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異端者は荒城に集う

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●開かずの関所
 サムライエンパイア。
 大名達による国取り合戦も、今となっては昔の話。幕府が治める太平の世となり、街道も飛脚や行商人達が行き交う様が見られるようになったのだが。
「止まれ! ここより先は大友家の領地! それを知って、素通りするつもりか!」
 ある日、街道に突如として現れた謎の関所。そこの守衛と思しき者達に止められて、旅の者達は理不尽な足止めを食らっていた。
「なんでぇ、てめえ達は! こちとら、大事な手紙を預かってんだ! それとも、この通行手形が目に入らねぇってのか!?」
「なんや、よう事情は知らへんが、通行税がいるなら払いまっせ。せやから、早うここを通したってや」
 早くも喧嘩腰になって飛脚の男が守衛に突っかかれば、その横では行商人と思しき男が、なんとも困った様子で懐から小判を取り出して。
「ちょっと、なんだか知らないけど、こちとら芸人だよ? 関所の通行は、御上から認められてんだ。証拠を見せろって言うなら、この場で芸のひとつでも見せようかい?」
 旅芸人一座の座長と思しき女性もまた、関所を通すよう守衛に頼むが、守衛はそれでも首を縦に振ることは無く。
「えぇい、黙れ! 貴様、さては大友家に逆らう者の密書を運んでいる途中なのであろう? そちらの貴様は、武器か……それとも、御禁制の品を密貿易するのが目的だな! ひっ捕らえてくれる!」
 ほとんど言い掛かりに等しい難癖を付け、飛脚や行商人達を部下に捕えさせてしまった。
「なっ……て、てめぇら、なにしやがんでぇ!」
「誤解や! ワシは密貿易なんぞしとらん! 商品を見てもろうたら、分かるはずや!!」
 弁解の余地さえも与えられず、異国風の鎧に身を包んだ侍に連行されて行く男達。これは拙いと、旅芸人の女座長は団員達と共に逃げ出そうとしたが、しかし同じく異国風の鎧を着た侍達に包囲されてしまった。
「ちょっと、気安く触るんじゃないよ! アタシ達は、身体が資本なんだからね!」
「うるさい! 破廉恥な芸を売り物にする女どもなど、存在自体が神への冒涜! 貴様達のような邪教徒を、見逃すわけにはいかぬ!」
 殆ど偏見に等しい理屈で拘束され、女達もまた関所の奥へと連行されて行く。後に残されたのは、守衛のみ。寒々とした風が吹き抜ける中、山の上に聳える荒れた城だけが、不気味に街道を見降ろしていた。

●関所破りか、潜入か?
「旅人に難癖つけて、誰彼構わず連行する関所……。なんだか、良くないことが起きているみたいだわ」
 サムライエンパイア世界で、奇妙な事件が発生している。そう言って、神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)から猟兵達に告げられたのは、異国風の鎧を来た侍達によって、旅の者が次々と捕えられているという事件だった。
「この変な侍たちは、街道に関所を作って待ち構えているみたいね。そこを通りかかった人に難癖つけて、無理やり連れて行っちゃうのよ」
 当然のことながら、この関所は幕府とは何の関係もない。彼らが勝手に作ったものなのだが、その目的は不明のままだ。
「捕まった人達が、どこへ連れて行かれたのか……それは、私にも解らなかったわ。でも、この事件の裏にオブリビオンが関係しているのは間違いないわね。それも、かなり大物が」
 関所の守衛を務める異国風の鎧を着た侍は、大友という大名の名を出していた。無論、その周囲は大友などという大名の領地ではなく、城もかつての戦で荒れ果てて、放棄されたものが山の上に残っているだけだ。
「突然現れた関所に、滅びた城……どう考えても、怪しい組み合わせだわ。捕まった人達のことも気になるし、なんとか中に入れればいいんだけど……」
 最悪の場合、強引に関所を突破して、正面から正々堂々と入るのもありだろう。もしくは、近くを旅する者から情報を得たり、隙を見て建物に侵入したりする方法もある。
 あるいは、身分を偽って行商人や旅芸人のふりをし、敢えて捕まってみるというのも、ひとつの手だ。その場合、いかにして敵の目を盗み、脱出するかが問題となるが。
「どっちにしろ、こんな関所があったら、誰も安心して街道を通れなくなるわ。それに、オブリビオンを放っておいたら、何をするか分かったものじゃないし……」
 敵が本格的に何かを始める前に阻止できるなら、それに越したことはない。そう言って、鈴音は改めて、猟兵達に依頼した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 通行手形も通行税も、果ては幕府の承認さえも無視して、人々を強引に拉致する異国の侍達。
 彼らの目的と、その裏に潜むオブリビオンを判明させ、これを討ち取る依頼になります。

 第一章では、何らかの方法で関所を突破し、山の上の荒れ果てた城の調査へと向かっていただきます。
 続く第二章で、異国風の鎧を着た侍達との戦闘。
 第三章で、裏で糸を引くオブリビオンの親玉と戦い、倒していただきます。
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第1章 冒険 『関所を破れ』

POW   :    正面から正々堂々関所を破る

SPD   :    旅人から情報を得る、建物に侵入

WIZ   :    わざと捕まって様子をみる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイリーン・ミュレット
まあ!旅人や商人の行動を制限しようだなんてどのような了見かしら。
この私、カリスマ美少女怪盗アイリーンの目に入ったからには捨て置けないわね!
●関所の調査
(【インビジブル・ファントム】を使ったつもりのまま関所に侵入しようとして)
なっ…あたしが見えてる…!?…ってあああああ!?(使用忘れに気付く)
えっと、あたしはその、旅芸人よ!ほらこの溢れるカリスマーラ!どう!?(ドヤるが特に芸はできないので誤魔化せず)

捕まったら関所や城についていつからあるのかなど話しかけて情報収集。機を見て縄抜けなどを試み脱出図りましょう。
脱出時は今度こそ【インビジブル・ファントム】を使うわ。

・連携アドリブ歓迎



●潜入捜査?
 閑散とした街道を歩くと、やがて物々しい造りの関所が姿を現した。
 守衛の立つ門の脇からは、侵入者を拒むための刺が付いた壁が、どこまでも真っ直ぐに伸びている。あるいは、脱走者を防ぐためのものかもしれないが、どちらにせよ普通の関所ではない。
「まあ! 旅人や商人の行動を制限しようだなんて、どのような了見かしら? この私、カリスマ美少女怪盗アイリーンの目に入ったからには捨て置けないわね!」
 城塞、もしくは砦の入口といった方が正しい関所の姿に驚きつつも、アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)は意を決して門へと近づいて行く。
 怪盗としての技術を用いれば、こんな関所の見張りなど欺くのも容易い。どうせ、相手に自分の姿は見えないのだから。そう思って、堂々と関所の門をくぐり抜けようとするアイリーンだったが。
「こら! 貴様、誰の許可をもらって、ここを通ろうとしているのだ!!」
「……へ?」
 いきなり守衛に槍を突き付けられ、アイリーンは思わず面食らった。
(「なっ……あたしが見えてる……!? ……ってあああああ!?」)
 そういえば、中に入ってからのことばかり考えて、身を隠すための工夫をすっかり忘れていた。いきなりの大失態に冷や汗を垂らし、咄嗟に口から出まかせを言ってみるが、もう遅い。
「えっと……あたしはその、旅芸人よ! ほらこの溢れるカリスマーラ! どう!?」
「芸人だと? ここを通るのに、それが何の理由になる!」
 そもそも、この関所の連中は、飛脚だろうと行商人だろうと、果ては旅芸人だろうと問答無用で連行するような者達だ。哀れ、アイリーンは瞬く間に捕えられ、関所の奥へと連行されてしまった。
(「くっ……私としたことが、迂闊だったわね。でも、これで中には入れたし……そう、これは計算よ! 計算通りってやつだわ!!」)
 なにやら、一部の記憶を強引に改竄しているような気もするが、それはそれ。なんとも危険な方法ではあったが、辛うじて関所への潜入は成功したようだ。

