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バレンタインを完食せよ

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夢ヶ枝・るこる




 2023年2月15日。UDCアースのとある街。
「あぁ、やはり、こういうのがやっていましたねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)がチョコレートを手に取っていた。ハート型の包みにリボンのついた、いかにもバレンタイン用と言ったものだ。
「そう言えば、ここの予知をしたのはアカリでしたね。ぺしぇも一度やってたでしょうか。私で良かったんですか?」
「えぇ、もちろんですぅ」
 やはりチョコを手にそう言うのは、魔法少女ミルケンピーチのボディの一人、花園・桃姫である。
 ここはイベント事を通り一遍程度ではなく、街を上げてしゃぶりつくす勢いで楽しむやたらとノリがいい街。ミルケンが予知した事件の解決のため何度かこの街を訪れていたるこるはそれをよく知っており、バレンタイン過ぎにもここなら何かやっているだろうと思い桃姫を誘ってこの街を訪れたのだ。
 チョコを買い、近くの貸店舗の『テナント募集中』の看板をなぜかしっかりと確認しつつ次の店へ向かう二人。
「先日回収させていただきました装置は現在研究職の使徒の方に渡し、基本となる機構の解析を行っている所でして」
「あ、あぁ……あれですか……」
 道すがらの会話、微妙な表情で答える桃姫。
「えぇ。それに関連してなのですが、『反動』等の経験について桃姫さんの見解をお伺いしたく思います」
「は、反動!?」
 桃姫が今度は大声をあげて目を見開く。その脳裏に浮かぶのは、少し前に異世界で起こった事件で受けた『反動』のこと。
「け、経験と言いましても……私は別にるこるさん達ほど慣れてませんしその……」
 目を逸らしながら言う桃姫。何しろそれは、大食いを始めとする能力の強化と引き換えにした肉体の肥大化なのだ。
「まあオブリビオンにやられるよりは安心ですし、いいこともあるから一概に悪いとも言えませんが、戻った後も膨れたままな気がするのが何とも……」
 桃姫は自身の経験込みでぼそぼそと言う。確かにその揺れる胸は確かにまた以前より少しばかり大きくなっている気がしないでもない。
「なるほど。ご意見ありがとうございますぅ」
 太るのは嫌だが誘惑や快感と天秤にかけると結局屈し、限界まで上げつつ許容する。そんなある意味での桃姫の『素質』を確認しつつ、るこるは彼女のその肉に上乗せされるであろうチョコレートをまた一つ手に取るのであった。

 そうして二人は雑談しつつチョコ買い回りと食べ歩きを続け、商店街中心の広場に通りかかる。そこでは幾人もの人が集まり、何かの催し物が行われていた。
「あぁ、これもまたやってましたねぇ」
 これにもまたるこるは見覚えがあった。二年前のクリスマスで行われていた大食い大会。余ったチョコレートを一気に消費するため、それと似たようなものがまた行われていたのだ。どうやら今回はチョコレートケーキの大食いらしい。
 看板の自由参加という文字を確認し、るこるは桃姫を伴い受付に向かう。だが二人が近づいた瞬間、どよめきがその場に起こった。
「こ、この圧は……」
「あのサイズ、見間違えるものか! いやさらに大きくすらなっている!」
 何かを言う前に慌てふためき準備を始めるスタッフたち。そのままあれよあれよという間に二人は舞台に上げられ参加者席につかされた。
「な、何なのでしょうか……」
「さぁ……」
 突然のことに流石のるこるも困惑気味。その二人の前に、超巨大なチョコレートケーキが運ばれて来た。
「本来はここから切り出して提供しているのですが、ランカーの方にはこの状態で挑戦していただきます」
 ウェディングケーキと見紛うばかりのそれだが、切る部分だけでなくどうやら全部本物らしい。しかも段ごとにチョコショート、ガトーショコラ、フォンダンショコラなど種類が分けられ、飾りつけはバレンタイン用チョコがそのまま乗せてある。
 どうやら以前のイベントで二人が凄まじい量を食べきったのが覚えられていたらしく、チャンピオン用のスペシャルコースを出されたようだ。
「こ、これって……」
「まぁ、これは素敵ですねぇ」
 ドン引きする桃姫の横で、るこるはいたって穏やかな表情。
「それでは……いただきますぅ」
 手を合わせ、ケーキを食べ始めるるこる。その勢いはすさまじく、だるま落としの如くケーキの段が消えていく。これこそがるこるのユーベルコード【豊饒佳饌】、先の話にも出た『大食い能力の強化』である。
 その姿を見て、桃姫も最初は少しずつ、そしてすぐにかなりの勢いでケーキを食べ始めた。
「だ、だって、るこるさんだけに任せたら悪いじゃないですか!」
 誰も何も言っていないのに言い訳する桃姫。ちなみに彼女はユーベルコードは使っていない故さすがにるこるよりは勢いは緩いが、それでも相当な量とスピードだ。
 そうしてそのまま、まるで普通のデザートタイムだったかのように超巨大ケーキは消えていった。
「ごちそうさまでした。今回もおいしかったですぅ」
 周囲から湧き上がる歓声を受け、にこやかにそう言って席を立つるこる。その横で、桃姫はまたうなだれて卓上の自分の胸に顔を埋めているのであった。

 大食い大会の賞品として受け取ったのは、同じ町内にあるスーパー銭湯利用券。二人は早速そこに向かい、体を温めていた。
「るこるさん、やっぱりすごいですね……あんなに食べたのに」
 桃姫が見るのはるこるの腹。そこはついさっき食べたケーキの影響で丸々と膨らんでいた。
「いえ、それほどでもぉ。桃姫さんも、しっかり収まったようで何よりですぅ」
 るこるもまたやはり膨れた桃姫の腹を見て言う。
 一見すれば二人ともまるで妊婦のような腹。だが、その腹も上に浮かぶ肉玉に比べればまだ小さいとすら言えた。何しろ妊婦というのは臨月でも精々100cm。二人の胸部からすればそれは『小さい』といって差し支えない数字なのだ。
「でも着れる服とかあまりないですし、恥ずかしいけど丸出しが一番楽って言う……」
「分かります。半年持てばいい方ですよねぇ」
 互いの肉体を見ながら超サイズのあるある話をする二人。
 顔は離れているが乳は触れ合うその距離で、豊かすぎる裸の付き合いは続くのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年03月28日


挿絵イラスト