グース・バン・カースは卵から
●精霊の森『天空樹』
突如として精霊の森に蔓延るは、『災魔の卵』であった。
いつ、それが寄生したのかも。いつ誰が産み付けたのかもわからない。
ただ確かなことは『災魔の卵』は『天空樹』の樹木の力を奪って『災魔化』しようとしているということだけだった。
「――……」
樹木が枯れ果て、朽ち落ちた瞬間『災魔の卵』の殻に走った亀裂より現れるのはサファイヤの如き身体を持つ狼であった。
名を『ジェムビースト』。
まるで本物の狼のように集団で行動し、しなやかに、力強く。
そして、獣の本能であろう狩猟本能に目覚め、遠吠えを響かせる。それは瞬く間に精霊の森に産み付けられた『災魔の卵』より浮かした同じ『ジェムビースト』達の耳に届いただろう。
その光景をみやり、オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』は異形なる肉体よりもたげた8つの首から一斉に声を発する。
「……俺達は遂に、呪いより解き放たれた」
長きに渡り猟書家としてアルダワに潜伏し、『災魔の卵』を利用した計画の最終段階へと至ったのだ。
「人の造りしものすべてを災魔に変える『災魔の卵』。世界中に仕込んだ888×8=7104個の卵は、俺達の呪いを解き、それらを世界同時孵化させる事」
口々に響く声はくぐもっているようでもあり、かすれているようにも聞こえたことだろう。
『ミスター・グース』の計画は恐るべきものであった。
大量の『災魔の卵』を同時に使用することに寄って無機物すべて……即ち精霊の森すべてを『災魔』……否。
「俺達は全世界に無数の「大魔王」を蘇らせる。即ち、|『大魔王無限災群』《ウームー・インフォニット・ホード》……」
そう、『ミスター・グース』はかつて滅びたはずの『大魔王』の『複製災魔』すら変換して見せるのだ。
アルダワ世界の全てで同時に引き起こされる未曾有の災害。
それこそが|『大魔王無限災群』《ウームー・インフォニット・ホード》である。その恐るべき所業を前にアルダワ世界の人々は為す術などないであろう。
そして、これに唯一対抗できるは。
「 護れるか、六番目の猟兵達よ――」
●最終決戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はついに猟書家『ミスター・グース』との最終決戦。|『大魔王無限災群』《ウームー・インフォニット・ホード》と呼ばれる未曾有の出来事……これを解決できるのは皆さんを於いて他にはないでしょう」
ナイアルテの言葉は猟兵たちに対する信頼で溢れていた。
しかし、状況はよろしくない。
オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』は世界各地で同時に『大魔王』の『複製災魔』を都市丸ごと変換することによって出現させている。
彼女が予知したのは精霊の森。
その『天空樹』に大量の『災魔の卵』が寄生し次々と『災魔』が溢れかえっている。
そして、その中央ではまさに『大魔王』が生まれようとしているのだ。
「精霊の森にて複製される『大魔王』は、多数の魔女を体内に捕らえた大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』……毒性を帯びた体表面にはかつて大魔王に取り込まれた『魔女』たちが複数出現し、その強大な魔力を使い、さらに精霊の森全域を己の身体に変換しようとしているのです」
大魔王第四形態『ラクリア・セクスアリス』は、体内捕らえた『魔女』たちの|『永劫回帰力』《エンドテイカー》を利用している。
これかかつての戦いでも確認された力であろう。
まずは精霊の森に蔓延る『災魔』、『ジェムビースト』の群れを駆逐し、中央に座す大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の元へ向かい、これを打倒しなければならない。
「私は知るよしもありませんでしたが、どうやら大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は『アルダワ魔王戦争』の記憶をわずかに有しているようなのです」
これが戦いの鍵になるかどうかはわからない。
けれど、再び撃破しなければならないことは言うまでもないことだろう。かつての戦いのように大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』が齎すのは世界の破滅。
ならばこそ、これを打倒して、さらに奥に存在するオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』を倒さなければならない。
だが、問題が一つある。
「……確かに『ミスター・グース』を倒す事ができれば|『大魔王無限災群』《ウームー・インフォニット・ホード》は停止します。ですが、『ミスター・グース』を滅ぼせるかどうかは予知出来ませんでした」
懸念材料とは言え、不穏なことである。
しかし、それでも立ち止まっている時間はないだろう。
なぜなら、こうしている間にもアルダワ世界の都市は『災魔』によって蹂躙され、複製された大魔王たちによよって滅びを迎えようとしているのだ。
「どうかお願い致します。呪いを振りまくかのごとく世界に大魔王を複製する『ミスター・グース』より世界を守ってください」
そう告げ、ナイアルテは猟兵達を見送るのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
ついにオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』との決戦になります。
『ミスター・グース』は、無機物を『災魔』に変える『災魔の卵』を無数に精霊の森の『天空樹』に寄生させ、世界の都市で同時に魔王を『複製災魔』として出現させると言う|『大魔王無限災群』《ウームー・インフォニット・ホード》を引き起こしました。
これを打倒し、世界を救うシナリオになっております。
●第一章
集団戦です。
精霊の森の『天空樹』の力を奪って次々と『災魔』たちが浮かし、『ジェムビースト』たちが膨大な数でもって皆さんの道を阻むことでしょう。
おそらく、この精霊の森の中央……『天空樹』の内部にある迷宮化した最深部に座す大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』が精霊の森全域を己の体に変換する時を稼ぐためなのでしょう。
これらを急ぎ駆逐し大魔王の元へと向かわねばなりません。
●第二章
ボス戦です。
『天空樹』内部の迷宮最深部に、多数の魔女を体内に捕らえた大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』が存在しています。
『複製災魔』として現れた『ラクリマ・セクスアリス』は『アルダワ魔王戦争』の記憶をわずかに有しており、魔女の『永劫回帰力』を利用し、精霊の森をすべて己の肉体に変換しようとしています。
この大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』を打倒しましょう。
●第三章
ボス戦です。
大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』を退け、さらに奥に座すオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』との決戦になります。
これを倒すことができれば、|『大魔王無限災群』《ウームー・インフォニット・ホード》は停止し、世界は救われることになるでしょう。
それでは世界を飲み込まんとする大魔王と、それを複製した『ミスター・グース』。その最終決戦、皆さんの活躍を彩る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『ジェムビースト』
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POW : 宝石一閃
【超高速で対象に接近した後、爪】が命中した対象を切断する。
SPD : ジェム・オーバーロード
【超高速で対象に接近した後、身体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ : スティレットレーザー改
【超高速で対象に接近した後、敵意を向ける事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【超光速で対象を追尾する誘導レーザーの弾幕】で攻撃する。
イラスト:嵩地
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
精霊の森の中央に存在する『天空樹』の内部は迷宮と化していた。
そして、その深部には蠢くようにして粘着く身体を蠢かせ、その内部に捕らえた『魔女』たちの力を使い、さらなる肉体の拡張を望む大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の姿があった。
時間が経てば経つほどに『ラクリマ・セクスアリス』は、その力によって精霊の森すべてを己の肉体に変換していくだろう。
そうなっては、世界の破滅は免れない。
「オオオオオ――!!!」
その破滅に向かう道程に在るのはサファイヤの如き身体を持つ狼『ジェムビースト』たちであった。
彼等は『天空樹』の周囲にありて来るであろう猟兵たちを迎え撃つために続々と集結してきていた。
寄生された『災魔の卵』は無機物を『災魔』へと変えていく。
圧倒的な数は宝石の洪水のように森に広がり、その青き輝きで以て寝食していくようであったことだろう。
だが、此処で止まってなどいられない。
この宝石の如き洪水よりも恐ろしき大魔王の肉体がおぞましくも『天空樹』の内部より溢れんとしているのだ。
猟兵たちは疾く、この『災魔』の群れを討ち果たし、大魔王を止めなければならないのだ――。
ニィナ・アンエノン
にぃなちゃんは宇宙生まれでアルダワ育ち。
ここは同率一位の故郷の世界、ピンチとあれば放っておけないよね!
それじゃまずは宝石のワンちゃん達をやっつけちゃおう☆
敵がいっぱいいるならこっちも味方をいっぱい呼ばなきゃね。
とゆー事でにぃなちゃん軍団、かもーん!
キャバリア達に【弾幕】を張らせたり【制圧射撃】して、爪の届く位置まで来れないようにしつつ撃ち落としちゃおう。
にぃなちゃんは後ろで控えて……と思ったけど、急がなきゃなんだよね。
最近作ったばっかりのキャバリアに乗って、皆と一緒に撃ちまくるよ!
さぁ皆、プリンセスを守りつつ前進だぁ!
……なーんて、皆は無人機なんだけどね。
まぁ気分気分!
精霊の森の中央に座す『天空樹』。
その周辺にあるのはサファイヤの輝きを放つ駆体。そう、『災魔の卵』より羽化した『災魔』である『ジェムビースト』たちであった。
疾走疾駆する姿は綺羅びやかであり、また同時に美しいものであった。
しかし、その美しさこそが世界を滅ぼすのだと知るからこそ、ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は駆けつけたのだ。
「にぃなちゃんの同率一位の故郷の世界、ピンチとあれば放っておけないよね!」
彼女にとってアルダワ世界とは、スペースシップワールドで生まれたとは言え、次なる世界。そこで育ったこと。経験したこと。
多くのことが彼女の身となり糧となっていたのだ。だからこそ、彼女はこの世界を守りたいと思うのだ。
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「オオオオ――!!!」
咆哮が轟く。
自信を敵と認識したであろうことをニィナは理解し、しかしてたじろぐことはなかった。いかに敵、即ち『ジェムビースト』たちが己に、その鋭き牙と爪を向けるのだとしても、彼女には――。
「集合!にぃなちゃん軍団!(ニィナズキャバルリー・クローズ・イン) 集合完了! とつげーき☆」
彼女の掲げた手が振り下ろされた瞬間、ユーベルコードに寄って無人の自律稼働式キャバリアの群れが出現する。
その数実に百を超え、鋼鉄の巨人たちが精霊の森を疾駆する。
構えたライフルの銃口が迫る『ジェムビースト』たちに向けられる。
「弾幕張って近づけさせなーい☆」
ニィナは『ジェムビースト』たちの爪の鋭さを知っている。触れたものを切断してしまう力は、如何にキャバリアの装甲とてひとたまりもないだろう。
ならばこそ、迫る群れを此方も数で圧倒するのだ。
「あとは後ろで控えておいて……って思ったけど、急がなきゃなんだよね☆ さ、いくよ『テンプテーション・パワード』☆」
ニィナがまたがっていたアルダワ世界の技術を取り込んだ蒸気エンジンをうならせる宇宙バイクが核となって一騎のキャバリアと合体する。
「皆、プリンセスを守りつつ前進だぁ!」
なんて、とニィナは『テンプテーション・パワード』のコクピットで笑う。
皆、と言っても無人機。
けれど、これは気分の問題だ。
いつだってニィナは宇宙プリンセス。
「コスプレだって言わないで。こういうのは気分なんだからさ☆」
彼女の号令に従うように自律稼働式キャバリアたちが一斉にライフルの射撃で『ジェムビースト』たちを駆逐していく。
砕かれたサファイヤの破片が飛び散る中、中央たる『天空樹』へとニィナは機体を走らせる。
同時多発する複製大魔王の乱立。
それが世界にどのような問題を齎すかなど今更だ。
だから、ニィナは多少強引であっても構わず前に進む。
「にぃなちゃんをこの程度で止められると思うなよー☆ ガンガンいこう☆ とつげーき☆」
その言葉と共にキャバリア達は一斉に駆け出し、『ジェムビースト』の残骸を飛び散らせながら『天空樹』の内部、その迷宮と化し、大魔王の粘着く肉体が溢れんとしている渦中へと飛び込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
サク・ベルンカステル
「なかなかに疾い!」
大魔王の復活の報せを受け己の信念が躊躇う事も許さず、すぐさま精霊の森に向かうもジェムビーストの群れと遭遇し攻撃(POW)を受ける。
己の剣技と背の随行大剣で受け捌くも超高速のヒット&アウェイ、森という木々の死角からの接近に反撃する隙を見出だせない。
「更に数が増えるだと、、、!」
手間取る間に離れた位置にいた獣達まで集まる。
これ以上は捌ききれない、そう判断するとUC空間列断(POW)を決意する。
概念にさえも届く剣技で空間という概念を斬り空間もろとも周囲の敵を断つ技。
だがその使用には一瞬の集中を要する。
動きを止めたことで獣の爪に裂かれるも
「周囲の木々には申し訳ないが、、、斬る!」
猟書家、オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の進撃の速度はあまりにも速かった。
世界各地で同時多発乱立する複製大魔王の出現。
そして、無機物……都市そのものを『災魔の卵』によって『災魔』あふれる戦場へと帰る災厄。
まさに洪水の如き様相を見せる戦いの最中、サク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし者・f40103)は己の信念をこそ信じるのだ。
そう、躊躇うことを許されることはない。
躊躇う間に生命が奪われていくことを彼は知っているからこそ、敵の迅速果断なる侵攻を食い止めるために精霊の森へと急行していた。
「なかなかに疾い!」
大剣で受け止めた爪の一撃。
その一撃を己に見舞った『災魔』、『ジェムビースト』たちが己をすぐさま取り囲む。
予断を許さない状況。
油断があったわけでもない。しかしながら『ジェムビースト』の数が膨大なのだ。猟兵たちが集まるよりも速く、この精霊の森の中央に在りし『天空樹』の力を吸い上げて『災魔の卵』から出現した『ジェムビースト』たちの数は圧倒的だった。
さらに悪いことに周囲は森。
木々の影から、枝の上から、あらゆる箇所からの強襲にサクの脚は止められていた。
「ここで足を止められるわけには」
振るう大剣の一撃が『ジェムビースト』と激突し、その駆体を破片へと帰る。
しかし、そんな彼の足を止める以上に周囲から己を射抜く殺気のこもった視線を感じる。
「更に数が増えるだと……!」
「グゥルルル――!!」
「オオオオ――!!」
咆哮と唸り声。
森に響く『ジェムビースト』たちの存在を知らしめる声は、サクを取り囲み、一切を許さぬとばかりに牙と爪とが襲い来る。
嵐のような攻勢。
さばききれない。
己の大剣。随行する刃も、これ以上は凌ぎきれない。
ならばどうするか。
答えは単純であった。これが窮地であるというのならば、これまで己が経験してきた窮地は窮地の中に入らないだろう。
何故ならば、彼はこれまで幾度となく上位存在と切り結んで来た。
「オオオオ!!!」
迫る『ジェムビースト』の爪がサクの肌を引き裂く。
血潮が噴き出す。
痛みが走る。いや、その血潮の紅さをサクは見ることはない。痛みが脳の中枢へと至るよりも速く、その集中が到達する。
経験。
多くの経験があった。死に瀕することもあっただろう。痛みに、屈辱に震えることもあっただろう。
だが、それらの経験を経てなお、今も生きている。
生きて、その力を示し続けている。猟兵として、その瞳に輝くユーベルコードの煌めきを精霊の森へと解き放つ。
「周囲の木々には申し訳ないが……斬る!」
手にした大剣は、いつしか概念にまで及ぶ。
そう、彼のユーベルコードは空間という概念を斬る。即ち、空間を切断する。彼我の距離など意味をなさない。
空間を切断し、生み出された斬撃は一瞬、否、刹那よりも短い時間において無数の斬撃を迫る『ジェムビースト』へと叩き込む。
「空間列断(クウカンレツダン)……この刃から逃れることはできない」
空間を引き裂く斬撃は、無数の木々を切り倒しながら迫った『ジェムビースト』たちを宝石の残骸へと変えるだろう。
幾ばくかの申し訳無さを表情を浮かべながら、己の肩を切り裂いた傷口を縛り、サクは『天空樹』の内部へと飛び込んでいく。
その先にこそ災厄齎す大魔王が存在しているのならば、躊躇いなど疾に意味をなさない。
今己が成すべきを成す。ただそれだけのために彼は粘着く肉体溢れんとする先へと踏み込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん?
武器:漆黒風、四天霊障
大変なことになってますねー。なので、私たちもここに来たのですが。
転移してすぐにUCを使用。そうすることにより、どれだけ攻撃を受けようが、強化にしかなりませんので。
ここを早く収めるためにも、これが一番いいのですよ。
そうして…攻撃は漆黒風を投擲したり、持ったまま薙いだりしましょう。
討ち漏らすことのないように、四天霊障の広範囲攻撃も交えましょうかー。
世界各地の都市が『災魔』そのものへと変わってしまった。
それが猟書家、オウガ・フォーミュラたる『ミスター・グース』の力であった。『災魔の卵』を無機物から変換し、人の生み出した都市そのものを膨大な数の『災魔』へと変貌せしめるのだ。
それは精霊の森であっても変わらぬことであった。
陽光受けて煌めくサファイヤの駆体。
その疾駆する『ジェムビースト』の姿を捉え、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』はため息を付く。
この光景はたまったものではない。
まさに災厄の行軍そのもの。
無機物を『災魔』に変える呪いの如き力。
それが合わさることによって、時間という味方を得た『ミスター・グース』は、大魔王さえ複製してみせたのだ。
この精霊の森、その中央に座す『天空樹』の迷宮と化した内部に存在する大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は粘着く肉体を今にも迷宮の外へと溢れさせんとしている。
「そうなれば大変なことになりますねー」
だが、と『疾き者』の瞳がユーベルコードに輝く。
「なので、私達も此処に来たのですが。因果は巡りて回る。どこまでも……ええ、これが因果であるというのならば、それを断ち切るのもまた我らの役目であるかとー」
煌めくユーベルコードは、己の全身を再構築させていく。
四悪霊の呪詛。
それこそが己たちの四つの悪霊たる魂の中心から溢れ出すもの。
悪霊を悪霊足らしめる怨念。
猟兵として在るのならば、その呪詛はオブリビオンにこそ向けられるのだ。
「ウォオオオオ――!!」
『ジェムビースト』たちの高速移動より放たれる光線の一撃。
それは閃光のように疾く、また同時にどこまでも追尾してくる光線の一撃だった。躱すことなどできようはずもない猛烈な火線に『疾き者』は為すすべなく撃ち抜かれる。
しかし、彼の表情から余裕が失われることはなかったし、また同時に苦痛に喘ぐ表情も浮かぶことはなかった。
「無駄、ですよー。ええ、どれだけ光線が射抜くのだとしても、ですよ」
確かに撃ち抜いたはずだと『ジェムビースト』たちは困惑するだろう。
なのに『疾き者』はたじろぐことなく、光線満ちる戦場を駆け抜けていく。どういう理屈であるのかを獣である『ジェムビースト』たちは理解できなかった。
いや、理解できたとて、『疾き者』を止めることなどできようはずもなかっただろう。
何せ、悪霊である。
四悪霊・『回』(シアクリョウ・マワル)は己が攻撃を受けるたびに己の身体を呪詛でもって再構築していくのだ。
そして、攻撃を受ければ受けるほどに強化され、その悪霊たる所以である生命を吸い上げる力が強化されていく。
「ここを疾く収めるためには。これが一番効率が良いやり方なのですよ」
手にした棒手裏剣が『ジェムビースト』たちの眉間を貫く。
敵の数は膨大。
されど、討ち漏らすことは、それだけで後々の脅威となることはわかっていた。
故に『疾き者』は己の一身に光線を受け止めながら、さらなる生命吸収能力を向上させ、脆くなっていく駆体を引きずる『ジェムビースト』たちにトドメを刺しながら『天空樹』へと進む。
「砕けて、散りゆく様こそ美しいものですが……ええ、やはり存在していてはならぬものたち……ただの宝石へと変わるが良きことでしょうとも」
『疾き者』は鋭く解き放つ棒手裏剣の一撃と、そして霊障でもって彼等を砕きながら、『天空樹』の迷宮へと進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ディフ・クライン
あんなに清浄で美しかった森が侵されている
蔓延るのは精霊のマナではなくて、災いと毒の臭いに眉を顰めた
オレは精霊と契約し力を借りて戦う身
そうでなくとも幾度も精霊や動物たちに助けられてここまで生きてきた身だ
この侵食は、この神聖な森の災魔化なんてことは、許せるはずもない
貴方もそうだよね、先生
宝石獣の唸り声を耳にしながら
召喚せしは死せる深き森の主、ムース
わかるよ、先生
怒ってるんだね
森が泣いてるから
背に飛び乗り
ムースごと冬のオーラを纏わせる
厚く、厚く、守るように
先生への攻撃はオレがオーラで受けるから
思うまま、怒りのまま
その力強い蹄と風纏う角で
蹴散らそう、先生
災魔たちの先にいる魔王まで、一気に駆け抜けるよ
人間の造り出したものならば『災魔』に変えることのできる呪い。
それを発露させるのがオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』であるというのならば、今や『災魔の卵』によって力を奪われ枯れ果てた枝落ちる精霊の森の中央に座す『天空所』の有様は、なんと哀しいものであったことだろう。
少なくとも、ディフ・クライン(雪月夜・f05200)の瞳に映る精霊の森は、彼が眉根をひそめるのに十分な光景であった。
何処を見ても『災魔』たる『ジェムビースト』が跋扈している。
その宝石の身体はたしかに美しいのかもしれない。
けれど、ディフにとって、それは美しいと呼ぶには憚られるものであったことだろう。
なぜなら、彼は精霊と契約し、力を借りて戦う身である。
「貴方もそうだねよね、先生」
己のユーベルコードが瞳に輝く。
これまで幾度となく精霊や動物たちに助けられて生きてきたのだ。ミレナリィドールであろうと宿るものがあるのならば、それは確かに生きてきた、という軌跡となるだろう。
故に、ディフは目の前に起こる『災魔』を羽化させるためだけに力を吸われ、枯れ果てた『天空樹』の有様を認めるわけにはいかなかった。
否、許せるはずもない。
その意志に同意するように、死せる深き森の主(ムース)は現れる。
森の主たる巨大なヘラジカの威容。
「ウウゥゥオオオ――!!!!」
咆哮が聞こえる。
『ジェムビースト』は狼の体躯を持つ『災魔』。
その唸り声は同時にディフたちを威嚇するものであったことだろう。それほどまでにディフが召喚してみせた巨大なヘラジカの威容は凄まじいものであったのだ。
「わかるよ、先生。怒ってるんだね。森が泣いているから」
ディフはかたわらにある巨大なヘラジカ『ムース』の毛皮を撫でる。
怒りが伝わる。
遣る瀬無い想いが共にあるということを共有する。
背に乗り、ディフは『ジェムビースト』たちを睥睨する。
己を敵と認めた瞬間迸るは、無数の光線。
放たれる一撃はどんなに疾く駆け抜けるのだとしても己を追うだろう。しかし、『ムース』が一つ鳴き、その身を覆うのは冬のオーラ。
厚く、厚く、そのオーラは己たちを守るようにディフの力によって発露する。
「先生。攻撃はオレが受けるから」
だから、とディフは告げる。
「思うまま、怒りのまま」
そのように振る舞って良いのだと言うようにディフの言葉が響いた瞬間、雄々しき巨大な角が風を纏う。
其れはもはや嵐のようであったことだろう。
どれだけ光線が自分たちを覆うのだとしても、冬のオーラは分厚く、その熱線は減衰していく。
「蹴散らそう、先生」
ディフの言葉に答えるように『ムース』の力強い蹄が迫る『ジェムビースト』の駆体を砕く。飛び散る蒼い破片。
其れを美しいとは思わない。
あれは災いが齎す破片。
どれだけ見た目がキラキラと美しく輝くのだとしても、この森を冒す毒にほかならず。
故にディフと『ムース』は躊躇わない。
蹄が大地を鳴らし、一気に『ジェムビースト』たちを蹴散らしながら疾風のように、旋風のように森の中を駆け抜けていく。
目指すのは『天空樹』。
かの最深部にこそ複製された大魔王と、そして元凶たる『ミスター・グース』がいる。
森を枯らす者を許しては置けない。
ただその一念をもって、ディフは蒼き破片に脇目もふらずに『天空樹』の迷宮へと飛び込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
レテイシャ・マグナカルタ
あんときの大魔王を復活させるたぁな…今度こそきっちり終わらせてやるぜ!
