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第●●回迷宮サイクルレース防衛戦線

#アルダワ魔法学園 #レース

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#アルダワ魔法学園
#レース


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●おい、なんで此処でレースしようと思った、言え!
 アルダワ魔法学園。世界の脅威、オブリビオンのいる地下迷宮の上にあり、対オブリビオンの最終防衛ラインにして前線基地。そこには、名前の通り、あらゆる技術を学ぶ生徒たちが通っている。
 生徒たちも、その学んだ技術の実践として、地下迷宮の攻略に勤しみ、時には学生らしく遊ぶ。猟兵達は、その生徒たちの中に混じり、時に生徒たちでは手に余る地下迷宮の脅威を屠るのだが――。
「いぇーい! 第●●回迷宮サイクルレース、はっじまっるよー!」
 ――いや待て。いくら攻略済の迷宮とはいえそんな明るいテンションでレースする場所じゃないでしょう。
 そんなツッコミを入れたい事件の予知者だったが、そんなツッコミもあくまで予知故に発言者に届くはずもない。そして、事件は起きる。レースが始まって、レースも中盤に差し掛かった頃――。
「何ィ!? 障害物が多すぎて通りにくいゾ!」
「いや、そうじゃあねェ! 障害物なんてモンじゃねェェ! これは、間違いなく、俺達めがけて攻撃してきているッ!」
「何だってェェェ!?」
 ――いや、だからなんでそんなにハイテンションなの……。
 呆れ気味の声を漏らしたい予知者だが、予知者自身はこの会場にはいない。これは、あくまでも視覚情報として予知者に与えられた情報でしかないのだから。
 そして、予知者は見る。この後、レース参加者はその障害物――オブリビオンの攻撃により命を落とし、その後オブリビオンが迷宮を逆侵攻、学園へと一直線に向かうのを――。

●ブリーフィング
「逆侵攻を阻止する。それが目的であります」
 グリモア猟兵、紅葉・智華(紅眼の射手/妹捜索中・f07893)は集まった猟兵達に資料を配り終えると、今回の任務の説明に入った。
「場所はアルダワ魔法学園の迷宮。近々開催される第●●回迷宮サイクルレースを行うレース会場。つい最近になって、学生による安全確認を行って、レース会場として採用したらしいでありますが――安全確認が不十分だったようであります」
 そう言って、背後のホワイトボードに資料のスライドを電脳魔術で投影させる。
「迷宮の大空間の端の方に、ほんの少しの隙間があったようであります。原因はともかく、この隙間が広がり、オブリビオンがそこから出てきてしまう――という事であります」
 本来であれば、と前置きをしたうえで智華は言葉を続ける。
「レース自体の中止だとか、あるいは取り急ぎ隙間を塞ぐ、という事も考えたでありますが、開催までの時間があまりにも近すぎる。今から中止にする、あるいは工事するには時間が足りない。――よって、これより迷宮に転移、レース開催前にこのオブリビオンを屠る。これが今回のミッションとなるでありますよ」
 投影されているスライドには、「猟兵」と書いてある〇印がPONと迷宮レース会場のマップに現れ、隙間から奥の空間に向かう光景が広がっている。
「予知にて確認された敵戦力は二種類。一つはポルダーガイスト。隙間の先は洋館の一室のような空間になっているであります。あらゆる物が飛び交う危険地帯。まあ、レースに真っ先に介入したのはこのオブリビオンと予知では確認できています」
 予知で見た姿をそのままホワイトボードに投影する。と言っても、やはり予知で見たままのため、家具とかそういうのしか映っていないのだが。
「続く二つ目は、ちょっと表現に困るでありますね。女性型、というか少女型でありましょうか。とにかく、人型のオブリビオンであります。まあ、人型という事は言葉は交わせるかもしれないでありますが、まあ、期待はするべきではないであります。あくまでオブリビオン。それを屠ってこその猟兵というものであります」
 此方については、予知でもあまり姿を確認できなかったのか、シルエットのみの画像を投影していた。まあ、レース会場に出てきたのはポルターガイストで、その洋室よりも奥にいて、最終的に逆侵攻してくる姿しか智華には見れなかったのだ。
「こんなところでありますね。――どうか、宜しくお願い致します、でありますよ」
 そう言って、智華は転移の術式を起動させる。
「――ああ、それと。レース開催前に転移して事に当たるでありますから、オブリビオンを屠ってからであれば、レースへのエントリーは自由でありますよ。どうも担当している学生のテンションがハイのようなので、飛び入りでもどうにかレンタルとかなんかで参加できると思うでありますよ」


暁文空
 どうも、8作目のシナリオとなります。初めましての方は初めまして。そうでない方は今度も宜しくお願い致します。暁 文空(アカツキ フミアキ)です。7作目との同時進行ですが、きっとどうにかなると信じたい(定期)

 さて。今回のシナリオは、第1章:集団戦 , 第2章:ボス戦 , 第3章:日常(レース) という構成となっております。
 敵を1,2章と倒せばレースです。ダイス目で勝負が決まる――みたいな感じにしたいなア……なんて。

 一応、プレイングについてですが、特定の他者との連携の場合は、その方のキャラ名とID、旅団単位であれば旅団名を最初に明記して頂きますようお願い致します。逆に連携NGの場合も冒頭に記載して頂けますよう、お願い致します。
 また、明確に技能を使用する場合は、本文中に【】等で囲って明記して頂けると、助かります。

 それでは、今回もどうか、お付き合いの程、宜しくお願い致します。
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第1章 集団戦 『ポルターガイスト』

POW   :    パイロキネシス
【自然発火の能力を持つ念力】が命中した対象を燃やす。放たれた【青白い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    テレキネシス
【念動力で操った家具の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ラップ現象
対象のユーベルコードに対し【対象の集中を阻害する騒音】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セルヴィ・アウレアム
「迷宮サイクルレースの危機やて!?あかんあかん、そんなん絶対あかん!」
過去のどんな災魔との戦いでもしたことのなかったような焦り顔を浮かべ、真っ先に転移を求める。
「迷サは金貨にして云十万、云百万って金が動く一大イベントなんや、絶対中止になんぞさせてたまるかい!」
生徒のためではないのか、と呆れられそうな発言をしつつ、おっとり刀でレース会場へ転移する。

●行動/POW【UC:マギア・ガトリング】による攻撃
洋館に乗り込み、ポルターガイストの手荒い歓迎を『内蔵ガトリングガン』で片っ端から撃ち落とす。
あらかた武器を撃ち落とし、パイロキネシスによる攻撃を誘った後、マギアガトリングによる威力重視の一撃を打ち込む



●レース場にはゼニが埋まっている……らしい
「迷宮サイクルレースの危機やて!?あかんあかん、そんなん絶対あかん!」
 迷宮内のレース会場に転移してきたセルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)はそう言って、更に言葉を重ねる。
「迷サは金貨にして云十万、云百万って金が動く一大イベントなんや、絶対中止になんぞさせてたまるかい!」
 え、そっち? という他の猟兵の声が漏れてきそうな声だが、何にせよ敵と交戦するのなら最早何でも良い。それが生徒の安全に繋がるのだから。
 そして、セルヴィはそのまま隙間に身を入れて、敵との交戦状態に入った。
 洋室内には家具や物がゆらりと浮いており、入室したセルヴィを確認するや否やそれらが一斉にセルヴィに迫る。椅子、机、食器、本、本棚――エトセトラ、エトセトラ――ありとあらゆる物々が迫る様は正しくポルターガイスト、ホラーのそれである。その物の奥には人型の幽霊のような存在もあるが――今はそれどころではない。
「おっと、危ないなあ」
 椅子や机――それらをひょいと回避しながら、魔力弾を打ち出す腕部内蔵のガトリングガンを構えて、放つ。魔力弾がばら撒かれ、それが周囲の物を撃ち落としてゆき、そうする事によってセルヴィの回避運動も幾分か楽なものになる。
 そして、物による攻撃が収まった頃合に、セルヴィが撃ち落とした物が急に発火し、その炎がセルヴィへと迫る。
「下手な鉄砲もなんとやら……舐めとーと後悔するでぇ!」
 だが、その炎をも魔力弾でかき消してゆく。その程度で倒れるようなら猟兵などやっていないのだ。そして、その発火攻撃によって敵本体に大きな隙ができたと判断したセルヴィはガトリングガンを威力重視へと切り替えて、本体とおぼしき幽霊に向けて魔力弾を放つ。
 その一撃で幽霊は掻き消えて、終わった、次の部屋へ――と考えたセルヴィだったが、いや違うとすぐに気づく。掻き消えた直後に、人型は再び現れた。どうやら、最初から人型は一つというわけではない。
 ――まだ、闘いは始まったばかりなのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

