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本日は邪神降臨のため、休館とさせていただきます。

#UDCアース

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#UDCアース


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「ん、なんだ?2時間かけて来たってのに開いてないのか……」
 ある街、その近くでは名の知れた美術館。
 趣のある西洋建築の外観。ガラス扉の中央には、このような張り紙が貼り付けてあった。

『誠に勝手ながら、施設老朽化のため数日の間休館とさせていただきます。』

 不運な客が踵を返したのと同じ頃、美術館の中で男の声が反響する。
「死を削ぐものよ、私に永遠の時を与えたまえ……!」
 男は一枚の絵画の前に跪き、縋るようにまた声を上げる。
 赤黒い獣の骨のような物体と風化した大地。見る者の精神を蝕むような色合いと筆遣いのそれは、天に並ぶ星と呼応するかのように鈍く光を放った。

「そろそろかな……?集まってくれたこと、感謝するよ。悲劇を引き起こさないために、キミたちに解決してほしいことがあるんだ。すまないけれどあまり猶予もない、ボクの話を聞いていてね。」
 少女、メリッサ・アルキミア(真理至善の花蜜・f04328)は或る絵画を崩したような写しを広げると、猟兵達に予知の内容を告げる。

「UDCアースの或る街に存在する美術館、そこには邪神召喚の祭具と目される絵画が存在していたようなんだ。今キミたちが見ているのはそれを写したものさ。精巧でないのは祭具としての効力を持たせないためだよ。だけど、その絵画が運び入れられて数日もしない内に美術館は老朽化を理由に休館になった。」
 記録によれば、直近の点検で設備についての問題は見つかっていない。この予知の結末から考えても、UDC組織の介入から逃れるための休館と見て間違いないだろう。

「そして、星辰が揃った時。この予知の終わりは、冒涜的な姿のオブリビオンが現れたところで途切れてしまったんだ。美術館の館長さんが呪文のような何かを口にすると、その体から黒い靄が溢れて……」
 完全に顕現するより前に阻止をしなければ、猟兵といえど討伐することは極めて困難だろう。
 となれば目的は一つ。予知の内容に介入し、オブリビオンの完全な顕現を阻止することだ。

「阻止のための潜入についてだけれど、休館の状態だし、真正面からとなると少し難しいかな。建物に攻撃を加えるのも、無関係な人を巻き込んでしまうかもしれない。」
 誰も傷つかないように。そう言うと彼女は、その可能性を提示した。
「予知では職員の人たちは美術館内にいたんだ。設備に問題はないし、美術品の管理をしなければならないからね。そして、彼らは邪神のことなんて知りはしない。隠密行動なんてのもいいけれど、彼らの力を借りることでも中に入ることが出来るかもしれないね。」
 職員の避難に関してはUDC組織が協力するということだ。

 そして、潜入に成功した後には絵画を捜索する必要がある。邪神と交戦しなければいけない可能性だってある。それでも前に進むのは。
 グリモアの輝きはさらに眩いものとなり、猟兵たちの転移が始まる。

「キミたちが無事であるように、祈っているからね。」


八束爬祇
 皆様はじめまして、もしかしたらお久しぶりです。八束爬祇と申します。そして数あるシナリオの中から当シナリオに目を通してくださったことに感謝を。
 今回のシナリオでは猟兵さんたちが美術館に潜入し、邪神さんをどうにかします。よろしければ是非ご参加ください。
 皆様の物語の1ページを紡がせていただければ喜ばしい限りです。
 どうか宜しくお願い致します。
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第1章 冒険 『潜入捜査』

POW   :    気が合うふりをして仲間に入れてもらうなどの方法。力仕事でサポート。

SPD   :    見つからないように隠密に潜入するなどの方法。技術でサポート。

WIZ   :    構成員や関係者を装って潜入するなどの方法。魔法でサポート。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイリーン・ミュレット
まあ!美術品を眺めて愛でる以外の目的に使うだなんて、これは見過ごせないわね!
ここはこの超!カリスマ大怪盗アイリーンの出番かしら!