「素早くてうっとおしいぜ…なら!」
超高速の接近に対して、敢えて身を晒す。爪が振り下ろされた瞬間、前脚を掴む
「どれだけ速かろうが、斬った瞬間は目の前で止まる。肉を切らせてなんとやらってな!…まぁ、肉も斬らせてやるつもりは欠片もねぇけど、な!」
体内の魔力がオーラのように肉体を防御している
掴んだ手も魔力による怪力で決して離さず、UCで捕まえたジェムビーストを振り回して、他の敵を薙ぎ払いながら飛んで進む
「オラオラ!こちとら忙しいんだ!邪魔すんじゃねぇ!!」
戦いの記憶はいつだって戦った者にこそ宿る者である。
オブリビオン。
過去の化身は滅びず、されど過去の歪むからこそ同一のように見えて同一ではないのである。それは複製された『災魔』たる大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』も同様であるだろう。
けれど、僅かに残された記憶があるのならばこそ、これを討ち倒さなければならない。
過去は変わらない。
故に猟兵たちは今を生き、その力でもって過去の化身を打倒するのだ。
精霊の森『天空樹』に座す大魔王とオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』。
彼等を排除しなければ、世界各地で同時に起こった『大魔王無限災群』は止まらない。レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は、アルダワ魔王戦争を思い出す。
あの時現れた大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の強大な力は脅威そのものであった。
「あんときの大魔王を復活させるたぁな……今度こそきっちり終わらせてやるぜ!」
精霊の森を走る。
ただ只管に時を稼がれては、大魔王と『ミスター・グース』の思うツボであると彼女は理解している。
けれど、そんな彼女の行く手を阻むのが『災魔』、『ジェルビースト』たちであった。
獣の体躯。
宝石で出来た狼そのものとも言うべき彼等の唸り声を聞く。
「へっ、よくもまあ、こんなに現れたもんだ。限度ってものをしらねぇのか」
レテイシャは、その金色の豊かな髪を揺らし迫りくる『ジェムビースト』たちを見やる。
敵の速さは言うまでもない。
そして、脅威であるのはあの爪である。
あの爪はあらゆる物を切り裂く。
それが彼等のユーベルコードなのだ。だが、爪がユーベルコードの起点であるというのならば、その爪に当たらなければ良い。
振り下ろされた爪を、その前脚を彼女は尋常ならざる反射速度で掴み上げるのだ。
「素早くてうっとおしいぜ……なら!」
こうするまでだ、と彼女の青い瞳がユーベルコードに輝く。
掴み上げた前脚を握りしめ、その宝石の身体をまるで棍棒か何かのように振るうのだ。凄まじき膂力。
どれだけ『ジェルビースト』が抵抗するのだとしても、彼女には関係ない。
次々と襲いかかる『ジェルビースト』たちの攻勢を前に、彼女はびったんびったんと揮って砕け散る宝石の破片を見やる。
「グルウオオオ――!!!」
「へっ、どれだけ速かろうが、斬った瞬間は目の前で止まる。肉を切らせてなんとやらってな! この場合は身体を砕くってやつだろうが!」
彼女の恐るべき膂力は体内にある魔力をオーラのように駆使することによって支えられている。
どれだけ『ジェルビースト』が暴れるのだとしても、彼女の握力からは逃れられず、開放されるのは味方である『ジェルビースト』たちの駆体を砕き、また己も砕け散る時だけであった。
振るう一撃が砕ける身体を撒き散らし、その青い破片の最中をレテイシャは走る。
「オラオラ! 逃げてんじゃあねぇぞ! こちとら忙しいんだ! 邪魔すんじゃねぇ!!」
ユーベルコードに輝く瞳。
爛々とした青い輝きは、せまる『ジェルビースト』たちの宝石の身体にも負けず煌めく。
迫る大軍さえも彼女は意に介さない。
ただ只管に迫る脅威を振り払い、さらに前に進む。
彼女にとって、それは容易いことだっただろう。武器はなくとも、やってくる。矢継ぎ早に迫る敵を掴み上げ、叩きつけ、砕く。
単純な作業だというようにレテイシャは精霊の森を青き宝石の破片と共に駆け抜け、その残骸を轍として『天空樹』へと迫るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
いやー……人の故郷で勝手やってくれる……
さっさと張り倒してあのガチョウを骸の海へと叩き返すとしようか…
高速で接近してくる災魔……ねぇ……?
それなら…現影投射術式【ファンタスマゴリア】で周囲を闇に閉ざした上で
…【闇に潜りし貪食の群狼】を発動…影狼を呼び出してけしかけるとしよう…
……影狼の好物は高速移動する物体のエネルギーだし……相手も狼っぽいからやる気だしてるね…
…その運動エネルギーを食べて停止させてしまおう…
影狼が満足するまでもぐもぐしたらその合図(吠声)を聞いて術式装填銃【アヌエヌエ】による射撃でトドメ…
…次は復活…と言うか複製された大魔王を倒しに行くとしよう…
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は言わずと知れたガジェット研究者の一族として名高いプルモーサ家の才女である。
彼女の好奇心は強く。
猟兵となったことは幸いであった。
あまたある世界を渡り、その見聞を広め、多くの知識を蓄えていく。
未知のち塀は未だ遠く。
知り得たいという欲求は満たされずとも、しかして楽しいという想いが湧き上がり続けているのだ。
「いやー……人の故郷で勝手やってくれる……」
そんな彼女も故郷の世界がオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』によって『大魔王無限災群』が引き起こされ、世界各地が『災魔の卵』による呪いで満ちていることに憤りを覚えるのだ。
「さっさと張り倒してあのガチョウを骸の海へと叩き返すとしようか……」
そんなメンカルに迫るのは青い閃光の如きユーベルコードの輝きによって走る『ジェムビースト』たちであった。
高速で走る姿は、正しく青き災害。
洪水のように迫っているのは、この精霊の森『天空樹』の力を吸い上げているからであろう。
そんな『ジェムビースト』たちを前にメンカルは術式を展開する。
現影投射術式『ファンタズマゴリア』。
それによって周囲を闇に閉ざす。
己もまた、その闇に溶け込むようにして消え、また同時にメンカルは揺らめく闇の中で、その瞳をユーベルコードの輝きで満たすのだ。
「貪りの顎よ、襲え、奪え。汝は陰影、汝は餓狼、魔女が望むは動流喰らう闇の牙」
光は闇を色濃くする。
闇は光を戦列なものとする。
ならばこそ、闇に潜りし貪食の群狼(オペレーション・ウルフパック)は、空をも掛ける影狼の群れとなって解き放たれ、『ジェムビースト』たちへと襲いかかる。
「……影狼の好物は高速移動する物体のエネルギー……即ち、動的エネルギー……対抗心かな。やる気を出しているね」
巨大化した『ジェムビースト』の周囲に飛びかかる影狼たち。
彼等の顎は次々と高速移動する『ジェムビースト』のエネルギーを奪っていく。
動的エネルギーを失った『ジェムビースト』は巨大化すれど動けぬまま。
それをメンカルは冷静に見ていた。
闇の中、ただ立っているだけでいい。
彼女のユーベルコードはあらゆる者の動的エネルギーを奪い、その動きを止めていく。
「ウウゥ――!?」
「……戸惑っているね。理解できなくても当然かもしれないけれど……そら、影狼たちも満足したようだね……」
メンカルは響く影狼たちの吠える声に一つ頷き、闇の中より一歩前に踏み出す。
手にしていたのは術式装填銃。
「……ここでおしまいだよ」
銃口を動けぬ『ジェムビースト』たちの向ける。
炸裂する術式が宝石の身体を砕く。
その破片を浴びながら、メンカルはさらに前に進む。この『大魔王無限災群』の源が存在しているのは『天空樹』の迷宮化した最深部だ。
きっと、その前には大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』もいるだろう。
「……次は復活……と言うか、複製された大魔王か……」
アルダワ魔王戦争の戦いを思い出す。
『永劫回帰力』
その力を持つ大魔王。
侮るわけではない。
けれど、一度打倒してきているのだ。過去は変わらず、されど『今』は変わりゆくのならば、メンカルは恐れることなく、躊躇いもなく迷宮化した『天空樹』へと踏み込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
マシュマローネ・アラモード
◎
アルダワの危機と聞いて、駆けつけましたわ!
この世界はとても不思議で、どこか愛おしい……だから、喪うわけには参りません!
UC|華麗なる飛翔《ブリリアント・フルバーニアン》!
こちらも高速化で、弱点を破損させて機動力を削ぎつつ突破しましょう。
モワ、|権能斥力《プリンセスエフェクト》(吹き飛ばし)で、攻防一体の攻撃で、迎撃に随伴兵装グレイスフルムーンでの警戒で死角をカバー、攻撃は通しませんわ!
モワ、敵陣を崩したら、残存戦力を確認して先へ進みましょう。
どんな悍ましい敵が相手でも臆する事なく戦う、それが王の為すべき道ですわ……!
「モワ!」
それは驚きの声であったように思えるし、また同時に精霊の森にあふれかえる『災魔』、『ジェムビースト』の姿と数に脅威を覚えた声であったのかもしれない。
マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)は不思議な感覚を覚えていた。
アルダワ世界。
蒸気と魔法の発達した世界。
ラモード星の皇女たる彼女にとっては、縁遠き世界であったことだろう。この世界を知ることができたのは猟兵として覚醒しているからである。
だが、彼女は不思議に思いながらも、胸の奥から湧き上がる感覚に首を傾げる。
「この世界はとても不思議で、どこか愛おしい……だから、喪うわけには参りません!」
戦う理由はそれだけでいい。
守る理由もそれだけでいい。
シンプルだ。たったそれだけのために戦い、駆け抜ける。マシュマローネの瞳はユーベルコードに輝く。
その身を覆うユーベルコードの輝きは、彼女の衣装を、ドレスを豪華絢爛たる『ブリリアント・フルバーニアドレス』へと変貌せしめる。
彼女の身体が噴射によって浮かぶ。
「グルウオオオ!!!」
咆哮が響く。
蒼き宝石の駆体。『ジェムビースト』たちの咆哮がマシュマローネを狙うようにして大地を疾駆する。
まるで疾風。
その爪に触れれば、マシュマローネの身にまとうドレスであっても容易に切り裂かれることだろう。
けれど、彼女に『ジェムビースト』たちが到達することはなかった。
「絢爛無双に、きめましてよ!」
噴射するバーニアと共に彼女は飛ぶ。
だが、それで終わらない。彼女の溢れる王としての気が吹き荒れ、迫る『ジェムビースト』たちを吹き飛ばすのだ。
「モワ、その鋭き爪は一切合切、わたくしに届かぬと知りなさい」
銀色に輝くは、機構の月。
マシュマローネの周囲に随伴するは、まるで衛星の如き防御機構。
たとえ、王の気を免れ、彼女の死角を突くのだとしても、月はマシュマローネを守るように周回し、迫る『ジェムビースト』を弾き飛ばす。
「モワ、このまま一気に押し通らせて頂きますわ」
蹴散らす、という言葉がしっくり来るほどにマシュマローネの突撃は凄まじい。フルバーニアンドレスの突進能力は如何に『ジェムビースト』たちが膨大な数で迫るのだとしても、それらを砕くように一直線に突き進む。
バーニアの噴射が『天空樹』の前で急制動を掛ける。
わかっている。
この先に進むのは覚悟が必要だ。
大魔王。
それがこの先に存在する敵。オウガ・フォーミュラもまた恐るべき敵である。
悍ましき力を振るう者たち。
されど、マシュマローネの心には失いたくないという想いが募っている。そう、世界は違えど、愛おしいと思う。
世界の悲鳴に応えるがの猟兵であるというのならば、彼女は躊躇うことなく『ジェムビースト』たちを吹き飛ばしながら『天空樹』の迷宮へと飛び込んでいく。
なぜ、そんなにも果敢に進むのかと問われたのならば、マシュマローネは応えるだろう。
「モワ! それが王の為すべき道ですわ……!」
故に己は進むのだと、バーニアの噴射と共に彼女は突き進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
WIZ
大魔王を無数に複製だって?何としても阻止しないと!
戦場が精霊の森っていうのも、なにかの縁かな…
疑似精霊達、力を貸してくれ!
手持ちの飴を使いUCを発動
水と火と風の疑似精霊を【高速詠唱】+【多重詠唱】で同時召喚だ!
水の力で自身の周囲を取り囲むように水鏡を形成、敵のレーザー攻撃を反射試み
完全に反射出来なくとも、被弾回数を軽減出来るか?
風の力で鎌鼬を放ち、まず敵に接近されるのを阻止試み
超高速移動する相手だから、捉えきれればいいが…手傷だけでも!
火の力は刀へ注ぎ込み【武器に魔法を纏う】
【力溜め】からの刺突攻撃!
相手が突っ込んでくるならそれを迎撃するまでだ!
ジェムで出来た敵の体を焼き切ってやる!
オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の力は恐るべきものであった。
呪いにも似た力。
無機物を『災魔の卵』へと変え、『大魔王無限災群』を世界各地で同時に引き起こす。まさしく世界の都市は混乱に満ちていることだろう。
ここ精霊の森もその一つであった。
『天空樹』に寄生する『災魔の卵』から次々と生まれるのは『ジェムビースト』。
宝石の如き体躯を持つ狼の咆哮が響き渡る。
「グルウオオオ――!!!」
精霊の森のあちこちから鳴り止まず響く。
それが『ミスター・グース』の力の一端であることは言うまでもないことだろう。
凄まじい。
ただ一言。それに尽きる。
しかし、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は皆の笑顔を守りたいという思いのためだけに危険に満ちた戦場となった精霊の森へと足を踏み入れる。
「これもなにかの縁かもしれないな……疑似精霊達、力を貸してくれ!」
ひりょの瞳がユーベルコードに輝く。
時は『ミスター・グース』の味方だ。時間をかければ、確実に複製され大魔王の力によって世界の破滅が引き起こされてしまう。
無限にも思える数の大魔王。
それは悪夢という言葉を使っても有り余る脅威であった。
手持ちの飴を使い切るようにして、四元素の疑似精霊を持って周囲の無機物を変換する。
「場よ変われ! 此処が『ミスター・グース』によって『災魔の卵』を植え付けられているというのなら、無機物であったものは!」
己の手の中にある。
固有結界・黄昏の間(コユウケッカイ・タソガレノマ)。
それが彼のユーベルコードである。
「ウォオオオ――!!」
しかし、そんなひりょに迫るのは無数の光線だった。
精霊の森に溢れるようにして疾駆する『ジェムビースト』たち。その身より放たれる光線がひりょへと迫るのだ。
反射を試みようとしたが、しかし、その光線はひりょを狙って追尾するように軌跡を変える。
「反射できない……なら!」
風の力を発露させる。風が旋風を巻き起こし『ジェムビースト』たちを阻むようにひりょの前面に押し立てられる。
光線が見を穿つ。
けれど、その痛みは水鏡に寄って減衰されている。反射させるのではなく減衰させる。そうすることで己の身を守りながら、ひりょは火の太刀を振るう。
「迎撃するまで!」
振るう一撃が『ジェムビースト』の駆体を砕く。
敵は突っ込んでくるばかりだ。数にかまけているからだ。ならば、与し易いと考えるべきだろう。
どんな数が多かろうが、これを突破してきたのが猟兵だ。
自分だって猟兵だという自負がある。
ならばこそ、彼の瞳はユーベルコードに輝く。
「疑似精霊達、頼んだよ!」
自分に協力してくれる疑似精霊たち。彼等は擬似的な存在であっても精霊だ。この精霊の森を守らんとする意志を感じる。
ならば、今度はひりょがそれに応える番だ。
「その身体、焼き切って前に進ませてもらう!」
大魔王の複製。それが齎す世界の破滅を防ぐため。
そして、何より精霊の森を守るために。ひりょは迫る光線を減衰させる。肌を灼く痛みも、煌めくようにして走る駆体も。
何もかも彼には障害にはならない。
そうすると決めたのならば、前に進む。
愚直であれど、それこそが世界を守る礎となるのをひりょは知るからこそ、その瞳に輝くユーベルコードが指し示す『天空樹』へと走るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「ここへ来て大魔王とは。厄介な事をしてくれる。」
敵の姿を認めると
「なるほど。その数と速さ、先陣に相応しい。
が。お前達に相応しい相手がいる。」
接近される前に【高速詠唱】でファントムヒュドラを発動。
高速で動く敵を攻撃させ自身はその場から動かず
【オーラ防御】で守りを固める。
ヒュドラの攻撃の隙を補う為に
デモニックロッドを使用して闇の魔弾を生成。
敵の動きを【見切り】つつヒュドラに攻撃されるか
ヒュドラを避けた敵に当る様に複数の魔弾を周辺に滞空させる。
魔弾も高速では動かない様に【念動力】【誘導弾】で制御し
ゆっくりと動かして敵にプレッシャーをかけ続ける。
「獰猛さしか持たない獣であれば
打つ手は幾らでもあるさ。」
アルダワ世界各地にて一斉に羽化する『災魔の卵』。
それはオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の力によるものであった。無機物であれば『災魔の卵』へと変換する呪いにも似た力を持つ彼による『大魔王無限災群』は、驚異的な速度で世界各地で広がっていく。
無機物。
人の造り出したものならば、如何ようにも手繰ることができる。
精霊の森、『天空樹』でさえ例外ではないのだ。
無数の蒼き駆体をフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は見ただろう。
「ここへ来て大魔王とは。厄介なことをしてくれる」
フォルクは己を取り囲む唸り声を聞く。
「グルウゥゥ――」
「なるほど」
蒼き宝石の如き駆体。
狼の姿をかたどった宝石であると言われても納得できる。『ジェムビースト』たちの唸り声から数は理解できるし、気配だけたどれば、それが目の映る以上の数であると知れるだろう。
「その数と速さ……先陣にふさわしい」
認めざるを得ない。
敵が己達猟兵達から時間を奪おうとしていることを。迫る『ジェムビースト』をフォルクは、そのフードの奥で煌めくユーベルコードの光を湛えた瞳で見据える。
彼の周囲から噴き出すようにして死霊たちが現れる。
「が。お前たちに相応しい相手がいる」
動く必要はなかった。
吹き出した死霊たちが一瞬で融合し、九首の巨大死竜へと変貌せしめる。
名をファントムヒュドラ。
「『我が掌中で彷徨う魂達、混濁の中で重なり。落とす事叶わぬ九つ首を擡げる霊竜としての姿を現し魂を侵す息を振り撒き、抗う尽くを滅ぼせ……これが、お前たちに相応しい相手だ」
フォルクの指先が示すより疾くファントムヒュドラの首が宙を走り、己へと襲いかからんと飛びかかっていた『ジェムビースト』の駆体を噛み砕く。
蒼き宝石の破片が降り注ぐ中、フォルクはデモニックロッドより闇の魔弾を生成し、膨大な数でもって迫る敵を穿つ。
「獰猛さしか持たない獣であれば、打つ手は幾らでもあるさ。数を利するところと思っているのは、狼を象っているからだというのであれば、御しやすいと言わざるをえないな」
見定める。
敵の動き。
その動きは、動物のそれと同じだ。確かに群れで陣形を組むようにして狩猟するような行動を取るのは恐ろしい。
けれど、人はそうした狼の群れを恐れながらも、退けてきたのだ。
ならば、フォルクもまたそれが出来ぬわけではない
九首の死霊竜が咆哮する。
大気を震わせる咆哮。それに怯え、すくめることはないだろう。故に、これはただの合図でしかない。
これより死霊たちは理性を喪う。
故にフォルクは己の身を覆うオーラでもって守りを固める。
「喰らいつくすが良い。お前の前に立ち塞がり、抗おうという者すべてを」
そう、フォルクは『ジェムビースト』からの攻撃を防ごうとしたのではない。理性なき『ファントムヒュドラ』の無差別攻撃が実を守るためにオーラを張り巡らせたのだ。
「打つ手というのはこういうことを言うのさ」
その言葉は『ジェムビースト』たちには届かないだろう。
完膚なきまでに破壊される宝石の身体。その破片の降り注ぐ光景は美しくも在る。これが呪いの産物でなければ、と惜しむ心もあれど、しかし、フォルクは暴れ狂う『ファントムヒュドラ』の力を以て、迫り来る『災魔』の群れを駆逐し、悠然と精霊の森の中央、『天空樹』へと至るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふむ
全然|エイル様《主人様》の香りはしませんが
確かにこれは勇者案件
急がないとぺたん魔女様が危険な気がしますし
ルクス様ハリアップ
この危機を……えっと、あの、そのぅ……音楽は封印しませんか?
