4
全ては鍋の為に!!

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0





 アックス&ウィザーズ世界の片隅に存在する村、カラーム村。
 農業と狩猟によって生計が成り立っているこの村は、いつもより少し賑やかになっていた。
「よーし!! 皆ちゃんと持ったか? 一気に運ぶからなー……せーの!!」
 屈強な男たちが数十人集まり、金属で出来た何やら巨大な物体を持ち上げる。それはよく見れば巨大な鍋であった。
「うむ、うむ……今年の宴も上手いこと行きそうじゃの。鍋の準備も出来たし、焚き木の準備もバッチリじゃ」
 腕を組み満足げな顔で作業の様子を眺めているのは、このカラーム村の老いた村長、ガンドルフ。別に名前を覚える必要は無い。
 ガンドルフが言う宴は、『キッピスの宴』と呼ばれるものである。寒い夜に巨大な薪を燃やし続け、びっくりする程巨大な鍋を作り上げ、村人や旅人たちが集い食して温まる、伝統的な行事だ。
「野菜の準備も出来取るし、後は狩人達が新鮮な肉と魚、あとキノコを取ってくるだけじゃ。むふふ、今年もきっとものすごい美味な鍋が……ジュルリ……」
「村長! 村長ーー!! 大変でーーす!!」
「んあ?」
 早くも涎を垂らしつつある村長の元に、1人の若い狩人、ジョーイ(やはり名前を覚える必要は無い)が駆けてきた。何やら深刻な様子だ。
「どうしたんじゃジョーイ。そんな血相を変えて……」
「ゼエ……ゼエ……そ、それが……この村の狩場となってる森に、大量のゴブリンとなんか変なピンクな奴が現れたんです!!」
「な、なんじゃと!? なんか変なピンクな奴じゃと!? そ、それで……狩猟は一体どうなって……」
 一気に顔が青ざめた村長に、ジョーイは静かに首を振る。
「収穫ゼロです。狩りを行おうとした途端ゴブリンどもが現れて……まあピンクの奴は見てるだけだったんですが……どうにか狩人は全員無事だったんですが……とにかくあんな危険な状況じゃ狩りは出来ません!!」
「あ、ああ……あぁ……」
 ジョーイの報告を聞き終え、ガンドルフ村長は絶望に満ちた表情で崩れ落ちた。
「そ、村長!! しっかりして下さい!! 村の備蓄を使えば、何とか宴は……」
「無理じゃ……確かにそうすれば宴自体は行えるかもしれん。だがそれでは次の日からの生活はどうする。森には依然ゴブリンとピンクが鎮座しておるし……それに何より、何をどうしたって例年の鍋より貧相な物にしなければならん……ワシの、ワシの鍋がぁ……」
 地面に頭を伏せておいおいと泣き出すガンドルフ村長(御年99歳)。だが、いい歳こいた爺さんの惨めな姿を見て逆に冷静になったジョーイ(御年19)が、ガンドルフの肩にポンと手をやった。
「諦めないでください、村長。まだ望みはあります」
「な、なんじゃと……? まさかお主、1人で森に行こうなどと……」
 ジョーイは静かに首を振る。
「まさか、違いますよ。冒険者です。今から超特急で冒険者にゴブとピンクの駆除と、ついでに狩猟の手伝いを依頼すればいいんです」
「じゃ、じゃが……間に合うじゃろうか。今から依頼した所で……」
「それは……分かりません。ですが今は、その希望を頼りに前へ進むしかありません……ほら、村長。立ってください」
 ジョーイが手を差し出すと、ガンドルフは泣き腫らした顔を上げ、しっかりと手を取った。
「そう……じゃな。お主の言う通りじゃ、ジョーイ。どんな時だって人は、絶望してはならん。ほんの少しでも希望を持ち、未来へ進まなくてはならんのじゃ……」
「…………はい!!」
 突如訪れた鍋の危機。しかしこの危機を通じて、若き狩人と老いた老人の間に、奇妙な絆が結ばれた――。


「クソ、クソ……!! こんな事が許されていいってのか!! この世には神も仏もいねぇのか!? アタシが言うのも何だけど!! あんの腐れゴブゴブとピンクの謎生命体がよぉ……!! アタシが予知してなけりゃあ持てる限りの銃で風穴だらけにしてやる所だぜ……!!」
 めっちゃキレてるグリモア猟兵、人間のクレリック、フィリス。彼女もまたキッピスの宴を楽しみにしていた者の1人であり、恐らく現時刻においては最もゴブリンとピンクの怪物を憎む猟兵の1人であった。
「大体の状況は理解したか、お前ら!! カラーム村の狩場である森に、腐れゴブリンとピンクの怪物……『ポゥリン』って名前のモンスターが現れた!! 奴らがいるおかげで村の狩人達は肉も魚もキノコも採れやしねぇ!! これじゃあ鍋がオジャンだ!! だから奴ら全員駆逐してくるんだよ!! 分かったか!!」
 腐れゴブリンことゴブリンは、森の広い範囲を徘徊している。森の中をくまなく探索し、一匹残らず仕留めなければならない。
「そんで森の中心部にはデカい洞窟がある!! 森の中のゴブリンどもを殲滅したらその洞窟へ向かえ! その中にポゥリンは待ち構えてる……つーかボーっと突っ立てる筈だ! ……立ってる? 座ってる? まぁどっちでもいい! 殺れ!!」
 実際の所ポゥリンは自身から敵対行動を取るモンスターではない。だが戦えばまあまあそれなりの力を持ってるし、何よりオブリビオンなので倒さない理由は無い。
「首尾よく連中をこの世から抹消したら、村の連中に伝えて宴の準備を手伝え!! デカい獣を狩るでも小さい鳥を仕留めるでも調理を手伝うでも……何でもいい!! 鍋が上手くなる様にどうにか頑張れ!! 森から危険が無くなった段階ならアタシも狩りに行けるし!!」
 終始妙なテンションが続いているフィリスは、そのテンションを抑えようともせずもの凄い勢いで両手を叩き合わせた。
「はい説明終わり!! もう一度確認するぞ、クソゴブ倒してピンクを殴り鍋を手伝って鍋を食う!! 以上が今回の作戦の流れだ!! ……あっ! こんな宴が開かれる位だから現地はめちゃクソ寒いからな!! 風邪引くなよ! さあ行け!!」


Ric
 どうも、Ricと申します。オープニングに出てきた登場人物は全員妙なテンションでしたが、別にそれに合わせる必要は無いです。別に合わせても良いです。
 もしくは鍋の為、仕事人の如く冷徹にゴブリンとポゥリンを仕留めても構いません。でもよく考えたらそれはそれで怖いです。
 ちょっと補足します。

●森
 雪が降り積もったそこそこ広い森。とても寒い。
 ゴブリンが結構沢山徘徊しているが、隠れるつもりもなく目立つ色をしているので、発見は容易。
 結構沢山の魚が生息する凍り付いたそこそこ大きな池や、ポゥリンが潜んでいる以外の小さな洞窟などがある。脂ののった獣や、食べられるキノコも多数分布している。
3




第1章 集団戦 『ゴブリン』

POW   :    ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クマオ・クマ
くまおもお鍋食べたいくま!
ゴブリン退治の為にまずはお鍋の材料を取りに行くくま。腹が減っては戦はできぬくま。
凍った池に穴を開けてお魚を手掴みで捕まえるくま。鮭を捕まえるプロのくまおには池の魚なんてちょちょいのちょいくま!
材料分の魚を捕まえたら何匹か自分用に捕まえて食べちゃうくま!魚食べて元気百倍になったらゴブリンをばったばった倒すくま!