●計算違い
 薄暗い、どことも知れぬ肌寒い場所。微かに水の滴り落ちる音が聞こえる冷たい牢の中で、アイリーンは自分の行いを酷く後悔していた。
(「……計算外だったわ」)
 あれから、関所の奥に連行されるや否や、身包みをあらかた没収されてしまった。特に、武器が見つかったのは拙かったようで、彼女は目隠しと猿轡をされた上で、手枷まで嵌められ牢の中に放り込まれてしまった。
「貴様! この場所を訪れた本当の目的は何だ! 言え! 言わぬか!!」
「ひぃっ! か、勘弁してくだせぇ!! あっしは、しがない旅の者です。嘘なんか吐いてや……ぎゃぁっ!!」
 時折、奥の方から何かを叩くような音と、誰かの悲鳴が聞こえて来た。恐らくは、捕えられた者達が拷問を受けているのだろう。
(「こ、こうしちゃいられないわ! 早く、ここから逃げないと……」)
 アイリーンの背中に冷たいものが走る。自分の技術を以てすれば拘束を解くのは簡単だが、しかし監視の目を擦り抜けて牢から出るのは至難の技だ。
 もしかしなくても、これは大ピンチなのではあるまいか。しかし、そんな彼女のことを、天はまだ見放していなかったのだろうか。
「おい! 妙な連中が、関所で暴れているらしいぞ! お前達、直ぐに応援に向かってくれ!」
 なにやら他にも関所で暴れている者がいたようで、謎の侍達は慌てて牢から外へ出て行った。
(「これはチャンスね。ドサクサに紛れて装備を取り返したら、中の様子を探ってやるんだから!」)
 見張りがいなくなったのを察し、アイリーンは慣れた手つきで拘束から抜け出すと、今度こそ身を隠して牢から逃げ出した。幸い、没収された装備品も近くに押収されていたので、回収するのは造作もなかった。
「さあ、働け、罪人ども! 貴様達の血は、我らが主、大友様のために使われることでしか救われぬ!」
「来るべき聖戦のため、その身を神に捧げるつもりで働くのだ!!」
 外に出ると、どうやらここは山の上にある城のようで、眼下では様々な人々が強制的に働かされていた。鞭を振るう侍達の周りでは、人々が重く暗い顔をして、ひたすらに石を運んでいる。どうやら、城の石垣を補修するためのものらしく、荒城の半分は既に築城当時の面影を取り戻しつつあった。
(「あれ、お城を修復させてるのよね? ……ってことは、もしかしなくても、このお城にいるやつが、戦争でも始めるつもりとか!?」)
 もし、それが本当ならば、こんなところで油を売ってはいられない。先ずは装備を取り返し、その上で他の猟兵が来ているならば、早急に合流しなければ。
 大地を蹴って軽々と跳躍すると、アイリーンは敵の詳細を探るべく、そのまま城の中へと姿を消した。

成功 🔵​🔵​🔴​

キケ・トレグローサ
ルナ)「へぇ、旅の芸人も捕まえるなんて、放ってはおけないわね」
 キケの妹、踊り子のルナの人格が主人格となって関所を正面から旅芸人として尋ねる。
ルナ)「ごめんくださーい!旅の芸人なんですけど…」
 と、通してくれないか尋ねるとともに事前にUCを発動し、妖精たちを呼び出し、あたりに潜ませておく。妖精は小さく、空も飛べるから狭い関所の隙間や藪の中なんかに隠れられるはず。
 芸として軽く踊ってみせ注意をひく、その間に妖精たちは隠れて縫って関所へ、棚をひっくり返したり、調理どころの油を撒いたりやりたい放題して関所を滅茶苦茶にする
ルナ)「ふふっ♪どう?これが私の芸よ?」
 騒ぎに乗じて関所を突破できればいいな。



●悪戯妖精の計
 思わぬ失態からアイリーンが捕まる中、物陰から様子を窺っていたキケ・トレグローサ(たった一人の流浪の楽団・f00665)は、何かを思い立った様子で呟いた。
「へぇ……。旅の芸人も捕まえるなんて、放ってはおけないわね」
 表に出ているのは、妹であるルナの人格。キケとは違い、踊りの際に恵まれた彼女は、旅芸人の身分としても遜色なく。
「ごめんくださーい! 旅の芸人なんですけど……」
 旅芸人は、幕府から通行手形を免除されている存在だ。だから、通して欲しいと頼むキケ、もといルナだったが、しかし守衛達は首を縦に振るどころか、いきなり高圧的な態度でルナのことを取り囲んだ。
「芸人だと? 大方、破廉恥な芸を見せて、人々を惑わす堕落者だろう!」
「ここは大友家の領地、我らの聖地だ! 貴様のような穢れ者は、我らの洗礼を受けさせてくれる!」
 先に捕まったアイリーン同様、守衛達は問答無用でルナを捕えようと迫って来る始末。しかし、敵の目が自分だけに注がれているのは、ルナにとってはチャンスでもあった。
「さあ、もう逃げられんぞ? 大人しく……」
 勝ち誇った様子で迫る守衛だったが、それでもルナは微動だにしない。守衛の大きな手が彼女を捕えようと伸ばされた瞬間、何やら関所の中から凄まじい物音が。
「な、何事だ!」
「それが……何者かが中に侵入したようで、あちこちで物が壊されております!!」
 慌てふためく守衛達を見て、ルナは思わずほくそ笑んだ。
 こんなこともあろうかと、自分を囮に妖精達を関所の中へと忍び込ませておいたのだ。今頃、妖精達は関所の中で暴れ回り、棚を倒したり油壺を引っ繰り返したりと、大騒動を起こしていることだろう。
「くそっ……さては、どこぞの大名が、忍でも送り込んで来たか?」
 関所の守りを預かる者達にとって、中に忍び込まれたとあっては大失態。慌てて騒動の主犯を見つけ出すよう叫ぶが、そこにいた全ての守衛が騒動に気を取られてしまったのは、あまりに迂闊と言わざるを得ず。
「探せ! 探して捕らえ……あぁっ!?」
 いつの間にかルナが目の前から姿を消していたことで、守衛達の目が丸くなる。そんな中、ドサクサに紛れて関所の中へと入り込んだルナは、意気揚々と山の上の城を目指して歩いて行った。
「ふふっ♪ どう? これが私の芸よ?」
 芸とは、歌って踊るだけに非ず。全てが上手く行ったとはいえないものの、関所の突破には成功したようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・神夜
POW行動

此処ですか。難癖付けて人を連行してる関所とは
何が目的か知りませんが、そういう横暴をする人にはお灸をすえてあげましょう

特に何もなく通ろうとする
難癖付けられて呼び止められたら
「なるほど。よくわかりました。そちらがそのような無茶を言うのであれば、私は力づくにでもここを通りましょう」
と、野太刀を抜いて関所の人たちに峰打ちを当てて気絶させて強引に関所を通ろうとします
関所を閉じるのならば野太刀で門を斬って進みます
「力で押さえつければ、より強い力にはじき返されます。勉強になりましたね」


傀童・沙華
行動 POW

なんじゃ
人をさらうにしても、もっと正面からこんか。正面から。
遠回しにグダグダと……。
文句を並べ立てておる暇があるなら、さっさとさらってしまえ。
わらわはな
そういう遠回しな物言いやら、嘘が大嫌いなんじゃよ。

それと……なんじゃ。
この関所崩れを通るためにいちゃもんをつけとるそうじゃが。
ならば、関所を破壊してしまえば、そこはもう関所にあらず、じゃな。
関所を殴り飛ばして、【殺気】と【恫喝】を効かせながら

「すまんの。わらわの目には、関所らしいものは見えんのじゃが?」


ラッセル・ベイ
人間を拉致して何をするつもりなのだろうか
……強制労働辺りが妥当だろうが、生贄だとすれば洒落にならんな
一刻も早く城に入らなければ

●行動(POW)
時間がない、強引に通らせてもらうぞ
「炎剣フラム」に火炎ポーションを付与して属性威力を向上
地面を斬ったり横に薙ぎながら進み、炎を振り撒いて守衛を近寄らせない
関所に門が掛けられているのならば【フラムブラスト】で燃やし尽くす

邪魔立てするならば容赦はせんぞ。私に近付くな


松永・久秀
大友、それにその特徴的な十字の飾り……ふむ、宗麟ゆかりの者、と言いたいのかね?
あの雄は異教に傾倒していたが、荒城を居にする程落ちぶれてはいなかった筈であるが…。
まぁ、良い。通してもらうぞ?城主に直接聞く方が話は早い。
それに、神仏を焼く事に今更後悔もないのでな。(薄ら笑いを浮かべながら【殺気】と【存在感】を常時発動します)

【行動:POW】
UC国潰しを使用して関所を爆破。使用技能は【範囲攻撃】【衝撃波】【属性攻撃(火)】。派手にぶっ壊します。異国の侍は十束剣で首を刎ね、種子島で射殺します。
「宗麟が生きて居れば、茶を交えながら話でもするのだがな……この様子では期待も出来ぬか」

