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戦禍と幻想のカーテンコール

#アリスラビリンス #クロムキャバリア #戦後 #鉤爪の男

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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「アリスラビリンスを侵略する猟書家『鉤爪の男』が、ついに本格的な攻勢を開始しました」
 2020年8月の迷宮災厄戦が終結した後も、アリスラビリンスに残って侵略を続けていた『鉤爪の男』。
 2年以上に渡る猟兵との戦いで配下の過半を失いながらも、彼は遂に「アリスラビリンスを構成する、全ての不思議の国」を戦火に包むべく行動を始めたのだ。

「鉤爪の男の計画は至ってシンプルなものです。彼は量産型の侵略蔵書が持つ『周囲の世界全てを、本の内容に取り込んでしまう』力を使い、不思議の国々を『クロムキャバリア』の戦場に書き換えようとしています」
 これまで不明だった鉤爪の男の正体、それは予知によれば人間大ながら通常機体以上の戦闘性能を有する「等身大型オブリビオンマシン」だった。彼は故郷の戦場を再現することでアリスラビリンスを「超弩級の闘争の世界」に書き換え、オブリビオンマシンの力で世界を侵略するつもりだ。
「既に各地の不思議の国々は闘争の世界に書き換えられつつあり、飛来するオブリビオンマシンの軍団が戦火と混乱をもたらしています。愉快な仲間の皆さんも応戦していますが、彼らだけでこの侵略を押し返すことは難しいでしょう」
 オウガとの戦闘経験がある愉快な仲間なら異世界の平気相手でも一方的にやられることは無いが、それでも倒せる敵の質と数には限界がある。ここは猟兵達も襲われた不思議の国に急行し、彼らの戦いに加勢すべきだろう。

「皆様には侵略を受けている不思議の国のひとつで、オブリビオンマシン軍団の撃退をお願いします。敵機体名はCAV-06『ザカリアス』。クロムキャバリアでは既に旧式モデルとなった量産型キャバリアですが、安価かつ堅牢で拡張性も高い点が強みです」
 装備の換装によって様々な戦場に対応できる、キャバリアの基本に忠実とも言える量産機の鑑であり、その点はオブリビオンマシンとなっても遺憾なく発揮される。とはいえ猟兵なら1機1機は苦戦するほどの敵ではない。
「愉快な仲間の皆さんと協力してこの軍団を押し返すことができれば、侵略蔵書による『世界の書き換え』も一時的に停止します。首謀者である鉤爪の男を倒すには、これが唯一のチャンスになります」
 仲間達と協力して世界の侵略を食い止め、鉤爪の男がいる「超弩級の闘争の世界」の中心へと続く血路を開くのだ。あくまで「書き換え」の停止は僅かな時間に過ぎないので、限られた猶予に全力を賭ける戦いとなる。

「現在、この不思議の国はアリスラビリンスとクロムキャバリアの風景が混ざりあった迷宮と化しています。鉤爪の男の元に辿り着くには、ここを攻略しなくてはなりません」
 深い森の小路を歩いていたら、突然荒廃した無人のビル街に出るような、法則性を無視した空間がそこには広がっている。道は無数にあるが鉤爪の男のいる場所に続いている出口は1つだけ。異常な光景に惑わされずに迅速に攻略したい。
「急がなければならない理由はもう1つあります。鉤爪の男は故郷クロムキャバリアから恐るべき大量殺戮兵器――攻撃衛星『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』を持ち込んでいるのです」
 クロムキャバリアでは『|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》』とも呼ばれるこの攻撃衛星を不思議の国の空高く打ち上げ、衛星軌道上から無限に降り注ぐレーザー射撃でこの国を焦土に変えるのが鉤爪の男の計画である。この企みを阻止できなければ、言うまでもなく不思議の国は滅ぶ。

「鉤爪の男と|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》がいるのは不思議の国の上空、高度400km。迷宮を攻略した皆様には、この高度までなんとかして追いすがり、両方を撃破する必要があります」
 幸いにしてこの不思議の国には、お空の果てまで伸びる「豆の木」や、その影響を受けて超高層化した「ビルや電波塔」が存在するため、気合いでその高度まで登り切ることはできる。飛行能力や移動手段を持つ猟兵であれば、そちらを使うのも有効だろう。
「迷宮災厄戦で交戦した方ならご存知でしょうが、鉤爪の男は強敵です。彼が求めるものは『超弩級の闘争』のみであり、停戦や和解の余地はありません。全力で撃破してください」
 人の形を模した等身大のキャバリアが何のために、どのようにして生まれたのか。疑問は尽きないだろうが答えが期待できる相手でもない。事ここに至っては奴が望むように全力をもって闘争し、勝利を掴むのみだ。

「鉤爪の男並びに|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》を破壊すれば、闘争の世界に書き換えられたアリスラビリンスも元に戻るでしょう。どうか、よろしくお願いします」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、危機に瀕する不思議の国へと猟兵達を送り出す。
 超弩級の闘争の世界と化したアリスラビリンスで、長きに渡る猟書家との戦いがついに最終決戦を迎える。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回はアリスラビリンスのオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』との決戦シナリオとなります。

 1章は闘争の世界に書き換えられつつある不思議の国にて、オブリビオンマシン『ザカリアス』の軍団と戦います。
 侵略蔵書による世界の書き換えに伴って現れたこの軍団は、不思議の国に属する全てに敵対し、戦火と混乱を撒き散らします。
 現地の愉快な仲間達と協力してこの軍団を撃退することができれば、世界の書き換えを一時的に止めることができます。

 2章はボスの元まで続く迷宮を攻略します。
 侵略蔵書の影響により、アリスラビリンスとクロムキャバリア、ふたつの世界の風景が混ざりあって迷宮化しており、ここを攻略しなければ鉤爪の男の元には行けません。景色に惑わされないように注意して進んで下さい。

 3章は『鉤爪の男』との決戦です。
 舞台は不思議の国の上空、高度400km。攻撃衛星『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』と共に飛行する鉤爪の男との空中戦になります。
 猟兵側はオープニングで説明されたような不思議の国の不思議な地形を利用するか、あるいは自分の装備や能力でこの高度の敵に追いすがる必要があります。鉤爪の男自身も強敵ですので、知恵と工夫を活かして全力で挑んでいただければ幸いです。
 鉤爪の男と|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》を破壊すればこのシナリオは成功です。また、同様の決戦シナリオが合計「20回」成功すると、完全にオウガ・フォーミュラを滅ぼすことができます。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『CAV-06『ザカリアス』』

POW   :    RS対キャバリアバズーカ
単純で重い【ロケットランチャーから放たれたロケット弾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    RSマシンガン
【自機が装備するRSマシンガン】を向けた対象に、【銃弾の掃射】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    局地戦仕様
自身の【オーバーフレームもしくはアンダーフレーム】を【今いる戦場に最適なフレーム】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エミリヤ・ユイク
※アドリブ大歓迎、UCの関係上ソロ希望

・今回のエミリヤはテンションMAXで超ノリノリ状態です

オブリビオンマシン?鉤爪の男?そんなの知ったことか。なぜなら、戦火と混乱をもたらしていいのは、逆にされてもいいという覚悟があるものだけだ。
ということで、私やっちゃうよ?いいんだよね?このロボ達をみんなスクラップにしていいんだよね?ではいくよ?
UC発動!神の裁き!より邪悪なオブリビオンを対象に私の裁きをくだしてやろう!敵は全てをスクラップ!
敵の攻撃は、気合、根性、見切り、残像、ダッシュで回避!
そして動く敵がいたら貫通攻撃と焼却を付与した黒狼牙爪で切断し即座にダッシュでその場から退避。全てを破壊するのみよ!



「オブリビオンマシン? 鉤爪の男? そんなの知ったことか。なぜなら、戦火と混乱をもたらしていいのは、逆にされてもいいという覚悟があるものだけだ」
 そう言って侵略されつつある不思議の国に降り立ったのは、エミリヤ・ユイク(|冥狼の後継者《ハウリングヘルウルフ》・f39307)。彼女にとっては敵にその「覚悟」があるか否かだけが重要だった。ここまで大規模な「世界の書き換え」などという事件をしでかしたのだ、何をされ返しても文句は言えまい。
「ということで、私やっちゃうよ? いいんだよね? このロボ達をみんなスクラップにしていいんだよね?」
 闘犬の如き闘争心を露わにしつつも、表情は年相応の少女のように無邪気。今日の彼女はテンションMAXで超ノリノリ状態だった。眼の前にいるのは気兼ねもなく壊していい連中ばかりなのが、それだけ嬉しいのだろうか。

「ではいくよ? 降れぇいぃ、裁きの|雷鎚《イカヅチィ》、ロッッズゥ・フロムゥ・ゴッッッドォォ!」
 エミリヤが高らかに詠唱を紡ぐと、煤けたねずみ色の空がにわかに黒雲に覆われ、ゴロゴロと雷鳴が響き渡る。
 そしてその雲を突き破って、遥か天の高みから雷を宿した超重量・超音速の鋼鉄の柱が無数に降り注いできた。不思議の国内にいた愉快な仲間達、オブリビオンマシンの両軍とも、思わず頭上を仰ぎ見る。
「うわあっ、カミナリ様が落ちてきたよ! ……あれ?」
『な、なんだあれは……ぐわぁぁぁぁぁぁッ?!』
 だが鉄柱は無差別に戦場全体に降ってきたように見えて、直撃を受けたのはオブリビオンマシン側だけだった。
 高高度からの落下により恐るべき速度に達した鋼鉄の塊は、純然たる質量兵器として目標を粉砕する。量産型としては堅牢な装甲が持ち味の『ザカリアス』でも、とても耐えられるものでは無かった。

「より邪悪なオブリビオンに私の裁きをくだしてやろう!」
 エミリヤの【|神の裁き《ロッズ・フロム・ゴッド》】は敵味方を区別しないが、オブリビオンかつ邪悪な存在を優先して攻撃する性質がある。戦っているのが善良な愉快な仲間達と、彼らの不思議の国を侵略するオブリビオンマシンであれば、後者に攻撃が集中するのは当然の事だった。
「敵は全てをスクラップ!」
『くっ、やってくれたな!』『まだ動ける者は奴を倒せ!』
 ノリノリで大量の質量兵器を降らせた結果、敵を倒すついでに戦場がクレーターだらけで滅茶苦茶になっているのはご愛嬌。嬉々としてその惨状を眺めている少女が今の攻撃の元凶だと分かれば、残存する敵機は攻撃の矛先を一斉に向けた。

『喰らえ!』
 対人用としては余りある威力を有する【RS対キャバリアバズーカ】から、ロケット弾の一斉砲撃が放たれる。
 狙われたエミリヤは漆黒の妖刀「黒狼牙爪」を抜き、狼のように姿勢を低くして走りだす。敵の照準を振り切るほどの速さで、青黒い残像を戦場に描きながら。こんなシンプルな攻撃では彼女にたやすく見切られてしまう。
「全てを破壊するのみ!」
『な、ぐわぁっ!!?』
 あっという間に敵機の懐に駆け込んだ彼女は、青紫の炎を纏った刀を一閃。超高温を付与された刃がキャバリアの装甲を溶断――そして即座に離脱。悲鳴と共に爆散する敵にはもう目もくれず、冥狼の後継者は次なる獲物を求めて走り続ける。戦場から破壊すべきものが消え去る、その時まで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
錬金術…凍結攻撃の弾丸を錬成する

クイックドロウ…素早く放つ

属性攻撃…刹那の回転発動

へえ〜世界を書き換えるね…

『…レギンストーツでは珍しいのか?』

高度魔術らしいわ!

『…高度、魔術?』

魔術師(笑)達の言っていた事は気にしなくていいから!

『させるか!』
敵がマシンガンを打って来たので慶喜が結界術で防御
『私も!』
緋智も念動力で結界術の防御を強化

機械は可動部が脆い!
敵の足に凍結攻撃の弾丸で凍らせた後にカタストロフィに白銀の回転をかけて投げつけて破壊

『白銀?』

刹那の回転の強さの事よ
黄金、白銀、青銅…そして黄金が一番強いわ!

『お…おう』
慶喜がライトニング・ブリザード・フォーミュラを敵に放ち

オラッ!
UCで殴った



「へえ~世界を書き換えるね……」
『……レギンストーツでは珍しいのか?』
 不思議の国と呼ばれる小世界が無数に繋がる、特殊な世界構造を持つアリスラビリンス。それを丸ごと自分が望む世界に書き換える『鉤爪の男』の計画には、アルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)も少々驚いた。彼女の故郷にはこうした事例は無かったのかと、仲間の「東・慶喜」が質問する。
「高度魔術らしいわ!」
『……高度、魔術?』
「魔術師(笑)達の言っていた事は気にしなくていいから!」
 魔力を持たず魔術が使えないアルマには関わりのない事だし、何よりそうしたいけ好かない魔術師は全員革命でとっちめてやった。今回もそれと同じ――なんの罪もない愉快な仲間を暴力で虐げるオブリビオンマシンは、全てここで撃退する。

『目標確認。全機斉射!』『超弩級の闘争をここに!』
 侵略蔵書の力で呼び出された量産型キャバリア『ザカリアス』の軍団は、不思議の国にいる全てを敵として【RSマシンガン】を掃射する。狙われたのは猟兵ではない普通の愉快な仲間達。オウガの襲来には慣れていても、こんな鉄の巨人と戦ったことは無いだろう。
「きゃー! ま、まずいよ……」
『させるか!』
『私も!』
 劣勢の住民達を守るために、慶喜が魔術で結界を張る。彼とアルマに同行していたもう1人の仲間――「緋智」も、それに合わせて念動力を行使した。思念波で強化された魔力の壁が、マシンガンの弾丸をカキンと跳ね返す。

「機械は可動部が脆い!」
 敵の掃射が終われば、すかさずアルマが反撃のトリガーを引く。彼女のアルケミック・ガンナイフ『ヘルパー』から放たれた錬金術製の弾丸は、装甲の隙間から目標の関節部に命中して凍結を引き起こす。人型を模した兵器である以上、肘や膝を凍らされると運動性能が大幅にダウンするのは自明の理だった。
『ぐっ? 機体が動かない……何をした!』
「教えてあげる義理はないわ! かわりに見せてあげるわ……『白銀の回転』をね!」
 アルマは直後に剣型チープウェポン『カタストロフィ』を投げつける。独特なフォームから繰り出された投擲は特殊な回転を帯び、時空と因果を超えて目標に必中する。それが彼女の【錬金術士奥義・刹那の無限回転弾】だ。

『ば、バカなッ!!』
 身動き取れない状態でカタストロフィをぶつけられたザカリアスは大破し、絶叫を上げたきり動かなくなる。
 今のは魔術ではなく技術を突き詰めたユーベルコード。だが生身の少女が量産型とはいえキャバリアを撃破する様子は、傍目には魔法のようにしか見えないだろう。
『白銀?』
「刹那の回転の強さの事よ。黄金、白銀、青銅……そして黄金が一番強いわ!」
『お……おう』
 彼女がどうやってその現象を成し遂げているのかは、仲間達が聞いてもさっぱりだったが。敵の勢いが削がれたこのチャンスを逃す理由はないと、慶喜も【ライトニング・ブリザード・フォーミュラ】で追撃を仕掛けていく。

「俺の電撃と凍結の力……味わえや!」
 慶喜の体内でチャージされた生体電流とエネルギーが、雷と氷のホーミングレーザーとなって敵機を狙い撃つ。
 雷光を反射した氷の粒がキラキラと輝くさまは幻想的だが、敵がそれに見惚れている暇はない。レーザーに撃ち抜かれ、動きの止まったザカリアスの元に、アルマが肉迫してくる。
「オラッ!」
『グワァッ?!』
 今度は神秘と科学力を無効化する【正体不明殺し】による一撃。少女の拳がオブリビオンマシンの装甲を打ち砕き、侵略蔵書による書き換えを否定する。あるべき世界の形に塗り替えられるように、敵機は忽然と姿を消した。
 様々な世界の戦場を体験してきた彼女達が、今さら量産機くらいに遅れを取るはずもない。勢いに乗った3名はそのまま敵の侵略を押し返していく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
『よし…殺るぞ、エル』
ミナルアさんが剣を構えながら言う

『オォォー!』
オーさんは元気に返事をした

行こう!
敵のマシンガンの攻撃はオーラ防御で防ぎ、同時発動UC逆行奥義・ペディキュア・アサラシスを発動

『隙だらけだ…』
ミナルアさんは敵の装甲に斬鉄属性を纏った剣で敵を切る

『オォォー!』
オーさんは周りに毒を吐いて腐食させる

敵の行動はガンナイフから呪殺弾を放ち妨害した

『テトラ!』
ミナルアさんの指示でテトラは水蒸気爆発を周りの敵に放つ

シュヴァルツ!
他のUCで狙撃逆行王シュヴァルツを発動して狙撃して貰う

『行くぜエル!』
変身したオーさんが言う

行くぞ!オーさん!ミナルアさん!テトラ!シュヴァルツ!
敵に総攻撃をかけた



『よし……殺るぞ、エル』
 戦場と童話の挿絵が混ざりあったような、奇妙な光景と化した不思議の国。そこにやって来た「星霊ミナルア」は剣を構えながらエリュファシオン・アルティウス("やんきー"を目指す『時間逆行』を使う不思議な旅人・f39208)に言った。その視線の先にいるのは無骨な鋼のオブリビオンマシン、量産機『ザカリアス』だ。
『オォォー!』
 エリュファシオンを乗せたオオサンショウウオ型バイク「オーさん」も元気に返事をする。敵はただ闘争のために呼び出された木偶人形、容赦をする理由は皆無。この国の愉快な仲間達を守るためにも全力で撃退あるのみだ。

「行こう!」
 そう叫んで前に出たエリュファシオンを、分厚い弾幕のカーテンが迎える。ザカリアスが装備した【RSマシンガン】に特別な機能はないが信頼性と命中精度には優れている。僚機と連携しての一斉掃射は対人には十分すぎる威力を発揮するだろう。
『落ちろ、猟兵!』
「落ちないね!」
 だがエリュファシオンが纏った「万能時間覇気」のオーラは、堅牢な鎧となって銃撃を弾き返す。表情の動かぬ敵にニヤリと笑い返してみせながら、彼女は【逆行奥義・ペディキュア・アサラシス】を発動。時間操作の力を鎧や翼の形で具現化させ、オーさんに跨ったまま「シャドウ・ガンナイフ」を構えた。

『来るぞ……!』
 見るからに強力な覇気を視覚化させたエリュファシオンに、ザカリアスの警戒は集中する。しかし、それを陽動にして側面から敵部隊に接近する者がいた。紫と青の混じる髪をなびかせた美しき星霊の剣士、ミナルアである。
『隙だらけだ……』
『なにっ?!』
 彼女が放つ斬撃は、分厚い鋼鉄で鎧われたキャバリアだろうと斬る。不意打ちを食らったザカリアスはオーバーとアンダーのフレームの狭間を真っ二つにされ、驚愕とともに機能を停止した。ここから彼女達の猛攻が始まる。

『オォォー!』
 オーさんはエリュファシオンを乗せて走りながら、周りに毒液を吐き散らす。彼(?)の毒を浴びた機体は装甲が腐食し、攻撃がより通りやすくなる。自慢の防御力を削られるのはザカリアスにとっては忌避する事態だろう。
『まずはその奇妙な生物から……』
「そうは……させないよ」
 走るオオサンショウウオに銃口を向けた敵機に、エリュファシオンが即座にガンナイフを向け返す。彼女が発動した逆行奥義は妨害とカウンターに特化した型である。後の先を制して放たれた呪殺弾が、毒液で腐食した装甲の隙間に突き刺さった。

『ッ! 損傷度46%……このままでは』
『まだだ。テトラ!』
 敵が焦りを見せ始めたところに、ミナルアが相棒の「蒸気獣テトラ」に指示を出し、水蒸気爆発を発生させる。
 近距離から浴びせられる灼熱の蒸気と衝撃波は、周囲にいたザカリアスには致命傷となる。吹き飛ばされた敵は装甲とフレームがひしゃげ、二度と起き上がらなかった。
「シュヴァルツ!」
 さらにエリュファシオンは【狙撃逆行王シュヴァルツ】を召喚し、残っている敵を狙撃して貰う。白い仮面と黒いコートを身につけた狙撃の王は、銀髪をなびかせながら銃を構え、次元すらも超越する必中の狙撃を披露した。弱点部をピンポイントに撃ち抜かれたオブリビオンマシンの亡骸が、戦場に続々と積み重なっていく。

『行くぜエル!』
「行くぞ! オーさん! ミナルアさん! テトラ! シュヴァルツ!」
 そろそろ決め時だとオーさんが叫び、オオサンショウウオから巨大な龍に変身する。それに応えてエリュファシオンは【逆行奥義・調停龍パラダイム・パラドックスの総攻撃】を宣言。この場に呼び集めた全ての仲間と共に、一斉攻撃を仕掛けた。
『『ぐ、ぐわああああああーーーッ!!!』』
 持ち味もスタイルもそれぞれが異なる超存在達の攻撃を受けて、耐えられる者などこの場には存在しなかった。
 断末魔の絶叫とともにザカリアス部隊が消し飛ばされた後には、残骸のスクラップのみが散らばっていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
虹炎の神