狗飼・マリア
鍋と聞いて黙っていられず、わたくしはゴブリンをまとめて引き寄せて、駆逐することを考えました。掃除と同じですね。
メイド服だからやや肌寒いですわね

まず他の冒険者の方々にわたくしの作戦を矢文で伝えます。

「一人一人丁寧に伝えましょう。メルアドとかわかりませんし」

内容はそのままズバリ、人狼咆哮するので囮になります。
とシンプルに。



「ゴブリンの皆さま方。こちらをご覧ください」

ゴブリンたちに見えるようにロングスカートを太ももギリギリまでたくしあげて、森の奥に走っていきます。

奇襲などを考慮し、木々が少ない原っぱまできたらノコノコやって来た方々を人狼咆哮でナマスにします。

「ようこそ、こちらは地獄直通便ですわ。」


キアン・ウロパラクト
鍋ってなら肉もあるだろうし、こりゃ宴のためにも張り切らなきゃいけないね。
隠れるつもりが無いってなら好都合、でかい料理用ナイフを振り回してゴブリン共をなぎ倒してくよ。さてゴブリンは肉だろうしいい具合に焼けるだろうが、味は良いのかねぇ?どうにも固かったり筋っぽいような気がするよ。もしくは調理法次第じゃいけるとか?
敵の群れを片付けながらそんな事を考えてるよ。


夜乃・瞳
な、なんと…… 鍋の邪魔をするとは万死に値するのです

私が波動砲で焼き払ってやるのですよ

わたしはとりあえず天使の棺を使って機動兵器(戦闘機に無理やり装甲とキャタピラを取り付けたような形状)を身に纏いガンガン追い立てていくのです 

「力場構築、エネルギー充填完了。ベクトル固定、エネルギー開放!拡散波動砲発射なのです!」
広範囲を攻撃できる拡散波動砲をガンガン打ち込んで隠れているゴブリンもあぶりだしてやるのです


クルル・ハンドゥーレ
冬の逸品、厳寒にきらめく輝ける星たる鍋の邪魔をする、やて?
よし消そう、跡形もなく(笑顔
鍋と宴は私らが護る!

防寒具は森林に溶け込む色彩のものを

気づかれぬようなるべく風下から接近
可能なら奇襲

幻月夜行で攻撃
炎の数・強さの調整をして近接するまでできるだけ効率的に沢山倒したい
強火中火弱火、火加減自由自在や!

近接後は囲まれぬよう大木や大岩を背にする
なぎ払いで吹き飛ばし敵攻撃に見切りで対応しやすいよう距離を取る

他の猟兵と協力
こちらに余裕があれば幻月夜行で気を引くなど周りの手助けも


秋山・軍犬
既に鍋を受け入れる準備万端の
胃袋に!村人に!鍋中止のお知らせっすと!?
それは悪党でも外道ですらなく
超鬼畜の所業!
思わず、うどん食っちまだじゃねぇっすか!
鍋と聞いて鍋焼きうどんにしようかと思ったのにっ!
流石に村人の視線が痛くてできねぇっすわっ!
肉うどんにもできんかったっすわ!

七味をたっぷり利かせた熱々のうどん(自作)を
ずるずるっと啜りながら(フードスペシャリテ・フルコースモード発動)
怒りに燃える秋山軍犬。

(うどん二杯目)
食を邪魔するもの死すべし慈悲はない
正直美味そうなあいてではねぇっすけど
ガチキマイラも使ってやる
ガチっすガチ
この熱い怒りと鍋のため
問答無用のPOWで速攻殴り倒す!(うどん三杯目)


ルエリラ・ルエラ
むぅ…
鍋の邪魔をするとはおのれなんか変なピンクの奴とゴブリン。
鍋の邪魔をする人…じゃなくてモンスターは許されない。
とりあえず仲間と協力して私は狙撃中心で頑張ろう。
遠距離から【迷彩】で身を隠しながら、ちくちくと【スナイパー】【援護射撃】の技能を使って【スナイプショット】で攻撃するよ。
味方の支援は任せて。


エステル・リンティネン
鍋料理、この寒い時期には良いですよね。敵の退治とか食材の確保とかやる事が多い気がしますけど、早く終わらせて鍋を楽しみましょう。
ゴブリン達の退治ですけど、広範囲で攻撃して森を焼く訳にはいきませんし、狙いを定めてからウィザードミサイルで遠距離から攻撃しちゃいましょう。
食材も無いとの事ですし、森でゴブリン達を探すついでに動物とかが寄りそうな箇所も探しておいて、ある程度の当たりをつけてから、洞窟に向かいましょう。敵を退治したらすぐに狩猟が出来るようにしておきたいですし。




 ガリガリガリ。ガリガリガリガリガリガリガリガリ。
 カラーム村の狩場である森。その片隅にある凍りついた大きな池に、何やら氷をガリガリ削っている何者かがいた。
「くまおもお鍋食べたいくま! その為にはゴブリンを退治する必要があって……その為にはお魚が必要くま。腹が減っては戦ができぬくま!!」
 それはケットシーのフードファイター、クマオ・クマだった。クマオはフードファイター用のナイフの柄で器用に氷に穴を開けると、池の中をグイッと覗き込む。そこには確かに美味そうな魚たちがうようよ泳いでいた。
 それはそれとしてガリガリ音に気づいたゴブリン達が何事かとじわじわ集まりかけていたが、大した問題では無いだろう。
「…………此処っ!! くま!!」
 狙いを定め、クマオは勢いよく池の中に手を突っ込んだ。鮭を捕まえるプロ(らしい)クマオは、確かに手慣れた様子でヒョイヒョイと魚たちを掴み上げ、次々と陸地に放り投げていく。
「ギャギャ!! ギャギャギャ!! テキダ!! テキ……」
「うるさいくま!! 後で相手してやるからちょっと黙ってるくま!!」
「…………」
 そんなこんなでクマオは、鍋の材料用の魚を確保した。圧倒的に気が早いと言わざるを得ないが、 それだけが目的ではない。クマオは捕まえた小さめな魚の中の一匹を掴み上げると、ヒョイと口に放り込んだ。
「……ギャギャ! ギャギャギャ!! モウイイ! コイツヲコロ……」
「オラァァァアアアッ!! くま!!」
「セブレグボガァッ……!!」
 しびれを切らしたゴブリンの共の顔面に、クマオの鉄拳が突き刺さる。食事によって活性化されたクマオのパワーはまさに熊の如し。そのままクマオは勢いのまま、ゴブリン共をボッコボコのギッタンギッタンのけちょんけちょんにしていくのだった。

「肌寒いですわね……しかし鍋と聞いては黙っていられません。ゴブリン共をまとめて掃除してやりましょう」
 森の端っこらへんに足を踏み入れたメイド服の人狼、マリア。彼女はここに来る前、『一人一人丁寧に伝えましょう。メルアドとかわかりませんし』とか何とか言いながら、仲間たちに矢文を放っていた。
 文面はごくシンプル。『人狼咆哮するので囮になります』という一言のみ。多分きっと恐らく全員に届いたと思うが、今頃きっと森のあちこちで好き勝手やっている頃だろう。魚を取ってるケットシーとかも居たし。だが伝える事に意義がある。筈だ。
「さて、さっそく居ましたわね……」
 ブラブラと森を歩いていたマリアの前方に、数体のゴブリンの群れが確認出来た。ゴブリン側もマリアの存在を察知した様だが、すぐに攻撃を仕掛けてはこず、互いに様子を見守る状態となっていた。
「ゴブリンの皆様方。こちらをご覧ください」
 そんな中マリアは、またしても何を思ったか自らのロングスカートを太ももギリギリまでたくし上げ、結構ガチな勢いで走り出した!!
「……!? ?????!?」
 凄い勢いで真横を通り抜けられ、困惑するゴブリン達。だが何故だろう。その足は自然とマリア……というかチラリと見えたマリアの太ももに引き寄せられ、ゴブリン達も走り出す!! ゴブリン達が話の分かる連中で本当に良かった!!
 そんなゴブリン共との邂逅を幾度も成し、気づけばマリアの背後には結構沢山のゴブリン(男)の1団が出来上がっていた。チラリと後ろを見やりそれを確認したマリアは、急に足を止め振り返った。
 そして瞬く間に形成されるマリア包囲網。しかしマリアは余裕の笑みを浮かべると、大きく息を吸い込んだ。
「ようこそ、こちらは地獄直通便ですわ」
 カラーム村まで届く勢いの咆哮が、ゴブリン共を纏めて消し飛ばす――!!
 