●SPD
基本は【インビジブル・ファントム】による潜入だけれど、念には念を入れるわ。

可能なら事前に職員の衣類を、クリーニングのタイミングでクリーニング工場から拝借したいわね。
透明になり続けると疲れるし完璧に存在は消せないから、短時間だけ誤魔化すためのものではあるけれど。

あとは他の猟兵の潜入に便乗できそうならそれも。
もし透明化が有利で余裕があったら味方への助けも出せるかしら?
ともあれこういうのは私得意よ。ふふん。
・アドリブ歓迎
・結果に悪影がない範囲でのドジやミス歓迎


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携歓迎】

邪神を呼ぶ絵、ねぇ。
時が来るまでは無事なんだろうけど、
逆に言えばタイムリミットがあるって事だろ?
なるべく迅速にこなさないとねぇ。

休館でも職員がいるなら、食事は大事だよな?
職員の人に出前を持ってきた業者に『変装』して潜入を図るよ。
本人にお代を貰うためとか理由をつけて
館内を案内してもらいながら、
途中でこっそりと【影の追跡者の召喚】を発動。
あらかじめ館内の見取り図くらいは見せてもらえるんだろ?
影の追跡者をこっそりとモニタールームへ移動させて、
おかしな挙動を映しているカメラや
不自然に角度が変更されてるカメラがないか……
他にも不自然な点がないか探す。

情報は他の猟兵と共有するよ。


ジニア・ドグダラ
他に一般の職員の方々がいる以上、あまりこの件には関わりを持たせるべきではないと判断し、美術館に見つからないよう潜入します。
探索者としての経験を活かし、あまり人通りの多くない箇所から侵入します。館内は美術品の少ない場所や職員通路などの【地形を利用】し、【目立たない】よう行動します。
奇妙な既視感や【第六感】で人の気配を察知したら、天井の梁や扉の真上、通気口などへワイヤーフックを使用して【クライミング】して潜伏してやり過ごします。
絵画自身や館長さんからは邪神関連の干渉や呪詛などがある可能性がありますので、【呪詛耐性】で耐えつつ感知して探っていきたいと思います。

※アドリブ・他者との協力歓迎


ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
美術館だね。
行った事ないからちょっと楽しみ。
初めての美術館が潜入っていうのはちょっとどうなのかなって思うけど。

というわけで私はこっそり裏口や人目につかなさそうな場所から潜入するね。
道具の『ウエストポーチ』に入ってる鍵開けの道具やハッキングの道具を使って、監視カメラに細工したりドア開けたりと、こっそり入り込むよ。
見つかりそうになったら『ワイヤーフック』や『マント』を使ってやり過ごしたいな。
こういうのドキドキするね。


暁・エリカ
美術館に侵入か…事を荒立てず、穏便に行きたいね

侵入には私の眷属達を使おう
まずはUCで【大量の狐達】を召喚し、その中から子狐を数匹、職員が出入りする勝手口に向かわる
勝手口の周りで何かしら音を鳴らさせて職員を呼び出す、職員が出てきたら狐達に身動きを封じさせてその間に侵入しよう

封じると言ってもじゃれつかせて遊んでもらうだけなんだけどね
子狐達に職員と遊びたさそうに【誘惑】させて遊びだしたらこゃーんこゃーんと一匹、また一匹と狐の数を増やし、大量の狐達に癒やされてる間にこっそりと侵入だ

内部に入ったら【失せ物探し】をしつつ周囲を探るため【聞き耳】を立てるよ

アドリブ・絡み歓迎



 今より数刻前、アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)は盗みに入っていた。狙うは怪盗らしく莫大な富か、はたまた宝石か。

 否。彼女が手にしたそれは汚れ一つない、クリーニング直後の美術館の職員用制服だった。
「ふふん……流石私ね!これで抜かりはないわ!」
 彼女は上機嫌で制服に袖を通すと、あくまで優雅に件の美術館へと向かった。

 そして現在。アイリーンは美術館の扉を前にして、自信に満ち溢れた笑みで呟いた。
「怪盗を名乗るなら、このくらい造作もないわ。」
 それと同時に、彼女の姿がそこから消え去った。
 しかし彼女は確かにそこにいる。ユーベルコード、インビジブル・ファントムによる透明化。
 言葉通り、怪盗の名は伊達ではない。
 不可視のまま、ガラス越しに館内の様子を窺う。人影、無し。扉を開き、美術館内に潜入する。
 インビジブル・ファントムの持続には疲労が伴う。アイリーンは透明化を解除し、邪神顕現阻止の一歩を踏み出す。
「おや、あなたは……?」
 踏み出さんとした時、静寂に包まれていた正面入り口に声が響く。
 入口からの死角、角から現れた職員に、不運にも見つかってしまったようだ。
「あた、私ですか?!」
 焦るアイリーンに職員は優しく語りかける。
「ああ、落ち着いてください。その制服を見るに、新しく入られた方ですよね?」
 それを聞いて安堵した彼女は、不自然でないようにこう返した。
「はい、アイリーンといいます。これからよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく……おや、来客ですかね。職員玄関に行ってきますね。」
 彼はそう言って奥へと走っていった。その足音は遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。かくして、怪盗は美術館へと潜入したわけだ。