行くぜ!
愉快な仲間たちにも声をかける
『エリン!お前達!Lesson3…自分を見ろだ』
アルコは突然そんな事を言った
え?いきなり何だよ?
『エリン、タタリの事を引きずっているのは知っている…今回のレッスンを通して答えを見つけろ』

やべっ!
敵の攻撃が飛んで来たので推力移動で横に回避する

鳴り響け!魂の音!トゥントゥン
虹炎の神…になれねぇ?!
何でだよ!
『…やはりか、ふん!』
アルコが実体化して敵を蹴り飛ばす

…変身出来ねえなら仕方がねえな!こいつを喰らえ!
ヴァルカライナーから素早く爆撃の呪殺弾を放った

『虹炎の轟虎雷!』
アルコは神罰を纏った雷の虎を敵に放った


『エリンお前が新たな力に目覚める為の試練だ…!』


リュカシオン・カーネーション
虹炎の神

《頑張りましょう!シオンさん!》
アロナちゃんがウチに声をかける

おう!…と言いたいがエリンがあの時タタリの事を気にしていたからな…このままじゃ同じミスを犯す可能性がある

《ああ…》
アロナちゃんもエリンの発言を思い出す
自分を見ろか…いい機会だウチも虹炎の神のレッスンに乗っかるか

させねえよ?
敵が変形しようとしていたのでアズリエルから斬撃波を素早く放つ

アズさん!久しぶりの出番だ!
『ふぁぁぁまだ昼だよ?』
アズリエルがあくびをしながら登場する
《いや、起きてくださいよ》アロナちゃんはツッコミながら炎と水と風の魔法を敵に放つ

『ドッカ~ン』
アズさんは死の嵐を敵に放った

機械の可動部を…狙う!
ウチは弾幕を放つ



《頑張りましょう! シオンさん!》
「おう! ……と言いたいが」
 猟書家の侵略から不思議の国を守るために、意気込みを見せる「精霊王アロナフィナ」。その相方であるリュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)は同意を示すものの、まだ懸念があるらしく表情は険しい。
「エリンがあの時タタリの事を気にしていたからな……このままじゃ同じミスを犯す可能性がある」
《ああ……》
 それは共闘する猟兵の少女、エリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)に関する話だった。どうやら以前あった事件での失敗が、彼女の心に大きなショックを残したらしい。どんな依頼にしてもそうだが、心を乱したまま戦いに挑むのは自殺行為だ。

「行くぜ!」
「「はーい!」」
 そのエリンはどうしているかと言えば、少なくとも表面上はいつもと変わらない様子で、愉快な仲間達に威勢よく声をかけている。不思議の国を守りたいという気持ちはここの住人だって同じ。共に立ち向かえばきっとオブリビオンマシンを撃退できるはずだ。
『エリン! お前達! Lesson3……自分を見ろだ』
「え? いきなり何だよ?」
 だが彼女の内面にまだ迷いが残っているのを察した「虹炎の神アルコイリス」は、突然そんな事を言いだした。
 急な話にエリンも驚いているが、表情は痛い所を突かれて動揺しているようにも見える。本人も気がついているのだろう、まだ自分が過去を振り切れていないことに。

『エリン、タタリの事を引きずっているのは知っている……今回のレッスンを通して答えを見つけろ』
「それってどういう……やべっ!」
 それ以上話をしている時間は無かった。書き換えられた世界より現れた『ザカリアス』の部隊が、肩部に搭載した【RS対キャバリアバズーカ】を発射する。エリンは咄嗟に「虹神炎覇気」のオーラを放出し、推力を発生させて砲撃を回避した。
「自分を見ろか……いい機会だウチも虹炎の神のレッスンに乗っかるか」
 横から話を聞いていたリュカシオンも、どうやら方針を決めたようで戦いに加わる。手には生きた武器である「天災邪神鎌龍アズリエル」を携え、背後には精霊王アロナフィナを伴って。その表情はエリンと見比べれば明らかな自信に満ち溢れていた。

「鳴り響け! 魂の音! 虹炎の神……になれねぇ?!」
 自分も遅れを取るわけにはいかないと、エリンは【虹炎の神・estrella・arcoiris】に変身しようとする。だが、いつもは高鳴ってくるはずの鼓動は聞こえず、力もまるで湧いてこない。いつもは意識していなかったユーベルコード発動のためのカギが、抜け落ちてしまったようだ。
「何でだよ!」
『……やはりか、ふん!』
 困惑するエリンとは違って、アルコイリスには理由が分かっているようだった。ともあれ彼女をこのまま無防備なままにはしておけないと、彼は気合いを入れて実体化し、接近してきた敵を蹴り飛ばす。契約者の力を借りられない状態では万全とは言えないが、それでも量産機の相手くらいは余裕だ。

「……変身出来ねえなら仕方がねえな! こいつを喰らえ!」
 内心では激しく動揺しているであろうエリンだが、戦場でいつまでも気持ちを切り替えられないほど未熟ではなかった。ユーベルコードが不発だろうと戦う手段を失った訳ではないと、「邪神砲龍ヴァルカライナー」を構えてトリガーを引く。
『ぐわぁっ!?』
 生きたロケットランチャーから放たれた爆撃の呪殺弾が、ザカリアスをまた1機吹き飛ばす。やはり量産型程度のオブリビオンマシン相手なら、ユーベルコードなしでも通用する――だが、このままで果たして『鉤爪の男』に通用するだろうか?

『虹炎の轟虎雷!』
 エリンを援護するようにアルコイリスが雷の虎を敵に放つ。神罰の力を纏った猛虎の爪牙は、立ち塞がる敵機を次々に引き裂き、蹂躙する。不安要素こそ抱えてはいるものの、現在の戦況が優勢であることは揺らがなかった。
『エリンお前が新たな力に目覚める為の試練だ……!』
 過去を乗り越えて答えを見つけ出せるか。それがエリンの成長には必要なことだとアルコイリスは考えていた。
 そのためには他人から答えを教えてやることはできない。戦いのサポートはできても、最終的に彼女が殻を破れるかは本人次第だ。前線にて戦線を支えながら、虹炎の神は激励の言葉を送る。

『このままでは分が悪い……』『フレームを換装するぞ!』
 劣勢に立たされたザカリアス部隊は、今いる戦場に最適な【局地戦仕様】のフレームに変形することで状況打開を図る。上半身と下半身のフレームを交換することで様々な状況に柔軟に対応できるのが、キャバリアという兵器の強みだった。
「させねえよ?」
『なにッ!?』
 だが、それを見たリュカシオンがアズリエルから斬撃波を素早く放ち、敵の変形を妨害する。猟兵側からすれば向こうが悠長に装備更新するのを待っている理由は無いのだから。そのまま彼女は【ド天然の天災邪神龍の祝福】を発動し、大鎌を宙に放り投げた。

「アズさん! 久しぶりの出番だ!」
『ふぁぁぁまだ昼だよ?』
 宙を舞ったアズリエルは大鎌から銀と黒色の邪神龍の姿となり、大きなあくびをする。本来はこちらの姿こそが本性なのだが、基本的にダウナーで眠がりなこの邪神龍は積極的に働くことが少なく、いつもはリュカシオンに振るわれてばかりいた。
《いや、起きてくださいよ》
 そんなアズリエルにツッコミを入れながら、アロナフィナは炎と水の風の魔法で敵を追撃。精霊王たる彼女の力は万全なら自然災害にも迫るほどで、オブリビオンマシンの侵攻を一定のラインから押し留めていた。フリーダムな連中が多いこの面子の中で貴重なツッコミ役らしい、堅実な仕事ぶりである。

『仕方ないなあ……ドッカ~ン』
『『う、うわぁぁぁぁッ?!!!?』』
 まだ寝ぼけ眼をこすりながら、アズリエルが【死の祝福】を発動。どれだけやる気がなさそうでも邪神龍の名は伊達ではなく、放たれた死の嵐は巻き込んだ対象を即死させる。どんなに堅固な装甲も耐性もそれに意味はない。
「機械の可動部を……狙う!」
 オマケに死の嵐から逃れた連中も、リュカシオンが弾幕で撃墜する。様々な種族と能力を持つ者が入り乱れて、いつもの不思議の国以上にカオスとなった戦場だが――その勢いは止まることを知らず、侵略を押し返していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
歌姫と🦃

よし!皆行くよ!
ライズサンに搭乗した僕は皆に声をかける

UC時空剣士・ウール・エスパスを同時に発動した
『汚名返上よ!』
エスパスさんは張り切っている

うん!やろう、エスパスさん!

『ソラウとエスパス、あの後話し合っていたな…』『信頼関係を取り戻せるといいわねエスパスちゃん』
ライズサンとエミリアーノは呟いた

敵の攻撃はライズサンの推力移動で回避する
エスパスさんは次元能力で瞬間移動した
その後熱と音消滅属性の迷彩で姿を消す

くらえ!『いくわ!』
エミリアーノと僕は迷彩の力を纏った弾幕を敵に放った後UCで騎士達を召喚する

騎士達も敵を攻撃

『霞斬り!』
エスパスさんは敵の背後から霞斬りを放ち次々と敵を倒していく


フラーウム・ティラメイト
歌姫と🦃

オ…オベイが巨大化してしまいました…
『ケー』
身長942mになったオベイが返事をする

『はあ…』
マーアリアは疲れたようにため息をつく

大丈夫ですか?
『あの後タタリの件をエスパスと話し合いエスパスは私が監視する事にしました』

納得はしたんですか?
『してませんが私は因果獣皇ですから』
そう言うとマーアリアは因果獣皇・因果の支配者を発動した


敵の攻撃は鍵剣から因果断絶属性の光線を素早く放ち銃弾の掃射を消滅させながら敵に攻撃します

追撃ですよ
UC発動してモザイクの嵐を敵にぶつけます

『凍りなさい』
マーアリアは周りの敵に凍結攻撃の矢弾の雨を放ちました

『ケー!』
巨大化したオベイは破壊属性のブレス攻撃を放ちました



「よし! 皆行くよ!」
 時空神機「ライズサン」に搭乗したソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)が、仲間達に声をかける。相手がオブリビオンマシンならこちらも同じロボットで対抗ということだろうか。『鉤爪の男』との最終決戦に向けて意気込みは十分なようだ。
『汚名返上よ!』
「うん! やろう、エスパスさん!」
 彼女のユーベルコードで召喚された【時空剣士・ウール・エスパス】も張り切っている。どうも別の依頼で何かミスでもやらかしたのか、この戦いを挽回のチャンスと見ているようだ。気合いが入っているのは良いことだが、空回りにならなければ良いが。

『ソラウとエスパス、あの後話し合っていたな……』『信頼関係を取り戻せるといいわねエスパスちゃん』
 ライズサンともう1体の「時空神機・エミリアーノ」は、二人のやり取りを傍から見守りながら話し合う。一時は契約解除するところまで関係のこじれたソラウとエスパスだが、現状は一応元の鞘に収まったようには見える。
 だが失った信頼を回復するには地道な積み重ねを続けるしかない。あの時空剣士がまたミスをやらかさないことを彼らとしては願うばかりだった。

「オ……オベイが巨大化してしまいました……」
 一方のフラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)は、不思議の国に着くなり鳥形の封印石ごと巨大化した「ディストーション・オベイ」を見上げてぽかんとしていた。身長942mというキャバリアすら見上げるサイズになったオベイは、のんきに『ケー』と返事をする。
「はあ……」
 その様子を見て疲れたようにため息を吐くのは、彼女達の後見役である因果獣「マーアリア」。突然何の脈絡もなく形を変えるオベイのこともそうだが、彼女は他にも気苦労を抱えていた。その視線の先にいるのは出撃準備を整えているエスパスである。

「大丈夫ですか?」
『あの後タタリの件をエスパスと話し合いエスパスは私が監視する事にしました』
 どうも以前にエスパスがやらかした問題は、様々な者の間で尾を引いているようだ。エスパスも本来は神の一柱と呼ぶべき存在なのだが、本人のミスが原因で弱体化している。それをさらにマーアリアが監視するというのは、よっぽど信頼されていないようだ。
「納得はしたんですか?」
『してませんが私は因果獣皇ですから』
 そう言うとマーアリアは【因果獣皇・因果の支配者】を発動し、真の姿となって臨戦態勢を取る。今は目の前に迫る侵略者を撃退するのが最優先だ。エスパスから目を離さないようにしつつも、それで依頼を疎かにはしない。

『超弩級の闘争をここに!』『総員突撃!』
 侵略蔵書に書き換えられた空間より現れたオブリビオンマシン『ザカリアス』は、鉤爪の男の望みを叶えるべく突進しながら【RSマシンガン】を撃ってくる。射線上にいた猟兵とその仲間達は、各自の能力で防御行動を取る。
「エスパスさん!」『ええ、ソラウ!』
 ソラウはライズサンの推進力で、エスパスは次元能力による瞬間移動で掃射を避け、そのまま迷彩で姿を消す。
 時空神の力を用いたこの機能は光だけでなく熱や音すら遮断するため、一度隠密に徹すれば発見は困難だろう。

「迎え撃ちます」
 そしてフラーウムは持っていた鍵形の黒剣から光線を放ち、ザカリアスのマシンガン掃射に対抗する。因果断絶の力を宿した光に触れたモノは、存在の因果を否定されて消滅する。それは銃弾であろうとオブリビオンマシンであろうと同じだった。
『なっ、なんだこの攻撃は……?!』『落ち着け、とにかく回避を……』
「追撃ですよ」
 光線を浴びたオブリビオンマシンの腕や脚が、まるで最初から無かったかのように失われる。これを見た敵部隊は散開して被害を軽減しようとするが、その前に【因果獣狂龍皇・フラーウム・ディストラクション】を発動。自分の胸に鍵剣を突き刺すと、そこから大量のモザイクを溢れ出させた。

「さあ……私の中にあるモザイクの力見せましょう」
『『う、うわぁぁぁぁッ?!!』』
 フラーウムの放ったモザイクは触れたものの時間質量を消滅させる。過去の具現化であるオブリビオンとて時間を失えば活動を停止するのは自明の理。極彩色の嵐に飲み込まれたザカリアス部隊の絶叫が戦場に響き渡った。
『凍りなさい』
 さらにマーアリアが【因果の支配者】の力を行使し、氷の雨を不思議の国に降らせる。支配を司り因果を操る彼女にかかれば大抵の物理現象は再現できるのだ。鋭い氷柱に貫かれた敵は、あっという間に凍りついてしまった。

「くらえ!」『いくわ!』
 フラーウム達が敵をモザイクと因果の混沌に陥れている隙に、潜伏していたソラウとエスパスが追撃を試みる。
 身を隠すために使っていた迷彩と同じものを施した彼女らの弾幕は、不可視の攻撃となり敵軍に襲い掛かった。
『ぐあッ!』『ま、不味い、態勢を整え……』
 不意を突かれたザカリアス部隊の損害はますます拡大し、落ち着く暇もない。この混乱に拍車をかけるように、ソラウは【ソラウの歌"破滅の騎士"】を発動した。時空騎士にして歌姫である彼女の歌声に応えて、時空を超えて百体の騎士団が降臨する。

「来い……! 破滅の騎士よ!」
 召喚された騎士達は統率された動きで戦闘を開始し、次元すらも貫く赤槍で敵を攻撃する。ここに来ての増援はザカリアス部隊の劣勢を決定づけるには十分なものであり、混沌とした戦場に破壊されたマシンの残骸が積み重なっていく。
『霞斬り!』
 エスパスも汚名返上のために懸命に戦い、背後から斬撃を放って次々に敵を倒していく。時空神としての権能は衰えていても【曲通風流剣術】による戦闘能力は決して低くはなく、量産型キャバリアごときに遅れは取らない。

『くっ、ここは一旦後退を……』『待て、なんだこれは?』
 猟兵達の攻勢に耐えきれなくなったザカリアス部隊は、やむなく戦略的撤退を図るが――その頭上からぬうっと影がさす。雲でもかかったのかと思って空を見上げれば、そこには数百メートルに達する鳥の巨石が立っていた。
『ケー!』
『『ひっ……うぎゃあああああッ!!!』』
 彼らが逃げる間もなく、巨大化したオベイの口からブレスが放たれ、足元の矮小なる者をバラバラに破壊する。
 こうして時空と因果の仲間達によってオブリビオンマシンの軍団は大損害を受け、それに伴って侵略蔵書による世界の「書き換え」も鈍り始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
愉快な仲間たち!力を合わせよう!
愉快な仲間たちに対して私は右腕を上げて演説する

『行くぞ…開戦だ!』
朱雀が愉快な仲間たちを鼓舞して敵と対峙


まずは周りの障害物を利用しながら敵に近づく(軽業)そして槍から光線により爆撃のダメージを与えた

『焼き尽くす…!行け!』
朱雀が焼却の矢弾の雨を降らせて敵を一網打尽にした
その後愉快な仲間たちが攻撃

皆を守る!
敵の攻撃は結界術を展開しながら推力移動で攻撃から少ない場所に逃げる

『刀角よ…力を貸して欲しい』
朱雀が同時発動UCの伝説の大妖怪・刀角を発動する

『消えろ!』
装着して敵に次元突発能力で防御を無視して斬りつける

くらえ!燎焔怒涛!
私がUC発動して周りの敵に連撃を浴びせた



「愉快な仲間たち! 力を合わせよう!」
「わぁ! いいよ!」「一緒に戦ってくれるんだね!」
 オブリビオンマシンとの苦しい戦いを強いられている愉快な仲間たちに、花咲・月華(『野望』を抱く?花咲の鬼姫・f39328)は右腕を上げて演説する。迷宮災厄戦以来となる不思議の国の危機に、猟兵が力を貸してくれると聞いた仲間たちは大喜びだ。
『行くぞ……開戦だ!』
「「おぉーっ!」」
 さらに彼女の目付役である赤鬼の「朱雀」が仲間たちを鼓舞して士気を上げ、オブリビオンマシンと対峙する。
 喋る花や生きたおもちゃなど、ここにいる愉快な仲間たちは強そうな見た目ではないが、普段は悪いオウガから"アリス"を守る手助けをしている。見たことのない機械の兵隊が相手でも、やる気は十分なようだ。

「まずは私が!」
 後続の道を切り開くために月華は一番槍として戦場を駆け、樹木やビル等の障害物を利用して【RSマシンガン】の掃射を躱しつつ敵部隊に接近する。そして「花咲皇花槍」を突き出すと、その矛先から真っ赤な光線を放った。
『ぐわぁッ?!』
 二又の妖槍より放たれる光線を浴びた『ザカリアス』は爆発し、自慢の装甲が黒焦げになる。クロムキャバリアの戦場から出てきた連中にとっては、彼女のような妖怪や不思議な力は未知の能力だ。初見の攻撃に対応できないうちがチャンスだ。

『焼き尽くす……! 行け!』
「はーい!」
 畳み掛けるように朱雀が焼却の矢弾の雨を降らせ、敵を一網打尽にした後に愉快な仲間たちに突撃を指示する。
 元気な掛け声とともに飛び出していった仲間たちは、その辺に落ちていたものを投げつけたり、ありあわせの武器で叩いたりと、個性的な手段で追い打ちをかけていく。
『この……調子に乗るな!』
 だが敵もこのまま黙ってはいられないと、炎の中から立ち上がりマシンガンの照準を愉快な仲間たちに向ける。
 おとぎ話のファンシーさの欠片もない、ただ人を殺すことを目的にした無愛想な鉛玉が不思議の国の住人に襲いかかる。だが、その寸前で月華が彼らの射線の前に立ちはだかり結界術を展開した。

「皆を守る!」
『チッ。ならば貴様からだ!』
 より危険度の高い相手にザカリアス部隊は標的を変更して弾幕を集中する。対する月華は身体から吹き出す炎を推進力に変えて、結界を張ったまま攻撃から少ない場所に移動しようとしていた。その先で待ち構えているのは、ユーベルコードを詠唱中の朱雀だ。
『刀角よ……力を貸して欲しい』
 彼の呼びかけにより召喚されるのは黒い帽子と鎧を身に纏い、両手には巨大な刀を携えた武人の妖怪。【伝説の大妖怪・刀角】は自らを呼び出した者と合体することで己の武装を授け、その戦闘力を強化する力を持っていた。

「消えろ!」
 刀角の武具を装着した朱雀が刀を振るうと、その斬撃は次元を断ち切り、装甲を無視して敵を真っ二つにする。
 間髪入れずに月華もユーベルコードを発動。燃え盛る炎の槍と刀と剣を手に、目にも留まらぬ連続攻撃を繰り出した。
「くらえ! 燎焔怒涛!」
『い、いかんっ……ぐわぁぁぁぁっ!!』
 千の連撃を浴びせられたザカリアス部隊は次々に撃破され、断末魔の悲鳴と共に爆発四散。闘争の世界に塗り替えられつつあった不思議の国の浸食は停止し、戦いは猟兵と愉快な仲間たちの優勢のまま推移していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
良かろう、今こそ超弩級の闘争を為そうではないか鉤爪の男よ!
だが、無辜の民を巻き込む事は罷りならん!
故に、この軍勢は殲滅させて貰うとしよう!