「おぉ……結構派手にやってるなぁ……援護する必要は無かったみたいだね」
 大量のゴブリンと、それに追われるメイド。数百メートル先からそんな構図を確認したルエリラは、援護射撃を行うべく弓を構えたが、全てが吹き飛んだ事によりそんな心配は消え失せた。
「むぅ……それにしても鍋の邪魔をするとは……おのれなんか変なピンクのやつとゴブリン……鍋の邪魔をする人……じゃなくてモンスターは許されない」
 決意を新たに、ルエリラは再び弓を構える。ルエリラが潜む草陰からそう遠くない地点にもゴブリン達は存在したが、迷彩を合わせた隠密術により、未だ見つかってはいなかった。
「…………」
 静かに、そして大きく息を吸い込む事で神経を研ぎ澄ませ、魔力によって形成した矢を弓に番えた。辺りを見渡し目を凝らすと、仲間たちがj戦う姿が見えた。燃やし吹き飛ばしぶん殴って斬って頭突きをかまして叫ぶ――多くの仲間達の姿が。
 どこを見渡しても慌ただしい状況だが、ルエリラの心は落ち着いていた。
「…………もらったよ」
 一発、二発、三発と。数百メートル先から放たれた細長い魔法の矢が、仲間の死角に回るゴブリン達の脳天を貫いていく。極めて静かに、そして確実に。ルエリラは密かに仲間の支援を行っていくのであった。

「既に鍋を受け入れる準備万端の! 村人の胃袋に!! 鍋中止のお知らせっすと!? それは悪党でも外道ですらなく鬼畜の所業!! 思わずうどん食ったまったじゃねぇっすか!」
 妙なテンション族の1人、キマイラのフードファイター、秋山・軍犬は、七味のたっぷり効いた自作の熱々うどんを片手に森をぶらついていた。
「鍋と聞いて鍋焼きうどんにしようと思ったのにっ! 流石に村人の視線が痛くてできねぇっすわっ! 肉うどんにもできんかったっすわってうわなにこれいつの間にか後ろでゴブリンが死んでる!! こわい!!」
 ふと振り向けば頭に矢が刺さったゴブリンの死体。だがまあ生きていればそんな事もあるだろうと一瞬で気を取り直した軍犬は、剣と盾を構えたゴブリンの集団にテクテクと近づいていく。
「食を邪魔するもの死すべし慈悲は無い……正直美味そうなあいてではねぇっすけどもう関係ないっすわ! ガチでいくっすよガチで!!」
 そんな事を言い放ち、ズゾゾゾゾを一気にうどんをかき込んだ軍犬。調子こいて入れすぎた七味に若干むせそうになる己の身体を抑え込み、軍犬はユーベルコード『フードスペシャリテ・フルコースモード』を発動。その戦闘能力が爆発的に増大する!!
「ギャギャギャ!! ギャギャ!! コロセ!! コロセ!!」
「ふっ……口を開けばコロスコロスと……そんな悪いことをいう口は、こうっすよ!!」
 心の中で燃えたぎる熱い怒りと鍋への思い。それらを込めて軍犬はライオンの頭部に変形した腕でアッパーカットを放つ!! 顔面をぶん殴られたゴブリンは凄まじい勢いで空の彼方へと消えていく――。
「さあ、ガンガンくるっすよ!! 速攻で殴り倒してやるっすからね!!」

「冬の逸品、厳寒にきらめく、輝ける星たる鍋の邪魔をする、やて? ……よし消そう、跡形もなく!!」
 満面の笑顔と共に言い切ったのは、エルフの戦巫女クルル・ハンドゥーレ。防寒具を着込み森林に紛れたククルは、こちらに気づいていないゴブリンの一団に今まさに攻撃を仕掛けんとしている所であった。
「鍋と宴は私らが護る!!」
 決め台詞と共にゴブリンに奇襲を仕掛けるクルル。完全に不意をつかれたゴブリン共は反応する事もままならない!
「『詠え、惑え、舞い踊れ――虚ろ月炎に呑まれかし』」
 そしてクルルは詠唱と共に、ユーベルコード『幻月夜行』を発動。ゆらりと現れたいくつものぎんいろの炎が、無防備なゴブリン共に襲いかかる――!!
「ギャギャ!! ギャギャギャギャァアア……!!」
「逃げようとしても無駄、振り払おうとしても無駄!! 強火中火弱火、火加減も自由自在や!!」
 その言葉の通り、ゴブリンを包み込む炎がその勢いを増し、次々とゴブリン共が地に倒れる。しかしどうにか生き残ったゴブリンの一体が、斧を振り上げ決死の一撃を放つ。
「私にやぶれかぶれの一撃が通用すると思ったなら、それは大きな間違いや!!」
 クルルは手にした薙刀を振るい、振り下ろされた斧を弾き飛ばす。衝撃によろめくゴブリンの喉元に鋭い突きを放つと、ゴブリンはそのまま力を失ったように崩れ落ちる。
「これで終いや……さっさとピンクの変なやつを仕留めんとなぁ……」
 クルルは殺気を滲ませたまま、次なる標的を探し森を進むのだった。

 キュラキュラ、キュラキュラキュラキュラキュラ……。
「ウギャー!! ウギャギャ、ウギャーー!! ニゲロ!! ニゲロ!!」
 ゴブリン達が、必死の叫びを上げながら走り回る。突如として現れた機動兵器……を身に纏ったミレナリィドール、夜乃・瞳から逃れる為に。
「逃げても無駄なのですよ。鍋の邪魔をするとは万死に値するのです……」
 キャタピラをフル回転させ、瞳はゴブリン共を追い詰める。更に機動兵器の上部、戦闘機の様な形をした部位に取り付けられた2つの機銃が火を噴いた。ゴブリンの集団の両脇に絶え間なく銃弾を放つ事により、逃走ルートを塞ぐ算段だ。
 横に逃げれば撃たれて死ぬ。足を止めれば轢かれて死ぬ。ほぼ詰みである。だが諦める事を知らないゴブリン共はひたすら前へ走り続けた。
「せっかく無理だと教えてあげてるのですが……仕方ないのです」
 ふぅ、と軽く息を吐いた瞳は、機動兵器に取り付けられた最強兵器、波動砲へのエネルギーのチャージを開始する。
「力場構築、エネルギー充填完了。ベクトル固定、エネルギー解放! 拡散波動砲発射なのです!!」
 凄まじい轟音と共に、巨大な砲身から波動砲が放たれる。直撃を受けたゴブリン共の身体は文字通り、一瞬にして文字通り消滅した!! 更に瞳ははエネルギーの残量が許す限り波動砲を撃ちまくり、目につくゴブリン共を片っ端から消し炭に変えていくのだった――。
「中々良い成果が得られたのです」
 