アドリブ・絡み歓迎です。



●強行突破だ!
 訪れる者が誰であれ、難癖をつけて捕えてしまう危ない関所。なんともキナ臭い雰囲気を感じつつ、御剣・神夜(桜花繚乱・f02570)は物々しい様相を門を見据えた。
「此処ですか、難癖付けて人を連行してる関所とは」
 こんなものが街道に設けられては、流通の妨げになるだけではない。横暴を働く存在が幅を利かせるようになったが最後、その地域の治安は間違いなく悪化するわけで。
「人間を拉致して何をするつもりなのだろうか。……強制労働辺りが妥当だろうが、生贄だとすれば洒落にならんな」
 最悪の事態も想定し、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)は自らの剣に焔を灯す。
「大友、それにその特徴的な十字の飾り……。ふむ、宗麟ゆかりの者、と言いたいのかね?」
 この地を治めると騙る者の名に聞き覚えがあったのか、松永・久秀(エンパイアの梟雄ギリワン・f14623)は思わず顔を顰めた。
 大友宗麟。大友家21代当主にして、異教の神に傾倒していた鎮西の大名。そんな彼は有力寺社と敵対し、時に武力を以て平定することも厭わなかった。が、それにしても、こんな荒城を居にする程は落ちぶれてはいなかった筈なのだが。
「まあ、良い。城主に直接聞く方が話は早い」
「そうじゃのぅ。こういう時は、やはり正面から正々堂々と突破するのが一番じゃ」
 久秀の言葉に、傀童・沙華(鬼哭童子・f12553)がにやりと笑った。それが合図となり、他の二人も意を決して、関所の門へと向かって行く。
「おい! 貴様達、ここを何処と心得る!」
「ここより先は、我らが主、大友様の領地であらせられるぞ!」
 当然、何の断りもなく通ろうとすれば、守衛達は阻止しようと立ち塞がって来る。が、それこそが猟兵達の狙い。どうせ、何を言っても難癖を付けられるのであれば、いっそのこと正面から強行突破した方が容易い。
「なるほど、よくわかりました。そちらがそのような無茶を言うのであれば、私は力づくにでもここを通りましょう」
 それだけ言って、神夜は野太刀を引き抜き、構える。次に守衛が何かを言うよりも速く、彼の身体に神夜の強烈な峰打ちが炸裂した。

●大炎上!
 難攻不落の関所を前に、猟兵達は守衛相手に大暴れ!
 そちらが難癖付けるなら、問答無用で押し通る。迫り来る守衛達を次々と薙ぎ払い、果ては巨大な門さえも両断し。
「く、くそっ! このままでは埒が明かん! 応援を呼べ……ぐはっ!?」
「なんじゃ、人をさらうにしても、もっと正面からこんか、正面から。遠回しにグダグダと……」
 増援を呼びに走り出そうとした守衛を、沙華が後ろから殴り飛ばした。姑息な小細工を嫌う彼女にとって、獲物を待ち構えるようにして関所を設け、その中で何事かを企んでいる者達は、一番嫌いな人種のひとつだ。
「文句を並べ立てておる暇があるなら、さっさとさらってしまえ。わらわはな……そういう遠回しな物言いやら、嘘が大嫌いなんじゃよ」
 ついでに言うなら、勝手に造られた関所紛いの場所など、壊してしまえば効力もなくなる。人々を攫う行為にも、もはや屁理屈さえ付けられぬだろうと言い放ち。
「爆ぜよフラム。私達の敵を焼き払え」
 ラッセルの掲げた炎剣フラムが、関所の壁を焼いて行く。慌てて消し止めようとする守衛達だったが、一度燃え広がった魔法の炎は、術者以外に消す術などない。
「えぇい、もう許さぬぞ、貴様達! こうなれば、神の名の下に成敗してくれ……っ!?」
 とうとう、完全にこちらを敵と見做した侍が、猟兵達に襲い掛かって来た。が、その刃が届くよりも先に、久秀の火縄銃から放たれた銃弾が、敵の眉間を貫いた。
「な、なんという罰当たりな! 我らに手を上げることは、即ち神に手を上げるも同義だぞ!」
 いきなり仲間が殺されたことで、守衛達の間には、更なる動揺が広がって行く。もっとも、それを見ても久秀は容赦などせず。
「神、だと……? 異端の神に捧げる礼儀など、端から持ち合わせてはおらぬ。それに……」
 薄笑いを浮かべ、服の袖から繰り出すは、爆薬を満載したカラクリ茶器。『平蜘蛛』の名を持つ小さな破壊者達は、一斉に関所の壁に取り付くと、そのまま一気に爆破した。
「神仏を焼く事に、今更後悔もないのでな」
 崩壊した壁を前に、久秀はそう言って笑って見せる。更には、駄目押しとばかりに神夜が野太刀の一撃によって、残された門さえも斬り捨てた。
「力で押さえつければ、より強い力にはじき返されます。勉強になりましたね」
「く、くそっ! 我らの関所が……神の国へと続く門が……」
 圧倒的な猟兵達の力の前に、もはや守衛達は唖然として立ち尽くすしかない。そんな彼らに、沙華はここぞとばかりに額に手をやり、辺りを見回すような素振りを見せて。
「すまんの。わらわの目には、関所らしいものは見えんのじゃが?」
 つまり、今からここは、誰でも自由に通れる場所ということだ。そういうわけで、こちらの進行を邪魔するのであれば、容赦なく退治されても文句は言えないだろうと。
「えぇい、退却だ! 一時、退却しろ!」
 もはやこれまでと察し、残る守衛達は一目散に、山の上の城目掛けて逃げ出して行く。そんな彼らの逃げる先に目をやりつつ、ラッセルは仲間達に促した。
「さあ、急ごう。どうにも、嫌な予感がする……」
 既に多くの者が捕らわれていることを考えると、一刻の猶予もないのかもしれない。
 謎の侍に、既に滅びた大名家。未だ暗雲立ちこめる中、猟兵達は山の上に聳え立つ、古き城を目指して駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『切支丹武者』

POW   :    騎馬突撃
自身の身長の2倍の【軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    後方支援
【切支丹女武者】の霊を召喚する。これは【鉄砲による援護射撃】や【一斉掃射】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    主の裁き
【ハルバード】を向けた対象に、【天からの雷】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●聖戦勃発
 異国風の鎧を纏った侍達の手によって、秘密裏に修復されていた山の上の荒城。その敷地内では、巨大な十字架に貼り付けられた女性が、正に処刑されようとしているところだった。
「見よ! この女は、我らが神の国にありながら、異端の神を模した偶像を隠し持っていた! 我らが神への反逆と冒涜……その罪、万死に値する!」
 処刑人の掲げる手には、木彫りの小さな仏像が握られている。旅の安全を願って掘られたもので、恐らくは女性の持ち物だ。ここに連行された際、侍達に見つかって、有無を言わさず処刑されることになってしまったのだろう。
「さあ、とくと見よ! これが邪教徒の末路なり! 天の捌きが、今、下ろうぞ!」
 そう、叫ぶや否や、処刑人はもう片方の手に持っていた松明で仏像に火を付けた。そのまま地面に放り出された仏像を見て涙を流す女性だったが、手足を縛られ、猿轡をされた状態では、弁解の言葉を述べることさえできなかった。
 次は、いよいよ自分が殺される番だ。処刑場の片隅にある槍を持ち、処刑人が磔にされた女性に迫る。が、その槍先が彼女の胸元を貫こうとした瞬間、関所の方から守衛の侍が駆け込んで来たことで、処刑は一時中断となった。
「何事だ!」
「賊だ! 賊の襲撃だ! やつら、関所を燃やし、この城へ向かっている!」
 大至急、迎撃のための人員を集める必要がある。処刑などは、その後でも構わない。そう叫ぶ守衛の言葉に、処刑人も槍を納め。
「誰だか知らぬが、大友家の治める聖なる国への無礼、許すわけには行かぬな。我らの全力を以て、迎え撃ってやろうではないか」
 猟兵達の襲撃に備え、異国風の鎧を着た侍が続々と集まって来る。その数は、関所を守っていた者達の比ではない。
 だが、彼らを全て倒さねば、この事件の黒幕を暴くことも、捕えられた人々を助け出すこともできない。圧倒的な物量を誇る大友家の軍勢を前に、猟兵達の決死の戦いが幕を開けた。
キケ・トレグローサ
ルナ)「え…これは?嫌…いやぁああ!」
エド)「・・・処刑がルナにとってこれ程トラウマになっているとは…」
 ルナは気絶し兄エドが主人格で体を動かす(兄弟全員に肉体があった頃、賊に捕まりエドが娯楽半分に処刑されたトラウマを、ルナは目の前の処刑の光景で思い出し精神的防衛のため気絶した。処刑直後に人格はキケの身体に集結している)
エド)「宗教か、厄介だな。下手を打てば火に油だ。何をしでかすかわからない…」
 気絶したルナから緊急で主人格を奪ったため、少しふらつくエドは後方に下がり、気を振るい立たせ歌を歌う
エド)(ああ、畜生。最悪だ。ルナにあの時のことを思い出させてしまった)
 癒しの詩を歌いながら顔を顰める



