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AM3:00の暗殺行

#獣人戦線 #ヨーロッパ戦線 #ゾルダートグラード #無限軌道都市ベルリン

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 ――真夜中。
 闇に包まれた夜更けであろうと機械たちはせわしなく動き続ける。一体どれだけの機器がこの『無限軌道都市ベルリン』を構築しているのだろうか。
「入口は三重の門で閉ざされ、認証カードがなければ入れません。研究所内部は防犯カメラと熱源センサーで常時監視中。絶対に安全です」
 ジープを運転しながら説明する警備兵の隣でサロメサージェントは呆れた顔つきになる。
「軽々しく絶対などという言葉を使うな」
「はっ、申し訳ございません」
 助手席に足を放り出して腰掛けたサロメサージェントの手元には無骨な拳銃。銃倉を引き出して弾丸が入っているのを確かめ、また元に戻す。
「いつ不測の事態が起こるかわからん。油断大敵の心構えを忘れるなよ」
「はっ」

 先日発見された新世界『獣人戦線』の支配権をめぐって争うオブリビオンの『超大国』、ゾルダートグラード。
 ドイツおよび周辺ヨーロッパを支配する謎めいた機械帝国の首都である『無限軌道都市ベルリン』にある研究施設が今回の依頼の舞台。

「ゾルダートグラードの傭兵部隊を束ねる下士官、その名をサロメサージェント。数々の戦場を渡り歩く凄腕のオブリビオンを暗殺可能な機会が予知によって導き出された。ここで敵の戦力を削ぐことができればヨーロッパ戦線の戦況有利を引き寄せられるはず。これほどのチャンスを逃すのは惜しい。危険な任務だが、頼めるか?」
 サク・スミノエ(花屑・f02236)は猟兵の意思を確かめてから頷き、現地の状況について語り始めた。
「深夜過ぎ、サロメサージェントの部隊が警備している研究室の地下発電施設で偶発的な事故が発生。普段は警備に当たっている兵士も修復作業や消火活動に駆り出され、サロメサージェントがひとりきりになるタイミングが生まれる」

 サロメサージェントは二丁拳銃の名手。
 生半可な攻撃は通らず、反撃で蜂の巣だ。しかも敵地の真っただ中となれば援軍を呼ばれたり他の警備兵に気づかれたりする前に、可能な限り速やかな撃破が望まれる。
「事故の発生は夜中の午前3時前後。夜闇に紛れての決行になる。まずは研究所施設に数多仕掛けられた防犯装置を掻い潜り、標的の元を目指してくれ」
 サクはそう告げ、世界大戦の最中にある獣人戦線へと猟兵を送り出した。


ツヅキ
 ゾルダートグラードの本拠地『無限軌道都市ベルリン』の研究所を警護中の下士官サロメサージェントの暗殺を目的とする潜入依頼です。

 リプレイの文字数は400文字程度、各章クリアに必要な🔵分のみの採用となります。
 1章のみの参加や飛び入り等はお気兼ねなくどうぞ。
 継続参加の優先はありません。

 各章の最初に断章が入ります。
 オープニングと合わせてご確認ください。
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第1章 冒険 『敵拠点侵入』

POW   :    行く手を阻むもの全てを壊し、倒しながら進む。

SPD   :    見つかる前に素早く目的地まで駆け抜ける。

WIZ   :    機械類を無効化あるいは乗っ取り、こちらの味方につける。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 真夜中の空に鳴り響く警報は研究施設の内部から発せられた救急信号だった。立ち上る煙は徐々にその量を増しており、重大な事故の発生はもはや間違いようがない。
「急げ、手が足りないんだ。消火を手伝ってくれ!」
 軍靴の足音が慌ただしく行き交い、普段は銃を提げた兵士もホースや消火器を携え、施設の保全を最優先に動いている。
「しかし、警備が……」
「我々の機械技術力を信じろ!」
 兵士は反射的に防犯カメラのレンズが光る天井を見上げ、それから頷いた。駆け出した背後で隔壁が降ろされてゆき、やがてしっかりと通路が閉ざされる。
ハート・ライドン
※連携、アドリブ歓迎

