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【SecretTale】investigation

#シークレット・テイル

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#シークレット・テイル


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●rift in peace.
 |侵略者《インベーダー》・モルセーゴの事件が終わり、すべてのモルセーゴを消滅・帰還させ終えたところで、負傷者や損害などをチェックしているセクレト機関の人々。
 ジャック・アルファードの存在や、エルドレットへの疑惑等様々な情報が出ているが、それらを目に通す前にまずは損害を確認しろ、とヴォルフからの指令が下りた。

 そんな彼らの手助けを行うために、西部諸島の漁港「マリネロ」からも助っ人が数人ほどやってきてくれた。
 彼らは司令官エルドレットに対して頼みたいことがあったそうで、ちょうど良かったという声が上がるほど。

 ……というのも漁港の人々に混じって、明らかに漁港の人間ではない女性の姿があるのだ。
 女性は突如マリネロの空から降ってきており、漁港ではどうにも対処が利かないため、セクレト機関で保護して欲しいとのこと。
 しかしエルドレットは現在も眠っており、表に出ることは出来ない。そこで燦斗とヴォルフがその女性の前へ立ち話を聞くことに。

「おやおや……まさか、まさかの」
「エーリッヒ、知り合いか?」
「ん……いえ、全然?」

 燦斗とヴォルフは今一度、女性の姿を焼き付けるために頭から足先までを見ていく。

 ラベンダー色の髪。前髪を右側に大きく分けたその女性は、若草色の服を着ている。
 誰かからのお下がりである新緑色のベストは、腰より下に少しだけ伸びている。
 茶色のズボンは彼女の服装によく似合っているが、よく見れば土埃で汚れている。どこかで走っていたのだろう。

 彼女は燦斗とヴォルフを前に、少しビクビクしている。
 なんなら、助けてくれた漁港の人々の後ろに隠れてしまって前へ出てくる様子はない。

 こんな状態故にほとんど会話も出来ず、どうしたものかと考える燦斗。
 彼女がどこから来たのか、どうしてそんなに怯えているのか、等を聞き出してみたいが……どうにも燦斗とヴォルフでは聞き出すことは出来ないようで。
 あとは現地に足を運んで調査をする必要があるが、現在機関内部の修復を急がなければならないため調査員を出すことは出来ない。
 行き詰まりかと思われたが、ふと燦斗の頭によぎったのは、もう一人の協力者の顔だった。

「――……。ヴォルフ、ちょっとお願いがあるんですが」

 燦斗は1つ、司令官補佐であるヴォルフに一切使われていない部屋の使用を提案する。
 それは一種の賭けでもあるのだが、エルドレットが眠っている今はそれにすがるしかないのだ。


●協力者、ジャック・アルファード
「で、緊急で使わねぇ部屋を空けてもらったわけか」
「そういうことです」

 燦斗の頭によぎったのは、前回共に戦ったジャック・アルファード。
 彼の目的が研究書籍を守ることだと知った燦斗は、ひとまず『彼は協力者である』と判断出来た。
 父であり司令官のエルドレットが何も言ってこないのが何とも不気味だが、何も言わないということは協力者と同義だと決定づけたようだ。

 しかし裏を返せば、まだ彼はヴォルフ達からは敵視されている可能性がある。
 そのため使わない部屋を空けてもらい、その場所で彼と密談することにしていた。

「それで俺に何の用だよ。狼のおっさんとエミーリアにゃ、俺のこと話してないんだろ?」
「そうですね。父が緊急で|眠らされている《・・・・・・・》ので、あなたの情報はあちらには流していません。あなたに用というのは……」

 ス、と写真を見せた燦斗。
 彼は先程のマリネロに落ちた女性の写真を撮っておいたようで、それをジャックに見せた。

 写真の人物が目に入った途端に、ジャックの目が見開かれる。
 その彼女はジャックにとっては一番大切な人で、ここにいるはずのない人物。
 ――その名をアルム・アルファード。彼の従姉妹であり、婚約相手。

 別の異世界にいる彼女がなぜ今このエルグランデに来てしまっているのか、それは定かではない。
 巻き込まれてしまっただけならばそれで良いが、前回のモルセーゴ同様に何かの思惑があって連れてこられた可能性も否めないのだ。

「じゃあ、俺に用って」
「はい。猟兵の皆さんと共に秘密裏にマリネロへ出向いて調査していただきたいのです」
「ふむ……」

 悩むジャック。今はまだ隠れて動かなければならない以上、燦斗と繋がりのある猟兵という協力者と共に行動するのが一番いいだろう。
 しかし……いつ敵と接するかわからない状況。はたして自分と猟兵だけで切り抜けられるだろうか……?

 そうして不安そうにするジャックに向けて、じゃあ、と燦斗は1つ提案をあげた。

「そんなに不安なら、あなたの配下も連れていきますか?」
「え」

 何言ってるんだコイツ。
 そう言いたそうなジャックの表情など気にすることなく、燦斗は簡易ゲートを作り出してある人物――もとい、モルセーゴを連れてきた。

「|ぎっぎぃ《ジャックさま》!」
「なんでぇ!?」
「エーミールに助けられたそうですよ。あなたに会いたかったそうで」

 音と気配ですりすりと頬ずりしてくるモルセーゴに対し、落ち着けとペチペチ叩くジャック。
 モルセーゴはどうやらエーミールに助けられて以後、彼に協力したいと帰還を拒んでいたようで。
 知っている味方がいるなら少しは連携も取れるか、とジャックの心も落ち着いたようだ。

「……しゃーない。コイツを助けてもらってるんだ、その恩はきっちりと返すしかねぇな……」
「ありがとうございます。マリネロまでは私が速やかに送りますので、猟兵の皆様との合流はそちらで」
「あいよ。合流するまで買い食いしとく。港町ってんだ、魚いっぱいあるんだろ?」

 ちょっとだけ、ワクワクしている様子のジャック。
 どうやら彼は海とは縁の遠い場所に住んでいるようで、魚を食べれるという喜びが表に出ていた。

「……お金、換金しましょうか?」
「あっ、頼む」

 西方諸島・漁港マリネロ。
 そこで起こった転移事件の真相を暴くことが今回の目的となる――。


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 自作PBW「シークレット・テイル」のシナリオ、第三章。
 今回はエルグランデに落ちてきた女性『アルム・アルファード』がなぜ落ちてきたのかを調べるシナリオです。