いえ、そんなに困られましても
【テールム・アルカ】起動
BS-Fクリスタルビットを人型サイズで召喚&周囲に展開
サファイアレーザーということは光を収束させたもの
光学兵器反射型のクリスタルビットなら天敵といえましょう
次いでBSグラビティガンを人型サイズで召喚
足止めはお任せくださいルクス様
……音楽していいから
はやく勇者いって敵の数多いから!!
いえ、今日は私、予定が詰まっておりまして
謹んで辞退させて……だめ?
ルクス・アルブス
【ステルク】
これはたしかに|勇者《わたし》案件。
しかも放っておくと師匠のピンチを招きかねないなら、なおさらです!
ここはいっきに……って、え?弾いたらダメですか?
そ、そうなりますと、どうしたらいいでしょう……。
あれはさすがに冷凍しても食べられなさそうですから、氷はダメですし、
調律ではそんなに数を巻き込めないですし、
可愛くなっても、ステラさんからの萌え度が爆上がるくらいで、
『ジェムビースト』に好感度とかないですよね。
今回わたしはお役に立てそうにありm……いいんですか!?
やっぱりステラさんですね!
それでは【Canon】いきまーす♪
今日は終わったら『ステラさんのための演奏会』しちゃいますからね!
人には戦う理由がある。
それは猟兵にあっても当然存在するものであったことだろう。
世界の悲鳴に応える。
前提条件があれど、混沌のごとく法則性見いだせぬ猟兵たる存在。彼等の中には、『それ』以外の戦う目的を見出す者もいただろう。
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は特にそうであったのかもしれない。
今回のアルダワ世界を襲った事件。
猟書家、オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』が引き起こした『大魔王無限災群』は、彼女の求めるところ、即ち『主人様』に関連するものではないように思えた。
だから、これはきっと『勇者案件』なのだろう。
「急がないとぺたん魔女様が危険な気がしますし」
「ええ、これは確かに|勇者《わたし》案件。大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』でしたか! 師匠のピンチを招きかねないなら、なおさらです!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はやる気満々であった。
精霊の森、『天空樹』に寄生し『災魔の卵』より出現する『ジェムビースト』たちの姿を捉える。
彼等の狼の体躯はサファイヤ。
しかも、狼と同じように群れをなして襲ってくるのだ。猶予はなく、されど敵の数多く。
此処で立ち止まっている時間はない。
「ルクス様、ハリアップ」
「はい! ここはいっきに……!」
ルクスがバイオリンを構える。
その姿にステラはがっしりと肩をつかむ。掴んで止める。
しれっと何してるんだろうとステラは思った。確かに一気に片を付けるべきだと思ったが、違うそうじゃない。
「なんです?」
「えっと、あの、そのぅ……」
歯切れが悪い。
「音楽は封印しませんか? 主に私の鼓膜のために」
「えぇ……慣れたんじゃないんですか? とはいえ、そう言われますとどうしたら良いんでしょう……」
ちらと、ルクスは己たちに迫るサファイアの『ジェムビースト』たちを見やる。
あの爪と牙とか洒落にならないんですよねぇ、とステラを見やる。
光線も厄介そうだし。
「……いえ、そんなに困られましても。他にも色々あるじゃないですか! 勇者として!」
「勇者としてって、そんなの」
「剣とか魔法とか!」
「あれは流石に冷凍しても食べられなさそうですから氷はダメですし、調律ではそんなに数を巻き込めないですし」
うーん、とルクスは腕組みしている。
その間にも『ジェムビースト』たちは迫っているのだ。悠長である。いや、これは意図的なあれであった。
どうあっても演奏したいルクス。
どうあっても阻止したいステラ。
二人の駆け引きであった。
「可愛くなっても、ステラさんからの萌え度が爆上がるくらいで、好感度とか的には関係ないですもんね」
「……ッ!」
八方塞がりである。
よくもまあ、こんなしたり顔で言えたものであるとステラは思っただろう。
クリスタルビットを人間大にリサイズした武装が迫る『ジェムビースト』に走る。足止めをしなければならない。
自分の鼓膜のためにも。
「足止めはしておりますが、ルクス様……! ほら、なんかありませんか! 他に! 音楽以外で!」
リサイズされたグラビティガンをぶっぱなしながら、ステラはどうにかルクスから譲歩を引き出せないかと必死であった。
いや、戦っている相手が違うとは誰も言えなかった。
だって、そうであろう。ステラにとって恐ろしいのは『ジェムビースト』ではなくて、ルクスの演奏である。
そんな彼女の思いを知って知らずが、ルクスは大きく大げさに大仰にため息をつく。
「今回わたしはお役に立てそうもありません」
「……!」
あーしかたないしかたない。
ステラは天秤にかけるまでもなかった。
「……音楽していいから」
「え、なんです?」
「音楽していいからはやく勇者いって敵の数多いから!!」
「はぁい! それではCanon(カノン)いっきまーす♪」
ほら、やっぱりステラさんも演奏会を望んでいたんじゃないですか、とルクスはニッコニコである。
「今日は終わったら『ステラさんのための演奏会」しちゃいますからね!」
「いえ、今日は私予定が詰まっておりますので。主に『主人様』のためのあれそがありますので。あれしてそれしてこれしてどれしてですから」
「だーめ」
吹き荒れる破壊音波魔法が戦場に響き渡り、ステラの命運はおそらく今日尽きる――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
ぐむむ、なんでも奴はあのエリクシルと関係があるっぽいかもしれない気がするという話ではないか
これは黙っておれぬな!
数が多くて面倒だがこっちにわざわざ突っ込んでくるのなら、
待ち構えるだけだ!
幻覚ブレスや風圧ブレス(※ただのすごい勢いの吐息)を噴き、傷は肉体修復で誤魔化しつつ時間稼ぎしてワルリリスを呼び出すぞ
……む?うちのワルリリスを舐めてもらっては困る
ほうせ『宝石の体でも~こっちを察知してるなら何かしら外部を感じ取る「感覚」があるって訳で~
だったら全ての外部刺激を変換するわたしの|敏感快楽天獄《ラストミスト》からは逃げられませんよ~★
それ~みーんな、気持ちよくなっちゃえ~★』
………わ、我の台詞……
精霊の森に溢れるは『災魔』、宝石で出来た体躯を持つ狼『ジェムビースト』。
彼等の疾駆は膨大な数でもって迫る洪水そのものであった。
サファイヤの美しき青の輝きは今や、災害の象徴とも言える光景となって、『天空樹』に座す大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』とオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』を守る盾となっていた。
「ぐむむ」
そんな最中、ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)はうめいていた。
数が多い。
本当に単純に『災魔』、『ジェムビースト』の数が多いのだ。
面倒だと思うことも無理なからぬことであっただろう。しかし、数を頼みにして此方に突っ込んで来るだけだというのならば、容易く思えた。
故に彼女がうめいているのは別の理由であった。
「なんでもヤツは『エリクシル』と関係があるっぽいかもしれない気がするという話ではないか。これは黙っておれぬ! と来たは良いのだが……」
うーむ、とワルルーナは腕組しつつ青い宝石の洪水を見やる。
万能宝石『エリクシル』。
それは願いを叶えるが、必ず歪めて叶える。願いの力を求め、そのために新たなる悲劇を呼び起こす者でもある。
願いを叶えるまではよしんば良いとしよう。しかし、なんで歪める? ワルルーナにはそれが理解できなかったのかもしれない。
「ええい、貴様の出番だ、我が分身が一体、第7の軍団の長よ!好きなだけやってしまってよいぞ!」
ワルルーナのユーベルコードが煌めく。
彼女の傍らに召喚された第七の魔将、淫魔『ワルリリス』が蠱惑的な肢体をさらけ出しながら現れる。
同時にワルルーナの下半身の竜たちの口腔より幻惑ブレスを解き放つ。
ただのすごい吐息でしかないのだが、しかし、それは『ジェムビースト』たちをたじろがせるには十分であった。
「あははは~★ ワルルーナ様、いつもながら、すご~い★」
だが、それ以上に『ジェムビースト』たちの速度と数は尋常ではなかった。
「……む? うちの『ワルリリス』をなめてもらっては困る。ほうせ――」
「宝石の身体でも~こっちを察知しているなら何かしらの外部を感じ取る感覚が在るってわけで~」
『ワルリリス』が笑む。
なんか今、主であるワルルーナの言葉に被せなかった?
「だったらすべての外部刺激を変換するわたしの|敏感快楽天獄《ラストミスト》からは逃れられませんよ~★」
そう言って手のひらを天に向け、『ワルリリス』の唇がすぼめられた瞬間、吐息が吹き付けられる。
それはワルルーナのブレスとは異なるささやかなものであった。
しかし、いかにもなピンクのもやもやが戦場を置いっていく。
「それ~みーんな、気持ちよくなっちゃえ~★」
そう、それは全刺激を快感に変える呪いの如き力。
全感覚を倍加して過敏にするミスト。そう、これこそが、第7の獣ワルリリス/敏感快楽天獄(ワルリリス・ラストミスト)の力。
痛みに耐えることができても快楽に耐えることはできない。
たとえ、それが宝石の体を持つものであったとしても、また快楽を受容する器官を持たぬのだとしても。
彼女のミストは『ジェムビースト』たちの感覚を快感を受け入れる器官へと変換するのだ。
「……わ、我の台詞……」
ワルルーナはそれを自分が説明しようとしていたのだが、あっさり『ワルルーナ』に取られてしまっていた。
「はぁい、ワルルーナ様、そのすっごいブレスお願いしま~す★」
うなだれる暇すら与えないように『ワルリリス』がにっこり笑顔でワルルーナの背後から抱きついて、龍の首を持ってブレスよろしく、と耳元で囁くのだ。
「こちょばいわ!」
ええい、とワルルーナはやけくそのブレスを解き放ち、あらゆる感覚を快楽に変えられた『ジェムビースト』たちがひっくり返って、痛烈なる快感にのたうつ様を見下ろし、その体を風圧で砕くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
んもー
とんだイースター・エッグもあったものだね!
どうせならもっと盛り上げてこーよっ!
●がりがりがり
[ドリルボール]くんたちを放って【第六感】のピンとくる方向に迷宮を突っ切っていこう!
ドリルボールくんたちがまず突っ込んで!
ボクがその後についていって【第六感】で機を読んで
UC『神撃』でドーーーンッ!!
そしてさらに迷宮を突っ切っていく!
イースター・エッグっていうのはねー
卵のなかにおもちゃやお菓子の入ってる愉快イベントなんだよ?
その中身がこれじゃあおもしろくなーい!
せめて砕けてキラキラ光ってもっとみんなを愉しませてよ!
お祭りだーーーっ!
世界によってはお祭。
されど、アルダワ世界を襲った『大魔王無限災群』は、『災魔の卵』によって、それどころではなくなくなっていた。
「んもーとんだイースター・エッグもあったものだね!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はげんなりしていた。
どうせお祭りなら楽しい方がいい。
アルダワ世界を襲ったオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』のやったことは、正直ロニには嬉しくないものであった。
世界各地で同時に多発する大魔王の『複製災魔』の出現。
言うまでもなく世界の危機である。
だが、どうせならもっと楽しい危機があって欲しいものである。
「ほんと、もっと盛り上げてこーよっ!」
己に迫るサファイヤの体躯を持つ狼『ジェムビースト』の姿をロニは見やる。まるで洪水のように迫る軍容は、正直に言えば恐ろしいものであった。
けれど、ロニにはあんまりって感じであった。
綺麗であるけど、それだけだ。
楽しいとは思わない。ワクワクもドキドキもないのであれば、それた楽しくないものである。
「それ、『ドリルボール』くんたち、いっておいで!」
精霊の森、『天空樹』の迷宮に巣食う者たち。
オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』に大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』。
彼等を排除するためには、まずこの『ジェムビースト』たちを排除しなければならない。
「大雑把なのは任せておいてよ!」
蹴り出すようにして一気に躍り出る掘削球体たちが地面を削りながら『ジェムビースト』たちに迫る。
彼等の爪牙が球体を切断しても構わなかった。
ロニがその後に控えているからだ。
引き裂かれた球体の背後から飛び出したロニの身体が宙に舞う。漲るユーベルコードの輝きをたたえた拳は、神撃(ゴッドブロー)。
宝石の狼たちに何かを信仰する理性はないだろう。あるのは野生のみ。
されど、その輝きは信心無き存在にも神の存在を思わせるものであったことだろう。
「イースター・エッグっていうのはねー」
振るう一撃が『ジェムビースト』たちの宝石の体躯を砕く。
砕いて、破片を舞い散らせる最中、ロニは笑う。
「卵のなかにおもちゃやお菓子の入っている行かないイベントなんだよ? その中身がこれじゃあおもしろくなーい!」
『災魔の卵』の中身は、まじりっけなしの悪意である。
あらゆる無機物を『災魔の卵』に変える『ミスター・グース』のちからは呪いそのものだ。イースター・エッグの中にあるのが祝福であるというのならば、真逆のことだった。
それはロニにとって愉快なことではない。
そうであることがお祭に必要なことなのだ。
「せめて砕けてキラキラ光って、もっとみんなを愉しませてよ。それがさ!」
呪いを祝福に変えることだというようにロニは拳を振るう。
砕ける宝石の体躯。
破片の青は、雨のように降り注ぐ。
その光景は非現実的であったことだろう。
けれど、ロニはこれでいいと思うのだ。世界各地が今もこうして災厄に見舞われている。それが『大魔王無限災群』である。
なら、少しでもきれいな光景を見せた方がいい。
「お祭だ――っ!」
そう叫んで、ロニは精霊の森を駆け抜けていく。お祭会場は『天空樹』の迷宮最深部。
なら、そこまで躊躇わず、一直線に駆け抜けていくのみだと言うように青い宝石の破片を舞い上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』』
|
POW : 未来は涙の中に
【『魔女』の子守歌】【『魔女』の予知能力】【『魔女』の運命操作能力】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 祝福されぬ子供達
【『魔女』から生まれる豹獣人の軍勢】【『魔女』から生まれるイカ獣人の軍勢】【『魔女』から生まれるバッタ獣人の軍勢】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 魔女狩りの一撃
【『魔女』を封じた巨腕による叩きつけ攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を、入った者の身動きを封じる魔の沼に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「まさか、ここまで速くここに到達するとはな……!」
精霊の森『天空樹』の迷宮と化した内部、その最深部に至る者たちの姿を見遣り、『複製災魔』、大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は呻く。
やはり敵は猟兵。
混沌の如き雑多な世界の寄せ集めである猟兵は、己の粘着く体内にある無数の『魔女』たちの胎より『正解』を探す暇を与えない。
故に大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は、忌まわしき記憶を踏みにじる。
「前回は遅れを取ったが、今回はそうは行かぬ! 猟兵以外は我の敵ならず。故に貴様ら猟兵を打倒することができさえすれば、それで|『世界の終わり』《カタストロフ》は成る!」
漲る重圧。
体内に取り込んだ魔女たちの持つ|『永劫回帰力』《エンドテイカー》を『ラクリマ・セクスアリス』は手繰る。
そう、さらなる災いを生み出し、己に大魔王という蔑称をつけた、この愚かなるアルダワ世界に滅びを齎すために。
「過去の化身なればこそ、我は幾度もの機会を得る。故に我は猟兵、貴様らを滅ぼす『正解』を見出すその時まで、何度でも」
災いを世界に齎す。
相違ように『ラクリマ・セクスアリス』は、その力を発露させるのであった――。
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
灰遠雷に持ちかえ
はてさてー、アルダワのあれそれは詳しく知らないんですがー。
あなたを逃してはならないのは、よくわかります。
早業で霹靂に騎乗してからのUC+風属性攻撃を使用。
どれだけ生み出そうが、これの前では意味をなしませんよ。
回避は霹靂に任せてますがー、ちょっとした風の援護も与えましょうかねー。
※
霹靂「クエッ!」
戦闘知識からの第六感による回避+雷属性のビリビリ結界を行う。基本は空中!