 職員玄関に現れた来客。それは猟兵、数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)だった。
 手にした岡持ちは、彼女が出前であることを示していた。そして誰かが注文をしたことも。
 軽やかにバイクから降りると、集まった職員に向かって溌剌として話しかける。
「毎度あり、芋煮軒だよ!美味しくできたから、気に入ったらまた注文してくれると嬉しいよ。」
 誰が頼んだか。そう話している職員たちに、多喜はこう問いかけた。
「あー、電話の主は館長って名乗ってたねぇ、出来れば本人に支払ってもらいたいんだけど、案内してくれるかな?」
 それなら、と職員はそれを快諾し、多喜を連れて館内を歩き出した。その道中、多喜から離れ動き出すものが一つ。

 影の追跡者。それはユーベルコードにて喚び出された声なき協力者。それは見取り図の通りに館内を渡り、モニタールームへと忍び込む。
 映像では、カメラの角度などに不自然な点は見当たらなかった。また、邪神の絵も確認はできず。映像は、特筆するとすれば館長が地下階段付近で視認できた程度か。
 影の追跡者が得た情報は、じきに猟兵たちに行き渡るだろう。
 それを感知した多喜は職員に向けてこう伝えた。
「ありがとさん、館長室の場所は大体分かったからあとは一人で大丈夫だよ、仕事もあるんだろ?」
職員が引き返したのを確認すると、多喜は探索へと進む。職員たちはUDC組織が保護するだろう。

 多喜が館内に入った直後、岡持ちを受け取った職員たちは食事と言って玄関を離れていった。一人を除いて。
「俺はあんまり腹減ってないからな。部外者がいないか、ここで見張っとくよ。」
 それを物陰から眺めている影が一つ。暁・エリカ(妖狐の聖者・f06763)も職員玄関からの侵入を考えていた。
「人がいるね……でも、事を荒立てず、穏便に行きたいね。」
 そう言いながら彼女は数回瞬きをし、そして鳴いた。
「こゃーんこゃーん」
 すると美術館、その周囲の草叢から、かわいいきつねがどんどんでてきた。
 『狐がいっぱい出てくる』、正しくその名の通りだ。
 まばたきはしたものの目は特に関係なかった。

 そうしてエリカは現れた狐の中から子狐を何匹か職員玄関へと向かわせた。
「んー……なんの鳴き声だ?動物なんて珍しいな。」
 都会とも言い難いがそれほど田舎でもない。職員は少し怪訝そうに庭を見やる。
 その目に映ったのは子狐だ。あまり馴染みもないその動物が目の前にいたのだ。
「かわいいな……こんなに近くで見られるなんて夢か?」
 誘惑などしなくても、既に職員は子狐の虜だった。一匹、また一匹と増える子狐達に包まれた職員をよそに、エリカは館内に立ち入ることに成功した。
 侵入地点付近に絵画は無し。しかし物音もなく、そして何者かがいる気配もなし。探すのなら絶好の機会だろう。少女は美術館の奥へと歩を進めた。

「もしも、があってはいけません。巻き込まないために、見つからないよう潜入した方が良いでしょう。」
 時を同じくして美術品搬入口。平時では職員でさえ近づくことは少ない。
ジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)とルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)は共に、文字通りの潜入を選んだ。
「美術館だね……行った事ないからちょっと楽しみ。」
 どこか和やかなことを言いながら、扉を調べるルエリラ。
 搬入口には、いくらか古い型の電子的なロックが掛かっていたものの、ルエリラがウエストポーチから取り出したハッキングツールの前では、それも形無しだった。
 開錠された扉を前に、生き物の気配を探る。たとえ気配がなかったとしても、警戒を怠ることはないように。二人は音も立てずに内部へと潜入する。猟兵としての、探索者としての経験則。

 扉の先は倉庫と職員用の連絡通路だ。発見される危険性の少ない道筋を瞬時に見つけ、それを互いに伝え合う。搬入口付近の連絡通路に異常は無し。
 館内を駆け、連絡通路を抜け、展示室へと到達する。飾られた美術品はどれも息を呑むような美しさだが、それも職員による管理がなければ風化してしまいかねないのだろう。即ち。

 不意にジニアが立ち止まる。ほんの一瞬。清潔な美術館、美しい美術品。そして現れる人影。これも、どこかで?それは直感であるのか、或いは。
「ルエリラさん、きっと職員の方が来ます。」
 ルエリラもまた、そのような直感を感じていた。
「ふっ!」
 それぞれが手にしたワイヤーフックを起動、射出し、天井の梁へとその身を引き寄せる。
 職員は何事もなかったかのように点検を始めた。どうやら気づかれずに済んだようだ。
 ルエリラはジニアにしか聞こえないよう、小さな声で呟く。
「こういうの、ドキドキするね。」