「鍋料理、この寒い時期には良いですよね。敵の退治とか食材の確保とかやる事が多い気がしますけど、早く終わらせて鍋を楽しみましょう」
 エルフのウィザード、エステル・リンティネンは、杖を構えながら森の探索を進めていた。後の事を考え、動物の住処らしき場所や食べられるキノコの群生地点等を頭に入れる事も忘れない。
「……! いましたね……もう少しで見つかってしまう所でした……」
 探索の最中、弓を持つゴブリンの集団を発見したエステル。こっそりと様子を伺いながら頭を巡らせる。
「広範囲を攻撃して森を焼く訳にはいきませんし……このまま射程距離ギリギリまで近づいて、攻撃しちゃいましょう」
 広範囲に波動砲を発射する系女子も居る中、慎重な選択をしたエステル。杖に魔力を込めながらゆっくりと接近、魔法の射程距離圏内にゴブリン共を捉えた瞬間、勢いよく杖を振り上げた!!
「燃え尽きて下さい――!」
 そして杖の先から放たれた炎の矢。それらが油断していたゴブリン共の頭上から雨の様に降り注ぎ、次々と仕留めていく。
「ギャ……ギャギャ!!」
「――!!」
 そんな中、気骨のあるゴブリンの1体が、最後の力を振り絞り矢を放つ。それは正確な動作でエステルの眼前へ迫るが、
「無駄です」
 咄嗟に風の魔力を身に纏ったエステル。迫りくる矢はエステルを包み込む旋風に弾き飛ばされ、呆気なく地に落ちた。
「ギャギャ、ギャ……」
「……さあ、次へ行きましょうか」

「ギャギャ!! ウギャギャ!! シネ!! シネ!!」
「生憎アンタラに殺される程、アタシの腕は鈍っちゃいないんでね!! 宴のためにも、アンタらには消えて貰うよ!!」
 振り下ろされた錆びた剣を叩き落とし、その胸元にデカイ料理様ナイフを突き刺す。キマイラのフードファイター、キアン・ウロパラクトは、ゴブリンの集団相手に暴れまわっている真っ最中であった。
「……それにしても、やっぱり生のままじゃあどうにも筋張って固いもんだねぇ、ゴブリンの肉ってのは。火を通せば少しはマシになればいいんだけどね……」
 そんな事を呟きながら、キアンは手にした料理用ナイフに火を灯した。激しく火花を散らす炎を見せつけるように刃を振り上げると、気圧されたゴブリン共が思わず後ずさった。
「さっきまでの威勢はどうしたんだい……? さぁ、誰からでもかかってきな!!」
「ギギ……!! ヤレ!! ヤレ!!」
 ゴブリン共が錆びた剣や斧を振り上げ、一斉にキアンに飛びかかる。しかしキアンはニヤリと笑みを浮かべると、炎の刃を一気に振りぬいた!!
「ギギ……ギャアアア……!!」
 放たれた灼熱の斬撃がゴブリン共の身体を斬りつけたかと思うと、その傷口から炎が噴き出した!! 炎は瞬く間にゴブリン共の全身を包み、そして焼き尽くしていく――。
「おっと、少し焼きすぎちまったかい? ……まあいいさ。アタシの好みは、ウェルダンなのさ」

 そんなこんなでゴブリン共をボコボコにした猟兵達。彼らの足は自然と森の中央、ポゥリンが待つ洞窟へと向かっていた。
 果たしてピンクな変なやつことポゥリンは如何なる力を持っているのか。そんな事を考えながら洞窟の入り口へ辿り着いた猟兵達。そして――。
「――――!!」
 中を覗き込むまでも無く、洞窟の中からピンク色の塊が凄い勢いで洞窟から飛び出してきた!!
 ポゥリンはプルプルと震えながら跳ね回り、猟兵達との間に微妙な沈黙が流れた。
 確かに、このピンク色の奴は自ら此方へ襲いかかる様子は無い。だが関係ない。何故か? そう、こいつはオブリビオンであり、何よりコイツが存在することで鍋がオジャンになりかけているからだ!!
 さあ武器を取れ猟兵達!! 倒すべき相手は目の前に居る!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ポゥリン』

POW   :    増える
レベル×5体の、小型の戦闘用【ポゥリン・ミニ 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD   :    固まる
全身を【漬物石 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    伸びる
自身の肉体を【液体スライム 】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は小宮・あきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クマオ・クマ
ゴブリンに邪魔されたけどお魚いっぱい捕れて嬉しいくま~。
お鍋が楽しみくま!
でもお鍋の前にこのポゥリンを倒さなきゃくま!でもこの子何にもしてないけどいいくま?くま?
考えたら負けくま! すべてはお鍋の為くま!
グラウンドクラッシャーで地形ごとグチャグチャにしちゃうくま!


夜乃・瞳
ふむ……

ピンクでぷるぷるなのです

細切りにしてつるんといっても丸くちぎってぷるんといってもいけそうな気がするのです

1匹、1匹だけなのです

意外といけるかもしれないのですよ

人生、チャレンジだと思うのです

でも、調理法を間違うと硬くなっちゃうみたいだからうまくやらないとなのですよ

(ポゥリン・ミニ を見つめながら)

戦闘は引き続き天使の棺を使って頑張るのです

余り小回りはきかないので後方から味方の援護射撃をしていくのです


狗飼・マリア
そうですわね……ポゥリンは見た目からしてあまり早く動けないはず。
ですのでここはスピードでかく乱して短期決戦で行きましょう。

わたくしはとりあえず他のかたがたと連携しつつ、
ポゥリンをちょうど持っているホウキ(メイドのたしなみですので)をつかって、バラバラに散らばっているのをひとつにまとめます。
そしてあつまったポゥリンたちを剣刃一閃といったところですわね。

しかし厄介なのはポゥリンには全身を漬物石にするチカラがあるそうですわね。

それなら漬物石になったポゥリンはホウキでカーリングの要領で川に落としてしまいましょう。(にっこり)


秋山・軍犬
桃慢?グミ?
ポゥリンを見て饅頭を食いたくなった軍犬は
懐から、あんまんを取り出し頬張り始める
お前はどれだけ食い物もってんだという疑問は
フードファイター的なアレという事で勘弁してほしい。

「しっかしコイツら何なんすかね?」
先ほどのコロスコロス言ってたゴブリンに比べ
敵意のようなものが感じられない。
疑問・不気味さ・やりにくさ
それらが先ほどまで上がっていたテンションを
やや下げ、逆に警戒心をやや上げた。

だがそれはそれ
全ては鍋のため…というか真面目な話
このまま狩猟を妨害され続ければ
村人の今後の生活にも深刻な影響が出かねない
なので、やることはPOWっと変わらない。


グルメスペシャリテ・フルコースモード発動!