当たってはいけないのがわかるけど、風で飛びやすいなぁ。
アルダワ魔王戦争。
それはアルダワ世界を巡る迷宮の戦い。
猟兵は多くが他世界からやってくる者たちである。種族も違えば、在り方も違う。真の姿にさえ法則を見出すことはできず、混沌然としていると言われても否定はできぬものであったことだろう。
「混沌たる者たちには混沌たる落とし子で相対する。『魔女』共よ。胎より獣人共を生み出せ」
粘着く身体の内側にある『魔女』たちより生み出されるのは望まれぬ子ら。
豹獣人、イカ獣人、バッタ獣人たちが無数に大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』より放たれる。
膨大な数であったことだろう。
「はてさてー」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、その軍容を見やる。
ヒポグリフたる『霹靂』を借り、強弓を引き絞る。
アルダワのあれそれを『疾き者』は知らない。人づてに聞くこともあったし、関連した他世界の情報を得ることもあっただろう。
『ラクリマ・セクスアリス』の額であろう箇所に浮かぶ赤い宝石。
あれに見覚えがないわけではない。
けれど、それ自体は今はどうでもいいことだった。
自分が優先しなければならないことは唯一つ。
「世界の破滅を防ぐこと。あなたを逃してはならないことは、よくわかります」
「猟兵。これは我らの戦いである。貴様たち混沌と我が体内にありし『魔女』共が生み出す混沌の落とし子のいずれかが滅びる定め。貴様らとの戦い、一度目は敗北を喫したが!」
吹き荒れるユーベルコードの嵐。
明滅する最中から次々と生み出される異形の獣人たちが『疾き者』たちに迫る。
空にありても構うことはないようだった。
彼等は自身の同胞たちを踏み台にして空を飛ぶヒポグリフへと迫るのだ。
「クエッ!」
雷の結界も役に立たない。
獣人たちは痛みを感じていてもいなくても構わないようだった。ただ只管に己たちの敵である猟兵の乗騎を地に引きずり下ろさんと迫る。
それは大波のように『疾き者』と『霹靂』に迫っていた。
「どれだけ生み出そうが、この前には意味をなしませんよ」
『疾き者』の構えた強弓から放たれた呪詛満ちる矢は、空中で分裂して認識したすべてを射抜く。
崩れ落ちる獣人たち。
しかし、その屍を積み上げ、さらに迫る。
「クエッ……!」
「ふむ、敵は自身の命を顧みない様子。ただの道具として生命を生み出す、ですか……」
風満ちる戦場に獣人たちは、ただ猟兵たちを退けるための踏み台にしかならない。
それを哀れと呼ぶには、あまりにも悲しすぎた。
生み出された生命に意味があるのは分かる。
けれど、『ラクリマ・セクスアリス』はそれを冒涜するようであった。生み出したのが己であれば、その生命の所有は己にあると言わんばかりに獣人たちの生命を使い捨てていく。
「無駄だ。我にとって貴様ら猟兵を殺すための『正解』は未だ遠き真理であろうとも、必ずや届かせてみせる。貴様たちと違い、我には時間が無限にあるのだから」
『ラクリマ・セクスアリス』は笑う。
その眉間に『疾き者』の放った矢が突き刺さる。
粘着く身体。
ユーベルコードの一撃は確かに呪詛によって『ラクリマ・セクスアリス』の身体へと負荷を与える。
笑っている。
「やってみるが良い、猟兵! すべてが徒労に終わると理解するまで付き合ってやろうではないか!」
「ええ、ですが……言っておきましょう。あなたに確かにある時間は、無限ではないことを。悪霊からは逃れられない。その時間こそ有限であると」
『疾き者』は疾風と共に雷放つ矢を解き放ち、迫り来る大波の如き獣人たちを討ち滅ぼしながら、迷宮の最中を飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
サク・ベルンカステル
「貴様がこの世界の大魔王か。不条理を振り撒く前に滅ぼさせてもらう」
走り込むなり斬りかかり背の随行大剣の連携を叩き込むも全てかわされてしまう。
そればかりか大魔王の未来を見越したかのような腕と骨の連携に追い詰められる。
そこで体表の魔女達がUC(POW)を使用していることに気付く。
「捕らえた魔女の力で予知や運命に干渉するとは不条理にすぎるが、、、不条理な化物を悉く断ち斬ることが我が復讐!」
いくら概念に刃が届くとはいえ未来や運命を斬った経験はない。
だが目の前の不条理な化物が操るというのであれば必ず断ち斬る。かつてない剣気が刃に集まり振り下ろされる。
「化物が弄ぶ歪な未来や運命は不条理な化物ごと斬る!」
子を思う歌声が響いている。
精霊の森『天空樹』の内部、迷宮と化した深部に大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は存在している。
粘着く体躯。
その内部に存在するのは『魔女』であり、彼女たちの力を持って生み出された無数の異形の獣人たちは尽くが滅ぼされ、屍を晒す。
「貴様がこの世界の大魔王か。不条理を振りまく前に滅ぼさせてもらおう」
サク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし者・f40103)は己が至った深部に存在する異形がそうであると知る。
体躯から生み出された獣人たちは、いずれも異形。
それが体内に取り込んだ『魔女』により生まれていることを知る。
周囲に響くは子守唄。
それはいびつながら産み落とされた獣人たちを思うものであったかもしれない。いや、サクにはそれは理解できなかったかもしれない。
ただ一つ分かることは目の前の存在が。
「不条理」
「我を蔑称するか、猟兵。この我を!」
吹き荒れる重圧は凄まじいものであった。
走り込みながらサクの大剣が『ラクリマ・セクスアリス』に叩き込まれる。否。そのいずれも届かない。
斬撃は尽くが躱される。
それどころか、迫る粘着く体躯がサクの身体を強かに打ち据える。
痛みが走る。
尋常ではない。まるで未来を見てきたかのように己の剣技の尽く躱され、利用され、反撃に転じることもできない一方的な攻勢が襲い来るのだ。
受け止めた、と思った瞬間には痛烈な一撃が己に叩き込まれているのだ。
「ぐっ……! これは……!」
「理解したか、猟兵。我を大魔王などと蔑称で呼ぶことはまかり通らぬ。我は『ラクリマ・セクスアリス』。『魔女』による『永劫回帰力』によって滅びを否定するもの」
「捕らえた『魔女』の力で予知や運命に干渉することは不条理に過ぎるが……」
「ならば、死ぬがよい。猟兵。貴様たち混沌の存在は、我が此処で滅ぼす。そして、世界を滅ぼすのだ」
その言葉にサクの瞳がユーベルコードに輝く。
眼の前の存在は不条理そのものだ。
随行する大剣が迫る打撃を受け止め、衝撃波が己の身を穿つ。
血潮が走り、宙に舞うのを見る。
「……不条理な化け物を悉く断ち斬ることが我が復讐!」
振るう斬撃は概念を断ち切る斬撃。
不条理。
それこそが己の許せぬものであった。
否定しなければならない。如何なる理由も大義も己には関係ない。世に満ちる不条理が生み出すのは悲しみでしかない。
『ラクリマ・セクスアリス』が『永劫回帰力』でもって運命を否定するというのならば、その悲劇をこそ否定しなければならなかったのだ。
故に、サクの瞳はユーベルコードの煌めき宿して大剣を振りかぶる。
「化け物が弄ぶ歪な未来や運命は不条理な化け物ごと斬る!」
手繰り寄せる未来。
運命に干渉する力が『永劫回帰力』であるというのならば、サクは、その概念を断ち切る。触れた瞬間に断ち斬るというのならば、サクの一撃を『ラクリマ・セクスアリス』は受け止めてはならなかったのだ。
いや、受け止めさせなければならない。
随行した大剣が飛ぶ。
飛翔したそれらが四方から襲いかかる。
己の身すら影にしてサクは踏み込む。
血潮が噴出しながらも、サクは『ラクリマ・セクスアリス』の視界を塞ぐ。
「運命を予知しようと、干渉しようと」
「貴様、血で、我の視界を!」
「視えていなければ、干渉もできまい!」
大剣のすべてが弾き返される。その刃がサクの身を避けるようにして飛んでいくのを見なかった。
己がすることはわかっている。
断ち斬る。
「全ての不条理を我が剣閃で断ち斬る!」
ただそれだけのために振るう斬撃の一撃は運命を超えて、一閃を『ラクリマ・セクスアリス』の粘着く体に叩き込まれるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(飛行式箒【リントブルム】に騎乗)
…昔は先手を取られた物だけど…
…私が成長したのか、複製だけに魔王の力が減じてるのか…
…とは言え、相手の能力が以前と同じである以上は取る戦法自体もそう変わらないな…
…私達を打倒するというならやってみるが良いよ…出来る物なら…
…箒に乗って空中戦…巨腕による叩き付け攻撃を回避していくとするよ…
…空を飛んでいるから魔の沼には嵌らないけど…この上に立たれると戦闘力が上がるから…
…【尽きる事なき暴食の大火】を発動…その沼に白い炎を放って沼を燃料として燃やしてしまおう…
…これで暴食の大火の勢いを増すことが出来る…
…沼の上に立とうとした魔王をそのまま燃やしてしまうとしよう…
『複製災魔』――恐るべきことである。
オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』は、アルダワ魔王戦争において強大な力を振るった大魔王すら複製してみせた。
そして、大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は、僅かにその時の記憶を有しているのだ。
「忌々しい猟兵共め。刻一刻と変化していく混沌。我が体内にある『魔女』共でも変容し続ける混沌に対する『正解』を導き出せぬか」
かつて戦った時、猟兵に対して強大な力を持つがゆえに先制攻撃を仕掛けてきた『ラクリマ・セクスアリス』であったが複製であるがためか、それとも猟兵たちの力量が底上げされたかの理由で、猟兵たちに必ず先制してくることはなかった。
『天空樹』の内部、その深部に至ったメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は飛行式箒『リンドブルム』を駆り『ラクリマ・セクスアリス』の元へと急行していた。
見下ろす先にあるのは見紛うことなき大魔王第四形態。
かつて戦ったことのある存在。
とは言え、その恐ろしさは知っている。
体内に取り込んだ『魔女』を介した力。
予知能力と運命に干渉する力。『永劫回帰力』。その力によって『ラクリマ・セクスアリス』は強大な力を振るう。
「……以前と同じ能力であるのなら、取る戦法自体はそう変わらないな……」
「『魔女』共よ、力を回せ。この戦場を我が身体で染め上げる!」
振るう腕部。
粘着く身体に収められた『魔女』たちの力がユーベルコードと化して迸る。
あの一撃は受けてはならない。
「貴様ら猟兵を打倒するための力だ。混沌たる貴様たちを殺すための!」
振りかぶった一撃をメンカルは見やる。
単純な力だ。
確かに『魔女』による『永劫回帰力』は凄まじい。けれど、大ぶりすぎるのだ。巨大な力故に振りかぶった一撃をメンカルは『リンドブルム』でもって飛びながら躱す。
けれど、それで終わりではない。
ひしゃげるようにして飛び散った粘着く身体は、周囲を塗りつぶす。
沼の如き様相となった地面をメンカルは見ただろう。
「攻防一体と言うのは厄介……攻撃が当たれば私達を殺せる……外れても、戦場を己の有利に塗り替える事ができる……か……」
しかし、とメンカルは理解している。
敵の手札を。
なんら変わらない。ならば、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ」
その指先より現れるのは白色の炎。
それはいかなるものも燃料にする炎。そう、如何なるものも、ということは即ち地面に満ちる粘着く『ラクリマ・セクスアリス』の振るった一撃もまた同然であるのだ。
「白色の炎……!」
「尽きる事なき暴食の大火(グラトニー・フレイム)……そう、燃料は其処にある。そして……その沼は暴食たる大火の勢いを増す……」
これは陣取り合戦だ。
結局、『ラクリマ・セクスアリス』は攻防一体であるがゆえに、その己の腕部の一撃に寄って領土を拡大するように戦場を塗りつぶそうとするだろう。
いずれ、猟兵に届く力を獲得するために。
「……それが過ち。沼の上に立たせることはさせない……その白色の炎は、どんなことをしても、私のユーベルコードが終わるまで、消えることはない……」
だから、とメンカルは白色の炎が照らす迷宮深部に在りて箒の上に立ち、見下ろす。
「……お前の勝ち筋はないよ……如何に運命をたぐり、未来を見通したとしても……」
変容する『今』を見ぬ者は足元を見ていない者と同義。
故にメンカルは白色の炎と共に『ラクリマ・セクスアリス』の領土を滅ぼすように置いたて、さらなる力を削ぎ落とすように、その瞳をユーベルコードに輝かせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
むぐぐ、なんでかわからんが奴を見てると妙に嫌悪感が沸くのだよな……なんでだ?
勢いよくブレスを吐きつつ再度UC、続けて悪いが貴様の出番だワルリリス!
『はいは~い★……ってすご~い★、魔女丸呑み胎内蹂躙孕ませ出産強制エロダークスライムとか18禁同人誌の中にしかいないと思ってましたよ~★』
(……うちの魔将が何を言ってるのかよく分からない……)
ワルリリスの靄に触れれば奴の軍勢も、あるいは奴自身やその身に取り込んだ魔女も、満足には動けまい
勿論遠ざかるだろうから|吐息《ブレス》で吹き付けるぞ?
奴の力の大部分はその「魔女」に由来した物であろう?
ならば魔女の力を失った時、奴は一体何になるのであろうな?
大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』。
その力は体内に取り込んだ『魔女』たちの持つ『永劫回帰力』によるものであった。
恐るべき力である。
しかし、この『ラクリマ・セクスアリス』にさえ猟兵たちは打ち勝ってきたのだ。だからこそ、開かれた未来がある。つながった未来がある。
猟兵たちのユーベルコードが戦場に煌めく。
『天空樹』の内部、迷宮と化した深部に在りて『ラクリマ・セクスアリス』は、その力を解き放つ。
体内の『魔女』たちより生まれ出る異形の獣人たち。
それは圧倒的な数で持って迷宮の内部を満たし、猟兵に殺到する。
「征け、異形なる獣人たちよ。『魔女』の胎より生まれる者たちよ。お前たちの生命は我の手の中である。故に我の所有物。生命は使い捨てるものである」
故に、と『ラクリマ・セクスアリス』の号令に異形の獣人たちは従う。
己の生命を生命とも思わずに。
「むぐぐ、なんでかわからんが奴を見てると妙に嫌悪感が沸くのだよな……なんでだ?」
ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は首をひねる。
それは当然のことであろう。
同じ力を持っている。
己の肉体をもって配下を増やして勢力を増す。
『ラクリマ・セクスアリス』は己の欲望のために。
百胎堕天竜魔王ワルルーナは他の欲望のために。
同じ魔王という名を持ちながら、一方は蔑称であると感じ、一方は自称する。しかし、己を戴くものと戴かれるものとでは、その力は同じであっても異なるものであった。
「猟兵。貴様の力は我と似ているが、『永劫回帰力』によって我の力は運命すら干渉する。貴様の力は良い所、増やすことのみ」
『ラクリマ・セクスアリス』の言葉にワルルーナはカチンと来るだろう。
噴き出すブレスの勢いにもそれが現れている。
「やかましい」
一蹴する。
どれだけ言葉を選ぶのだとしても、結局の所ワルルーナと『ラクリマ・セクスアリス』は相容れない。
猟兵であるからとか、オブリビオンであるからとかではない。
この世に魔王を名乗る者は一人でいい。
たったそれだけのことなのだ。
「そして、我は貴様が気に食わん。ムカムカしてくるのだ。なら、御託はやかましい。『ワルリリス』!」
「はいは~い★」
その言葉に応えるは、第7の獣ワルリリス。
ユーベルコードに寄って呼び出された彼女が解き放つピンクのもやもやが戦場を満たしていく。
如何に異形の獣人たちとて、彼女の放つすべてを快感に漬け込む力は抗えないだろう。あらゆる感覚が過敏化したことによって空気すら快感に変えて悶え倒れ込み、その衝撃でまた狂うような快楽に脳のすべてを冒されてしまうだろう。
「……ってすご~い★ 『魔女』丸呑み胎内蹂躙――」
それ以上はなんかこう、あれである。
ワルルーナの耳が聞き取れなかった。
「……うちの魔将が何言っているのかよくわからない……」
「さかしい真似をしてくれる」
生み出した獣人の軍勢の大半が使い物にならなくなった『ラクリマ・セクスアリス』は苛立つ。
わかっている。
「貴様の力の大部分は『魔女』に由来したものであろう? 猟兵の白色の火が貴様の陣地を焼滅し、獣人たちの軍勢も我が魔将の手によって落ちた。ならば、貴様は一体何であるというのであろうな?」
もはや魔王とは名乗れない。
ワルルーナにとって、それは大きな意味を持つだろう。
他者の欲望を叶える魔王。
それは、己のためだけに力を振るう魔王よりも多くの力を得て、『ラクリマ・セクスアリス』の力を削ぎ落とすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「諦めないと言えば聞こえはいいが。
それは過去を振り返ってこそ。
今のお前はただ繰り返しているだけだ。
ならば、此方も同じ様に潰すとしよう。」
表の呪い裏の呪詛を発動して
巨腕による攻撃を敢えて受け
呪詛によりダメージを敵に肩代わりさせる事により攻撃。
更に肉体を蝕む死の呪詛を敵の内側に発生させて追い打ちをかける。
纏った冥府の闇を利用してダメージを軽減しつつ
敵の攻撃を【見切り】致命傷にならない範囲で受け続ける事で
敵が地形を沼に変え強化される事を防ぐ。
「一度みた技だ、対策は立てて居るさ。それなりにな。」
ダメージにより敵の動きが鈍ったところを見極めて接近。
闇を纏った腕を敵に突き立て直接呪詛を敵の身体に流し込む。
白色の炎が『天空樹』内部の迷宮に満たされた粘着く、大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の放った沼の如き粘性の身体を焼滅していく。
それだけではない。
『魔女』より生み出された異形の獣人たちといった軍勢すらもユーベルコードに寄って無力化されていく。
「だが、我が負けたわけではない」
『ラクリマ・セクスアリス』は、その巨大な腕を振るう。
内部には取り込まれた『魔女』たちの『永劫回帰力』を持って、尋常ならざる力が満ちている。
痛烈なる一撃。
されど、『ラクリマ・セクスアリス』は、その一撃を持って周囲を沼に変貌させる。
その上に立つ己の力を増強するためであろう。
無力化された異形の獣人たちを飲み込みながら沼が広がり、その額にある赤い宝石を爛々と輝かせながら『ラクリマ・セクスアリス』は笑う。
「諦観など我には程遠い。我は貴様たち猟兵を滅ぼす。我にとって敵とは貴様たちのことを差すのだ。貴様たちさえ駆逐できたのならば」
「もはや世界の趨勢は己の手の内だとでも言うつもりか、大魔王」
フードの奥の瞳がユーベルコードに輝く。
フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、己の魔力を代償に冥府へと接続する。彼の周囲には闇が広がっている。
「諦めないと言えば聞こえはいいが。それは過去を振り返ってこそ。今のお前はただ繰り返しているだけだ」
「言うではないか、猟兵。しかし、一度目は不覚を取った。それは事実。故に我は貴様たちを叩き潰すことに油断もなければ驕りもないと知れ」
振るう腕部が膨れ上がる。
『魔女』を取り込んだ一撃は受ければ、フォルクを叩き潰すだろう。
故に、フォルクはフードの奥で言葉を紡ぐ。
「ならば、此方も同じように潰すとしよう」
表の呪い裏の呪詛(オモテノノロイウラノジュソ)。
それは魔力を代償にして繋がる冥府の闇。
そして、その闇を顕現する間、彼の身は呪詛によって生き続ける。叩きつけられる痛烈なる一撃を受け止め、フォルクは呪詛を持って一撃の重さを『ラクリマ・セクスアリス』に肩代わりさせる。
反転させるとでも言えば良いか。
「貴様……!」
「アルダワ魔王戦争では一度見た技だ、対策は立てて居るさ。それなりにな」
きしむ骨身。
完全に肩代わりさせることができない。
しかし、それでもあの巨大な腕の一撃を受け止められた。それならば、あの粘着く身体の一部が戦場を塗りつぶし、沼へと変えることを防ぐことができる。
「その程度で我の一撃を防いだつもりか!」
「ああ、そのとおりだ。だから、お前が俺に攻撃の意識を向けることを望んだ」
フォルクのフードの奥の表情が笑う。
受け止めたのは、このためだ。
己の中に渦巻く呪詛。
死の呪詛。
肉体と精神を蝕む内側からのほとばしり。それを持ってフォルクはきしむ腕を『ラクリマ・セクスアリス』に突き立て、呪詛を流し込むのだ。
「お前は知るが良い。冥府の果にある忌まわしき呪詛。我が手にある、その死の力と転変の呪い。お前も現世にあるというのならば、存分に味わうがいい」
逆転した呪い。
それが『ラクリマ・セクスアリス』の身体を内側から破壊していく――。
大成功
🔵🔵🔵
ディフ・クライン
ムースの背から飛び降りる
大魔王、二度と会いたくはなかったな
重圧を受けても尚
真っ直ぐに見据え返してやる
神とでも呼ばれたかったのかい
貴方の齎す未来には希望も明日もなさそうだ
肩に乗る相棒の雪精を解き放とう
顕現せしは雪の末姫
ネージュ、君の加護をオレにおくれ
雪のヴェールと冬のオーラ纏い
出来る限り身の防御を固める
簡単に防御出来るなんて思ってない
だから出来る限りコアだけは死守しながら
防御のまま沼に嵌って身動きが取れなくたって
雪姫が無事ならば
世界樹さえも凍らせる絶対零度の猛吹雪が
魔の沼も毒の身体の魔王も厚い氷に閉ざしてみせる
精霊の森と天空樹を返してくれ
此処は貴方たちが踏み入れていい地じゃない
骸の海に還れ、魔王
己の身の内側から迸る呪いに、大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は咆哮する。
「我が身体の内側に呪いを流し込むなど! よくも! よくも!!」
湧き上がる呪詛に身を焼かれるように悶ながら『ラクリマ・セクスアリス』は粘着く身体を震わせ、その体内に取り込んだ『魔女』たちの『永劫回帰力』を膨れ上がらせる。
腕部は巨大化し、掲げられる。
その一撃は痛烈。
受ければただでは済まない。
わかっていることだ。
ディフ・クライン(雪月夜・f05200)は少なくとも知っている。もう二度と相対とは思わない存在。
それほどまでに『ラクリマ・セクスアリス』は強大な存在であった。身を焼くような重圧が魂にさえ届くようであった。
巨大なヘラジカよりディフは飛び降り走る。
あの額にある赤い宝石の煌めきを見やる。まっすぐに見据える。ただそれだけでいいのだ。己の中には恐怖がある。嫌悪もある。
けれど、同時に燦然と輝くものがある。
この精霊の森を思う心だ。
「神とでも呼ばれたかったのかい」
「大魔王など我にとっては蔑称にほかならぬ。猟兵! 我は貴様らを滅ぼし、世界を手中に収めるのだ」
振るい上げた巨大な黒き腕。
それが振り下ろされる。
まるで山が落ちてきたかのような衝撃であった。
「貴方の齎す未来は希望も明日もなさそうだ」
きしむ。
雪のヴェールも冬のオーラも。砕けるようにして尋常ならざる力が肩に響く。
しかし、輝く。
ディフは思う。ただ一つのことを思う。自分が如何にして今までの道程を歩んできたのかを。それを知ることができるのは『今』を生きる己であるからこそ。
その己を成さしめるのは他である。
「最果ての雪姫(ネージュ・ユグドラシル・グラース)……ネージュ、君の加護をオレにおくれ」
瞳に輝くユーベルコードが発露する。
それは世界樹さえ凍らせる絶対零度の猛吹雪の発露であった。
渦を巻くようにして立ち上る吹雪は、ディフに落とされた腕さえ凍結せしめる。
「……馬鹿なっ、我が肉体が凍る……!?」
「最果ての世界樹より生まれた雪の末姫。それがネージュ……ありがとう。君の力でオレは今もこうしていられる」
魔の沼も。
身を覆う毒性の身体も。すべて、氷に閉ざして見せる。
ディフにとって、それは己の力ではなかった。けれど、同時に己に差し伸べられる手でもあった。自分は一人では生きていけない。
他の生命であってもそうだろう。
たったひとつで完結することの出来る生命など存在しない。
他がなければ個など存在しない。
ならばこそ、ディフは他を塗りつぶし奪うばかりの『ラクリマ・セクスアリス』を許しはしない。
「精霊の森と『天空樹』を返してくれ。此処は」
ディフの瞳が一層強く煌めく。恐れは燦然たる思いにかき消されるものである。
人は恐怖と不安を乗り越える。
何を持って、と問われたのならば、ディフは応えるだろう。誰かを思う時に生まれる勇気であると。
「……此処は、貴方たちが踏み入れていい地じゃない」
巨大な腕を凍結された『ラクリマ・セクスアリス』は腕をひこうとする。だが、襲い。
振るうディフの拳の一撃が、その凍結した腕を砕くのだ。
「骸の海に還れ、魔王――」
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
WIZ
あれが複製体の大魔王?!