●忌むべき記憶
 異国の侍達の手により、今、正に女性が処刑されようとしている。その現場に踏み込んだ瞬間……キケ・トレグローサ(たった一人の流浪の楽団・f00665)の中にある、ルナ・トレグローサの人格は悲鳴を上げた。
「え……これは? 嫌……いやぁああ!」
 脳裏に蘇りしは、兄であるエドが殺された時の記憶。自分の目の前で、娯楽半分に嬲り殺しにされた兄の姿が蘇ると、それ以上は耐えられなかった。
「……っ! 危ないところだったな。それにしても……処刑がルナにとって、これ程トラウマになっているとは……」
 慌てて人格をエドのものへと切り替えたことで、辛うじて気を失うことだけは避けられた。が、半ば強引に人格を交代させた代償は軽くなく、エドもまたふらつく足に力を込めて、倒れないようにするのが精一杯だった。
「宗教か、厄介だな。下手を打てば火に油だ。何をしでかすかわからない……」
 敵は妄執的かつ狂信的な人間だ。彼らは『神の名の下に行われる正義』を免罪符とし、あらゆる非道を正当化する。その心には、迷いも躊躇いも存在しない。故に、厄介な相手なのだ。思想も常識も異なる存在だけに、咄嗟の行動は誰にも読めない。
(「ああ、畜生。最悪だ。ルナにあの時のことを思い出させてしまった」)
 このまま棒立ちになっているのは拙いと、エドは顔を顰めながら、後方に下がって癒しの歌を紡いだ。悔しいが、ここは自らを歌で奮い立たせつつ、後方支援に徹した方が良さそうだ。
「えぇい、邪教徒どもめ! 我らの聖地を、これ以上は穢させるな!」
 遅れて現れた他の猟兵達を迎え撃つべく、侍達が叫ぶ声がした。横暴と非道の限りを尽くす者達との戦いは、まだ始まったばかりだ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ラッセル・ベイ
ほう。先程の者達よりも、少しは出来るようだ
これはつまり、少し本気でやっても良いという事だな
……では、覚悟するが良い

●戦闘(WIZ)
侍はどうやら雷を使う様だ
ならば電撃耐性ポーションを飲んで、抵抗を高める
更に「地盾グラウンド」を真上に構え、雷の無力化を狙おう

まずは【グラウンドトーテム】を召喚
これによって、私や周囲の味方の武具が時間経過で強化される
後はフラムで侍を薙ぎ払い、炎を振り撒いて持続ダメージを狙う

さあ、一気に押し切るぞ


傀童・沙華
どのような敵であれ、わらわは殴り倒すだけじゃからな
カカッ!!
ここにおるのは、お前さん達が言う邪教徒よりも、悪辣で悪童である鬼!
この首、獲って誉れにしてみよ!

行動 POW

戦闘は真正面から
相手の攻撃は避けず、攻撃特化じゃな
【恐怖を与える8】と【殺気3】で相手に畏怖を与えつつ、
【鎧無視攻撃10】と【怪力6】で攻撃じゃな

1人1人は大したことはないかも知れんが、集団となるとやはり血が滾るのぅ
物足りずに不完全燃焼にならぬように、この身の滾りは【誘惑14】として、妖艶に相手を死に誘うとしようかの

血や闘争に酔い痴れてこそのわらわじゃ
己が血塗れになろうとも、それ以上に敵の血を浴びる
こればかりは譲れんのぅ


松永・久秀
異教の坊主どもがサムライ大名を気取って好き放題……前々から思っておった事であるが、やはり坊主どもに権力を与えても碌な事にはならぬな。
大友の残党を名乗る以上、今は戦国の倣いに従い、徳川の治世に従わぬ逆賊を狩るとしよう。

【行動:POW】
相手が突撃してきたらUCを発動。
技能は【範囲攻撃・一斉発射・二回攻撃・鎧無視攻撃・鎧砕き・先制攻撃・見切り】を使用。
総勢15人+久秀の連装種子島による弾幕を叩き込みます。
「やはり銃は良いな。三日訓練すれば農民が一端の兵になり変わる。弓や刀、槍のような長い訓練もいらぬ。 …何より、武を誇ったもののふ共が農民に撃ち殺されるなぞ、笑いが止まらぬよ」

※アドリブ・絡み歓迎



●怒涛の大合戦!
 山の上に聳え立つ荒城。その敷地内にて、猟兵達と異国風の侍達は、互いに対峙し、睨み合う。
「異教の坊主どもがサムライ大名を気取って好き放題……。前々から思っておった事であるが、やはり坊主どもに権力を与えても碌な事にはならぬな」
 ずらりと並んだ侍達を前に、松永・久秀(エンパイアの梟雄ギリワン・f14623)は切り捨てるようにして言い放つ。
 古来より、宗教家が時の権力に取り入って、その果てに自らが頂点に立とうとした話は枚挙に暇がないが、しかしその結果は常に争いと悲劇の繰り返し。神を信ずる者であろうと、仏に仕える者であろうと、行き着く先は同じだったと。
「えぇい、不埒者どもめ! 我らが神の名において、残らず成敗してくれようぞ!」
 もっとも、己の行いを正義と信じて疑わぬ侍達には、彼の言葉も響かない。数の暴力で蹂躙すべく、彼らは手にした戦斧や刀を武器に、猟兵達へと向かって来る。
「ほう。先程の者達よりも、少しは出来るようだ。これはつまり、少し本気でやっても良いという事だな」
 先発の者達の太刀を軽く受け流し、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)が、にやりと笑った。
 なるほど、確かに守衛と比べても、この侍達は戦い慣れている。大方、彼らもまた戦国の世より舞い戻ったオブリビオンなのだろう。
「開戦だ。呼び起こせ、グラウンド」
 敵の繰り出す雷撃に備え、ラッセルはポーションを飲み干しつつ盾を構え、同時にトーテムを呼び出して守りを固めた。
 だが、敵の侍達もまた、腐っても戦国の世より舞い戻りし者達。戦においては、数こそが正義。その定石を崩すことなく、女武者の鉄砲隊を呼び出すと、ラッセル目掛けて集中砲火を開始した。
「……ぬぅっ!」
 咄嗟に盾を構えて身を守ったが、これでは迂闊に動けない。入れ代わり、立ち代わり、弾込めの隙を埋めるようにして交互に銃撃してくる様は、かの大六天魔王・織田信長が、長篠で用いた戦法を彷彿とさせるもの。
「やってくれるのぅ。1人1人は大したことはないかも知れぬが、さて、どうするか……」
 飛び出す隙を伺う傀童・沙華(鬼哭童子・f12553)。いっそのこと、このまま負傷覚悟で敵陣に殴り込み、大暴れするのも悪くはない。が、そんなリスクを冒さずとも一矢報いる法はあると、久秀は沙華を軽く制し。
「まあ、ここは我に任せるがよい。目には目を、歯には歯を……とな」
 ラッセルが盾で敵の攻撃を防ぎ続けている中、彼は胴丸に数字の刻まれた、雑賀鉄砲隊を呼び出したのだ。
「な、なにっ! あちらも鉄砲隊だと!?」
 数の有利を崩されて、途端に慌てふためく侍達。そんな彼らに構うことなく、久秀は鉄砲隊に攻撃の指示を出す。
「鉄砲隊構え、よく引きつけよ。まだだ、まだ……、一斉射、撃てぃ! 全て撃ち殺せ!」
 久秀自身も加わった、総勢16名による一斉射が敵を襲う。圧倒的な火力の前に、次々と消滅して行く女武者達。戦国の世を生きて来た、歴戦の猛者である侍達も、これには成す術もなく逃げ惑うしかなかった。
「やはり銃は良いな。三日訓練すれば農民が一端の兵になり変わる。弓や刀、槍のような長い訓練もいらぬ。……何より、武を誇ったもののふ共が農民に撃ち殺されるなぞ、笑いが止まらぬよ」
 世は既に、刀と刀で一騎討ちをする時代ではなくなった。それは集団戦でも同じことだと、久秀は高々と笑って告げる。そんな彼と、鉄砲隊の放つ銃弾に紛れ、沙華は一気に敵陣へと距離を詰めて肉薄し。
「どのような敵であれ、わらわは殴り倒すだけじゃからな」
 迫り来る敵の侍達を、鎧の上から豪快に殴り飛ばして行く。
「ぐはっ! な、なんだ、この女は!?」
「こちらの装甲を素手で砕くだと! まさか、本当に悪鬼羅刹の類とでも……!?」
 剛腕により、鎧だけでなく骨まで砕かれ、その力に畏怖の念を覚えつつ倒れて行く侍達。しかも、驚くべきことに、沙華は一切のユーベルコードを用いていない。ただ、ひたすら純粋な力と技だけを用いて暴れ回る様は、もはや一種の様式美さえ感じさせる。
「カカッ!! ここにおるのは、お前さん達が言う邪教徒よりも、悪辣で悪童である鬼! この首、獲って誉れにしてみよ!」
 返り血を浴びながら叫ぶ沙華の姿は、恐ろしくもあり、そして美しくもあった。どれだけ己が傷つこうと、それさえも滾りに変えて荒々しくも華麗に舞う。そんな彼女に恐れをなしたのか、とうとう一部の侍達は、城に退却すべく逃げ出そうとしたが。
「そうはさせん。ここを通りたくば、私を倒してから行くことだな」
 焔の剣で薙ぎ払い、ラッセルが侍達の前に立ちはだかる。
「お、おのれ! ならば……貴様には、天の裁きをくれてやるわ!!」
 道を塞がれた侍が、怒りに任せて戦斧を掲げた。瞬間、天より降り注ぐ雷がラッセルの身体を打ったが、それでもラッセルは退かなかった。
「……どうした、その程度か? 神の裁きという割には、随分とささやかな攻撃だな」
 全身から白煙を立ち上らせつつも、ラッセルは微動だにせず侍達との距離を詰めて行く。元より、雷撃への備えはしていた上に、今はトーテムの力で戦闘力も上がっているのだ。そんな彼にとって、侍達の繰り出す雷撃など、もはや児戯に等しいものでしかなく。
「さあ、一気に押し切るぞ」
 お返しとばかりに、焔の刃で斬り付けつつ、残る二人の猟兵に向かって叫んだ。未だ、数の上では敵の方が上手だったが、しかし戦いの流れは確実に、猟兵達の方へと動いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アイリーン・ミュレット
流れ的に捕まってる人だけこっそり助けるとか出来ない流れ?
乱戦になりそうなのは美学とちょーっと違うんだけど…しゃーないわ。やったろーじゃない!