軍旗を翻し戦場へ。
参戦の旨を声と発し、奮戦を続ける愉快な仲間達を【鼓舞】。

黄昏大隊・突撃部隊を発動、呼び寄せた兵達に向かい来るオブリビオンマシンへの突撃を指示。
敵の数・配置や周辺地形を鑑み、正面より突撃する兵と迂回し側面攻撃を試みる兵を分けて当たらせる。
後は突撃により敵集団の足並みを乱し、孤立した敵は愉快な仲間達に止めを刺して貰う形にて戦ってゆこう。
戦域の状況は、義眼と無人探査通信装置を用い随時【情報収集】、其を基に兵達へ適切に命令を下してゆく。



「良かろう、今こそ超弩級の闘争を為そうではないか鉤爪の男よ!」
 猟書家『鉤爪の男』が望む唯一のもの、それは戦場に生き戦場に死すであろう生粋の戦争狂、ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)も望む所であった。敵は大軍、率いるは強者。心ゆくまで闘争の浴に浸かるための要素は全て整っている。
「だが、無辜の民を巻き込む事は罷りならん! 故に、この軍勢は殲滅させて貰うとしよう!」
「わぁ、カッコいい!」「よーし、ボクらもがんばるぞ!」
 唯一彼女の哲学に適わぬ点は、本来なら兵士ではない者を凶弾の標的にした事。軍旗を翻し戦場へとやって来たギージスレーヴは参戦の旨を声と発し、奮戦を続ける愉快な仲間達を、その意気軒昂たる雄姿をもって鼓舞した。

「突撃用意! 前方の敵を押し戻し浸透を阻止せよ!」
 召喚するは【黄昏大隊・突撃部隊】。血色の軍旗の下に集いし亡霊の兵士達は、首領の命令を忠実に遂行する。
 重装甲で全身を鎧った突撃兵の背中にはジェットエンジンのノズルが突き出しており、青白い炎が噴き上がる。
「総員、突撃!」
 ギージスレーヴの号令一下、亡霊兵団は向かい来るオブリビオンマシンの軍勢に突撃を開始。サイズではキャバリアに劣るものの直線加速の勢いではこちらが優位に立つ。正面対決でも渡り合ってみせよう――傭兵組織『|黄昏大隊《アーベントロート・バタイロン》』に属する者に、弱兵は存在しない。

『殲滅せよ! 破壊せよ!』『超弩級の闘争をここに!』
 オブリビオンマシン『ザカリアス』部隊は肩部に搭載した【RS対キャバリアバズーカ】で相手部隊の突撃に対抗する。だがロケット弾の砲撃と爆発に晒されても黄昏大隊の亡霊兵は誰一人として速度を落とさず、一直線に敵陣に突撃、交戦状態に入った。
「そうだ。そこで敵を釘付けにせよ」
 一方で突撃した兵士の数は召喚された総数よりも少ない。ギージスレーヴは部隊を主力とサブの2つに分割し、前者が敵軍の前進を食い止めている間に後者が側面攻撃を試みる策を授けていた。敵の数・配置や周辺地形を鑑みれば、これが最も有効な戦術だと判断したためだ。

『押し戻せ……なにッ、3時方向からも敵の反応が?!』『うっ、うわぁぁぁぁっ!!』
 不思議の国とクロムキャバリアの戦場が混ざりあった独特の地形を迂回して、敵の側面に回った突撃部隊の強襲は絶大な威力を発揮した。紀元前から存在する「鎚と鉄床」戦術だが、実行するには高度な連携と指揮が必要で、成功した場合のリターンは大きい。
「敵集団の足並みを乱し、各個撃破せよ」
 正面の兵はより圧を強め、側面の兵が横糸を通すように敵陣を貫く。この絵図を描いたギージスレーヴの指揮力を支えるのは、片目に埋め込んだ義眼「エレクトロニシェアウゲ」と、無人探査通信装置「ヴィッセン・ミトヴィルケン」だ。超越的な知覚力と上空から俯瞰する"目"を持つ彼女は、戦域にある全ての状況を見通している。

「諸君は孤立した敵に止めを。そこだ!」
「わかった!」「いくぞー!」
 混乱をきたした敵が集団から外れて四散し始めると、ギージスレーヴはその処理を愉快な仲間たちに指示する。
 随時情報収集を行い、それを基に兵達へ適切な命令を下す。戦争における理想であり、それ故に現実には困難な行為を彼女は実践していた。黄昏大隊と愉快な仲間の連携により、鋼鉄の巨兵は続々と殲滅されていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
おっかねえ機械仕掛けの巨人が出てくる新感覚のおとぎ話ってワケか。
そりゃあ、おとぎ話には怖い話もあるけど、これはいくら何でもダメだろ!
ともかく、怖いのは我慢して、何とかするしかねえよな。

まずは〈目立たない〉ように最前線の中心付近へこっそり移動。見つかりそうになったら〈逃げ足〉活かして包囲されねえようにだけ気をつける。
ある程度以上の敵が視界に入るところまで来たら、ユーベルコードを発動。ダメージを与えつつ戦闘力を奪って、時間をかけて無力化していく。
流れ弾が飛んでくるかもしれねえから〈第六感〉と〈見切り〉で当たらねえように気は付けとく。
あとは演奏を続けながら〈援護射撃〉で愉快な仲間達をサポート。



「おっかねえ機械仕掛けの巨人が出てくる新感覚のおとぎ話ってワケか」
 アリスラビリンスを侵略するクロムキャバリアのオブリビオンマシン部隊を、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は皮肉を込めてそう評した。喋る花やら動物やら時計ウサギやらがいる世界をロボット兵器が蹂躙するのは、正直世界観の破壊以外の何物でもない。
「そりゃあ、おとぎ話には怖い話もあるけど、これはいくら何でもダメだろ!」
 しかも悪いことにこの"おとぎ話"は現実で、機械の巨人に殺された命は元に戻らない。超弩級の闘争のみを求める『鉤爪の男』に呼び出された軍団は、どれだけ破壊と殺戮を続けても止めることを知らず。その果てに待つのは誰もいないバッドエンドだ。

(ともかく、怖いのは我慢して、何とかするしかねえよな)
 愉快な仲間たちを見捨てて逃げる訳にもいかないと、嵐はまず目立たないように最前線の中心付近に移動する。
 侵略蔵書による世界の書き換えと戦闘の混乱に紛れてこっそりと。敵は現地の住人や猟兵との戦いに明け暮れているため、盲点を突くのは不可能ではない。
『うん? 今何か動いたような……』
(やべっ)
 見つかりそうになった時は持ち前の逃げ足を活かしてさっさとその場を離れ、包囲されないように気をつける。
 流石にあの分厚い装甲とデカい武器を持った軍団と正面からやり合うのは勘弁だ。逆に言うと"正面から"でなければ手の打ちようはある。

「我が奏でるは魔笛の旋律。惑い、狂い、捻じ曲がれ」
 ある程度以上の敵が視界が入るところまで来ると、嵐はポケットから「荒野を渡るブルースハープ」を取り出し【伝承幻想・魔笛ノ旋律】の演奏を始める。使い込まれたハーモニカから奏でられる音色は、ノスタルジックで奇妙な響きがあった。
『ッ……なんだ?!』『センサーに異常が……!』
 この演奏を聞いた敵はダメージと五感消失の状態異常を受ける。たとえオブリビオンマシンだろうと例外なく、範囲内にいた『ザカリアス』部隊の動きに乱れが生じ始めた。すぐに動けなくなるほどのダメージはないが、それ以上に問題なのはカメラやレーダー等の不調だろう。

「あれ? あいつらキョロキョロしてるよ?」「よくわかんないけど、スキだらけだ!」
 嵐のユーベルコードは味方には影響を与えない。五感を失った敵が急に右往左往しているのを見た愉快な仲間達は、チャンスとばかりに反撃を始めた。一見ファンシーな外見の彼らでも、怖いもの知らずと勇敢さは侮れない。
『くっ……このっ!』
 ほとんど目が見えていないザカリアス部隊は、闇雲に銃を撃ちまくるしかない。この状況では【局地戦仕様】で装備を更新しようにも何が最適か分からないだろう。そうしている間もブルースハープの演奏は続き、彼らはますます不利に追い込まれていく。

(よし、いい感じだ)
 嵐は流れ弾に当たらないようにだけ注意しつつ、そのまま時間をかけて敵の無力化を目指し、演奏を続けながらお手製のスリングショットで愉快な仲間達をサポートする。小石や木の実の弾丸でちょっと相手の気を逸らすだけでも、乱戦中なら侮れない効果があるのだ。
「えーい!」
『ぐわッ?!』
 侵略者どもには蹂躙の対象としか見られていなかった愉快な仲間達が、機械仕掛けの巨人をやっつけていく。
 どうせ演じるならおとぎ話はハッピーエンドの方が良いだろうと、青年はその光景を見て目を細めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
ここは、愉快な仲間のみんなの大切な国、わたしにとっても大切な、世界。あなたたちには、渡さないよ。
みんな疲れてるだろうし、ちょっと休んでもらおう、かな。前線にシャボン玉の指輪でシャボン玉をばらまいて、足止め。その間に【おかしのくに】を、つくるよ。ティーセットで淹れた紅茶もあるし、お菓子を食べてちょっとお茶会を、しよう。
敵はお菓子に興味ないだろうし、これでわたしたちが有利の、はず。向こうはシャボン玉に対抗して攻撃回数を強化してるかもだけど、みんなでしっかり防いで攻撃すれば、平気。わたしは雷を纏わせたソリッドダイヤで防いでそのままぶつけて、攻撃するね。ん、不思議の国のすごさを見せつけて、あげよう。



「ここは、愉快な仲間のみんなの大切な国、わたしにとっても大切な、世界」
 過去の記憶をほぼ失った状態でアリスラビリンスに迷い込んだミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)にとって、この世界は思い入れの深い場所だった。オウガからの逃亡生活や戦いなど、決して楽しい記憶ばかりではなかったが、それでもここには掛け替えのない仲間と思い出がある。
「あなたたちには、渡さないよ」
 向かってくる異世界の侵略者――オブリビオンマシンの軍勢を真剣な眼差しで睨み付け、"アリス"の少女はそう告げる。かつての迷宮災厄戦のように、もう一度不思議の国を|滅びの危機《カタストロフ》から救うため、彼女は決意は定まっていた。

「ここから先には、行かせないよ」
『ぬおっ?!』『なんだこれは!』
 前線に出たミアはまず「シャボン玉の指輪」を使って魔法のシャボン玉をばらまいて、敵集団の足止めをする。
 きらきら光るシャボンはすぐにパチンと弾けてしまいそうに見えて、そこそこ耐久力がある。押しのけるにしても破壊するにしても多少の時間はかかるだろう。
「みんな疲れてるだろうし、ちょっと休んでもらおう」
 この間に彼女は「スートロッド」を振って、戦場を【おかしのくに】に作り変える。侵略蔵書の力で書き換えられつつあった不思議の国は、全てがお菓子でできたファンシーな世界に再び上書きされ、硝煙の匂いにかわって甘い香りが漂ってきた。

「紅茶もあるし、お菓子を食べてちょっとお茶会を、しよう」
「わぁい!」「すてきー!」「いただきまーす!」
 不思議な力で淹れたての紅茶が湧きだす「いつでもティーセット」を並べて、ミアが呼びかけると愉快な仲間達がわいわい集まってきた。この状況でもお茶会と聞けばすぐにそちらを優先させるのが不思議の国の住人らしいと言うか、やはり根本的に戦闘に向かない善良な子たちである。
『何を、ふざけているのか……!』
 シャボン玉越しにその光景を見た『ザカリアス』の部隊からすれば、彼女達の行動は戦闘放棄にしか見えない。
 バカにされたと感じた連中は【局地戦仕様】にオーバーフレームを換装し、猛烈な勢いで攻撃を開始した。ばらまかれる銃弾の雨がシャボン玉を次々に割っていく。

「わぁ、すっごく怒ってるよ!」「大丈夫かな?」
「ん、みんなでしっかり防いで攻撃すれば、平気」
 けたたましい銃声に愉快な仲間達はびっくりするが、一方のミアは冷静だった。向こうはシャボン玉に対抗するために攻撃回数を強化したようだが、命中精度が低くて見た目ほどの脅威にはなっていない。まばらに飛んでくる銃弾を、空飛ぶマジックアイテム「ソリッドダイヤ」が弾き返す。
「敵はお菓子に興味ないだろうし、わたしたちが有利の、はず」
「なるほどー!」
 ここでは「お菓子を楽しまなければならない」というルールに違反すると行動の成功率が低下する。お菓子をつまんだりお茶を飲んだりしながら、のんびり戦うくらいが丁度良いのだ。それを聞いた愉快な仲間達も真似をしてお菓子を頬張りながら敵にモノを投げつける。硬い飴玉とか、トゲトゲのイガグリとか、そういうやつを。

『ぐわっ?!』『な、なぜだ……!』
 オブリビオンマシンの攻撃はダメージを与えられず、愉快な仲間達の攻撃はクリーンヒットする。この不思議で理不尽な事実に敵は困惑している様子だった。どんなに集中して狙っても彼らの銃弾は不自然なくらいターゲットから逸れてしまうのだ。
「ここは、おかしなおかしな、おかしのくに――」
 甘味に満ちた不思議の国で、ミアは雷を纏わせたソリッドダイヤを操る。諦めない強固な意志に応じて硬度を増したダイヤは、防御においては不壊の盾となり、そのままぶつければ武器にもなる。稲妻の音と金属がひしゃげる音が響くたびに、大破したザカリアスの残骸が地面に散らばった。

「ん、不思議の国のすごさを見せつけて、あげよう」
「「おぉーっ!」」
 お茶会効果で元気いっぱい、士気も盛んな愉快な仲間達と一緒に、ミアはオブリビオンマシンを撃退していく。
 彼女達は決して無力な存在ではない。アリスラビリンスが内包する邪悪――オウガの脅威に抵抗を続けてきた、知恵と機転と勇敢さの持ち主なのだから。
『まさか、この世界の住人の力がこれほどとは……!』
 やがて紅茶の湯気が冷めるころには、大損害を被った敵集団はついに撤退を開始し、それに伴って侵略蔵書の浸食も止まる。ミアがユーベルコードを解除してみれば、不思議の国にはいつも通りの風景が戻ってくるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『不思議な迷宮』

POW   :    壁を壊すなど道を作り出して出口を目指す

SPD   :    迷宮の隅々まで探索して出口を目指す

WIZ   :    迷宮の最適解を見つけ出して出口を目指す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 愉快な仲間達との共闘により、不思議の国に攻め込んできたオブリビオンマシンの撃退に成功した猟兵達。
 これによって侵略蔵書による「世界の書き換え」は一時的に止まり、逆にこちらから攻め込むチャンスが生まれる。オウガ・フォーミュラである『鉤爪の男』の元に向かうには、この機会を利用するしかない。

 現在、この世界はアリスラビリンスとクロムキャバリアの地形や空間が混ざりあった状態にある。
 総じておとぎ話のような不思議の国と、リアルで現代的な都市と戦場。この2つがランダムに融合することで、これまでの世界でも例のない「迷宮」を作り出しているのだ。

 ある所は鬱蒼とした森の中だったり、そこを抜ければ突然荒廃したビル街に出たり。
 世界観のおかしな事になったこの空間を抜けた先に『鉤爪の男』はいるはずだ。
 猟兵達は再び侵略蔵書の浸食が始まる前に、迷宮の出口を見つけださなければいけない。

 果たして猟兵達はいかにしてこの不思議な迷宮を攻略するのか。冒険の旅が幕を開ける。
エミリヤ・ユイク
※アドリブ歓迎

やれやれ、2つの世界が融合した空間ですか。よくまぁ、これだけ色々とやりますね。ですが所詮は空間は空間。なら手っ取り早く空間如き壊していってまっすぐ進みましょう。他の景色?そんなのは目にとめることなどしません。ただ正面の空間を破壊して進むのみ、です。私にとってはシンプルな方がいいでしょう。
とはいえ、最初に進む方向を決めないとですね。第六感、気配感知、占星術で方向を決めてから、UCの時空破魁で何度も何度も時空間を殴り壊して進みます。
ね、シンプルでしょう?
この程度では、私を惑わすにはまだ足りないですね。何故なら確固たる意志のもと私は突き進むのみです。冥狼を甘く見ないことです、鉤爪の男。



「やれやれ、2つの世界が融合した空間ですか。よくまぁ、これだけ色々とやりますね」
 両世界の要素が渾然とした風景を改めて目の当たりにして、エミリヤは呆れたようにそう呟く。『鉤爪の男』の侵略蔵書がもたらした爪痕は、不思議の国を奇妙で奇怪な迷宮に変えていた。この異変がまた広がり始める前に、元凶の元までたどり着かないといけない。
「ですが所詮は空間は空間。なら手っ取り早く空間如き壊していってまっすぐ進みましょう」
 この問題に対処する上でのエミリヤの回答は至極明快だった。ぐっと拳を握りしめて、ただ前と思しき方角だけを向いて走りだす。そこが深い森の中だろうと都市の中だろうと、彼女は他の景色に目を留めることなどしない。

「ただ正面の空間を破壊して進むのみ、です。私にとってはシンプルな方がいいでしょう」
 エミリヤという人間はあまり頭を捻るよりも腕力に訴えるほうが得意なタイプだ。本人もその自覚はあるのか、一度動きだせばもう迷いはしない。とはいえ最初に進む方向は決めないと、見当違いのほうにひたすら直進する羽目になってしまうが――。
「こっちですね」
 敵の気配を察知する第六感と、星の導きに行く先を尋ねる占星術。この2つを己の羅針盤として、鉤爪の男がいる方角を当てる。原始的な手段に思えるが精度は確かだ。冥狼の後継者は一度狙った獲物を決して逃しはしない。

「これに言葉は無用、ただ眼前の時空間を破壊するのみ。……時空破魁」
 前方に建物や樹木などの障害物が立ちはだかれば、エミリヤは即座にユーベルコードを発動。"この一撃を受けて朽ち果てろ"という意志を拳に込めて叩きつければ、対象は戦車の砲撃でも浴びたように粉々に吹き飛んだ。それは物理的な威力を突き詰めた極致にある、必中必壊の打撃である。
「ね、シンプルでしょう?」
 空間すらも殴り砕くこの拳の前では、どんな迷宮の壁も意味を成さない。後退も迂回も一切なく、本当に前だけを見て進み続ける。普通なら多少は不安になりそうなものだが、彼女は自分の直感と判断を確信しているようだ。

「この程度では、私を惑わすにはまだ足りないですね。何故なら確固たる意志のもと私は突き進むのみです」
 森林を駆け、都市を駆け、荒野を駆け。目まぐるしく変わりゆく風景には目もくれず、全力疾走するエミリヤ。
 彼女を見守るのは上空に浮かぶ星々だけ。道がなくとも突き進み、自らの拳で道を創る。身も蓋もなく言ってしまえばゴリ押しだが、それもここまで極まれば惚れ惚れするものだ。
「冥狼を甘く見ないことです、鉤爪の男」
 この先で待ち構えているであろう相手にそう告げる、少女の瞳は肉食獣のような輝きを宿していた。実験と研究の果てに造りだされた唯一の完全成功体としての自負、冥狼の異名を受け継ぐ者としての誇りが彼女にはあった。
 相手が何者であろうと関係はない。この迷宮と同じ様に、狼の牙は必ずや獲物の喉笛を食い千切ることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
さて…鉤爪の男の所を目指そう!