たとえ強大な相手だろうと、俺達猟兵は勝利する未来を掴み取ってやるんだ!
あれだけの巨大な腕で攻撃してくるなら、その挙動をしっかり観察していれば仕掛けてくるタイミングもわかりそうだな
敵の攻撃を【第六感】で感じ取りつつ【見切り】回避
【残像】も交えて敵の攻撃を凌ぎ切る
先程の戦いでの負傷もあるが、この戦いに勝利する為にも…UC発動!
傷を回復するとともに力を増幅
UC発動により生えた翼で飛翔し、沼に入らぬよう立ち回る
【破魔】の力を札に注ぎこみ放つ!札が触れれば敵を【マヒ攻撃】で動きを一瞬封じてしまおう
後は俺の【全力魔法】力を注ぎ込んだ刀を手に突貫!
【貫通攻撃】で叩き切ってやる!
凍結し、砕けた大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の巨大な腕。
しかし、それは瞬時に膨れ上がるようにして粘着く身体を攻勢していく。あれが『永劫回帰力』であることを鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は理解する。
『複製災魔』、それがあの大魔王の、『ラクリマ・セクスアリス』の正体だ。
複製といえど侮ることはできない。
なぜなら、あの『ラクリマ・セクスアリス』はアルダワ魔王戦争の折の記憶をわずかに有している。
「無駄だ、猟兵。我の体内に取り込んだ『魔女』の『永劫回帰力』がある限りはな!」
振るう一撃地面を塗りつぶしていく。
沼。己の力を高める土壌へと変えるユーベルコードによって『ラクリマ・セクスアリス』は、さらに力を高めていく。
「いいや、嘘だな」
ひりょは告げる。
確かに傍目には傷を負っても復元しているように見える。
けれど、無限ではない。
なぜなら、一度猟兵たちはあの『ラクリマ・セクスアリス』を打倒しているのだ。ならば、ひりょは悲嘆も絶望もしない。
「俺達猟兵は勝利する未来を掴み取ってやるんだ!」
「ぬかせ……貴様たちに一度敗北を喫したのはなにかの間違いでしかないのだ。ならば!」
振るいあげる巨大な腕。
その一撃は大ぶりだ。一撃でこちらを仕留めようといる。ならばこそ、ひりょは前に進む。後退してはならない。
後退すれば、それだけ一歩遅れる。
なら、前に進むしか無いのだ。
残像が走る。
「小賢しい。どれだけ速く動くのだとしてもな!」
広がる腕。
天蓋の如く広がった黒い粘着く腕がひりょの頭上より迫る。痛みが走った。膨大な数の『災魔』との戦いでひりょも消耗している。
その状態で戦わねばならないことは、彼にとって窮地であった。
けれど、それでも前に進んだのならば。
「翼よ、今こそ顕現せよ!」
己のオーラが翼を象る。
広がる白と黒の翼は、一気に羽撃く。身に刻まれた傷跡を癒やし、さらに踏み込む。
黄昏の翼(タソガレノツバサ)と名付けられたユーベルコードはひりょを戦いの渦中へと進ませるだろう。けれど、それでいいのだ。
そうするための力だ。
振りかぶる刀が『ラクリマ・セクスアリス』の巨大な腕を引き裂く。
己を捉えるために薄く広げたせいで刃が通る。
「すべてを得ようとする。その浅はかさが!」
目の前に広がる粘着く腕がそれを如実に示していた。一撃で押しつぶそうとする、一撃で捉えようとする。
いずれも大雑把であると言わざるをえない。
ならばこそ、ひりょは己の渾身の力を込めた刃の一閃を『ラクリマ・セクスアリス』に叩き込む。
袈裟懸けに放たれた斬撃が『ラクリマ・セクスアリス』の巨体を切り裂く。
「ぐ、オオオッ!!」
傷つけられながらも振るう一撃がひりょを襲う。
けれど、それは破魔の力を込めた札によって阻まれる。
一瞬のことだった。
僅かに動きが止まる腕。腕しか止められなかったが、それで十分だった。
「お前は皆の笑顔を汚すものだ、なら!」
切り裂く、と刃を振るう。
白刃がひらめき、その黒く粘着く身体に新たな傷跡が刻み込まれる――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
お、久しぶりー☆
と言ってもこの姿の大魔王とは初めて会うんだけどね。
まぁいいや、どっちにしてもすぐにさよならする事になるんだし。
どっちの望む形のさよならになるか、勝負だ!
相手はまたも大軍勢、やっぱり手数が必要だね。
【貫通攻撃】が得意なガジェッティアレーザーを大量に複製して【乱れ撃ち】すれば、イカでもバッタでも豹でも関係なくまとめて撃ち抜ける。
これで軍勢の進軍を抑えてられる内に【空中浮遊】して、本物のレーザーで大魔王本体を撃つ!
【瞬間思考力】があれば、遮蔽物がない瞬間だって見つけられるはず。
ある時はライダー、ある時はプリンセス、そしてまたある時は【スナイパー】。
それがにぃなちゃんだぞ☆
斬撃の一撃が巨体に刻まれる。
十字に刻まれた黒く粘着く身体を揺れ動かせながら大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は咆哮する。
「鬱陶しい……! 貴様たち猟兵は! 我が障害!『魔女』どもよ!!」
膨れ上がる粘性の身体より排出されるのは『魔女』たちより生み出される異形の獣人たち。
それは群れというよりは洪水のように排出され、己の敵である猟兵へと走る。
「オオオオ!!!」
咆哮。
生まれたことへの怨嗟か。
それとも、奪うことへの喜びか。
いずれにせよ、生まれたことの意味を汚され、『ラクリマ・セクスアリス』の欲望のために生み出された異形の獣人たちは迷宮化した『天空樹』の内部にて走るのだ。
「お、久しぶりー☆」
しかし、そんな彼等を前にしてニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)はいつもの調子を崩すことはなかった。
確かに大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は恐るべき敵である。
お久しぶり、と言ったのは、一度戦っているからだ。
といっても大魔王第四形態ではない、他の形態の大魔王である。
けれど、関係ない。
「どっちにしてもすぐにさようならする事になるんだし」
「抜かせ、貴様ら猟兵を排除するのは我だ!」
「そうだよね。どっちの望む形のさよならになるか、勝負だ!」
ニィナの瞳がユーベルコードに輝く。
敵の数は多い。
圧倒的であると言えるだろう。
ならばこそ、彼女の手にあるガジェッティアレーザーが大量に複製されていく。整然とした威容。
その光景を前にしても異形の獣人たちは止まらない。
目の前に存在する猟兵を押しつぶし、殺すためだけに殺到しているだ。
「イカだかバッタだか豹だか関係ないよね☆」
掲げた手を振り下ろす。
瞬間、彼女の周囲に渦を撒くようにして浮かぶガジェッティアレーザーの銃口が光を湛える、一斉に射撃を開始する。
火線が放射状に放たれ、ニィナを飲み込まんとしていた異形の獣人たちを射抜くのだ。
「これが、ガジェット忍法・弾丸祭の術(ガジェットアーツバレットフェスティバル)☆」
「物量で我に張り合おうなど!」
「甘いって言いたいんでしょ☆ でもね、ニィナちゃんは――」
ニィナは火線の乱舞と迫りくる異形の洪水の最中を走る。
刻一刻と変わる戦場。
その様相を見やる。見つめる。瞬間思考は、その間隙を見つけるのだ。分かっている。これがそう多くはない機会だということは。
「ある時はライダー。ある時はプリンセス」
彼女の姿が変わる。ライダースーツから、プリンセスウェアに。
そして今は忍び装束。さらに変わる。宇宙服のような姿。その姿で構えるのは、ガジェッティアレーザーであった。
周囲に渦巻くようにして配置されているのは、複製されたそれである。
彼女が今構えているのは本物のガジェッティアレーザー。
「そしてまたある時はスナイパー。それがにぃなちゃんだぞ☆」
引き金を引いた瞬間、異形の獣人たちが隔てる『ラクリマ・セクスアリス』とニィナを一直線に繋ぐ穴が生まれる。
レーザーによって穿たれたのではない。
間隙である。
その針の穴を通すような一撃は『ラクリマ・セクスアリス』の肉体へと減衰すらされず走り、その身を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
えぇ……。
なんでちょっと強そうになると、R18なビジュアルになるんですか……。
って、ステラさん!?
しれっと新シリーズとか始めないでください!
だいたい前のだって始まってないって言いましたよね!?
勇者が狙われる存在なのはわかりますけど、
そういうのは、もっと需要のある方にお任せしてますので!
わたし剥いたって、あんなナイスバディになんてなら……。
(つい直視してしまって、あわてて真っ赤になって顔背け)
えーん! ステラさんがいじめます!
もう訴えます!訴訟です!借金全部押しつけますからね!
と、いいつつもう見ないように気をつけながら、
八つ当たりで、このへんだろう【カンパネラ】、をぶち込みます!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
なるほど、まさしく女の敵
つまり、はいぼくゆうしゃしりーずしんしーずん……
あれ?既存シリーズありませんでしたか?
これはメイドうっかり
いやいや、ルクス様も需要あるってリサーチがありまして
普段とのギャップ、大切ですよね
そう、そのギャップです(赤面ルクス様を動画に収めつつ)
え?借金の肩代わりですか?
別に構いませんが……その後どうなるか
おススメはしません
さて、ともあれ目の前の女の敵は滅ぼさないといけません
【シーカ・サギッタ】で仕掛けます
致命傷にならないでしょうが
ルクス様の道行きくらいは
確保できるでしょう
トドメは勇者と相場が決まってますから
膨れ上がる粘着く黒い体躯。
大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の体内に取り込まれた『魔女』たちの持つ『永劫回帰力』の凄まじさは言うまでもない。
無尽蔵に生み出される異形の獣人達のみならず、運命に干渉し、予知すら行なう『魔女』たちの子守唄が響き渡る。
「やはり猟兵を殺す『正解』は導けぬか……混沌たる雑多なる世界の寄せ集めどもめ……!」
『ラクリマ・セクスアリス』は呻く。
確かに己の力は強大そのものだ。
己の身体が『天空樹』の迷宮からあふれれば、それだけで世界の破滅は免れぬものである。
故に、この障害たる猟兵たちを排除することこそが『ラクリマ・セクスアリス』にとっての正念場でもあったのだ。
だが、それは成されることはないだろう。
猟兵たちが立ちふさがっているからだ。
「えぇ……なんでちょっと強そうになると、レーティングがこう、あれなビジュアルになるんですか……」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の見やる先にあったのは、『ラクリマ・セクスアリス』の体内に取り込まれた『魔女』たちの姿であったことだろう。
その姿になんとも言い難い感情を抱くのは彼女が女性たる身であったからだ。
「なるほど、まさしく女の敵。つまり、はいぼくゆうしゃしりーずしんしーずん……」
「しれっと新シリーズとかはじめないでください!?」
「あれ? 既存シリーズではありませんでしたか? これはメイドうっかり」
メイドってつければ、なんでも許されるわけじゃねーんだぞ、と何処からかステラ・タタリクス(紫苑・f33899)にツッコミが入りそうな物言いであったが、そんなシリーズはないのである。
うっかり始まろうものなら、それはそれで大変なことになってしまう勇者の貞操的なあれである。
「勇者が狙われる存在なのはわかりますけど、そういうのは、もっと需要ある方にお任せしてますので!」
「いやいや、ルクス様も需要あるってリサーチがありまして。普段とのギャップ、大切ですよね」
にこ。
にこ、じゃないが。
その手にあったのはなんかこう薄いタブレット的な端末。そのカメラに収められている赤面ルクスは需要があるっていうリサーチを裏付けるものであったかもしれない。
「わたし剥いたってあんなナイスバディになんてなら……」
「そう、そのギャップです!」
こういう時、恥ずかしがった方の負けである。
延々といじられる運命にあるのである。そういうものである。
「えーん! ステラさんがいじめます! もう訴えます! 訴訟です! 借金全部押し付けますからね!」
ルクスは赤面したままに迫る『ラクリマ・セクスアリス』の振るい上げる粘着く黒い腕の一撃が放つ衝撃波の中を走る。
すごい捨て台詞である。
「え? 借金の肩代わりですか? 別に構いませんが」
「え!?」
いいの!?
ルクスはむしろ、そこに驚く。結構な金額なはずなのであるが、ステラはこともなげに一つ頷く。
「ええ、ですが、その後どうなるか」
「どうなるんです……?」
「おすすめは致しません」
何がどうなるの!? そこだけ! そこだけ教えて置いて欲しい! あんまり酷いことにならなければいいが、ひどい目に合うやつなのだろうか! 気になります! あ、うそうそ! そんな事無いから!
と、なんかこうそういう雰囲気を感じ取ったステラは敬々しく一礼する。
「わーん! ステラさんの怖い発言嫌ですー!!」
ルクスはその嫌悪たる感情を叩き込むように、魔力のこもったグランドピアノの物理の一撃を持って迫る『ラクリマ・セクスアリス』の腕を弾き飛ばす。
「何を訳のわからぬことをごちゃごちゃと!」
『ラクリマ・セクスアリス』の言葉も最もである。
しかし、ステラはその瞳をユーベルコードに輝かせ言うのだ。
「あなたには関係ございませんよ。女の敵……滅ぼさばならぬもの」
投げ放つナイフが無数に飛ぶ。
それは、シーカ・サギッタ。
投げナイフはメイドの嗜み。そして、『ラクリマ・セクスアリス』は、それこそが己の防護を貫くことを知る。
「ええ、致命傷にはならないでしょうが……ルクス様の道行くらいは確保出来るでしょう」
「この、ユーベルコードは……!」
そう、彼女の投げナイフはただの投げナイフではない。
あらゆる防護を貫通する一撃。
その一撃に寄って穿たれた粘着く腕の中をルクスは駆け上がっていく。
「八つ当たりさせてもらいますね!」
「借金まみれの勇者でもトドメは相場が決まっておりますから」
「誰が借金まみれ勇者ですか!」
振るう一撃は感情がとてもこもっていた。なんていうか、締まらない一撃であったけれど。
それでも、その一撃は確かに『ラクリマ・セクスアリス』の脳天をかち割る勢いで放たれ、その巨躯を傾がせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
んもー
powに変化技とか変則ステなんだからー
もっと世界の原則守ろうよ!オーディエンスもそう言ってる!
うん?世界はもっと自由であれってこと?(言ってない気もする)
うん、それには同意だね!
●力業(pow)
予知としても対処できない
運命を操作しても回避できない
そんな力業でいってみよーっ!
いけよやインスタント終末!
全天を覆え!砕けや大地!とばかりに衛星級の[球体]くんたちを上空から降り注がせる!
それでもキミなら凌ぐかもしれないね!
でもその渾沌のなかで生まれた蓋然性のなかからボクの【第六感】は勝ち筋を見出してみせる!
つまり
どさまぎに近付いて……UC『神撃』でドーーーンッッ!!!
ユーベルコードの力は千差万別である。
千変万化と言ってもいいだろう。
それほどまでに猟兵とオブリビオンの手繰るユーベルコードには法則性があれど、有り様を示すものである。
故に大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』のタグるユーベルコードが体内に取り込んだ『魔女』たちの『永劫回帰力』による運命を予知、干渉する力であってもなんら不思議ではないのである。
「んもー、もっと世界の原則守ろうよ! オーディエンスもそう言ってる!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は不満げだった。
何をそんなに不満であるのかというと、自分の齎すユーベルコードとかち合うのが、『ラクリマ・セクスアリス』の持つユーベルコードと噛み合っていないからだ。
響く子守唄は『魔女』たちが己より生み出した異形の獣人たちの生命を憂うからか。
猟兵達によって打倒された屍は、しかして黒き粘着く体内に取り込まれていく。
「邪魔立てを……! 世界の原則など知ったことか。この世界を滅ぼすためにこそ我はあるのだから!」
「うん? それは世界はもっと自由であれってこと?」
「枠を取り払えということだ!」
「うん、それには同意だね! けどさ!」
降り注ぐは、無数の球体たち。
「予知も干渉もするっていうのなら、力技でいってみよーっ! いけよやインスタント終末!」
空を覆う無数の球体たち。
しかし、それらの尽くが『ラクリマ・セクスアリス』の粘作手に寄って弾かれ、または砕かれていくだろう。
「なるほどキミなら凌ぐかもって思っていたけれど、本当に防ぐとはね!」
「なめるなよ、猟兵! この程度の物量というものはな! 脅威にすらならんのだ!」
吹き荒れるようにして『ラクリマ・セクスアリス』の腕が振るわれる。
薙ぎ払われる球体たち。
倒された異形の獣人たちの屍が舞う中、ロニは笑う。
窮地であることには代わりはない。
この渾沌たる最中に生まれた蓋然性。
コインの表裏を見定めるかのような確立の変動。己が信じる第六感は、勝ち筋を見出すのではなく、その勝ち筋をこそ信じるからこそ手繰り寄せるものであると知る。
「そうかもね! だけどさ! ボクはボクを知っているからね! 神様だからね!」
握りしめた拳がユーベルコードの輝きを解き放つ。
ふるい挙げられた巨体の黒い腕を真正面に見据え、ロニはその振り下ろされた巨大な塊へと神撃(ゴッドブロー)の一撃を見舞う。
吹き荒れる力と力の奔流。
「ド――ンッ! ってね!」
吹き荒れる力は『天空樹』の内部より震わせ、その木々の枝葉を揺らすだろう。
内部にある戦いの光景は誰にも知られることはない。
けれど、確かに此処にはあるのだ。
蓋を開けるまで然るべき結果があるという性。
確認するまでわからぬ結果は、ロニの瞳に映し出されている。砕ける拳は、その『ラクリマ・セクスアリス』の腕そのものであった。
「馬鹿な……我が体内に在りし『魔女』たちの干渉が、『永劫回帰力』が……弱まっているだと!?」
それは猟兵たちが紡いできた戦いの結果だ。
「言ったでしょ、勝ち筋は手繰り寄せるってさ! え、言ってない? 言った言った。言ったよー!」
振るう一撃の衝撃が荒ぶ中、ロニは軽快に笑って砕ける巨大な腕を蹴り飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
マシュマローネ・アラモード
◎
悪辣な行いもそこまで。
モワ、力の根源がわかりやすいと、止めるのは容易。
UC、|高貴なる看破《ノーブル・ディテクター》!