 シークレットテイルHP:https://www.secret-tale.com/

 今回はのんびりとした港町での調査のため、買い食い等も可能です。
 港町らしい食べ物はだいたい食べることが出来ます。

 また協力者にNPC『ジャック・アルファード』と彼を慕うモルセーゴ『ウェスペル』がいます。
 彼らは自分達で調査をすることも可能ですが、まだ正式にセクレト機関から認められたわけではないので猟兵の皆さんとはあまり離れることが出来ません。
 そのためプレイングで指示がなければ、その辺りで聞き込みなどをしています。

 なおウェスペルは人1人だったら背に乗せたり、足でつかんだりして空を飛ぶことが出来ます。
 空の調査(POW)を行いたいけど空飛べない……という場合にはどうぞ。

 そして今回、各プレイングの調査中に必ず乱入者があります。
 どんな状況でどんな乱入が入るかは、そのプレイング次第。
 楽しげなプレイングであれば楽しそうに近づいてきますし、頭を悩ませていたら通りすがりに一言告げるなんて動きもします。
 乱入者の情報については断章に記載致します。何をしてくるかを想像しながらプレイングを作ると、より一層楽しめるかもしれません。

 皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Mission-04
 シナリオのクリア条件
 漁港『マリネロ』の調査
 (猟兵1名につき、乱入者1名ずつ確定)

 漁港『マリネロ』調査 フラグメント内容
 POW:モルセーゴに協力を得たり、自力で空を実際に飛んで調べてみる。
 SPD:辺りを調査し、違和感がないかを調べてみる。
 WIZ:港の人々に話を聞いてみる。


 以下、乱入者の様子。
 乱入させたい者がいる場合は記載必須。


  **************


 マリネロの港は今日も少し、賑わっている。
 とは言えその賑わいは半分が市場からのもので、もう半分が落ちてきた女性の話題が多い。

 そんな中で1人の男――ライトブルーの長髪を持った、黒狐の面をつけた男が市場に立ち寄った。

「お、教授じゃないか。今日は出歩いていいのかい?」
「ああ、今日は大切な友が来るみたいでね。夕飯を少し豪華にしてあげようと思って」

 くすっと、小さく笑った黒狐面の男。
 その隣では店の子供が『教授』と呼んで、勉強を教えてほしそうにしている。

「ははあ、それならうちの新鮮な魚持ってってよ。お代はいいよ」
「おや、いいのかい? 支払うよ」
「子供が勉強で世話になってんだ、今日ぐらいは持ってっていいよ」
「そうかい。では、彼の勉強を教えた後に貰おうかな」

 黒狐面の下に浮かぶ、柔らかな笑顔。
 その笑顔は、どこか嬉しそうな表情をしていた。


  **************


 港町から少し外れた平原。倒木の上に座って空を眺める男が1人。
 肩にかけたコートを少しだけ元の位置に戻しながら、時間の流れにゆったりと身を任せている。

「……同志。俺を小間使いにするのはいいが、もう少し上手くゲートを作れんのか……」

 はあ、と大きなため息をついた男。
 痛む頭を右手で擦り、ここにはいない誰かに向けて愚痴を呟く。
 しかし、ここにいない同志に何言っても無駄か、と呟いた後に大きく伸びをすると、彼は立ち上がってマリネロの港へと向かっていく。

 そこに誰かがいるから。そう言いたげに。


  **************


「ヴィオくーん! マリネロみえたー!」
「おー、そんならちょっと走らせるで。コン、振り落とされんなよー」
「あいあーい!」

 白銀の髪の男性――コンラート・ベトリューガーと。
 琥珀色の髪の男性――ヴィオット・シュトルツァー。

 2人はセクレト機関のエージェント。
 ようやく取ることの出来た休暇で美味しいものを食べるため、マリネロの港へと向かっていた。
 それが彼らをどんちゃん騒ぎに巻き込むなんてことを一切知らずに。
黒木・摩那
モルセーゴがセレクト機関を襲ってきたり、人が空から落ちてきたりと、この世界も忙しいですね。
でも、おかげで離島にバカンス……ではなく調査です。
せっかくですから、楽しんできましょう。

まずは女性が落ちてきた場所の調査です。
スマートグラスのセンサーで探査。
落ちた衝撃で怪我はなかったですから、クッション等があった?

あとは女性が出現した上空も飛んでみます。
マジカルボード『アキレウス』で飛行。
ドローン『マリオネット』も使って周辺を【情報収集】します。

人の顔見て逃げる人はヨーヨーのUC【黒鎖刻印】で捕まえます。
何かやましいことがあるんですか??
詳しく教えてください。

島の魚料理、おいしそうですね。



●Case.1 情報収集

「モルセーゴがセクレト機関を襲ってきたり、人が空から落ちてきたり。この世界も忙しいですね……」
 港町マリネロに到着した黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)はやれやれと肩を竦めながらも、バカンス……ではなく調査を楽しむことにした。
 これまでドタバタしていたセクレト機関での騒動。休むまもなくやってきたあれこれを考えれば、今回の調査はちょっとばかり楽といえば楽なものだろう。
 ……1人と1匹のお目付け役をお願いされたこと以外は。

「遅かったな、異界人」
「ぎっ!」
 片手に串焼き、片手にコロッケを持って現れた男と蝙蝠――ジャック・アルファードとモルセーゴのウェスペル。今回の彼らは猟兵達から離れることが許されていない協力者だ。
 摩那を『異界人』と呼ぶのは彼の住んでいる世界柄のようで、特に他意はない。猟兵という言葉を知らないが故の呼び方なのだろう。
「何してるんですか……?」
「見てわかるだろ。買い食い」
「調査は……?」
「これから」
 もぐもぐと、買ったものを食べて胃に収めるジャック。
 この世界に来てからまともに食事を取れてなかったためか、食事スピードは早く、摩那が調査に出向こうとしたその時にはもう食べ終えていた。