作戦を成し遂げられれば
各地で戦う獣人達の助けになるはず
危険を冒す価値はありますね
いずれ世界を取り戻す為、行きます

要認証カードの多重の門
研究所内部には防犯カメラと熱源センサー
予知で判明しているのは
いずれも機械頼みの警備網ですね

兵に見つかるのは得策ではない
しかし一つ一つ丁寧に解除する時間も惜しい
なら、正道でなく邪道を行きましょう

【迅雷疾走】にて身体を稲妻に変化させ
壁を通り抜けて進みます
これなら人の目にも機械の目にも触れません

ところで、発電施設の事故なら
機械の故障もあり得なくはないですよね?
壁内から防犯装置に電撃を流し、破壊しておきましょうか
後続の仲間がより容易く侵入できるように


儀水・芽亜
警備システムは、シルバーレインと比べても遜色ないようですね。
それならそれで対応していきましょう。

あの時代、ゴーストの通信障害には随分と悩まされたものです。それを再現しましょう。
「降霊」で素体となる霊体を喚起。「呪詛」を撒き散らして、監視カメラや通信機を無効化してもらいます。
最新鋭の電子機器だからこそ、この手の干渉には弱い。

通信障害領域を引き連れ、「軽業」で研究施設に侵入しましょう。私が進めば監視カメラは障害を起こし通信は繋がらない。警備兵に見つかったら幻夢クラスターで無力化。
その状況で目標を探して回るわけですが、通信が使えないなら伝令を走らせているはず。適当に捕まえて居場所を吐かせましょう。


エドワルダ・ウッドストック
アドリブ連携歓迎

お任せくださいませ。
ゾルダートグラードの戦力を削ぐ好機、逃す手はありません。
六番目の猟兵として覚醒したわたくしの力を試す良い機会ですわ。
他の皆様のご助力もあります。必ずやサロメサージェントを仕留めましょう。

まずは施設への潜入ですわね。
猟兵に覚醒して得たユーベルコード、使う時ですわ。
自身の肉体を稲妻にするというこの力。何とも不思議な感覚ですけれど……まるで昔から使えたかのように、どうすれば働くのかわかりますわね。
防犯設備には電気が通っているはず。
その内部へと入り込み、一気に施設内を駆け抜けて参りますわ。

……機械技術力を信じろ、ですか。
あまり過信し過ぎては、足元を掬われましてよ?


ノア・クレムリィ
 今回は暗殺任務、迅速に事を為しましょう。幸いにも建物内は黒煙と消火の水煙で視界不良、この機に乗じて敵陣の奥深くへ〈切り込み〉ます。

 【UC:アドバンテージ・アンサー】(WIZ)を発動、標的までの最短経路を進み、遮蔽物や個室を利用して警戒を掻い潜っていくことにします。
 道中出会った兵士に〈不意打ち〉、装備を拝借することで、人の目と監視カメラを誤魔化していきましょう。突破不能な隔壁などは、騒ぎを起こして敵を〈おびき寄せ〉、彼らに開けて貰いましょうか。

 どれほど強固な砦であっても、人の手が入る以上どこかに抜け道があるはずです。さぁ、より深く潜りましょう。

(生身参戦/アドリブ連携等々全て歓迎です)