接続されている力を破壊式で破損、内部で荒れ狂う強化式が体内の魔術回路を破壊する、なかなかダメージは大きいかと思いますわ!
推力移動で回避して、トドメの一撃を狙いましょう。
もう強化は行えませんわね。
機構槌の一撃とインパクト、斥力で吹き飛ばしましょう!
第四の魔王、これにて終局としましょう!
カタストロフは成りませんわ。
敗北から学ぶことをしない限り、一度勝利した相手に勝てる道理はありませんわ。
況してや、初見の私でさえ勝機を見出せるのですから……!
砕ける黒い腕。
大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の振るった一撃は猟兵のユーベルコードと激突して砕けて散った。
如何に体内に取り込んだ『魔女』たちの『永劫回帰力』があるのだとしても、それを上回る勢いで猟兵たちのユーベルコードが『ラクリマ・セクスアリス』の存在を削り取っていく。
「ここまで追い込まれるというのか……!」
『ラクリマ・セクスアリス』にとって、それは予想しないものであったことだろう。
確かに敗北の記憶はある。
しかし、それは手違いのようなものであり、間違いそのものであった。
だからこそ、という驕りはあったのだ。
「悪辣な行いもそこまで。モワ、力の根源がわかりやすいと、止めるのは容易」
マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)は、バーニアの噴射と共に『天空樹』の深部へと到達し、その瞳をユーベルコードに輝かせながら『ラクリマ・セクスアリス』を見下ろす。
かの大魔王の力の源は『魔女』である。
体内に取り込んだ彼女たちの持つ『永劫回帰力』による運命の予知と干渉。
それによって『ラクリマ・セクスアリス』は猟兵達のユーベルコードから間一髪逃れてきたのだ。
しかし、わかっている。
『永劫回帰力』は底を突く。
回避さしめた運命。だが、幾度も撚り合わせることによって確実に追い込むことが出来る。
「わかっておりましてよ! その『永劫回帰力』は、もはや風前の灯。消耗していることが、その証左ですわ!」
王族の闘気が吹き荒ぶ。
そのノーブル・ディテクターとも言うべきユーベルコードが発露する闘気に触れた『ラクリマ・セクスアリス』は、己の力が解除されていくのを感じた。
己の粘着く身体を叩きつけることに寄って戦場を沼と化し、その上に立つ己の力を底上げしていた力さえ、マシュマローネのユーベルコードに寄って解除され、さらにその強化してきた力を反転させられるのだ。
「――……なんだ、これは! 我が力が、反転し、逆流してくる!?」
内部より膨れ上がるようにして力が逆流し、ボコボコと身体が泡立つようにして『ラクリマ・セクスアリス』の身体を内部から破壊していくのだ。
「そうでしょうとも! 内部で荒れ狂う強化式。それは行き場のない荒れ狂う力! あなたがこれまで強化してきた分が反転しているのですから、そうなるのは自明でありましょうとも!」
「貴様!」
「もう強化は行えませんわね!」
マシュマローネが踏み込む。
敵の攻勢は苛烈。そして、自身が反転させて強化も、おそらくこの機会を逃しては、『永劫回帰力』によって回復されてしまうだろう。
消耗させることが出来ているのは、これまで積み重ね、紡がれてきた猟兵たちの戦いがあってこそだ。
「第四の魔王、これで終局としましょう!」
振るうエンジンを搭載した杵の如き鋼鉄の一撃が斥力を示すように『ラクリマ・セクスアリス』の巨体を打つ。
揺らぐ。
しかし、それでも止まらない。
「許さぬ! 世界の破滅を、この手で……!」
「いいえ、カタストロフは成りませんわ!」
マシュマローネは迫る粘着く腕をバーニアを噴射させながら躱し、『ラクリマ・セクスアリス』の頭上へと飛ぶ。
見下ろすは、その額に埋め込まれているかのような赤い宝石。
「敗北から学ぶことをしない限り、一度勝利した相手に勝てる道理はありませんわ。況してや、所見の私でさえ勝機を見出だせるのですから……!」
戦いとは常に変わっていく。
同じ状況が続くこともなければ、同じ勝利があるわけでもない。
故に学ぶのだ。
勝利への光明を見出すために。
ただ必死に駆け抜けることこそが、洗浄における懸命に生きるということである。ならばこそ、マシュマローネは振り上げた『キネティック・リパルサー』の一撃を振るう。
叩きつけた一撃は、その紅き宝石に亀裂を走らせ、内部より逆転した強化の力を泡立たせるユーベルコードの闘気と共に内外より衝撃を合わせ、『ラクリマ・セクスアリス』の巨体を大きく歪ませるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
レテイシャ・マグナカルタ
怪力で暴れ善戦していたが、無限に沸く軍勢に押され腕や触手に捕まり魔王の体に押し込められる
永劫回帰力の代わりに魔力を吸われ怪力が出せずピンチ
苦しそうに呻きながら藻掻いて拳銃を取り出し獣人達を撃ち、一瞬退けた所で賭けにでてUC発動
魔王の体の中で魔力を吸われている今は魔王の粘液の体に触れている、それはつまり魔王に取り込まれ一部にされた魔女にも『触れ』てると言えるかもしれない
「ずっと足踏みしてる|過去《大魔王》と違って、オレ達は|未来《さき》に進んだ。そこでお前らの『ぼうや』達に会ったぜ。みんな懸命に今を生きてたよ……だからその『母ちゃん』達も根性見せてみな!やられっぱなしでいいのか!」
『その場にある物品』として魔女を利用=EB世界の話をして魔王に抵抗する意思を蘇らせる説得し獣人軍勢を引かせる
|永劫回帰力《運命を操作する力》を借りて真の姿(竜の形をした青い魔力光を纏う)で魔王の体に埋もれながら頭に向かって飛んで引き裂いていく
「人の武器、母親の根性、猟兵以外を侮ったのがお前の敗因だぜ、大魔王!」
逆転した力によって撓むようにして大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の黒き巨体が歪む。
だが、未だ内部に存在する『魔女』たちの『永劫回帰力』によって生み出された異形の獣人たちが洪水のように『天空樹』の迷宮と化した内部へと溢れ出す。
「数とは力」
『ラクリマ・セクスアリス』は理解していた。
己が猟兵を敗れたこと。
曖昧であるが僅かに残る記憶がそう告げている。己を大魔王などという蔑称で呼び、そして、滅ぼす者達。
「だが、我は未だ滅びず。我が望む世界の破滅のために」
振るう力が溢れるようにして獣人達を生み出し続ける。
額にはめ込まれたような赤い宝石に亀裂が走り、その力が漏れ出している。
レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は溢れ出す獣人たちを相手取り、善戦していた、と言えるだろう。
彼女の怪力は獣人たちを叩きのめすには十分であった。
けれど、『ラクリマ・セクスアリス』の言う通り、数とは力。
多勢に無勢とも言うべき無限に湧き上がる異形の獣人たちに彼女は抑え込まれ、その体を『ラクリマ・セクスアリス』の黒く粘着く身体へと押さえつけられる。
「離、せっ! この……!!」
だが、抵抗も虚しいものであった。
これまで猟兵たちの攻勢によって『ラクリマ・セクスアリス』は追い込まれていた。体内の『魔女』たちの持つ『永劫回帰力』だけでは足りない。
ならばどうするか。
猟兵を取り込む、という選択肢。
その正解を引きずり出した窮地に『ラクリマ・セクスアリス』は笑う。
「異物! だが、力の代わりにはなろう!」
膨大な魔力を身体能力の強化に使っていたレテイシャは、呻くしかなかった。
魔力を吸われ、粘液の触手が彼女の身体に絡みつく。手足を掴まれ、抵抗を許さぬとばかりに磔刑のごとく捕らえられるのだ。
きしむ骨身。
身の内側から魔力を吸われる感覚。
「う、ぐ、ああああっ!」
もがく。
もがくしかない。己に今できるのは、それしかない。
「往生際が悪い。猟兵よ。貴様は我が糧となるのだ。そうすれば、貴様にも……」
「うるせぇってんだよ!」
その瞬間、レテイシャの手にあったのは拳銃。
改造された拳銃。片手で取り回しが出来るように、と改造に改造を重ねてきた拳銃。魔力による肉体強化が望めない以上、これしかなかった。
「あ、ぅ……うぁっ!」
骨が、肉が、肌の上を這い回る粘液によって冒される。だが、それでもレテイシャは賭けに出るしかなかった。
今の己は『ラクリマ・セクスアリス』によって囚われている。
だが、同時に触れているのだ。
触れているということは、体内に有る『魔女』にも触れているといえるのかもしれない。
「ずっと、足踏みしてる、ぅ、あぐっ……|過去《大魔王》と違って、オレ達、は……|未来《さき》に進んだ。そこでお前らの『ぼうや』たちに会ったぜ」
その言葉に『ラクリマ・セクスアリス』は訝しむ。
何を言っているのだと思っているのだろう。
レテイシャが見るのは取り込まれた『魔女』たち。望まぬ子らを生み出すだけの存在に堕してなお、それでも其処に有ると彼女が認識するのならば。
「みんな懸命に生きていたよ……だから、その『母ちゃん』たちも根性見せて皆! やられっぱなしでいいのか!」
その言葉に『ラクリマ・セクスアリス』はせせら笑う。
「馬鹿なことを。我が体内に取り込まれているのならば……なに……?」
レテイシャを押し付けていた獣人たちが止まる。
どういうことだと思うより速く、レテイシャが『ラクリマ・セクスアリス』の高速を振りほどく。
彼女の瞳に有るのは諦観でもなければ、絶望でもなかった。
吹き荒れるは超克の輝き。
彼女の身が変貌する。
いや、違う。
これまで吸い上げていた魔力が青い魔力光を解き放ち、彼女の真の姿を顕現させる。
まるで竜を象ったかのような光。
その光を纏うレテイシャを襲う『ラクリマ・セクスアリス』の粘ついた腕。
埋もれるレテイシャであったが、しかし、その踏み込んだ脚が『ラクリマ・セクスアリス』の身体を吹き飛ばす。
「なっ――!?」
「人の武器、母親の根性……!」
レテイシャは踏み込み、飛び込むようにしながら青い光と共に『ラクリマ・セクスアリス』の身体を引き裂いて飛ぶ。
「猟兵以外を侮ったのがお前の敗因だぜ、大魔王!」
超克の輝きはオーバーロードに至りし者の証。
レテイシャは、その青き光と共に拳を振るう。叩き伏せた『ラクリマ・セクスアリス』の巨体の頭上に飛び、その手にした拳銃を構える。
拡張されたオーラは、正しく拡張義手足(カクチョウギシュソク)そのもの。伸びる四肢のオーラが『ラクリマ・セクスアリス』の巨体を押さえつける。
「待て、やめろ、よせ……!」
「いいや、視えてるんだぜ、てめえの、その頭上に有るのが、赤い宝石が!」
引き金を引く。
青いオーラを湛えた弾丸の一射が、赤い宝石を撃ち抜いた瞬間、『ラクリマ・セクスアリス』は、その粘着く身体を瓦解させ、霧散させていく。
二度目の敗北。
それを刻み込んだレテイシャは、青い光を湛えながら、己が受け止めた『魔女』たちの想いを発露するように勝利に叫ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『猟書家『ミスター・グース』』
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POW : マキナマギカ・ジェノサイド
レベルm半径内の対象全員を、装備した【魔導蒸気機械】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : メテオシャワー・ラッシュ
レベル分の1秒で【8本の首からそれぞれ異なる属性の攻撃魔法】を発射できる。
WIZ : インフィニット・インキュベイション
【災魔の卵】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を急速に災魔化し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
8つの首がもたげる。
オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』は己が生み出した『災魔の卵』より生み出した『複製災魔』たる大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』が滅びたことを知る。
この『天空樹』の最奥にあれば猟兵たちはたどり着けぬと思っていたのだ。
それは無理なからぬことである。
「大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』すら滅ぼすか。いや、一度滅ぼしているのだったな」
「ならば、この結果もありえたこと」
「だが、俺達は開放されている。呪いを撒き散らし、人の作りしものすべてを災いに変えることができる」
「未だ『大魔王無限災群』は終わっていない」
「俺達が存在すればこそ、災いは如何ようにも生み出せる」
「止められるか、六番目の猟兵」
「俺達は止まらない。すでに俺達の呪いは解かれた」
オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』は、その異形なる体躯を震わせ、魔導蒸気機械をうならせる。
8つの首がけたたましく咆哮し、『災魔の卵』を解き放ちながら、『天空樹』そのものを『災魔』化せんと、その力を振るう――。
馬県・義透
引き続き『疾き者』
武器:漆黒風
呪いというのならば。それは全て飲み干してしまいましょう。
…霹靂、危ないので中へ。
自動的に攻撃し続けるというのならば、それを利用するまで。
UCを使いましてー。『馬県』認識は陰海月と霹靂がしてますし。
総意は言わずもがな、というやつです。許しはしない。
そして私自身は漆黒風を投擲していきましょう。
この大厄災ですら、止めてみせますよー。
猟兵ってのは、一人ではないんですから。紡いで戦うことこそ、強みであると思ってますよ。
※
霹靂「クエ~…」
おとなしく影に潜る。
それは奇妙な体躯であった。
かろうじて人型を保っているように思えたし、別の目的のために造られたものであったようにも思えたことだろう。
矮躯、と呼ぶには、その魔導蒸気機械は頑強であった。
同時に8つの首はそれぞれに首をもたげ、迫る猟兵たちを見つめる。
「来たか。俺達を滅ぼしに」
「だが、俺達が必ず滅ぼされるという道理はない」
「六番目の猟兵よ。この世界を守るというのならば、やってみるがいい」
「これこそが俺達の呪い」
吹き荒れる力を前にして、オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』は魔導蒸気機械の体躯と共に猟兵たちに迫る。
「呪いというのならば。それをすべて飲み干してしまいましょう」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』はその言葉に頷く。これまで共に空を駆けてきたヒポグリフの『霹靂』を己の影の中に匿う。
これ以上は危険であると判断したのだろう。
眼の前の『ミスター・グース』は、オウガ・フォーミュラたる力を持っている。
そして、己に迫る魔導蒸気機械は自動的だった。
猟兵と判断した者すべてを自動的に攻撃する。疾い上に一撃が重たい。
己の身体を穿ち、打ち、滅ぼす。
己たちの総意は変わらない。
眼の前の存在がオブリビオンである以上、許しがたい存在で在ることに変わりはない。
散り散りに成るたびに己の身体は再構築され、同時に身より溢れる呪詛が身体を強化する。
「四悪霊は滅びず」
その言葉に自動的な魔導蒸気機械の打撃が塞ぐように打ち据えられる。
「いいや」
「滅びぬものはない」
「どんな存在も必ず無に帰す」
「過去も、未来も。『今』さえも」
8つの首が口々に告げる。その言葉を前に『疾き者』は頭を振る。
たしかにそうだろう。己のようにこの現世にとどまっている悪霊の方がおかしいのだ。
だが、それはオブリビオンという過去の化身が『今』に蔓延っているからだ。
オブリビオンが存在しなければ、己という存在もまた現世に残る謂れはないのだ。故に、許せない。
許しておける訳がない。
「この大厄災ですら、止めてみせますよー」
「これを大厄災と捉えるか。わからないでもないが」
「どれだけ言葉を弄するのだとしてもー……ええ、猟兵ってのは一人ではないんですから」
繋いで、紡いで。
そうやって戦ってきたからこそ、大魔王すら打倒せしめたのだ。
それが強み。
それが猟兵であるということ。
己たちがそうであったように次につなげるためにこそ、過去の化身を『今』より駆逐しなければならない。
「それは猟兵に限った話ではないだろう。何を誇る。何に縋る。何に頼る」
「確かにそうでしょうとも。オブリビオン、貴方達は私達よりも力によって勝る。個としての力では我らは到底叶わないでしょうとも」
だが、と告げる。
「共に戦う者がいるということは、こんなにも心強い。ただ一つ己のためだけに戦うのと、ただ一つのために戦うのとでは決定的に違うのですよー」
その想いが数珠つなぎになって手繰り寄せた『今』をこそ繋ぐために放つ棒手裏剣の一撃が『ミスター・グース』の魔導蒸気機械の駆体を貫くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
サク・ベルンカステル
「貴様が此度の黒幕か、、、これ以上は好きにはさせん」
いつもの様に走りこみ斬りかかるも、走る速度も剣速もどこけキレがなく魔道蒸気機械の反撃を黒剣と随行大剣で何とか防ぐ。
ここまでの連戦が響きダメージや疲労で体力が尽きかけている。
だが、ここで目の前の不条理を振り撒く猟書家を見逃す訳にはいかない。
ならば使うべき奥の手はUC黒剣解放(POW)。
敵を、不条理を斬るという意志に応じて黒剣から力が流れ込む。あの日の悲劇を繰り返さないという意志で誰も負けるはずはない。
黒剣からの力をオーラとして纏い災厄を引き起こす猟書家に再度斬りかかる
身体を苛む痛みが己の意識をはっきりとしたものにしている。
歩くたびに、脚を動かすたびに、その痛みが痛烈に身体へと走り抜けていく。
だが、そんなことはサク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし者・f40103)にとって些末なことであった。
痛みは生きている証である。
生きて己の復讐を遂げようとする原動力にて他ならない。
そして、己が求める超常たる存在が目の前にいるのならば、心に灯る炎は苛烈に燃え盛るのみであった。
「貴様が此度の黒幕か……」
「その通りだ、六番目の猟兵。俺達がオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』」
「俺達の呪いをもって世界を『災魔の卵』によって撒き散らす者」
「ならば、なんとする」
その言葉にサクは躊躇うことはなかった。
敵の動きは自動的だった。魔導蒸気機械の駆体。8つの首がそれぞれに言葉を紡ぐが関係ない。
「これ以上は好きにさせん」
走り込む。
踏み出した脚はいつしか痛みを忘れた。
そうするときではないとわかっている。だからこそ、その刃を振るう。大剣の一撃が『ミスター・グース』の魔導蒸気機械の駆体より繰り出される一撃とかち合って、火花を散らす。
衝撃が身体を突き抜け、傷口から血潮を滴らせるように噴出させるのだ。
動きに精彩を欠く、ということはこのことであろう。
担ぐようにして振るう大剣が重たい。
連戦に次ぐ連戦であったのだ、それも当然であったことだろう。
「そうは言うが猟兵。幾分疲れている様子ではないか」
「貴様たちの戦いもここで潰える。ここで終わる。それが俺達の呪いだ」
8つの首がけたたましく笑う。せせら笑う。嘲るように、無力なる者を嘲笑するのだ。
だが、サクにとって、それはどうでもいい。
不条理を振りまく者が目の前にいる。ただそれだけが己の真実であった。
「力を寄越せ」
漲る力が湧き上がる。
己の心に復讐の炎が燃え盛る限り、己は死ぬことなどない。死すのだとしても、敵の喉元に喰らいつく気概がある。
故に、彼の瞳はユーベルコードに輝く。
「何がなんであろうと叩き斬る」
膨れ上がった漆黒のオーラが身を包み込んでいく。
己には覚悟がある。
死せる覚悟ではない。
眼の前の不条理を叩き斬るという覚悟があるのだ。故に振るう斬撃の一撃が迫る魔導蒸気機械の腕と打ち合う。
火花は散らなかった。
何故ならば、黒剣解放(コクケンカイホウ)によって得られた力は、ユーベルコード。
断ち斬るという覚悟は、己の中に在りて、燃え盛るのならば。
「断ち斬れぬものなど存在しない」
奥の手だと思った。
これが通用しなければ、到底『ミスター・グース』に打撃を与えることなどできはしない。
脳裏に浮かぶのはあの日の後悔だけだった。
力が及ばぬことは常であった。
けれど、力が及ばぬことを嘆かなかった日はない。
あの後悔を、あの悲劇を、他者に味あわせてはならない。そのためにこそサクは大剣をこそ振るう。
斬撃が滑らかに『ミスター・グース』の魔導蒸気機械を切り裂く。まるでバターでも斬るように、その滑らかな太刀筋は限界を超えたが故であろう。
「馬鹿な、俺達の駆体が」
「断ち、斬られた、だと?」
「言ったはずだ。何であろうと叩き斬る、と……貴様の起こす災厄は、この俺が斬る」
振るった斬撃を斬り上げ、サクはユーベルコードに輝く瞳で『ミスター・グース』を見据える。
己の瞳の前にこそ道は開ける。
悲劇をこそ切り裂く刃は、今度こそ火花散らして『ミスター・グース』の駆体へと走るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
マシュマローネ・アラモード
◎
災魔も魔王も退けましたわ、残るはミスター、あなただけですわ!