トレイシー・ライト
【心情】
 へえ、レースか。面白そうなんだけど、オブリビオンと戦いながらは難しいな。なら、先に倒すしかないか。
【行動】
 隙間を通って突入し、素早く【ウィザードミサイル】を唱える。何か飛んできても、これだけの数があれば飛来物を撃ち落としつつ、敵にユーベルコードを当てられるはずだ。
「こういう時は、先手必勝」
 できるだけ【先制攻撃】を取れるように、【高速詠唱】を使う。
「ポルターガイスト現象だって、怖くはないさ。原因がはっきりしていて、排除できるんだからな」



●無数の矢の雨は時に傘となる
 洋室には未だポルターガイストは健在。物は常に動き回り、それが意図して猟兵達へと向けられたものでなくとも、その一つ一つは脅威である。少なくとも、これの排除なくして安全なレースはあり得ない。……いや、そもそもそんな欠陥がある事を見逃してレースをやろうとしていたのだから、それは問題なのだが。
 それはさておき。
「ポルターガイスト現象だって、怖くはないさ。原因がはっきりしていて、排除できるんだからな」
 新たに隙間から洋室へと気だるげに入ってきたのはトレイシー・ライト(スターシーカー・f05807)。その周囲には魔力でできた矢が既に浮かんでいる。
「こういう時は、先手必勝」
 そう、隙間から洋室へと入るまでのわずかな時間。その間に、トレイシーは【ウィザード・ミサイル】の詠唱を終えていた。ウィザードとしての技量――高速詠唱によって、既に先制攻撃の準備は出来上がっていたのだ。
 ポルターガイストの本体と思しき個体は焦ったように、集中を阻害する、つんざく騒音を放つが遅い。それよりも先にトレイシーの矢が放たれる。数にして90本。果たして、90もの矢を如何にして防げというのか。
 だが、そこは周囲の物々が本体を護るかのように敢えて矢へと突っ込んでいく。そして、互いが打ち消し合い、攻撃は不発となる。故に、反撃と言わんばかりに今度は物がトレイシーへと向かってゆく。
「いいや、遅いよ」
 だが、それがトレイシーに届く事はない。先ほど矢を放ち、騒音が収まってから今までの数瞬の間に、既に詠唱を終えていたのだ。再び、矢が放たれる。トレイシーへと向かっていた物は全て矢によって撃ち落とされたのだ。
 ウィザード・ミサイルは矢の雨を降らし、そしてトレイシーを物から守る傘にも相成ったという事だった。
 こうなれば、優位に立つのはトレイシーに間違いない。トレイシーは矢を放ち続ける事によって、ポルターガイストの攻撃機会を抑え込み、そして確実にダメージを通す。ポルダーガイストへのトドメはまだまだ先だが――だがそれでも、確実にダメージを与えられている。彼の動きは間違いなく、この後に動く者にとっても有利に働くものであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

星群・ヒカル
【ワンダレイ】参加
レースと聞いて黙ってられないな
おれはかつて不良中学で走り屋番長達のトップに立ったことがあるんだ
超宇宙番長が「爆走番長」と呼ばれていた頃からのライドテク、とくとご覧あれ!

超宇宙・武勇星舞台を使用
足元の影が星空のように変化し、形も大人のそれになる
これで運動能力が格段に高まるはずだッ
飛んでくる家具は「逃げ足・早業」も駆使して避けるぞ

夜野先輩、ナイス打ち返し!
仲間が撃ち返した手頃な家具を「視力」でしっかり捉えて「騎乗」しそのまま敵本体へ「空中戦・気合い」で突っ込むぞ
ふふふ、とんだ暴れ馬だなッ!だがこのくらいが丁度いい!
このくらいじゃねぇと面白くねぇのよ、ネージュの姉貴ッ!


夜暮・白
【ワンダレイ】のみんなで参戦します。サイクルって自転車だよね。乗ったことないから気になる。(そわそわ)

家具の動きを見て[情報収集]して、隙間に飛んでいきそうなら【バウンドボディ】で体当たり。誰もいないところに弾き飛ばします。大丈夫そうなら[野生の勘]を働かせて避けつつ、ポルターガイストさんのところへGo。

飛び交うものも[ジャンプ]で足場に変えてこの空間の[地形の利用]をします。ついでに念動力が弱まったものがあれば[盗み攻撃]に使うよ。投げ返しの[投擲]には自分のダガーも紛れさせて敵の意表をつこう。

わ。大きな家具まで打ち返して―― ほんとに乗って飛んで行った!? すごいなあ。


ネージュ・ローラン
【ワンダレイ】で参加。
危険はさっさと排除してしまいましょう。

家具に乗って突っ込むとか本気ですか!?

それではわたしはサポートに回りましょう。
飛んできた家具のうち手に持てそうなサイズのものに狙いを絞って軌道を【見切り】、エレメンタルヴェールでキャッチします。
その後キャッチした家具に精霊力を込めて【彼岸駆け】で投げ返してやります。
狙うのは仲間の進路を阻む家具です。

ヒカルさんの攻撃が成功したなら、わたしも追いかけてシークレットダガーで追撃しましょう。


尾守・夜野
【ワンダレイ】で参加。

もう一人、別人格の俺を呼び出し、共に黒剣をハンマーにして飛んできた家具やら何やらを【早業】をもって、他の仲間の進路を阻まないように打ち返していくぜ!

皿だとか割れやすいのは掬い上げるように衝撃を受け流し割らないように反射させる。

意思で操ってんだろ?
なら、他者の意志が介在すればやりにくくなるはずだ。

打ち返す時に【呪詛】を込めて打ち返そうか。

皆が呪われたら事だからな。

【呪詛耐性】を付与しとくぜ。

お?ショートカットに利用する?いいぜ!乗りな!でかい安定した家具が来たら乗りたい仲間がいる場合、乗せて打ち返すぜ!