 点検の最中だろうと関係は無く、その間にも邪神復活の刻限は近づいていく。梁を伝って職員から遠ざかり、絵画や、それに魅入られた可能性のある館長を探すべく、冒涜的なそれから溢れた呪詛を感知する。周囲にはそのような反応は無く、ならばさらに先へと進むのみ。
 隠蔽魔術のかかったマントで身を隠しながら、二人は徐々に、より呪詛の強い方向へと向かう。
 自らの経験で得た、これが、『私』に出来ること。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『狂気の美術館の探索』

POW   :    美術品が壊れるのもお構いなし。力ずくで探す。

SPD   :    鍵がかかっている所などを、片っ端から器用に解除して探す。

WIZ   :    注意深く観察する。隠された仕掛けなどを見つけ、探す。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 影の伝令が館内の猟兵に伝わる。また、誰かが辿り着いた先もそこだった。地下倉庫、もしくはその周辺。乱雑に積み上げられた箱が明かりに照らされ、階段の上からでも視認できるようになっていた。施錠されたいくつかの置き場、その箱の一つ一つ、そこに何があるのか。猟兵たちは未だ知らない。
アイリーン・ミュレット
思ったより職員が居たわね、なら悠長にしている余裕はないわ。
カリスマ大原則一つ!獅子は亀を狩るにも全力になるべし。
というわけでちょーっと本気、出しちゃおうかしら!
●探索
【カリスマ大怪盗の本気】を使ってサクサク調べていくわ。
寿命?そんなものより今を美しく華麗に生きることの方が大事よ。(カリスマどやぁ
あたしの美学に賭けてターゲットは見つけ出してみせる。

足音や人の気配に注意して見つからないようにしながら、片っ端からあらゆる鍵やソレっぽい仕掛けを確認しては解除していくわ。
調べたら元に戻すのは忘れないように、だって潜入がバレるのは怪盗として美しくないもの。
存在に気づかれずにことを運ぶ、怪盗としての重要点ね


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携歓迎】

うわぁ……こういう頭使いそうなシーン苦手だわー……。
仕方ねぇ、アタシはサポートに回るよ。
【超感覚探知】のテレパス能力で、
猟兵の皆の通信確保をする。
これで、話し声を出さずに作業に没頭できるだろ?
近くに敵さんがいても、どういう話をしてるか聞かれないだろうしね。
で、もしテレパスに余力があるなら、
周囲の箱の中に精神活動反応がないか…
もしくはテレパスに反応するような何かがないか調べるよ。
透視はできないし罠を解除できるような手段もないけど、
それくらいはお手伝いしたいもんだねぇ。

……ま、本当は地下倉庫付近のまがまがしい思念を拾いたいよ。
でも変に勘付かれるとまずいから最後の手段だね。


暁・エリカ
次は探索か、こういうのが得意な子は…アイツらだな

また狐を召喚して探しものをするよ
次は大量に呼び出したりしないで少数精鋭、【チベットスナギツネ】と【管狐】(アイテム)の二匹に探させるよ
スナギツネとは視覚や聴覚を共有して、怪しい物の嗅覚を辿ったり仕掛けを探させたりさせるよ
管狐は【失せ物探し】が得意なんだ、美術品の隙間や隠し部屋などがあれば潜り込ませよう

私は絵の後ろとかを丁寧に探そうか
後はこの二匹が悪戯や物を勝手に持っていかないように監視しなければな…
有能だけどよくやるんだ

アドリブ・絡み歓迎



「うわぁ……こういう頭使いそうなシーン苦手だわー……仕方ねぇ、アタシはサポートに回るよ。」
 数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)は声色の通りの表情でそう呟いた。
 しかし、だからといってただ時が満ちるのを待っているわけもない。ユーベルコード、超感覚探知に現れるようなテレパス能力。それを用いて通信手段を確保する。
 距離、手間を無視し、情報の秘匿を行えるそれは絵画捜索の大きな助けとなる。
 連絡経路を確保した後、彼女も捜索へと移行する。
 相手は邪神の関わる絵画。異様な精神活動をしていたとしても不自然ではない。多喜は周囲に向けてテレパスを投げかける。反応があったとすれば、それは。
 しかし、多喜の脳内を包み込んだのは静寂だった。周囲に絵画やそれに類する祭具は存在しないようだ。しかしこの行為は徒労に終わるわけではない。
『こちら多喜、あたしの方にはないみたいだよ。』
 即座に猟兵たちへ報告をする。全ては邪神を止めるため。全ては他の猟兵への信頼の上。