UC|十二皇の擬権能《イミテイト・トゥエルブエフェクト》!
六皇招聘!
|権能空転《寅》(白燐奏甲)
敵への不幸の付与と味方の強化。
|権能無間《辰》(千里眼射ち)
居合の抜刀によるレンジ外の切断術。
|権能黄金《酉》(創世神の棘)
黄金化による地形の解除。
|権能護衛《戌》(シャーク・トルネード)
災魔と交戦し、増援の警戒する影の猟犬を召喚。
|権能隠密《子》(影の追跡者の召喚)
敵の増援への対処と隠密による不意打ち。
|権能斥力《卯》(退魔呪言突き)
私の分身で、強化を打ち崩しますわ!
これ以上、この世界を戦乱に巻き込むのは終わりにしましょう!
斬撃の一撃がオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の魔導蒸気機械の駆体を切り裂く。
飛び散る火花と共に切り裂かれた駆体の一部が宙を舞い、『天空樹』の迷宮と化した地面に落ちる。
「なるほどな。六番目の猟兵」
「これほどの力を持つというのならば、大魔王を滅ぼすことができるのもまた頷ける所」
「だが、俺達は呪いを齎すもの」
8つの首から声が響き、そのうちの一つから『災魔の卵』を吐き出す。
それは瞬く間に地面を『災魔』へと変え、その上に立つ。
「どれだけ俺達の駆体を傷つけるのだとしても、即座に『災魔』へと変えよう」
その言葉はオウガ・フォーミュラとしての力の誇示であっただろうか。
いや、ただの事実であるとマシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)は理解する。
けれど、『ミスター・グース』に挑む己たちにとって、それは何の脅しにもならない。
「『災魔』も魔王も退けましたわ、残るはミスター、貴方だけですわ!」
「勢いだけは良いと認めよう」
「いずれも無駄であると知るがいい」
その言葉と共に放たれる『災魔の卵』。まるで弾丸のようにマシュマローネに迫る。
彼女はそれを煌めくユーベルコードの輝きによって見据える。
「いいえ、何一つ無駄ではござません」
何故ならば、と彼女の輝くユーベルコードは、瞬時に『災魔の卵』を瞬く間に撃ち落とす。
否、それは自身の兄妹姉妹の影。
「六皇招聘!」
それは十二皇の擬権能(イミテイト・トゥエルブエフェクト)。
彼女の兄妹姉妹の影を召喚する力。酷く気が滅入るのは、劣化版であるためであるし、また同時に彼女の精神を消耗させるものであるからだ。
半数を招聘するとは言え、それでも精神の消耗は避けられないだろう。
それほどまでに『ミスター・グース』と戦うということは逼迫した自体なのである。
「寅、辰、酉、戌、子、卯……」
吹き荒れるは不幸。
『ミスター・グース』の放った卵はマシュマローネを狙うが、『ミスター・グース』の不幸は、それらがすべて不発に終わったということだ。
如何なる理由かを『ミスター・グース』は理解できなかっただろう。
何故か弾道がそれ、全てが地面に落ちるのだ。
「だが、それがどうした」
「『災魔の卵』は、地面を急速に『災魔』そのんものに変え――」
その言葉は最後まで紡がれることはなかった。
居合の抜刀による近接距離以外からの斬撃。その斬撃の一撃が『ミスター・グース』の8つの首の一つを切り裂くのだ。
血潮が迸る。
だが、それでも強化は『ミスター・グース』の力を支えている。
「いいえ、それはもう終わっているのです」
地面を覆う『災魔』は黄金へと変貌を遂げる。地面に立つ、という強化は黄金に塗りつぶされ『ミスター・グース』の力を削ぎ落とす。
さらに走るのは影の猟犬。
弾丸のように卵が打ち込まれるが、四方八方から迫る猟犬に『ミスター・グース』は防戦になるだろう。
そこに不意打ちの一撃が叩き込まれる。
意識がマシュマローネから外れる。
その時を彼女は待っていた。
「モワ! 本当に疲れること。ですが、これ以上この世界を戦乱に巻き込むわけにはいかないのです」
走るマシュマローネの一撃が振るわれる。
『ミスター・グース』の強みは、その溢れんばかりの呪いの力。
あらゆる無機物を『災魔』へと変貌させることの出来る力。そして、魔導蒸気機械の力。
いずれも無視できるものではない。
ならばこそ、マシュマローネは『ミスター・グース』の身に注がれる強化の力を解く。そのために十二の権能の半数を費やしたことは脅威に値することだろう。
けれど、マシュマローネは己の傾ぐ視界の中で見据えるのだ。
この戦いにおいて世界各地で頻発する混乱。
それによって失われる生命だってあるだろう。
憂うからこそ、彼女は踏み込む。振るう一撃が『ミスター・グース』の駆体へと放たれる。
「終わりにしましょう! モワ! これがわたくしの! 一撃ですわ!」
砕かれる強化。
後に続く猟兵たちが居る。それを知っているからこそ、マシュマローネは『ミスター・グース』に楔の一撃を叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
お、出て来たね!
大魔王を倒されといてまだやる気なの?
だったらこっちもやるしかないね。
にぃなちゃんだって止めらんないぞ☆
ここはまず敵の攻撃を凌ぐ事を重視しよう。
バイクで走り回って攻撃魔法から逃れるぞ!
逃げながらブラスターで応戦して、射程や威力を敵に覚えて貰おうかな。
ある程度応戦したら反撃をやめて、徐々に追い詰められる感じでブラスターの射程外まど距離を取って最後には動きを止めちゃおう。
その間にブラスターに【エネルギー充填】しておいて、敵がこちらにトドメを刺そうって時に【クイックドロウ】!
敵の攻撃や狙いを付ける行動の隙を突いて、ユーベルコードで射程や威力を強化したブラスターの一撃を食らわせちゃえ☆
地形を飲み込む『災魔の卵』より生まれる『災魔』。
その上に立つオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の力は強大そのものであったことだろう。
故に、猟兵のユーベルコードはこれを打ち砕く。
しかし『ミスター・グース』は笑う。
「如何にユーベルコードによって戦いを繋ぐのだとしても」
「俺達はそれより早く世界を呪いで、『災魔』で塗りつぶしていくだけだ」
8つの首が笑う。
声が重なり、響き渡る。
しかし、その8つの首へと叩き込まれるのは熱線の一撃であった。
「大魔王を倒されといてまだやる気なの?」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は『テンプテーション・カスタム』……そう、このアルダワ世界の技術である蒸気エンジンとスペースシップワールドの宇宙船のパーツによって生み出されたバイクに跨がり、手にしたブラスターの銃口を『ミスター・グース』に向けていた。
「『複製災魔』である大魔王を退けた程度で勝ったつもりか」
「俺達が如何にして世界を呪いで満たすか、見せてやろう」
「止められると思うな、猟兵」
8つの首の口から瞬時に放たれる魔法の乱打。それは弾幕と呼んで良いほどの苛烈なる魔法の連続だった。
ユーベルコードの煌めき。
その雨のように注ぐ魔法の弾丸の中をニィナは『テンプテーション・カスタム』の蒸気エンジンを唸らせながら走る。
「だったら、こっちもやるしかないね。にぃなちゃんだって止めらんないぞ☆」
降り注ぐ魔法の雨。
その最中を走り抜けながら、ブラスターの熱線が飛ぶ。
だが、弾幕の如き魔法は凄まじい勢いで放たれ続けている。
「これって、もしかしてジリ貧ってやつじゃない☆」
「愚かだな、猟兵。自ら死地に飛び込んでくるとは」
「如何に早く動くのだとしても、雨の一粒をも浴びずに走り抜けることができないように」
「貴様もまた追い込まれているのだ」
次々と放たれる魔法の弾幕は、防げるものではなかった。
弾き飛ばされるようにニィナの身体がバイクより吹き飛ばされる。
地面を転がりながらニィナは見ただろう。
「これで終わりだ」
己を見下ろす『ミスター・グース』の8つの首。その口腔に湛えられた魔法の光。
だが、ニィナの瞳は絶望に塗れることはなかった。
「わかっているよ。にぃなちゃんが追い込まれたってこと。だけどね☆」
彼女の手にしたブラスターの銃口が向けられる。
「その程度の熱線で……――!?」
これまでニィナは『ミスター・グース』にブラスターの熱線を打ち込んでいた。無論、彼等も理解しているだろう。
ニィナのブラスターの射程や威力というものを。
此処ならば当たっても大気によって減衰される。
脅威にならない。
けれど、ニィナの瞳にはユーベルコードが輝く。
敵を仕留める時こそ警戒しなければならないものである。それを『ミスター・グース』は見誤ったのだ。
ニィナという猟兵の持つ火力が、その程度であると。
いや、見誤らされた、というのが正しいだろう。
これまで逃げ回っていたのは、布石でしかなかったのだ。
「にぃなちゃんの道を邪魔してくれちゃって……撃っちゃうぞ☆」
きらめくユーベルコード。
ブラスター・スーパーチャージの一撃は、構えたブラスターより放たれる熱線をこれまでに見せた力以上の一撃となって『ミスター・グース』の身体へと走る。
射程も三倍。
威力も効果も。ならば、大気に減衰されることのない熱線の強大な一撃が『ミスター・グース』の慢心を射抜くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ディフ・クライン
……っ
大魔王の攻撃を受け止めた左肩が軋む
ああ、この間治してもらったばかりなのになんて自嘲の笑み浮かべながら
それでも、やっと辿り着けた
ミスター・グース、災魔の卵をばら撒き続けた猟書家
貴方が現れてからオレはずっと気が気じゃなかった
災魔の卵
オレはあれだけは受けるわけにはいかない、絶対に
だからおいで、ユーラ
召喚せしは深海水の水精
ユーラ、オレに向かってくる災魔の卵を全部撃ち落として
災魔化する地形を浄化の水矢で縫い留め
Elentariを手に駆ける
こんな卵は全て壊してしまわなくちゃならない
魔導蒸気文明の落とし子の一人として、一つだって残さない
諦めろ、ミスター・グース
持てる氷結の力を全て剣に籠め
貫いてみせる
恐怖とは正しく受け止めねばならない。
恐怖の中身を知ることなく恐れるのならば、それは真に恐るべき敵となって己の身体を縛り付けるであろうから。
だからこそ、痛む左肩を抑えながらディフ・クライン(雪月夜・f05200)は『天空樹』の最深部の先へと進む。
そこにあったのはユーベルコードの煌めき。
熱線の一撃がオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の魔導蒸気機械の駆体を貫く。
だが、それでも止まらない。
吹き荒れるユーベルコードの発露。
『ミスター・グース』は猛り狂うように8つの首を蠢かせる。
「よくもやってくれたな、六番目の猟兵!」
「俺達の身体を!」
「許してはおけぬ。許せるわけがない。呪いを開放した俺達の!」
「邪魔をするな!!」
咆哮と共に放たれる『災魔の卵』。
それは弾丸のように放たれる。
「おいで、ユーラ」
ディフは、その指先を示す。
放つユーベルコードは浄化の力を持つ深海水の矢。
弾丸のように降り注ぐ『災魔の卵』を全て瞬時に射抜くのだ。そう、それは受ける訳にはいかない。
ここまでやっとの思いで辿り着いた。
ずっと気が気ではなかったのだ。『災魔の卵』は無機物を『災魔』へと変える。ばらまき続けた卵は世界各地に『大魔王』さえ複製し、同時に出現させる。
「オレはずっと気が気じゃなかった」
痛む。
左肩が軋んでいる。
ついこの間治してもらっているというのに、と自嘲する。
「恐れるのは無理なからぬことだ」
「俺達の生み出した『災魔の卵』は人間の生み出したものならば、造り出したものならば、例外なく『災魔』へと変えることができる」
「で、貴様は、俺達の卵を撃ち落として」
「得意げになっているというわけだな」
深海輪舞(シンカイロンド)は水の矢を踊らせるようにして、打ち込まれる『災魔の卵』を落とし続ける。
唯一とて撃ち込まれるわけにはいかない。
猛烈なる攻勢にディフは、二の足を踏む……ことはなかった。
「ユーラ。君の力をオレに貸して」
その言葉と共にディフは掛ける。
手にしたアイスレイピアは、星の妃にして宵の紡ぎ手。
ディフの瞳はユーベルコードに輝いている。それは星の輝のように道を照らしていた。自らの道を照らし、誰かの道を照らすものであったのならば、どんなに良いことだろう。
そう思う。
誰かを思う。
そのことの素晴らしさをディフは知っているだろう。
「だから、貴方たちの齎す『災魔の卵』は唯一つも!」
踊る矢が走る。
「こんな卵は全て壊してしまわなくちゃならない」
「邪魔立てを!」
「全て呪いで満たすためには!」
「これが俺達の、齎す世界の破滅なのだ!」
8つの首が喚く。撃ち落とされた『災魔の卵』は全てが浄化の水でもって縫い留められる。手にしたアイスレイピアが凍りつかせ、道を示す。
「魔導蒸気文明の落とし子の一人として、一つだって残さない」
ずっと恐れていた。
無機物を『災魔』へと変える呪いの力。けれど、ディフは正しく恐れていた。そこには因果がある。
ならば、紐解けば良いのだ。
起点となる呪いさえなければ。
恐れは、恐れるに足りない。全て因果に撚り合わされるというのならば、その糸を手繰り寄せる。
「諦めろ、『ミスター・グース』。オレが照らすのはいつだって誰かの道だ」
それは篝火。
冷たい体にも熱は灯る。ぬくもりは宿るのだ。
己の胸にあるのは、燈火揺らめくような花。
掲げた氷の刃が浄化の水を伝うようにして走り、『ミスター・グース』の駆体を凍りつかせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
まさかフォアグラが卵を抱えてやってくるとは思っていませんでした。
これは料理人としてわくわくがどきどきな食材ですね!
今回は冷凍してお持ち帰りもいいかもです。
え?
まぁ、美味しくなさそうではありますが、
お料理しちゃえば見かけはごまかせないでしょうか?
無理ですか。ならしかたありません。
食材にならないなら、光の勇者として対応しないとですね。
とはいえ……最近どうも雑に扱われている気がするんですよね。
演奏も聴いてくれないですし、コンサートに誘ってもフラれますし、
きらきらでぴゅあぴゅあなのに、扱いがぞんざいすぎないですか?
(【勇者の裏の顔】発動)
何度も言いますが、光の勇者の『奏魔法』ですからね!?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|女の敵《悪》は滅びました
メイドのお仕事、終わりでは?
これ以上は勇者へのツッコミしか役目が無い気がします
というか、最終決戦において勇者が料理人魂を見せてどうするんですか
冷凍以前にアレ食べられるんですかお腹壊しませんか?
というか機械混ざってますけども!?
いえ、雑なのではなく
大雑把に処理しているだけです
それから演奏とコンサートは私の命にかかわりますので
いのち大事に
ぞんざいに扱ってるなんて…ルクス様、私がそんな風に見えますか?(笑顔)
ほら、猟書家倒しますよ
【アウクシリウム・グロウバス】で援護しますので
きらきらなのもぴゅあぴゅあなのもさておき
広域破壊音波魔法使いなのはどうにかなりません??
大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は猟兵達によって打倒された。
体内に『魔女』を取り込んだ|女の敵《悪》が滅びたことにより、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は自身の仕事が終わったことを悟る。
いや、終わって欲しいと願っていたのかもしれない。
これ以上の仕事って言われても、正直ステラには何が出来るだろうかと首をひねる始末であった。
けれど、女性として、メイドとして戦うことは終わりでも猟兵として戦うことはまだ終わらんのである。
「まさかフォアグラが卵を抱えてやってくるとは思っていませんでした。これは料理人としてわくわくがどきどきな食材ですね!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の呑気さが羨ましいとステラはオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の口腔より放たれる無数の魔法の弾丸が見せる嵐のような光景の最中と勇者を見比べる。
いや、本当に羨ましい。
この光景を見て勇者じゃなくて料理人魂を発露することのできる彼女が。
「今回は冷凍してお持ち帰りもいいかもです」
「いえ、あれは『災魔の卵』と呼ばれているものです。持って帰ったら『災魔』が溢れかえってパンデミックでスタンピードですよ。いえ、なんですかこれは。いくら仕事がないからと言って勇者へのツッコミ役しかないのは一体全体どういうことです」
「それが運命っていうものじゃないですか?」
「そんな運命は結構です」
「えぇ……まあ、でも美味しくなさそうっていうの正直なところそうですよね。でもでも、お料理しちゃえば誤魔化せる、いえ、引き立てて見せるのが料理人ってものですよね!」
「いえ、ですから無理ですってば。というか機械混ざってますけども!?」
二人のやりとはなんというか、緊張感がなかった。
オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の力は強大である。
猟兵たちのユーベルコードが煌めき続け、それでもなお『ミスター・グース』は荒れ狂うように魔法の弾丸を雨あられと打ち出し続けているのだ。
正直近づくのも難しい。
だというのに二人は食材がどうたらと、全く関係のないことをシャ彫っているのである。
「むりですかね。ならしかたありません。食材にならないのなら、光の勇者として対応しないとですね」
「はいはいそうですね勇者勇者」
「なんか雑に扱ってません!?」
「いえ、雑なのではなく。大雑把に処理しているだけです」
「余計に悪い感じ!」
とは言え、二人のやり取りの間に迫る『ミスター・グース』のユーベルコードは如何ともし難い。
「何をごちゃごちゃと」
「俺達のことを食材であるとかなんとか」
「演奏も聞いてくれないですし、コンサートに誘ってもフラれますし、きらきらでぴゅあぴゅあなのに、扱いがぞんざいすぎないですか?」
勇者の憂鬱(ユウシャノウラノカオ)は爆発寸前であった。
そんなルクスにステラはにっこり微笑む。
「ぞんざいに扱ってるなんて……ルクス様、私がそんな風に視えますか?」
にっこり笑顔である。
こういうときはたいてい雑な時である。経験則でわかる。
「ほら、猟書家倒しますよ。アウクシリウム・グロウバス、アウクシリウム・グロウバス」
すんごい雑な感じにユーベルコードが輝く。
手にした遠隔兵器が『ミスター・グース』の放つ魔法弾と打ち合って消滅していく。
「きらきらなのもぴゅあぴゅあなのもさておき、広域破壊音波魔法使いなのはどうにかなりません?」
「何度も言いますが、光の勇者の『奏魔法』ですからね!?」
『拳魔法』に空目ったのは秘密である。
炸裂するルクスのストレス。
自分の演奏が破壊魔法かなんかかと思われているのは、ルクスにとっては耐え難いものであった。故にそのストレスは『ミスター・グース』に襲いかかる。
なんていうか、あれである。
「……馬鹿らしくなってくるな」
「俺達が何をやっているのか理解していないというか」
「ああ、やる気も元気もなくなっていく……」
「そこにちぇすとー!」
ルクスがやる気の失せた魔法弾の嵐の中を走っていく。ステラの援護射撃を受けながら、手にした鈍器という名のグランドピアノを構え、『ミスター・グース』の8つの首、そnどれかわからないけど、どれでもいいからぶっ飛ばす勢いで放たれた一撃が脳天を直撃するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
WIZ
大魔王は倒した
後はお前だけだ、覚悟しろ!
相手の攻撃は「ダメージもしくは自己強化誘発の地形変化」系の攻撃
ならば、俺と動物達の力を合わせて乗り越えてみせる!
皆、力を貸してくれ!
UCで動物達を召喚、共に猟書家と戦う
UCの効果で動物達への危害は大幅に軽減される
俺自身も【オーラ防御】を纏わせた結界を【結界術】で形成し、動物達を守りながら【切り込み】接近戦を挑む
大型の動物の一頭の背中に載せてもらって【騎乗突撃】
地形変化はさせない!全て卵は破壊してやる!
動物達と共に【破魔】の力を纏いながら体当たりだ!
この世界に生きる全ての者達の為に…くらえぇっ!