●レースと聞いてやって来た――レースは敵を倒してから
 迷宮サイクルレース――最速の称号、FastestLegend――そう言ったものに目がない者は、猟兵の中にも当然いる。速さに魅入られてしまったものは、速さの中でしか生きられない。最速という称号があるのなら、それに挑まずにはいられない――。
 ――かはともかくとして、その最速の称号に興味を示し、そして任務に参加する者達が今ここに集結した。
「レースと聞いて黙ってられないな」
 そう言ったのは、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)。かつて不良中学で走り屋番長達のトップに君臨した正しくそのものズバリな猟兵。
「サイクルって自転車だよね。乗ったことないから気になる」
 次は、夜暮・白(燈導師見習・f05471)だった。此方は先ほどとは違い、最速に魅入られたわけではなさそうだが――、とはいえ、好奇心があるのなら理由としては十分。きっと、そのうち速さに魅入られる事になる。多分。
「危険はさっさと排除してしまいましょう」
 ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)は何はともあれ、危険を排除しようという目標を口にした。――いや、これで正解なのだが。
「さて、打ち返していくぜ!」
 隙間から洋室へと身を入れ、別人格を呼び出しながら、尾守・夜野(墓守・f05352)はそう叫んだ。そして、別人格も実体化して、家具を次々と打ち返していく。人一人であれば多勢に無勢だが、二人掛かりともなれば、少しは容易になるというもの。
「夜野先輩、ナイス打ち返し!」
 仲間の活躍に、ひゅう、と口笛を吹きながらヒカルは自身のユーベルコード、超宇宙・武勇星舞台を発動させて、身体能力を大幅に向上させる。これにより、周囲を浮遊する家具をしっかりと余裕を持っての回避する事に成功する。
 だが、それだけではこの戦闘は終わらない。ポルダーガイストを倒し、そしてその奥にいる敵も屠らなければならないのだ。
 そして、何より――このポルダーガイストがレース会場へと出てきてしまうを止める、というのが第一目標な訳であり、家具が猟兵達が通ってきた隙間を見つけ、レース会場の方へと向かおうとする。だが――。
「いかせませんよ」
 こちらも自身のユーベルコード、バウンドボディでびよんと身体を伸ばし、家具に向かって体当たりを仕掛けた白だった。予め家具の動きについて、情報を集めた結果、予知――というと語弊があるが――するに至ったのである。
 物々と猟兵達の戦いはこれまでずっと続いていたのだが――しかし、そこに終止符を打つべく、猟兵達は駆けた。
「お? ショートカットに利用する? いいぜ、乗りな!」
「そうさせてもらいます!」
 夜野の言葉に、ヒカルがそう返すと、夜野もまた、にこやかに返す。そして、ちょうど良い家具を見つけた夜野がターゲットを定め、それを打ち返す。
「ふふふ、とんだ暴れ馬だなッ!だがこのくらいが丁度いい!」
 そして、気づけばその打ち返した家具の上に乗るものが現れた。ナンデ、カグニノル、ナンデ!? ――と、ニンジャじゃあるまいに、というところだが、これにはポルダーガイスト本体自身も「ゑ?」という表情を浮かべた。浮かべざるを得ないだろう。
 だが、だからと言って無防備というわけではない。物々が飛び交っている事実そのものは、変わっていないのだから。だが、猟兵達の手が止まる事はない。
「ほんとに乗って飛んで行った!? すごいなあ」
 気の抜けたような声だが、この声の主、白もまた、物から物へと飛び移るというスタイルで、ヒカルのような動きをしていた。
「家具に乗って突っ込むとか本気ですか!?」
 そんなネージュの言葉に足を止める猟兵は此処にはいなかった。はあ、とため息を一つ漏らすと、真剣な表情に戻し、飛んできた家具を自身の持つヴェール、エレメンタルヴェールでキャッチする。すると、それを投げる。投擲したのだ。
 ただ投げ返したわけではない。自身のユーベルコード、彼岸駆け(ラファール・ティル)――風の精霊の加護がある以上、この投擲にはそれなり力というのが与えられるといのが自然。そして、この手段で飛ばされた物は、家具に乗るヒカルや、飛び映っていく白へと向かっていっていたが――その進路を阻む家具を、撃ち落としていったのだ。
 進路クリア。一気にポルダーガイストの本体と思しき存在と接触――そこに対して、ヒカルと白が本体を一瞬にして一つを屠る。それの流れに追随するようにネージュがダガーを片手に他の本体のように見える影を叩く。
 そうして、気が付けば、浮いている家具たちの姿はもうない。猟兵達は地に足をつけ、周囲を見渡せばやはりいない。そう、ポルダーガイストは討伐するに至った。

 ――あとは、この奥にいる脅威のみである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『セイレイに愛された少女の亡霊』

POW   :    『黒き焔』と遊ぶセイレイ
【揺らめく複数の黒炎玉 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    『旧き幻想の知恵』のドレス
対象のユーベルコードを防御すると、それを【古代精霊言語に変換し身に纏い 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    『私も精霊に愛されたかった』
自身に【数体の黒い生霊(セイレイ) 】をまとい、高速移動と【威力の高い魔術の衝撃波(ウェーブ)】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアサノ・ゲッフェンルークです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

尾守・夜野
【ワンダレイ】で参加。

てめぇを倒せばレースが開催出来るんだ!

直接の恨みはねぇが倒させて貰うぞ!

触媒を投げ、大量の(触媒分の)黒妖犬を呼び出す。

墓守犬だし、生霊の対処法とかしってるんじゃね?

まぁ、知らなくても最悪、物理的に噛みつけばなんとかなるだろう。

サイクリングって自転車じゃん?

俺はスレイで!皆と!駆けたいんだよ!

馬イシクルならいけるだろ!?とかいいながら俺も黒剣で斬りかかりに行く。

衝撃波を切り裂きながらな


星群・ヒカル
【ワンダレイ】で参戦だ
ふふふ、わざわざレースにカチコミするってことは、てめーもまたスピードに魅せられた存在という訳だなッ
えっ違う?そうでもない?
なら魅力を教えてやるよッ!

愛機の宇宙バイク銀翼号の出番だ
『騎乗』『逃げ足』で攻撃を避けつつ
『地形の利用』で迷宮の壁や構造を使い立体的に動き回り攻撃の機を伺うぞ

銀翼号での全力特攻『ゴッドスピードライド』を仕掛けるが
コピーされたらそのままスピード対決だ
『騎乗・気合い・鼓舞』
技術だけじゃねぇ、長い年月で培う愛機との絆が大事なんだ

そして大事なものがもう一個あってな?仲間っていうんだが!
チェイスに夢中になってる敵は隙だらけだ
攻撃準備をしてる仲間の所へと誘導しよう


夜暮・白
引き続き【ワンダレイ】で参戦です。

わー。衣装も杖も綺麗な人だ。でも周りで飛んでるのが嫌な感じ。コースに来ても困るし躯の海に送らないと。

まずはざっと見渡して足場を確認。タールの体を活かし[忍び足]で気付かれないように死角へ回ろう。古代言語を話したり黒いものを纏ったらダガーを[投擲]し邪魔して、裾を地面に縫い付け足止めするよ。攻撃が来たら[野生の勘]頼りに【バウンドボディ】で[ジャンプ]して避け、[オーラ防御]で受け流します。番長さんには敵わないけど負けないよ。

傷ついて動きが鈍った人がいたら【生まれながらの光】で治します。んー。あの黒いの厄介かも。戦況を[情報収集]して隙がないか探りながら戦おう。


ネージュ・ローラン
【ワンダレイ】で参加
ところでレースで自力で走るのは流石に無しですよねぇ……、などと考えながら進みます。
これが予知にあった少女のオブリビオンですか。
貴女も精霊魔法の使い手なのですね!(無自覚煽り)

相手の高速移動を【見切って】ついていき、衝撃波に対しては仲間を【かばい】、氷精霊の魔力をエレメンタルヴェールに込めた【オーラ防御】、【絶対零度の霊衣】で打ち消そうとします。
打ち消したら今度はこちらから精霊魔法による氷弾の【属性攻撃】を撃ちましょう。
相手の動きを止めるように撃ち、仲間の攻撃に繋げます。