さあ、いくわよ!困ってる人を助ける。それ即ちカリスマの十分条件ってやつよ!このあたしを誰だと思ってるの!超☆カリスマ大怪盗、アイリーンよ!
●戦闘
【自称カリスマの意地】で防御力を重視して腰の黒剣で戦うわ。
馬ですって!?あなたこのあたしより目立つなんてどういう了見よ!ちょっと降りなさい!
【バットストーム】も利用したいわね。
生命力吸収も利用してしぶとく戦ってやろうじゃないの。火力は味方をあてにするわ、仲間の特性をよく理解するのもカリスマ要素だもの!
アドリブ歓迎


御剣・神夜
異教徒の弾圧
というか仏像を持ってただけで?言いがかりも甚だしいですねぇ
そんな無茶な理屈は通らないと教えてあげましょう

騎馬突撃してきたら後ろを確認して壁が近いならギリギリで避けて壁に激突させる。
障害物がないなら左側に避けて避けざまに斬りつける
後方支援の武者霊が召喚されたら鉄砲での援護射撃や一斉掃射は厄介なので早めに片付ける
雷はは当どうしてからでは避けられないと思うのでハルバードを向けられたらとにかく一か所に定着しないで動き回る
「信仰は自由のはず。それを押し付けるのは弾圧と変わりませんね。どういう理屈であれ、無茶を言ってるのは貴方達です。懲らしめてあげます」



●華麗に参上!
 銃弾と剛拳が飛び交う大乱戦。正に合戦さながらの光景を前に、アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)は颯爽と降り立った。
「乱戦になりそうなのは美学とちょーっと違うんだけど……しゃーないわ。やったろーじゃない!」
 本当であれば、先に捕えられた人々を助けたかったが、今はそんなことを言っている場合でもなさそうだ。それに、この侍達を放っておけば、それこそ捕まっている人達が、何をされるか分からない。
「異教徒の弾圧……というか仏像を持ってただけで? 言いがかりも甚だしいですねぇ」
 同じく、乱戦を続ける敵味方を前に、御剣・神夜(桜花繚乱・f02570)もまた野太刀を抜いた。
「さあ、いくわよ! 困ってる人を助ける。それ即ちカリスマの十分条件ってやつよ!」
「ええ、そうね。彼らの無茶な理屈など、通らないと教えてあげましょう」
 互いに頷き、アイリーンと神夜は群がる敵へと向かって走り出す。それに気付いた侍達は、裁きの雷を食らわせんと、手にしたハルバードを高々と掲げたが。
「……させません!」
 擦れ違い様に、神夜の野太刀が敵のハルバードの柄を斬り落とす。光の速さで降り注ぐ稲妻を避けることはできなくとも、その大元である敵の動きは、風や音より速いわけではないのだ。
「ぬぅ、小癪な! ならば、そちらの小娘を先に始末してくれる!」
 神夜を狙うのは不利と判断したのか、もう一人の侍が、アイリーンに狙いを定めてハルバードの先を向けた。さすがに、今度は妨害することもできず、天より降り注ぎし落雷は、アイリーンの頭を直撃した。
「ふん、他愛もない。愚かな邪教徒など、所詮はその程……っ!?」
 だが、閃光と土煙が晴れたところで、敵の侍は思わず言葉を失った。彼にとっては、必殺の一撃。神より授かりし天撃に等しい落雷に、アイリーンは耐え切っていたのだから。
「き、貴様……あの落雷を受けて死なぬとは、化け物か!?」
「化け物ですって!? 失礼ね! このあたしを誰だと思ってるの! 超☆カリスマ大怪盗、アイリーンよ!」
 大概のことは、強がりと無茶と、それに自己暗示でなんとかなる。未だ身体からは黒煙が立ち昇っていたが、それでも死なない辺り、もはや彼女の存在自体が、自然の摂理を無視した超存在と言っても過言ではあるまい。
「えぇい! ならば、一騎討ちで勝負をつけてくれる! 覚悟!」
 生半可な小細工は通用しないと知って、侍は巨大な軍馬を呼び出すと、アイリーン目掛けて突撃して来た。雷の直撃にも耐えた今の彼女であれば、突進程度で死ぬことは無いが、しかし衝突の反動までは殺せない。
「馬ですって!? あなた、このあたしより目立つなんてどういう了見よ! ちょっと降りなさ……って、きゃぁぁぁっ!?」
 哀れ、真正面から突撃を食らい、そのまま吹っ飛んで行くアイリーン。しかし、彼女もただでは転ばない。空中に身体を投げ出されつつも、小型の戦闘用コウモリを繰り出して、侍達へと差し向けた。
「いきなさい、可愛い眷属たち!」
「ぬっ……な、なんだ、この蝙蝠どもは! えぇい、離れろ! 離れぬか!?」
 顔の周りに纏わり付かれ、侍達は大混乱。なにより、彼らを乗せている軍馬が錯乱して暴れ回ってしまい、もはや完全に制御不能だ。
「け、計算通りね。敵を集めて、油断させたところで同士討ちを狙う……これが、カリスマの戦い方よ!!」
 互いに衝突し、馬から放り出されて行く侍達を見て、アイリーンはドヤ顔で叫んでいた。もっとも、実際にどこまで計算していたのかは、彼女のみぞ知るといったところだが。
「おのれぇ、小細工ばかりしおって、邪教徒どもめ! こうなれば、問答無用で斬り捨ててくれるわ!」
 衝突を避け、コウモリの群れから辛くも逃れた侍が、怒りに満ちた叫びを上げて、猟兵達へと向かって来た。だが、正面から仕掛けてくるというのであれば、対峙する方としても戦い易い。野太刀を垂直に立てるようにして構え、神夜は一歩も退かぬ覚悟で、迫り来る敵を迎え撃つ。
「信仰は自由のはず。それを押し付けるのは弾圧と変わりませんね。どういう理屈であれ、無茶を言ってるのは貴方達です。懲らしめてあげます」
「なにを、小癪な! 貴様こそ、神の力を思い知らせてくれる! 覚悟!!」
 砂煙と共に、蹄の音が徐々に神夜へと近づいて来る。周りに障害となるものはない。ならば、敵の突進が当たる瞬間に避けて返す刀を浴びせれば、逃げ場がないのは敵の方だ。
「馬上故の不利、思い知りなさい! 天武古砕流奥義、流走!!」
 侍を乗せた軍馬と神夜が、互いに刃を振るって交錯する。大地が抉れる程の凄まじい斬撃。それが繰り出された瞬間、身体を二つに両断されたのは、果たして神夜ではなく軍馬に乗った侍の方だった。
「む……無念……」
 崩れ落ち、軍馬から放り出された侍の身体が、地面に転がり動かなくなる。見れば、残る敵の軍勢も、他の猟兵達の活躍によって、大半が始末されていた。
「残る敵は、僅かですね。一気に退治してしまいましょう」
「ええ、そうね。こんな連中に、いつまでも手間取っているわけには行かないわ!」
 もはや総崩れになった敵の残党を倒すべく、神夜とアイリーンは再び走り出す。異教の神を信望する侍達だが、しかし肝心の神の加護よりも、猟兵達の力の方が数段上手だったようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『大友宗麟』