「……桃饅? グミ?」
 洞窟より現れしポゥリンを目の当たりにした軍犬から、最もな感想が零れ落ちる。そしてポヨンポヨンと跳ね続けるポゥリンを尻目に、懐からあんまんを取り出し頬張り始めた。
 多分軍犬の懐にはまだまだ食べ物が詰め込まれているのだろう。多分。フードファイターだし。
「しっかしコイツら何なんすかね?」
 眼の前のピンク色のモンスターは、現状飛び跳ねまわるのみで一切攻撃してこない。自分達猟兵から逃げる様な素振りすら見せず、そもそも敵意すら感じられない。
「何ていうか、気味悪いっすね……これならゴブリン相手の方がやりやすかったっす」
 勢いでゴブリン共を蹴散らしてきた軍犬は、ここに来てテンションが数段階下がっていた。むしろ目の前の怪物に、警戒すらしていたのだ。
「ま、それはそれっすね。全ては鍋のため……というかマジな話、このままこいつをのさばらせておいたら村人の今後の生活にも影響しかねないっすし……まあ、だから、アレっすわ。結局の所……」
 軍犬はポゥリンを見据え、ごくんとあんまんの最後の一口を飲み込んだ。すると軍犬の全身の細胞、並びにその潜在能力が再び活性化し、全身にエネルギーが満ちていく。
「やることはPOWっと変わらないって事っすよ……グルメスペシャリテ・フルコースモード発動!」
 そう言い放ち軍犬は大きく腕を振り上げると、ライオンの頭部と化した拳をポゥリンのど真ん中へと叩きつけた!! ポゥリンの身体はその背後にあった大木に叩きつけられ、目を白黒させながら身体を揺らす。
 するとその身体から分離するかの様に、凄まじい数のポゥリン・ミニが姿を表し、辺り一面を目まぐるしく跳ね回る。
 猟犬とポゥリンの闘いが、ようやく始まったのである。

「ふむ……ピンクでぷるぷるなのです。細切りにしてつるんといっても丸くちぎってぷるんといってもいけそうな気がするのです」
 ついに決戦が始まり、弾ける様に跳ね回るポゥリン・ミニを見つめ、瞳はそんな事を呟いていた。やはりこのピンクの怪物を目の当たりにすれば、誰しも『なんかコイツ食えんじゃね?』という感想を抱いてしまうのだろうか。
「細切りにしてつるんといっても、丸くちぎってぷるんといってもいけそうな気がするのです……1匹、1匹だけなのです
 話が具体的な調理法にまで飛躍仕掛けたその時、ポゥリン・ミニの群体がその身体を勢いよく伸ばし、一斉に瞳に飛びかかった!!
「うーん……やっぱりいける気しかしないのです……人生、チャレンジだと思うのですよ」
 跳ね回るポゥリン・ミニのプルプル具合に己の仮設への自信を高めた瞳。それはそれとして一方的にタコ殴りにされる訳にもいかないので、瞳は全身に装着した機動兵器にエネルギーを充填。近接用火炎放射器から激しい炎が放たれ、ポゥリン・ミニが次々と消滅していく。
「でも、調理法を間違うと硬くなっちゃうみたい……というかそれ以前に攻撃を加えた時点で消滅してしまうみたいだから、相当うまくやらないとなのですよ」
 かくして瞳の実験は始まった。実際美味いかどうかは定かでは無いが、弾力がある分喉に詰まらせそうだから良い子のみんなは決して真似しないように。

「ゴブリンに邪魔されたけどお魚いっぱい捕れて嬉しいくま~。お鍋が楽しみくま!!」
 魚を捕るついでにゴブリンをぶん殴りまくっていたクマオ。長きに渡る魚捕りは予想以上の成果を上げ、かなりの成果を上げることが出来ていた。まだ敵を殲滅しきってもいないのに。
「でもお鍋の前にこのポゥリンを倒さなきゃくま! でもこの子何にもしてねいけどいいくま? くま?」
 既に戦闘は始まっているが、仕掛けたのは明らかにこちら側である。しかしつぶらの瞳のポゥリンは、決してその表情を変える事無く飛び跳ねるのみであった。何を考えてるのかさっぱり分からない。
「……まあ考えたら負けくま! 全てはお鍋の為くま!」
 そう。この闘いには村人と自分達の鍋の未来がかかっているのだ。決して諦める訳にはいかない。クマオは巨大なスプーンを抱えるように持ち上げると、鬱陶しく跳ね回るポゥリン・ミニを蹴散らしながら、一気にポゥリン本体へと接近する!
「本気も本気、超全力の一撃くま!」
 そして勢いよく振り下ろすと、森を揺らすほどの衝撃を伴った一撃が、ポゥリンの全身を押し潰す!! 地面に亀裂が走るほどの一撃は、流石のポゥリンにもかなりのダメージを与えた様だ。
「さあ、ガンガン行くくまよ!! 全てはお鍋の為に! くま!!」

「そうですわね……ポゥリンは見た目からしてあまり早く動けないはず。ですのでここはスピードで撹乱して差し上げましょう」
 マリアは割と真面目に目の前の敵に対する戦法を考察すると、どこからともなくホウキを取り出した。これもメイドのたしなみだとマリアは語る。流石メイド。凄い。
 そんな訳でホウキを手にしたマリアは、辺りをめっちゃ飛び回るポゥリン・ミニを器用に一箇所に集めだした。飛び跳ねる小さなポゥリンを掻き集める事は決して容易では無かったが、マリアは淡々と、あるいは粛々とこなしてみせた。これもメイドのたしなみなのだろうか。
「こんな具合でいいですわね……それでは失礼」
 そしてマリアはポゥリン・ミニが再び四散しない内に、素早く刀を抜いた。そして冴え冴えとした一太刀を浴びせると、飛び跳ねるポゥリン・ミニ共を纏めて斬り捨てた――!!
「おや……どうやらこれで全て解決という訳にもいかなそうですわね」
 確かに狙いは正確だった。しかし比較的賢い数体のポゥリン・ミニが、咄嗟に全身を漬物石に変えた事で斬撃を防御したのだ。
「確かにこれは厄介なチカラですわね。しかし全身を漬物石にするこの技の最大の弱点は、全身が漬物石になってしまう事……さ、お掃除の時間ですわ。わたくしカーリングには少々腕の覚えがありまして……」
 非常に和やかな笑顔と共にそんな事を言いつつマリアが取り出したのは、やはりホウキだった。そして漬物石と化したポゥリン・ミニをさっささっさと掃き、次々と川に落としていくのだった。結構ヒドイ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

小宮・あき
「久しぶりね、可愛いポゥリン。あなた出現場所を間違えたわね、相当顰蹙を買っているわよ?」
宿敵ポゥリンが出現したと聞き、遅くなりましたが参戦しました。
他の方の邪魔にならないよう、後方から攻撃をします。

【増える】時は、後衛からポゥリン・ミニに通常攻撃。
【固まる】時は、武器や陣形、狙う指先を調整します。

狙うは【伸びる】時。体積が変わらず大きくなれば、的が増えるだけ。高速で動く場合も、ジャッジメント・クルセイド…光の柱の前ではあまり意味をなさないでしょう。【視力・第六感・野生の感】を駆使し攻撃。

「今度は洞窟の奥とか、誰にも迷惑にならない場所に生まれなさいね」


ルエリラ・ルエラ
やる事は変わらないよ。
遠距離からちくちくと援護射撃を継続するよ。
ポゥリン・ミニ出てきたらそっち優先で狙撃させてもらうね。
前衛の人の邪魔はさせないようしっかり狙って行こう。
支援射撃優先。みんなファイト。


エステル・リンティネン
変なピンクと聞いて、どういう意味?と思いましたけど、確かにピンクですよねこれは……(姿を見て)。可愛らしい姿ですけど、だからといった見逃すわけにはいきませんよね。こんな姿でもいちおうオブリビオンですし、村人の鍋に対する思いを見ていると特に。
そんな訳で気持ちを切り替えて、ウィザードミサイルで遠距離から攻撃。スライムであれば直接攻撃より魔法のほうが効くでしょうし。
増えたらそちらを一斉攻撃して一気に消しちゃいましょう。