●Q:セイレイって? A:ああ!
 猟兵達がポルダーガイストを倒し、奥へ進んだその先にいたのは黒いドレスを身に纏った少女の亡霊だった。手には大きな杖。一見、精霊使い、魔術師のようにも見えるのだが、よく見れば違う事がわかる。
 その周囲には凡そ『精霊』と呼ぶ事を憚られるような存在が浮いているからだ。――それこそが、『生霊』――彼女こそ、『セイレイに愛された少女の亡霊』だった。
 それと相対した猟兵達は、これを屠る事が第一目標である。今はまだ、レース場に乱入していないし、ポルダーガイストが事前に静かになった以上、予知と同じようにレース場にやってきてしまうのかはわからない。――だが、危険を放置するわけにはいかない。それが、猟兵というものだ。
「これが予知にあった少女のオブリビオンですか。貴女も精霊魔法の使い手なのですね!」
 そんな少女の亡霊にいの一番に声をかけたのは、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)だった。本人は悪気もなく、純粋にそう思ったから口にした、それだけの事だったのだが――。
「――今、何と?」
 亡霊は、その言葉に過剰に反応した。精霊使いを目指し、その夢破れた少女、その亡霊にとって――精霊魔法、という言葉は正しく禁句だった。
「精霊使い――そう、あなたが、精霊使い……じゃあ、ここであなたが消えれば、私はきっと精霊使いに……ふふ、あははははは!!!!」
 壊れたような笑みを零しながら、亡霊は周囲に浮かぶ黒い生霊を身に纏い、そのまま猟兵達の下へと肉迫する。唐突な行動、速度に猟兵達の反応は僅かに遅れる。特に、無自覚に禁句を漏らしたネージュは何が起きているのかを未だ理解できていなかった。
 そのままの速度でネージュに迫る亡霊。だが、その間に割り込む者がいた。
「てめーもまたスピードに魅せられた存在という訳だなッ!」
 ――星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)だ。超宇宙番長と名乗る彼が、騎乗するバイクを変形させ、その機動力により亡霊に向けて特攻、バイクで体当たり。勿論、スピードに魅せられた彼はバイクを台無しにするような事はしない。しっかりと、この後のレースに向けての余力を残している。……あれ、サイクルレースじゃなかったっけ? というのは禁句である。
「何、あなた。これから私は精霊を奪って私が精霊使いになるのに」
「スピードに魅せられたんじゃねえのか!?」
「それだけは違う」
 真顔で返す亡霊。
「ああ、そうかい。なら、なら魅力を教えてやるよッ!」
 バイクのエンジンが唸りを挙げて、亡霊を空間奥へと押し込んでゆく。だが、それを亡霊も素早い動きが抜け出すと、周囲に浮いている別の生霊が形を変えて、バイクのような形状をとる。
「なるほど、今はこういうのがあるのね……便利な事で!」
 ――そう、ヒカルのユーベルコード『ゴッドスピードライド』を身に受け、止めた事でそれを理解し、古代精霊言語へと変換。生霊がその形を再現する事で、借用するに至ったのだ。
「なるほど、熱意が伝わったんだな!?」
「それはない」
 そして、亡霊は生霊でできたバイクで自らにカミカゼアタックを仕掛けて来たヒカルを追いかける。案外、短気な亡霊。先ほどまで精霊使いに怒っていたのに、特攻しかけてきた者に対し、その怒りを向けるようになっていた。
 そして、視野が狭くなっている――そう、好機なのだ。
「てめぇを倒せばレースが開催出来るんだ!」
 尾守・夜野(墓守・f05352)はそう言って、触媒となるものを投げ放つと、黒妖犬と呼ばれる死を司るモノを召喚する。幾体もの死が亡霊を追いかけていく。
 前方にはバイク、後方には数えきれない死。挟み撃ちの形となった今、亡霊はその集中を長く継続させることが重要なのを理解していた。
「ち、前と後ろとちょこまかと……」
「少しはスピードに」
「それはない」
 ヒカルは誘いをかけるが、それに応える様子はない。
「レース……スピードにはなあ、『K』が大事なんだ!」
「なんか語り出したけど何」
「騎乗、気合、鼓舞――この3つの『K』だ!!!」
「えぇ……」
 困惑した表情を浮かべながら、亡霊はヒカルを更に追撃する。――だが、あまりにも回りが見えていなかった。突如迫ってきたダガーに亡霊は気が付かず、裾にダガーが突き刺さり、それがそのまま地面とくっつく。
 ダガーを放ったのは夜暮・白(燈導師見習・f05471)。それを裾へと投げる事で、亡霊の高速移動を防ぐに至ったのだ。
「――しまっ」
 そして、後方から迫ってきていた犬もその間に接敵に成功し、亡霊を襲う。
「やったか!?」
「それはフラグだぞ……」
 倒したと思った相手に「やったか?!」は禁句――それは、あらゆる創作物ではよくある流れだった。そして、今回もその通り。亡霊は、まだ此処にいる。倒れない。倒さなければならない。
「――くっ……!」
 まだ、健在。傷こそ負っているが、致命傷にはまだ遠い。冷静に考え、この猟兵達を確実に屠るにはどうすれば良いか――それを考えたのだが――。
「あれ、まだ生霊見てないんですけど?」
 ネージュの言葉に、再びかちんときた亡霊は、「ああ、もっかい言ってみろ!」と叫んだ。そして、再び生霊を身にまとり、足跡バイクで迫ってくるネージュに対して、そのままカミカゼアタック――となる筈だったのだが――。それは叶わず。そう、彼女が生きていたのという。そして――。
「やってやるぞこるぁあああああああ!!!」
 漸く、最初に立ち戻り、バイクでネージュの下へと駆ける。――だが。
「な、精霊――!」
 ――足跡バイクは生霊たちによって防がれた。そして、そこへ精霊の力でバイクを防ぎ切り、バイクを相殺、もとの生霊の姿かたちへと変化。だが、亡霊も冷静にバイクから身体に纏う方式へと切り替える。しかし、その瞬間をネージュや他の猟兵達も逃さない。
 ダガー、死の犬、精霊魔術による氷弾が亡霊を追いかける。素早い動きで振り切ろうとするが、そこへヒカルのバイクが加わる。
「よお、スピードは――」
「くどい! ――あ」
 再びスピードへの勧誘を行い、それに気をとられた亡霊は、集中砲火をそのまま身に受ける。聞こえちゃいけない効果音とか聞こえたような気がするが――。
「よくも、やって、くれたわね――」
 体は無事である。服はボロボロで、息もぜえぜえ切らしているが、身体は無事。そして、生霊がボロボロになった服を補うように集まっていく。
 だが、周囲を浮いている生霊たちが減っているのか、色が薄くなっているようにも見える。――敵は無理をしている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

セルヴィ・アウレアム
「残すはもう一体。…頼もしい援軍も来よったことやし、ぱぱぱっと片付けてまうとしよか。」

●行動【虹色広場】メンバーと連携。「UC:マギア・ガトリング」を使用。
「装填良し、照準良し、空転良好…ムギムギ、撃つから伏せぇや!」
敵からのターゲットを取っているであろう仲間、鳩麦・灰色に声をかけつつ、威力重視のガトリングを全弾叩き込む。
撃ちきった後、自身にヘイトが向いているようであれば後退、二人の男衆が狙いやすいように攻撃を誘導。
自分にヘイトが向いていないようであれば、接近しダガーによる追加攻撃を狙う。


鳩麦・灰色
【虹色広場】で参加

人型シルエットなぁ。気になるけどなぁ
ちょっと話してみたいとは思うけど、敵やからね
そこにおった理由は何であれ止めさせてもらうで


チームの回避壁として行動
鉄パイプを地に当て鳴らしながら【存在感1】接近し注目される

【ダッシュ6】【クライミング5】【地形の利用9】で駆け
【第六感5】【残像2】【視力3】を活かし【見切り6】で回避重視

敵が目標を変えれば急ぎ接近
射程外だとしても敵の攻撃前にUCを使用
狙わなければ高速高威力短射程のUCを当てられるという挑発で
再度注目を自身へ向けさせる

「なぁアンタ、なんでこんなとこおるん?」
「アンタ、私を無視して大丈夫? これ結構痛いけど」

※アドリブ改変歓迎


ジノ・シュナイダー
【虹色広場】で参加。
セルヴィが頑張ってるって聞いて、灰色さん/真紅さんと一緒に応援に来たぜ。

【ダッシュ】で敵との間合いを詰めて【シュナイダーボディβ】による突きや蹴りを繰り出すぜ。
【怪力】まかせの重い一撃と、素早い【2回攻撃】を織り混ぜることで、緩急つけて攻めていくかね。
…と、並行して敵の行動パターンを【サイバーアイ】で解析。隙を探るぜ。

敵に疲労の影が出始めたら、隙をついて【グラップル】を駆使したホールドを決行。
【気合い】を込めた【ジノ・背負い投げ】を繰り出すぜ!!