 警備兵たちはそのほとんどが事故現場へと駆り出されたらしい。焼け焦げる匂いと黒煙が満ちる無人の現場の、隙間なく閉ざされた門扉の内部をふた筋の稲妻が迸った。
 それは正面突破を王道とするならば邪道に属する隠密行。
 ハート・ライドン(ウマの戦闘猟兵・f39996)は多重のセキュリティを施された門を超え、防犯カメラとセンサーが乱立する施設内部を疾走する稲妻の黒馬と化していた。
 対のように並走するエドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)は美しい角を持つ馴鹿の稲妻である。通電物質内移動の能力を生かしたふたりは大国が誇る機械頼みの警備網の特性を逆に利用する形で誰に知られることなく侵入を果たしたのだった。
 自然にあふれだしてくる力をエドワルダはどこか不思議な気持ちで受け止める。まだ猟兵に覚醒したばかりだというのに、|それ《ユーベルコード》はまるで昔から自分のものであったかのようにエドワルダの身体によく馴染んだ。
 作戦成功に力を尽くすのは、今も各地で戦う同胞のため。|標的《ターゲット》の元を目指してハートは能う限りの速度で奔走する傍ら、ちょっとした置き土産を残していった。
「ん?」
 閃光とショート音を聞きつけた兵士が怪訝な声を上げる。
「どうした、事故の影響か?」
「おそらくそうだろう。くそッ、幾つかの区画のセンサーがまるで反応しない。すぐに工兵を呼んで修理を行わせろ」
「駄目です、通信障害が起きています!」
 緊急事態に翻弄される彼らは知らないのだ。
 先ほど、この場所を儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)が通り過ぎた。軽やかに、研究施設らしく複雑な造りの天井に張り巡らされた配管から配管へと飛び移る芽亜が引き連れているのは降霊で呼び出したゴーストたち。
「ふふ、懐かしいですね。かつては彼らの引き起こす通信障害に随分と手こずらされたものです」
 よもや、それを活用する時代がくるとは何が起こるかわからな。芽亜はしみじみ思いつつ、伝令に走る兵士の背後を狙って音もなく飛び降りた。
「サロメサージェント下士官はどこです?」
「い、いつの間に……」
「言わないとどうなるか、わかりますよね」
「ぐッ」
 周囲が幻夢をもたらす炸裂弾の閃光に満たされた途端、眠りの淵へ。
「居場所はわかりましたか?」
 兵士の装備を纏い、関係者に扮装したノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)が隠れていた個室の中から現れる。黒煙と水煙に紛れて最短距離を突っ切ったせいで全身煤だらけだ。
「この隔壁の向こうにいるようですね」
 芽亜は固く閉ざされた隔壁をノックしてみる。
「なら、こういうのはどうでしょうか」
 ノアが微笑み、考えがあると言った。
「あ、あれは!」
 わざと人目につく場所に転がしておいた睡眠中の兵士を囮におびき寄せた男たちに、襲撃を受けた兵士を装ったノアが告げる。
「侵入者は何らかの方法でこの隔壁を超え、内部へ向かったようだ。私たちも追うぞ!」
「既に奥へ? くそッ、何て奴らだ。隔壁を開け!!」
 ゆっくりと隔壁が開ききったところで、身を潜めていた芽亜が眠りへ誘う炸裂弾を擲った。
「ご苦労様です」
「人の手が入る以上、つけ入る隙はあるということです。さぁ、急ぎましょう」
 芽亜は床に寝ころぶ無謀な兵士を飛び越え、闇が広がる区画へ足を踏み入れる。更なる深みを目指し、駆け出すノア。嘘は言っていない。実際、稲妻となって迸るハートとエドワルダは施設の最深部手前にある|格納庫《ハンガー》へたどり着いていたのだから。
「機械技術力を信じろ、ですか。やはり過信は禁物ですわね。だから、こうして足元を掬われる……」
 普段の姿に戻ったエドワルダは殺気を感じて物陰へ身を寄せる。跳弾が床を掠め、甲高い音を奏でた。
「これより先へは行かせん」
 両手に銃を構えたサロメサージェントが、最深部へ繋がるエレベータの前に立ち塞がっている。
「いいえ、わたくしたちの目的はこの施設そのものではなく、ゾルダートグラードの戦力を削ぐことですのよ?」
「なに?」
 怪訝な顔になるサロメサージェントの前にハートも稲妻を解いて正体を晒した。危険を冒すだけの価値がこの戦いにあるのなら、全力で。
「いずれ世界を取り戻す為、あなたの命……いただきます」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『サロメサージェント』