『オォォー!』
オーさんも元気に返事をする

『ちっ、この迷宮思ったより複雑だな…何だテトラ餌の時間か?』
ミナルアさんは迷宮の複雑さに舌打ちしていたがテトラに餌を食べさせていた

うむ…どうしたものか
私が考えていると

『オォォー!』
オーさんが光を放ち
『エル!俺に任せろ!』
オーさん…調停龍パラダイム・パラドックスに変身して光を放つと何も起こらない

『…なるほど進むぞ、エル』
ミナルアさんが歩きだしたので皆も続く

…元に戻ったのか?!
アリスラビリンスの光景のみが広がっていた
『いや、流石に暫くしたら戻るから急ぐぞ!』
オーさんは龍の姿のままバイクに変身して皆を乗せて迷宮を進み出口を目指した



「さて……鉤爪の男の所を目指そう!」
 オブリビオンマシンを撃退し、侵略蔵書の浸食を止めたエリュファシオンは、一緒に戦った仲間達に号令する。
 また侵略が始まる前に『鉤爪の男』の元まで辿り着き、この事件に終止符を打つのだ。自分達ならできるという確信が、明るい声色と表情に現れている。
『オォォー!』
 オオサンショウウオ型バイクのオーさんも元気に返事をし、その他の仲間も同意を示す。いざ猟書家の元へ――と動きだす彼女らの前に立ちはだかるのは、侵略蔵書が作り出した迷宮。アリスラビリンスとクロムキャバリア、2つの世界が融合した奇怪な領域が行く手を阻む。

『ちっ、この迷宮思ったより複雑だな……何だテトラ餌の時間か?』
 規則性のない風景の変化や空間の連続性。ただ適当に歩くだけではいつまで経っても出口には辿り着けないと、迷宮に入ってすぐに分かった。予想以上の複雑さに星霊ミナルアは舌打ちしつつ、腹の減ったらしい蒸気獣テトラに餌を食べさせる。
「うむ……どうしたものか」
 エリュファシオンも攻略法を考えてみるが上手い方法は思いつかない。あまり時間をかけすぎると侵略蔵書の浸食が再開してしまう。そうすれば今度は鉤爪の男の所に向かうどころか、ここから出ることも困難になるだろう。

『オォォー!』
 アリスラビリンスの森の中で一同が考えこんでいると、突然オーさんが光を放ち、オオサンショウウオから黒い龍に変身する。それは先程の戦いでも少しだけ披露していた真の姿【調停龍・パラダイム・パラドックス】。その正体は相棒であるエリュファシオンにも分からない、謎めいたドラゴンである。
『エル! 俺に任せろ!』
 パラダイム・パラドックスはそう言ってさらに光を放つが、辺りが明るくなっただけで特に変化が起こったようには見えない。彼がここで意味のないことはしないだろうが、まさか失敗? と、誰もがその結果に首を傾げる。

『……なるほど進むぞ、エル』
「ミナルアさん?」
 だが程なくしてミナルアはパラダイムの意図を察したようで、彼女が歩きだしたのを見ると他の仲間達も続く。
 その先はさっき確認した時はクロムキャバリアの都市になっていたはず――だが、いつの間にかのどかな草原と小路に変わっている。そこには本来のアリスラビリンスの光景のみが広がっていた。
「……元に戻ったのか?!」
『いや、流石に暫くしたら戻るから急ぐぞ!』
 パラダイム・パラドックスは調停者であるがゆえにあらゆるルールが通用しない。その力を侵食矛盾結界として周囲に展開することで、彼は侵略蔵書の力を打ち消したのだ。効果があるのは本人も言うように一時的だが、今なら迷宮に惑わされずに先に進むことができる。

『さあ乗れ、エル、ミナルア、テトラ!』
「よし、わかった!」
 龍の姿からさらにバイクに変身したパラダイム・パラドックスは、皆を乗せて迷宮地帯を進み、出口を目指す。
 咆哮の如きエンジン音を響かせながら不思議の国を疾走する、黒き龍の全速力をもってすれば、再び迷宮が元の姿に戻る前に目的地に辿り着くのは難しいことでは無かった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
ひゃっほ〜!冷たい〜♪気持ちいい〜♪
私は偶然湖を見つけたので水浴びをしていた

『…早く服を着ろ』
迷宮の周りを探索していた蟲達を呼び戻して見張ってくれていた朱雀が私に声をかける

え〜朱雀を入ろうよ!気持ちいいよ!私お互い裸でも別に気にしないよ?

『…お前に羞恥心は無いのか?』
朱雀は私にタオルを置いて見張りを継続

来て、岩窟!
服を着た私はUC発動して岩の蟲の群体を呼び出した

数で勝負よ!力を貸して!

朱雀が蟲で探索してくれたので範囲を絞って岩窟達が探索を始める。暫く待つと戻って来た。迷宮の出口を見つけたらしい

じゃあ行こう朱雀!
『ああ、月華』
出口に向かう私達

これが終わったら一緒に水浴びしましょう朱雀!
『はあ…』



「ひゃっほ~! 冷たい~♪ 気持ちいい~♪」
 森の中で偶然湖を見つけた月華は、水浴びをして戦いの汗を流していた。一度は撃退したとはいえ何時また敵の侵略が再開されるか分からない状況で、服まで脱いで呑気なものである。これには朱雀も呆れた顔で声をかける。
『……早く服を着ろ』
「え~朱雀も入ろうよ! 気持ちいいよ! 私お互い裸でも別に気にしないよ?」
 付き合いが長いといちいち隠し立てもしなくなるのか、あるいはこれが素なのか。湖のほとりから手招きする鬼の姫君に、お目付け役は大きくため息を吐く。そちらが良くてもこちらは気にするのだ、社会性とか色々な面で。

『……お前に羞恥心は無いのか?』
 そう言って朱雀はタオルを置き、うっかり誰かに覗かれないよう見張りを続ける。ここまでの迷宮周りの探索に使っていた蟲達もわざわざ呼び戻して壁を作ったりと、口では苦言を呈しつつも何やかんや主思いの従者である。
「仕方ないなあ」
 月華はしぶしぶとタオルで体を拭き、脱ぎ捨ててあった服を着る。あまり遊んでいる時間がないのは彼女とて分かってはいるのだ。息抜きはしても任務を放棄するつもりはない。不思議の国にいる愉快な仲間たちのためにも。

「来て、岩窟!」
 やる気モードに戻った月華はユーベルコードを発動、岩の蟲の群体である【伝説の大妖怪・岩窟】を呼び出す。
 1体1体の見た目は丸い体に4本の手と蜂の羽がついた虫で、戦闘になれば吸血能力と毒の爪で戦うが、この妖怪の真価は群体であることを活かした恐るべき情報収集能力にあった。
「数で勝負よ! 力を貸して!」
 月華の号令によって岩窟の群れは分散して探索を始める。何百あるいは何千という蟲達の耳目をもってすれば、広大な迷宮の調査もあっという間だろう。水浴びを始める前に朱雀が自分の蟲であらかじめ探索を行ってくれていたため、出口のありそうな範囲もある程度までは絞り込めていた。

「もう見つかったの? さすがね!」
 探索を始めさせてから暫く待つと、一匹の蟲が湖に戻ってくる。どうやら迷宮の出口を見つけたらしい。月華は破顔して彼らの働きを褒めると、愛槍を担いで立ち上がる。ここからは寄り道に使った時間を取り戻すターンだ。
「じゃあ行こう朱雀!」
『ああ、月華』
 岩窟に道案内をさせて二人の鬼は迷宮を行く。湖のあった森を抜ければその先に待つのは硝煙漂う戦場の跡地。
 進むたびにふたつの世界の風景が目まぐるしく変化する奇怪な領域は、闇雲に歩いても迷うだけだっただろう。出口までまっすぐに進めるのは蟲達のおかげだ。

「これが終わったら一緒に水浴びしましょう朱雀!」
『はあ……』
 まだ諦めていなかったのかと、幼い子供のように無邪気な月華の笑顔に、朱雀はもう一度深々とため息を吐く。
 この調子だと事件を解決した後で本当に水浴びに参加させられそうだ。悩みの種をひとつ増やしつつも、今はともかく『鉤爪の男』を倒すため、彼らは迷宮を進み続ける――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
何してんだ?アルコ?
『今から力の使い方を教えよう!2つの世界が混じっているが本質は変わっていない』
アルコは片手を地面に当てて虹炎を浸透させていく
『アリスラビリンスが元に混じっているのならクロムキャバリアの世界の一部を虹炎で包むと…』
融合した世界がアリスラビリンスの世界に戻っていく

すげえ!流石は虹炎の神だな!
『…俺が新米の頃は全く出来なくてな、まあ慣れだ。やってみろエリン』

え?!いきなり説明されても出来ねえよ?

『まあ…敵と戦う前に感覚を掴んでおけ』

UC発動…出来ない
く…駄目か
『なら手に虹炎を集めてやってみろ』
アルコの言う通りにやってみたが周りを少し世界の融合を解除した

『…順調だな』
アルコは呟いた



「何してんだ? アルコ?」
 侵略蔵書の力で迷宮化した不思議の国で、片手を地面に当てている虹炎神アルコイリスを見て、エリンが怪訝そうに首を傾げる。侵略が再開される前に『鉤爪の男』を倒すために、今は先を急いだほうが良いんじゃないのか、と考えている顔だ。
『今から力の使い方を教えよう! 2つの世界が混じっているが本質は変わっていない』
 だがアルコイリスはそう言って自身の力を大地に浸透させていく。オウガ・フォーミュラとの決戦に挑む前に、エリンを万全な状態で戦えるようにするための、これは講義なのだ。神力の具現たる虹色の炎が、少しずつ周りに広がっていく――。

『アリスラビリンスが元に混じっているのならクロムキャバリアの世界の一部を虹炎で包むと……』
 荒廃した都市や荒野がごうっと虹色に炎上し、まるで絵画が焼け落ちるように風景が剥がれていく。その下から現れるのは自然豊かな森と草原、そして愉快な仲間たちが暮らす村や街。元々ここにあった不思議の国の風景だ。
「すげえ! 流石は虹炎の神だな!」
 融合した世界がアリスラビリンスの世界に戻っていくを見たエリンは、驚きと感動の声を上げる。この力があれば迷宮化した領域を元通りにし、迷わず鉤爪の男のいる所まで行けるだろう。侵略蔵書の力にも負けない恐るべき神の力である。

『……俺が新米の頃は全く出来なくてな、まあ慣れだ。やってみろエリン』
「え?! いきなり説明されても出来ねえよ?」
 実演はここまでだとばかりにアルコイリスは地面から手を離す。突然そんな事を言われてもとエリンはさっきと違う意味で驚くが、これも必要なことなのだ。虹炎の力の扱い方は座学や講義だけで身につくものではなく、実践で覚えていくしかない。
『まあ……敵と戦う前に感覚を掴んでおけ』
「う……わかったよ」
 仕方なくエリンはアルコイリスの真似をして、地面に手を当てつつ【虹炎の神・estrella・arcoiris】を発動しようとするが――やはり、いつものように力が湧き上がってくる感覚がない。何度試してみても虹炎神モードに変身することはできなかった。

「く……駄目か」
『なら手に虹炎を集めてやってみろ』
 悔しそうに歯噛みするエリンに、アルコイリスが助言する。ユーベルコードほどの規模や威力は出せなくとも、虹炎を操る力自体はすでに備わっているはず。言われた通りに彼女が手のひらに力を込めると、小さな虹色の炎がその中に灯った。
「……おっ、いけた!」
 集めた炎をクロムキャバリア化した空間に浴びせると、少しだけ世界の融合が解除される。アルコイリスのように一遍に元に戻すことはできないが、移動しながら進路上にこの力を使っていけば、なんとか先に進めるだろう。

『……順調だな』
 拙いながらも一から力の使い方を覚えていくエリンの様子を見て、アルコイリスは満足げに呟いた。この娘がいつまでも過去のミスを引きずっているような奴ではないことは、彼もよく知っている。この調子ならいずれ元通りに力を――いや以前以上の力を取り戻すだろうと、虹炎の神は密かに期待していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカシオン・カーネーション
エリンと逸れたな…

《どうします?シオンさん》
アロナちゃんはエリンを探していたが見つからずウチに声をかけた

どうせボスの時に合流出来るだろう
《まあ…そうですね》
アロナちゃんも迷宮の出口を探す事にした

『ラーミアなのだ』バァーン『アリスラビリンスが少しおかしいのだ』バァーン『ラーミアのIQ∞なのだ』バァーン
ラーミアが踊りながら登場

あっ…ラーミア
《そういえばユリとシズクの時にトラウマで苦しんでいましたけど…アルカディアの戦争の時に言っていた大事な人を失った事を引きずっているんですか?》

違う、ラーミアって無表情で踊りながら迫ってくるからかなりトラウマになるんだよな
《ええ…》
出口を目指して歩いていった



「エリンと逸れたな……」
 一緒に戦っていた仲間の姿がいつの間にか見えなくなっているのに気付き、リュカシオンは眉をひそめる。あちらも猟兵なので安否については心配していないが、こうも簡単にはぐれてしまうとは、侵略蔵書が作りだした迷宮は思った以上に複雑だった。
《どうします? シオンさん》
 アロナフィナが付近を探してみても見つからない。捜索範囲を広げれば、今度は二重遭難の恐れもあるだろう。
 それに捜索にばかり時間をかけていられない理由もある。こうしている間にも侵略蔵書の浸食が再開されれば、折角のチャンスが無に帰してしまう。

「どうせボスの時に合流出来るだろう」
《まあ……そうですね》
 あちらもあちらで独自に『鉤爪の男』の元へ向かっているはずだと判断し、リュカシオンとアロナフィナも迷宮の出口を探すことにした。眼の前に広がるのはアリスラビリンスとクロムキャバリアが混ざりあった奇妙な風景。ここを攻略する上で他人の心配をしている暇がないのも事実だった。
『ラーミアなのだ』『アリスラビリンスが少しおかしいのだ』『ラーミアのIQ∞なのだ』
「あっ……ラーミア」
 そこにバァーンと踊りながら登場するのは、お喋りな梟の群れ。【次元からラーミアが大量に出てくるのだ】によって(勝手に)召喚された謎の次元生命体、ラーミアである。その思惑や目的等は一切不明だが、とある知り合いの猟兵から不思議な欠片をもらって以来、リュカシオンの元にも現れるようになったのだ。

《そういえばユリとシズクの時にトラウマで苦しんでいましたけど……アルカディアの戦争の時に言っていた大事な人を失った事を引きずっているんですか?》
 以前ラーミアを召喚したのはカクリヨファンタズムの猟書家決戦だったか。あの当時の戦いでのリュカシオンの様子を、アロナフィナはふと思い出す。普段飄々としている彼女が抱えているトラウマについて、これまで深く尋ねる機会はなかったのだが――。
「違う、ラーミアって無表情で踊りながら迫ってくるからかなりトラウマになるんだよな」
《ええ……》
 その回答はアロナフィナが思っていたよりも下らないものだった。確かにラーミアは見た目こそ可愛いのだが、動きや発言が妙に不気味で不安を煽られるのだ。トラウマになるのも分からなくはない――もっとも、それは本当に言いたくないことを隠すための方便かもしれないが。

「ほらさっさと行こう」
《は、はあ……》
 存在自体が謎だがラーミアの飛行能力と増殖能力による頭数の多さは、迷宮探索においては非常に役に立った。
 彼らに先行して道を調べてもらいつつ、リュカシオンとアロナフィナは迷宮の出口に向かう。はぐれた仲間のほうも気にはなるが、今は決戦に備えて気を引き締める必要があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
書き換えが止まったのが一時的ってことは、今度は時間との戦いってわけか。……そこに迷路とか、手の込んだ嫌がらせもあったもんだ。
殺し合いよりは幾分気楽だけど、気は抜けねえ。さっさと突破しねーとな。

《残されし十二番目の贈り物》起動。〈第六感〉を強化して、最短経路を探り当てやすくする。経路の見当が付いたら、後は駆け抜けるだけだ。
とは言え、まだ真打ちが残ってるから、ある程度余力は残しとかねーとな。息切れしねえ程度に急いで、出口を目指す。
あとはヘンなトラップとか敷かれてねえか、一応警戒しとく。

それにしても、童話と現実がめちゃくちゃに入り混じってんのな。
じっくり眺めてたら気持ち悪くなりそうだ。



「書き換えが止まったのが一時的ってことは、今度は時間との戦いってわけか。……そこに迷路とか、手の込んだ嫌がらせもあったもんだ」
 ふたつの世界が混ざりあうことで生まれた奇妙な風景を眺めながら、肩をすくめるのは嵐。これも『鉤爪の男』の計画の内なのか、奴の所に向かうにはここを攻略しなければならない。今のところ敵の気配は感じられないが、それでも難所だ。
「殺し合いよりは幾分気楽だけど、気は抜けねえ。さっさと突破しねーとな」
 また「書き換え」が始まる前に通り抜けようと、彼は移動を開始する。同時に発動するのは【残されし十二番目の贈り物】。祖母から教わった占いの我流アレンジであり、情報収集や失せ物探しに役立つユーベルコードだ。

「占いの真似事なんてガラじゃねえけど……茨の迷宮、百歳の夢、其を切り拓く導を此処に!」
 呪文を唱えると共に嵐の第六感は研ぎ澄まされ、どの道を行くのが「正解」なのか直感的に分かるようになる。
 彼はこの能力を活かして迷宮の出口までの最短経路を探す。風景が連続していない以上、見た目の地形にはあまり惑わされないように気をつけて、勘を頼りにする方針だ。
(経路の見当が付いたら、後は駆け抜けるだけだ)
 ひとたび走り出せばその足取りに迷いはない。彼にだけ分かるルートに沿って、森の小路を抜け、都市のアスファルトを蹴り、荒野の大地を踏みしめる。旅人として様々な土地と世界を渡ってきた彼ならば、どんな地形でも歩調が鈍ることはないだろう。

「それにしても、童話と現実がめちゃくちゃに入り混じってんのな。じっくり眺めてたら気持ち悪くなりそうだ」
 どちらか片方だけなら見覚えのある景色なのに、その2つがモザイク状に混在している場所は今ここくらいだ。
 現在は浸食が止まっているだけマシだが、侵略蔵書の「書き換え」が再開すればもっと酷い有様になるだろう。その前に急いで突破しないといけない。
「とは言え、まだ真打ちが残ってるから、ある程度余力は残しとかねーとな」
 息切れしない程度に急いで、見えるものに惑わされないよう気をつけて進んでいくと、徐々に風景の割合はアリスラビリンスよりクロムキャバリアの比率が高くなっていき、それがこの異変の中心に迫っているという確信を嵐に与えた。この調子なら焦らずとも『鉤爪の男』の元にたどり着けそうだと、第六感も告げている。

(あとはヘンなトラップとか敷かれてねえか、一応警戒しとくか)
 クロムキャバリアの戦場も再現されているのなら、地雷のひとつも埋まっていても不思議ではないと思ったが、幸いにもその手の罠は見つからない。それでも嵐は気は緩めず適度な緊張を保ったまま急ぎ足で迷宮をひた進む。
 この先にあるのはオウガ・フォーミュラの望んだ超弩級の戦場。これまでの道程とは比べ物にならない脅威が待ち構えているのを直感的に感じながら――それでも彼は恐怖で立ち止まりはしなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
およそ対極に近い世界の入り混じった迷宮。混沌そのものであるな。
なれど、空間そのものが歪んでいるのでないならば。見通す術はあろう。

無人探査通信装置を飛ばし、上空から地形探査(【情報収集】)を実行。
同時に、余自身も義眼を介して視界内の探査を行う。
上空からの見通しが悪い領域であれど、地上からの情報も併せれば、探査精度はある程度補えよう。

双方の情報を突き合わせることで迷宮内の構造を把握、出口と思しき場所を目指し進んでゆく。
彼奴は完全に世界の書き換えられた領域に居ると考えられる故、より書き換えの進んでいる領域を目指し進んでゆくとする。

――さて。
貴様の待ちに待った闘争の時は、間もなくであるぞ?



「およそ対極に近い世界の入り混じった迷宮。混沌そのものであるな」
 侵略蔵書の浸食によって生まれた奇妙な景色を眺めながら、ギージスレーヴはそう呟いた。中途半端で止まった「書き換え」のせいで2つの世界は境界を失い、近代の都市と御伽噺の村、戦場の荒野と長閑な森が、およそ自然にはありえぬ構造で繋がった迷路を作り上げている。
「なれど、空間そのものが歪んでいるのでないならば。見通す術はあろう」
 この程度の奇怪さなら見慣れたものだと、彼女は落ち着いて「ヴィッセン・ミトヴィルケン」を飛ばす。先程は索敵と指揮に用いられたこの無人探査通信装置には、精密な地形探査機能も備わっている。同時に本人も義眼を介して視界内の探査を行えば、上空と地上の2視点から迷宮の情報が手に入るというわけだ。

「上空からの見通しが悪い領域であれど、地上からの情報も併せれば、探査精度はある程度補えよう」
 2つの世界が混ざり合うことで生み出された混沌。だが綿密に精査を重ねれば徐々に攻略の糸口が見えてくる。
 双方の情報を突き合わせることで迷宮内の構造を把握したギージスレーヴは、出口と思しき場所を目指して移動を開始する。
「此方だな。では往こう」
 赤い戦旗を片手に進軍する姿は勇ましく。彼女の歩みに合わせて探査装置も移動し、リアルタイムな情報を随時伝えてくる。鬱蒼した森も無人のビル街も、どちらに向かうのが正解かも分からないような領域でも、足取りに迷いはまるで感じられなかった。

(彼奴は完全に世界の書き換えられた領域に居ると考えられる故、より書き換えの進んでいる領域を目指し進んでゆくとしよう)
 侵略蔵書は不思議の国を「超弩級の闘争の世界」に書き換えるためのもの。ならばシンプルに考えれば、鉤爪の男の元に近付いたぶんだけアリスラビリンスよりもクロムキャバリアの世界観の比率が増えていくはずだ。よってギージスレーヴが歩みを進めるうち、彼女の周りは不思議の国より戦場の風景が多くなっていく。
「……近いな」
 肌に馴染んだ空気から何某かの気配を感じ取ったのか、彼女は小声で呟いた。それは理論ではなく経験に基づいた勘だ。敵がいるのはこの方角で間違いないという確信。決戦の舞台が近いと分かれば足取りも自然と早くなる。

「――さて。貴様の待ちに待った闘争の時は、間もなくであるぞ?」
 まだ声は届かぬであろうが、高揚感から宣言せずにはおれなかった。あちらも今頃同じ熱を感じ取っているだろうか。迷宮災厄戦からお互いに力をつけた猟兵と猟書家の激突は、まさに超弩級にふさわしい闘争になるはずだ。
 餓狼の如く微笑するギージスレーヴの総身は闘志に満ち、呼応して黄昏大隊の戦旗ははためくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フラーウム・ティラメイト
ソラウさんとはぐれてしまいましたね…オ…ベイ?

