおなか一杯になるまで食べるか!」
「お腹いっぱい食べるったって限度もある気がする……んだけど」
 目の前に聳え立つのは甘い愛が篭ったハートの山。
 嶺滋は「(この饅頭美味しいからやりかねないのが怖い……)」という言葉を飲み込み苦笑した。
 この後二人はめちゃくちゃ食べつくした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジンガ・ジンガ
はーい!
俺様ちゃん、ホワイトデーのお返し作りまァす!
団地のご近所さん達とかから、チョコとか貰ったからさァ
返礼はダイジよね、我ながらマジ律儀ィ

中身はフツーの餡でイイかな
えーと……くれたヒトらが、ひい、ふう、みぃ……
お世話になってるし、大家ちゃんにもあげよ
あとはー、いつもアリガトってことで、友達ふたりの分も

あ、ハチミツって喉に良かったっけ
一人分だけ、蜂蜜漬けの金柑に変えて作ろ
これは、喉がダイジな友達用!

仕上がった饅頭に
皆用はシャーマンズゴーストの顔
友達用には三角形書いたら
ハイ、完成!

そーだ
塚にも一個、オスソワケしよっか
ちょっとした気まぐれってヤツよ
添える言葉は……そーね、

恵みを、ありがとう



「はーい!俺様ちゃん、ホワイトデーのお返し作りまァす!」
 横ピースウインク☆ジンガ・ジンガ(塵牙燼我・f06126)の笑顔がキラリと光る。
「団地のご近所さん達とかから、チョコとか貰ったからさァ、返礼はダイジよね、我ながらマジ律儀ィ。で、どーすりゃイイの?」
 旅団の皆に返すのだと、菓子職人に作り方をたずねると丁寧に教えてくれた。
 欠かさず鍛錬を続けてきたジンガの指先はとても器用なものだった。すぐさまコツを掴み、みるまに生地を作りあげた。
 あとは中身をつめるのみ。中身用には漉し餡、粒餡にくわえて、白餡、抹茶餡、ゆず餡などの多数の餡や、蜂蜜漬けの果実などが作業台に並べられていた。
「中身はフツーの餡でイイかな」
「飴ですか。蒸したら溶けて無くなってしまいますので、ちょっと待ってくださいね」
 ひんやりと冷たい茶色がかった飴の粒を出してくれた。キャラメルのようなものだ、蒸しても蕩ける程度で済むのだという。
 イイじゃないのと上機嫌で受け取り、早速作業に入る。
「えーと……くれたヒトらが、ひい、ふう、みぃ……お世話になってるし、大家ちゃんにもあげよ。あとはー、いつもアリガトってことで、友達ふたりの分も」
 指さし数えながらその数分の飴を確保し、くるくると皮で包み込む。
「あ、ハチミツって喉に良かったっけ」
 思い出したのはかの君、グリモアを持つあの姿。
「これは、喉がダイジな友達用!」
 蜂蜜漬けの金柑を包み込む、一つ限りの特別品だ。まるめた饅頭を蒸し器に預けると暫くして甘い匂いが漂ってきた。そろそろ良い頃合だ。
 蒸し器をあけると蒸気の海のなかから、ふんわり蒸しあがったおいしそうな饅頭が顔を覗かせた。

 飴入饅頭にはシャーマンズゴーストの顔、金柑饅頭には見慣れた色の筆をもって三角を描く。
「ハイ、完成!」
 俺様ちゃんよくできましたと、満面の笑みをうかべ両手をぽんとあわせる。
 ふと見るとまだ手付かずの白い饅頭が余っていた。作りすぎたのだろうか。
「そーだ。塚にも一個、オスソワケしよっか。ちょっとした気まぐれってヤツよ。添える言葉は……そーね」
 すらすらと筆をはしらせる。書き上げた文字は――。
『恵みを、ありがとう』

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴北・誉人
「よし、饗、行こうぜ!」
饗と遊ぶヤツが他にもいるなら混ぜてもらう

ホワイトデーなァ…チョコくれた人たちにお返しだなァ…違う、そんなんじゃねェ!世話になってる人たちだよ!
で、饗は?プレゼント返す相手はいんのか?(ニヤニヤ
(イヤそうにしてるなら無理強いはしないけど、絡みにいく)

金柑の蜜漬けに変えてもらった饅頭は俺が食う
餡子の入った白い饅頭に「感謝」って食紅で書いてもらって、これをプレゼントにしよう
俺はそういうのに向かないっつーのはわかってるから、ずっと和菓子屋の手元見てる

「ほい、饗」
作ってもらったばっかの饅頭のひとつを渡して
「饗にはいっつも世話ンなってっからァ……(照れ)あー、これからもヨロシクな」



「よし、饗、行こうぜ!」
「いいっすよ! 和菓子職人さんに突撃っす!」
 鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)と香神乃・饗は菓子職人に頼みごとをしていた。というのも、少し前にこういうやりとりがあったのだ。