このレース、楽しみにしてる奴らがいるんだろ。
それを邪魔するなんて野暮なこと、見過ごせるかよ。
(アドリブ歓迎)



●状況終了! 待望のレースへレディーゴー!
 憎悪の視線を猟兵達に向け、肩で息をする亡霊。そも、亡霊で息をするというのも疑問符ではあるが、人型である以上そういうものかもしれない。兎も角、敵である亡霊は、先ほどまでのハイペースの戦いに、疲労の色を見せていた。
 これこそが好機。これこそが勝機。猟兵達が見逃す訳もない。
「残すはもう一体。……頼もしい援軍も来よったことやし、ぱぱぱっと片付けてまうとしよか」
 そう言ったのは、ポルダーガイストとも戦い、そのまま進んで亡霊との戦いにも身を投じる事になったセルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)。そして、その傍らには頼もしい援軍――鳩麦・灰色(音使いおおかみ・f04170)とジノ・シュナイダー(お調子者系強化人間・f14166)がいた。片や鉄パイプを片手に、地面で音を鳴らし、片やパシィッと拳を鳴らし、敵を眼前に捉えた。
 二人とも近接戦闘を得てとするインファイター。故に――その瞬間、二人は地を蹴り一気に亡霊の下へと駆ける。まさしく疾走、常識から外れた猟兵だからこその速度。
 しかし、生霊を纏う亡霊も速度では負けてはいない。逆に二人の下へと一気に迫る。前衛を速く屠り、後衛まで叩き潰す――そういう魂胆なのだろう。
 更に、掌から黒炎玉を放つ。揺らめく炎の玉が灰色とジノを襲う。二人の足を止めようという意図か、進路の先に置くような形で放たれたが、その炎の玉を灰色は持ち前の直感と跳躍力で飛び越え、速度を殺さず亡霊に肉迫する。
 思わぬ動きに動揺を隠せぬ亡霊の前に灰色が飛び出ると、唐突に柏手を放つ。――だが、その柏手はただの柏手にあらず。彼女のユーベルコード『真音型 "一番"』。それは、邪気を払う一撃。
「大丈夫? これ結構痛いけど」
「う、ぐ……っ」
 物理的に当たったわけではない。だが、だというのにその一撃は届く。その異常さに亡霊は驚きを隠せない。――しかし、それだけでは終わらない。
 その衝撃の隙に、裏に回り込んでいた者がいる。それがジノだった。灰色の柏手による僅かな一瞬で、炎の玉が打ち止めとなった隙をついた形となる。また、それらの動きは彼のサイバーアイでの予測通りでもあった。
「――沈めぇっ!」
 動揺に動きが鈍くなっているところを、持ち前の怪力で亡霊をホールド。本来なら生霊を纏って高速移動で抜け出すのだろうが、そうはいかない。既にここまでの戦いで生霊も消耗している。亡霊自身も疲労している。故に、抜け出す事は叶わない。尤も、それを見極めたからこその、ジノの一撃がこれから放たれる。
 それは――背負い投げ。力任せに地面に叩きつけているようにも見えるが、それだけはない。しっかりと亡霊を掴み、相手の重さすらも利用して綺麗に叩きつける。美しく、力強い。そして、その衝撃に地面が壊れる。破片が飛び散り、灰色は飛び退く。ジノへも破片が飛ぶが、その程度のものを気にするジノではない。
 ――そして、ここでどこから兎も角なにかが回転するような音が響き渡る。
「装填良し、照準良し、空転良好……撃つから伏せぇや!」
 その言葉、セルヴィの声を耳にして、ジノも飛び退く。判断の遅れた亡霊を、セルヴィのマギア・ガトリングが捉えた。魔力弾が何発も何発も亡霊へと雨のように突き刺さる。亡霊も生霊を身に纏い、それを防御に転用するが、それでも追いつかない。その内、生霊も尽きてその身に直接魔力弾が突き刺さっていく。
 一つの弾倉を撃ちきり、砲身も冷却時間に入る。そして、煙も晴れればそこには力尽き、伏せた亡霊が其処にいたが――それも、消滅していく。言葉はない。単に、今回はたまたま出現し、それが此処だった。そして、大事なのはそんな事ではないのだ。……いや、猟兵にとってオブリビオンの討伐は大事ではあるのだが、主題はそこではないのだ。
 第●●回迷宮サイクルレース……その開催時間が迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『スチームサイクルレース』

POW   :    全力で自転車こいでパワーで突っ走る

SPD   :    華麗なサイクリングテクニックでトップを狙う

WIZ   :    計算や推測から最適なコースを見極め躍り出る

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●開会式
 レースの危機は去った。その事を主催者は特に知らないが、とにかくこれでレースの準備はできたという事になる。そして、当然の事ながら開会式が執り行われた――。
「えー、本日は……」
 長い責任者の話。それをまともに聞く者は然程いない。とにかく、スチームサイクルレース……その本番が迫っていた。ルール説明によれば、個人戦であり、必要以上のチームプレイは数秒間の速度制限等のペナルティがあるようだった。また、原則としてはアルダワ学園で管理しているスチームサイクルを利用する事とあるが――。
「あ? 馬とか宇宙バイクとか使っていいのかって? 当たり前だろ! なんてったって、アルダワのスチームサイクルは全世界一ィィィ!!! UMAとかにも負けないっての、勝てるもんなら勝ってみやがれ1」
 ――等と、今回のレース主催者側、特にサイクルのレンタルを担当する技師たちはそう豪語したため、宇宙バイクや馬での参加も可能だ。――尤も、接地している事が前提のため、飛ぶのは厳禁という事になる上、レンタルできるサイクルは今回の会場に合わせたチューンや調整がされている。
 そして、レース場は大きなコースを1周。時間にして凡そ1時間と言ったところ。長丁場のレースになるのは間違いなさそうだった。
 レースまでは、あと僅か――。

―――――――

●ルール説明(メタ)
 どうも、暁文空です。メタ視点でこれより今回のルールを説明します。今回のレースは、3度の判定を行います。
 1・スタート
 2・難所
 3・ラストスパート
 この1~3について、それぞれダイスでの判定を行います。使用技能やプレイングによってボーナスはありますが、基本はダイスと思ってください。ダイスに合わせて描写を考えるつもりでいます。
 また、プレイング提出についてですが、このレースに力を注ぎ、多くの参加者を募り、全て採用としたい為、勝手ではありますが、

 3/10の8時30分~3/11の12時30分

 の間にプレイングを送信して頂けますよう、どうか宜しくお願い致します。
 説明は以上となります。1章~2章不参加の方による、レースにのみ参加も受け付けておりますので、どうか宜しくお願い致します。
 また、レースには参加せず、何らかの形でレースに関わるといったプレイングも受け付けておりますので、どのような形であれ、参加お待ちしております。