POW   :    サージェントグレネード
【軍服】から【手榴弾】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD   :    ツインガン
レベル分の1秒で【2丁拳銃】を発射できる。
WIZ   :    デス・レイ
自身の【拳銃】から、戦場の仲間が受けた【負傷】に比例した威力と攻撃範囲の【殺人レーザー】を放つ。

イラスト:sawada2

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「私の命を?」
 意外そうにサロメサージェントが目をみはる。まさか、己にそれほどの価値があるなどとは露ほども思わぬような素振りで含み笑った。
「たかが傭兵の命を買い被るなよ。とはいえ、安いものでもない。私と遭遇した以上、貴様等はここで終わるのだ」

 事故の影響か、|格納庫《ハンガー》の電源は完全に落ちている。非常灯が足元から順番に灯り、猟兵とサロメサージェントの横顔を照らした。
 他には誰も居ない。
 おそらく、彼女以外の兵士は全て復旧作業を優先したのだろう。その甲斐あってか、炎の勢いは弱まりつつあった。
 戦いが長引けば、復旧作業の目処がついた場所から兵士たちが戻って来るだろう。
 ――それまでにサロメサージェントを、倒せ。
儀水・芽亜
前線で軍の中枢を為すのは下士官です。兵のまとめ役であるからこそ、数を減らしたい。覚悟願います、|軍曹《サージェント》。

神楽鈴『Papagena』を振るって、「全力魔法」炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」の時限発火。炎弾の密度を上げれば、投げつけられる手榴弾も空中で迎撃できるでしょう。
無論、一番の狙いは軍曹です。迎撃はついで。さあ、あなたも炎で灼き尽くしてあげます。
「パフォーマンス」で舞い踊りながら絶え間なく時限発火を行使し、炎弾による飽和攻撃で軍曹を追い込みます。炎の雨、いつまで耐えられますか?

出来れば、あなたの首がほしいところですね、『サロメ』。戯曲とは役どころが逆ですが。
さあ、燃え尽きなさいな。


ハート・ライドン
※連携、アドリブ歓迎

【迅雷疾走】にて
再び稲妻の黒馬へ変異
私の切れる手札を考慮すれば
この姿をとるのが最も確実と思われますので

今は敵と言葉を交わす時間すら惜しい状況
速やかに任務を遂行しましょう

変異直後、自身の足元――即ち、床に移動し姿を消します
この状態なら敵の物理攻撃を無効化できます
地形の破壊には細心の注意を払い
地を滑るように接敵しましょう

反撃は、敵の足元から
天に駆け上がるように姿を現しつつ
体当たりを食らわせます

オブリビオンかつ歴戦の兵士といえど
感電させれば相応のダメージを与えられるはず

サロメサージェント
オブリビオンの元となった“生前のあなた”と話したかったです
そして知りたかった
あなたが望む未来を


ゴルド・ストーム
サロメサージェントの暗殺は軍部の命令であるので、
私情を挟まず淡々と任務を遂行します。

ユーベルコード「アサシネイト・ビースト」の物質透過能力で施設に侵入。
サロメサージェントのそばの床や壁から不意に出現、その体に食らい付いては肉を噛みちぎっていく攻撃を繰り返します。