 摩那がまず調査に乗り出したのは、空から落ちた女性・アルムが落ちてきた場所。
 港町の人々に聞いてみたところ、誰もがその出来事を記憶していたからかすぐに場所を教えてくれた。
 その場所は船着き場や街の中心から遠く離れた砂浜。あるとすれば子供達が遊びで使うボートぐらいで、それ以外は海に流れ着いたゴミなどが散乱している海岸だった。
「……ふーむ……」
 キョロキョロとあたりを見渡してみても、不審なものは見当たらない。
 逆に言えばアルムが落ちてきた時にもこの状況だったのなら、彼女は怪我をしているはずだ。
 しかし情報では彼女に傷は1つもなく、記憶障害が残っているだけ。であれば、何かが置いてあった等で救出されたと考えるのが自然である。

「おーい」
 そこへ、街の人々から情報収集をしていたジャックが摩那のもとへ駆けつけた。
 アルムが救出された時の状況などを詳しく聞いてきてくれたようで、様々な人達の証言をまとめてくれていた。
「どうやらアルムは街の人々が救助したみたいだ。コントラ・ソール? ってのを使って、極力怪我をさせないようにしてくれたって」
「では、どんな力を使ったかわかりますか?」
「風の力、重力を操る力、クッション材を作る力……って聞いてる。悪い、俺はその辺り詳しくないからよ」
 すまない、と謝罪の言葉を上げたジャック。
 だが、摩那にはそれらの力が使われた証拠を既にスマートグラス『ガリレオ』によるセンサーで獲得しているため、ジャックに謝る必要はないと述べた。
 ガリレオのセンサーは力の発動が起きた証拠――すなわち、コントラ・ソールによって操られた風、重力の変遷やクッション材となった物質のかけらなどを発見しているため、間違いなく救助活動が行われたことを意味していた。
「それなら、女性が怪我をしなかった理由についてはこれでよし。あとは……」
 空を見上げた摩那は指を鳴らしてマジカルボード『アキレウス』を呼び出すと、ボードに乗って空を飛ぶ。その様相にジャックが驚いていたが、|異界人《猟兵》ともなればそんなことも出来るのか、となにか納得している様子だ。

「空は……目視だと何もわからない、と」
 アキレウスでふわふわと浮いて、周辺に索敵ドローン『マリオネット』での調査を行ってみた摩那。目視ではよくわからないが、肌や感覚が『何かが違う』と訴えていた。
 また辺りの空気に含まれる成分が少々変化しているとドローンが検知しており、同期しているガリレオでその詳細を調査。成分についても多少の調査が行えていた。
「……おや?」
 空気中の成分を軽く調べてみると、港町の周囲には存在しない花の花粉が微量ではあるが辺りに散らばっている。
 どうやら花粉は港町周辺の風の流れが変則的なせいで風に乗って遠くへ行くことが出来ていないようで、周辺に留まり続けていた。
「でもこれって、つまり……」
 摩那は考える。こんな高度な場所に、周囲に存在しない花の花粉が存在するということは、この場所には《ゲート》が開かれたことを意味しており……じゃあ、|誰がゲートを作った《・・・・・・・・・》のか。
 モルセーゴ事件でのゲート作成者はセクレト機関最高司令官であるエルドレット・アーベントロートとなっていた。それなら同時期にやってきたであろうアルムが通ったゲートも彼になる可能性が高いが……。
 それらを考慮して、ガリレオでゲートの作成者を探ろうと試みるが……何故だかこのゲートの作成者は不明となっていた。本来であれば、どんな情報を見逃さないのがガリレオの役割なのにも関わらず、だ。
「これは金宮さんに話しておいたほうが良さそう」
 色々と集めた情報の中でも、ゲート作成者がわからないという情報。
 これだけは、自分一人ではどうすることも出来なかったため、後ほど詳しい者に伝えようと決めた。


●Case.2 逃げようとした男

「おかえり。どうだった?」
「少しだけ情報がありました。まだ確定した情報ではないのですが」
 地上へ降りた摩那はジャックと合流すると、空で手に入れた情報を伝える。
 周囲に存在しない花の花粉、作成者不明のゲート等の情報を伝えられたところで、ジャックにはどうすることも出来ないのだが。
「ともあれ、金宮さんに連絡を入れないと……」
 海岸から港町へと戻った摩那。その時、ふと摩那は肩掛けコートの長身な男と目が合った。
 琥珀色の髪を持つ男。鋭い目つきは一瞬だけ驚きと焦燥の表情を見せたが、数秒の内に摩那から視線をそらすと、街の人混みに消えようとその場を立ち去ろうとしていた。
「む。人の顔を見て逃げようとするなんて……」
 絶対になにかある。そう考えた摩那はユーベルコード『|黒鎖刻印《ラ・シェーヌ》』を発動させると、超合金ヨーヨー・エクリプスを男の腕に巻き付けて、引き寄せる。
「うおおぉぉ!?」
 驚いた男は逃げようともがいたが、ユーベルコードによって強化された捕縛力は生半可な力では解くことは出来ない。男はされるがままに、摩那との距離を詰められた。

「私の顔を見て逃げようとしましたよね? 何か、やましいことでも?」
「い、いや、その。別にそういうわけではないのだよ、レディ」
「じゃあ、どういうことなんですか?」
 ずい、と顔を近づけて迫力を見せつける摩那。その迫力に負け気味な男はあれやこれやと言葉を繋いで、どうにかこの場から去りたがる様子を見せていた。
 そんな2人のやり取りに、ジャックが目を見開いて驚いている。しかしジャックの視線は摩那ではなく男の方に向いており、信じられないと言った様子でその男の名を呼んだ。
「フィ、フィリップ卿!?」
「あれ、お知り合いですか?」
「俺の世界にいる貴族だよ。なんでアンタがここに!?」
「ジャック殿へるぷー! へるぷみー!」
 ジャック曰く、摩那が捕まえた男はフィリップ卿――ゲラルト・フィリップ・フュッテラーという名の貴族。ジャックの世界に住んでいる別国の貴族なのだそうで、本来ならばこのエルグランデにいるはずがない。
 目的があってゲートを通ってきたのか、それとも別の意図があったのか。それらについては彼は話そうとはしない。
 だが彼は摩那を見て逃げようとしていた。ということは敵、あるいは情報を持ち合わせている人物の可能性が高いため、なおさら拘束力を高め逃げられないようにしていた。
「とりあえず、金宮さんに引き渡したほうが良さそうかな」
「ちょっ、エーリッヒ殿は勘弁ッ! エーリッヒ殿は勘弁ッ!!!」
「あれ、金宮さんのもう一つのお名前知ってるんですね? じゃあなおさら、引き渡さなきゃ」
「おあ"ーーー!! ジャック殿、マジヘルプ!!」
「いや、すまん。流石にアンタは怪しすぎる……」
 ジャックに救難信号を出した男は後に、様子を見に来た燦斗に引き渡されていく……。