動物達の波状攻撃に加え、俺自身も刀を手に全力で切り結ぶ!
『災魔の卵』。
それは無機物を『災魔』に変える呪いである。オウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』が放つ『災魔の卵』は、弾丸のように猟兵たちに迫る。
猟兵たちのユーベルコードによって勢いが削がれているとは言え、しかしまだ『ミスター・グース』は滅びていない。
そもそも滅ぼすことができるのか。
懸念が鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)の胸の中に浮かぶ。
けれど、ひりょは頭を振る。
意味のない思考だ。
それは、今考えることではない。
「大魔王は倒した。後はお前だけだ、覚悟しろ!」
叫ぶ言葉は、戦場を射抜くようであった。
「浅はかにして、浅慮。猟兵。俺達が滅びると思うか」
「全ての人間が生み出したもの全てを『災魔』に変えることのできる呪いの如き力が滅びると?」
『ミスター・グース』があざ笑う。
しかし、その嘲笑を前にしてもひりょは走る。
放たれる『災魔の卵』は弾丸のように彼に迫る。受ければ、傷を負うことになる。けれど、躱せば地面が『災魔』化し、『ミスター・グース』を強化してしまう。
そうなれば、必然的に此方が不利になっていく。
攻撃と自身の強化が一体となったユーベルコードは厄介と言わざるを得なかった。
けれど、ひりょの瞳はユーベルコードに輝く。
「皆、力を貸してくれ!」
ここは動物達の楽園(アニマルワールドヘヨウコソ)。
そう思う。
ひりょは、瞬時に煌めくユーベルコードの輝きから動物たちの密集地帯を生み出す。それは奇妙な光景であったことだろう。
『ミスター・グース』もまた、そのアヒルの如き顔を固まらせる。
「なにをしている」
「一体これがなんだというのだ」
「わからないだろうな。自分だけで戦うお前には!」
ひりょの周囲にあった動物たちが『災魔の卵』を受け止め、蹴り上げたり顎で噛み砕いたりするのだ。
彼等は破魔の力で強化されている。
『災魔の卵』を地面に落とさず、空中で砕く。
それが『ミスター・グース』のユーベルコードを破る唯一の方法。
そして、ひりょは一頭の馬に飛び乗り、駆け出す。
「頼んだよ、皆」
地形変化は引き起こさせない。
『災魔の卵』は全て破壊する。
それは己一人ではできないことだ。到底手が足りない。けれど、ここには自分に味方してくれる動物たちが居る。
彼等が助けてくれるのならば、ひりょは躊躇うことなく前に進める。
恐怖は確かに己の脚を竦める。
けれど、己の背中を推してくれる動物たちがいるのならば、その恐れも、竦みも糧に変えることができる。
「六番目の猟兵、貴様は何のために戦うというのだ」
「個としての欲望ではなく」
「己として、なぜ他のために戦う。なんのためにという理由さえ持たぬものが、俺達の道を阻むのか」
「この世界に生きる全ての者達の為に……!」
ただそれだけだった。
あざ笑う声も聞こえない。
ひりょにとってはそれだけでよかったのだ。
馬の蹄が大地を勢いよく蹴る。飛ぶ。その背をひりょは蹴って飛ぶ。手にした刀に破魔の力が宿る。
漲る力。
「……誰かのために戦えることは!」
誰かの希望になれるということ。誰かの笑顔を守れるということ。
それを知っているからこそ、ひりょはその手にした刀を『ミスター・グース』の8つ首の一つへと振り下ろし、両断して見せるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…『大魔王無限災群』を止めるにはお前達を倒せばいい…と…
…シンプルで助かるねまったく…それじゃ…滅んで貰うよ…
…飛ばしてくる『災魔の卵』やそこから生じる災魔は術式装填銃『アヌエヌエ』や術式での光の矢で撃ち落とすとしようか…
…迎撃して時間を稼いでる間に『災魔の卵』を電子型解析眼鏡【アルゴスの眼】で解析…
…解析したなら卵や災魔化する地形に対して【崩壊せし邪悪なる符号】を発動…その災魔化を解除するとしよう…
…災魔化への対策が出来たらグースが使っている魔導蒸気機械を分析…
構造上の弱点目がけて【アヌエヌエ】から炸裂弾を放って破壊しようか……
猟兵の一刀がオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』の8つ首の一つを叩き斬る。
落ちる首より溢れる血潮は、まさに呪いを煮詰めたかのような黒であった。溢れるようにして『災魔の卵』が咆哮と共に飛ぶ。
それ自体が弾丸めいたユーベルコードであった。
撃ち込まれた『災魔の卵』は当たらずとも、地面に落ちては急速に周囲を『災魔』化させていく。
そうすることで自身を強化していく。
攻防一体のユーベルコードであった。
だが、その勢いは削がれている。これまで猟兵たちが叩き込んだユーベルコードが、『ミスター・グース』を追い詰め始めているのだ。
「……『大魔王無限災群』を止めるにはお前たちを倒せば良い……と……」
情報解析眼鏡『アルゴスの眼』の奥でメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の瞳が輝く。
放たれる『災魔の卵』は厄介そのものだった。
弾丸として受け止めれば、それ自体が強烈なダメージを猟兵たちの肉体に刻み込むものであった。
けれど、躱せば地面が『災魔』化してしまい、『ミスター・グース』の力を高めるだけになってしまう。
まったくもって厄介極まりないことである。
だが、メンカルの見解は異なる。
「……シンプルで助かるねまったく……」
「俺達をシンプルだと? この渾沌たる状況でよくもほざく」
「呪いそのものたる『災魔の卵』を受ければ傷を、受けずとも俺達を強化する力となるのだ」
「それをシンプルだというのか」
「……そうだよ」
メンカルは『ミスター・グース』の咆哮を聞く。
8つ首の一つを切り落とされたことによる激昂が『ミスター・グース』たちになりふりを構わなくさせていた。
魔導蒸気機械の駆体が走り、メンカルに迫る。
足りないのは時間だ。
情報解析眼鏡で『災魔の卵』が『災魔』化させるプロセスを理解しなければならない。
そのためには時間が必要なのだ。
故にメンカルは、この攻勢から生き残らねばならない。手にした術式装填銃『アヌエヌエ』の銃口が向けられ、迫る弾丸のような『災魔の卵』を撃ち落とし、されど撃ち落としきれずに大地に落ち『災魔』へと変貌していく。
「余所見をしてくれる!」
「……面倒な……」
迫る『ミスター・グース』の一撃がメンカルを吹き飛ばす。
だが、わかっている。
崩壊せし邪悪なる符号(ユーベルコード・ディスインテグレイト)は既に己の手の中に在る。
無機物を『災魔』化するのならば、それを『なかったことにすればいい』。
「邪なる力よ、解れ、壊れよ。汝は雲散、汝は霧消。魔女が望むは乱れ散じて潰えし理」
メンカルのユーベルコードが『災魔の卵』を放つ『ミスター・グース』へと放たれる。
それは一瞬にして明滅し、『ミスター・グース』のユーベルコードを相殺するのだ。
見ていたからこそ、解析したからこそ、できる『なかったこと』。
起こり得ないのならば、あそれは『なかったこと』と同義。故にメンカルの瞳は『ミスター・グース』の駆体たる魔導蒸気機械へと向けられる。
「他の猟兵がつけた傷がある……完全には程遠い……けど」
そこが付け入る隙だというようにメンカルの手にした術式装填銃の銃口が向けられる。引き金を引くのは容易い。
子供だって出来ることだ。
けれど、あの魔導蒸気機械を傷つけることは難しい。
他の猟兵たちが叩き込んだユーベルコードがほつれとなって『ミスター・グース』を窮地に追い込む。己がしていることは、そのほつれを拡大すること。
「……解れ、壊れよ」
放たれる弾丸が『ミスター・グース』の魔導蒸気機械へと叩き込まれる。
猟兵の刻んだ傷。
それを押し広げるようにして炸裂する爆発が『ミスター・グース』の駆体を傾がせる――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
マザーグース!マザーグース!
キミは割れるのかな?おっこちるのかな?殺された?
それともお婆ちゃんがいなくなっちゃったのかい?
●【第六感】ひょいひょい卵投げを避けながら
んもー
●今日はイースターだよ!
イースター(復活祭)って知ってる?知らないなら教えてあげる
今日は卵から楽しい夢の孵る日なのさ!
カラフルな卵のなかにはお菓子や玩具!それとステキなものがいっぱい!
お祭りさ!
ねえみんな!こんなバッドイベントよりもそんな楽しいお祭りをしようよー!
とUC『神心』でみんなに強制的に語り掛け、卵を素敵なものに、彩魔化した世界をカラフルに逆浸蝕だ!
あ
ところでイースターってそもそも何のお祭り?
「マザーグース! マザーグース! キミは割れるのかな? おっこちるのかな? 殺された? それともおばあちゃんがいなくなっちゃったのかい?」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は戦場を跳ねるように、回転するようにして飛ぶ。
迫る『災魔の卵』は弾丸だった。
しかも、当たらずとも地面を急速に『災魔』化してオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』を強化するのだ。
凄まじい力である。
攻撃と共に当たらずとも自身を強化する。
その力によって、これまで猟兵たちによって刻み込まれた傷を贖うようでもあった。
8つ首の一つは叩き斬られ、魔導蒸気機械の駆体も傾いでいる。
動きが緩慢になってはいるのだが、それでも『災魔の卵』を放つ速度は変わらない。いや、僅かに落ちているとは言えるのかもしれない。
「んもー、今日はイースターだよ!」
「だからどうしたというのだ。俺達の呪いは、終わらない」
「祝祭に変わらない」
「こうして世界を呪いに飲み込ませるのだ」
「知らないのかな。世界には楽しいことがいっぱいあるっていうのに。知らないのなら、教えてあげる」
ロニは迫る弾丸の如き『災魔の卵』を躱しながら、または蹴り飛ばしながら、『ミスター・グース』が強化されることも構わずに迫るのだ。
「カラフルな卵のなかにはお菓子や玩具! それと素敵なものがいっぱい!」
それが|復活祭《イースター》でるとロニは言う。
しかし、『ミスター・グース』にとって、それはどうでもいいことだった。己たちは呪い。呪いを吐き出し続けるものだ。
「それがどうしたというのだ!」
「俺達にとって、祝福など」
「復活など意味はない」
その言葉にロニは、んもー、と笑う。
そういう余裕の無さが、あまりにも気に食わない。
「お祭りさ! これは! だから、ねえみんな! こんなバッドイベントよりもそんな楽しいお祭をしようよー!」
それはユーベルコードの煌めき。
世界に問い掛ける言葉。
意識と無意識。
いずれも関係など無い。神心(ゴッドウィル)は届く。
生命体がより良きを求めるのならば、それは必然であった。どれだけ呪いが知性体に施された、否、課せられた枷であるのだとしても。
それでも手を伸ばすのだ。
より良きを求め、傷つきながらも前に進むことを。
それが定められた命を持つ者の宿命であるというのならば。
「卵はさ、素敵なものに。『災魔』より『彩魔』に変えた方がいいよねって思うんだ。世界をカラフルに変えたいって、素敵だって思えるものにしたいって思うよね!」
彼の言葉に同意する意識と無意識があるのならば、それは叶うことである。
黒き呪いを染め上げる極彩色の如き色。
染まる世界を前に『ミスター・グース』はたじろぐだろう。
この行いの何の意味があるのかわからないからだ。
「……呪いを塗りつぶすだと」
「そうさ、祝福をさ! みんな、どれがどれだかわからないけれど、それでも喜ばしいって気持ちが世界に溢れるのなら、呪いなんて簡単にまたいで飛んでいけるってものさ!」
だから、ロニは笑う。
イースターの意味知らずとも。
ただそこにそう在るということが意味を持つのならば、後は人が決めれば良い。人の希望も、人の夢も、人の業も。
何もかもまるっと飲み込むのが己であるというように、ロニは笑って極彩色に呪いを染め上げていく――。
大成功
🔵🔵🔵
レテイシャ・マグナカルタ
「お前のやらかしで、魔女達に伝えるべきことは伝えられた、それだけは感謝してやる」
別の世界で習った気功の技術で、既に魔力は回復し体内を循環しながら溜め続けている
真正面からインファイト、拳と足で魔導蒸気機械とやり合う
人の身と機械、永遠に続ければ前者がやがて力尽きる、だからその前にその機械を止める
「お前の呪いが止まらないってんなら、いいぜ、|猟兵《オレ》達が何度だって止めてやるさ……こんな具合にな!」
UC発動叩きこんだ拳から魔力を流して、攻撃以外の関係ない動きを一瞬だけさせて、相手のUCを強制解除
「じゃあな、『今』はさよならだ!」
今度は本体の方に叩きこんで爆発を起こす
息を吸う。
息を吐く。
ただそれだけの動作であったけれど、普段意識しない身体の動きは、意識を通せば力みを生む。しかし、それは同時に己の体内にある魔力を意識させるものであったことだろう。
肉体は痛む。
故にレテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)は自身の体が万全でないと知る。けれど、それでもいいのだ。
己の心は幾ばくか晴れやかであったことを彼女は自覚する。
目の前にあるのはユーベルコードの輝き、その明滅であった。猟兵たちの多くが『天空樹』の深部へと至り、大魔王を打倒してみせた。
そして、元凶たるオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』と相まみえ、その明滅の元となるユーベルコードでもって戦っている。
いまだ決着はつかず。
しかして、この戦いが終わっても『ミスター・グース』を消滅させることができるかどうかも怪しい。
けれど、とレテイシャは瞳を開く。
「お前のやらかしで、『魔女』達に伝えるべきことは伝えられた、それだけは感謝してやる」
循環する魔力。
吸い上げられた魔力は多かった。けれど、レテイシャには気力が漲っていた。
内功は、その循環せしめる力によって肉体に巡らせるもの。効率を最大限に高める事が出来たのならば、今の魔力量であっても問題はない。
踏み込む。
裂帛の気合はあらずとも、しかし吐き出す呼気によって爆発するようにレテイシャの魔力が彼女の身体を押し出すのだ。
「感謝」
「この俺達に感謝だと!」
きしむ魔導蒸気機械の身体。猟兵たちの攻勢によって、その動きはどこかぎこちない。わかっていたことだ。
猟兵たちはただ一人で戦うものではない。
オブリビオンという圧倒的な個に対して、紡ぐことで戦いを制してきたのだ。レテイシャが最後の楔を打ち込んだ大魔王でさえ、彼女一人では無理だった。
多くを撚り合わせることに寄ってのみ倒すことのできる存在。
振り下ろされる魔導蒸気機械の駆体、その腕部をレテイシャは跳ね上げるようにして、そのガードをこじ開けるのだ。
「たしかにな……妙なことを言ってる自覚はある。けどな、やっぱりそういうものなんだよ、この感情ってのは!」
「異なことを言う! 俺達は呪い。呪いを撒き散らすものだ」
「止まらない。止められるものでもない。この世界に祝福が満ちる限り、俺達は呪いを吐き出し続けるのだから」
「お前の呪いが止まらないってんなら、いいぜ……」
振るわれる一撃を受け止める。
内に渦巻く魔力がレテイシャの骨身を支える。互いに拳の届く距離。躊躇いなくレテイシャは踏み込み続ける。
距離を取ることなど考えていなかった。
「|猟兵《オレ》達が何度だって止めてやるさ……こんな具合にな!」
煌めく青い瞳。
そのユーベルコードの輝きが、拳に宿る。
多くの力はいらない。少ない魔力ながらも練り上げたものが在る。純化した魔力はレテイシャという器の中で高密度に到達する。
振るわれる一撃は、『ミスター・グース』の魔導蒸気機械の駆体に流れ込み、その攻撃動作を止める。
それは一瞬であったし、刹那にも満たぬ瞬間であっただろう。
けれど、こじ開けたのだ。
迫る魔導蒸気機械の腕を。
その躯体の要たる中心に放たれるは、竜牙正拳突き(リュウガセイケンヅキ)。
撃ち込まれた一撃は躯体の表面に傷を与えない。
けれど、暴れまわるようにして流し込まれた魔力が膨れ上がり、その内部より炸裂するのだ。
「躯体の中で、魔力が反応して……!?」
「じゃあな、『今』はさよならだ!」
爆発が撒き起こる中、レテイシャは爽快さを絵に描いたように笑うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
むむ……貴様、何者だ?
大魔王を嗾けて来るというから超魔王とか魔神とかそう言う感じかと思えば……
むしろ我欲や野望よりも命令や使命で動く機械や使い魔のように思えるのだが
……まあよいか、いずれ解るであろうし、どのみち貴様はここで倒すのだからな!
いきなりで悪いが本気で行かせてもらうぞ
【大罪の百胎堕天竜魔王ver.1】!
いくら攻撃魔法を放とうとも「暴食」の力でこの首がすべて食らいつくしてくれるわー!そうそう、卵を放っても無駄だぞ?それが飛び道具である限りはな!
そしてこの世界基準でも奴は許されざる|モノ《悪》であろう?その分我が「憤怒」の強化も上乗せし、こちらもブレス乱れ撃ちで弾幕戦とゆこうではないか!
魔導蒸気機械の躯体が内側から爆ぜるようにして爆発を起こす。
8つの首の一つは斬り落とされ、その身に宿る呪いが溢れるようにして地面を染め上げていく。
傾ぐ身体。
しかし、それでもなおオウガ・フォーミュラ『ミスター・グース』は、その失われた一つ以外の首をもたげ、その口腔から嵐のような魔法の弾丸を解き放つ。
「無駄だ。俺達は滅びない」
「滅びるわけがない。祝福あるところにこそ呪いはあるのだ」
「振りまき、穢し、満たさなければならない」
そのためにこそ己たちは在るのだというように『ミスター・グース』は魔法の弾丸でもって戦場を埋め尽くす。
「……貴様、何者だ?」
ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は『ミスター・グース』の有様を見遣り、首をひねる。
大魔王を複製し、世界各地で『大魔王無限災群』を引き起こした存在。
ならば、その上位的な存在だと思っていたのだが、ワルルーナにとって、それは以外なことであったのだろう。
「むそろ、我欲や野望よりも命令や使命で動く機械や使い魔のように思えるのだが」
ただ自動的であるように思えたのだ。
呪いを生み出し続けるもの。
そうすることしか知らぬ者であるように。
だが、ワルルーナは頭を振る。
「意味のないことであった。いずれ解ることであろうし、どのみち貴様はここで倒すのだからな!」
彼女の瞳がユーベルコードの輝きに満ちる。
それは嫉妬。
斯く在りたいと思う妬み嫉み。
そして、相対する者の悪意に感応する憤怒。
嫉妬と憤怒によって刺激された己の臓腑のうねりが見せる暴食。
そのいずれもが貪欲なものであった。
「いきなりで悪いが本気で行かせてもらうぞ。 大罪の百胎堕天竜魔王ver.1(ハイパーワルルーナソノイチ)!」
身に宿すのは……否、戻るのは魔将たちの力。
己の身体を分化させた魔将の力を取り戻すことによって発露する姿によって、ワルルーナの身体は本来のものへと近づいていく。
その姿はいずれも凄まじき力の発露であった。
大魔王を複製した『ミスター・グース』にとって、その姿は恐るべきものであったことだろう。
迫る魔法の弾丸さえも悪ルーナの下半身の龍たちの顎が噛み砕き、飲み干していくのだ。
魔法そのものを噛み砕き、捕食する力。
あらゆる飛び道具はワルルーナにとって意味をなさない。
「無駄よ! どんなものであれ飛んでいるものは我にとって捕食の対象でしかないのだからな!」
「魔法自体を食らう……!?」
「貴様……まさか、デビルキングワールドの……!」
「そうとも! 我こそは、百胎堕天竜魔王! ラスボスの魔王ワルルーナ・ティアーメル! この世界基準でも貴様は許されざる|モノ《悪》! ならば、我の憤怒はうなぎのぼりと知れ!」
吹き荒れる怒りは、世界にばらまく呪いに対してこのとであっただろう。
強化される力。
怒りは力を瞬発的に底上げするものである。
故に彼女の下半身の竜たちの口腔に集められた魔力は、烈火の如く……いや、それを超えて煉獄の如き輝きと苛烈さを秘める。
「これで終わらせてやろう! 貴様が潰えるのは、この我を敵に回したが故であると知るがよい!」
煉獄のブレスが吹き荒れるようにして『ミスター・グース』へと降り注ぐ。
呪いは生まれ、されど炎によって浄化される。
あらゆる力も、存在も。全てが終わりを告げるというのならば、その呪いをこそ煉獄の炎によって浄化せねばならない。
ワルルーナの放つブレスは『ミスター・グース』を飲み込み、その躯体ごと吹き飛ばすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