―――――――
セルヴィ・アウレアム
「さあ、張った張った!今回はぎょうさん猟兵が参加しよるから、大どんでん返しが巻き起こるかもしれへんでぇ!」

レース会場の一等地。購買部の名目で借りきった場所に簡易プレハブを立て、軽食の販売とレースのノミ行為を始める。

さらにその傍ら、レース防衛戦での猟兵たちの活躍をすこし誇張して記載した「予想本」を、部員に売らせる。

「はてさて。あれだけ頑張ったんや。労働に見合うくらいには儲けさせて貰わんとなぁ。」


トレイシー・ライト
 レース、ね。まあ、無事に開催できてよかったよ。折角だし、俺も参加していこうかな。
 技師さんお勧めのサイクルもいいけど、俺も宇宙バイクはそこそこ整備してるんでね。乗り慣れたやつで参加するよ。
 別にチームとかは組まないし、人の邪魔もしない。レースは自分との戦いだからな。長丁場だし、慎重にいこう。
 【騎乗】に【操縦】のテクニックで障害物をよけ、やや後方から先頭集団の動向をうかがい【追跡】しながら、難所だろうと切り抜けていくさ。終盤では【ダッシュ】を使って一気に追い越しゴールを目指す。
 ……まあ、勝っても負けてもレースって楽しいもんだから。良い記念になるかな。


ジノ・シュナイダー
「この活気、このノリ…いいねぇ。嫌いじゃないぜ」
チャリ貸りられるんだろ?
折角なんで俺もレースに参加してみるかね。

自転車漕ぎ…ペダリングの要は脚力だよな。
準備運動は念入りにやっとくぜ。
そういやさっきの戦闘で地面が派手に壊れてたけど…あれ、コースじゃないよな?

レース序盤は様子見。先頭集団からちょい離れて動向を見守るぜ。
「みんな飛ばすなぁ。着いていくのがやっとだぜ…」

最終コーナーに差し掛かったら勝負を仕掛ける!
【ジノ・S・コンバット】を発動し、手数…いや足数重視で兎に角漕ぎまくって内側から差し、そのまま一気に直線を突っ切るぜ。
「見せてやるよ、シュナイダー機構の底力ってやつを!」
(アドリブ歓迎)


レイ・アイオライト
「レース、なんでもありならあたしは相棒と行くわ!」
飛び入り参加だけど全力で行くわよ!

【紫電奔る雷霆の孤狼】でガルンを召喚、雷を纏いながらレールガンの如く走り抜けるわ。

難所は『第六感・情報収集』で通れそうな道を探して突き進む。

ラストスパートは雷と影の噴射でダブルジェット、最後の最後まで諦めないわ。

【ワンダレイ】の皆と結果について待機。正々堂々とやるレース、悔いは残らないようにしたいわね。


須藤・莉亜
「へぇ、レースね。面白そう。」
飛び入りで参加させてもらおう。

首なし馬を召喚、彼に騎乗してレースに参加。
「電車に追いついて見せた、コシュタの速さを見せてあげる」
スタートダッシュを決めれたら良いんだけどねぇ。

基本は誰かの後ろについて風の抵抗を抑えつつ走る。
難所では念動力でコシュタの動きをサポート、さらに地形を利用してのジャンプなどで先に進んで行く。
ラストの直線で一気に前に出て勝負に出よう。

あ、難所に水を渡る系の場所があったらそこでリタイアで。
コシュタは水の上を渡れないんで…。

レースの結果は【ワンダレイ】の皆と確かめる感じで。


星群・ヒカル
【ワンダレイ】

いよいよやってきたぜこの時が!
今回ばかりは協力もなし、勝負の時間だぜ

宇宙バイク「銀翼号」と共に行くぞ
ふふふ、爆走番長の名にかけて、おれたちの力を見せてやろうじゃん! (負けると思っていない調子ぶっこいた顔)

『騎乗』しつつ直線をぶっちぎるッ!
勢いのまま銀翼号を特攻形態に変形(ゴッドスピードライド)させて、さらに加速させよう
難所は障害物を『視力』で捉え回避 『第六感』で難所を越えるぞ
ラストスパートはもちろん3つのK
スピード狂のあの娘も骸の海から応援してくれているに違いない(しみじみ)

勝ったら喜びのジャンプだッ!
負けたら……この超宇宙番長に勝てるとはなかなかだな、と賞賛しよう


フロッシュ・フェローチェス
【SPD】
へぇ何でも良いんだ。
それじゃあ――ComeOn【駿馬蹂躙(レッドチャリオット)】。
ガジェッティアとしての、メカニック技術を取り入れた機械生物。
そして魔導核を搭載した御者台だよ。
アタシも技術者として、速さに拘る者として負ける気はないから。

スタートダッシュは……確実に行こう。
衝撃波を後ろへ放って爆速ダッシュだ。上手く行くかな?

難所はホロデバイスゴーグルに寄る情報収集と、早業での重心切り替えで乗り越えていきたい。
馬達へ伝える「加速式」を活かし、減速から立て直す事も前提に入れようかな。

ラストスパートは己を信じ出力上昇。戦車諸共吹き飛ばしているかのような急加速をかけ一気に行くよ。
※アドリブ歓迎


尾守・夜野
【POW】全力でスレイ(馬)を駆る。
テクニック?んなもんねぇよ!

スタートダッシュを決めようとはするが…
まぁ馬だしな。

合図の音が大きければ、吃驚してペースとか無視して走って行くだろう。
まぁそこは宥めるなりするが。
難所も走るのはスレイだからな。スレイのペースで確実に進んでもらうぞ

勝負を決めるとしても狙いは最後のコーナー付近だ。
走れ!疾風のごとく!地を踏みしめて加速しろ!【ダッシュ・踏みつけ】 

結果はどうだ…?
【ワンダレイ】の仲間と共にどきわくしながら結果を待つな。
どうであれワイワイ楽しめたらそれでいいな。


ネージュ・ローラン
【ワンダレイ】で参加。
ついにレースですね。
仲間が相手でも勝負は本気ですよ。

わたしの相棒はこの子です。
UMA枠(?)として【精霊獣召喚の舞】で氷狼を呼び出し【騎乗】して挑みます。
スタートは様子を伺い、他の参加者の【情報収集】を行います。
難所では先行する人の様子から突破しやすいルートや手段を【見切り】抜けようとします。
ラストスパートではこれまでの情報から勝負を仕掛けるタイミングを見極めて逆転を狙いましょう。
スパートで底力を出し切れるように氷狼を【鼓舞】します。

最後にはお互いの健闘を讃え合えるようなレースにしたいですね。


夜暮・白
わ。思ったより人が多い。スチームサイクルもすごいけど、やっぱり【ワンダレイ】のみんなが乗るバイクや動物って壮観だよね。格好いいなぁ。

僕は何も持ってないので学園から借ります。ちょっと練習したけど、大丈夫かな?(漕げるかダイス判定希望) テクニックとかそんなの無理だし、あんまり考えないようにしよう。速さは舵がきれる範囲で、あとは[野生の勘]でいくよ。わー。風は気持ちいいけど、大勢で走るのけっこう怖い!