「さて、じゃああとは、港町の美味しいものを食べていこうかな」
「さっきメチャクチャ美味そうな浜焼きの店あったぞ。どうだ?」
「あ、美味しそう。そうと決まればそこに行きましょう」
「ん。金は俺が払っとくね」
 調査を済ませた摩那とジャックの2人。
 あとは港町での美味しいものを食べるため、それぞれが買い食いを済ませたとさ。




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 ・アルムはゲートを通った可能性が高いようです。
  →周囲に存在しない花の花粉がはるか上空で停滞している様子。

 ・ゲートの作成者は不明の模様。

 ・乱入者その1「ゲラルト・フィリップ・フュッテラー」解放済み。
 →セクレト機関本部へ連行されてしまいました。
 →以後、彼の乱入はありません。

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大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーノ・フォンベルジュ
🔷アドリブ歓迎します!
🔷NPCさんとの対話歓迎!

SPD:辺りを調査し、違和感がないかを調べてみる。

まず状況を整理してみましょう。
空から落ちた女性・アルムさん
彼女が空から何故落ちてきたか、漁港『マリネロ』の調査
上空には『ゲート』に関わる何か、そしてゲートは作成者不明
港町の周囲には存在しない花の花粉が微量…辺りに散らばっている

僕は海岸や海を調べてみましょう
この花粉……気になります。どんな花なのでしょうか?
細かい作業ですが、虫眼鏡を持っていきましょう
もしかすると花の原形が残っているかもしれません。隈なく探してみることにします。

……それに、どうしてここ(マリネロ)なのでしょうね…と海を眺めて黄昏る



●Case.3 花の正体

「まずは、状況を整理してみましょう」
「ん。そういうのはアンタのほうが得意そうだ」
「|ぎぃ《よろしく》!」

 ジャックと合流したユーノ・フォンベルジュ(《黒魔》エルグランデの魔剣士・f38624)はまず、状況の整理から始める。
 空からこのマリネロの街の海岸へと落ちてきたという女性アルム・アルファード。彼女が何故空から落ちてきたのかは既に原因がはっきりとしており、作成者不明のゲートによって彼女は別の世界から来ていることが判明している。
 またその時に彼女と一緒に別の世界からやってきたものが存在している。それが、マリネロ近郊には存在していない花の花粉だ。

「ふむ……ちょっと、花粉を取れないかな?」

 空を見上げ、コントラ・ソール《跳躍》を駆使して付近を飛び回ってみるユーノ。軽く飛び回ってみても花粉が服に付着するほどで、真っ黒な衣装を着ているユーノだからこそ目視でも確認が出来た。
 黄色みの強い、鮮やかな花粉。指で掬うと更に細かくくだけ、指を黄色く染め上げるのが特徴的。細かく砕けるのは花粉玉のようになっているからであり、衝撃が加わると粒が弾けて空に飛びやすくなっているようだ。
 地上に降りてそっと花粉を集め、小さな袋に詰めておくのだが……その際、ジャックとモルセーゴに異変が。

「っくしゅん! へっくしゅ!! マ、マジか!!」
「ぷしゅっ! ぴしゅんっ!! ぎぃ~~!!」
「えっ、えっ!? 大丈夫ですか!?」
「す、すまん! その花粉、俺らに近づけないでくれ! っくしゅんっ!」
「は、はい!」

 突然、ジャックとモルセーゴのくしゃみが止まらなくなった。先程まで……ユーノが空を飛ぶまでは特に何も起きなかったというのにだ。
 その原因が花粉にあることを告げたジャック。急ぎ、ユーノは自分の服についた花粉を全て振り払い、街の人に協力もしてもらって花粉を完全に除去しておいた。

 再びジャック達のもとへ戻ったユーノ。今度は彼らの様子が変わることがない様子を見ると、やはり花粉が問題だったことがわかる。
 しかし先程別の猟兵とは会話をしたはずなのに、なんともなかった。それは一体何故だろうか……?

「先程は大丈夫だったんですか?」
「さっきは鼻がムズムズするな、ぐらいに考えていたが……まさかマジで混ざっていたとは」
「|ぎぃ~《痛かった》……」
「えっと、混ざっていたとは……?」
「俺の世界に住む魔物……闇の種族っていうのを退ける花。これ、アルムの故郷にしか無くてな……ずび」
「だ、大丈夫ですか? ティッシュ、ありますよ」
「すまん……」

 ティッシュを貰い受けつつ、ジャックは花に付いて軽くユーノに説明してくれた。

 その花はジャックやアルムの住む世界での魔除けの花。
 花粉は闇の種族と呼ばれる、彼らの世界での魔物を弱体化させる力を持っており、効能は本来ならば神経麻痺にまで持っていくものだそうだ。今回は微量だったため、そこまで麻痺するものではなかったという。
 また花そのものにも効果があり、花から出た成分が付着すると火傷をしたかのような傷を負わせられるとのこと。

 それらを考慮するとユーノはある考えにたどり着く。すなわち、花粉の効果を受けたジャックも闇の種族なのかという点。
 その疑問に対してジャックは簡単に『そうだ』と答えた。モルセーゴと会話を交わすことが出来るのも、自身が闇の種族という存在になっているからだと。
 ……ただ、そうなってしまった経緯については今はまだ話すことが出来ないそうだ。