オ…オベイがショッピングモールになってしまいました…しかも空を飛ぶショッピングモールに…

『ケー』
オベイが返事をします

取りあえず中に入ってみましょう

ゲームセンターがありますね…
少し遊んでみましょう

…満足しました、楽しかったです

ここは?!本屋ですね…どんな本があるのでしょうか?

IQ45億のラーミア考案ダンスダイエット
3秒で痩せるのだバァーン

嘘っぽいですね…本を直す

時間質量論文
これは…興味がありますね
この本は買うことにした

骸海龍の謎に迫る!

これは…オカルト系ですね…購入しましょう

『ケー!』
オベイが迷宮の出口に着いた事を教えてくれました

さあ…行きましょう



「ソラウさんとはぐれてしまいましたね……オ……ベイ?」
 迷宮化した不思議の国を探索するうちに、一緒に戦っていた仲間と離れ離れになってしまったフラーウムは、どうしたものかとオベイに話しかける。先程の戦闘では前触れもなく巨大化して彼女を困惑させた相手だが――ちょっと目を離していた隙に、その姿はまた変貌を遂げていた。
「オ……オベイがショッピングモールになってしまいました……しかも空を飛ぶショッピングモールに……」
『ケー』
 それはもはや石像どころか建築物だった。アリスラビリンスとクロムキャバリア、どちらの目線から見ても異質な代物が宙に浮かんでいる光景は誰もが困惑するだろう。それでも鳴き声だけ一切変わらないのがシュールさを誘う。

「取りあえず中に入ってみましょう」
 ここまで巨大化してしまうと一緒に連れて歩くこともできないので、ひとまずフラーウムはオベイ(ショッピングモール)の調査を行う。迷宮探索の前に違う探検が始まっている気がするが、残念ながらツッコミ役が誰もいない。
「ゲームセンターがありますね……少し遊んでみましょう」
 モール内に店員や客はいなかったが、設備や商品は一通り揃っているようで、原理は不明だが電源も通っている。
 昔懐かしの機種から最新作まで様々な筐体が置かれたスペースで、少女は興味深そうにゲームに興じるのだった。

「……満足しました、楽しかったです」
 ひととおりゲーセンを満喫したフラーウムは、さらにショッピングモールの探検を続ける。足の向くまま気の向くままに歩いていると、今度はずらりと書籍の並んだスペースを見つける。先程のゲーム機といい仕入れ先は不明だ。
「ここは?! 本屋ですね……どんな本があるのでしょうか?」
 適当な本を一冊棚から取ってみると、表紙には『IQ45億のラーミア考案ダンスダイエット』と書いてある。帯には「3秒で痩せるのだバァーン」という煽り文もあるが、そんなのが本当にあったらダイエットに悩む世の人間はとっくに痩せているだろう。

「嘘っぽいですね……」
 フラーウムはダイエット本を元あった場所に戻して別の本を探す。次に見つけたのは「時間質量論文」と書かれた分厚い学術書だった。この世界の時の流れは時間という質量を持った物質によって成り立っているという――過去が具現化したオブリビオンと戦う猟兵的には、気になる内容だ。
「これは……興味がありますね。こちらは……オカルト系ですね……購入しましょう」
 他にも「骸海龍の謎に迫る!」など、興味を惹かれた本を何冊か抱えてレジに向かう。もちろん店員はいないので代金を支払っても意味はないのだが、そこは気分の問題なのだろう。律儀に消費税分まで含めた金額をきっちり置いていってから、彼女は本屋を後にした。

『ケー!』
 ちょうどその時、ショッピングモールに設置されたアナウンス用スピーカーからオベイの鳴き声が聞こえてくる。
 それは迷宮の出口に着いたことを教える合図だった。フラーウムが遊んでいる間にもこの店舗は自律して飛行し、【天賦の才】に任せて迷宮探索を行っていたらしい。それで本当にたどり着けたのは幸運としか言いようがないが。
「さあ……行きましょう」
 結果的に休養も挟めて英気を養ったフラーウムは、万全の状態で決戦の舞台に赴くことができた。この先に待つのはオウガ・フォーミュラたる『鉤爪の男』――激戦を予感しながらも、彼女の表情に不安や恐れはまるで無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
フラーウムさんとはぐれてしまった…

『わはーん』バァーン『わはんわはん』バァーン『ラーミアのダンスダイエットの本は1億本売れるのだ』バァーン
ラーミア達がダンスを踊っていた

そういえばクロムキャバリアとアリスラビリンスにもラーミアは生息していたな…おーいラーミア!
『こんにちはなのだ』バァーン
『お姉さんラーミア達とゆっくりしようなのだ』バァーン
『ラーミアが考案したダンスを踊ろうなのだ』バァーン

う〜ん、そうしたいけど今は急いでいるから迷宮の出口を知らないかな?

『ラーミアは破壊するのだ!』バァーン『ラーミアは寝るのだ』バァーン『因果滅殺転生波なのだ』バァーン
ラーミアが迷宮を破壊してくれた



「フラーウムさんとはぐれてしまった……」
『わはーん』
 仲間と協力してオブリビオンマシンを撃退し、侵略蔵書の浸食を食い止めたソラウ。だが『鉤爪の男』の元に向かう途中、迷宮化した不思議の国で彼女達は分断されてしまった。頼れる仲間の代わりに今の彼女の周りにいるのは、人語を喋る奇妙な梟の群れである。
『わはんわはん』『ラーミアのダンスダイエットの本は1億本売れるのだ』
 バァーンと謎の擬音を立てながらくねくねとダンスを踊る、こいつらの名はラーミア。有識者からは次元三大災害の1つとして恐れられる狂気の生命体だ。普段は友好的だが1度危害を加えられると徹底的に排除しようと襲ってくるため、なるべく敵対しないのが良いとされる。

「そういえばクロムキャバリアとアリスラビリンスにもラーミアは生息していたな……おーいラーミア!」
『こんにちはなのだ』
 ソラウが声をかけるとラーミアの群れはすぐにぱたぱたと集まってきた。見た目は丸くて可愛いのに、じっと見ていると何故か不安になる顔つきだが、今のところ敵意は感じられない。むしろ馴れ馴れしいくらい親しげな態度だ。
『お姉さんラーミア達とゆっくりしようなのだ』『ラーミアが考案したダンスを踊ろうなのだ』
「う~ん、そうしたいけど今は急いでいるから迷宮の出口を知らないかな?」
 あまり時間を潰していると侵略蔵書の浸食が再開されてしまう。この不思議の国に棲息しているラーミアならば、ここから脱出する経路も知っているのではないかと尋ねてみたが、果たして回答は思ったよりも物騒なものだった。

『ラーミアは破壊するのだ!』『ラーミアは寝るのだ』『因果滅殺転生波なのだ』
 やる気に満ちていたりダラダラ寝転んだり、足並み揃わないまま【狂気の生命体ラーミア“因果滅殺転生波”】が放たれる。因果や耐性もろとも標的を破壊する彼らの謎波動は、迷宮に浴びせれば「書き換え」られた因果を歪め、あるべき形に正していく。
『これで道ができたのだ』
 出口が見つからないなら作ってしまえばいいという大胆な発想。外見に似合わぬ暴威によって破壊された迷宮の向こうには、どこまでも続く戦場が広がっている。これまで見た空間と比べればほぼ完全にクロムキャバリアの風景と化している――おそらく鉤爪の男はこの先にいるのだろう。

「ありがとうラーミア!」
 ちょっと思っていたのとは違ったものの、結果として迷宮攻略の糸口が見えたことには感謝して、ソラウは移動を再開する。ラーミアの群れもパタパタとその後に続いて因果滅殺転生波を浴びせ、文字通り迷宮をこじ開けていく。
 その先でははぐれた仲間も別の手段で迷宮を攻略して待っており。合流を果たした彼女らはいざ最後の決戦に足を進めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
一緒に戦ってくれたみんなのおかげで、道が開けた。ん、迷路は得意だし、この調子でどんどん先に、進もう。

不思議な迷路はこの世界らしいけど、クロムキャバリアの世界はやっぱり、似合わないかな。とりあえず走ってしらみつぶしに出口を、探すよ。んー、迷路の景色が変わると、もと来た道がわからなくなっちゃう、のね。これはなかなか難しい、迷路。
ん、目だけを頼りするのは危ない、かも。ここは北風の杖を使って、来た道の温度を下げながら、進む。空気がひんやりしてるところは、もと来た道って、ことね。あとはひたすら走るだけ、だよ。早く片付けて、みんなを安心させて、あげないと。



「一緒に戦ってくれたみんなのおかげで、道が開けた。ありがとう、ね」
「こちらこそ、助けてくれてありがとうだよ!」「気をつけてね!」
 猟書家の侵略に立ち向かってくれた愉快な仲間たちに、ミアは改めて感謝を伝える。いつだって明るく勇敢な彼らの協力なくしては、不思議の国の危機は食い止められなかった。ここから先は、いよいよ異変の元凶に向かう時だ。
「ん、迷路は得意だし、この調子でどんどん先に、進もう」
 世界の「書き換え」が止まっている内にと、仲間たちに別れを告げて歩きだす。オウガからの逃亡生活が長かった彼女は、このアリスラビリンスの奇妙な地形や不思議な現象には慣れており、迷宮攻略の知識や経験も豊富だった。

「不思議な迷路はこの世界らしいけど、クロムキャバリアの世界はやっぱり、似合わないかな」
 絵本の1ページのような長閑な風景と、現代的で荒んだ戦場の風景が入り混じった空間を、ミアはとりあえず走り回ってみる。まずは健脚を活かしてしらみつぶしに出口を探す作戦のようだ。あちこち調べていけば迷路の法則性も分かってくるかもしれない。
「んー、迷路の景色が変わると、もと来た道がわからなくなっちゃう、のね。これはなかなか難しい、迷路」
 走れば走るほど周りの風景も目まぐるしく変わる。森の小路を走り抜けた先は硝煙のただよう荒野になっていて、その向こうにお菓子の家が建っていたり、かと思えば突然高層ビルが現れたり。これでは出口を探すのはもちろん、引き返すことも難しそうだ。

「ん、目だけを頼りするのは危ない、かも」
 風景ばかりを気にしていると道に迷う一方だと感じたミアは、荷物の中から1本の杖を取り出す。これは「北風の杖」という、その名の通り北風の力を込められたアイテムだ。ひと振りすれば冬が戻ってきたかのように冷たい風が吹き、辺りの気温が少しだけ下がる。
「空気がひんやりしてるところは、もと来た道って、ことね」
 こうして来た道の温度を下げながら進めば、たとえ風景が変わっていても体感で判断できるだろう。何回か近くを巡って確認してみても、一度下げた気温がリセットされる事はないようだ。これなら目印代わりに十分活用できる。

「あとはひたすら走るだけ、だよ」
 北風と一緒に迷宮の中を駆け巡る"アリス"の少女は、まるで風の妖精のよう。その足取りに迷いはなく、力強く。
 一度通った場所を避けてどんどん奥に進んでいくと、徐々に不思議の国らしい景色は見られなくなり、クロムキャバリアの荒んだ土地を目にすることが多くなる。
「この辺りは書き換えが進んでる、みたい」
 言い換えればそれは「書き換え」の起点、すなわち鉤爪の男の居所に近付いている証でもある。迷宮の出口が近いと察したミアは、さらにスピードを上げて疾走する。そこに強敵との決戦に対する気後れなどは一切感じられない。

「早く片付けて、みんなを安心させて、あげないと」
 アリスラビリンスを元通りにして、愉快な仲間たちがまた楽しく暮らせる不思議の国にする。それが猟兵の使命であり、ミアの心からの願いでもあった。この世界で暗躍を続けたオウガ・フォーミュラと、決着をつける時は近い。
 無表情の裏に意志を秘め、吹き抜ける北風に導かれるように、少女は異変の中心地に向かっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
属性攻撃…刹那の無限回転発動


『あ…あれは?!アルマさん?10万年前に行方不明になった筈…確かめて見ましょう!』


ここは…何処ですか?ちくしょー!
完全に迷って叫ぶ私

『参ったわ…』『どうしよう…アルマ』
慶喜と緋智も出口を探すが迷っていた
その時、黄金の螺旋を描いた魔力球が私の後ろから飛んで来た
『え?!危ない!アルマ!』
気づいた緋智が警告してくれたが…最初から気づいていた

球を見ないで少し大きな石を投げ青銅の螺旋を描く
一方的に魔力球を破壊して投げて来た奴の横を掠める

ファイ、狙った方向に投げれるようになったじゃない!

『あ…ありがとうございます!えへへ』
ファイと呼ばれた天使は嬉しそうだ

よ〜しよしよしよしよし
頭を撫でたが
いきなり何すんじゃあ!
アッパーカットをお見舞いした
『へぶしっ!…ごめんなさい、この前みたいに偽物かと』
ファイは目を回しながらも弁解した

『?』『友達か?アルマ少し離れよかヒサ』
慶喜は事情を察して離れてくれた

アンタ前は羽2つしか無かったじゃない増えたの?

『10万年経てば魔力は伸びますよ…』

は?



「ここは……何処ですか? ちくしょー!」
 アリスラビリンスとクロムキャバリア、ふたつの世界が混ざり合って生まれた奇妙な迷宮。その中でアルマは完全に迷子になっていた。脈絡なく変化する地形や風景のせいでどっちに行けば出口なのかも分からず、気がつけば帰り道も見失っている現状だ。
『参ったわ……』
『どうしよう……アルマ』
 慶喜と緋智も出口を探すが手がかりを見つけられず、3人揃って途方に暮れる。このままでは『鉤爪の男』の所に辿り着く前に、侵略蔵書の浸食が再開してしまう。そうなれば迷宮はさらに複雑なものとなり、本格的な遭難になるのは目に見えていた。

『あ……あれは?! アルマさん? 10万年前に行方不明になった筈……確かめて見ましょう!』
 そんな3人の後ろから、密かに接近する者がいた。その人影は手のひらの上に魔力の球体を作りだすと、アルマの後頭部に狙いを定め、不意打ちで「えいっ!」と投げつける。独特な螺旋の回転を描きながら飛んでくる魔力球に、最初に反応したのは緋智だった。
『え?! 危ない! アルマ!』
 彼女は慌てて警告を発するが、標的にされたアルマのほうは驚かない。実は最初から自分達の後をつける者の存在に気付いていた彼女は、飛んでくる魔力球のほうを見もせずに、ポケットに入れていた少し大きな石を投げつけた。

『きゃっ!』
 青銅の螺旋の回転を描いた石ころは、魔力球に衝突すると一方的に破壊し、それを投げてきた人物の横を掠める。
 びっくりした相手が悲鳴を上げて尻餅をつくと、ようやくアルマはそちらを振り返って親しげな笑みを浮かべた。
「ファイ、狙った方向に投げれるようになったじゃない!」
『あ……ありがとうございます! えへへ』
 謎の襲撃者の正体は平行世界を渡り歩く大天使。名をファイと言い、どうやらアルマとは知り合いのようだ。今の投擲術も彼女から教わった技なのか、褒められると嬉しそうに6枚の翼を羽ばたかせ、照れ笑いで頬をかいている。

「よ~しよしよしよしよし……いきなり何すんじゃあ!」
『へぶしっ!』
 アルマはそんな天使の頭を撫でると思いきや、突然アッパーカットをお見舞いする。今度は自分が不意打ちを食らわされる番になったファイは顎に強烈な一発をもらって倒れた。このふたり、再会の挨拶がどちらも暴力的である。
『……ごめんなさい、この前みたいに偽物かと』
 目を回しながら弁解するファイの言い分を聞けば、アルマも「まあ仕方ないか」と納得はしたようだ。いきなり攻撃されても殴られてもその程度で済ませるあたり、本当に仲が良いのだろう。種族は違えども世界を旅する者同士、気の合うところがあるのかもしれない。

『?』『友達か? アルマ。少し離れよかヒサ』
 そのやり取りでなんとなく事情を察した慶喜は、積もる話もあるだろうと緋智を連れてはぐれない程度に離れる。
 ふたりきりになったアルマとファイは近況を語りあう。しばらく会わなかった間にお互い変わったところもあるようで、自然と会話は弾む。
「アンタ前は羽2つしか無かったじゃない増えたの?」
『10万年経てば魔力は伸びますよ……』
「は?」
 どうやら世界を渡るうちに両者の間には時間軸のズレが生じていたらしく、ファイはアルマよりもずっと長い年月を過ごしていたようだ。何万年もの歳月をせいぜい数年のように語るのは流石天使と言ったところか。ただし内面のほうはアルマが知っている彼女とさほど変わっていないようにも感じられた。

『ところでアルマさんはここで何を?』
「あっ……」
 そこでアルマはようやく自分達が迷子の最中だったことを思い出す。予期せぬ旧友の再会を喜んでいたが、状況はまるで好転していない。他の猟兵達はもう出口に着いているかもしれないし、自分達も急がなければならないのに。
『だったら私も出口を探すのを手伝いますよ!』
「ありがとう、助かるわ!」
 事情を説明すればファイは快く協力を申し出てくれた。人手が3人から4人に増えるだけでも探索は捗るだろう。
 大天使にまで成長を遂げた魔力と、平行世界の存在を呼び出す彼女の能力は大いに役立ったようで、紆余曲折の末一行はなんとか迷宮からの脱出に成功したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猟書家『鉤爪の男』』

POW   :    プラズマ・クロウ
命中した【左腕】の【鉤爪】が【超電撃放出モード】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    インサニティ・ブレイド
自身に【体を失っても極限の闘争を求める狂気】をまとい、高速移動と【鉤爪からの真空波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    量産型侵略蔵書
【侵略蔵書で書き換えた『不思議の国』の太陽】から、【奴隷を捕縛する鎖】の術を操る悪魔「【アリス狩りオウガ】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ふたつの世界が混ざりあった迷宮を抜けて、ついに出口まで辿り着いた猟兵達。
 そこは侵略蔵書の浸食の中心点であり、ほぼ完全なクロムキャバリアの領域と化している。どこまでも高くそびえ立つビルに巨大な豆の木が絡みつき、退廃的な風景を作り上げており――その上空にはひときわ輝く星があった。

「来たか、猟兵よ」

 その星こそが攻撃衛星『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』であり、空から聞こえてくる声の主こそが『鉤爪の男』だ。
 等身大型オブリビオンマシンである彼が、故郷クロムキャバリアから持ち込んだ大量殺戮兵器。これを衛星軌道上で起動することで、不思議の国を焦土に変えるのが奴の計画の最終段階なのだ。

「起動完了前にここに辿り着いたのは見事。だが、もう間もなく|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》の攻撃は開始される。止めたくば、ここまで上がってくるがいい」

 敵ははるか空の高み。大気圏と宇宙の境である高度400kmに到達する手段はいくら猟兵でも限られてくるだろう。
 だが優位に立つはずの鉤爪の男は、むしろ猟兵がこの状況をどう解決して自分に追いすがってくるか、期待しているようにも感じられた。それもその筈だろう、彼が求めるのは一方的な蹂躙や殺戮ではないのだから。

「私が求むるのは超弩級の逃走、それのみである。ゆえに私は逃げも隠れもせず、ここで汝らを迎え撃とう」

 その宣言は堂々としたもので、これほどの非道な所業を行った者にしては、ある種実直さや誠実さを感じさせた。
 逆に、この高度にすら到達できない者は「超弩級の闘争」の敵役に値しないということか。時満ちれば彼は容赦なく|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》の攻撃を不思議の国に降り注がせ、一切の住人を抹殺するだろう。

「さあ来い、猟兵達よ! ユミルの直系たる等身大オブリビオンマシン、この『鉤爪の男』がお相手しよう!」

 猟兵達の目の前には、まるで世界自体が猟兵の為に用意したように、天まで伸びるビルや豆の木が立っている。
 この地形を利用するか己の能力や装備を活かして、高度400kmの戦いを制し、鉤爪の男を討たなければならない。
 今こそ迷宮災厄戦から続いた因縁に決着をつける時。アリスラビリンスを侵略する猟書家勢力との最終決戦、そのクライマックスの幕が上がる――。
フラーウム・ティラメイト
♪と🦃

あっソラウさんじゃないですか…会えて良かったです

この本は時間質量論文です。後で一緒に見ましょうねオベ…イ

繭になったオベイが居た

オベイが繭になってしまいました…

仕方がありませんこのまま戦いましょう

敵の高速移動はキャバリアに搭乗し推力移動で視力などで鉤爪の真空波を見て回避する

UC発動
モザイクの嵐を敵にぶつけますがキャバリアに攻撃されてしまい私は脱出した
(なおキャバリアは魔法陣で因果国に戻って修理してもらった)

私に攻撃が迫る瞬間に繭が私を体当たりして攻撃範囲から逃れる事が出来ましたが繭は真っ二つになりました

聞こえる因果獣神皇の鼓動が…
私は狂笑を浮かべた

『悪くない攻撃だ…』

敵の背後から敵は避けきれずに因果断絶属性の斬撃波で切り裂いた

『だが…まだまだ足りないな』
UC復活の因果獣神皇・ディストーション・オベイ発動

敵はUCを使用も動く事も出来ず困惑していた

『この模様は因果陣…恐怖の具現化だ、UCと動きを封じる』

オベイは敵のUCを使用
無効化してUCを使用する力で敵を攻撃

私もモザイクの嵐で攻撃した


ソラウ・エクステリア
♪と🦃

フラーウムさん!良かった!