POW   :    国崩し
【フランキ砲の砲弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【焼夷弾の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    寺崩し
【己の肉体言語】による素早い一撃を放つ。また、【フランキ砲を手放す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    城崩し
単純で重い【フランキ砲から放たれた砲弾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は鍋島・小百合子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●国崩しの異端大名
 猟兵達の活躍により、荒城に集っていた侍達は、一人残らず退治された。
 城の敷地に転がっているのは、既に物言わぬ塊となった異端の武者の亡骸のみ。処刑寸前だった女性も救出され、街道の平穏は取り戻せたと……そう、思われた時だった。
「……っ!?」
 突然、天を突き破るような轟音と共に、巨大な火球が飛来した。それは猟兵達の側に転がっていた侍達の亡骸さえも吹き飛ばし、たった一撃で大地に抉られたような爪跡の残していた。
「貴様達か! 我が悲願を妨げし邪教の信徒どもというのは!」
 荒城の天守閣に聳え立ち、こちらを睨み付ける巨漢の大名。その腕に抱えられているのは、種子島など比較にもならない、大砲と見紛う程の重厚なる巨砲。
「許さぬ……許さぬぞ! 我は大友家21代当主、大友宗麟なり! 邪教の信徒どもよ……貴様達には、我が直々に、神の裁きを食らわせてやろうぞ!」
 そう言うが早いか、宗麟は颯爽と天守閣から飛び降り、土煙を上げて着地した。およそ、人間離れした動きだが、それは彼が他ならぬ、超常の力を持ったオブリビオンであることを意味していた。
「さあ、掛かって来るがよい、邪教徒め! 近づく者は、この『フランキ砲』で、全て灰塵に帰してやろうぞ!」
 巨砲を抱え、宗麟が叫ぶ。全身から発せられる圧倒的な威圧感は、目の前の武将が先程の侍達などとは比べ物にならない力を誇っていることを物語っている。
 だが、ここで退くことは、即ち宗麟の企みを見逃し、世に再び戦乱の風をもたらすことに他ならない。
 太平の世を守り、人々が安らかに行き交う道を取り戻すため。災魔として蘇りし戦国大名との、最後の戦いが始まった。
ラッセル・ベイ
私は無宗教なのだが
自分の神を信じない者は全て邪教とでも言いたげだな
……まあいい、このタイプの輩は話すだけ無駄だ

トーテムの力もあり、武具は今尚強まっている
今が攻め時だ。行くぞ「ポイゼ」、奴を叩き潰してくれよう

●戦闘(POW)
ポイゼに猛毒ポーションと火炎耐性ポーションを飲ませておく
これによって猛毒の属性力と火炎への抵抗力を向上
私も同じ様に火炎耐性ポーションを飲もう

【コンビネーションⅡ】で宗麟を攻撃
私は後衛から「聖杖セイント」の回復魔法で支援や、閃光魔法で宗麟の視界を遮る
ポイゼは極小の体躯を活かし、至近距離からの毒針で宗麟を弱らせる
動きが鈍った所に極大魔法を放ってくれよう

光輝の槌よ、我が敵を押し潰せ


御剣・神夜
神の裁きですか
随分と身勝手な神様もいたものですね
貴方の言っている事は少しも神の教えにそくしているとは思えません。むしろ神を冒涜しています。それを教えてあげましょう

国崩しで砲弾を撃たれたら野太刀で斬り捨てるか避けるかして距離を詰める
寺崩しで高速で距離を詰められたら急所に一撃を貰わないように第六感で当たり所をずらす
城崩しは野太刀で斬り捨てるか避けるかして距離を詰める。全体的に遠距離攻撃が多いので、距離を詰めて砲身をずらすなどして此方を攻撃できないようにして攻撃する
「単純に大きければ強い。鉄砲ではそういうわけにはいきません。狙いは読みやすいし、簡単に避けられます。勉強になりましたね」


アイリーン・ミュレット
あたしの武勇伝の一ページに刻まれることを光栄に思うことね!
っていうかせっかくだからあたしを崇めるアイリーン教とか作りなさい?

●戦闘
確かさっきは味方にアタッカー多かった気がする。その補助も兼ねてなるべく相手をこちらに引きつけたいわ。
そこのおおとみ?なんとか!このあたしから目を放すなんて許さないわよ!
【カリスマ大怪盗の本気】、【血統覚醒】を重ねて使いたいわ。今この瞬間を最高に生きる!そして生命力吸収も交えしぶとくいくわよ。あとは意地よ意地。
あたし体の頑丈さには自信があるの。それにカリスマたるもの守るべきものの前で倒れてはならない!
●真の姿
蝙蝠の羽が生え赤い瞳が輝くヴァンパイア

アドリブアレンジ歓迎


キケ・トレグローサ
エド)「やっと調子が戻ってきた」
 人格と身体がなじみ真っ当に動けるように
エド)「どの神を信仰するのは各人の自由だ。だから信じた神の相違から時に争い、過ちを繰り返す。聖戦など幻想だ。あるのは人の争いのみ!そして今、幕を下ろす!」
 UCを発動させ、騎士団と大盾歩兵を呼び出す。彼らはエドが一節を歌うごとに追加で出現する無限の英雄の騎士たち
『彼の者らに名はなく、彼の者らに名誉あれ。刃が煌めき、盾は破れぬ。英雄の他に値する名、他になし!』
 剣の騎士が露払いし引き付け、盾の歩兵は猟兵たちの前に立ち、守る
エド)「お前を裁くのは神ではない。人の世に生まれ愛する者を守る。そんなありふれた、尋常の命の、英雄達だ」


傀童・沙華
ふん。
神の裁きなぞと、法螺を吹いておるうつけ者が最後の相手とは、ちと締まりが悪いが……。
嘘つきは嫌いじゃ。
悪いが容赦はせんぞ。

ゆっくりと歩みを進め、UC発動じゃ。

「打ち倒すべき敵に我が身を晒し、心に宿すは不退転。それが喧嘩の華である……天蓋抂乱っ!」

喧嘩の流儀とは、防御無視の攻撃特化型
砲撃とは相性が悪いじゃろうが、関係ないのぅ
ひたすら右腕で砲弾を殴りつけ、【恐怖を与える】【殺気】を使用しつつ、ゆっくりと歩みを進め敵の元へ

辿り着いたときに、腕が使い物になるようならば、両腕で殴り
右腕が焼かれて使い物にならんようならば、左腕のみで
【鎧無視攻撃】と【怪力】を用いて攻撃じゃ


松永・久秀
【忍び足】と【破壊工作】を使用。宗麟が参加メンバーとの戦いに気を取られている隙をついて荒城に侵入し、ブレイズフレイムで火をつけて回ります。城内部にキリスト像やマリア像等の切支丹の物品等があれば、灰になるまで焼いてから城から出てきます。(出番は最後の方でOKです)

「城を焼くのは何年ぶりであろうな。年甲斐もなく心が滾ってしまったよ」
宗麟が像等がどうなったのか聞いてきたら
「宗麟よ、貴様は、『灰』を愛でる趣味でもあるのかね?」
と、今日一番の軽薄な笑みを宗麟へ向けます。