『了解、私はこっちを探すよ。』
 応答したのは暁・エリカ(妖狐の聖者・f06763)。
 辺りを見回し、捜索する場所に目星をつけると、協力者を喚び出すための言葉を紡ぎだす。
『"我が目に変わり、我が望む物全てを見透し給え"…頼んだよ』
 詠唱が終わると、特徴的な風貌の狐がそこに現れる。エリカはさらに竹筒を取り出すと、それの封を解く。その中から現れるは管狐、身の丈僅かな狐の精。
 エリカが合図を出すと、二匹の狐は倉庫内を捜索する。そこで眠っている美術品たちをまじまじと見つめ、対象を変えてもう一度。それを繰り返す。
 エリカはいくらか絵画が密集した場所にいた。彼女がそれを調べていると、声のなかった倉庫内に小さな鳴き声が響く。管狐によるものだ。
「なにかあったのかな……?」
 また物を勝手に持っていこうとしているのか、そう考えていたものの、それは杞憂だった。エリカが声のもとへ辿り着くと、積み上げられた箱に隠されていた部屋を発見する。これは意図的なものか、或いは。
『こちらエリカ、隠し部屋を発見したよ。鍵が掛かっているみたいだね、開錠が得意な人は向かってくれるかな。』

 そう言うや否や、アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)がそこに現れる。
『カリスマ大原則一つ!獅子は亀を狩るにも全力になるべし。というわけでちょーっと本気、出しちゃおうかしら!』
 いくら人の出入りが少ない地下倉庫とは言え、職員が現れる可能性が0であるわけもない。彼女の言葉に間違いはない。
 その一言を切っ掛けに、アイリーンの雰囲気が変わって映る。それは彼女の目指す美しく完璧な自分に相違ない。
 カリスマ大怪盗の本気。それが寿命を削るものだったとしても、何より優先すべきものがある。美しく、華麗に。まさに今の彼女そのものだ。
 気配を殺し、隠し部屋の鍵、その開錠に取り掛かる。とは言え彼女の手にかかれば、この程度は造作も無いことだ。
 小さなその部屋の中には金庫があった。怪盗はその錠すらも外していく。
 中から出てきたのは古びた装丁の本だった。開いてはならない。一目で邪神に関係すると理解できる、ただただ禍々しい本。地下倉庫に絵画がある。それはもはや疑いようがない。
『こちらアイリーンよ、隠し部屋にて祭具と思しき本を発見したわ。付近を捜索してみるのもいいわね。』
 アイリーンはすぐさま部屋をもとあった状態へと戻す。潜入したことが露見するのは美しくない。これもまた、彼女の美学に基づいたものだ。
 一切の失敗もない。カリスマ美少女怪盗は、華麗に任務を遂行した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジニア・ドグダラ
流石にこの山の中から探り当てるのは、少々骨が折れますね。

頭の中にロクデナシの別人格たちを宿し、相手が隠していそうなところだけでなく、探られていたいと思われる場所も探りましょう。出血や毒へは手持ちの薬【医療】【激痛耐性】で耐えていきましょう。
少なくとも邪神を呼び寄せようとする者や呼び出される美術品が、善悪はどうであれ真っ当な精神やモノを持っているわけがありません。漏れ出た【呪詛】を【追跡】しながらある程度のあたりをつけて美術品と館長を捜索していきましょう。
地下倉庫という事もあり薄暗いこともありますが、【暗視】や【第六感】で見落としが無いようにしながら行動しましょう。
※アドリブ・他者との協力歓迎


ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
夜になると展示物が動き出す映画とか見た事あったの思い出すね。それに怪盗もののアニメや漫画みたいでワクワク。
とりあえず面白そうだから手当たりしだい怪しい所を調べてみよう。

行動としては、見つからないようにコソコソ気を付けながら探索探索。
『第六感』で怪しい鍵がかかっている部屋を探して、前と同じ道具で『鍵開け』や『ハッキング』で解除してから、中に絵画がないか調べるよ。
ついでに展示物に棺なんかがあれば、こっそり開けてみても面白いかも。中になにがあるかって気になるよね。下手したら邪神より怖いのがあったり絵画が隠されてたり…流石にないねー



『わかった、私がその周囲を探してみるね。』
 アイリーンの報告を受け、ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)が隠し部屋周辺へ辿り着いた。
 過去に見た映画やアニメを思い浮かべながら、倉庫内を探索する。上機嫌で、それでも息を潜めながら歩く彼女の目の前に、鈍い光が浮かび上がる。
 それも展示品だったものか、正体は棺だった。階段から差し込むわずかな光を受け、その不気味さが際立って見える。そしてそれが、ルエリラの好奇心をくすぐらないはずもなかった。
 周囲を確認しつつ、棺の蓋を開ける。鬼が出るか蛇が出るか。はたまた亡霊でも現れるだろうか。
 しかし、棺の中に佇んでいたのは、ある種期待外れとも言えるものだった。
 棺なのだから当然ではあるが、それは人の死体だった。だが何故か、それは極めて奇妙な状態だった。
 現代のものとは思えぬ服装だというのに朽ちもせず、腐敗すらしていないようだった。まるで、生も死も忘れたように。
 邪神に関与するものか、不明瞭ではあるが、自然でないのに変わりはない。彼女は即座に猟兵たちにそれを伝える。
『ルエリラだよ、奇妙な棺を発見、この近くは怪しいかも。』
 ルエリラは、その気味の悪さを隠すように捜索を続けた。