罪悪感はあるものの、普段から虚無な生活を送ってるゴルドにとって、唯一の生を感じられる瞬間です。



 シャン、と儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)の神楽鈴が静謐に澄み渡る音色を奏でる。
「――いざ、勝負です。|軍曹《サージェント》」
 煌々と降り注ぐ炎の雨はサロメサージェントの手を離れた手榴弾呑み込み、時限発火の猛威をまざまざと見せつけた。
「なにしろ前線で軍の中枢を為すのは下士官です。兵のまとめ役であるからこそ、その数を減らしたい」
「なるほどな。しかし、厄介な火だ。まるで生きているかのようにこちらを狙ってくる」
 サロメサージェントは上着を盾代わりに飛び退くが、その足元には稲妻の黒馬と化したハート・ライドン(ウマの戦闘猟兵・f39996)が既に滑り込んでいる。
「なに!?」
 いつの間に――驚愕するサロメサージェントに対して、ハートはどこまでも冷静であった。
 もっとも確実で、もっとも速やかに任務を遂行するための切り札を使ったに過ぎない。サロメサージェントは舌打ちして二丁拳銃を撃ち放つが、床を奔るハートは物理的な攻撃を無効化する。
「ッ!!」
 まるで天馬の如く、一気に足下から駆け上がる稲妻の黒馬はサロメサージェントを薙ぎ倒す勢いで荒ぶった。雷鳴を受けた衝撃でサロメサージェントが銃を握る指先から一瞬、力が抜ける。
 アサシネイト・ビーストによる物質透過能力によって施設への侵入を果たしたゴルド・ストーム(トラの軍令暗殺者・f39984)が|格納庫《ハンガー》に辿り着いたのはまさにその時であった。
 もらった。
 相手の不意をついて床下から姿を現したゴルドは掴まえたサロメサージェントの肩口に鋭い虎の牙を食い込ませる。
「いったいどこから――!?」
 噛み千切られた肉片と血が芽亜の喚ぶ炎と混ざり合う。ゴルドは答えなかった。私情を挟まず、ただ淡々と任務をこなすことが使命だから。ゆえに炎を映す瞳だけが爛々と輝いて。罪悪感とない交ぜになった生の実感が彼に力を与え、瞳孔を美しく彩っているのだ。
「『サロメ』。戯曲とは役どころが逆ですが、ここで燃え尽き果てなさい」
 それこそ、サロメサージェントが耐えきれなくなるまで芽亜は舞い踊り続ける所存であった。
「炎の雨はさらに激しくなるでしょう。さあ、いつまで耐えられますか?」
 神楽鈴の音色に誘われた炎は弾となってサロメサージェントを追い詰める。逃げ場を与えるつもりは、ない。
「ふッ、やるじゃないか」
 燃える帽子をかなぐり捨て、サロメサージェントが不敵に笑った。ゴルドは銃を構える手首に噛みついて骨が見えるほどに深く肉を屠る。血。日常の虚無とは対照的な、野生を思い出させる色だ。
 ――サロメサージェント。
 オブリビオンとなった者に語りかけても無意味だとわかっていてなお、ハートは心の内にて問いかけた。
(「あなたが望む未来は、なんですか」)
 もしも“生前のあなた”と出会えていたなら、それを知ることができただろうか。
(「今となってはもう、わからない」)
 だから――。
 斃すだけ、と稲妻は迸る。
 一瞬でも早く標的を殺す為だけに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レン・トリチルヒスト
......よう。強敵の気配がしたんでね。
一応俺、暗殺担当だし?
飛び入り参加させてもらうぜ

さて、相手は銃を使ってくるのか......不用意に飛び込むのはまずいって訳だ。
なら、敵の攻撃範囲が狭いうちに遠くからの攻撃をした方がいいだろうな。

つーわけで、俺からは【狐火ナイフ】をお見舞いしてやるよ。
銃を持つ手を狙ったり、【暗殺】技術を活かして急所になる部分を狙ったりして(【急所突き】使用)変則的に動かして動きを読みにくくしながら攻撃するぜ。

さあて、550のナイフの雨、全部しのぎ切れるといいなァ?