 しかしここまで話をして、ジャックは気になることが出たそうだ。
 ここまで自分とモルセーゴがくしゃみをするほどに残っているなら、花そのものもどこかに落ちている可能性が高いかもしれない、と。

「それなら、くまなく探してみるのが良さそうですね」
「探して見つかるといいんだが。詳しい花の形とか、教えたほうが良さそうだな?」
「お願いします」

 ある程度、花の詳しい話を聞いたユーノ。
 持ち込んでおいた虫眼鏡を使い、海岸や海をしっかりと見ていく。


●Case.4 |狡猾の異端者《cunning maverick》

「うーん……花弁はあったけれど……」

 しばらく調査を続けて、ユーノの収穫は……花弁が数枚見つかったぐらいで、それ以外は見つからない。
 虫眼鏡を使って砂に埋もれた花弁を見つけたり、漂流物に付着していた花弁を見つけたりはしたが……花そのものが落ちている、までは見つけられない。
 もう既に何処かへ飛んでしまったかもしれない……そう考えると、以降の調査は難しいかもと脳裏によぎる。

 しかし、そんな状況を覆したのは1人の男の声だった。

「捜し物は、これかな?」

 背後から話しかけられたユーノ。その声は、どこかで聞いたことがあるような。
 思わず振り返ってみれば、そこにいた人物――ライトブルーの緩やかなウェーブを描いた髪の毛が印象的な、黒狐の面をつけた男がジャックが教えてくれた花を一輪手に添えていた。

 男はユーノにその花を手渡すと、マリネロの街はどうだったか、この辺りは色々と大変だっただろう、などと話しかけてくれている。
 しかし、ユーノはぼうっと男の顔を見つめて視界を外そうとはしない。

 それには理由がある。
 その男の顔と様相がある男に似ているからで、ユーノが出した次の言葉は覚えのある男の名前だった。

「ふぇ、フェルゼン様……?」
「うん?」

 そう、ユーノはその男の姿がセクレト機関高位研究員のフェルゼン・ガグ・ヴェレットに似ていると気づいた。
 ライトブルーの髪色で緩やかなウェーブを描いた長い髪。自分とほぼ変わらない身長で、少し尊大な口調。
 少しだけ野心の残る赤い瞳が狐面の隙間から覗き込む。その光はフェルゼンと全く同じ光を持っている。
 多少違うところはあれど、ほとんどフェルゼンと同じ姿がそこにはあったのだ。

「……ああ、そうか。なるほどね」

 男はなにか納得した様子で、自分はフェルゼンではないことを告げる。
 繋がりはあるそうだが、それを今話すことは出来ない。そう伝えた男は己の名を『エレティック・リュゼ・ルナール』だと伝えた。

「今はキミにこれを預けるだけに留めよう。少年、話はまたいずれ」
「あ……」

 ユーノが呼び止めるまもなく、ルナールはその場を去る。
 今回のルナールは通り過ぎただけの乱入者故に、彼との会話はそこまで進むことはなかった。


***************************************

 ・花や花粉の正体がわかりました。
 →花粉をジャックとモルセーゴに近づけるとくしゃみ連発します。
 →ジャックの世界の魔物『闇の種族』には効果絶大の魔除けの花のようです。
 →ユーノ・フォンベルジュが花粉を所持している状態となりました。以降は全PCが所持状態扱いとなります。

 ・乱入者その2「エレティック・リュゼ・ルナール」が解放されました。
 →以降、このシナリオ中に望めば彼との会話が可能です。

 ・シークレット・テイル公式ページ:NPC一覧に変化あり
 →「ジャック」に文章追加。「ルナール」追加。

***************************************

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
WIZ 会話や行動に関するアドリブ大歓迎デース!

諜報ミッション、了解デース!
お任せくだサーイ!
(などと言いつつ、港町のグルメを満喫するべく出店や露店の料理に舌鼓を打っている)
……HAHAHA、大丈夫デース! 目的は忘れてマセーン!
……腹ごしらえも済みマシタし、調査を開始しマース!

レッツゴー、バルタンズ!『バルッ!』『バルバルバルバル!』
代表のミニ・バルタンにユーベルコードの使用権限を付与して、指揮官に任命しマース!
あとは次々に増殖するバルタンズをマリネロの街に送り出して、港の人々と交流であります!
世間話からここだけの話、耳寄りな話などを聞いてもらいマース!
お手伝いをして信頼を得たり、気になる人を見つけたらワタシのところまで連れてきてもらったり、いろいろと動いてもらいマース!
そういえば、街の外の平原を見に行ってもらうのもありかもしれマセンネ。何かあるかもしれマセーン!

……ところでお駄賃は経費で落ちマスカナ?
(無尽蔵にミニ・バルタンの数が増える分、支払うお駄賃が増え続けるのです)



●Case.5 街の噂

 マリネロの街にやってきたバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、まずは食べねばなるまいと港方面の串焼きの店に訪れる。
 ジャックとモルセーゴと合流した後、彼から美味しい串焼きの店を聞いていても立ってもいられなくなったそうで。
 目の前で焼かれる豊富な魚介類を前に、バルタンは宣言した。
「それでは諜報ミッション、スタートデース!」
「……ツッコミ入れた方がいい?」
「ぎぃ……」
 串焼き待機状態で宣言されても、とジャックは一応ツッコミを入れつつ、けれど自分もまだ食べ足りないので一緒に席について食べてしまう。
 採れたて新鮮な魚介類を目の前で捌き、そのまま客の前で焼いて提供しているのだ。不味いはずがない。
 豪快に、けれど骨抜きは丁寧にしつつ食べるジャック。育ちの良さが出ているのがよく分かる食べ方で、時折モルセーゴにも分けてあげていた。
 一方でバルタンは串焼きだけではなく、貝類の炭火焼きも堪能している。今の時期はホタテが美味しいそうで、2,3つほど頂いていた。