「――――!!」
 猟兵達の手によってポゥリン・ミニが倒されていく中、ポゥリンがついに重い腰を上げた。全身をみにょ~んと液状に変化させると、凄まじい勢いでそこら中を跳ね回る。暴走車の如く勢いで放たれる突撃は、それなりのダメージを猟兵達に与えていた。
「随分暴れまわっているけど……やる事は変わらないね。前衛の人達の邪魔はしない様にしないと……」
 ポゥリンと猟兵との闘いの舞台から数百メートル程離れた位置に、ルエリラは居た。ゴブリンとの闘いにてそうしていた様に、魔力の矢を形成し、遠距離射撃を行っていた。
「とにかく支援射撃優先……」
 辺りを跳ね回るポゥリン・ミニ共も、決して強くはないものの無視は出来ない。仲間達に当たらないよう次々と矢を撃ち放っては、正確にポゥリン・ミニを消滅させていた。
「――――!? ――!! ――!!」
 めちゃめちゃに暴れまわっていたポゥリンが、不意に大きく跳ね上がった。そして空中にて大きく身体を拡げると、猟兵達を押し潰さんと真っ直ぐに急降下を開始した――!!
「……させないよ」
 冷静に敵の様子を観察していたルエリラは静かに魔法の矢を数本形成すると、落下するポゥリン目掛けて一気に放った。放たれたいくつもの矢はポゥリンの身体に突き刺さり、吹き飛んだ身体は大木へと縫い留められた。
「あと少し……な気がする。みんなファイト」

「変なピンクと聞いて、どういう意味? と思いましたけど、確かにピンクですよねこれは……」
 ポヨンポヨンと跳ね回り戦うピンクの怪物を前にして、エステルは思わず呟いた。
「可愛らしい姿ですけど、だからといって見逃すわけにはいきませんよね。オブリビオンですし、村人の鍋に対する思いを見ていると特に」
 決意を新たにエステルは杖を構えると、自らの魔力を杖へと籠め詠唱を唱えていく。一瞬の後、一気に杖を振り上げると、エステルの頭上に数十本の炎の矢が現れ、それらが一斉にポゥリンと、その周囲のポゥリン・ミニへ向けられた。
「スライムであれば、直接攻撃より魔法の方が効きそうですし……小さなポゥリンはここで全て倒してしまいましょう」
 更にその状態から、エステルは『トリニティ・エンハンス』を発動。炎の魔力がエステルの攻撃力を大幅に引き上げ、頭上の炎の矢が更に荒々しく燃え盛る。
「申し訳ないですけど、そろそろ終わりにさせてもらいますよ」
 そして杖を勢いよくポゥリンに向けると、炎の矢が機関銃の如く勢いで放たれた。炎の矢は残っていた全てのポゥリン・ミニを消滅させ、ポゥリン本体にもかなりの傷を与えた様だ。
「――――!!?!?!!」
 熱さに驚いたかの様に、ポゥリンは一層激しく辺りを跳び回るのだった。

「久しぶりね、可愛いポゥリン。あなた出現場所を間違えたわね、相当ヒンシュクを買っているわよ?」
 熱さで跳ね回るポゥリンの前に進み出てそんな言葉を投げかけたのは、『ポゥリン』の宿敵である小宮・あきだ。アックス&ウィザーズ世界の各所にポゥリンが出現したと聞いたあきは、ついに自らの宿敵の前に姿を表したのだ。
「――――!!!!」
 ポゥリンは突如として現れた自らの宿敵主を見ると、ブルブルと身を震わせて全身に突き刺さった炎の矢を振り払った。そしてあきと相対すると、微妙な緊張感が2人……1人とピンクのぷにょぷにょの間に流れた。
「――!!」
「既にポゥリン・ミニは全滅。そして仲間が居ない状態で固まった所で、この状況では唯の時間稼ぎにしかならない……となると、あなたが取れる攻撃手段は限られてくるわよね?」
 あきがそう告げるのとほぼ同時に、ポゥリンは全身を液状にし、、大きく身体を拡げ跳び回り始めた。その動きは徐々に加速し、再び突撃を放たんと狙いを定めていく。
「そうよね。後は伸びて戦うしかない……だけどあなたがその技を使う時。必然的に身体は大きくなって、狙う的が大きくなるのよ――今ね」
 今このタイミングだ、とあきは直感を以てして確信し、あきは指先を前方に向けた。するとその動きに呼応するかの様に、空が白く光り輝いた――!!
「例えあなたが高速で動いても、ジャッジメント・クルセイド……光の柱の前ではあまり意味を成さないでしょう。これで終わりね」
「――――」
 次の瞬間、空から降り注いだ巨大な光の柱が、ポゥリンを巻き込んだ広範囲を包み込んだ!! 聖なる光から逃れる事は叶わず、ポゥリンの全身は淡いピンク色の光の粒となって消滅していく……。
「今度は洞窟の奥深くとか、誰にも迷惑にならない場所に生まれなさいね」
 消え行くポゥリンに、あきは優しくそんな言葉を手向けたのだった。

 そして闘いは終わった。ゴブリンとポゥリン。カラーム村の狩場に突如として現れた脅威は、猟兵達の手によって無事排除されたのだ!!
 村へ戻り吉報を伝えるや否や、『流石じゃ冒険者殿ぉぉおお!! これでどうにか宴にも間に合う!! さぁ行くのじゃ我らが村の狩人共!! 肉なり魚なりキノコなり、急ピッチで荒取りしてくるのじゃぁああ!!』だのなんだのとテンション爆上がりの村長(ガンドルフ)の命によって、狩人達は狩りに出かけていった。
 残る猟兵達に出来ることは、狩りの手伝い、鍋の調理・配膳、単純に鍋を喰らって宴を楽しむなど、結構幅広い。とにかく宴を全力で成功させるのだ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『キッピスの宴』

POW   :    獣を狩って鍋の具材を確保する

SPD   :    罠や弓を屈指して鳥や小動物を狙う

WIZ   :    宴を美味しく楽しくする為に工夫する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

秋山・軍犬
とゆーわけで!
ここからが本当の闘い!

「鍋の時間じゃあーー!!」

そんなこんなで
自分も狩猟に挑戦!
アックス&ウィザーズの
ファンタジー食材に
軍犬、興味ありまっす!

さて、まずは情報収集
村長や村人から
狩場&地元の美味い物情報を聞き込みっす
猟師の人にも聞きたかったっすけど
出発しちゃったし時間がなぁ…。

準備が整ったら出発
【野生の勘】とフードファイターの嗅覚
猟兵としての戦闘力と村人情報を頼りに食材探索っす。

「いや~、やっぱ異世界の未知の食材が
 見つかるかもしれんと思うとワクワクするっすねー!」

とはいえ時間が無いので
運の要素がかなりでかいっすね
アックス&ウィザーズ限定食材ガチャってとこっすか?
SSR来いっす!!




「とゆーわけで! ここからが本当の闘い!! ……鍋の時間じゃあーーー!!」
 日も差し掛かってきた時分。秋山・軍犬のテンションは再び高まってきていた。
「えーっと、とにもかくにもまずは情報収集……あ! そこに突っ立ってる村長! ちょっとこの村の狩場で採れる美味いもんについて聞きたいんっすけど!!」
 かくかくしかじかと村長や村の住民たちから聞き込みを行った軍犬は、再び森の中へ突っ込んでいくのだった。