『了解、捜索区域を変更します。』
 ジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)もまた、報告のあった場所へと移動する。
 呪詛を辿り、薄暗い道を歩み続ける。
 邪神を止めるためなら、この程度。そう言い聞かせ、自らの中に更なる人格を宿す。それはロクデナシな大きな力。どこからか血が滴り、衣服を赤黒く濁す。視界が赤く滲む。されど、自分を見失わないように。激しい痛みに苛まれながら、鎮痛剤を飲む。私は私で、私じゃないのだから。
〈推測するのも良いですが、館長に直接問い詰めた方が早いのではないですか?〉
 そう言って、なにをするかなんて分かりきっている。
《部外者の出る幕ではない。職員を利用すれば良いのです。交渉はお任せを。》
 職員たちは使い捨ての駒なんかじゃない。
[誰が死のうが何一つ関係ない。止めたい者のみ止めればよいのです。]
 だとしたら、それは。
「それは私です。私が止めたいと思っているからここにいます。」
 それがどう聞こえたのか、またもロクデナシの声がする。
《……人が大切なものを秘匿するとき。今回の状況であれば、職員の目に件の絵画が触れるのは避けたいでしょう。しかし、それは不可能に近い、表面上の秘匿を除いて、ですが。》
〈付近にあるもので怪しいのは……その絵画を手に取ってみると良いでしょう。額縁に仕掛けなどはありませんか?秘匿されているとしたら……〉
 金属音が倉庫内に反響する。額縁と、「見せかけ」の絵が剥がれ落ちる。現れたものは予知の通りの。
「……感謝します。」
[あとはこの絵画を処分するだけです。さぁ、その銃で撃ち抜くのです。]
 第五人格が囁く。ジニアは死霊拳銃を絵画に突き付けた。

 それと同時に、多喜から通信が入る。
『聞こえてる!?敵さんが地下倉庫に接近していたらしい、思念の反応が殆どなくて、まるで人間じゃないみたいだ。今そっちに向かってるから、接敵の際は』
 その声を遮るように、足音が聞こえる。声が聞こえる。
「おや、こんなところに入ってきてはいけないよ?ここは職員以外立ち入り禁止でね。」
 ジニアが引き金を引く。手にしていた絵画はその衝撃で床に叩き落とされた。
「それに、床に落ちているそれは何かな?お嬢さん。……全く、いけない娘だね。」
 男は下卑た笑みを浮かべながら、一歩ずつ、一歩ずつこちらへ向かってくる。その姿に生気は感じられない。
「飽くまでも抵抗するつもりかね。まぁ良い。時期尚早、状況も最悪と言える、だがまぁ、こうなってしまったとなれば止むを得ん、召喚は可能なはずだ。」
 男は呪文を口にする。あの通りに。その体から夜よりもなお暗い靄が溢れだす。
 闇が晴れたころ、眼前に現れたそれは、その深紅の眼で不敬な者共を一瞥した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『死を削ぐもの』フートゥ・ヤグ』

POW   :    彼の邪神は不敬を嫌う
【フートゥ=ヤグに敵意 】を向けた対象に、【存在の『格』の差による重圧】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    彼の邪神は従属を赦す
【恐怖や忌避など、死に対するなんらかの 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【姿形が曖昧なフートゥ=ヤグの信奉者】から、高命中力の【フートゥ=ヤグに従属するよう唆す言葉】を飛ばす。
WIZ   :    彼の邪神は飽食を好む
戦闘中に食べた【存在の『格』 】の量と質に応じて【フートゥ=ヤグの存在が増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はグルクトゥラ・ウォータンクです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジニア・ドグダラ
これが、件の邪神ですか……『早急な処理が、必要だ』

第二人格『ヒャッカ』に切り替えつつ、【高速詠唱】で死霊術を行使します。
地下倉庫という閉所である以上、大規模な攻撃では地下だけでなく美術館の崩落する可能性があるため、自身に死霊を憑依させる程度に留めます。
【先制攻撃】のため素早く走り、死霊達の怨恨や【呪詛】によって敵の思考を混乱させ、味方の攻撃への隙を作るため【時間稼ぎ】していきましょう。
敵からの攻撃は【死霊憑依体】【呪詛耐性】【激痛耐性】で耐え、前線で敵の行動を食い止めます。寿命が削れる分や負傷に対しては、死霊達によって敵から【生命力吸収】して回復してきましょう。

※アドリブ・他者との協力歓迎


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携歓迎】

あらら、残念だったねぇ。
どうやら館長さん、最初から「あっち側」に行っちまってたか。
なら仕方ない……せっかく出てきたところすまないが、
邪神さんにゃさっさとご退場願おうか!