乗れそうになかったら冷たい飲み物を用意してゴール地点へ。みんながゴールする瞬間も見てみたかったんだ。最初は誰かな? 一番の人にはたくさん拍手するよ。

すごい熱気。いいな。こういうイベントも楽しい。


鳩麦・灰色
よっしゃレースや。こういうん一回やってみたかってん
でも別に乗り物あるわけちゃうし、ウチはこの世界一とやらの
スチームサイクルでどこまで行けるか試してみるで!
小細工はしつつ、な


予め、そして競争中でも【情報収集5】でコースや【世界知識2】の情報を集め走行ルートを決める

【ダッシュ6】【クライミング5】の脚力、バランス力で加速

【残像2】で後続を惑わせ、前を【追跡1】で追う

複雑な地形や障害物は情報と【第六感5】で地形を【見切り6】、【地形の利用9】で越える
妨害可なら跳ねた時に音が出るよう着地
着地音を周囲に広がる【範囲攻撃5】の弱い【衝撃波6】へと変えさり気なく周囲のバランスを崩しにかかる


アドリブ大歓迎



●試走だってあるんだよ
 レース開始までまだ少しある頃。当然ながら、レース会場や乗り物について、初見というのは流石にレースとしては頂けない。初見殺しなんて用意してしまえば、地元かつ複数回出場している上級生が有利過ぎる為だ。勿論、上級生が有利なのは間違いない。
 兎も角、コース上に、レンタルのスチームサイクルや自前の乗り物で入り、コースの確認を行う事は自然な事だった。
「わ。思ったより人が多い」
 そこには不安な表情を浮かべてスチームサイクルに跨る夜暮・白(燈導師見習・f05471)がいた。今回のレースに適切な乗り物はなく、レンタルする事に決めていた。そして、果たしてそれに乗れるのかという事で、試走する事にしたのだ。
 跨り、ペダルを漕ぐ。すると魔法蒸気機関が稼働し、回転数を上げてゆく。強制ブレーキが押し込まれていたところを引き抜くと、少しずつ前進してゆく。
「お、お?」
 ペダルを漕ぎ続ければ、機関の回転数が増えてゆき、加速する。カチ、とギアチェンジをすれば、より速度を増してゆく。サイクルというだけあり、ペダルを漕がなくてはならないが、積まれている魔法蒸気機関はそれなりの代物。漕ぐ力が強ければ、スピードも出やすくなるのだ。
「これなら、大丈夫かな」

●競争と賭け事はズッ友
 レースを前に会場の熱気は高まっていた。そして、その一角には――賭け事が、行われていた。当然の話であるが、あまり良い話ではない。魔法『学園』である以上、学生として賭け事は如何なものか、という事ではあるものの――まあ、避けようのないものなのだ。
 オブリビオンによるセルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)は、このサイクルレースについては、初めから其方を目的としていた。レース会場の一等地。購買部の名目で借りきった場所に簡易プレハブには軽食目的の学生もいれば、賭け目的の学生もおり、人口密度は高くなっており、そしてそれが賭けを隠す壁にもなっていたのだった。
 更に、売り物の中には、防衛戦での猟兵たちの活躍をすこし誇張して記載した『予想本』があった。それを購買部の部員が売り、それを元に賭けの材料にするものもいる。
「はてさて。あれだけ頑張ったんや。労働に見合うくらいには儲けさせて貰わんとなぁ」
 ニヤリ、と笑みを浮かべるセルヴィだが、この人混みの中に学園側の内通者がいる事をまだ知らない。この後、賭けで儲けを出したものの、その多くを内通者の袖へと消える事となるのだが――まあ、それはまた別の話である。

●シグナルグリーン!
「てーててれーてててー! ててててー! ててててー! ってっててーてーてーてーてーてー! てーてーてーてーてーてー! てててててー!」
 唐突にそんなことを口ずさむ一人の学生。ファンファーレのつもりだろうか。まあ、それはともかくとして、レース開始まであと僅か。コースの端にあるランプに赤い灯がつく。一つ、二つと灯がついてゆく。五つ灯った直後、赤い灯が緑の灯へと切り替わる。シグナルグリーン、そう、レース開始だ。
 それを見て、各参加者が強制ブレーキを引き抜き、一気に加速してゆく。その参加者の大半は自前のスチームサイクルあるいはレンタルのスチームサイクルなのだが、明らかに違う姿がちらほらと。その殆どは猟兵――アルダワ魔法学園においては『転校生』とも称される存在だ。
 宇宙を駆ける事もできる宇宙バイクで参加しているのはトレイシー・ライト(スターシーカー・f05807)、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)だ。二人ともレース開催の危機を救った猟兵だ。自身の駆るマシンの性能を信じ、自身の操縦技術を信じた結果、レンタルのスチームサイクルなぞ使わず、コースを攻略するつもりでいた。
 実際、スタート直後のストレート。スチームサイクルよりも初速に優れる宇宙バイクは一斉スタートにおいては正しく最速だった。影では「くっそ、あんな玩具に負けんじゃねえぞ!」というレンタルの担当者の声も響いているが、そんな事は関係ない。まあ、バイクもバイシクル、サイクル、という繋がり自体はあるのだから、まだ、良いとして。
 問題は――
「レース、なんでもありならあたしは相棒と行くわ!」
「電車に追いついて見せた、コシュタの速さを見せてあげる」
「アタシも技術者として、速さに拘る者として負ける気はないから」
「行くぜスレイ!」
「我が舞に応じ、具現せよ精霊の化身」
 各々の、独自の騎乗するモノを用意した者達である。いや、ルール的には問題もないし、レース前にレンタルの担当者が「ウチのスチームサイクルは世界一!」「UMAでも何でも持ってきやがれ!」とかあれこれ言ってしまったのが原因だってはっきりわかんだね。
 閑話休題。
 レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は鳴雷の大狼――ガルンを召喚し、それに騎乗していた。雷を纏い、レース開始直後から一気に加速し最高速に乗せる。だが、それに追随する者もいる。須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は首のない馬――コシュタを召喚していた。此方も馬とは思えぬ加速を見せ、スチームサイクルを置き去りにしてゆく。ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)もまた、精霊獣――氷狼を召喚しこれに跨っている。流石に本当に馬、あるいはUMA枠に負けるとは考えていなかったレンタル担当者もこれには口をあんぐりと開けるしかない。
 フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)はガジェッティアとしての、メカニック技術を取り入れた機械生物――駿馬蹂躙(レッドチャリオット)を呼び出し、此方もまたスタートから飛ばしていた。フライングをすることなく、また眼前に迫る第一コーナーに向けて舵を切るだけの余裕もまだある。
 そして、尾守・夜野(墓守・f05352)もまた、馬である。スタートの合図、及び他の参加者の急加速に驚いた愛馬スレイが地を蹴り一気に加速して最高速で駆けてゆく。それを御しきれるとは夜野は始めから考えていなかった。だが、スレイの健脚を信じていたし、負けるつもりは今のところまだなかった。レイも莉亜も単に疲れをとりたかっただけだが。
 ――だが。

●最初のコーナー! 直線番長は死ぬ、慈悲はない
 このレースは直線だけではない。それならゼロヨンだとかドラッグレースでも良いのだ。このレースは、迷宮をぶち抜いて作り上げたサーキットを舞台とした小一時間の勝負なのだ。そして、だからこそコーナーがある。そして、コーナーは曲がる為にも減速が必要なのだ。
 優れた技術で速度を維持したまま曲がる、という事もない訳でもないが――少なくとも、スタート直後、なるべく前に出よう、という意思を持っている以上、この第一コーナーは多くの参加者が此処での脱落を余儀なくされる。勿論、倒れる、続行不可能――というものもないわけではないが、正確には優勝争いからの脱落ではあるのだが。
 そうして、参加者が優勝争いから脱落してゆく。勿論、後でこの後れを取り戻す事は不可能ではない。――しかし、ここでの脱落は優勝争いに加わるのは難しい。
「――おい、ちょ、スレイ!」
 馬は止まらない。愛馬、スレイは止まらない。止まるんじゃねえぞ――とか言っている場合ではなく、最初のコーナーの外壁にスレイがぶつかりそうになり、夜野は焦りを隠し切れない。寸でのところで、スレイの脚は止まり衝突は避けられたものの、この後れはこの後の優勝争いからの早速の脱落だと気づくのにそう時間はいらなかった。
 対するフロッシュ達はこのコーナーをなんとかクリアしてゆく。ホロデバイスゴーグルによる情報収集と、早業での重心切り替えにより、ほぼ初見のコースであったとしても決め球を決め打ちする胆力には舌を巻くしかない。そしてその後ろにきっちりとついたのはレイと莉亜だった。
 コーナー直後の立ち上がり、ストレートの速度でそのまま曲がろうとすれば、そして、この第一コーナーで旧居の目標はあくまでも想定していなかったものだった。