「いや~、やっぱ異世界の未知の食材が見つかるかもしれんと思うとワクワクするっすねー!!」
 同じ森でも、先程とは目的が違う。ゴブリンの脅威が無くなった今、改めて森を見渡してみれば、この森には驚くほど沢山の食材が眠っていることが軍犬には理解できた。
「あれは……村人の話に出てきた太っちょウサギに、ナナイロ七面鳥……っすかね? 訳解んない色の香草も沢山生えてるっすね……だけど時間が限られている今、自分の目的は唯1つっす!」
 軍犬の言う目的。それは村長からの聞き込みで知ることが出来た幻の食材、マッシロマツタケである。
「『そう、マッシロマツタケとはこのキップスの宴の前後、僅かな期間にのみ生える幻のキノコ……儂らも数年の一度食えるかどうか……鍋は勿論の事、網で焼いても炊き込みご飯にしても極上の香りと旨味が楽しめる極上の逸品なのじゃぁあ!!』……って村長が言ってたっすからね……是非大量ゲットを目指したい所……!!」
 そして軍犬は目を閉じ、神経を集中させた。マッシロマツタケはその名の通り真っ白。雪に覆われたこの森においてはその存在自体が迷彩仕様。土地勘の無い軍犬にとっては、頼れるのは己の野生の勘とフィードファイターの嗅覚のみ。軍犬はそんなか細い希望を糧に、一歩ずつ森を進んでいった。
「…………………………ココっすよ!!」
 微かに軍犬の鼻をくすぐった本当に微かな香り。それを感じ取った瞬間、軍犬はカッと目を見開き地面へ手を伸ばした。するとそこには、本当にあったのだ。幻とまで言われたマッシロマツタケが――!!
「よぉぉぉぉぉおおおおし!! SSR食材ゲットっすよーーー!!」
 完全に勢いに乗った軍犬はそこから次々とマッシロマツタケを入手し、村人たちからびっくりする位の称賛を浴びるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜乃・瞳
【POW】で判定なのです

わたしは、マンボウさんとレールキャノンをつかって狩をして具材のお肉を確保するのですよ

まずは、マンボウさんを飛ばして獲物をこっちの方へ追い立てるのです

そして、レールキャノンで狙撃して倒していくのですよ

鍋は出汁が命なのです。お肉は絶対に必要なのですよ

ある程度確保したら亜空間コンテナに入れてもって帰るのです

解体なんかは全部プロに任せるのです

後はひたすら食べるだけなのですよ


ルエリラ・ルエラ
い~もに~♪い~もに~♪
もうすぐ皆で楽しいお鍋。そのために私も頑張ろう。
まずは弓で食べられそうな鳥や兎なんかを仕留めるよ。
その後に捕った獲物を分配する時に、私の分も少しもらって調理に参加させてもらうね。
分けてもらったお肉で醤油ベースと味噌ベースの芋煮を作って美味しい芋煮のお鍋を皆に振舞おうと思うよ。
どんな人も芋煮でニッコリ。幸せ芋煮計画。


狗飼・マリア
「さてさて、材料集めは皆様にまかせるとして。わたくしは料理のお手伝いをさせていただきましょう」

「徹底的にね」

わたくしは、メイド力(ちから)を駆使して使う能力メイドキネシスを用いて調理器具やなべの具材を意のままに操り、料理のための下ごしらえといった準備を行います。

それと平行してちゃんとした料理は私自身の手で調理いたします。下ごしらえや皮むきはメイドキネシスでどうにかなるものの、料理ばかりはキネシスまかせにはできませんわ。

「まぁ、メイドキネシス使いながらでも調理できるのですけどもね」

そう言うとわたくしは下ごしらえされた具材を次から次へと調理し始めました。


エステル・リンティネン
へえ、これがこの村の鍋料理なんですね
色々と持ってきましたけど沢山の具材が入っていて美味しそうです

宴が盛り上がってきた事ですし、ここで本業の占いをする事にしましょうか
私に言っていただければ、恋愛も含めて何でも占って差し上げますよ
(せっかくの宴に水を差す事が無い様、前向きに楽しめるよう占いましょう)
そうですね、村長さんは……(占い中)
「後継者現れる、その者との絆を強くせよ、そうすれば村の将来は安定」と出ていますね
今回の件で誰か村の若い方と関わりませんでした?その方を大切にされたほうが良いですよ
他に占いたい方はいらっしゃいますか?
(アドリブ歓迎、他の方への占い結果はお任せします)


クマオ・クマ
池の魚はわりと捕れたくま。でもまだまだ足りないくま。

......どうやらくまおの本気を見せるときが来たみたいくま。

特別に真の姿を見せてやるくま!!!(ゴツい白熊に変身)

お魚食べてフードファイトワイルドモードも全開!!!

狙うはこの池の主!!!

池の主を捕まえて皆でたらふく食してやるくま!!!




「時間は大分差し迫ってきているのです……早い所具材のお肉を確保するのですよ」
 狩りの為森の中へ再び足を踏み入れた瞳は、他の狩人と獲物が被らない位置に陣取ると、超高速電磁レールキャノンを構える。
「さあ、行くのですよマンボウさん。ここは息の合った連携プレイが必須なのです」
 瞳が指示を出すのとほぼ同時に、4機のマンボウ型ドローンが出陣する。宙を漂うマンボウ達が統率の取れた動きで、獲物となる太った猪を一気に包囲する。
「…………」
 瞳がレールキャノンの引き金に指をかけ神経を集中させた刹那、マンボウ達の口から一斉にレーザーが放たれる。だがその目的は猪を仕留める事ではない。猪を瞳が待ち構える咆哮に追い立てる為の作戦であった。
「鍋は出汁が命なのです。お肉は絶対に必要なのですよ」
 凄まじい勢いで向かってくる猪にも慌てふためく事無く、瞳は淡々と引き金を引いた。放たれた巨大な弾丸が猪の頭部に直撃し、猪の巨体がグラリと地に倒れた。
「ワンショットワンキル、なのです」
 そういった具合でコツコツと獣を狩り続けた瞳は、いくつもの巨体を亜空間コンテナに押し込み、手早くカラーム村へ帰還する。
「おお……流石じゃのぉ、冒険者殿!! まさかこの短時間でこれほど多くの得物を狩ってくるとは……!!」
 驚嘆と共に、ガンドルフ村長は瞳を村に迎え入れた。
「仕事は完璧に、なのです……あ、でも解体なんかは流石に全部プロに任せるのです。残るわたしの仕事は、ひたすら鍋を食べるだけなのですよ」

「池の魚はわりと捕れたくま。でもまだまだ足りないくま」
 クマオ・クマの姿は再び森の片隅の池にあった。クマオの圧倒的な気の早さによって既に結構大量の魚が村に届けられていたが、どうやらそれだけではクマオを、もといクマオの食欲を満足させる事は出来ない様だ。
「……どうやらくまおの本気を見せるときが来たみたいくま。特別に真の姿を見せてやるくま!!」
 やたらシリアスな様子で懐から一匹の魚を取り出し、食らいついたクマオ。するとクマオの全身の細胞が一気に活性化を始めた!!
 今か。今なのか。何故今なんだ。もっと本気を、真の姿を出せる場面はこれ以前にあったのではなかろうか。そんな疑問を蹴散らすかの様にクマオの全身がみるみる内に巨大化し、白熊の様なゴツくてイカツく控えめに言っても超怖い巨体へと姿を変えてしまった!!
「……これがクマオの本気くま!! さあ、覚悟するくま……クマオの狙いは唯1つ、この池の主くま!!」
 勢いよく巨腕を凍りついた池に叩きつけると、表面に張られた分厚い氷が一瞬にして叩き割られた。そしてプカプカと浮かぶ氷塊を次々と池から放り出し、池の中を覗き込むクマオ。
 するとそこには、確かに居た。鋭く赤い瞳を持つ、主と呼ぶに相応しき巨大な魚が――!!
「グァァアアアアアアアア!!」
 私は獲物では無い。喰われるのは貴様の方だとでも言わんばかりの勢いで池から飛び出した巨大魚。その大きな口を開き、クマオの喉を食い破らんと飛びかかる!!
「その殺気、流石くまね……だからこそ、捕まえる価値があるくま!!」
 僅かに身を逸らし、巨大魚の一撃を避けたクマオ。すかさずその顎元を掴み上げると、凄まじい勢いで地面へ叩きつけた!!
「グァ、ガァアアアアアアアアアア…………!!」
「…………終わりくま」
 魚とは思えない凄まじい力で暴れていた巨大魚であったが、ついに体力を無くした様子でその動きを止めた。
「くまおの勝ちくま……!! 早く持ち帰って、皆でたらふく食してやるくま!!」
 こうして今日一番の激戦に勝利を収めた、ザ・フードファイタークマオであったとさ。