 それからしばらくして2人と1匹は食べ終わって店を出た。
 満腹なので、これから何しても強気でいられるのは言うまでもない。
「で、どうするんだ?」
「ここは……カモーン! ミニ・バルタンズ!」
『バルルー!』『『『バルバルー!』』』
「うおっ、なんかいっぱい出てきた!?」
「ぎぎゃ!?」
 ユーベルコード『|バルタンズの軍勢《オープン・セサミ》』によって呼び出されたミニ・バルタン(指揮官)と、それに連なって別のユーベルコードで呼び寄せられたミニ・バルタンズによる軍隊がぞろぞろとバルタンとジャックを取り囲む。
 指揮官のミニ・バルタンに『街の人々から話を聞く』という指令を下し、それぞれのミニ・バルタンを指揮してもらいつつ情報を探ってもらった。
「あとは次々に増殖するバルタンズの報告を待つだけデース!」
「次々に……増殖する……??」
「ぎぃ……??」
 ミニ・バルタンの習性を知らないジャックとモルセーゴは思わず後退りをする。
 何言ってるんだろう、という表情を見せているジャックだが、実際にミニ・バルタン達は増えていくので何とも言えない。



「なあ、聞いたか? セクレト機関の司令官の噂」
「アレだろ? この世界を壊すために、ゲートを開いてるとかなんとか」
「えー、でもエルドレットさんだぜ? 前の司令官より街のこと気にかけてるのに、そんなことするかねぇ?」

「おーい、教授どこ行ったか知ってるー?」
「教授ならさっき平原に向かったぞー。なんか、待ってる人がいるとかでよー」
「あー、じゃあ今日はもう話せそうにないなぁ」

「あの女の子、保護されて帰れるといいけどねえ……」
「異世界人だろ? エルドレットさんならなんとかしてくれるさ」


 それぞれのミニ・バルタン達が集めてきてくれた録音を聞いて、バルタンは色々と情報を精査する。
 その中でもやはり気になるのは、司令官エルドレットに対する噂。モルセーゴ事件のゲートを開いた犯人として名前が上がっていることはマリネロの人達にも伝わっているようだ。
 ……だが、その情報は|どこから《・・・・》流れたのだろうか?
「ふーむ……。ちょっとお話を聞きに行きマス?」
「そうだな……一応話を聞いておこう」
「では、連れてきてもらいマショウ」
『バルッ!』
 エルドレットの噂をしていた街の人を連れてきてもらったバルタン。彼らはバルタンのことは訝しげだったが、ミニ・バルタンがお手伝いをしていたおかげか多少は信頼してくれていた。

 噂話が広がり始めたのは今から数日前。丁度モルセーゴ事件が起こっている最中のことで、誰が噂のもとになったのかまでは定かではない。
 ふらっと立ち寄ったエージェントか、それとも別の人間か、それさえもわからないと。
 ただ、マリネロはエルドレットの施策のおかげで発展を迎えたため、噂を信じる者はほとんどいないそうだ。
「それに教授はその噂を聞くと、いつもより不機嫌になるんだよな」
「教授というのは……?」
「ルナール教授さ。マリネロの近辺に住んでて、たまに子供たちの勉強を見てくれるんだ」
「その方の住所などはわかりマスカ?」
「いや、教授の住所はわかんねえな。頑なに教えてくれなくて」
 ルナールという男の名は、先立ってマリネロに来ていた猟兵が出会っていることからその名は既に情報が渡されている。
 ……彼が黒狐の面を被った、フェルゼンに似ている男だということも。
 彼に会いたい考えても彼の居場所がわからない以上は、これで話はストップになってしまうわけだが……バルタンはすぐさま、平原に向かおうとジャックに進言した。
「先程の録音、あの中に『教授は平原に向かった』とありマシタ! 今もまだいるかもしれマセンネ!」
「あー、なるほどな? おっけ、行ってみよう」
 すぐさま2人は街の人にお礼を言って、マリネロの港玄関口から出た直ぐ側の平原へと向かう。



●Case.6 怠惰の暇つぶし

 マリネロの平原の岩の上で、ぼうっと空を眺めている男――ヴィオット・シュトルツァーがいた。
 彼は共に来たコンラート・ベトリューガーを探し回っていたのだが、そのうち探すのが面倒になって手頃な岩の上で休んでいた。
『バルッ!』
『バルルー!』
「んお? ……あれ、アンタらって」
 その顔に見覚えがあったヴィオット。エルグランデから戻る前は猟兵活動中だった彼はバルタンとも知り合っており、またミニ・バルタンの顔もよく知っている。逆もまた然りで、ミニ・バルタンもヴィオットのことはなんとなく知っている。
 だから、彼ならミニ・バルタンの活動力のことも知っているからと、ミニ・バルタン達はこぞって両手を上げてぴょんぴょんしていた。
「キミら、バルタンさんとこの子やったよな。手ェ上げるのって確か、お駄賃やったか……?」
 ごそごそと財布を出して、中身を覗き見るヴィオット。その中身は……お察しください。諜報部隊オルドヌングは薄給なんです。
「おや、ヴィオット殿!」
「あ、やっぱりバルタンさんやったか。この子らどうにかして」
『バルゥ……』
『バルル……』
 お駄賃を貰えずにしょんぼりしているミニ・バルタン達の前に到着したバルタンとジャック。念のためジャックが財布からお駄賃(エルグランデ仕様)を渡して元気にさせたので、ついでに平原をもう少し探索してもらった。
「で、ヴィオット殿は何故ここに?」
「なんでって、まあ休暇っすわ。……あと、俺はちょっと届けもんがあったんで」
「届け物? はて、もう何も持ってないようデスガ……」
「さっき届け終わったからなぁ」
 ヴィオット曰く、コンラートと共にもらった休暇とは別に届け物をする役割があったそうだ。
 だが既に先程届け終わったという。届け先に関しては守秘義務が発生しているため、ヴィオットの口からは言えないとのこと。
「では、教授と呼ばれてる……狐面の方はこちらに来ませんデシタ?」
「ごめん、それはわからん。猫たちと遊んどったから、周りは見てへんわぁ」
「おぉう……。重要情報があるかと思いきや……」
 届け物をしたがそれ以上の情報はないと告げるヴィオット。残念ながら、ヴィオットからはこれ以上情報が出る様子はなさそうだ……。

「ところで、お駄賃って経費で落ちマスカナ?」
 ふと、バルタンはお駄賃がそろそろやばいという表情でヴィオットとジャックに尋ねる。
 ……というのもミニ・バルタン達は情報収集が完了するまでは無限に増え続けるため、それに伴って支払うお駄賃も増えた人数分どんどん増えていくもので……。
「叔父さん……ヴォルフ叔父さんに言うたら落ちるんちゃいます?」
「あと燦斗。アイツって権限あるんだろ?」
「うーむ。相談してみるしかなさそうデスネ……」
 少々眉根を寄せつつ、誰に相談しようか悩んでいたバルタン。

 ちなみにその様子はちゃんと司令官エルドレットに連絡が行ってたので、お駄賃分は経費として落とされました。
 ……食費は自腹でしたが!