「ホワイトデーなァ……チョコくれた人たちにお返しだなァ……」
 誉人はきょろきょろと周りを見渡しそわそわしていた。照れているのだろうか。
「鳴北さんは彼女さんにお返しするんっすか?」
「違う、そんなんじゃねェ! 世話になってる人たちだよ!」
 怒気を孕んできっぱりと否定する誉人を、饗はニヤニヤ笑って青春っすねーっと冷やかす。
「で、饗は? プレゼント返す相手はいんのか?」
「うっ……! うー……いるっす」
 反撃だといわんばかりに肩を抱き誉人が聞き返す、今度は饗が慌てる番だ。
「ヘェ、饗も捨ておけねェなァ、どんな奴だ」
「そ、そうっすね、い、いっぱい、いっぱいいるっすから答えきれないっす!」
 完全に目が泳いでいる、その辺にしたほうが良いだろう。素直に言えないのはきっと哀しき男のプライドだ。

 そうして2人が頼むと、すぐさま作業が始められた。芋を摩り下ろすさま、粉を混ぜるさま、どれをとっても職人の手付きは洗練されたもので無駄がない。幾ら眺めていても飽きないものだ。
 誉人の熱心な視線に気付いた職人がやってみないかと声をかけたが、向いてないと断わる。柄ではないと言うことだろう。プロに作ってもらえば間違いない仕上がりになる。
 暫くして、待望のふかしたての饅頭が手元に届けられた。

「んめェ」
 ひとくち齧ると、皮がふわっと溶け甘酸っぱい金柑の味が広がる。
「ほい、饗」
 饗の手にぽんと置かれたのは『感謝印の饅頭』だ。白饅頭に食紅で感謝と書かれている。
「饗にはいっつも世話ンなってっからァ……あー、これからもヨロシクな」
 饅頭を食べながら、チラッチラッと目線を送り告げた言葉は感謝の言葉。
「わあ、良いんっすか! じゃあこれお返しっす!こちらこそ、いつも有難うっす!また遊びにいくっす!」
 目を輝かせ饗は誉人の掌に3体置き返す。絞り羊羹で瞳と嘴を描いた白い小鳥の一口饅頭だ。
 チィチィピィピィ鳴きはしないが、その愛らしい瞳力は相当のもの。じっと誉人を見つめあげる。
「んだよこれェ、反則だろぉ!」
 湧き上がる歓喜の声。友情の花が咲き誇る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・那由他
「忘れ去られることによって荒神と化した……祭祀を怠ったのが原因だとすれば典型ね」
お社に赴き、職人さんに教えてもらい拵えた和菓子を供えましょう。那の印が描かれた御饅頭とか。
「ただ感謝の気持ちを伝えて欲しかっただけなのかも知れないわ」
人が死ぬのは落命した時ではなく、忘れられた時。神や妖の類も同じね。認識され語られることによって彼等は存在し得るのだから――というのは、ええ、自説だけれど。過去から蘇る災厄に縛られてもいけないし、過去を完全に切り捨ててもいけない……。
「何を言おうとも過去は変えられないわ。もし負い目を感じるなら、よりよい未来を形作ることね」
と村人を励まします。

※アドリブ歓迎、ご随意に!



 化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)は、戦いの後に発見した塚に赴いていた。
 社を建てる話が決まったばかりなので、まだ何もない場所である。

「忘れ去られることによって荒神と化した……祭祀を怠ったのが原因だとすれば典型ね」
 先に訪れた者がいたのだろう、すでに饅頭が一つ供えられていた。その隣にお手製の那がかかれた饅頭を供え、手をあわせた後ゆっくりと語り始めた。
「ただ感謝の気持ちを伝えて欲しかっただけなのかも知れないわ」
 推測が正しいかは解らない。猪子槌が伝えたかったことは語られることはない、答えられるものはもういないのだ。
 居合わせたもの、話を聞いたもの、それぞれが頭を悩ませ答えを導きだしている。きっと、それで良いのだ。

「人が死ぬのは落命した時ではなく、忘れられた時。神や妖の類も同じね。
 認識され語られることによって彼等は存在し得るのだから――というのは、ええ、自説だけれど」
 ぱらぱらと奇書の頁をめくり、眺めながら語る。
 人は伝え残すために絵を描き、文字を書き、本を作りだした。
 那由他自身に記された夫々の頁がそのモノたちの命の証だ。さしずめ那由他は《存在の守り人》と言えるかもしれない。
 そう、自身が実感できても、他者に受け入れられるとは限らない。ヤドリガミならではの悩みだ。

「過去から蘇る災厄に縛られてもいけないし、過去を完全に切り捨ててもいけない……」
 白い頁を指でなぞる。そこにある空白は何もなかったことにはならない。
 一つ一つ乗り越えて、過去を未来に繋げる、それが生きるもののつとめだ。

「何を言おうとも過去は変えられないわ。もし負い目を感じるなら、よりよい未来を形作ることね」
 静かに奇書を閉じ、立ち上がる。
 まだ饅頭を作っている猟兵もいるだろう、用事が済むのを待つ間に村人を導くことができるかもしれない。
 よりよい未来を作るため、手伝えることはないかと思案しながら那由他は塚を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月15日


挿絵イラスト