 宴の準備が進められる中、いつの間にかエプロン姿に着替え、いつの間にか調理場に潜り込んでいたマリア。その眼前には、明らかに1人で扱うには多すぎる量の材料や調理器具が並べられていた。
「さてさて、材料集めは皆様にまかせるとして。わたくしは料理のお手伝いをさせていただきましょう……」
 バッと両腕を広げ、どことなくスタイリッシュな気がするポーズを取るマリア。
「徹底的にね」
 そう呟いた直後、マリアの両手から見えざるメイド力(めいどちから)が放たれた。メイド力に関する詳細はよく分からないが、気になる場合はマリア本人に聞いて見れば良いと思う。よく分からない答えか、よく分からない全く関係ない話題が返ってくるだろうから。
 それはさておきとにかくマリアの両手からはメイド力が放たれたのだ。放たれたメイド力は眼前に広がる大量の調理器具や具材をふわりと浮かび上がらせ、一気に料理の下ごしらえが進められた。これこそマリアのユーベルコード『メイドキネシス』である。
 その間、マリアは只々スタイリッシュなポーズを取り続ける……訳では無かった。
「下ごしらえや皮むきはどうにかなるものの、料理ばかりはキネシスまかせにはできませんわ」
 繊細な調理には楽な手を使う事は出来ないという事だろう。常にふざけた様な態度を取っていても、マリアは実際メイドとして優秀なのだろう。
「まぁ、メイドキネシス使いながらでも調理できるのですけどもね」
 そしてマリアは下ごしらえされた具材を手に取り、メイドキネシスと並行して手早く調理を進めていく。
 始めはふわふわと浮き上がる具材と調理器具に呆気に取られていた村人達も、マリアの凄まじく手際よい調理姿に惜しみない賛辞を送るのであった。

「い~もに~♪ い~もに~♪」
 戦いも終わり、上機嫌な様子で狩りを行っているルエリラ。茂みの中から的確に矢を放ち、鳥や兎を次々と仕留めていた。
「ん~……こんなものかな。鍋の助けになる位は狩れたよね。鍋の時間までそんなに無いし……早く戻って私も調理を始めないと」
 首尾よく仕留めた得物を担ぎ、ルエリラはカラーム村へ帰還する。
 その後。宴の準備が進められている村の広場、その調理場の一角に、ルエリラの姿はあった。その目の前には大量の野菜(その多くは芋)や肉がズラリと並べられていた。
「よし……これだけあれば材料は十分だよね。今こそ、『どんな人も芋煮でニッコリ。幸せ芋煮計画』を開始する時だね」
 包丁片手に呟いたルエリラが、早速調理を開始した。手際よく大量の芋の皮を剥き、きれいに洗っていく。
「芋煮と合うお肉も分けてもらったし……うーん、味のベースはどうしようかな? 醤油か、味噌か……いや、ここは妥協してる場合じゃないね。両方作ろう!」
 村人から追加で鍋を借りたルエリラは、並行作業で2つの鍋の調理を進めた。手の空いた村人たちの協力もあり、ついに無事2種類の芋煮を完成する事が出来た。
「…………うん、美味しい。ちゃんと美味しく出来るかちょっとだけ不安だったけど、これなら大丈夫!!」
 両方の芋煮を味見し、思わず顔がほころんだルエリラ。陽も完全に落ち空気もより一層冷え込んでおり、いつもより芋煮が美味しく感じられた。
「さあ、みんな食べていって! この辺りで中々見ない鍋かもしれないけど、すごく美味しいよ~!」
 この地方ではもの珍しい芋煮に興味を示した村人達にルエリラは次々と鍋を振る舞い、ルエリラの芋煮は多くの村人達を笑顔にする事に成功したのだった。

 猟兵達の活躍により、無事宴が始められたカラーム村。むしろ例年よりも多くの材料を確保できた今年は、いつもより豪勢な鍋を多くの人々が楽しんでいた。
「へえ、これがこの村の鍋料理なんですね。色々と持ってきましたけど沢山の具材が入っていて美味しそうです」
 わいわいと宴が進められる中、鍋を食し身体を温めるエステル。それからしばらく経ち宴も盛り上げってきた頃、ふと思い出した様に占い道具を取り出した。
「宴が盛り上がってきた頃ですし、ここで本業の占いをする事にしましょうか……私に言っていただければ、恋愛も含めて何でも占って差し上げますよ」
 そうエステルが呼びかけると、興味を示した村人達がふらふらと寄ってきた。村長ガンドルフもその内の1人だ。
「ほう、占い……街の方へ行けば居らん事も無かろうが、この辺では中々占い師は珍しいのう……どれ、折角じゃからワシを占ってくれんか?」
「ええ、勿論ですよ。そうですね、村長さんは……」
 ちょっと不思議な緊張感が漂う空気の中、エステルは静かに目を閉じ村長の未来を占った。
「……後継者現れる、その者との絆を強くせよ、そうすれば村の将来は安定……と、出ていますね。今回の件で誰か村の若い方と関わりませんでした? その方を大切にされた方が良いですよ」
 おお、と周囲の人々から感嘆の声が上がる中、村長は1人真剣な顔で頷いた。
「ふむ、なるほどのう……ハッハッハ、いやあ、正直占いというものには半信半疑でしたが、流石は冒険者殿!! 中々的を得た事を言いなさる……うむ、確かにあやつは……ジョーイは今回の件で冷静に状況の改善に努めておった。うむうむ、なるほどのう……!!」
 上機嫌な様子でエステルに礼を言い、その場を立ち去る村長。ゴブリンやピンクを退治した冒険者達にはしきりに礼を言っていたものの、まだ若き狩人を労っていなかったのだという。
 何気にこの出来事は本気でこの村の行く末に大きな影響を与えたが、それはまた別の話だろう。
「……さあ、他に占いたいかはいらっしゃいますか?」
 こうして、占いを通して宴の盛り上がりに貢献したエステルであった。

 最後にエステルの占い結果一覧をザックリとまとめたので、それをもって本件の締めくくりにしたいと思う。尚、結果に関しては当たるも八卦当たらぬも八卦なのでその辺はご了承願いたい。また、時折おみくじみたいな文面になったりそうでもなくなったりもしているが、そのへんもあまり気にしない方向でここは1つ。

『秋山・軍犬』……健康運悪し。偶にはバランスの良い食事を心がけるべし。青汁とか飲めばいいんじゃないかな。あとワカメサラダとかもろきゅうとか……ラッキーカラーは深緑色。
『夜乃・瞳』……金運良し。次元機動兵器に更に武装を施せばもっと金運が上がるかも? ラッキー武装はチェーンソー。
『ルエリラ・ルエラ』……旅行運良し。いくつもの世界を又にかけ旅を続ければ至高の芋煮に出会える可能性高し。ラッキー芋煮は豚肉味噌仕立て芋煮。
『狗飼・マリア』……仕事運良し。君はあるがままの君でいるのが結局一番良い結果を招くであろう。ラッキーメイドは猫耳メイド。
『クマオ・クマ』……健康運良し。バランスの良い食事とか気にせずにガンガン食べたい物を食うべし。けど偶にはちゃんと調理した魚を食うと尚良し。ラッキー魚は金魚。

 以上である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月05日
宿敵 『ポゥリン』 を撃破!


挿絵イラスト