●Case.? 迷子の詐欺師

「ヴィオくーん、どこー!?」
 マリネロの街の中、商店街を練り歩くコンラートの姿。
 しかし目的のヴィオットの姿はどこにもなくて、途方に暮れていた。

 しばらく歩き回って数分。コンラートは疲れ果てた足を休めるために、近くのベンチで休む。
 その直後に隣に誰か来て座ったので、顔を伏せて関わらないようにしていた。

「青年、ご友人は平原の方で休んでいたよ」
「えっ?」
 話しかけられて思わず顔を上げたコンラート。
 そこにいたのは……黒狐の面をかぶった男、ルナール。
 ルナールはどうやら迷子の彼がいたたまれなくて話しかけただけのようで、早く合流してあげなさい、と促す。
「暇そうにしていたからね。彼、暇は嫌いなんだろう?」
「あ、うん……なんで俺たちのこと知ってるの?」
「ふふ、それは秘密だ。ほら、早く」
 そう言ってルナールはコンラートの背中を押して、平原の方へと走らせた。

 コンラートとヴィオットは合流しておかなければならない。
 まるで、そう告げるかのように。


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 ・乱入者その3「ヴィオット・シュトルツァー」が解放されました。
 →以降、このシナリオ中に望めば彼との会話が可能です。

 ・ヴィオットは誰かに届け物があったようです。
 →現時点ではその内容に関しては伝えることが出来ないようです。

 ・乱入者その4「コンラート・ベトリューガー」が発見されました。
 →次のプレイングでは彼が確定で乱入いたします。

 ・ルナールはコンラートとヴィオットを合流させたいようです。

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大成功 🔵​🔵​🔵​

唯嗣・たから
WIZ 他お任せ

はじめて、きた…から…迷子した。此処、どこ。どこ。街、出ちゃった…!(迷子しながら買い込んだおやつをもぐもぐ)

平原に走るコンラートさんを見かけたら、誰か探してるようなら声かける。人探し、なら、クロたちで探してあげる。

かわりに、ちょっと、協力してほしいなぁ…女の人が、よくわからないゲートから、落ちてきた。原因、調べてる。

街で怪しい人とか、見ませんでしたか。あとは、聞き込み、手伝ってくれませんか。え?休暇?…休暇かー…じゃあ、情報集まりそうなとこに、連れてってください。

迷子です!(渾身のドヤ顔)

情報収集はクロにお任せ。あと怪しい人影とかないか索敵。ほいほい人が落ちてくるのよくない。



●Case.7 迷子の、迷子の……

「此処、どこ、どこ……?!」
 マリネロの街の中、キョロキョロと顔を動かして慌てふためく唯嗣・たから(忌来迎・f35900)。
 エルグランデに連れてきてもらって、今回探るべき情報まで聞いたのは良かったのだが……まさかの迷子になるという大失態を初手にやらかしてしまった。
 けれどその両手には売り出されていたドーナツとチュロスが握られており、本人は慌てふためいているものの街はしっかりと満喫しているようだ。
「え、えっと、えっと……こっちかな……??」
 すたすたと、自分の勘を信じて道を歩いて行くたから。甘いものを補給しているおかげで頭はしっかり回るようだが、丁度その時、彼女にぶつかる人影があった。
「わっ!?」
「わっ!」
 突然の出来事だったが、間一髪ドーナツとチュロスを落とさないように身体で受け止めたためその2つは無事。しかし相手方の身体とたからの身体はべっしゃり、地面に激突してしまう。
 痛みに耐えながら顔を上げれば、そこにいたのは白髪のモノクルをかけた男性――コンラート・ベトリューガーが手を差し伸べてくれていた。
「や、ごめん。焦ってたから、つい。だいじょぶ?」
「えっと、だいじょうぶ……」
 立ち上がって、土埃を祓う仕草をするたからはコンラートの顔を見て、そういえばこの人……と思い出す。

 コンラート・ベトリューガー。セクレト機関の諜報部隊【オルドヌング】に所属している人物だが、彼も猟兵として同じような力を持って戦っているのをたからは知っている。……顔は、合わせたことはないが。
 対するコンラートはたからの顔を見て、ああ、と何かを思い出したようだ。会ったことはないけれど、でも、猟兵だということは感じ取っているらしい。
「あ、あの、もしかして、誰か探してたり、する?」
「ん? あー、うん。ヴィオくん……俺の相棒がなー、平原におるーって言うから探しに行くかぁって思っててなぁ」
「人探し……なら、クロたちで探してあげる」
「え、ええの? ぶつかってきてなんやけど、ええの?」
「そのかわり、ちょっと、協力してほしいなぁ……って」
「協力? ええよぉ、何したらええのー?」
 彼の相棒を探す代わり、たからはある女の人――アルムという女性が落ちてきた原因を調べていることをコンラートに告げる。
 既にコンラートにも女性に関する情報は伝わっているのか、断片的な話は知っている。ただ、アルムが巻き込まれて落ちてきたゲートの付近に花があったりしたことは彼は知らないようだ。
「だから、あの……街で怪しい人とか見ませんでしたか?」
「んー……ゲラルトさんは怪しい人やけど、怪しくないしなー。あと狐面の人とか……」
「うーん。じゃあ、あの、聞き込みを手伝ってくれませんか」
「え、あー……休暇中なんよね、俺」
「え? 休暇? 休暇……かー……じゃあ情報集まりそうなトコに、連れてって下さい」
「……あの、もしかしてやけどキミ……」
 怪訝そうな顔でたからを見るコンラート。頭に浮かんだ言葉を出してはならないとは思ったようだが、止まるより先に彼の口から『迷子?』の一言が飛び出てきた。
 なお、たからは堂々と彼の返答には『迷子です!』と答えた。渾身のドヤ顔付きで。
「なんや、俺と一緒やん!!」
 ……どうやらコンラートも迷子だったようです。