これって…時間質量論文じゃないか!
後で見せて!

『ソラウ!乗れ!』
敵のUCはキャバリアになったライズサンの推力移動で回避しながら音響弾で反撃した後に迷彩で隠れた

フラーウムさんに攻撃が迫っているが…繭?がフラーウムさんを弾き飛ばし真っ二つになった

ん?!何かおかしい!
僕は見た因果獣神皇の真の姿を…

これが…因果獣の神!
同時にUC発動
迷彩を纏った破滅の騎士達を呼び出した

騎士達は次元能力で装甲を切り裂いていく

オベイは次元能力で瞬間移動して敵のUCを使いながらチェーンソーの神器で敵を切り裂いた

『私も加勢するわ!』
UC天命時空龍顕現発動して時間をゆっくりにして電撃の弾幕を放つ



「フラーウムさん! 良かった!」
「あっソラウさんじゃないですか……会えて良かったです」
 不思議の迷宮を抜けて辿り着いた最終決戦の地で、ソラウとフラーウムは再会を果たした。お互いに攻略の手段も辿った道程も違ったものだが、どちらも消耗は少なく戦力は万全。また道中で少しばかり違う収穫もあったようだ。
「これって……時間質量論文じゃないか! 後で見せて!」
「はい、いいですよ。後で一緒に見ましょうねオベ……イ」
 フラーウムが手に入れた書籍のタイトルを見て、ソラウが驚きの声を上げる。まさかこんな珍しい文書を発見できるとは思ってもいなかっただろう。それを彼女が手に入れたのはオベイが変身したショッピングモールなのだが――ふと振り返ってみれば、かの獣は建築物から巨大な繭へと、またもや変貌を遂げていた。

「オベイが繭になってしまいました……」
 見た目は蝶や蛾などのそれをスケールアップしたものに近い。フラーウムが触ってみると暖かさと脈動が伝わってきたが、オベイが出てくる気配はなかった。これが本当に「繭」だとすれば、中からさらなる変態を行う採集だと考えられるが、それにいつまでかかるかは分からない。
「仕方がありませんこのまま戦いましょう」
 今は彼の助けは期待できないと分かったフラーウムは、因果獣キャバリア「レヴィアタンとアビィロード」に乗って飛び立つ。敵は上空遥か400km――成層圏と宇宙空間の境目。まずはその高度まで到達する推進力が必要だった。

『ソラウ! 乗れ!』
「うん!」
 時空神機ライズサンに搭乗したソラウも、フラーウムの後に続いて空へと舞い上がる。原理由来は異なるものの、唯一無二のキャバリアが2機も揃うとは壮観。それを迎え撃つのは等身大オブリビオンマシン『鉤爪の男』である。
「面白い……この私にキャバリアで戦いを挑むか!」
 攻撃衛星『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』の上で猟兵達を待ち構える男は、酷薄な笑みを浮かべて左腕の鉤爪を振るう。溢れんばかりの闘争の狂気を纏った【インサニティ・ブレイド】は、鋼鉄をも両断する真空波となって2人のキャバリアに襲い掛かった。

「回避を!」
「はい……」
 ソラウとフラーウムは鉤爪の動作を見て敵の攻撃を読み、推力全開にして真空波を避ける。やはり相手との高度を詰めるまでの過程が、この戦闘で最も危険なフェイズだ。このまま一方的に攻撃を受けっぱなしでいるのは不味い。
『やり返すぞ!』
「ええ……私の中にあるモザイクの力見せましょう」
 ライズサンは反撃の音響弾で敵の耳目を眩ませ、その隙に迷彩機能を起動。風景と機体を同化させることで攻撃のターゲットから逃れる。同時にフラーウムもキャバリアのコックピットから【因果獣狂龍皇・フラーウム・ディストラクション】を発動、時間質量を消滅させるモザイクの嵐を放った。

「いいぞ。そう来なくては!」
 鉤爪の男はさらなる真空波で弾丸やモザイクを切り裂き、高揚感に満ちた表情で笑う。彼が求め続けた『超弩級の闘争』はまさに目の前にあり、死力を尽くすに足る強敵が相手ときている。昂ぶる狂気に呼応して攻撃は苛烈さを増す一方だ。
「フラーウムさん、危ない!」
「あっ……」
 ソラウ達が迷彩で姿を隠せば、敵からの攻撃は必然的にもう一方に集中することになる。迫りくる無数の真空波を避けきれず、咄嗟にフラーウムはコックピットから脱出。破損したキャバリアが墜落していくのを横目に、なんとか窮地を脱することができたものの、ほっとする間もなく次なる攻撃が襲い掛かる。

「まずは1人!」
 会心の手応えとともに鉤爪の男が放った一撃は、真空の刃となってまっすぐに標的に迫る。空中ではすぐに体勢を変えられないフラーウムは、せめてガードの構えを取るが――そこに飛び込んできたのは繭となったオベイだった。
「オベイ……?」
 繭に突き飛ばされたフラーウムは間一髪のところで攻撃範囲から逃れることが出来たが、引き換えに彼女が受けるはずだった攻撃は全て繭に向かう。キャバリアの装甲でも防ぎきれなかった真空波に耐えられるはずもなく、彼女の眼の前でそれは真っ二つになった。

「繭がフラーウムさんを助けて……ん?! 何かおかしい!」
 先に異変に気付いたのは、離れて様子を窺っていたソラウだった。繭は完全に切断されたものの、中にあった生体反応はまだ消えていない。真空波でできた亀裂から光とモザイクがあふれ出し、"中身"が這い出そうとしている。
「聞こえる因果獣神皇の鼓動が……」
「なんだ? まだやるというのか!」
 それを感じ取ったフラーウムは突然狂ったような笑みを浮かべ、鉤爪の男は嬉々として追撃を仕掛ける。今度こそ中身ごと切断する気で放たれた真空波は、先程よりも規模が大きい。当たればフラーウムまで巻き込まれる軌道だ。

『悪くない攻撃だ……』
 2度目の真空波が命中するまさにその瞬間、【復活の因果獣神皇・ディストーション・オベイ】が顕現を果たす。
 繭の中から出てきたのは、様々な神器を身に纏い、首元に死霊のマフラーを巻いた怪人。超越者のごとき圧倒的なオーラと存在感を発しながら、上空の敵を睨め付ける。
『だが……まだまだ足りないな』
「なにっ……ぐっ!!」
 直後、背後から発生した斬撃波が鉤爪の男を切り裂く。避ける間も与えぬ空間を無視した攻撃は、因果断絶の異能が生み出した結果の一端に過ぎない。様々な変態を変貌を重ねたすえに、伝説の因果獣神皇は復活を果たしたのだ。

「これが……因果獣の神!」
 その余りの神々しさと突然の出来事にソラウは理解が追いついていなかったが、このチャンスを逃す手はない。
 迷彩を纏ったまま【ソラウの歌"破滅の騎士"】を発動し、次元の彼方から呼び出した破天騎士達に追撃を命じる。
「行って……! 破滅の騎士よ!」
「なんの……ッ?!」
 鉤爪の男は即座に迎撃しようとするが、なぜか体を思うように動かせず【インサニティ・ブレイド】も使えない。
 原因となったのは先程食らった一撃か。オベイの斬撃波を浴びた彼の背面には奇妙な模様が浮かび上がっていた。

『この模様は因果陣……恐怖の具現化だ、ユーベルコードと動きを封じる』
「そんな力が……ぐあッ!」
 困惑している相手にオベイが能力の解説をしてやった直後、破天騎士団が総攻撃を仕掛ける。次元能力を応用した彼らの武技は等身大オブリビオンマシンの装甲を苦もなく切り裂き、鮮血のような循環液を高度400kmに散らした。
『私はディストーション・オベイ……かつて因果を喰らう者と呼ばれた者だ』
 そしてオベイも改めて名乗りを上げたうえで攻撃に参加する。次元能力による瞬間移動で接近し、チェーンソーの神器から真空波を放つ――それは鉤爪の男から封じた技とよく似ていた。敵のユーベルコードを無効化した上で我が物とする、それが【因果之皇】の権能なのだ。

『私も加勢するわ!』
「うん! エミリアーノ!」
 そこに【天命時空龍顕現】を発動したエミリアーノも参戦。銀色の体と青色の翼をした美しい龍が、周囲の時間を操りながら雷撃を口より放つ。ゆっくりと停滞した時の流れに囚われた敵は、防御すらできぬまま弾幕に晒された。
「私もいきます」
「はは……愉快、愉快だ!」
 さらにフラーウムももう一度モザイクの嵐を浴びせれば、今度こそ鉤爪の男は凌ぎきれずに吹き飛ばされていく。
 だが、その表情に浮かぶものは苦悶ではなく愉悦。人智を超えた存在が全力をもって戦う、この光景はまさに彼が思い描いた『超弩級の闘争』にふさわしき役者達であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
水浴びして気分爽快よ!
『来い…』
キャバリア化した朱雀に搭乗して敵と対峙する私


『甘いぞ…!』
敵がUCを放って来たが推力移動で回避しながら天まで登るビルを敵の真空波で破壊させて壊れたビルを怪力でビルを敵に叩き付けようとする
(この時に月華は素早く豆の木に飛び移っていた)
最初の時に情報収集と視力で木とビルの位置を確認した

させない!
敵は回避しようとするが豆の木から出てきた私がUC花咲流奥義・骸融合鬼神王『邪王牙』で神速移動して蹴り飛ばす条理貫通で防御破壊して
そのまま離脱し敵にビルがヒットする

止めよ!
UC発動して吹っ飛ばされている敵に条理を無視する攻撃を当てる

アリスラビリンスで朱雀と水浴びするんだからね!



「水浴びして気分爽快よ!」
 道中リフレッシュもしてやる気満々の月華は、朱雀が変身した赤い機体、「鳳凰キャバリア・朱雀」に乗りこむ。
 この赤い鳳凰のキャバリアはかつて異世界からカクリヨファンタズムに流れ着き、花咲一族に仕えるようになったものであり、それがまた別の世界でオブリビオンマシンと対峙することになるのも因果だろうか。
『来い……』
「その機体、私も見たことがないな。まずは性能を試させてもらおうか」
 形は異なれど同胞からの挑戦に応える形で、鉤爪の男は【インサニティ・ブレイド】を発動。その名の象徴である左腕の鉤爪を振り下ろすと、巨大な真空波が高度400kmから地上に降り注ぐ。オウガ・フォーミュラにもなった等身大オブリビオンマシンの性能は、そのサイズに見合わぬ恐るべきものだった。

『甘いぞ……!』
 月華を乗せた朱雀は背中の翼から推進力を発生させ、敵の攻撃をギリギリまで引き付けたうえで躱す。その背後にあるのは空の果てまで伸びる巨大なビルだ。身代わりの如く真空波を食らったそれは音を立てて破壊され、ゆっくりと倒れていく。
『喰らえ!』
「ほう、大した出力だ」
 朱雀はそれを横から力任せに押し込むことで、壊れたビルを敵に叩きつけようとする。これだけ巨大な質量の塊をぶつけられれば、いくらオブリビオンマシンでも無事では済まないだろう。即座にバラバラにできる規模でもない。

「ここは回避を……」
「させない!」
 鉤爪の男は『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』の軌道を変更することで、ビルとの直撃コースを回避しようとする。だがその時、いつの間にか距離を詰めていた月華が、槍のように鋭く変形した足を振り上げ、強烈なキックをお見舞いした。
「ッ……一体いつの間に!」
「どうやら気付いてなかったみたいね!」
 最初に攻撃を回避した時、彼女は朱雀のコックピットから脱出してビルの隣に立っていた豆の木に飛び移っていたのだ。そして【花咲流奥義・骸融合鬼神王「邪王牙」】を発動し、鬼の王の妖力で瞬間移動してここまで来た。全ては最初から立ててあった作戦通りに。

「あらかじめ豆の木とビルの位置を確認しておいて良かったわ!」
「なるほど……見事だ」
 鬼王の膂力で鉤爪の男を蹴り飛ばすと、月華は即座に離脱。直後に倒れ込んできたビルから敵が逃げる術はない。
 咄嗟に真空波を放ってダメージを相殺しようとしたが――そんなものは圧倒的質量の前では蟷螂の斧。等身大では受け止めきれない衝撃が彼を宇宙空間に吹き飛ばす。
「止めよ!」
 そこで月華が発動するのは【虹華万暁】。この世の条理を超える妖怪の力を具現化し、一本の炎の槍を作り出す。
 少々距離が離れていようとも関係ない。ひとたび放てばこの一撃は必ず標的を貫く、まさに不条理の権化である。

「アリスラビリンスで朱雀と水浴びするんだからね!」
 迷宮での道中での約束を、どうやら月華は忘れていなかったらしい。鉤爪の男が目指す『超弩級の闘争』なんて、彼女はまったく興味もない。依頼を達成してまた日常を楽しむ――純粋な未来への希望に満ちた一撃が解放される。
「ぐお……ッ!!」
 ビルの直撃に加えてさらにユーベルコードの追撃を喰らえば、流石の鉤爪の男も笑っていられる余裕は無かった。
 炎槍に貫かれたボディからはバチバチと火花が散り、装甲に亀裂が走る。それでも、彼の瞳に宿った闘争の狂気は微塵も衰えてはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカシオン・カーネーション
虹炎の神

エリン…よし、人肌脱ぐか!
《どうしたんですか?シオンさん…》
アロナちゃんはウチに聞いてきた
❛やってやるのだわぁぁぁぁ!❜
シエルはやる気満々だ
ウチは情報収集と視力で瞬時に状況把握する

敵はオウガを呼び出して来たので攻撃をオーラ防御で防ぎながら衝撃波を纏った弾幕と爆発の矢弾の雨を放ち攻撃する

❛なのだわぁぁぁぁ!❜
シエルは広範囲に電撃と爆破の虹神炎を敵に放つが回避させる

《行きますよ!シオンさん!》
敵が回避している隙にUC発動
アロナちゃんと融合した

気象操作で竜巻を発生させて敵を攻撃して精霊王弾で攻撃してUC無効の精霊魔法を放つ

エリン一つだけ言っておく自分を見ると言う意味は…
言う前に吹っ飛ばされた


エリン・エーテリオン
虹炎の神

来い爪野郎!
❝『自分を見ろ』これを理解出来なければお前は…❞
アルコは小さく呟いた

敵の鉤爪は視力で動きを見て推力移動で回避しながらヴァルカライナーから呪殺弾を放つが回避され反撃させる
❝む!させん!❞
アルコは鉤爪に刺されなかったが吹き飛ばされた
直前に
❝今まで教えた事を思い出せ❞
とそう言った

アルコォォォォてめぇぇぇ!
UC発動出来なかった


シオンはオーラ防御で防御していた

自分を見ろって何なんだよ!アルコの技を見てもすぐに出来る訳無いし!

敵と視線が合う
敵の目に映った私は違和感があった

…!
敵の攻撃を防ぎながら敵のエネルギーの流れを観察する

これが答えか?
私は呼吸を整える

虹炎はエネルギー効率を正確に身体に浸透させる事で更に力を向上させる
世界の書き換えを無効化出来たのもその呼吸の仕方だろう

他人を通して『自分』を見つめる…私は焦っていた…力を浸透しきれてなかったんだ!

なら…!
呼吸を整え身体に力を浸透させる
UC発動

オラァ!
敵を超次元能力で回避して顎を蹴り上げる

オラオラオラオラ!
敵を怪力でぶん殴りまくった



「来い爪野郎!」
 上空400kmに座する『鉤爪の男』に向かって、エリンは地上から大声で叫んだ。罵倒のチョイスはいかにも彼女らしい安直なものだが、そこに込められた闘志はこの距離からでも届く。だが燃え滾る感情とは裏腹に、彼女はまだ自分の裡に抱える問題を払拭できてはいなかった。
『「自分を見ろ」。これを理解出来なければお前は……』
 アルコイリスが小さく呟くが、そのアドバイスを聞くかどうかのタイミングで彼女は豆の木を駆け上がりだした。
 元よりあれこれと悩んで答えを導きだせるタイプではない。なら自分の殻を破る切っ掛けは戦いの中で掴み取るしかないか。

「エリン……よし、人肌脱ぐか!」
 まだ以前のことをエリンが振り切れていないのを察したリュカシオンは、何か心算がある様子で笑みを浮かべる。
 同じ虹炎神の力を振るう者同士でシンパシーもあるし、放っておくのも忍びない。それにヤツは――鉤爪の男は不安要素を抱えたまま勝てる相手でも無さそうだ。
『どうしたんですか? シオンさん……』
『やってやるのだわぁぁぁぁ!』
 怪訝に尋ねるアロナフィナの横から、やる気満々の少女が飛び出してくる。彼女の名は虹炎の神アルカンシエル。この決戦に向けてリュカシオンに呼び出されたもう1人の仲間だ。ここがアリスラビリンスを救えるか否かの瀬戸際ということもあって、まさに総力戦の様相である。

「来るが良い、猟兵達よ! 我が全軍をもってお相手しよう!」
 鉤爪の男は【量産型侵略蔵書】の力で不思議の国の太陽を書き換え、アリス狩りのオウガを召喚する。これまでにも多くのアリスや愉快な仲間達を苦しめてきた、この世界特有のオブリビオン。彼奴が使役するのはオブリビオンマシンだけでは無いということか。
「こいつはウチが相手する! 行けエリン!」
「わかった!」
 オウガが奴隷を捕縛する鎖の術を唱えると、リュカシオンが「虹神炎覇気」のオーラでそれを防ぎつつ衝撃波を纏った弾幕と爆発の矢弾の雨を放ち、味方の活路をこじ開ける。劫火の勢いが敵を怯ませている隙にエリンはその脇をすり抜け、まっすぐに鉤爪の男の元へと向かった。

「共に楽しもう、超弩級の闘争を!」
「うるせえ!」
 成層圏に到達した好敵手を出迎えるように、鉤爪の男は【プラズマ・クロウ】を放つ。その表情はマシンとは思えぬほど活き活きとしたもので、今のエリンにとっては癇に障る態度だ。虹色の炎を勢いよく放出して回避しながら、ヴァルカライナーで反撃を仕掛ける。
「こいつでどうだ!」
「フン。甘いな!」
 前の戦いで『ザカリアス』を何機も吹っ飛ばした呪殺弾だが、等身大オブリビオンマシンの性能は量産型とは比較にすらならない。爆発が起こる前にあっさりと躱され、即座にカウンターを仕掛けてくる。マズいとエリンが焦った時には、鉤爪はもう目の前に迫っていて――。

『む! させん!』
 間一髪で割って入ったアルコイリスが、エリンを庇って攻撃を受ける。等身大とは思えぬ機神の如き怪力と、鋭利な鉤爪が虹炎の神を引き裂く。「アルコ!?」と叫ぶ少女の目の前で、彼は吹き飛ばされて地上に落下していった。
『今まで教えた事を思い出せ』
 落ちていく寸前にアルコイリスはそう言って、穏やかな微笑みをエリンに見せた。どんなに分厚い壁にぶつかっても、彼女ならきっと乗り越えられると信じていなければできない顔だ。だが、それを冷静に受け止めるだけの余裕が相手には無かった。

「ふむ、刺されるのではなくあえて吹き飛ばされたか。この武装の機能を見抜いていたか……?」
「アルコォォォォてめぇぇぇ!」
 仲間を倒された嘆きと怒りのままに、エリンはユーベルコードを発動しようとする。だが、その試みはやはり不発に終わった。冷静に対戦者を評価する鉤爪の男とは対照的に、激情で乱れきった心ではまるで実力を発揮できない。
『なのだわぁぁぁぁ!』
「む、新手か」
 そこにオウガを倒して追いついてきたアルカンシエルが、電撃と爆破の虹神炎を放つ。鉤爪の男は余裕をもって回避運動を取るが、広範囲に拡散する電流や火の粉から逃れるために、それなりの距離を後退させることはできた。

『行きますよ! シオンさん!』
「ああ! アロナちゃん!」
 敵が回避している隙にリュカシオンは【精霊融合・リュカシオン・アロナフィナ】を発動し、精霊王アロナフィナと融合することで気象と自然を操作する能力を得る。その権能をもって外気圏の希薄な大気を操れば、たちまち巨大な竜巻が発生する。
「ほう……これは大したものだ!」
 鉤爪の男は歓喜の笑みと共に竜巻を切り払うが、間髪入れずに追撃が飛んでくる。アロナフィナの魔力を収束して放つ、自動追尾効果を持った精霊王弾と精霊魔法のコンビネーションだ。リュカシオンと融合として一つになったことで、彼女が本来持つ精霊王としての力もブーストされている。