【行動:POW】
【見切り】で砲弾を避け、一気に懐まで走りUCを発動。【2回攻撃・鎧無視攻撃・衝撃波・鎧砕き】を使用します。
※アドリブ歓迎



●異端なる君主
 荒城より現れし、事件の元凶。巨砲を携えし豪傑のオブリビオンは、切支丹大名として名を馳せた、大友宗麟に他ならなかった。
「私は無宗教なのだが、自分の神を信じない者は全て邪教徒とでも言いたげだな」
 あまりに一方的な宗麟の物言いに、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)は溜息を禁じえない。もっとも、この手の輩は話したところで無意味なので、手早く片付けるに限るのだが。
「ふぅ……やっと調子が戻ってきた」
 額の汗を拭いながら、キケ・トレグローサ(たった一人の流浪の楽団・f00665)は改めて目の前の巨漢を見据える。今、表に現れているのは、彼の兄であるエドの人格。ようやく肉体に精神が追い付いてきたところで、エドは巨砲を構える宗麟に向かって、真正面から言い放った。
「どの神を信仰するのは各人の自由だ。だから信じた神の相違から時に争い、過ちを繰り返す」
 その結果、人々が傷付き苦しむのであれば、神とは、宗教とは何だろうか。救いを求めて集まった人々の心を踏みにじり、あまつさえ戦いの道具にすることが、人々の救済になるはずなどないと。
「ふん、いかにも邪教徒どもの言いそうなことよ。だが……だからこそ、この世には真なる神の教えが必要なのだ! それ以外の神など、所詮は全て紛い物! 故に、破壊する! 争いを齎すだけの邪教など、神の裁きにて全て末梢してくれる!!」
 もっとも、そんなエドの問い掛けも、災魔として蘇りし宗麟には届かない。元から狂信的な性格だったのか、それとも蘇った際に何らかの切っ掛けで妄執に目覚めたのか。今となっては、それでさえも些細なことだ。
「神の裁きですか。随分と身勝手な神様もいたものですね」
「ふん。そのような法螺を吹いておるうつけ者が最後の相手とは、ちと締まりが悪いが……」
 もはや、言葉を交わす必要もなし。御剣・神夜(桜花繚乱・f02570)と傀童・沙華(鬼哭童子・f12553)が、静謐なる怒りを内に宿しつつ前に出る。
「貴方の言っている事は、少しも神の教えに則しているとは思えません。むしろ神を冒涜しています」
「つまり、お前さんは嘘つきということじゃな……。嘘つきは嫌いじゃ。悪いが容赦はせんぞ」
 そう、二人が告げた言葉が、最終にして最後となる戦いの合図。拳に殺気を、刃に怒りを、それぞれに込めて間合いを詰めんと歩み出す二人だったが、それよりも早く、敵のフランキ砲が火を噴いた。
「フハハハッ! 不埒なる邪教徒どもよ! ゲヘナの火に焼かれて消えさるが良い!!」
 瞬間、着弾した地点に広がる凄まじい炎。巨砲故に命中率こそ低いが、これはなかなか厄介だ。このまま炎が広がれば、辺りは瞬く間に火炎地獄と化してしまう。
「ふむ……耐熱ポーションを飲んでおいて正解、と言いたいところだが……」
 燃え盛る業火に行く手を阻まれ、思案するラッセル。自分が火に巻かれて死ぬことはないにしても、周囲を燃やされれば燃やされる程、戦い難くなることに違いは無く。
 このままでは、いずれ他の者達が先に焼け死んでしまう。状況を打破すべく、まずは自分が仕掛けるべきかと歩を進めたラッセルだったが、それよりも先に、なにやら敵へ突っ込んで行く人影が。
「こらー! そこのおおとみ? なんとか! このあたしから目を放すなんて許さないわよ!」
 焔で身体を焙られることなど、なんのその。アイリーン・ミュレット(カリスマ美少女怪盗アイリーン・f10071)が、主に個人的な怒りを胸に、真正面から宗麟へ突っ込んだのだ。
「えぇい、小癪な小娘が! それほどまでに死にたいのであれば、まずは貴様から葬ってくれる!」
 再び火を吹くフランキ砲。巨砲の砲弾が大地を揺るがし、その轟音は天を貫いて空気を震わせ、山々の間を駆け抜けた。

●燃える牙城
 鎮西の切支丹大名、大友宗麟。オブリビオンとして蘇りし彼の力は、既に常人の域を超えていた。
 巨砲を片手で振り回す怪力も然ることながら、真に恐ろしいのは人の身を超越した身体能力。見上げる程の巨体を誇りながら、時に軽々と跳躍しつつ、空中からさえもフランキ砲を放って来る様は、何も知らぬ者が見たら、神の加護を授かった存在に思えたかもしれない。
 だが、それでも、こんな場所で負けるわけにはいかないのだ。目の前にいる男は、神託を受けた存在などでは、決してない。太平の世を乱し、戦国の世を再興せんと企む、邪悪な過去からの帰還者に他ならないのだから。
「愚かなる邪教徒どもよ……我の狙いから、逃れられると思うでないぞ!」
 大地を抉り、世界を焼き尽くさんばかりの勢いで放たれる巨大な砲弾。弾道こそ直線的で避け易いが、戦いが長引けば長引くほど、猟兵達にとってはそれだけ不利となる。
(「あの威力……受け太刀をするわけにはいきませんね……」)
 足を取られぬよう注意しつつ、神夜は油断なく宗麟の持つフランキ砲へと意識を集中させていた。
 向かって来る砲弾を斬り捨てる。卓越した技量を以てすれば、必ずしも不可能な芸当ではない。刀身に銃弾を当てる形で叩き伏せれば、刃を盾にし弾くことも可能だろう。
 しかし、それに比べて敵の放つ砲弾は、火縄銃などとは比べ物にならない程の威力を誇っていた。あんなもの、まともに受け止めようとしたら最後、こちらの野太刀が折られてしまう。
「……どうした? 自慢の巨砲とは、そんなものか? わらわはまだ、倒れてはおらぬぞ?」
 ゆらり、ゆらりと揺れながら近づく沙華だったが、そんな彼女もまた消耗は激しい。彼女が近づけば近づくだけ、宗麟は後ろに下がって距離を取り、お返しとばかりに沙華の身体へ砲弾を叩き込んで来るのだから。
「これは聖戦。故に、神の信徒たる我が負けることはなし。邪教の鬼よ……まずは貴様から、我が神の裁きを受けるがよい!」
 揺らがぬ自信を胸に、宗麟が沙華へと砲を向ける。だが、その砲が再び火を吹くよりも早く、声高に叫んだのはエドだった。
「違う! 聖戦など幻想だ。あるのは人の争いのみ! そして今、その戦いに幕を下ろす!」
 どのような理由であれ、戦を仕掛けることが救済になろうはずもない。ましてや、選ばれし者がだけが生き残るなど、そんなものは傲慢に過ぎない。本当に人々を救うことができるのは、心に剣を持ちて誰かの盾となる覚悟を決めた英雄達に他ならないと。
「幕は切って落とされた! 戦いの狼煙を挙げろ!」
 その言葉に続けて現れしは、無数の騎士と大盾の歩兵。彼らに名前は存在しない。それでも、彼の者らに名誉あれと、エドは歌う。
「刃が煌めき、盾は破れぬ。英雄の他に値する名、他になし!」
 本当に鋭いのは、心に抱いた見えない刃。真に強固なものは、結束を固めた人の壁。さすがに、この数を前にしては、宗麟も思うように沙華を狙えない。
「えぇい、小癪な小童どもめ! ならば、その肉壁諸共に、貴様達の希望を打ち砕いてくれる!」
 苛立ちを隠しきれず、宗麟は迫り来る兵士達の群れに向けて、フランキ砲による重たい一撃を発射した。命中すれば、一発で地形をも変えてしまう程の凄まじい威力。さすがに、これには騎士や大盾を構えた兵士達も堪らず、次々に薙ぎ倒されて行き。
「……っ! こちらを狙って来ただと!?」
 その先に立っていたのは、他でもないラッセル。聖杖による回復支援に回っていた彼を狙った砲弾は、炎弾ではなく純粋な質量弾。いかに薬物で耐性を得ているとはいえ、物理的なダメージまでは防げない。
 あれの直撃を食らえば、骨の一本や二本は砕けてもおかしくはない。ならば、せめて被害は自分だけで済ませようと、相棒の精霊、ポイゼを下がらせるラッセルであったが。
「やらせないって言ってるでしょ! ってか、さっきから、あたしのこと無視すんじゃないわよ、この似非坊主!!」
 あろうことか、砲弾は強引に割り込んで来た、アイリーンの身体の方を直撃した。
 立ち込める砂煙。あれだけ強烈な一撃を食らったのだ。もはや、アイリーンの命運もここまでかと思われたが……しかし、煙が晴れた先に見えたのは、宗麟にとってはにわかには信じがたい光景だった。
「なっ……! き、貴様、あの直撃を耐えただと!? それに、その姿は……」
「残念ね。あたし、体の頑丈さには自信があるの。それにカリスマたるもの、守るべき者の前で倒れてはならない!」
 そう言って立ち上がるアイリーンの姿は、蝙蝠の翼を生やし、赤い瞳を輝かせるヴァンパイア。己の内に眠る血統を覚醒させし今、彼女に恐れるものなど何もない。
「なんと面妖な……貴様、ただの女子ではなく、魔性の類……百鬼夜行の物の怪であったか!!」
 アイリーンの姿を見て、宗麟が叫ぶ。切支丹である彼にとっては、今のアイリーンの姿は聖書に記された悪魔の如き存在に見えていたのかもしれない。
 もっとも、それならそれで、好都合だ。そちらが悪魔と断ずるならば、悪魔らしく最後まで邪魔をしてやろう。そんなことを思いつつ、一気に距離を詰めんとアイリーンが駆け出そうとした時だった。
「なっ……!?」
「あれは……城が燃えているのか?」
 気が付くと、宗麟の根城にしていた荒れ果てた城から、黒い煙が立ち昇っていた。そればかりか、既に中は完全に火の手が広がっているようで、このまま焼け落ちるのも時間の問題となっていた。
「ば、馬鹿な……我の城が……神の国に築かれし、神聖なる城が……」
 炎に包まれた城を見て、さしもの宗麟も思わず膝をつき崩れ落ちた。寺を崩し、城を崩し、果ては国まで崩さんとした己の所業。その全てが己自身に返ってきたとしか言えぬ光景に、宗麟だけでなく猟兵達も、しばし何も言えぬまま立ち尽くしていた。
 