時と祭具が不完全な状態の召喚なんだ、
『格』も本来より下がってるだろ。
奴が信奉者を繰り出したとしても、
【属性攻撃】と【援護射撃】がこもった
サイキックの電撃で吹き散らせるはずさ!

アンタがやってるのは死からの救済じゃない。
死からの逃避を唆して、
その感情を自分の『格』の糧にしてるだけじゃねぇのかい?
そういう小物っぽいのはいただけないねぇ!
煽りに反応するかどうかは別として、
勢いのまま【黄泉送る檻】を発動させるよ!


アイリーン・ミュレット
美術品は見て敬うものよ、このあたしのカリスマ性を人々が敬うようにね!(※一部本人の空想が混ざっています)
今を最高に輝く!それがこのあたしよ!カリスマオーラに恐れおののくが良いわ!
こう見えてあたし『悩みがなさそう』ってよく褒められるんだから!(どやぁ
●戦闘
【カリスマ大怪盗の本気】で高速移動と存在感の発生や気配の遮断の切り替えで神出鬼没に敵の妨害と攻撃を試みるわ。
カリスマたるもの味方の能力も活用しなくっちゃね。

【自称カリスマの意地】で防御力を高めて味方を庇ったり【カリスマの威光】で味方を鼓舞して強化したり。
カリスマ大原則ひとぉつ!倒すべき相手を前に倒れてはならない!
・アドリブアレンジ歓迎


暁・エリカ
これが件の邪神か
黒いな…それに禍々しい、どんな被害が出るかわからないから素早く滅せよう

イズナ(扇)を広げ、出せる全ての【狐火】を展開
上空を旋回させながら敵の気を引かせること
随時、味方の攻撃に合わせて【援護射撃】として狐火を数個ずつ繰り出して敵を攻撃しよう

大きな一撃を狙うなら敵がUCを使う時だね
【存在の『格』】と言うものはわからないけど食べるのなら口を開くはずだ
開いた瞬間を【見切り】、【スナイパー】狙って、口の中に動かせる全ての狐火を送り込むよ

その他、なるべく戦闘で美術品を破壊しないように壁に延焼したら火は消すこと

アドリブ・絡み歓迎



「これが、件の邪神ですか……。」
 少女、ジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)は呟く。邪神を前に、ただ静かに。
『早急な処理が、必要だ。』
 記憶の底で揺らいだものはなんだっただろうか。
 私が為すべきことは。
 ワタシが為すべきことは。
 街に暮らす人々に、もう戻ることのできない男に、そして忌々しき邪神に。
 全てのものに、救済を。

 闇夜の如きその邪神を見て、人は恐怖を覚えるだろう。それも自然なことだ。あの邪神は恐怖の具現なのだから。明らかに人が敵うものではない。目の前に佇む姿からは、畏敬の念すら感じさせる。
「黒いな…それに禍々しい、どんな被害が出るかわからないから、素早く滅せよう。」
 暁・エリカ(妖狐の聖者・f06763)が放った言葉は、そのどちらのものでもなかった。
 それは彼女が猟兵であるという何よりの証左。それは、「恐怖」を断ち切ってこそ。

 多数は、恐怖に押しつぶされそうであれば、きっと隷属を選ぶのだ。自我など生存の足かせでしかない。そう、思うことも不自然ではないのだろう。誰にも否定などできはしない。
 多数は、希望が顔を覗かせることがあれば、きっと従属を選ぶのだ。何も変わりはしない。変わるのは結末くらいのものだ。
 人を率いる才というのは時に、人を救う才でもある。
「今を最高に輝く!それがこのあたしよ!カリスマオーラに恐れおののくが良いわ!」
 アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)は声高に宣言する。いずれ彼女を敬うかもしれない人々を守るために。そのために、悩みは不要だ。

「あらら、残念だったねぇ。どうやら館長さん、最初から「あっち側」に行っちまってたか。」
 数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)は、神に身を窶した男に語りかける。
 館長だったあの男にすでに意思は無く、そして死も生すらも存在していなかった。それこそが彼の邪神が司るもの。生物の格を奪い去り、そうでなくしてしまう。後に残るは路傍の石だ。意味もなく流れ濁った水だ。
 あの棺に横たわった死体は、邪神が過去にも不死を与えていた証だろう。
 死は、肉体だけのものではないのに。
 館長の願いは現実のものとなった。それを壊せるのは猟兵たちだけだ。