「エリン一つだけ言っておく自分を見ると言う意味は……」
 敵に猛攻を加えながら、リュカシオンはエリンに助言を与えようとする。だが、それを言い切る前に竜巻の中から鉤爪の男が飛び出してきた。咄嗟に精霊王オーラを纏って鉤爪を防ぐが、衝撃を流しきれず吹き飛ばされてしまう。
「シオン! ちくしょう、自分を見ろって何なんだよ! アルコの技を見てもすぐに出来る訳無いし!」
 皆が全力で戦っているというのに自分だけがユーベルコードを使えないまま。焦燥に駆られたエリンは頭を掻きむしりながら叫ぶが――その時、ふと目の前にいる敵と視線が合った。鉤爪の男の目に映った自分の姿には、なぜだか妙な違和感があった。

「どうした。もう終わりか?」
「……!」
 鉤爪の男は残っている標的に容赦なく攻撃を仕掛ける。エリンはそれを防ぎながら、敵の体内を流れるエネルギーの流れを"視て"いた。等身大オブリビオンの機体を動かすエネルギー、鋼のボディから出力されるパワー、それらがどのように流れてどこに向かうのかがはっきりと見える。
(これが答えか?)
 流れを観察しながら呼吸を整える。虹の炎はエネルギー効率を正確に身体に浸透させる事で更に力を向上させる。
 アルコイリスが世界の書き換えを無効化出来たのもその呼吸の仕方によるものだったのだ。敵の力の流れが見えた今の彼女なら、自分の中にあるエネルギーの流れも感じられるだろう。

「他人を通して『自分』を見つめる……私は焦っていた……力を浸透しきれてなかったんだ!」
 ならばとエリンは呼吸を整え身体に力を浸透させる。不安が焦りを、焦りが力の乱れを生む負のループに入っていた事実にようやく気がついた彼女は、ついにその悪循環を断ち切って、新たなるユーベルコードの境地に到達する。
「これが……私の虹神炎だぁぁぁぁぁぁ!」
 その名は【虹炎の神エリン・エーテリオン・ライオット】。虹色の髪に2つの羽衣を纏った、雄々しく美しき神。
 その姿を目撃した者は味方ならば勇気と希望を、敵ならば恐怖を感じずにはいられまい。事実、鉤爪の男でさえも目を見張り、一瞬ながらも立ちすくんでいた。

「なんと……素晴らしい!」
 先程まで最も未熟であった者が突如これほどまでの力を発揮するとは、まさに「化けた」という表現が相応しい。
 狂気じみた喜悦のままに鉤爪の男が【プラズマ・クロウ】を繰り出すと、エリンは次元を跳躍して鉤爪を回避し、そのまま懐に潜り込んで顎を蹴り上げる。
「オラァ!」
「ごあッ!?」
 超次元を操る能力に加えて純粋なパワーも飛躍的に強化された彼女のキックは、鉤爪の男を天高く打ち上げる。
 逃すまいと虹炎の神は羽衣をなびかせて追いすがり、これまでの鬱憤を晴らすように両手の拳を強く握りしめた。

「オラオラオラオラ!」
 繰り出されるは怪力にものを言わせた猛ラッシュ。ただひたすら殴って殴って殴りまくるだけの喧嘩殺法に近い。
 それでも、今のエリンが放てばその威力は絶大だった。一撃ごとに鉤爪の男のボディに亀裂が走り、体内から火花が散る。それは新たなステージに到達した彼女を祝福する花火の如しであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
この感覚は…
敵と対峙した時何かを感じた

敵がUCを放って来たので時間逆行属性のオーラ防御で防御しながら万能時間覇気からワイヤーでビルと豆の木を引っ掛けて回避しながら

撃たせないよ!
ガンナイフを呪殺弾を素早く放つ(クイックドロウ)回避された

『消えろ!』
ミナルアさんが爆破魔法を放つ
敵を吹き飛ばした

『テトラ!』
テトラは水蒸気爆発を吹っ飛ばされた敵に攻撃

IT'S SHOWTIME!二人の王、零!命!
『行くぜ命!』『はい、お姉様』
零は敵に幽銃を連射して
命が消滅魔法弾幕を放つ

逆行怪盗龍王・ラウール発動
豆の木からすり抜けて現れたラウールが敵を蹴り飛ばした

『行くぜ!』
オーさんが告げる
行くよ、皆!
敵に総攻撃をかけた



「この感覚は……」
 遥か上空にいる敵と対峙した時点で、エリュファシオンは何かを感じていた。具体的な言葉では言い表せないが、妙に気になってしまう何か。だが、すでにオウガ・フォーミュラとの決戦も始まっている今、違和感の原因や理由を突き止めている暇はない。
「まだまだ愉しませてくれるだろう、猟兵達よ!」
 高度400kmの高みから【インサニティ・ブレイド】を放つ『鉤爪の男』の声は歓喜に満ちており、どれほど傷つこうが極限の闘争を求め続ける執念はもはや狂気である。今や彼の衝動はこの不思議の国を、そしてアリスラビリンス全土を焼き尽くさんとしているのだ。

「行くぞ!」
 エリュファシオンは「万能時間覇気」のオーラをワイヤー状に伸ばしてビルや豆の木に引っ掛け、真空波を回避しながらよじ登っていく。足場さえあるのなら上空400kmに到達するのも不可能ではない、それが歴戦の猟兵ならば。
「撃たせないよ!」
「ほう、もう来たか」
 射程距離に入るとガンナイフを素早く抜き放つが、挨拶代わりの呪殺弾はあっさり回避される。外見上はほとんど人間と変わらなくとも、等身大オブリビオンマシンの反射速度や運動能力は人間を遥かに凌駕する。猟兵でも簡単に太刀打ちできる相手ではないが――彼女には頼れる味方がいた。

『消えろ!』
「新手か……!」
 エリュファシオンの後からやって来た星霊ミナルアが、出会い頭に爆破魔法を放つ。銃弾を避けた直後を狙われた鉤爪の男は、一瞬反応が間に合わずに吹き飛ばされた。どんなに強くて油断のない敵にも隙は生まれるという事だ。
『テトラ!』
 さらに蒸気獣テトラもミナルアの指示に応えて水蒸気爆発を起こし、敵に体勢を立て直す暇を与えない。二人がかりの猛攻で鉤爪の男を退かせている間に、エリュファシオンはユーベルコードを発動する猶予を得ることができた。

「IT'S SHOWTIME! 二人の王、零! 命!」
『行くぜ命!』『はい、お姉様』
 号令と共に召喚された【幽銃逆行王零と滅詩逆行王命】が、姉妹ならではのコンビネーションで攻撃に参加する。
 姉の零は膨大な魔力を込めた幽銃を連射して、妹の命は消滅魔法弾幕を放つ。これに当たるのは不味いと判断した鉤爪の男は、さらに距離を取って回避を試みるが――。
「新たな力! ラウール・アルセーヌ!」
「なにっ!」
 豆の木をすり抜けて現れた【逆行怪盗龍王・ラウール・アルセーヌ】が、目にも留まらぬ超高速のキックを放つ。
 最初からこの位置まで誘導されていたのだと気付く時にはもう手遅れで、蹴り飛ばされた敵はエリュファシオンのいる方に落ちていく。

『行くぜ!』
「行くよ、皆!」
 調停龍に変身したオーさんが告げ、エリュファシオンが【逆行奥義・調停龍パラダイム・パラドックスの総攻撃】を宣言する。この場に呼び集められた全ての仲間達――すなわちミナルア、テトラ、零と命、ラウール、オーさん、そしてエリュファシオン自身による一斉攻撃が、鉤爪の男に向けて放たれる。
「見事だ……ッ!!!」
 凄まじい衝撃と爆発で吹き飛ばされながら、男は猟兵達に賛辞の言葉を送った。これほど見事な『超弩級の闘争』が味わえるとは、彼も想像以上だろう。喜悦と狂気はますます高まる一方で、そのボディに刻まれたダメージは着実に蓄積しつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
戦いが怖いおれだからわかる。……戦いを愉しんでる奴の眼だ、アレは。
そんな奴と戦うのか。しかも高さ400kmとか、墜ちたら死ぬような場所で。
怖い、なんてどころじゃねえ。指先から感覚が失せそうだ。
……だけど。おれだってここまで来たんだ。
逃げる、もんか……!

ユーベルコードを起動して、空に舞い上がる。
〈第六感〉を交えた〈空中機動〉で、相手の攻撃を防ぐと同時に、こっちの動きを読ませねように攪乱も兼ねる。
〈武器落とし〉や〈マヒ攻撃〉を狙った弾丸を〈スナイパー〉ばりの撃ち込みつつ、決定的な一撃を見舞える瞬間を狙う。
チャンスが出来たら〈限界突破〉した一撃を叩き込みに行くぞ。

他の味方にも適宜〈援護射撃〉で支援。



「戦いが怖いおれだからわかる。……戦いを愉しんでる奴の眼だ、アレは」
 天空の高みに座す『鉤爪の男』と目が合った時、嵐はそれが自分とは絶対に相容れない相手だという確信を得た。
 あの怪人が求めるのは『超弩級の闘争』のみ。そのためなら損得も、果ては己の命さえもどうでもいい。いわんや他者の命や世界の命運など二の次である。それが今、はっきりと分かった。
「そんな奴と戦うのか。しかも高さ400kmとか、墜ちたら死ぬような場所で」
 猟兵の戦いは常日頃から死と隣り合わせだ。だが、それにしてもこの状況は一瞬でも気を抜いたら終わりの綱渡りを敵と睨み合いながらするようなもの。最悪のケースまで想像してしまうと、肩にかかるプレッシャーは凄まじい。

(怖い、なんてどころじゃねえ。指先から感覚が失せそうだ)
 全身の血の気が引いて、口の中が乾くのがわかる。いつも怖い怖いと言ってはいるが、ここまで緊張するのは珍しいかもしれない。はるか上空に浮かぶ『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』の光が、今の彼には死を告げる凶星の輝きに見える。
「……だけど。おれだってここまで来たんだ。逃げる、もんか……!」
 ここまでの歩みを無意味にしないために。不思議の国と愉快な仲間達を守るために。覚悟なら決めてきたはずだ。
 自分の決意を嘘にしないために、【伝承幻想・飛空鞄】を起動して空に舞い上がる。その先に待っているのが恐ろしい強敵だとしても。

「夢の欠片、御伽の紙片、其の奇蹟の一端を此処に。……墜ちねえでくれよ!」
 飛行形態になったトランクの上に乗り、敵のいる高度まで一気に急上昇する嵐。それを見逃す鉤爪の男ではなく、出迎えは【量産型侵略蔵書】によって呼び出されたアリス狩りオウガも含めた、苛烈かつ容赦のないものとなった。
「来たか。さあ、互いの命が尽き果てるまで、最高の闘争を享受しようではないか!」
 鉤爪を振るう男の言動は心底から戦いへの喜びに満ちており、オウガもその熱にあてられたように鎖を振り回す。
 どちらを喰らってもこの高度での戦闘では致命的だ。嵐は第六感を交えた空中機動で相手の攻撃を躱すと同時に、自分の動きを読ませないように撹乱運動を取った。

「生きた心地がしねえってのはこういう時に言うんだな……!」
「どうした、ここに来て怖気づいたか!」
 翼とノズルの生えたトランクに乗って、戦闘機さながらのマニューバを披露する標的を、鉤爪の男もなかなか捉えられずにいた。それでも攻撃が掠めるたびに冷や汗ものだが、だったら尚の事防戦一方ではいられないと、嵐は愛用のスリングショットで反撃を仕掛ける。
「逃げねえって、決めたからな……!」
 この緊張と移動する足場の上でも、射撃の精度を落とさないのは努力の賜物だ。スナイパーばりの正確さで放った弾丸は標的のボディの隙間や関節に撃ち込まれる。どれだけ人間の姿を模してはいても、機械なら異物が挟まれば誤作動を誘発できるはずだ。

「貴様の攻撃からは恐怖を感じる。だが、それでも逃げないとは……」
 恐れ知らずの勇者となら何人も戦ってきた鉤爪の男も、こんな相手と戦うのは初めてだった。本来は超弩級の闘争の世界に相応しくない、すぐ逃げ出すはずの臆病者。それがこうして自分に食い下がっているのに驚きを隠せない。
「……ッ? 身体が……」
「ようやく効いてきたな……!」
 だからこそ彼は気付くのが遅れた。撃ち込まれた弾丸が自分の機体をマヒさせるためのものだった事に。闘争を愛する男が初めて見せた隙に、嵐は即座に反応してスリングショットを限界以上に引き絞る。このチャンスを逃せば、もう次はない。

「くらえ……!」
 嵐が放った弾丸は、他の猟兵が鉤爪の男につけた傷――装甲内部の露出した箇所に吸い込まれるように命中した。
 この決定的な一撃を受け、敵は表情をしかめてぐらりとよろめく。いかに闘争を嗜好する者でも流石に堪えたようで、抑えた胸からは火花が散っている。
「なるほど……恐れるがゆえの勇気、か」
 そのまま前線より離脱して味方の援護に回る青年を視て、鉤爪の男はぽつりと呟く。自分とは絶対に相容れることのない志向だが、だからこそ自分には持ち得ない"力"を無視はできまいと、彼は一言「見事だ」と賛辞を送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
長い間この世界にいるのに、戦うことしか考えない、なんて。つまらない、ひとね。ん、なら不思議の国だって強くてすごいってこと、教えてあげる。
まずはビルに飛び移って、登るよ。ここは立体的だし、敵には惑わせる本の風景を見せればけっこう混乱、させられそう。それにオウガから逃げるのは、慣れてるの。豆の木を目隠しにして、撒いちゃうよ。
頂上まで来たら、グリッターハートとソリッドダイヤを足場にして九竜神火罩の上まで一気に、飛ぶ。後は攻撃される前に、敵を視界に収めて【流れ星】を降らせる、だけ。九竜神火罩もオウガもあのひとも、流星群でぼこぼこに、するから。ここではレーザーなんかより星の雨の方がずっと、素敵でしょう?



「長い間この世界にいるのに、戦うことしか考えない、なんて。つまらない、ひとね」
 オウガ・オリジンから力を奪い、猟書家がアリスラビリンスで活動を始めてからはや数年。その間、この世界は彼らに何の感銘も与えなかったのだろうか。全てを戦場に塗り替え、超弩級の闘争だけを求め続ける『鉤爪の男』に、ミアは怒りよりも冷ややかな感情を抱いた。
「ん、なら不思議の国だって強くてすごいってこと、教えてあげる」
「ほう。事実ならば、是非とも拝見したいものだな!」
 まっすぐな眼差しで宣言し、ビルに飛び移って駆け登り始める"アリス"の少女。対する鉤爪の男は上空400kmからそれを待ち構えながら、【量産型侵略蔵書】の力で配下を呼び出す。書き換えられた太陽より現れるのはこの世界では見慣れたオブリビオン――アリス狩りのオウガ達だ。

「この者達に捕らわれず、私の元まで辿り着けるか?」
「グルル……アリス、捕マエル!」
 挑戦者を試すかのように、オウガはミアが登るビルを駆け下って襲い掛かってくる。"アリス"を狩ることに慣れた彼らは獲物を見つけるや否や捕縛するための鎖の術を放ち、哀れな迷い人を奴隷のコレクションに加えんとする。
(ここは立体的だし、敵には惑わせる本の風景を見せればけっこう混乱、させられそう)
 ミアは捕まるまいと持っていた絵本のページを開き、トリックアートのような風景をビルの中に飛び出させる。
 見た者を混乱させる魔力を帯びたこの風景の中から、彼女を見つけだすのは至難の業だ。迷い込んだオウガどもの『ナンダ、コレハ?!』と困惑した声が聞こえた。

「オウガから逃げるのは、慣れてるの」
 絵本の風景の中をミアは持ち前の健脚で走り抜け、ビルに絡みついていた豆の木にぴょんと飛び移る。立派な蔓を目隠しにしてしまえば、もうオウガは彼女を見つけられない。放たれた鎖は誰もいない場所を虚しく撫でるだけだ。
『クソ! ドコニ、行ッタ!』
 悔しがるオウガの喚き声を背中で聞きつつ、俊足のアリスはビルと豆の木の頂上へ。ここまで来れば敵はもう目と鼻の先だ。「グリッターハート」と「ソリッドダイヤ」、2つの空飛ぶマジックアイテムを足場にして、『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』の上まで一気に飛ぶ。

「ん、来たよ」
「ほう、見事だ!」
 オウガの襲撃を苦もなく撒いてみせた少女の実力を、認めた上で手ずから屠るに値する「敵」と定めた鉤爪の男。
 その名を象徴する左腕の鉤爪が、人間を遥かに超えたパワーとスピードで振りかざされる――だが、その一瞬先にミアは詠唱を紡いでいた。
「集え、天を揺蕩う不滅の理……闇を祓う、光となりて降り注げ」
 その視線の先に向けて天空より放たれるのは、きらきらと輝く【流れ星】。空と宇宙の境目で、真っ暗な頭上を埋め尽くさんばかりの光の雨が降り注ぐ。これが彼女が不思議の国から学び、猟兵として身につけた力――ウィザード魔法とプリンセス魔法の複合魔法だ。

「九竜神火罩もオウガもあなたも、流星群でぼこぼこに、するから」
「お、おぉぉ……ッ!!」
 矢のように降ってくる無数の流れ星を、男は鉤爪で切り払わんとする。だが、その腕一本で一度に対処できる数はせいぜい十や二十。全ての流星群を撃墜することなど到底できず、撃ち漏らした星は彼自身と配下のオウガを、それに『九竜神火罩』を纏めて打ちのめしていく。
「ここではレーザーなんかより星の雨の方がずっと、素敵でしょう?」
「素敵、か……フフ、まさかこの世界にこれほどの力が眠っていようとは……ぐあッ!!」
 流星群の被弾した攻撃衛星が煙を上げて高度を落としていく。その上に乗っている鉤爪の男のダメージも甚大だ。
 これがアリスラビリンスの――不思議の国の底力だと、無粋な侵略者に見せつけるように。ミアは星々の輝きをもって偽りの星を射落としてみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
|使い方《技能》

むは、盛大に出遅れたわ。まぁ、最終決戦にはぎりぎり間に合ったかしら?
リミッター解除、限界突破、オーバロード。真の姿として|真なる『夜』の不可思議迷宮《デモニックワンダーラビリンス》の封印を解く。戦場全体を覆うこの姿であれば高度400mであろうと問題なく対処できるわ。
|タイムフォールダウン《高速詠唱早業先制攻撃》、|時間質量を解放し時を凍結、一切合切の行動を禁じる《重量攻撃凍結攻撃封印術マヒ攻撃身体部位封じ気絶攻撃禁呪息止め》。
|この領域内は私の法が支配する。『夜』の帳が降り汝を縛るだろう《多重詠唱拠点構築結界術拠点防衛闇に紛れる影縛り》。
空間の解体切断からの切断部位の接続で空間ジャンプ、仙術で位相ずらし、|量子的可能性から私に有利な可能性への収斂《禁呪、幸運》で攻撃の回避。
|この肉体は端末だからすぐに再構築できるわ《継戦能力、人造生命の創造》。
|エナジードレイン《大食い、魔力吸収、魔力供給、エネルギー充填》で吸い尽くしてあげる❤



「むは、盛大に出遅れたわ。まぁ、最終決戦にはぎりぎり間に合ったかしら?」
 そう言いながら決戦の舞台に姿を現したのはアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)。どこかで寄り道をしていたのか、それとも別件があったのか。何にせよ空を見上げれば、輝くは禍々しい偽りの星。敵はいまだ健在のようだ。
「遅れた分は取り戻さなくちゃね」
 会敵早々、彼女はいきなり魔術刻印のリミッターを解除。限界を超えて|超克《オーバーロード》に至り、真の姿として【|真なる『夜』の不可思議迷宮《デモニックワンダーラビリンス》】の封印を解く。世界の『書き換え』はなにも侵略蔵書だけの専売特許ではない――混沌魔術の使い手たる彼女もまた、己の意志で森羅万象を塗り替える者だ。

「我が身は不可説不可説転もの数多の真なる『|夜《デモン》』に変じる。『夜』が生み出すは我が精神を具象化せし欲望の迷宮なり」
 アリスの『|夜《デモン》』が定義した理に従って、戦場が暗い影に包まれる。この影こそが現在のアリスの本体そのものであり、知性を持つ闇が『|夜《デモン》』の本質だ。ゆえに魔力と想像力の許す限り、出現の規模に限界は存在しない。
(戦場全体を覆うこの姿であれば高度400kmであろうと問題なく対処できるわ)
 はるか上空にいる『鉤爪の男』も、この異変を認識しているだろう。闘争の求道者である彼ならば、その闇から発せられる"何か"の意志を感じ取れるやもしれない。「ほう……」と呟く男の口元には、微かな笑みが浮かんでいた。