●真なる裁きを
 城が燃える。それは、忌むべき過去に終止符を打つべく放たれた裁きの炎。かつて、邪悪なる者達が蔓延った都市を一夜にして焼き払ったとされる、神の焔にも等しき紅蓮の業火。
 なんという皮肉なことだろう。聖書に記された冒涜の町。ソドムとゴモラを焼いた焔が、今度は宗麟の居城を焼いているかのようだ。
「城を焼くのは何年ぶりであろうな。年甲斐もなく心が滾ってしまったよ」
 気が付くと、いつの間に現れたのだろうか。先程から姿を見せていなかった、松永・久秀(エンパイアの梟雄ギリワン・f14623)がそこにいた。
「おのれぇ……我が城を焼いたのは貴様か!!」
「ああ、そうだと言ったら、どうするつもりだ? ところで宗麟よ……貴様は、『灰』を愛でる趣味でもあるのかね?」
「な、なんだと……まさか……!?」
 その、まさかだと、久秀は軽薄な笑みを浮かべつつ宗麟に告げた。
 城の中に置かれていた切支丹の物品は全て焼き払い、今は無残な灰になっていることだろう。ついでに、ドサクサに紛れて虜囚も逃げ出した今、そちらを守るものは何もないと。
「許さぬ……許さぬぞ、貴様達! 我らが神へ対する、なんたる暴挙! その罪、万死に値すると知れ!!」
 怒り狂った宗麟の砲が、再び猟兵達に向けられる。しかし、その砲弾が彼らを傷つけることは、決してない。
「お喋りの時間は終わりよ! あたしの武勇伝の1ページに刻まれることを、光栄に思うことね! ……っていうか、せっかくだから、あたしを崇めるアイリーン教とか作りなさい!」
 呆気に取られている間に距離を詰めたアイリーンが、宗麟へと肉薄し、接近戦を仕掛けたのだ。応酬する宗麟だが、片手に砲を持ったままでは分が悪い。巨砲を鈍器代わりに振り回すも、俊敏さに特化したアイリーンの影を捉えることはできず。
「単純に大きければ強い。鉄砲では、そういうわけにはいきません」
 ここぞとばかりに、神夜もまた野太刀を構えて距離を詰める。そのまま正面から振り下ろした斬撃は宗麟の持つ巨砲にて受け止められたが、しかし続く蹴撃までは止められず。
「……ぐふっ!!」
「狙いは読みやすいし、簡単に避けられます。勉強になりましたね」
 脇腹に爪先を直撃させたところで、神夜は確かな手応えを感じた。今の一撃で、少なくとも肋骨の数本は折れたはず。
「……どうやら、我も覚悟を決めねばならぬようだな」
 口から赤い血を吐きつつも、宗麟は猟兵達を睨みつける。ここまで押されているにも関わらず、その瞳からは未だ闘志が消えず。
「ならば……もはや言葉も、このフランキ砲さえも要らぬ。今、我はここに、神罰を代講する修羅となる!!」
 そう言うが早いか、宗麟はフランキ砲を投げ捨てると、再び猟兵達に向かって来た。
「……ッ!?」
「は、早い……」
 速度を増した宗麟の動きに、翻弄される神夜とアイリーン。もはや、敵は素手しか武器は残っていないというのに、この鬼気迫る威圧感はさすがと言うべきか。
「フハハハッ! 裁きを受けよ、魔性の者よ!!」
 繰り出された宗麟の拳が、真正面からアイリーンを捉えた。だが、その一撃が貫いたのは、果たして吸血鬼の姿と化したアイリーンではなく。
「肉体言語か……面白い。やはり、戦いはこうでなくてはのぅ」
 岩をも砕く宗麟の拳を、割り込んだ沙華が片手で受け止めていた。そのまま、流れるようにして拳と拳の応酬に突入すれば、神夜とアイリーンも再びそれに続く。
 数だけ見れば、戦力差は3対1。それでも宗麟は、接近戦を得意とする猟兵相手に、ほとんど互角に立ち回る。腐っても、戦乱の世を生き抜いて来た戦国大名ということか。しかし……目の前の敵だけに意識を集中させてしまうことは、戦においては悪手である。
「……ぬぅっ! こ、これは……!?」
 背中に走る鈍い痛みに、宗麟が気付いた時には遅かった。
「悪いが、私とポイゼを忘れてもらっては困る。そして……これは、先程の返礼だ」
 遠慮なく受け取れ。そう告げると同時に、ラッセルの放った極大の魔法が宗麟を吹き飛ばす。乱戦に気を取られ、猛毒の精霊が接近するのに気付かなかった宗麟は、いつしかその背を毒の針で突かれていたのだ。
「ぬぉぉぉぉ……ば、馬鹿なぁぁぁぁ……」
 凄まじい魔力の奔流が迸り、宗麟の身体を光の中へと消して行く。それでも、なお踏み止まろうとする宗麟だったが、そこは久秀がさせはしない。
「俗物が...…消えたまえ」
 駄目押しとばかりに大量の火薬を炸裂させ、今度こそ宗麟を吹き飛ばした。もはや、抗う力もなく、古雑巾のようにして大地を転がる宗麟の下へ、殺到するのはエドの呼び出した騎士達だ。
「お前を裁くのは神ではない。人の世に生まれ愛する者を守る。そんなありふれた、尋常の命の、英雄達だ」
「お、おのれぇぇぇ……こんな……こんなはずでは……」
 圧倒的な数の暴力。フランキ砲を手放した今、宗麟には迫り来る怒涛を押し除けるための術もなく。
「打ち倒すべき敵に我が身を晒し、心に宿すは不退転。それが喧嘩の華である……」
 騎士達に囲まれている宗麟の下へ、沙華が静かに近づいて行く。同じく神夜も野太刀を構え、今度こそ全てを終わらせるべく距離を詰め。
「天蓋抂乱っ!」
「天武古砕流奥義、流走!!」
 極限まで身体能力を増大させた沙華の拳が、大地を抉らんばかりの神夜の斬撃が、それぞれに宗麟へと引導を渡した。
「がはっ……! こ、これで勝ったと思うな、邪教徒どもよ……。神の加護を受けた我は不滅……不滅の存在なり……」
 再び骸の海へと戻されつつある宗麟が、不敵な笑みを浮かべて言った。だが、そんな彼に言葉を返す者は、猟兵達の中には唯のひとりもいなかった。

●戻りし日常
 猟兵達の活躍によって、街道には再び人々の行き交う姿が戻ってきた。
「まあ、あたしにかかれば、こんなもんよね!」
 焼け跡となった城の屋根から下界を見下ろして、アイリーンはドヤ顔で呟いている。最初に盛大なるポカをかまして、敵に捕まっていたような気もするが、それはそれ。
 見れば、他の者達も戦場を後にし、それぞれの日常へと戻ったようだ。
 骸の海よりオブリビオンが現れる限り、太平の世に戦乱を持ち込もうとする輩もまた、再び現れることだろう。
 だが、それでも、このサムライエンパイアにおいて、人々の平穏を脅かす者達が許されることは決してない。なぜなら、戦国の世より舞い戻りし大名さえも屈服させる、心強い猟兵達がいるのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年03月02日
宿敵 『大友宗麟』 を撃破!


挿絵イラスト