●限界旋回
 レースが始まってから、最初のコーナーもなとか潜り抜け、今に至る。猟兵として鍛え上げられた超の字が付ける程のものだったり、優れた実力者が少なくとも――この場面においては必要最小限度のコーナーの攻略や運が必要となっているのだった。先程の最初のコーナーもそうだが、このコーナーは連続したコーナーだ。一つコーナーをクリアしたところで、その次につながるようなラインを辿る必要があるのだ。
 そしてまた、連続したコースの攻略には、直線で一気に他の参加者を置いていけるような性能ではなく、総合力やバランスというのが重要視される。
「みんな飛ばすなぁ。着いていくのがやっとだぜ――けどよ」
 最初のストレートにおいて、ペダルを漕いでも漕いでも上位勢に追いつけなかったジノ・シュナイダー(お調子者系強化人間・f14166)だったが、此処でついに勝負所の一つであると判断。スチームサイクル以外を持ち込んだり、最初のストレートで何よりも先に最高速や加速を優先して改造していたものたちが、このコーナーで大きな減速を余儀なくされているのを見て、直感的にブレーキやハンドルを弄り、周りとの相対的な評価として、順位を少しずつ上げてゆく。
 氷狼を駆るネージュは、序盤で他の参加者を突き放すには至らなかったものの、この難所で順位を落としてゆく他の参加者、そしてその中に含まれている他の猟兵達を尻目に、相対的に順位を上げてゆく。
 更に、此処にジノと同じくスチームサイクルのレンタルでここまでやってきた鳩麦・灰色(音使いおおかみ・f04170)が上位争いへと加わってくる。ペダルを相当な速度で回転させ、コーナーではうまく回転数や舵をコントロールし、最短最速のラインを描き、難所をクリアしてゆく。
 無駄のない旋回。そうして勝負は最終局面を迎える。

●そして栄光は
 最終コーナー。大きな傾斜を使った左コーナーがあり、そこを抜ければ後はまっすぐ進むだけ。スタート地点だったストレートこそが、そのままゴール地点となっている。コーナーでぶち抜くか、あるいはコーナーを無難にクリアしゴールまでの間のストレートの最高速度で抜き去るのか。ありとあらゆる勝利へのラインが選択肢として参加者に与えられる。
 ジノか、ネージュか、灰色か。ここに来て、レンタルでの参加組が二人上位三名に含まれていた事で、レンタル担当者の顔には笑みが浮かんでいる。だが、ここから先はもう性能云々よりも本人たちの駆け引き次第と言えた。
 そして、最後のコーナーは思ったよりも道幅が狭く、最初に飛び込んだものが大きく有利と言える。故に、現時点で首位のネージュは後ろの二人をブロックしながら、コーナーへと突入する事になる。インを確保し、抜かれないように左旋回を行うのだが――。
「見せてやるよ、シュナイダー機構の底力ってやつを!」
 急に、甲高い音が鳴り響く。それは、ペダルを極限まで回転させ、その結果力があふれて音として漏れている音だ。だが、本来このスチームサイクルでそのような事は起こり得ない。力のロスが発生しないような造りとなっているからだ。だというのに、そのような音が出るのであれば理由は一つだ。――それは、設計者の想定をはるかに上回るケイデンス、回転力により、どうしても力が溢れてしまったがための音なのだ。
 そして、この甲高い音にネージュは焦りを覚える。そして、その感情からかインにつこうとする力に若干の緩みが発生する。しまった、と声を漏らそうとも、もう遅い。
 一気にインへと飛び込み、ネージュとサイドバイサイドとなったところでペダルを漕ぐのを一時的にやめて、エンジンブレーキしつつブレーキも少々。後輪が滑り始めるが、それを気合で抑えてコーナーを抜けてゆく。更にその動揺をつく形で灰色もインをつく。これ以上のオーバーテイクは許したくない、ネージュだったが、ほんの少しの段差で浮いてから着地した灰色のスチームサイクルから若干の衝撃波が漏れ出て、これによって本格的にアウトコースへの避難を余儀なくされて首位争いからは脱落。
 後は、ジノと灰色の一騎打ち。
「こういうん一回やってみたかってん――!」
 互いにペダルを極限まで回す。甲高い音が鳴り響く。そして――。チェッカーフラッグが振られる。
 ――結果、首位、優勝に輝いたのは、ジノ・シュナイダー――機械化された身体を、極限まで活かした走法で、ありとあらゆる手段を用いた参加者たちを、その身と技術で後ろへと置いていったのだった――。

●祭りの後に
「この超宇宙番長に勝てるとはなかなかだな」
 ヒカルは負けた事に悔しさは感じていたが、素直に勝者に賞賛の言葉を投げる他なかった。コースの特徴として、最初のストレートはともかくとして、コーナーにおいてはやはりスチームサイクルの方が優れていたようだった。無論、それでも最後まで自らの身内、同旅団に属する者がスチームサイクルを使わず3位入賞を果たしているだけに、愛車を理由に負けた、とは絶対にしたくないという気持ちがそこにはあった。
「馬はやっぱきつかったか……」
 同旅団の夜野も口ではそうは言っているが、愛馬スレイに対して文句がある訳では一切ない。自らが愛馬と共に戦いたくて、こうして参加したのだ。その顔には悔いはどこにも見当たらなかった。
「でも、良い勝負でした」
 3位入賞を果たしたネージュの顔には、悔しさはともかくやりきったという充足感も見て取れた。最後に捲られる形となったのは確かに非常に悔しいのだが、それ以上の達成感、というのがあった。
「すごい熱気。いいな。こういうイベントも楽しい」
 白もまた、レースを楽しんでいた。上位との争いには加われなかったものの、レースの熱気に心地よさを感じているようだった。
「次は、リベンジだな!」
 誰がそう言ったか。だが、その言葉には誰もが同意していた。
 こうして、祭りは終わってゆく。だが、この楽しさが忘れられず、次回、そのまた次回のサイクルレースが開かれる。その熱気の中に、再び猟兵達は身を投じる事になるのだが、それはきっとまた、別の機会の話となるだろう――。

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Result(メタ・参加猟兵のみ、一般学生除く)
1位:ジノ・シュナイダー 27Pt
2位:鳩麦・灰色 26Pt+ネージュとの対抗判定ダイス
3位:ネージュ・ローラン 26Pt+上記灰色との判定ダイス
4位:トレイシー・ライト 23Pt
4位:須藤・莉亜 23Pt
6位:フロッシュ・フェローチェス 22Pt
7位:尾守・夜野 21Pt
7位:レイ・アイオライト 21Pt
9位:星群・ヒカル 18Pt
10位:夜暮・白 14Pt(●試走の時点での判定を除く)

(※Ptについて 各セクションごとに1D100、その平方根をPtとしてその合計を順位反映、その後プレイング・技能から適当に対抗のダイス勝負としたもの)

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大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月13日


挿絵イラスト