「タイムフォールダウン、一切合切の行動を禁じる」
 『夜』を通じて敵を射程距離に収めたアリスは、高速詠唱による呪文を展開。膨大な時間質量を解放して局所的な時の凍結を引き起こした。通常の何十倍、何百倍もの"時間"の密度で空間を満たすことによって、正常な時の流れを堰き止めたのだ。
「この領域内は私の法が支配する。『夜』の帳が降り汝を縛るだろう」
「ほう、これは……!!」
 驚嘆のまま表情を凍りつかせる鉤爪の男。時の停まった『夜』の迷宮で、自由な活動ができるのはアリスだけだ。
 これは幾つもの詠唱によって織りなされた、敵を封じるための影の結界。【量産型侵略蔵書】のページを捲ることもできない敵の元へ、混沌の艶魔少女はゆらりと近付いていく。

「さあ、どうしちゃおうかしら」
 小悪魔めいた笑みを口元に浮かべて、天空を舞うアリス。正確には空を飛んでいるのではなく、迷宮化した空間の解体切断、組み換えと再接続を繰り返して自分の座標を動かしているのだ。平たく言えばテレポートの一種に近い。
「猟兵に……これほどの魔術の使い手が……いるとは……なッ!」
 だが、敵もこのまま無防備にやられてくれる相手ではない。『夜』の帳による時間停止に己の意志のみで抵抗し、アリスが近付いてきた瞬間を狙って左腕を一閃。彼の象徴でもあるその鉤爪は、捉えればどんな怪物であろうと引き裂くだろう。

「残念でした♪」
「……!」
 だが。攻撃がヒットする寸前でアリスは戦術で自分の位相をずらし、量子的可能性から有利な可能性への収斂を導き出す。直撃するはずだった鉤爪は彼女の身体をわずかに掠めるに留まり、その傷もすぐに無かったように癒える。
「この肉体は端末だからすぐに再構築できるわ」
 先述した通り、現在のアリスの本体は戦場全体に広がった『夜』そのもの。少女の姿で現界しているのは、影から生じた影法師とでも言うべき矛盾した存在。ゆえに引き裂かれても平然と接近を止めず、敵の懐に入り込んで――。

「エナジードレインで吸い尽くしてあげる❤」
「ぐっ、おぉぉぉぉぉッ!!?!」
 アリスの手に触れられた瞬間、猛烈な脱力感と奇妙な快感が鉤爪の男を襲う。伝説に語られるサキュバスのように彼女は他者の魔力やエネルギーを奪う。対象が人ではない等身大オブリビオンマシンであっても例外はないようだ。
 戦場に降りた『夜』の帳は去る気配を見せず。この地に夜明けが訪れる時、それは戦いが終結する時だけだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
錬金術…凍結攻撃の弾丸を錬成

クイックドロウ…素早く弾丸を放つ

属性攻撃…刹那の無限回転発動

『オッス、悟○空わくわくすっぞ!』
ファイが奇妙なポーズを取りながら登場
『アウトー!』『ええ…』
慶喜がツッコミ緋智が困惑する

あいつ昔落ちこぼれって後ろ指をさされていた時より元気になっているわ!
私は滅魔導に乗っている

『冥道朧月!』
緋智がUC朧月夜・冥道神機『緋智』を発動して十字の冥道を放つが躱される

『不味いで!』
敵が反撃に攻撃をしてきたので電撃の結界術を展開しながら攻撃範囲から逃れる

私はファイの元に行く
『久しぶりにアレやります?』
ええ!
二人とも小声で話す

『危ないですね!』
オラァ!
敵の攻撃をファイの平行世界に行く能力を応用して回避しながら私達は刹那の無限回転弾を放つ

滅魔導から降りてファイに抱えてもらう
『じゃあ…行きますよ!』
私を抱えて空中に飛び上がる黄金の螺旋を纏っている
『天使の力を纏った…』
刹那の無限回転エネルギー…

『「炸裂しろ!」』
敵は囮の刹那の回転弾は回避出来たが見えない天使の回転弾は回避出来なかった



『オッス、悟○空わくわくすっぞ!』
『アウトー!』『ええ……』
 ついに辿り着いた『鉤爪の男』との決戦の舞台。そこでファイが奇妙なポーズを取りながらどこかで聞いた覚えのあるセリフを吐くと、慶喜がツッコミを入れ緋智が困惑する。ここが正念場だというのに緊張感をまるで感じない。
「あいつ昔落ちこぼれって後ろ指をさされていた時より元気になっているわ!」
 別れてからの(相手曰く)数万年の歳月の間に一体何があったのだろうか。残念だが詳しく聞いている暇はない。
 時空戦艦『滅魔導』に乗り込んだ彼女は進路を『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』に向け、上空400kmを目指して進撃を開始した。

『冥道朧月!』
 戦艦の甲板からは【朧月夜・冥道神機『緋智』】を発動した緋智が十字型の冥道を放つ。しかしまだ距離が遠かったか、鉤爪の男は難なくその攻撃を躱すと、お返しとばかりに【インサニティ・ブレイド】の真空波を放ってきた。
『不味いで!』
「退避!」
 即座に慶喜が電撃の結界術を展開して、敵の反撃から味方を守る。この間にアルマは艦を一時後退させて攻撃範囲から逃れた。自由に空を航行する手段を持っていても、それは敵と同じ土俵に立てただけのこと。本当の意味で奴と互角に持ち込むにはまだ足りない。

『久しぶりにアレやります?』
「ええ!」
 そこでアルマはファイの元に行き、小声でひそひそと話し合う。久方ぶりに再会した2人には妙案があるようだ。
 だが、相談が終わるまで待ってくれるような敵でもない。鉤爪の男はなおも攻撃を続けて時空戦艦を撃沈させようとしてくる。
「どうした。その立派な船は虚仮威しか!」
 極限の闘争を求める彼の狂気はすでに肉体の限界を凌駕しており、鉤爪が振るわれるたびに放たれる真空波は凄まじい破壊力で空間を削り取る。しかしアルマ達を乗せた『滅魔導』は、いまだに一度の被弾も許してはいなかった。

『危ないですね!』
「オラァ!」
 回避の要となっているのは平行世界を渡るファイの能力だ。これを一種の空間転移能力として応用することで敵の攻撃を避けつつ、アルマが刹那の無限回転を加えた弾丸で反撃。一度は押されかけていた戦況を五分まで引き戻す。
『じゃあ……行きますよ!』
「オッケー!」
 そして敵と同じ高度まで到達すると、ファイはアルマを抱えて空中に飛び上がる。その身体は黄金の螺旋を纏っており、まるで明けの明星のように神々しく煌めく。天使が大きく翼を広げ、錬金術師がガンナイフを標的に向ける。

『天使の力を纏った……』
「刹那の無限回転エネルギー……」
『「炸裂しろ!」』

 放たれたのはアルマとファイの合体技【錬金術士奥義・天使の無限回転弾】。これまでにない速度で回転する弾丸は、空中で無数に分裂しながら鉤爪の男に襲い掛かった。天才錬金術師と幾万年を生きた大天使、そのパワーが一つになった奥義から逃れる術はない。
「お、おぉぉぉぉッ……!!!?!」
 鉤爪の男はどうにか最初の一発は避けたものの、それはただの囮。分裂を繰り返すうちに目で見えなくなった天使の無限回転弾を回避することはできず、腕を、足を、胴体を、鉤爪を次々に撃ち抜かれていく。その口から漏れる声は悲鳴か歓喜か――定かではないが、彼奴の命運がもはや尽きかけている事だけは確かだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリヤ・ユイク
※アドリブ大歓迎 ソロ希望

私は冥狼。敵は喰らい尽くすのみ。
しかし400kmか。
時空間と距離は密接、ならば時空破魁で距離ごとぶっ壊して一瞬で行きます。鉤爪の男の前に来るように狙いを定めて時空破魁!空間を距離ごとぶっ壊す!
GCで浮きつつ
さて…やっと会えましたね?今の気分はどうですか?私は最高に楽しいですよ。今まで力をセーブしてたので、ね。では、いきます!
【勝つのは私だ!!】
九竜神火罩のレーザーは夜空幻奏でほぼ無効化!限界突破した覚悟と気合いと根性で耐える!
私は全身が金属細胞、コアが核融合炉、一撃でも電流を受けたら起爆してこの一帯が消し飛ぶ!
敵の攻撃はGCで重力場輪を作り、零天使で時を限りなく停滞させつつ同時にGCの空間歪曲と斥力で攻撃を捻じ曲げ回避し、追撃も敵の攻撃を予測しながら限界突破した空中機動と残像で回避、即座に時空破魁で反撃し鉤爪を破壊!
隙ができたら迦具土のリミッター解除と限界突破で攻撃速度+攻撃力(出力)を爆発的に上げた迦具土の出力で最高の威力になった黒狼牙爪の切断で斬り焼却する!



「私は冥狼。敵は喰らい尽くすのみ」
 それが何者だろうが、どこに居ようが、エミリヤのやることに変わりはない。天空に浮かぶ『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』の輝きを睨み付けながら、彼女はそう呟いた。随分長い道程を歩かされたものだが、いよいよあの場所に『鉤爪の男』がいる訳だ。
「しかし400kmか」
 足がかりはあるとは言えど、翼を持たぬ身があの高度まで到達するのは一苦労――かと思いきや、そうでもない。
 時空間と距離は密接な繋がりがあり、空間の破壊は距離の破壊と同義。ならばここまで来るのに使った手段と同じユーベルコードが使える。ただ進む軸線が横から縦に変わっただけだ。

「空間を距離ごとぶっ壊す!」
 目標高度に狙いを定めて【時空破魁】を放ったエミリヤは、400km分の空間を殴り壊して一瞬のうちに移動する。
 現れる先は鉤爪の男の前だ。「グラビティ・コア」から発生する重力場輪で宙に浮かび、愉しげな笑みと共に愛刀を抜く。
「さて……やっと会えましたね? 今の気分はどうですか?」
「無論、最高だとも。まさにこれこそが私の求めていた闘争だ」
 敵が突然目の前に現れても、鉤爪の男は動揺せず。猟兵達との激闘により深刻な負傷を受けてもなお、その返答に迷いは無かった。己の命や魂さえも焼き尽くす『超弩級の闘争』こそ彼の望んだもの。鋼鉄の躯体を滾らせる高揚の前では、己の生死など二の次なのだろう。

「私も最高に楽しいですよ。今まで力をセーブしてたので、ね」
 冥狼の後継者たるエミリヤもまた、優れた敵を前にして血潮が滾るのを感じていた。不思議の国で戦った量産機のオブリビオンマシンなどとは物が違う、この等身大オブリビオンマシンが相手ならば、自分も本気を出すに値する。
「では、いきます!」
「来るがいい!」
 【勝つのは私だ!!】という強固な意思の元、エミリヤが高度400kmを駆ける。迎え撃つように『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』より放たれたレーザーは、「|夜空幻奏《ナイトハーモニクス》」のマントでかき消す。衛星はいまだチャージ途中であり不思議の国を焼き尽くすには出力が足りぬ、ならばこの装備でも十分無効化できる。

「やはり、闘争とはこうでなくてはな!」
 レーザーを払い除けた冥狼を出迎えるは、鉤爪の男の【プラズマ・クロウ】。その左腕は命中すれば超電撃を放出して内側から目標を破壊する仕組みになっている。あれだけは喰らうわけにはいかないとエミリヤが警戒する武装。
(私は全身が金属細胞、コアが核融合炉、一撃でも電流を受けたら起爆してこの一帯が消し飛ぶ!)
 コアの出力を全開にして空間歪曲と斥力場を作り、同時に時間吸収装置「|零天使《セラフィック・ゼロ》」を使って時を限りなく停滞させる。回避の猶予を作った上で攻撃を捻じ曲げて躱す、そこまでしてようやく対処できるレベルにあるのが、鉤爪の男の戦闘力だった。

「まだだ。我が鉤爪は血に飢えているぞ!」
 停滞する時の流れの中でもお構いなしに、鉤爪の男は追撃を仕掛けてくる。その爪撃の鋭さに衰えはなく――だが一撃目を凌いだことで挙動を予測できるようになったエミリヤは、華麗なる空中機動でそれもまた回避。己の残像を【プラズマ・クロウ】に貫かせた直後、カウンターの【時空破魁】を叩き込んだ。
「お返しです!」
「なに……ッ!」
 己の限界を超えて金属細胞とコアの出力を引き出し、肉体を反動で軋ませながら放った拳は、男の左腕を一撃で半壊させた。これまで幾千幾万の敵を屠ってきた鉤爪が砕ける。その動揺が、彼が次の行動に移るまでに隙を生んだ。

「|迦具土《カグツチ》、リミッター解除!」
 この機を逃してなるものかと、エミリヤは体内の核融合炉をフル稼働させて攻撃の速度と威力を爆発的に上げる。
 身体から溢れ出した青紫の炎が「黒狼牙爪」を強化し、その切れ味が最高のものになった瞬間――乾坤一擲の覚悟をもって、全身全霊の一太刀を繰り出す。
「――……見事だ……ッ!!」
 砕けた鉤爪でその一撃を防ぐには能わず、真っ向から斬り伏せられた鉤爪の男の身体が蒼炎に包まれ燃え上がる。
 もし地上から見上げる者がいれば、その様は墜ちて燃え尽きる寸前の流れ星のようだったろう。アリスラビリンスを戦乱の地に変えたオウガ・フォーミュラの野望も、いよいよ終焉の刻が近い――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
ヤークト・ドラッヘに【騎乗】しこれを以て飛翔、鉤爪の男のもとまで向かうとしよう。

待たせたな、鉤爪の男よ!
今こそ闘争の時、互いの持てる力全てを以て戦り合おうぞ!

黄昏大隊・蹂躙巨艦発動、【砲撃】にて牽制させつつ兵を降下。
兵を100名少々ずつ六隊に分け、うち五隊はアサルトライフルでの【制圧射撃】を、残る一隊はロケットランチャーで有効打を与える役目を任す。
ランチャー担当の部隊は弾切れ毎に制圧射撃部隊のうちの一隊と交代し攻勢を維持。
オウガが出現した場合は其方への攻撃を優先させよう。

これら【集団戦術】を維持しつつ、余もヤークト・ドラッヘ搭載火器にて鉤爪の男を攻撃。
空中を疾走して距離を保ち、オウガ出現時は鎖での捕縛にも警戒。オウガの撃破は兵に任せ、余は飽くまで鉤爪の男を狙う。
ミサイル(【誘導弾】)で回避機動に制限を加えた処に電磁砲での砲撃を撃ち込んでゆこう。

何、いずれ余も其方へ逝くことだろう。闘争の続きはその時に。
それまで、精々その爪を研ぎ直しておくが良い。



「待たせたな、鉤爪の男よ!」
 不思議の迷宮を攻略し、決戦の舞台に足を踏み入れたギージスレーヴは、天に向かって高らかに吠えた。その身に漲るのは溢れんばかりの闘争心と高揚感。戦争という行為をこよなく愛した凶人が、同種の者と相まみえた喜びだ。
「今こそ闘争の時、互いの持てる力全てを以て戦り合おうぞ!」
「応とも、来るがいい。素晴らしき闘争には素晴らしき敵が居なくてはな!」
 鉤爪の男は高度400km、攻撃衛星『|九竜神火罩《きゅうりゅうしんかとう》』の上で待つ。その高みへとギージスレーヴを連れて行くのは重機甲戦闘車「ヤークト・ドラッヘ」。反重力式推進機構を搭載し、地の果てどころか空や宇宙まで駆ける重武装の大型バイクだ。

「ゴットリヒター出撃! 領域内の敵勢力を徹底的に蹂躙し殲滅せよ!」
 アクセル全開で天に駆け上っていくと同時に、ギージスレーヴは【黄昏大隊・蹂躙巨艦】を発動。傭兵組織『黄昏大隊』の最大戦力たる武装飛行戦艦「ゴッドリヒター」を召喚し、全砲門展開による全力砲撃を実行する。初手より一切の遠慮容赦がないが、超弩級の闘争を謳うならばこの程度はまだ前奏に過ぎない。
「なかなかの火力だ。これほどの巨艦は我が故郷にもそうはなかったぞ!」
 鉤爪の男は『九竜神火罩』の軌道をコントロールして砲撃を躱すか、鉤爪より真空波を放って砲弾を切り捨てる。
 やはり、この程度の攻撃では牽制にしかならないか。だが艦とは兵を戦場に送り届けるための揺籠。黄昏兵団の真の力はこれからだ。

「降下兵団、総員降下開始!」
 ギージスレーヴの号令と共に、降下作戦装備を装着した兵士達がゴットリヒターから出撃する。その総勢は100名少々の部隊が全六隊、うち五隊はアサルトライフルを発砲し、残る一隊はロケットランチャーの照準計算を始める。制圧射撃部隊と決定打を与える部隊とに分かれた、一糸乱れぬ連携だ。
「よく統率された兵達だ。では私も駒を出そう!」
 対する鉤爪の男は【量産型侵略蔵書】の力でアリスラビリンスの太陽を書き換え、配下のオウガを呼び出す"門"とする。悪魔の如き怪奇な容貌と奴隷を捕縛する鎖を携えた、アリス狩りのオウガの群れが天空より現れ、黄昏大隊に襲い掛かってきた。

「役者と駒は揃ったか。ならば後は盤上で雌雄を決するのみぞ!」
 ギージスレーヴは紅の戦旗を翻し、敵増援を優先して仕留めるよう部隊に指示を出す。奴隷の鎖が届かぬ距離からアサルトライフルを掃射し、オウガ共が釘付けになったところにロケットランチャーを発射。天空に轟く爆音と爆炎が、怪物を吹き飛ばしていく。
「「グギャアアァァァァァッ!!!?」」
「ははは! 愉快、愉快だ!」
 配下の断末魔に心地よく耳を傾けながら、鉤爪の男は進撃を止めさせない。特攻同然の攻勢を仕掛けてくるオウガに対し、黄昏大隊の兵士達も乱れず応戦する。ランチャー担当の部隊が弾切れになれば制圧射撃部隊のうちの一隊と交代して攻勢を維持するなど、最初からこの事態を想定していたような的確な対応だ

「見事だ。並の将器ではこれほど巧みに兵を動かす事はできまい」
「お褒めに預かり光栄と言っておこうか」
 オウガと黄昏大隊による激戦が繰り広げられる中、ギージスレーヴもヤークト・ドラッヘを駆り鉤爪の男に挑む。
 彼女が狙うのは飽くまで彼奴1人だ。オウガ共の撃破を兵に任せ、バイクに搭載された誘導ミサイルを発射する。
「では次は兵としての腕前を披露するとしよう!」
「そう来なくてはな!」
 巧みな操縦でミサイルをギリギリまで引き付けた上で撃墜する鉤爪の男。一方のギージスレーヴもバイクの機動力を活かして距離を保ち、近接による反撃やオウガの鎖を警戒している。極まった戦巧者達の戦いは、先に隙を見せたほうが負ける千日手の様相を呈していた。

「――捉えたぞ」
 そして、勝機は先にギージスレーヴの手の中に転がり込んできた。ミサイルの連発で敵の回避機動に制限をかけ、こちらの照準と目標の移動先が重なる瞬間。彼女はそこに狙いすまして切り札たる連装電磁砲のトリガーを引いた。
「……!!」
 電磁加速された砲弾は音を遥かに超えるスピードで大気を切り裂き、吸い込まれるように鉤爪の男の胸を貫いた。
 そこは、等身大オブリビオンマシンである彼の心臓部。動力炉を撃ち抜かれた男は一瞬驚愕の表情を見せた後――穏やかに己の最期を悟った。

「……嗚呼、良き闘争だった。叶うならばもう暫し、この時間を味わってみたいものだったが」
「何、いずれ余も其方へ逝くことだろう。闘争の続きはその時に」
 余韻に浸りながら僅かな未練を口にする鉤爪の男に、ギージスレーヴは変わらぬ笑みのまま別れの言葉を告げる。
 戦争狂いが行き着く果てなど相場は決まっている。地獄に堕ちようが終わらぬ闘争を繰り返すのが彼女らの性だ。なんとも深く、絶えなき業よ。
「それまで、精々その爪を研ぎ直しておくが良い」
「良かろう、一足先に待っていよう……次はこれ以上の闘争を披露しようではないか、猟兵よ!」
 そう言って、アリスラビリンスのオウガ・フォーミュラにして等身大オブリビオンマシン、『鉤爪の男』は機能を停止した。同時に稼働限界に達した『九竜神火罩』が火を噴いて墜落し、一条の流星のように空で燃え尽きていく。



 ――かくして、アリスラビリンスの存亡を賭けた猟書家との戦いは終結を迎えた。
 超弩級の闘争を求めた男の「カーテンコール・ラビリンス」は阻止され、不思議の国は元の姿を取り戻す。
 地上に帰還した猟兵達を出迎えたのは、たくさんの愉快な仲間達からの笑顔と、喜びと感謝の言葉であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年04月06日


挿絵イラスト