「ふふん、あたしにかかればこんなものかしら!」
 俊敏な動きで邪神の眼前に現れたかと思えば、既にその姿は消えている。
 アイリーンは邪神の攻撃を華麗に引きつける。完全な顕現ではないとはいえ、当たればただではすまないだろう。
 だというのに、猟兵に被害が及ぶと判断すれば、それを身を挺して守って見せた。
「カリスマ大原則ひとぉつ!倒すべき相手を前に倒れてはならない!」
 それを可能としたのは意地であるという他ない。

 その声に反応して猟兵たちを視界に映すと、邪神は慈悲を見せた。
 彼の邪神は従属を赦す。
 先述したように、邪神を前にして恐怖を感じるというのは無理からぬ話だ。
 人としての根底から、何にも勝る恐怖を思い知る。それはその醜悪な姿からか、或いは彼の邪神を通して、もっと根源的な何かを思い知るからか。
 いずれにせよ、それは死への忌避と切り離せるものではない。
 もしそれを感じなかったとしても、あの神と相対した時、死を想起することは避けようがない。
 途端に、邪神の周囲に黒い靄が生じる。それは慈悲深き邪神の寵愛を受けしもの。
 元の姿形は人だったのだろう。本当は、靄のような姿さえ恐怖が見せた幻影なのかもしれない。
 視界の黒が人の形を成したかと思えば、それはまた境界を曖昧にし、猟兵たちに歩み寄る。
「死を殺したくはないか。」
 一切不自然ではない、人間の声。
 それが聞こえることが不自然なことだ。
 その声は正気を蝕み、邪神の慈悲を本当のものとする。
「永遠の生を求めるのは人間として当然のことだ。」
 今は正気だとしても、いずれはきっと。

 しかし、邪神への不敬を示すように、その寵児である信奉者を紫電が切り裂いた。
「そんな不死なんてものは必要はないさ!」
 多喜の声に落胆を示すように、邪神は次の手を打つ。
 更なる辛苦を、救済を。
 彼の邪神は、不敬を嫌う。
 無礼な猟兵共に思い知らせるは格の違いだ。その双眸はなおも猟兵たちを見つめたまま。
 しかし、彼の邪神は権能の完全な効力を発揮することが出来ずにいる。早期召喚の弊害だろうか。

 その隙を猟兵たちは見逃さない。
『来たれ!再起を望む、打ち捨てられし犠牲者よ!憑依し、その願望、成し遂げよ!』
 ヒャッカは一切の狂いなく詠唱を始めると、自身の体に死霊を纏った。
 倉庫内を駆け、邪神の攻め手を鈍らせることを第一とする。
 邪神の爪が身に触れようと、奴の生命力を吸い取り、自らの傷を消していく。
「"暁を我が狐火にて染め上げん"」
 ヒャッカが撹乱をしている内に、エリカは手にした扇から幾つもの狐火を浮かべ、邪神にそれを見舞っていく。
 しかし、不敬な者には罰を与えねばならない。
 邪神は大口を開き、信奉者の残滓を食む。その格を喰らう。邪神はそうして完全に僅かに近づいていく。
 だが、それすらも攻撃の好機だ。
「この炎、迷うこと無く送り届けよう…」
 その口へ、巨躯の内側へと狐火が流れ込む。
 今の邪神には致命と言える損傷。
 本来の姿であれば、このような。

 信じ難い。自らの不利を悟った邪神は、不意をつくような速度で鉤爪を振るった。
 今までの緩慢な動作とは正反対と言える、生死を賭した一撃。
『既に生という道はない。』
 だがそれも、死への救済によって否定された。
 あとは彼の邪神に引導を渡すだけだ。アイリーンは声を張り上げる。
「怪盗たるもの、美しく華麗に生きなきゃいけないわ!それは皆同じ。それを奪い取るなんて、誰であろうと許しはしないわよ!さぁ!」
 その声に呼応して、電光が更に強さを増す。
「アンタがやってるのは死からの救済じゃない。死からの逃避を唆して、その感情を自分の『格』の糧にしてるだけじゃねぇのかい?そういう小物っぽいのはいただけないねぇ!」
 そしてそれが邪神の体を包み込むと、聖句が地下倉庫内に響き渡った。
『ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン!』
「邪神さんにゃ、さっさとご退場願おうか!」

 やがて光は収束し、邪神の姿は消え去っていた。
 生も死すらもないあの邪神を、黄泉へと送ることは出来たのだろうか。
 だが、この街を襲う危機は既に去った。猟兵たちの活躍によって。口で表せばそれだけのことだが、その生は何にも代えがたい。
 その安息に、猟兵たちは何を思っただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月06日


挿絵イラスト