エドワルダ・ウッドストック
アドリブ連携歓迎

卓越した拳銃の扱いに手榴弾の火力……統率する兵士が戻らないうちに倒さなければこちらが負けてしまいます。
まったく油断できない強敵ですわよ。全力で仕留めにかかりますわ。

拳銃の攻撃は気合と根性で回避しますわよ。
走りながらライフルで攻撃を。決定打ではなく、手榴弾を使うように誘うための牽制ですの。
手榴弾を取りだそうと軍服に手を入れた瞬間、UC発動!
「呪術式解凍!」

拳銃の早撃ちは敵わずとも、ナイフ投げならば負けませんわ!
手榴弾を握る手に狙いを定め、超加速させたナイフを放ちます!
グレネードを防ぐと同時に、片手に呪詛のこもった傷を負わせます。
この勢いのまま追撃を、一気にナイフを投げつけますわ!



 まったく油断できない強敵だ、というのがエドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)の下した結論であった。
「あれだけの攻撃を受けてなお、まだ戦いを続行できるなんて……」
 戦いの中で成長したエドワルダだからこそわかる。
 あれを倒すには一刻の猶予すらも残されてはいないのだ、と。ライフルを構えたまま、エドワルダは弾幕の薄い場所へ飛び込むような姿勢で駆けた。
「破れかぶれの突撃か?」
 エドワルダの真意を知らぬサロメサージェントの手から銃がはじけ飛ぶ。それまで気にしていなかった方向から擲たれたのは数百にも及ぶ狐火を纏ったナイフの雨だった。
「誰だ!」
「……よう。強敵の気配がしたんでね、俺も混ぜてくれるかい?」
 ――レン・トリチルヒスト(裂き狐・f40054)、合流。
 表情一つ変えず、軽く指で指し示してやるだけで殺到するナイフ、ナイフ、ナイフの雨。しかもそれらは変則的に宙で矛先を変え、サロメサージェントの利き腕と急所を的確に貫いた。
「ッ!?」
 暗殺を生業としているレンの狙いにはブレがない。抉られた首筋を抑えるサロメサージェントの手があっという間に赤く染まった。
「まだまだあるぜ? 全部しのぎ切れたら大したもんだが、まァ無理だろ。|拳銃《そいつ》が強化されて攻撃範囲に巻き込まれる前に決めさせてもらうさ」
 いくら名うての|軍曹《サージェント》とて、これら全ては躱せまい。熱いナイフの刃に右腕の腱を断たれたサロメサージェントは舌打ちしてもう片方の手を軍服の中へ潜り込ませた。
 エドワルダは決定的な好機を見逃さなかった。指に挟んだスローイングナイフの刃を眼前に構え、即座にユーベルコードを発動。
「呪術式解凍!」
「くッ」
 切っ先はサロメサージェントの左手の甲を刺し貫いていた。呪詛がまるで刺青のように彼女の体に広がり、癒えぬ傷跡と化しつつあった。
「追撃を!」
「はいよ」
 エドワルダとレンのナイフがほぼ同時にサロメサージェントを貫いて致命傷を与える。
「やられたな……」
 己の未熟さを痛感し、頽れるサロメサージェント。
「やりましたわ!」
「殺ること殺ったし、とっとと撤退しますかね?」
 どうやら、|あちら《・・・》もようやく侵入者の存在に気が付いたようだ。サイレンが鳴り始める。敵側の兵士と思しき複数の足音が喧騒と共に迫りつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『死を運ぶ闇夜の狙撃手』

POW   :    とにかく逃げて逃げて逃げまくれ!

SPD   :    飛んできた弾丸を素早く回避する!