●Case.8 怪しい人物の情報

 情報収集のため、たからはユーベルコード『エージェントごっこ』を使い、からくり人形のクロを116体呼び出して情報収集を行ってもらうことにした。
 コンラートのいうヴィオという人物も、クロ達に任せれば大丈夫だろうということで街と草原全てに解き放つ。これで見つかれば良いのだが、と考えつつも2人は一旦近くのベンチに座って情報交換をしておいた。
 と言ってもたからはまだ来たばかりなので、セクレト機関側からの情報は少ない。どんな情報を渡したら良いのだろうと悩んでいたところで、黒い容姿の男と蝙蝠のような何か――ジャック・アルファードとモルセーゴがたからを見つけた。
「あ、いたいた。燦斗がもう来てるって言ってるのに見つからないと思ったら」
「|ぎぃぎぃ《どこいたの》~」
「わっ!? ご、ごめんなさい!」
「いや、怒ってないけど……。ってか、その隣にいるのは?」
「……」
 ジャックの問いかけに、ぽかんとした表情をしているコンラート。彼はジャックを見て驚いている様子だが、たからとジャックの声にハッと正気を取り戻す。
 その後、彼は自分のこと――オルドヌングに所属するエージェントであることを告げ、ヴィオット・シュトルツァーを探しているという情報をジャックに渡しておいた。
「紫色の服着てて、髪が長くてぇ……」
「あ、そいつならあっちにいたぞ。モルセーゴ、案内してやれ」
「|ぎぃ《らじゃ》!」
 ぎぃぎぃと鳴きながら、コンラートを連れて行くモルセーゴ。それと入れ替わりで解き放っていたクロが1体、たからの元へ戻ってくるのが伺える。
 何か見つかったのかと思えば、そのクロには手紙が握らされている。誰からの手紙なのかわからないが、読み進めていくとその手紙は『エレティック・リュゼ・ルナール』という人物からなのがわかった。
 おそるおそる手紙を開いたたから。手紙には以下のような記載があった。



   猟兵諸君へ
 突然の手紙、すまないね。
 私はエレティック・リュゼ・ルナール。キミ達の協力者だ。

 この手紙を読む頃には、アルム殿のゲート作成者情報が消されていることがわかっているはず。
 ゲート作成者情報が消された理由を私は既に握っているが、現時点でキミ達への接触は難しい。
 故にこうして、手紙を書かせていただいた。

 ゲート作成者は既にセクレト機関の中枢に存在している。
 巧妙に姿を隠しながらも、司令官になりすまして様々な情報を書き換えているようだ。
 司令官の言葉を借りるなら『裏切り者』といったところだろう。

 もしこの情報をエルドレット司令官に渡したいのなら、以下の言葉を伝えてくれ。
 ◆|秘密《セクレト》に潜む|救世主《サルバドル》を解き放て

 ……ああ、決してエーリッヒ殿やヴォルフやフェルゼンには聞かれないようにしてくれ。
 必ず、エルドレット司令官のみにお伝えするように。

  P.S.
 そういえば先程、コンラート君をヴィオット君に会わせるように向かわせたが、会えているだろうか?
 彼らは離れ離れにしてはいけないよ。



 手紙の内容はここまでとなっている。ジャックも共に読んでくれたようで、首を傾げていた。
「……ルナールって、さっきの……」
「え。会った、の?」
「ああ。黒狐の面をかぶったヤツだろ? さっき、花を渡してくれたヤツだ……」
 ここで、手紙を読み終えたたからには1つ疑問が芽生えた。
 すなわち、『ルナールという人物は猟兵を知らないはずでは?』という点。猟兵諸君へ、と宛先もしっかり書いているが……彼は何処で猟兵の存在を知ったのだろうと。
 猟兵という存在を知っているのは現状、セクレト機関という組織だけだとジャックから教えられているが……セクレト機関の本部から程遠いマリネロの漁港付近に住むルナールはそもそも猟兵の存在を知らないはずだ、と。
「……怪しくなってきたなあ……」

 猟兵達の協力者と銘打っている謎の多い男、エレティック・リュゼ・ルナール。
 果たして、彼の真意とは……?



●Case.? 再会

「いたぁ~~~!!」
「ん? おお、コン。やっと合流できた」
 コンラートは半泣きになりながらも、草原で寝そべっていたヴィオットと合流する。
 先程たからが解き放ったクロのおかげでヴィオットの位置を知り、ようやく彼の場所へたどり着くことが出来たようだ。
「ったく、俺から離れんなって言うたやろ!」
「なんで!? ヴィオくんが離れたんやんか~!!」
 合流してすぐさま喧嘩をしてしまう2人。けれどそれもすぐに終わって、また2人で笑い合う。
 今日の休暇はそれぞれで楽しかったから、それでいいか、と。

 もう少し楽しんでいこうぜ! ということで2人は再び港を歩いて回る。
 楽しそうな子供の声にちょっぴりニコニコしながらも、コンラートはあることに気づいていた。

「そういえば、マリネロの港って子供いっぱいおるよねぇ」
「うん」
「俺の気の所為やとええんけどね?」
「……うん」


「――子供の数、結構減ってない?」




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 ・コンラートとヴィオットは無事合流できたみたいです。

 ・エレティック・リュゼ・ルナールより接触あり。
 →以降のシナリオでエルドレットと会話の際に、合言葉を告げると何かが起こります。
 →NPC一覧『ルナール』に変更あり

 ・……なにやらマリネロの漁港では子供の数が減っているようです。

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  『investigation』 complete!

     Next Stage →


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大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月13日


挿絵イラスト