WIZ   :    魔術や賢さを活かして凶弾から身を守る!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 侵入者の存在を知らせるサイレンが鳴り響く中、招集を受けた狙撃手たちはありとあらゆる場所にその身をひそめ、銃を構えた。
 天井近くまで組み上がった足場の上から、柱の陰、通路の奥、さらには開かれた隔壁の向こう側にまで。
「センサー類とカメラはまだ復帰しないのか?」
「急いでやっているのですが……」
「ならば、兵士個人の索敵に頼るしかあるまいな」
 兵士はゴーグルを装着し、狙撃用ライフルを構えて物陰に隠れる。いつ飛び出してきても対応できるよう、鈍色の銃口がぴたりと|格納庫《ハンガー》の出口に向かって狙いをさだめた。
「サロメサージェント殿、あなたの仇は俺たちが討ちます。絶対に生きて帰すものかよ……!」
ゴルド・ストーム
血肉の味に酔いしれて理性を失ったゴルドは、待ち受けるすべての兵士を葬り去ろうとする。

「アサシネイト・ビースト」の物質透過能力で壁や床に潜り込み、そこからの急襲で兵士たちを喰らい尽くす。

戦場はストームの名のごとき惨状となっていく。



 理性というものをかなぐり捨てたゴルド・ストーム(トラの軍令暗殺者・f39984)には、もはや敵という概念すら意味をなさない。
 視界に入るもの全てが|獲物《エモノ》と化した瞬間が始まりだった。ゴルドはあらゆる物質をくぐり抜け、待ち構える兵士の体を容赦なく切り裂いた。
「ば、ばかなッ……」
 突如、壁をくぐり抜けて出現したゴルドに兵士は驚愕し、次いで血潮を吹きながらくずおれる。あっという間に血の海が広がった。
 完全な獣性に覚醒したゴルドの爪が一閃する度に死体の山が築き上がる。例えるならば、嵐。狂乱し、屠り、蹂躙する血の暴風雨。
「どこだ!?」
 銃を構えたまま、兵士は我を忘れて叫ぶ。
 ――だが、真下から飛びかかるゴルドを振り返る暇すらなかった。兵士は背後からうなじを食い破られ、断末魔を上げる暇すらなくこと切れる。
 さあ、脱出だ。
 ゴルドは血濡れた口元を拭うことすらせず、本能のままに駆け、出口を目指す。

成功 🔵​🔵​🔴​

儀水・芽亜
脱出路に伏兵!? 末端の兵をやり過ごしたのが響きましたか。
ですが、格の低いオブリビオンで私たちを止められるとは思わないことです。

焦るとろくなことになりません。「落ち着き」、「瞬間思考力」をもって「集団戦術」で、どういう包囲網をしくか予想して。
それでは行きましょう。ナイトメアライド! 全身に「オーラ防御」を纏ってナイトメアに「騎乗」し、銃弾の雨を「見切り」ながら突っ切ります。
反撃の時間さえ惜しい。ここから先は無事駆け抜けられるよう「祈り」を捧げるのみ。

さあ、ナイトメア。「軽業」の時間です。グラードを囲む城壁、飛び越えてくださいな。
これで、銃弾の雨ともお別れです。殲滅はまたの機会にしてあげます。


ハート・ライドン
※連携、アドリブ歓迎

【迅雷疾走】継続使用
ワンパターンではありますが
逃走がてらやっておきたいことがありますので

サロメサージェントが守ろうとした“何か”
おそらくゾルダートグラードにとって重要な物でしょう
調査している余裕はありませんが
間接的なダメージを与えることなら可能かもしれません

格納庫のエレベータをはじめとして
施設の機器を粗方ショートさせ
破壊してしまいましょう

侵入時同様
電撃を放ちながら床を、壁を駆け抜けて実行
おまけの置き土産、お受け取りください
ああ、壁際に寄って隠れている兵士は
危ないかもしれませんね?

今の姿なら物理攻撃は恐るるに足りません
銃声を背に、さようなら
今宵の戦いがよき未来へ繋がりますよう


エドワルダ・ウッドストック
アドリブ連携歓迎

目的は果たしたことですし、このまま離脱いたしましょう。
行きと同じように上手くいけば良いのですけれど……。
雷鳴を発することで囮になれば、他の方が逃げやすくなるかもしれませんわね。

UC発動。この身体を稲妻に変じて疾走いたしましょう。
狙撃手の弾丸は(物理攻撃無効なので)効かないはずですけれど、できるだけ直撃は避けますわ。
呪殺弾など何らかの属性が付与されているかもしれませんもの。当たらないに越したことはありませんの。

さあさあ、上官を守れなかったゾルダートの皆様!
襲撃犯をみすみす取り逃がしては査定に響きますわよ。
ガーター騎士団副団長、エドワルダ・ウッドストック!
堂々と脱出いたしますわ!



 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)は冷静に状況を見定める。急がなければ遠からず包囲は完了するだろう。
「脱出路を塞がれましたか。末端の兵をやり過ごしたのが響きましたかね?」
「けれど、まだ全ての兵士が戻ったわけではないようです。ならば、いまのうちに――」
 素早く稲妻の黒馬に変化したハート・ライドン(ウマの戦闘猟兵・f39996)が一閃した直後、エレベータホールが雷に打たれたように爆ぜる。ショートは連鎖し、一帯の機械類が一斉に不具合を起こして機能不全に陥った。
「なんだ!?」
 突然の感電に一瞬、兵士たちの気が逸れる。
 ――今しかない、とエドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)は雷光放つ馴鹿の姿となって一気に駆け抜けた。
 鋼鉄製の素材で構築された施設は通電可能な素材な場所ばかり。エドワルダは兵士たちの気を引くため、とびきり派手な雷鳴を発する。
「逃がすな、撃て!!」
「くそッ、どうして当たらない!?」
「さあさあ、上官を守れなかったゾルダートの皆様! 襲撃犯をみすみす取り逃がしては査定に響きますわよ」
「くッ――」
 すっかりエドワルダに吊られた兵士の真横を|白馬《ナイトメア》に騎乗した芽亜が颯爽とすり抜けた。騒ぎに便乗しつつ、包囲網の弱点である手薄な一角を逃さずに突いた形である。
「しまった! 撃て、撃てぇ!!」
 白馬は芽亜の手綱さばきに応え、降り注ぐ銃弾の雨を器用に躱していった。
「あなた方では私たちを止めるには力不足です。さあ、そこを通しなさい!」
 恐るべき速度で白馬は出口を目指した。芽亜は祈るように手綱を握り締める。外へ、外へ――それだけを考え、通路を走り抜ける芽亜の背後を空振りした弾丸が跳ね跳んでゆく。掠めた弾丸は気膜のみを裂き、傷を負わせるには至らない。
「なんてことを!」
 エレベータとその奥にある“何か”の様子を確認した兵士が悲鳴を上げた。やはり、とハートはサロメサージェントが守りについていた対象の価値を確信する。
「ぐわあ!」
 至近距離を駆け抜けられた兵士が稲妻に触れて呻いた。
 おまけの置き土産の味はとても痺れただろう。壁越しに貰い受けた兵士は痙攣してから、仰向けに倒れて動かなくなる。
「さようなら」
 やがて、最後の門をすり抜けて脱出を果たしたハートは厳かに呟いた。願わくば、今宵の戦いがよき未来へ繋がりますように。
「な、なんて奴らだ……せめて、名を名乗れ!」
「――わたくしの名は、ガーター騎士団副団長、エドワルダ・ウッドストック!」
 夜気を裂くような、凛と響き渡る名乗りであった。エドワルダは上官の仇の名を胸に刻む者達の憎しみを正面から受け止めた後、離脱する。
「はッ」
 『無限軌道都市ベルリン』を守るひと際高い城壁を、芽亜を乗せた白馬が軽やかに跳び越えた。ここまで来ればもう安全だろう。
「これで任務は完了ですね。縁があればその時は、銃弾の雨のお礼返しをさせていただきましょう」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年03月30日


挿絵イラスト